説明

手術用ガーゼ包装体

【課題】包装状態での枚数の確認が行いやすく、さばきガーゼとしても使いやすい手術用ガーゼ包装体を提供する。
【解決手段】複数枚の方形のガーゼ1が、包装用袋に収容されている。手術用ガーゼは、その長さ方向に二つ折りされ、二つ折り状態からさらに長さ方向に二つ折りされて四つ折り状態とされた後、二度目の二つ折りの折目部分を巻始めとするロール状に巻き回された状態で包装用袋10に収容されている。包装用袋の片面の大半が、収容された手術用ガーゼを視認可能とする透明フィルム11から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手術用ガーゼ包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
病院での開腹手術において、手術中の患者から流出する血液あるあいは体液を吸収させて、手術を行いやすくするために、一般に約30cm角の正方形の手術用ガーゼが多数枚用いられる。
【0003】
あるいは、治療中にも手術用ガーゼと同様の大きさのガーゼが用いられることがあり、手術用のガーゼも含めてこのような大きさのガーゼは、一般にさばきガーゼと呼ばれている。
【0004】
このようなさばきガーゼは、一般的に約30cm角の正方形の大きさであることから、使用に供するまではコンパクトに折り畳まれて複数枚が一つのパッケージに包装され、使用の際に該パッケージから取り出して使用されるものである。
【0005】
ところで、例えば手術用ガーゼは、もとより、手術後は患者の体内から完全に回収されるべきものであるが、時として患者の体内に残置されたまま、開腹部が縫合され、患者が異常を訴えてから初めて手術用ガーゼが残置されていることが発見されるケースがある。
【0006】
そこで、このような事態が起きることのないように、手術用ガーゼ残置防止対策あるいは残置ガーゼ発見対策として、例えば、X線造影糸が縫い込まれたガーゼや、集積回路チップが取り付けられたガーゼが提案されている。
【特許文献1】特許公開2003−319966
【特許文献2】特許公開2004−121412
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、X線造影糸を縫い込まれたガーゼや、集積回路チップが取り付けられたガーゼは、手術後の手術用ガーゼ残置防止対策としては有効である半面、使用に供するまでは包装用袋に、例えば4つ折り状態に折り畳まれて包装されている。
【0008】
このような4つ折り状態の手術用ガーゼは、複数枚が重ねられると一目で枚数を確認することが難しく、包装時に枚数を間違えて包装してしまったり、使用者もその枚数を間違えてしまうことがある。
【0009】
この発明は、このような課題を解決することを目的としてなされたもので、包装状態での枚数の確認が行いやすく、さばきガーゼとしても使いやすい手術用ガーゼ包装体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る手術用ガーゼ包装体は、複数枚の方形のガーゼと、該ガーゼを収容する包装用袋とからなり、前記ガーゼが、その長さ方向に二つ折りされ、該二つ折り状態からさらに長さ方向に二つ折りされて四つ折り状態とされた後、最初の二つ折りの折目部分又は二度目の二つ折りの折目部分を巻始めとするロール状に巻き回された状態で包装用袋に収容されてなる構成が採用されている。
【0011】
請求項2の発明に係る手術用ガーゼ包装体は、請求項1の発明に係る手術用ガーゼ包装体の構成に加えて、元の方形の一対の対角部に他の対角部とは異なることを示す目印が設けられている構成が採用されている。
【0012】
請求項3の発明に係る手術用ガーゼ包装体は、請求項1又は請求項2の手術用ガーゼ包装体の構成に加えて、包装用袋の少なくとも片面の大半が、収容された手術用ガーゼを視認可能とする透明である構成が採用されている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係る手術用ガーゼ包装体は、包装用袋に収容された個々の手術用ガーゼがロール状に巻き回されているので、単に折り畳まれただけの手術用ガーゼが重ねられて包装されたものに較べてガーゼの枚数をカウントしやすく、包装状態の手術用ガーゼの枚数の過不足を発見しやすくする。
【0014】
また、手術用ガーゼ包装体は、最初の二つ折りの折目部分又は二度目の二つ折りの折目部分を巻始めとするロール状に巻回されているので、元の方形の4つの対角部が露出しており、このロール状態をほどくことなく対角部の1対を離間する方向に引っ張ることにより、三角形状に二つ折りされた状態、すなわちさばきガーゼとして用いられている状態に容易に展開できる。
【0015】
請求項2の発明に係る手術用ガーゼ包装体は、請求項1の発明の効果に加えて、元の方形の一対の対角部に他の対角部とは異なることを示す目印が設けられていることから、引っ張るべき一対の対角部がひと目でわかり、迅速かつ確実に三角形状に二つ折りされた状態、すなわちさばきガーゼとして用いられている状態への展開がより一層行いやすくなる。 請求項3の発明に係る手術用ガーゼ包装体は、請求項3の発明に係る手術用ガーゼ包装体は、請求項1又は請求項2の手術用ガーゼ包装体の効果に加えて、包装用袋の少なくとも片面の大半が、収容された手術用ガーゼを視認可能とする透明である構成が採用されているので、包装されたガーゼの枚数の確認が包装用袋外から容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、この発明の一実施形態に係る手術用ガーゼ包装体について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1に示すように、この手術用ガーゼ包装体Aは、ロール状に巻回された複数枚の手術用ガーゼ1、1、1…が、並列されて包装用袋10に包装されている。
