説明

手動操作の浄水装置

本発明は、水を浄化する手動操作装置に係る。当該装置は、ある量の浄化されていない水を受け且つ保持する水容器を有する。該水容器は、底部及び側壁を有し、手動操作のピストン型フィルタ組立体を受けるよう適合される。該フィルタ組立体は、浄化されていない水をフィルタするようフィルタ手段を有する。フィルタ組立体は、容器の底部に向かって手動で押し進められるよう適合され、それによって、浄化されていない水がフィルタ手段を通過するようにし、水を浄化する。本発明に従った装置を有して、低コストの浄水器は与えられ、水圧及び/又は転帰が存在しない原始的(屋外)状況下での飲用水の向上された品質を与えるよう使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動操作の浄水装置、及び当該装置を使用して水を浄化する方法に係る。
【背景技術】
【0002】
浄水装置は、長い間既知であり、一般的には水が人間による飲用に適切となるよう水を浄化するために使用される。一般的に求められる水質における向上は、水の外観上の品質(即ち、色、におい、味)、人間の健康に有害な溶質及び/又は粒子(例えば、重金属、農薬、有機物成分、及び、バクテリア、ウィルス、シスト(cysts)等である微生物)の除去、及び、砂、金属酸化物等である懸濁粒子によって引き起こされる濁りの除去、に関連する。
【0003】
周知の浄水技術は、蒸留、煮沸、化学的消毒、逆浸透、UV放射線による処置、(通常は、活性炭、イオン交換樹脂、及び/又は、他の吸着/吸収媒体を有する)粒状吸収フィルタ又は圧縮ブロックフィルタを介する水のフィルタ、及び/又は、堆積物フィルタ、又は濁りを除去する粒子フィルタ又は堆積物フィルタ、を有する。かかる浄水技術のうち1つ又はそれより多くに基づく浄水装置の適用は、(配管給水又は電気ポンプからの)水圧及び電気が一般的に容易に使用可能である家庭環境において十分に発達され、通常は優れた水質が得られ得る。
【0004】
しかしながら、多くの第三世界の国における比較的原始的な遠隔地域等におけるように水圧及び電気が使用可能ではない状況において、かかる技術は、常には容易に使われ得ない。多くの優れた性能の浄水器のコストの高さは、第三世界の国における適用に深刻な制約を与える。水圧及び電気がないことはまた、屋外環境におけるキャンプ及び/又はハイキング等において、あるいは地震や洪水等の自然災害後において直面され得る。その際、新鮮な清浄水は危うくなる。新鮮な飲用水の入手可能性は、生きるために重要であり、受動的な非電気的手段のみを有して幅広い状況下において地上水、井戸水、及び/又は集雨水を人間の飲用に適切であるようにする、信頼性の高い低コスト浄水器を入手できることは、求められる。ここ最も重要な要求は、水の細菌安全性である。バクテリア、シスト、及びウィルス等である病原微生物は、少なくとも部分的に、また望ましくは完全に、自ら除去されるべきである。実際、水質における漸進的な改善は、少なくとも水媒介の病気の数を低減するよう、求められるべきである。また、水からヒ素及び/又はフッ化物を除去する更なる必要性は、特定の地域において存在し得る。
【0005】
複数の浄水器又は技術は、上述された原始的状況下において使用され得る。これらは、プラスチックのボトルにおける水の日光消毒、化学的凝集、バイオサンドフィルタ、重力による浄水器、及び手動空気ポンプを備えられ浄水器を有する。最後の2つの種類の浄水器は、一般的に、直径約0.5μmより大きな微生物の大半を水から出すようフィルタする多孔質セラミックフィルタを有する。塩素及びヨウ素剤、又は塩素系漂白剤等である化学的凝集はまた、時には水の濁りを減少させるよう化学的凝集との組合せで、水の微生物浄化に対して使用される。しかしながら、これらの方法の全ては、1つ又はそれより多くの深刻な不利点を有する。日光消毒は、明らかに低コストであるが、その浄水工程は日光の存在に依存する大変遅いものである。化学的凝集/消毒はしばしば、第三世界の国における多くの地域コミュニティにおいて容易に使用可能ではない。更に、該技術は、大半の飲用者によって不快であると感じられる味を飲用水に与える。重力による浄水器における多孔質セラミックフィルタの使用は、適度な寸法(modestly−sized)のセラミックフィルタが有される際に遅い浄水製造速度を有し、更には体積した粒子状材料によって引き起こされるフィルタ詰まりの問題を有し、フィルタの孔を介する水の通過をすぐに妨害し得る。これは、フィルタの多孔率/浸透性を高めることによって避けられ得るが、これは濾過工程の効果の減少に直結し、結果として微生物からの水の効果的な浄化を低減させる。