説明

戸体及び建具

【課題】複数の窓を備えつつも製造し易く安価な戸体及び戸体を備えた建具を提供する。
【解決手段】枠組みされた框体と、複数の開孔を有し前記框体を挟み当該框体にて囲まれた領域を覆う一対の表面材と、前記一対の表面材の間に設けられ前記複数の開孔を塞ぐ閉塞面材と、前記閉塞面材を囲み当該閉塞面材を保持するための骨材と、前記閉塞面材と前記表面材との間に介装され前記閉塞面材と前記表面材とにそれぞれ接着された介装部材と、前記開孔の縁部において前記閉塞面材と前記介装部材との間を塞ぐビードと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物などの開口に開閉自在に設けられる戸体及び戸体を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物などの開口に開閉自在に設けられる戸体及び戸体を備えた建具としては、格子状のリブに囲まれた多数の透孔からなるコア部材と框枠にドア板が接着されたドアが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなドアは複数の窓孔を有し、各々の窓孔には装飾パネルが嵌合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56−88886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記戸体のように、ドアが有する複数の窓孔に各々装飾パネルや面材等を嵌合すると、製造において作業が繁雑であるとともに、製品単価が高価になるという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の窓を備えつつも製造し易く安価な戸体及び戸体を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の戸体は、枠組みされた框体と、複数の開孔を有し前記框体を挟み当該框体にて囲まれた領域を覆う一対の表面材と、前記一対の表面材の間に設けられ前記複数の開孔を塞ぐ閉塞面材と、前記閉塞面材を囲み当該閉塞面材を保持するための骨材と、前記閉塞面材と前記表面材との間に介装され前記閉塞面材と前記表面材とにそれぞれ接着された介装部材と、前記開孔の縁部において前記閉塞面材と前記介装部材との間を塞ぐビードと、を備えたことを特徴とする戸体である。
このような戸体によれば、閉塞面材が複数の開孔を塞ぐので、開孔を閉塞するための面材を開孔ごとに設ける必要がない。このため、戸体の製造時における作業が簡単で短時間で行えるため、複数の窓を備えつつも製造し易く、かつ安価な戸体を提供することが可能である。また、複数の開孔を覆う閉塞面材は、表面材との間に介装された介装部材が閉塞面材と表面材とにそれぞれ接着されているので、表面材に外力が作用したとしても撓み難くい。このため、高い強度を備えて美観に優れた戸体を提供することが可能である。
【0006】
かかる戸体であって、前記介装部材は、前記閉塞面材と接着される閉塞面材接着部と、前記表面材と接着される表面材接着部とを有し、前記開孔の縁部に前記表面材接着部が接着されて前記閉塞面材との間に前記ビードが挿入される空間が形成されていることが望ましい。
介装部材が設けられていない場合には、閉塞面材と表面材との間にビードが設けられることになるが、ビードにより押圧された表面材は撓みが生じる虞がある。上記のような戸体によれば、開孔の縁部に介装部材の表面材接着部が接着されて、表面材接着部と閉塞面材との間にビードが挿入される空間が形成されているので、ビードは表面材接着部と閉塞面材によって保持されることになる。よって、開孔の縁部において閉塞面材と表面材とにそれぞれ接着された介装部材と閉塞面材との間にビードを圧縮させて挿入しても表面材に撓みが生じにくいので、開孔の縁部をビードにより確実にシールすることが可能である。
【0007】
かかる戸体であって、前記表面材接着部は、挿入された前記ビードが外れることを防止する突起を有することが望ましい。
このような戸体によれば、表面材接着部の突起にてビードの外れが防止されるので、ビードを保持するために表面材に大きな外力が作用する様な機構を設けることなくビードの外れを防止することができる。
