説明

手持ち式ピペット

本発明による手持ち式ピペットは、互いに離間された第1および第2係止部を有したハウジング内に収容されたアクチュエータアセンブリによって駆動されるピストンを備えている。アクチュエータアセンブリは、第1接触面を備えた第1セクションと、第2接触面を備えた第2セクションと、に分割される。アクチュエータアセンブリは、第1接触面が第1係止部に対して接触しておりかつ第2接触面が制御距離の分だけ第2係止部から離間している休止位置と、第2接触面が第2係止部に対して接触しておりかつ第1接触面が第1係止部から離間しておりさらにアクチュエータアセンブリのストロークおよびピストンのストロークが制御距離に等しいような前進位置と、の間にわたって往復移動し得るよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、一般に、着脱可能なピペットチップ内へと流体を吸引し得るようまたピペットチップから流体を吐出し得るよう、軸線方向に往復移動するピストンを使用しているような、手持ち式ピペットに関するものであり、とりわけ、改良されたアクチュエータアセンブリと、そのようなピストンのストロークを自動的に制御するための関連システムと、を備えた構成に興味がある。
【背景技術】
【0002】
手動で駆動されるピストンと、ストローク自動制御機構と、を備えた手持ち式ピペットは、ほぼ10年前から知られている。図14は、米国マサチューセッツ州ボストン所在のNortheastern大学の工科学生によって1994年に開発されたそのようなピペット10を示している。このピペット10は、ピストン12を備えている。ピストン12は、その下限位置においては、シリンダ14内に受領される。シリンダ14は、その先端部に、ピペットチップ(図示せず)を受領し得るよう構成されている。ピストン12は、手動式のプランジャーシャフト16によって、操作される。プランジャーシャフト上のカラー18は、ピストン12に対して作用しているスプリング22によって、後方係止部20に対して弾性的に付勢されている。ピストンは、スプリング22の付勢力に抗してプランジャーシャフト16を手動で押し下げることによって、シリンダ14内へと進められる。前方係止部24が、カラー18と係合する。これにより、プランジャーシャフトを押し下げ得る範囲を限定することができる。よって、ピストンのストローク“S”は、前方係止部24と後方係止部20との間の距離によって、規定される。
【0003】
後方係止部20は、フレーム26の一部を形成している。フレーム26は、ハウジングによって支持されたガイドシャフト28上において、プランジャーシャフト16に対して平行にスライド可能に取り付けられている。ステップモータ30は、フレーム26の上部に対して螺着された出力スクリューシャフト32を備えている。モータを駆動することにより、フレーム26を、ガイドシャフト28に沿って、自動的に移動させることができる。これにより、後方係止部20の位置を調節することができ、よって、ピストン12のストロークを調節することができる。
【0004】
このタイプの自動ストローク調整に関する1つの問題点は、ピストンのストローク長さを短くする目的で前方係止部24に向けて後方係止部20を前進させる際に、モータ30は、スプリング22によって印加されておりかつ徐々に増大する付勢力に対して作用しなければならないことである。よって、モータを、付勢力に打ち勝ち得るよう十分に大きくて大きなサイズのものとしなければならないか、あるいは、ストロークの調節前に、プランジャーシャフト16を、後方係止部から離間するように押し下げられなければならないか。のどちらかである。モータをより大きなものとすることは、ユニットのサイズおよびコストを増大させることのために不利であり、一方、前もって後方係止部を取り外す必要性は、ストローク調整シーケンスを過度に複雑なものとすることのために不利である。モータをより大きなものとすることは、また、より多くの電力を消費することとなる。このため、より大きなバッテリーを必要とし、ユニットのサイズおよび重量をさらに増大させてしまう。
【0005】
他の問題点は、プランジャーシャフト16を押し下げるのに必要な初期的な力すなわち『起動力』が、後方係止部20の調整前の時点でスプリング22を押圧した程度に応じて、変動することである。起動力に関するそのような変動は、操作者が、流体を正確に吸引したりあるいは流体を正確に吐出したりすることを、妨害する。
【0006】
プランジャーシャフト16とモータ出力シャフト32とが平行であるという構成は、ハウジングの全体的サイズを大きなものとすることのために、また、ユニットの重量を大きなものとすることのために、さらに、製造コストを増大化させるとともに使い勝手を悪いものとすることのために、不利である。なお、本出願人の知る限りにおいては、本出願に関連性を有する先行技術文献は存在しない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の全体的な目的は、上述し様々な問題点を除去し得るようなあるいは少なくとも実質的に最小化し得るような改良されたストローク調整機構を備えている手動式かつ手持ち式のピペットを提供することである。
【0008】
