説明

打撃により笛の音を出すバット

【課題】 手軽で楽しい応援グッズである笛付きバットにキャラクターグッズを取り付けたいのであるが、外周部分がバット特有の曲面で構成されているため、この面にキャラクターの頭部を模すなどした飾り部材を取り付けようとすると、この飾り部材がフラフラと振れてしまう問題があった。
【解決手段】 打撃部と柄部とを弾力性を有する軟質合成樹脂により一体に成型した中空密閉のバット状体の外周面の一部に平坦部を設けてキャラクターの頭部を模すなどした飾り部材を取り付けた。笛の取り付けに関してはバット状体の側に設ける、飾り部材の側に設ける、双方の間に設けるの何れかの構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主としてスポーツ観戦時に用いられる、打撃によって笛の音を出すことが出来るバットに関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ観戦時に声援を送ったりサポータ同士の意気を高揚させるためのものとして、各種の応援用グッズが用いられている。例えばメガホンは拡声の役割を担うものであるが、ユーザーはただ拡声のためだけに用いるのではなく手で叩いたり振り回したりして応援に用いている。またメガホンを2個持っている場合にはこれ等を叩き合わせて応援するようなことも普通に行われている。この一例として当発明者の発明になる特許第3099284号のメガホンを上げる。
【0003】
また叩き合わせることによって音を発生させて応援するタイプの、2本の合成樹脂製のバット様体も広く用いられている。このようなバット様体に吹き口と開口部とを有してメガホンとして使用することが可能なタイプのものも提供されている。またバット様体と言うことであれば、弾力性を有する軟質合成樹脂により成型した中空密閉のバット状体の一部に開孔部を設けると共に、該開孔部に笛を取り付けて成る笛付きのバットも提供されている。このものは手で叩いたり2本を叩き合せると笛からピッピッと音が出るのであるが、振り回している内に自分に当ったり隣の人に当ったりしたとしても余り痛みを感じさせないと言う特性を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3099284号「メガホン」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の笛付きバットは手軽に使用出来て楽しい応援グッズではあるが、当発明者はこれに例えばスポーツチームを表すキャラクターグッズを取り付けると更に興趣を惹起し得るものになるのではないかと思考した。例えばこのような応援用グッズを野球に用いるのであれば、応援するチームのキャラクターの頭部の模型が付いたものにすれば、更に応援に力が入り楽しいものとなるに違いない。
【0006】
しかしながらこのようなバット状体は、外周部分がバット特有の曲面で構成されているため、この面にキャラクターの頭部を模すなどした飾り部材を取り付けようとすると、この飾り部材がフラフラと振れることがある。またバット状体は応援の際に叩いて用いられるものであるため、叩いた衝撃で飾り部材が振らつくようになってしまうことがある。飾り部材が例えばポンポンのように振らついて良い場合は確かにあるが、振らついて困ると言うような場合では問題となる。
【0007】
そこで本発明は上述したような問題点を解決して、バット特有の外周曲面を有するバット状体に取り付けられたキャラクターの頭部などの飾り部材を安定化させる構造を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1の発明は、打撃部と柄部とを弾力性を有する軟質合成樹脂により一体に成型した中空密閉のバット状体の外周面の一部に平坦部を備え、該平坦部にキャラクターの頭部を模すなどした飾り部材が設けられており、前記バット状体の一部に開孔部が設けられて、当該開孔部に笛が取り付けられていることを特徴とする、打撃により笛の音を出すバットである。
【0009】
バット状体の外周面の一部に平坦部を備えるようにしたので、この平坦部に飾り部材を設けるとここが曲面であった場合よりも飾り部材が安定した状態で取り付けられる。すなわちバット状体の外周面と飾り部材との少なくとも一側だけでも平坦に構成されていれば、両方とも曲面である場合に比して安定度合いがより高まるのである。そしてバット状体は弾力性を有する軟質合成樹脂によって中空密閉に構成され、その開孔部に笛が取り付けられているため、バット状体を手で叩くなどすると内部の空気が圧縮されて笛から外部に抜けるようになり、笛の音を発生するのである。
