説明

所望の代謝特性について微生物の選択的濃縮

試験基質を代謝できる微生物の選択的濃縮及び/又は試験基質の代謝に関与する酵素の濃縮方法であって、以下のステップ:a) 微生物集合を容器に提供し、b) 初期流速で開始される制御された流速で容器中に溶液を送り込み、当該溶液は、栄養培地、並びに送り込み期間の少なくとも一部で試験基質を含み、c) 濃縮の時間枠にわたり代謝レベルを指し示すシグナルを提供し、そしてd) 試験基質を代謝する微生物の選択的濃縮及び/又は当該試験基質の代謝に関与する微生物により産生される酵素の濃縮を評価できるシグナルに基づいて出力を与える、を含む方法に関する。濃縮過程を促進するために、条件は、定常状態が検出されるとき、その期間における流速を増加するように設定され得る。これは、液体流速の変化をもたらすためにシグナル出力が合う条件を予め設定し、そして条件が合ったとき、溶液を容器内に送り込む流速を変えることにより達成されうる。ここで、予め設定された条件は、予め決められた期間と予め設定された値の範囲であり、その範囲内に予め決められた期間シグナルが留まらなければならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物及び/又は酵素の発見方法に関する。特に、本発明は、選択的濃縮方法に関し、それにより試験基質を代謝できる微生物を発見することに関する。本発明は、試験基質の代謝に関与する微生物により産生される酵素の発見も可能にする。
関連出願
本出願は、AU2003906290の優先権を主張し、その内容の全てを本明細書中に援用する。
【背景技術】
【0002】
バッチ培養で継代するような技術は、試験基質を代謝できる微生物を発見するために未だに使用されている。これらの技術は、労働集約型であり、遅いことが多く、そして濃縮された微生物集合が選択培地上に蒔かれるまで、期待された結果が明らかにならない。微生物集合の活性又は増殖をモニターする従来方法は、バイオマス濃度の計測及び/又は基質消費の計測を含む。これらの分析技術は、微生物培養物の状態を測定できるようにリアルタイムで微生物集合の状態を評価し、そして必要に応じて介入することを提供しない。
【0003】
ケモスタットは、連続培養を提供し、そして有用な性質を有する微生物の発見及び進化経路の研究を容易にするために、濃縮に使用されてきた。慣用の連続培養の有効性は、発見プロセスの状態を即座に評価できないため、制限されたものであった。限られた場合において、二酸化炭素産生及び酸素消費は、連続培養をモニターするために使用されてきた。しかしながら、これらの技術は、当該技術が適用可能であると考えられる適用数が少ないことにより与えられる一連の制限、及び/又は装置の欠点に基づく一連の制限により制約されてきた。一例として、バイオマス濃度又は残存基質濃度のオフライン分析が、濃縮プロセスの状態を評価するために通常必要とされる。オフライン分析は、関与する遅い分析技術の点で、及び被分析濃度を測定するための適切な分析方法を開発する際の遅延の点で時間がかかる。さらに、分析装置を使用する点で、高水準の設備及び養成された人材もまた必要とされる。
その結果、出願人は、微生物発見のための迅速な方法に対する必要性を確認してきた。
【発明の開示】
【0004】
発明の要約
従って、本発明は、試験基質を代謝できる微生物を選択的に濃縮する方法、及び/又は当該試験基質の代謝に関与する酵素を濃縮する方法であって、以下のステップ:
a) 容器内に微生物の集合を提供し、
b) 初期流速で始める制御流速で容器内に液体を送り込み、ここで当該液体は、栄養培地、及び送り込み期間の少なくとも一部の期間において試験基質を含み、
c) 濃縮の時間枠にわたり、代謝指標のレベルを指し示すシグナルを産生し、そして
d) 当該シグナルに基づく出力を提供して、前記試験基質を代謝する微生物の選択的濃縮及び/又は第一基質の代謝に関与する微生物によって産生される酵素の濃縮を評価可能にする
を含む方法を提供する。
【0005】
上記微生物が試験基質の代謝に関与する酵素(単数又は複数)を産生する場合、上記方法は、かかる酵素(単数又は複数)を産生する微生物の選択的濃縮を可能にする。
【0006】
本発明により、代謝指標、例えばO2のレベルの変化を、細胞活性の指標として「オンライン」測定する上記方法は、バイオマス又は基質の使用量の間接的な計測を可能にすることが発見され、そしてリアルタイムで微生物集合の状態を評価するために、上記方法を使用することができるということが同定された。本発明者は、炭化水素化合物などの試験基質を代謝することができる微生物を濃縮するために当該技術をさらに調整した。当該技術では、微生物は、当該化合物(試験化合物)を異なる炭化水素に変換し、及び/又は当該化合物を、副産物として水に分解することが望まれている。こうした代謝は、当該試験基質の代謝に関与する酵素(単数又は複数)の産生又は上方制御により達成されても良い。こうして、微生物の代謝はまた、容器内の酵素であって、当該試験基質の反応を触媒する所望の機能を有する酵素の集合又は量の増加(当該方法の開始時における容器内の当該酵素の相対量に比較した増加)を反映する。
【0007】
発明者により開発された技術は、使用者により選択され(つまり選択圧)、そして時間にわたり使用者により変更される状況おいて、試験基質を代謝できる微生物を発見する際の柔軟性の点で、更なる利点を有する。条件の変更は、かかる条件下で試験基質の代謝を手助けする酵素(単数又は複数)を提供する能力を有する微生物を同定するために使用することができる。これは、厳しい又は困難な条件において、基質を代謝に関与する微生物(及び結果として、任意に酵素)を同定するのに特に役立つ。これら全ては、基質レベルを別々に計測するか、又はバイオマス濃度を測定する必要なく、リアルタイムで評価される。
【0008】
好ましい実施態様では、当該方法は、液体流速の変化をもたらすために、シグナル出力により合わせられる条件を予め設定し、そして条件があったときに、液体を容器内に送り込む流速を変化させるステップをさらに含み、ここで当該予め設定された条件が、予め決められた時間と、予め設定された値の範囲との組合せであり、ここで当該範囲内に予め決められた時間の間シグナルが留まらなければならない。
【0009】
容器内に送り込まれる液体の流速は、水力学的保持時間を低減するために、予め設定された条件に適合した時に、初期流速から適切に増加され、それにより当該試験基質を代謝する微生物について選択性を増加させる。容器内に送り込まれる液体の流速を増加すると、基質をより迅速に代謝し、そうして、より迅速に増殖する微生物の選択的濃縮が容易になる。実際に、当該予め設定された条件は、予め決められた時間にわたる培養において定常状態の維持を規定するように設定されるべきである。予め決められた時間は、計測の時間単位(例えば多くの分又は時間)内であるか、又は容器の予め決められた複数の(分画を含む)水力学的保持時間について言及することにより設定されても良い。結果として、特に液体流速が時間に渡って変化される場合、予め決められた時間についての記載は、時間数の正確な繰返しである必要はないということが理解されるであろう。
【0010】
容器内へ送り込まれる流速は、試験基質の流速を増加させることにより増加されてもよい。さらに、液体流速は、試験基質に加えて、栄養培地の流速を増加させることにより増加されてもよい。容器内の試験基質レベルが十分高い場合、栄養培地のみの流速を増加させることにより流速を増加させることは可能であるが、これは好ましくはない。試験基質と栄養培地の両方の流速が増加される場合、容器内に送り込まれる液体中の試験基質の濃度が実質的に一定になるように、両方の流速が比例して増加されることが好ましい。
【0011】
本発明の方法において使用される代謝指標は、試験基質の代謝に関与する分子の取り込み又は放出であってもよい。一般的に、かかる分子は、電子受容体である。これらは、実施例においてさらに詳細に記載されている。代謝指標の例は、酸素、二酸化炭素、炭酸塩、硫黄、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、及び鉄である。他のものも知られている。1の具体的な実施態様によると、代謝指標は、酸素、硫酸塩、硫黄、硝酸塩、ギ酸塩、及び鉄から選ばれる。
【0012】
代謝指標レベルのシグナルは、好ましくは視覚的な出力、例えば、時間に対して代謝指標レベルを表す点のプロットなど、として提供される。シグナル出力は、電気的なシグナルであり、その結果、当該プロットは、時間に対する電気的な出力(例えば電流)であることもある。そうでない場合、代謝指標が酸素取り込みである例において、電気的なシグナルは、酸素濃度又は酸素取り込み速度に変換され、そしてこれは、時間に対してプロットされうる。出力はまた、数値デジタル又は液晶ディスプレイであってもよい。視覚的な出力は、20分未満の時間の間、タイミングよく更新される。理想的には、視覚的な出力は、10分以下の時間で更新される。
【0013】
この結果として、液体流速の変化をもたらす条件が予め設定されている場合、設定された値は、直接的なシグナル値の単位にしてもよいし、又は代謝指標のレベル若しくは他の関連する計測単位のいずれかを参照することにより間接的であってもよい。
【0014】
多くの状況において、コントローラーは、予め設定された条件に合ったシグナルに応答して、栄養培地及び/又は試験基質の容器内への流入を増加させるように設定されるであろう。これにより、試験基質を代謝し、そして迅速に増殖する微生物を選択することが可能になる。なぜなら、十分迅速に増殖できない微生物は、装置から流失されるからである。こうして、一の実施態様によると、供給メカニズムは、栄養培地と試験基質を、初期流速で容器に供給するように作動し、そして当該コントローラーは、予め設定された条件に適合するシグナルに応答して初期流速から流速を増加するように設定される。しかしながら、特にこの装置で実行される稼動の後期において、流速の減少が設定されうるということが出願人により理解される。
【0015】
一般的に、当該シグナルの範囲(シグナル範囲の上限と下限)を予め設定する意図は、培養が定常状態に達したときを同定するためである。定常状態がひとたび同定されると、容器内への液体(栄養培地及び/又は試験基質)の流れを変化させることが可能になる。
【0016】
容器内に送り込まれる液体は、分離された送り込み又は供給メカニズムを通して、最も都合良く送り込まれる。2個の液体を別々に供給できることによって、微生物が代謝して増殖するために必要とする条件を変更する点で、より優れた制御を使用者に提供する。第二に、これは容器内に送り込まれる栄養培地を変えることなく試験基質を次の基質に切り替えるという点で利点を提供する。
【0017】
好ましくは、シグナルの予め設定された範囲は、使用者により設定される。シグナルが、容器内の酸素レベルを表す場合、使用者は好ましくは、容器内の液体の体積1mlあたりの酸素の重量mg、生化学的酸素要求量(BOD)、酸素摂取速度(OUR)などの計測の適切な単位のいずれかの最大及び最小レベルを選択する。もちろん、検出される代謝指標が、二酸化炭素、硝酸塩、鉄などの他の指標である場合、使用者は、適切にシグナルについて明らかである計測単位の最大及び最小レベルを適切に選択する。
【0018】
好ましくは、使用者はまた、pHレベル及び容器の温度も設定する。理解されることであるが、これにより、使用者は特異的な条件(例えば高pH又は低pH、高温又は低温など)において試験基質を代謝することができる微生物、又は関連する酵素を選択するために、条件を変更できる。これらの条件は、(試験基質についての圧力に加えて)容器の内容物に選択圧を与えるレベルで設定することができ、当該選択圧を耐えるか又は利用する微生物及び/又は酵素を選択することができる。考えられる選択圧は、温度、pH、通気、溶解ガス量、塩濃度の増減、及びトキシンなどの化合物又は栄養成分の有無である。
【0019】
使用者は、代謝に影響を与える他の条件、例えば酸素レベル又は通気割合など、に影響を与える他の条件をさらに設定してもよい。
【0020】
本発明の方法において使用される微生物の集合は、活性汚泥などの異種性集合であってもよく、又は均一集合であってもよい。
【0021】
好ましくは、微生物集合は、異種集合である。この場合、少なくとも10、好ましくは100の異なる株又は種の微生物を含む異種集合であってもよい。これは詳細な記載においてさらに説明されている。
【0022】
本発明の方法は、さらに微生物の集合を、突然変異原、例えば化学突然変異原又は紫外線にかけるステップをさらに含む。