本発明においては、手持ち式ピペットは、チャンバと互いに離間された第1および第2係止部とを有したハウジングを備えている。着脱可能なピペットチップは、チャンバに対して流体連通状態とされ、往復移動ピストンがチャンバと協働することによって、ピペットチップ内へと流体を吸引し得るものとされておりまたピペットチップから流体を吐出し得るものとされている。アクチュエータアセンブリは、全体的な長さを有しているとともに、この全体的な長さは、第1接触面を備えた第1セクションと、第2接触面を備えた第2セクションと、に分割することができる。
【0009】
アクチュエータアセンブリは、第1接触面が第1係止部に対して接触しておりかつ第2接触面が制御距離の分だけ第2係止部から離間している休止位置に向けて、弾性的に付勢される。アクチュエータアセンブリは、この休止位置と、第2接触面が第2係止部に対して接触しておりかつ第1接触面が第1係止部から離間しておりさらにアクチュエータアセンブリのストロークおよびピストンのストロークが制御距離に等しいような前進位置と、の間にわたって往復移動し得るよう構成されている。
【0010】
モータ駆動機構は、アクチュエータアセンブリの一方のセクションを他方のセクションに対して移動させることができる。これにより、アクチュエータアセンブリの全体長さと制御距離との双方を変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下においては、本発明によるピペットに関するいくつかの好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0012】
まず最初に、図1〜図6および図10において、本発明によるピペットは、全体的に符号40によって示されている。ピペットは、着脱可能なカバー44を有した外側ハウジング42を備えている。ハウジング42は、内部シャシー46を囲んでいる。内部シャシー46は、ハウジングの上面内の開口穴50から下向きに延在している中空ガイド48を備えている。
【0013】
固定カラー52が、中空ガイド48の下端に取り付けられている。可動カラー54が、中空ガイド48の内部段部58に対して、スプリング56によって弾性的に付勢されている。カラー52のテーパー状内部肩部が、第1係止部60を形成しており、可動カラー54の上部リムが、第2係止部62を形成している。
【0014】
チャンバ64は、中空シャシーガイド48に対して、軸線方向に位置合わせされている。チャンバは、ハウジングの下端から、着脱可能なピペットチップ65を解放可能に保持し得るよう構成された先端底部にまで、下向きに突出している。
【0015】
アクチュエータアセンブリは、互いに軸線方向に位置合わせされた以下のような構成部材を具備している。すなわち、ネジ山付きの上端部68と反対側に位置しかつエンコーダホイール72付きの底端部70とを有した出力シャフトを備えた駆動用ステップモータ66と;中空ガイド48内において可動カラー54を貫通してスライド可能に延在するとともに、上端部が、外面にネジ山を有していて、参照カラー76とプランジャー88とに対して螺着され得るものとされ、なおかつ、下端部が、内面にネジ山を有していて、モータの出力シャフトの上端部68に対して螺着され得るものとされた、チューブ状スリーブ74と;上部78aが、モータ66の底面に対して固定され、なおかつ、下部78bが、アクチュエータアセンブリの底端を規定している、エンコーダハウジング78と;を具備している。ピストン80は、エンコーダハウジングの下部78bに係合している上端と、チャンバ64の上端内へとシールアセンブリ82を貫通して突出している下端と、を有している。
【0016】
ピストン80が、アクチュエータアセンブリの底端に対して直接的に係合している様子が図示されているけれども、当業者であれば、それら2つの構成部材(すなわち、ピストン、および、アクチュエータアセンブリ)の間において機械的連結を確立するに際して、他の手段を使用し得ることは、理解されるであろう。例えば、中間リンクを使用することができる。このような中間リンクの使用は、ピストンとアクチュエータアセンブリとが軸線方向において位置合わせされていない場合には、有利である。
【0017】
モータ66のテーパー状ノーズは、第1接触面84を形成しており、参照カラー76の下側リムは、第2接触面86を形成している。アクチュエータアセンブリは、モータ66とエンコーダハウジング78とを備えてなる第1セクションと、チューブ状スリーブ74と参照カラー76とプランジャー80とを備えてなる第2セクションと、に分割されているものとして、理解することができる。ここで、それら2つのセクションは、モータの出力シャフトのネジ山付き上端68によって、相互接続されている。
【0018】
図10および図11を参照すると最良に理解されるように、少なくとも1つの、好ましくは2つの互いに平行な、引っ張りスプリング90が、モータ66に対して固定されたアンカープレート92と、中空シャシーガイド48の上端から横方向に突出している外部アーム94と、の間に延在している。例えば図1〜図3および図10に示すように、スプリング90は、アクチュエータアセンブリを『休止』位置に向けて弾性的に付勢するように機能する。休止位置においては、第1接触面84が、第1係止部60と接触し、第2接触面86が、制御距離“S”の分だけ第2係止部62から離間して配置されている。
【0019】
