説明

手術用レーザの状態の視覚的表示を提供するように作動可能な手術用コンソールディスプレイ

本発明の実施形態によれば、手術用コンソールに結合された手術用レーザ又は他の手術用器具又は周辺装置の状態の視覚的表示を提供するように作動可能な手術用コンソール・ディスプレイが提供される。これは、眼科手術の際多数のタスク及び手術用制御機器が操作される手術処置の外科医による管理を容易にする。手術用コンソールは、処理モジュール、外部インタフェース、及びディスプレイ画面を有するユーザインタフェースを含む。特に、ディスプレイ画面によって、オペレータは、手術用レーザのようなものだがそれに制限されない周辺装置及び/又は手術用器具の状態を視認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に手術用コンソールのシステム及び方法に関し、特に、手術処置を容易にするシステム及び方法に関する。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2007年12月27日出願の米国特許出願第61/017,142号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
現在の手術、特に眼科手術の際には、外科医は、多様な空圧式及び電気駆動式顕微手術用ハンドピースを使用する。ハンドピースは、フットペダルコントローラ、赤外線遠隔制御装置、及びメニュー駆動式タッチスクリーンといった多様な周辺装置による外科医又は助手からの入力を受信する、マイクロプロセッサ駆動式の手術用コンソールによって操作される。こうした顕微手術用コンソールの1つは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Schellerらによる特許文献1に記載されている。手術用コンソールによって、外科医は、手術用の作動パラメータを手動で入力し、こうした「カスタマイズ」されたパラメータを将来使用するためにコンソールのメモリに格納することができる。しかし、先行技術の装置は全て、作動パラメータ及び方法論をキーパッド、タッチスクリーンを使用して手動で入力するか、又は手動で入力されたパラメータを有する別のコンソールからダウンロードする必要がある。
【0004】
人間の目は、軽度の劣化から完全な失明までの原因となる多数の疾患にかかることがある。コンタクトレンズ及び眼鏡は一部の疾患を補償できるが、それ以外の疾患は眼科手術を必要とする。一般に、眼科手術は、硝子体網膜手術のような後眼部の処置と、白内障手術のような前眼部の処置とに分類される。ごく最近、前眼部と後眼部とを組み合わせた処置が開発されている。
【0005】
眼科手術のために使用される手術用器具は、前眼部処置又は後眼部処置のために専門化されていることがあり、また両者をサポートすることもある。何れにしても、手術用器具は、手術用カセット、流体バッグ、チューブ類、ハンドピース先端等といった関連する消耗品の使用を必要とするものが多い。場合によっては、手術用コンソールは関連する手術用器具及び消耗品の一部又は全部を収容することがあり、それらを監視及び/又は制御する集中型システムを提供することがある。
【0006】
手術用器具のセットアップは一般に様々な電気ケーブル及び空圧/流体チューブ類を必要とするため、眼科手術用コンソールのセットアップ及び操作は非常に複雑なものになりうる。様々な警告が眼科手術用コンソールの操作に関連付けられることがある。オペレータ(外科医)は処置の遂行と手術用器具の使用との両面で広範な経験を得るため多くの訓練を必要とする。特に、外科医は、処置の際に生じうる障害に対処する経験を得ることは困難である。トレーニングの経験は一般に、外科医が手術の経験を得ることができる病院内で経験可能な症例数によって制限される。このため手術処置に伴う障害の危険が増大し、滅多に出合う事がない希少な症例は特別に訓練を積んだ者が対処せざるを得なくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,455,766号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0186098号(出願番号第11/114,289号)
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0253129号(出願番号第10/891,642号)
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0065462号(出願番号第10/979,433号)
