説明

手作り感のある小籠包の製造方法

【課題】機械化可能な、手作り感のある小籠包を提供する。
【解決手段】厚さ0.7〜1.2mm(好ましくは0.8〜1.1mm、より好ましくは0.9〜1.0mm)であり、小麦粉を含む粉類100重量部あたり、0.25〜5重量部(好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.4〜2.5重量部)の、食品として許容可能な増粘剤、食物繊維及び繊維状タンパク質からなる群より選択される一種以上、及び35〜45重量部の水を含む、麺帯を用いる。麺帯を円形に切断し、縁部に10〜15個のひだを形成するように椀状に成型されており、かつ成型上有効量の具材が充填されたものを準備し;麺帯縁部を、成型上有効な角度まで回転させつつ、閉じることにより、ひだ付けられた麺帯に具材の包まれた成型物を得て;そして必要に応じ、成型上不要な成型物閉部の上端を切断除去することにより、製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小籠包の製造方法に関する。本発明は食品製造分野で有用である。
【背景技術】
【0002】
従来、小籠包は主に手包みで作られていた。小籠包は、薄い麺帯にひだを寄せつつ具材を包み、ねじって閉じて作られるため、独特の形状を有し、その美観から手作りであることが明確に認識できていた。しかし、形状の良否は、熟練の個人の能力によるところが大きく、ばらつきがあり、同じものを大量に生産することが困難であった
一方、和菓子、饅頭、包子等にひだをつけて手作り風に見せる技術がいくつか開発されている。例えば、特許文献1は、饅頭のひねりひだ付け装置を開示し、特許文献2は、饅頭やパン等の食品の成型装置を開示する。また、実際に、そのような装置も開発されている(例えば、レオン自動機株式会社製 包餡機)。これらの技術はいずれも生地の中に餡を入れる技術の応用である。さらに、特許文献3のように、麺帯を用いて具材を包むことができる装置も開発されている(例えば、大英技研株式会社製 包子製造機)。
【特許文献1】特開昭63-59870号公報
【特許文献2】特開昭63-291564号公報(特公平3-72268号公報)
【特許文献3】特開平07-155146号公報
【発明の開示】
【0003】
本発明者らは、手作り感のある小籠包の製造方法の開発にあたり、目標とする手作り感のある小籠包とは、少なくとも以下の条件を満たす必要があると考えた。
1)ひだの数が10〜15であること;
2)ひだの形が直線的ではなく、曲線的であること;及び
3)皮の厚さは、具材が保持できるものでなければならないが、できる限り薄いこと。
【0004】
しかしながら、本発明者らが実際に、既存の生地の中に餡を入れるための装置を用いて小籠包を試作してみたところ、皮が厚く、口に残り、食感の点で劣ったものとなり、かつ安定して同じ形状のものを成型することが困難であった。また、既存の、麺帯を用いて具材を包むことができる装置を用いた場合には、皮をある程度まで薄くすることができるものの、麺帯の上に具材をのせたものを麺帯の下に準備された成型のためのスリットに通すことにより麺帯にひだを形成しつつ具材を充填し、充填物をベルトコンベアで横に搬出するため、ひだをある程度大きく(粗く)せざるを得ず、またひだが縦(上下)方向のものとなり、手作りのものとは明らかに外観が異なることなった。さらに、ひだ数が少ないために、皮どうしの重なる面積が大きくならざるを得ず、皮が重なって厚くなった部分が多くなる傾向にあった。
【0005】
本発明者らは、手作り感のある小籠包の製造方法を開発すべく、種々の検討を行った。その結果、従来の麺帯を用いて具材を包むことができる装置において、成型穴の形状を検討し、また麺帯の物性、具材の割合等にも種々の検討を行い、本発明を完成した。
【0006】
本発明は、以下のものを提供する:
