説明

手動格納式車両用ドアミラー

【課題】部品点数を削減して組み付け作業の効率化を図りつつ、外力によりハウジング支持部材に作用する曲げモーメントに対してシャフトの位置よりも外周側に離れた位置で大きな支持力が得られるようにした手動格納式車両用ドアミラーを提供する。
【解決手段】ハウジング支持部材34に、回転軸Sと同軸に、シャフト38と環状壁40とクラッチのハウジング支持部材側部分54を一体に形成する。ハウジング支持部材34にハウジング36を連結固定する。ベース32に、回転軸Sと同軸に、シャフト挿通孔56と環状壁収容溝58とクラッチのベース側部分60を一体に形成する。シャフト38をシャフト挿通孔56に回転自在に差し込み、環状壁40を環状壁収容溝58に回転自在に収容して、ベース32にハウジング支持部材34を回転軸Sの周り方向に回転自在に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は手動格納式車両用ドアミラーに関し、ハウジング支持部材またはミラー回転部にシャフトを一体に形成することにより部品点数を削減して組み付け作業の効率化を図りつつ、外力によりハウジング支持部材またはミラー回転部に作用する曲げモーメントに対してシャフトの位置よりも外周側に離れた位置で大きな支持力が得られるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来の手動格納式車両用ドアミラーとして下記特許文献1に記載のものがあった。これは車両のドアに取り付けられるベース(50)に回転軸(シャフト)(54)を立設固定し、回転軸(54)にフレーム(58)を該回転軸(54)の軸回り方向に回転自在に支持し、フレーム(58)にボデー(ハウジング)(74)を固定支持したものである(カッコ内の符号は特許文献1で使用されている符号を示す)。また従来の小型バス、トラック用のアウトサイドミラーとして下記特許文献2に記載のものがあった。これは図17に示すように、車体2にベース10を取り付け、ステー20の一端部のピボット22に図示しないミラーを支持し、ステー20の他端部に下方に向けて支持軸(シャフト)22を形成し、支持軸22をベース10に回転自在に支持したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−216783号公報(図5)
【特許文献2】実開平2−49753号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドアミラーによれば、回転軸(54)が独立部品として必要であるため、その分部品点数が多くなり、回転軸(54)をベース(50)に組み付けるための作業工程が必要となっていた。特許文献2に記載のアウトサイドミラーによれば、支持軸22がステー20に一体化されているため、その分部品点数が少なくて済む。この構成では外力によりステー20に作用する曲げモーメントを、支持軸22の外周面と挿通孔11bの内周面との押圧当接およびその位置よりも外周側に離れた位置にあるベース10の外周面と環状凹部21の内周面との押圧当接により支持する。
【0005】
この発明はハウジング支持部材またはミラー回転部にシャフトを一体に形成することにより部品点数を削減して組み付け作業の効率化を図りつつ、外力によりハウジング支持部材またはミラー回転部に作用する曲げモーメントに対してシャフトの位置よりも外周側に離れた位置で大きな支持力が得られるようにした手動格納式車両用ドアミラーを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車体外側に取り付けられるベースと、該ベースに回転自在に支持されるハウジング支持部材と、該ハウジング支持部材に固定支持され該ハウジング支持部材を伴って該ハウジング支持部材の回転軸の周り方向に回転して格納位置と復帰位置に変位するハウジングとを具備し、前記ハウジング支持部材は前記ベースと相対回転する回転軸上に下方に向けて突出形成されたシャフトと、該シャフトよりも外周側に離れた位置で該シャフトと同軸に下方に向けて突出形成された環状壁と、前記シャフトと同軸に下方に向けて形成されたクラッチのハウジング支持部材側部分を一体に形成した構造を具備し、前記ベースは前記シャフトが回転自在に差し込まれるシャフト挿通孔と、前記環状壁が回転自在に収容される上方に向けて開口した環状壁収容溝と、前記クラッチのハウジング支持部材側部分と突き合わされて係合して前記ハウジング支持部材の回転動作を規制する上方に向けて形成されたクラッチのベース側部分を一体に形成した構造を具備し、前記ベースの裏面側で前記シャフト挿通孔から突出する前記シャフトにばねを圧縮して嵌挿装着し、もって前記ベースと前記ハウジング支持部材との間に該ばねの付勢力を前記回転軸に沿って相互に突き合わせる方向に付与して、前記クラッチのハウジング支持部材側部分とベース側部分どうしを圧接させてなり、前記ハウジングに外力が加わって前記ハウジング支持部材に掛かる曲げモーメントが増大したときに、前記環状壁と前記環状壁収容溝の内壁面どうしおよび/または外壁面どうしがそれぞれ押圧当接して該外力を支持するものである。この発明は環状壁と環状壁収容溝の配置を入れ替えて、ベース側に環状壁を配置し、ハウジング支持部材側に環状壁収容溝を配置することもできる。
【0007】
