説明

手摺装置取付補助具及び手摺装置取付方法

【課題】本発明は、熟練者でない者でも容易に短時間で手摺装置を壁面に取付け得る手摺装置取付補助具及び手摺装置取付方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の手摺装置取付補助具10は、第1部材1と、第2部材2とを備えている。第1部材1は、第1壁面当接部11aと、第1延設部12と、第1部材位置決め部13とを備えている。第2部材2は、第2壁面当接部21aと、第1延設部と回動自在に連結された第2延設部22と、第1部材位置決め部13を第1壁面に設けられた第1壁面手摺取付基準線に沿わすと、第2壁面における第2壁面手摺取付基準線の一部となる第2壁面取付基準点を指し示す第2壁面取付基準点指示部24とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺装置取付補助具及び手摺装置取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、手摺棒を壁面に取り付ける手摺用のブラケットが、例えば特許文献1に提案されている。
【0003】
このようなブラケットを有する手摺装置を、例えば階段における互いに直角な第1壁面と第2壁面との夫々に取り付ける場合、例えば図14に示すように、第1壁面100に手摺装置を取り付ける際の基準にする第1壁面手摺取付基準線104aを第1壁面100に、第2壁面101に手摺装置を取り付ける際の基準にする第2壁面手摺取付基準線104bを第2壁面101に、夫々、階段102の傾斜に応じて連続的に(互いに交わるように)描き、それらの基準線104a、104bに基づいて、第1壁面100と第2壁面101との夫々に手摺装置のブラケット及び手摺棒を取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−146742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば図15に示すように、予めブラケット112に設けた取付中心(図示せず)を第1壁面手摺取付基準線104a、第2壁面手摺取付基準線104b夫々に沿わすようにして第1壁面100と第2壁面101との夫々にブラケット112を取り付けた場合、そのブラケット112に手摺棒111を装着すると、手摺棒111が第1壁面100、第2壁面101の夫々から所定距離だけ離れた位置に装着されるため、第1壁面100側のものと第2壁面101側のものとが上下に位置ずれを起こして正面視で互いの軸心111aの延長線同士が交わらずに所定の段差tを生じてしまう。このような段差tが生じると、外観的に好ましくないとともに、例えばL字状を呈する筒状の連結金具113(図13参照)で連結する場合も連結し難くなってしまう。
【0006】
そのため、従来、第1壁面100と第2壁面101との夫々にブラケット112を取り付ける場合は、まず、第1壁面100の第1壁面手摺取付基準線104aに基づいてブラケット112を取り付けて、そのブラケット112に手摺棒111を装着し、その後、その装着した手摺棒111の端部に、第2壁面101に取り付ける手摺棒111の端部を目視で位置合わせしながら、その位置合わせした手摺棒111に合わせて第2壁面101にブラケット1122及び手摺棒111を取り付けている場合が多い。従って、熟練者でなければ作業を行い難く、しかも、熟練者でも作業に長時間を要してしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は、熟練者でない者でも容易に短時間で手摺装置を壁面に取付け得る手摺装置取付補助具及び手摺装置取付方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、互いに所定の角度をなした第1壁面と第2壁面との夫々に手摺装置を取り付ける際に用いる手摺装置取付補助具であって、第1部材と、第2部材とを備え、前記第1部材は、前記第1壁面に当接させる第1壁面当接部と、前記第1壁面当接部から延ばされた第1延設部と、前記第1壁面当接部と第1延設部との間に形成された第1部材位置決め部とを備え、前記第2部材は、前記第2壁面に当接させる第2壁面当接部と、前記第2壁面当接部から延ばされた第2延設部と、前記第1部材位置決め部を前記第1壁面に設けられた第1壁面手摺取付基準線に沿わして前記第1部材を前記第1壁面に対して位置決めしたときに前記第2壁面における第2壁面手摺取付基準線の一部とする第2壁面取付基準点を指し示す第2壁面取付基準点指示部とを備え、前記第1延設部と前記第2延設部とは、前記第1壁面当接部と第1設定距離だけ隔て、且つ、前記第2壁面当接部と第2設定距離だけ隔てた位置で、前記第1壁面当接部を前記第1壁面に、第2壁面当接部を第2壁面に夫々当接させた状態にして互いに回動し得るように連結され、前記第2壁面取付基準点指示部は、前記第2壁面当接部と前記第2延設部との境界と、前記第2延設部上における前記第1延設部と前記第2延設部との連結部から前記第1壁面当接部と平行に延びる平行線とが交わる位置に配設されていることを特徴とする手摺装置取付補助具を提供する。
