説明

手摺ブラケット

【課題】簡単な手段で多様な装飾を実現し、製造時の時間的ロスや材料ロスを減少させ、管理費を節約でき、材料リサイクル性を高めた手摺ブラケットを提供すること。
【解決手段】手摺ブラケットは、設置壁面に取付けられる取付板部2および取付板部前端の接合縁3に下端がL字状に接合され前面側に手摺桿端部を嵌着する嵌合部5を備えた支持板部6を有すると共にそれぞれ取付板周縁部7および支持板周縁部8が形成されたブラケット本体1と、取付板部と支持板部とで包囲される内側空隙を内包してブラケット本体を被覆すると共に下周縁部12が取付板周縁部に嵌着され且つ前周縁部13が支持板周縁部に嵌着される透明性材料製のブラケットカバー11と、ブラケットカバー内面に添設された装飾シート14とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の壁面に対して手摺桿を支持するための手摺ブラケット、特に装飾性を有する手摺ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
手摺桿や建造物の壁面に対してかかる手摺桿を支持するための手摺ブラケットをプラスチック素材で形成し着色を行う技術は従来知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながらプラスチック素材に着色する装飾方法の場合、多種の装飾を実現するために多数の基準色を用意することは、原材料の在庫管理が大掛りとなって困難を伴う。また成型時に着色樹脂材料を交換する場合には、時間的ロスや材料ロスが生じるし、廃止品番が生じると廃棄しなければならず材料リサイクル性が低下する。
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3098123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、簡単な手段で多様な装飾を実現し、製造時の時間的ロスや材料ロスを減少させ、管理費を節約でき、材料リサイクル性を高め、機能性を広げた手摺ブラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明にかかる手摺ブラケットは、設置壁面に取付けられる取付板部および該取付板部前端の接合縁に下端がL字状に接合されその前面側に手摺桿端部を嵌着する嵌合部を備えた支持板部を有すると共に該取付板部の両側端縁から後端縁にかけて取付板周縁部が形成され且つ該支持板部の両側端縁から上端縁にかけて支持板周縁部が形成されたブラケット本体と、該取付板部と該支持板部とで包囲される内側空隙を内包して該ブラケット本体を被覆すると共にその下周縁部が該取付板部の該取付板周縁部に嵌着され且つその前周縁部が該支持板部の該支持板周縁部に嵌着される透明性材料製のブラケットカバーと、該ブラケットカバー内面に添設された装飾シートとを具備することを主な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、次のような効果を奏する。
A.ブラケットカバー内面にカラーシート、メタリックシート、絵柄シート等の装飾シートを選択して添設することにより和風調、メタル調、幾何学調等の装飾表現が可能となり、ブラケットカバー等に直接模様付けを行うよりも簡単な手段で多様な装飾表現を行うことが可能である。インテリアデザインに調和させることも容易である。
B.既設の手摺ブラケットにおける装飾シートを交換することが可能であるから、インテリアの模様替えのときに、装飾シートも交換することによって手摺ブラケットの装飾性を対応させることができる。
C.装飾シートは印刷シート等を立体裁断して容易に且つ安価に製造することが可能であり、またブラケットカバーは(必要に応じてブラケット本体も)透明材料のみで製造されるから、製造時の時間的ロスや材料ロスを減少させることができる。また費用の嵩む多種基準色原材料の在庫管理が不要になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態について、以下実施例において、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【実施例】
【0008】
本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
図1には、本発明にかかる手摺ブラケットの分解斜視図が示されている。図中ブラケット本体1は、手摺桿4の端部を支持して設置壁面に取付けられる部材であり、主として硬質合成樹脂の成型品として製造され、後述するように透明性が要求される場合には透明や半透明の合成樹脂によって製造される。ブラケット本体1は、設置壁面に取付けられる取付板部2および取付板部2における前端の接合縁3に下端がL字状に接合されその前面側に手摺桿4の端部を嵌着する嵌合部5を備えた支持板部6を有すると共に取付板部2の両側端縁から後端縁にかけて曲線状に取付板周縁部7が形成され且つ支持板部6の両側端縁から上端縁にかけて曲線状に支持板周縁部8が形成されており、また取付板部2には取付螺子(図示されていない。)を挿通して設置壁面に締付けるための螺子孔9が穿設されている。そして直線状の手摺または補助手摺を設置する方法の一例を挙げれば、先ず手摺桿4の両端に配置されたそれぞれのブラケット本体1における支持板部6の嵌合部5に手摺桿4の端部を嵌着させ、必要に応じて止着螺子10を締付けて手摺桿4とそれぞれのブラケット本体1とを一体化し、次いでそれぞれのブラケット本体1における支持板部6の螺子孔9に取付螺子を挿通し設置壁面に対して締付けることによって手摺桿4が設置壁面に支持されるようになる。なおブラケット本体1の支持板部6に嵌合部5を設けて手摺桿4を嵌着する手段や取付板部2を設置壁面に取付けるための手段には従来知られている種々の例を採用することができる。
【0009】