本発明の方法は、濃縮された微生物を単離するステップをさらに含んでもよい。
本発明は、上記方法により濃縮又は単離される微生物をさらに提供する。
本発明は、濃縮過程の時間枠の間選択的濃縮を評価するための対応の方法であって、上で概説した(a)〜(d)のステップを含む方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、試験基質を代謝することができる微生物の選択的濃縮のための方法を提供する。「微生物」は、全ての微生物、例えば、細菌、菌類、酵母、原生動物、藻類、又はウイルスを意味することが理解される。これらの微生物のいずれもが、濃縮条件を設計することにより選択的に濃縮でき、特定の性質を有する微生物の増殖を助けることができる。微生物は、好気性又は嫌気性微生物であってもよい。選択されたクラスにおける微生物について選択するために、好気呼吸又は無機呼吸のいずれかの適切な条件を与えることによって、これらのクラスのどれか一つにおける具体的な微生物を濃縮することができる。
【0024】
酵素は、代謝反応などの化学反応を触媒するタンパク質である。当該酵素は、直接又は間接的に酵素を産生する微生物と関わりがある。例えば、当該酵素は、微生物の細胞膜に非共有的に結合することもあるし、微生物の細胞質に位置してもよいし、又は周囲の培地に細胞から分泌されるものであってもよい。
【0025】
化学反応が代謝反応である場合、当該酵素は、試験基質の代謝に関与する。本明細書中で使用されるとき、「関与する」は、当該酵素が代謝経路の一部の反応を触媒することを意味する。当該酵素は、代謝経路において1超の反応を触媒してもよく、そして嫌気又は異化反応を触媒してもよい。典型的に、当該酵素は、代謝経路における少なくとも第一反応を触媒するであろう。
【0026】
本明細書中で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうではないと記載しない限り、複数形を含む。こうして、例えば微生物についての記載は、複数の微生物を含む。
【0027】
本明細書中で使用されるとき、「濃縮」という用語は、試験基質を代謝できない微生物に比較して試験基質を代謝できる微生物集合の数(又は相対濃度)の増加を意味するか、又は微生物集合の初期酵素集合と比較して、試験基質の代謝に関する酵素の分子数(又は相対濃度)の増加を意味する。
【0028】
酵素の場合、容器内の当該酵素の分子数を増加することに加えて、濃縮期間の間、当該酵素が突然変異して、容器内において晒される条件でその性質を改良することもある。改良された性質の例は、触媒反応速度の増加、選択圧(例えば高温)に対する抵抗性(つまり熱抵抗性)、又は条件の利用である。実際、本発明の方法は、かかる突然変異に酵素を駆り立てる優れた環境及びフィードバック情報を提供する。
【0029】
当該方法のステップ(b)において、容器内に液体を送り込むことは、試験基質を代謝する微生物(及び/又は酵素)の選択的濃縮を促進するか、又は招く。
【0030】
「代謝」は、異化又は同化のいずれかにより、微生物内の化学反応において試験基質を使用することを意味する。その結果、試験基質をより複雑な分子へと結合させる化学反応において試験基質が使用されてもよいし、又は試験基質を単純な分子へと分解する化学反応において試験基質が使用されてもよい。
【0031】
「試験基質」は、試験基質を代謝できる微生物についてスクリーニングすることを所望される基質のいずれかであり、そして一般的に代謝される基質、例えばグルコース及び酢酸塩を含まない。本発明の方法の目的は、試験基質を代謝できる微生物集合及び/又は当該代謝に関与する酵素にたどり着くことである。一般的に、新たな(試験)基質を代謝する能力を有する微生物又は酵素の形成が期待される状況に、当該方法を合わせる。ここで当該新たな(試験)基質が、適切な微生物により代謝されるということは知られていない。かかる試験基質は、環境有害物質、廃棄物、ある反応における不所望の副産物であってもよい。
【0032】
必要とされる技術及び制御は、当該基質が特定の微生物の基質として知られているか、又は広範の微生物に対する一般的な基質としてしられている場合の技術とはかなり異なっている。典型的に本発明の方法は、炭素含有有機分子を代謝できる微生物を選択的に濃縮するために使用される。「炭素含有有機分子」という用語は、脂肪族及び芳香族炭化水素及びその誘導体を指し、グルコースなどの一般的に代謝される基質以外の炭水化物を含む。或いは、当該試験基質は、硫黄含有試験基質及び/又は窒素含有試験基質であってもよい。
【0033】
当該方法は、容器内に微生物の集合を提供するステップを含む。
当該微生物の集合が、微生物の均一集合であってもよいし、又は微生物の異種集合であってもよいということが明らかに理解されるであろう。均一な集合は、進化により微生物を選択的に濃縮するために有用でありうる。均一な集合は、単一種を含む集合であるが、濃縮前、濃縮中、及び/又は濃縮後において表現形として異種の集合であってもよい。
【0034】
微生物の集合が、異種集合である場合、これは、微生物ライブラリー又は活性汚泥などの異種集合であってもよい。微生物の初期集合の良好な多様性は、本発明の方法のかなり良好な結果をもたらす。その結果、異種集合は、少なくとも10、好ましくは少なくとも100の異なる微生物種を含む。異種集合は、多様性を増大させるために、より好ましくは少なくとも10、好ましくは少なくとも100の異なる微生物種を含む。集合の多様性が大きくなればなるほど、期待される結果がよくなる。
【0035】
液体は、栄養培地及び試験基質を含む。「栄養培地」は、微生物の増殖に必要とされる栄養の全てを含むが、試験基質又は試験基質に類似する基質(例えば同じクラスの基質)を実質的に含まない。試験基質に対する「類似基質」という概念は、以下に記載される。「栄養培地」は、濃縮される微生物集合及び試験される基質に左右されるであろう。しかしながら、栄養培地は一般的に、窒素(アンモニウム)、リン、硫黄、塩(例えば、Na、Mg、Ca)及び微量金属を含有する溶液である。例えば、本発明の方法が、酢酸(炭素含有有機基質)を代謝することができる微生物を濃縮するために使用される場合、当該栄養培地は、以下の実施例において記載されるものでありうる。栄養培地は、微量の類似基質を含んでもよいが、但しその量は濃縮プロセスの検出と干渉してはならない。類似基質の量は、濃縮プロセスの検出と干渉しないような量でなくてはならない。理想的には、栄養培地は、類似基質を含まない。例えば、当該試験基質が炭素含有有機試験基質である場合、栄養培地は実質的に炭素含有有機物質を含まない。当該試験基質が炭素以外の別の栄養、例えば窒素又は硫黄の単一源として使用することができるという可能性もある。この場合、窒素又は硫黄を栄養培地から取り除くか、又は濃縮プロセスに干渉しない濃度で維持する必要がある。
【0036】
「類似基質」は、微生物が、試験基質の代わりとして代謝できる基質を意味する。特定の炭素含有有機基質を代謝できる微生物を選択的に濃縮するために使用される場合、類似基質は、微生物が異化できる代わりの炭素含有基質である。当該試験基質が、低分子の炭化水素である場合、栄養培地において避けられる「類似基質」は、他の炭化水素(炭水化物を含む)低分子、例えばグルコース及び酢酸塩などである。
【0037】
当該試験基質は、容器内に栄養培地の一部として送り込まれてもよいし、又は栄養培地に別々に送り込まれてもよい。より良好な制御のため、これらの液体を容器内に独立して送り込むことができる。栄養培地及び試験基質が容器内に送り込まれる初期流速、又は水力学的保持時間は、微生物の初期集合、栄養培地、容器及び液体の温度、液体のpH、並びに濃縮段階、並びに容器体積などの因子を参照して選ばれる。水力学的保持時間は、液体が容器内に留まる時間の長さを計測したものである。当該時間は、V/Q(V=容器体積、Q=流速)と等しい。典型的に、初期水力学的保持時間は、容器内の定常状態を確立するために、比較的長くなるであろう。液体を容器内に与える間、容器内の液体の流出(又は溢出)があり、その結果容器内の液体体積は一定にされた。
【0038】
微生物及び/又は酵素の選択的濃縮は、代謝指標のレベルを指し示すシグナル及び当該シグナルに基づくリアルタイム出力をオンラインでモニターすることを介して可能になる。本明細書中で使用されるとき、「オンライン」は、代謝指標のレベルの読み取りが、容器中の内容物(内容物は、容器内の液体又は容器の上部空間におけるガスであってもよい)から直接され、そして電気的に出力へと変換されることを意味する。一般的に、シグナルがとられ、そして出力は指示や人の関与を伴わずに得られるということを意味する。当該読み取りは、容器自体の中で行われるか、又は容器の内容物が通過する流路中で行われてもよい。
【0039】
シグナルは、容器の内容物から読み取るために配置されるプローブから産生されることもある。
当該配置の目的は、装置から液体を取り出すことなく行われるシグナル読み取りを可能にすることであり、容器及び付随する流路のいずれかを含む。代謝指標のレベルのオンライン・モニタリングは、濃縮をモニターするためのオフライン分析の必要性を軽減し、その結果、濃縮のリアルタイム決定を容易にする。
【0040】
本明細書中で使用するとき、「リアルタイム」は、代謝指標のレベルの出力が、条件の変化に応答する微生物培養状況を測定でき、そして必要があれば介入できるために十分早く提供さることを意味する。リアルタイム・モニタリングにより提供される介入の例は、集合内の微生物が試験基質を代謝できない集合条件の変化に応答して、微生物集合が失われることを阻止することである。代謝指標のレベルの出力を提供するために必要とされる頻度は、濃縮プロセスの状態及び濃縮される微生物の増殖割合に左右されるであろう。代謝指標レベルの出力は、20分以下の間隔で、最適には約10分以下の間隔で更新されるべきである。
【0041】
代謝指標は、代謝を指標するもののどれであってもよく、例えば代謝の間消費される分子、例えば酸素、又は代謝により産生される分子である。但し、代謝指標のレベルは、オンラインでモニターでき、そして代謝指標レベルの出力を提供するために使用することができなければならない。プローブを用いてオンラインでモニターできるものとして同定される代謝指標の例は、酸素、二酸化炭素、炭酸塩、硫酸塩、硫黄、硝酸塩、ギ酸塩、及び鉄である。これらの分子は、代謝における最終電子受容体として働き、そして溶液内でのその存在レベルは、プローブにより決定することができる。
【0042】
一の実施態様に従って、微生物培養物の酸素摂取速度(OUR)は、特に好気性細菌の同定についての代謝指標として使用されうる。これは、酸素を培地に加え、次に一定時間後、酸素レベルの変化を決定することにより測定することができる。OURは、基質利用と集合の増殖の両方のリアルタイム計測を与える。容器内に送り込まれる液体中の生化学的酸素要求量(BOD)を計算するために当該値を使用することにより、使用される基質のレベルを測定できる。これは、さらに以下の実施例において記載される。
【0043】
同様の計算は、他の代謝指標のいずれか及びシグナル又はプローブの組合せについて使用することができる。例えば、微生物が嫌気性であり、そして標的分子の代謝の間呼吸するために酸素を使用しないが、その代わりに硝酸塩を最終電子受容体として使用する状況では、硝酸塩プローブが、硝酸塩のレベルをモニターするために使用することができる。
【0044】
本発明の方法は、さらに微生物集合を変異原にさらすことをさらに含んでもよい。本明細書中に使用されるとき、突然変異原は、微生物の表現形の変化を誘導する薬剤である。当業者は、適切な突然変異原を容易に決定することができよう。例えば化学突然変異原又は10nm〜400nmの波長を有する紫外線が使用されてもよい。
【0045】
本発明の方法は、濃縮された微生物及び/又は酵素を発見するステップをさらに含んでもよい。発見とは、濃縮された微生物及び/又は酵素の単離を指す。当該ステップは、標準の微生物学技術を使用して、当業者により容易に行われてもよい。
【0046】
例えば、濃縮された微生物が微生物である場合、濃縮された培養物サンプルは、試験基質を含む固体栄養培地上に蒔かれ、そして濃縮された細菌が試験基質を代謝することができる条件下でプレートをインキュベーションしてもよい。濃縮された細菌により形成される個々のコロニーは次に単離され、そして必要であれば更なる特徴づけステップにかけることができる。
【0047】
