説明

抑毛剤

【課題】毛成長抑制作用を有する抑毛剤の提供。
【解決手段】次式(I):


[式中、R1は、置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基である]を有効成分とする抑毛剤。さらに具体的化合物名として,2-ジメチルアミノ-N-エチル-アセトアミド、ドデシルカルバモイルメチルトリメチルアンモニウムクロリド、2-ジメチルアミノ-N-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エチル)-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[8-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-オクチル]-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[2-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エチル]-アセトアミド等、から成る群より選択される化合物を有効成分とする、抑毛剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば抑毛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
頭髪や体毛は、生物学的には頭部、胸部、手足等の重要な器官を防護するものである。しかしながら、近年、特に手足等における体毛は、美的外観上無い方が好ましいとする傾向が高まっている。
【0003】
体毛を除去する方法としては、シェーバー、抜毛器等を用いる機械的除去方法、脱毛剤や除毛剤を用いた化学的作用による除去方法が挙げられる。しかしながら、これらの体毛除去方法は、皮膚に対して物理的又は化学的刺激を伴う場合があり、また抑毛作用という点では未だ不十分であり、一定期間経過後には再び体毛除去処理を行わなければならず、体毛除去処理の軽減化が望まれている。
【0004】
特許文献1には、α-ジフルオロメチルオルニチン及び浸透増強剤を含む組成物の局所投与による毛成長低減方法が開示されている。しかしながら、特許文献1において、当該組成物が実際に毛成長を低減するか否かの検討は行われていない。
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/086331号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑み、抑毛剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、特定の化合物が抑毛活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は以下を包含する。
(1)次式(I):
【化1】

[式中、
R1は、置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基であるか、又は、
【0009】
次式(II):
【化2】

(式中、
R1'は、置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-20-アルキレン基であるか、又は-(CH2)n-{O-(CH2)m}o-O-(CH2)p-であり、ここでn、m、o及びpは1〜6の整数であり、
X'は、-CO-NH-、-O-CO-O-、-NH-CO-、-CO-O-、-O-CO-又は-O-であり、
Y'は、置換又は非置換のC1-4-アルキレン基であり、
R2'は、水素原子又はC1-4-アルキル基であり、
R3'は、C1-4-アルキル基であり、
R2'とR3'とは同じ又は異なるC1-4-アルキル基であってもよい)
で示される基であるか、又は、次式(III):
【0010】
【化3】

(式中、
R1'、X'及びY'は、前記と同じ意味であり、
R4'、R5'及びR6'は、同じ又は異なるC1-4-アルキル基であり、
A'-は、対イオンである)
で示される基であり、
Xは、-CO-NH-、-O-CO-O-、-NH-CO-、-CO-O-、-O-CO-又は-O-であり、
Yは、置換又は非置換のC1-4-アルキレン基であり、
R2は、水素原子又はC1-4-アルキル基であり、
R3は、C1-4-アルキル基であり、
R2とR3とは同じ又は異なるC1-4-アルキル基であってもよい]
で示される化合物もしくはその塩、及び/又は、
【0011】
次式(IV):
【化4】

