説明

手洗いモニタおよび手洗いモニタ方法

【課題】対象者の手洗い動作を低コストな構成で的確に判定することが可能な手洗いモニタおよび手洗いモニタ方法を提供する。
【解決手段】手洗いモニタ101は、人間の所定エリアへの進入を画像から検知するための進入者検知部12と、所定エリアへ進入した進入者の手洗い部分の一部または全部である対象部分を画像から検知するための身体部位検知部13と、身体部位検知部13によって検知された対象部分の動作時間を計測するための動作時間計測部14と、動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定するための動作判定部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手洗いモニタおよび手洗いモニタ方法に関し、特に、人間の手洗い動作を判定するための手洗いモニタおよび手洗いモニタ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食堂および病院等の衛生管理が必要な場所では、汚染エリアおよび非汚染エリアを区別しており、汚染エリアから非汚染エリアに作業者が進入する際に、ルールに従った手洗い実施が必要である(たとえば、非特許文献1(“学校給食調理場における手洗いマニュアル”、[online]、[平成23年2月10日検索]、インターネット〈URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/08040316.htm〉)参照)。
【0003】
手洗いを監視する方法の一例として、たとえば、特許文献1(特開2001−292918号公報)には、以下のような方法が開示されている。すなわち、石けん塗布装置、給水栓、エアータオルおよび殺菌装置からなる手洗い設備に警告装置を取り付ける。手洗い順序に違反した場合、または実際の塗布時間、実際の給水時間あるいは実際の乾燥時間が基準時間より短い場合には、警告装置により警告を発し、やり直しを指示する。手洗い順序および実際の各手洗い作業時間の記録を取り、正しい手洗い作業を指導するため利用する、また、正しい手洗い作業が行われていたことを証明する。
【0004】
また、特許文献2(2011−034458号公報)には、以下のような技術が開示されている。すなわち、監視システムは、監視エリアを撮像する撮像手段と、上記監視エリア内に注目エリアを設定する設定手段と、上記撮像手段によって撮像された映像に基づいて、上記監視エリア内を移動する移動体の移動軌跡を検出する第1の検出手段と、上記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、上記注目エリア内における上記移動体の滞在時間を検出する第2の検出手段と、上記移動軌跡と上記滞在時間とに基づいて、上記移動体が手洗い動作を実行したか否かを判定する判定手段とを備える。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“学校給食調理場における手洗いマニュアル”、[online]、[平成23年2月10日検索]、インターネット〈URL:http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/08040316.htm〉
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−292918号公報
【特許文献2】特開2011−034458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
手洗い行為には、石けん塗布、水道使用(すすぎ)、エアータオル使用(手拭き)および殺菌装置使用(消毒)の作業以外に、手洗い(石けんを付けてから、手をこすり合わせる)動作があり、この手洗い作業の時間が最も長くなる。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、当該時間を特定することができないことから、手洗い行為の総時間を元に判定を行なうことができない。
【0009】
また、特許文献1に記載の方法では、電子式の、石けん塗布装置、給水栓、エアータオルおよび殺菌装置を設置する必要があり、費用がかかる。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術では、たとえばシンク前に位置している作業者が立っているだけなのか、手を洗っているのかを判別することが困難である。
【0011】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、対象者の手洗い動作を低コストな構成で的確に判定することが可能な手洗いモニタおよび手洗いモニタ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる手洗いモニタは、撮影部と、上記撮影部によって撮影された画像における所定エリアへの人間の進入を検知するための進入者検知部と、上記所定エリアへ進入した進入者の手洗い部分の一部または全部である対象部分を上記画像から検知するための身体部位検知部と、上記身体部位検知部によって検知された上記対象部分の動作時間を計測するための動作時間計測部と、上記動作時間計測部によって計測された上記動作時間に基づいて、上記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定するための動作判定部とを備える。
