戸体の移動規制構造
【課題】簡素な構造で安価に網戸の使用者の意図しない移動を規制し、網戸の外れを防止する。
【解決手段】網戸11の移動規制構造において、サッシ枠15と、サッシ枠15と対向配置される網戸11の上框25、又は上框25に装着された外れ止めとに、高摩擦係数材39を取り付けた。より具体的には、サッシ枠15が、サッシ上枠17から垂下した網戸用上部レールを有し、外れ止めが、網戸用上部レールを屋内側及び屋外側から挟み込む挟み込み部を有して網戸11の上框25に装着され、上部レールと挟み込み部のそれぞれの対向面に、高摩擦係数材39が取り付けられる。網戸11に設けられる網戸側高摩擦係数材39aは、網戸上下框の長手方向両端である四隅に配置され、サッシ枠15に取り付けられるサッシ枠側高摩擦係数材39bは、サッシ枠開口43のいずれか一方の端に移動された網戸11の網戸側高摩擦係数材39aに対向する位置に設けられる。
【解決手段】網戸11の移動規制構造において、サッシ枠15と、サッシ枠15と対向配置される網戸11の上框25、又は上框25に装着された外れ止めとに、高摩擦係数材39を取り付けた。より具体的には、サッシ枠15が、サッシ上枠17から垂下した網戸用上部レールを有し、外れ止めが、網戸用上部レールを屋内側及び屋外側から挟み込む挟み込み部を有して網戸11の上框25に装着され、上部レールと挟み込み部のそれぞれの対向面に、高摩擦係数材39が取り付けられる。網戸11に設けられる網戸側高摩擦係数材39aは、網戸上下框の長手方向両端である四隅に配置され、サッシ枠15に取り付けられるサッシ枠側高摩擦係数材39bは、サッシ枠開口43のいずれか一方の端に移動された網戸11の網戸側高摩擦係数材39aに対向する位置に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ網戸や軽量引戸など戸体の使用者の意図しない移動を規制し、戸体の外れを防止する戸体の移動規制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、引き違いガラス障子を開閉自在に取り付けたサッシには、障子よりも外側のレールに防虫用としての網戸が設けられることがある。網戸はガラス障子のように常時使用するものではなく夏期などの虫が侵入し易い時期のみに使用するものであるため安価で且つ取外しが簡便なように軽量となっている。このため、網戸がガラス障子の開閉に伴い一緒に移動してしまったり、台風時などは強風により網戸が自然に移動してしまうという、使用者の意図しない移動が起きることがある。このような事情から、例えば特許文献1には、摺動抵抗が低いモヘア(虫除け材)を使用して、ガラス障子の開閉に伴う網戸の移動を規制する技術が開示されている。
【0003】
また、網戸は、上框の上面が、サッシ上枠から垂下された網戸用上部レール下端との間に所定寸法の隙間がある。この隙間が存在することで網戸をけんどん式に着脱できるのであるが、網戸外れを防止するために外れ止めを設ける必要がある。このような事情から、スライダーや外れ止めアームを用いたり(特許文献2参照)、外れ止め部材や揺動アームを用いたりして(特許文献3参照)、機構的に網戸の外れを防止するものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−262812号公報
【特許文献2】特開2007−51511号公報
【特許文献3】特開2007−182673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、モヘアとガラス障子の接触面積を小さくすることでガラス障子の開閉に伴う網戸の移動は規制できるが、強風による移動を規制できるものではない。また、特許文献2,3の技術は、多数の部品を使用しなければならず、構造も複雑であり、コストが高くなるとともに、調整に手間を要する問題があった。そして、上記いずれの技術も各々の課題に着眼したものであり、異なる課題(ガラス障子の開閉に伴う移動、強風による移動、網戸外れ)を同時に解決するものではない。
このため、ガラス障子の開閉に伴う移動や、強風による移動を規制し、結果的に網戸外れが防止できる簡素な網戸移動規制構造の開発要請があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、簡素な構造で安価に網戸などの戸体の移動が規制できる戸体の移動規制構造を提供し、もって、戸体の外れ防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) サッシ枠と、該サッシ枠と対向配置される戸体の框、又は該框に装着された摺動部品とに、高摩擦係数材が取り付けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【0007】
この戸体の移動規制構造によれば、戸体がサッシ枠開口部のいずれか一方側に移動されると、サッシ枠に設けられた高摩擦係数材と、戸体に設けられた高摩擦係数材とが接触し、接触摩擦により戸体に適度な摺動抵抗が生じる。つまり、戸体がサッシ枠に対し、解除可能な所定の固定力(初動が重くない)で係止可能となる。
【0008】
(2) (1)の戸体の移動規制構造であって、
前記サッシ枠が、サッシ上枠から垂下した上部レールを有し、
前記摺動部品は、前記上部レールを屋内側及び屋外側から挟み込む挟み込み部を有して前記戸体の上框に装着され、
