説明

投射型表示装置

【課題】投射型表示装置の小型化を図ること。
【解決手段】ランプ3(光源)とDMD6(反射型の光変調手段)との間の光路中に、ランプ3からの照射光をDMD6に集光させる集光レンズ系13を備え、DMD6により光変調された照射光を、投射レンズ9を介して投射面Sに映像を投射する投射型表示装置1において、ランプ3とDMD6との光路中に、ランプ3から出射された照射光をDMD6に導くための反射面が平面である第2反射鏡15(反射面部)を備え、集光レンズ系13を構成する少なくとも1枚の集光レンズ13Aを、第2反射鏡15に入射する照射光とこの第2反射鏡15で反射した照射光とが透過する位置に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シリコン基板上に数μm角程度の微小ミラーを多数並べ、この微小ミラーの傾きを、静電引力を利用して変えることにより、ランプからの照射光をスクリーン方向に反射させるかどうかを制御する光変調素子である、いわゆるDMD(Digital Micromirror Device:米テキサスインスツルメンツ社の登録商標)を用いた投射型表示装置が知られている。この投射型表示装置は、ランプから出射される照射光を、パソコン等から出力される画像信号に基づいて駆動されるDMDによって光変調し、この光変調された照射光を、投射レンズを介して投射面に映像として投射するもので、その構成は、概ね次のようになっている。
【0003】
投射レンズの光軸の延長線上にDMDが配設されている。また、投射レンズの光軸に対して交差する方向には、ランプが配設されている。すなわち、投射レンズとランプとは、互いに光軸が交差するように配設され、DMDは、投射レンズの光軸の延長線上に配設されている。ランプの光軸の延長線上には、ランプから出射された照射光をDMDに導く反射鏡が配設され、DMDで反射されたランプからの照射光が投射レンズに入射するようになっている。
【0004】
また、ランプと反射鏡との間には、ロッドインテグレータが配設され、ランプから出射された照射光は、このロッドインテグレータを通過することで照度分布の均一化が図られた状態でロッドインテグレータから出射する。さらに、このロッドインテグレータとDMDとの間には、ロッドインテグレータの出射側の開口部とDMDの光変調面とを光学的に共役とするためのレンズ系が配設されている。したがって、DMDの光変調面には、ロッドインテグレータの出射側の開口部における照度分布の均一化が図られた光像が形成されることになる。ロッドインテグレータからは発散状態で照射光が出射するため、DMDの光変調面にロッドインテグレータの出射側の開口部の光像を形成するためには、上記のレンズ系を集光レンズ系とする必要がある。
【0005】
特許文献1には、集光レンズ系として、ランプから出射された照射光をDMDに導く反射鏡の前後に複数のレンズを配設し、これらのレンズにより、ロッドインテグレータから出射した照射光を、DMDの光変調面に集光させる技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−58659号公報(図2等を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、ロッドインテグレータから出射した照射光を、各種の光学収差を補正しながらDMDの光変調面に集光させるため、集光レンズ系を複数のレンズから構成することが余儀なくされる。そのため、特許文献1の技術は、これらの複数のレンズを収容するために、大きなスペースを確保する必要があり、投射型表示装置の小型化の妨げになるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、小型化が図られた投射型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の投射型表示装置は、光源と、この光源から出射された照射光を画像信号に基づいて光変調する反射型の光変調手段と、光源と光変調手段との間の光路中に配設され、光源から出射された照射光を光変調手段に集光させる集光レンズ系とを備え、光変調手段により光変調された照射光を、投射レンズを介して投射面に映像を投射する投射型表示装置において、光源と光変調手段との間の光路中に配設され、光源から出射された照射光を反射して光変調手段に導くための反射面が平面の反射面部を備え、集光レンズ系を構成する少なくとも1枚の集光レンズは、反射面部に入射する照射光と反射面部で反射した照射光とが透過する位置に配設されていることとする。
【0010】