【0010】
本願の請求項2の発明は、打撃部と柄部とを弾力性を有する軟質合成樹脂により一体に成型した中空密閉のバット状体の外周面の一部に平坦部を備え、該平坦部に形状復元性を有する軟質合成樹脂性の中空密閉のキャラクターの頭部などの飾り部材が設けられており、当該飾り部材の一部に開孔部が設けられて、該開孔部に笛が取り付けられていることを特徴とする、打撃により笛の音を出すバットである。
【0011】
請求項1の発明と同様に、バット状体の外周面の一部に平坦部を備えているため、この平坦部に飾り部材を設けるとここが曲面であった場合よりも飾り部材が安定した状態で取り付けられる。そして飾り部材は形状復元性を有する軟質合成樹脂によって中空密閉に構成され、その開孔部に笛が取り付けられているため、請求項1の発明とは異なって飾り部材を手で叩くなどすると、飾り部材の内部の空気が圧縮されて笛から外部に抜けるようになり、笛の音を発生することになるのである。
【0012】
本願の請求項3の発明は、打撃部と柄部とを弾力性を有する軟質合成樹脂により一体に成型した中空密閉のバット状体の外周面の一部に平坦部を備え、該平坦部に形状復元性を有する軟質合成樹脂性の中空密閉のキャラクターの頭部などの飾り部材が設けられており、前記平坦部と前記飾り部材とは双方が接触する部位に前記平坦部と前記飾り部材とを繋ぐ通気口としての開孔部が設けられて、該開孔部に通気道としての笛が取り付けられていることを特徴とする、打撃により笛の音を出すバットである。
【0013】
請求項1や請求項2の発明と同様に、バット状体の外周面の一部に平坦部を備えているため、この平坦部に飾り部材を設けるとここが曲面であった場合よりも安定した状態で取り付けられる。そしてバット状体は弾力性を有する軟質合成樹脂によって中空密閉に構成されており、且つ飾り部材は形状復元性を有する軟質合成樹脂によって中空密閉に構成され、その開孔部に笛が取り付けられている。従って飾り部材を手で叩くなどすると飾り部材の内部の空気が圧縮されて、空気は請求項1や請求項2の発明とは異なって飾り部材からバット状体へ抜けるようになる。またその逆にバット状体を手で叩くなどするとバット状体の内部の空気が圧縮されて、空気はバット状体から飾り部材へ抜けるようになる。そこでここには何れかの空気の流れで鳴る笛を設けておけば良いことになる。或いは何れの空気の流れによっても鳴らすことが出来る笛を設けるようにしても良い。
【0014】
次に、上述した3種の発明の各々に関して、前記飾り部材がボール形状を呈するものとすることが出来る。ボールも球技に於けるキャラクターであると言うことが出来る。
【0015】
例えば野球観戦に用いるものとして、飾り部材にチームを表すのではなく野球と言う競技そのものを表すものとしての野球のボールを用いるようにするのである。なおボールであっても選手のサインを入れるなどすればチームを表すことが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バット状体の外周面の一部に平坦部を備え、該平坦部に飾り部材を設けたものとしたため、両方とも曲面である場合に比して飾り部材の安定度がより高いものとなる効果を奏している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 第1実施形態の外観を表した説明図である。
【図2】 この一部分を断面図で表した説明図である。
【図3】 第2実施形態の一部分を断面図で表した説明図である。
【図4】 第3実施形態の一部分を断面図で表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では本発明の3種類の実施形態を図面を参照しつつ説明するが、本発明はこれ等の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
第1実施形態