またこの発明は車体外側に取り付けられるベースと、該ベースに回転自在に支持されて格納位置と復帰位置に変位するミラー回転部とを具備し、前記ミラー回転部はハウジングと、前記ベースと相対回転する回転軸上に下方に向けて突出形成されたシャフトと、該シャフトよりも外周側に離れた位置で該シャフトと同軸に下方に向けて突出形成された環状壁と、前記シャフトと同軸に下方に向けて形成されたクラッチのミラー回転部側部分とを一体に形成した構造を具備し、前記ベースは前記シャフトが回転自在に差し込まれるシャフト挿通孔と、前記環状壁が回転自在に収容される上方に向けて開口した環状壁収容溝と、前記クラッチのミラー回転部側部分と突き合わされて係合して前記ミラー回転部の回転動作を規制する上方に向けて形成されたクラッチのベース側部分を一体に形成した構造を具備し、前記ベースの裏面側で前記シャフト挿通孔から突出する前記シャフトにばねを圧縮して嵌挿装着し、もって前記ベースと前記ミラー回転部との間に該ばねの付勢力を前記回転軸に沿って相互に突き合わせる方向に付与して、前記クラッチのミラー回転部側部分とベース側部分どうしを圧接させてなり、前記ハウジングに外力が加わって該ミラー回転部に掛かる曲げモーメントが増大したときに、前記環状壁と前記環状壁収容溝の内壁面どうしおよび/または外壁面どうしがそれぞれ押圧当接して該外力を支持するものである。この発明においても環状壁と環状壁収容溝の配置を入れ替えて、ベース側に環状壁を配置し、ミラー回転部側に環状壁収容溝を配置することもできる。
【0008】
この発明によれば、シャフトはハウジング支持部材またはミラー回転部に一体に形成されているので、シャフト専用部品が不要となって部品点数が削減され、これにより組み付け作業の効率化を図ることができる。特にシャフトとハウジングと環状壁または環状壁収容溝をミラー回転部に一体に形成すれば部品点数をより削減することができる。また環状壁収容溝と環状壁は、ハウジングに外力が加わってハウジング支持部材またはミラー回転部に掛かる曲げモーメントが増大してシャフトに傾きが生じたときに、内壁面どうしおよび/または外壁面どうしがそれぞれ押圧当接して該外力を支持するので、シャフトの位置よりも外周側に離れた位置で該曲げモーメントに対して大きな支持力が得られる。
【0009】
この発明においてクラッチのハウジング支持部材側部分またはミラー回転部側部分およびベース側部分は、例えば環状壁および環状壁収容溝の位置よりも径方向内側に配置することができる。これによれば、環状壁および環状壁収容溝の径方向外側に、クラッチを配置するための径方向の専用幅が不要である。あるいはクラッチのハウジング支持部材側部分またはミラー回転部側部分およびベース側部分は、環状壁の頂部および環状壁収容溝の底部に配置することもできる。これによれば、クラッチを配置するための径方向の専用幅が不要なので、ベースとハウジング支持部材またはミラー回転部が相対回転する部分の径を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図2のドアミラーを、ハウジング36が復帰位置にあるときに、回転軸Sを通る面で切断した部分断面図(図5、図8のA−A矢視位置の断面に相当)である。
【図2】この発明の実施の形態1によるドアミラーの要部の分解斜視図である。
【図3】図2のドアミラーのハウジング36単体の平面図である。
【図4】図2のドアミラーにおいて、ハウジング36の凹所42にハウジング支持部材34を収容した状態を示す平面図である。
【図5】図4の状態における底面図である。
【図6】図4の状態における背面図である。
【図7】図2のハウジング支持部材34をストッパ40cが形成されている側から見た斜視図である。
【図8】図2のベース32の回転支持部32bの平面図である。
【図9】図2のドアミラーのハウジング支持部材34とハウジング36の連結固定位置の部分断面図(図5のB−B矢視位置の断面に相当)である。
【図10】図2のドアミラーのハウジング36が復帰位置にあるときに、クラッチのベース側部分60とハウジング支持部材側部分54とが噛み合った状態を示す一部拡大正面図である。
【図11】この発明の実施の形態2によるドアミラーにおいて、ハウジング36の凹所42にハウジング支持部材34を収容してハウジング36の底面側から見た図である。
【図12】この発明の実施の形態2によるドアミラーにおけるベース32の回転支持部32bの平面図である。
【図13】この発明の実施の形態2によるドアミラーを、ハウジング36が復帰位置にあるときに、回転軸Sを通る面で切断した部分断面図である。
【図14】この発明の実施の形態3によるドアミラーを、ハウジング36が復帰位置にあるときに、回転軸Sを通る面で切断した部分断面図である。
【図15】この発明の実施の形態4によるドアミラーの要部の分解斜視図である。
【図16】ハウジング支持部材の他の構成例を示す斜視図である。
【図17】特許文献2に記載の従来装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
《実施の形態1》
