説明

扉開閉装置

【課題】 従来の扉開閉装置の利点を承継するとともに、従来の扉開閉装置よりも安全性が高い扉開閉装置を提供する。
【解決手段】 容器本体101を開閉する扉102を施錠及び解錠するロック機構を備えた扉開閉装置であって、ロック機構は、上下に分散して容器本体101又は扉102に設けられた複数の被ロック部材1と、上下に分散して扉又は容器本体に設けられた複数のロック部材2とを備え、ロック機構は更に、上下に分散配置された複数のロック部材2の第2位置にある第1カムの左端近傍部を上方へ駆動する上下に分散配置された複数の電磁ソレノイド15又はモータを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器本体を開閉する扉を施錠及び解錠するロック機構を備えた扉開閉装置であって、ロック機構は、上下に分散して容器本体又は扉に設けられた複数の被ロック部材と、上下に分散して扉又は容器本体に設けられた複数のロック部材とを備え、ロック部材は、倒置三角形の頂点位置に配設された3つの支軸と、右上の第1支軸に右端部が回転可能に支持され左端が上方へ揺動した第1位置と左端が下方へ揺動した第2位置との間で揺動可能な第1カムと、中央下の第2支軸に中央部が回転可能に支持された第2カムと、左上の第3支軸に回転可能に支持された第3カムとを有し、第1カムの左端近傍部と第2カムの左端近傍部とが第1バネを介して互いに接近する方向へ付勢され、第3カムは第2バネにより第1カムの左端近傍部に押し付けられて第1カムを第2位置へ向けて付勢すると共に第1カムに従動して第1位置と第2位置との間で揺動し、ロック部材は、第1カムと第3カムとが第2位置にあり、第1カムと第2カムとが係合して第2カムの右端近傍部に形成された凹部に被ロック部材を受け入れ、第1カムが第2カムの前記凹部の出口を覆って被ロック部材を前記凹部内に保持した施錠状態と、第1カムと第3カムとが第1位置にあり、第1カムと第2カムとの係合が解除され、第2カムの前記凹部側面が被ロック部材を第2カムの凹部から押し出して解放した解錠状態との間で状態移動可能であり、ロック機構は更に、合鍵でシリンダ錠を施錠、解錠することによりロック、ロック解除されるハンドルと、ハンドルの扉開放操作に従動して上下に分散した複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部を上方へ駆動するワイヤとを備えることを特徴とする扉開閉装置が従来から自動販売機等に使用されている。
上記の扉開閉装置には、複数のロック部材を同時に施錠解錠することができるという利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の扉開閉装置には、シリンダ錠の近傍を破壊するとワイヤが剥き出しになるので、ワイヤを手動操作すれば全てのロック部材を解錠することができるという欠点がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、上記従来の扉開閉装置の利点を承継するとともに、上記従来の扉開閉装置よりも安全性が高い扉開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、容器本体を開閉する扉を施錠及び解錠するロック機構を備えた扉開閉装置であって、ロック機構は、上下に分散して容器本体又は扉に設けられた複数の被ロック部材と、上下に分散して扉又は容器本体に設けられた複数のロック部材とを備え、ロック部材は、倒置三角形の頂点位置に配設された3つの支軸と、右上の第1支軸に右端部が回転可能に支持され左端が上方へ揺動した第1位置と左端が下方へ揺動した第2位置との間で揺動可能な第1カムと、中央下の第2支軸に中央部が回転可能に支持された第2カムと、左上の第3支軸に回転可能に支持された第3カムとを有し、第1カムの左端近傍部と第2カムの左端近傍部とが第1バネを介して互いに接近する方向へ付勢され、第3カムは第2バネにより第1カムの左端近傍部に押し付けられて第1カムを第2位置へ向けて付勢すると共に第1カムに従動して第1位置と第2位置との間で揺動し、ロック部材は、第1カムと第3カムとが第2位置にあり、第1カムと第2カムとが係合して第2カムの右端近傍部に形成された凹部に被ロック部材を受け入れ、第1カムが第2カムの前記凹部の出口を覆って被ロック部材を前記凹部内に保持した施錠状態と、第1カムと第3カムとが第1位置にあり、第1カムと第2カムとの係合が解除され、第2カムの前記凹部側面が被ロック部材を第2カムの凹部から押し出して解放した解錠状態との間で状態移動可能であり、ロック機構は更に、上下に分散配置された複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部を上方へ駆動する上下に分散配置された複数の電磁ソレノイド又はモータを有することを特徴とする扉開閉装置を提供する。