【0013】
このような構成により、人間の滞在および人間の行為の両方を監視し、手洗い時間を正確に計測することができるため、手洗い実施の有無を正確に判定することができる。また、進入者の手のような対象部分の動作時間を測定することにより、さらに正確な手洗い時間を検知することができる。したがって、対象者の手洗い動作を低コストな構成で的確に判定することができる。
【0014】
好ましくは、上記手洗いモニタは、さらに、上記所定エリア中の部分エリアへの上記対象部分の進入を上記画像から検知するための部位進入検知部を備え、上記動作判定部は、上記部位進入検知部による検知結果、および上記動作時間に基づいて、上記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0015】
このような構成により、進入者がたとえば所定の手洗い用品を使用したか否かを検知することができるため、さらに的確に手洗い動作を判定することができる。
【0016】
好ましくは、上記部位進入検知部は、上記所定エリア中の複数の部分エリアへの上記対象部分の進入の有無および進入順序を上記画像から検知し、上記動作判定部は、上記部位進入検知部によって検知された上記進入の有無および進入順序、ならびに上記動作時間に基づいて、上記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0017】
このような構成により、進入者が手順通りに手洗いを実施したか否かを検知することができるため、さらに的確に手洗い動作を判定することができる。
【0018】
好ましくは、上記撮影部によって撮影された画像には、部屋の出入り口が含まれ、上記手洗いモニタは、さらに、人間の上記出入り口への進入の有無、および上記出入り口への進入が退室方向であるか入室方向であるかを上記画像から検知するための室内進入検知部を備え、上記動作判定部は、上記室内進入検知部による検知結果、および上記動作時間に基づいて、上記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0019】
このように、部屋の出入り口付近を監視エリアとして設定する構成により、作業者が、部屋に進入した後、所定エリアを通過せずに他の場所に移動した場合、すなわち手を洗わずに他の場所に移動した場合を検知して、警報等を出力することができる。また、作業者が、手洗い以外の目的で所定エリアに進入した場合等において、手洗いモニタが誤って警報等を出力することを防ぐことができる。
【0020】
より好ましくは、上記撮影部によって撮影される1つの画像に、上記所定エリアおよび上記出入り口が含まれる。
【0021】
このように、1つの画像に所定エリアおよび出入り口を含める構成により、撮影部を2つ設ける必要がなくなり、構成の簡易化を図ることができる。
【0022】
好ましくは、上記手洗いモニタは、さらに、上記手洗い動作に関する上記進入者の情報を上記進入者に提示するための提示部を備える。
【0023】
このような情報の提示により、進入者に手洗い行為を促すことができる。
【0024】
好ましくは、上記手洗いモニタは、さらに、上記進入者による個人特定操作を受け付けて上記進入者の情報を取得するための進入者情報取得部を備える。
【0025】
これにより、手洗い者による手洗い記録用紙への記入行為を削減し、作業者の負担を軽減することができる。また、作業者が手洗いを行なった後に筆記具を触ることが無くなり、衛生管理をより徹底することができる。
【0026】
好ましくは、上記撮影部は、上記所定エリアの動画の撮影を行い、上記手洗いモニタは、さらに、進入者と手洗い動作に関する情報との対応関係を示す管理情報を管理装置において作成する元となる情報として、上記身体部位検知部による検知結果、上記動作時間、上記動作判定部による判定結果、および上記動画を上記管理装置へ出力するための元情報出力部を備える。
【0027】
このように、帳票等の管理情報を作成可能とする構成により、監督者の業務の効率化を図ることができる。
【0028】
上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる手洗いモニタ方法は、撮影された画像における所定エリアへの人間の進入を画像処理によって検知するステップと、上記所定エリアへ進入した進入者の手洗い部分の一部または全部である対象部分を画像処理によって上記画像から検知するステップと、検知した上記対象部分の動作時間を計測するステップと、計測した上記動作時間に基づいて、上記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定するステップとを含む。
【0029】