この発明の実施の形態1を説明する。これはハウジング支持部材側に環状壁を配置し、ベース側に環状壁収容溝を配置したものである。図2は実施の形態1による手動格納式車両用ドアミラーの構成を分解して示す。このドアミラーは右側用で、図2は背面側から見た状態を示す。図2ではハウジング(ミラーボデー)36の背面側に装着するハウジングカバー、ハウジング36の前面側空間37a(図5)内に固定配置する鏡面調整用アクチュエータ、鏡面角度を可変に該鏡面調整用アクチュエータに固定支持されるミラー板等は図示を省略している。このドアミラーは車体外側に取り付けられるベース32と、ベース32に対し回転軸Sの周り方向に回転自在に軸受支持されるハウジング支持部材34(フレーム)と、ハウジング支持部材34に固定支持されるハウジング36を具備する。ハウジング36はハウジング支持部材34を内部空間37の凹所42に収容してビス44でハウジング支持部材34に固定支持される。このときハウジング支持部材34のシャフト38とその外周側の環状壁40はハウジング36の下面から下方に向けて突出する。このシャフト38と環状壁40をベース32の回転支持部32bに形成されたシャフト挿通孔56と環状壁収容溝58(図8)にそれぞれ差し込んで、ベース32の下面側からシャフト38にコイルばね46を短縮(圧縮)して嵌挿装着し、シャフト38の下端部にプレート48を装着することにより、ハウジング支持部材34とベース32は相互に連結される。これによりハウジング36は手動操作でハウジング支持部材34を伴って、ストッパ40c(図7)で規制される角度範囲内で回転軸Sの周り方向に回転して格納位置(後方可倒位置)と復帰位置さらには前方側に倒れた位置(前方可倒位置)に変位可能となる。
【0012】
図2のハウジング支持部材34、ハウジング36、ベース32についてそれぞれ説明する。ハウジング支持部材34はPA+GF(ガラス繊維入りのポリアミド)樹脂等の硬質プラスチックによる一体成型品あるいはアルミ等の金属による一体鋳造品等で構成されている。図2に示すように、ハウジング支持部材34にはベース32と相対回転する回転軸S上に配置される中空丸棒状のシャフト38と、シャフト38よりも外周側に離れた位置でシャフト38に対し径方向に間隙を隔てて同軸に配置された円形の環状壁40が形成されている。シャフト38はハウジング支持部材34に一体に形成されているので、シャフト専用部品が不要となって部品点数が削減される。これにより組み付け作業の効率化が図られる。環状壁40の板厚は下方に行くに従い僅かに薄くなるように形成されている(図1)。環状壁40は、環状壁40とシャフト38を繋ぐ円板状の連結部39(図1,図4)を越えてそのまま上方に突出して環状壁延長部41を構成している。環状壁延長部41は環状壁40の剛性を高める働きをする。図1に示すように、環状壁40と連結部39とシャフト38で囲まれた空間内には、連結部39と環状壁40との境界部分(環状壁40のすぐ内周側)に、シャフト38および環状壁40と同軸に配置されたクラッチのハウジング支持部材側部分54が形成されている。クラッチのハウジング支持部材側部分54は図5に示すように、山部54aと谷部54bの繰り返し構造を周方向に等ピッチで3回繰り返し形成して構成されている。山部54aと谷部54bの境界部分54cはそれぞれ傾斜面に形成されている(図10)。図7に示すように、環状壁40の外周面の周方向の一部の領域にはストッパ40cが径方向に突出して形成されている。ストッパ40cは、図8のベース32の環状壁収容溝58のすぐ外周側の位置で回転軸Sを中心とする周方向の一部の領域に形成されたストッパ移動溝63に収容されて、ハウジング支持部材34の回転に伴ってストッパ移動溝63を移動し、ストッパ移動溝63の両端部63a,63bに当接して係止される。ストッパ40cが端部63aで係止される位置がハウジング36の前方可倒位置であり、ストッパ40cが端部63bで係止される位置がハウジング36の格納位置(後方可倒位置)である。ストッパ40cは環状壁40の外周面に形成されているので、環状壁40が無くストッパ40cがその基部だけでハウジング支持部材34に連結されている場合に比べて、ストッパ40cを強固に支持することができ、ストッパ40cが折れるのを防止することができる。なお上記の配置とは逆に、ストッパ移動溝63を環状壁収容溝58のすぐ内周側の位置に形成し、ストッパ40cを環状壁40の内周面に突出形成することもできる。図7に示すように、ハウジング支持部材34の前面側には鏡面調整用アクチュエータの一部分をねじ止め支持するねじ穴29,31が形成されている。
【0013】
ハウジング36はハウジング支持部材34よりも剛性が低いABS等のプラスチックによる一体成型品で作られている。図2に示すように、ハウジング36は内部空間37が仕切り板36aで前面側空間37aと背面側空間37bとに概ね仕切られている。前面側空間37a(図5)内には、図示しない鏡面調整用アクチュエータが仕切り板36aの前面側に配置して収容される。すなわち、鏡面調整用アクチュエータは一部分が該仕切り板36aの前面に形成されたねじ穴(図示せず)にねじ止め固定され、他の一部分がハウジング支持部材34の前面側のねじ穴29,31(図7)にねじ止め固定される。鏡面調整用アクチュエータには図示しないミラー板が装着される。背面側空間37bには上方に開口する凹所42が形成されている。凹所42にはハウジング支持部材34が収容される。ハウジング36の背面側にはねじ通し穴33(図2)が形成されている。ねじ通し穴33にはねじ(図示せず)が差し込まれてハウジング支持部材34の背面側に形成されたねじ穴35(図2)にねじ込まれる。これによりハウジング36とハウジング支持部材34とは背面側からも固定される。ハウジング36の背面側空間37bは図示しないハウジングカバーが装着されて閉じられる。ハウジング36の底面には回転軸S上に、ハウジング支持部材34のシャフト38と環状壁40を突出させる丸穴52(図3)が形成されている。丸穴52にはストッパ40c(図7)を通すための切欠52a(図3、図5、図11)が形成されている。