【0008】
かかる戸体であって、前記介装部材は、前記閉塞面材接着部と前記表面材接着部とが連結部にて連結され、前記連結部に対し、前記閉塞面材接着部と前記表面材接着部とが互いに反対方向に延出された接着ピースを複数有しており、複数の前記接着ピースが、各々分離可能に連なって形成された介装部材連続体の一部が分離されて形成されていることが望ましい。
このような戸体によれば、各接着ピースは、各々閉塞面材接着部と表面材接着部とが連結部にて連結されているので、各々の接着ピースが閉塞面材と表面材との間に介装されて開孔の縁部の撓みを抑えることが可能である。また、介装部材連続体は、複数の接着ピースが連なって分離可能に形成されているので、介装部材連続体の一部である所望の数の接着ピースを介装部材連続体から適宜分離して介装部材とすることが可能である。このため、介装部材は、複数の接着ピースを備えた介装部材連続体の状態にて製造し、接着箇所に合わせて適宜接着ピースを分離することにより戸体に適したサイズに形成することが可能なので、製造性にも優れている。
【0009】
かかる戸体であって、前記介装部材連続体は、前記閉塞面材接着部の先端同士が繋がった部位と、前記表面材接着部の先端同士が繋がった部位とが交互に設けられていることが望ましい。
このような戸体によれば、閉塞面材接着部の先端同士が繋がった部位、及び表面材接着部の先端同士が繋がった部位にて分割することにより、介装部材の端部に連結部が配置されない。このため、分離された接着ピースはいずれも、開孔の縁部にて介装部材の端部と閉塞面材との間にビードが挿入される空間を形成することが可能なので、介装部材連続体が有する接着ピースを無駄なく使用することが可能である。
【0010】
また、戸体であって、前記介装部材は、前記閉塞面材接着部の先端と前記閉塞面材接着部の前記連結部側とが繋がり、前記表面材接着部の先端と前記表面材接着部の前記連結部側とが繋がっていることとしても良い。
このような戸体によれば、隣接する2つの接着ピースのうちの一方の接着ピースの閉塞面材接着部及び連結部と他方の接着ピースの表面材接着部及び連結部とにて中空部が形成される。このため、介装部材がより高い強度を備えるので、開孔の縁部がより撓み難い戸体を提供することが可能である。
【0011】
また、上記戸体と、開口を形成し当該開口を開閉自在に前記戸体を支持する枠体と、を備えたことを特徴とする建具である。
このような建具によれば、閉塞面材が複数の開孔を塞ぐので、開孔を閉塞するための面材を開孔ごとに設ける必要がない。このため、戸体の製造時における作業が簡単で短時間で行えるため、製造し易く、かつ安価な戸体を備えた建具を提供することが可能である。
【0012】
また、複数の開孔を覆う閉塞面材は、表面材との間に介装された介装部材が閉塞面材と表面材とにそれぞれ接着されているので、表面材に外力が作用したとしても撓み難くい。このため、高い強度を備えて美観に優れた戸体を備えた建具を提供することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の面材を備えつつも製造し易く安価な戸体及び戸体を備えた建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る玄関ユニットの外観図である。
【図2】本実施形態に係る玄関ドアの分解斜視図ある。
【図3】本実施形態に係る玄関ユニットの縦断面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】図1のB−B断面図である。
【図6】玄関ドアの内部構造を説明するための図ある。
【図7】接着ピース基材を説明するための図である。
【図8】接着ピース基材の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る戸体及び建具について図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態の建具は、例えば、図1に示すような、建物の出入口に設けられる戸体としての玄関ドア10と、建物の開口をなし当該開口を開閉自在に玄関ドア10が支持される枠体5と、を有する玄関ユニット1である。本実施形態の玄関ユニット1が有する玄関ドア10には、閉塞面材としてのガラス33にて閉塞された4つの小窓10aが、中央より吊り元側に位置させるとともに上下方向に沿って、互いに間隔を隔てて設けられている。図1の例では、玄関ドア10を開閉操作するためのハンドルは省略している。
