説明

手摺装置

【課題】手摺桿が腰掛体の前側上方を横切る位置から離れた場合には、手摺桿を水平回動して側部の壁面に沿う位置に係止されるようにし、手摺桿の回動係止手段を単純化して部品点数を少なくし、使用者の回動係止操作が容易なトイレ室における手摺装置を提供すること。
【解決手段】壁面Wに固着される手摺支持具1の上板部5には手載せ表面部4が被着され、下板部6には前後凹溝12と左右凹溝13が凹設されると共に停止突起27が突設されている。手摺桿2は手摺支持具に軸着され、その下方部を前後凹溝または左右凹溝に嵌合することができると共にそれらの位置で手摺桿の縦面が停止突起に当接して過度の水平回動を防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室や浴室における手摺装置、特にトイレ室での便座に対する着座や起立に、または浴室内での着座や起立に有用な手摺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者等、脚の弱い使用者が手による支えを加えて便座に対する着座や起立を行うためにトイレ室内に手摺を設置することはよく知られた事柄であり、最近では使用者が便座に着座しているときには、手摺桿が便器の前側上方を横切る位置に係止され、使用者が便座に着座しようとするとき、又は便座から起立して離れようとするときには手摺桿を邪魔にならない位置に移動させる事例(例えば、特許文献1参照。)も見られる。
【0003】
使用者が便座に着座しているときに、手摺桿が便器の前側上方を横切る位置に係止される手摺装置は、手摺桿が便器の前後方向の側部に位置する手摺装置に比較して、特に着座位置での使用者が手摺桿を両手で把持したり、手摺桿に寄りかかったりすることができるから、着座位置における使用者の姿勢を安定させるので、使用者が着座位置から転倒する事故を可成り防止することができることや、介助者が脱衣等の作業を容易に行えることなどで有用である。しかしながらかかる手摺装置は部品点数が多く、安価に設置することが困難であると共に、手摺桿が便器の前側上方を横切る位置から離れる場合には、手摺桿を上げ下げ操作しなくてはならず、可動式手摺桿の回動を行う手と固定式手摺桿で身体を支持する手とが絡み合ってしまい、固定式手摺桿から手を離さなければ回動操作ができないような事態が生じ、使用者に転倒の虞を生じる。したがってこれらの点について改良する余地を残している。浴室内での腰掛箇所についても同様のことが云える。
【0004】
【特許文献1】特開2004−73840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、使用者が腰掛体に着座しているときに、手摺桿が腰掛体の前側上方を横切る位置に係止される手摺装置において、手摺桿が腰掛体の前側上方を横切る位置から離れた場合には、手摺桿を水平回動して腰掛体側部の壁面に沿う位置に係止されるようにし、手摺桿の回動係止手段を単純化して部品点数を少なくし、使用者の回動係止操作が容易なトイレ室における手摺装置を提供することにある。なお本発明にかかる手摺装置は、腰掛便器が設置されたトイレ室や腰掛箇所が存在する浴室において使用されるものであり、腰掛体はこれら腰掛便器、腰掛箇所を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明にかかる手摺装置では、壁面に固着される側板部の上縁に手載せ表面部が上面に被着された上板部を、そして該側板部の下縁に下板部をそれぞれ対向して突設して短尺断面コ字状の手摺支持具が形成され、該手摺支持具の該上板部と該下板部との間に支軸が立設され、支持側端から把持側端まで延長する水平な手摺桿は、その下方部が底面の両側から両縦面が立上がる箱状断面をなすと共に該支持側端に近接して該支軸に水平回動可能および上下移動可能に軸着され、該手摺支持具の該下板部上には該支軸を中心としていずれも該手摺桿の該下方部が嵌合可能な該壁面に沿う方向に延びる前後凹溝と該壁面と垂直な方向に延びる左右凹溝とが凹設されると共に該壁面側における該前後凹溝と該左右凹溝との間には停止突起が上方に突設され、該手摺桿が該壁面前方における該壁面に沿う位置においては、該手摺桿の該下方部が該前後凹溝に嵌合すると共に該支軸より該把持側端寄りの該手摺桿における該縦面が該停止突起に当接し、また該手摺桿が該壁面と垂直な方向の位置においては、該手摺桿の該下方部が該左右凹溝に嵌合すると共に該支軸より該支持側端寄りの該手摺桿における該縦面が該停止突起に当接することによってそれぞれ該手摺桿を係止することを主な特徴とする。