【0014】
ベース32はPA+GF樹脂等の硬質プラスチックによる一体成型品あるいはアルミ等の金属による一体鋳造品等で構成されている。図2に示すように、ベース32は車体に固定される車体固定部32aと、車体固定部32aの下端部から側方に突出してハウジング支持部材34を回転自在に軸受支持する回転支持部32bを有する。図8はベース32の回転支持部32bを上から見た状態を示す。回転支持部32bには回転軸S上にシャフト挿通孔56とその外周側に環状壁収容溝58と、環状壁収容溝58のすぐ内周側にクラッチのベース側部分60が同軸に形成されている。シャフト挿通孔56はハウジング36が復帰位置にあるときにシャフト38を僅かなクリアランスで挿通する大きさに形成されている。環状壁収容溝58の内壁面58aおよび外壁面58bには、環状壁40の内壁面40aおよび外壁面40b(図1)との当接箇所を設定する突条59,61が回転軸Sと平行な方向に延在してかつ周方向に等角度間隔に配置した状態に6本ずつ突出形成されている。環状壁収容溝58と環状壁40は、ハウジング36が復帰位置にあるときに内壁面58a(突条59の位置),40aどうしおよび外壁面58b(突条61の位置),40bどうしがクリアランスなしで当接する内径、外径に形成されている。環状壁収容溝58の溝幅は環状壁40の板厚の変化に合わせて、下方に行くに従い僅かに狭くなるように形成されている(図1)。環状壁収容溝58の深さは、ハウジング支持部材34がベース32に対し相対回転できる角度範囲内で、クラッチのハウジング支持部材側部分54とベース側部分60とが常に押圧当接し合える十分な深さに形成されている。クラッチのベース側部分60は環状壁収容溝58のすぐ内周側に山部60aと谷部60bの繰り返し構造を周方向に等ピッチで3回繰り返し形成して構成されている(図8)。山部60aと谷部60bの境界部分60cはそれぞれ傾斜面に形成されている(図10)。
【0015】
図2のドアミラーは例えば次の手順で組み立てられる。
(1)ハウジング36の凹所42にハウジング支持部材34を収容する。図4、図5、図6はこのときの状態を平面図、底面図、背面図でそれぞれ示す。
(2)ハウジング36の下面に形成された2個のねじ通し穴50(図5)にビス44(図2)をそれぞれ差し込んでハウジング支持部材34の下面にねじ込むことにより、ハウジング36とハウジング支持部材34とを相互に連結固定する。 図9はハウジング支持部材34とハウジング36の連結固定位置の断面(図5のB−B矢視位置の断面に相当)を示す。ハウジング支持部材34とハウジング36は、ハウジング36に形成されたねじ通し穴50からビス44を差し込んで、ハウジング支持部材34に形成されたねじ穴66にねじ込むことにより連結固定されている。
(3)ハウジング36の底面の丸穴52から下方に突出するシャフト38と環状壁40をベース32の回転支持部32bに形成されたシャフト挿通孔56と環状壁収容溝58(図8)にそれぞれ回転自在に差し込む。
(4)ベース32の下面側に突出したシャフト38にコイルばね46を嵌挿し、シャフト38の下端部にプレート48を装着して、シャフト38にコイルばね46を短縮状態に装着し、もってベース32にハウジング支持部材34を介してハウジング36を回転軸Sの周り方向に回転自在に連結して軸受支持する(図1)。
(5)ハウジング36の背面側のねじ通し穴33(図2)からねじ(図示せず)を差し込んで、ハウジング支持部材34のねじ穴35(図2)にねじ込んでハウジング36とハウジング支持部材34との連結を強固にする。
(6)ハウジング36の裏面側の開口(図2、図3、図4、図6に示すエッジ36cで囲まれた領域)にハウジングカバーを装着する。これによりハウジング支持部材34は、ハウジング36の下面から突出しているシャフト38および環状壁40を除く部分すなわち連結部39よりも上の部分がハウジング36の内部空間37に収容された状態となる。
(7)ハウジング36の前面側空間37aに鏡面調整用アクチュエータを装着し、該鏡面調整用アクチュエータにミラー板を装着して完成する。
【0016】
図1は図2のドアミラーを組み立てて、ハウジング36が復帰位置にあるときに、回転軸Sを通る面で切断した状態を示す(図5、図8のA−A矢視位置の断面に相当)。シャフト38の中空部38aには鏡面調整用アクチュエータ等に駆動用電力を供給するハーネス62が挿通されている。ベース32の下部開口部は蓋64で閉じられている。ハウジング36が復帰位置にあるときはコイルばね46の付勢力はベース32とハウジング支持部材34との間に、回転軸Sに沿って相互に突き合わせる方向に付与され、クラッチのベース側部分60(図8)の山部60a、谷部60bとハウジング支持部材側部分54(図5)谷部54b、山部54aとが相互に噛み合った状態(図10に示す状態)となる。これによりハウジング36を装着したハウジング支持部材34はベース32上に起立した状態に保持される。このとき環状壁40の内外壁面40a,40bと環状壁収容溝58の内外壁面58a,58bの突条59,61とはいずれも当接した状態となり、ハウジング36はがたつき無く復帰位置に保持される。シャフト38の外周面38bとシャフト挿通孔56の内周面56aとの間には僅かなクリアランスがある。