プランジャー88を手動で押し下げることにより、休止位置から、図7および図11に示すような第1前進位置へと、アクチュエータアセンブリを、スプリング90の付勢力に抗して軸線方向に移動させることができる。第1前進位置においては、第2接触面86が、第2係止部62と接触しており、第1接触面84が、第1係止部60から離間している。これにより、第2接触面と第2係止部との間の制御距離“S”は、休止位置と第1前進位置との間におけるアクチュエータアセンブリのストロークを規定する。これは、また、ピストン80のストロークをも規定する。
【0020】
アクチュエータアセンブリを第1前進位置にまで前進させることによって、さらにその後、ピペットチップを流体内に含浸させることによって、さらにその後、アクチュエータアセンブリを休止位置へと復帰させることによって、流体を、ピペットチップ65内へと吸引することができる。このようにして吸引された流体は、その後、アクチュエータアセンブリを第1前進位置へと再び前進させることによって、吐出することができる。
【0021】
吸引したすべての流体を確実に吐出させ得るよう、ピストンアセンブリを、スプリング56とスプリング90との双方の付勢力に抗して、図8に示すような第2前進位置すなわち『完全排出』位置へと、さらに前進させることができる。これにより、カラー54が、スプリング56によって通常的には押し付けられている段部58から、一時的に軸線方向に変位することとなる。
【0022】
アクチュエータアセンブリの制御距離“S”は、適切な方向に出力シャフト68を回転させるようにしてステップモータ66を駆動することによって、自動的に調節することができる。よって、例えば図9に示すように、ステップモータを動作させることによって、アクチュエータアセンブリの全体的長さを短くすることができる。この場合、カラー54を通してスリーブ74を引っ込め、これにより、第2接触面86と第2係止部62との間の距離を短くし、これにより、制御距離を短くする。この調整は、カラーをガイド48の内部肩部58に対して付勢した状態で行うことができ、まず最初にスプリング90の付勢力からいかなる構成部材をも解除する必要なく、行うことができる。
【0023】
図4を参照すると最良に理解されるように、スリーブ74は、径方向外向きに突出するリブ96を有している。これらリブ96は、カラー54の内部グルーブに係合している。カラーは、外部グルーブを有している。これら外部グルーブは、中空シャシーガイド48上の径方向内向きに突出しているリブ98を受領する。このインターロック関係により、スリーブ74およびカラー54は、モータ66が駆動された際でも相対回転することがなく、なおかつ、スリーブ74とカラー54との間における軸線方向移動、および、カラー54とガイド48との間における軸線方向移動、を妨げることがない。
【0024】
図6に示すように、エンコーダハウジング78は、径方向外向きに突出するリブ100を有している。リブ100は、シャシー46の下部に形成された相補的なグルーブ内に受領される。このインターロック関係は、アクチュエータアセンブリの長さの調整に際してモータ66が駆動された際に、回転に関してモータ66を安定化させる。
【0025】
モータ66は、バッテリ104に対して、フレキシブルなコネクタ102によって、接続されている。バッテリに対しては、カバー44を取り外すことによって、容易にアクセスすることができる。モータは、モータの出力シャフトの下端部70に対して付設されたエンコーダホイール72を備えてなるフィードバックループを使用したシステムによって、制御される。光学センサ106が、PCボード108上のマイクロプロセッサに対して、コネクタ102を介して接続されている。図5を参照すると最良に理解されるように、エンコーダホイールは、スロット112によって互いに離間されておりかつ径方向に突出している複数の歯110を有している。これら歯のうちの1つの歯110’は、他のものと比較して幅が2倍のものとされており、2倍幅のスロット112’に対して180°をなす位置に配置されている。
【0026】
光学センサは、光源114と、エンコーダホイール72の両サイドに配置されたフォトセル116と、を備えている。エンコーダホイールの歯110およびスロット112は、2つのセンサ部材114,116の間に位置合わせされている。
【0027】
この配置において、フォトセル116は、エンコーダホイール72の回転によって生成された明暗パターンに応じた位置信号を生成する。このような位置信号は、マイクロプロセッサに対してフィードバックされる。2倍幅の歯110’およびスロット112’の各々は、互いに180°だけ離間した明確な参照位置を提供する。好ましくは、歯110およびスロット112の総数は、ステップモータ66の1回転あたりのステップ数に等しいものとされる。これにより、モータの各ステップ移動を認識することができる。
【0028】
制御システムは、モータ回転の各ステップをカウントし、予想した間隔でもって、2倍幅の歯110’およびスロット112’の出現を探す。予想した間隔でもって2倍幅の歯またはスロットが出現しなかった場合には、ピペットをリセットする必要性が示される。この場合、制御システムは、予想した位置に2倍幅の歯またはスロットを再配置することによって、自身を修正することができる。
【0029】
ステップモータ66は、外部キーパッド上において手動で入力された命令信号に応じて、および/または、マイク118によって受領されさらにマイクロプロセッサ内に搭載された音声認識システムによって処理された可聴命令に応じて、動作することができる。
【0030】
図12および図13は、本発明における修正された実施形態を示してる。この場合、
フレキシブルコネクタ102の下端は、固定された二股状端子120において終端している。コンタクトプレート122は、光学センサ106とモータ66との双方に対して、電気的に接続されている。ピストンアセンブリが、図12に示すような退避した休止位置にある際には、コンタクトプレート122の上端のところのボタン124は、端子120の二股状アームどうしの間に、弾性的にかつ電気的に係合している。これにより、回路を閉じて、ストローク調整の実施を可能としている。
【0031】
例えば図13に示すように、吸引および吐出サイクル時にプランジャー88が押し下げられたときには、プレート122と端子120との間の接続は、切り離される。しかしながら、このことは、重要ではない。なぜなら、吸引および吐出サイクル時には、ストローク調整が行われないからである。
【0032】
上記により、当業者であれば、本発明が、例えば図14に図示されているタイプのものといったような従来技術によるピペットと比較して、明確な利点を提供することを理解されるであろう。
【0033】
格別の利点は、アクチュエータアセンブリの長さ調整のために係止部調整を行わなくて良い点である。これにより、スプリング部材によって印加されている付勢力をまず最初に解放するという操作を必要とすることなく、ピストンのストローク調整を行うことができる。ピストンと動作プランジャーとステップモータとが軸線方向において互いに位置合わせされていることにより、コンパクトさがもたらされる。これにより、コストが低減され、操作者によるピペットの取扱いの容易さが増強される。
【0034】
フィードバック制御システムにより、ストローク調整を観測できて正確に制御することができ、さらに、エラーを認識することができ、必要に応じてリセットすることができる。
【0035】
第1接触面84を第1係止部60に対して接触させた状態でアクチュエータアセンブリの下セクションを休止位置に弾性的に保持しながら、下セクションに対してアクチュエータアセンブリの上セクションを移動させることにより、ハウジングの頂部からのプランジャー88の突出度合いの関数として、得られるストロークの大きさを、視覚的に評価し得るという、さらなる利点がもたらされる。よって、最大のストロークは、図3において“Pmax ”で示されているように、プランジャーの最大突出によって参照され、一方、最小のストロークは、図9において“Pmin ”で示されているように、プランジャーの最小突出によって参照される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による手持ち式ピペットを示す斜視図である。
【図2】ピペットを示す鉛直方向断面図であり、流体の吸引および吐出を最大化し得るように、アクチュエータアセンブリの長さが調節されている。
【図3】図2のピペットの上部を拡大して示す図である。
【図4】図3における4−4線に沿った水平方向断面図である。
【図5】図3における5−5線に沿った水平方向断面図である。
【図6】図3における6−6線に沿った水平方向断面図である。
【図7】図3と同様の図であって、吸引および吐出サイクル時における様々なステージにおけるアクチュエータアセンブリを示している。
【図8】図3と同様の図であって、吸引および吐出サイクル時における様々なステージにおけるアクチュエータアセンブリを示している。
【図9】図3と同様の他の図であって、流体の吸引および吐出を最小化し得るように、アクチュエータアセンブリの長さが調節されている。
【図10】図2における10−10線に沿った断面図である。
【図11】図10と同様の図であって、完全に押し下げられたプランジャーを示している。
【図12】図2と同様の図であって、ストローク調整モータおよび光学センサに対してバッテリを電気的に接続するための代替手段を示している。
【図13】図2と同様の図であって、ストローク調整モータおよび光学センサに対してバッテリを電気的に接続するための代替手段を示している。
【図14】従来技術によるストローク調整機構付きの手動駆動ピストンを備えた手持ち式ピペットを示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
40 ピペット
42 ハウジング
56 スプリング
60 第1係止部
62 第2係止部
64 チャンバ
66 駆動用ステップモータ
72 エンコーダホイール
74 チューブ状スリーブ
78 エンコーダハウジング
80 ピストン
84 第1接触面
86 第2接触面
88 プランジャー
90 引っ張りスプリング
102 フレキシブルなコネクタ
106 光学センサ
110 歯
112 スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式ピペットであって、
チャンバを備え、さらに、内部で互いに離間して配置された第1係止部および第2係止部を備えている、ハウジングと;
前記チャンバに対して流体連通状態とされたピペットチップと;
前記ピペットチップ内へと流体を吸引し得るようまた前記ピペットチップから流体を吐出し得るよう、前記チャンバと協働する往復移動ピストンと;
前記ピストンを往復移動させるためのアクチュエータアセンブリであるとともに、長手方向において、第1接触面を有した第1セクションと、第2接触面を有した第2セクションと、に分割されるような、アクチュエータアセンブリと;