前記上部レールと前記挟み込み部のそれぞれの対向面に、前記高摩擦係数材が取り付けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【0009】
この戸体の移動規制構造によれば、戸体に装着された摺動部品が、上部レールを挟み込む挟み込み部を有し、その上部レールと挟み込み部の対向面に設けられた高摩擦係数材同士によって接触摩擦が生じる。挟み込み部と上部レールとの間には、摺動のための間隙が存在するので、その間隙を利用して高摩擦係数材の取り付けが可能となる。これにより、外れ止めを交換することによる高摩擦係数材の容易な取り付けが可能となる。
【0010】
(3) (1)又は(2)の戸体の移動規制構造であって、
前記戸体に設けられる戸体側高摩擦係数材が、戸体上下框の長手方向両端である四隅のうち少なくとも1箇所に配置され、
前記サッシ枠に取り付けられるサッシ枠側高摩擦係数材が、サッシ枠開口の少なくともいずれか一方の端に移動された前記戸体の前記戸体側高摩擦係数材に対向する位置に設けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【0011】
この戸体の移動規制構造によれば、戸体がサッシ枠開口のいずれか一方の端に移動されると、戸体に設けられた戸体側高摩擦係数材が、サッシ枠のサッシ枠側高摩擦係数材に接触し、戸体が移動規制される。これにより、戸体に近接する側のガラス障子が開閉されたり、強風が当たったりしても、それに伴って戸体が移動しなくなる。また、固定力を効果的に生じさせる箇所(四隅)に高摩擦係数材を設けると、高摩擦係数材の量を減らしてコストを低減することができる。
【0012】
(4) (1)〜(3)のいずれか1つの戸体の移動規制構造であって、前記高摩擦係数材は、植毛摩擦材によって形成されることを特徴とする戸体の移動規制構造。
【0013】
この戸体の移動規制構造によれば、樹脂材や複合材からなる摩擦材の摩擦係数に比べ、数倍の摩擦係数が長期に渡って得られ、サッシ枠に対する戸体の確実な移動規制が長期に渡って可能となる。また、雨などによる水濡れが生じても摩擦係数が低下しない。さらに、振動吸収性に富むことから、摺動音が殆ど発生せず、静粛な戸体の移動操作が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る戸体の移動規制構造によれば、サッシ枠と、このサッシ枠と対向配置される戸体の框、又は框に装着された摺動部品とに、高摩擦係数材を取り付けたので、サッシ枠に移動自在に設けられた戸体が、自身に設けられた高摩擦係数材と、サッシ枠側に設けられた高摩擦係数材とを接触させることで適度な摺動抵抗を生じさせ、サッシ枠に対し係止可能となる。この結果、簡素な構造で安価に戸体の移動が規制でき、使用者の意図しない移動の規制と、戸体の外れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る網戸の移動規制構造を備えたサッシの正面図である。
【図2】図1に示したサッシの縦断面方向を示す説明図である。
【図3】図2に示した高摩擦係数材の側面図である。
【図4】(a)は図2に示したサッシ上枠の拡大図、(b)は図2に示した網戸の拡大図である。
【図5】(a)は高摩擦係数材を直接施したサッシ上枠の拡大図、(b)は高摩擦係数材を直接施した網戸の拡大図である。
【図6】高摩擦係数材のドライ状態と水没状態における摩擦係数と時間との相関を表したグラフである。
【図7】網戸の外れ止め取り付け部近傍の説明図である。
【図8】図7のA部拡大図である。
【図9】網戸のフレ止め取り付け部近傍の説明図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】図9に示したフレ止めの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る戸体の移動規制構造の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る戸体である網戸の移動規制構造を備えたサッシの正面図である。
本発明に係る戸体の移動規制構造は、例えば網戸、サッシ、軽量引戸、可動ガラリ、雨戸などに好適に用いられる。本実施の形態では、戸体の移動規制構造が、網戸11を備えたサッシ13に適用される例を説明する。サッシ13には外周を囲うサッシ枠15が設けられ、サッシ枠15はサッシ上枠17、サッシ下枠19、サッシたて枠21,23を有する。網戸11は、網戸上下框25,27と、その両端同士を接続する一対のたて框29,31にて枠状に形成され、その内側に網33が張られる。
【0017】
図2は図1に示したサッシの縦断面方向を示す説明図である。
サッシ枠15は、引き違いガラス障子35,37を開閉自在に取り付けている。網戸11は、外側の障子35よりも外側に位置するレールに防虫用として設けられる。サッシ枠15と、このサッシ枠15と対向配置される網戸上下框25,27とには、高摩擦係数材39が取り付けられている。
【0018】
サッシ枠15は、サッシ上枠17から垂下した網戸用上部レール41を有する。網戸11は、網戸上框25の凹溝をこの網戸用上部レール41に挿入することで、網戸用上部レール41に沿って移動し、サッシ枠開口43(図1参照)を開閉する。網戸側高摩擦係数材39aは、網戸上下框25,27の外側面に貼着される。
【0019】
