説明

手画像認識装置

【課題】撮影された手の肌色の色調や手の背景の影響を受けることなく、伸ばした手指の本数を認識する。
【解決手段】顔とともに手指の画像を撮影して画像データを取得する画像入力部11と、その画像データにおける顔の位置を基準とした手指を認識する領域の位置を表す情報および該領域の大きさを表す情報からなる手認識領域情報を予め記憶する記憶部13と、画像データから顔を検出し、該画像データ内の顔の位置を検出する顔検出部14と、顔検出部14が検出した顔の特徴に基づいて手指の大きさの基準値を算出する制御部12と、画像データ内の顔の位置および手認識情報から手指を認識する領域を抽出し、該領域から制御部12が算出した基準値に基づいて手指を検出する指検出部15とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影された画像から手指を認識する手画像認識装置に関し、特に顔とともに手指が撮影されている画像から伸ばした手指を認識する手画像認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手画像認識装置は、まず、カラー画像の肌色情報に基づいて撮影した画像を2値化し、ノイズを除去して抽出した手領域を細線画像化する。次に、手領域の細線画像から手の方向を検出し、検出された手の方向に対して垂直方向に走査して手領域上にかかるラン長を計測し、計測したラン長の頻度の分布を求め、頻度が最大となるラン長を指の幅の閾値として設定する。次に、手の方向に対して垂直方向に走査して計測したラン長が閾値より短い領域を指領域画像として抽出し、細線画像と抽出した指領域画像との論理積から指に対応する指領域を抽出する。なお、2値化した画像からノイズを除去する際に、2値化画像の平滑化された輪郭線を抽出し、その輪郭線の形状からも指本数を推定し、この推定値を利用して前記指に対応する線として抽出した線のうち、ノイズに対応する線を除去する。このようにして手の形状を認識するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、入力画像から顔を検出し、さらに検出した顔の領域の肌色を検出して入力画像から手を検出するための検出条件を設定し、この検出条件にしたがって手の領域の検出を行うようにしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、撮像した画像から掌を検出し、その掌の幅から指の太さの基準値を設定し、エッジライン画像取得手段により抽出したエッジラインにおけるエッジ強度が正の値を持つ正のエッジラインと交差し、かつ同じ走査線上に次に現れるエッジラインが負のエッジ強度を持つエッジラインである場合に、正のエッジラインと負のエッジラインとの間隔を計測し、計測した間隔と設定した指の太さの基準値との差分を求め、この差分が小さければ2本のエッジラインの間に対応する領域を指領域として指を認識するようにしているものもある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−346162号公報(段落「0006」〜段落「0025」、図2)
【特許文献2】特開2002−15319号公報(段落「0068」〜段落「0072」、図7)
【特許文献3】特開2006−163662号公報(段落「0008」〜段落「0024」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術において、カラー画像の肌色情報に基づいて手領域を抽出する場合、光源や撮影カメラによる環境条件の違い、人による肌色の違いや手の背景の色等により様々な条件下によって抽出される肌色に差異が生じ、肌色を正しく抽出できないことにより、手領域を抽出することができない場合があるという問題がある。例えば、手の背景の色が肌色に近いという条件下では、背景と人肌との差異があまりないため、人間の肌色を正確に抽出できず、また手の輪郭を抽出しようとしても手の背景部分に何が撮影されているか分からない環境では、どこが手や指のエッジなのか正確に判定できないため手の輪郭を抽出できないという問題がある。
【0007】
また、検出した顔より肌色を抽出する場合も、化粧や日焼け、掌、手の甲の色など手の色と顔の色が同じでない場合が多々あり、顔の色に基づいて手領域を抽出することができない場合があるという問題がある。
【0008】
