説明

手切れ性付与基材およびそれを用いた粘着テープ

【課題】生産性に優れ、ひげ問題が改善された手切れ性に優れる基材およびそれを用いた粘着テープを提供すること。
【解決手段】
[1]経糸および緯糸に合成繊維を配してなる基材であって、前記基材に対する経糸方向の引裂強力が緯糸方向の引裂強力よりも大きく、前記経糸が伸度30%未満のカチオン糸からなることを特徴とする、手切れ性付与基材。
[2]前記経糸が、1dtexを基準として0.04N以下の強度を有する常圧カチオン可染ポリエステル糸であって、前記基材の経糸密度が、1インチ当たり40〜70本の範囲である、上記[1]に記載の手切れ性付与基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手切れ性付与基材およびそれを用いた粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープ等に使用されるテープやシート等の基材には古くからレーヨンスフの紡績糸を配してなる基材が多く用いられてきたが、湿潤時に強力が低下したり、膨潤よる剥離が起こる等の欠点がある。この欠点を克服するため従来から改良のための工夫がなされてきている。
具体的には、金属スルホネート基を有するイソフタル酸成分を全ジカルボン酸成分に対して1.5〜8モル%共重合した改質ポリエステルのうち、その伸度が30%以上のポリエステル仮撚加工糸を経糸として使用した基材が提案されている。
この基材を使用した粘着テープは、手切れ性が良く、切口が美しいという特徴を有するとされる(特許文献1)。
【0003】
一方、経糸及び緯糸にポリエステルマルチフィラメント糸を配してなる基材であって、前記経糸がフラットヤーンであり、且つ前記緯糸が経糸よりも繊度の大きい複合仮撚糸又は部分融着複合仮撚糸を使用した基材も提案されている。
この基材を使用した粘着テープは、前記経糸すなわち粘着テープの巻取り長手方向の糸(たていと)の強度が、前記緯糸(よこいと)の強度よりも小さいため、前記粘着テープの長手方向に対して垂直方向に簡単に切断することが可能となる(特許文献2)。
【0004】
しかし、これらの従来技術により得られる基材を使用して得られた粘着テープは、粘着テープを手で引き裂く際に完全に切断する直前の端部付近の経糸がそのまま一直線上で切断せず結果的に切断面の一端からひげのように糸が伸びた状態で切れ、切断面が見苦しくなる問題がある。
この問題は広くひげ問題といわれていて、前記ひげ問題を解決するために様々な提案がなされている。
具体的には、経糸をスフ糸とし、緯糸をポリエステル樹脂製の糸とする基材であって、前記基材の表面にエチレン酢酸ビニル共重合体を含有するアンカーコート剤の処理等を施した基材を使用した粘着テープも提案されている(特許文献3)。
しかしながら実際にこの基材を使用して粘着テープを得るためには複雑な工程が必要とされる等、その生産性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−222240号公報
【特許文献2】特開2003−253543号公報
【特許文献3】特開2007−270000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、生産性に優れ、ひげ問題が改善された手切れ性に優れる基材およびそれを用いた粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決すべく、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、経糸に伸度が30%未満のカチオン糸を使用した基材が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
[1]経糸および緯糸に合成繊維を配してなる基材であって、前記基材に対する経糸方向の引裂強力が緯糸方向の引裂強力よりも大きく、
前記経糸が伸度30%未満のカチオン糸からなることを特徴とする、手切れ性付与基材を提供するものである。
【0009】
また本発明は、
[2]前記経糸が、1dtexを基準として0.04N以下の強度を有する常圧カチオン可染ポリエステル糸であって、
前記基材の経糸密度が、1インチ当たり40〜70本の範囲である、上記[1]に記載の手切れ性付与基材を提供するものである。
【0010】
また本発明は、
[3]前記基材に対する経糸方向の引裂強力が、緯糸方向の引裂強力の1.2倍以上である上記[1]または[2]に記載の手切れ性付与基材を提供するものである。
【0011】
また本発明は、
[4]前記基材の少なくとも一方の面にポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体、金属箔および紙からなる群より選ばれる少なくとも一つを積層してなる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の手切れ性付与基材を提供するものである。
【0012】
また本発明は、
[5]前記基材に対する緯糸方向の引裂強力が1.2N以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の手切れ性付与基材を提供するものである。
【0013】
また本発明は、