投射型表示装置をこのように構成した場合には、同じ集光レンズを照射光が2回透過することになり、同じ集光レンズで大きな集光作用を得ることができる。そのため、集光レンズ系の光路長を短くすることができ、その結果、投射型表示装置の小型化を図ることができる。
【0011】
また、他の発明は、上記発明に加えて、集光レンズは、光源から出射された照射光が入射するレンズ面と反対側のレンズ面を平面とし、この平面に反射面部が形成されていることとする。
【0012】
投射型表示装置をこのように構成した場合には、反射面部がレンズに形成されているので、部品点数を削減することができる。
【0013】
また、他の発明は、上記発明に加えて、反射面部に入射すると共にこの反射面部で反射する照射光が透過するレンズは、照射光の進行方向において、集光レンズ系の中で最も光変調手段の側に位置する1枚のレンズであることとする。
【0014】
投射型表示装置をこのように構成した場合には、光変調手段と反射面部との間に配設するレンズが1枚だけであるので、光変調手段と反射面部との間隔を狭くすることができ、投射型表示装置の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、投射型表示装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る投射型表示装置1について、図1から図3を参照しながら説明する。図1および図2は、投射型表示装置1に備えられる光学系2の概略の構成を示す図である。図1は、投射型表示装置1を上方から見た平面図であり、図2は、投射型表示装置1を左方から見た側面図である。図3は、図1に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【0017】
光学系2は、光源としてのランプ3、カラーホイール(以下、CWと記載する)4、照明光学系5、光変調手段としてDMD6、および投射レンズ鏡筒7等を備えている。そして、光学系2が、図中点線にて表わす外装筐体8内に収容されることで、投射型表示装置1として構成されている。なお、投射レンズ鏡筒7の内部には、点線にて構成を省略して示す投射レンズ9が備えられている。
【0018】
なお、以下の説明において、ランプ3から投射レンズ9に向かう照射光の光路に沿って、投射レンズ9に向かう方向を前方(前側)、ランプ3の方向を後方(後側)とする。また、図1において、紙面の表面側を投射型表示装置1の上方(上側)、裏面側を下方(下側)とし、照射光の進行方向に向かって光軸と上下方向とに直交する方向を左右方向(幅方向)として説明をする。
【0019】
ランプ3は、超高圧水銀ランプ、あるいはメタルハライドランプ等から構成され、白色の光を出射する。このランプ3は楕円反射鏡10を有し、ランプ3の輝点、つまりフィラメント部あるいは放電部が、楕円反射鏡10の第一焦点位置に配置される。したがって、ランプ3の輝点から出射された照射光は、楕円反射鏡10の第二焦点に集光する。
【0020】
ランプ3と照射光が集光する位置との間には、CW4が配設される。このCW4は円板状に形成され、例えば、緑色光を透過するフィルタ部と、赤色を透過するフィルタ部と、青色を透過するフィルタ部とが、円の中心に対して扇形に3分割されて構成されている。そして、CW4がモータ11により回転すると、各フィルタが照射光の光路内に順次入れ替わり、ランプ3の照射光が、時分割で各フィルタの透過色により変調されることになる。
【0021】
CW4の照射光の出射側には、照明光学系5を構成するロッドインテグレータ12、集光レンズ系13、および反射面部としての第1反射鏡14と第2反射鏡15が配設されている。
【0022】
ロッドインテグレータ12は、その入射側の開口部12Aを、楕円反射鏡10の第二焦点位置、つまり、ランプ3から出射された照射光が集光する位置に一致させて配設されている。そのため、楕円反射鏡10により反射された照射光は、CW4で反射されたり吸収されるロス分を除き、全てロッドインテグレータ12内に入射する。ロッドインテグレータ12に入射した照射光は、内部の反射面で複数回の反射を繰り返すことにより照度分布が均一な照射光としてロッドインテグレータ12の出射側の開口部12Bから出射する。ロッドインテグレータ12から出射した照射光は、集光レンズ系13、第1反射鏡14および第2反射鏡15を通ってDMD6に入射する。
【0023】
集光レンズ系13、第1反射鏡14および第2反射鏡15は、ロッドインテグレータ12の開口部12BとDMD6の光変調面16とを光学的に共役な関係にするように、互いに構成されている。したがって、DMD6の光変調面には開口部12Bにおける光像が結像される。