【0005】
本発明に係る扉開閉装置は、複数のロック部材を同時に施錠解錠することができるので便利である。
上下に分散した複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部は、個々に電磁ソレノイド又はモータにより上方へ駆動されるので、全ロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部を個々に手動で上方へ駆動しない限り、扉を不正に開くことはできない。従って、本発明に係る扉開閉装置は、従来の扉開閉装置よりも安全性が高い。
上下に分散した複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部は、個々に電磁ソレノイド又はモータにより上方へ駆動されるので、ロック部材の解錠にハンドル操作を必要としない。従って、本発明に係る扉開閉装置によれば、扉を開く際の労力が、従来の扉開閉装置に比べて大幅に軽減される。
【0006】
本発明の好ましい態様においては、ロック機構は、上下に分散した複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部に係合可能であり手動で上下駆動可能な解錠部材を有する。
上下に分散した複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部の上方への駆動手段が電磁ソレノイド又はモータのみであると、扉開閉装置を備える自動販売機等の容器を所定の設置場所に設置する前に倉庫等に保管している時に、電源が無いので扉を開くことができず、容器内部の点検が不可能になる。手動の解錠部材を設置しておけば、所定の設置場所に設置する前に、電源の無い場所でも、ロック部材を解錠して扉を開くことができるので、便利である。
本発明の好ましい態様においては、ロック機構は、解錠部材を上下移動不能に固定する固定部材を備える。
扉開閉装置を備える自動販売機等の容器を所定の設置場所に設置した後は、解除部材は不要となるので、解錠部材を上下移動不能に固定して、ロック部材の不正解錠を防止する必要がある。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、電磁ソレノイド又はモータはロック機構の制御回路に接続されるとともに、扉内又は容器内に配設された非常用コネクタにも接続されている。
電磁ソレノイド又はモータがロック機構の制御回路に接続されるとともに、扉内又は容器内に配設された非常用コネクタにも接続されていれば、ロック機構の制御回路に、漏電遮断器作動などのマイナーなトラブルが発生した場合に、ハーネスを介して非常用コネクタを電源に接続することにより、ロック部材を解錠できるので、便利である。
非常用コネクタを特殊なハーネスにのみ接続可能にし、或いは非常用コネクタと電磁ソレノイド又はモータとを接続する電力供給用配線の途上にスイッチを設け、鍵で操作するシリンダ錠を介してスイッチを操作するように構成しておけば、ロック部材の不正解錠を抑制することかできる。
【0008】
本発明の好ましい態様においては、ロック機構は、ロック部材が施錠状態にあることを検知する施錠検知装置と、ロック部材が施錠状態にあることを表示する表示装置とを備える。
ロック部材が施錠状態にあることが表示されれば、扉開閉装置を備える自動販売機等の容器の保守要員は、ロック部材の施錠を容易に認識できるので、便利である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る扉開閉装置は、複数のロック部材を同時に施錠解錠することができるので便利である。
上下に分散した複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部は、個々に電磁ソレノイド又はモータにより上方へ駆動されるので、全ロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部を個々に手動で上方へ駆動しない限り、扉を不正に開くことはできない。従って、本発明に係る扉開閉装置は、従来の扉開閉装置よりも安全性が高い。
