説明

手足の位置又は位置の変化の指標となる信号を生成するためのセンサ・デバイス

本発明は、デバイスに関する空間内の位置及び/又は肢の動き、特にユーザの手の動きの情報を提供する電気信号を生成するセンサデバイスに関する。電気信号はデータ処理、通信及び他の電気デバイスにおける入力処理を遂行するために使用される。本目的は、肢の位置及び/又は動きの指標となる信号を有利な方法で生成する方法を案出することにある。基準域に関する肢の位置又は動きの情報をもたらす電気信号を生成するデバイスは、送信電極デバイスG1、1a、1bと、送信電極デバイスG1、1a、1bに第1受信電極デバイス、第2受信電極デバイスの交流電圧を供給するための電圧発電機と、受信電極デバイスに対する場の架橋効果を検出する測定回路を備え、効果は手又は指の動きと相関関係があり、遮蔽電極デバイスSは、送信電極デバイスG1、1a、1b及び/又は受信電極デバイスM1、2を測定回路から、場の電気的効果に関して実質的に遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手足の、特にセンサ・デバイスに関するユーザの手の空間における位置及び/又は動きについての情報をもたらすような、電気信号を生成するためのセンサ・デバイスに関する。これらの電気信号は、データ処理デバイス、通信デバイス及び他の電気デバイスにおける入力処理を遂行するために使用されてよい。本発明によるセンサ・デバイスは、この点において、マン/マシン・インターフェースとして動作する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、より詳細には、容量的に、ジェスチャ、特に手又は指のジェスチャの非接触検出のためのジェスチャ検出システムに適用される。特に、本発明は、電子機器への集積化の簡素化された可能性を有するジェスチャ検出システムに関する。本発明は、その機能、特に通信デバイスを制御する機能に関して、並びに制御パネル及びコックピット・システムの分野において、特に信頼できる比較的高い分解能を有するジェスチャ・インターフェースを実現することを狙いとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、手足の位置及び/又は動きに関する指標となる信号が、特に有利な方法で生成されうる解決法を生み出すという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1によるセンサ・デバイスによって、本発明により達せられる。
【0005】
従って有利には、測定信号をゆがめるであろう、センサ電極と電子回路との間の場の結合無しに、電極の極めて近くに、送信電極場を生成するために、並びにセンサ電極によって検出された張力を評価するために設けられた電子回路を整列させることが可能である。
【0006】
通常は中央の送信電極及び送信電極回りに分配された少なくとも3つの受信電極を使用して形成された本発明によるクローバーリーフ・システムが、手の動きに対する、及びそれゆえ多くの用途に対する典型的な空間に適するジェスチャ情報の検出における適用範囲及び精度を提供する。
【0007】
本発明によるコンセプトは、測定回路の領域内の、可能性のある回路構成部品の地絡の影響の顕著な低減、並びに、それ自体制御されるべきデバイスの回路の間の干渉の低減に至る。
【0008】
容量的検出システムの適用範囲は、検出目的で加えられた電場が、十分な(相対)強度で存在する空間によって略求められる。本発明によるコンセプトによって、有利には、場形成電極、すなわち検出システムの場形成電極の近くのアースと結合された対象物が、電極と対象物との間の空間内に電場が強く集中することを引き起こすという影響が低減される。それに応じて、本発明によるコンセプトによって、測定可能範囲が拡大される。特に、感知電極のトランスインピーダンス接続の使用と関連して、残りに対してここに依然として存在する実質的なアース電位の影響が、顕著に低減される。
【0009】
本発明による検出システム内に設けられる電極群(クローバーリーフ)は、原理上好ましくは、できるだけ小さなアース接続だけで実行される。必要に応じてアースに接続される電源は、遮蔽されることが好ましい。感知電極は、場の拡散を乱さないために測定回路と高抵抗で接続されることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、測定システムは、測定システムの領域内に存在するアースに接続される素子(特に、それ自体の電子機器)の影響が、送信電極によって、並びに送信電極の回りに分配された感知電極によって遮蔽され、及び/又は場の架橋が補償されるような方法で形成される。
【0011】
好ましくは、第1、第2及び第3の受信電極デバイスは、個々のインピーダンス変換器の出口に存在する電気現象の間の差に基づいて位置又は動きの指標となる情報が得られる、インピーダンス変換器システムの高抵抗の入り口に、それぞれ接続される。
【0012】
受信電極で測定されたレベルから、受信電極に存在する張力の合計を表すコンポジット信号が、形成されうる。このコンポジット信号は、予め設定された増幅係数で標準化されてよく、個々のインピーダンス変換器システムのコンパレータ入力のうちの1つに利用できるように作られる。
【0013】