【0024】
DMD6は、不図示の制御回路からの画像信号に基づいて駆動制御され、ランプ3から出射された照射光を、画像信号に基づいて、投射レンズ9に向けて反射する反射光(いわゆるオン光)と、投射レンズ9に入射しない位置に反射させる光(いわゆるオフ光)に分ける。
【0025】
投射レンズ9は、DMD6の反射面と投射面であるスクリーンSとを光学的に共役な関係にする役目を果たしている。そのため、スクリーンSには、DMD6のオン光よる映像が拡大投射され、投射像として結像することになる。
【0026】
DMD6には、CW4により変調された緑色光、赤色光および青色光の照射光が時分割で入射する。したがって、スクリーンSには、色光毎の投射像が時分割で投射されることになる。CW4は、回転モータ11により毎分数千回転から毎分1万回転を超える高速で回転させられるため、スクリーンS上に投射される各色光の投射像もCW4の回転速度に対応して非常に高速で切り換わる。したがって、スクリーンSに投射される投射像を観る人間の目には、目の残像効果により、各色光の投射像が合成された色調の画像として観察されることになる。一方、オフ光については、本実施の形態においては、DMD6から投射レンズ鏡筒7に向かって右上側の方向に反射されるように構成されている。
【0027】
DMD6の光変調面16の外周の輪郭形状は、スクリーンSの形状と相似形になっている。ここでは、スクリーンSは、一般的な縦・横の長さ比が3:4のスクリーンとし、光変調面16の形状も、縦・横の長さの比が3:4の矩形になっている。このように、DMD6の光変調面16の形状を、スクリーンSの形状と相似形にすることにより、スクリーンSに投射される投射像が、スクリーンSからはみ出したり、あるいは、投射像の周囲に、スクリーンSの縦方向あるいは横方向の一方のみ余白が形成されてしまうこと等なく、スクリーンSの投射面を効率良く使って投射されることになる。
【0028】
また、ロッドインテグレータ12の内部の照射光が通過する部分の光軸に対して直交する面における断面の形状も、DMD6の光変調面16の形状に合わせて縦・横の長さの比が3:4の矩形に形成されている。したがって、ロッドインテグレータ12の開口部12Bの形状も、縦・横の長さ比が3:4の矩形に形成されている。そのため、ロッドインテグレータ12から出射する照射光の光束の断面の形状は、縦・横比が3:4の矩形になっている。
【0029】
第1反射鏡14、第2反射鏡15およびレンズ13Aについても、それぞれ、光軸方向から見て、全体として縦・横の長さの比が3:4の矩形を呈している。したがって、ロッドインテグレータ12から出射した照射光は、第1反射鏡14と第2反射鏡15の反射面を効率よく使って反射される。また、レンズ13Aを透過する際にも、有効透過領域を効率よく使って透過する。すなわち、ロッドインテグレータ12から出射した照射光は、効率よくDMD6の光変調面を照明することができる。
【0030】
集光レンズ系13は、前方から後方に向かって順にレンズ13A,13B,13Cの3枚の凸レンズから構成されている。集光レンズ系13のうち後方側の2枚のレンズ13B,13Cは、投射レンズ9とDMD6の光軸に対して右側、すなわちランプ3側に配設され、ロッドインテグレータ12から出射した照射光は、先ず、レンズ13C,13Bに入射する。
【0031】
そして、レンズ13C,13Bを透過した照射光は、レンズ13C,13Bに対して投射レンズ9の光軸を挟んで配設される第1反射鏡14に入射する。第1反射鏡14は、レンズ13C,13Bからの照射光を、投射レンズ9の光軸に対して左下側に配置される第2反射鏡15に向けて反射する。そして、第2反射鏡15は、第1反射鏡14からの照射光を、DMD6に向けて反射する。
【0032】
第1反射鏡14と第2反射鏡15は、それぞれ、反射面が平面である平面ミラーとして構成され、投射レンズ9とDMD6の光軸に対して交差する方向にあるランプ3の照射光を、第1反射鏡14および第2反射鏡15において屈曲することによりDMD6の光変調面16に導く役目を果たしている。
【0033】
なお、第1反射鏡14、第2反射鏡15およびレンズ13Aは上述したように、断面形状の縦・横の長さの比が3:4の矩形をした照射光に合わせて、縦・横の長さの比が3:4の矩形になっている。すなわち、照射光を全て反射し、また透過できる最小の大きさとなっている。
【0034】
第1反射鏡14、第2反射鏡15およびレンズ13Aは、投射レンズ鏡筒7とDMD6との間の限られた領域に配設する必要がある。したがって、第1反射鏡14、第2反射鏡15およびレンズ13Aを照射光の光束の大きさに対して最小の大きさに形成することにより、照明光学系5の小型化を図ることができる。ひいては投射型表示装置1の小型化をも図ることができる。