【0009】
この構成によれば、例えば第1壁面に接する各階段から設定高さ位置になるように第1壁面に設けられた第1壁面手摺取付基準線に基づいて、以下のようにして第2壁面に第2壁面手摺取付基準線を形成できる。まず、第1部材の第1壁面当接部を第1壁面に当接させるとともに、第1部材位置決め部を第1壁面に設けられた第1壁面手摺取付基準線に沿わして第1部材を第1壁面に対して位置決めする。又、第2部材の第2壁面当接部を、第2壁面に当接させる。
【0010】
その際、第1延設部と第2延設部とは互いに回動し得るように連結されているため、容易に、第1壁面当接部を第1壁面に当接させた状態で、第2壁面当接部を第2壁面に容易に当接させることができる。
【0011】
そして、その状態で、第2壁面における第2壁面取付基準点指示部に対応する第2壁面の取付基準点指示対応部を第2壁面取付基準点として墨等により明記する。
【0012】
また、その際、第2部材の第2壁面取付基準点指示部は第2壁面当接部と前記第2延設部との境界と、前記第2延設部上における前記第1延設部と前記第2延設部との連結部から前記第1壁面当接部と平行に延びる平行線とが交わる位置に配設されているため、第2壁面取付基準点を、例えば第1壁面及び第2壁面夫々から手摺棒までの距離を考慮したものにできる。
【0013】
そして、この第2壁面取付基準点と、第2壁面に接する階段であって第2壁面取付基準点の垂下位置の階段とは異なる他の階段から設定高さ位置の点とを結ぶ。これにより、第2壁面に第2壁面手摺取付基準線を形成できる。
【0014】
そして、第1壁面手摺取付基準線と第2壁面手摺取付基準線との夫々に基づいてブラケットを取り付けるととともに、そのブラケットに手摺棒を取り付ける。その際、第1壁面手摺取付基準線に対して第2壁面手摺取付基準線を、第1壁面及び第2壁面夫々から手摺棒までの距離を考慮して形成しているため、第1壁面に装着した手摺棒の軸心の延長線と第2壁面に装着した手摺棒の軸心の延長線とを交わらせることができる。
【0015】
従って、従来のように実際に目視で第1壁面に装着した手摺棒に第2壁面に装着する手摺棒を位置合わせすることなく、第1壁面手摺取付基準線と第2壁面手摺取付基準線とに沿わせてブラケットを取り付ければよく、熟練者でない者でも容易に短時間で手摺装置を第1壁面及び第2壁面に取付けることができる。
【0016】
他の一態様では、前記手摺装置取付補助具において、前記第2壁面当接部と第2延設部との境界に、第2部材位置決め部が設けられ、前記第1部材は、前記連結部から前記第2壁面当接部と平行に延びる平行線と、前記第1部材位置決め部とが交わる位置に、前記第2部材位置決め部を前記第2壁面に設けられた第2壁面手摺取付基準線に沿わして前記第2部材を前記第2壁面に対して位置決めしたときに、前記第1壁面における第1壁面手摺取付基準線の一部とする第1壁面取付基準点を指し示す第1壁面取付基準点指示部を、更に備えている。
【0017】
この構成によれば、第2壁面に設けられた第2壁面手摺取付基準線に基づいて第1壁面に第1壁面手摺取付基準線を形成することも可能になり、使用便利なものにできる。
【0018】
他の一態様では、前記手摺装置取付補助具において、前記手摺装置は、手摺棒と、前記手摺棒を前記第1壁面と第2壁面との夫々に取り付けるブラケットとを備え、前記第1設定距離は、前記ブラケットによって前記手摺棒を前記第1壁面に取り付けた際における前記第1壁面から前記手摺棒の軸心までの距離に設定され、前記第2設定距離は、前記ブラケットによって前記手摺棒を前記第2壁面に取り付けた際における前記第2壁面から前記手摺棒の軸心までの距離に設定されている。
【0019】
この構成によれば、第1壁面手摺取付基準線と第2壁面手摺取付基準線との夫々に基づいてブラケット及び手摺棒を取り付けると、第1壁面に装着した手摺棒の軸心の延長線と第2壁面に装着した手摺棒の軸心の延長線とを交わらせることができる。
【0020】
又、本発明は、上記課題を解決するため、上記いずれかの手摺装置取付補助具を用いて行う手摺装置取付方法であって、前記第1部材の第1壁面当接部を前記第1壁面に当接させるとともに、前記第1部材位置決め部を前記第1壁面に設けられた第1壁面手摺取付基準線に沿わして前記第1部材を前記第1壁面に対して位置決めし、前記第2部材の第2壁面当接部を、前記第2壁面に当接させ、その状態で、前記第2壁面における前記第2壁面取付基準点指示部に対応する第2壁面の取付基準点指示対応部を第2壁面取付基準点として明記し、この第2壁面取付基準点に基づいて第2壁面手摺取付基準線を形成できるようにしたことを特徴とする手摺装置取付方法を提供する。
【0021】
この構成によれば、従来のように実際に目視で第1壁面に装着した手摺棒に第2壁面に装着する手摺棒を位置合わせすることなく、第1壁面手摺取付基準線と第2壁面手摺取付基準線とに沿わせてブラケットを取り付ければよく、熟練者でない者でも容易に短時間で手摺装置を第1壁面及び第2壁面に取付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、熟練者でない者でも容易に短時間で手摺装置を壁面に取付け得る手摺装置取付補助具及び手摺装置取付方法を提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の手摺装置取付補助具の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の状態から第1部材に対して第2部材を回動した状態の斜視図である。
【図3】図1の手摺装置取付補助具の平面図である。
【図4】図1の手摺装置取付補助具の正面図である。
【図5】図1の手摺装置取付補助具の背面図である。
【図6】図1の手摺装置取付補助具の右側面図である。
【図7】図1の手摺装置取付補助具の底面図である。
【図8】図3のVIII−VIII線拡大断面図である。
【図9】図3のIX−IX線断面図である。
【図10】本発明の手摺装置取付方法の説明図に係り、第1壁面に第1部材を位置決めした状態の斜視図である。
【図11】図10の要部拡大斜視図である。
【図12】本発明の手摺装置取付方法の他の説明図に係り、第2壁面取付基準点に基づいて、第2壁面に第2壁面手摺取付基準線を表示した状態の斜視図である。
【図13】第2壁面手摺取付基準線に基づいて第1壁面及び第2壁面夫々に手摺装置を装着した状態の要部の斜視図である。
【図14】従来の手摺装置取付方法の説明図に係り、第1壁面に第1壁面手摺取付基準線を、第2壁面に第2壁面手摺取付基準線を、夫々表示した状態の斜視図である。
【図15】第1壁面手摺取付基準線及び第2壁面手摺取付基準線に基づいて第1壁面及び第2壁面夫々に手摺装置を装着した状態の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の手摺装置取付補助具の一実施形態の斜視図、図2は、図1の状態から第1部材に対して第2部材を回動した状態の斜視図、図3は、図1の手摺装置取付補助具の平面図、図4は、図1の手摺装置取付補助具の正面図、図5は、図1の手摺装置取付補助具の背面図、図6は、図1の手摺装置取付補助具の右側面図、図7は、図1の手摺装置取付補助具の底面図である。また、図8は、図3のVIII−VIII線断面図、図9は、図3のIX−IX線断面図である。
【0025】
本発明の手摺装置取付補助具10は、例えば図10に示すように階段或いはスロープにおける互いに所定の角度(この実施形態では直角)をなした第1壁面100と第2壁面101との夫々に手摺装置110(図13参照)を取り付ける際に用いるものである。
【0026】
この実施形態の手摺装置取付補助具10は、図1〜図9に示すように、第1部材1と、第1部材1と回動自在に連結された第2部材2とを備えている。
【0027】
第1部材1は、板状の第1部材本体11と、板状の第1延設部12と、第1部材位置決め部13とを備えている。第1部材本体11は、その外側面に、第1壁面100に当接させる平面状の第1壁面当接部11aを備えている。
【0028】
この実施形態では、第1壁面当接部11aは、その全体が平面状に形成され、第1壁面100に面接する当接面とされているが、例えば、第1壁面当接部11aに複数の突起を形成して第1壁面100に当接させるようにしてもよい。
【0029】
第1延設部12は、第1壁面当接部11aの上端から左前方に、第1部材本体11と直角をなすように延ばされており、その表面(図の上面)に、第1壁面当接部11aと直角に形成された平面状の第1平面12aを備えている。又、第1延設部12は、その左端に、後述する第2部材2の第2延設部22の第2部材用対向部22bと対向する第1部材用対向部12bとを備えている。
【0030】
この第1部材用対向部12bは、図3に示すように第1壁面当接部11aとのなす角度A1が45°になるように形成されている。又、第1部材用対向部12bは、図4に示すように先端側に行くに従い漸次板厚が薄くなるように構成されている。尚、この実施形態では、第1延設部12は、第1部材本体11と一体的に形成されているが、第1部材本体11とは別途に形成し第1部材本体11に固定的に連結してもよい。
【0031】
第1部材位置決め部13は、第1壁面100に設けられた第1壁面手摺取付基準線104a(図10参照)に沿わして第1壁面100に対して第1部材1を位置決めするためのもので、第1延設部12の第1平面12aと第1部材本体11の第1壁面当接部11aとの境界(間)に直線状に形成されている。
【0032】
又、この実施形態では、第1部材1は、第1部材位置決め部13の後端(一端)に、第1壁面取付基準点指示部14を備えている。この第1壁面取付基準点指示部14は、第2部材2を用いて第1壁面100に第1壁面手摺取付基準線104aを表示する場合の基準点を指し示す部分である。
【0033】
第2部材2は、第1部材1と左右対称に形成されて第1部材1とで左右一対をなすように構成されている。詳しくは、第2部材2は、板状の第2部材本体21と、第2部材本体21と直角に形成された板状の第2延設部22と、第2部材位置決め部23とを備えている。
【0034】
第2部材本体21は、その外側面に、第2壁面101に当接させる平面状の第2壁面当接部21aを備えている。この実施形態では、第2壁面当接部21aも、その全体が平面状に形成され、第2壁面101に面接する当接面とされているが、例えば、第2壁面当接部21aに複数の突起を形成して第2壁面101に当接させるようにしてもよい。
【0035】
第2延設部22は、その上面に、第2壁面当接部21aと直角に形成された平面状の第2平面22aを備えている。又、この第2延設部22の右端には、第1部材1の第1部材用対向部12bと対向した第2部材用対向部22bを備えている。
【0036】
この第2部材用対向部22bは、第2壁面当接部21aとのなす角度A2が略45°になるように形成されている。又、第2部材用対向部22bは、図4に示すように先端側に行くに従い漸次板厚が薄くなるように構成されている。尚、この第2部材2の第2延設部22も、第2部材本体21と一体的に形成されているが、第2部材本体21とは別途に形成し第2部材本体21に固定的に連結してもよい。
【0037】
第2部材位置決め部23は、第2壁面101に設けられた第2壁面手摺取付基準線104bに沿わしてこの第2部材2を位置決めするためのもので、第2延設部22の第2平面22aと第2部材本体21の第2壁面当接部21aとの境界に直線状に形成されている。
【0038】
又、この実施形態では、第2部材位置決め部23の後端には、第2壁面取付基準点指示部24が設けられている。この第2壁面取付基準点指示部24は、第1部材1を用いて第2壁面101に第2壁面手摺取付基準線104bを表示する場合の基準点を指し示す部分である。
【0039】
以上のように構成された第1部材1と第2部材2とは、第1部材1の第1延設部12の第1部材用対向部12bと第2部材2の第2延設部22の第2部材用対向部22bとを、殆ど隙間ができない程度に対向させるようして互いに連結手段3によって回動自在に連結されている。
【0040】
詳しくは、図3に示すように、第1延設部12と第2延設部22とは、第1部材用対向部12bと第2部材用対向部22bとが、夫々、互いに対向した状態で、第1平面12a上における第1壁面当接部11aと第1設定距離L1だけ隔てて第1壁面当接部11aと平行に延びる第1平行線32と交差し、且つ、第2平面12a上における第2壁面当接部21aと第2設定距離L2だけ隔てて第2壁面当接部21aと平行に延びる第2平行線33と交差する位置で、回動自在に連結されている。
【0041】
すなわち、第1延設部12と第2延設部22とは、第1壁面当接部11aと第1設定距離L1だけ隔て、且つ、第2壁面当接部21aと第2設定距離L2だけ隔てた位置で、互いに回動自在に連結されている。
【0042】
この実施形態では、上記第1設定距離L1は、第1壁面100に、後述の手摺装置110の手摺棒111を装着した際におけるその手摺棒111の軸心111aと第1壁面100との距離に設定されている。
【0043】
また、上記第2設定距離L2は、第2壁面101に手摺棒111を装着した際におけるその手摺棒111の軸心111aと第2壁面101との距離に設定されている。又、この実施形態では、第1設定距離L1と第2設定距離L2とは、同じとされている。
【0044】
また、この実施形態における連結手段は、図8に示すように折り曲げ自在な金属線材からなる連結軸3を備えたものから構成されている。そして、この連結軸3が第1部材用対向部12bと第2部材用対向部22bとの夫々の上記位置に取り付けられて、第1部材1の第1平面12aと第2部材2の第2平面22aとが面一になった図3の状態で、第1壁面当接部11aと第2壁面当接部21aとが互いに直角な面をなしている。
【0045】
又、この状態で、第2部材2は、第1部材1に対して、連結軸3を介して第1部材1と連結された連結部31を含む第1平行線32を回動の軸に(図3のX−X方向)及び連結部31を含む第2平行線33を回動の軸に(図3のY−Y方向)、夫々、回動可能とされている。
【0046】
これにより、例えば第1壁面100に第1壁面当接部11aを任意な角度状態で当接(面接)させ、同時に第2壁面101に第2壁面当接部21aを当接(面接)させることができるとともに、その状態で、第2部材2を第1部材1に対して回動させることができるようになっている。
【0047】
又、上記第2部材2の第2壁面取付基準点指示部24は、第2平面22a上における上記第1部材1と第2部材2との連結部31から第1壁面当接部11aと第1設定距離L1だけ隔てて第1壁面当接部11aと平行に延びる第3平行線34と第2部材位置決め部23とが交わる位置に形成されている。尚、この第3平行線34は、第1平面12aと第2平面22aとが面一になった図3の状態において、平面視で、第1平行線32と一直線状になる。
【0048】
又、上記第1部材1の第1壁面取付基準点指示部14は、第1平面12a上における上記連結部31から第2壁面当接部21aと第2設定距離L1だけ隔てて第2壁面当接部21aと平行に延びる第4平行線35と第1部材位置決め部13とが交わる位置に形成されている。尚、この第4平行線35は、第1平面12aと第2平面22aとが面一になった図3の状態において、平面視で、第2平行線33と一直線状になる。
【0049】
又、この実施形態では、第1壁面当接部11aと第2壁面当接部21aとの夫々の右前端(他端)が、ブラケット取付位置指示部11b、21bとされており、このブラケット取付位置指示部11b、21bが指し示す第1壁面100、第2壁面101の夫々の位置がブラケットを取り付ける基準位置に設定するようにしている。
【0050】
更に、この実施形態では、第1部材1の第1平面12aと第2部材2の第2平面22aとの夫々に、手摺棒位置合わせライン12c、22cが表示されている。この手摺棒位置合わせライン12c、22cは、第1壁面100、第2壁面101の夫々に装着する際に、手摺棒の端部を位置合わせするためのものである。
【0051】
次に、以上のように構成された手摺装置取付補助具10を用いて手摺装置を取り付ける手摺装置取付方法について説明する。
【0052】
まず、図10、図11に示すように第1壁面100に第1部材1の第1壁面当接部11aの全体を当接(面接)させ、第1壁面100に接した階段の傾斜に応じて第1壁面100に表示した第1壁面手摺取付基準線104a(各階段の所定箇所から設定高さ位置の点同士を結んだ線)に、第1部材1の第1部材位置決め部13を沿わすとともに、第2壁面101に第2部材2の第2壁面当接部21aの全体を当接(面接)させる。
【0053】
これにより、第1部材1と第2部材2とを第1壁面100と第2壁面101との夫々に対して位置決めできる。そして、その状態で、第2部材2の第2壁面取付基準点指示部24に対応する第2壁面101の取付基準点指示対応部を第2壁面取付基準点101aとして明記する。
【0054】
その際、第2部材2は、第2壁面当接部21aが第2壁面101に当接した状態で第1部材1に対して回動するが、その回動が上記第3平行線34を軸にして行われるため、第2壁面取付基準点指示部24の第2壁面101に対する位置は一定位置に保持される。従って、第1部材1に対する第2部材2の位置にかかわらずに、第2壁面取付基準点指示部24に対応する第2壁面取付基準点101aを、墨書き等によって明記すればよい。
【0055】
又、上記状態で、第1部材1のブラケット取付位置指示部11bに対応する第1壁面100の取付位置指示対応部をブラケット取付位置基準点100bとして墨書き等によって明記するとともに、第2部材2のブラケット取付位置指示部21bに対応する第2壁面101の取付位置指示対応部をブラケット取付位置基準点101bとして墨書き等によって明記する。
【0056】
更に、上記状態で、第1部材1の手摺棒位置合わせライン12cに対応する第1壁面100の位置合わせライン指示対応部を手摺棒位置合わせライン基準点100cとして墨書き等によって明記するとともに、第2部材2の手摺棒位置合わせライン22cに対応する第2壁面101の位置合わせライン指示対応部を手摺棒位置合わせライン基準点101cとして墨書き等によって明記する。
【0057】
その後、図12に示すように、例えば第2壁面101に接した階段であって、上記明記した第2壁面取付基準点101aの垂下位置の階段102aとは異なる他の階段102b(この図12では、上記垂下位置の階段102aから上に3つ目の階段)の所定箇所から設定高さ位置の点106と、上記明記した第2壁面取付基準点101aとを結ぶ。これにより、第2壁面手摺取付基準線104bを第2壁面101に明記できる。
【0058】
そして、第1壁面手摺取付基準線104a及び第2壁面手摺取付基準線104b上における夫々のブラケット取付位置基準点100b、101bに基づいてブラケット112を第1壁面100、第2壁面101夫々に取り付ける。
【0059】
そして、その取り付けたブラケット112に手摺棒111を、その手摺棒111の端面を手摺棒位置合わせライン基準点101に位置合わせするようにして取り付け、或いは、手摺棒111の端部を、手摺棒位置合わせライン基準点101に合わせてカットするようにして取り付ける。
【0060】
その後、図13に示すように第1壁面100及び第2壁面101夫々に取り付けた手摺棒111夫々の端部に、L字状を呈する筒状の連結金具113を取り付ける。その際、手摺棒111夫々は、軸心111aの延長線同士が正面視で交わるとともに、各端部の位置が所定位置に合わされるようにして配設されているため、連結金具113を容易に取り付けることができる。
【0061】
一方、第2壁面101に設けた第2壁面手摺取付基準線104bに基づいて、第1壁面100に第1壁面手摺取付基準線104aを形成する場合は、第1壁面100に第1部材1の第1壁面当接部11aを当接させるとともに、第2壁面101に第2部材2の第2壁面当接部21aを当接させた状態から、第2壁面手摺取付基準線104bに第2部材2の第2部材位置決め部23を沿わす。その状態で、第1部材1の第1壁面取付基準点指示部14に対応する第1壁面100の取付基準点指示対応部を第1壁面取付基準点100aとして墨書き等によって明記する。そして、先の場合と同様に、その第1壁面取付基準点100a(図11に図示)に基づいて第1壁面手摺取付基準線を形成する。
【0062】
尚、上記実施形態では、第1部材1は、第1壁面取付基準点指示部14を備えたものとしているが、第1壁面取付基準点指示部14を備えていない形態のものでもよく、適宜変更できる。
【0063】
又、上記実施形態では、第1部材1と第2部材2とを連結軸3によって回動自在に連結しているが、両者を連結する連結手段はこの形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば第1部材1と第2部材2のいずれか一方に設けられたボールと、いずれか他方に設けられそのボールを回動自在に保持したボール保持部とを備えたボールジョイントによって連結するようにしたものでもよい。
【0064】
又、上記実施形態では、第2平面22a上に第3平行線34を表示しているとともに、第1平面12a上に第4平行線35を表示しているが、これらを表示しないものでもよく、適宜変更できる。
【0065】
又、上記実施形態では、第1平面12aと第2平面22aとに夫々手摺棒位置合わせライン12c、22cを表示しているが、手摺棒位置合わせライン12c、22cを表示しないようにしてもよく、適宜変更できる。
【0066】
又、上記実施形態では、第2壁面手摺取付基準線104bに直接ブラケット112の所定位置を合わせて取り付けているが、例えば第2壁面手摺取付基準線104bから所定距離だけ離れた下方位置に第2壁面手摺取付基準線104bと平行なブラケット取付基準線を描いてそのブラケット取付基準線にブラケット112の所定位置を合わせて取り付けるようにしてもよい。
【0067】
又、上記実施形態では、階段における直角をなした第1壁面と第2壁面とに手摺装置を取り付けたが、この形態のものに限らず、例えば階段における鈍角をなした第1壁面と第2壁面と手摺装置を取り付ける場合にも、本発明の手摺装置取付補助具を適応できる。又、本発明の手摺装置取付補助具は、階段に限らず、スロープ等における所定角度をなした第1壁面と第2壁面とに手摺装置を取り付ける場合等にも用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 第1部材