この問題を解決する他の方法は、セラミックフィルタの寸法(及び浄水器の寸法)を大幅に高めることだが、これはコストを上げ(これは第三世界の国では望ましくない)、現実的ではないことがしばしばである。小型のセラミックフィルタを介する水濾過速度を高めるよう、重力駆動の濾過工程の代わりに空気圧駆動の濾過工程が利用されている。しかしながら、これは、追加的な手動空気ポンプを必要とし、浄水器の加圧構成要素の密封に対する高い(故にコストがかかる)必要性を与える。バイオサンドフィルタは、水から多種の汚染物質を除去するよう大変効果的であり得るが、一般的に大きな寸法、携帯性の欠如、バイオサンドフィルタを構成するよう必要とされるスキル、効果を維持するようある程度連続的に作動されなければならないこと、及び厳しい保守要件に関連付けられる複数の不利点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述された問題に対する解決策を与える手動操作の浄水装置を与える、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、水を浄化する手動操作の装置を与えることによる本発明によって達成される。当該装置は水容器を有する。該水容器は、底部及び側壁を有し、手動操作のピストン型フィルタ組立体を受けるよう適合される。該フィルタ組立体は、浄化されていない水をフィルタするようフィルタ手段を有し、容器の底部に向かって手動で押し進められるよう適合され、それによって浄化されていない水は、フィルタ手段を通過し得、水が浄化される。本発明に従った装置を有して、低コストの浄水器は、与えられ、水圧及び/又は電気が存在しない原始的な(屋外)状況下において向上された飲用水の品質を与えるよう使用され得る。
【0008】
本発明の浄水装置は、水容器及びピストン型フィルタ組立体である、2つの主な部品を有する:
(1) 水容器は、浄化されていない水の限られた容積を受け且つ維持する。
【0009】
(2) ピストン型フィルタ組立体は、多孔質水フィルタを有し、該多孔質フィルタは、水容器によってしっかりと受けられ得るよう、また容器の底部に向かって手動の力によって容器へと押し込まれ得るかねじで閉められ得るよう設計される。したがって、容器からの水は、多孔質水フィルタを通過するよう押し進められ、水は、多種の水汚染物質のうち少なくとも複数から浄化される。該汚染物質には、微生物、粒子、シスト、濁り、有機物成分、揮発性有機化合物(VOC)、塩素、重金属等が有される。
【0010】
容器における浄水されていない水は、単純に浄化され、その後ピストン型フィルタ組立体上に力を加えることによって運ばれ、フィルタ手段を容器へと押し、浄化されていない水がフィルタ手段を通過するようにして水を浄化する役割を果たす。フィルタされて浄化された水は、続いて、リザーバにおいて受けられ得る。この水はまた、リザーバにおいて受けられることなく、管又は同様のもの等を介して、フィルタ組立体の出口から装置の外側まで直接運ばれ得る。ピストン型フィルタ組立体上における力は、例えば、手動で、あるいはピストン型フィルタ組立体の上部上に置かれる別個のウェイトを介して、加えられ得、それによって、水フィルタ手段にわたって圧力差を作る。該圧力差は、水フィルタ工程に対する駆動力である。
【0011】
本発明の望ましい一実施例では、本発明の浄水器のフィルタ組立体は、容器からフィルタ手段を介する一方向の水流を与えるよう、バルブを有し、浄化されていない水のみを容器から流す役割を果たし、浄化された水が容器に流れ戻ることを防ぐ。
【0012】
本発明の他の望ましい実施例では、浄化された水は、フィルタされた浄水を受けるよう容器において受けられるべきであり、容器からリザーバへのフィルタ手段を介する一方向の水流を防ぐ前出のバルブは、フィルタ手段とリザーバとの間において与えられる。
【0013】
本発明の更なる望ましい一実施例によれば、フィルタ組立体は、設定された最大濾過速度を下回るよう水の濾過速度を制限する、スロットル手段を有する。信頼性の高い水の浄化を得るよう、フィルタ手段を介する水の濾過速度は、一定の最大値を超えず、故に水とフィルタ手段との間の十分な接触時間を可能にする。
【0014】
本発明に従った装置の特定の望ましい一実施例では、フィルタ組立体において与えられるバルブは、1グラム/cmより大きい密度を有するボールを有する、ボールバルブである。ボールはバルブに近接し、従って、リザーバから容器へと戻るフィルム手段を介する水流を反転させようとする状況において水流を防ぐ。この実施例の追加的な利点は、ボールバルブがボールバルブを介する水流を設定された最大値に制限するようにも使用され得る、ことである。このようにして、容器からリザーバへのフィルタ手段を介する一方向の水流を防ぐバルブは、濾過速度を制限するスロットル手段としての役割も果たす。