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の手切れ性付与基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープを提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の手切れ性付与基材は、特別な加工を施すことなく緯糸方向に沿って簡単に手により切断することができ、ひげの発生を抑えることができることから、テープやシートとして粘着テープ等の用途に好適に使用することができる。
またポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体、金属箔、紙等の少なくとも一つをさらに積層してなる本発明の手切れ性付与基材は緯糸方向に沿ってひげの発生を抑えつつ簡単に手により切断することができる。
また本発明の粘着テープは簡単に手により切断することができ、ひげの発生が抑えられることからひげ処理の作業が不要となり、梱包等の作業性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の手切れ性付与基材は経糸および緯糸に合成繊維を配してなるものである。
前記経糸は伸度30%未満のカチオン糸からなるものであるが、前記カチオン糸としては、例えばカチオン系染料により染色可能な合成繊維等が挙げられる。
【0016】
具体的には、カチオン系染料により染色可能なポリエステル糸等が挙げられる。前記カチオン系染料により染色可能なポリエステル糸は常圧下でカチオン系染料により染色可能なポリエステル糸であれば好ましい。
【0017】
前記常圧下でカチオン系染料により染色可能なポリエステル糸は、ポリエステル全体の芳香族ジカルボン酸に対して金属スルホネート基含有イソフタル酸を配合したものと、ジエチレングリコール等のポリアルキレングリコールとを重合させることにより得ることができる。
【0018】
本発明に使用する経糸は、1dtexを基準として0.04N以下の強度を有する伸度30%未満の常圧カチオン可染ポリエステル糸であれば好ましい。
【0019】
前記0.04N以下の強度を有し、伸度が30%未満の経糸は、例えば、ポリエステル全体の芳香族ジカルボン酸に対する金属スルホネート基含有イソフタル酸の含有量が0.1〜10mol%の範囲であるポリエステルを使用し、未延伸糸を延伸する際の延伸率を調整する手段等により得ることができる。
前記経糸の強度は1dtexを基準として0.001〜0.04Nの範囲であることが好ましく、0.01〜0.038Nの範囲であればさらに好ましい。
【0020】
前記経糸の強度が0.04Nを超える場合には、得られる手切れ性付与基材を手により切断することが困難になる場合がある。また前記経糸の強度が0.001Nを下回る場合には使用中に前記手切れ性付与基材が破断する場合がある。
【0021】
前記経糸の伸度は、0.01〜30%の範囲であることが好ましく、0.1〜20%の範囲であることがより好ましく、1〜15%の範囲であればさらに好ましい。
【0022】
前記経糸の伸度が30%以上の場合には前記手切れ性付与基材を手により切断した際にひげの問題が生じる。また前記経糸の伸度が0.01%を下回る場合には使用中に前記手切れ性付与基材が破断する場合がある。
【0023】
本発明に使用する基材は、1インチ当たり40〜70本の範囲の経糸密度を有するものが好ましい。前記経糸密度が40本未満であると前記基材の強度が低下する場合があり、前記経糸密度が70本を超えると前記手切れ性付与基材を手により切断した際にひげの問題が生じる場合がある。
【0024】
また前記緯糸は合成繊維が使用されるが、前記合成繊維としては、例えば、スフ繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維等を使用することができるが、強度や取扱性の面から、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維等が好ましい。
【0025】
前記緯糸の強度は1dtexを基準として0.039〜0.20Nの範囲であることが好ましく、0.039〜0.10Nの範囲であればさらに好ましい。
【0026】
前記緯糸の強度が0.039N未満の場合には、前記緯糸に沿った切断が困難になる場合がある。
【0027】
本発明に使用する基材は、1インチ当たり5〜100本の範囲の緯糸密度を有するものが好ましい。前記緯糸が5本未満であると前記基材の強度が低下する場合があり、前記緯糸が100本を超えると得られる基材の経糸方向の厚みと緯糸方向の厚みが異なり、基材の平滑性に問題が生じる場合がある。
【0028】
前記基材に対する経糸方向の引裂強力は、緯糸方向の引裂強力の1.2倍以上であることが好ましく、1.2〜100倍の範囲であることがより好ましく、2〜20倍の範囲であればさらに好ましい。
【0029】
前記緯糸の強度が前記経糸の1.2倍未満の場合には、前記手切れ性付与基材を緯糸に沿って切断することが容易ではなくなる場合があり、100倍を超える場合には取扱性が困難になる場合がある。
【0030】
前記経糸および前記緯糸はそれぞれ仮撚加工された合成繊維やフラットヤーン等を使用することができるが、前記経糸はフラットヤーンを使用することが好ましい。
【0031】
次に本発明の手切れ性付与基材の製造方法としては、例えば、前記経糸と前記緯糸とを使用して常法により製織等を行なう。この際使用する織機は、ウォータージェットルームを採用することが好ましい。ポリオレフィン樹脂等との積層を行うときに原糸油剤の残留量が多いと手切れ性付与基材の強度低下を起こす可能性があるが、ウォータージェットルームで製織を行なえば油剤の残留量を減少させることができ、強度低下を防止することができる。