微生物から酵素を単離する方法は、当該技術分野に知られている。使用される方法は、酵素源、単離される酵素、及び単離に必要とされる酵素の純度に左右されよう。
【0048】
典型的な酵素の単離方法は、以下の:
1) 粗製抽出物の単離ステップ、例えば、細胞溶解又は膜可溶化による;
2) 核酸及び/又はリボソームを取り除く任意のステップ;
3) (NH4)2SO4などの沈殿剤を伴う沈殿ステップ;
4) 精製ステップ、通常、アフィニティー、ゲルろ過、イオン交換、およびヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーによる;
5) 当該酵素からの塩の除去ステップ、例えば、ろ過による
を含む。
【0049】
上記方法は、微生物から酵素を単離する方法の1の例であり、そして、当業者に知られている他の方法が利用できるということが理解されよう。
【0050】
本明細書中にそうではないと記載されない場合、本発明を実行する際に使用される技術は、当業者に知られている慣用の微生物学及び化学技術である。かかる技術は、当業者に周知であり、そして文献に十分に記載されている。例えば、Bergeyの「Manual of Systematic Bacteriology」; Bergeyの「Manual of Determinative Bacteriology」; The Prokaryotes, Starr, Stolp, Thuper, Balows, Schlegel編; Handbook of Microbiological Media, Atlas; Biology of Maicroorganisms, Brock Madigan, Martinko, 及びParker; Methods for General and Molecular Bacteriology; Gerhardt Murray, Wood, Kreig編を参照のこと。
【0051】
本発明は、以下の非限定的な実施例及び図面により記載されよう。本明細書中に記載される材料及び方法に同様又は同等な材料及び方法のいずれかは、本発明を実行するため又は試験するために使用することができ、好ましい材料と方法がここに記載される。
【実施例】
【0052】
図1及び図2は、代謝指標が酸素である場合に、本発明の方法を行うことができる装置の例を記載する。他の代謝指標についての装置の変更は、以下の実施例に記載されている。当該装置は、酸素(空気)注入手段2及び溶解された酸素を計測するプローブ3を備える容器、つまりバイオリアクター1を含む。当該容器は、温度プローブ4を含む温度制御手段を伴う。当該容器はまた、容器内の内容物を攪拌するためのスターラー5を含む。
【0053】
注入口6を通して液体を容器内に送り込む。記載されている実施態様は、栄養培地及び試験基質の組合せを送り込むための1の注入口を含むが、各々について別にされた注入口が提供されてもよい。供給メカニズム(記載なし)は、注入口6を通した容器内への液体の流入を制御する。供給メカニズムは、栄養培地の供給ウェルと試験基質供給ウェル(これらも記載なし)に接続されて、当該2つの液体の比率及び容器1への流速を制御可能にする。溢出液体は、排水口7を通して容器から除かれる。
【0054】
当該装置は、容器内のpHを制御するために酸とアルカリを供給するための注入口8をさらに含む。2個の注入口は、各々酸と塩基用であり、二者択一で使用されうる。容器内の液体のpHは、pHプローブ9により測定される。
【0055】
図示される装置の更なる構成は、電気プラグ13及びサンプル・ライン/排水溝14を含む。
【0056】
当該装置は、上記要素を含むユニット10として、制御ユニット11と供に提供されてもよい。制御ユニット11は、コンピューター12の制御下であり、当該コンピューターはモニターとキーボードを含む。当該コンピューターは、以下に記載される実施例に記載されるパラメーターを使用者が制御することを可能にする制御プログラムを備えたグラフィカル・ユーザー・インターフェースを提供するようにプログラムされている。当該コンピューターは、コントロール・ユニットと相互作用し、その結果それらは供に、プローブシグナルに応答して、容器内への液体の供給を制御する供給メカニズムを制御するように作動される。
【0057】
記載された装置は、一連の視覚的出力を提供する。当該出力は、pH、温度、通気レベル、プローブシグナル範囲の上限及び下限(酸素レベルについて計測され、mg/lで計測される)、注入液体の初期流速、流量の増加(増加を示す正の値)、及び予め決定された時間(容器体積の数として設定することができる)を規定するために、使用者により入力される設定を示す。
【0058】
画面は、図6〜11に記載される数値(初期値を含む)を含むグラフの数値のうちの一つについての出力に切り替えることができる。
【0059】
装置の機械的及びプログラム要素は、本明細書中に提供される機能的な記載の範囲で、関連技術の当業者によく理解されよう。
【0060】
以下の実施例において、他に特記されない限り、使用される栄養培地は、別表1の第一欄に概説されるものとして調製された合成培地(DM)であった。
【0061】
実施例1:酸素摂取速度(OUR)と微生物活性との間の相関
酸素摂取速度(OUR)が、微生物集合の活性を真に反映するかを決定するために、OURを、微生物活性を評価するために典型的に使用される分析技術と比較した。28℃で48時間、190rpmで増殖させ、遠心し、そして10mlの炭素源を加えられていない合成培地(DM)中に再懸濁したシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)F1(ATCC70007)の100mlの攪拌フラスコ培養物を使用して、1.5又は2.0g/l酢酸又は1.0g/lベンジルアルコールを含むDMに植菌した。植菌した後に、慣用の分析技術、例えば生細胞数、光学密度(600nm)、及び残存基質濃度などの慣用分析技術により微生物活性を測定するために、培養物を定期的にサンプリングした。本発明を使用してこれらの慣用分析を計測されたOURと比較した。当該実験を3回繰返し、2回は酢酸を試験基質として、そして1回はベンジル・アルコールを試験基質として行った。3回の実験についての相関結果を、図3、4、及び5に表した。
【0062】
図3、4、及び5に示されるデーターから、基質が酢酸であるか又はベンジル-アルコールであるかにかかわらず、OURと基質消費及びバイオマス濃度の両方との間の明らかな線形相関が存在する。バイオマスと基質利用との間の相関は、明らかな指数相関を示す。これはおそらく、収量値(Yx/g;基質重量あたりのバイオマス重量)は、本物の定数ではなく、実施はそしてバッチ培養における増殖の間、絶えず変化する増殖率に左右されるからである(Mandeltamら、Biochemistry of Bacterial Growth, 第三版、Blackwell Scientific Publications, Oxford, UK, 1982)。それゆえ、本発明の方法は、リアルタイムで濃縮状態をモニターするための優れた代替方法として使用することができる。当該方法は、培養条件を迅速に洗練し、又は微生物集合の濃縮に影響を与えうる多くのパラメーターを変化させることの培地に与える効果を測定するための機会を、実行者に提供する。
【0063】
実施例2:集合変化のリアルタイム・モニタリングの実行
本発明の方法の操作を試験しそして実行するために、当該方法の出力を、微生物活性をモニターするために使用された従来のオフライン計測と比較する対照実験を行った。典型的に使用される技術は、残存の基質濃度の計測及び/又はバイオマス濃度の計測(生細胞計数及び光学密度)を含む。これらの方法は、本方法の利便性を示すために、本方法の出力と比較された。
【0064】
対照実験について、Novagen(Novagen Inc., Madison, WI, USA)により市販され、そしてグルコースのみで増殖することを期待されたエスケリキア・コリ(Escherichia Coli)BL21DE3の定常状態培養物を使用した。炭素源として1.0g/lグルコースを添加した合成培地中で30℃にて200rpmで攪拌して17時間増殖させた100mlの攪拌フラスコ培養から5mlのイー・コリ(E. coli)培養物を使用して培養物を確立した。送り込み液は、他の基質(ベンジル・アルコール)を含んだが、当該基質での増殖は予想されなかった。なぜなら、当該微生物集合は、この炭素源を増殖のために使用することができないということが知られていたからである。定常状態が確立された場合に、100mlのシュードモナス・プチダ(Psudomonas putida)F1のフラスコ培養物のうちの10mlを加えた。P.プチダF1培養物を、1.0g/lグルコースを炭素源として含む合成培地中で、200rpmで攪拌しながら、30℃で17時間増殖させた。P.プチダF1は米国培養細胞系統保存機関(ATCC)から供給され、そしてベンジル・アルコール及び/又はグルコース上で増殖することが期待された。OURは、P.プチダの添加後、微生物活性の増加の結果として変化することが予期された。
【0065】
2.1 バッチ培養における合成倍地中のグルコース及びベンジル・アルコールの存在下でのE.コリ及びP.プチダの増殖
当該対照実験の成功は、E.コリが、グルコースを含むDM上で増殖する能力及びベンジル・アルコール存在下のDM中で増殖する能力に左右される(つまり、ベンジル・アルコールは、E.コリに対して毒性ではない)。同様に重要なものは、E.コリがベンジル・アルコール上で増殖できないことである。同様に、P.プチダのベンジル・アルコール上での増殖を示すことが重要であった。P.プチダは、幅広い芳香族物質上で増殖する能力についてよく知られており(Wackett, & Hershberger, 2001)、ベンジル・アルコール上での増殖が報告された。当該方法において使用された条件下で増殖する2種の各能力が、表1に示される。植菌したものでの光学密度が、(接種材料の光学密度に基づいて)0.021(E.コリ)、及び0.026(P.プチダ)として計算された。培養物を、30℃にて200rpmで攪拌してインキュベーションした。光学密度を、600nmで23.5及び75時間インキュベーションした後に計測した。
【0066】
表1:バッチ培養におけるグルコース及びベンジル・アルコール上でのE.コリ及びP.プチダの増殖
【表1】

【0067】
表1に示されるデーターから、E.コリが、グルコースを含むDM上で増殖でき、そしてベンジル・アルコールを含むDM上で増殖できないことが明らかである。E.コリが、ベンジル・アルコールを耐えることができるということが重要である。なぜならベンジル・アルコールが実験全体の間送り込み溶液中に存在するからである。P.プチダが、グルコース及びベンジル・アルコールの両方を含むDM中で増殖できるということが立証された。
【0068】
2.2 本発明の方法を使用した特徴付けられた集合の計測
DMをE.コリで植菌して(600nmで計測して)0.06の初期光学密度を与え、そして次にバッチモードで19時間実行され、その間BODは、約200mg/lに増大した。次にBODが即座に低下し、培地中のグルコースが使い果たされたことを示した。新たな培地を容器内に送り込むと、BODが再び増加し、約185mg/lで安定化する前に200mg/lを超えてピークに達した。0.5g/lのグルコースを含有する送り込まれた液体について計算されたBODに基づいて、BODが178mg/lであることが予想された(以下の計算を参照のこと)。
【0069】
以下の式:
6126+O2・CO2+H2
の化学量論的な釣り合いは、以下の:
6126+6O2・6CO2+6H2
である。
その結果、1モルのC6126の酸化には、6molのO2を必要とする。
モルをグラムへと変換すると:
180.2gのC6126は、32×6gのO2を必要とする。
180.2gのC6126は、192gのO2を必要とする。
送り込み液体中のグルコース濃度=0.5g/l
それゆえ、0.5gのC6126は、0.53gのO2を必要とする。
その結果、化学的酸素要求量(COD):
COD=530mg/l
BODは、CODの三分の1であると仮定される:
BOD=178mg/。
【0070】
CODからBODへの変換についての補正率は、酢酸塩を炭素源として使用する実験で測定された。既知濃度の酢酸塩のBODを実験的に測定し、そして計算されたCODを同濃度の酢酸塩について計算されたCODと比較し、そして差が3倍であることが分かった。同じ変換率が、容易に生分解する基質の範囲について使用できると仮定する。
