説明

所定エリア内に設置された複数の路上通信装置に割り当てられる無線リソースの必要数を推定する方法、及び、無線リソースの割当方法

【課題】所定エリア内に設置された路上通信装置に割り当てられる無線リソースの必要数についての最小値を容易に推定することができる方法を提供する。
【解決手段】本方法は、設置候補点Vに設置された路側通信機2が他の路側通信機2に干渉を与える干渉エリアKを特定する干渉エリア特定ステップと、単位エリアUを設定する単位エリア設定ステップと、単位エリアU内に含まれる各設置候補点Vが互いに干渉しないように、各設置候補点Vに対して、第一スロットSL1を割り当てる割当ステップと、前記割当ステップにおける割り当てに必要な第一スロットSL1の数の最小値を、対象エリアPに設置された複数の路側通信機2に割り当てられる第一スロットSL1の必要数の最小値の推定値として取得するステップとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)に用いられる、所定エリア内に設置された路上通信装置に割り当てられる無線リソースの必要数を推定する方法、及び、無線リソースの割当方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信し、或いは車両同士で情報交換を行い、これらの情報を活用することで車両の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
【0003】
この場合、各通信主体間で行う通信の組み合わせには、路側通信機同士が行う路路間通信と、路側通信装置と車載通信機とが行う路車(又は車路)間通信と、車載通信機同士が行う車車間通信とが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記高度道路交通システムにおいては、車車間通信をはじめ、路車間通信や路路間通信及び路歩間通信も含め、これらの各通信の共存を図るに当たって、限られた周波数帯域内で路路間、路車間及び車車間の各通信を行うために、無線リソースを時間領域で分割して路側通信機の送信専用の時間帯である時間スロットを設ける、時分割多重(TDMA:Time Division Multiple Access)によるマルチアクセス方式を採用している。
【0006】
上記TDMAによるマルチアクセス方式において、路側通信機の送信専用の時間スロットは、通常、1つの無線フレーム内で複数設定される。つまり、1つの無線フレーム内には、異なる時間帯に設定された複数の時間スロットが含まれている。このように、1つの無線フレーム内に複数の時間スロットを設けるとともに、これら時間スロットを各路側通信機に割り当てることで、複数の路側通信機それぞれに対して無線リソースを割り当てる。
【0007】
ここで、路側通信機は、通常、道路上の交差点等に設置されるが、隣接する交差点が比較的近い場合には、それら交差点に設置された路側通信機それぞれの無線送信可能なエリア(サービスエリア)が互いに重複する場合がある。サービスエリアが重複すると、その重複した部分においては、両路側通信機の送信信号に干渉が生じ、車載通信機側でこれら送信信号を精度よく取得することが困難となる。
このため、少なくとも干渉が生じる位置関係にある路側通信機の間では、1つの無線フレーム内で異なる時間帯に設定された異なる時間スロットが割り当てられる。これによって、干渉を防止している。
【0008】
しかし、1つの無線フレーム内に設定することができる時間スロットの数には限度がある。このため、上記高度道路交通システムを実際の道路上に適用する際には、干渉が生じる位置関係にある路側通信機同士に対しては互いに異なる時間スロットを割り当てるという制限を加えつつ、所定のエリア内の各路側通信機に時間スロットを割り当てた場合に、どの程度の数量の時間スロットが必要であるか、を事前に把握することが必要である。
さらに、無線リソース節約の観点から、時間スロットの必要数をより少なくすることができる割り当てを探索し、時間スロットの必要数をより少なくすることも求められる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、所定エリア内に設置された路上通信装置に割り当てられる無線リソースの必要数についての最小値を容易に推定することができる方法、及び、これに用いる無線リソースの割当方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、互いに重複しない複数の異なる無線リソースを、所定エリアに設置される複数の路上通信装置それぞれに割り当てる場合において、前記無線リソースの必要数を推定する方法であって、前記路上通信装置が前記所定エリア内の他の路上通信装置に干渉を与える干渉エリアを、複数の異なる方向ごとに特定する干渉エリア特定ステップと、所定数の路上通信装置が設置されるとともに、前記複数の異なる方向それぞれの大きさが、特定された前記干渉エリアの前記複数の異なる方向それぞれの大きさに基づいて単位エリアを設定する単位エリア設定ステップと、前記単位エリア内に含まれる各前記路上通信装置が互いに干渉しないように、各前記路上通信装置に対して、無線リソースを割り当てる割当ステップと、前記割当ステップにおける割り当てに必要な無線リソースの数を、前記所定エリアに設置された前記複数の路上通信装置に割り当てられる前記無線リソースの必要数の推定値として取得するステップと、を有していることを特徴としている。
【0011】
上記のように構成された方法によれば、割当ステップによって、干渉エリアの大きさに基づいて設定された単位エリア内に含まれる各前記路上通信装置が互いに干渉しないように、各前記路上通信装置に対して、無線リソースを割り当てるので、単位エリアを複数隣接配置したとしても、各路上通信装置の無線リソースが、自装置を含む単位エリアに隣接する他の単位エリアに設置された路上通信装置の無線リソースとの間で互いに異なる無線リソースとなるような割り当てとすることができる。これにより、単位エリア内の無線リソースの割り当てを行えば、単位エリア内のみならず、隣接配置した単位エリア間で互いの路上通信装置が干渉を与えないような無線リソースの割り当てを行うことができる。この結果、単位エリア内の各路上通信装置に割り当てるために必要な無線リソースの必要数を求めれば、単位エリアを複数隣接配置してなる所定エリア内の路上通信装置に割り当てる無線リソースの必要数の推定値を求めることができ、さらに、その最小値についても容易に求めることができる。
なお、前記干渉エリア特定ステップにおいて、干渉エリアの特定対象となる前記路上通信装置は、所定エリアに設置される複数の路上通信装置全ての場合、及び、所定エリアに設置される複数の路上通信装置全ての内の一部を構成する複数の路上通信装置である場合がある。
【0012】
(2)上記方法において、前記干渉エリア特定ステップは、特定した前記干渉エリアの中からさらに、最大範囲の干渉エリアの大きさを前記複数の異なる方向ごとに特定するものであることが好ましい。
この場合、単位エリアの大きさを、複数の異なる方向それぞれについての最大範囲の大きさの干渉エリアを含むように設定すれば、より確実に、隣接配置した単位エリア間で互いの路上通信装置が干渉を与えないような無線リソースの割り当てを行うことができる。
【0013】
(3)上記方法における前記割当ステップは、前記単位エリア内において配置可能な、前記複数の異なる方向いずれの干渉エリアを前記単位エリア内のいずれの位置に配置したとしても、当該干渉エリア内に含まれる路上通信装置に割り当てられる無線リソースが互いに異なる無線リソースとなっているように、前記単位エリア内の各前記路上通信装置に無線リソースを割り当てるものであることが好ましい。
【0014】
この場合、互いの干渉エリアによって各路上通信装置間で干渉が生じるのを回避しつつ、単位エリア内に含まれる各路上通信装置に対する無線リソースの割り当てを制限することができ、前記割当ステップにおける割り当てに必要な無線リソースの数をより小さくすることができる。
【0015】
(4)前記割当ステップは、前記単位エリア内の路上通信装置と単位エリア外の路上通信装置の双方が含まれるような前記干渉エリアを、いずれの位置に配置したとしても、当該干渉エリア内に含まれる路上通信装置に割り当てられる無線リソースが互いに異なる無線リソースとなっているように、前記単位エリア内の各路上通信装置に無線リソースを割り当てるものであってもよい。
この場合も、より確実に、各路上通信装置が、自装置を含む単位エリアに隣接する他の単位エリアに設置された路上通信装置に対して干渉を与えない無線リソースの割り当てとすることができる。
【0016】
(5)(6)上記方法において、前記所定エリア、前記干渉エリア、及び前記単位エリアを、前記所定エリア内に配置された前記複数の路上通信装置の設置位置単位で特定するものであってもよく、この場合、路上通信装置に着目したエリア及び領域の取り扱いが容易となる。
さらに、前記設置位置は、当該設置位置から推定される前記路上通信装置が設置可能な推定設置位置を含んでいてもよく、この場合、現状、路上通信装置が設置されていないが、将来設置される可能性のある位置についても、無線リソースの割当について考慮することができる。
【0017】
(7)上記方法において、前記無線リソースは、時間軸方向に並べて設定されるタイムスロットであることが好ましく、時間軸方向に重複しないように設定することで、複数の異なる無線リソースを容易に得ることができる。
【0018】
(8)また、前記単位エリア設定ステップは、前記複数の異なる方向ごとに特定された干渉エリアを、同一のものが多数存在する多数派エリアと、前記多数派エリアよりも少数である少数派エリアとに分類した上で、前記多数派エリアに基づいて前記単位エリアを設定し、前記割当ステップは、前記多数派エリアに基づいて設定された前記単位エリアに含まれる各路上通信装置が互いに干渉しないように、これら各路上通信装置に対して、無線リソースを割り当て、その後、前記少数派エリアに含まれる路上通信装置が自装置以外の他の路上通信装置との間で干渉しないように、当該少数派エリアに含まれる路上通信装置の無線リソースを割り当てるものであってもよい。