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0225363号(出願番号第10/156,175号)
【特許文献6】米国特許出願公開第2001/0016711号(出願番号第09/846,724号、Sorensenらによる特許文献6)
【特許文献7】米国特許第6,293,926号
【特許文献8】米国特許第4,493,695号
【特許文献9】米国特許第4,627,833号
【特許文献10】米国特許第4,395,258号
【特許文献11】米国特許第4,713,051号
【特許文献12】米国特許第4,798,850号
【特許文献13】米国特許第4,758,238号
【特許文献14】米国特許第4,790,816号
【特許文献15】米国特許第6,267,956号
【特許文献16】米国特許第6,364,342号
【特許文献17】米国特許第6,036,458号
【特許文献18】米国特許第6,059,544号
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、手術用レーザ又は他の付属周辺装置の状態の視覚的表示を提供するように作動可能な手術用コンソールディスプレイを提供する。手術用コンソールは、処理モジュール、外部インタフェース、及びディスプレイ画面を有するユーザインタフェースを含む。ディスプレイ画面によって、オペレータは、ユーザインタフェース及びディスプレイ画面を初期化し、実行すべき手術処置を選択し、手術処置を遂行することができる。特に、このディスプレイ画面によって、オペレータは、手術用レーザのようなものだがそれに制限されない周辺装置及び/又は手術用器具の状態を視認できる。手術用レーザシステムは、手術用レーザがコンソールに結合された時の安全の目的で、コンソールが「スタンバイ」及び「準備完了」のモードを有することを必要とする。手術用レーザは、ユーザが「スタンバイ」から「準備完了」への移行を開始した後でだけ作動するようにしてもよい。この移行は最小限2秒の時間遅延といった時間遅延を必要とすることが多く、システムは、準備完了状態にある時間が長くなりすぎた場合手術用レーザの損傷を防止するためスタンバイに戻ってもよい。以前はLED又は状態灯がシステムの状態を表示していた。
【0009】
また、本発明の実施形態は、制御表面全体(すなわち、LCD画面のようなディスプレイ画面)及び/又は前面パネル全体を利用してもよく、その際、手術用レーザの作動のモードに応じて背景色が変化してもよい。すなわち、これは、「スタンバイ」に対する白色のような中間色から「準備完了」に対する緑色のような異なる色にディスプレイの背景色を変化させることによって達成されるだろう。さらに、ユーザによる状態の理解をさらに容易にするため、このコンソールに関連する制御つまみ及び他の部分の色も同様に変化してもよい。
【0010】
本発明の他の利点は、以下の図面を参照して記載された好適な実施形態の詳細な説明を読みかつ理解することによって当業者により明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明とその利点をより完全に理解するため、添付図面を参照してなされる以下の説明を参照されたい。なお、添付図面においては、同一の参照番号は同一のものを表す。
【0012】
【図1】本発明の実施形態と共に使用しうる1つの手術用コンソールの透視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る1つの手術用コンソールの機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る1つの手術用コンソールの透視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るディスプレイ画面又は制御盤の2つの図を提供する。
【図5】手術処置又は訓練の際オペレータによる手術用コンソール又は付属手術用器具の使用を可能にする、本発明の1つの実施形態に関連する論理フロー図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態を図面に例示する。各図の同一及び対応する部品を指すために同一の参照番号が使用される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、手術用コンソールに結合された手術用レーザ又は他の手術用器具又は周辺装置の状態の視覚的表示を提供するように作動可能な手術用コンソールディスプレイが提供される。この手術用コンソールは、眼科手術処置を容易にするために使用してもよい。この場合、手術用コンソールは、手術用レーザのようなサポート対象の手術用器具及び周辺装置に直接統合できる。これによって、眼科手術の際多数のタスク及び手術用制御機器が操作される手術処置のオペレータによる管理が容易になる。