【0032】
前記製織にはレピア織機やエアージェットルーム織機を使用することができるが、積層前に充分な精錬を行なっておくことが好ましい。
【0033】
前記経糸および前記緯糸を製織して得られる手切れ性付与基材は、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体、金属箔、紙等を積層して得られるものであってもよい。
【0034】
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン等を挙げることができる。
前記ポリオレフィン発泡体としては、例えばポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリブタジエン発泡体等を挙げることができる。
前記ポリウレタン発泡体としては、例えば、ウレタンフォーム等を挙げることができる。
【0035】
また前記金属箔としては、例えば、銅泊、アルミニウム箔等を挙げることができる。
【0036】
前記ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体等と製織された前記経糸および前記緯糸とを積層する際には、例えば、溶融した前記ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体等を塗布する方法、前記ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体等のシートを熱プレスする方法等を採用することができる。
【0037】
また金属箔、紙等と製織された前記経糸および前記緯糸とを積層する際には、接着剤や粘着剤を使用して貼付する方法を採用することができる。
【0038】
この様にして本発明の手切れ性付与基材が得られる。
【0039】
また前記手切れ性付与基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を設けることにより粘着テープが得られる。
本発明に使用する粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤が用いられる。
【0040】
前記ゴム系粘着剤は、例えば、ブチルゴムなどの天然ゴムやSIS、SBR、SBS、IRなどの合成ゴムや再生ゴムなどのエラストマーに、ロジン又はその変性体、ロジンエステル、テルペン、テルペンフェノール、芳香族炭化水素、変性テルペンといった天然物オリゴマー、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂といった合成樹脂、石油系軟化剤、液状ゴム、植物油、二塩基酸エステル系可塑剤、充填剤、老化防止剤等を適宜ブレンドして用いられる。
【0041】
前記アクリル系粘着剤としては、例えば、各種の(メタ)アクリル酸エステルに酢酸ビニル、アクリロニトリル、MMAなどのモノマー、(メタ)アクリル酸やヒドロキシアクリレートといった官能基含有モノマーを共重合してなるアクリル系共重合体が用いられる。
【0042】
これら粘着剤は、熱溶融後に、又は溶剤に溶解した後に、直接合成樹脂フィルムに塗布、積層してもよく、また、転写方式によって合成樹脂フィルムに積層してもよい。
【0043】
本発明においては、通常、前記層間強度が上記合成樹脂フィルムと粘着剤層との接着強度より高くなる様に、粘着剤層の粘着力等が適宜設定される。
【0044】
また、粘着剤の厚みは特に限定されるものではないが、重梱包にも耐え得る様に高糊厚、例えば50〜100μmの範囲であることが好ましい。
【0045】
この様にして本発明の粘着テープを得ることができる。
【0046】
次に実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0047】
[手切れ付与基材1の製造(基布)]
糸の太さが56dtex、糸強度が1.5Nの経糸と、糸の太さが267dtex、糸強度が10.6Nの緯糸を使用して、1インチ当たりの経糸密度が49本、緯糸密度が18本となるように、前記経糸と前記緯糸をそれぞれ互いに直交させて製織することにより基布を得た。
前記経糸は常圧下でカチオン系染料により染色可能なポリエステル糸を使用し、その伸度は30%で未満あった。
実施例1により得られた基布は容易に前記緯糸方法に沿って手により切断することができたが、前記経糸方向には手により切断することができなかった。
なお引裂強度(引き裂き強度)および伸度はJIS−L1096に準拠して測定を行った。以下同様である。
【0048】
[手切れ付与基材2の製造(ポリエチレンラミネート)]
前記基布の一方の面にメルトインデックスが4.0の低密度ポリエチレンを溶融圧着して積層することによりポリエチレンラミネートを得た。
実施例1により得られたポリエチレンラミネートは容易に前記緯糸方法に沿って手により切断することができたが、前記経糸方向には手により切断することができなかった。
【0049】
[粘着テープ3の製造(両面粘着テープ)]
前記基布の両方の面に強粘着のアクリル粘着剤を前記基布1平方メートル当たり30g(乾燥重量)塗布することにより両面粘着テープを得た。
実施例1により得られた両面粘着テープは容易に前記緯糸方法に沿って手により切断することができたが、前記経糸方向には手により切断することができなかった。
【実施例2】
【0050】
[粘着テープ4の製造(梱包用布粘着テープ)]
実施例1記載のポリエチレンラミネートに、梱包用ゴム系粘着剤を前記ポリエチレンラミネート1平方メートル当たり50g(乾燥重量)塗布することにより梱包用布粘着テープを得た。
実施例2により得られた梱包用布粘着テープは容易に前記緯糸方法に沿って手により切断することができたが、前記経糸方向には手により切断することができなかった。
【実施例3】
【0051】
[粘着テープ5の製造(養生粘着テープ)]
実施例1記載のポリエチレンラミネートに、養生用アクリル系粘着剤を前記ポリエチレンラミネート1平方メートル当たり40g(乾燥重量)塗布することにより養生粘着テープを得た。
実施例3により得られた養生粘着テープは容易に前記緯糸方法に沿って手により切断することができたが、前記経糸方向には手により切断することができなかった。
【0052】
[比較例1]
[手切れ付与基材6の製造(比較基布)]
糸の太さが66dtex、糸強度が2.8Nのカチオン糸と異なる経糸と、糸の太さが94dtex、糸強度が3.7Nの緯糸を使用して、1インチ当たり経糸密度が50本、緯糸密度が40本となるように、前記経糸と前記緯糸をそれぞれ互いに直交させて製織することにより比較基布を得た。
【0053】
[手切れ付与基材7の製造(比較ポリエチレンラミネート)]
前記比較基布の一方の面にメルトインデックスが4.0の低密度ポリエチレンを溶融圧着して積層することにより比較ポリエチレンラミネートを得た。
【0054】
[粘着テープ8の製造(比較両面粘着テープ)]
前記比較基布の両方の面に強粘着のアクリル粘着剤を前記基布1平方メートル当たり30g(乾燥重量)塗布することにより比較両面粘着テープを得た。
【0055】
[比較例2]
[手切れ付与基材9の製造(比較基布)]
比較例1の場合と同様にして比較例1と同じ比較基布を得た。
【0056】
[手切れ付与基材10の製造(比較ポリエチレンラミネート)]
比較例1の場合と同様にして比較例1と同じ比較ポリエチレンラミネートを得た。
【0057】
[粘着テープ11の製造(比較梱包用布粘着テープ)]
比較例2記載の比較ポリエチレンラミネートに、梱包用ゴム系粘着剤を前記比較ポリエチレンラミネート1平方メートル当たり50g(乾燥重量)塗布することにより比較梱包用布粘着テープを得た。
【0058】
[比較例3]
[手切れ付与基材12の製造(比較基布)]
糸の太さが56dtex、糸強度が1.2Nのカチオン糸と異なる経糸と、糸の太さが167dtex、糸強度が5.3Nの緯糸を使用して、1インチ当たりの経糸密度が55本、緯糸密度が19本となるように、前記経糸と前記緯糸をそれぞれ互いに直交させて製織することにより比較基布を得た。
【0059】
[手切れ付与基材13の製造(比較ポリエチレンラミネート)]
前記比較基布の両方の面にメルトインデックスが7.0の低密度ポリエチレンを1平方メートル当たり30g溶融圧着して積層することにより比較ポリエチレンラミネートを得た。
【0060】
[粘着テープ14の製造(比較養生粘着テープ)]
比較例3記載のポリエチレンラミネートに、養生用アクリル系粘着剤を前記ポリエチレンラミネート1平方メートル当たり40g(乾燥重量)塗布することにより比較養生粘着テープを得た。
【0061】
[ひげ発生確認試験]
実施例1〜3、比較例1〜3毎に各サンプルを5cmおきに連続で20回、手により切断し、ひげの発生した回数を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
本発明の手切れ性付与基材および粘着テープは手切れ性が良好であり、かつ緯糸方向に沿って手切れ性付与基材または粘着テープを切断した際にひげの問題が発生せず、取扱性に特に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸および緯糸に合成繊維を配してなる基材であって、前記基材に対する経糸方向の引裂強力が緯糸方向の引裂強力よりも大きく、前記経糸が伸度30%未満のカチオン糸からなることを特徴とする、手切れ性付与基材。
【請求項2】
前記経糸が、1dtexを基準として0.04N以下の強度を有する常圧カチオン可染ポリエステル糸であって、
前記基材の経糸密度が、1インチ当たり40〜70本の範囲である、請求項1に記載の手切れ性付与基材。
【請求項3】
前記基材に対する経糸方向の引裂強力が、緯糸方向の引裂強力の1.2倍以上である請求項1または2に記載の手切れ性付与基材。
【請求項4】
前記基材の少なくとも一方の面にポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン発泡体、ポリウレタン発泡体、金属箔および紙からなる群より選ばれる少なくとも一つを積層してなる、請求項1〜3のいずれかに記載の手切れ性付与基材。
【請求項5】
前記基材に対する緯糸方向の引裂強力が1.2N以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の手切れ性付与基材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の手切れ性付与基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着テープ。

【公開番号】特開2010−229567(P2010−229567A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75528(P2009−75528)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】