2 第2部材
10 手摺装置取付補助具
11a 第1壁面当接部
12 第1延設部
13 第1部材位置決め部
21a 第2壁面当接部
22 第1延設部
23 第1部材位置決め部
14 第1壁面取付基準点指示部
24 第2壁面取付基準点指示部
100 第1壁面
101 第2壁面
104a 第1壁面手摺取付基準線
104b 第2壁面手摺取付基準線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに所定の角度をなした第1壁面と第2壁面との夫々に手摺装置を取り付ける際に用いる手摺装置取付補助具であって、
第1部材と、第2部材とを備え、
前記第1部材は、前記第1壁面に当接させる第1壁面当接部と、前記第1壁面当接部から延ばされた第1延設部と、前記第1壁面当接部と第1延設部との間に形成された第1部材位置決め部とを備え、
前記第2部材は、前記第2壁面に当接させる第2壁面当接部と、前記第2壁面当接部から延ばされた第2延設部と、前記第1部材位置決め部を前記第1壁面に設けられた第1壁面手摺取付基準線に沿わして前記第1部材を前記第1壁面に対して位置決めしたときに前記第2壁面における第2壁面手摺取付基準線の一部とする第2壁面取付基準点を指し示す第2壁面取付基準点指示部とを備え、
前記第1延設部と前記第2延設部とは、前記第1壁面当接部と第1設定距離だけ隔て、且つ、前記第2壁面当接部と第2設定距離だけ隔てた位置で、前記第1壁面当接部を前記第1壁面に、第2壁面当接部を第2壁面に夫々当接させた状態にして互いに回動し得るように連結され、
前記第2壁面取付基準点指示部は、前記第2壁面当接部と前記第2延設部との境界と、前記第2延設部上における前記第1延設部と前記第2延設部との連結部から前記第1壁面当接部と平行に延びる平行線とが交わる位置に配設されていることを特徴とする手摺装置取付補助具。
【請求項2】
前記第2壁面当接部と第2延設部との境界に、第2部材位置決め部が設けられ、
前記第1部材は、前記連結部から前記第2壁面当接部と平行に延びる平行線と、前記第1部材位置決め部とが交わる位置に、前記第2部材位置決め部を前記第2壁面に設けられた第2壁面手摺取付基準線に沿わして前記第2部材を前記第2壁面に対して位置決めしたときに、前記第1壁面における第1壁面手摺取付基準線の一部とする第1壁面取付基準点を指し示す第1壁面取付基準点指示部を、更に備えていることを特徴とする請求項1記載の手摺装置取付補助具。
【請求項3】
前記手摺装置は、手摺棒と、前記手摺棒を前記第1壁面と第2壁面との夫々に取り付けるブラケットとを備え、
前記第1設定距離は、前記ブラケットによって前記手摺棒を前記第1壁面に取り付けた際における前記第1壁面から前記手摺棒の軸心までの距離に設定され、
前記第2設定距離は、前記ブラケットによって前記手摺棒を前記第2壁面に取り付けた際における前記第2壁面から前記手摺棒の軸心までの距離に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の手摺装置取付補助具。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の手摺装置取付補助具を用いて行う手摺装置取付方法であって、
前記第1部材の第1壁面当接部を前記第1壁面に当接させるとともに、前記第1部材位置決め部を前記第1壁面に設けられた第1壁面手摺取付基準線に沿わして前記第1部材を前記第1壁面に対して位置決めし、
前記第2部材の第2壁面当接部を、前記第2壁面に当接させ、その状態で、前記第2壁面における前記第2壁面取付基準点指示部に対応する第2壁面の取付基準点指示対応部を第2壁面取付基準点として明記し、この第2壁面取付基準点に基づいて第2壁面手摺取付基準線を形成できるようにしたことを特徴とする手摺装置取付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−154041(P2012−154041A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11817(P2011−11817)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(391041822)株式会社内外 (30)
【Fターム(参考)】