さらに、掌の幅を基準にして指を検出する場合、手の背景が輝度の差がない平坦な画像でないと掌のエッジを検出することが難しく指を検出するための基準を導き出すことができないという問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、撮影された手の肌色の色調や手の背景の影響を受けることなく、伸ばした手指を認識できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのため、本発明は、撮影した画像から伸ばした手指を認識する手画像認識装置において、顔とともに手指の画像を撮影して画像データを取得する画像入力手段と、前記画像入力手段が取得する画像データにおける顔の位置を基準とした手指を認識する領域の位置を表す情報および該領域の大きさを表す情報からなる手認識領域情報を予め記憶する記憶手段と、前記画像入力手段が取得した画像データから顔を検出し、該画像データ内の顔の位置を検出する顔検出手段と、前記顔検出手段が検出した顔の特徴に基づいて手指の大きさの基準値を算出する指基準サイズ算出手段と、前記顔検出手段が検出した画像データ内の顔の位置および前記記憶手段に記憶された手認識情報から手指を認識する領域を抽出し、該領域から前記指基準サイズ算出手段が算出した基準値に基づいて手指を検出する指検出手段とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このようにした本発明は、撮影された手の肌色の色調や手の背景の影響を受けることなく、伸ばした手指を認識できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施例における手画像認識装置の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例における手画像認識処理を示すフローチャート
【図3】第1の実施例における手画像認識領域の説明図
【図4】第1の実施例における特徴抽出の説明図
【図5】第1の実施例における特徴抽出結果の説明図
【図6】第1の実施例における指候補絞込み結果の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明による手画像認識装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例における手画像認識装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
手画像認識装置1は、画像入力部11、制御部12、記憶部13、顔検出部14、指検出部15、および入出力部16等により構成され、撮影した画像から伸ばした手指の本数および方向を認識するものである。
【0016】
画像入力手段としての画像入力部11は、レンズなどの光学系にはピントや絞りなどの機構やCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子を有するいわゆるデジタルカメラであり、撮影した画像を画像データ(デジタルデータ)として取得することができるものである。本実施例では、画像入力部11は、被写体としての人の顔とともに伸ばした手指を撮影するものとする。
【0017】
記憶手段としての記憶部13は、半導体メモリ等で構成され、画像入力部11で撮影した画像データ、その画像データから顔や手指を認識するための情報および手画像認識装置1全体の動作を制御するためのプログラム(ソフトウェア)等を記憶するものである。
【0018】
この記憶部13は、画像データから手指を認識するための情報として画像入力部11が取得する画像データにおける顔の位置を基準とした手指を認識する領域の位置を表す情報およびその領域の大きさを表す情報からなる手認識領域情報を初期設定において予め記憶する。
【0019】
顔検出手段としての顔検出部14は、画像入力部11で撮影した画像データおよび記憶部13に記憶された顔を認識するための情報から人の顔を検出し、その画像データ内における顔の位置(座標)を検出するものである。なお、本実施例において顔検出部14は、公知の技術を利用して画像データから人の顔を検出するものとする。
【0020】
指検出手段としての指検出部15は、画像入力部11で撮影した画像データおよび記憶部13に記憶された手指を認識するための情報から伸ばした人の手指の本数および方向(例えば、手指の付け根から指先の方向)を検出するものである。
【0021】
この指検出部15は、顔検出部14が検出した画像データ内の顔の位置および記憶部13に記憶された手認識情報から手指を認識する領域を抽出し、その領域から指基準サイズ算出手段が算出した基準値に基づいて手指を検出する。
【0022】
入出力部16は、キーボードやマウス等の入力手段、ディスプレイ等の出力手段、および他の装置との間で通信回線を介して通信を行う通信手段等で構成されたものである。
【0023】
制御部12は、演算手段および制御手段としての中央処理装置(Central Processing Unit)で構成され、記憶部13に記憶されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて手画像認識装置1全体の動作を制御する。