サッシ上枠17とサッシ下枠19には網戸上下框25,27の外側面に対向する長尺の枠板45,45が設けられ、枠板45,45は内面にサッシ枠側高摩擦係数材39bを貼着している。網戸11とサッシ枠15には、枠板45,45と網戸上下框25,27に設けられたサッシ枠側高摩擦係数材39bと網戸側高摩擦係数材39aの接触により、接触摩擦が生じるようになっている。
【0020】
すなわち、網戸11がサッシ枠開口43のいずれか一方側に移動されると、サッシ枠15に設けられたサッシ枠側高摩擦係数材39bと、網戸11に設けられた網戸側高摩擦係数材39aとが接触し、接触摩擦により網戸11に適度な摺動抵抗が生じる。つまり、網戸11がサッシ枠15に対し、解除可能な所定の固定力で係止可能となる。
【0021】
ここで、図1に示したように、網戸11に設けられる網戸側高摩擦係数材39aは、網戸上下框25,27の長手方向両端である四隅に配置されている。また、サッシ枠15に取り付けられるサッシ枠側高摩擦係数材39bは、サッシ枠開口43の少なくともいずれか一方の端に移動された網戸11の網戸側高摩擦係数材39aに対向する位置に設けられている。本実施の形態において、サッシ枠側高摩擦係数材39bは、図1に示したように、網戸11がサッシ枠開口43の一方側(右端側)と他方側(左端側)の双方に配置されたときに対向する位置で、上下三対設けられている。
【0022】
これにより、網戸11がサッシ枠開口43のいずれか一方の端に移動されると、網戸11に設けられた網戸側高摩擦係数材39aが、サッシ枠15のサッシ枠側高摩擦係数材39bに四隅で接触し、網戸11が移動規制される。したがって、網戸11に近接する側のガラス障子35が開閉されたり、強風が当たったりしても、それに伴って網戸11が移動しなくなる。また、固定力を効果的に生じさせる箇所(四隅)に高摩擦係数材39を設けていることで、高摩擦係数材39の量を減らしてコストを低減している。
なお、上記実施の形態では、網戸11に設けられる網戸側高摩擦係数材39aは、網戸上下框25,27の長手方向両端である四隅に配置されるとしたが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、例えば、四隅のうちの少なくとも1箇所に配置する、あるいは任意の複数箇所に配置して、網戸11の移動規制を行うようにしてもよい。
【0023】
図3は図2に示した高摩擦係数材の側面図である。
高摩擦係数材39は、植毛摩擦材によって形成される。植毛摩擦材47は、樹脂、或いは金属のプレート49に、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維、又は天然繊維からなる毛51を、静電植毛して得る。静電植毛とはパイル(例えば、1.5デニールの直径で長さ0.6mmの短毛のポリエステルやナイロンのような短繊維)を底に金網を張ったフルイに入れ、そのフルイとその短繊維を付着させるために接着剤を塗った部材(樹脂、金属)の間に高電圧(プラスかマイナスの2〜3万ボルト)を加え、20cm程度の高さから部材に短繊維をまき散らして付着させる植毛法を言う。静電気を加えているので、短繊維は立った状態で付着する。
【0024】
植毛摩擦材47からなる高摩擦係数材39は、樹脂材や複合材からなる従来の摩擦材の摩擦係数に比べ、数倍(4〜5倍程度)の摩擦係数(1.6〜2.1程度)を得ることができる。また、弾性復元力が多数の毛51によって得られるのでヘタリ難く、サッシ枠15に対する網戸11の確実な移動規制が長期に渡って可能となる。
【0025】
図4(a)は図2に示したサッシ上枠の拡大図、(b)は図2に示した網戸の拡大図である。
本実施の形態では、サッシ枠15の枠板45,45と、網戸11の網戸上下框25,27に、植毛摩擦材47のプレート49が、接着剤、両面接着テープ、或いはビスにより固定されている。プレート49に毛51を植毛した植毛摩擦材47を用いれば、既存のサッシ13に、容易に高摩擦係数材39を後付けすることができる。
【0026】
図5(a)は高摩擦係数材を直接施したサッシ上枠の拡大図、(b)は高摩擦係数材を直接施した網戸の拡大図である。
また、高摩擦係数材39は、毛51を所望箇所に直接静電植毛することもできる。すなわち、サッシ枠15の枠板45,45と、網戸上下框25,27に、直接毛51を静電植毛する。このような直接植毛によれば、プレート49が不要となるので、より狭い間隙に高摩擦係数材39を設けることができる。また、部品点数を減らしてコストを低減できる。
【0027】
図6は高摩擦係数材のドライ状態と水没状態における摩擦係数と時間との相関を表したグラフである。
植毛摩擦材47からなる高摩擦係数材39同士の摩擦係数は、水没状態での摩擦係数が、ドライ状態での摩擦係数に比べ、大きく低下することがない。また、水没状態においても、一定の摩擦係数が持続的に得られる。したがって、雨などによる水濡れが生じても摩擦係数が低下しない。さらに、振動吸収性に富むことから、摺動音が殆ど発生せず、静粛な網戸の移動操作が可能となる。
【0028】
次に、本発明に係る網戸の移動規制構造の第二の実施の形態を説明する。
図7は網戸の摺動部品である外れ止めの取り付け部近傍の説明図である。
網戸の移動規制構造は、網戸11に外れ止め61が設けられる構造においても好適に採用することができる。外れ止め61は、サッシ枠15と対向配置される網戸上框25に装着される。外れ止め61は、網戸用上部レール41を屋内側及び屋外側から挟み込む挟み込み部63を有して、網戸上框25に装着される。
