説明

扁平上皮細胞肺癌の予後予測プロセス

本明細書で開示されるのは、限定されたミクロRNA配列のレギュレーションの変化を観察することで、扁平上皮細胞肺癌の予後予測を行う方法である。この配列はhsa−mir−146b、hsa−mir−191、hsa−mir−206、hsa−mir−299−3p、hsa−mir−155、hsa−mir−15a、hsa−mir−122a、hsa−mir−513、hsa−mir−184、hsa−mir−511、hsa−mir−100、hsa−mir−10a、hsa−mir−453、hsa−mir−379、hsa−mir−202、hsa−mir−21、hsa−mir−126、hsa−mir−494、hsa−mir−432、hsa−mir−370、及びこれらの配列の組み合わせを含み得る。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2007年10月30日に出願された同時係属の米国仮特許出願第60/983,756号の優先権及び利益を主張し、その出願の全内容は本明細書に参照により組み込まれている。
【0002】
〔配列表、表、又はプログラム表の参照〕
本出願は、以下に記載されている「配列表」を参照し、これは「Sequence listing.txt」と題された電子文書(6kb、2008年10月29日作成)として提供されており、その全文が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
〔発明の分野〕
本発明は、1つの実施形態では、限定されたミクロRNA(miRNA)配列を製造する際のレギュレーションの変化を観察することによって扁平上皮細胞肺癌の予後診断を提供する方法に関する。特定の配列のアップレギュレーション及びダウンレギュレーションを観察することにより、癌細胞の存在並びに癌の予後が判定され得る。
【0004】
〔発明の背景〕
肺癌は、世界的に癌関連の死亡の最も一般的な原因であり、一方、非小細胞肺癌(NSCLC)は最も頻繁に見られる種類の気管支癌である。非小細胞肺癌は、米国においては肺癌による全死亡数の80%の原因となっており、主に腺癌、扁平上皮細胞癌(SSC)、及び頻度は少ないが大細胞癌で構成されている。潜在的に治癒の可能性のある手術にも関わらず、約40%の患者が5年以内に再発する。近年の非小細胞肺癌のゲノムプロファイリングにより、この疾患をもつ患者の予後予測に対する新たな洞察が得られた。これらのゲノム分類器は、外科的切除に加えて化学療法が有効であり得る早期非小細胞肺癌患者の特定のために、最大数百までの遺伝子を含むことができる。
【0005】
〔発明の概要〕
1つの形態では、本発明は、細胞サンプルにおける扁平上皮細胞肺癌の存在の検出方法を含む。出願人らは、野生型細胞と比較して、扁平上皮細胞肺癌で異なった形でレギュレートされる特定のミクロRNAを発見した。そのようなミクロRNAのレギュレーション変化の度合いを判定することで、組織サンプルが扁平上皮細胞肺癌細胞を含んでいるかを判定することができる。
【0006】
もう1つの形態は、本発明は扁平上皮細胞肺癌の予後予測の方法である。出願者らは、扁平上皮細胞肺癌の患者の予後予測を可能にする他の特定のミクロRNAを発見した。これらのミクロRNAを監視することにより、より正確な予後診断を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付図面を参照して開示される。
【図1A】対象となるミクロRNA配列の数と予後予測の相関グラフ。
【図1B】2つの異なるmiR−146b発現レベルの、時間に対する生存率の相関グラフ。
【0008】
対応する参照文字は、幾つかの図を通じて対応部分を示す。本明細書に提示された例は、本発明の幾つかの実施形態を説明しているが、いかなる形においても、本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。
【0009】
〔詳細な説明〕
定義
用語「レギュレーションの変化」は、野生型細胞の同一の細胞成分の存在量と比較した、ミクロRNAなどの細胞成分の存在量の変化を意味する。用語「ダウンレギュレーション」は、当該細胞成分の存在量の減少を意味し、用語「アップレギュレーション」は成分の存在量の増加を意味する。
【0010】
異なるミクロRNAレギュレーションによる扁平上皮細胞肺癌の特定
扁平上皮細胞肺癌組織が野生型組織と比較され、異なった形で発現した15のミクロRNAが特定された(表1)。組織サンプルは細胞株と臨床サンプルとの両方を含んでいた。全RNAが従来の技術に従って細胞サンプルから抽出された。例えば、瞬間冷凍されたサンプルにはmirVana分離キット(アンビオン(Ambion))、及びホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルには、RecoverAll(商標)Total Nucleic Acid分離キット(アンビオン)を使用することができる。他の従来のRNA抽出方法を使用することもできる。全RNAが抽出されたら、小さな(40ヌクレオチド未満)RNAはゲル電気泳動によって分離することができる。サンプルは、特定のミクロRNA配列の識別及び存在量を判定するために分析された。識別及び存在量の判定には、いかなる好適な技術を使用してもよく、例えば、mirVana Bioarray(アンビオン)のような市販のミクロRNAキットがあるが、これに限らない。異なった形で発現した15のミクロRNAが扁平上皮細胞肺癌細胞で特定されたが、これは野生型サンプルと比べ大幅に異なる発現を有した。これらの配列は、表1に示される。
【表1】

LN=肺正常信号強度(ログ2);LC=肺癌信号強度(ログ2)
倍変化=2(LC−LN)
【0011】
本発明の1つの実施形態では、1つのサンプルが、表1の特定のミクロRNA配列の存在量を判定するために分析される。このサンプルは、例えば外科手術時に入手したサンプルなどの組織サンプルであってよい。あるいは、サンプルは、例えば血液サンプル又は似たような供給源から非浸襲的に入手してもよい。サンプル内の特定のミクロRNAの存在量が判定され、平均的サンプルと比較したレギュレーションの変化が観察される。ミクロRNAは細胞外でも生き残ることが知られているため、遊離ミクロRNAは、扁平上皮細胞肺癌のためのスクリーニング方法を提供することができる。このようなスクリーニングは、簡単な血液検査などの非浸襲的なサンプリング技法を用いて行うことができる。この方法によって、ハイリスクグループの患者を定期的に検査して、早期段階の癌を特定するのを助けることができる。
【0012】
別の実施形態では、ミクロRNA存在量を観察して、扁平上皮細胞肺癌を腺癌から識別する。ミクロRNA発現のレギュレーションの変化を観察することによって、細胞の形態が不明瞭な場合でも、こうした識別を行うことができる。
【0013】
扁平上皮細胞肺癌の予後診断
追加的なミクロRNA配列が発見されており、これにより、扁平上皮細胞肺癌の予後予測が可能になった。20のミクロRNA配列が、扁平上皮細胞肺癌の予後と密接に関連するものとして特定された。臨床サンプルは、1991年10月から2002年7月にかけて収集された。患者それぞれの病歴も収集され、変化したレギュレーションを発現したミクロRNAと患者の予後との相関が確認された。この相関プロセスの詳細は、本明細書の別の箇所で説明されている。このように、患者の予後に強い影響を与えるミクロRNAが特定された。特定された配列は、表2に記載されている。
【表2】

平均値_0及び平均値_1はそれぞれ、野生型組織及び癌組織である。
【0014】
5倍相互検証によって、miR−146b(配列番号15)のみを使用した場合の3年以内の全体的生存率予測の最高平均値は78%であったことが分かった。3つ以上の追加的ミクロRNAをMir−146bに線状に追加すると、予測の正確さは約68%低下したが、その後は安定した。図1Aを参照。高いmiR−146アップレギュレーションの患者は、低いmiRNA−146bグループ(95ヶ月)に比べ、全体的な生存率が大幅に悪かった(26ヶ月)。図1Bを参照。図1Bでは、「高い」miRNA−146グループ(2つの線のうち下の方)は、miRNA−146レベルが中央値を超えるものとして定義されている。「低い」miRNA−146グループ(2つの線のうち上の方)は、miRNA−146が中央値未満のものとして定義されている。
【0015】
特定のミクロRNA配列の存在量を測定することで、予測される予後を患者に提供することができる。例えば、特定の配列のミクロRNA存在量を時間に応じた患者の生存可能性と相関させた統計データを収集することができる。例えば、特定のミクロRNA配列で大きなレギュレーションの変化のある患者の場合、そのデータは、次の3年以内の寛解の可能性が78%であることを示唆し得る。この予後予測は、当該患者に提供することができる。図1Bは、miR−146bのサンプルデータを提供するものだが、こうしたデータは制限的なもとして解釈すべきではない。患者の人口学的情報などの追加的なデータが考慮される場合があるため、そのようなより広範な統計情報が収集される。
【0016】
ミクロRNAは、従来の技法を使用して組織サンプルから抽出することができる。こうしたサンプルは、外科手術中に取得することができる。あるいは、ミクロRNAは、非組織サンプルから分離することができる。例えば、ミクロRNAは、血液、便、尿、又はその他の生体サンプルから分離することができる。サンプルから発見された特定のミクロRNA存在量は、正常なサンプルと比較される。アップレギュレートされた又はダウンレギュレートされたRNA存在量は、癌の兆候を示し得る。
【0017】
特定されたミクロRNA配列の存在量は、任意の既知の技法に従って判定することができる。これに限定されないが、実例として、QPCRを使用してもよい。
【0018】
添付の配列表のミクロRNA配列は、一般的に分離されるミクロRNA配列を示す。リストされた配列の末端における変化は、当該技術分野において既知であり、残留物が少なくとも95%相同であることを条件に、本発明の範囲内である。
【0019】
本発明は、特定の実地形態を参照して説明されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、特定の状況に適応するために様々な変更が行われたり、要素が同等のものと置き換えられたりすることがあり得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明が、開示されている特定の実施形態、又は本発明を実施するために企図された特定の方法に制限されず、添付の請求の範囲及び趣旨によって網羅される全ての実施形態を含むことが、意図される。
【0020】
方法
臨床サンプル
合計で61の瞬間冷凍された肺SCC、及び適合した10の隣接した正常な肺組織サンプルが、ミクロRNA発現に関して評価された。これらのサンプルは、ミシガン大学病院で1991年10月から2002年7月の期間に患者の合意と施設内治験審査委員会の承認のもとに患者から収集された。分析用に選ばれたサンプルは、70%を超える腫瘍細胞を含んでいた。61の腫瘍細胞のうち、57には十分な追跡臨床情報があり、予後分析に使用された。57のうち54は、以前にアフィメトリクス(Affymetrix)U133A遺伝子チップ(GSE4573)を使ってプロファイリングが行われた。
【0021】
アンビオンミクロRNA発現のプロファイリング
328ヒトmiRNAプローブを含むmirVana Bioarray(アンビオン、バージョン2)が、肺SCCミクロRNA痕跡シグニチャーを特定するために使用された。トリゾールを使用して、全RNAが分離された。ミクロRNAが、mirVana分離キット(アンビオン)を使って4ugの全RNAから分離された。全サンプルは、その後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Flash−Page Ambion)によって分割され、小さなRNA(<40nt)が、線状アクリルアミドによるエタノール沈殿によって回収された。miR−16の定量的RT−PCR(qPCR)が、RNAアレイ分析前のミクロRNA濃縮を確認するために使用された。miR−16のCt値が25を超える場合は、ミクロRNA分離は失敗とみなされた。
【0022】
小さいRNAサンプルは、ポリ(A)ポリメラーゼ反応を受けて、アミン変性されたウリジンが組み込まれた(アンビオン)。末端鎖型(tailed)サンプルは、その後、アミン反応性Cy3(インビトロジェン(Invitrogen))を使って蛍光標識された。前述の標識技法は、可能な方法の1つに過ぎない。他の好適な標識技法は、本明細書を読んだ当業者には明白であろう。本明細書では、こうした代替方法の使用も想到されている。蛍光標識されたRNAは、ガラス繊維フィルタを使って精製され、溶出された(アンビオン)。各サンプルは、その後42℃で14時間、バイオアレイ(Bioarray)スライドに混成された(アンビオン)。アレイは洗浄され、アジレント(Agilent)2505B共焦点(confocol)レーザーマイクロアレイスキャナー(アジレント(Agilent))を使ってスキャンされ、発現分析ソフトウェア(コードリンク(Codelink)、バージョン4.2)を使ってデータが取得された。
【0023】
ミクロRNA定量的PCR
定量的PCR(QPCR)がABI miRNA Taqman試薬を使って行われ、ミクロRNA発現プロファイルが確認された。10ngの全RNAが、メーカー(アンビオン)の指示に従って、高能力DNAアーカイブキット及び3ulの5x RTプライマーを使ってcDNAに変換された。15μl反応は、サーモサイクラーで、16℃で30分、42℃で30分、85℃で5分で培養され、4℃で保持された。全ての逆転写酵素反応は、テンプレートコントロールを一切含まなかった。QPCRが、標準Taqman(登録商標)PCRキットプロトコルを使って、アプライドバイオシステムズ7900HT配列検出システム(Applied Biosystems 7900HT Sequence Detection System)上で行われた。10μlのPCR反応は、0.66μlのRT製品、1μlのTaqmanミクロRNAアッセイプライマー及びプローブミックス、5μlのTaqman2x UniversalPCRマスターミックス(AmperaseUNGを用いない)並びに3.34μlの水を含んだ。反応は、384ウェルプレート内にて95℃で10分、その後95℃、15秒で40サイクル、そして60℃で2分培養された。全てのQPCR反応はcDNAコントロールを一切含まず、全での反応は3重に行われた。
【0024】
ミクロRNA統計分析
発現分析ソフトウェアによってフラグされたプローブがまず除去され、バックグラウンド中央値がスポット平均値から差し引かれた。異常値サンプルが特定され、フラグされたプローブの数が、平均値から、フラグされたプローブのチップ毎の標準偏差を引いた数未満の場合は、除去された。ゼロ未満のスポット強度値は0.5に設定され、データはその後、変位標準化が行われた。6(ログ2標準化)のバックグランドカットオフは、全サンプルにわたる複製プローブの相関性を、中央強度の中央値に対してプロットすることによって特定された。したがって、標準化された信号強度がいずれかの比較グループで6未満の場合は、ミクロRNAは更なる分析から除去された。このカットオフが選ばれた理由は、複製プローブの相関性がこの値未満では急激に低下したためである。
【0025】
生存分析は、マイクロアレイの有意性分析(Significance of Microarray Analysis )(SAM)のアルゴリズム(タッシャーVG(Tusher VG)、チブシラニ・R(Tibshirani R)、チュウー・G(Chu G)、電離放射線反応に適用されたマイクロアレイの有意性分析、米国科学アカデミー紀要2001;98(9):5116〜21)を使って行われた。ミクロRNAは、対応するt−検定p−値が0.05未満で、ROC分析からの曲線下面積(AUC)が3年のカットオフを使用して0.65を超える場合は、全体的な生存に重要に関連しているとして選択された。最大3年の追跡期間が採用されたが、その理由は、この母集団の中で再発する患者のほとんどが、3年以内に再発するためである。また、これらの患者の多くは高齢者であり、3年後は、癌と無関係の疾患で死亡する可能性が高まるためである。予後分類器を構築するために使用されるミクロRNAの最低数を決定するために、遺伝子発現マーカーの様々な組み合わせを、1回に1つの遺伝子を順位に従って追加して試験した。遺伝子の数が増えていくシグニチャーそれぞれに対して、3年以内の死亡を定義ポイントとして使ったROC分析が100の5倍相互検証で行われて、平均曲線下面積(AUC)が計算された。
【0026】
〔実施の態様〕
(1) ヒトの扁平上皮細胞肺癌の予後予測プロセスにおいて、
抽出されたRNA内のミクロRNAのレギュレーションの変化を野生型の肺組織サンプルの同一のミクロRNAと比較して観察する工程であって、前記ミクロRNAが、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、工程と、
前記観察に基づいて扁平上皮細胞肺癌の予後を予測する工程と、
を含む、プロセス。
(2) レギュレーションの変化の前記観察工程の前に、40を超えるヌクレオチドをもつRNAを除去する工程を更に含む、実施態様1に記載のプロセス。
(3) 前記ミクロRNAが、配列番号15、配列番号16、配列番号19、配列番号20、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号30、配列番号31、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、実施態様1に記載のプロセス。
(4) アップレギュレーションが観察される、実施態様3に記載のプロセス。
(5) 前記ミクロRNAが、配列番号17、配列番号18、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号32、配列番号33、配列番号34、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、実施態様1に記載のプロセス。
(6) ダウンレギュレーションが観察される、実施態様5に記載のプロセス。
(7) ヒトの扁平上皮細胞肺癌の予後予測プロセスにおいて、
抽出されたRNA内の配列番号15のレギュレーションの変化を野生型の肺組織サンプルの同一のミクロRNAと比較して観察する工程と、
前記観察に基づいて扁平上皮細胞肺癌の予後を予測する工程と、
を含む、プロセス。
(8) 肺組織のサンプルから全RNAを抽出する工程を更に含む、実施態様7に記載のプロセス。
(9) 前記観察工程が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を含む、実施態様7に記載のプロセス。
(10) ヒトの扁平上皮細胞肺癌の予後予測プロセスにおいて、
サンプル内の配列番号15の存在量を観察する工程と、
前記観察に基づいて扁平上皮細胞肺癌の予後を予測する工程と、
を含む、プロセス。
【0027】
(11) 前記存在量を観察する工程が、前記サンプルからの配列番号15の存在量を野生型サンプルの配列番号15の存在量と比較する工程を含む、実施態様10に記載のプロセス。
(12) 前記比較が行われたときに、配列番号15においてアップレギュレーションが見られる、実施態様11に記載のプロセス。
(13) アップレギュレーションが見られたときに、少なくとも1.5倍の変化が見られる、実施態様12に記載のプロセス。
(14) 配列番号15が、観察された唯一のミクロRNAである、実施態様10に記載のプロセス。
(15) 前記観察工程が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を含む、実施態様10に記載のプロセス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの扁平上皮細胞肺癌の予後予測プロセスにおいて、
抽出されたRNA内のミクロRNAのレギュレーションの変化を野生型の肺組織サンプルの同一のミクロRNAと比較して観察する工程であって、前記ミクロRNAが、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、工程と、
前記観察に基づいて扁平上皮細胞肺癌の予後を予測する工程と、
を含む、プロセス。
【請求項2】
レギュレーションの変化の前記観察工程の前に、40を超えるヌクレオチドをもつRNAを除去する工程を更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ミクロRNAが、配列番号15、配列番号16、配列番号19、配列番号20、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号30、配列番号31、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
アップレギュレーションが観察される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ミクロRNAが、配列番号17、配列番号18、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号32、配列番号33、配列番号34、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
ダウンレギュレーションが観察される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
ヒトの扁平上皮細胞肺癌の予後予測プロセスにおいて、
抽出されたRNA内の配列番号15のレギュレーションの変化を野生型の肺組織サンプルの同一のミクロRNAと比較して観察する工程と、
前記観察に基づいて扁平上皮細胞肺癌の予後を予測する工程と、
を含む、プロセス。
【請求項8】
肺組織のサンプルから全RNAを抽出する工程を更に含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記観察工程が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
ヒトの扁平上皮細胞肺癌の予後予測プロセスにおいて、
サンプル内の配列番号15の存在量を観察する工程と、
前記観察に基づいて扁平上皮細胞肺癌の予後を予測する工程と、
を含む、プロセス。
【請求項11】
前記存在量を観察する工程が、前記サンプルからの配列番号15の存在量を野生型サンプルの配列番号15の存在量と比較する工程を含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記比較が行われたときに、配列番号15においてアップレギュレーションが見られる、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
アップレギュレーションが見られたときに、少なくとも1.5倍の変化が見られる、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
配列番号15が、観察された唯一のミクロRNAである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項15】
前記観察工程が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を含む、請求項10に記載のプロセス。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2011−501964(P2011−501964A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532245(P2010−532245)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/081809
【国際公開番号】WO2009/059016
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(505060347)ベリデックス・エルエルシー (43)
【氏名又は名称原語表記】Veridex,LLC
【住所又は居所原語表記】33 Technology Drive,Warren,NJ 07059,U.S.A.
【Fターム(参考)】