説明

手摺部材

【課題】利用者が手摺部材を握る際に、握りやすく、滑りにくい手摺部材を提供する。
【解決手段】 手摺本体の一部にその長さ方向に沿って所定幅の滑止め部3が形成され、滑止め部3はチューブ状であって、その外面に長さ方向に間隔を開けて複数の突部34が形成され、滑止め部3は、突部34以外の部分はチューブ状により押圧変形可能となされ、突部34の部分は、突部34以外の部分に比べて押圧変形が抑制されているように手摺部材Pを形成すれば、利用者の手にフイットしやすく、効果的に滑り止めがなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、屋内の廊下、階段および浴室等、または屋外の階段、ベランダ、柵、高欄および東屋等に設置される手摺に用いられる手摺部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、手摺部材を握った時、その触感や握り易さを高めたるために、被覆体表面層が少量の酸化チタン微粉を混入浸透してなる直径10〜100μmの微粒子木粉5〜50%に対し、その残余を10〜50%の可塑剤を含む軟質又は半硬質ポリ塩化ビニルとする木粉入りペレットコンパウンドから押出し成形により形成され、手に馴染みやすい触感を与える手摺用被覆体が開示されている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
又、手摺部材を握った時、握りやすく、かつ滑りにくくするために、手で握ることできる径の棒状材の外面に手で握ったとき指の腹が収まる複数状の凹条を全周に亙って形成して成ることを特徴とする手摺り部材が開示されている(例えば特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−88763号公報
【特許文献1】実開平6−58030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記の手摺部材には次のような問題点があった。すなわち特許文献1に記載のような手摺部材では、握った際に表面は心地よい触感となるものの、指に追随して被覆体が変形するものではなく、握りやすさという点では必ずしも充分ではなかった。
【0006】
又、特許文献2に記載のような手摺部材では、手で握ったとき手の指の腹が凹条に収まり、握力が弱くても滑りにくくなるものの、特許文献1と同様に指に追随して被覆体が変形するものではなく、握りやすさという点では必ずしも充分ではなかった。
【0007】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、利用者が手摺部材を握る際に、握りやすく、滑りにくい手摺部材を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわちこの発明に係る手摺部材は、手摺本体の一部にその長さ方向に沿って所定幅の滑止め部が形成され、滑止め部はチューブ状であって、その外面に長さ方向に間隔を開けて複数の突部が形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、長さ方向に沿って形成された滑止め部を握ると、その外面に長さ方向に間隔を開けて突部が形成されているために、手にフイットし、効果的に滑り止めがなされる。更に、前記突部の部分と突部以外の部分とにおいて、突部以外の部分はチューブ状により押圧変形可能とし、又突部の部分を、突部以外の部分に比べて押圧変形を抑制するようにすれば、前記効果に加えて、握った手に力を入れると、突部以外の部分は押圧変形すると共に、突部の部分の押圧変形は抑制されているので、さらに手に追随し、効果的に滑り止めがなされる。
【0010】
尚、前記滑止め部は手摺本体の下面に形成されていれば、手で握った時に、指が自然と追随するので好ましいが、設置される手摺の場所に応じて、手摺本体の側面であってもよいし、上面でもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0012】
すなわち、図1は本発明に係る手摺部材の他の実施形態を示す斜視図、図2は図1の正面図、図3は図1のX−X線断面図、図4は図1のY−Y線断面図、図5は支持材の正面図、図6は滑止め部の他の実施形態を示す断面図である。
【0013】
本形態に係る手摺部材Pは、図1及び図2に示されるように、長さ方向に形成された芯材1と、芯材1の上部に取付けられた被覆材2と、芯材1の下部に取付けられた滑止め部3とから主に構成されたものである。
【0014】
まず、芯材1は、下部が平坦に形成された円筒体であり、この平坦部11は芯材1の円筒中心よりも下方に長手方向に沿って形成され、芯材1の上部の円筒部12には、その周囲に厚さが略均一に形成された可とう性の被覆材2が取付けられている。円筒部12の両下端部には、芯材1の内側に向かって嵌合溝13が長手方向にそれぞれ形成され、被覆材2の側端部は固定溝13の側壁面に沿って折り返された嵌合部21が設けられ、この嵌合部21が嵌合溝13に挿入されている。この構造によって、被覆材2は芯材1から不用意に外れないようになされる。