【0024】
また、制御部12は、顔検出部14が検出した顔の目、鼻ならびに口の大きさおよび目の間隔のうち少なくともひとつを顔の特徴とし、その顔の特徴から推定した手指の大きさの基準値を算出する指基準サイズ算出手段としての機能を備えている。
【0025】
上述した構成の作用について図1および図2の実施例における手画像認識処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって説明する。
【0026】
S1:手画像認識装置1の制御部12は、画像入力部11で入力する画像において被写体の顔を検出する顔検出領域およびその顔検出領域の位置に対し、被写体の手を認識する手認識領域、すなわち手が存在する領域の位置および大きさを設定する操作者の操作を入出力部16で受付け、入力された手認識領域を手認識領域情報として記憶部13に記憶させる初期設定を行う。例えば、図3は、顔検出領域31の右側(被写体の左側)に顔検出領域31の約2倍の領域を手認識領域32に設定した例を示している。なお、顔検出領域31および手認識領域32の設定は、入出力部16のマウスやキーボードを操作して入力するものとする。
【0027】
このように、手認識領域32は、顔検出領域31に対して通常の姿勢では手が存在しない領域に設定することにより、手を認識させる場合に、操作者は自身が設定した手認識領域32内へ手を明示的に移動することが可能になる。本実施例では、顔検出領域31の前後でなく、顔検出領域31の横に手認識領域32を設定したものとして説明する。なお、手認識領域32は、顔検出領域31に対して通常の姿勢では手が存在しない領域であれば、横に限られることなく、顔検出領域31の上下等であってもよい。
【0028】
S2:制御部12は、画像入力部11により被写体を撮影し画像データとして入力し、その画像データを記憶部13に記憶させる。
【0029】
S3:顔検出部14は、制御部12の指示により記憶部13に記憶された画像データから顔を検出する。なお、入力した画像データから人物の顔を検出する処理は公知のものであり、例えば特開2001−309225号公報、特開2004−128715号公報に記載されている。
【0030】
S4:S3において顔検出部14が画像データから顔を検出でき、かつ検出された顔の目、鼻、口などの部位の輪郭が鮮明であると判定した場合、処理をS5へ移行する。
【0031】
一方、画像データから顔を検出できなかった場合、および顔検出部14が画像データから顔を検出できたが、検出された顔の目、鼻、口などの部位の輪郭が鮮明でないと判定された場合、処理をS2へ移行し、輪郭がより鮮明になるように、制御部12は画像入力部11に対してレンズのピントや絞り等の調整を繰返し、顔の部位が最も鮮明な輪郭の状態になるまで画像取得(S2)、顔検出(S3)を繰り返す。
【0032】
ここで、鮮明な輪郭とは、画像データにおける隣接する画素の輝度の変化が最も大きい状態をいい、顔検出部14が画像データの隣接する画素の輝度情報を比較して判定するものとする。
【0033】
顔検出部14が画像データから顔を検出すると、画像入力部11と手認識領域32との距離および画像入力部11と顔検出領域31との距離が異なるように初期設定された場合、設定されている画像入力部11と手認識領域32との距離に応じて手認識領域32で鮮明な輪郭の画像が取得できるように画像入力部11のピント(焦点)や絞り等を調整し直して画像取得(S2)を実行する。
【0034】
画像入力部11は、手認識領域32で鮮明な画像を取得できる範囲でレンズの絞りを開いた状態にすることにより、被写体深度を狭くし、設定された画像入力部11と手認識領域32までの距離以外の被写体物のピントをぼかすことができ、後述する指特徴抽出(S8)において指以外の物を指として誤って検出してしまうことを防止することができるようになる。
【0035】
S5:顔検出部14が画像データから顔を検出でき、かつ検出された顔の目、鼻、口などの部位の輪郭が鮮明であると判定すると制御部12は、S3における顔検出結果および記憶部13に記憶された手認識領域情報から手認識領域を抽出する。
【0036】
この手認識領域の抽出は、S1において初期設定された手認識領域32の位置ならびに大きさおよびS3の顔検出結果に基づいて画像データから抽出する。例えば、S3の顔検出結果から画像データ内に存在する顔の座標を特定し、その顔の座標からの相対的な位置(手認識領域32の位置)および大きさ(手認識領域32の大きさ)から手認識領域を抽出する。
【0037】
なお、このとき、S3の顔検出結果から顔の大きさを抽出し、その顔の大きさに応じて手認識領域の大きさを変化させるようにしても良い。
【0038】
また、手認識領域32が、入力した画像データからはみ出したり、または小さすぎたりするとき、画像入力部11に光学ズーム機能を有する場合は、その光学ズーム機能を用いて拡大/縮小するようにしても良い。