【0017】
ハウジング36が復帰位置にある状態からコイルばね46の付勢力に抗してハウジング36に手で回転軸Sの周り方向に力を加えると、クラッチのハウジング支持部材側部分54の傾斜面54c(図10)がベース側部分60の傾斜面60cを滑り上がってクラッチの噛み合いが外れる。このとき傾斜面54cの滑り上がりによりハウジング支持部材34がその分上方に移動する。前述のように環状壁40の板厚は下方に行くに従い僅かに薄くなるように形成され、環状壁収容溝58の溝幅は環状壁40の板厚の変化に合わせて、下方に行くに従い僅かに狭くなるように形成されているので(図1)、ハウジング支持部材34が上方に移動することにより、環状壁40の内外壁面40a,40bと環状壁収容溝58の内外壁面58a,58bの突条59,61との当接が緩められ(両壁面間に隙間が生じ)、ハウジング36は回転軸Sの周り方向に回転できるようになり、格納位置(後方可倒位置)あるいは格納位置とは反対側の前方可倒位置に変位する。このハウジング36が回転するときの軸受支持は、環状壁40の内外壁面40a,40bと環状壁収容溝58の内外壁面58a,58bとの摺動、あるいはシャフト38の外周面38bとシャフト挿通孔56の内周面56aとの摺動、あるいはこれら両摺動によって行われる。
【0018】
ハウジング36が復帰位置にある状態でハウジング36に無用な外力が加わって(例えばハウジング36に上から荷重がかかる等)、ハウジング支持部材34に掛かる曲げモーメント(図1のシャフト挿通孔56の中心位置Pを中心とする矢印Fで示す方向のモーメント)が増大してハウジング支持部材34に傾きが生じたときは、環状壁40の内外壁面40a,40bと環状壁収容溝58の内外壁面58a,58bの突条59,61とが押圧当接し、またシャフト38に傾きが生じてシャフト38の外周面38bとシャフト挿通孔56の内周面56aとが押圧当接して、これら3面の押圧当接で該外力を分担して支持する。したがってハウジング支持部材34は全体として高い剛性が得られ、外力に対して高い支持力が得られる。したがってハウジング支持部材34を金属でなくPA+GF樹脂等の硬質プラスチックによる一体成型品で作ってもシャフト38や環状壁40が折れたり曲がったり破損するのが防止される。ハウジング支持部材34およびベース32をいずれもPA+GF樹脂等の硬質プラスチックによる一体成型品で作ればドアミラーを安価に製造することができる。特にこの実施の形態によれば、ハウジング36が復帰位置にあるときに、環状壁40の内外壁面40a,40bと環状壁収容溝58の内外壁面58a,58bの突条59,61どうしがクリアランスなしで当接し、シャフト38の外周面38bとシャフト挿通孔56の内周面56aとは僅かなクリアランスで対面しているので、ハウジング36に外力が加わったときに、環状壁40の内外壁面40a,40bと環状壁収容溝58の内外壁面58a,58bの突条59,61どうしの押圧当接で該外力の多くの部分を支持し、シャフト38の外周面38bとシャフト挿通孔56の内周面56aとの押圧当接で該外力の残りの部分を支持するので、シャフト38に掛かる力を軽減してシャフト38が折れたり曲がったりするのをより確実に防止することができる。
【0019】
また上記実施の形態によれば、環状壁40は環状壁収容溝58に収容されて隠されるので、従来の車両用ドアミラーと同等の外観を保つことができる。またドアミラーにおいては、ハウジング36を回転させる際に両者が擦れ合って異音を発生させないように、ベース32とハウジング36の対向面間に僅かな(0.5mm前後)ギャップが設けられているが(図1に示すギャップg)、車両走行中にこのギャップgに空気流が進入して風切り音を発生させることがある。これに対し上記実施の形態によれば、環状壁40の外周面の上下方向の一部の領域がギャップgに臨んで配置されており、環状壁40がギャップgに進入する空気流に対して衝立(ついたて)として作用するので、ギャップgに対する空気流の進入を抑制して風切り音低減効果が得られる。また上記実施の形態によれば、クラッチ54,60は環状壁40および環状壁収容溝58よりも内周側に配置されているので、環状壁40および環状壁収容溝58よりも外周側にクラッチを配置するための径方向の専用幅(クラッチを形成するためにハウジング支持部材34およびベース32に設ける回転軸Sに関する径方向の幅)が不要である。またシャフト38の中空部38aにハーネス62を通すので、ハーネス62の取り回しが容易である。またコイルばね46は環状壁収容溝58よりも内周側に配置されているので、コイルばね46の直径を小さくすることができる。
【0020】
《実施の形態2》
この発明の実施の形態2を図11〜図13に示す。これはクラッチのハウジング支持部材側部分54を環状壁40の頂部に形成し、クラッチのベース側部分60を環状壁収容溝58の底部に形成したものである。他の構成は実施の形態1と同じである。図11はハウジング36の凹所42(図3)にハウジング支持部材34を収容して(図4)ハウジング36の底面側から見た図(実施の形態1の図5に相当)、図12はベース32の回転支持部32bの平面図(実施の形態1の図8に相当)、図13はハウジング36が復帰位置にあるときに、回転軸Sを通る面で切断した断面図(実施の形態1の図1に相当)である。実施の形態1と共通する部分には同一の符号を用いる。これによれば、クラッチを配置するための径方向の専用幅が不要となるので、ベース32とハウジング支持部材34が相対回転する部分の径を小さくすることができる。この実施の形態のドアミラーは実施の形態1のドアミラーと同様に動作する。