1) 厚さ0.7〜1.2mm(好ましくは0.8〜1.1mm、より好ましくは0.9〜1.0mm)であり、小麦粉を含む粉類100重量部あたり、0.25〜5重量部(好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.4〜2.5重量部)の食品として許容可能な増粘剤、食物繊維及び繊維状タンパク質からなる群より選択される一種以上(好ましくは食物繊維を1〜5重量部、より好ましくは2〜4重量部)、及び35〜45重量部の水を含む、麺帯。
2)1)に記載の麺帯を用いた、小籠包
3)1)に記載の麺帯1重量部に対して、1.0〜2.6重量部(好ましくは1.3〜2.2重量部、より好ましくは1.4〜1.8重量部)の具材を包む工程を含む、小籠包の製造方法。
4)1)に記載の麺帯を円形に切断したものであって、縁部に10〜15個のひだを形成するように椀状に成型されており、かつ成型上有効量の具材が充填されたものを準備し;
麺帯縁部を、成型上有効な角度まで回転させつつ、閉じることにより、ひだ付けられた麺帯に具材の包まれた成型物を得て;そして
必要に応じ、成型上不要な成型物閉部の上端を切断除去する
工程を含む、小籠包の製造方法。
5)成型上有効量の具材が、麺帯1重量部に対して、1.0〜2.6重量部(好ましくは1.3〜2.2重量部、より好ましくは1.4〜1.8重量部)の具材である、4)に記載の小籠包の製造方法。
6)成型上有効な角度が、30〜135度(好ましくは45〜135度、より好ましくは60〜120度)である、5)又は6)に記載の小籠包の製造方法。
7)以下の工程を含む、小籠包の製造方法:
i) 円形に切断され、縁部に10〜15個の角度のある切れ込みを有する第一の成型穴の上に準備された、請求項1に記載の麺帯を;第一の成型穴の上方に昇降自在に設置された成型ピストンを下降させることにより;第一の成型穴、次いで第一の成型穴の下方に設置された、第二の成型穴を通過させて;第二の成型穴の下方に開閉自在に設置されたシャッター内に麺帯縁部は保持させつつ、シャッターの下方に回転自在に設置された成型カップ内に装填し;
ii) 成型カップ内に装填された麺帯内に、成型上有効量の具材を充填し;
iii) 具材の充填された麺帯が装填された成型カップを、成型上有効な角度まで回転させつつ、麺帯縁部を保持したシャッターを閉じることにより麺帯縁部を閉じて、麺帯により具材の包まれた成型物を得て;そして
iv) 麺帯閉部の上端を、切断する。
8)成型上有効量の具材が、麺帯1重量部に対して、1.0〜2.6重量部(好ましくは1.3〜2.2重量部、より好ましくは1.4〜1.8重量部)の具材である、7)に記載の小籠包の製造方法。
9)成型上有効な角度が、30〜135度(好ましくは45〜135度、より好ましくは60〜120度)である、7)又は8)に記載の小籠包の製造方法。
10)第二の成型穴が、第一の成型穴と同形又は相似形の縁部を有する、9)に記載の製造方法。
11)成型ピストンの下端部が、テーパーを有する、9)に記載の製造方法。
12)成型カップの内周部に、第一及び第二の成型穴により形成された麺帯上のひだを保持するための手段が施されている、9)に記載の製造方法。
13)具材の充填が、成型ピストン内に昇降自在に挿入された具材充填ピストンにより行われる、9)に記載の製造方法。
【0007】
本発明の麺帯は、小麦粉を含む粉類100重量部あたり:
i) 0.25〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.4〜2.5重量部の、食品として許容可能な増粘剤、食物繊維及び繊維状タンパク質からなる群より選択される一種以上、及び
ii) 35〜45重量部、好ましくは36〜43重量部、より好ましくは38〜42重量部の水を含む。
【0008】
本発明において、「小麦粉を含む粉類」というときは、特別な場合を除き、小麦粉、でん粉、米粉を含む。小麦粉としては、薄力粉、中力粉、強力粉又はそれらの混合物を用いることができ、でん粉としては、小麦でん粉、馬鈴薯でん粉、タピオカでん粉、トウモロコシでん粉、カンショでん粉及びサゴでん粉からなる群より選択される一種又は二種以上を用いることができる。米粉としては米を粉砕して得られた、圧扁粉、胴搗粉、ロールミル粉、ピンミル粉、しん粉、白玉粉、道明寺粉、酵素処理した米粉を用いることができる。