【0039】
S6:次に、制御部12は、抽出した手認識領域の手指の画像に基づいて指を認識するための指の太さおよび指の長さ(指の大きさ)の基準値となる指基準サイズを算出する。この指基準サイズは、顔検出結果として検出された顔の大きさに基づいて算出されるものであり、例えば左右の目の間隔の5分の1程度の距離を指の太さ、左右の目の間隔程度の距離を指の長さとして算出され、手認識領域32の画面上に存在しうる手指の大きさを推定する数値である。なお、指基準サイズは、目、鼻、口などの大きさに基づいて算出するようにしても良い。
【0040】
S7:指基準サイズを算出した制御部12の指示により指検出部15は、抽出した手認識領域から指基準サイズに基づいて手指の特徴を抽出して手指を検出する。
【0041】
ここで、手指の検出方法を図4の実施例における特徴抽出の説明図に基づいて説明する。
【0042】
図4(a)は、手指40が鉛直方向(図4(a)における縦方向)に立っている状態を示している。
【0043】
指検出部15は、破線44が示す水平方向に手認識領域を走査し、隣り合う画素の輝度情報を比較し、その輝度差が予め記憶部13に記憶された閾値を超えている領域を手指の輪郭候補41、42として抽出する。次に、指検出部15は、抽出した手指の輪郭候補41と輪郭候補42との間隔と、指基準サイズの指の太さの基準値とを比較し、その差が予め記憶部13に記憶された閾値以下であると判定した場合、輪郭候補41と輪郭候補42を手指の輪郭の候補として残す。
【0044】
さらに、指検出部15は、破線44が示す水平方向に手認識領域を走査し、輪郭候補41と輪郭候補42との間の画素の輝度情報を比較し、図4(b)に示すように輪郭候補41と輪郭候補42との間の輝度の変化を取得して手指の特徴を抽出する。
【0045】
手指は略円柱形状になっているため、輪郭候補41と輪郭候補42との間が、画像入力部11に対して光が正反射する部分が多く存在することにより、輪郭候補41および輪郭候補42より明るくなる画素の領域43となる特徴がある。
【0046】
ただし、手指に対して逆光の場合、領域43は特徴として抽出し難くなるため、輪郭候補41と輪郭候補42との間の輝度情報が輪郭候補41や輪郭候補42の輝度情報に基づいて比較した結果、明らかに暗い場合、手指に対して逆光であると判定し、輪郭候補41および輪郭候補42より明るい領域は手指の特徴抽出の判定から除外するものとする。したがって、逆光にならないように光源を画像入力部11から手に向けて照らすことが望ましい。
【0047】
S8:指検出部15は、このようにして抽出した輪郭候補(図5に例示する)の隣接する部分を平滑化しながら繋ぎ合わせて指の太さおよび指の長さを算出し、算出した指の太さおよび指の長さと指基準サイズの指の太さおよび指の長さとを比較し、その差が予め記憶部13に記憶された閾値以下であると判定した場合、その輪郭候補を手指の輪郭の候補として絞り込む。なお、絞り込んだ手指の輪郭の候補61、62を図6に例示する。
【0048】
S9:指検出部15は、図4における破線44が示す水平方向に対する角度を変化(例えば、30度ずつ変化)させて手認識領域を走査してS7およびS8の処理を繰返し、360度(例えば、12方向)の全方向に対して手指の輪郭の候補を絞り込む。これは、手認識領域における手指の長手方向に対して直交する方向に走査して手指の輪郭の候補を絞り込むためである。
【0049】
S10:指検出部15は、全方向に対する手認識領域の走査が完了すると各走査方向で絞り込まれた手指の輪郭の候補から手指の本数および手指の方向を決定し、その結果を制御部12へ出力する。
【0050】
S11、S12:制御部12は、S2からS10の処理を繰返し、指検出部15から入力した手指の本数および手指の方向の結果が一致して出力され、安定することを検知すると操作者が手指の入力操作を完了したと判断し、安定した手指の本数および手指の方向を入出力部16に出力して手画像認識処理を終了する。
【0051】
このように撮影した顔の位置に対する手指を認識する領域を予め定め、その領域に操作者が手指を配置させることにより、手認識領域の手指にピントが合い、手指の背景がぼやけた画像を取得することができるようになり、手指の輪郭を抽出する際に手指の背景を誤って手指の輪郭として抽出することを抑制することができる。
【0052】
また、このように撮影した画像データから検出した顔の大きさから手指の基準サイズを算出し、その基準サイズに基づいて手指の輪郭を抽出するようにしたことにより、手指の本数および方向を高精度に認識することができる。
【0053】
したがって、撮影された手の肌色の色調や手の背景の影響を受けることなく、手指の本数および方向を高精度に認識することができる。
【0054】