【0021】
《実施の形態3》
この発明の実施の形態3を図14に示す。これは前記実施の形態1とは逆に、ベース32側に環状壁40を形成し、ハウジング支持部材34側に環状壁収容溝58を形成したものである。他の構成は実施の形態1と同じである。図14はハウジング36が復帰位置にあるときに、回転軸Sを通る面で切断した断面図(実施の形態1の図1に相当)である。実施の形態1と共通する部分には同一の符号を用いる。ベース32には回転軸Sと同軸に円形の環状壁40が上方に向けて突出形成されている。ハウジング支持部材34には回転軸Sと同軸に円形の環状壁収容溝58が下方に向けて開口形成されている。シャフト挿通孔56はハウジング36が復帰位置にあるときにシャフト38を僅かなクリアランスで挿通する。環状壁40の板厚は上方に行くに従い僅かに薄くなるように形成されている。環状壁収容溝58の溝幅は環状壁40の板厚の変化に合わせて、上方に行くに従い僅かに狭くなるように形成されている。環状壁収容溝58の内壁面58aおよび外壁面58bには、環状壁40の内壁面40aおよび外壁面40bとの当接箇所を設定する突条(図8の突条59,61と同様のもの)が回転軸Sと平行な方向に延在してかつ周方向に等角度間隔に配置した状態に6本ずつ突出形成されている。環状壁収容溝58と環状壁40は、ハウジング36が復帰位置にあるときに内壁面58a(突条の位置),40aどうしおよび外壁面58b(突条の位置),40bどうしがクリアランスなしで当接する。環状壁40および環状壁収容溝58のすぐ内周側の位置において、ベース32にはクラッチのベース側部分60の山部60a、谷部60bが形成され、ハウジング支持部材34にはクラッチのハウジング支持部材側部分54の谷部54b、山部54aが形成されている。復帰位置でクラッチのベース側部分60の山部60a、谷部60bはクラッチのハウジング支持部材側部分54の谷部54b、山部54aにそれぞれ噛み合った状態(図10に示す状態)となる。この状態はコイルばね46の付勢力によって保持される。この実施の形態のドアミラーは実施の形態1のドアミラーと同様に動作する。この実施の形態においても環状壁40と環状壁収容溝58との係合によりシャフト38の位置よりも外周側に離れた位置で該曲げモーメントに対して支持力が得られる。また環状壁40は環状壁収容溝58に収容されて隠されるので、従来の車両用ドアミラーと同等の外観を保つことができる。また車両走行中に環状壁40がベース32とハウジング36の対向面間のギャップgに進入する空気流に対して衝立として作用するので、ギャップgに対する空気流の進入を抑制して風切り音低減効果が得られる。
【0022】
《実施の形態4》
この発明の実施の形態4を図15に示す。これは前記実施の形態1のハウジング支持部材34をハウジング36に一体化したものである。実施の形態1と共通する部分には同一の符号を用いる。ミラー回転部68は全体がPA+GF樹脂等の硬質プラスチックによる一体成型品で作られている。ミラー回転部68はハウジング36と、回転軸S上に配置されたシャフト38と、シャフト38よりも外周側に離れた位置でシャフト38と同軸に配置された環状壁40と、シャフト38と同軸に配置されたクラッチのミラー回転部側部分54とを一体に形成した構造を具備する。他の構成は実施の形態1と同じである。ハウジング36の背面側の開口(エッジ36cで囲まれた領域)にハウジングカバーが被せられて装着される。この実施の形態のドアミラーは実施の形態1のドアミラーと同様に動作する。この実施の形態によれば、実施の形態1に比べて部品点数を削減することができる(独立したハウジング支持部材34およびビス44が不要である)。なおこの実施の形態においても前記実施の形態2,3と同様の改変(クラッチ位置の変更、環状壁と環状壁収容溝の入れ替え)が可能である。この実施の形態においても環状壁40と環状壁収容溝58との係合によりシャフト38の位置よりも外周側に離れた位置で該曲げモーメントに対して支持力が得られる。また環状壁40は環状壁収容溝58に収容されて隠されるので、従来の車両用ドアミラーと同等の外観を保つことができる。また車両走行中に環状壁40がベース32とハウジング36の対向面間のギャップに進入する空気流に対して衝立として作用するので、ギャップに対する空気流の進入を抑制して風切り音低減効果が得られる。
【0023】
前記各実施の形態では、環状壁収容溝58と環状壁40は、ハウジング36が復帰位置にあるときに内壁面58a(突条59の位置),40aどうし、外壁面58b(突条61の位置),40bどうしの双方がそれぞれクリアランスなしで当接するようにしたが、いずれか一方のみクリアランスなしで当接する(内壁面58a(突条59の位置),40aどうしはクリアランスなしで当接し、外壁面58b(突条61の位置),40bどうしはクリアランスありで非接触とする、あるいは内壁面58a(突条59の位置),40aどうしはクリアランスありで非接触とし、外壁面58b(突条61の位置),40bどうしはクリアランスなしで当接する)こともできる。このように構成しても、シャフト38の位置よりも外周側に離れた位置で該曲げモーメントに対して支持力が得られる。また前記各実施の形態と同様に、環状壁40は環状壁収容溝58に収容されて隠されるので、従来の車両用ドアミラーと同等の外観を保つことができる。また車両走行中に環状壁40がベース32とハウジング36の対向面間のギャップに進入する空気流に対して衝立として作用するので、ギャップに対する空気流の進入を抑制して風切り音低減効果が得られる。