図1及び図2で本実施形態の応援用の笛付きバットを表わす。このものは柄部14と打撃部10とが一体に成型されたバット状体1であって、弾力性を有する軟質ポリエチレン樹脂を素材として用いており、中空密閉のバット状体1の外周面の一部に平坦部11を備えている。この平坦部11に飾り部としてのキャラクターヘッド2が、その底面部の平坦部20を以て平坦部11に固定されている。このキャラクターヘッド2も軟質ポリエチレン樹脂製に成るものである。そして前記打撃部10の柄部14に近い部位に開孔部12が設けられている。この開孔部12には段部13が形成されており、笛3は開孔部12から挿入されて、都合良く段部13に納まるようになっている(図2)。なおこの笛3には極めて狭い空気通路しか形成されておらず、バット状体1の内部は殆ど密閉された状態であると見做して良いため、中空密閉のバット状体1と称している。
【0020】
本バット状体1に於いて打撃部10としたのは、実際にここでボールを打つことが出来るからであるが、主として手で叩いたり2本のバット状体1を叩き合わせるようにして使用される。そこで一方の手で柄部14を握り、他方の手で打撃部10を叩くと言う使い方をした場合、打撃部10が潰れてバット状体1の内部の空気圧が急速に高まり、図2で表されるように空気の流れAがバット状体1の内部から笛3内を抜けてバット状体1の外へと勢い良く移動し、笛3が良い音色を発生する。しかしながら芯から外れるなどしてうまく叩けなかった場合では、打撃部10の圧縮は僅かと成り殆ど鳴らないか鳴っても良い音は出ない。バット状体1は弾力性を有する軟質ポリエチレン樹脂成型に成るものであるため、暫くすると形状が復元して笛3を通して空気がバット状体1の内へと戻って来る。
【0021】
本実施形態ではバット状体1の外周面の一部に平坦部11を備えているため、ここに飾り部としてのキャラクターヘッド2を取り付けることによって取り付けの安定度が向上している。加えてキャラクターヘッド2の底面部にも平坦部20が設けられているため、双方の平坦部20と平坦部11とが合うことでより一層の安定度が得られている。本実施形態が有する安定感はバット状体1を叩く場合のみならずバット状体1を振る場合にも顕著に現われる。なお平坦部20を設けない構成も可能である。またキャラクターヘッド2が極めて柔軟な素材からなるものであれば、平坦部11に取り付けられる際に変形して恰も平坦部のようになり得る。またキャラクターヘッド2を中空なものとしたが、本実施形態では特に中空なものである必要はない。
【0022】
第2実施形態
次に図3で本実施形態の応援用の笛付きバットを表わす。このものは柄部14と打撃部10とが一体に成型された、弾力性を有する中空密閉のバット状体1であり(全体は図示しないが第1実施形態に倣う)、打撃部10の外周面の一部に平坦部11を備えており、この平坦部11に飾り部としての弾力性を有する中空密閉のキャラクターヘッド2が、その底面部の平坦部20を以て固定されている。またこのキャラクターヘッド2の一部には開孔部21が設けられて、この開孔部21に笛30が取り付けられている。
【0023】
キャラクターヘッド2を叩くと、キャラクターヘッド2が潰れて内部の空気圧が急速に高まり、図3で表されるように空気の流れBがキャラクターヘッド2の内部から笛30内を抜けてキャラクターヘッド2の外へと勢い良く移動して、笛30が良い音色を発生する。なおキャラクターヘッド2は弾力性を有するものであるため、暫くすると形状が復元して笛30を通して空気がキャラクターヘッド2の中に戻って来る。
【0024】
本実施形態に於いても打撃部10の外周面の一部に平坦部11を備えており、またキャラクターヘッド2の底面部にも平坦部20が設けられているため、平坦部20と平坦部11とを合わせるようにしてバット状体1にキャラクターヘッド2を取り付けることによって、単に取り付けの安定度を高めるのみならず、叩いたり振ったりした際の安定度を向上させることにも成功している。
【0025】
第3実施形態
次に図4で本実施形態の応援用の笛付きバットを表わす。このものは柄部14と打撃部10とが一体に成型された、弾力性を有する中空密閉のバット状体1であり、打撃部10の外周面の一部に平坦部11を備えており、この平坦部11に飾り部としての弾力性を有する中空密閉のボール4が、その底面部の平坦部40を以て固定されている。またこのボール4の平坦部40と、このボール4を取り付けている打撃部10の側の平坦部11との間には、互いの空気流通を可能にする通気口としての開孔部41及び開孔部15が設けられており、これ等の開孔部41、開孔部15に笛31が挿着されている。