本発明においては、食品として許容可能な種々の増粘剤、食物繊維(難消化性多糖類)、又は繊維状タンパク質が使用できる。例えば、グァーガム、グァーガム酵素分解物、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギナン、カラヤガム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、グルコサミン、ジェランガム、タマリンドシードガム、デキストラン、トラガントガム、ファーセレラン、ペクチン、メチルセルロース、イヌリン、キチン、コラーゲンを例示できる。
【0009】
本発明の麺帯は、厚さ0.7〜1.2mm、好ましくは0.8〜1.1mm、より好ましくは0.9〜1.0mmとすることができ、このように薄くても機械適性が優れており、機械的に具材を包むことができる。本発明の麺帯は、機械的な成型が困難であると考えられてきた小籠包を手作り風に成型するのに特に適している。
【0010】
本発明の麺帯は、増粘剤及び又は食物繊維を含むことにより、麺帯が充分に柔らかく、かつ薄くても具材からの汁液(スープ)を小籠包内部に保つのに適しており、調理後の小籠包にスープ感を与えることができる。
【0011】
また、小籠包を成型する際、ひだの数・形状を望ましいままとしつつ、調理後のスープ感にも優れ、調理後の皮の食感も柔らかく、口の中に残りにくいものとなり、総じて良好な小籠包を製造することができる。
【0012】
本発明の麺帯を用いた小籠包の製造方法を説明する。
まず、麺帯を円形に切断したものであって、縁部に10〜15個のひだを形成するように椀状に成型されており、かつ成型上有効量の具材が充填されたものを準備する。
【0013】
ひだの形成は、縁部に10〜15個の角度のある切れ込み(スリットということもある。)を有している成型穴によって、一度に行うことができる。「角度のある」とは、切れ込みが、左右非対称であることをいう。成型穴は、通常、板状物に形成される。成型穴は2つ用いてもよい。
【0014】
成型穴の直径及び切り込みの大きさは、当業者であれば用いる皮の大きさなどを考慮し、適宜設計することができるが、例えば本明細書の実施例のように、直径110mmの皮を用いて小籠包を成型する場合、切り込みの先端まで含めた直径は90〜106mmであり、成型穴に切り込みを12箇所設けるときは、切り込みの長辺の長さは12〜20mmとすることができる。
【0015】
具材の成型上有効量とは、成型時に漏れ、皮の破れ等不都合が生じず、かつ最終製品である小籠包の喫食時まで具材が適切に保持され、喫食時に十分なスープ感が得られるような量をいい、これは、具体的には、麺帯1重量部に対して、具材が1.0〜2.6重量部(好ましくは1.3〜2.2重量部、より好ましくは1.4〜1.8重量部であることをいう。
【0016】
ついで、麺帯縁部を、成型上有効な角度まで回転させつつ、閉じることにより、ひだ付けられた麺帯に具材の包まれた成型物を得る。
成型上有効な角度とは、ひだの形状を曲線状とすることができ、かつ皮に破れ等の損傷を与えない程度の角度をいい、成型カップの内面の形状や、成型カップと麺帯との間に生じる摩擦の大きさ等にも拠るが、通常、30〜135度、好ましくは45〜135度、より好ましくは60〜120度であり、成型カップの内面にひだを保持するための手段が設けられている場合には、より小さい角度が好ましく、例えば100度以下が好ましい。
【0017】
そして、必要に応じ、成型上不要な成型物閉部の上端を切断除去する
このような本発明の麺帯を用いた小籠包の製造方法を、図1に即して説明する。
成型前に、麺帯は円形に切断され、第一の成型穴の上に置かれる。第一の成型穴の例を図2に示す。
【0018】