この場合、まず、多数派エリアに基づいて単位エリアを設定するので、その後の割当ステップにおいて、無線リソースの割り当てを行う上での規則性が高まり、単純化されて容易となる。さらに、少数派エリアに含まれる路上通信装置についての無線リソースの割り当てを別途行うが、少数派エリアに含まれる路上通信装置についての無線リソースの割り当ては、少数であるため、たとえ例外的な処理を行ったとしても、割当ステップ全体としては容易化される。
【0019】
(9)また、本発明は、互いに重複しない複数の異なる無線リソースを、所定エリアに設置される複数の路上通信装置それぞれに割り当てる無線リソースの割当方法であって、
前記路上通信装置の内の少なくともいくつかの路上通信装置が前記所定エリア内の他の路上通信装置に干渉を与える干渉エリアを、複数の異なる方向ごとに特定する干渉エリア特定ステップと、所定数の路上通信装置が設置されるとともに、前記複数の異なる方向それぞれの大きさが、特定された前記干渉エリアの前記複数の異なる方向それぞれの大きさに基づいて単位エリアを設定する単位エリア設定ステップと、前記単位エリア内に含まれる各前記路上通信装置が互いに干渉しないように、各前記路上通信装置に対して、無線リソースを割り当てる割当ステップと、を有していることを特徴としている。
【0020】
上記構成の無線リソースの割当方法によれば、単位エリア内の無線リソースの割り当てを行えば、単位エリア内のみならず、隣接配置した単位エリア間で互いの路上通信装置が干渉を与えないような無線リソースの割り当てを行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、所定エリア内に設置された路上通信装置に割り当てられる無線リソースの必要数についての最小値を容易に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の適用対象となる高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】路側通信機と車載通信機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】路車間通信のタイムスロットの一例を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る第一スロットの必要数の推定方法を示すフローチャートである。
【図5】対象エリアを設定するためのエリア内の道路形状を示した図である。
【図6】本実施形態の対象エリア内における道路及び設置候補点のモデルを示す図である。
【図7】一の路側通信機を基準としたときの干渉エリアを示す図である。
【図8】干渉エリアを各方向ごとにパターン化した態様を示す図であり、(a)は、南北方向の干渉エリアのパターン、(b)は、東西方向の干渉エリアのパターン、(c)は、北東−南西方向干渉エリアのパターン、及び北西−南東方向の干渉エリアのパターンを示している。
【図9】単位エリアの一例を示す図である。
【図10】(a)は、単位エリアに含まれる設置候補点それぞれに対して、南北方向の干渉エリアの最大範囲パターンのみを、単位エリアが埋まるように当該単位エリアに配置したときの一例を示す図であり、(b)は、単位エリアに含まれる設置候補点それぞれに対して、東西方向の干渉エリアの最大範囲パターンのみを、単位エリアが埋まるように当該単位エリアに配置したときの一例を示す図である。
【図11】単位エリアに含まれる設置候補点それぞれに対して、斜め方向の干渉エリアの最大範囲パターンのみを、単位エリアが埋まるように当該単位エリアに配置したときの一例を示す図であり、(a)は、北東−南西方向の干渉エリアの最大範囲パターンを適用した場合、(b)は、北西−南東方向の干渉エリアの最大範囲パターンを適用した場合を示している。
【図12】対象の単位エリアの範囲外の設置候補点と、対象の単位エリア内の設置候補点との関係を示した図であり、(a)は、北東−南西方向の干渉エリアK3が適用された場合、(b)は、北西−南東方向の干渉エリアが適用された場合を示している。
【図13】単位エリアに含まれる各設置候補点に対する第一スロットの割り当て方法の一例を説明するための図である。
【図14】単位エリアに含まれる各設置候補点に対する第一スロットの割り当て方法の一例を説明するための図であり、図13の続きを示している。
【図15】単位エリアに対する第一スロットの割り当ての一例を示す図であり、単位エリアに配置された各方向の干渉エリアの最大範囲パターンと、各設置候補点Vに割り当てられた第一スロットのスロット番号との関係を示している。
【図16】図13に示す割り当てが適用された単位エリアを複数隣接配置して構成したエリアの一部を示す図である。
【図17】変形例に係る対象エリア内の設置候補点を示す図である。
【図18】(a)は、多数派エリアに分類される干渉エリアに基づいて設定された単位エリアによって、各設置候補点に無線リソースを割り当てた一例を示す図であり、(b)は、少数派エリアに分類される干渉エリアの干渉関係を考慮した上で設定した単位エリアによって、各設置候補点に無線リソースを割り当てた一例を示す図である。
【図19】各設置候補点の干渉関係のみに着目して、当該各設置候補点を格子状モデルに配置した結果を示す図であり、(a)は、各設置候補点を、実際の地理的な位置に従った配置で表した図であり、(b)は、各設置候補点の間の干渉関係に基づいて、設置候補点Vを格子状モデルに配置して表した一例を示す図である。
【図20】各設置候補点の地理的な位置関係のみに着目して、当該各設置候補点を格子状モデルに配置した結果を示す図であり、(a)は、各設置候補点Vを、実際の地理的な位置に従った配置で表した図、(b)は、各設置候補点Vがセルごとに配置されるように、地理的領域を格子分割した結果を示す図、(c)は、セルを集約して各設置候補点Vを格子状に配置して表した一例を示す図である。
【図21】単位エリアの他の設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔1. 適用対象となるシステムの全体構成〕
図1は、本発明の適用対象となる高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、このシステム例では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機(路上通信装置)2、車載通信機3(図2参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
【0024】
交通信号機1と路側通信機2は、複数の交差点Ji(図例では、i=1〜12)のそれぞれに設置されており、電話回線等の通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0025】
路側センサ6は、各交差点Jiに流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報S4や画像データS5は通信回線7を介して中央装置4に送信される。
なお、図1及び図2では、図示を簡略化するために、各交差点Jiに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Jiには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
【0026】
〔2. 中央装置〕
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有しており、この制御部は、路側通信機2、路側センサ6からの各種の交通情報の収集、処理(演算)、記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Jiの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
【0027】
また、中央装置4は、通信回線7を介してLAN側と接続された通信インタフェースである通信部を有しており、この通信部は、信号灯器の灯色切り替えタイミングに関する信号制御指令S1や、渋滞情報等を含む交通情報S2を所定時間ごとに交通信号機1及び路側通信機2に送信している(図1参照)。
さらに、中央装置4は、道路の形状や勾配等を示す道路線形情報S7を各路側通信機2に送信している。
【0028】
信号制御指令S1は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。また、道路形状等を示す道路線形情報S7は、大規模な工事等がない限りほとんど変化することがなく、ほとんど更新されないため、例えば、数日おきに送信される。
【0029】
また、中央装置4の通信部は、各交差点Jiに対応する路側通信機2から、その通信機2が車載通信機3から受信した車両5の現在位置等を含む車両情報S3、車両通過時に生じるパルス信号よりなる車両感知器(図示せず)の感知情報S4、及び、監視カメラが撮影した道路のデジタル情報よりなる画像データS5等を受信しており、中央装置4の制御部は、これらの各種情報に基づいて前記系統制御や広域制御を実行する。
【0030】
〔3. 無線通信の方式等〕
高度道路交通システムにおいて、無線通信システムを構成する、複数の交差点それぞれに設置された複数の路側通信機2は、その周囲を走行する車両の車載通信機3との間で無線通信(路車(車路)間通信)が可能である。また、各路側通信機2は、自己の送信波が到達する所定範囲内に位置する他の路側通信機2とも無線通信(路路間通信)が可能である。
また、同じく無線通信システムを構成する車載通信機3は、路側通信機2との間で無線通信を行うとともに、キャリアセンス方式で他の車載通信機3と無線通信(車車間通信)が可能である。
【0031】
このように、本実施形態のITSでは、車載通信機3同士(車車間通信)の通信と、路側通信機2と車載通信機3との間(「路」から「車」への路車間通信と「車」から「路」への車路間通信との双方を含む。)の通信については、無線通信が用いられている。