【0029】
図8は図7のA部拡大図である。
網戸用上部レール41と、挟み込み部63のそれぞれの対向面には、上記植毛摩擦材47からなる網戸側高摩擦係数材39a、サッシ枠側高摩擦係数材39bが取り付けられている。つまり、網戸用上部レール41は、挟み込み部63の対向面に設けられた一対の網戸側高摩擦係数材39a,39aによって、両面に貼着したサッシ枠側高摩擦係数材39b,39bを介して挟まれた状態となっている。
【0030】
網戸11に装着された外れ止め61が、網戸用上部レール41を挟み込む挟み込み部63を有し、その網戸用上部レール41と挟み込み部63の対向面に設けられた網戸側高摩擦係数材39a、サッシ枠側高摩擦係数材39b同士によって接触摩擦が生じる。挟み込み部63と網戸用上部レール41との間には、摺動のための間隙Kが存在するので、その間隙Kを利用して高摩擦係数材39の取り付けが可能となる。これにより、外れ止め61のみを交換することによる高摩擦係数材39の容易な取り付けが可能となる。
【0031】
なお、外れ止め61に高摩擦係数材39を設ける本実施の形態においても、上記したように、外れ止め61の挟み込み部63及び網戸用上部レール41に直接静電植毛することができる。この構成では、サッシ13の出荷前に、予め網戸側高摩擦係数材39a及びサッシ枠側高摩擦係数材39bを直接静電植毛してもよいが、外れ止め61は、挟み込み部63及び網戸用上部レール41に静電植毛した交換パーツとし、網戸用上部レール41には付属の網戸側高摩擦係数材39aを添付する交換キットとして後付用の製品を構成することもできる。
【0032】
次に、本発明に係る網戸の移動規制構造の第三の実施の形態を説明する。
図9は網戸の摺動部品であるフレ止めの取り付け部近傍の説明図である。
網戸11には、フレ止め71を設けることができる。フレ止め71は、網戸11の製品出荷時に、或いは網戸11に後付けにより設けることもできる。フレ止め71には一対の平行な挟持板73,75が挟入間隙77を有して立設され、フレ止め71は挟入間隙77に例えば枠板45又は網戸用上部レール41を挟むようにして取り付けられる。
【0033】
図10は図9の正面図である。
フレ止め71は、例えば網戸11のたて框31の上端に取り付けられる。フレ止め71の下部には嵌入部79が設けられ、嵌入部79をたて框31の上端に嵌入して固定する。フレ止め71は、一つの網戸11に対して少なくとも一つ取り付けることによっても網戸の移動規制効果を得ることができる。サッシ枠側高摩擦係数材39bは、網戸11をサッシ枠開口43の端に移動した時に、フレ止め71の網戸側高摩擦係数材39aと一致させて枠板45又は網戸用上部レール41に固定する。
【0034】
図11は図9に示したフレ止めの斜視図である。
フレ止め71を利用する場合の網戸の移動規制構造では、一方の挟持板75と、網戸用上部レール41の一方の側面に、網戸側高摩擦係数材39aとサッシ枠側高摩擦係数材39bを設けることができる。サッシ枠側高摩擦係数材39bは、上記したように、網戸11をサッシ枠開口43の端に移動した時に、網戸側高摩擦係数材39aと一致する位置で配置されている。したがって、網戸11がサッシ枠開口43の端に移動した時のみに移動規制効果を発揮させる。サッシ枠側高摩擦係数材39bの設けられていない網戸用上部レール41には、フレ止め71に設けられた網戸側高摩擦係数材39aのみが接触することとなり、移動時における網戸11の振れを規制することができる。
【0035】
上記構成の網戸の移動規制構造によれば、サッシ枠15と、このサッシ枠15と対向配置される網戸11の網戸上下框25,27、又はたて框29,31に装着された外れ止め61又はフレ止め71とに、高摩擦係数材39を取り付けたので、サッシ枠15に移動自在に設けられた網戸11が、自身に設けられた網戸側高摩擦係数材39aと、サッシ枠15側に設けられたサッシ枠側高摩擦係数材39bとを接触させることで適度な摺動抵抗を生じさせ、サッシ枠15に対し係止可能となる。この結果、簡素な構造で安価に網戸11の使用者の意図しない移動が規制でき、勝手な移動による網戸11の外れを防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
11 網戸
15 サッシ枠
17 サッシ上枠
25,27 網戸上下框
39 高摩擦係数材
39a 網戸側高摩擦係数材
39b サッシ枠側高摩擦係数材
41 網戸用上部レール
43 サッシ枠開口
47 植毛摩擦材
61 外れ止め
63 挟み込み部
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシ網戸や軽量引戸など戸体の使用者の意図しない移動を規制し、戸体の外れを防止する戸体の移動規制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、引き違いガラス障子を開閉自在に取り付けたサッシには、障子よりも外側のレールに防虫用としての網戸が設けられることがある。網戸はガラス障子のように常時使用するものではなく夏期などの虫が侵入し易い時期のみに使用するものであるため安価で且つ取外しが簡便なように軽量となっている。このため、網戸がガラス障子の開閉に伴い一緒に移動してしまったり、台風時などは強風により網戸が自然に移動してしまうという、使用者の意図しない移動が起きることがある。このような事情から、例えば特許文献1には、摺動抵抗が低いモヘア(虫除け材)を使用して、ガラス障子の開閉に伴う網戸の移動を規制する技術が開示されている。