さらに、撮影した画像における顔の位置に対して手指を認識する領域を定めているため、操作者の画像内の位置に依存することなく、操作者の手指の本数および方向を認識することができるとともに操作者が手指による入力操作を行うときにのみ、顔に対する手認識領域に手指を移動して認識処理の開始および終了を明確に指示することができるようになる。
【0055】
以上説明したように、第1の実施例では、撮影した顔の位置に対する手指を認識する領域を予め定め、その領域に操作者が手指を配置させることにより、手認識領域の手指にピントが合い、手指の背景がぼやけた画像を取得することができるようになり、手指の輪郭を抽出する際に手指の背景を誤って手指の輪郭として抽出することを抑制することができるとともに撮影した画像データから検出した顔の大きさから手指の基準サイズを算出し、その基準サイズに基づいて手指の輪郭を抽出するようにしたことにより、手指の本数および方向を高精度に認識することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0056】
第2の実施例は、第1の実施例の図2のS1における初期設定で操作者の顔の特徴情報(以下、「顔特徴情報」という。)として目、鼻、口などの認識対象の大きさや位置の情報を辞書として登録し、S3における顔検出においてその顔特徴情報から操作者の顔を検出するようにしたものである。
【0057】
詳述すると記憶部13は、手認識領域情報に加え、顔の認識対象となる目、鼻ならびに口のうち少なくともひとつの大きさおよび位置の情報を顔特徴情報として操作者(手画像認識対象者)毎に予め辞書として記憶(登録)する。
【0058】
顔検出部14は、記憶部13に登録された顔特徴情報に基づいて画像入力部11が取得した画像データから操作者(手画像認識対象者)の顔を検出する。
【0059】
なお、その他の第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同様なので同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
第2の実施例の動作を図2に基づいて説明する。
【0061】
S1:手画像認識装置1の制御部12は、第1の実施例と同様に、画像入力部11で入力する画像において被写体の顔を検出する顔検出領域の位置に対し、被写体の手を認識する手認識領域を設定する。
【0062】
第2の実施例では、さらに画像入力部11で操作者の顔を撮影し、制御部12は操作者の顔特徴情報として目、鼻、口などの認識対象の大きさや位置の情報を辞書として記憶部13に記憶させて登録する。
【0063】
S3:顔検出部14は、制御部12の指示により記憶部13に記憶された画像データおよび顔特徴情報から顔を検出する。
【0064】
なお、S2,S4〜S12の処理は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
【0065】
以上説明したように、第2の実施例では、顔特徴情報を予め登録するようにしたことにより、第1の実施例の効果に加え、特定の操作者の手指のみを認識することが可能になり、ひとつの画像の中に複数人が存在する場合であっても特定の操作者のみの手指を認識することができるという効果が得られる。
【0066】
また、登録されていない人物の手指の認識を防止することができるという効果が得られる。
【0067】
さらに、顔検出部で検出された結果と、登録された顔特徴情報の認識対象の位置情報とを比較し、予め記憶部に記憶された閾値の範囲外となる小さい顔(遠い顔)や大きい顔(近い顔)を認識対象外とすることにより、特定の距離の操作者のみの手指を認識対象とすることができるという効果が得られる。
【0068】
またさらに、目、鼻、口などの位置関係や形状など、ウインクした状態や首を傾げた状態を辞書として記憶部13に記憶させて登録することにより、操作者がウインクした場合や、首を傾げた場合など特定の顔の表情や動作に連動して手指を認識することができるという効果が得られる。
【0069】
なお、第1の実施例および第2の実施例で説明した本手画像認識装置は、認識される手指の本数や方向に関連付けて動作を予め記憶部に登録しておくことにより、手指の画像による入力操作が可能になる。例えば、テレビやビデオデッキ等の家電製品のいわゆるリモコンの変りに本装置を用いて家電製品を遠隔から操作することができるようになる。テレビにカメラ(画像入力部)を組み合わせ、カメラによって取得された画像から顔の横に5本の指を広げた手を認識してリモコン画面を表示した後、さらに認識した手指が1本の場合はボリューム変更、手指が2本の場合はチャネル変更というようにテレビを遠隔から操作することができるようになる。
【0070】
また、従来、デジタルカメラでセルフタイマを使用して撮影する場合、撮影者がそのセルフタイマを起動した後、デジタルカメラの撮影先に移動して撮影するようにしていたが、デジタルカメラに本装置を用いた場合、セルフタイマを使用することなく、撮影者が撮影先に移動し、撮影の準備が完了した時点で、3本の指を広げた手を顔の横に上げることにより、3秒後に撮影を行うようにすることもできる。
【符号の説明】
【0071】
1 手画像認識装置
11 画像入力部
12 制御部
13 記憶部
14 顔検出部
15 指検出部
16 入出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影した画像から伸ばした手指を認識する手画像認識装置において、
顔とともに手指の画像を撮影して画像データを取得する画像入力手段と、
前記画像入力手段が取得する画像データにおける顔の位置を基準とした手指を認識する領域の位置を表す情報および該領域の大きさを表す情報からなる手認識領域情報を予め記憶する記憶手段と、
前記画像入力手段が取得した画像データから顔を検出し、該画像データ内の顔の位置を検出する顔検出手段と、
前記顔検出手段が検出した顔の特徴に基づいて手指の大きさの基準値を算出する指基準サイズ算出手段と、
前記顔検出手段が検出した画像データ内の顔の位置および前記記憶手段に記憶された手認識情報から手指を認識する領域を抽出し、該領域から前記指基準サイズ算出手段が算出した基準値に基づいて手指を検出する指検出手段とを設けたことを特徴とする手画像認識装置。
【請求項2】
請求項1の手画像認識装置において、
前記指基準サイズ算出手段は、前記顔検出手段が検出した顔の目、鼻ならびに口の大きさおよび目の間隔のうち少なくともひとつを前記顔の特徴として手指の大きさの基準値を算出するようにしたことを特徴とする手画像認識装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の手画像認識装置において、
前記指検出手段は、前記手指を認識する領域の画像データを走査して手指の輪郭を抽出し、その手指の輪郭の間隔から算出した手指の大きさと前記基準値との差が予め記憶部に記憶された閾値以下となる手指の輪郭をさらに抽出して手指を検出することを特徴とする手画像認識装置。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3の手画像認識装置において、
前記記憶手段は、前記手認識領域情報に加え、顔の認識対象となる目、鼻ならびに口のうち少なくともひとつの大きさおよび位置の情報を顔特徴情報として手画像認識対象者毎に予め記憶し、
前記顔検出手段は、前記記憶手段に登録された前記顔特徴情報に基づいて前記画像入力手段が取得した画像データから手画像認識対象者の顔を検出するようにしたことを特徴とする手画像認識装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項の手画像認識装置において、
前記画像入力手段は、前記顔検出手段が顔を検出した後、前記手指を認識する領域に焦点を合わせるようにしたことを特徴とする手画像認識装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項の手画像認識装置において、
前記画像入力手段は、前記手指を認識する領域を光学的に拡大または縮小して撮影するようにしたことを特徴とする手画像認識装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項の手画像認識装置において、
前記記憶手段は、前記手認識領域情報に加え、予め記憶された閾値の範囲外となる小さい顔(遠い顔)や大きい顔(近い顔)を認識対象外とする範囲情報を予め記憶し、
前記顔検出手段は、前記記憶手段に登録された前記範囲情報に基づいて前記画像入力手段が取得した画像データから手画像認識対象者の顔を検出するようにしたことを特徴とする手画像認識装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項の手画像認識装置において、
前記記憶手段は、前記手認識領域情報に加え、予め記憶部に記憶されたウインクの表情や顔を傾けるなどの目、鼻、口などの位置関係や形状などの顔特徴情報を予め記憶し、
前記顔検出手段は、前記記憶手段に登録された前記顔特徴情報に基づいて前記画像入力手段が取得した画像データから手画像認識対象者の顔を検出するようにしたことを特徴とする手画像認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−22927(P2011−22927A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169279(P2009−169279)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】