【0024】
前記各実施の形態では、ハウジング36が復帰位置にあるときに、シャフト38をシャフト挿通孔56に対し僅かなクリアランスで挿通させるようにしたが、クリアランスなしで挿通させることもできる。この場合はハウジング36に無用な外力が加わった場合に、前記各実施の形態に比べて該外力をシャフト38で支持する割合が増大する。またシャフト38をシャフト挿通孔56に対し十分大きなクリアランスで挿通させることもできる。この場合はハウジング36に無用な外力が加わった場合に、シャフト38の外周面38bとシャフト挿通孔56の内周面56aとの当接は生じず、該外力の全部を環状壁収容溝58と環状壁40の内壁面58a,40aどうしおよび/または外壁面58b,40bどうしの当接で支持する。また前記各実施の形態では、ばねとしてコイルばね46を使用した場合について説明したが、皿ばねや板ばねを使用することもできる。
【0025】
図7の構成では、ハウジング支持部材34の前面側に鏡面調整用アクチュエータの一部分をねじ止め支持するためのねじ穴29,31を形成したが、鏡面調整用アクチュエータの全体をハウジング36の前面側空間37a内の仕切り板36a(図2)の前面側にねじ止め固定する場合はハウジング支持部材34にねじ穴29,31を形成する必要はない。ねじ穴29,31を無くしたハウジング支持部材34の構成例を図16に示す。ハウジング支持部材34’は、ハウジング36とハウジング支持部材34’とをハウジング36の背面側から連結するためのねじ穴35が形成された箇所付近で終端し、図7のねじ穴29,31を形成する構造部分は除去されている。
【符号の説明】
【0026】
32…ベース、34,34’…ハウジング支持部材、36…ハウジング、38…シャフト、38a…シャフトの外周面、40…環状壁、40a…環状壁の内壁面、40b…環状壁の外壁面、40c…ストッパ、46…コイルばね(ばね)、54…クラッチのハウジング支持部材側部分、クラッチのミラー回転部側部分、56…シャフト挿通孔、58…環状壁収容溝、58a…環状壁収容溝の内壁面、58b…環状壁収容溝の外壁面、60…クラッチのベース側部分、63…ストッパ移動溝、63a,63b…ストッパ移動溝の端部、68…ミラー回転部、S…回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外側に取り付けられるベースと、該ベースに回転自在に支持されるハウジング支持部材と、該ハウジング支持部材に固定支持され該ハウジング支持部材を伴って該ハウジング支持部材の回転軸の周り方向に回転して格納位置と復帰位置に変位するハウジングとを具備し、
前記ハウジング支持部材は前記ベースと相対回転する回転軸上に下方に向けて突出形成されたシャフトと、該シャフトよりも外周側に離れた位置で該シャフトと同軸に下方に向けて突出形成された環状壁と、前記シャフトと同軸に下方に向けて形成されたクラッチのハウジング支持部材側部分を一体に形成した構造を具備し、
前記ベースは前記シャフトが回転自在に差し込まれるシャフト挿通孔と、前記環状壁が回転自在に収容される上方に向けて開口した環状壁収容溝と、前記クラッチのハウジング支持部材側部分と突き合わされて係合して前記ハウジング支持部材の回転動作を規制する上方に向けて形成されたクラッチのベース側部分を一体に形成した構造を具備し、
前記ベースの裏面側で前記シャフト挿通孔から突出する前記シャフトにばねを圧縮して嵌挿装着し、もって前記ベースと前記ハウジング支持部材との間に該ばねの付勢力を前記回転軸に沿って相互に突き合わせる方向に付与して、前記クラッチのハウジング支持部材側部分とベース側部分どうしを圧接させてなり、
前記ハウジングに外力が加わって前記ハウジング支持部材に掛かる曲げモーメントが増大したときに、前記環状壁と前記環状壁収容溝の内壁面どうしおよび/または外壁面どうしがそれぞれ押圧当接して該外力を支持する手動格納式車両用ドアミラー。
【請求項2】
車体外側に取り付けられるベースと、該ベースに回転自在に支持されるハウジング支持部材と、該ハウジング支持部材に固定支持され該ハウジング支持部材を伴って該ハウジング支持部材の回転軸の周り方向に回転して格納位置と復帰位置に変位するハウジングとを具備し、
前記ハウジング支持部材は前記ベースと相対回転する回転軸上に下方に向けて突出形成されたシャフトと、該シャフトよりも外周側に離れた位置で該シャフトと同軸に下方に向けて開口した環状壁収容溝と、前記シャフトと同軸に下方に向けて形成されたクラッチのハウジング支持部材側部分を一体に形成した構造を具備し、
前記ベースは前記シャフトが回転自在に差し込まれるシャフト挿通孔と、前記環状壁収容溝に回転自在に収容される上方に向けて突出形成された環状壁と、前記クラッチのハウジング支持部材側部分と突き合わされて係合して前記ハウジング支持部材の回転動作を規制する上方に向けて形成されたクラッチのベース側部分を一体に形成した構造を具備し、