なお、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能であるが、これらの間も無線通信であってもよい。
【0032】
路側通信機2には、自身が無線送信するための専用のタイムスロット(図3の第一スロットSL1)がTDMA方式で割り当てられており、このタイムスロット以外の時間帯(図3の第二スロットSL2)には無線送信を行わない。すなわち、無線リソースを時間領域で分割し、これによって、上記タイムスロットを設定する。
また、路側通信機2用のタイムスロット以外の時間帯は、車載通信機3のためのCSMA方式による送信時間として開放されている。
路側通信機2及び車載通信機3は、同一周波数帯を通信に用いるが、上記のように路側通信機2と車載通信機3の送信時間帯が区別されていることで、路側通信機2による送信信号と、車載通信機3による送信信号との衝突を回避できる。
【0033】
路側通信機2及び車載通信機3は、送信信号の受信に関しては特に制限されない。従って、路側通信機2は、車載通信機3の送信信号を受信できる他、他の路側通信機2の送信信号も受信できる。また、車載通信機3は、路側通信機2及び他の車載通信機3の送信信号を受信できる。
【0034】
なお、路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために、他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計をGPS時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計を他の路側通信機2からの送信信号に合わせるエア同期等によって行われる。
【0035】
〔4. 路側通信機〕
図2は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部(送受信部)21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、これらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
【0036】
路側通信機2の記憶部24は、制御部23が実行する後述の送信制御方法を実現するためのコンピュータプログラムや、各通信機2,3の通信機ID、後述するスロット情報S6、道路線形情報S7等を記憶している。
路側通信機2の制御部23は、有線通信部22が受信した中央装置4からの交通情報S2や道路線形情報S7等を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、無線通信部21を介してブロードキャスト送信する機能を有している。
また、制御部23は、無線通信部21が受信した車両情報S3を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、有線通信部22を介して中央装置4に転送するとともに、無線通信部21を介してブロードキャスト送信する機能も有している。
【0037】
さらに、制御部23は、自装置及び他装置が使用するタイムスロットの割当情報であるスロット情報S6や、自装置が配置されている交差点の信号灯器の灯色に関する信号情報S8を生成し、ブロードキャスト送信する機能も有している。
【0038】
〔5. タイムスロットの内容〕
図3は、本実施形態における路車間通信のタイムスロットの一例を示す概念図である。図3に示すように、路車間通信においては、時間軸方向に並べて配置される無線フレームが用いられている。
この無線フレームは、その時間軸方向の長さが、例えば100ミリ秒に設定されており、第一スロットSL1と、第二スロットSL2とを含んで構成されている。第一スロットSL1と、第二スロットSL2とは、無線フレーム内に時間軸方向に交互に、それぞれ15個配置されている。
【0039】
第一スロットSL1は、路側通信機2に割り当てられるタイムスロットであり、この時間帯においては、路側通信機2による無線送信が許容される。一方、第二スロットSL2は、車載通信機3用のタイムスロットであり、この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2は第二スロットSL2では無線送信を行わない。
【0040】
第一スロットSL1には、それぞれスロット番号i(図3では、i=1〜15)が付されている。このスロット番号iは、無線フレーム内でインクリメント又はデクリメントされる。
路側通信機2には、無線フレームに含まれる複数の第一スロットSL1の内の一つが割り当てられる。路側通信機2はスロット番号iによっていずれのスロットが自装置に割り当てられるかを識別する。また、スロット情報S6には、スロット番号iが当該スロット番号iを割り当てられている路側通信機2と特定情報と関連付けられて含まれており、スロット情報S6を受信した各通信機は、本情報によって路側通信機2のタイムスロットの割り当てを認識することができる。
【0041】
無線フレームは、上述のように時間軸方向に複数並べて配置されているので、いずれかの路側通信機2に割り当てられる、各スロット番号ごとの第一スロットSL1は、それぞれ、無線フレーム長さを1周期、つまり100ミリ秒を1周期として周期的に配置されている。従って、路側通信機2は、第一スロットSL1を用いた送信を100ミリ秒ごとに行う。
【0042】
なお、同じスロットに複数の路側通信機2を重複して割り当てることもできる。この場合、重複してスロットが割り当てられる路側通信機2同士の位置関係が、互いの無線送信可能なエリア(サービスエリア)が重複せず、かつ、十分離れていることを要する。
路側通信機2同士のサービスエリアが重複する場合、あるいは、前記サービスエリアが重複しないが、前記路側通信機2同士の位置関係が距離的に近い場合には、互いに異なるスロットが割り当てられる。路側通信機2各々のサービスエリアにおいて、他の路側通信機2の送信信号によって干渉を生じさせるのを防止するためである。
【0043】
つまり、後述するように、同一の干渉エリアに属することで互いに干渉を生じさせるおそれのある位置関係にある路側通信機2同士は、図3に示す路側通信機2A、2Bのように、異なるタイムスロットが割り当てられる。路側通信機2Aでは、スロット番号1の第一スロットSL1が割り当てられており、路側通信機2Bでは、スロット番号2の第一スロットSL1が割り当てられている。このように、互いに重複しない第一スロットSL1が割り当てられているので、干渉を生じさせるおそれのある位置関係にあるとしても、干渉が生じるのを防止できる。
【0044】
以上のように、上記システムでは、TDMA方式による時間軸方向に設定された複数の第一スロットSL1を各路側通信機2それぞれに割り当てることで、各路側通信機2それぞれに無線リソースを割り当てている。
【0045】
〔6. 車載通信機〕
図2に戻り、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
【0046】
車載通信機3の制御部32は、車車間通信のためのキャリアセンス方式による無線通信を通信部31に行わせるものであり、路側通信機2のような時分割多重方式での通信制御機能は有していない。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
【0047】
また、前記車載通信機3は、前記路側通信機2から前記スロット情報S6を受信すると、スロット情報S6に記された路側通信機2専用のタイムスロット(図3の第一スロットSL1)以外の時間帯(図3の第二スロットSL2)を利用して、キャリアセンス方式による無線送信を行う。
【0048】
また、車載通信機3の制御部32は、車両5(車載通信機3)の現時の位置、方向及び速度等を含む車両情報S3を、通信部31を介して外部にブロードキャストにて無線送信する。
さらに、制御部32は、路側通信機2から送信される、交通情報S2、車両情報S3、道路線形情報S7、及び信号情報S8を受信するとともに、他の車両5(車載通信機3)から送信される車両情報S3を受信し、これら各情報に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避する安全運転支援制御を行う機能も有している。
【0049】
〔7. タイムスロットの必要数を推定する方法について〕
隣接する路側通信機2間に十分な距離があることで互いのサービスエリアが重複しない場合、互いに干渉を与えることはないので、このような関係の路側通信機2間では、第一スロットSL1の割り当てにおいて制限はない。
しかし、隣接する路側通信機2間の距離が比較的近く、サービスエリアが互いに重複する場合において、両路側通信機2それぞれに同一(同じスロット番号)の第一スロットSL1が割り当てられると、サービスエリアの重複する部分で干渉が生じるので、このような位置関係にある路側通信機2間では、異なる(異なるスロット番号の)第一スロットSL1を割り当てる必要がある。
【0050】
ここで、図3に示すように、1つの無線フレーム内に設定することができる第一スロットSL1の数には限度がある。このため、上記システムを実際の道路上に適用する際には、上述したように、干渉が生じる位置関係にある路側通信機同士に対しては互いに異なる時間スロットを割り当てるという制限を加えつつ、対象エリア内の各路側通信機に時間スロットを割り当てた場合に、どの程度の数量の時間スロットが必要であるか、を事前に把握することが必要である。
【0051】
以下、本発明の一実施形態として、上記システムを所定のエリアに適用する際に、そのエリア内の各路側通信機2それぞれに第一スロットSL1を割り当てる場合に、どの程度の数量の第一スロットSL1が必要であるかその必要数を推定する方法について説明する。
【0052】
〔7.1 設置候補点の設定、及び対象エリアの決定〕
図4は、本発明の一実施形態に係る第一スロットSL1の必要数の推定方法を示すフローチャートである。
本方法では、まず、上記システムを適用するエリアの道路形状を特定し、路側通信機2を設置するための設置候補点を設定する(ステップS1)。
図5は、対象エリアを設定するためのエリア内の道路形状を示した図である。なお、図5において、紙面上方向が北方向とする。