【0015】
本発明に従った装置は、既知のフィルタ手段(の組合せ)を有し得る。望ましくは、フィルタ手段は浄化されていない水から粒子及び微生物をフィルタするよう、少なくとも1つの多孔質粒子フィルタを有する。多孔質粒子フィルタは、水から塩素、重金属、ヒ素、フッ化物、VOC、農薬等を除去するよう、少なくとも1つの吸収及び/又は吸着媒体フィルタを有して補完され得る。吸着/吸収媒体は、多孔質粒子フィルタ内において存在し得るか、あるいは、別個のフィルタとして若しくは別個のフィルタの内部において存在し得る。
【0016】
本発明の望ましい一実施例では、多孔質粒子フィルタは、多孔質セラミックフィルタである。セラミックフィルタを使用する利点は、たわし等を使用して堆積された粒子材料を容易に洗浄し得ることであり、それによって、粒子状材料による多孔質粒子フィルタの急速な詰まりが避けられ、フィルタの寿命が延びる。望ましくは、多孔質セラミックフィルタは、多孔質セラミックフィルタ上及び該フィルタ内部における微生物の成長を防ぐよう、銀又は銅等の静菌性化合物に浸透される。
【0017】
本発明の更なる一実施例では、多孔質セラミックフィルタは、研磨可能な(abradable)多孔質セラミック濾過材料を有する。研磨可能な多孔質セラミック濾過材料を使用する利点は、研磨技術を使用して堆積された粒子状材料を容易に洗浄し得ることであり、従って、堆積物が除去され、新しく綺麗なフィルタ表面が作られる。これはまた、粒子状材料による多孔質粒子フィルタの急速な詰まりを避け、故にフィルタの寿命が延びる。本発明の更なる一実施例では、フィルタ手段は、浄化されていない水に面するフィルタ手段の一側上においてセラミックの非テクスチャード加工の濾過表面(ceramic non−textured filtration surface)を有する。これは、フィルタ手段の手動による洗浄可能性(cleanability by hand of the filtering means)を高める。
【0018】
本発明の溶くに望ましい一実施例では、フィルタ手段は、第1の多孔質粒子フィルタ、第2の吸着/吸収媒体フィルタ、及び第2の多孔質粒子フィルタを有する。第1の多孔質粒子フィルタは、望ましくは、圧縮多孔質セラミックフィルタであり、(微生物)粒子、バクテリア、シストを水からフィルタする。第2の吸着/吸収媒体フィルタは、例えば粒状の活性炭又は圧縮活性炭フィルタブロックを有し得、可能であれば、例えばヒ素、フッ化物、並びに、鉛及び水銀等である重金属を水から除去するよう他の種類の周知の吸着/吸収媒体と組み合わされる。第3の多孔質粒子フィルタは、水に対して最終的な濾過を与え、吸着/吸収フィルタから派生する吸着/吸収媒体粒子が最終的にフィルタされる水において懸濁されることを避ける。
【0019】
本発明の更なる望ましい一実施例では、本発明の浄水装置の水容器は、該容器の上方充填レベルを設定するよう側壁において少なくとも1つのホールを備えられる。故に、過剰な水はホールから漏れ出る。更には、ホールは、ピストン型フィルタ組立体が容器の上部から下方に容器へと下げられる際に、容器から空気を逃す役割を果たす。
【0020】
望ましくは、水容器は更に、浄化されていない水を容器へと受けるよう、並びに/あるいは容器から浄化されていない水を排出するよう、容器の底部又はその近くにおいて密封可能な開口を備えられる。このようにして、残った浄化されていない水は、容器からから排出され得る。更には、浄化されていない水は、開口を介して例えばより大きなベッセルから容器へと与えられ得る。
【0021】
本発明の特に望ましい更なる一実施例では、フィルタ組立体及び/又は容器の外側は、暗色を有する。これによって、容器及び/又はフィルタ組立体、並びに浄水装置の内部の(残っている)水は、装置を一定の期間日光に露出させて容器及び/又はフィルタ組立体、並びにそこに残る水を加熱することによって加熱を介して殺菌され得る。
【0022】
更に他の望ましい実施例では、本発明の浄水装置の容器は、容器の底部の近くにおいて一方向バルブを備えられ、水が一方向バルブを介して容器に入るようにする一方で、一方向バルブを介して容器から水が逃げることを防ぐ。故に一方向バルブは、実質的に妨害されていない水のパッセージ(passage)が、フィルタ組立体が容器から待避される際に作られる圧力差の駆動力下において、例えば汚染された水に対する格納ベッセルから一方向バルブを介して容器へと流れるようにする一方、フィルタ組立体が容器へと下げられる際に、水のパッセージが一方向バルブを介して容器から出ることを妨げる。