【0017】
以下の説明においては、建物に取り付けられた玄関ユニット1を室外側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、玄関ユニット1が備える玄関ドア10や框体12などの各部材は、単体について説明する場合であっても玄関ユニット1として取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0018】
本実施形態の玄関ユニット1が有する枠体5は、2本の縦枠材5aと2本の横枠材5bとが矩形状に枠組みされて形成されている。2本の縦枠材5aのうち、室外側から見て右側の縦枠材5aには、ヒンジ5cが設けられている。
【0019】
玄関ドア10は、図2に示すように、矩形状に枠組みされた框体12と、框体12にて囲まれた領域内にて中央より吊り元側に設けられた中骨体31にガラス33が設けられたガラスユニット30と、框体12を表裏面から挟み框体12にて囲まれた領域を覆う一対の表面材20、21と、框体12にて囲まれた領域内にて表面材にて覆われた空間内に設けられる断熱材22と、表面材20、21の開孔20a、21aとガラス33との間を塞ぐビード24と、ガラス33と表面材20、21との間に介在されてガラス33と表面材20、21とに接着された介装部材としてのスペーサー25と、を有している。
【0020】
框体12は、図3〜図5に示すように、断面が略コ字状をなす溝型部材が、溝の解放された側が框体12の内側に向くように配置されて枠組みされている。
【0021】
ガラスユニット30は、ガラス33を保持するためのガスケット35が装着可能な形状をなす骨材37が接合されて形成された中骨体31と、中骨体31にガスケット35を介して取り付けられるガラス33とを有している。
【0022】
中骨体31は、図6に示すように上下の框材12a、12bと間に上下の框材12a、12bと直交するように配置される縦骨31aと、玄関ドア10の上部側と下部側にて縦骨31aと吊り元側の框材12d(または戸先側の框材12c)との間に縦骨31aと吊り元側の框材12dと直交するように配置され縦骨31aに接合された2本の横骨31bと、縦骨31aと平行に設けられ上下の横骨31bと連結する連結骨31cとを有している。縦骨31aは、上下の框材12a、12bの間隔より僅かに短く形成されており、玄関ドア10が取り付けられた際には、縦骨31aの下端が下の框材12b上に当接されるように構成されている。また、中骨体31は、中骨体31が框体12の内側に配置される際に、上下の横骨31bの先端が吊り元側の框材12dに当接されることにより框体12との相対位置が決められる。
【0023】
縦骨31a、横骨31b、連結骨31cは、同一断面の骨材37であり、室内側の表面材21が当接される室内側壁部37aと室外側の表面材20が当接される室外側壁部37bとが間隔を隔てて対向するように配置され、室内側壁部37aと室外側壁部37bとの見付け方向一端側が断熱部材39を介して繋ぐ連結壁部37cを有して溝状をなしている。このような骨材37にて形成された縦骨31a、横骨31b、連結骨31cが接合された中骨体31は、縦骨31a、横骨31b、連結骨31cにて囲まれた領域を有しており、溝状をなす縦骨31a、横骨31b、連結骨31cの開放された部位が、囲まれた領域の内側に向けられている。中骨体31の縦骨31a、横骨31b、連結骨31cにて囲まれた領域には、中骨体31は、縦骨31a、横骨31b、連結骨31cが枠組みされる際に、連結壁部37cとは反対側(室内側壁部37aと室外側壁部37bとの見付け方向他端側)からガラス33の端部が収容されたガスケット35が挿入されてガラスユニット30を構成している。
【0024】
ガラス33は、2枚の板ガラス33aを、それらの周縁部間にスペーサーを介して室内外方向に対面させるとともに互いに間隔を隔てて一体に形成した複層ガラスである。ガラス33の厚みは、框体12及び中骨体31の厚みより薄く形成されている。このため、ガスケット35とともに中骨体31に取り付けられたガラス33は、框体12及び中骨体31の厚み方向における中央寄りに配置されている。
【0025】
ガラスユニット30のガラス33が設けられた領域は、玄関ドア10として組み立てられた際に、表面材20、21に設けられた4つの小窓10aが全て含まれる広さを有している。このため、ガラス33が設けられた領域は、最上位置に設けられた小窓10aより僅かに上の部位から、最下位置に設けられた小窓10aより僅かに下の部位まで繋がっており、ガラス33は、表面材20、21に設けられた開孔20a、21aに臨む部位と、隣接する開孔20a、21a間において表面材20、21と対向する部位とを有している。そして、最上位置の小窓10aに対しては、溝状をなす縦骨31a、連結骨31c及び上側の横骨31bの室内側壁部37a及び室外側壁部37bとガラス33との間にビード24が挿入される空間が形成されており、最下位置の小窓10aに対しては、溝状をなす縦骨31a、連結骨31c及び下側の横骨31bの室内側壁部37a及び室外側壁部37bとガラス33との間にビード24が挿入される空間が形成されている。
【0026】
上下方向に間隔を隔てて配置された4つの小窓10aの間に位置し、表面材20、21とガラス33とが対向する部位には、スペーサー25が介在されている。
【0027】
スペーサー25は、アルミニウム製の押出成形部材であり、ガラス33と対面する平面が当該ガラス33に接着される閉塞面材接着部としてのガラス接着部26aと、表面材20、21と対面する平面が当該表面材20、21と接着される表面材接着部26bと、ガラス接着部26a及び表面材接着部26bとを連結する連結部26cとを有する接着ピース26が複数連なって形成されている。尚、スペーサー25は、アルミニウム製の押出成形部材に限らず、他の材質、他の製法によって製造されたものであっても良い。
【0028】
連結部26cは、ガラス接着部26a及び表面材接着部26bと直交しており、ガラス接着部26aと表面材接着部26bとは平行をなすとともに連結部26cを挟んで互いに反対側に設けられている。尚、連結部26cは、ガラス接着部26a及び表面材接着部26bに対して直交せずに傾斜等していても構わない。
【0029】
そして、連結部26cは、表面材20、21とガラス33との見込み方向の間隔とほぼ同じ長さを有し、水平に配置された連結部26cの一方の縁から上方に延出された部位がガラス接着部26a及び表面材接着部26bのいずれか一方に相当し、他方の縁から下方に延出された部位がガラス接着部26a及び表面材接着部26bのいずれか他方に相当する。
【0030】
本実施形態のスペーサー25は、複数の接着ピース26が、各接着ピース26のガラス接着部26aの先端同士及び表面材接着部26bの先端同士が繋がった部位が交互に設けられた介装部材連続体としての接着ピース基材28から所定数の接着ピース26が分離されて形成されている。接着ピース基材28は、分離されたスペーサー25がガラス33に接着された際に見付け方向となる幅が、中骨体31の縦骨31aと連結骨31cの間隔より僅かに狭く形成されている。
【0031】
接着ピース基材28の断面は、一定の周期にてオンオフが繰り返されるパルス信号状の形状をなし、ガラス接着部26aの先端同士の間及び表面材接着部26bの先端同士の間には、各接着ピース26を分離可能とする低強度部26dが設けられている。そして、スペーサー25は、配置される部位のサイズに合わせて低強度部26dにて分離されて用いられる。また、接着ピース26には、分離されたときに先端となる部位に、接着面とは反対側に突出する突起26eが設けられている。この突起26eは、スペーサー25として用いられた際に、スペーサー25の端部にてガラス33との間に挿入されたビード24の抜け防止部として機能する。
【0032】