第一段階では、麺帯を、第一の成型穴の上方に昇降自在に設置された成型ピストン(モールドピストンということもある。)を下降させることにより、第一の成型穴、次いで第二の成型穴を通過させる。第二の成型穴は、通常、連結板とシャッターとの中間に設置される中間板に形成されている。成型ピストンにより、第一及び第二の成型穴を通過することにより、麺帯の周縁部には10〜15のひだが形成される。
【0019】
そして、麺帯は、縁部はシャッター内に保持されつつ、シャッターの下方に設置された成型カップ(モールドカップということもある。)内に、成型カップ内面に沿うように椀型に形成され、成型カップ内に装填される。
【0020】
第二段階では、成型カップ内に装填された麺帯内に、成型上有効量の具材が充填される。
第三段階においては、具材を充填した麺帯が装填された成型カップを、成型上有効な角度まで回転させつつ、麺帯縁部を保持したシャッターを閉じる。このとき、麺帯縁部はシャッターに保持されているので回転することがなく、椀状麺帯の底部が回転することになって、ひだにひねりが加わりつつ、麺帯縁部が閉じられる。この工程により、曲線状にひだ付けられた麺帯により具材の包まれた成型物が得られる。
【0021】
第四段階においては、上部が閉じられた成型物における、麺帯閉部の上端を切断する。切断には、従来技術の装置・治具を使用することができる。
このような製造方法により、従来不可能であった包み風の小籠包を、短時間で安定的に製造することができる。
【0022】
本発明の好ましい態様においては、第二の成型穴が、第一の成型穴と同形又は相似形の縁部を有する。これにより、成型ピストン及び第一の成型穴により形成された麺帯上のひだが、崩れることなく良好に保持される割合が高まり、良好な小籠包を、高い収率で安定的に製造することができる。
【0023】
また、本発明の製造方法の好ましい態様においては、成型ピストンの下端部が、テーパーを有する。成型ピストンの底部は小籠包の底部を形成するように機能するが、細いピストンでは底部が狭くなり、そのため、皮上にひだを形成するための部分が確保できるが、ピストンと連結板との空間が広くなり、成型穴の切り込みの中に皮が入らず、ひだが形成されないことがある。他方、太いピストンでは、切り込みに皮を入れることはできるが、ひだを形成するための部分が充分には確保できず、ひだを作る皮が少なくなりひだが形成されなくなる。このような双方の欠点は、成型ピストンの下部に適切なテーパーを設けることにより、解消することができる。
【0024】
成型ピストンの直径及びテーパーは、当業者であれば用いる皮の大きさなどを考慮し、適宜設計することができるが、例えば本明細書の実施例のように、直径110mmの皮を用いて小籠包を成型する際は、ピストンは、先端においては直径27〜33mmとし、先端から30〜60mm上の部分においては35〜43mmとすることができる。
【0025】
本発明の好ましい態様においては、成型カップの内周部に、第一及び第二の成型穴により形成された麺帯上のひだを保持するための手段が施されている。ひだを保持するための手段の一つは、成型カップ内面に、10〜15個の切り込みを設けることである(図7)。
【0026】
本発明においては、具材の充填が、成型ピストン内に昇降自在に挿入された具材充填ピストンにより行われてもよい。
【0027】
[発明の効果]
本発明により、良好な外観を有する小籠包が安定的に成型できる。
本発明の方法は機械化することができる。機械化は日本国内における冷凍/チルド小籠包の製造に資する。
【実施例】
【0028】
[実施例1:ひだの数と形状に関する検討]
下表の配合の厚さ0.9 mm、重量 9.0 g(大きさφ 110 mm)の皮、具材 16.0 gを用い、連結板に入っている切れ込みの数と形状を変更し、小籠包を各1000個を成型した。成型のための装置は、包子製造機(DP5000 大英技研株式会社製)を改変して用いた。なお、本明細書において示される配合は、特に示した場合を除き、重量に基づく。
【0029】
【表1−1】

