説明

扁平な郵便物を狭幅側を下に方向付けるための方法と装置

本発明は、扁平な郵便物(1,2)が起立させられかつ挟持されることなく搬送されるU字形の搬送通路(3)内で該郵便物(1,2)を狭幅側下に方向付ける方法と装置とに関する。この場合には郵便物(1,2)が方向付けのために搬送通路(3)を通過させられる前に当該郵便物の厚さが測定される。それに従って側方制限部又は側方制限区分の間隔は調節メカニズム(7,8,9,10)を用いて、各郵便物(1,2)のために、郵便物(1,2)が搬送通路(3)の端部にてその重力に基づき下方の狭幅側を下にして方向付けられ、各郵便物(1,2)の搬送通路(3)の側方制限部(4)からの間隔が、搬送通路(3)を通して郵便物が搬送される間、当該郵便物の固有剛性が低い場合にも郵便物が坐屈しないような大きさだけ変化させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扁平な郵便物を狭幅側を下に方向付ける、請求項1及び3の上位概念に記載した方法と装置とに関する。
【0002】
郵便物の仕分け機の入口部分においては郵便物スタックはそれぞれ最先端の起立した郵便物が引出されることで自動的に個別化される。個々の郵便物は次いで順次起立した姿勢でプロセス装置、例えばアドレス読取器及びプリンタに搬送される。その際郵便物はプロセス装置にて捩じられても高さがずらされてもならない。しかしこの現象は個別化されたあとでしばしば発生するので郵便物は個別化されたあとで方向付け区間を通過させられる(DE1116602A、DE3709659C2、DE19528829C2、FR2692565A1参照)。この方向付け区間はDE1116602A、DE3709659C2、DE19528829C2及びFR2692565A1の場合には開放したU字形の搬送通路から成っている。この搬送通路にて郵便物は起立した状態で側方からの押圧力なしで搬送される。この際、郵便物は方向付け区間を通過する間、郵便物の重力によって下方の狭幅側(下縁)を下に方向付けされる。この際、方向付け区間は厚さに関する制限された材料スペクトルに合わせて設計されている。つまり、手紙及び葉書のため又は大型郵便物、雑誌等のために設計されている。しかし、大きな厚さスペクトルを加工しようとすると、つまり薄い手紙も雑誌又はマガジンも加工しようとすると、搬送通路の側方制限部の間隔は最大郵便物厚さに合わせて設計されていなければならない。
【0003】
この場合には固有剛性の低い薄い郵便物は幅の広い搬送通路を通過する場合に少なくとも部分的に坐屈することがある。この結果、プロセス装置への後続の搬送区間に引渡される場合に、郵便物の方向付けの不足、搬送不具合、郵便物の損傷及び読取りミスが発生することになる。
【0004】
本発明の課題は、郵便物が狭幅側で起立して、側方からの挟持なしで搬送されるU字形の搬送通路を用いて扁平の郵便物を狭幅側を下に方向付ける方法と装置であって、厚い郵便物も剛性の小さい薄い郵便物も、この薄いやわらかい郵便物が坐屈することなく、方向付けられることができる方法と装置とを提供することである。
【0005】
前記課題は本発明によれば請求項1及び3の特徴によって解決された。この場合には郵便物が方向付けのために搬送通路を通過する前に、郵便物の厚さが測定される。それに従って搬送通路の側方制限部又は側方制限部区分の間隔が郵便物ごとに変えられ、郵便物が搬送通路の端部にて、その重力に基づき、下方の狭幅側を下に方向付けされかつ各郵便物からの搬送通路の側方制限部の間隔が郵便物が搬送通路を通って搬送される間、郵便物の剛性が低い場合にも郵便物が坐屈しないか又は部分的にも坐屈しないような大きさにしかならないように変化させられる。
【0006】
本発明の有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0007】
同時に複数の郵便物を搬送通路を通して搬送したい場合には側方制限をフレキシブルに構成することが有利である。この場合には既知の搬送速度と検出された前縁及び/又は後縁とから、郵便物長さと、郵便物が搬送通路を通して搬送される間の各郵便物の状態とが時間に関連して求められ、これらのデータで、フレキシブルな側方制限部相互の間隔が、搬送通路の長さに亘って、郵便物ごとに、各郵便物厚さ及び長さに適合させられた側方制限部区分が定常波のように郵便物と一緒に移動させられるように変化させられる。
【0008】
又、フレキシブルで郵便物を損なわない搬送通路の側方制限部として、ローラを介して案内された底ベルトと等しい速度で循環する側方の搬送ベルトを設けることも有利である。
【0009】
別の有利な変化実施例では搬送通路の側方制限部として、駆動された多数のローラが設けられ、該ローラの間に、該ローラの支承装置に固定された案内板が取付けられている。この場合には前記ローラの周速度は底ベルトの搬送速度に相応している。
【0010】
郵便物の間の間隔が、搬送通路にて常に1つの郵便物しか存在しないような大きさであると、調節メカニズムがそれぞれすべてのローラを一緒に同じ値だけ調節することで十分である。これによって調節メカニズムは費用的に好適に実現可能になる。
【0011】
以下、本発明は図示の1実施例に基づき詳細に説明する。
【0012】
図1に示されているように送られてきた郵便物2は、少なくとも一方が駆動されかつ位置的に可動に支承されている引渡しローラ11,12と、郵便物2を一方の引渡しローラに向かってわずかな力で押す、図示されていないばねエレメントとを用いて、方向付けるための搬送通路3へ供給される。この搬送通路3の底ベルトは図面を見やすくするために図示していない。この場合、可動に支承された引渡しローラ12は郵便物2によって外方へ押される。この運動は厚さセンサ13によって評価され、その測定値は制御ユニット15に供給される。
【0013】
搬送通路の側方制限部はローラ5,6を介して案内された、底ベルトと等しい速度で循環する側方の搬送ベルト4から成っている。この場合、ローラ5,6の一方は駆動されている。位置的に不動である引渡しローラ11側にある側方の搬送ベルト4は同様に位置的に不動に配置されている。搬送通路3の他方の側にある側方の搬送ベルト4の位置的に可動な引渡しローラ12の後ろにある対応するローラ6は、ローラレバー7に可動にかつ回転可能に支承されている。ローラレバー7はレバー旋回点8を中心として旋回可能で、圧縮ばね10で、予定された最狭の通路幅を有する静止位置に保持される。旋回運動はそれぞれローラレバー7に作用する偏心体9を有する調節モータによって与えられる。搬送通路3の手前には光電ボックス14があり、この光電ボックス14は同様に制御ユニット15に接続されている。郵便物1,2の絶縁と後縁を検出する光電ボックス14と既知の搬送速度とによって制御ユニット15において、郵便物の長さと厚さセンサ13によって郵便物の厚さが検出された時点での郵便物1,2の状態とが求められる。これに応じて調節信号が偏心体9を有する調節モータに伝送される。この結果、偏心体が調節されかつローラレバー7は、ローラ6が搬送ベルト4と一緒に外へ動かされ、各郵便物1,2が搬送通路3を通して搬送される間、郵便物1,2にはその最大厚さよりもいくらか大きい通路幅が提供される。これにより郵便物1,2は挟持されることなく搬送通路3を通過し、下方の狭幅側を下に方向付けられるが、郵便物1,2が坐屈することはなくなる。送出される郵便物1に比較的に短い間隔をおいて続く郵便物2が異なる厚さを有している場合には、これに相応して郵送通路入口におけるローラ6は、郵便物前縁が搬送通路入口に達する直前に相応して外へ動かされる。すなわち、これは先行する郵便物1の後縁が入口領域を過ぎたあとで行なわれる。したがって位置的に可動なローラ6はその領域にある郵便物1,2の厚さに相応して移動させられる。これによってこの側方制限部においては郵便物1,2と一緒に移動する定常波の形式の運動が発生する。
【0014】
郵便物1,2の間の間隔が大きく、搬送通路3内で常に1つの郵便物1又は2しか搬送されかつ方向付けされないと、搬送通路3内で郵便物を追跡する必要はない。この場合にはローラ6を一緒にかつ統一的に調節することで十分である。この場合には図2に相応して搬送通路3の入口の前で測定された厚さ変化に際して、制御ユニット15にて偏心体9を有する1つの調節駆動装置のためだけに調節信号が形成される。調節駆動装置はこれに従って押し棒16を移動させ、押し棒16と可動に結合されたローラレバー7が等しい値だけ一緒に旋回させられる。この旋回運動によって搬送通路3は、それ自体坐屈するフレキシブルな郵便物1,2が挟持されることなく搬送されることが保証される所定の値を、測定された郵便物厚さに加えた値に合わせて調節される。押し棒16を介して一緒に調節されることに基づき、不作用位置への戻しは1つのローラレバー7だけにて、これに作用する圧縮ばね10で行なうことができる。もちろん、側方の搬送ベルト4の調節は、関係技術者に周知の他の駆動装置で行なうこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ローラを介して案内された側方の搬送ベルトを有し、ローラの位置が一方の側で個別に調節可能である該当装置の概略的な平面図。
【図2】ローラを介して案内された側方の搬送ベルトを有し、片側のローラの位置が一緒にかつ統一的に調節可能である該当装置の概略的な平面図。
【符号の説明】
【0016】
1,2 郵便物
3 搬送通路
4 搬送ベルト
5,6 ローラ
7 ローラレバー
8 レバー旋回点
9 偏心体
10 圧縮ばね
11 引渡しローラ
12 引渡しローラ
13 厚さセンサ
14 光電ボックス
15 制御ユニット
16 押し棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な郵便物(1,2)を狭幅側を下に方向付ける方法であって、駆動された底ベルトを有するU字形の搬送通路(3)を使用し、該搬送通路(3)内で扁平な郵便物(1,2)が相前後して、所定の区間に亘って、一方の狭幅側で起立させられた状態で、挟持されることなく搬送される方法において、
(イ)方向付けようとする郵便物(1,2)が搬送通路(3)に達する前に当該郵便物(1,2)の厚さを測定すること、
(ロ)それぞれ測定された郵便物厚さに相応して搬送通路(3)の側方制限部(4)又は側方制限部区分の間隔を変化させ、各郵便物(1,2)が搬送通路(3)の端部にてその重力に基づき下方の狭幅側を下に方向付けし、各郵便物(1,2)からの搬送通路(3)の側方制限部の間隔を当該郵便物が搬送通路(3)を通って搬送される間、郵便物の固有剛性が小さい場合でも郵便物が坐屈しないように又は部分的にも坐屈しないように変化させること、
以上(イ)(ロ)の方法段階を特徴とする、扁平な郵便物を狭幅側を下に方向付けする方法。
【請求項2】
前記側方制限部(4)の少なくとも一方がフレキシブルに構成されており、既知の搬送速度と検出された前縁及び/又は後縁とから郵便物長さと、搬送通路を当該郵便物が搬送される間の郵便物の状態を時間に関連して検出し、このデータで前記側方制限部(4)の間隔を搬送通路(3)の長さに亘って各郵便物(1,2)のために変化させ、フレキシブルな側方制限部(4)の各郵便物厚さと長さとに適合させられた側方制限部区分を定常波のように郵便物(1,2)と一緒に移動させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
扁平な郵便物(1,2)を狭幅側を下に方向付ける装置であって、駆動された底ベルトを有するU字形の搬送通路(3)を使用し、該搬送通路内で扁平な郵便物(1,2)を相前後して所定の区間に亘って狭幅側で起立させて挟持することなく搬送する形式のものにおいて、
(イ)それぞれ方向付けしようとする郵便物(1,2)が搬送通路(3)に達する前に、当該郵便物(1,2)の厚さ検出するための測定装置(13)を有していること、
(ロ)それぞれ測定された郵便物厚さに相応して搬送通路(3)の側方制限部(4)の間又は側方制限部区分の間の間隔を変化させるために少なくとも一方の側方制限部(4)に作用する調節メカニズムを有し、搬送通路(3)の端部にて郵便物(1,2)がその重力に基づき下方の狭幅側を下に方向付けられ、各郵便物(1,2)からの搬送通路(3)の側方制限部(4)の間隔が当該郵便物が搬送通路(3)を通して搬送される間、当該郵便物の固有剛性が小さい場合にも、当該郵便物が坐屈しないか又は部分的にも坐屈しないような大きさに設定されることを特徴とする、扁平な郵便物を狭幅側を下に方向付ける装置。
【請求項4】
搬送通路(3)の側方制限部(4)として、ローラ(5,6)を介して案内された、底ベルトと等しい速度で循環する側方の搬送ベルト(4)が設けられている、請求項3記載の装置。
【請求項5】
搬送通路(3)の側方制限部(4)として、駆動されたローラ(5,6)が設けられており、該ローラ(5,6)の間に該ローラ(5,6)の支承部に固定された案内板が取付けられており、これらのローラ(5,6)の周速度が底ベルトの搬送速度に相応している、請求項3記載の装置。
【請求項6】
調節メカニズム(7,8,9,10)が少なくとも一方の搬送ベルト(4)の各ローラ支承部に作用し、側方の搬送ベルト(4)相互の間隔が、既知の搬送速度及び検出された前縁及び/又は後縁との助けを借りて求められた郵便物長さ及び郵便物が搬送通路(3)を通って案内される間の各郵便物の状態に関連して、搬送通路(3)の長さに亘って、各郵便物(3)のために、各郵便物厚さ及び長さに適合させられた搬送ベルト区分が定常波のように郵便物(1,2)と一緒に移動するように変化させられることを特徴とする、請求項4記載の装置。
【請求項7】
搬送通路(3)内に常に1つの郵便物(1又は2)しか存在しないような間隔を郵便物(1,2)が有している場合に、それぞれすべての調節可能なローラ(6)が一緒に同じ値だけ調節可能であるように調節機構(7,8,9,10)が構成されている、請求項4又は5記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−525109(P2006−525109A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504855(P2006−504855)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003147
【国際公開番号】WO2004/096454
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】