このような構成により、人間の滞在および人間の行為の両方を監視し、手洗い時間を正確に計測することができるため、手洗い実施の有無を正確に判定することができる。また、進入者の手のような対象部分の動作時間を測定することにより、さらに正確な手洗い時間を検知することができる。したがって、対象者の手洗い動作を低コストな構成で的確に判定することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、対象者の手洗い動作を低コストな構成で的確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る手洗いモニタの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る手洗いモニタの適用エリアの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る手洗いモニタが撮影した画像を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る手洗いモニタが人間の手およびその動作を検知する動作を示す図である。
【図5】管理者端末が作成し、監督者が利用する帳票画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る手洗いモニタの機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る手洗いモニタが手洗い監視処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0033】
[構成および基本動作]
【0034】
図1は、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタの構成を示す図である。
【0035】
図1を参照して、手洗いモニタ101は、タッチパネルPC(パーソナルコンピュータ)1と、カメラ2と、パトライト(登録商標)3と、ハブ(HUB)5とを備える。
【0036】
カメラ2は、蛇口62が付設された手洗いシンク61を見渡せる位置に設置され、手洗いシンク61を含む画像を撮影し、撮影した画像をハブ5経由でタッチパネルPC1へ出力する。この画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。
【0037】
たとえば、カメラ2は、手洗いシンク61の真上ではなく、手洗いシンク61に対して斜めに配置する。これにより、手洗いシンク61における作業者の手洗い動作を詳細に撮影することができる。
【0038】
タッチパネルPC1は、タッチパネル型ディスプレイ付のパーソナルコンピュータである。タッチパネルPC1は、カメラ2から受けた画像に対して所定の画像処理を行なうことにより、手洗いシンク61において人間Hが手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0039】
また、タッチパネルPC1は、上記画像処理の結果に基づいて、パトライト3の点灯および消灯、ならびに自己の画面へのメッセージの出力等を行なう。
【0040】
また、タッチパネルPC1は、カメラ2から受けた画像の記録を行い、パーソナルコンピュータ等の管理者端末(管理装置)151へログ情報を出力する。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタの適用エリアの一例を示す図である。
【0042】
図2を参照して、手洗いモニタ101は、たとえば調理場である部屋R2の隣の部屋R1に設置される。
【0043】
部屋R1は、作業者が外部から出入りするための出入り口D1と、部屋R2に出入りするための出入り口D2とを有する。作業者は、通常、出入り口D1から部屋R1へ入室し、手洗いシンク61において手洗いを行なった後、出入り口D2から調理場である部屋R2へ入室する。カメラ2は、たとえば手洗いシンク61および出入り口D1を見渡せる位置に設置される。
【0044】
また、手洗いシンク61の側には、石けん71と、タオル72と、消毒用アルコール73とが設けられている。
【0045】
なお、部屋R1に手洗いシンク61が複数設置されている場合、または部屋R1の出入り口が複数ある場合には、部屋R1に手洗いモニタ101が複数設けられてもよいし、あるいはカメラ2が複数設けられてもよい。
【0046】
図3は、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタが撮影した画像を示す図である。
【0047】
図3を参照して、タッチパネルPC1は、カメラ2の撮影した画像内で、部屋R1の出入り口D1付近のエリアを監視エリアAR1として設定する。
【0048】
そして、タッチパネルPC1は、たとえば特許文献2に記載の監視装置と同様の方法で、カメラ2の撮影した画像に基づいて、監視エリアAR1への人間の進入を検知する。
【0049】
また、タッチパネルPC1は、カメラ2の撮影した画像内で、手洗いシンク61付近のエリアを監視エリアAR2として設定する。
【0050】
そして、タッチパネルPC1は、たとえば特許文献2に記載の監視装置と同様の方法で、カメラ2の撮影した画像に基づいて、監視エリアAR2への人間の進入を検知する。
【0051】