【0035】
ところで、第2反射鏡15の前面側には、集光レンズ系13の中で最も前方に位置するレンズ13Aが配設されている。すなわち、第2反射鏡15とDMD6の間には、集光レンズ系13の光軸に沿って配設されるレンズの中で最もDMD6側に位置するレンズ13Aが配設されている。このレンズ13Aは、レンズ面のうち一方の面が凸面であり他方の面が平面である平凸レンズであり、平面のレンズ面13Ahを第2反射鏡15の側に向けて配設されている。そして、図3に示すように、レンズ13Aと第2反射鏡15とは、レンズ面13Ahと第2反射鏡15の反射面15Mとの間に間隔を開けるようにして配設されている。このため、レンズ面13Ahと反射面15Mとの間には、空気層17が形成されている。
【0036】
また、レンズ13Aは、第1反射鏡14で反射され第2反射鏡15に入射する照射光と、この照射光が第2反射鏡15でDMD6に向けて反射される照射光とが透過する位置に配設されている。したがって、照射光は、第2反射鏡15で反射される前後において、レンズ13Aを透過することになる。すなわち、照射光は、第1反射鏡14から第2反射鏡15に入射する際と、第2反射鏡15でDMD6に向けて反射された後の計2回、レンズ13Aによる集光作用を受けることになる。このように、1枚のレンズ13Aで2回の集光作用を行うことができるので、集光レンズ系13の光路長を短くできる。その結果、投射型表示装置1の小型化を図ることができる。また、1枚のレンズで2枚分のレンズの作用を果たすこともできるので、集光レンズ系13を構成するレンズ枚数を減らすことができる。
【0037】
投射型表示装置1は、照射光のDMD6への反射と集光を、上述のように、レンズ13Aと第2反射鏡15の2部材を利用して行なっている。そのため、レンズ13Aと第2反射鏡15との配設間隔を変えることにより、レンズ面13Ahと反射面15Mとの間の間隔、すなわち空気層17の間隔を簡単に変えることができる。また、照射光のレンズ13Aに対する入・出射角と第2反射鏡15の反射面15Mに対する入・反射角を、それぞれ独立に設定することができる。すなわち、レンズ13Aと第2反射鏡15は、互いに独立している部材であるため、これらの配設間隔を変えたり、あるいはレンズ13Aと第2反射鏡15毎に照射光に対する入・出射角および入・反射角を変えることができる。このため、集光レンズ系13の光学設計の自由度が高く、照明光学系5の特性やレイアウト等に最適な集光レンズ系13を構成することができる。
【0038】
ところで、第2反射鏡15とレンズ13Aの換わりに、凹面鏡を採用した構成とすることもできる。しかしながら、この構成による場合は、凹面鏡1部材により、反射と集光の機能を達成することになる。そのため、凹面鏡に高い面精度が要求されるとともに、凹面鏡の投射型表示装置1への取り付けにも高い位置精度が要求される。したがって、投射型表示装置1の組み立て精度を出し難くなる。これに対し、凹面鏡と同様な機能を、第2反射鏡15とレンズ13Aの2部材により達成することによって、凹面鏡に要求される面精度や、投射型表示装置1への取り付け位置精度を、第2反射鏡15とレンズ13Aとに分散することができる。このため、投射型表示装置1の組み立て精度が出し易くなる。なお、凹面鏡を採用するのに比べて、第2反射鏡15とレンズ13Aを用いた方が、生産性が向上する等の点で、コストが低減される。
【0039】
レンズ13Aと第2反射鏡15との間には、スペーサ18(図2、図3参照)が備えられ、このスペーサ18により、レンズ13Aのレンズ面13Ahと第2反射鏡15との間の空気層17となる間隔が形成されている。このスペーサ18は、枠状を呈し、枠の内側を照明光が通過することができるようになっている。具体的には、レンズ13Aと第2反射鏡15の形状に合わせ矩形の枠体を呈し、枠部がレンズ13Aの照射光が透過する透過領域外に位置する形状になっている。スペーサ18の前後方向、すなわち光軸方向の厚さが変更されたものに入れ替えることにより、空気層17の間隔を適宜に設定することができる。
【0040】
なお、スペーサ18は、枠体を呈することなく、レンズ面13Ahの周縁と第2反射鏡15の反射面15Mとの間の数箇所(3箇所以上)に、レンズ13Aを反射面15Mに対して部分的に支持する支持体を備え、これらの支持体により、反射面15Mとレンズ面13Ahとの間に間隔を形成するようにしてもよい。この支持体は、例えば、第2反射鏡15の反射面15Mからレンズ13A側に突出するボス状の部材として形成することができる。