【0026】
そこで打撃部10を叩いた場合、打撃部10が潰れて打撃部10の内部の空気圧が急速に高まり、図4で表されるように空気の流れCが打撃部10の内部から笛31内を抜けてボール4の側へと勢い良く移動し笛31が良い音色を発生する。この際のボール4の側の圧力の高まりと、ボール4及び打撃部10が備える形状復元力とによって、双方の形状が復元して笛31を通して空気の流れDが生じて空気が打撃部10の中に戻って来る。なおこの際にも笛31は音を発生するものである。またボール4を叩くとこの場合には空気の流れDが生じて笛31が良い音色を発生する。そして暫くすると空気の流れCを伴って双方の形状が復元するのである。
【0027】
本実施形態に於いても打撃部10の外周面の一部に平坦部11を備えており、またボール4にも平坦部40が設けられているため、平坦部40と平坦部11とを合わせるようにして打撃部10にボール4を取り付けると、ボール4は打撃部10にしっかりと固定される。叩いたり振ったりする際にもボール4は安定した状態を保つことが出来る。
【0028】
以上、各種の実施形態を説明したが、本発明はこれ等に限定されるものではなく、例えばバット状体や飾り部材の形状や材質は任意であり、笛の種類も自由に選択して良い。また第3実施形態に於いて、笛31の代わりに空気の流れCのみで鳴る笛を開孔部41、開孔部15との間に用いると共に、この空気の流れCを空気の流れEなどとしてボール4の外に出すべくボール4に別の開孔部を備えた構成としたり、また笛31の代わりに空気の流れDのみで鳴る笛を開孔部41、開孔部15との間に用いると共に、この空気の流れDを空気の流れEなどとして打撃部10の外に出すべく、打撃部10に別の開孔部を備えた構成とすることが可能である。これ等の場合も開口部は笛を鳴らすためだけの小さいものであるから、打撃部10やボール4の内部は殆ど密閉された状態であると見做して良い。このような構成のものも本発明の権利範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明の打撃により笛の音を出すバットはバット以外の形状のもの、例えば掌の形を模した曲面部を有するものとして提供することが出来る。また手で叩くのみならず、軟質の安全な素材を用いて人の頭部やペットの体を叩くことが可能なおもちゃ等として構成することが出来る。
【符号の説明】
【0030】
1 バット状体
10 打撃部
11 平坦部
12 開孔部
13 段部
14 柄部
15 開孔部
2 キャラクターヘッド
20 平坦部
21 開孔部
3 笛
30 笛
31 笛
4 ボール
40 平坦部
41 開孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃部と柄部とを弾力性を有する軟質合成樹脂により一体に成型した中空密閉のバット状体の外周面の一部に平坦部を備え、該平坦部に飾り部材が設けられており、前記バット状体の一部に開孔部が設けられて、該開孔部に笛が取り付けられていることを特徴とする、打撃により笛の音を出すバット。
【請求項2】
打撃部と柄部とを弾力性を有する軟質合成樹脂により一体に成型した中空密閉のバット状体の外周面の一部に平坦部を備え、該平坦部に形状復元性を有する軟質合成樹脂性の中空密閉の飾り部材が設けられており、前記飾り部材の一部に開孔部が設けられて、該開孔部に笛が取り付けられていることを特徴とする、打撃により笛の音を出すバット。
【請求項3】
打撃部と柄部とを弾力性を有する軟質合成樹脂により一体に成型した中空密閉のバット状体の外周面の一部に平坦部を備え、該平坦部に形状復元性を有する軟質合成樹脂性の中空密閉の飾り部材が設けられており、前記平坦部と前記飾り部材とは両者が接触する部位に前記平坦部と前記飾り部材とを繋ぐ通気口としての開孔部が設けられて、該開孔部に笛が取り付けられていることを特徴とする、打撃により笛の音を出すバット。
【請求項4】
前記飾り部材がボール形状を呈する、請求項1乃至請求項3の何れか一に記載の打撃により笛の音を出すバット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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