【0018】
手術用ガーゼ1は、図2に示すように展開状態においては方形のガーゼ1が、四つ折りされた後、ロール状に巻回されてなるもので、展開状態から巻回し状態に至るまでのその手順を図2に基づいて説明する。
【0019】
先ず、図2イに示すように、やや横長の方形のガーゼ1を、図2ロに示すようにその長さ方向に二つ折りした後、図2ハに示すように、更に長さ方向に二つ折りし全体として四つ折りとする。
【0020】
この四つ折り状態において、図2ハに示すように二度目の二つ折りの折目を始端として巻き回していくと、図3に示すようなロール状に巻回された手術用ガーゼが得られる。
【0021】
包装用袋は10、図1に示すように片面の周縁を残す程度の大きな窓孔が透明の合成樹脂フィルム11により覆われており、包装用袋10内に並列されて収容されたロール状の手術用ガーゼ1、1、1…が包装用袋10を開封することなく視認できるものとなされている。手術用ガーゼ1、1、…を収容した状態において袋口が閉鎖される。12は袋口閉鎖熱融着部である。
【0022】
包装用袋10の片面の大半が透明の合成樹脂フィルム11からなっていること及び手術用ガーゼがロール状に巻き回されていることから、包装用袋10内のガーゼ1の枚数の確認が行いやすく、包装時の枚数の過不足を防止することができる。
【0023】
また、包装用袋10からガーゼ1を一枚ずつ取りだす際には、ロール状の長さ方向の端部を摘んで包装用袋10から引き出せば、強いて隣のガーゼ1に触れなくても取り出すことができるので、衛生的である。
【0024】
包装用袋10から取りだした後は、露出した対角部2、2、3、3から展開状態における一方の対角部2と2又は3と3を摘んで、それらを互いに遠ざけるように左右に引っ張ると図4(イ)に示す状態を経て、同図(ロ)に示すような三角形状の二つ折り状態を実現できる。
【0025】
なお、この実施形態の手術用ガーゼ1は、単に方形に裁断されたままのものであるが、その方形の一対の対角部を、他の一対の対角部とは異なる目印をつけておくことは好ましいことである。包装用袋から取りだした後、ロール状から三角形状の二つ折り状態に変換する際に、引っ張るべき一対の対角部が一目でわかるからである。
【0026】
このような目印は、例えば、一対の対角部が僅かにカットされていたり、色付けされたりすることから選択される。
【0027】
また、二つ折りを行う際に、二つ折りした後の端縁どうしがきっち合わさるのではなく、すなわちきっちり二等分した位置から二つ折りするのではなく、中央から僅かにずらした位置から二つ折りすることにより、両端縁が少しずれた状態にあるものとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一実施形態に係る手術用ガーゼ包装体の斜視図である。
【図2】同手術用ガーゼを展開状態からロー状に巻き回す順序の説明図である。
【図3】ロール状に巻かれた手術用ガーゼの斜視図である。
【図4】(イ)は、ロール状手術用ガーゼを使用に際して三角形状に展開する途上の斜視図、(ロ)は、三角形状に二つ折り状態とされた斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・・手術用ガーゼ
2、3・・対角部
4・・・・二度目の二つ折り部分
5・・・・最初の二つ折り部分
10・・・包装用袋
11・・・透明合成樹脂フィルム
A・・・・手術用ガーゼ包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の方形のガーゼと、該ガーゼを収容する包装用袋とからなり、
前記方形のガーゼが、二つ折りされ、該二つ折り状態からさらに長さ方向に二つ折りされて四つ折り状態とされた後、最初の二つ折りの折目部分又は二度目の二つ折りの折目部分を巻始めとするロール状に巻き回された状態で、包装用袋に収容されてなることを特徴とする手術用ガーゼ包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の手術用ガーゼ包装体において、元の方形の一対の対角部に他の対角部とは異なることを示す目印が設けられている手術用ガーゼ包装体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の手術用ガーゼ包装体において、包装用袋の少なくとも片面の大半が、収容された手術用ガーゼを視認可能とする透明である手術用ガーゼ包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−86707(P2008−86707A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274160(P2006−274160)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(390030052)大衛株式会社 (7)
【Fターム(参考)】