【0007】
そして前記手摺桿の上下動操作を容易にするために、前記手摺桿において、前記把持側端方向の前記支軸に近接した箇所には、下方に向けて付勢する発条部材が収容され、前記手摺支持具の前記下板部上には該発条部材の先端部が押圧接触するための前記支軸を中心とする凹部弧状平面が形成されていることを特徴とする。
【0008】
また前記停止突起を交換可能とするために、前記停止突起は、前記手摺桿の前記縦面に当接する突起頭部の下端に前記手摺支持具の前記下板部上に凹設された凹螺孔に螺合する突起螺脚部を有し、該突起螺脚部を該凹螺孔に螺着したものであることを特徴とする。
【0009】
さらに手摺装置を部屋の左右いずれの壁面にも支障なく設置することができるようにするために、前記停止突起が螺着される前記凹螺孔は前記手摺支持具の前記下板部における前後方向において前記左右凹溝を中心として対称的に2箇所凹設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、次のような効果を奏する。
A.手摺桿自体の断面形状そのものが手摺桿の係止手段の一部を構成することになっているから、係止手段の構造を単純化することで係止手段の故障の発生を極力防止することができると共に、部品点数を少なくして安価に製造することができる。
B.停止突起は、手摺桿を回動する場合に手摺桿の嵌合すべき前後凹溝および左右凹溝の位置を案内するばかりでなく手摺桿の過度の回動を防止する。
C.手摺桿の水平回動操作および前後凹溝および左右凹溝位置での上下動操作は、手摺桿の操作のみで行うために、操作は簡単で使用者の負担にならず、別体の操作手段を必要としないので部品点数を少なくして安価に製造することができる。
D.使用者は手摺桿と手摺支持具の手載せ表面部の双方を手の把持または載置する箇所として使用することができるから、使用者の転倒防止に役立つ。
【0011】
E.手摺桿に下方に向けて付勢する発条部材が収容される態様では、前後凹溝および左右凹溝位置での嵌合状態から手摺桿を持上げる場合に僅かな力で持上げることができるようになるので、虚弱な使用者でも手摺桿の操作を容易に行うことができる。
F.停止突起が突起頭部と突起螺脚部とを有し、この突起螺脚部を手摺支持具における下板部上の凹螺孔に螺着したものである態様では、停止突起の交換を可能にすることができる。
G.この凹螺孔を下板部の前後方向において左右凹溝を中心として対称的に2箇所凹設した態様では、手摺装置を部屋の左右いずれの壁面にも支障なく設置することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態について、以下実施例において、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【実施例】
【0013】
本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
図1には、本発明に係る手摺装置をトイレ室に適用した状況が示される。図1において符号Fは床を示し、また符号Wは便器Tの前後方向に沿う一側の壁面である。手摺装置は、手摺支持具1と水平な手摺桿2を具備し、手摺桿2は実線で示されるように便器Tの前側上方を横切る位置と、二点鎖線で示されるように壁面W前方における壁面Wに沿う位置との間を水平回動可能であり、これらの両位置で係止させることができる。なお手摺支持具1は、手摺桿2が便器Tの前側上方を横切る適切な位置に配置されるように壁面W上に位置決めして壁面Wに固着される。図2は手摺桿2が便器を横切る状態の手摺装置を、さらに図3は手摺桿2が壁面Wに沿う状態の手摺装置を示している。
【0014】