【0030】
【表1−2】

【0031】
成型した小籠包は、検証調理(標準より過酷な調理条件:98℃×10分)又は標準調理(標準的な調理方法:蒸し器で約8分間)を行い、以下の条件に適合するか否かについて評価した(図3参照)。
(1) ヒダの数は10箇所以上であること(多いほど美観が向上)。
(2) ヒダの形状は、左右非対称で、同一方向に曲線であること。
(3) ヒダの太さは、下部から上部に上がるにつれ、細くなっていること。また、上部では重なり合っていること。
(4) 調理後の具材は、スープ感があること。
(5) 調理後の皮の食感がやわらかく、口の中に残りにくいこと。
【0032】
結果を下表に示した。
【0033】
【表1−3】

【0034】
表中の評価結果○△×は下記を表す(他の表についても同じ。):
適合条件(1)〜(3);
○:条件に適合した試作品の割合が70%以上である。
△:条件に適合した試作品の割合が20%以上70%未満である。
×:条件に適合した試作品の割合が20%未満である。
適合条件(4);
○:検証調理後、皮からスープがもれ出ていないこと
△:検証調理後、皮からスープがもれ出ているが、まだ製品中にスープがあること。標準調理後は、スープのもれが無いこと。
×:検証調理後、標準調理後、どちらの条件でも皮からスープがもれ出ること。
適合条件(5) (調理後の皮の食感がやわらかく、口の中に残りにくいこと。)についての評価
○:検証調理後、皮と具がほぼ同じ時期に飲み込め、口の中に残らないこと。
△:検証調理後、皮の硬さを感じるが、具とほぼ同じ時期に飲み込めること。
×:検証調理後、皮の硬さを感じ、具の後に飲み込むことになること。
【0035】
連結板は、仕様5及び6が条件によく適合していた。仕様5の連結板の穴の形状を、図2に示した。
しかし、条件(4)(5)については、連結板の仕様により、結果に影響がなかった。そのため、これらの条件を満たすために、次の検討を実施した。
【0036】
[実施例2:皮配合に関する検討]
仕様5の連結板を用いて、種々の配合の皮を用いて小籠包各1000個を試作した。なお、皮の厚さは0.9mmとした。具材の配合は実施例1と同様とした。評価は、実施例1と同様に行った。
【0037】
結果を下表に示した。
【0038】
【表2】

【0039】
配合6〜8で、比較的良好な結果が得られた。
【0040】
[実施例3:皮の厚さ、重量及び具材の割合に関する検討]
仕様5の連結板、配合7の皮配合を用いて、皮の厚さ及び重量、並びに具材の割合について検討した。具材の配合は、実施例1と同様にした。
【0041】
【表3】

【0042】
試作3及び4で得られた小籠包が、総じて、目的の条件に近いものであった(図4)。
【0043】
[実施例4:モールドピストンの検討]
条件(1)を安定的に満たすための検討を行った。連結板で成型されるひだの数が、切れ込みの数より少なくなることがある。そのため、ひだを成型するモールドピストンの検討を実施した。
【0044】
【表4】

【0045】
仕様3のモールドピストンを使うと、60%の確率で10箇所以上のひだを成型することができた。
【0046】
[実施例5:中間板の検討]
連結板でできたひだが、中間板で崩れ、ひだの数を減らすことがある。そのため、中間板の形状を変更する検討を行った。
【0047】
【表5】

【0048】
仕様4及び5の中間板により、良好な結果が得られた。
【0049】
[実施例6:成型カップの形状及び回転角度に関する検討]
条件(2)及び(3)を満たすために、成型途中段階で、成型品をひねることにより、曲線かつ先細りのひだをつくることを検討した。連結板は仕様5、皮配合は配合7、モールドピストンは仕様3、中間板は仕様4を用いた。
【0050】
結果を下表に示した。
【0051】
【表6】

【0052】
条件(2)及び(3)については、試作5及び6で条件を満たすことができた。ただし、試作6では回転角度が大きかったため、皮が破れ調理後にスープがもれ出て、条件(4)に対し不適となった。
【0053】
[実施例7:皮配合に関する再検討]
実施例6では、条件(4)に対し不適となったため、条件(4)を満たすために、皮配合の再実験を実施した。連結板は仕様5、モールドピストンは仕様3、中間板は仕様4、成型カップ及び回転角度は、試作5の条件を用いた。皮の厚さは0.9mmとした。
【0054】
結果を下表に示した。
【0055】
【表7−1】

【0056】
表中、でん粉としてはタピオカでん粉を、食物繊維としてはイヌリンを用いた。配合11により、良好か結果が得られた(図5)。
以上の結果より、手作り感のある小籠包の製造のために最適な条件を下表にまとめた。
【0057】
【表7−2】