例えば、図5に示すエリアM内に設けられている道路Eの形状から、路側通信機2の設置候補点V(設置位置)を設定する。設置候補点Vは、基本的に交差点に設定されるとともに、その他、交差点ではないが、信号等が設けられている地点等にも設定される。
【0053】
次に、エリアM内から、タイムスロットの必要数の推定対象となる対象エリアPを決定する(図4中、ステップS2)。本実施形態では、図5に示す交差点が比較的密に存在するエリアM全体を対象エリアPとした場合について述べる。
対象エリアP内では、図5中の一点鎖線に示すように、道路形状は、ほぼ格子状に近似でき、設置候補点Vは、格子状の道路形状の交点に近似できる。
【0054】
なお、図5中、上記縦方向の一点鎖線と横方向の一点鎖線とが交差しているにも関わらず設置候補点Vとして設定されていない地点VSが存在するが、この地点VSは、他の設置候補点Vから推定することができる推定設置候補点と言え、これについても設置候補点Vとして取り扱う。
推定設置候補点としての地点VSは、道路Eの対応する箇所にたまたま信号機が設置されていない場合等が考えられ、将来的に信号機が設置されたり、道路が設置されて交差点となる可能性があるからである。
これにより、現状、路上通信装置が設置される可能性は低いが、将来設置される可能性のある位置についても、無線リソースの割当について考慮することができる。
【0055】
図6は、本実施形態の対象エリアP内における道路E及び設置候補点Vのモデルを示す図である。図6に示すように、対象エリアP内の道路E及び設置候補点Vは、格子状に近似される。
本実施形態の方法は、路側通信機間の干渉に関連するスロット割り当ての方法であるので、対象エリアPの特定や、後述する干渉エリア、及び単位エリアの特定は、設置候補点V単位で行うことができる。これによって、上記各エリアの特定が、図6に示すようなモデル上で行うことができ、容易となるからである。
【0056】
〔7.2 干渉エリアの特定〕
次に、対象エリアP内の路側通信機2の干渉エリアを特定する(図4中、ステップS3)。干渉エリアとは、一の路側通信機2が、対象エリアP内において、自装置以外の他の路側通信機2に干渉を与えるエリアである。同一の干渉エリア内に位置する路側通信機2は、互いのサービスエリアに重複が生じることで干渉が生じる関係にある。つまり、この干渉エリアは、そのエリア内に位置する路側通信機2同士が干渉する関係にあることを示しており、対象エリアP内の路側通信機2の干渉関係を示している。
干渉エリアは、路側通信機2が設置された設置候補点Vを基準に複数の異なる方向ごとに特定される。また、干渉エリアは、路側通信機2間の干渉に基づいて定まるため、上述したように、設置候補点V単位で特定できる。
図7は、一の路側通信機2を基準としたときの干渉エリアKを示す図である。図中、白抜き丸印は、それぞれが設置候補点Vを示している。ハッチングが施された丸印が基準となる路側通信機2が設置される設置候補点Vを示している。図中、紙面上方向が北方向である。
【0057】
図例では、干渉エリアKは、南北方向の干渉エリアK1、東西方向の干渉エリアK2、北東−南西方向干渉エリアK3、北西−南東方向の干渉エリアK4の4つの異なる方向ごとに把握されている。
南北方向の干渉エリアK1は、基準の設置候補点Vから南方向及び北方向それぞれに3つの設置候補点Vを含む範囲で延びている。また、東西方向の干渉エリアK2は、基準の設置候補点Vから東方向及び西方向それぞれに2つの設置候補点Vを含む範囲で延びている。北東−南西方向干渉エリアK3は、基準の設置候補点Vから北東方向及び南西方向それぞれに1つの設置候補点Vを含む範囲で延びている。北西−南東方向の干渉エリアK4は、基準の設置候補点Vから北西方向及び南東方向それぞれに1つの設置候補点Vを含む範囲で延びている。
【0058】
上記干渉エリアKは、例えば、対象エリアP内の全ての設置候補点Vに路側通信機2を設置したときのサービスエリア内外の伝搬損失を調査し、その調査結果に基づいて各設置候補点Vの干渉エリアKを特定する。
さらに、特定した各設置候補点Vの干渉エリアKの中から、最大範囲の干渉エリアKを各方向に対して特定する。
なお、本実施形態では、図7で示した干渉エリアKが、特定した干渉エリアKの中で、全ての方向において最大範囲の干渉エリアKであるものとする。
【0059】
また、上記干渉エリアKを把握する際の路側通信機2の送信出力は、対象エリアPにおいて適切な値となるように予め決定しておき、その予め決定された値に設定される。路側通信機2の送信出力が変動すると、そのサービスエリアも変動してしまうからである。
【0060】
各路側通信機2の干渉エリアKを各方向に対して特定すると、さらに、特定した各路側通信機2の干渉エリアKの中から、最大範囲の干渉エリアKの大きさを各方向に対して特定する。
【0061】
最大範囲の干渉エリアKの大きさを特定するために、各方向における干渉エリアKをパターン化する。
図8は、干渉エリアKを各方向に対してパターン化した態様を示す図であり、(a)は、南北方向の干渉エリアK1のパターン、(b)は、東西方向の干渉エリアK2のパターン、(c)は、北東−南西方向干渉エリアK3のパターン、及び北西−南東方向の干渉エリアK4のパターンを示している。図中、白抜き丸印は、それぞれが設置候補点Vを示している。
【0062】
南北方向の干渉エリアK1は、図8(a)に示すように、設置候補点Vを4つ含むパターン、3つ含むパターン、及び2つ含むパターンの3パターンに分けられる。この内、設置候補点Vを4つ含むパターンが、南北方向における、干渉エリアKの最大範囲のパターン(最大範囲パターン)であり、その大きさは、設置候補点V4つ分と特定できる。
東西方向の干渉エリアK2は、図8(b)に示すように、設置候補点Vを3つ含むパターンと、2つ含むパターンの2パターンに分けられる。この内、設置候補点Vを3つ含むパターンが、東西方向における、干渉エリアKの最大範囲パターンであり、その大きさは、設置候補点V3つ分と特定できる。
北東−南西方向干渉エリアK3、及び北西−南東方向の干渉エリアK4は、図8(c)に示すように、それぞれ、設置候補点Vを2つ含むパターンのみであり、これが北東−南西方向、及び北西−南東方向における、干渉エリアKの最大範囲パターンである。その大きさは、設置候補点V2つ分と特定できる。
【0063】
以上のようにして、最大範囲の干渉エリアKの大きさを各方向に対して特定する。
なお、本実施形態では、最大範囲の干渉エリアKの大きさを特定したが、必ずしも最大範囲の大きさを特定する必要はない。後述するように、最大範囲の干渉エリアKの大きさは、単位エリアUを設定するために用いられるが、例えば、各設置候補点Vの干渉エリアの大きさの内、他のものと比較して異常と認められる値を除いた後の最大の大きさを、最大範囲の干渉エリアKの大きさとして特定することもできるし、統計的に妥当な値を求めることもできる。
【0064】
また、上記では、対象エリアP内の全ての設置候補点Vの干渉エリアKを特定した場合を示したが、必ずしも全ての設置候補点Vの干渉エリアKを特定しなければならない訳ではなく、対象エリアP内の設置候補点Vの内、明らかに干渉エリアKを特定する必要がない地点や、調査が困難な地点等については特定しない場合がある。
【0065】
〔7.3 単位エリアの設定〕
次に、上記干渉エリアKの最大範囲パターン(最大範囲の干渉エリアK)の大きさに基づいて、単位エリアUを設定する(図4中、ステップS4)。単位エリアUとは、所定数の路側通信機2(設置候補点V)を含み、対象エリアPを構成する要素となる。本実施形態において、単位エリアUは、南北方向及び東西方向に沿って複数個を隣接配置することで対象エリアPを構成する。
【0066】
単位エリアUは、各方向それぞれの大きさが、上記で特定された干渉エリアKの最大範囲パターンの各方向それぞれの大きさと一致、又は包含するエリアに設定される。
つまり、単位エリアUとは、各方向ごとの干渉エリアKのパターンを包含することで、対象エリアPにおける干渉関係を集約し、単純化して表すことが可能なエリアである。
【0067】
図9は、単位エリアUの一例を示す図である。図中、白抜き丸印は、それぞれが設置候補点Vを示している。
【0068】
干渉エリア特定ステップによる特定の結果、南北方向の干渉エリアKの最大範囲パターンが設置候補点V4つ分、東西方向の干渉エリアKの最大範囲パターンが設置候補点V3つ分であるので、図例では、各辺が南北方向及び東西方向に沿う矩形状としている。
これにより、単位エリアUは、北東−南西方向、及び北西−南東方向における、干渉エリアKの最大範囲パターンの大きさについても包含している。
このように、上記単位エリアUは、南北、東西方向で干渉エリアKの最大範囲パターンの大きさと一致するエリアに設定されており、図8に示す干渉エリアKの各パターンの全てを含むことができる。このようにして単位エリアUは、対象エリアPにおける干渉関係を集約し、単純化して表すことができる。
【0069】
〔7.4 第一スロットの割り当て〕
上記のように、単位エリアUを設定すると、次に、単位エリアU内の設置候補点Vに設置される路側通信機2それぞれに割り当てられる第一スロットSL1を決定する(図4中、ステップS5)。
ここで、単位エリアU内の各設置候補点Vそれぞれについての第一スロットSL1の割り当てにおいては、単位エリアU内の各設置候補点Vに配置される路側通信機2が互いに干渉しないように第一スロットSL1を割り当てる。
また、第一スロットSL1を割り当てる際、単位エリアU内において配置可能な各方向いずれの干渉エリアKを単位エリアU内のいずれの位置に配置したとしても、当該干渉エリアU内に含まれる設置候補点Vに割り当てられる第一スロットSL1が互いに異なるスロット番号となっているように割り当てる。
【0070】
より具体的には、下記(a),(b)の条件を満たすように割り当てる。
(a) 各方向の内、一の方向の干渉エリアKの最大範囲パターンのみを、単位エリアUが埋まるように単位エリアUに複数配置したときに、同一の干渉エリアKに属する設置候補点V(に設置される路側通信機2)に割り当てられる第一スロットSL1が互いに異なる第一スロットSL1となる割り当てであること。