【0015】
本発明の実施形態が提供する装置は、手術用コンソール及びそれに結合された周辺装置に関するオペレータの技量の改善を助けるトレーニング用手術処置又は個人訓練の使用を支援するように構成可能な、いずれもテキサス州フォートワース(Fort Worth)のAlcon Laboratories社から市販されている、図1に示すようなSERIES TWENTY THOUSAND(登録商標)LEGACY(登録商標)、INFINITI(登録商標)又はACCURUS(登録商標)手術システムといったものだがそれらに制限されない何らかの適切な手術用コンソールと共に使用してもよい。
【0016】
図1は手術用コンソール10の例示を提供する。顕微手術用コンソール10は、図示しないフットペダル組立体又は他の押しボタン式組立体といったいくつかのユーザインタフェース12と顕微手術用周辺装置14とに作動可能に結合してもよい。コンソール10によって、外科医のようなオペレータは、初期手術パラメータ及びモードをコンソール10に設定することによって手術処置を開始できる。これは、前面パネル16上に提供されたユーザインタフェース12又は他のインタフェースを通じてオペレータが手術用コンソール10と対話できるようにすることによって行ってもよい。インタフェースは、電子ディスプレイ画面17、複数の押しボタンスイッチ又はタッチセンサ式パッド18、複数のエンドレスデジタルポテンショメータ20、又は当業者に知られた他の同様のインタフェースを含んでもよい。押しボタン18及びつまみ20は、様々な手術用パラメータで使用される様々な異なる作動モード及び機能にアクセスするためオペレータによって作動可能である。また、コンソール10は、カセットテープ、メモリカード、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、又は当業者に知られた他の同様の装置といった記憶媒体を受け入れる能力を含んでもよい。
【0017】
電子ディスプレイ画面17は、様々な押しボタン18、つまみ20の機能、及び操作に関する1つ以上の異なるメニュー又はメッセージへのオペレータによるアクセスを可能にするモジュールを処理することによって制御してもよい。1つの実施形態では、ディスプレイ画面は、個々のボタン18に関連するディスプレイ画面領域に分割してもよい。この機構によって、各ボタン18又はつまみ20の表示された機能は容易に変更可能である。さらに、電子ディスプレイ画面17の使用によって、ボタン18及びつまみ20には、事実上あらゆる言語で標識を付けることができる。手術用コンソールのディスプレイ17は、本発明の実施形態に係る手術用コンソール10に結合された手術用レーザ又は他の手術用器具又は周辺装置の状態の視覚的表示を提供するように作動可能である。これによって、眼科手術の際多数のタスク及び手術制御機器が操作される手術処置の外科医による管理が容易になる。手術用コンソール10は、処理モジュール、外部インタフェース、及びディスプレイ画面17を有するユーザインタフェースを含む。特に、ディスプレイ画面17によって、オペレータは、手術用レーザのようなものだがそれに制限されない周辺装置及び/又は手術用器具の状態を視認できる。
【0018】
顕微手術用コンソール10は、いくつかの異なる手術用器具(すなわち、顕微手術用周辺装置14)と共に使用するのに適したものでもよい。例えば、これらは、手術用レーザ、光ファイバ照明器具、手術用顕微鏡、硝子体切除ユニット、破砕乳化器具、硝子体切除処置のためのギロチンカッターや比例及び多重切断のためのマイクロシザースインセットといった切断器具を含んでもよい。上記の顕微手術用器具は例示を目的として提供したものだが、顕微手術用コンソール10は、他の同様の器具を装備して使用できることを理解されたい。また、手術用コンソール10はこれらと同じ機能を遂行する同様の訓練装置に取り付けてもよい。この場合、手術用コンソール10は、機器の特定の部片(単数又は複数)に焦点を合わせた周辺装置の統合的な使用又は個人の訓練(又はゲーム)のための訓練用手術処置を連携して行うことができる。
【0019】