【0003】
また、網戸は、上框の上面が、サッシ上枠から垂下された網戸用上部レール下端との間に所定寸法の隙間がある。この隙間が存在することで網戸をけんどん式に着脱できるのであるが、網戸外れを防止するために外れ止めを設ける必要がある。このような事情から、スライダーや外れ止めアームを用いたり(特許文献2参照)、外れ止め部材や揺動アームを用いたりして(特許文献3参照)、機構的に網戸の外れを防止するものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−262812号公報
【特許文献2】特開2007−51511号公報
【特許文献3】特開2007−182673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、モヘアとガラス障子の接触面積を小さくすることでガラス障子の開閉に伴う網戸の移動は規制できるが、強風による移動を規制できるものではない。また、特許文献2,3の技術は、多数の部品を使用しなければならず、構造も複雑であり、コストが高くなるとともに、調整に手間を要する問題があった。そして、上記いずれの技術も各々の課題に着眼したものであり、異なる課題(ガラス障子の開閉に伴う移動、強風による移動、網戸外れ)を同時に解決するものではない。
このため、ガラス障子の開閉に伴う移動や、強風による移動を規制し、結果的に網戸外れが防止できる簡素な網戸移動規制構造の開発要請があった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、簡素な構造で安価に網戸などの戸体の移動が規制できる戸体の移動規制構造を提供し、もって、戸体の外れ防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) サッシ枠と、該サッシ枠と対向配置される戸体の框、又は該框に装着された摺動部品とに、高摩擦係数材が取り付けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【0007】
この戸体の移動規制構造によれば、戸体がサッシ枠開口部のいずれか一方側に移動されると、サッシ枠に設けられた高摩擦係数材と、戸体に設けられた高摩擦係数材とが接触し、接触摩擦により戸体に適度な摺動抵抗が生じる。つまり、戸体がサッシ枠に対し、解除可能な所定の固定力(初動が重くない)で係止可能となる。
【0008】
(2) (1)の戸体の移動規制構造であって、
前記サッシ枠が、サッシ上枠から垂下した上部レールを有し、
前記摺動部品は、前記上部レールを屋内側及び屋外側から挟み込む挟み込み部を有して前記戸体の上框に装着され、
前記上部レールと前記挟み込み部のそれぞれの対向面に、前記高摩擦係数材が取り付けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【0009】
この戸体の移動規制構造によれば、戸体に装着された摺動部品が、上部レールを挟み込む挟み込み部を有し、その上部レールと挟み込み部の対向面に設けられた高摩擦係数材同士によって接触摩擦が生じる。挟み込み部と上部レールとの間には、摺動のための間隙が存在するので、その間隙を利用して高摩擦係数材の取り付けが可能となる。これにより、外れ止めを交換することによる高摩擦係数材の容易な取り付けが可能となる。
【0010】
(3) (1)又は(2)の戸体の移動規制構造であって、
前記戸体に設けられる戸体側高摩擦係数材が、戸体上下框の長手方向両端である四隅のうち少なくとも1箇所に配置され、
前記サッシ枠に取り付けられるサッシ枠側高摩擦係数材が、サッシ枠開口の少なくともいずれか一方の端に移動された前記戸体の前記戸体側高摩擦係数材に対向する位置に設けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【0011】
この戸体の移動規制構造によれば、戸体がサッシ枠開口のいずれか一方の端に移動されると、戸体に設けられた戸体側高摩擦係数材が、サッシ枠のサッシ枠側高摩擦係数材に接触し、戸体が移動規制される。これにより、戸体に近接する側のガラス障子が開閉されたり、強風が当たったりしても、それに伴って戸体が移動しなくなる。また、固定力を効果的に生じさせる箇所(四隅)に高摩擦係数材を設けると、高摩擦係数材の量を減らしてコストを低減することができる。
【0012】
(4) (1)〜(3)のいずれか1つの戸体の移動規制構造であって、前記高摩擦係数材は、植毛摩擦材によって形成されることを特徴とする戸体の移動規制構造。
【0013】
この戸体の移動規制構造によれば、樹脂材や複合材からなる摩擦材の摩擦係数に比べ、数倍の摩擦係数が長期に渡って得られ、サッシ枠に対する戸体の確実な移動規制が長期に渡って可能となる。また、雨などによる水濡れが生じても摩擦係数が低下しない。さらに、振動吸収性に富むことから、摺動音が殆ど発生せず、静粛な戸体の移動操作が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る戸体の移動規制構造によれば、サッシ枠と、このサッシ枠と対向配置される戸体の框、又は框に装着された摺動部品とに、高摩擦係数材を取り付けたので、サッシ枠に移動自在に設けられた戸体が、自身に設けられた高摩擦係数材と、サッシ枠側に設けられた高摩擦係数材とを接触させることで適度な摺動抵抗を生じさせ、サッシ枠に対し係止可能となる。この結果、簡素な構造で安価に戸体の移動が規制でき、使用者の意図しない移動の規制と、戸体の外れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る網戸の移動規制構造を備えたサッシの正面図である。