【0041】
第2反射鏡15とDMD6および第1反射鏡14との間には、レンズ13Aに加えて、さらに1枚あるいは複数枚のレンズを配設することもできる。しかしながら、第2反射鏡15とDMD6(第1反射鏡14)の間に配設するレンズを、集光レンズ系13の中で一番前方にあるレンズ13Aのみとすることにより、第2反射鏡15とDMD6との間の間隔、および第2反射鏡15と第1反射鏡との間の間隔を狭くすることができる。つまり、DMD6、第1反射鏡14、第2反射鏡15および投射レンズ鏡筒7とに囲まれた領域を小さくすることができ、光学系2の小型化を図ることができる。ひいては、投射型表示装置1の小型化を図ることができる。なお、レンズ13Aは、2つのレンズ面が凸面である両凸レンズとしてもよい。
【0042】
(変形例1)
次に、図4に上記の実施の形態の変形として変形例1を示す。上述した実施の形態の投射型表示装置1においては、レンズ13Aのレンズ面13Ahと第2反射鏡15の反射面15Mとの間には、空気層17が形成されている。これに対し、図4に示すように、第2反射鏡15の反射面15Mをレンズ13Aのレンズ面13Ahに接触させ、第2反射鏡15の反射面15Mとレンズ面13Ahとの間に空気層が形成されないようにしてもよい。このように、第2反射鏡15とレンズ13Aを接触させることにより、レンズ13Aと第2反射鏡15の光軸方向の配設スペースを小さくすることができ、集光レンズ系13の光路長をさらに短くすることができる。すなわち、投射型表示装置1の一層の小型化を図ることができる。また、上記のように、レンズ面13Ahを反射面15Mに接触させた場合には、レンズ13Aを、実際のレンズ厚に対して2倍のレンズ厚のレンズとみなすことができる。したがって、集光レンズ系13の光路長を短くすることができる。その結果、投射型表示装置1の小型化を図ることができる。
【0043】
(変形例2)
図5に変形例2を示す。この変形例2は、レンズ13Aの平面のレンズ面13Ahにアルミニウム等を蒸着する等により、レンズ面13Ahに直接、反射面部となる反射面19を形成したものである。このように、レンズ面13Ahに反射面19を形成することにより、第2反射鏡15の使用が不要になるので、部品点数を削減することができ、集光レンズ系13の一層の小型化を図ることができる。すなわち、投射型表示装置1の小型化を図ることができる。レンズ面13Ahに反射面19を形成した場合にも、上述の変形例1と同様に、レンズ13Aを、実際のレンズ厚に対して2倍のレンズ厚のレンズとみなすことができる。したがって、集光レンズ系13の光路長を短くすることができる。その結果、投射型表示装置1の小型化を図ることができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
図6に本発明の第2の実施の形態に係る投射型表示装置1Aを示す。この図6に示す投射型表示装置1Aにおいては、上述の実施の形態における投射型表示装置1と同様の機能を果たす部材等には同一の符号を付しその説明を省略する。上述の実施の形態における投射型表示装置1においては、第2反射鏡15の前面側にレンズ13Aを配設した。これに対し、投射型表示装置1Aは、レンズ13Aを第1反射鏡14の前面側に配置したものである。すなわち、レンズ13Aを、レンズ13C,13Bから第1反射鏡14に入射する照射光と、この照射光が第1反射鏡14で第2反射鏡15に向けて反射される照射光とが透過する位置に配設するように照明光学系5を構成したものである。なお、レンズ13Aと第1反射鏡14との間には、スペーサ18が備えられ、レンズ13Aと第1反射鏡14との間には空気層17が形成されている。
【0045】
(第3の実施の形態)
図7に本発明の第3の実施の形態に係る投射型表示装置1Bを示す。この図7に示す投射型表示装置1Bにおいても、上述の実施の形態における投射型表示装置1と同様の機能を果たす部材等には同一の符号を付しその説明を省略する。投射型表示装置1Bは、第1反射鏡14にレンズ20を、第2反射鏡15にレンズ13Aを配設したものである。レンズ20は、第1反射鏡14の側に平面を向けて配設される平凸レンズである。レンズ20と第1反射鏡14との間には、スペーサ18と同様のスペーサ21が配設され、レンズ20の平面側のレンズ面と第1反射鏡14の反射面との間には空気層17が形成されている。このように、第1反射鏡14と第2反射鏡15にそれぞれ凸レンズであるレンズ20およびレンズ13Aを配設する構成にした場合には、照射光は、各レンズ20,13Aをそれぞれ2回、透過することになる。
【0046】