前記第1接触面が前記第1係止部と接触しておりかつ前記第2接触面が制御距離の分だけ前記第2係止部から離間されている休止位置に向けて前記アクチュエータアセンブリを付勢するための弾性手段と;
を具備し、
前記アクチュエータアセンブリが、前記休止位置と、前記第2接触面が前記第2係止部と接触しておりかつ前記第1接触面が前記第1係止部から離間しておりさらに前記アクチュエータアセンブリのストロークと前記ピストンのストロークとが前記制御距離に等しいものとされた前進位置と、の間にわたって往復移動し得るよう構成され、
さらに、前記アクチュエータアセンブリの一方のセクションを前記アクチュエータアセンブリの他方のセクションに対して移動させるための調整手段であるとともに、そのような移動によって、前記アクチュエータアセンブリの全体長さと前記制御距離との双方に、対応した変化を引き起こすものとされた、調整手段;を具備していることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項2】
請求項1記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記アクチュエータアセンブリの前記第2セクションが、前記ハウジングから外部に突出しているプランジャーを備え、
前記アクチュエータアセンブリの一方のセクションを前記アクチュエータアセンブリの他方のセクションに対して移動させることにより、前記ハウジングからの前記プランジャーの突出度合いに、対応した変化を引き起こすものとされていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項3】
請求項1記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記アクチュエータアセンブリの前記第1セクションが、前記ピストンに対して機械的に連結されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項4】
請求項3記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記アクチュエータアセンブリの前記第1セクションおよび前記第2セクションと、前記ピストンとが、互いに同軸的に配置されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記調整手段が、前記アクチュエータアセンブリのどちらかのセクションに対する一体部材として設けられた電気駆動モータを備え、
前記モータが、前記とは他方のセクションの一体部材に対して、機械的に連結されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項6】
請求項5記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記電気駆動モータが、前記アクチュエータアセンブリの長手方向に沿って延在する出力シャフトを備え、
この出力シャフトが、前記第1セクションと前記第2セクションとの間の連結をもたらしていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項7】
請求項1記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記第1係止部が、前記ハウジング内に固定され、
前記弾性手段が、前記アクチュエータアセンブリに対して付勢力を印加するための少なくとも1つの第1スプリングを備えていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項8】
請求項7記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記第1スプリングが、引っ張りスプリングとされていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項9】
請求項7または8記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記第1スプリングとして、2つスプリングが設けられ、
これら2つのスプリングが、互いに平行に配置されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項10】
請求項7記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記ハウジングが、内部当接部を備え、
この内部当接部に対して、前記第2係止部が、第2スプリングによって印加された付勢力によって弾性的に付勢され、
前記アクチュエータアセンブリが、前記第1スプリングおよび前記第2スプリングの双方によって印加される付勢力に打ち勝ち得るに十分な大きさの増大した駆動力を受けた際には、前記前進位置を超えて移動可能とされていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項11】
請求項1,7または10記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記第1係止部が、前記アクチュエータアセンブリを囲んでいる第1カラーによって形成され、