一般に、空圧又は電子信号によって作動又は制御される顕微手術用器具は、コンソール10に作動可能に結合しそれによって制御されてもよい。この制御又は作動は、コンソール10によって生成される、当業者に知られた空圧、電子、光、又は他の同様の信号によって管理されるものでもよい。コンソール10に結合したこれらの例示された顕微手術用装置は各々、顕微手術用コンソール10が提供する異なる設定又はパラメータを必要としうる異なる作動のモードを有してもよい。手術処置の個々のステップに関連するこれらの作動パラメータ及び手術モードをメモリに保存することによって、手術処置の各ステップのため手術用コンソールを介してこれらの装置を手動で初期化する冗長又は煩雑なことの多い処置を除去できるので、顕微手術用周辺装置のセットアップが容易になる。
【0020】
本発明の実施形態は、手術処置を容易にし、患者の危険を減少させる助けになる。手術処置を記録することによって、手術処置全体の中の個々のステップについて顕微手術用装置を初期化又はセットアップするためコンソールメモリから作動モード及び周辺装置の作動パラメータを適切に変更することが容易になる。手術処置の完了時に、完了した手術処置は、コンソール10に結合されたメモリに記録処置として保存してもよい。手術用コンソール10内にはメモリに結合された処理モジュールが存在し、処理モジュールは、以下論理フロー図で論じられるステップを実行するように作動することに注意されたい。これらのステップは、命令又はステップが記録された外科処置と共に格納された処理モジュールによってアクセスされる。
【0021】
手術用コンソール10は、複雑な外科処置の際に使用される手術用コンソール及び手術用器具の操作に研修生が慣れることができるような現実的な手術状況又は適切な訓練を生成するように作動する。こうしたトレーニング用手術処置又は訓練は、様々な処置に関連して存在しうる複雑さを考慮して変化してもよい。これによってオペレータ(外科医)は手術用器具に慣れて経験を獲得し、患者に危険を及ぼすことなくトレーニング用手術処置を使用することができる。シミュレーションを提供することに加えて、手術用コンソールは、手術処置を批評し外科医の能力を客観的に評価できるように、トレーニング用手術処置の際作動パラメータを記録してもよい。
【0022】
図2は、手術用コンソール10内に配置しうる様々な機能モジュールのブロック図を示す。この手術用コンソール10は、処理システム32、入出力(I/O)インタフェースプリント回路基板(PCB)34に提供される電力信号52、大容量記憶装置36、38、及び40、スピーカ46、ディスプレイポート又はコネクタ50、拡張パネル42、ならびにオーディオ入力への外部接続を機能的に含んでもよい。インタフェースPCB34は、オーディオ出力58、電力出力59、及びオーディオ入力54を含んでもよい。インタフェースPCB34は、外部又は内部の電源52に結合する。そして、インタフェースPCB34は、手術用コンソール10の様々な他の機能要素内に収容された様々な他の要素に電力を分配してもよい。例えば、必要に応じて、接続部59A、59B、59C、59D及び59Eを介して、手術用コンソール10内の処理システム32、大容量記憶装置36〜40、拡張パネル42、及び他の機能ユニットに電力を分配してもよい。さらに、インタフェースPCB34は、オーディオ信号を受信する外部接続用、又はインタフェースPCB34によってオーディオ出力ポート58及びスピーカ46に転送可能なオーディオ信号を提供する処理システム32への接続用でもよいオーディオポート54を通じてオーディオ信号を受信してもよい。大容量記憶装置36〜40はさらに、ハードドライブ、DVDドライブ、CDドライブ、及び他の同様のドライブを含んでもよい。電力はインタフェースPCB34によってこれらの大容量記憶装置に供給され、その際これらに収容されるマルチメディアコンテンツ又はこれらに収容される他の情報は、様々なインタフェースを通じて処理モジュール32にアクセスし、その後インタフェースPCB34を通じて手術用コンソールの適切な再生部分に転送されてもよい。例えば、オーディオ信号は、MP3ファイル、waveファイル又は他の同様のファイルといったデジタルオーディオファイルの場合スピーカ46に転送してもよく、またビデオ又は画像コンテンツの場合ディスプレイモジュール17に転送してもよい。すなわち、インタフェースPCB34が手術処置の際再生されるマルチメディアファイルを収容した内部大容量記憶装置に結合してもよく、また、MP3プレイヤーのようなものだがそれに制限されない外部マルチメディア再生装置がインタフェースに結合されてオーディオ及び/又はビデオ信号をインタフェースに提供してもよく、その信号は処理システム32を使用して処理しスピーカ46又はディスプレイモジュール17といった適切な再生手段を使用して提示してもよい。さらに、マルチメディアファイルの再生を制御するため、キーワード(keyword)、マウスといった制御装置をインタフェース34に結合してもよい。そうでない場合、ディスプレイ17に提示されるように定義された機能を有しうるボタン18及び20といった固有の制御機構を使用して、マルチメディアコンテンツの再生を制御してもよい。