したがって、2枚のレンズ20,13Aで実質4枚のレンズと同等の集光作用を果たすことができ、この投射型表示装置1Bでは、上述した第1,第2実施の形態および各変形例において、ロッドインテグレータ12の前方に配設されていたレンズ13B,13Cを配設しない構成としている。そのため、集光レンズ系13の枚数を大幅に削減でき集光レンズ系13の長さを短くすることができる。
【0047】
また、レンズ13B,13Cを配設しない構成とすることで、ランプ3、CW4、モータ11およびロッドインテグレータ12を、投射レンズ9とDMD6の光軸側に大きく近づけて配設することができ、投射型表示装置1の一層の小型化を図ることができる。
【0048】
上述の各実施の形態および各変形例において、DMD6の代わりに光変調手段として、反射型の液晶表示素子を用いてもよい。また、集光レンズ系13を構成するレンズの枚数については、ロッドインテグレータ12からDMD6までの光路長や、使用するレンズの特性に応じて適宜決定されるものであり、各実施の形態等に示す使用枚数に限定されない。また、上述の変形例1,2は、第2の実施の形態にかかる投射型表示装置1Aおよび第3の実施の形態に係る投射型表示装置1Bにも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る投射型表示装置に備えられる光学系の概略の構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す光学系の概略の構成を示す側面図である。
【図3】図1に示す切断線A−Aにおける断面図である。
【図4】図1に示す投射型表示装置におけるレンズと第2反射鏡の部分の構成を変形した変形例1を示す図である。
【図5】図1に示す投射型表示装置におけるレンズと第2反射鏡の部分の構成を変形した変形例2を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る投射型表示装置に備えられる光学系の概略の構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る投射型表示装置に備えられる光学系の概略の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1,1A,1B … 投射型表示装置
3 … ランプ(光源)
6 … DMD(光変調手段)
9 … 投射レンズ
13 … 集光レンズ系
13A,20 … 集光レンズ
14 … 第1反射鏡(反射面部)
15 … 第2反射鏡(反射面部)
17 … 空気層
19 … 反射面(反射面部)
S … スクリーン(投射面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
この光源から出射された照射光を画像信号に基づいて光変調する反射型の光変調手段と、
上記光源と上記光変調手段との間の光路中に配設され、上記光源から出射された上記照射光を上記光変調手段に集光させる集光レンズ系とを備え、
上記光変調手段により光変調された上記照射光を、投射レンズを介して投射面に映像を投射する投射型表示装置において、
上記光源と上記光変調手段との間の光路中に配設され、上記光源から出射された上記照射光を反射して上記光変調手段に導くための反射面が平面の反射面部を備え、
上記集光レンズ系を構成する少なくとも1枚の集光レンズは、上記反射面部に入射する上記照射光と上記反射面部で反射した上記照射光とが透過する位置に配設されていることを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記集光レンズは、前記光源から出射された前記照射光が入射するレンズ面と反対側のレンズ面を平面とし、この平面に前記反射面部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記反射面部に入射すると共にこの反射面部で反射する前記照射光が透過する前記集光レンズは、前記照射光の進行方向において、前記集光レンズ系の中で最も前記光変調手段の側に位置する1枚のレンズであることを特徴とする請求項1または2に記載の投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−15043(P2008−15043A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183788(P2006−183788)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(397077298)チノンテック株式会社 (64)
【Fターム(参考)】