(b) 干渉エリアKの最大範囲パターンの方向が、各方向いずれの場合においても、上記(a)の条件を満たす割り当てであること。
【0071】
上記条件下で、単位エリアUについて第一スロットSL1を割り当てると、単位エリアU内に含まれる各設置候補点Vが互いに干渉しないように、各設置候補点Vに対して第一スロットSL1を割り当てることができる上に、同じ割り当ての単位エリアUを複数個隣接配置して対象エリアPを構成したときに、各設置候補点Vに割り当てられる第一スロットSL1が、自らを含む単位エリアUに隣接する単位エリアUの設置候補点Vの第一スロットSL1との間で互いに異なる割り当てとなるようにすることができ、隣接する単位エリアU間で互いの設置候補点Vの路側通信機2が干渉を与えないように第一スロットSL1を割り当てることができる。
【0072】
図10(a)は、単位エリアUに含まれる設置候補点Vそれぞれに対して、南北方向の干渉エリアK1の最大範囲パターンのみを、単位エリアUが埋まるように当該単位エリアUに配置したときの一例を示す図である。白抜き丸印は、それぞれが設置候補点Vを示している。
図10(a)では、単位エリアUに含まれる設置候補点Vそれぞれに対して、南北方向の干渉エリアK1のパターンの内、4つの設置候補点Vを含んだ最大範囲パターンが配置されている。図10(a)に示すように、単位エリアUには、干渉エリアK1の最大範囲パターンが3つ配置される。これら各干渉エリアK1に属する設置候補点V(に設置される路側通信機2)には、上記制限に基づいて、同一の干渉エリアK1に属する設置候補点Vに割り当てられる第一スロットSL1が互いに異なる第一スロットSL1となるように、第一スロットSL1を割り当てる。
【0073】
上記のように第一スロットSL1を割り当てると、同じ割り当ての単位エリアUを南北方向に隣接配置すれば、図10(a)中、隣接単位エリアU2に属する設置候補点V2も同様の割り当てがなされているので、4つの異なる第一スロットSL1からなる割り当てパターンで、南北方向に規則的に並ぶこととなる。このような関係によって、隣接単位エリアU10の設置候補点V10と、単位エリアUの設置候補点Vとは、南北方向の関係において、干渉エリアK1の最も広範囲なパターンの範囲内では、常に互いに異なる第一スロットSL1が割り当てられる関係となる。
【0074】
図10(b)は、単位エリアUに含まれる設置候補点Vそれぞれに対して、東西方向の干渉エリアK2の最大範囲パターンのみを、単位エリアUが埋まるように当該単位エリアUに配置したときの一例を示す図である。
図10(b)では、単位エリアUに含まれる設置候補点Vそれぞれに対して、東西方向の干渉エリアK2のパターンの内、3つの設置候補点Vを含んだ最大範囲パターンが配置されている。
【0075】
この場合も同様に、上記制限に基づいて、同一の干渉エリアK2に属する設置候補点Vに割り当てられる第一スロットSL1が互いに異なる第一スロットSL1となるように、第一スロットSL1を割り当てる。
これによって、図10(b)中、隣接単位エリアU11の設置候補点V11と、単位エリアUの設置候補点Vとは、東西方向の関係においても同様に、干渉エリアK2の最も広範囲なパターンの範囲内では、常に互いに異なる第一スロットSL1が割り当てられる関係となる。
【0076】
図11は、単位エリアUに含まれる設置候補点Vそれぞれに対して、斜め方向の干渉エリアの最大範囲パターンのみを、単位エリアUが埋まるように当該単位エリアUに配置したときの一例を示す図であり、(a)は、北東−南西方向の干渉エリアK3の最大範囲パターンを配置した場合、(b)は、北西−南東方向の干渉エリアK4の最大範囲パターンを配置した場合を示している。
これら斜め方向(北東−南西方向、及び北西−南東方向)の干渉エリアの最大範囲パターンは、本実施形態では、2つの設置候補点Vを含むパターンのみである。
よって、単位エリアUの各設置候補点Vに、斜め方向の干渉エリアKの最大範囲パターンを配置する場合、図11に示すように、一方向当たり、一の設置候補点Vに対して、斜め方向両側に隣接する設置候補点Vを含む2つのパターンを配置する必要がある。
【0077】
単位エリアUは、当該単位エリアUを隣接配置する方向と一致する、南北方向及び東西方向それぞれの方向においては、単位エリアU内に適用した最大範囲パターン内で、異なるスロットを設定すれば、隣接する単位エリアUとの関係においても干渉エリアのパターン内では、割り当てが重複しない。
しかし、斜め方向における干渉エリアの最大範囲パターンは、単位エリアUの範囲と両端が一致していないのに加え、単位エリアUを隣接配置する方向と一致していないので、図11のように、一方向当たり、一の設置候補点Vに対して、2つのパターンを適用する必要がある。
よって、2つのパターンそれぞれについて、上記と同様、同一の干渉エリアK3に属する設置候補点Vに割り当てられる第一スロットSL1が互いに異なる第一スロットSL1となるように、第一スロットSL1を割り当てる。
【0078】
ここで、図11(a)、(b)では、干渉エリアK3、K4が、対象の単位エリアUの範囲外の設置候補点Vを含んでいる。しかし、隣接する他の単位エリアUの第一スロットSL1の割り当てと、対象の単位エリアUの第一スロットSL1の割り当てとが同じであるので、範囲外の設置候補点Vに対応する対象エリアU内の設置候補点Vがその干渉エリアKに含まれているものとみなすことができる。
【0079】
図12は、対象の単位エリアUの範囲外の設置候補点Vと、対象の単位エリアU内の設置候補点Vとの関係を示した図である。図12(a)で示すように、北東−南西方向の干渉エリアK3(K3−1,K3−2)が適用されると、対象の単位エリアU内の紙面左上端部に位置する設置候補点V1は、対象の単位エリアUの範囲外の設置候補点V12、及び、V13のそれぞれと同一の干渉エリアK3−1,K3−2に属することとなる。よって、設置候補点V1には、対象の単位エリアUの範囲外の設置候補点V12、及び、V13との間で、異なる第一スロットSL1を割り当てる必要がある。
【0080】
ここで、範囲外の設置候補点V12を含む隣接単位エリアUの第一スロットSL1の割り当てと、対象の単位エリアUの第一スロットSL1の割り当てとが同じであるので、範囲外の設置候補点V12は、対象の単位エリアU内の設置候補点V2と同じ位置関係にある。
よって、対象の単位エリアUの設置候補点V1と、範囲外の単位エリアUの設置候補点V12との間で、第一スロットSL1の割り当てを行う場合には、対象の単位エリアU内の設置候補点V1とV2との間で、異なる第一スロットSL1となるように割り当てればよい。
同様に、対象の単位エリアUの設置候補点V1と、範囲外の単位エリアUの設置候補点V13との間で、第一スロットSL1の割り当てを行う場合には、対象の単位エリアU内の設置候補点V1とV3との間で、異なる第一スロットSL1となるように割り当てればよい。
【0081】
図12(b)の場合、北西−南東方向の干渉エリアK4(K4−1,K4−2)が適用されると、設置候補点V1は、対象の単位エリアUの範囲外の設置候補点V14、及び、対象の単位エリアUの範囲内の設置候補点V6との間で、異なる第一スロットSL1を割り当てる必要がある。
範囲外の設置候補点V14は、対象の単位エリアU内の設置候補点V5と同じ位置関係にあるので、対象の単位エリアUの設置候補点V1と、範囲外の設置候補点V14との間で、第一スロットSL1の割り当てを行う場合には、対象の単位エリアU内の設置候補点V1とV5との間で、異なる第一スロットSL1となるように割り当てればよい。
【0082】
対象の単位エリアU内における他の設置候補点Vにおいても同様であり、範囲外の設置候補点Vとの間で、異なる第一スロットSL1を割り当てる場合には、対応する対象の単位エリアU内の設置候補点Vとの間で割り当てを行う。
【0083】
以上、上記図10〜図12で示した条件(a),(b)を全て満たすような割り当てとなるように、単位エリアUに含まれる各設置候補点Vに対して、第一スロットSL1を割り当てる。
これにより、上記干渉エリアK3,K4を、単位エリアU内の設置候補点Vと単位エリアU外の設置候補点Vの双方が含まれる位置に配置したとしても、干渉エリアK3,K4内に含まれる設置候補点Vに割り当てられる第一スロットSL1が互いに異なるスロット番号となっているように割り当てられる。
【0084】
単位エリアUに含まれる各設置候補点V(に設置される路側通信機2)の第一スロットSL1の割り当てについては、ワークステーションや、パーソナルコンピュータ等を用い、例えば、しらみつぶしに探索するように演算してもよいし、その他の探索アルゴリズムを用いて演算を行うことができる。
【0085】
なお、上述したように、第一スロットSL1の数には限度があるとともに、無線リソースは、将来の拡張等のためにできるだけ節約したいという要請がある。このため、割り当てに必要な第一スロットSL1の必要数は、最小の値となるように演算する。
【0086】
図13、図14は、単位エリアUに含まれる各設置候補点Vに対する第一スロットSL1の割り当て方法の一例を説明するための図である。なお、図13、図14では、単位エリアU内における各設置候補点Vの位置を特定するために、単位エリアU内の各列に対して左から順に番号M(=1,2,3)を割り当て、各行に対して下から順に番号N(=1〜4)を割り当てている。
【0087】
本割り当て方法では、まず、単位エリアU内のいずれか一の設置候補点Vを基準点として選択し、任意のスロット番号の第一スロットSL1を割り当てる。図13(a)では、(M,N)=(1,1)を基準点に選択し、スロット番号「1」の第一スロットSL1を割り当てている。
このとき、基準点に関連する各干渉エリアの関係から、基準点との間では干渉を生じえない設置候補点Vである非干渉設置候補点を特定する。本実施形態では、図13(a)に示すように、(M,N)=(2,3)、(3,3)の二箇所が非干渉設置候補点として特定される。
【0088】