(式中、
R1、X及びYは、前記と同じ意味であり、
R4、R5及びR6は、同じ又は異なるC1-4-アルキル基であり、
A-は、対イオンである)
で示される第四級アンモニウム塩、
を有効成分とする抑毛剤。
【0012】
(2)上記R1が置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基であり、上記Xが-CO-NH-又は-NH-CO-である、(1)記載の抑毛剤。
【0013】
(3)上記R1が置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基であり、上記Yがメチレン基又はエチレン基である、(1)又は(2)記載の抑毛剤。
【0014】
(4)上記R1が置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基であり、上記A-がハロゲンイオン又はカルボキシレートイオンである、(1)〜(3)のいずれか1記載の抑毛剤。
【0015】
(5)上記R1が直鎖又は分岐鎖のC6-20-アルキル基である、(1)〜(4)のいずれか1記載の抑毛剤。
【0016】
(6)上記R1が上記式(II)で示される基であり、上記R1'が置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-16-アルキレン基であるか又は-(CH2)n-{O-(CH2)m}o-O-(CH2)p-であり、ここでn、m及びpが2であり、oが1である、(1)記載の抑毛剤。
【0017】
(7)上記R1が上記式(II)で示される基であり、上記X'が-CO-NH-である、(1)又は(6)記載の抑毛剤。
【0018】
(8)上記R1が上記式(II)で示される基であり、上記Y'がメチレン基である、(1)、(6)及び(7)のいずれか1記載の抑毛剤。
【0019】
(9)上記Xが-NH-CO-である、(6)〜(8)のいずれか1記載の抑毛剤。
(10)上記Yがメチレン基である、(6)〜(9)のいずれか1記載の抑毛剤。
【0020】
(11)2-ジメチルアミノ-N-エチル-アセトアミド、ドデシルカルバモイルメチルトリメチルアンモニウムクロリド、2-ジメチルアミノ-N-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エチル)-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[8-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-オクチル]-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[2-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エチル]-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[12-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-ドデシル]-アセトアミド及び2-ジメチルアミノ-N-[4-(2-ジメチルアミノ-アセトアミノ)-ブチル]-アセトアミドから成る群より選択される化合物を有効成分とする、(1)記載の抑毛剤。
【0021】
(12)上記抑毛剤が毛成長抑制剤である、(1)〜(11)のいずれか1記載の抑毛剤。
(13)(1)〜(12)のいずれか1記載の抑毛剤を含有する抑毛組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、十分な抑毛作用を有する抑毛剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る抑毛剤は、上記式(I)で示される化合物及び/又は上記式(IV)で示される第四級アンモニウム塩を有効成分として含有するものである。本発明に係る抑毛剤は、体毛(ムダ毛)等の毛に対して抑毛作用を有する。ここで、「抑毛作用」とは、毛成長抑制作用を意味する。特に、本発明に係る抑毛剤によれば、成長期(例えば、1ヶ月〜5年)の毛に作用し、毛が生えにくくすることができる。
【0024】
上記式(I)又は式(IV)のR1で示される直鎖又は分岐鎖のC2-25-アルキル基は、直鎖状又は分枝状の炭素数2〜25のアルキル基であり、例えば、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノナニル基、n-デシル基、トリメチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、メチルヘプタデシル基(メチル分岐イソステアリル基)、n-ノナデシル基、n-イコシル基、n-ヘニコサシル基、n-ドコサニル基、n-トリコサニル基、n-テトラコサニル基、n-ペンタコサニル基等が挙げられる。特に、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノナニル基、n-デシル基、トリメチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、メチルヘプタデシル基(メチル分岐イソステアリル基)、n-ノナデシル基、n-イコシル基等の直鎖又は分岐鎖のC6-20-アルキル基が好ましい。
【0025】
また、上記式(I)又は式(IV)のR1は、上記式(II)又は式(III)で示される基である。
上記式(II)又は式(III)のR1'で示される直鎖又は分岐鎖のC2-20-アルキレン基は、直鎖状又は分枝状の炭素数2〜20のアルキレン基であり、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタテカメチレン基、ヘンキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ナノデカメチレン基、イコサデカメチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、プロピレン基、プロペニレン基等が挙げられる。特に、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタテカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、プロピレン基等の直鎖又は分岐鎖のC2-16-アルキレン基が好ましい。あるいは、上記式(II)又は式(III)のR1'は-(CH2)n-{O-(CH2)m}o-O-(CH2)p-であり、ここでn、m、o及びpは1〜6の整数であり、特にn、m及びpが2であり、且つoが1であることが好ましい。
【0026】
上記式(II)又は式(III)のX'は、-CO-NH-、-O-CO-O-、-NH-CO-、-CO-O-、-O-CO-又は-O-であり、特に-CO-NH-であることが好ましい。
【0027】
上記式(II)又は式(III)のY'で示されるC1-4-アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基が挙げられ、特にメチレン基が好ましい。
【0028】
上記式(II)のR2'及びR3'並びに上記式(III)のR4'、R5'及びR6'で示されるC1-4-アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。
【0029】
上記式(III)のA'-で示される対イオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、カルボキシレートイオン、スルホネートイオン、硫酸イオン、硝酸イオン等が挙げられるが、特にハロゲンイオン及びカルボキシレートイオンが好ましい。ハロゲンイオンとしては、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられる。また、カルボキシレートイオンとしては、例えば、ホルミレートイオン、アセチレートイオン、プロピレートイオン、フマレートイオン、マレートイオン等が挙げられる。
【0030】
一方、上記式(I)又は式(IV)のXは、-CO-NH-、-O-CO-O-、-NH-CO-、-CO-O-、-O-CO-又は-O-であり、特に上記R1が直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基である場合には-CO-NH-又は-NH-CO-であることが好ましく、上記R1が上記式(II)又は式(III)で示される基である場合には-NH-CO-であることが好ましい。
【0031】
上記式(I)又は式(IV)のYで示されるC1-4-アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基が挙げられ、特に上記R1が直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基である場合にはメチレン基又はエチレン基が好ましく、上記R1が上記式(II)又は式(III)で示される基である場合にはメチレン基であることが好ましい。
【0032】
上記式(I)のR2及びR3並びに上記式(IV)のR4、R5及びR6で示されるC1-4-アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。
【0033】
上記式(IV)のA-で示される対イオンとしては、上記においてA'-について列挙したものが挙げられる。
【0034】
上記式(I)又は式(IV)のR1で示されるC2-25-アルキル基及びYで示されるC1-4-アルキレン基、並びに上記式(II)又は式(III)のR1'で示されるC2-20-アルキレン基及びY'で示されるC1-4-アルキレン基は、1以上の置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、アシル基、保護されていてもよいアミノ基、複素環式基等が挙げられる。ここでハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。アルコキシル基としては、炭素数1〜12のアルコキシル基が好ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。アシル基としては、炭素数1〜12のアルカノイル基が好ましく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル等が挙げられる。保護されていてもよいアミノ基としては、例えばアミノ基、アシルアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等が挙げられる。複素環式基としては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子及び/又は硫黄原子を1〜3個有する5〜14員の単環又は縮合環の基が好ましく、例えばピリジル基、ピリダジニル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基等が挙げられる。
【0035】
上記式(I)で示される化合物(ただし、上記R1が式(III)で示される基の場合を除く)の塩としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、ピロ硫酸、メタリン酸等の無機酸、クエン酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸)等の有機酸、又はグルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸との塩が挙げられる。
【0036】
特に、上記式(I)で示される化合物もしくはその塩又は上記式(IV)で示される第四級アンモニウム塩としては、ドデカン酸2-ジメチルアミノ-エチルエステル、2-ジメチルアミノ-N-ドデシル-アセトアミド、ジメチルアミノ酢酸ドデシルエステル、(2-ドデシルオキシ-エチル)-ジメチルアミン、ドデカン酸(2-ジメチルアミノエチル)-アミド、2-ジメチルアミノ-N-エチル-アセトアミド、ドデシルカルバモイルメチルトリメチルアンモニウムクロリド、ペンタン二酸ビス-(2-ジメチルアミノ-エチル)エステル二塩酸塩、2-ジメチルアミノ-N-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エチル)-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[8-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-オクチル]-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[2-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エチル]-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[12-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-ドデシル]-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[4-(2-ジメチルアミノ-アセトアミノ)-ブチル]-アセトアミドが好ましい。
【0037】
上記式(I)で示される化合物及び式(IV)で示される第四級アンモニウム塩は、例えば、Izv. Vyssh. Ucheb. Zaved., Khim. Khim. Tekhnol., 14(9), 1369(1971)等に記載の方法により、例えば、塩化コリンを脂肪酸塩化物と、窒素気流下で反応させることによって製造することができる。
【0038】
本発明に係る抑毛剤を用いて、通常の化粧品、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種任意成分、例えば保湿剤、粉体、ゲル化剤、増粘剤、界面活性剤、乳化剤、抗炎症剤、抗酸化剤、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、増粘剤、色素、香料等、また角質溶解剤やチオグリコール酸又はその塩等の制毛・脱毛作用を有する成分を適宜配合し、使用形態に応じて常法に従って抑毛組成物を製造することができる。当該角質溶解剤としては、例えば乳酸、ビオプラーゼ、サリチル酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、イオウ、レゾルシン、チオキソロン、二硫化セレン、尿素等が挙げられ、チオグリコール酸の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩が挙げられ、特にチオグリコール酸カルシウムが好ましい。
【0039】
本発明に係る抑毛剤は、その使用形態において、薬用皮膚外用剤及び化粧料に配合することが出来る。化粧料としては、特に限定されるものではないが、除毛、脱毛又は髭剃り関連化粧料とすることが好ましい。このような化粧料として具体的には、ペースト状、クリーム状、エアゾール状等の除毛剤、ワックス状、ジェル状、シート状等の脱毛剤、除毛又は脱毛の後処理に用いるローション、クリーム等の後処理料、デオドラントローション、デオドラントパウダー、デオドラントスプレー、デオドラントスティック等の制汗・防臭化粧料、プレシェーブローション等の髭剃り前処理料、シェービングクリーム等の髭剃り料、アフターシェーブローション等の髭剃り後処理料等が挙げられる。
【0040】
上記式(I)で示される化合物及び/又は式(IV)で示される第四級アンモニウム塩の本発明に係る抑毛組成物への配合量は、例えば0.0001〜20重量%、特に0.001〜5重量%が好ましい。
【0041】
また、本発明に係る抑毛剤の適用量は、被験者の体毛の濃さ等により異なるが、式(I)で示される化合物及び/又は式(IV)で示される第四級アンモニウム塩の重量として例えば0.001〜1200mg、好ましく0.01〜300mgを、1日1回又は数回に分けての適用が適当である。
【0042】
本発明に係る抑毛剤の毛成長抑制作用の評価方法としては、例えば、ブタ毛包器官培養評価方法が挙げられる。
【0043】
ブタ毛包器官培養評価方法による毛成長抑制作用の評価では、先ずブタの皮膚から採取した毛包を培養する。次いで、適当な長さまで伸びた毛を有する毛包を、本発明に係る抑毛剤の存在下で培養する。陰性対照の毛包(例えば、本発明に係る抑毛剤非存在下で培養したもの)と比較して、本発明に係る抑毛剤存在下で培養した毛包において、有意な毛成長抑制(又は毛伸長抑制)が認められた場合には、本発明に係る抑毛剤は毛成長抑制作用について良好であると判断することができる。
【0044】
以上に説明したように、本発明に係る抑毛剤は、優れた毛成長抑制作用を有し、人体に対する安全性が高いものである。特に、本発明に係る抑毛剤は、成長期(例えば、1ヶ月〜5年)の体毛(ムダ毛)に対して毛成長抑制作用を有する。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕本発明に係る化合物の合成
以下の式(V)〜式(XVII)中の「-Me」はメチル基を表す。
1)ドデカン酸2-ジメチルアミノ-エチルエステル(以下、「化合物1」という)の合成
次式(V):
【化5】

で示される化合物1を以下のように合成した。
【0047】
50mlの3ツ口フラスコにジメチルアミノエタノール(10g、11.2mmol)とクロロホルム(20ml)とを加え、攪拌し、氷浴で5℃に冷却した。次いで、塩化ラウロイル(2.5g、11.2mmol)を20分間で滴下した。得られた混合物を氷浴下で0.5時間、さらに室温で2時間攪拌し、反応を終了した。
【0048】
得られた反応混合物に炭酸水素ナトリウム(1.0g、11.8mmol)とイオン交換水10mlとを加え、室温で1時間攪拌した後、水槽を除去した。有機層を飽和食塩水10mlで洗浄した後、減圧濃縮し、油状の反応混合物(1.4g)を得た。
【0049】
得られた反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、30g)に供し、クロロホルム/メタノール混合溶媒(クロロホルム:メタノール=100:1〜1:1)での溶出及び濃縮を行い、無色透明油状物として化合物1(1.2g、収率78.8%)を得た。
【0050】
得られた化合物1を核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析及び赤外線吸収(IR)スペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0051】
NMR(MeOH-d4):0.90(t, 3H, J=7Hz), 1.18-1.40(m, 16H), 1.55-1.70(m, 2H), 2.28(s, 6H), 2.32(t, 2H, J=7Hz), 2.60(t, 2H, J=6Hz), 4.18(t, 2H, J=6Hz) ppm
13C-NMR(MeOH-d4):14.5, 23.7, 25.9, 30.2, 30.4, 30.5, 30.6, 30.7, 33.1, 34.9, 45.8, 58.6, 62.6, 174.9 ppm
IR(NaCl):3316, 2932, 2810, 2780, 2730, 1742, 1154 cm-1
【0052】
2)2-ジメチルアミノ-N-ドデシル-アセトアミド(以下、「化合物2」という)の合成
次式(VI):
【化6】

で示される化合物2を以下のように合成した。
【0053】
n-ドデシルアミン(1.00g、5.4mmol)にN,N-ジメチルグリシンメチルエステル(1.50g、12.8mmol)を加え、150〜160℃で、5.5時間攪拌し、反応を終了した。
【0054】
放冷後、酢酸エチル(70ml)とn-ヘキサン(30ml)とを加え、不溶物をろ過に供した後、濃縮し、油状物(1.4g)を得た。
【0055】
得られた油状物をカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム/メタノール混合溶媒で溶出したところ、微黄色油状物として化合物2(1.27g、収率87.0%)を得た。
【0056】
得られた化合物2をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0057】
NMR(DMSO-d6) δ:0.84(t, 3H, J=6Hz), 1.12〜1.40(m, 20H), 2.17(s, 6H), 2.80(s, 2H), 3.04(q, 2H, J=7Hz), 7.67(t, 1H, J=6Hz) ppm
IR(ATR):2923, 2853, 2777, 1660, 1520 cm-1
【0058】
3)ジメチルアミノ酢酸ドデシルエステル(以下、「化合物3」という)の合成
次式(VII):
【化7】

で示される化合物3を以下のように合成した。
【0059】
n-ドデカノール(3.16g、17.0mmol)にN,N-ジメチルグリシンメチルエステル(1.00g、5.6mmol)と28%ナトリウムメトキシド(0.11g、0.6mmol)とを加え、140〜150℃で、2.5時間攪拌し、反応を終了した。
【0060】
放冷後、得られた混合物を酢酸エチル(70ml)を用いた抽出に供し、水洗し、減圧濃縮することで、油状物(3.6g)を得た。
【0061】
得られた油状物をカラムクロマトグラフィーに供し、酢酸エチル/n-ヘキサン混合溶媒で溶出したところ、微黄色油状物として化合物3(1.18g、収率77.6%)を得た。
【0062】
得られた化合物3をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0063】
NMR(DMSO-d6) δ:0.84(t, 3H, J=7Hz), 1.13〜1.32(m, 18H), 1.54(qn, 2H, J=7Hz), 2.22(s, 6H), 3.12(s, 2H), 4.01(t, 2H, J=7Hz) ppm
IR(ATR):2924, 2853, 2771, 1736, 1465 cm-1
【0064】
4)(2-ドデシルオキシ-エチル)-ジメチルアミン(以下、「化合物4」という)の合成
次式(VIII):
【化8】

で示される化合物4を以下のように合成した。
【0065】
60%水素化ナトリウム(0.47g、11.2mmol)を4ツ口フラスコに入れ、室温及び窒素気流下で乾燥テトラヒドロフラン50mlを加えて攪拌した。そこに、乾燥テトラヒドロフラン(10ml)に溶解したジメチルアミノエタノール(1.00g、11.2mmol)を20分間で滴下した。
【0066】
滴下20分後に、乾燥テトラヒドロフラン(5ml)に溶解した1-ブロモドデカン(2.80g、11.2mmol)を5分間で滴下した。滴下終了後、50℃まで加温し、4時間攪拌した後、反応を終了した。
【0067】
放冷後、反応混合物にイオン交換水20mlを加えてよく攪拌した後、酢酸エチル100mlを加えて抽出した。水洗後、減圧濃縮し、油状物(2.68g)を得た。
【0068】
得られた油状物をカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム/メタノール混合溶媒で溶出したところ、透明油状物として化合物4(1.38g、収率47.9%)を得た。
【0069】
得られた化合物4をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0070】
NMR(CDCl3) δ:0.88(t, 3H, J=7Hz), 1.16〜1.54(m, 18H), 1.58(qn, 2H, J=6Hz), 2.27(s, 6H), 2.50(t, 2H, J=6Hz), 3.42(t, 2H, J=7Hz), 3.51(t, 2H, J=6Hz) ppm
IR(ATR):2956, 29153, 2850, 1470, 1120 cm-1
【0071】
5)ドデカン酸(2-ジメチルアミノエチル)-アミド(以下、「化合物5」という)の合成
次式(IX):
【化9】

で示される化合物5を以下のように合成した。
【0072】
N,N-ジメチルエチレンジアミン(1.00g、11.3mmol)をクロロホルム(50ml)に溶解し、5℃まで冷却した。次いで、ドデシルクロリド(2.45g、11.2mmol)を10分間で滴下した。
【0073】
滴下終了後、室温に戻し、得られた混合物を2時間攪拌し、反応を終了した。反応終了後、反応混合物を減圧濃縮に供した後、その残留物を酢酸エチル(150ml)を用いた抽出に供した。抽出後、飽和重曹水(50ml)を加えて洗浄した後、飽和食塩水(50ml)で洗浄し、減圧濃縮したところ、白色固体(2.99g)を得た。
【0074】
得られた白色固体にイオン交換水(13ml)を加えて、60℃で30分間攪拌し、不溶物をろ過に供した後、ろ液を5℃に冷却した。冷却後、生成した結晶をろ過に供し、40℃で12時間乾燥し、白色結晶として化合物5(2.45g、収率79.5%)を得た。
【0075】
得られた化合物5をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0076】
NMR(DMSO-d6) δ:0.84(t, 3H, J=7Hz), 1.12〜1.32(m, 16H), 1.44(qn, 2H, J=7Hz), 2.02(t, 2H, J=7Hz), 2.12(s, 6H), 2.23(t, 2H, J=6Hz), 3.10(q, 2H, J=6Hz), 7.68(t, 1H, J=7Hz)
IR(ATR):2916, 2847, 2820, 1637, 1550 cm-1
【0077】
6)2-ジメチルアミノ-N-エチル-アセトアミド(以下、「化合物6」という)の合成
次式(X):
【化10】

で示される化合物6を以下のように合成した。
【0078】
N,N-ジメチルグリシン(0.8g、6.8mmol)を、70%エチルアミン水溶液(5.7g、68mmol)に溶解し、密閉容器に封入し、5℃で3日間保存した。3日間の保存後、減圧濃縮することで得られた油状物をカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム/メタノール混合溶媒で溶出したところ、透明油状物として化合物6(0.84g、収率94.4%)を得た。
【0079】
得られた化合物6をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0080】
NMR(DMSO-d6) δ:0.99(t, 3H, J=7Hz), 2.20(s, 6H), 2.80(s,2H), 3.10(q, 2H, J=7Hz), 7.73(br.s,1H)
IR(ATR):2973, 2824, 2778, 1651, 1522 cm-1
【0081】
7)ドデシルカルバモイルメチルトリメチルアンモニウムクロリド(以下、「化合物7」という)の合成
次式(XI):
【化11】

で示される化合物7を以下のように合成した。
【0082】
n-ドデシルアミン(60.0g、0.32mol)をクロロホルム(900ml)に溶解し、トリエチルアミン(43.2g、0.43mol)を加え、-50℃に冷却した。そのままの温度で、塩化クロロアセチル(40.2g、35.6mol)を30分かけて滴下し、そのままの温度でさらに1時間攪拌し反応を終了した。
【0083】
反応混合物にエタノール(100ml)を加え、さらにイオン交換水(300ml)を加えて室温まで加温し、20分攪拌した。攪拌後、静置分層し、下層を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム/メタノール混合溶媒で溶出した。溶出後、溶媒を留去し、残留物(85.3g)を得た。
【0084】
得られた残留物(60.27g)をステンレス製簡易オートクレーブに仕込み、トリメチルアミン33%エタノール溶液とエタノール(180ml)を加え密閉した。これを油浴で100〜110℃に加熱し、5時間攪拌して反応を終了した。室温に冷却した後、開圧し、反応溶液を濃縮した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム/メタノール混合溶媒で溶出した。溶出後、溶媒を留去し、残留物をエタノール/n-ヘキサン混合溶媒で再結晶したところ、白色針状結晶として化合物7(55.8g、収率54.3%)を得た。
【0085】
得られた化合物7をNMRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
NMR(CDCl3) δ:0.88(t, 3H, J=7Hz), 1.25-1.31(m, 18H), 1.57(qn, 2H, J=7Hz), 3.25(q, 2H, J=6Hz), 3.49(s, 9H), 4.70(s, 2H), 9.22(t, 1H, J=5Hz)
【0086】
8)ペンタン二酸ビス-(2-ジメチルアミノ-エチル)エステル二塩酸塩(以下、「化合物8」という)の合成
次式(XII):
【化12】

で示される化合物8を以下のように合成した。
【0087】
100mlの3ツ口フラスコにジメチルアミノエタノール(2.0g、22.4mmol)とクロロホルム(50ml)とを加え、氷浴で5℃に冷却した。次いで、塩化ジグリコリル(2.0g、11.2mmol)を5分間で滴下した。得られた混合物を氷浴下で0.5時間攪拌した後、白色沈殿の析出を確認し、さらに室温で1時間攪拌した後、反応を終了した。
【0088】
得られた反応混合物にn-ヘキサン(100ml)を加え、10分間攪拌した後、結晶をろ過した。次いで、n-ヘキサン(50ml)で得られた結晶をリスラリー洗浄した後、減圧乾燥(60℃、12時間)し、白色粉末状結晶として化合物8(4.0g、収率96.8%)を得た。
【0089】
得られた化合物8をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0090】
NMR(DMSO-d6):1.83(qn, 2H, J=7Hz), 2.45(t, 2H, J=7Hz), 2.78(s, 6H), 3.39(dd, 2H, J=5.5Hz), 4.39(dd, 2H, J=5.5Hz) ppm
IR(ATR):2962, 2575, 2458, 1728 cm-1
【0091】
9)2-ジメチルアミノ-N-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エチル)-アセトアミド(以下、「化合物9」という)の合成
次式(XIII):
【化13】

で示される化合物9を以下のように合成した。
【0092】
50mlの3ツ口フラスコに2,2'-(エチレンジオキシ)ビスエチルアミン(2.0g、13.5mmol)とN,N-ジメチルグリシンメチルエステル(3.2g、26.0mmol)とを入れ、窒素気流中、110〜120℃で12時間攪拌し、反応を終了することで、油状反応混合物(4.3g)を得た。
【0093】
得られた油状反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、150g)に供し、クロロホルム/メタノール混合溶媒(クロロホルム:メタノール=50:1〜3:1)で溶出及び濃縮を行ったところ、微黄色粉末状結晶として化合物9(2.3g、収率54.5%)を得た。
【0094】
得られた化合物9をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0095】
NMR(DMSO-d6):2.19(s, 12H), 2.84(s, 4H), 3.25(q, 4H, J=6Hz), 3.43(t, 4H, J=6Hz), 3.50(s, 4H), 7.68(t, 4H, J=6Hz) ppm
IR(ATR):3287, 2944, 2817, 2769, 1655, 1140 cm-1
【0096】
10)2-ジメチルアミノ-N-[8-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-オクチル]-アセトアミド(以下、「化合物10」という)の合成
次式(XIV):
【化14】

で示される化合物10を以下のように合成した。
【0097】
1,8-ジアミノオクタン(29.4g、0.20mol)とN,N-ジメチルグリシンメチルエステル(71.6g、0.60mol)とをステンレス(SUS316)製簡易オートクレーブ(200ml)に充填し、密封した。これを、油浴中、120〜125℃で7時間加熱した。
【0098】
加熱後、室温まで放冷し、得られた混合物をエタノール(60.0g)と酢酸エチル(150.0g)とに溶解した後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(150ml)で2回洗浄した。減圧濃縮後、その残留物をアセトン/ヘキサン混合溶媒で再結晶し、減圧下、50℃で12時間乾燥したところ、白色粉末状結晶として化合物10(40.3g、収率62.0%)が得られた。
【0099】
得られた化合物10をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0100】
NMR(DMSO-d6) δ:1.12-1.30(m, 8H), 1.37(qn, 4H, J=6Hz), 2.16(s, 12H), 2.79(s, 4H), 3.03(q, 4H, H=6Hz), 7.68(t, 2H, 6Hz) ppm
IR(ATR):3301, 2853, 2824, 2773, 1655 cm-1
【0101】
11)2-ジメチルアミノ-N-[2-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エチル]-アセトアミド(以下、「化合物11」という)の合成
次式(XV):
【化15】

で示される化合物11を以下のように合成した。
【0102】
ビス(3-アミノエチル)エーテル-ジエチレングリコール(5.0g、0.02mol)とN,N-ジメチルグリシンメチルエステル(8.0g、0.6mol)とを混合し、窒素気流下、110〜130℃で18時間攪拌し、反応を終了した。
【0103】
次いで、得られた混合物に酢酸エチル(300ml)を加えて溶解し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液50mlで2回洗浄した。減圧濃縮後、その残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム/メタノール混合溶媒で溶出し、溶媒を溜去したところ、微黄色油状物として化合物11(8.1g、収率91.0%)が得られた。
【0104】
得られた化合物11をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0105】
NMR(DMSO-d6) δ:1.64(qn, 4H, J=6Hz), 2.17(s, 12H), 2.80(s, 4H), 3.05(q, 4H, J=6Hz), 7.70(t, 2H, J=6Hz) ppm
IR(ATR):3323, 2863, 2824, 2777, 1660, 1098 cm-1
【0106】
12)2-ジメチルアミノ-N-[12-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-ドデシル]-アセトアミド(以下、「化合物12」という)の合成
次式(XVI):
【化16】

で示される化合物12を以下のように合成した。
【0107】
1,12-ジアミノドデカン(35.0g、0.18mol)とN,N-ジメチルグリシンメチルエステル(61.4g、0.53mol)とから、上述の化合物10の合成と同様な方法で合成を行い、白色粉末状結晶として化合物12(49.4g、収率91.7%)が得られた。
【0108】
得られた化合物12をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0109】
NMR(DMSO-d6) δ:1.12-1.30(m,16H), 1.37(qn, 4H, J=6Hz), 2.16(s, 12H), 2.80(s, 4H), 3.04(q, 4H, J=6Hz), 7.69(t, 2H, 6Hz) ppm
IR(ATR):3288, 2850, 2816, 2763, 1655 cm-1
【0110】
13)2-ジメチルアミノ-N-[4-(2-ジメチルアミノ-アセトアミノ)-ブチル]-アセトアミド(以下、「化合物13」という)の合成
次式(XVII):
【化17】

で示される化合物13を以下のように合成した。
【0111】
1,4-ジアミノブタン(1.0g、0.01mol)とN,N-ジメチルグリシンメチルエステル(4.0g、0.03mol)とから、上述の化合物10の合成と同様な方法で合成を行い、白色粉末状結晶として化合物13(0.1g、収率5.0%)が得られた。
【0112】
得られた化合物13をNMRスペクトル分析及びIRスペクトル分析に供し、以下の結果が得られた。
【0113】
NMR(DMSO-d6) δ:1.37(t, 4H, J=7Hz), 2.18(s, 12H), 2.81(s, 4H), 3.14(q, 4H, J=6Hz), 3.41(t, 4H, J=6Hz), 3.46-3.56(m, 8H), 7.74(t, 2H, 6Hz) ppm
IR(ATR):3288, 2847, 2820, 2773, 1650 cm-1
【0114】
〔実施例2〕ブタ毛包器官培養での本発明に係る化合物による毛伸長抑制効果
食肉用豚種の皮膚を用適当な大きさに切り分け、余分な脂肪を切り取り、無菌下でヒビテン液に10〜20分間浸し、消毒を行った。さらに、得られた豚皮をD-PBSで数回洗浄した。
【0115】
次に、処理した豚皮より、実体顕微鏡下においてピンセットとメス(FEATHER No.10)とを用いて、毛包を単離し、培地中に集めた。なお、培地はWillam's Medium E培地(Gibco cat.No.12551-032)に、ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco cat.No.15140-122)溶液を1%添加したものを使用した。
【0116】
単離した毛包を24穴培養プレートに、1ウェルに1本ずつ、400μlの上記培地と共に入れ、37℃において5%CO2インキュベーター中で培養した。2日間の培養で毛が0.15mm以上伸びた毛包を評価に用いた。
【0117】
次いで、上記培地を用いて実施例1で合成した各化合物(化合物2、化合物6、化合物7及び化合物9〜13)を希釈し、サンプルを調製した。調製したサンプルを毛包培養の培地交換に使用した。同様に、N,N-ジメチルグリシンメチルエステル(DMG)及び1,8-ジアミノオクタン(1,8-DAO)についても同様にサンプルを調製し、毛包培養の培地交換に使用した。
【0118】
各サンプルを含む培地を用いて毛包培養の培地を交換した後、1日又は2日置きにサンプル非含有培地を用いて培地交換を行い、サンプル含有培地による培地交換から5日又は6日後の毛包からの毛の伸長量を測定し、コントロールと比較した。コントロールは、サンプル非含有培地を用いて培地交換を行ったものである。当該コントロールにおける器官培養後の毛包からの毛の伸長量を100%とした。
【0119】
各サンプルの培地への添加濃度は、培地中で完全に溶解し、表皮細胞に24時間添加したときに呼吸活性が落ちない(細胞毒性がない)範囲内に設定した。
【0120】
結果を表1及び2に示す。表1は、各サンプル含有培地による培地交換から6日後の毛伸長率を示す。表2は、各サンプル含有培地による培地交換から5日後の毛伸長率を示す。
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】

【0123】
表1及び2に示すように、サンプル非含有培地を用いて培地交換を行ったコントロールを100として、化合物7(0.00003%)において最も抑毛活性が認められた。次いで、化合物12(0.003%)、化合物10(0.01%)、化合物9(0.01%)、化合物13(0.003%)の順に抑毛効果が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I):
【化1】

[式中、
R1は、置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基であるか、又は、次式(II):
【化2】

(式中、
R1'は、置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-20-アルキレン基であるか、又は-(CH2)n-{O-(CH2)m}o-O-(CH2)p-であり、ここでn、m、o及びpは1〜6の整数であり、
X'は、-CO-NH-、-O-CO-O-、-NH-CO-、-CO-O-、-O-CO-又は-O-であり、
Y'は、置換又は非置換のC1-4-アルキレン基であり、
R2'は、水素原子又はC1-4-アルキル基であり、
R3'は、C1-4-アルキル基であり、
R2'とR3'とは同じ又は異なるC1-4-アルキル基であってもよい)
で示される基であるか、又は、次式(III):
【化3】

(式中、
R1'、X'及びY'は、前記と同じ意味であり、
R4'、R5'及びR6'は、同じ又は異なるC1-4-アルキル基であり、
A'-は、対イオンである)
で示される基であり、
Xは、-CO-NH-、-O-CO-O-、-NH-CO-、-CO-O-、-O-CO-又は-O-であり、
Yは、置換又は非置換のC1-4-アルキレン基であり、
R2は、水素原子又はC1-4-アルキル基であり、
R3は、C1-4-アルキル基であり、
R2とR3とは同じ又は異なるC1-4-アルキル基であってもよい]
で示される化合物もしくはその塩、及び/又は、
次式(IV):
【化4】

(式中、
R1、X及びYは、前記と同じ意味であり、
R4、R5及びR6は、同じ又は異なるC1-4-アルキル基であり、
A-は、対イオンである)
で示される第四級アンモニウム塩、
を有効成分とする抑毛剤。
【請求項2】
上記R1が置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基であり、上記Xが-CO-NH-又は-NH-CO-である、請求項1記載の抑毛剤。
【請求項3】
上記R1が置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基であり、上記Yがメチレン基又はエチレン基である、請求項1又は2記載の抑毛剤。
【請求項4】
上記R1が置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-25-アルキル基であり、上記A-がハロゲンイオン又はカルボキシレートイオンである、請求項1〜3のいずれか1項記載の抑毛剤。
【請求項5】
上記R1が直鎖又は分岐鎖のC6-20-アルキル基である、請求項1〜4のいずれか1項記載の抑毛剤。
【請求項6】
上記R1が上記式(II)で示される基であり、上記R1'が置換もしくは非置換で直鎖もしくは分岐鎖のC2-16-アルキレン基であるか又は-(CH2)n-{O-(CH2)m}o-O-(CH2)p-であり、ここでn、m及びpが2であり、oが1である、請求項1記載の抑毛剤。
【請求項7】
上記R1が上記式(II)で示される基であり、上記X'が-CO-NH-である、請求項1又は6記載の抑毛剤。
【請求項8】
上記R1が上記式(II)で示される基であり、上記Y'がメチレン基である、請求項1、6及び7のいずれか1項記載の抑毛剤。
【請求項9】
上記Xが-NH-CO-である、請求項6〜8のいずれか1項記載の抑毛剤。
【請求項10】
上記Yがメチレン基である、請求項6〜9のいずれか1項記載の抑毛剤。
【請求項11】
2-ジメチルアミノ-N-エチル-アセトアミド、ドデシルカルバモイルメチルトリメチルアンモニウムクロリド、2-ジメチルアミノ-N-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エチル)-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[8-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-オクチル]-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[2-(2-{2-[2-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-エトキシ)-エチル]-アセトアミド、2-ジメチルアミノ-N-[12-(2-ジメチルアミノ-アセチルアミノ)-ドデシル]-アセトアミド及び2-ジメチルアミノ-N-[4-(2-ジメチルアミノ-アセトアミノ)-ブチル]-アセトアミドから成る群より選択される化合物を有効成分とする、請求項1記載の抑毛剤。
【請求項12】
上記抑毛剤が毛成長抑制剤である、請求項1〜11のいずれか1項記載の抑毛剤。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項記載の抑毛剤を含有する抑毛組成物。