本実施形態の玄関ドア10には、最上位置の小窓10aと上から2番目の小窓10aとの間に、接着ピース14個分が接着ピース基材28から分離されたスペーサー25が介在されており、上から2番目の小窓10aと上から3番目の小窓10aとの間に、接着ピース4個分が接着ピース基材28から分離されたスペーサー25が介在されており、上から3番目の小窓10aと最下位置の小窓10aとの間に、接着ピース28個分が接着ピース基材28から分離されたスペーサー25が介在されている。尚、図3では、一部の接着ピース26に符号を付し、他の接着ピース26の符号は省略している。また、それぞれに分離されたスペーサー25を介在するとしたが、これに限ることなく、接着ピース基材28の上下方向の長さが小さい場合には、分離されないスペーサー25(接着ピース基材28そのもの)を複数組み合わせて介在してもよく、分離されたスペーサー25(接着ピース基材28から分離されたスペーサー25)と分離されなかったスペーサー25(接着ピース基材28そのもの)を複数組み合わせて介在しても良い。
【0033】
接着ピース基材28から分離された各スペーサー25は、偶数個の接着ピース26を有しており、小窓10a間に位置した状態においてスペーサー25の上下両端側にて連結部26cから延出された部位が表面材20、21と対面するように配置される。すなわち、スペーサー25の上下両端側にて連結部26cから延出された部位と同じ側に位置する部位が表面材接着部26bであり、反対側に位置する部位がガラス33と接着されるガラス接着部26aである。また、隣接する2つの接着ピース26からなるスペーサー25は、上下両端側にて連結部26cから延出された部位の長さに対して、それらの間に形成されて互いに突き合わされたガラス接着部26a及び表面材接着部26bの長さが2倍となるように構成されている。
【0034】
スペーサー25が、隣接する小窓10a間となる位置にてガラス33に接着されると、スペーサー25の上下両端部には、ガラス33との間に、ビード24が挿入される空間が形成される。このため、ガラスユニット30のガラス33にスペーサー25が接着されると、中骨体31の縦骨31a、横骨31b、連結骨31cとスペーサー25とによって、各小窓10aの縁部を全周に亘ってシールするためのビード24が挿入される空間が形成される。
【0035】
框体12に囲まれた領域を室内側及び室外側から覆う表面材20、21は、例えば約0.6mmの鋼板であり、框体12に重ねられた際に框体12の外周縁部にて、室外側の表面材20は室内側に、室内側の表面材21は室外側にそれぞれ折曲げられている。
【0036】
また、表面材20、21には、表面材20、21の平坦な部位にプレス加工による打ち抜きやレーザ加工による切断等にて、小窓10aを形成する開孔20a、21aが設けられている。開孔20a、21aは、表面材20、21をガラスユニット30が取り付けられた框体12に重ねられた際に、ガラスユニット30の中骨体31の内側であってスペーサー25が接着されていない領域に配置される。開孔20a、21aは、縦骨31a、横骨31b、連結骨31cとスペーサー25の周縁部にて区画される領域より僅かに小さく形成されている。
【0037】
ビード24は、表面材20、21の開孔20a、21aからガラス33と縦骨31a、横骨31b、連結骨31c及びスペーサー25との間に嵌入される嵌入部24aと、ガラス33より室外側または室内側の部位と開孔20a、21aにおける表面材20、21の小口20b、21bとの間を開孔20a、21aの全周に渡って覆うカバー部24bとを有している。
【0038】
玄関ドア10の製造方法は、例えば、予め、表面材20、21、框体12、中骨体31、スペーサー25に熱溶融性接着剤を塗布しておく。そして、平坦なプレス台に、室内側の表面材21を、その室内側面を下にして配置し、その上に中間縦材17を備えた框体12と、ガラスユニット30とを適宜位置に配置する。このとき、ガラスユニット30が有する中骨体31の縦骨31aと横骨31bとを框体12に当接させて位置決めする。
【0039】
次に、框体12の内側の領域であって、ガラスユニット30が設けられていない領域に断熱材22を、また、ガラス33の室内側と室外側とにスペーサー25を配置する。その後、内側に、ガラスユニット30、断熱材22及びスペーサー25が配置された框体12上に、室外側の表面材20を、その室外側面を上にして配置した後に、プレス装置により加熱しつつ圧力をかけて各部材を接着する。
【0040】
そして、表面材20、21の開孔20a、21aにてガラス33と縦骨31a、横骨31b、連結骨31c及びスペーサー25との間に、ビード24を挿入しガラス33と表面材20、21との間をシールする。このとき、ビード24の嵌入部24aは、スペーサー25に設けられた突起26eに係止され、カバー部24bは開孔20a、21aの内周側をガラス33より室外側または室内側を覆うとともに表面材20、21の小口20b、21bを覆うように取り付けられる。
最後に、吊り元側の框材12dに、ヒンジ5cを介して枠体5に取り付ける。
【0041】
本実施形態の玄関ドア10及び玄関ユニット1によれば、ガラス33が複数の開孔20a、20bを塞いでいるので、開孔20a、20bごとに閉塞するためのガラス33を設ける必要がない。このため、玄関ドア10の製造時における作業が簡単であり短時間で行えるため、製造し易く、かつ安価な玄関ドア10を提供することが可能である。
【0042】
また、複数の開孔20a、20bを覆うガラス33は、開孔20a、20bを閉塞している部位以外は表面材20、21との間に介装されたスペーサー25がガラス33と表面材20、21とにそれぞれ接着されているので、表面材20、21が撓むことなく丈夫で美観に優れた玄関ドア10を提供することが可能である。
【0043】
スペーサー25が設けられていない場合には、ガラス33と表面材20、21との間にビード24が設けられることになるが、ビード24により押圧された表面材20、21は撓みが生じる虞がある。ところが上記玄関ドア10のように、開孔20a、21aの縁部にスペーサー25の表面材接着部26bが接着されてガラス33との間にビード24が挿入される空間が形成されている場合には、開孔20a、21aの縁部はスペーサー25の表面材接着部26bにより補強されることになる。このため、表面材接着部26bとガラス33との間の空間にビード24が挿入されても表面材20、21に撓みが生じ難い。よって、開孔20a、21aの縁部においてガラス33と表面材20、21とにそれぞれ接着されたスペーサー25とガラス33との間にビード24を圧縮させて挿入することにより、開孔20a、21aの縁部をビード24により確実にシールしつつ撓みのない美観に優れた玄関ドア10を提供することが可能である。
【0044】
また、表面材接着部26bの突起26eにてビード24の外れが防止されるので、ビード24を保持するために表面材20、21に大きな外力が作用することなくビードの外れを防止することが可能である。
【0045】
また、接着ピース基材28は、複数の接着ピース26が連なって分離可能に形成されているので、接着ピース基材28から所望の数の接着ピース26を適宜分離してスペーサー25とすることが可能である。このため、接着箇所に合わせて適宜接着ピース26を分離して、玄関ドア10に適切なサイズのスペーサー25を備えることが可能である。
【0046】
また、ガラス接着部26aの先端同士が繋がった部位、及び、表面材接着部26bの先端同士が繋がった部位にて分離させることにより、スペーサー25の端部に連結部26cが配置されない。このため、接着ピース基材28が有する接着ピース26を無駄なく使用することが可能である。また、接着ピース26が分離されるガラス接着部26aの先端同士が繋がった部位、及び、表面材接着部26bの先端同士が繋がった部位には、低強度部26dが設けられているので、ガラス接着部26aの先端同士が繋がった部位、及び、表面材接着部26bの先端同士が繋がった部位にて容易に分離することが可能である。
【0047】
また、上記実施形態の玄関ユニット1によれば、玄関ドア10の製造時における作業が簡単で短時間で行えるため、製造し易く、かつ安価な玄関ドア10を備えた玄関ユニット1を提供することが可能である。また、表面材20、21が撓むことなく丈夫で美観に優れた玄関ドア10を備えた玄関ユニット1を提供することが可能である。
【0048】