【0071】
実際のBODは、当該培養物のバックグラウンド呼吸のため、当該基質について計算されたBODよりもすこし高かった。バックグランド呼吸は、維持エネルギーの産生の結果であると考えられ、そして反応容器内のバイオマス濃度に左右された。基質濃度が、比較的低かったので、バイオマス濃度も低く、そして同様にバックグラウンド呼吸が低かった。バックグラウンド呼吸は、培養が定常状態に達した後に、測定することができる。送り込み流量を0ml/hに低減し、そしてBODの迅速な減少が観測される。容易に分解される炭素が存在しないにもかかわらず、BODは、通常0より大きかった。安定化の期間の後に、BODは、バックグラウンド呼吸の指標である定常値に達するであろう。
【0072】
BODに基づくと、定常状態に到達したことが明らかであった(定常状態が、少なくとも3の容器体積のターンオーバーの後に確立されるということが一般的に仮定された。これは、本実施例において、37.5時間後に生じる。)。125.8時間の連続稼動の後に(10容器体積に等しい)、P.プチダは培養物に加えられた。当初、BODの変化が無かったので、P.プチダが容器から流失されていないことを保証するために、送り込まれる流速を60ml/hから30ml/hに低減した。BODがゆっくり増加し、その結果、ベンジル・アルコールの分解が生じ始めたということが示された。この観察は、培養上清に残っているベンジル・アルコールを計測することにより確認され、当該ベンジル・アルコールは減少し始めた。P.プチダ集合が、BODの増加を発達させたので、最初1400mg/l近くでピークに達し、その後1050mg/lに減少し、その後BODの第二ピークが観察された。BODにおける振幅の理由は明らかではないが、定常状態に達する前に、微生物集合が、システムが平衡化する際に振幅を示しうる。第二BODピークの後に、BODは、1040mg/lで安定化し、これは0.5g/lグルコース及び1.0g/lベンジルアルコールを含む送り込み溶液について予想されたBODであった(以下の計算を参照のこと)。
【0073】
以下の式:
78O+O2・CO2+H2
の化学量論的な釣り合いは:
2C78O+17O2・14CO2+8H2
である。
それゆえ、2molのC78Oの完全な酸化には、17molのO2を要する。
モルをグラムへと変換すると:
108.1×2グラムのC78Oは、32g×17グラムのO2を要し、
216.2gのC78Oは、544gのO2を要する。
【0074】
送り込み溶液中のベンジル・アルコールの濃度=1.0g/l、
その結果、
1.0gのC78Oは、2.52gのO2を要する。
その結果、化学的酸素要求量(COD):
COD=2516mg/l
BODは、CODの三分の1であると仮定される:
BOD=839mg/l
【0075】
送り込み溶液が、0.5g/lのグルコース及び1.0g/lのベンジル・アルコールを含み、両方の基質が反応容器内の微生物集合により使用されるとき、予期された出力は:
BOD=839+178=1017mg/l
である。
【0076】
0.5g/lグルコース及び1.0g/lベンジルアルコールを含むDMからなる送り込み溶液は、30℃にてpH7で容器内に送り込まれた。送り込み流速は、最初60ml/hであった。図6に示されるように、容器をE.コリで植菌後(矢印A)、増殖するためにグルコースのみを炭素源として使用する微生物が確立された(矢印B)。P.プチダ、増殖するためにベンジル・アルコールを炭素源として使用できるもの、を次に反応容器に加えた(矢印C)、そして送り込み溶液流速は、30ml/hに減少させた(矢印D)。結果としてBODの増加及びベンジル・アルコール濃度の低下が観察された(矢印E)。残ったベンジル・アルコール濃度を、ガスクロマトグラフィーを使用して評価した。BODが安定化されると同時に、計測された残存するベンジル・アルコール濃度が0になった。興味深いことに、30ml/hの送り込み流速で、定常状態は、75時間後に到達されることが予想された。しかしながら、BODに基づくと、定常状態は、送り込み流速が60ml/hから30ml/hに低減後94時間まで達成されない。この観察から、微生物発見プロセスは、微生物集合が定常状態に達したと仮定する前に、少なくとも4の容器体積を待つことにより改良されるであろう。
【0077】
当該実験のコースの間、バイオマス濃度は、集合におけるベンジル・アルコールを分解する微生物数としてもモニターされる(図7)。生細胞数は、(添加炭素源を含まないDM中に希釈された)培養物サンプルを、1.0g/lのグルコース又は1.0g/lのベンジル・アルコールを含む固体DMに蒔くことにより評価できる。培養物の光学密度は、600nmで計測され;光学密度が0.4を超える場合、サンプルを水中に希釈した。反応容器をE.コリで植菌した後に(矢印A)、増殖するためにグルコースのみを炭素源として使用する微生物集合が確立された。増殖するためにベンジル・アルコールを炭素源として使用できるP.プチダを次に反応容器に加えた(矢印B)。得られた光学密度の増加、生細胞の総数、及びベンジル・アルコール上で増殖できる細胞数を観察した(矢印C)。観測されたバイオマス濃度の増加(図7)は、図6に示されるBODの増加と相関した。E.コリ集合は、グルコース上で増殖し、そして定常状態で2.52×109cfu(コロニー形成ユニット)/mlで培養物に含まれ、そのどれもが、ベンジル・アルコール上で増殖できなかった。E.コリ集合が、ベンジル・アルコール上で増殖できないことは、ベンジル・アルコールを唯一の炭素源として未希釈の培養物を蒔くことによって確認した。P.プチダを培養物に添加した直後に、ベンジル・アルコール上で増殖する微生物の数は、4.47×106cfu/mlに増加した。BODの増加に平行して、ベンジル・アルコールを分解できる集合における微生物数が増加した。予期されるように、ベンジル・アルコール分解性微生物の総数及び培養物の光学密度は、BODが増加し、そしてベンジル・アルコール濃度が減少するにつれて増加する。集合が定常状態に達したとき、ベンジル・アルコール分解性の微生物の数は、1012cfu/mlを超えるまで増加し(図7)、この観察結果は、明らかにBODを反映する。これらのデーターは、微生物発見プロセスの状態のオンライン・リアルタイム・モニタリングについてのBODの有用性を示す。BODとは異なって、残存するベンジル・アルコール濃度のガスクロマトグラフィーによる分析、及びバイオマス濃度のオフライン計測の両者は、時間がかかり、そして微生物集合の活性を即座に評価することを提供しない。
【0078】
グルコース上で排他的に増殖する微生物を開発すること、並びに容易に特徴付けできる集合変化を導入することを可能にする実験方法を使用して、オンラインBODと、慣用の分析技術によるオフライン・データーとが比較された。BODをオフライン分析、例えば光学密度、生菌数、及び残存する基質濃度と比較することにより、オフライン・データーにおいて観測される変化がBOD中でも観測された。バッチ培養中で示されたBODと残存する基質濃度との間の逆相間は、連続システムにおいて観察された。これらのデーターにより、連続培養において増殖する微生物集合についての変化の効果をリアルタイム・モニタリングするのに用いるBODの有用性が示された。
【0079】
実施例3 微生物発見のためのBODの使用
1-メチル-2-ピロリジノンを利用する微生物の発見
BODと合わせて選択圧(この場合、1-メチル-2-ピロリジノンを唯一の有機炭素源及びエネルギー源として利用する能力)をかけることにより、本発明の方法を使用して1-メチル-2-ピロリジノンを利用する微生物の発見を行った。当該方法を図1及び図2の装置で行った。必要とされる特徴を有する微生物集合は、容易に確立された。
【0080】
排水処理施設からの新たな活性汚泥を、1-メチル-2-ピロリジノンを利用する微生物の濃縮のための微生物源として使用した。1-メチル-2-ピロリジノンが、水溶性であるので、1g/lの濃度で送り込み溶液に加えた。濃縮プロセスは、30℃及びpH7.0にて行った(当該pHは、それぞれアルカリ及び酸として、水酸化カリウム又は塩酸溶液を自動添加することにより7.0に維持される。)。送り込み流速は、60ml/hであった。
【0081】
活性汚泥を容器に加えた後、BODは高かった(500mg/lを超える)。活性汚泥は、高い初期BODを有した。なぜなら、活性汚泥は、容易に生分解される残存性の炭素を含むからであり、それは徐々に分解され、1-メチル-2-ピロリジノンの添加前に、観測されるBODの漸進的低下を招く。2mlの1-メチル-2-ピロリジノンを容器に加えた後に(図8、矢印A)BODの即座の上昇が観察され、それは指数関数的増加を示した(図8)。このデーターは、当該基質上で増殖する集合について、μmax(最大倍化時間)を計算するために使用できる。増殖は、1220〜1460分の間で指数関数的であり、そしてμmaxはその結果0.52h-1として計算することができ、これは倍化時間である1.34時間に対応する。BODの急速な低下(矢印B、図8)は、微生物集合の酸素消費が当該培養に供給される酸素量を超えるため生じる。
【0082】
最初のバッチ操作の後に、当該システムは連続モードで稼動され(図9)、そして送り込み溶液を、60ml/hの流速まで増加させた。送り込みが開始されるとき、BODがかなり低くみえるということを注意すべきである。これは、当該培養物の状態を真に反映するものではなく;BODは実際には測定範囲外(高すぎ)であり、そして正確に計測することができなかった。送り込みポンプを開始した後に、BODの第二の指数関数的上昇が観測され、それはバランスのとれていない増殖に起因すると考えられる。この培養は、溶液流に対し調節されるためにある程度の時間がかかり、通常の結果は、急速に枯渇される制限栄養素の増強であり、全ての栄養素が再び過剰になる。指数関数的上昇後、BODの急激な減少は、過剰量の1-メチル-2-ピロリジノンが枯渇したことを示し、その結果当該システムが平行に到達する。BODは、次に約800mg/lで安定化され、1.0g/lの1-メチル-2-ピロリジノンを含有する送り込み溶液から予期される値である(以下の計算を参照のこと)。
【0083】
以下の式:
59ON+O2・CO2+H2O+NH3
の化学量論的釣り合いは、つまり:
4C59ON+27O2・20CO2+12H2O+4NH3
である。
それゆえ、4molのC59NO2の完全な酸化は、27molのO2を要する。
モルからグラムへの変換は:
99.13×4グラムのC59NO2は、32×27グラムのO2を要する。
396.5gのC59NO2は、864gのO2を要する。
送り込み溶液中の1-メチル-2-ピロリジノンの濃度=1g/lであり、その結果:
1gのC59NO2は、2.18gのO2を要する。
その結果、化学的酸素要求量(COD):
COD=2180mg/lであり、
BODはCODの三分の1と仮定される:
BOD=726mg/l
【0084】
1g/lの1-メチル-2-ピロリジノンについての計算されたBODは、計測されたBODの出力未満である。ここでもその差は、おそらくバックグラウンド呼吸のため生じるものである。予想されるように、送り込まれる溶液の流れが、0ml/hに低減される場合、BODは、即座に低下しそしておよそ80〜120mg/lで一定に保たれた。バックグランド呼吸は、計測されたBOD出力から引かれる必要があり、BODの真の指標を与え、そうして計測されたBODと計算されたBODがおよそ同じであった。この絶対BODは、本発明の方法の成功に決定的ではない。微生物の発見については、相対値が発見プロセスの状態をよりよく反映する。例えば、実験の開始時におけるBODの大きなピーク(図9)は、基質に対する微生物の攻撃を明らかに指し示している。計算されたBODは、基質濃度及び他の実行パラメーターを選択するための指標として使用することができる。例えば、特定の基質のBODを計算することにより、送り込み溶液中の基質濃度が、計算できるBOD出力を超過しないことを使用者は保証することができる。
【0085】
116時間後、流れ込み流速は、120ml/hまで増加し、そしてその直後に送り込み溶液中の1-メチル-2-ピロリジノン濃度は、2g/lに増加した(データー未掲載)。これをさらに95時間継続し、その後培養物中に存在する微生物の純粋な培養物を単離した。サンプルは、酷く凝集しており、そして顕微鏡試験により、当該培養物が非運動性の桿菌により占められており、少数の運動性桿菌も存在しているということが明らかにされた。サンプルを、1-メチル-2-ピロリジノンを単一の炭素源として含む固体合成培地上に蒔き、そして当該プレートを30℃にて約40時間インキュベーションした。これらのプレートから2A、2B、及び2Cと名付けられる3種の単離株を精製した。顕微鏡外見及びコロニー形態に基づくと、2A及び2Cは、同じ生物体であると推定され、そして2Cは、それ以上は追跡されなかった。
純粋な単離株の特徴は以下の表2に示される:
【0086】
【表2】

【0087】
液体培養において、1-メチル-2-ピロリジノンを単一の炭素源として増殖する純粋な単離株の能力についても評価した(表3)。培養物は、10mlの合成培地と1.0g/lの1-メチル-2-ピロリジノンを含んだ50mlねじ式蓋付きプラスチック・チューブ内で増殖させた。各培地が一定数の細胞で植菌されたことを保証するために、10mlの培地を、1mlのDM中に懸濁された単一コロニーのうちの100μLを植菌した。培養物を30℃、190rpmで攪拌してインキュベーションした。10mlの単一培養物を、各時間点において遠心により回収し、そして1-メチル-2-ピロリジノン濃度を測定するために上清を取っておいた。1-メチル-2ピロリジノン濃度は、ガスクロマトグラフィーを用いて評価した。
【0088】
【表3】

【0089】
この結果により、多種混合集合(活性汚泥)からの2個の単離株が得られ、それらが1-メチル-2-ピロリジノンを単一の炭素源として使用できるということが示される。これらの単離株の両方は、バッチ培養において24時間以内に1.0g/lの1-メチル-2-ピロリジノンを完全に分解することができる。
【0090】
BOD出力は、培養の状態のリアルタイムモニターとしてBODの有用性を示す。稼動条件についての変化のいずれかは、視覚的出力をほとんど即座に反映する。これにより、使用者が修正をし、そして時間がかかりそして修正の効果が評価できるまでの遅れをもたらすオフライン分析を必要とすることなく、迅速に培養物の応答に注意を払うことが可能になる。さらに、1-メチル-2-ピロリジノン上での増殖は、当該基質についてのアッセイの開発を必要とすることなく示される。これは、容易に代表的なサンプルを取りそして分析できないことのために、評価することが難しい不溶性の基質を評価できるという点で付加的な利益を有する。
【0091】
実施例4 ドデカンを利用する微生物の発見
ドデカンを利用する微生物の発見は、本発明の方法を使用して行われる。選択圧(この場合、ドデカンを単一の炭素及びエネルギー源として利用する能力の場合)を、BOD出力のモニタリングと合わせてかけることにより、要求される特徴を有する微生物集合が容易に確立された。ドデカンは、特に水に不溶性であるので、0.79ml/hの流速で分離蠕動ポンプを使用して培地中に送り込んだ。当該実施例の目的は、直鎖炭化水素を加水分解できる微生物を発見することであった。当該加水分解は、慣用の化学(非微生物的)技術を使用して達成することはかなり難しい。
【0092】
排水処理施設から得た新たな活性汚泥を、ドデカンを利用する微生物の発見のための微生物源として使用した。当該方法を、図1及び2の装置で行った。発見プロセスを、30℃及びpH7.0にて行った(pHは、水酸化カリウム又は塩酸溶液の自動添加により、7.0に維持された)。送り込み溶液は、添加された炭素源を有さないDMから構成され、そして送り込み流速は、最初30ml/hであり、そしてドデカンの送り込みは、0.79ml/hであった。当該実験は、137時間行われ、そして当該装置の内容物を取り除き、そして60ml/hの送り込み流速で(ドデカンの流速は変えないで)(同じ培養物を使用して)再スタートされた(矢印B)。
【0093】
BOD出力は変動するが、明らかに、ドデカン分解性の微生物の集合が、確立された。この集合は、水溶性基質である1-メチル-2-ピロリジノンについて観察されるよりも、確立されるのに時間がかかった。この観察についての2個の可能な説明は、(i) 確立されたいくらかのドデカン分解性集合の全身的な流失をもたらす基質流のばらつき、及び/又は(ii) 当該基質の不溶性の性質が、増殖の遅延をもたらすということである。漸進的な流失と不溶性基質の組合せは、基質分解の減少をもたらす。なぜなら、濃縮された集合は、基質の可溶化を手助けする界面活性剤又は同様の分子を産生することがあるからである。漸進的な流失は、界面活性剤型の分子のいずれかの濃度を継続して減少させ、さらに基質の近接可能性を低減し、連続的な複合的なネガティブ効果をもたらす。当該実験において、蠕動ポンプを使用してドデカンは反応容器中に送り込まれ、それは変化しやすいBOD出力をもたらした。シリンジポンプ又は蠕動ポンプは、不溶性の基質を培養物内に送り込むために使用することができるが、シリンジポンプが好ましい。なぜなら、シリンジポンプの内容物と接触する産物は、広範の化学物質と適合するからである。
【0094】
BOD出力は、ドデカンのCODに基づいて計算された値よりかなり低い(以下の計算を参照のこと)。
【0095】
以下の式:
1226+O2・CO2+H2
の化学量論的釣り合いは、つまり:
2C1226+37O2・24CO2+26H2
である。
その結果、2molのC1226の酸化には、37molのO2を要する。
モルからグラムへと変換すると:
170.3×2グラムのC1226は、32×37グラムのO2を要する。
340.6のC1226は、1184gのO2を要する。
送り込み溶液中のドデカンの濃度=1g/lと仮定すると:
1gのC1226は、3.48gのO2を要する。
その結果、化学的酸素要求量(COD):
COD=3480mg/l
BODは、CODの三分の1と仮定される:
BOD=1158mg/l
実際のドデカンの流量=0.788ml/h=0.591g/h
その結果、送り込み溶液中の見積もりのドデカン濃度=0.591/60ml=9.85g/l
予想されたCOD=28861mg/l及びBOD=9620mg/l
この結果は予期されたものでないが、基質の不溶性により説明できる。ドデカンは、水より密度が低いので、ドデカンは、特に通気が止められ、そして攪拌が遅い酸素取り込みの計測の間において、培養物の表面に浮いてきやすい。ドデカンの多くは、溢流で流失することもある。計測されたBODは、微生物集合がアクセス可能であり、そしてドデカンの水溶性により制限される基質の量を指す。
【0096】
ドデカン上での207時間の増殖後、純粋な培養物を単離するため、濃縮された培養物からサンプルを取った。サンプルの顕微鏡試験により、短型及びフィラメント状の両方の一連の桿状細菌が明らかになった。球状細菌もまた多く存在し、そして多くの運動性桿菌が観察された。サンプルを、単一の炭素源としてドデカンを有する固体DM上に蒔き、そしてプレートを30℃で約48時間インキュベーションした。これらのプレートから、1A、1B、1C、及び1Dと名付けられる4の単離株が単離された。顕微鏡外見試験及びコロニー形態に基づいて、1A及び1Dは同じ生物体であると仮定され、そして1Aはこれ以上調べなかった。純粋な単離体の特徴は、表4に示されている。
【0097】
【表4】

【0098】
液体培養中において唯一の炭素源としてドデカン上で増殖する純粋な単離株の能力も評価され、そして表5に示される。当該培養物は、10mlの合成培地及び0.75g/lドデカンを含んだスクリュー・キャップ付き50mlプラスチック・チューブ中で増殖させた。各培養物が、一定数の細胞で植菌されることを保証するために、10mlの培地を、1mlのDM中に単一コロニーを懸濁したもの100μlで植菌した。培養物を30℃で、190rpmで攪拌してインキュベーションした。残ったドデカンは、20mlのヘキサンを各時間点で単一の10mlの培養物に加えることによって抽出した。チューブを1分間勢い良く攪拌し、相分離した後に、ドデカン濃度を決定するために上相を維持した。ドデカン濃度は、ガスクロマトグラフィーを使用して評価した。
【0099】
【表5】

【0100】
この結果により、混合型多集合(活性汚泥)から、唯一の炭素源としてドデカンを使用することができる単離株を得ることができるということが示された。バッチ培養では、当該単離株は、当該培地に50%〜60%に加えられたドデカンを使用することができる。ドデカンの利用速度は、1-メチル-2-ピロリジノンよりゆっくりであり、これは、これら二つの化合物の溶解度の差のため生じているのかもしれない(ドデカンは特に水に不溶性である)。ドデカンの不溶性は、増殖及び基質の利用度を有意に遅らせる物質移動の制限を課すことがある。バッチ実験からえたガス・クロマトグラフィー・データーの変動性は、不溶性の基質の濃度分析に関する難しさを目立たせる。当該問題は、BODをモニターすることにより部分的に解決することができるが、酸素消費を基質上での増殖の間接的な指標として使用することもできる。
【0101】
実施例5 オリーブオイルを利用する微生物の発見
送り込み溶液としてのオリーブオイルの使用は、極限環境における微生物発見法である本発明の方法のもう一つの利点を目立たせる。オリーブオイルは、消費量を計測する分析方法の開発が難しい不均一基質である。BODをモニタリングすることにより、複雑な分析方法を開発する必要なく、当該複合基質上での増殖が示される。増殖のためにオリーブオイルなどの基質の使用できる微生物の単離は、有用な特性を有するリパーゼの発見を可能にすることもある。以下の実験は、オリーブオイル分解性微生物の単離だけでなく、かなり幅広いpH範囲を耐えることができる微生物を濃縮することを容易にするために以下の実験を行った。
【0102】
容器を活性汚泥で満たし、そして10mlのオリーブオイルを加えた。BODは即座に上がり、そして約1700mg/lでピークに達した。活性汚泥由来の微生物の集合におけるオリーブオイルを分解する能力の迅速な開始は、予期できないものではない。なぜなら、排水処理施設の流入水中にこのタイプの基質が存在することが大いにありうるからである。BODにおけるピークが観察された後に(20.5時間)、オリーブオイルは、4:1の比で活性汚泥と混合されたDMから分離した流れとして容器内に連続的に送り込まれる。pH設定値はpH4.0に低減され、そして225時間後、送り込み培地は、DMと活性汚泥の混合体から、DMへと変化させた。138時間(11容器体積に等しい)は条件を変化させず、そして培養物のBODは、高いままであった。これらの観測から、pH4.0において唯一の炭素源としてオリーブオイルを使用できる微生物集合が確立されたということを結論付けた。
【0103】
オリーブオイル流速を0.061ml/hに低減し、そして送り込み溶液を活性汚泥とDMとの混合物に再び変えた。これらの条件は、活性(1200〜1500mg/lの範囲内のBOD)を有する培養物をもたらし、次に458時間後、pH設定値をpH2.2に変化させた。送り込み溶液を再び、添加物を含まないDMへと変化させ、そして送り込み流速を66ml/hに増加させた。当該条件を55時間(4.4容器体積)変化させず、そしてBODは約1700mg/lで安定化し、それによりpH2.2においてオリーブオイルを唯一の炭素源として使用することができる微生物の集合が確立されたということが示された。
【0104】
当該実験の次の相は、pH2.2にて増殖した微生物集合の、培養物のpH増加に応答する能力を評価した。555時間において、pH設定値は、9.0に増加された。pH9.5〜10のpH設定値内の更なる増加は、BODの低下を招き、微生物集合の流失及び/又は死亡を示す。関心高いことに、0.5のpH単位でpHが低減されると、当該培養物は、指数関数的に増加するBODで回復される。当該培養物は、9.5を越えるpH値に対してかなりの感受性を示した。この観察結果の理由は明確ではないが、pH10に対する感受性の増加についての2のありえそうな説明は、(i) 培地内容物のうちの一つがpH10で不溶性であり、重大な栄養制限及びBODの低下を招くこと、又は(ii) 培養物内に存在する微生物集合が、pH10での増殖に適応しなかったということである。当該培養物は、pH9.5で125時間維持され、そして明らかにpH9.5において唯一の炭素源としてオリーブオイル上で増殖する微生物集合が確立された。当該集合が、pH2で増殖する能力を有するということを結論付けることができる。なぜなら、当該集合を確立するためにかかる時間は、新たな条件下で増殖するようにうまく適応された完全に新たな集合の発達を招きうるからである。
【0105】