取付板部2と取付板部2における前端の接合縁3に下端がL字状に接合された支持板部6とはL字状に接合されているので、取付板部2と支持板部6との間には内側空隙を生じるが、この内側空隙を内包してブラケットカバー11がブラケット本体1を被覆する。ブラケットカバー11は主として透明性または半透明性を有する透明性材料である硬質合成樹脂によって製造され、曲面状の外形が主として採用される。そしてその下周縁部12がブラケット本体1における取付板部2の取付板周縁部7に嵌着され、且つその前周縁部13がブラケット本体1における支持板部6の支持板周縁部8に嵌着されることによりブラケットカバー11は全体的にブラケット本体1に嵌着される。なおブラケットカバー11の下周縁部12とブラケット本体1の取付板周縁部7との嵌着手段やブラケットカバー11の前周縁部13とブラケット本体1の支持板周縁部8との嵌着手段には従来知られている種々の例を採用することができる。
【0010】
ブラケットカバー11がブラケット本体1に嵌着される前に、ブラケットカバー11の内面に装飾シート14が添設される。装飾シート14は、紙、合成樹脂、金属等の素材を使用することが可能であり、カラーシート、光沢シート、絵柄シート等の各種の装飾表現を採用することができる。またブラケットカバー11が曲面状に成型された場合には、図4に示されるように、装飾シート14の製造に立体裁断を採用することによって、ブラケットカバー11の曲面状内面に添った形状に適応させることができる。図中鎖線は折曲げ位置を示している。さらに装飾シート14は平面的な形状のみならず、エンボス加工を施したり、折り加工を施したりすることも可能である。このような装飾シート14をブラケットカバー11内面に添設した後にブラケットカバー11がブラケット本体1に嵌着されると、図2および図3に例示するように、透明性材料製のブラケットカバー11を通して内部の装飾シート14の装飾を外方から見ることができる手摺ブラケットを得ることができる。
【0011】
前記した装飾シート14による装飾表現は、装飾シート14に対する外からの光反射、光拡散によるものであるが、蓄光性を有する模様付の装飾シート14を使用した場合にはさらに夜間において燈火のない場所においても手摺ブラケットの位置を確認することが可能である。また図5に示すようにブラケット本体1の内側空隙中に光源15を介在させ、少なくとも一部分は透光性を有すると共に、透光によって模様を現出する装飾シート14を使用すれば夜間照明付の手摺ブラケットを提供することができる。この場合に特にブラケット本体1も半透明もしくは透明性の材料によって製作すれば、手摺桿4の方向にも光が到達し、夜間における手摺全体の位置確認が可能なばかりでなく、手摺全体の照明としても使用することができる。
【0012】
このように本発明では、ブラケットカバー11内面にカラーシート、メタリックシート、絵柄シート等の装飾シート14を選択して添設することにより和風調、メタル調、幾何学調等の装飾表現が可能となり、ブラケットカバー11に直接模様付けを行うよりも簡単な手段で多様な装飾表現を行うことが可能であり、インテリアデザインに調和させることも容易である。そして既設の手摺ブラケットにおける装飾シート14を交換することが可能であるから、インテリアの模様替えのときに、装飾シート14も交換することによって手摺ブラケットの装飾性を対応させることができる。さらに装飾シート14は印刷シート等を立体裁断して容易に且つ安価に製造することが可能であり、またブラケットカバー11は(必要に応じてブラケット本体1も)透明材料のみで製造されるから、製造時の時間的ロスや材料ロスを減少させることができる。また費用の嵩む多種基準色原材料の在庫管理が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】手摺ブラケットの分解斜視図である。
【図2】手摺ブラケットの側面図である。
【図3】図2と垂直方向における手摺ブラケットの側面図である。
【図4】立体裁断した装飾シートの展開図である。
【図5】内部に光源を配置したブラケット本体を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
1 ブラケット本体
2 取付板部
3 接合縁
5 嵌合部
6 支持板部
7 取付板周縁部
8 支持板周縁部
11 ブラケットカバー
12 下周縁部
13 前周縁部
14 装飾シート
15 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置壁面に取付けられる取付板部および該取付板部前端の接合縁に下端がL字状に接合されその前面側に手摺桿端部を嵌着する嵌合部を備えた支持板部を有すると共に該取付板部の両側端縁から後端縁にかけて取付板周縁部が形成され且つ該支持板部の両側端縁から上端縁にかけて支持板周縁部が形成されたブラケット本体と、該取付板部と該支持板部とで包囲される内側空隙を内包して該ブラケット本体を被覆すると共にその下周縁部が該取付板部の該取付板周縁部に嵌着され且つその前周縁部が該支持板部の該支持板周縁部に嵌着される透明性材料製のブラケットカバーと、該ブラケットカバー内面に添設された装飾シートとを具備することを特徴とする手摺ブラケット。
【請求項2】
前記ブラケットカバーおよび前記装飾シートは曲面状に成型されていることを特徴とする請求項1記載の手摺ブラケット。
【請求項3】
前記ブラケット本体も透明性材料製であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の手摺ブラケット。
【請求項4】
前記装飾シートが蓄光シートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の手摺ブラケット。
【請求項5】
前記装飾シートの少なくとも一部分は透光性を有し、前記内側空隙内に光源を内蔵させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の手摺ブラケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−52277(P2009−52277A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219765(P2007−219765)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【Fターム(参考)】