好ましくは、それ自体、出力信号の個々のインピーダンス変換器システムにおける同時発生に関して、特に、電圧レベル及び/又は位相に関して、励起電圧に関して指標となる信号を配信するような、同期検出器システムが提供される。個々の同期検出器の出口に存在する電気現象の間の差に基づいて、位置又は動きの指標となる情報が得られる。
【0014】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、受信電極が、送信電極デバイスの回りに対称に配列される。送信電極は、原理上好ましい準静的電場を送信電極自体の回りに形成するために、発電機(マイクロコントローラ)によって交流電圧を供給されることが好ましい。受信電極は、送信電極の回りに対称に配列されることが好ましい。
【0015】
受信電極に存在する電圧は、送信電極の場の分散についての情報を含む。
【0016】
受信電極は、送信電極の電場を乱さないために、インピーダンス変換器の高抵抗入力に接続される。インピーダンス変換器の後の個々の信号から、平均値が形成される。この平均値は、増幅されてよい。同期検出器の支援を受けて増幅された信号から、振幅が得られ、更にADCによってディジタル化され、評価のためにマイクロコントローラに配信されうる。同期検出器の代わりに、ダイオード整流器又はピーク検出器が、同様に使用されてよい。
【0017】
本発明によるセンサ・デバイスは、特に、ジェスチャ、動き又は手の位置の検出のために使用されてよい。好ましくは、感知電極を含むセンサ用電子機器の少なくとも主要な部分が、コンパクトなチップ状の形態で構築される。この方法では、センサ技術の特に有利な応用が可能である。
【0018】
本発明によるコンセプトによって、有利には、検出器のジェスチャに対する広い適用範囲を得ることができ、検出器は、コンパクトな設計であることができる。本発明によるコンセプトによって、3.5cmの検出器サイズによって約20cmの適用範囲が得られる。本発明による回路では、入り口は高抵抗を有する。高抵抗の入り口は、驚くほど効率的な方法で適用範囲を広げることに寄与する。このことは、特に、場のシミュレーションによって可視化されてよく、完全に信頼できる方法で実験的に証明されうる。本発明によれば、各チャネルに対して、その信号の差及び平均値の差が増幅される。このことが、対称な電極の場合、又は電子機器内の平衡のとれた信号の場合、簡単なADC(例えば10ビット)を用いて同様に高いダイナミック・レンジを得ることを可能にする。簡単な手段を用いるこの方法では、非常に小さい信号変化が検出可能である。電極スクリーンは又、送信電極に加えられた張力と略同じ振幅を有する張力を供給されてよい。回路は、比較的多数の電極を提供するように設計されてよく、とりわけ、8つの電極、すなわち8チャネルが実現される。合計による信号の補償とは別に、重みを付けられた発電機信号を引くことによる補償も又、可能である。この方法では、電極は、同じサイズである必要はもはやなく、対称に整列させられる必要ももはやない。増幅器は又、線形増幅器として設計されてよい。遮蔽のために、直接、発電機信号が取られてよく、すなわち、必ずしも振幅の点だけで発電機信号と異なる信号である必要はない。
【0019】
本発明の更なる詳細及び特徴は、図面と関連する以下の説明からもたらされる。図は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるセンサ・デバイスの基本構造を示すブロック図である。
【図2】発電機及び受信電極デバイスの例示的な構造を示す概略図である。
【図3】ジェスチャ・インターフェースとして設計されたコンピュータ・マウス内の送信及び受信の電極デバイスの例示的配置を示す図である。
【図4】移動体通信デバイス内の送信及び受信の電極デバイスの例示的配置を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に表される回路図に見ることができるように、本発明によるシステムは、表された方法で実際の測定回路及び駆動回路から遮蔽される表面電極群を用いて実現されうる。
【0022】
電極は、残りの電極から間隔を介して離隔される。電極は、例えば、銅表面として、又は電子機器に接続された樹脂膜上の導電性領域としてプリント回路上に形成されてよい。感知電極M1、M2、M3(2、3、4又はそれ以上)が、送信電極G1の回りに対称に整列させられる(図2の3つの電極の例を参照)。電極M1、M2、M3、G1は、接続の影響が電極と比べてできるだけ小さくなるように、薄い導電性経路で電子機器Eと接続される。電源線は、とりわけ、例えば多層構造によって付加的に遮蔽されてよい。
【0023】
検出システム及びデバイスの電子機器の場を乱す影響は、遮蔽体Sによって最小化される。スクリーン電極Sは、電極システムM1、M2、M3、G1を電子機器Eと区切る。この電極Sは、例えば導電性塗装を有する樹脂膜で作られてよい。
【0024】
空間構成の例が、図3及び図4に示される。図3における電極は、プリント回路LPの上方の樹脂膜上に塗布される。
【0025】
図4による構成では、電極M1、M2、M3、G1が、銅表面部としてプリント回路内に集積化される。スクリーン電極Sには、振幅の点だけで送信電極G1上の信号と異なる信号が供給される。この振幅は、スクリーン電極Sの後ろに「隠される」電子機器が、送信電極G1の電場から「カモフラージュされる」ように選択される。このことは、スクリーン電極Sにおける電位が、電子機器及びスクリーン電極が存在しない場合に同じ配置において送信電極G1によって生成される電位に相当することを意味する。電極スクリーンに対する信号は、例えば、送信電極Gの信号から(調節可能な)電圧分配器DUの支援によって生成されうる。
【0026】
受信電極M1、M2、M3の信号の避けることのできない準静的な差が、回路内で電子的に補償される。このため、形成されたコンポジット信号は、信号チャネルの増幅器(図1)に対して異なる重みを付けられて供給されることが規定されている。重み付けは、測定システムの元の状態における増幅器の出力信号をできるだけゼロの近くに保持するように、各チャネルに適合させられる。(非線形)増幅器に対するこの条件で、入力信号の変化に対する最良の感度が達せられる。
【0027】
補償の効率は、受信電極が、送信電極に対してできるだけ同じカップリングを有する場合に改善される。このカップリングは、例えば付加的な電極によって影響されうる。
【0028】
図2では、付加的なバランシングラインが、分割された送信電極G1a、G1bに対する電極M1のカップリングを、正確に電極M2及びM3のカップリングのレベルまで、如何にして高めるかが示される。
【0029】
補償はまた、測定システムを可能性のある変化する影響に順応させるために、動作の間に動的に再調節されてよい。
【0030】
本発明によるコンセプトによって、ジェスチャ検出用電子機器を、特に有利には、電子装置、例えば携帯電話機の中に直接集積化することが可能である。更に、電極をプリント回路内に直接集積化すること、又は電極を樹脂膜上に導電層として構成することが可能である。更に、電極を同軸ケーブル無しに測定システムに接続することが可能である。更に、本発明によるコンセプトによって、所与の周辺環境特性に対する検出システムの適用範囲の最大化が達せられる。有利には、検出されるべき対象物の移動に対するシステム応答の線形化が、同様に存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リファレンス領域に関する手足の位置又は動きについての情報を与える電気信号を生成するためのセンサ・デバイスであって、
送信電極デバイス(G1、G1a、G1b)と、
前記送信電極デバイス(G1、G1a、G1b)にAC電圧を供給するための電圧発電機と、
第1の受信電極デバイス(M1)と、
第2の受信電極デバイス(M2)と、
前記受信電極デバイス(M1、M2)に対する、手又は指のジェスチャと相関する場の架橋効果を検出するための測定装置とを備え、
遮蔽電極デバイス(S)が、前記送信電極デバイス(G1、G1a、G1b)及び/又は前記受信電極デバイス(M1、M2)を前記測定装置から、場の電気的に少なくとも大幅に分離するようなものとして設けられることを特徴とするセンサデバイス。
【請求項2】
前記受信電極デバイスが、第3の受信電極デバイス(M3)を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項3】
前記第1、前記第2及び可能性のある前記第3の受信電極デバイスのそれぞれが、高抵抗取り出しシステムに接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサデバイス。
【請求項4】
前記電極スクリーンSが、振幅の点においてだけ前記送信電極G1上の前記信号と異なる信号を供給されることを特徴とする請求項1から3までの少なくともいずれか1項に記載のセンサデバイス。
【請求項5】
前記振幅が、前記電極スクリーンSの後ろに隠された前記電極が前記送信電極G1の電場から隠れるように設定されることを特徴とする請求項4に記載のセンサデバイス。
【請求項6】
レベルが、前記電子機器及び前記電極スクリーンが存在しない場合に、前記スクリーン電極Sにおける電位が、同じ配置において前記送信電極G1によって生成される前記電位に相当するように略設定されることを特徴とする請求項6に記載のセンサデバイス。
【請求項7】
前記電極スクリーンに対する前記信号が、前記送信電極Gの前記信号から動的に調節可能な電圧分配器DUの支援によって生成されることを特徴とする請求項6に記載のセンサ・デバイス。
【請求項8】
前記受信電極M1、M2、M3の前記信号の準静的な差が、前記回路内で電気的に補償されることを特徴とする請求項1から7までの少なくともいずれか1項に記載のセンサデバイス。
【請求項9】
前記目的のために、コンポジット信号が形成され、異なる重みを付けられて信号チャネルの増幅器に供給されることを特徴とする請求項8に記載のセンサデバイス。
【請求項10】
前記重み付けが、前記測定システムの元の状態における前記増幅器の前記出力信号をできるだけゼロの近くに保持するように、各チャネルに適合させられることを特徴とする請求項9に記載のセンサデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−511188(P2012−511188A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521488(P2011−521488)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005754
【国際公開番号】WO2010/015417
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(507113199)イデント テクノロジー アーゲー (19)
【Fターム(参考)】