【0023】
処理モジュール32は単一の処理装置でもよくまた複数の処理装置でもよい。この処理装置は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックデバイス、状態機械、ロジック回路、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は作動命令に基づいて信号(アナログ及び/又はデジタル)を操作する任意の装置でもよい。メモリ60は単一のメモリ装置でもよくまた複数のメモリ装置でもよい。このメモリ装置は、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又はデジタル情報を格納する任意の装置でもよい。処理モジュール32が状態機械、アナログ回路、デジタル回路、及び/又はロジック回路によって1つ以上の機能を実現する場合、状態機械、アナログ回路、デジタル回路、及び/又はロジック回路を備える回路の内部又は外部に、対応する作動命令を格納するメモリ60を組み込んでもよいことに注意されたい。図面に例示するステップ及び/又は機能の少なくとも一部に対応する作動命令を、メモリ60は格納し、処理モジュール32は実行する。
【0024】
既知のプログラミング技術、コンピュータソフトウェア、ハードウェア、作動プラットフォーム及びプロトコルの説明は、本発明の細部を不必要に曖昧にしないため省略することがある。しかし、詳細な説明及び個々の例は、本発明の好適な実施形態を示してはいるが、制限としてではなく例示として示されるものであることを理解されたい。根底にある本発明の概念の精神及び/又は範囲の中での様々な置換、修正、追加及び/又は再配置は本開示から当業者に明らかになるだろう。
【0025】
図3は、眼科手術用コンソール100の1つの実施形態の図である。手術用コンソール100は、タッチスクリーン115を有する旋回式モニタ110を含んでもよい。旋回式モニタ110は、タッチスクリーン115を見る必要がある全ての人員のために多様な方向に配置できる。旋回式モニタ110は左右に旋回し、回転及び傾斜できる。タッチスクリーン115は、コンソール100とのユーザによる対話を可能にするグラフィカルユーザインタフェース(「GUI」)を提供する。
【0026】
また、手術用コンソール100は、様々なツール及び消耗品を手術用コンソール100に接続するために使用される接続パネル120を含む。例えば、接続パネル120は、凝固コネクタ、平衡塩溶液受容器、様々なハンドピース用のコネクタ及び流体管理システム(「FMS」)又はカセット受容器125を含んでもよい。また、手術用コンソール100はフットペダル制御装置(例えば、パネル130の背後に格納されたもの)及びその他の機能のような多様なユーザフレンドリな機能を含んでもよい。
【0027】
作動の際、カセット(図示せず)をカセット受容器125内に配置できる。手術用コンソール100内のクランプはカセットを定位置にクランプし、使用の際のカセットの動きを最小化する。クランプはカセットの上部及び下部、カセットの側面をクランプしてもよく、又は他の形でカセットをクランプしてもよい。
【0028】
手術用コンソール100は例示として提供されたものであって、本発明の実施形態は多様な手術用システムと共に実現可能である。例えば、本発明の様々な実施形態に係るカセットを使用可能な手術用システムの例は、全てテキサス州フォートワースのAlcon Laboratories社から入手可能な、Series 2000(登録商標)Legacy(登録商標)白内障手術用システム、Accurus(登録商標)400VS手術用システム、及びInfiniti(商標)Vision System手術用システムを含んでもよい。