【0015】
芯材1を形成する材料は、一般的にはアルミニウムや合成樹脂を押出成型して得られる長尺の型材を適宜長さに切断した部材からなるものであるが、アルミニウム以外の金属、または金属と合成樹脂との複合材料等、芯材1の長さや必要な強度に応じて、適宜使用できる。
【0016】
又、被覆材2を形成する可とう性の合成樹脂材料としては、シリコーンゴム、ブタジエンスチレンゴム、ネオプレン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレン重合体、ブチルゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ウレタン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、軟質及び硬質塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン系やポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系等のエラストマーなどの各種合成ゴムや合成樹脂等からなる弾性材やそれらを発泡させたもの等を、適宜必要とされる硬度や可とう性に応じて用いることができる。
【0017】
尚、被覆材2は、前記の可とう性の合成樹脂材料のみから形成されてもよいが、被覆材2の外表面のみに可とう性の材料を用いて、その内層には比較的硬度や剛性が高い合成樹脂を用いてもよい。そうすれば、芯材1から被覆材2がより外れにくくなされる。
【0018】
続いて、滑止め部3は、長さ方向に連続した可とう性のチューブ状であり、滑止め部3を形成する周囲壁の外面は曲面状に形成され、内部に中空部31が形成されると共に、2個の取付突条32が長さ方向に並設されている。
【0019】
滑止め部3は、係合突条32が芯材1の平坦部11に形成された係止溝14に係合され、芯材1に取付けられる。係合突条32には、外側面にそれぞれ鉤部33が突設され、平坦部11の係止溝14には凹部15が形成され、係合突条32を係止溝14に挿入したときに、鉤部33が凹部15に係止されるようになされている。これによって、滑止め部3が芯材1から容易には外れないようになされる。本形態では取付突条32は2個であるが、必要に応じて、1個でもよく、3個以上の複数個でもよい。
【0020】
滑止め部3が芯材1に取付けられた際に、被覆材2と滑止め部3との境界部においては、境界部の隙間をなくして、被覆材2及び滑止め部3とが当接されるようになされてもよく、被覆材と滑止め部が接触して不要な歪みを生じさせないように、あるいは、利用者の指先が不用意に入ったり、引っ掛かったりしない程度に、隙間が形成されていてもよい。
【0021】
滑止め部3は、一般には、合成樹脂を押出成型して得られる長尺の芯材を適宜長さに切断した部材からなるものであるが、係合突条32と滑止め部3とを別々に成型して、後から滑止め部1と係合突条32とを接着させてもよい。
【0022】
芯材1の平坦部11に滑止め部3を取付ける際は、平坦部11の係止溝14の開口方向から滑止め部3を取付けてもよいし、芯材1の平坦部11の端部から係合突条32を係止溝14内に摺動させながら取付けてもよい。
【0023】
滑止め部3は、中空部31に所定の間隔で設けられた支え部41によって外側に押圧され、その外面に所定の間隔で突部34が形成されている。つまり、滑止め部3は、突部34以外の部分は内面の中空部31によって押圧変形可能となされ、突部34の部分は、支え部41によって突部34以外の部分に比べて押圧変形が抑制されることになる。これによって、手摺部材Pを握った際に、利用者の指が滑止め部3の箇所に位置するように設置されていれば、突部34がない部分は、内面の中空部31によって指に追随して変形するため、しっかり握ることができると共に、突部34の部分は押圧変形が抑制されているので、手摺部材Pの長さ方向への滑り止めがより効果的になされる。
【0024】
図4及び5に示される支え部41は半球状の形態で、支持板42上の長さ方向に沿って所定の間隔で形成されたものであり、半球状の頂部で滑止め部3の内面から押圧するようになされている。又、図3に示されるように、支え部41がない支持板42の部分と、滑止め部3の内面との間には、中空部31が残余するようになされている。これによって、滑止め部3に支持板42を挿入すれば、滑止め部3の外面に突部34が容易に形成されるようになされ、又、利用者が手摺部材Pを握った際、滑止め部3の突部34がない部分は、利用者の指に追随して押圧変形されるものの、支持板42によって必要以上の押圧変形が阻止されるようになされる。
【0025】