前記第2係止部が、前記アクチュエータアセンブリを囲んでいる第2カラーによって形成されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項12】
請求項6記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記モータが、前記ハウジング内に収容されたバッテリに対して、フレキシブルなコネクタを介して接続されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項13】
請求項1記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記調整手段が、電気駆動型のステップモータを備え、
このステップモータが、前記アクチュエータアセンブリの前記両セクションのうちの一方のセクションに対して一体的なものとされていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項14】
請求項13記載の手持ち式ピペットにおいて、
さらに、命令信号に応じて前記ステップモータの動作を自動的に制御するために制御手段を具備していることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項15】
請求項14記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記制御手段が、フィードバックループを備え、
このフィードバックループが、前記ステップモータの回転の各ステップを示す位置信号を生成するための生成手段を有していることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項16】
請求項14記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記制御手段が、
前記ステップモータの出力シャフトに対して回転可能に取り付けられたエンコーダホイールと、
光学センサと、
を備え、
前記光学センサが、前記エンコーダホイールの両サイドにおいて互いに位置合わせして配置された光源およびフォトセルを有し、
前記エンコーダホイールが、複数のスロットによって周縁方向において互いに離間して配置された複数の周縁歯を有し、
前記フォトセルが、前記スロットを通しての前記光源に対する露出と前記歯による前記光源の遮断との双方に応答して、位置信号を生成するよう動作することを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項17】
請求項16記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記エンコーダホイールのうちの、選択された特定の歯および選択された特定のスロットが、残りの歯および残りのスロットとは異なる形状のものとされていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項18】
請求項16または17記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記複数の歯および前記複数のスロットの総数が、前記モータの回転ステップ数に対して等しいものとされていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項19】
請求項2記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記第2セクションの前記プランジャーが、前記ハウジングの上端から突出しており、
前記チャンバが、前記ハウジングの下端から突出していることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項20】
請求項1記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記チャンバと前記ピストンと前記第1係止部と前記第2係止部とが、互いに同軸的に配置されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項21】
請求項1記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記アクチュエータアセンブリが、前記第2セクションの前記プランジャーに対して印加された操作力に応じて、移動可能とされていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項22】
請求項1記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記調整手段が、さらに、手動の入力命令を受領するためのキーパッドを備えていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項23】
請求項1記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記調整手段が、さらに、可聴入力命令を受領するための音声認識ユニットを備えていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項24】
手持ち式ピペットであって、