さらに、本発明の実施形態は、各々の全体が本明細書に引用補充される、Davisらによる特許文献2、Sorensenらによる特許文献3、Nazarifarらによる特許文献4、Gordonらによる特許文献5、Sorensenらによる特許文献6、Sorensenらによる特許文献7、Cookによる特許文献8、Cookによる特許文献9、Wangらによる特許文献10、Steppeらによる特許文献11、Brownによる特許文献12、Sundblomらによる特許文献13、Sundblomらによる特許文献14、Gomesらによる特許文献15、Kimによる特許文献16、Coleらによる特許文献17、及びJungらによる特許文献18に例が記載された多様な手術用カセットと共に使用できる。当業者が理解するように、本発明の実施形態は他の適切な手術用システム及びカセットと共に実現可能である。
【0029】
手術処置の際の様々な周辺装置及び/又は手術用器具の状態をコンソール画面上に提供してもよい。ディスプレイは、オペレータ(医師)が実際の手術を遂行するために使用する実際の手術用器具に直接一体化してもよい。
【0030】
図4は、本発明の実施形態に係るディスプレイ画面402A及び402Bの2つの図を提供する。ディスプレイ画面402A及び402Bは、図1の電子ディスプレイ17、図2のディスプレイインタフェース50、図3のタッチスクリーン115によって形成してもよい。このディスプレイ画面は、液晶ディスプレイ(LCD)又は当業者に知られた他の同様の装置でもよい。402Aに示すように、手術用レーザのスタンバイ状態(モード又は状態)に関連する情報が提供される。中間色又は白色の背景404Aは例402Aで提供される。このディスプレイに関連する情報は、手術用レーザに関連する電力レベル、ショット(すなわちレーザパルス)数、レーザパルスの持続時間、及びレーザパルス間の間隔を含んでもよい。402Bでは、暗色の背景404Bは、例402Aに示された手術用レーザの状態の変化を示す。例えば、背景404Aの背景色は、例402Aの明色又は中間色から402Bの暗色に変化してもよい。例えば、この変化は白色から緑色又は赤色又は他の色への変化でもよく、その際色はユーザが自分の好みに基づいて選択してもよい。さらに、ユーザインタフェース上の照明又は照明されたつまみ及びボタンの色も変化して、液晶ディスプレイの背景が変化するだけでなく、ディスプレイに関連する全ての背景色が変化して、手術用レーザのような周辺又は手術用器具の作動の状態又はモードの変化を示すようにしてもよい。これはスタンバイ状態から準備完了状態への移行を示すものでもよい。
【0031】
図5は、手術処置の際オペレータによる手術用コンソール及び付属手術用器具の使用を可能にする本発明の実施形態に関連する論理フロー図を提供する。操作500はステップ502で開始され、そこでは手術用コンソールは、手術用レーザのようなものだがそれに制限されない様々な周辺装置及び手術用器具とインタフェースで連結してもよい。ステップ504では、手術用コンソールは、周辺装置、すなわち手術用レーザに関連する作動のモードを決定した。ステップ506では、ステップ504で識別された作動のモードに基づいて、ディスプレイ画面及び/又はユーザインタフェースの背景の色が選択される。ステップ508では、装置に結合された手術用器具の作動の状態又はモードの明瞭な表示をオペレータに提供するため、背景が選択された色に設定される。周辺装置又は手術用器具が1つのモード又は状態から別のモード又は状態に移行するばあい、ディスプレイ画面又はユーザインタフェースの背景の色が、作動の2つの端点の状態又はモードの間で交代しうるような移行が存在してもよい。代替的には、移行状態が存在し、周辺装置又は手術用器具が使用できないことを示すため、黄色のような第3の色を選択してもよい。
【0032】
本発明の実施形態によって、眼科手術の際オペレータによる多数のタスクの対処及び多数の手術用器具の制御が可能になる。本発明の実施形態が提供する、背景ディスプレイの色を変化させる能力によって、眼科手術の際オペレータは、患者の偶発的な損傷を回避するため手術処置に集中できる。さらに、これによって、オペレータは、手術用コンソールに結合された周辺装置及びシステムの状態についてより容易に知ることができ、手術用コンソールが主要なオペレータから離れていることがあっても、主要なオペレータは手術用コンソールの前部パネルを一瞥しただけで情報を判断することができるので、オペレータが手術用コンソールの状態を個別に照合する必要を除去できる。
【0033】