また、タッチパネルPC1は、カメラ2の撮影した画像に基づいて、監視エリアAR2において進入者のたとえば手が所定のパターンで動いていることを検知し、この動作時間を計測する。たとえば、タッチパネルPC1は、形、色および明度等で画像の特徴点を抽出し、エッジ検出を行なうことにより、進入者の手が所定のパターンで動いていることを検知する。ここで、タッチパネルPC1は、進入者が他者と会話等をしていて手が間欠的に動く場合には、進入者の手が動いていない時間を計測時間から除外することが可能である。
【0052】
図4は、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタが人間の手およびその動作を検知する動作を示す図である。図4は、図3に示す監視エリアAR2を拡大した画像を概略的に示している。
【0053】
図4を参照して、タッチパネルPC1は、カメラ2の撮影した画像に基づいて、進入者の手Gの位置を検知し、検知した手Gの動作時間を計測する。タッチパネルPC1は、たとえばエッジ検出およびパターンマッチングによって進入者の手Gを検知する。
【0054】
また、タッチパネルPC1は、監視エリアAR2内で、石けん71、タオル72および消毒用アルコール73の位置を予め記憶する。すなわち、タッチパネルPC1は、監視エリアAR2内で、石けん71、タオル72および消毒用アルコール73をそれぞれ含む監視エリアAR3,AR4,AR5を設定する。
【0055】
そして、タッチパネルPC1は、進入者の手Gの、監視エリアAR3,AR4,AR5への進入の有無および進入順序を検知する。
【0056】
なお、手Gの進入を検知する監視エリアは、監視エリアAR3,AR4,AR5のうちの1つだけが設定されてもよいし、他のエリアを含めて4つ以上が設定されてもよい。すなわち、石けん71、タオル72および消毒用アルコール73に限らず、手洗いシンク61には、手洗いブラシ等の他の手洗い用品が設けられ、タッチパネルPC1は、進入者の手の、手洗いブラシ等を含む他の監視エリアへの進入をさらに検知する構成であってもよい。
【0057】
また、手洗いモニタ101は、カメラ2の撮影した画像に基づいて、たとえば外部出力装置を用いた進入者への状態通知を行なう。
【0058】
具体的には、手洗いモニタ101は、複数の色の表示すなわち点灯または点滅を行なうパトライト3を用いる。
【0059】
たとえば、手洗いモニタ101は、人間が監視エリアAR2へ進入するとパトライト3を黄色に点灯させ、進入者が所定のルールに従った手洗い動作を完了するとパトライト3を緑色に点灯させ、また、手順飛ばしおよび手洗い時間が短い等、進入者が所定のルールに違反した場合にはパトライト3を赤色に点灯させる。また、手洗いモニタ101は、人間Hが監視エリアAR2へ進入したが、進入者の動きが無い場合には、パトライト3を黄色で点滅させる。
【0060】
また、手洗いモニタ101は、タッチパネルPC1の画面を用いる。たとえば、手洗いモニタ101は、進入者の手洗い時間を表示し、進入者が所定のルールに従った手洗い動作を完了すると「OK」を表示し、手順飛ばしおよび手洗い時間が短い等、進入者が所定のルールに違反した場合には再実行を促す表示を行なう。
【0061】
また、食堂等の作業者は、通常、マスクおよび帽子を装着していることから、カメラ2の撮影した画像のみで個人を特定することが困難である。このため、手洗いモニタ101は、たとえば、タッチパネルPC1を用いて個人記録を行なう。
【0062】
具体的には、部屋R2へ入室する作業者の名前を予めタッチパネルPC1に登録しておく。
【0063】
そして、タッチパネルPC1を手洗いシンク61付近に設置し、タッチパネルPC1のディスプレイに名前一覧を表示し、作業者がディスプレイ上の名前を押すことができるようにする。そして、作業者は、手洗い前に、このディスプレイ上で自分の名前を押す。
【0064】
これは、手洗い者に従来行為以上の行為を強いるものではない。HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)基準により、手洗い行為を記録することは望ましく、通常、手洗い者は手洗い前に記録用紙(帳票)に個人名等を記録する。
【0065】
すなわち、手洗いモニタ101では、手洗い者による記録行為を、タッチパネルの押下に置き換える。
【0066】
また、手洗いモニタ101は、監督者向け情報の蓄積を行なう。すなわち、タッチパネルPC1は、手洗い行為記録および映像を保存する。手洗い行為記録および映像は、監督者が確認可能である。
【0067】
具体的には、タッチパネルPC1は、手洗い行為記録および映像等のログ情報を管理者端末151へ出力する。管理者端末151は、タッチパネルPC1から受けたログ情報に基づいて帳票を作成する。
【0068】
図5は、管理者端末が作成し、監督者が利用する帳票画面の一例を示す図である。
【0069】
図5を参照して、この帳票は、監視場所、イベントの発生年月日、イベントの発生時刻、手洗い動作の判定結果、手洗い時間および作業者名の対応関係を示している。たとえば、管理者が画面上で帳票の各行をダブルクリックすると、対応の映像が画面に表示される。
【0070】
図6は、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタの機能ブロック図である。
【0071】