チャンバに対して流体連通状態とされたピペットチップと;
前記ピペットチップ内へと流体を吸引し得るようまた前記ピペットチップから流体を吐出し得るよう、前記チャンバと協働する往復移動ピストンと;
前記ピストンを往復移動させるためのアクチュエータアセンブリであるとともに、第1接触面および第2接触面を備え、前記第1接触面が、アクチュエータ長さの分だけ前記第2接触面から離間され、前記アクチュエータ長さが、前記手持ち式ピペットのストローク距離を規定しているような、アクチュエータアセンブリと;
前記アクチュエータアセンブリの前記第1接触面および前記第2接触面の一方を他方に対して移動させ、これにより、前記アクチュエータ長さを変化させ、これにより、前記手持ち式ピペットの前記ストローク距離を変化させるような、調整手段と;
を具備していることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項25】
請求項24記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記モータが、前記アクチュエータアセンブリに対して一体的に形成されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項26】
請求項24記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記第1接触面が、前記ピストンの休止位置においては、前記手持ち式ピペットのハウジング内の第1係止部に対して付勢され、
前記第2接触面が、前記ピストンの駆動位置においては、前記手持ち式ピペットの前記ハウジング内の第2係止部に対して接触することを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項27】
請求項26記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記第1接触面が、前記モータに対して一体的に形成されていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項28】
請求項24記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記調整手段が、さらに、手動の入力命令を受領するためのキーパッドを備えていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項29】
請求項24記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記調整手段が、さらに、可聴入力命令を受領するための音声認識ユニットを備えていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項30】
手持ち式ピペットの使用方法であって、
チャンバに対して流体連通状態とされたピペットチップを準備し;
前記ピペットチップ内へと流体を吸引し得るようまた前記ピペットチップから流体を吐出し得るよう、前記チャンバと協働させつつピストンを往復移動させ;
前記ピストンを往復移動させるためのアクチュエータアセンブリであるとともに、第1接触面および第2接触面を備え、前記第1接触面が、アクチュエータ長さの分だけ前記第2接触面から離間され、前記アクチュエータ長さが、前記手持ち式ピペットのストローク距離を規定しているような、アクチュエータアセンブリを準備し;
モータを駆動することによって、前記アクチュエータアセンブリの前記第1接触面および前記第2接触面の一方を他方に対して移動させ、これにより、前記アクチュエータ長さを第1アクチュエータ長さから第2アクチュエータ長さへと変化させ、これにより、前記手持ち式ピペットの前記ストローク距離を第1ストローク距離から第2ストローク距離へと変化させる;
ことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項5記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記電気駆動モータが、前記ハウジングの外部に配置されたキーパッド上において手動で入力された命令信号に応じて、動作可能とされていることを特徴とする手持ち式ピペット。
【請求項32】
請求項31記載の手持ち式ピペットにおいて、
前記電気駆動モータが、マイクによって受領されさらにマイクロプロセッサ内に搭載された音声認識システムによって処理された可聴命令に応じて、動作可能とされていることを特徴とする手持ち式ピペット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−500166(P2008−500166A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515102(P2007−515102)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/014608
【国際公開番号】WO2005/118142
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(500014334)マトリックス・テクノロジーズ・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】