前記ベースの裏面側で前記シャフト挿通孔から突出する前記シャフトにばねを圧縮して嵌挿装着し、もって前記ベースと前記ハウジング支持部材との間に該ばねの付勢力を前記回転軸に沿って相互に突き合わせる方向に付与して、前記クラッチのハウジング支持部材側部分とベース側部分どうしを圧接させてなり、
前記ハウジングに外力が加わって前記ハウジング支持部材に掛かる曲げモーメントが増大したときに、前記環状壁と前記環状壁収容溝の内壁面どうしおよび/または外壁面どうしがそれぞれ押圧当接して該外力を支持する手動格納式車両用ドアミラー。
【請求項3】
車体外側に取り付けられるベースと、該ベースに回転自在に支持されて格納位置と復帰位置に変位するミラー回転部とを具備し、
前記ミラー回転部はハウジングと、前記ベースと相対回転する回転軸上に下方に向けて突出形成されたシャフトと、該シャフトよりも外周側に離れた位置で該シャフトと同軸に下方に向けて突出形成された環状壁と、前記シャフトと同軸に下方に向けて形成されたクラッチのミラー回転部側部分とを一体に形成した構造を具備し、
前記ベースは前記シャフトが回転自在に差し込まれるシャフト挿通孔と、前記環状壁が回転自在に収容される上方に向けて開口した環状壁収容溝と、前記クラッチのミラー回転部側部分と突き合わされて係合して前記ミラー回転部の回転動作を規制する上方に向けて形成されたクラッチのベース側部分を一体に形成した構造を具備し、
前記ベースの裏面側で前記シャフト挿通孔から突出する前記シャフトにばねを圧縮して嵌挿装着し、もって前記ベースと前記ミラー回転部との間に該ばねの付勢力を前記回転軸に沿って相互に突き合わせる方向に付与して、前記クラッチのミラー回転部側部分とベース側部分どうしを圧接させてなり、
前記ハウジングに外力が加わって該ミラー回転部に掛かる曲げモーメントが増大したときに、前記環状壁と前記環状壁収容溝の内壁面どうしおよび/または外壁面どうしがそれぞれ押圧当接して該外力を支持する手動格納式車両用ドアミラー。
【請求項4】
車体外側に取り付けられるベースと、該ベースに回転自在に支持されて格納位置と復帰位置に変位するミラー回転部とを具備し、
前記ミラー回転部はハウジングと、前記ベースと相対回転する回転軸上に下方に向けて突出形成されたシャフトと、該シャフトよりも外周側に離れた位置で該シャフトと同軸に下方に向けて開口した環状壁収容溝と、前記シャフトと同軸に下方に向けて形成されたクラッチのミラー回転部側部分を一体に形成した構造を具備し、
前記ベースは前記シャフトが回転自在に差し込まれるシャフト挿通孔と、前記環状壁収容溝に回転自在に収容される上方に向けて突出形成された環状壁と、前記クラッチのミラー回転部側部分と突き合わされて係合して前記ミラー回転部の回転動作を規制する上方に向けて形成されたクラッチのベース側部分を一体に形成した構造を具備し、
前記ベースの裏面側で前記シャフト挿通孔から突出する前記シャフトにばねを圧縮して嵌挿装着し、もって前記ベースと前記ミラー回転部との間に該ばねの付勢力を前記回転軸に沿って相互に突き合わせる方向に付与して、前記クラッチのミラー回転部側部分とベース側部分どうしを圧接させてなり、
前記ハウジングに外力が加わって該ミラー回転部に掛かる曲げモーメントが増大したときに、前記環状壁と前記環状壁収容溝の内壁面どうしおよび/または外壁面どうしがそれぞれ押圧当接して該外力を支持する手動格納式車両用ドアミラー。
【請求項5】
前記ベースが前記環状壁収容溝の外周側または内周側に隣接してストッパ移動溝を有し、
前記ミラー回転部が前記環状壁の外周面または内周面に径方向に突出して形成されたストッパを有し、
該ストッパが前記ミラー回転部の回転に伴い前記ストッパ移動溝を移動して、該ストッパ移動溝の端部に当接して係止される請求項1または3記載の手動格納式車両用ドアミラー。
【請求項6】
前記ハウジングが復帰位置にあるときに、前記環状壁と前記環状壁収容溝の内壁面どうしおよび/または外壁面どうしはクリアランスなしで対面しかつ前記シャフトの外周面と前記シャフト挿通孔の内周面とは僅かなクリアランスで対面し、この状態で前記ハウジングに外力が加わって前記ハウジング支持部材または前記ミラー回転部に掛かる曲げモーメントが増大したときに、該シャフトの外周面と該シャフト挿通孔の内周面どうしが押圧当接して該外力の一部を支持する請求項1から6のいずれか1つに記載の手動格納式車両用ドアミラー。
【請求項7】
前記クラッチの前記ハウジング支持部材側部分または前記ミラー回転部側部分および前記ベース側部分が前記環状壁および前記環状壁収容溝の位置よりも径方向内側に配置されている請求項1から6のいずれか1つに記載の手動格納式車両用ドアミラー。
【請求項8】
前記クラッチの前記ハウジング支持部材側部分または前記ミラー回転部側部分および前記ベース側部分が前記環状壁の頂部および前記環状壁収容溝の底部に配置されている請求項1から6のいずれか1つに記載の手動格納式車両用ドアミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−121492(P2011−121492A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281434(P2009−281434)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】