非干渉設置候補点を特定すると、次に、図13(b)に示すように、非干渉設置候補点の内、いずれか一の非干渉設置候補点に基準点と同じスロット番号の第一スロットSL1を割り当てる。図13(b)では、(M,N)=(2,3)の非干渉設置候補点に基準点と同じスロット番号「1」の第一スロットSL1を割り当てている。ここまでで、単位エリアU内には、基準点とした(M,N)=(1,1)と、(M,N)=(2,3)とにスロット番号「1」の第一スロットSL1が割り当てられている。
【0089】
次に、新たに、基準点として(M,N)=(2,1)を選択し、新たな基準点に対して、先の基準点のスロット番号「1」とは異なるスロット番号の第一スロットSL1(スロット番号「2」)を割り当てる。この場合も、先の基準点での場合と同様、非干渉設置候補点を特定し、基準点と同じスロット番号「2」の第一スロットSL1を割り当てる。
さらに、基準点として(M,N)=(3,1)を選択し、同様に上記各基準点とは異なるスロット番号の第一スロットSL1(スロット番号「3」)を割り当てる。
これにより、図13(c)に示すように、N=1の行、及びN=3の行については、第一スロットSL1の割り当てが完了する。
【0090】
次いで、N=2の行に着目して割り当てを行う。このN=2の行に属する各設置候補点Vは、N=1,3の行の割り当て、及び各干渉エリアの関係から、スロット番号「1」〜「3」以外の番号でかつ互いに異なるスロット番号の第一スロットSL1を割り当てる必要がある。よって、図14(a)に示すように、(M,N)=(1,2)にはスロット番号「4」、(M,N)=(2,2)にはスロット番号「5」、(M,N)=(3,2)にはスロット番号「6」の第一スロットSL1が割り当てられる。
【0091】
N=4の行の割り当てについては、N=2の設置候補点Vそれぞれに対して非干渉設置候補点の関係にある設置候補点Vを特定し、特定した非干渉設置候補点の関係にある設置候補点Vに対して、同じスロット番号の第一スロットSL1を割り当てる。図14(b)では、(M,N)=(1,4)にはスロット番号「6」、(M,N)=(2,4)にはスロット番号「4」、(M,N)=(3,4)にはスロット番号「5」の第一スロットSL1が割り当てられる。
【0092】
以上のようにして、単位エリアUに含まれる各設置候補点Vに対し、6つの異なるスロット番号の第一スロットSL1を用いて割り当てを行うことができる。
【0093】
図15は、上記演算の結果、得られた、単位エリアUに対する第一スロットSL1の割り当ての一例を示す図である。図中の設置候補点Vを示す丸印内に示されている数字は、スロット番号であり、図例では、割り当てに必要な第一スロットSL1の必要数の最小値として「6」が得られた。なお、図15の割り当ては、図13、図14とは異なる割り当てパターンとした場合を示している。
【0094】
図15(a)は、単位エリアUに配置された南北方向の干渉エリアK1の最大範囲パターンと、各設置候補点Vに割り当てられた第一スロットSL1のスロット番号との関係を示している。図のように、同一の干渉エリアK1の最大範囲パターンに含まれる4つの設置候補点Vには、互いに異なるスロット番号の第一スロットSL1が割り当てられていることが判る。
図15(b)は、単位エリアUに配置された東西方向の干渉エリアK2の最大範囲パターンと、各設置候補点Vに割り当てられた第一スロットSL1のスロット番号との関係を示している。図のように、同一の干渉エリアK2の最大範囲パターンに含まれる3つの設置候補点Vには、互いに異なるスロット番号の第一スロットSL1が割り当てられている。
図15(c)及び(d)は、単位エリアUに配置された北東−南西方向、及び北西−南東方向の干渉エリアK3、K4の最大範囲パターンと、各設置候補点Vに割り当てられた第一スロットSL1のスロット番号との関係を示している。図のように、同一の干渉エリアK3、K4の最大範囲パターンに含まれる2つの設置候補点Vには、互いに異なるスロット番号の第一スロットSL1が割り当てられている。
【0095】
以上のように、図15より、単位エリアUに対する第一スロットSL1の割り当てが、各方向における干渉エリアKの配置によって定められる制限を満たしていることが判る。
上記単位エリアUは、上述のように、複数個を隣接配置して対象エリアPを構成したとしても、隣接する単位エリアU間で互いの設置候補点Vが干渉を与えないように第一スロットSL1が割り当てられている。
【0096】
図16は、上記割り当てが適用された単位エリアUを複数隣接配置して構成したエリアの一部を示す図である。
図16に示すように、各方向の干渉エリアKをいずれの設置候補点Vに配置したとしても、同一の干渉エリアKに属する設置候補点Vには、異なるスロット番号の第一スロットSL1が割り当てられていることが判る。
【0097】
〔7.5 第一スロットの必要数の最小値の取得〕
単位エリアU内の設置候補点Vに割り当てる第一スロットSL1を決定するための演算の際、割り当てに必要な第一スロットSL1の必要数は、上述のように、最小の値となるように演算する。
演算により得られた第一スロットSL1の割り当てに基づいた単位エリアUは、上述のように、複数個を隣接配置して対象エリアPを構成しても、隣接する単位エリアU間で互いの設置候補点Vが干渉を与えないので、単位エリアUにおける割り当てに必要な第一スロットSL1の必要数の最小値は、対象エリアPにおける割り当てに必要な第一スロットSL1の必要数の最小値と同一となる。
従って、上記演算によって得られた、単位エリアUにおける割り当てに必要な第一スロットSL1の必要数の最小値を、対象エリアPにおける割り当てに必要な第一スロットSL1の必要数の最小値についての推定値として取得する(図4中、ステップS6)。
【0098】
〔8. 効果について〕
上記のように構成された、互いに重複しない複数の異なる無線リソースである第一スロットSL1を、対象エリアPの設置候補点V(に設置された路側通信機2)それぞれに割り当てる場合において、第一スロットSL1の必要数を推定する方法であって、各設置候補点Vに設置された路側通信機2が対象エリアP内の他の路側通信機2に干渉を与える干渉エリアKを、複数の異なる方向ごとに特定する干渉エリア特定ステップ(図4中、ステップS3)と、所定数の路側通信機2が設置されるとともに、前記複数の異なる方向それぞれの大きさが、特定された干渉エリアKの前記複数の異なる方向それぞれの大きさに基づいて単位エリアUを設定する単位エリア設定ステップと、単位エリアU内に含まれる各設置候補点Vが互いに干渉しないように、各設置候補点Vに対して、第一スロットSL1を割り当てる割当ステップ(図4中、ステップS5)と、前記割当ステップにおける割り当てに必要な第一スロットSL1の数(の最小値)を、対象エリアPに設置された複数の路側通信機2に割り当てられる第一スロットSL1の必要数(の最小値)の推定値として取得するステップ(図4中、ステップS6)と、を有している。
【0099】
上記のように構成された方法によれば、割当ステップによって、干渉エリアKの大きさに基づいて設定された単位エリアU内に含まれる各設置候補点Vが互いに干渉しないように、各設置候補点Vに対して、第一スロットSL1を割り当てるので、単位エリアUを複数隣接配置したとしても、各設置候補点Vの第一スロットSL1が、自装置を含む単位エリアUに隣接する他の単位エリアUに設置された設置候補点Vの第一スロットSL1との間で互いに異なる第一スロットSL1となるように割り当てることができる。これにより、単位エリアU内のみならず、隣接配置した単位エリアU間で互いの設置候補点Vが干渉を与えないような第一スロットSL1の割り当てを行うことができる。この結果、単位エリアU内の各設置候補点Vに割り当てるために必要な第一スロットSL1の必要数を求めれば、単位エリアUを複数隣接配置してなる対象エリアP内の設置候補点Vに割り当てる第一スロットSL1の必要数の推定値を求めることができ、さらに、その最小値についても容易に求めることができる。
【0100】
さらに、本実施形態において、上記割当ステップ(図4中、ステップS5)は、各方向いずれの干渉エリアKを単位エリアU内のいずれの位置に配置したとしても、当該干渉エリアK内に含まれる設置候補点Vに割り当てられる第一スロットSL1が互いに異なるスロット番号となっているように、単位エリアU内の各設置候補点Vに第一スロットSL1を割り当てるように構成されている。
【0101】
この場合、互いの干渉エリアKによって各設置候補点V間で干渉が生じるのを回避しつつ、単位エリア内に含まれる各設置候補点Vに対する第一スロットSL1の割り当てを制限することができ、前記割当ステップにおける割り当てに必要な第一スロットSL1の数、すなわち、設置候補点Vに割り当てる第一スロットSL1の必要数の推定値をより小さい値として求めることができる。
【0102】
〔9. 単位エリアの設定及びスロット割り当ての変形例〕
図17は、変形例に係る対象エリアP内の設置候補点を示す図である。図17は、対象エリアPの一部を示しており、16箇所の各設置候補点Vは、格子状モデルで近似されている。図中、丸印は、設置候補点Vであり、丸印中のアルファベットは、その設置候補点Vを特定するためのものである。16箇所の各設置候補点Vには、A〜Pまでの記号が割り振られている。以下、図17の説明では、各設置候補点を設置候補点V(A)〜V(P)と示す。
【0103】
上記実施形態の単位エリア設定ステップでは、単位エリアUを設定するのに、干渉エリアKの各方向の最大範囲と一致するエリアに設定されており、干渉エリアKを包含しうる最小の範囲で設定した場合を示したが、本変形例では、全体の内、一部の設置候補点Vで特定される例外的な干渉エリア(干渉関係)について考慮せずに単位エリアUを設定する。
【0104】
図17では、各設置候補点Vでの干渉エリアKは、上下左右及び斜め4方向の合計8方向に隣接する設置候補点Vに延びていると特定されており、図中、破線で表している。
また、図中、設置候補点V(C)、V(E)、V(K)については、隣接8方向の他、図中実線で示すように、設置候補点V(E)と、設置候補点V(C)との間で干渉エリアK5が、設置候補点V(E)と、設置候補点V(K)との間で干渉エリアK6がそれぞれ構成されており、これらが互いに干渉関係にあることが特定されている。