上下に分散した複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部は、個々に電磁ソレノイド又はモータにより上方へ駆動されるので、ロック部材の解錠にハンドル操作を必要としない。従って、本発明に係る扉開閉装置によれば、扉を開く際の労力が、従来の扉開閉装置に比べて大幅に軽減される。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に示すように、自動販売機100は、前面が開放された矩形箱形の本体101と、本体101の開放された前面を覆う扉102とを備えている。扉102は左側部を上下に貫通する軸線回りに水平揺動可能に本体101に取り付けられている。
図1、2に示すように、扉102の右側部と本体101の右側部とに、扉102を施錠及び解錠するロック機構を備えた扉開閉装置Aが取り付けられている。
図1〜4に示すように、扉開閉装置Aのロック機構は、上下に分散して自動販売機の本体101に設けられた二つの被ロック部材1と、上下に分散して自動販売機の扉102に設けられた二つのロック部材2とを備えている。
被ロック部材1はU字形状に曲げられた棒状部材から成り、扉102に平行に水平面内で延在するように配設され、本体101の右端部に形成された凹部に配設固定されている。
【0012】
ロック部材2は、倒置三角形の頂点位置に配設された3つの支軸3、4、5を有している。支軸3〜5は、二分割されたケーシング6の一方の半部分6aに固定され、他方の半部分6bへ向けて延在している。
【0013】
略長方形状の第1カム7の右端部が、右上の第1支軸3に回転可能に支持されている。第1カム7の下辺中央部に下方へ差し向けられた突起7aが形成されている。
ピン8が第1カム7の左端近傍部を貫通して第1カム7に固定されている。ピン8は、ケーシングの半部分6aに形成された円弧穴9に挿通されている。この結果、第1カム7は、支軸3を中心にして左端部が上方へ揺動しピン8が円弧穴9の上端縁に当接した図4(a)に示す第1位置と、支軸3を中心にして左端部が下方へ揺動しピン8が円弧穴9の下端縁に当接した図4(b)に示す第2位置との間で揺動可能である。
【0014】
略長方形の第2カム10の中央部が、中央下の第2支軸4に回転可能に支持されている。第2カム10は、第1カム7と同一平面内で延在している。第2カム10の上辺右端近傍部に被ロック部材1を受け入れる凹部10aが形成され、上辺中央部に第1カム7の突起7aと係合する凹部10bが形成されている。第2カム10の左端近傍部と第1カム7のピン8とはバネ11により互いに接近する方向へ付勢されている。
【0015】
二つの脚部12a、12bを有する略く字形状の第3カム12の中央部が、左上の第3支軸5に回転可能に支持されている。第3カム12は、第1カム7とケーシング6の半部分6aとの間の隙間に配設されている。第3カム12の上方の脚部12aはピン8の上縁に当接している。
バネ13が第3カム12を付勢して脚部12aをピン8に押し付け、ひいては第1カム7を第2位置へ向けて付勢している。第3カム12は第1カム7の揺動に従動して揺動し、第1カム7が図4(a)に示す第1位置にある時に、脚部12aが上方へ押し上げられた図4(a)に示す第1位置にあり、第1カム7が図4(b)に示す第2位置にある時に、脚部12aが下方へ移動した図4(b)に示す第2位置にある。
【0016】
扉開閉装置Aのロック機構は、図3に示すように、上下に分散した二つのロック部材2のケーシング6の直上に配設された電磁ソレノイド15を備えている。電磁ソレノイド15の下方へ差し向けられたロッドに、ピン8に係合する水平切欠きを有する係合爪16が固定されている。
【0017】
ロック部材2と電磁ソレノイド15とは、図1に示すように、扉102の右側部に埋め込まれた縦長のケース19内に収容されている。
【0018】
扉102の右側部の上下方向中央部に、シリンダ錠20が埋め込まれている。図5に示すように、シリンダ錠20は、扉開閉装置Aが備えるロック機構の制御用マイコン21の起動スイッチを構成しており、鍵を用いてシリンダ錠20を解錠すると、マイコン21が起動する。マイコン21は、漏電遮断器22を介して供給された電力を、リレー23を介して電磁ソレノイド15に供給し、電磁ソレノイド15を作動させる。マイコン21、漏電遮断器22、リレー23は扉102に取り付けられている。
【0019】
扉開閉装置Aのロック機構の作動を説明する。
自動販売機100の稼働時には、図1に示すように、扉102は閉じられ、シリンダ錠20は施錠されている。