図6を参照して、手洗いモニタ101は、撮影部11と、進入者検知部12と、身体部位検知部13と、動作時間計測部14と、動作判定部15と、提示部16と、部位進入検知部17と、室内進入検知部18と、進入者情報取得部19と、個人情報出力部20と、元情報出力部21とを備える。進入者検知部12、身体部位検知部13、動作時間計測部14、動作判定部15、部位進入検知部17、室内進入検知部18、進入者情報取得部19、個人情報出力部20および元情報出力部21は、タッチパネルPC1によって実現される。撮影部11は、図1に示すカメラ2に相当し、提示部16は、図1に示すパトライト3およびタッチパネルPC1の画面に相当する。
【0072】
進入者検知部12は、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、人間の監視エリアAR2への進入を検知する。
【0073】
身体部位検知部13は、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、監視エリアAR2へ進入した進入者の手洗い部分の一部または全部である対象部分を検知する。ここで、対象部分は、たとえば手全体であり、手全体に加えて手首および腕等を含んでもよい。さらに、対象部分は、手の一部、たとえば指または手の甲であってもよい。
【0074】
動作時間計測部14は、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、身体部位検知部13によって検知された対象部分の動作時間を計測する。
【0075】
動作判定部15は、動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0076】
より詳細には、部位進入検知部17は、監視エリアAR2中の部分エリアすなわち監視エリアAR3、AR4およびAR5への上記対象部分の進入を画像から検知する。
【0077】
そして、動作判定部15は、部位進入検知部17による検知結果、および動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0078】
たとえば、部位進入検知部17は、監視エリアAR2中の複数の部分エリアAR3,AR4,AR5への上記対象部分の進入の有無および進入順序を検知する。
【0079】
そして、動作判定部15は、部位進入検知部17によって検知された進入の有無および進入順序、ならびに動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0080】
また、撮影部11は、出入り口D1を含む画像を撮影する。
【0081】
室内進入検知部18は、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、人間の出入り口D1への進入の有無、および出入り口D1への進入が退室方向であるか入室方向であるかを検知する。
【0082】
そして、動作判定部15は、室内進入検知部18による検知結果、および動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0083】
また、提示部16は、手洗い動作に関する進入者の情報を当該進入者に提示する。
【0084】
また、進入者情報取得部19は、進入者による個人特定操作たとえばタッチパネルPC1のディスプレイ上の押下操作を受け付けて、進入者の情報を取得する。
【0085】
そして、個人情報出力部20は、進入者情報取得部19によって取得された進入者の情報を、ハブ5経由で管理者端末151へ出力する。
【0086】
また、撮影部11は、監視エリアAR2の動画の撮影および録画を行なう。そして、元情報出力部21は、進入者と手洗い動作に関する情報との対応関係を示す管理情報を管理者端末151において作成する元となる情報として、身体部位検知部13による検知結果、動作時間計測部14によって計測された動作時間、動作判定部15による判定結果、撮影部11によって撮影および録画された動画を管理者端末151へ出力する。
【0087】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタが手洗い監視を行なう際の動作について説明する。
【0088】
手洗いモニタ101におけるタッチパネルPC1は、以下に示す各フローチャートの各ステップを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
【0089】
図7は、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタが手洗い監視処理を行なう際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0090】
図7を参照して、まず、室内進入検知部18は、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、監視エリアAR1への人間の進入を監視する。
【0091】
室内進入検知部18は、部屋R1の外から監視エリアAR1への人間の進入を検知すると(ステップS1でYES)、検知したことを進入者検知部12に通知する。
【0092】
次に、進入者検知部12は、室内進入検知部18からの通知を受けて、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、監視エリアAR2への人間の進入を監視する。そして、進入者検知部12は、当該通知を受けてから一定時間内に監視エリアAR2へ人間が進入した場合には(ステップS2でYES)、当該進入のあったことを身体部位検知部13に通知する。
【0093】
次に、身体部位検知部13は、進入者検知部12からの通知を受けて、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、進入者の手の検知処理を行なう(ステップS3)。
【0094】
次に、身体部位検知部13は、進入者の手を検知すると、検知したことを動作時間計測部14および部位進入検知部17に通知するとともに、提示部16であるパトライト3を黄色に点灯する(ステップS4)。
【0095】
次に、元情報出力部21は、撮影部11によって撮影される映像の記録を開始する(ステップS5)。
【0096】
次に、動作時間計測部14は、身体部位検知部13からの通知を受けて、進入者の手の動作時間を計測し、計測結果を動作判定部15に通知する(ステップS6)。
【0097】
また、部位進入検知部17は、身体部位検知部13からの通知を受けて、監視エリアAR2における進入者の手の、監視エリアAR3、AR4およびAR5への進入の有無および進入順序を検知し、検知結果を動作判定部15に通知する(ステップS6)。
【0098】
次に、動作判定部15は、監視エリアAR2において進入者の手が規定時間以上動き(ステップS7でYES)、かつ進入者の手が監視エリアAR3、AR4およびAR5へこの順番に進入した場合には(ステップS8でYES)、進入者が正しい手洗い動作を行なったと判定し(ステップS9)、パトライト3を緑色に点灯する(ステップS10)。
【0099】
次に、元情報出力部21は、撮影部11によって撮影される映像の記録を終了し、この映像および手洗い行為記録に基づいてログ情報を更新し、管理者端末151へ出力する。ここで、手洗い行為記録は、室内進入検知部18、進入者検知部12および身体部位検知部13の検知結果および検知日時、動作時間計測部14の計測時間、ならびに動作判定部15の判定結果等を含む(ステップS11)。
【0100】
次に、進入者検知部12は、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、監視エリアAR2からの人間の退出を監視する。そして、進入者検知部12は、監視エリアAR2から人間が退出した場合には(ステップS12)、パトライト3を消灯する(ステップS13)。
【0101】
一方、動作判定部15は、進入者検知部12が監視エリアAR1への進入通知を受けてから一定時間内に監視エリアAR2へ人間が進入しなかった場合(ステップS2でNO)、進入者が監視エリアAR2から退出するまでに進入者の手が規定時間以上動かなかった場合(ステップS7でNO)、または進入者の手が監視エリアAR3、AR4およびAR5へ順番通りに進入しなかった場合には(ステップS8でNO)、進入者が正しい手洗い動作を行なわなかったと判定し(ステップS14)、パトライト3を赤色に点灯する(ステップS15)。
【0102】
次に、元情報出力部21は、撮影部11によって撮影される映像の記録を終了し、この映像および手洗い行為記録に基づいてログ情報を更新し、管理者端末151へ出力する。(ステップS11)。
【0103】
次に、進入者検知部12は、撮影部11によって撮影された画像に基づいて、監視エリアAR2からの人間の退出を監視する。そして、進入者検知部12は、監視エリアAR2から人間が退出した場合には(ステップS12)、パトライト3を消灯する(ステップS13)。
【0104】
なお、進入者検知部12は、進入者が監視エリアAR2から退出するまでに進入者の手が規定時間以上動かなかったことでパトライト3を赤色に点灯した場合には(ステップS7でNO)、監視エリアAR2からの人間の退出はなされているのですぐにパトライト3を消灯する(ステップS13)。
【0105】
ところで、特許文献1に記載の方法では、当該時間を特定することができないことから、手洗い行為の総時間を元に判定を行なうことができない。また、特許文献1に記載の方法では、電子式の、石けん塗布装置、給水栓、エアータオルおよび殺菌装置を設置する必要があり、費用がかかる。また、特許文献2に記載の技術では、たとえばシンク前に位置している作業者が立っているだけなのか、手を洗っているのかを判別することが困難である。
【0106】
これに対して、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、進入者検知部12は、撮影部11によって撮影された画像における監視エリアAR2への人間の進入を検知する。身体部位検知部13は、監視エリアAR2へ進入した進入者の手洗い部分の一部または全部である対象部分を画像から検知する。動作時間計測部14は、身体部位検知部13によって検知された対象部分の動作時間を計測する。そして、動作判定部15は、動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0107】