連結板42は、その底面に溝部43が形成されている。これによって、支持板42を滑止め部3の中空部31に挿入する際に生じる摩擦抵抗を押さえることができる。
【0026】
そして、手摺部材Pを設置した後でも、支持板42を取り替えられることができ、支持板42に設けられる支え部41のピッチや高さを変えることによって、滑止め部3に形成される突部34の形状や間隔を変えることができる。これによって、利用者の好みの握り具合に合わせて滑止め部3の突部34の形態を変更することができる。
【0027】
滑止め部3を形成する可とう性の合成樹脂材料としては、シリコーンゴム、ブタジエンスチレンゴム、ネオプレン、ブタジエンアクリロニトリルゴム、クロロプレン重合体、ブチルゴム、エチレンプロピレンターポリマー、ウレタン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコン樹脂、軟質及び硬質塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン系やポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系等のエラストマーなどの各種合成ゴムや合成樹脂等からなる被覆材2と同様な弾性材やそれらを発泡させたもの等を、適宜必要とされる硬度や可とう性に応じて用いることができる。尚、滑止め部3は、被覆材2より可とう性が高い材料を用いてもよい。このようになされれば、利用者が手摺部材Pを握った際に、より効果的に指に追随しやすくなされる。又、滑止め部3の係合突条32に、滑止め部3より剛性の高い材料を用いると、芯材1の平坦部11の係止溝14に係合された時に、より外れにくくなされる。
【0028】
支え部41は、一般的には、アルミニウムを押出成型して得られる長尺の板材を適宜長さに切断した支持板42に、プレス加工によって支え部41を形成されたものであるが、アルミニウム以外の、鋼材やステンレス合金等の金属を用いたもの、あるいは合成樹脂を原料として用いて押出成形により支え部41を備えた支持板42を形成されたもの、支え部41と支持板42とを別々に形成して、後から接続するもの等、必要な長さや強度に応じて、適宜使用できる。
【0029】
又、支え部41は、滑止め部3に形成されていてもよい。具体的には、滑止め部3の外面に予め突部34が形成され、その内面に位置する中空部31の内壁面に支え部41が形成された形態である。この際、支え部41は外面側の内壁面から突設された形態でもよく、芯材側の内壁面からから突設された形態でもよい。又、支え部41の先端は、対峙する内壁面と接続されていてもよく、所定の間隔を有していてもよい。
【0030】
本形態に係る滑止め部3は、切欠きのない周囲壁によってチューブ状に形成されたものであり、その端部の開口部から支持板42を挿入する形態であるでが、図6に示される滑止め部3は、周囲壁の一部に長さ方向に切欠部35が形成されたものであり、このようになされれば、支持板42をその切欠部35から挿入できるので、その作業がより容易になされる。又、切欠部35の代わりにスリット(図示せず)が長さ方向に形成されても、同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る手摺部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1のX−X線断面図である。
【図4】図1のY−Y線断面図である。
【図5】図1の支持材の正面図である。
【図6】滑止め部の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 芯材
2 被覆材
3 滑止め部
11 平坦部
31 中空部
34 突部
41 支え部
42 支持材
P 手摺部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺本体の一部にその長さ方向に沿って所定幅の滑止め部が形成され、滑止め部はチューブ状であって、その外面に長さ方向に間隔を開けて複数の突部が形成されていることを特徴とする手摺部材。
【請求項2】
滑止め部は、突部以外の部分はチューブ状により押圧変形可能となされ、突部の部分は、突部以外の部分に比べて押圧変形が抑制されていることを特徴とする請求項1に記載の手摺部材。
【請求項3】
滑止め部は、そのチューブ状の内部であって突部の部分に、押圧変形を抑制する支え部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の手摺部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−204949(P2007−204949A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22320(P2006−22320)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】