【0023】
他の望ましい一実施例では、本発明の浄水装置のピストン型フィルタ組立体に関連付けられるリザーバは、リザーバの上部近くにおいて突出する吐水口を備えられる。該吐水口は、ピストン型フィルタ組立体が容器へと下げられる際に、水濾過工程中のリザーバから別個の浄水ベッセルへのフィルタされた水の実質的に妨害されない流れを促進する役割を果たす。
【0024】
更に他の特に望ましい実施例において、本発明の浄水装置は、レバー構造を備えられる。該レバーは、ピストン型フィルタ組立体上へと増幅された力を加える役割を果たす。このトルクを強められる力は、人間による比較的小さな努力を有して、汚染された水で満たされた容器へのフィルタ組立体の急速な下降又は該容器からの上昇を促進し、それによって、フィルタ組立体に関連付けられる水フィルタ手段を介する水濾過速度を上昇させ、浄水装置の操作容易性を高める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、添付の図面において更に示される。
【0026】
図1中に示される通り、ピストン型フィルタ1の組立体は、底部において平らな水フィルタ手段3を備えられる円筒形のホルダ2を有する。水フィルタ手段3は、汚染された水から微生物、粒子、シスト等をフィルタするよう、例えば圧縮多孔質セラミックフィルタである第1の底部多孔質粒子フィルタ4を有する。このフィルタは、たわし等を使用して堆積物から手動で洗浄され得るか、あるいは、必要に応じて新しいフィルタに交換され得る。
【0027】
多孔質セラミックフィルタは、研磨可能な多孔質セラミック濾過材料を有し得る、ことが観察される。研磨可能な多孔質セラミック濾過材料を有を使用する利点は、研磨技術を有して堆積された粒子材料から容易に洗浄され得ることであり、それによって堆積物を除去し、新しく綺麗なフィルタ表面を作る。これはまた、粒子状材料を有する多孔質粒子フィルタの急速な詰まりを避け、故にフィルタの寿命を延ばす。更には、フィルタ手段は、浄化されていない水に面するフィルタ手段の一側上におけるセラミック非テクスチャード加工濾過表面を有し得る。これは更に、フィルタ手段を用いる洗浄可能性を高める。水フィルタ手段3は更に、吸着/吸収媒体フィルタ5を有し、該フィルタは、例えば、水からヒ素、VOC、THM、鉛、水銀、農薬等を除去するよう、粒状活性炭又は圧縮活性炭ブロックを有する。第3の上部多孔質粒子フィルタ6は、水に最終的な濾過を与えるよう存在し、吸着/吸収媒体からの粒子が浄水において懸濁することを防ぐ。
【0028】
図2において、本発明のフィルタ手段3の他の可能な構造が示される。円筒形の水フィルタ手段3は、平らな水フィルタ手段の代わりに、外側円筒形粒子フィルタ7、内側円筒形吸着フィルタ8(炭素ブロックフィルタ等)、及び上部多孔質粒子フィルタ9を有する。粒子フィルタ7及び吸着フィルタ8を通過した水は、上部多孔質粒子フィルタ9まで並びに該フィルタ9を介してフィルタされる水に対して内側パッセージ10を介して流れる。底部カバーキャップ11は、浄化されていない水が円筒形水フィルタ手段3の全てのフィルタ構成要素を介してフィルタされた浄水に対するリザーバ13へと確実に流れるよう、与えられる。円筒形フィルタ手段は、更なる濾過範囲を与え、故に、フィルタ手段にわたる所定の圧力差において比較的より高い水濾過速度を可能にし得る。フィルタ手段3は、リザーバ13の下部へとクランプ留め若しくは接着され得るか、別個のリザーバ下部板へと取外し可能なフィルタユニットとしてねじ止めされ得る。
【0029】
フィルタ組立体1は、フィルタされた水に対するリザーバ13を備えられる。浄水は、リザーバにおいて受けられる代わりに他の実施例において、リザーバに受けられることなく、管又は同様のもの等を介して、フィルタ組立体の出口から装置の外側まで直接運ばれ得る、ことが留意される。この実施例では更に、図1及び図2中に示される通り、ピストン型フィルタ組立体は、フィルタ手段3を通る一方向の水流を与えるボールバルブ12を備えられる。ボールバルブ12は、浄化された水を受けるようフィルタ手段3とリザーバ13との間において与えられ、支持手段17によって支持される。ボールバルブ12は、入口14及び出口15を有し、1グラム/cmより高い密度を有する可動のボール16を有する。