手摺支持具1は、図2乃至図7に示されるように、短尺断面コ字状に形成される。即ち便器の前後方向に沿う壁面Wに固着される側板部3の上縁に手載せ表面部4が上面に被着された上板部5を、そして側板部3の下縁に下板部6をそれぞれ対向して突設させて形成されている。手摺支持具1の主要部は金属等の硬質材料製であるが、上面に被着する手載せ表面部4は、使用者の手が載置されるために、手触りのよい繊維補強合成樹脂等で製造されると共に角隅部も面取りが施されている。また図4乃至図7に示されるように、この実施例では、下板部6もその上面に繊維補強合成樹脂層7が被着されたものとされていて、加工性の向上に役立っている。図6および図7に示されるように、手摺支持具1の側板部3は固着ねじ8,8によって壁面Wに固着される。図4および図5に示されるように、手摺支持具1の上板部5と下板部6との間にはその中央付近に手摺桿2を軸着した支軸9が、上下から上板部5および下板部6を通してビス10,10を支軸9の支軸螺孔11,11にねじ込むことによって立設されることになる。なお上面板6を通してねじ込まれるビス10のビス頭は手載せ表面部4内に収容されてしまうから手載せ表面部4の上面には露出せず手触りを悪化させることはない。
【0015】
そして図6および図7に示されるように、手摺支持具1の下板部6上には、支軸9を中心としていずれも手摺桿2の後述する下方部19が嵌合可能であるトイレ室の壁面Wに沿う方向の前後凹溝12、およびトイレ室の壁面Wと垂直な方向に延びる左右凹溝13が凹設されると共に、トイレ室の壁面W側における前後凹溝12と左右凹溝13の間には後述する停止突起27の突起螺脚部27bを螺着するための凹螺孔14,14が凹設されている。この凹螺孔14は手摺装置をトイレ室の左右いずれの壁面Wにも支障なく設置することができるようにするために、手摺支持具1の下板部6における前後方向において左右凹溝13を中心として対称的に2箇所凹設されており、設置する壁面Wに応じてその1箇所のみが選択されて停止突起27の突起螺脚部27bが螺着される。さらにこの実施例では、後述する手摺桿2内に収容された発条部材29の先端部30が押圧接触するための支軸9を中心とする凹部弧状平面15が形成されていることを特徴とする。これらの前後凹溝12、左右凹溝13、凹螺孔14,14、凹部弧状平面15等はすべて加工が容易な下板部6における上面に被着された繊維補強合成樹脂層7に形成される。
【0016】
次に手摺桿2について説明する。手摺桿2は図8にその縦断面が示されるように、両上縁に水平フランジ16,16が突設された口字形断面を有する金属等の剛質材料製の手摺骨格17に対して、発泡ウレタン樹脂のような軟質合成樹脂製で倒C字形断面を有する軟質手摺被覆層18が水平フランジ16,16を包込むように手摺骨格17上部を被覆した断面構造を有する。手摺桿2の断面で特徴的な点は、手摺桿2の下方部19が底面20の両側から両縦面21,21が立上がる箱状断面を有していることである。手摺桿2は手摺が手摺支持具1によって支持される側の支持側端22から使用者によって把持される側の把持側端23迄延長し、支持側端22および把持側端23にはそれぞれ端部キャップ24,24が嵌着されている。水平な手摺桿2は支持側端22に近接した箇所で支軸9に水平回動可能および上下移動可能に軸着されている。即ち手摺桿2の支持側端22に近接して内部にブロック25が内蔵固定され、ブロック25には上下方向に手摺桿2の水平回動可能および上下移動可能な軸受26が取付けられている。そして軸受26を支軸9に挿通させることにより手摺桿2が支軸9に軸着されることになる。
【0017】
手摺桿2は支軸9を中心に水平回動可能にまた上下移動可能とされ、手摺桿2を持上げた状態で水平回動させ、手摺支持具1の下板部6における前後凹溝12の位置、即ち手摺桿2がトイレ室の壁面Wに沿った位置において手摺桿2を降下させれば、手摺桿2の下方部19は下板部6の前後凹溝12に嵌合して係止される。同様に手摺支持具1の下板部6における左右凹溝13の位置、即ち手摺桿2が壁面Wと垂直である便器Tの前方上方を横切る位置で手摺桿2を降下させれば、手摺桿2の下方部19は下板部6の左右凹溝13に嵌合して係止される。このように手摺桿2自体の断面形状そのものが手摺桿2の係止手段の一部を構成することになっているから、係止手段の構造を単純化することで係止手段の故障の発生を極力防止することができると共に、部品点数を少なくして安価に製造することができる。また手摺桿2の水平回動操作および前後凹溝12および左右凹溝13位置での上下動操作は、手摺桿2の操作のみで行うために、操作は簡単で使用者の負担にならず、別体の操作手段を必要としないので部品点数を少なくして安価に製造することができる。図2および図6,図7,図9に示される停止突起27は、本実施例では交換可能なように手摺桿2の縦面21に当接する外周が合成樹脂層で被覆された突起頭部27aと下板部6の凹螺孔14に螺着するための突起螺脚部27bを備えた別体の部品を螺着して形成されている。前述のように凹螺孔14は下板部6に2箇所凹設されているが、一個のみしか必要とされない停止突起27は、壁面Wに沿う位置に手摺桿2が回動された場合に手摺桿2の把持側端23が壁面Wの前方を向いた側の一方の凹螺孔14のみに部品を螺着して形成される。
【0018】
そして図7に示されるように、手摺桿2が壁面W前方における壁面Wに沿う位置において手摺桿2の下方部19が前後凹溝12に嵌合すると、支軸9より把持側端寄り(支持側端22の反対側寄り)の手摺桿2における縦面21が該停止突起27に当接し、手摺桿2を持上げた場合にも、手摺桿2がさらに水平回動して手摺桿2が壁面Wに接近することを防止する。同様に図6に示されるように、手摺桿2が便器Tの前側上方を横切る位置において手摺桿2の下方部19が左右凹溝13に嵌合すると、支軸9より支持側端22寄りの手摺桿2における縦面21が停止突起27に当接し、手摺桿2を持上げた場合にも、手摺桿2がさらに水平回動して便器Tに着座している使用者側に接近することを防止する。このように停止突起27は、手摺桿2を回動する場合に手摺桿2の嵌合すべき前後凹溝12および左右凹溝13の位置を案内するばかりでなく手摺桿2の過度の回動を防止する。下板部6に当初から固定された停止突起27を突設することも可能であるが、停止突起27を別体の部品で形成すれば、消耗したときに交換も可能であり、手摺支持具1を便器Tの左右いずれの壁面Wに設置する場合でも、下板部6に2箇所凹設されている凹螺孔14のいずれかに部品を螺着して停止突起27を形成することにより、同一構造の手摺支持具1を使用することができる。
【0019】
図4乃至図7に示されるように、手摺桿2に内蔵固定されたブロック25の把持側端23方向の支軸9に近接した箇所には、縦孔28が穿設され、内部に下方に向けて付勢する発条部材29が収容されている。そして手摺支持具1に軸着された手摺桿2における発条部材29の先端部30は前記した手摺支持具1における下板部6の凹部弧状平面15に接触して押圧する。この押圧によって手摺桿2を持上げる反力が発生する。手摺桿2の重力に対して発条部材29に調整した弾力を付与することにより、手摺桿2から手を離した状態では、手摺桿2の下方部19が前後凹溝12または左右凹溝13に確実に嵌合されると共に、これら嵌合状態から手摺桿2を持上げる場合には僅かな力で持上げることができるようになるので、虚弱な使用者でも手摺桿2の操作を容易に行うことができる。
【0020】
この手摺装置では、使用者の手が把持または載置する対象は手摺桿2および手摺支持具1上の手載せ表面部4の両者である。手摺装置の典型的な使用例を説明すると、使用者がトイレ室に入室するときには、先ず壁面Wに沿う位置の手摺桿2を一方の手で把持して前進し、次いで身体の回転を伴いながら他方の手を手載せ表面部4に載置する。そして体重を手載せ表面部4に載置した他方の手に負担させた状態で便座に着座する。さらに一方の手で壁面Wに沿う位置にある手摺桿2を持上げて前後凹溝12の嵌合を解除した後に使用者側に回動させて便器前方上方を横切る位置で手摺桿2を降下させて左右凹溝13に嵌合させ、着座位置を調節した後に便座に着座した状態で両手や腕を手摺桿2に載置するなどして身体を支える。便座に着座した状態からトイレ室を退室する場合には、便座に着座したまま他方の手を手載せ表面部4に載置させ、一方の手で手摺桿2を持上げて左右凹溝13の嵌合を解除した後に前方に回動させて壁面Wに沿う位置で手摺桿2を降下させ前後凹溝12に嵌合させる。