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本発明の小籠包の製造方法における、工程の例を示したものである。
【図2】図2は、実施例で用いた仕様5の連結板の穴の形状を示した図である。
【図3】図3は、目標とする小籠包を示した図である。
【図4】図4は、実施例1〜3の検討により得られた小籠包を示した図である。
【図5】図5は、実施例7の検討により得られた小籠包示した図及び写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ0.7〜1.2mm(好ましくは0.8〜1.1mm、より好ましくは0.9〜1.0mm)であり、小麦粉を含む粉類100重量部あたり、0.25〜5重量部(好ましくは0.3〜3重量部、より好ましくは0.4〜2.5重量部)の、食品として許容可能な増粘剤、食物繊維及び繊維状タンパク質からなる群より選択される一種以上(好ましくは食物繊維を1〜5重量部、より好ましくは2〜4重量部)、及び35〜45重量部(好ましくは36〜43重量部、より好ましくは38〜42重量部)の水を含む、麺帯。
【請求項2】
請求項1に記載の麺帯を用いた、小籠包
【請求項3】
請求項1に記載の麺帯1重量部に対して、1.0〜2.6重量部(好ましくは1.3〜2.2重量部、より好ましくは1.4〜1.8重量部)の具材を包む工程を含む、小籠包の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の麺帯を円形に切断したものであって、縁部に10〜15個のひだを形成するように椀状に成型されており、かつ成型上有効量の具材が充填されたものを準備し;
麺帯縁部を、成型上有効な角度まで回転させつつ、閉じることにより、ひだ付けられた麺帯に具材の包まれた成型物を得て;そして
必要に応じ、成型上不要な成型物閉部の上端を切断除去する
工程を含む、小籠包の製造方法。
【請求項5】
成型上有効量の具材が、麺帯1重量部に対して、1.0〜2.6重量部(好ましくは1.3〜2.2重量部、より好ましくは1.4〜1.8重量部)の具材である、請求項4に記載の小籠包の製造方法。
【請求項6】
成型上有効な角度が、30〜135度(好ましくは45〜135度、より好ましくは60〜120度)である、請求項5又は6に記載の小籠包の製造方法。
【請求項7】
1)円形に切断され、縁部に10〜15個の角度のある切れ込みを有する第一の成型穴の上に準備された、請求項1に記載の麺帯を;第一の成型穴の上方に昇降自在に設置された成型ピストンを下降させることにより;第一の成型穴、次いで第一の成型穴の下方に設置された、第二の成型穴を通過させて;第二の成型穴の下方に開閉自在に設置されたシャッター内に麺帯縁部は保持させつつ、シャッターの下方に回転自在に設置された成型カップ内に装填し;
2)成型カップ内に装填された麺帯内に、成型上有効量の具材を充填し;
3)具材の充填された麺帯が装填された成型カップを、成型上有効な角度まで回転させつつ、麺帯縁部を保持したシャッターを閉じることにより麺帯縁部を閉じて、麺帯により具材の包まれた成型物を得て;そして
4)麺帯閉部の上端を、切断する
工程を含む、小籠包の製造方法。
【請求項8】
成型上有効量の具材が、麺帯1重量部に対して、1.0〜2.6重量部(好ましくは1.3〜2.2重量部、より好ましくは1.4〜1.8重量部)の具材である、請求項7に記載の小籠包の製造方法。
【請求項9】
成型上有効な角度が、30〜135度(好ましくは45〜135度、より好ましくは60〜120度)である、請求項7又は8に記載の小籠包の製造方法。
【請求項10】
第二の成型穴が、第一の成型穴と同形又は相似形の縁部を有する、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
成型ピストンの下端部が、テーパーを有する、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
成型カップの内周部に、第一及び第二の成型穴により形成された麺帯上のひだを保持するための手段が施されている、請求項9に記載の製造方法。
【請求項13】
具材の充填が、成型ピストン内に昇降自在に挿入された具材充填ピストンにより行われる、請求項9に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−4798(P2010−4798A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167517(P2008−167517)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】