上記実施形態においては、接着ピース基材28及びスペーサー25を、ガラス接着部26aの先端同士が繋がり、表面材接着部26bの先端同士が繋がった形態としたが、これに限るものではない。例えば図8に示すように、隣接する2つの接着ピース26のうちの一方の接着ピース26のガラス接着部26a及び連結部26cと他方の接着ピース26の表面材接着部26b及び連結部26cにて中空部26fが形成される形態であっても良い。この場合には、スペーサー25がより高い強度を備えるので、開孔20a、21aの縁部がより撓み難い玄関ドアを提供することが可能である。この場合には、接着ピース基材28から分離したスペーサー25の上下両端部に表面材接着部26bを備えることができないので、連結部27cの両側に表面材接着部27bが設けられた接着ピース27を備えていることが望ましい。
【0049】
上記実施形態においては、玄関ドア10に設けられた小窓10aの形状を矩形状としたが、これに限らず、円形や多角形またはその他の形状であっても良い。このとき、小窓の形状をなす表面材の開孔に沿って開孔の縁部近傍に骨材が設けられていれば良い。
【0050】
また、戸体を玄関ドア10及び建具を玄関ユニット1として説明したが、これに限らず、室内外の境界に設けられる開閉ドア及びこの開閉ドアを備える建具であっても良い。
【0051】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 玄関ユニット、5 枠体、5a 縦枠材、5b 横枠材、10 玄関ドア、
10a 小窓、12 框体、20 表面材、21 表面材、20a 開孔、
21 表面材、21a 開孔、24 ビード、25 スペーサー、
26 接着ピース、26a ガラス接着部、26b 表面材接着部、26c 連結部、
26e 突起、27 接着ピース、27b 表面材接着部、27c 連結部、
28 接着ピース基材、30 ガラスユニット、31 中骨体、33 ガラス、
37 骨材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組みされた框体と、
複数の開孔を有し前記框体を挟み当該框体にて囲まれた領域を覆う一対の表面材と、
前記一対の表面材の間に設けられ前記複数の開孔を塞ぐ閉塞面材と、
前記閉塞面材を囲み当該閉塞面材を保持するための骨材と、
前記閉塞面材と前記表面材との間に介装され前記閉塞面材と前記表面材とにそれぞれ接着された介装部材と、
前記開孔の縁部において前記閉塞面材と前記介装部材との間を塞ぐビードと、
を備えたことを特徴とする戸体。
【請求項2】
請求項1に記載の戸体であって、
前記介装部材は、前記閉塞面材と接着される閉塞面材接着部と、前記表面材と接着される表面材接着部とを有し、前記開孔の縁部に前記表面材接着部が接着されて前記閉塞面材との間に前記ビードが挿入される空間が形成されていることを特徴とする戸体。
【請求項3】
請求項2に記載の戸体であって、
前記表面材接着部は、挿入された前記ビードが外れることを防止する突起を有することを特徴とする戸体。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の戸体であって、
前記介装部材は、前記閉塞面材接着部と前記表面材接着部とが連結部にて連結され、前記連結部に対し、前記閉塞面材接着部と前記表面材接着部とが互いに反対方向に延出された接着ピースを複数有しており、
複数の前記接着ピースが各々分離可能に連なって形成された介装部材連続体の一部が分離されて形成されていることを特徴とする戸体。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の戸体であって、
前記介装部材は、前記閉塞面材接着部の先端同士が繋がった部位と、前記表面材接着部の先端同士が繋がった部位とが交互に設けられていることを特徴とする戸体。
【請求項6】
請求項4に記載の戸体であって、
前記介装部材は、前記閉塞面材接着部の先端と前記閉塞面材接着部の前記連結部側とが繋がり、前記表面材接着部の先端と前記表面材接着部の前記連結部側とが繋がっていることを特徴とする戸体。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の戸体と、
開口を形成し、当該開口を開閉自在に前記戸体を支持する枠体と、
を備えたことを特徴とする建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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