ボール16は、水流のない状況において、あるいはリザーバから容器へと戻るフィルタ手段を介する流れを反転させようとする際、バルブ12の入口14を閉鎖する。これは、フィルタを通る下方向の水流を止める。更には、ボールバルブは、フィルタ手段3を通る濾過速度を制限する。即ち、水流が高すぎる際、ボールバルブ12におけるボール16は、バルブの出口15を閉鎖し、故にバルブを介する水流を設定された最大値に対して効果的に制限する。このようにして、フィルタ手段を通る一方向の水流を与える手段は、水濾過速度を制限するスロットル手段としての役割を果たす。設定された最大流を下回るようフィルタ手段を通る水流を制限することは、フィルタ手段が吸着又は吸収媒体を有する際に特に重要である。吸着又は吸収媒体と汚染された水との十分に長い接触時間は、媒体によって夫々吸着又は吸収されるべき水媒介汚染の所定の濃度低減を保証するよう求められる。
【0030】
本発明のフィルタ組立体は更に、変形可能なOリング18等である外側弾性媒体又は要素を備えられる。該媒体又は要素は、ピストン型フィルタ組立体の容器との接合を与える役割を果たし、故にフィルタ組立体が水濾過中に容器によってしっかりと受けられるようにし、(図1,2及び4中に示される通り)フィルタ組立体と容器との間における接触範囲における水の漏れを実質的に避ける。汚染された水の容器からのなんらかの漏れが該範囲において発生したとしても、これ自体は、浄化された水を有するフィルタ組立体のリザーバへのフィルタされていない水の浸入に繋がるものではない、ことが留意されるべきである。
【0031】
図1及び2中に示される通り、フィルタ組立体1は更に、本発明に従った浄水装置を操作するようリザーバ13の上部においてハンドリングフランジ(handling flange)19を有する。ハンドリングフランジは、リザーバ13の内側を保護するよう蓋を有してカバーされ得、それによって空気媒介の汚染物質等によってリザーバ13におけるフィルタされた水が再度汚染される可能性を避ける。
【0032】
図3は、開放された上部を備えられる垂直に位置付けられた水容器20の一実施例を概略的に示す。側壁22及び底部23を有する該容器は、浄化されていない水21を有する。底部23は、容器20の浄化されていない水の排出を可能にするようねじキャップ25を有して密封可能である開口24、及び、容器の上方充填レベルを設定する役割を果たす側壁22における小さなホール26を備えられる。故に、過剰な水は、ホール26から漏れ出る。
【0033】
図4は、開口28を介して容器へと与えられる浄化されていない水に対する大きなベッセル27と組み合わされる、本発明の浄水装置の他の望ましい実施例を示す。大きなベッセル27からの容器への浄化されていない水の供給は、1つ又はそれより多いバルブ29,30によって制御される。望ましくは、開口28に直接隣接するバルブ29は、一方向バルブであり、開口29を通る容器20への実質的に妨害されていない水のパッセージを可能にするが、開口28を通って容器から水が逃げることを防ぐ。望ましくは、リザーバ27に直接隣接するバルブ30は、手動で開放又は閉鎖され得るバルブである。大きなベッセル27から開口28を介して容器20へと汚染された水を供給する代わりに、汚染された水は、川又は湖等からの地上水として開口28を介して容器20へと直接引き込まれてもよい。
【0034】
上述された浄水装置を使用して水を浄化する方法は、図5中に示される。故に、図5中の段階Aにおいて示される通り、浄化されていない即ち非飲料水21は、容器20において保持される。側壁22におけるホール26は、容器20の上方充填レベルを設定する役割を果たし、更には、段階Bにおいて示される通り、フィルタ手段が容器における汚染された水21の表面に接触する瞬間まで容器20へと下げられる際に、空気が逃げ得るようにする役割を果たす。段階Cにおいて示される通り、水を浄化するよう、力31は、フィルタ組立体1を容器20へと更に下方に押すよう、フィルタ組立体1のハンドリング手段19上へと加えられ、容器からの浄化されていない水21がフィルタ手段3を通って流れるようにし、故に水を浄化する。力31は、フィルタ手段3にわたる圧力差を作る。該圧力差は、容器20からフィルタ手段3を通ってリザーバ13へと水を流す駆動力となる。力31の所定の強度において、圧力差は、ピストン型フィルタ組立体1の直径を減少させることによって増大され得る。力31は、ハンドリングフランジ19上への単純な手動の押し付けによって、あるいは、例えばフィルタ組立体1のハンドリングフランジ19の上部上に位置付けられるカバー蓋33上へと重いアイテム32(1つの石又はウェイト等)を置くことによって、図4中に示される通り重力を介して、適用され得る。重力駆動の力31はまた、図4中に示される通り、カバー蓋33上に人を座らせ、故にウェイト32に対して人間の体重を使用することによって、与えられ得る。フィルタされた浄水は、リザーバ13によって受けられ、濾過工程が完了した後、即ちフィルタ組立体1が容器20の底部に向かって押し付けられた後(図5中の段階D)に、リザーバから単純に注ぎ出され得る。容器からフィルタ組立体を引き出すよう、図5中のねじキャップ25は、解放され、開口24を通って浄化されていない水の残りを排出し、同時に空気が開口24を通って容器20へと入るようにし、それによって、容器20からフィルタ組立体1全体の容易な引出しが促進される。フィルタ組立体1を容器20から引き出す間、綺麗な浄水は、リザーバ13にとどまり、そこから例えば人間が飲用するようカップへと注がれ得る。
【0035】
図4中に示される通り、本発明の浄水装置のフィルタ組立体1に関連付けられるリザーバ13の上部は、フランジ19、及びフランジの上部上における取外し可能な蓋33を備えられる。フランジ19は、望ましくは、リザーバ13の断面より実質的に幅広い断面を備えられ、故に(大きな)ウェイト32がフランジ19(上における蓋33の)上部上に置かれるようにし、フィルタ組立体1が汚染された水で満たされる容器20へと下げられる(有意な)力31を作ることを容易にする。この力は、フィルタ組立体1海苔座13が比較的小さな直径を備えられる際に、フィルタ手段3にわたる有意な圧力差を確立し、それによって、フィルタ手段3を通る水流を増大させる。蓋33の上部上にウェイト32を置く代わりに、蓋が実質的に水平なプラットフォームとして与えられる際に蓋上に人が座ることも選択され得、容器20とリザーバ13との間におけるフィルタ手段3にわたる圧力差を作るよう人間の体重を使用する。
【0036】
図8は、他の一実施例を示す。該実施例では、本発明の浄水装置のフィルタ組立体1に関連付けられるリザーバ13の上部は、フランジ19、及びフランジの上部上における取外し可能な蓋33を備えられる。該蓋は、ハンドリングバー80を備えられる。このハンドリングバーの使用は、ユーザがフィルタ組立体の上部を掴むよう屈む必要がないため、手動のポンプ動作を容易にする。更には、リザーバ13の内部におけるヘリカルスプリング84は、ピストン型フィルタ組立体が水容器内部において上昇され得る容易性を高める役割を果たす。ピストン型フィルタ組立体が水容器の底部に向かって下げられる際、ヘリカルスプリングは圧縮される。フィルタ組立体が水容器の底部から上げられる際、スプリングを弛めることで、フィルタ組立体を上げるよう求められる引上げ力は大幅に低減される。フィルタ組立体がリザーバへと下げられ得る力を更に強めるよう、水容器の周囲に適合するよう形成されるプラットフォーム83は、フィルタ組立体の上部から懸架され、故にフィルタ組立体の上/下運動を案内する支援をする。力の増大は、フィルタが下げられる際に人の足がこのプラットフォーム上に置かれることによって達成され、力は、足及び該足に関連付けられる脚部の重みからもたらされる。1本の足/脚部をこのプラットフォーム上に置かせる代わりに、単純に人がこのプラットフォーム上に乗り、フィルタ組立体が水容器へと下げられる力を更に増大するよう人の全体重を使用することも、可能である。また、更なる水フィルタ82は、フィルタ組立体において有され得、水の浄化レベルを更に高める。更には、電気ポンプ81は、フィルタ組立体において有され得る。国によっては、電気は、一日に数時間使用可能であり得る。電力がある場合、人は、手動ポンプを行う必要なく、フィルタ組立体内部における水フィルタを介して水を引くよう、単純に電気ポンプを繋ぐことができる。電気ポンプが水フィルタの下流に位置付けられる際、電気ポンプの汚染された水との接触を避けることは、有利である。これにより、ポンプの作動寿命は大幅に伸びる。
【0037】
容器20及び/又はフィルタ組立体1の外側は、望ましくは暗色を有し、浄水装置を直射日光にさらすことによって浄水装置及びその中の水を急速に加熱させる。かかる加熱自体は、温度が少なくとも30分間70−80℃を越える場合、ウィルス及び細菌に関する水の殺菌に対して十分である。故に、装置は、年間を通して長時間豊富な日光が容易に使用可能である第三世界の多くの国において、特に有用であり得る。代替的にあるいは追加的に、汚染された水はまた、まず、汚染された水に対して塩素又はヨウ素剤等を加えて、全ての細菌及びウィルスが殺され得るよう塩素又はヨウ素を少なくとも30分間水と接触させることによって、容器20の内部及び/又はベッセル27(図4)の内部において殺菌され得る。続いて、殺菌された水は、発明に従った浄水装置によってフィルタされ得、追加的な水媒介汚染を除去するよう、例えば最初の化学的水殺菌から派生する不快な味及び/又はにおいを水から確実に除去するようにされる。容器20内部又はベッセル27(図4)内部におけるある期間の水の補完はまた、水から懸濁された粗粒子の沈殿を可能にするよう有用であり得る。