このように、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、たとえば特許文献2に記載の監視装置による方式に、画像処理を用いて人の手洗い行為を判別するアルゴリズムを追加する。すなわち、進入者の監視エリアAR2における滞在時間の代わりに、進入者が動いている時間を測定する。これにより、人間の滞在および人間の行為の両方を監視し、手洗い時間を正確に計測することができるため、手洗い実施の有無を正確に判定することができる。また、進入者の手のような対象部分の動作時間を測定することにより、さらに正確な手洗い時間を検知することができる。
【0108】
したがって、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、対象者の手洗い動作を低コストな構成で的確に判定することができる。
【0109】
すなわち、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタは、図6に示す機能ブロックをすべて備える構成に限定するものではない。
【0110】
たとえば、手洗いモニタ101は、撮影部11を備えない構成であってもよい。この場合、手洗いモニタ101は、手洗いモニタ101の外部から監視エリアの画像を取得する。
【0111】
また、手洗いモニタ101は、提示部16と、部位進入検知部17と、室内進入検知部18と、進入者情報取得部19と、個人情報出力部20と、元情報出力部21とを備えない構成であってもよい。
【0112】
また、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、部位進入検知部17は、監視エリアAR2中の部分エリアへの上記対象部分の進入を画像から検知する。そして、動作判定部15は、部位進入検知部17による検知結果、および動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0113】
このような構成により、進入者がたとえば所定の手洗い用品を使用したか否かを検知することができるため、さらに的確に手洗い動作を判定することができる。
【0114】
また、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、部位進入検知部17は、監視エリアAR2中の複数の部分エリアへの上記対象部分の進入の有無および進入順序を画像から検知する。そして、動作判定部15は、部位進入検知部17によって検知された進入の有無および進入順序、ならびに動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0115】
このような構成により、進入者が手順通りに手洗いを実施したか否かを検知することができるため、さらに的確に手洗い動作を判定することができる。
【0116】
また、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、室内進入検知部18は、人間の出入り口D1への進入の有無、および出入り口D1への進入が退室方向であるか入室方向であるかを画像から検知する。そして、動作判定部15は、室内進入検知部18による検知結果、および動作時間計測部14によって計測された動作時間に基づいて、進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する。
【0117】
このように、部屋R1の出入り口D1付近を監視エリアAR1として設定する構成により、作業者が、部屋R1に進入した後、監視エリアAR2を通過せずに他の場所に移動した場合、すなわち手を洗わずに他の場所に移動した場合を検知して、警報等を出力することができる。また、作業者が、手洗い以外の目的で監視エリアAR2に進入した場合等において、手洗いモニタ101が誤って警報等を出力することを防ぐことができる。
【0118】
また、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、撮影部11によって撮影される1つの画像に、監視エリアAR2および出入り口D1が含まれる。
【0119】
このように、1つの画像に監視エリアAR2および出入り口D1を含める構成により、撮影部を2つ設ける必要がなくなり、構成の簡易化を図ることができる。
【0120】
また、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、提示部16は、手洗い動作に関する進入者の情報を当該進入者に提示する。
【0121】
このような情報の提示により、進入者に手洗い行為を促すことができる。
【0122】
また、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、進入者情報取得部19は、進入者による個人特定操作を受け付けて進入者の情報を取得する。
【0123】
これにより、手洗い者による手洗い記録用紙への記入行為を削減し、作業者の負担を軽減することができる。また、作業者が手洗いを行なった後に筆記具を触ることが無くなり、衛生管理をより徹底することができる。
【0124】