要約すると、本発明の実施形態によれば、手術用コンソールに結合された手術用レーザ又は他の手術用器具又は周辺装置の状態の視覚的表示を提供するように作動可能な手術用コンソールディスプレイが提供される。手術用コンソールは、眼科手術処置を容易にするために使用してもよい。この場合、手術用コンソールは、手術用レーザのようなサポート対象の手術用器具及び周辺装置に直接統合できる。これによって、眼科手術の際多数のタスク及び手術用制御機器が操作される手術処置の外科医による管理が容易になる。
【0034】
提供される手術用コンソールは、処理モジュール、外部インタフェース、及びディスプレイ画面を有するユーザインタフェースを含む。このディスプレイ画面によって、オペレータは、ユーザインタフェース及びディスプレイ画面を初期化し、実行すべき手術処置を選択し、手術処置を遂行することができる。特に、このディスプレイ画面によって、オペレータは、手術用レーザのようなものだがそれに制限されない周辺装置及び/又は手術用器具の状態を視認できる。手術用レーザシステムは、手術用レーザがコンソールに結合された時の安全の目的で、コンソールが「スタンバイ」及び「準備完了」のモードを有することを必要とする。手術用レーザは、ユーザが「スタンバイ」から「準備完了」への移行を開始した後でだけ作動するようにしてもよい。この移行は最小限2秒の時間遅延といった時間遅延を必要とすることが多く、システムは、準備完了状態にある時間が長くなりすぎた場合手術用レーザの損傷を防止するためスタンバイに戻ってもよい。以前はLED又は状態灯がシステムの状態を表示していた。
【0035】
本発明の実施形態は、制御表面全体(すなわち、LCD画面のようなディスプレイ画面)及び/又は前面パネル全体を利用してもよく、その際、手術用レーザの作動のモードに応じて背景色が変化してもよい。すなわち、これは、「スタンバイ」に対する白色のような中間色から「準備完了」に対する緑色のような異なる色にディスプレイの背景色を変化させることによって達成されるだろう。さらに、ユーザによる状態の理解をさらに容易にするため、このコンソールに関連する制御つまみ及び他の部分の色も同様に変化してもよい。
【0036】
平均的な当業者が認識するように、「実質上」又は「近似的に」という用語は、本明細書で使用される場合、対応する用語に対する工業的に許容される公差に言及するものである。この工業的に許容される公差は1パーセント未満から20パーセントの範囲であり、部品の数値、集積回路の工程の変動、温度の変動、立ち上がり及び立ち下がり時間、及び/又は熱雑音に対応するがそれらに制限されない。当業者がさらに認識するように、「作動可能な結合」という用語は、本明細書で使用される場合、別の構成部品、要素、回路、又はモジュールを介した直接結合及び間接結合を含み、間接結合の場合、介在する構成部品、要素、回路、又はモジュールは信号の情報を修正することはないが、その電流レベル、電圧レベル、及び/又は電力レベルを調整することがある。また、当業者が認識するように、推論結合(inferred coupling)(すなわち、1つの要素が推論によって別の要素に結合される場合)は、「作動可能な結合」と同様の2つの要素間の直接及び間接の結合を含む。当業者がさらに認識するように、「好ましい比較」という用語は、本明細書で使用される場合、2つ以上の要素、項目、信号等の間の比較が望ましい関係を提供することを示す。例えば、信号1が信号2より大きいことが望ましい関係である場合、好ましい比較は信号1の大きさが信号2のものより大きい場合か又は信号2の大きさが信号1のものより小さい場合に達成される。
【0037】
本発明を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更、置換及び改変をなしうることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用コンソールであって、
前記手術用コンソールに作動可能に結合されて、かつ、手術用器具を備える、周辺装置の作動を指示して当該周辺装置から入力を受信するように作動可能な、処理モジュールと、
前記処理モジュールに作動可能に結合された少なくとも1つのメモリ装置と、
前記処理モジュールに結合されて、かつ、オペレータが、前記周辺装置の状態を視認することができる、ディスプレイ画面とを備える、
手術用コンソール。
【請求項2】
前記ディスプレイ画面の色の変化によって、オペレータが、前記周辺装置の状態を視認できる、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項3】
前記周辺装置は、手術用レーザを備える、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項4】