【図2】図1に示したサッシの縦断面方向を示す説明図である。
【図3】図2に示した高摩擦係数材の側面図である。
【図4】(a)は図2に示したサッシ上枠の拡大図、(b)は図2に示した網戸の拡大図である。
【図5】(a)は高摩擦係数材を直接施したサッシ上枠の拡大図、(b)は高摩擦係数材を直接施した網戸の拡大図である。
【図6】高摩擦係数材のドライ状態と水没状態における摩擦係数と時間との相関を表したグラフである。
【図7】網戸の外れ止め取り付け部近傍の説明図である。
【図8】図7のA部拡大図である。
【図9】網戸のフレ止め取り付け部近傍の説明図である。
【図10】図9の正面図である。
【図11】図9に示したフレ止めの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る戸体の移動規制構造の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る戸体である網戸の移動規制構造を備えたサッシの正面図である。
本発明に係る戸体の移動規制構造は、例えば網戸、サッシ、軽量引戸、可動ガラリ、雨戸などに好適に用いられる。本実施の形態では、戸体の移動規制構造が、網戸11を備えたサッシ13に適用される例を説明する。サッシ13には外周を囲うサッシ枠15が設けられ、サッシ枠15はサッシ上枠17、サッシ下枠19、サッシたて枠21,23を有する。網戸11は、網戸上下框25,27と、その両端同士を接続する一対のたて框29,31にて枠状に形成され、その内側に網33が張られる。
【0017】
図2は図1に示したサッシの縦断面方向を示す説明図である。
サッシ枠15は、引き違いガラス障子35,37を開閉自在に取り付けている。網戸11は、外側の障子35よりも外側に位置するレールに防虫用として設けられる。サッシ枠15と、このサッシ枠15と対向配置される網戸上下框25,27とには、高摩擦係数材39が取り付けられている。
【0018】
サッシ枠15は、サッシ上枠17から垂下した網戸用上部レール41を有する。網戸11は、網戸上框25の凹溝をこの網戸用上部レール41に挿入することで、網戸用上部レール41に沿って移動し、サッシ枠開口43(図1参照)を開閉する。網戸側高摩擦係数材39aは、網戸上下框25,27の外側面に貼着される。
【0019】
サッシ上枠17とサッシ下枠19には網戸上下框25,27の外側面に対向する長尺の枠板45,45が設けられ、枠板45,45は内面にサッシ枠側高摩擦係数材39bを貼着している。網戸11とサッシ枠15には、枠板45,45と網戸上下框25,27に設けられたサッシ枠側高摩擦係数材39bと網戸側高摩擦係数材39aの接触により、接触摩擦が生じるようになっている。
【0020】
すなわち、網戸11がサッシ枠開口43のいずれか一方側に移動されると、サッシ枠15に設けられたサッシ枠側高摩擦係数材39bと、網戸11に設けられた網戸側高摩擦係数材39aとが接触し、接触摩擦により網戸11に適度な摺動抵抗が生じる。つまり、網戸11がサッシ枠15に対し、解除可能な所定の固定力で係止可能となる。
【0021】
ここで、図1に示したように、網戸11に設けられる網戸側高摩擦係数材39aは、網戸上下框25,27の長手方向両端である四隅に配置されている。また、サッシ枠15に取り付けられるサッシ枠側高摩擦係数材39bは、サッシ枠開口43の少なくともいずれか一方の端に移動された網戸11の網戸側高摩擦係数材39aに対向する位置に設けられている。本実施の形態において、サッシ枠側高摩擦係数材39bは、図1に示したように、網戸11がサッシ枠開口43の一方側(右端側)と他方側(左端側)の双方に配置されたときに対向する位置で、上下三対設けられている。
【0022】
これにより、網戸11がサッシ枠開口43のいずれか一方の端に移動されると、網戸11に設けられた網戸側高摩擦係数材39aが、サッシ枠15のサッシ枠側高摩擦係数材39bに四隅で接触し、網戸11が移動規制される。したがって、網戸11に近接する側のガラス障子35が開閉されたり、強風が当たったりしても、それに伴って網戸11が移動しなくなる。また、固定力を効果的に生じさせる箇所(四隅)に高摩擦係数材39を設けていることで、高摩擦係数材39の量を減らしてコストを低減している。
なお、上記実施の形態では、網戸11に設けられる網戸側高摩擦係数材39aは、網戸上下框25,27の長手方向両端である四隅に配置されるとしたが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、例えば、四隅のうちの少なくとも1箇所に配置する、あるいは任意の複数箇所に配置して、網戸11の移動規制を行うようにしてもよい。
【0023】
図3は図2に示した高摩擦係数材の側面図である。
高摩擦係数材39は、植毛摩擦材によって形成される。植毛摩擦材47は、樹脂、或いは金属のプレート49に、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維、又は天然繊維からなる毛51を、静電植毛して得る。静電植毛とはパイル(例えば、1.5デニールの直径で長さ0.6mmの短毛のポリエステルやナイロンのような短繊維)を底に金網を張ったフルイに入れ、そのフルイとその短繊維を付着させるために接着剤を塗った部材(樹脂、金属)の間に高電圧(プラスかマイナスの2〜3万ボルト)を加え、20cm程度の高さから部材に短繊維をまき散らして付着させる植毛法を言う。静電気を加えているので、短繊維は立った状態で付着する。
【0024】
植毛摩擦材47からなる高摩擦係数材39は、樹脂材や複合材からなる従来の摩擦材の摩擦係数に比べ、数倍(4〜5倍程度)の摩擦係数(1.6〜2.1程度)を得ることができる。また、弾性復元力が多数の毛51によって得られるのでヘタリ難く、サッシ枠15に対する網戸11の確実な移動規制が長期に渡って可能となる。
【0025】
図4(a)は図2に示したサッシ上枠の拡大図、(b)は図2に示した網戸の拡大図である。
本実施の形態では、サッシ枠15の枠板45,45と、網戸11の網戸上下框25,27に、植毛摩擦材47のプレート49が、接着剤、両面接着テープ、或いはビスにより固定されている。プレート49に毛51を植毛した植毛摩擦材47を用いれば、既存のサッシ13に、容易に高摩擦係数材39を後付けすることができる。
【0026】
図5(a)は高摩擦係数材を直接施したサッシ上枠の拡大図、(b)は高摩擦係数材を直接施した網戸の拡大図である。
また、高摩擦係数材39は、毛51を所望箇所に直接静電植毛することもできる。すなわち、サッシ枠15の枠板45,45と、網戸上下框25,27に、直接毛51を静電植毛する。このような直接植毛によれば、プレート49が不要となるので、より狭い間隙に高摩擦係数材39を設けることができる。また、部品点数を減らしてコストを低減できる。
【0027】
図6は高摩擦係数材のドライ状態と水没状態における摩擦係数と時間との相関を表したグラフである。
植毛摩擦材47からなる高摩擦係数材39同士の摩擦係数は、水没状態での摩擦係数が、ドライ状態での摩擦係数に比べ、大きく低下することがない。また、水没状態においても、一定の摩擦係数が持続的に得られる。したがって、雨などによる水濡れが生じても摩擦係数が低下しない。さらに、振動吸収性に富むことから、摺動音が殆ど発生せず、静粛な網戸の移動操作が可能となる。
【0028】
次に、本発明に係る網戸の移動規制構造の第二の実施の形態を説明する。
図7は網戸の摺動部品である外れ止めの取り付け部近傍の説明図である。
網戸の移動規制構造は、網戸11に外れ止め61が設けられる構造においても好適に採用することができる。外れ止め61は、サッシ枠15と対向配置される網戸上框25に装着される。外れ止め61は、網戸用上部レール41を屋内側及び屋外側から挟み込む挟み込み部63を有して、網戸上框25に装着される。
【0029】
図8は図7のA部拡大図である。
網戸用上部レール41と、挟み込み部63のそれぞれの対向面には、上記植毛摩擦材47からなる網戸側高摩擦係数材39a、サッシ枠側高摩擦係数材39bが取り付けられている。つまり、網戸用上部レール41は、挟み込み部63の対向面に設けられた一対の網戸側高摩擦係数材39a,39aによって、両面に貼着したサッシ枠側高摩擦係数材39b,39bを介して挟まれた状態となっている。
【0030】
網戸11に装着された外れ止め61が、網戸用上部レール41を挟み込む挟み込み部63を有し、その網戸用上部レール41と挟み込み部63の対向面に設けられた網戸側高摩擦係数材39a、サッシ枠側高摩擦係数材39b同士によって接触摩擦が生じる。挟み込み部63と網戸用上部レール41との間には、摺動のための間隙Kが存在するので、その間隙Kを利用して高摩擦係数材39の取り付けが可能となる。これにより、外れ止め61のみを交換することによる高摩擦係数材39の容易な取り付けが可能となる。
【0031】
なお、外れ止め61に高摩擦係数材39を設ける本実施の形態においても、上記したように、外れ止め61の挟み込み部63及び網戸用上部レール41に直接静電植毛することができる。この構成では、サッシ13の出荷前に、予め網戸側高摩擦係数材39a及びサッシ枠側高摩擦係数材39bを直接静電植毛してもよいが、外れ止め61は、挟み込み部63及び網戸用上部レール41に静電植毛した交換パーツとし、網戸用上部レール41には付属の網戸側高摩擦係数材39aを添付する交換キットとして後付用の製品を構成することもできる。
【0032】
次に、本発明に係る網戸の移動規制構造の第三の実施の形態を説明する。
図9は網戸の摺動部品であるフレ止めの取り付け部近傍の説明図である。
網戸11には、フレ止め71を設けることができる。フレ止め71は、網戸11の製品出荷時に、或いは網戸11に後付けにより設けることもできる。フレ止め71には一対の平行な挟持板73,75が挟入間隙77を有して立設され、フレ止め71は挟入間隙77に例えば枠板45又は網戸用上部レール41を挟むようにして取り付けられる。
【0033】
図10は図9の正面図である。
フレ止め71は、例えば網戸11のたて框31の上端に取り付けられる。フレ止め71の下部には嵌入部79が設けられ、嵌入部79をたて框31の上端に嵌入して固定する。フレ止め71は、一つの網戸11に対して少なくとも一つ取り付けることによっても網戸の移動規制効果を得ることができる。サッシ枠側高摩擦係数材39bは、網戸11をサッシ枠開口43の端に移動した時に、フレ止め71の網戸側高摩擦係数材39aと一致させて枠板45又は網戸用上部レール41に固定する。
【0034】
図11は図9に示したフレ止めの斜視図である。
フレ止め71を利用する場合の網戸の移動規制構造では、一方の挟持板75と、網戸用上部レール41の一方の側面に、網戸側高摩擦係数材39aとサッシ枠側高摩擦係数材39bを設けることができる。サッシ枠側高摩擦係数材39bは、上記したように、網戸11をサッシ枠開口43の端に移動した時に、網戸側高摩擦係数材39aと一致する位置で配置されている。したがって、網戸11がサッシ枠開口43の端に移動した時のみに移動規制効果を発揮させる。サッシ枠側高摩擦係数材39bの設けられていない網戸用上部レール41には、フレ止め71に設けられた網戸側高摩擦係数材39aのみが接触することとなり、移動時における網戸11の振れを規制することができる。
【0035】
上記構成の網戸の移動規制構造によれば、サッシ枠15と、このサッシ枠15と対向配置される網戸11の網戸上下框25,27、又はたて框29,31に装着された外れ止め61又はフレ止め71とに、高摩擦係数材39を取り付けたので、サッシ枠15に移動自在に設けられた網戸11が、自身に設けられた網戸側高摩擦係数材39aと、サッシ枠15側に設けられたサッシ枠側高摩擦係数材39bとを接触させることで適度な摺動抵抗を生じさせ、サッシ枠15に対し係止可能となる。この結果、簡素な構造で安価に網戸11の使用者の意図しない移動が規制でき、勝手な移動による網戸11の外れを防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
11 網戸
15 サッシ枠
17 サッシ上枠
25,27 網戸上下框
39 高摩擦係数材
39a 網戸側高摩擦係数材
39b サッシ枠側高摩擦係数材
41 網戸用上部レール
43 サッシ枠開口
47 植毛摩擦材
61 外れ止め
63 挟み込み部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠と、該サッシ枠と対向配置される戸体の框、又は該框に装着された摺動部品とに、高摩擦係数材が取り付けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【請求項2】
請求項1記載の戸体の移動規制構造であって、
前記サッシ枠が、サッシ上枠から垂下した上部レールを有し、
前記摺動部品は、前記上部レールを屋内側及び屋外側から挟み込む挟み込み部を有して前記戸体の上框に装着され、
前記上部レールと前記挟み込み部のそれぞれの対向面に、前記高摩擦係数材が取り付けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の戸体の移動規制構造であって、
前記戸体に設けられる戸体側高摩擦係数材が、戸体上下框の長手方向両端である四隅のうち少なくとも1箇所に配置され、
前記サッシ枠に取り付けられるサッシ枠側高摩擦係数材が、サッシ枠開口の少なくともいずれか一方の端に移動された前記戸体の前記戸体側高摩擦係数材に対向する位置に設けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の戸体の移動規制構造であって、
前記高摩擦係数材は、植毛摩擦材によって形成されることを特徴とする戸体の移動規制構造。
【請求項1】
サッシ枠と、該サッシ枠と対向配置される戸体の框、又は該框に装着された摺動部品とに、高摩擦係数材が取り付けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【請求項2】
請求項1記載の戸体の移動規制構造であって、
前記サッシ枠が、サッシ上枠から垂下した上部レールを有し、
前記摺動部品は、前記上部レールを屋内側及び屋外側から挟み込む挟み込み部を有して前記戸体の上框に装着され、
前記上部レールと前記挟み込み部のそれぞれの対向面に、前記高摩擦係数材が取り付けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の戸体の移動規制構造であって、
前記戸体に設けられる戸体側高摩擦係数材が、戸体上下框の長手方向両端である四隅のうち少なくとも1箇所に配置され、
前記サッシ枠に取り付けられるサッシ枠側高摩擦係数材が、サッシ枠開口の少なくともいずれか一方の端に移動された前記戸体の前記戸体側高摩擦係数材に対向する位置に設けられたことを特徴とする戸体の移動規制構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の戸体の移動規制構造であって、
前記高摩擦係数材は、植毛摩擦材によって形成されることを特徴とする戸体の移動規制構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−163810(P2010−163810A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7825(P2009−7825)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】
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