37日間にわたり、pH値の範囲でオリーブオイル上での微生物集合の増殖が示された。この2つの極限pHは、2.2と9.5であった。微生物活性はこのpH値で明らかに示され、そしてこれらのデーターは、自動化pH振幅システムを開発するために使用された。当該システムは、似たようなpH抵抗性(活性及び安定性の両方)を示す微生物から得た酵素を単離する点で、広いpH範囲に抵抗性を有する微生物を単離することを容易にするように設計された。
【0106】
実施例6 送り込み流速とOURとの間のフィードバック・ループの開発
送り込み流速とOURとの間のフィードバック・ループは、自動化システムを使用して、微生物集合の最大増殖率が確立できるようにするために開発された。集合の最大増殖率は、重要である。なぜなら、最大増殖率は、代謝経路を通した流量の目安を与え、その結果当該経路における酵素の活性の目安を与えるからである。
【0107】
6.1 フィードバック・ループの設計
フィードバック・ループは、使用者が設定した時間の間、BODが設定範囲内に留まる場合、使用者により指定された値分だけ流速を増加させるという制御を使用する。これは、図1及び2に記載された実施態様の装置に関して上で簡潔に記載される。フィードバック・ループを実行するソフトウェアは、制御ソフトウェアを書くために使用される市販のソフトウェアを使用して開発された。
【0108】
6.2 送り込み流速とOURとの間のフィードバック・ループの試験
1,3-プロパンジオール-分解性微生物の単離株を、送り込み流速とOURとの間のフィードバック・ループを試験するために使用する。送り込み培地は、461Sと名付けられた合成培地であり(付表I)、当該培地は1.0g/lの1,3-プロパンジオールを含み、そして初期流速は43.5ml/hであった。稼動温度は30℃であり、そしてpH7.0であった。当該培地を、約700mlの活性汚泥を用いて接種した。4容器体積の間、BODが一定であった場合、送り込み溶液流速を20ml分増加させた。1,3-プロパンジオールが過剰量存在するため生じるBODの初期ピーク後、BODは、流速の範囲のあいだ一定のままであった。流速は、BODの大幅な変化を伴わずに、数日間にわたり43.5ml/hから143.5ml/hに段階的に増加され、これにより、確立された微生物集合が、3.6〜12時間の倍化時間で増殖することができるということが示された。3.6時間の倍化時間では、BODは変化せず、確立された集合が、当該実験において試験された最大値より早く増殖することができる能力を有することが示唆された。当該観察結果は予測されたものである。なぜなら、実験の開始時のBODにおける初期ピークから得た集合の予測μmaxが約0.25h-1(2.8時間の倍化時間)であったからである。さらに高い倍化時間は、培養物内で確立された微生物集合のいずれかで達成することができる。なぜなら、より高速で増殖できる突然変異体が、早い送り込み流速で選別されるという見込みが存在するからである。流速の変化に対する培養物の応答が図12に示される。
【0109】
実施例7 酵素発見方法の使用
当該実施例の目的は、当該方法が特異的酵素を発見するために使用することができるということを示すこと、並びに当該酵素の速度論的振る舞いを選び、そして制御できるということを示すことである。当該方法は、(i) 1,3-プロパンジオール分解活性の発見、及び(ii) 発見された酵素の特異的活性を、発見プロセスのコースの間制御された様式で変化可能であることを示すために行われた。この目的のため、1,3-プロパンジオールを唯一の炭素源として使用した。原核生物システムにおいて、第一クラス酵素の中で酸化還元酵素は、炭素源を分解するために使用される。その結果、1,3-プロパンジオールに特異的なデヒドロゲナーゼを発見できる可能性は高かった。さらに、実施例6に記載されるように、フィードバック・ループを使用することにより、送り込み溶液流(つまり希釈率)の増加は、高1,3-プロパンジオール・デヒドロゲナーゼ活性、つまり1,3-プロパンジオールを迅速に代謝できるデヒドロゲナーゼ活性の増加、を有する微生物の選別をもたらす。[つまり、高い酵素活性を有する微生物は、高い希釈率(送り込み流量が高い)で増殖することを予期される]。この仮定が正しい場合、高い希釈率で当該方法から回収された微生物単離株において、1,3-プロパンジオール・デヒドロゲナーゼの特異的活性の増加により、大まかなレベルで指し示される。
【0110】
送り込み溶液は、1.0g/lの1,3-プロパンジオールを含んだ付表1の二番目に記載されている合成培地416Sであった。開始温度は30℃であり、pH7.0であった。反応容器は、水中に懸濁された混合微生物集合(活性汚泥)約700mlで植菌された。希釈率は0.058h-1〜0.378h-1の範囲であった。
【0111】
当該システム中でバイオマス濃度を測定するために、各流速変化の後、及び3容器体積の最小量がシステムを通過した後にサンプルを取った。600nmで計測した光学密度を、バイオマス濃度の計測として使用した。当該培養物が定常状態になった後、そして流速が増大する前に、サンプルを取った。各流速の変化の後で、光学密度は約0.3で安定したが、163.6ml/hの流速で有意に減少した(図12)。バイオマス濃度の減少は、容器内の微生物集合の多様度の減少と相関する。流速のさらなる増加は、培養物の流失をもたらさなかった。実際、培養物の光学密度は、回復し、そして290ml/hの流速まで、約0.3で維持された。
【0112】
当該サンプルは、各希釈率で、1,3-プロパンジオールを伴う416S培地上に蒔き、そして異なる形態を有するコロニーを、純粋な培養物として確立した。全部で66個の単離株を得た。使用するこの選択された単離株のうちの1つの同定は、16SリボソームRNA配列決定を使用して行われた。単離株番号7#1は、ゴルドニア・デスルフリカンス(Gordonia desulfuricans)の16SリボソームRNA配列と98%の相同性を示した。1,3-プロパンジオールの産生は、クレブシエラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、シトロバクター(Citrobacter)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、及びクロストリジウム(Clostridium)を含む幾つかの他の細菌属において示されたが(Huang 2002, Nakamura 2003)、我々の知る限り、ゴルドニア属は、1,3-プロパンジオール代謝に関して報告されたことが無いし、さらに固有の微生物の単離方法又は微生物についての新たな活性の発見方法の利用を強調されたこともない。
【0113】
流速の範囲で得られた7の単離株は、更なる研究のため選ばれる。1,3-プロパンジオール・デヒドロゲナーゼを、無細胞抽出物であって、1,3-プロパンジオールを炭素源として含むバッチ培養中で増殖させた後の各単離株から得た抽出物中で計測した(表6)。
【0114】
【表6】

【0115】
上記表6は、選択された単離株における1,3-プロパンジオールデヒドロゲナーゼの比活性を記載する。酵素活性を無細胞抽出物中で検出した。初期定常増殖相の間において浸透フラスコ培養物を回収した後に、4℃、12227×gにて15分間遠心することにより、無細胞抽出物を得た。細胞ペレットを、100μM・MnCl2を含む50mM HEPES-緩衝液中で洗浄した。細胞ペレットを、次に1mM・EDTA、0.1%トリトンX-100、1mM・PMSF、2mM・MgCl2、0.5mg/mlリゾチーム、5μg/ml・DNAseを含む50mM・Tris-HCl・pH8.0のペレット重量と等量の体積中で懸濁した。懸濁された細胞1mlあたり1グラムのガラスビーズを加え、そして1分間ボルテックスすることにより溶解した。4℃、12000×gにて5分間遠心することにより、ライセートを、ガラスビーズ及び細胞破砕物から分離した。酵素活性を、石英キュベット中で、1分間にわたり340nmでNADHの形成を計測することにより測定した。反応混合物は、0.05M・Na2CO3(pH9.5)、2mM・NaD+、0.1M・1,3-プロパンジオール、及び50μl無細胞抽出物からなり、採取体積は1mlであった。全ての酵素アッセイを三回行い、平均化した。酵素活性の1ユニットは、一分あたりの1モルの生成物の形成に等しい。無細胞抽出物のタンパク質濃度は、ブラッドフォード法(Bradford, 1976)により、BSAを標準として測定された。タンパク質分析を三回行った。
【0116】
希釈率を増加させることにより、我々は、基質流と1,3-プロパンジオール・デヒドロゲナーゼの比活性との間の相関を示した。これは図13に示される。当該酵素活性試験により、高希釈率で単離された微生物が増大された比酵素活性を有するということが示された。
【0117】
その結果当該実施例により、当該方法が選択された酵素活性を特異的に発見するために使用することができるということが示される。当該実施例により、選択された酵素の比活性を希釈率とフィードバック・ループとを使用して制御することができるということ、そして以前に記載されていない表現型を有する微生物を単離できるということが示される。
【0118】
実施例8 極限微生物の発見方法の使用
8.1 極限微生物の発見方法の使用
本実施例の目的は、当該方法を使用して好冷微生物を、容易に利用できる微生物源から単離することができるということを示すことである。Stanierら(1987)によると、好冷微生物は、0℃で増殖できるものとして定義される。しかしながら、温度に基づいた分類が、ある程度任意のものであるということに注意すべきである。なぜなら、当該分類は、特定の単離株について、増殖が可能であるという温度範囲を説明するものではないからである。例えば、ザントモナス・ファルミコラ(Xanthomonas pharmicola)は、0〜40℃の範囲の温度で増殖でき、そして好冷菌として分類される。この実験では、増殖培地の凍結を避けるために増殖温度として4℃を選択した。当該培地の凍結は、さらに低温で生じることが予期される。当該発見プロセスは、さらに低い温度で行うことができるが、4℃未満の温度での実行は、凍結を避けるために、培地に更なる溶質の添加を必要とするであろう。
【0119】
好冷菌の発見は、本発明の方法を使用して、上記装置上で行った。選択圧(この場合、4℃で酢酸を唯一の炭素源として利用できる能力)をかけることにより、必要とされる特徴を有する微生物の集合を、容易に確立した。
【0120】
水中に懸濁された混合微生物集合を、好冷微生物を発見するための微生物源として使用した。当該発見プロセスを4℃及びpH7.0で行った(当該pHを、水酸化アンモニウム又はリン酸溶液の自動添加により、7.0に維持した。)。送り込みライン中での増殖を妨げるために、試験基質(炭素源)を、基質とは別々に容器内に加えた。栄養送り込み溶液は、付表1の416S合成培地であった。栄養送り込み流速は、20ml/hであり、そして基質(16.6g/l、酢酸ナトリウム・三水和物)流は、6ml/hであり、全体で26ml/hであった。これらのパラメーターは、18.4hの倍化時間(0.038h‐1の希釈率に一致する)をもたらし、そして2.3g/lの計算された送り込み酢酸濃度をもたらした。
【0121】
容器に微生物集合を加えた後では、BODは高かった(600mg/l超)。BODの漸進的な減少は、おそらく活性汚泥中の容易に生分解する残存炭素のいずれかが消費されるため生じる。
【0122】
図14は、活性汚泥由来の微生物の4℃酢酸上で増殖する間の、時間に対する出力(BODの点で)のグラフである。
【0123】
この出力は、稼動後の最初の100時間(約4日間)は、目だって増加せず、その後、BODの漸進的な増加が観察された。稼動後約220時間(約9日間)後に、BODはピークに達し、そして300時間後に安定した。観測される培追う物の活性の大幅な増加に係る時間は、30℃における典型的な稼動より、ずっと長かった。これは、当該方法において課される条件及び細胞プロセスにおける極限条件の効果が過酷であるということを注目させる。これらの観察はまた、培養状態のリアルタイム評価を提供する方法の価値を注目させ、極限条件下で所望の機能を発揮するか又は扱いにくい化合物を特異的に変形させる微生物を発見する試みの際に重要である特徴を注目させる。当該培養物の光学密度は、234時間〜402時間の間、600nmで経時的に計測され、そして1.36に平均化された。光学密度が、168時間に渡って、約1.3に維持されたという事実により、容器内の好冷微生物の集合が、4℃の温度で生存でき、そして繁殖できるということが示された。容器内の一定のバイオマス濃度は、当該方法の出力と一致し(同じ時間にわたり一定であった)、そして当該技術分野に周知である出力が微生物集合の状態の間接的なリアルタイム計測として使用できるということが示された。
【0124】
培養の顕微鏡試験により、鎖状の大型桿菌(又は小型酵母)及び小さい運動性細菌;フンガル・ヒファエ(Fungal hyphae)が認められた。
【0125】
266時間後、基質ポンプの流速は増加し、それにより送り込み溶液における酢酸濃度を2.3g/lから3.1g/lへと変化させた。酢酸濃度の増加は、BOD及び光学密度の増加を招くことが予期されるが、いずれかのパラメーターの増加は、観察されなかった。同様に、2.3g/lの酢酸を含む送り込み溶液は、約720mg/lのBODに達することが予想されたが、どちらのパラメーターの増加も観察されなかった。同様に、2.3g/l酢酸を含む送り込み溶液は、約720mg/lのBODに達することが予期されたが、出力は、400〜450mg/lで安定した。これらの観察から、炭素源よりはむしろ温度が増殖を制限し、低い温度では炭素又は他の栄養の使用効率が悪いか、或いは低温での増殖は、炭素源以外の過剰レベルの1以上の栄養を必要とするということが示唆される。
【0126】
当該方法を4℃で行うことにより、4℃において炭素源として酢酸上で増殖する好冷微生物集合が確立された。発見プロセスは、30℃において典型的に観測されるよりも4℃ではゆっくりである(低温では多くの細胞過程がゆっくりになるので、この観測は予想されないものではない)が、好冷集合は、それにもかかわらず確立された。それゆえこの実施例により、当該方法がかなり広い用途を有し、そして低温で増殖する微生物を単離するために使用することもできる。
【0127】
8.2 好熱性細菌の発見方法の使用
本実験の目的は、本発明の方法を使用して好熱性微生物を、容易に利用できる微生物源から単離することができるということを示すことである。好熱微生物は、高い温度で増殖する微生物として定義されている(Brock及びMadigan、1988)。この定義は主観的であり、そしてこの定義に適合する微生物の例がいくらか明らかになっている。好熱性微生物の例はサーマス(Thermus)であり、この微生物は約60℃の最適増殖温度を有し、そして42℃〜69℃で増殖できる。極限好熱細菌は、この群のメンバーで定義され、かなり高い最適温度を有するものと認められる。例えば、サーモコッカス(Thermococcus)は、約87℃の増殖最適温度を有する(Brock及びMadigan、1988)。
【0128】
好熱細菌の発見は、上で記載される装置及び技術を使用して行われた。選択圧(この場合、80℃で酢酸を唯一の炭素源として利用する能力)をかけることにより、好熱性微生物の集合が確立されることが予期された。高温で溶解された酸素濃度の計測が問題となりうる。なぜなら、多くの溶解酸素電極の基線出力が、高温でかなり高いからである。この問題は、酸素の溶解度についての温度の効果によりさらに複雑にされる。水温が増加すると、水中の酸素の溶解度は低下し、それゆえ高温での溶解酸素濃度の信頼できる計測は必須となる。好熱細菌の発見を可能にするために、本実施例の出力で記載される装置は、高温(最大80℃)で稼動できる溶解酸素電極を設置することを可能にするように変更された。当該容器はまた、熱耐性を改良するように変更され、そして熱入力は、改良された加熱システムを使用して高められた。
【0129】
好熱性微生物の発見のために、水に懸濁されている混合微生物集合を微生物源として使用した。当該発見プロセスを、80℃で行った。送り込みライン中での増殖を妨げるために、試験基質-炭素源(酢酸)‐を、栄養培地とは別々に容器に加えた。送り込まれた栄養培地は、付表1に記載の合成培地461Sであった。栄養培地の送り込み流速は、52ml/hであり、そして当該基質(16.6g/l酢酸ナトリウム三水和物)流は、1.9ml/hであった。これらのパラメーターは、9時間の倍化時間をもたらし、そして0.26g/lの計算された送り込み酢酸濃度をもたらした。
【0130】
16日後、かなりの微生物活性が、容器内で検出された(酸素消費により計測する場合)。80℃で、計測された溶解酸素飽和濃度は、約3mg/lであった(因みに、30℃では、溶解酸素飽和濃度は約7mg/lであった。)。当該方法及び装置が、80℃で溶解酸素濃度の変化を検出でき、そして溶解酸素電極が正しく作動されているということを示すために、当該容器を通気サイクルの終わりに窒素で曝気した。窒素曝気の間、溶解酸素プローブの出力は、1g/l未満に低減し、そうして溶解酸素の変化が80℃で計測できることを示唆した。溶解酸素濃度におけるかなり少ない変化が、この実験の間観察されたということに注意すべきである。この変化は、約0.002mg酸素/分であった。溶解酸素濃度の変化は、おそらく装置の構成要素の感受性をおそらく超えているが、培養物を、作動の16日後、顕微鏡により試験した。サンプルの顕微鏡写真を図15に示した。
【0131】
試験されたサンプルは、体積で1.2mlであり、そして2分間遠心され、そして約25μlの培地中に懸濁した。濃縮されたサンプルを、1000倍の倍率で位相差顕微鏡により液浸で試験した。
【0132】
顕微鏡写真により、小さい桿型細菌細胞の存在が明確に示された。図15を参照のこと。細胞数はかなり少なかった(顕微鏡写真に供したサンプルは、約50倍に濃縮されている)。これは、この試行のかなり低い出力と相関する。顕微鏡写真では明らかにならないが、桿型細菌の幾つかは運動性であり、細胞のいくつかが生存していることを明らかに示した。これらの観察により、本発明の方法を用いて極限好熱細菌を回収することができるということが示唆された。
【0133】
限定的ではあるが、本発明の方法により好熱性微生物の発見が容易になったことを示唆する幾つかの証拠が存在する。好熱性微生物の活性が低いことについてのあり得る理由は、以下のものである:(i)酢酸は初期集合に存在する好熱細菌の好ましい基質ではない。(ii)好熱細菌には当該希釈率が高すぎた。(iii)装置に植菌するのに使用されたサンプル(微生物集合)中で80℃にて増殖できる微生物の数がかなり少なかった。そして(iv)当該サンプル中に存在する微生物のタイプは、80℃で十分に増殖できないかもしれない[典型的に、極限好熱性微生物は、温泉地、間欠泉、及び深海熱噴出口で見つかる(Brock及びMadigan,1988)]。上記の問題は、本発明の方法を制限するものではなく、そして全ての同様のものが、当該方法の動作パラメーター及び/又は当該方法に使用される微生物の異種集合を変化させることにより容易に解決できるということが認められるべきである。本実施例により、高温で増殖する微生物を発見するために当該方法を使用できるということが示される。
【0134】
実施例9 嫌気性微生物の発見
酸素プローブを含み、酸素取り込み率の計測に適した上記装置は、好気性(酸素依存性)微生物の発見に適している。本研究の当該部分の目的は、当該方法が、嫌気性細菌の発見を容易にするために使用できるということを示すことである。それゆえ、当該装置は、嫌気呼吸に用いられる分子を検出できるプローブの使用して、嫌気性微生物の単離を可能にするように変更された。嫌気性細菌の単離方法を使用する能力は価値がある。なぜなら、潜在的に異なる代謝経路を有する別の細菌群を利用することは、微生物及び酵素の多様性を増大し、それは、本発明の方法を使用する際に利用できるからである。
【0135】
嫌気性微生物により使用されうる一連の電子受容体が存在する。電子受容体は表7に記載されるものを含む。
【0136】
【表7】

【0137】
上で記載される装置は、硝酸イオン選択的電極の設置できるように変更した。硝酸を、嫌気性細菌の発見を行うために、酸素の変わりに最終電子受容体として選択した。脱窒、つまり、酸素がない状態で硝酸が最終電子受容体として使用され、そして窒素のさらに還元された形態に変換される過程、はかなり一般的である(Brock及びMadigan、1988)。それゆえ、嫌気性硝酸呼吸をできる混合集合中の微生物は、かなり存在しそうである。硝酸塩を、アナログ出力を伴う研究室ベンチ測定法を使用して連続的に計測し;標準データー収集技術に基づいて、この目的のため開発したコンピューター及び単純なソフトウェアを使用して記録した。
【0138】
硝酸塩を、栄養送り込み溶液(付表1の合成培地)中にKNO3として、1g/lの濃度で加えた。酢酸塩を、試験基質(炭素源)として使用した。発酵性嫌気性微生物の増殖を抑制するために、発酵可能な基質について酢酸塩を選択し、そして当該装置を、窒素で曝気して、嫌気性条件を維持した。酢酸塩を、1.2g/lの量で使用し、そして液体送り込み流速は30ml/hであった。容器を、栄養培地で満たして、送り込み栄養培地に加えられた硝酸塩に対する硝酸塩プローブの応答を確立した。
【0139】
初期pHをpH7に設定し、そして温度を30℃に設定した。硝酸塩プローブの応答は、ほぼ一定であった。約285〜320ml/lに4.5時間かけて徐々に増加させた。容器を次に試料ポートから排水し(容器体積の約三分の1を失った)、そして水に懸濁された混合微生物集合(活性汚泥)で満たした。これは、容器内への硝酸塩の部分的な希釈を招き、そして硝酸塩プローブの出力を低下に一致した。装置を、この状態で1.3時間維持して、初期硝酸塩レベルを達成した。活性汚泥の添加後の相対硝酸塩レベルは、約227mg/lで一定であった。試験基質(酢酸塩)及び栄養ポンプを、30ml/hで開始した。次の17時間、相対窒素レベルは約1mg/lに減少した。これは、図16に記載されている。
【0140】
容器内に加えた初期微生物サンプルからの干渉のため、光学密度は、バイオマス濃度を評価するために使用することができないが、出力において明らかな微生物活性についての2個の指標が存在する。一つ目は、硝酸消費、それゆえ微生物活性の明らかな指標である硝酸塩レベルの減少である。二つ目の指標は、pHである。約17時間の後、pH振動の振動数は増加した。pH変化は、基質消費の指標であり(酢酸塩が消費されるので、pHが増加し、次にpHコントローラーによりpH7になるように戻される)、そして、pH制御の必要性の増加は、硝酸塩消費の最大割合と相関し、それは微生物増殖を指し示す。pH制御はまた、図16に示される。
【0141】
これらのパラメーターは、次の86時間変化せず、その間、硝酸塩プローブは、比較的安定なまま残り、20〜40mg/lの値が記録された。pH及び硝酸塩濃度の結果についての全試行を、図17に示した。
【0142】
硝酸塩又は酢酸塩のいずれかが制限的な栄養であるかを決定するために、試験基質(酢酸塩)送り込みポンプを止めた。酢酸が制限的な栄養である場合、硝酸塩濃度は、上昇することが予想され、基質がないことは、エネルギーを減らし、それゆえ細胞の硝酸塩要求量を低減する。或いは、硝酸塩が制限的な栄養である場合、硝酸塩レベルは、低いまま残る。なぜなら、過剰量の酢酸塩は、消費され続けるからである。酢酸塩ポンプがオフにされた後、硝酸塩の増加が観察されず、それは硝酸塩が制限的な栄養であったことを示唆した。
【0143】
硝酸塩プローブが正確に作動している(バイオフィルムにより詰まっていない)ことを保証するため、122時間後、容器を5mlの218g/l・KNO3を突然注入した。硝酸塩プローブの出力の急激な増加が観察され、プローブが硝酸塩濃度の変化にまだ応答しているということを指し示す。酢酸の送り込みを再開し、そして硝酸塩レベルは再び20mg/lに低減した(図17の注入を参照のこと)。
【0144】
硝酸塩消費が、容器内の活性微生物集合の存在のため生じるということをさらに示すために、培養物を顕微鏡により試験した。
【0145】
図18は、サンプルの顕微鏡写真である。このサンプルを、位相差顕微鏡により1000倍の倍率にて液浸で試験した。微生物細胞は、小さい暗色の短桿菌として見えた。
【0146】
存在している細胞型の数は、10未満と見積もられ(全ての細胞型が、顕微鏡写真において明らかであるわけではない)、数の多いタイプは、非運動性桿菌、運動性桿菌、運動性ラセン菌、及び糸状菌である。この観察により、生存している集合が、嫌気性条件下の本方法により確立され、そして嫌気性試行の間観察されたので、容器に最初に加えられた混合微生物集合は、所望の性質を有する少数または低減された数の微生物に分類された。
【0147】
当該方法は、嫌気性条件下で成功裏に行われ、そして微生物活性は、イオン選択的電極を使用して硝酸塩消費を計測することにより検出された。硝酸塩は、当該実施例中で計測される唯一の最終電子受容体であったが、当該システムは、表7に記載される他の最終電子受容体の検出用に容易に変更することができる。唯一の制限は、適切なイオン選択的電極の利用可能性である。この実施例では、呼吸に使用される分子が計測された。嫌気呼吸の産物(単数又は複数)を検出する電極は、当該方法の微生物発見プロセスをモニターするためにも使用することができる。この実施例は、当該方法は、嫌気性微生物を発見するために使用できるということを示す。
【0148】
本発明の精神と範囲から逸脱することなく、上記好ましい実施態様及び実施例についての変更がされうる。
【0149】
【表8】

【0150】
付表1
培地
合成培地(DM)の組成:
g/l
NH4Cl 1.0
KH2PO4 0.5
10%Na2SO4 2.0ml/l
*MgCl2・6H2O 0.17ml/l
*CaCl2・2H2O 0.01
**微量金属溶液 1.0ml/l
全ての培地を、逆浸透水にし、そしてpH7.0に4M・NaOHで調節した。
全ての化学物質は、分析用品質であった。
必要がある場合、培地を121℃で20分間オートクレーブすることにより滅菌した。多量(20l以下)の送り込み溶液を121度で少なくとも60分オートクレーブした。
【0151】
*マグネシウム及びカルシウムを、オートクレーブした後に濃縮滅菌ストック溶液(17.0g/l・MgCl2・6H2O;1.0g/lCaCl2・2H2O)として加え、オルトリン酸塩とし沈殿することを避けた。
炭素源を、培地をオートクレーブした後に加えた。
固体培地を、15g/lアガーを加えることにより調製した。
【0152】
** 微量金属溶液は以下を含む:
g/l
FeSO4・7H2O 1.0
CoSO4・7H2O 0.2
MnSO4・H2O 0.1
NiCl2・6H2O 0.1
NaMoO4・2H2O 0.05
3BO3 0.062
ZnCl2 0.07
CuSO4・5H2O 0.02
【0153】
DSMZ(独国菌株保存機関-www.dsmz.de/media)により引用されるNagel及びAndreesenにより記載される最小培地の改変である合成培地(461S)の組成:
ml/l
*塩溶液 10
**微量元素ストック 0.7
***リン酸塩溶液 20
【0154】
*塩溶液は以下を含む:
g/l
CaCl2・2H2O 1.0
MgSO4・7H2O 50.0
MnSO4 1.0
NH4Cl 30.0
NaCl 5.0
【0155】
**微量元素ストック中の化学物質は、5M・HCl中に溶解された。微量元素ストックは以下を含んだ:
(注意:FeSO4・7H2Oは、他の構成要素を加える前に5M・HCl中に溶解された)
g/l(5M・HCl)
FeSO4・7H2O 6.56
ZnCl2 0.14
MnSO4・H2O 0.12
3BO3 0.01
CoSO4・7H2O 0.45
CuSO4・5H2O 0.004
NiCl2・6H2O 0.048
NaMoO4・2H2O 0.072
【0156】
***リン酸塩溶液は以下を含む:
g/l
Na2HPO4 72.5
KH2PO4 12.5
【0157】
全ての培地を逆浸透水にし、そして全ての化学物質は分析品質であった。
オートクレーブ前に塩溶液と微量元素ストックを混合することにより培地を調製した。
必要がある場合、培地を121℃で20分間オートクレーブすることにより滅菌した。多量(最大20l)の送り込み溶液は、121℃で少なくとも60分間オートクレーブした。
リン酸塩水溶液は、培地中の金属とオルトリン酸塩が沈殿することを避けるためにオートクレーブした後に加えた。
培地をオートクレーブした後に炭素源を加えた。
固体培地は、15g/lのアガーを加えることにより調製した。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】図1は、本発明の位置の実施態様の装置の模式図である。
【図2】図2は、装置の構成要素をさらに有する図1の装置の模式図である。
【図3】図3は、慣用の分析技術により測定されるOURと微生物活性との間の相関、並びに酢酸を試験基質として使用する異なる慣用分析間の相関を示す。
【図4】図4は、慣用の分析技術により測定されるOURと微生物活性との間の相関、並びに酢酸ナトリウムを試験基質として使用する異なる慣用分析間の相関を示す。
【図5】図5は、慣用の分析技術により測定されるOURと微生物活性との間の相関、並びにベンジル・アルコールを試験基質として使用する異なる慣用分析間の相関を示す。
【図6】図6は、集合の変化とBODとの間の相関、BODと残存基質濃度との間の相関を示す。
【図7】図7は、集合の変化とBODとの間の相関、生細胞の計数を使用して計測される集合の変化と光学密度との間の相関を示す。
【図8】図8は、1-メチル-2-ピロリジノンを培養物へ添加後のBODの増加を示す。
【図9】図9は、活性汚泥由来の微生物の増殖の間の、1メチル-2-ピロリジノンについてのBODを示す。
【図10】図10は、ドデカンを試験基質として使用する活性汚泥由来の微生物の増殖の間のBOD出力を示す。
【図11】図11は、1,3-プロパンジオール分解性の微生物集合のBODに対する流速の効果を示す。
【図12】図12は、異なる送り込み流速で、実施例7の容器から得られたサンプルの光学濃度(OD)の測定値を示す。
【図13】図13は、実施例7に記載される単離株についての酵素活性に対する希釈率のグラフである。
【図14】図14は、実施例8.1における、容器から得た生化学的酸素要求量の時間に対するグラフである。
【図15】図15は、実施例8.2に従った80℃で本発明の方法を行った際の高貴においてとられたサンプルの顕微鏡写真である。
【図16】図16は、実施例9における集合発達の間の容器の内容物についての時間に対する関連する硝酸塩濃度、及び時間に対するpHのグラフである。
【図17】図17は、実施例9を全て行う間の容器の内容物についての時間に対する硝酸塩濃度及び時間に対するpHのグラフである。
【図18】図18は、実施例9に従って本発明を行った際の後期に取ったサンプルの顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験基質を代謝できる微生物を選択的に濃縮し、及び/又は当該試験基質の代謝に関与する酵素を濃縮する方法であって、当該方法が以下のステップ:
a) 容器内に微生物の集合を提供し、
b) 初期流速で開始した制御流速で当該容器中に液体を送り込み、ここで当該液体は、栄養培地及び、送り込み期間の少なくとも一部期間の間、試験基質を含み、
c) 濃縮の時間枠にわたり代謝指標のレベルを指し示すシグナルを産生し、そして
d) 試験基質を代謝する微生物の選択的濃縮、及び/又は当該試験基質の代謝に関与する微生物により産生される酵素の濃縮を評価可能にするシグナルに基づいて出力を提供する
を含む前記方法。
【請求項2】
前記出力が、前記シグナルから電気的に直接産生され、その結果当該出力がオンラインで提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、液体流速の変化をもたらすために前記シグナル出力が合う条件を予め設定し、そして
条件が合ったときに、液体を前記容器内に送り込む流速を変化させ、ここで、当該予め設定された条件が、予め決められた期間及び予め設定された値の範囲の組合せであり、その範囲内で、当該シグナルが予め決められた期間の間維持されなければならない
を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体流速が、前記予め設定された条件が適合する時に増加される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記流速を、前記栄養培地と前記試験基質の両方の流速を比例的に増加させることにより増加させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記代謝指標が、前記試験基質の代謝に関与する分子の取り込み又は放出である、請求項1〜4のいずれか1項に記載される方法。
【請求項7】
前記代謝指標が、酸素、二酸化炭素、炭酸塩、硫酸塩、硫黄、硝酸塩、フマル酸塩、又は鉄の取り込み又は放出から選ばれる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記代謝指標が、酸素、硫酸塩、硫黄、硝酸塩、フマル酸塩、又は鉄の取り込み又は放出から選ばれる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記代謝指標が、酸素の取り込み又は放出であり、そして前記シグナルが酸素プローブにより産生される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記代謝指標のレベルのシグナルに基づく出力が、視覚的出力である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記代謝指標のレベルのシグナルが、時間に対する代謝指標の視覚的な出力として提供される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記視覚的出力が、20分以下の時間で更新される、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記視覚的出力が、10分以下の時間で更新される、請求項10又は請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記微生物の集合が異種集合である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記微生物の集合が少なくとも10の異なる微生物種を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記微生物の集合が活性汚泥である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記微生物の集合が同一種である、請求項1〜13に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、前記濃縮された微生物を単離するステップ、又は前記濃縮された酵素を単離するステップをさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記試験基質が、通常に代謝される基質ではない、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記試験基質が、グルコース又は酢酸塩以外の炭素含有有機分子である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
pH、温度、及び通気条件から選ばれる容器内の条件の1、2、又は全てが、試験基質を容器内に送り始める前に使用者により設定される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
選択圧が、当該選択圧の条件下で濃縮される微生物及び/又は酵素を選択するために容器の内容物にかけられる、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記選択圧が、pHの増減、温度、通気、塩濃度、溶解ガス量、及び化合物の有無のうちの1以上から選ばれる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法により濃縮された微生物が、高温又は低温を耐える、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法により濃縮又は単離される微生物又は酵素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−510419(P2007−510419A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538606(P2006−538606)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001577
【国際公開番号】WO2005/047488
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(303036533)コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガニゼイション (3)
【Fターム(参考)】