前記色の変化は、前記手術用レーザの作動のモードを示す、請求項3に記載の手術用コンソール。
【請求項5】
さらに、前記手術用コンソールを前記手術用器具に連結するように作動可能であって、かつ、前記処理モジュールに作動可能に結合した外部インタフェースを備える、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項6】
前記周辺装置は、手術用顕微鏡を備える、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項7】
前記ディスプレイ画面は、LCDディスプレイを備える、請求項1に記載の手術用コンソール。
【請求項8】
手術用コンソールを使用して手術処置を遂行する方法であって、
手術用器具を備える、様々な周辺装置と前記手術用コンソールをインタフェースで連結するステップと、
遂行するべき前記手術処置を選択するステップと、
前記手術処置のために前記手術用コンソール及び前記周辺装置を初期化するステップと、
表示された色が各々前記周辺装置の状態に関連し、前記手術用コンソールのディスプレイ画面の色が変化して、前記手術処置を遂行するステップと
を備える、手術用コンソールを使用して手術処置を遂行する方法。
【請求項9】
前記周辺装置は、手術用レーザを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
色の変化は、前記手術用器具の状態の変化を示す、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記手術用コンソールは、さらに、前記処理モジュールに作動可能に結合した外部インタフェースを備え、その際前記外部インタフェースが前記手術用コンソールを前記手術用器具に連結するように作動可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記周辺装置は、手術用顕微鏡を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ディスプレイ画面は、LCDディスプレイを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記手術処置は、眼科手術処置である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
手術用コンソールであって、
前記手術用コンソールに作動可能に結合された手術用器具を含む周辺装置の作動を指示し、かつ、手術処置に関連する作動パラメータ及び手術モードを監視するように作動可能な、処理モジュールと、
前記手術用コンソールを前記手術用器具に連結するように作動可能であり、かつ、前記処理モジュールに作動可能に結合された外部インタフェースと、
ディスプレイ画面を備えるユーザインタフェースであって、前記ユーザインタフェースによって、オペレータが、
前記手術処置のために前記手術用コンソールを初期化し、
実行すべき前記手術処置を選択し、
前記ディスプレイ画面によってオペレータが前記周辺装置の状態を視認でき、かつ、その際前記手術用器具が手術用レーザを備えて、前記手術処置を遂行することができる、ユーザインタフェースと、
を備える、手術用コンソール。
【請求項16】
前記ディスプレイ画面の色の変化によって、オペレータが、前記周辺装置の状態を視認できる、請求項15に記載の手術用コンソール。
【請求項17】
前記色の変化は、前記手術用レーザの作動のモードを示す、請求項15に記載の手術用コンソール。
【請求項18】
前記ディスプレイ画面は、LCDディスプレイを備える、請求項15に記載の手術用コンソール。
【請求項19】
前記手術処置は、眼科手術処置である、請求項15に記載の手術用コンソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−508631(P2011−508631A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540805(P2010−540805)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087525
【国際公開番号】WO2009/086008
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(508185074)アルコン リサーチ, リミテッド (160)
【Fターム(参考)】