電磁ソレノイド15は給電されず、電磁ソレノイド15のロッドは内蔵するバネにより下方へ押し出されており、係合爪16も下方へ押し出されており、ピン8は円弧穴9の下端にある。この時、ロック部材2は、図4(b)に示す、施錠状態にある。
施錠状態においては、第1カム7と第3カム12とが第2位置にあり、第1カム7の突起7aが第2カム10の凹部10bに嵌まり込み、第1カム7と第2カム10とが係合して第2カム10の右端近傍部に形成された凹部10aに被ロック部材1を受け入れ、第1カム7が第2カム10の凹部10aの出口を覆って被ロック部材1を凹部10a内に保持している。
バネ13が第3カム12を介してピン8の上方への移動を規制し、電磁ソレノイド15の内蔵バネがピン8の上方への移動を規制することにより、第1カム7は第2位置に保持されている。第2位置に保持された第1カム7の突起7aが凹部10bに係合することにより第2カム10の回転を規制している。凹部10aの出口が塞がれ、且つ第2カム10の回転が規制されているので、被ロック部材1は凹部10aから抜け出ることができない。
【0020】
保守要員が、シリンダ錠20の鍵穴に鍵を差し込んで回すと、制御用マイコン21が起動し、漏電遮断器22を介して供給された電力が、リレー23を介して、上下二つの電磁ソレノイド15に供給される。
電磁ソレノイド15のロッドが、内蔵するバネの付勢力に抗して上方へ引き込まれ、係合爪16も上方へ引き込まれ、ピン8が円弧穴9の上端へ向けて引き上げられる。この結果、ロック部材2は、図4(a)に示す、解錠状態へ移行する。
第1カム7がバネ13の付勢力に抗して第1位置へ向けて揺動を開始し、バネ11の付勢を受けた第2カム10も第1カム7に従動して回転を開始し、第3カム12もバネ13の付勢力に抗しつつ第1カム7に従動して第1位置へ向けて揺動を開始する。
第1カム7の揺動中心と第2カム10の回転中心とは異なるので、両者が揺動し回転するのに伴って、突起7aが凹部10bから離脱して第1カム7と第2カム10との係合が解除される。バネ11の付勢力を受けて回転する第2カムの凹部10aの側面が被ロック部材1に当接し、被ロック部材1を凹部10aから押し出す。
第1カム7と第3カム12とが第1位置に到達し、第2カム10は被ロック部材1を凹部10aから完全に押し出して、ロック部材2は解錠状態になる。
上下二つの電磁ソレノイド15は同時に給電されるので、上下二つのロック部材2は同時に解錠状態になる。
保守要員は、扉102を揺動させて開き、本体101に商品を補給し、必要な保守点検を行う。
【0021】
商品の補給と保守点検とを終えた保守要員が、扉102を閉鎖方向へ揺動させると、ロック部材2の第2カム10が被ロック部材1に接近する。被ロック部材1が第2カム10の凹部10aの側面に当接して当該側面を押し、第2カム10を回転させる。電磁ソレノイド15は通電されたままなので、第1カム7は第1位置に保持される。従って、第2カム10はバネ11を引き伸ばしつつ、第1カム7と干渉することなく回転する。
扉102が閉じた時点で、第2カム10は凹部10aに被ロック部材1を受け入れた図4(b)に示す状態となり、第1カム7と第3カム12とは図4(a)に示す第1位置に保持されている。
保守要員が、シリンダ錠20を施錠すると、電磁ソレノイド15への給電が停止し、バネ11、13の付勢力と電磁ソレノイド15の内蔵バネの付勢力とを受けた第1カム7が図4(b)に示す第2位置へ揺動し、バネ13の付勢力を受けた第3カム12も第1カム7に従動して図4(b)に示す第2位置へ揺動する。この結果、上下二つのロック部材2は図4(b)に示す施錠状態になり、被ロック部材1を第2カム10の凹部10a内に収容保持する。
【0022】
上記説明から分かるように、扉開閉装置Aは、上下二つのロック部材2を同時に施錠解錠することができるので便利である。
上下に分散した二つのロック部材2の第2位置にある第1カム7の左端近傍部は、個々に電磁ソレノイ15により上方へ駆動されるので、全ロック部材2の第2位置にある第1カム7の左端近傍部を個々に手動で上方へ駆動しない限り、扉102を不正に開くことはできない。従って、扉開閉装置Aは従来の扉開閉装置よりも安全性が高い。
上下に分散した二つのロック部材2の第2位置にある第1カム7の左端近傍部は、個々に電磁ソレノイド15により上方へ駆動されるので、ロック部材2の解錠にハンドル操作を必要としない。この結果、扉102を開く際の労力が、従来の扉開閉装置に比べて大幅に軽減される。
【実施例2】
【0023】
図2、6に一点鎖線で示すように、上下二つの係合爪16に下方から当接可能な解錠部材24を配設し、解錠部材24に螺着する段付螺子25を、ケース19の側壁に形成した上下に延在する長孔を貫通させてシリンダ錠20の近傍へ突出させても良い。
上下に分散した二つのロック部材2の第2位置にある第1カム7のピン8を上方へ駆動する手段が電磁ソレノイド15のみであると、扉開閉装置Aを備える自動販売機100を所定の設置場所に設置する前に倉庫等に保管している時に、電源が無いので扉102を開くことができず、本体101内部の点検が不可能になる。解錠部材24を設置しておけば、自動販売機100を所定の設置場所に設置する前に、電源の無い場所でも、シリンダ錠20を取り付けるために扉102に形成された開口を介して(シリンダ錠20は、自動販売機100の所有者が所定の場所に自動販売機100を設置する際に取り付けるので、設置前の自動販売機の扉102においては、シリンダ錠20を取り付けるための開口が剥き出しになっている)、段付螺子25を指で摘んで上方へ移動させることにより、ピン8を上方へ移動させて第1カム7を第2位置から第1位置へ揺動させ、ロック部材2を解錠して扉102を開くことができるので、便利である。
自動販売機100を所定の設置場所に設置した後は、解除部材24は不要となるので、段付螺子25を取り外し、解除部材24の前記開口から離れた部位を、予めケース19に仮止めした螺子を用いてケース19に固定するのが望ましい。これにより、ロック部材2の不正解錠を防止することができる。
【実施例3】
【0024】
図5に一点鎖線で示すように、電磁ソレノイド15をリレー23に接続すると共に、扉102内の人目につかない場所に隠して置かれた非常用コネクタ26に接続しても良い。
電磁ソレノイド15が、扉102内の人目につかない場所に隠して置かれた非常用コネクタ26に接続されていれば、漏電遮断器22が作動してリレー23への電力供給が遮断される等のマイナーなトラブルが、ロック機構の制御回路に発生した場合に、保守要員が所持するハーネスを介して非常用コネクタ26を電源に接続することによりロック部材2を解錠でき、扉102を開いてトラブルの原因を調べることができるので、便利である。
非常用コネクタ26を特殊なハーネスにのみ接続可能にし、或いは非常用コネクタ26と電磁ソレノイド15とを接続する電力供給用配線の途上にスイッチを設け、ハーネスを介して非常用コネクタ26を電電に接続した後、シリンダ錠20を解錠するとスイッチがONしてソレノイド15に電力が供給されるようにしておけば、ロック部材2の不正解錠を抑制することかできる。
【実施例4】
【0025】
図5、6に一点鎖線で示すように、電磁ソレノイド15のロッドが引き上げられてロック部材2が解錠状態にある時に前記ロッドまたは係合爪16に押されてONされ、電磁ソレノイド15のロッドが下方へ移動してロック部材2が施錠状態にある時に前記ロッドまたは係合爪16による押圧から解放されてOFFされることにより、ロック部材2の解錠、施錠を検知するマイクロスイッチ27を、上下のロック部材2にそれぞれ配設し、上下二つのマイクロスイッチ27のOFF信号を受けたマイコン21からの指令に基づいて、ロック部材2の施錠を音声表示又は視覚表示する表示装置28を扉102に取り付けても良い。
ロック部材2が施錠状態にあることが表示されれば、扉開閉装置Aを備える自動販売機100の保守要員は、ロック部材2の施錠を容易に認識できるので、便利である。
【実施例5】
【0026】
電磁ソレノイド15に代えて、ピン8を駆動するモータを配設しても良い。
シリンダ錠20を解錠することにより電磁ソレノイド15を作動させるのに代えて、電磁ソレノイド15をリモコン操作するように構成しても良い。この場合には、シリンダ錠取付用開口に代えて、段付螺子25を手動操作するための開口を予め扉102に形成しておき、自動販売機100を所定の場所に設置する際に、前記開口を銘板等で塞ぐのが望ましい。
【実施例6】
【0027】
被ロック部材1を扉102に取り付け、ロック部材2、電磁ソレノイド15を本体101に取り付けても良い。
図2から分かるように、ロック部材2を扉102に取り付けた場合には、ケーシング6の先端部が扉102から本体101側へ突出するので、扉102開閉時のケーシング6先端部と本体101との干渉を回避するために、扉102の側端部と本体101との間に所定の隙間Sを設ける必要がある。ロック部材2、電磁ソレノイド15を本体101に取り付け、被ロック部材1を扉102に取り付けた場合には、被ロック部材1を扉102に形成した凹部内に配設すれば、扉102から本体101側へ突出する部材が無くなるので、隙間Sを狭くすることができる。この結果、本体101の幅が狭まり、自動販売機が小型化する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は種々の容器の扉開閉装置に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に係る扉開閉装置を備える自動販売機の斜視図である。