そして体重を手載せ表面部4に載置した他方の手に負担させた状態で起立し、他方の手を手載せ表面部4から連続する手摺桿2に移動して持替え、そのまま前進して退出する。手載せ表面部4から手摺桿2は連続しているから手の移動持替えは容易である。典型的な使用例では、トイレ室内で少なくとも使用者の一方の手が手摺桿2または手摺支持具1の手載せ表面部4のいずれかを把持または載置した状態にあって身体を支持することができ、両手を離さなければならない事態を生ずることがないから、使用者の転倒を防止することができる。またトイレ室への出入の際には、手摺桿2は壁面Wに沿う位置に係止されているから、手摺桿2を利用して歩行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】手摺装置を設置したトイレ室の斜視図である。
【図2】手摺桿が壁面と垂直な状態の手摺装置の斜視図である。
【図3】手摺桿が壁面に沿う状態の手摺装置の斜視図である。
【図4】手摺桿が下ろされた状態の手摺装置の縦断面図である。
【図5】手摺桿が持上げられた状態の手摺装置の縦断面図である。
【図6】手摺桿が壁面と垂直な状態の手摺装置の横断面図である。
【図7】手摺桿が壁面に沿う状態の手摺装置の横断面図である。
【図8】手摺桿の縦断面図である。
【図9】停止突起の部品を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 手摺支持具
2 手摺桿
3 側板部
4 手載せ表面部
5 上板部
6 下板部
9 支軸
12 前後凹溝
13 左右凹溝
14 凹螺孔
15 凹部弧状平面
19 下方部
20 底面
21 縦面
22 支持側端
23 把持側端
26 軸受
27 停止突起
27a 突起頭部
27b 突起螺脚部
28 縦孔
29 発条部材
30 先端部
W 壁面
R 手摺装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固着される側板部の上縁に手載せ表面部が上面に被着された上板部を、そして該側板部の下縁に下板部をそれぞれ対向して突設して短尺断面コ字状の手摺支持具が形成され、該手摺支持具の該上板部と該下板部との間に支軸が立設され、支持側端から把持側端まで延長する水平な手摺桿は、その下方部が底面の両側から両縦面が立上がる箱状断面をなすと共に該支持側端に近接して該支軸に水平回動可能および上下移動可能に軸着され、該手摺支持具の該下板部上には該支軸を中心としていずれも該手摺桿の該下方部が嵌合可能な該壁面に沿う方向に延びる前後凹溝と該壁面と垂直な方向に延びる左右凹溝とが凹設されると共に該壁面側における該前後凹溝と該左右凹溝との間には停止突起が上方に突設され、該手摺桿が該壁面前方における該壁面に沿う位置においては、該手摺桿の該下方部が該前後凹溝に嵌合すると共に該支軸より該把持側端寄りの該手摺桿における該縦面が該停止突起に当接し、また該手摺桿が該壁面と垂直な方向の位置においては、該手摺桿の該下方部が該左右凹溝に嵌合すると共に該支軸より該支持側端寄りの該手摺桿における該縦面が該停止突起に当接することによってそれぞれ該手摺桿を係止することを特徴とする手摺装置。
【請求項2】
前記手摺桿において、前記把持側端方向の前記支軸に近接した箇所には、下方に向けて付勢する発条部材が収容され、前記手摺支持具の前記下板部上には該発条部材の先端部が押圧接触するための前記支軸を中心とする凹部弧状平面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の手摺装置。
【請求項3】
前記停止突起は、前記手摺桿の前記縦面に当接する突起頭部の下端に前記手摺支持具の前記下板部上に凹設された凹螺孔に螺合する突起螺脚部を有し、該突起螺脚部を該凹螺孔に螺着したものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の手摺装置。
【請求項4】
前記凹螺孔は前記手摺支持具の前記下板部における前後方向において前記左右凹溝を中心として対称的に2箇所凹設されていることを特徴とする請求項3記載の手摺装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate