説明

投射型表示装置

【課題】光源ランプが破損しても破損片が排気口から装置外へ飛び出さない投射型表示装置を提供する。
【解決手段】光源ランプ7と排気口9の間の排気風路13に、複数の袋小路状のポケット14、15、16と開閉板17を設け、光源ランプ7が破裂した場合に、排気風で運ばれるガラスの破片を複数のポケット14、15、16に保持し、空気のみを排気口9から筐体1外部へ排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源ランプを用いる投射型表示装置等の電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターにおいては、その内部にある光源ランプや光学デバイスを冷却するための冷却ファンや、筐体内にこもった熱を外部に排出するための排気用の冷却ファンが設けられている。
【0003】
近年、投射型表示装置等は投影画面の明るい高輝度化が促進されている。そのため、高輝度化にともなって光源ランプの高圧化と光源ランプの定格入力電力が大きくなり、光源ランプの発熱量は大きくなっており、光源ランプや光学デバイスの冷却性能や筐体内に発生した熱の排気性能が重要課題となっている。前記光源ランプの発熱に対し外装筐体外部へ熱を移動する手段として、外装筐体の光源ランプ近傍に排気口を設けエア−の排出による冷却を必要としている。
【0004】
図1は、投射型表示装置の構成を示す平面図である。一般に投射型表示装置は、直方体形状を有する中空の外装筐体1に収容される光学ブロック部2と、電源部3と、電気回路部4と光源ランプ部5を有し、これらの部位を冷却し、筐体内にこもった熱を外部に排出する排気部6からなり、矢印のごとくエアーは流れる。
【0005】
図4は、従来の投射型表示装置における光源ランプ部5及び排気部6の冷却構造を示す。光源ランプの寿命と信頼性を確保するために、通常、バルブ冷却用ファン11により、光源ランプ部のランプバルブ12にエアーを送風し最適温度となるように冷却している。エアーはランプバルブ12を冷却後、矢印のごとく排気風路13を流れ、排気ファン8により排気口9から筐体1の外部へ排出される。
【0006】
ランプバルブ12には、高圧のガスが充填されており、ランプバルブ12が破裂した場合には、ランプバルブ12の材料の一部であるガラス片がエアーとともに排気口9から筐体1の外部へ排出される、ということがないよう、排気風路13が設けてある。
【特許文献1】特許第3419587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成や特許文献1に記載されている投射型表示装置では、光源ランプの高圧化に伴い、ランプバルブが破裂した場合には、ガラス片がエアーとともに排気口から筐体の外部へ排出される場合があるという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するもので、光源ランプが高圧化しても、ランプバルブが破裂した場合に、ガラス片がエアーとともに排気口から筐体の外部へ排出しない投射型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の投射型表示装置は、光源ランプと排気口の間に、複数の袋小路状のポケットを有する排気風路を備え、さらに、前記排気風路は、流れ方向が下流になるに従い断面積が小さくなるように風路を設けることにより、ランプバルブが破裂した場合に、ガラス片はポケットに留まり、排気口から筐体の外部へ排出しない。さらに、前記排気風路の断面積変化する開口部に、開閉可能な開閉板を配置することにより、確実にガラス片はポケットに留まり、排気口から筐体の外部へ排出しない。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明の投射型表示装置によれば、光源ランプが高圧化しても、ランプバルブが破裂した場合にガラス片がエアーとともに排気口から筐体の外部へ排出されることなく、ガラス片のみを装置内部に留まさせることにより安全な投射型表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は投射型表示装置の構成を示す平面図である。本発明の投射型表示装置の基本的な構成は従来と同じであり、光源ランプ7により放出された光は光学ブロック部2を通過し、投射レンズ10により画像を拡大投影する。光源ランプ7により発熱したエア−は、熱源がセットの内部に広がらないように、図1の矢印のごとく排気用ファン8により外装筐体1の一部を形成する排気口9から強制的に排出される。
【0013】
図2は本発明の実施の形態1における投射型表示装置の光源ランプ部5及び排気部6の冷却構造を示す。図3は排気風路13の斜視図である。光源ランプの寿命と信頼性を確保するために、バルブ冷却用ファン11により、光源ランプ7のランプバルブ12にエアーを送風し最適温度となるように冷却している。エアーはランプバルブ12を冷却後、矢印のごとく排気風路13を流れ、排気用ファン8により外装筐体1の一部を形成する排気口9から強制的に排出される。
【0014】
ランプバルブ12には、高圧のガスが充填されている。ランプバルブ12が破裂した場合に、ランプバルブ12の材料の一部であるガラス片がエアーとともに排気口9から筐体1の外部へ排出されないように、排気風路13の風路には複数の袋小路状のポケット14、15、16が形成され、それぞれのポケット側面に設けられた下流側の開口部の(エアーの流れ方向に垂直な)断面積が、上流側の開口部の断面積より小さくなるように風路が形成されている。
【0015】
エアーの流れを実線の矢印で、ガラス片の流れを破線の矢印で示す。ランプバルブ12が破裂した場合に、排気風路13に流入したエアーとガラス片のうち、エアーのみポケットの下流側の開口部より風路を流れて排気風路13を通過し、ガラス片のみポケットに留まる。
【0016】
排気風路内の上流側の第一のポケット14では、ポケット14の上流側の開口部とポケット14の側面に設けられた下流側の開口部の断面積の違いにより、ガラス片が捕集可能であり、ポケット14に捕集されなかった一部のガラス片は、ポケット14の下流側にある第二のポケット15で、同様に断面積の違いによりガラス片の捕集を可能とする。
【0017】
同様に、ポケット15の下流側にある第三のポケット16では、ポケット15に捕集されなかった一部のガラス片が、断面積の違いによりガラス片の捕集を可能とする。
【0018】
なお、ポケットはガラス片の捕集効率をあげるために、排気風路にあわせて第四、第五のポケットを設けても構わない。
【0019】
また、図2、図3に示すように、便宜ポケット側面の風路の開口部に、開閉可能な開閉板17を備えることにより、ランプバルブ12の破裂時の爆圧により風路を閉じ、ガラス片の捕集効率を高めることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかる投射型表示装置は、光源ランプが高圧化しても、ランプバルブが破裂した場合に、ガラス片がエアーとともに排気口から筐体の外部へ排出されることなく、ガラス片のみを装置内部に留まさせることにより、安全な投射型表示装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の投射型表示装置の構成を示す平面図
【図2】本発明の投射型表示装置の光源ランプ部と排気部の構成を示す断面図
【図3】本発明の投射型表示装置の排気風路の斜視図
【図4】従来の投射型表示装置の光源ランプ部と排気部の構成を示す断面図
【符号の説明】
【0022】
1 筐体
2 光学ブロック
3 電源部
4 電気回路部
5 光源ランプ部
6 排気部
7 光源ランプ
8 排気用ファン
9 排気口
10 投射レンズ部
11 バルブ冷却用ファン
12 ランプバルブ
13 排気風路
14 ポケット
15 ポケット
16 ポケット
17 開閉板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気口を有する外装筐体の、光源ランプと前記排気口の間に、複数の袋小路状のポケットを有する排気風路を備えたことを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記排気風路は、下流になるに従い、エアーの流れ方向に垂直な断面積が小さくなるように、風路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記排気風路は、前記ポケットの側面に設けられた下流側の開口部におけるエアーの流れ方向に垂直な断面積が、上流側の開口部の断面積より小さくなるように、風路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記排気風路は、風路内に開閉可能な開閉板を備えることを特徴とする請求項1乃至3に記載の投射型表示装置。
【請求項5】
前記ポケットの開口部に、開閉可能な開閉板を備えることを特徴とする請求項1乃至3に記載の投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−178771(P2007−178771A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377931(P2005−377931)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】