【図2】図1の自動販売機の扉の部分断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る扉開閉装置のロック機構が備えるロック部材の斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る扉開閉装置のロック機構が備えるロック部材の断面図である。(a)は解錠状態を示し、(b)は施錠状態を示す。
【図5】本発明の実施例に係る扉開閉装置のロック機構が備える制御回路のブロック図である。
【図6】本発明の実施例に係る扉開閉装置のロック機構が備えるロック部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
A 扉開閉装置
1 被ロック部材
2 ロック部材
3、4、5 支軸
6 ケーシング
7 第1カム
8 ピン
9 円弧穴
10 第2カム
11、13 バネ
12 第3カム
15 電磁ソレノイド
16 係合爪
19 ケース
20 シリンダ錠
21 制御用マイコン
22 漏電遮断器
23 リレー
24 解錠部材
25 段付螺子
27 マイクロスイッチ
28 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体を開閉する扉を施錠及び解錠するロック機構を備えた扉開閉装置であって、ロック機構は、上下に分散して容器本体又は扉に設けられた複数の被ロック部材と、上下に分散して扉又は容器本体に設けられた複数のロック部材とを備え、ロック部材は、倒置三角形の頂点位置に配設された3つの支軸と、右上の第1支軸に右端部が回転可能に支持され左端が上方へ揺動した第1位置と左端が下方へ揺動した第2位置との間で揺動可能な第1カムと、中央下の第2支軸に中央部が回転可能に支持された第2カムと、左上の第3支軸に回転可能に支持された第3カムとを有し、第1カムの左端近傍部と第2カムの左端近傍部とが第1バネを介して互いに接近する方向へ付勢され、第3カムは第2バネにより第1カムの左端近傍部に押し付けられて第1カムを第2位置へ向けて付勢すると共に第1カムに従動して第1位置と第2位置との間で揺動し、ロック部材は、第1カムと第3カムとが第2位置にあり、第1カムと第2カムとが係合して第2カムの右端近傍部に形成された凹部に被ロック部材を受け入れ、第1カムが第2カムの前記凹部の出口を覆って被ロック部材を前記凹部内に保持した施錠状態と、第1カムと第3カムとが第1位置にあり、第1カムと第2カムとの係合が解除され、第2カムの前記凹部側面が被ロック部材を第2カムの凹部から押し出して解放した解錠状態との間で状態移動可能であり、ロック機構は更に、上下に分散配置された複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部を上方へ駆動する上下に分散配置された複数の電磁ソレノイド又はモータを有することを特徴とする扉開閉装置。
【請求項2】
ロック機構は、上下に分散配置された複数のロック部材の第2位置にある第1カムの左端近傍部に係合可能であり手動で上下駆動可能な解錠部材を有することを特徴とする請求項1に記載の扉開閉装置。
【請求項3】
ロック機構は、解錠部材を上下移動不能に固定する固定部材を有することを特徴とする請求項2に記載の扉開閉装置。
【請求項4】
電磁ソレノイド又はモータはロック機構の制御回路に接続されるとともに、扉内又は容器内に配設された非常用コネクタにも接続されていることを特徴とする請求項1に記載の扉開閉装置。
【請求項5】
ロック機構は、ロック部材が施錠状態にあることを検知する施錠検知装置と、ロック部材が施錠状態にあることを表示する表示装置とを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の扉開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−28978(P2006−28978A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212436(P2004−212436)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】