また、本発明の実施の形態に係る手洗いモニタでは、撮影部11は、監視エリアAR2の動画の撮影を行なう。そして、元情報出力部21は、進入者と手洗い動作に関する情報との対応関係を示す管理情報を管理者端末151において作成する元となる情報として、身体部位検知部13による検知結果、動作時間計測部14によって計測された動作時間、動作判定部15による判定結果、および撮影部11によって撮影された動画を管理者端末151へ出力する。
【0125】
このように、帳票等の管理情報を作成可能とする構成により、監督者の業務の効率化を図ることができる。
【0126】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
1 タッチパネルPC
2 カメラ
3 パトライト
5 ハブ
11 撮影部
12 進入者検知部
13 身体部位検知部
14 動作時間計測部
15 動作判定部
16 提示部
17 部位進入検知部
18 室内進入検知部
19 進入者情報取得部
20 個人情報出力部
21 元情報出力部
61 手洗いシンク
62 蛇口
71 石けん
72 タオル
73 消毒用アルコール
101 手洗いモニタ
D1,D2 出入り口
R1,R2 部屋
AR1,AR2 監視エリア
G 手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像における所定エリアへの人間の進入を検知するための進入者検知部と、
前記所定エリアへ進入した進入者の手洗い部分の一部または全部である対象部分を前記画像から検知するための身体部位検知部と、
前記身体部位検知部によって検知された前記対象部分の動作時間を計測するための動作時間計測部と、
前記動作時間計測部によって計測された前記動作時間に基づいて、前記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定するための動作判定部とを備える、手洗いモニタ。
【請求項2】
前記手洗いモニタは、さらに、
前記所定エリア中の部分エリアへの前記対象部分の進入を前記画像から検知するための部位進入検知部を備え、
前記動作判定部は、前記部位進入検知部による検知結果、および前記動作時間に基づいて、前記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する、請求項1に記載の手洗いモニタ。
【請求項3】
前記部位進入検知部は、前記所定エリア中の複数の部分エリアへの前記対象部分の進入の有無および進入順序を前記画像から検知し、
前記動作判定部は、前記部位進入検知部によって検知された前記進入の有無および進入順序、ならびに前記動作時間に基づいて、前記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する、請求項1または請求項2に記載の手洗いモニタ。
【請求項4】
前記撮影部によって撮影された画像には、部屋の出入り口が含まれ、
前記手洗いモニタは、さらに、
人間の前記出入り口への進入の有無、および前記出入り口への進入が退室方向であるか入室方向であるかを前記画像から検知するための室内進入検知部を備え、
前記動作判定部は、前記室内進入検知部による検知結果、および前記動作時間に基づいて、前記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の手洗いモニタ。
【請求項5】
前記撮影部によって撮影される1つの画像に、前記所定エリアおよび前記出入り口が含まれる、請求項4に記載の手洗いモニタ。
【請求項6】
前記手洗いモニタは、さらに、
前記手洗い動作に関する前記進入者の情報を前記進入者に提示するための提示部を備える、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の手洗いモニタ。
【請求項7】
前記手洗いモニタは、さらに、
前記進入者による個人特定操作を受け付けて前記進入者の情報を取得するための進入者情報取得部を備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の手洗いモニタ。
【請求項8】
前記撮影部は、前記所定エリアの動画の撮影を行い、
前記手洗いモニタは、さらに、
進入者と手洗い動作に関する情報との対応関係を示す管理情報を管理装置において作成する元となる情報として、前記身体部位検知部による検知結果、前記動作時間、前記動作判定部による判定結果、および前記動画を前記管理装置へ出力するための元情報出力部を備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の手洗いモニタ。
【請求項9】
撮影された画像における所定エリアへの人間の進入を画像処理によって検知するステップと、
前記所定エリアへ進入した進入者の手洗い部分の一部または全部である対象部分を画像処理によって前記画像から検知するステップと、
検知した前記対象部分の動作時間を計測するステップと、
計測した前記動作時間に基づいて、前記進入者が規定の手洗い動作を行なったか否かを判定するステップとを含む、手洗いモニタ方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate