説明

扉のラッチ装置

【課題】把手を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチを確実に解除操作することができるようにした扉のラッチ装置を提供する。
【解決手段】扉4の背面に作動板16の一端部を枢着し、この作動板16の他端部とラッチとを、作動板16の移動に連動して、ラッチを、筐体の被係合部に係合する係合位置から、被係合部から離脱する非係合位置へ移動させるように、連係手段26をもって連係し、扉に設けた前面が開口する把手収容部15に、作動板16と一体的に設けられ、かつ前面に操作部1eを有する把手1を、作動板16が不作動位置に位置しているときは、操作部1eが扉4の前面とほぼ平行をなし、かつこの状態から操作部1eを、上下および左右のいずれの方向から操作することによっても、把手1と作動板16とを、作動位置へ移動可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の前面開口部に開閉自在に装着した扉に、閉止時に筐体の被係合部と係脱しうるラッチを設け、このラッチを、扉の前面に設けた把手の操作で、被係合部と係脱させうるようにした扉のラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の扉のラッチ装置は、扉に枢着した把手を手前に引くことにより、把手を一方向に回動させて、ラッチを解除させるようにしたものが一般的である(例えば特許文献1参照)。
また、把手を、左右または上下のいずれの方向に回動させても、ラッチを解除できるようにしたものもある(例えば特許文献2、および3参照)。
【特許文献1】特開平8−266348号公報
【特許文献2】特開2004−332504号公報
【特許文献3】実開昭63−96177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の従来のものは、いずれも、把手の操作方向が、1方向か2方向に制限されているため、それ以外の方向に把手を操作しても、ラッチを解除することができない。
それに対して、例えば、多数のキャビネットやロッカー等を、上下に積み重ね、かつ左右に並べて配設した収納システムにおいては、キャビネット等の扉の高所に設けられた把手は下方から、同じく低所に設けられた把手は、上方から操作することによって、また中間に設けられた把手は、左右いずれの方向から操作しても、ラッチを解除しうることが望まれており、しかも、すべての把手を、同一デザインの同一構造とすることが合理的である。
このような要求を満足させるためには、把手を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチを解除操作しうるようにすることが必要である。
【0004】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、把手を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチを確実に解除操作することができるとともに、構造が簡単で、円滑に作動しうるようにした扉のラッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 筐体の前面開口部に開閉自在に装着した扉に、閉止時に前記筐体の被係合部と係脱しうるラッチを設けるとともに、前記扉の背面に作動板の一端部を枢着し、この作動板の他端部と前記ラッチとを、前記作動板の不作動位置から作動位置への移動に連動して、前記ラッチを、筐体の被係合部に係合する係合位置から、前記被係合部から離脱する非係合位置へ移動させるように、連係手段をもって連係し、前記扉に設けた前面が開口する把手収容部に、前記作動板と一体的に設けられ、かつ前面に操作部を有する把手を、前記作動板が不作動位置に位置しているときは、前記操作部が前記扉の前面とほぼ平行をなし、かつこの状態から前記操作部を、上下および左右のいずれの方向から操作することによっても、前記把手と作動板とを、作動位置へ移動可能とする。
【0006】
(2) 上記(1)項において、作動板を、扉の前面と平行をなす軸をもって扉に枢着し、かつ扉に、前記作動板を不作動位置に向けて付勢する付勢手段を設ける。
【0007】
(3) 上記(1)または(2)項において、操作部を、前面に開口部を設けた把手における前記開口部の全内周縁に内向きに設ける。
【0008】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、操作部を、把手の前端部の全外周縁より放射状に設ける。
【0009】
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、連係手段が、ラッチと一体となって回動するようにして扉に枢設されたラッチ軸、または、一端に設けた折曲片により、ラッチを非係合位置に押動しうるようにして扉に枢設された作動軸と、前記ラッチ軸または作動軸の一部に設けられ、作動板の不作動位置から作動位置への回動時に、前記作動板の遊端部により回動させられて、前記ラッチ軸または作動軸を介して、前記ラッチを非係合位置へ回動させるようにしたアームとを備えているものとする。
【0010】
(6) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、連係手段を、一端が作動板の遊端部に、かつ他端がラッチに連結され、前記把手の作動位置側への移動により牽引されて、前記ラッチを非係合位置側に移動させるようにした索条とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明によると、作動板が不作動位置に位置している状態で、把手の操作部を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、把手と作動板とを、作動位置へ移動することができ、それによって、連係手段を介して、ラッチを筐体の被係合部から確実に離脱させて、扉を開くことができ、使い勝手がよい。
また、把手と作動板とを一体的に形成することができるので、構造を簡素化することができるとともに、把手からラッチまでの連係部材の部品数を少なくして、円滑に作動できるようにすることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によると、作動板を、扉の前面と平行をなす軸をもって扉に枢着し、かつ扉に、前記作動板を不作動位置に向けて付勢する付勢手段を設けてあるので、扉およびそれに装着する把手や作動板の前後方向の厚さを薄型化することができるとともに、簡単な構造のばねよりなる単一の付勢手段で、作動板と把手とを不作動位置に向けて付勢することができ、構造を簡素化することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によると、操作部を、前面に開口部を設けた把手における前記開口部の全内周縁に内向きに設けてあるので、把手の開口部に手を入れ、指を任意の方向の操作部に掛けて、手前に引くだけで操作でき、また、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作することができ、操作性がよい。
【0014】
請求項4記載の発明によると、操作部を、把手の前端部の全外周縁より放射状に設けてあるので、任意の方向から、把手の外側の操作部の任意の部分に手を掛けて、手前に引くだけで操作でき、また、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作することができ、操作性がよい。
【0015】
請求項5記載の発明によると、連係手段の構造を簡素化することができるとともに、円滑に作動しうるようにすることができる。
【0016】
請求項6記載の発明によると、連係手段の構造を簡素化および小型化することができるとともに、円滑に作動しうるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の扉のラッチ装置を備える3個のキャビネット(A)(B)(C)を順次積み重ねた収納システムを示す。
各キャビネット(A)(B)(C)に設けられたすべての把手(1)は、構造およびデザインを同一としてあるが、各把手(1)を含むラッチ装置の構造は、キャビネット(A)(B)(C)の構造に合わせて、互いに異ならせてある。
【0018】
キャビネット(A)は、3段引出し型のもので、各引出し(2)の前面板(本発明における扉)(3)の中央に把手(1)が設けられている。
キャビネット(B)は、両開き扉付きのもので、左右の扉(4)(4)のうち、右方のもののみに把手(1)が設けられている。
キャビネット(C)は、両開き扉付きの上置き型のもので、キャビネット(B)と同様に、左右の扉(5)(5)のうち、右方のもののみに把手(1)が設けられている。
【0019】
次に、キャビネット(B)に設けられたラッチ装置(D)を、本発明の扉のラッチ装置の一実施形態を示すものとして、図2〜図6を参照して詳細に説明する。
なお、キャビネット(A)に設けられたラッチ装置は、ラッチ装置(D)を側方に90°回動させたものとほぼ同様の構造であり、キャビネット(C)に設けられたラッチ装置は、キャビネット(B)に設けられたラッチ装置(D)と、一部の寸法が異なるだけで、ほぼ同一構造であるため、それらについての説明は省略する。
【0020】
図2〜図6に示すように、キャビネット(B)における筐体(6)の前面開口部の右側部に、蝶番(図示略)をもって開閉自在に枢着された右方の扉(4)の左側部内には、上下方向を向く角軸よりなるラッチ軸(7)が、その軸芯回りに回転自在に配設されている。ラッチ軸(7)の上下の端部には、ラッチ(8)の基端部が固着されている。
【0021】
図2に示すように、ラッチ(8)は、扉(4)の後方へ突出し、かつ後端部が、左方を向く鉤形をなし、扉(4)の閉止時に、筐体(6)の上かまち(6a)(下方のラッチ(8)は下かまち(図示略))の前面に設けた係合孔(9)内に進入して、係合孔(9)の左縁部である被係合部(10)に係脱しうるようになっている。
すなわち、ラッチ(8)は、図2に実線で示すように、被係合部(10)に係合する係合位置と、同じく想像線で示すように、被係合部(10)から離脱した非係合位置とに、ラッチ軸(7)の軸芯を中心として、ラッチ軸(7)とともに回動することができる。
【0022】
なお、この例では、説明を簡単にするため、ラッチ(8)を、ラッチ軸(7)と一体となって回動するタイプのものとしたが、扉(4)の後面に沿って、左右方向に摺動するタイプのものとしてもよい。
【0023】
図3〜図6に示すように、右方の扉(4)の左側の上下方向の中間部の前面には、把手(1)操作用の正方形の開口(11)が設けられており、その後方には、ほぼ中央部に、上記開口(11)と連通するように前後方向に貫通する正方形の開口(13)を有する把手収容ケース(12)が設けられている。
【0024】
把手収容ケース(12)は、後方に向かって開口する薄い箱状をなし、その後端面を、後面カバー(14)により閉塞することによって、内部に、把手収容部(15)が形成されている。
把手収容ケース(12)における開口(13)の縁には、後方を向く短寸の角筒状のフランジ(12a)が連設されている。
【0025】
把手(1)は、正方形の垂直板状の基部(1a)と、この基部(1a)の外周縁より前方を向く角筒部(1b)と、角筒部(1b)の前端から内方を向く内向き突片(1c)と、その内端から前方を向く短寸の角筒状の突縁(1d)とからなり、そのうちの前面中央のの開口を取り囲む内向き突片(1c)と突縁(1d)とにより、操作部(1e)が形成されている。
【0026】
角筒部(1b)の外周には、基部(1a)と平行をなす垂直板状の作動片(作動板)(16)が、一体的に形成されている。この作動片(16)の右側部は、上下方向を向く軸(17)をもって、把手収容ケース(12)内の右側部に枢着されており、同じく左側部前面には、上下方向を向く2個の突条(16a)(16a)が設けられている。
【0027】
突条(16a)(16a)は、把手収容ケース(12)の左端部に軸受された上下方向を向くラッチ軸(7)の中間部右側面に突設した、平面視後向き鉤形の上下1対のアーム(18)(18)の後面に当接しうるようになっている。
【0028】
作動片(16)の右側部寄りの上下方向の中央部には、ばね受け用の突軸(19)が設けられており、この突軸(19)に外嵌するようにして、付勢手段である前後方向を向く圧縮コイルばね(20)が、作動片(16)の前面と把手収容ケース(12)における前片(12b)の後面との間に縮設されている。
【0029】
作動片(16)は、圧縮コイルばね(20)の付勢力により、常時は、図6(a)に示すように、把手(1)の基部(1a)の後面が、後面カバー(14)の前面に設けたストッパ(21)に当接するとともに、把手(1)の前端面が扉(4)の前面とほぼ平行をなし、かつ突条(16a)(16a)がアーム(18)(18)の後面に当接するか、または近接する不作動位置に位置しているが、圧縮コイルばね(20)の付勢力に抗して、把手(1)の操作部(1e)の上下または左右の縁に手を掛けて前方に引くことにより、図6(b)に示すように、作動片(16)の左側部前面がフランジ(12a)の後端に当接し、かつ突条(16a)(16a)がアーム(18)(18)の後面を前方に押動して、アーム(18)(18)とラッチ軸(7)とラッチ(8)とを、非係合位置へ回動させる作動位置へ回動させるようになっている。
【0030】
図3に示すように、把手収容ケース(12)の左側部には、ラッチ軸(7)を介して、ラッチ(8)を係合位置に向けて常時付勢するとともに、作動片(16)を常時不作動位置に向けて付勢する付勢手段でもあるねじりコイルばね(22)が設けられている。
【0031】
ラッチ軸(7)におけるアーム(18)の下方の右側面には、別のアーム(23)が突設されている。このアーム(23)の先端部前方には、前端面が扉(4)の前面に露呈するようにして、把手収容ケース(12)に装着されたシリンダ錠(24)に、キー(図示略)を挿入して回動させることにより、シリンダ錠(24)の後部から左方に進退するようにしたデッドボルト(25)の左端部が、アーム(23)の先端部の回動軌跡内に進入したり(施錠)、その回動軌跡から離れたり(解錠)するように配設されている。
【0032】
この実施形態においては、アーム(18)(18)が突設されたラッチ軸(7)により、作動片(16)とラッチ(8)とを、作動片(16)の作動位置側への移動に連動して、ラッチ(8)が、筐体(6)の被係合部(10)から離脱する非係合位置へ移動させられるように連係する連係手段(26)が形成されている。また、ラッチ(8)、連係手段(26)、把手収容ケース(12)、把手(1)、作動片(16)等により、ラッチ装置(D)が形成されている。
【0033】
次に、この実施形態の作用について説明する。
把手(1)の非操作時には、把手(1)は、図5(a)および図6(a)に示す不作動位置に位置し、かつラッチ(8)とラッチ軸(7)とは、図2に実線で示す係合位置に位置している。
【0034】
この状態から、把手(1)の前端開口部内に手指を挿入し、その手指を操作部(1e)の上下または左右(その中間の斜めの方向を含む)の縁に掛けて手前に引くと、作動片(16)は、図5(b)および図6(b)に示すように、把手(1)とともに、軸(17)を中心として、作動位置まで回動させられる。
【0035】
このときの作動片(16)の左端部の前方への回動により、アーム(18)(18)は前方に押動させられて、ラッチ軸(7)とラッチ(8)とは、図2に想像線で示す非係合位置まで回動させられ、扉(4)を開くことができる。
【0036】
この場合に、把手(1)における操作部(1e)の上下、左右のいずれの縁を手前に引いても、把手(1)とともに作動片(16)が作動位置まで回動させられ、それによってラッチ(8)が非係合位置へ移動させられるので、把手(1)を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチ(8)を確実に解除操作することができ、使い勝手がよい。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で、次のように変形した態様で、実施することもできる。
(a) 上記実施形態における開口(11)、および把手(1)の少なくとも操作部(1e)を円形として、操作部(1e)を、把手(1)の前面開口部の全内周に設け、把手(1)を、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作し易くする。
【0038】
(b) キャビネット(A)における引出し(2)のラッチ装置においては、連係手段を、上述のラッチ(8)と一体となって回動するようにして扉に枢設されたラッチ軸(7)に代えて、一端に設けた折曲片により、ラッチを非係合位置に押動しうるようにして前面板(3)に枢設された左右方向を向く作動軸と、この作動軸の一部に設けられ、作動片の不作動位置から作動位置への回動時に、作動片の遊端部により回動させられて、作動軸を介して、ラッチを非係合位置へ回動させるようにしたアームとを備えるものとする。
【0039】
(c) 上記実施形態における把手(1)を、図7(a)(b)に示すように、基部(1a)と同様の基部(50a)の前面に、前後方向を向く短寸の円筒部(50b)を設け、この円筒部(50b)の前端に内向き突片(50c)と外向き突片(50d)とを設けることにより、これらを内向きおよび外向きの操作部(50e)(50f)とした把手(50)と置き換える。
その他の構成は、上記実施形態におけるのと同一とする。
【0040】
(d) 上記実施形態における連係手段(26)を、図7(a)(b)に示すように、作動片(16)の遊端部とラッチ(8)とを、索条(51)をもって連結し、作動片(16)が、把手(50)の操作により、図7(a)に示す不作動位置から、図7(b)に示すような作動位置へ回動させられたとき、索条(51)が牽引されて、ラッチ(8)が図7(a)に示す係合位置から、図7(b)に示す非係合位置へ回動させられるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の扉のラッチ装置を備える3個のキャビネット(A)(B)(C)を順次積み重ねた収納システムを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すもので、図1のII−IIに沿う拡大横断平面図である。
【図3】同じく、キャビネット(B)の扉の把手部分の拡大正面図である。
【図4】同じく、要部の分解斜視図である。
【図5】図3のV−Vに沿う概略拡大縦断側面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手を引いたときの状態を示す図である。
【図6】図3のVI−VIに沿う概略拡大横断平面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手を引いたときの状態を示す図である。
【図7】本発明の変形例の横断平面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手を引いたときの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
(A(B)(C)キャビネット
(D)ラッチ装置
(1)把手
(1a)基部
(1b)角筒部
(1c)内向き突片
(1d)突縁
(1e)操作部
(2)引出し
(3)前面板(扉)
(4)(5)扉
(6)筐体
(6a)上かまち
(7)ラッチ軸
(8)ラッチ
(9)係合孔
(10)被係合部
(11)開口
(12)把手収容ケース
(12a)フランジ
(12b)前片
(13)開口
(14)後面カバー
(15)把手収容部
(16)作動片(作動板)
(16a)突条
(17)軸
(18)アーム
(19)突軸
(20)圧縮コイルばね(付勢手段)
(21)ストッパ
(22)ねじりコイルばね(付勢手段)
(23)アーム
(24)シリンダ錠
(25)デッドボルト
(26)連係手段
(50)把手
(50a)基部
(50b)円筒部
(50c)(50d)突片
(50e)(50f)操作部
(51)索条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面開口部に開閉自在に装着した扉に、閉止時に前記筐体の被係合部と係脱しうるラッチを設けるとともに、前記扉の背面に作動板の一端部を枢着し、この作動板の他端部と前記ラッチとを、前記作動板の不作動位置から作動位置への移動に連動して、前記ラッチを、筐体の被係合部に係合する係合位置から、前記被係合部から離脱する非係合位置へ移動させるように、連係手段をもって連係し、前記扉に設けた前面が開口する把手収容部に、前記作動板と一体的に設けられ、かつ前面に操作部を有する把手を、前記作動板が不作動位置に位置しているときは、前記操作部が前記扉の前面とほぼ平行をなし、かつこの状態から前記操作部を、上下および左右のいずれの方向から操作することによっても、前記把手と作動板とを、作動位置へ移動可能としたことを特徴とする扉のラッチ装置。
【請求項2】
作動板を、扉の前面と平行をなす軸をもって扉に枢着し、かつ扉に、前記作動板を不作動位置に向けて付勢する付勢手段を設けた請求項1記載の扉のラッチ装置。
【請求項3】
操作部を、前面に開口部を設けた把手における前記開口部の全内周縁に内向きに設けた請求項1または2記載の扉のラッチ装置。
【請求項4】
操作部を、把手の前端部の全外周縁より放射状に設けた請求項1〜3のいずれかに記載の扉のラッチ装置。
【請求項5】
連係手段が、ラッチと一体となって回動するようにして扉に枢設されたラッチ軸、または、一端に設けた折曲片により、ラッチを非係合位置に押動しうるようにして扉に枢設された作動軸と、前記ラッチ軸または作動軸の一部に設けられ、作動板の不作動位置から作動位置への回動時に、前記作動板の遊端部により回動させられて、前記ラッチ軸または作動軸を介して、前記ラッチを非係合位置へ回動させるようにしたアームとを備えている請求項1〜4のいずれかに記載の扉のラッチ装置。
【請求項6】
連係手段を、一端が作動板の遊端部に、かつ他端がラッチに連結され、前記把手の作動位置側への移動により牽引されて、前記ラッチを非係合位置側に移動させるようにした索条とした請求項1〜4のいずれかに記載の扉のラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−270450(P2007−270450A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94607(P2006−94607)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)