【0038】
図6及び7は、大きな浄水製造速度が適度な人間の努力のみにおいて達成され得る、本発明に従った手動浄水装置の他の実施例を示す。これを達成するよう、浄水装置は、レバー34を備えられ、該レバーを有して、増幅された力35がフィルタ組立体1上へと適用され得る。この目的に対して、レバー34は、剛性なレバー支持構造37に対してピボット36を介して一端において接続され、また、フィルタ組立体1と接触する接続バー39に対して他のピボット38を介して接続される。図6中に示される通り、レバー(即ちレバーハンドル40)の対向する端部を手動で上げ下げすることによって、フィルタ組立体1は夫々、フィルタ組立体1上のトルクを強められた力を作ることによる単なる適度な人間の努力を有して、容器30へと下げられ、また容器20から引き出される。図7において、レバーハンドル40の手動の上げ下げは、フィルタ組立体1が夫々容器20から引き出されるよう、また容器20へと下げられるようにする。更に、図6及び7中のフィルタ組立体1は、リザーバ13の上部の近くにおいて吐水口を備えられており、それを介するリザーバ13からの浄水は、浄水装置の手動ハンドリングを求めることなく、別個の浄水ベッセル42へと重力を介して容易に運ばれ得る。別個の汚染された水の保管ベッセル27は、一方向バルブ29を介して浄水装置の容器20に対して接続される。一方向バルブ29は、容器20からのフィルタ組立体1の待避中に圧力差が容器20と汚染された水の保管ベッセル27との間において作られる際、保管ベッセル27から容器20への汚染された水の一方向運搬のみを可能にする。このようにして、レバーハンドル40の反復される上下運動は、ポンプ動作を効果的に引き起こす。該動作によって水は、1度の動作で(in strokes)、保管ベッセル27から容器20及びフィルタ手段3を介して浄水装置のリザーバ13へと引き込まれ、該浄水装置から吐水口41を介して別個の浄水ベッセル42へと放出される。このようにして、大きな浄水製造速度は、適度な手動の努力のみを使用する小型の浄水装置を有して達成され得る。フィルタ組立体1を容器20から完全に引き出すことによって、堆積された粒子状材料は、図6及び7において露出された多孔質粒子フィルタから手動で清浄され得る。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】フィルタ手段とリザーバとの間において一方向ボールバルブを有する、本発明の装置において使用されるピストン型フィルタ組立体の一実施例を概略的に図示する。
【図2】フィルタ手段の他の構造を有する、フィルタ組立体の他の実施例を図示する。
【図3】本発明の浄水装置の水容器を概略的に図示する。
【図4】本発明の浄水装置の一実施例であり、容器へと与えられる汚染された、即ち浄水されていない水に対する別個のベッセルと組み合わされる、水容器及びピストン型フィルタ組立体を図示する。
【図5】図5A乃至5Dにおいて、本発明の浄水装置を使用して水を浄化する方法を段階的に図示する。
【図6】レバー構造を備えられる本発明の浄水装置の実施例を図示する。レバーは、フィルタ組立体を容器へと下げるよう、あるいは容器から上方向にフィルタ組立体を待避させるよう使用され得るピストン型フィルタ組立体上へと増幅された力を加える役割を果たす。浄水装置は更に、浄水されていない水が容器へと与えられ得るベッセルを備えられ、浄水装置のリザーバから吐水口を介してフィルタされた水を受ける役割を果たす他のベッセルを備えられる。
【図7】レバー構造を備えられる本発明の浄水装置の実施例を図示する。レバーは、フィルタ組立体を容器へと下げるよう、あるいは容器から上方向にフィルタ組立体を待避させるよう使用され得るピストン型フィルタ組立体上へと増幅された力を加える役割を果たす。浄水装置は更に、浄水されていない水が容器へと与えられ得るベッセルを備えられ、浄水装置のリザーバから吐水口を介してフィルタされた水を受ける役割を果たす他のベッセルを備えられる。
【図8】本発明に従った手動浄水装置の代替的な一実施例を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を浄化する手動操作装置であって、
当該装置は、ある量の浄化されていない水を受け且つ保持する水容器を有し、該水容器は、底部及び側壁を有し、手動操作のピストン型フィルタ組立体を受けるよう適合され、該フィルタ組立体は、前記浄化されていない水をフィルタするフィルタ手段を有し、
前記フィルム組立体は、前記容器の前記底部に向かって手動で押し進められるよう適合され、それによって浄化されていない水が前記フィルタ手段を通過するようにし、前記水が浄化される、
装置。
【請求項2】
前記フィルタ組立体は、前記フィルタ手段を介する一方向の水流を与えるようバルブを有する、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
浄水は、フィルタされた浄水を受けるようリザーバにおいて受けられ、前記バルブは、前記フィルタ手段と前記リザーバとの間において与えられる、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記フィルタ組立体は、前記水の濾過速度を制限するスロットル手段を有する、
請求項1乃至3記載の装置。
【請求項5】
前記バルブは、ボールバルブであり、1グラム/cmより高い密度を有するボールを有する、
請求項2又は3記載の装置。
【請求項6】
前記フィルタ手段は、少なくとも1つの多孔質粒子フィルタを有する、
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項7】
前記多孔質粒子フィルタは、多孔質セラミックフィルタである、
請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記多孔質セラミックフィルタは、研磨可能な多孔質セラミック濾過材料を有する、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記フィルタ手段は、前記浄化されていない水に面する前記フィルタ手段の一側上においてセラミック非テクスチャード加工濾過表面を有する、
請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタ手段は、第1の多孔質粒子フィルタと、第2の吸着/吸収媒体フィルタと、第3の多孔質粒子フィルタとを有する、
請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項11】
前記容器は、前記容器の上方充填レベルを設定するよう、側壁において少なくとも1つのホールを備えられる、
請求項1乃至10のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項12】
前記容器は、前記容器へと浄化されていない水を受けるよう、あるいは前記容器から浄化されていない水を排出するよう、前記容器の前記底部又は前記底部の近くにおいて密封可能な開口を備えられる、
請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項13】
前記容器の外側及び/又は前記フィルタ組立体は、暗色を有する、
請求項1乃至12のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項14】
前記容器は、前記容器の前記底部の近くにおいて一方向バルブを備えられ、水が前記容器へと与えられる一方で、前記容器から水が抜けることを防ぐようにする、
請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項15】
前記ピストン型フィルタ組立体に関連付けられる前記リザーバは、前記リザーバからの前記浄化された水の排出に対する吐水口を備えられる、
請求項1乃至14のうちいずれか一項記載の装置。
【請求項16】
レバーを備えられ、該レバーは、前記ピストン型フィルタ組立体上へと増幅された力を加える役割を果たす、
請求項1乃至のうちいずれか一項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−509744(P2009−509744A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532943(P2008−532943)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053470
【国際公開番号】WO2007/036864
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】