【0105】
ここで、設置候補点V(C)、V(E)、V(K)の干渉関係を考慮した上で、単位エリアUを設定する場合、図17中に示す、単位エリアU21のように、設置候補点Vが3×3の9箇所を含んで構成される範囲に設定される。このように設定された単位エリアU21は、設置候補点V(C)、V(E)、V(K)の干渉関係(干渉エリアK5,K6)を包含可能である。
【0106】
しかし、本変形例の単位エリア設定ステップでは、複数の異なる方向ごとに特定される干渉エリアKを、同一のものが多数存在する多数派エリアと、前記多数派エリアよりも少数である少数派エリアとに分類した上で、前記多数派エリアに基づいて単位エリアUを設定する。
【0107】
より具体的には、図17中、上下左右及び斜め4方向の合計8方向に延びる干渉エリアである、南北方向の干渉エリアK1、東西方向の干渉エリアK2、北東−南西方向干渉エリアK3、及び北西−南東方向の干渉エリアK4は、各設置候補点Vそれぞれによって構成されているので、同一の関係(干渉エリアK1〜K4)が多数存在している。よって、これら干渉エリアK1〜K4は、多数派エリアに分類される。
一方、干渉エリアK5,K6は、設置候補点V(C)、V(E)、V(K)で見られる干渉関係(干渉エリアK)が、対象エリアP内において、数カ所しか無いとすると、上記多数派エリアである干渉エリアK1〜K4よりも少数であり、少数派エリアに分類される。
【0108】
よって、本変形例では、図17に示すように、多数派エリアに分類される干渉エリアK1〜K4に基づいて単位エリアU22を設定する。この場合、単位エリアU22は、設置候補点Vが2×2の4箇所を含んで構成される範囲に設定される。
【0109】
本変形例において、単位エリア設定ステップの後に行われる割当ステップでは、前記多数派エリアに基づいて設定された前記単位エリアに含まれる各設置候補点Vが互いに干渉しないように、これら各設置候補点Vに対して、無線リソースを割り当てる。そして、その後、少数派エリアに含まれる設置候補点Vが干渉を生じさせないように、当該少数派エリアに含まれる設置候補点Vの無線リソースを割り当てる。
【0110】
図18(a)は、多数派エリアに分類される干渉エリアK1〜K4に基づいて設定された単位エリアU22によって、各設置候補点Vに無線リソースを割り当てた一例を示す図である。図中、丸印は、設置候補点Vであり、丸印中の数字は、その設置候補点Vに割り当てられた第一スロットSL1のスロット番号を示している。
各単位エリアU22に含まれる4箇所の設置候補点Vは、互いに干渉しないように、互いに異なるスロット番号(0〜3)の第一スロットSL1が割り当てられている。干渉エリアK5,K6に含まれる設置候補点V(C)、V(E)、V(K)についても、他の設置候補点Vと同様、単位エリアU22に基づいてスロット割り当てが行われている。
この場合、多数存在する多数派エリアに基づいて単位エリアU22が設定されているので、その後の割当ステップにおいて、スロットの割り当てを行う上での規則性が高まり、単純化されて容易となる。
【0111】
図18(a)では、単位エリアU22を設定してスロットを割り当てたとしても、干渉エリアK5,K6に含まれる設置候補点V(C)、V(E)、V(K)は、互いに異なるスロット番号の第一スロットSL1が割り当てられるので、干渉エリアK5,6で示される干渉関係による干渉は生じない。
なお、単位エリアU22を設定してスロット割り当てを行った結果、少数派エリアによる干渉関係によって干渉が生じる場合には、少数派エリアに含まれる設置候補点Vが、他の設置候補点Vとの間で干渉しないように、当該少数派エリアに含まれる設置候補点Vの無線リソースを割り当てる。
【0112】
図18(b)は、少数派エリアに分類される干渉エリアK5,6の干渉関係を考慮した上で設定した単位エリアU21によって、各設置候補点Vに無線リソースを割り当てた一例を示す図である。
図18(b)では、各単位エリアU21に含まれる9箇所の設置候補点Vが互いに干渉しないように、互いに異なるスロット番号(0〜8)の第一スロットSL1が割り当てられている。よって、この場合の第一スロットSL1の必要数は「9」となる。
【0113】
一方、本変形例では、図18(a)のように、設置候補点Vを4箇所含む単位エリアU22によって割り当てを行うので、第一スロットSL1の必要数は「4」となる。
なお、少数派エリアの干渉を無くすために、さらに第一スロットSL1を必要とする可能性があるが、少数派エリアによる干渉関係は、少数であって例外的であるので、1〜2個程度のスロットを必要なエリアのみに割り当てることで個別的に対応可能であり、必要なスロットの数を大きく増加させることはない。よって、本変形例では、必要なスロットの数の最小化を行うことができる。
【0114】
以上のように、本変形例によれば、多数派エリアに基づいて、単位エリアUを設定するので、その後の割当ステップにおいて、無線リソースの割り当てが単純化されて容易となる。さらに、少数派エリアに含まれる設置候補点Vについての無線リソースの割り当てを別途行うが、少数派エリアに含まれる設置候補点Vについての無線リソースの割り当ては、少数であるため、たとえ、少数派エリアについての無線リソースの割り当てといった例外的な処理を行ったとしても、割当ステップ全体としては容易化される。
【0115】
〔10. 各設置候補点の配置について〕
上記各実施形態では、各設置候補点Vの道路上の位置を、道路形状を格子状に表したモデルに対して近似的に当てはめ、格子状の道路の交差点に設置されているとみなした設置候補点Vによって各エリアを特定した場合を示した。
設置候補点Vを格子状モデルに配置して表すことは、各エリアを特定したりその他の処理を容易にする上で必要である。
その一方、実際の道路上に設置されている各設置候補点Vの位置関係は複雑であり、また、その干渉エリア(干渉関係)も複雑である。
上記実施形態の場合、各設置候補点Vの干渉関係を考慮しつつ、その位置関係に基づいて各設置候補点Vを上記格子状モデルに配置して表したが、各設置候補点Vの配置は、実際の道路上の位置関係、及び干渉関係のそれぞれに基づいて、格子状モデルに配置して表することもできる。
【0116】
以下に、各設置候補点Vの干渉関係のみに着目して、当該各設置候補点Vを格子状に表す処理について説明する。
図19は、各設置候補点Vの干渉関係のみに着目して、当該各設置候補点Vを格子状モデルに配置した結果を示す図であり、(a)は、各設置候補点Vを、実際の地理的な位置に従った配置で表した図であり、(b)は、各設置候補点Vの間の干渉関係に基づいて、設置候補点Vを格子状モデルに配置して表した一例を示す図である。
【0117】
図19中、丸印は、設置候補点Vであり、丸印中のアルファベットは、その設置候補点Vを特定するためのものである。7箇所の各設置候補点Vには、A〜Gまでの記号が割り振られている。以下、図19の説明では、各設置候補点を設置候補点V(A)〜V(G)と示す。また、各設置候補点Vを結ぶ実線K30は、干渉関係を示しており、この実線K30で繋がっている設置候補点V同士は、同一の干渉エリアKに含まれることで干渉が生じる関係にある。
【0118】
本処理では、図19(a)に示すような地理的な位置関係であってかつ干渉関係を有している各設置候補点Vを、その干渉関係に基づいて格子状モデル上に配置する。より具体的には、互いの干渉関係が格子状モデル上にて整理された配置を求める。
干渉関係が格子状モデル上にて整理された配置とは、例えば、図19(b)に示すような配置であり、各設置候補点Vが、互いの干渉関係ができる限り格子線上に沿うように整理されて表されるような配置をいう。なお、図19(b)に示すような各設置候補点Vの配置は、干渉関係のみによって求められた配置である。
各設置候補点Vの干渉関係に応じた配置は、パラメータ等を変更しつつ繰り返し求められる。そして、繰り返し実行して得られる複数の配置の中から、最適な配置を処理結果として採用する。
【0119】
以上のようにして、互いの干渉関係に基づいた設置候補点Vの配置を、格子状モデルによって表すことができる。このような、設置候補点Vが干渉関係に基づいて規則的に配置される格子状モデルは、当該設置候補点Vが設置された仮想的な領域であり、地理的な関係に依存しない干渉関係に基づいた論理的な領域といえる。
【0120】
次に、各設置候補点Vの地理的な位置関係のみに着目して、当該各設置候補点Vを格子状に表す処理について説明する。
図20は、各設置候補点Vの地理的な位置関係のみに着目して、当該各設置候補点Vを格子状モデルに配置した結果を示す図であり、(a)は、各設置候補点Vを、実際の地理的な位置に従った配置で表した図、(b)は、各設置候補点Vがセルごとに配置されるように、地理的領域を格子分割した結果を示す図、(c)は、セルを集約して各設置候補点Vを格子状に配置して表した一例を示す図である。
【0121】
本処理では、図20(a)に示すような地理的な位置関係であってかつ干渉関係を有している各設置候補点Vが設置されている領域を、図20(b)に示すように、構成格子状に分割する。このとき、領域を分割して得られる複数のセル内に、各設置候補点Vが個別に配置されるように分割される。
【0122】
次いで、図20(c)に示すように、設置候補点Vが配置されたセルを、その地理的な位置関係を維持しつつ集約し、配置を求める。なお、図20(c)では、設置候補点V(D)を含むセルを基準として固定し、他の設置候補点Vを含むセルを移動させて集約している。
図20(c)では、地理的な位置関係のみに基づいて設置候補点Vの配置を格子状モデルとして表している。従って、互いの干渉関係については考慮されておらず、例えば、設置候補点V(A)と、設置候補点V(C)とは、互いに干渉関係にあるが、位置関係では設置候補点V(B)を介在しており、本処理では、このような事象が生じる可能性がある。
【0123】
以上のようにして、地理的な位置関係にのみに基づいた設置候補点Vの配置を、格子状モデルによって表すことができる。よって、設置候補点Vが地理的な位置関係に基づいて規則的に配置される格子状モデルは、当該設置候補点Vが設置された仮想的な領域であり、地理的な位置関係に基づいた領域である。
【0124】
なお、上記実施形態では、各設置候補点Vの干渉関係を考慮しつつ、その地理的な位置関係に基づいて各設置候補点Vを上記格子状モデルに配置して表した領域内に(図5、図6)、設置候補点V単位で、対象エリアP、単位エリアU、及び干渉エリアKを特定したが、上記のように、論理的な領域である、干渉関係に基づいて設置候補点Vの配置を格子状モデルとして表した仮想的な領域内において、設置候補点V単位で、対象エリアP、単位エリアU、及び干渉エリアKを特定してもよい。
また、同様に、地理的な位置関係に基づいて設置候補点Vの配置を格子状モデルとして表した仮想領域内において、設置候補点V単位で、対象エリアP、単位エリアU、及び干渉エリアKを特定してもよい。
【0125】
〔11. 単位エリアの大きさについて〕
上記実施形態において、単位エリアUは、特定された干渉エリアKの各方向それぞれの最大範囲の大きさと一致するエリアに設定されることで、各干渉エリアKのパターンを包含可能な最小の矩形となるように設定したものを例示したが(図9参照)、例えば、図21に示すように、特定された干渉エリアKの各方向それぞれの最大範囲の大きさよりも大きい範囲の矩形となるように設定することもできる。図21(a)では、東西方向に設置候補点V1つ分大きく設定された単位エリアUを示しており、図21(b)では、東西方向に設置候補点V2つ分、南北方向の設置候補点V1つ分大きく設定された単位エリアUを示している。
【0126】
単位エリアUの大きさは、その後の第一スロットSL1の割り当ての際のスロットの必要数に影響を及ぼすが、最小の矩形となるように設定された単位エリアUに基づいてスロット割り当てを行ったときのスロットの必要数が必ずしも最小値となるわけではない。
単位エリアUを設定する場合、各干渉エリアKのパターンを包含可能な最小の矩形よりも、設置候補点V1〜2個分程度大きく設定することで、単位エリアU内におけるスロット割り当ての自由度が高まり、結果的に最小の矩形よりも、わずかに大きな矩形に設定した単位エリアUを採用した場合の方が、スロット割り当てにおけるスロット数が小さくなることがある。
【0127】
従って、単位エリアUの設定にあたっては、最小の矩形に設定したものの他、最小の矩形よりもわずかに大きい(設置候補点V1〜2個分程度)範囲に設定したものを複数パターン用意しておけば、それぞれについてスロットの必要数を求め、最も良好な結果を採用することができる。
【0128】
〔12. その他の変形例〕
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることはない。
本発明に係る対象エリアPの設置候補点Vそれぞれに割り当てる第一スロットSL1の必要数の最小値を推定する方法は、例えば、当該推定方法を実行する推定装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされたワークステーションやパーソナルコンピュータ等を用いて実行することができる。
【0129】
上記コンピュータプログラムは、路側通信機2の対象エリアPにおける干渉エリアKの測定結果を受け付けて、対象エリアP内の路側通信機2の干渉エリアKの大きさを特定するステップと、干渉エリアKの大きさに基づいて単位エリアUを設定するステップと、単位エリアU内の設置候補点Vに設置される路側通信機2の第一スロットSL1を割り当てるステップと、対象エリアPの設置候補点Vそれぞれに割り当てる第一スロットSL1の必要数の推定値を取得するステップとを含んで構成することができる。
【0130】
また、上記実施形態では、路側通信機2による通信において、TDMA方式を採用することで、複数の異なる時間帯のタイムスロット(第一スロットSL1)を無線リソースとして各路側通信機2に割り当てる場合を示したが、本発明は、例えば、周波数方向で領域を分割し、周波数方向で重複しないように無線リソースの割り当てを行うFDMA方式を採用した場合にも適用することができる。
【0131】
また、上記実施形態では、干渉エリアKについて、南北、東西、北東−南西、及び北西−南東の4つの方向ごとに把握した場合を示したが、各設置候補点Vに設置される路側通信機2の干渉の程度や、地理的条件に応じて、例えば、南北、東西方向の2つの方向のみで干渉エリアKを把握することもできるし、上記方向以外の方向についても追加して把握することもできる。
また方向だけでなく、一の設置候補点Vから桂馬飛び状の位置関係等、特定の位置関係によって定まる設置候補点Vについても、干渉エリアKの把握特定に用いることもできる。
【0132】
また、上記実施形態では、単位エリアUが矩形状の場合を例示したが、当該単位エリアUを複数隣接配置したときに、対象エリアP内に設置される設置候補点Vが複数の単位エリアUのいずれかに漏れなく含まれるように配置可能な形状であって、一定の規則性をもって設置可能であれば、矩形状に限らず、他の多角形や、L字形等の異形状とすることもできる。
【0133】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0134】
2 路側通信機
K1 干渉エリア
P 対象エリア
SL1 第一スロット
U 単位エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重複しない複数の異なる無線リソースを、所定エリアに設置される複数の路上通信装置それぞれに割り当てる場合において、前記無線リソースの必要数を推定する方法であって、
前記路上通信装置が前記所定エリア内の他の路上通信装置に干渉を与える干渉エリアを、複数の異なる方向ごとに特定する干渉エリア特定ステップと、
所定数の路上通信装置が設置されるとともに、前記複数の異なる方向それぞれの大きさが、特定された前記干渉エリアの前記複数の異なる方向それぞれの大きさに基づいて単位エリアを設定する単位エリア設定ステップと、
前記単位エリア内に含まれる各前記路上通信装置が互いに干渉しないように、各前記路上通信装置に対して、無線リソースを割り当てる割当ステップと、
前記割当ステップにおける割り当てに必要な無線リソースの数を、前記所定エリアに設置された前記複数の路上通信装置に割り当てられる前記無線リソースの必要数の推定値として取得するステップと、を有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記干渉エリア特定ステップは、特定した前記干渉エリアの中からさらに、最大範囲の干渉エリアの大きさを前記複数の異なる方向ごとに特定する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記割当ステップは、前記単位エリア内において配置可能な、前記複数の異なる方向いずれの干渉エリアを前記単位エリア内のいずれの位置に配置したとしても、当該干渉エリア内に含まれる路上通信装置に割り当てられる無線リソースが互いに異なる無線リソースとなっているように、前記単位エリア内の各前記路上通信装置に無線リソースを割り当てる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記割当ステップは、前記単位エリア内の路上通信装置と単位エリア外の路上通信装置の双方が含まれるような前記干渉エリアを、いずれの位置に配置したとしても、当該干渉エリア内に含まれる路上通信装置に割り当てられる無線リソースが互いに異なる無線リソースとなっているように、前記単位エリア内の各路上通信装置に無線リソースを割り当てる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記所定エリア、前記干渉エリア、及び前記単位エリアを、前記所定エリア内に配置された前記複数の路上通信装置の設置位置単位で特定する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記設置位置は、当該設置位置から推定される前記路上通信装置が設置可能な推定設置位置を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記無線リソースは、時間軸方向に並べて設定されるタイムスロットである請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記単位エリア設定ステップは、前記複数の異なる方向ごとに特定された干渉エリアを、同一のものが多数存在する多数派エリアと、前記多数派エリアよりも少数である少数派エリアとに分類した上で、前記多数派エリアに基づいて前記単位エリアを設定し、
前記割当ステップは、前記多数派エリアに基づいて設定された前記単位エリアに含まれる各路上通信装置が互いに干渉しないように、これら各路上通信装置に対して、無線リソースを割り当て、その後、前記少数派エリアに含まれる路上通信装置が自装置以外の他の路上通信装置との間で干渉しないように、当該少数派エリアに含まれる路上通信装置の無線リソースを割り当てる請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
互いに重複しない複数の異なる無線リソースを、所定エリアに設置される複数の路上通信装置それぞれに割り当てる無線リソースの割当方法であって、
前記路上通信装置の内の少なくともいくつかの路上通信装置が前記所定エリア内の他の路上通信装置に干渉を与える干渉エリアを、複数の異なる方向ごとに特定する干渉エリア特定ステップと、
所定数の路上通信装置が設置されるとともに、前記複数の異なる方向それぞれの大きさが、特定された前記干渉エリアの前記複数の異なる方向それぞれの大きさに基づいて単位エリアを設定する単位エリア設定ステップと、
前記単位エリア内に含まれる各前記路上通信装置が互いに干渉しないように、各前記路上通信装置に対して、無線リソースを割り当てる割当ステップと、を有していることを特徴とする無線リソースの割当方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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