説明

投射表示装置

【課題】小型化が図られた投射表示装置を提供すること。
【解決手段】投射表示装置1は、光源保持体としての光源ユニット2と、照明光学系3と、光変調手段としての表示パネル4と、投射光学系5とを有し、光源ユニット2、照明光学系3、表示パネル4および投射光学系5が、光学部品保持筐体としての保持筐体8に保持され、光源ユニット2は、保持筐体8の光源保持部32に対して接着剤により固定されていることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投射表示装置は、照明光学系や偏光板等の光学部品が保持される筐体に対して、光源および投射光学系を保持する投射レンズ鏡筒が取り付けられる構成となってる。また、近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)と言った各種の携帯機器や携帯端末に投射表示装置を組み込むことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−233293号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、携帯電話やPDAは、一般に手のひらに収まる大きさの装置である。そのため、この限られた大きさの装置内に投射表示装置を組み込むために、投射表示装置に対する小型化が強く要求されている。
【0005】
そこで、本発明は、小型化が図られた投射表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、光源を保持する光源保持体と、照明光学系と、光変調手段と、投射光学系とを有し、光源保持体、照明光学系、光変調手段および投射光学系が光学部品保持筐体に保持される投射表示装置において、光源保持体は、光学部品保持筐体の光源保持部に対して接着剤により固定されていることとする。
【0007】
上記投射表示装置は、光源保持体と光源保持部とが、光源保持部に光源保持体が保持された状態で、光源保持体と光源保持部との間にクリアランスを有するように構成され、光源保持体は、光源保持部に対してクリアランスを有した状態で接着剤により固定されていることが好ましい。
【0008】
上記投射表示装置は、光源保持部が、照明光学系の光軸を挟んだ両側に光源保持体に対して対向する壁部を有し、壁部には、光源保持体に対向する位置に壁部を内側から外側に貫通する貫通部が形成され、貫通部には接着剤として光硬化樹脂が注入されることが好ましい。
【0009】
上記投射表示装置は、貫通部が、壁部の縁部に開口部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、投射表示装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、携帯電話に本発明の実施の形態に係る投射表示装置を組み込んだ状態を示す正面図である。
【図2】図2は、携帯電話に本発明の実施の形態に係る投射表示装置を組み込んだ状態を示す右側面図である。
【図3】図3は、携帯電話に本発明の実施の形態に係る投射表示装置を組み込んだ状態を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る投射表示装置を外装筐体に組み込み単体として用いる場合を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る投射表示装置を前方斜め上方から見た斜視図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る投射表示装置の平面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る投射表示装置の正面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る投射表示装置の底面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態に係る投射表示装置を左側から見た側面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態に係る投射表示装置の内部構成を、斜め上方から見た内部構成斜視図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る投射表示装置の構成を示す図であり、図7における切断線A−Aにおける断面図である。
【図12】図12は、保持筐体の平面図である。
【図13】図13は、図11に示す光源ユニットの拡大図である。
【図14】図14は、ステージを用いて光源ユニットを保持筐体に取り付ける際の構成を示す図である。
【図15】図15は、図12における切断線B−Bにおける断面図である。
【図16】図16は、投射光学系の分解斜視図である。
【図17】図17は、投射光学系を構成するレンズの構成を示す図である。
【図18】図18は、投射光学系を前方斜め上方から見た投射光学系の斜視図である。
【図19】図19は、焦点調節機構の構成を説明するための図であり、投射表示装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態)
(投射表示装置1の全体構成)
以下に、本発明の実施の形態に係る投射表示装置1について、図1から図19を参照しながら説明する。投射表示装置1は、例えば、図1から図3に示すように、携帯電話Tに組み込んだ状態で使用することができる。図1から図3は、投射表示装置1を携帯電話Tに組み込んだ状態を示す図である。図1は、携帯電話Tの正面図であり、図2は、携帯電話Tの右側面図である。また、図3は、携帯電話Tの平面図である。
【0013】
図1から図3に示すように、投射表示装置1が、携帯電話Tに組み込まれた場合には、携帯電話Tの筐体TAは、投射表示装置1を収容する外装筐体として機能する。投射表示装置1は、携帯電話やPDA等の投射表示機能以外の機能を有する装置に組み込まれて使用できる他、図4に示すように、投射表示装置P単体としても用いることができる。投射表示装置P単体として用いる場合には、投射表示装置1は、外装筐体PAに収容された状態で使用されることになる。
【0014】
図5は、投射表示装置1の外観の斜視図であり、携帯電話Tに組み込まれた状態を示している。図6は、投射表示装置1の平面図を示し、図7は、投射表示装置1の正面図を示し、図8は、投射表示装置1の底面図を示し、そして、図9は、投射表示装置1を左から見た左側面図を示している。図10および図11は、投射表示装置1の内部の概略の構成を示す図であり、図10は、投射表示装置1を斜め上方から見たとき斜視図である。また、図11は、図7に示す切断線A−Aにおける投射表示装置1の断面図を示す。
【0015】
図10および図11に示すように、投射表示装置1は、光源保持体としての光源ユニット2と、照明光学系3と、光変調手段としての反射型液晶表示パネル(以下、単に、表示パネルと記載する)4と、投射光学系5等と言ったいわゆる光学部品6と、焦点調節機構7と、光学部品保持筐体としての筐体(以下、単に、保持筐体と記載する)8等とを有する。光源ユニット2、照明光学系3、表示パネル4、投射光学系5および焦点調節機構7は、保持筐体8に保持されている。照明光学系3と投射光学系5とは、照明光学系3の光軸(以下、照明光軸と言う。)L1と投射光学系の光軸(以下、投射光軸と言う。)L2とが互いに直交するように配置されている。
【0016】
なお、以下の説明において、光源ユニット2から照射された照明光の進行方向を前方(前側)とし、その反対側を後方(後側)として説明する。したがって、照明光軸L1における前方と投射光軸L2における前方とは、互いに直交する方向となる。そして、照明光の進行方向に沿って後方から前方を見たときの右手側を右方(右側)、左手側を左方(左側)として説明する。また、照明光軸L1と投射光軸L2を含む仮想の平面を光軸面LS(図7参照)とし、この光軸面LSに直交する方向を上下方向として説明を行う。なお、図11は、投射表示装置1の光軸面LSにおける断面図を示している。
【0017】
光源ユニット2から照射された照明光は、照明光学系3を透過し表示パネル4に入射する。照明光学系3は、表示パネル4に対してテレセントリックな照明光を入射させることができるように構成されている。また、光源ユニット2から照射された照明光は、ワイヤーグリッド偏光分離素子9および光学補償板10を介することで、所定の偏光状態に偏光され表示パネル4に入射する。
【0018】
表示パネル4は、図示を省略する制御部により、画像データに基づいて駆動され、表示パネル4に入射した光に対して画像データに対応した光変調を行う。そして、表示パネル4からは、画像データに対応した画像を構成する光が出射される。なお、表示パネル4のアスペクト比(以下、パネルアスペクト比と記載する。)は、投射面(例えば、スクリーン面)の形状や扱う画像データの内容、あるいは投射表示装置1の用途等に応じたものが用いられる。具体的には、例えば、いわゆるスタンダードサイズの4:3あるいはワイドサイズの16:9等のパネルアスペクト比のものを使用することができる。
【0019】
表示パネル4から出射された光は、光学補償板10を透過した後、ワイヤーグリッド偏光分離素子9で投射光学系5に向けて反射される。そして、投射光学系5により、図示を省略する投射面に投射される。つまり、表示パネル4上に形成された画像は、投射光学系5により投射面に拡大投射される。
【0020】
投射光学系5は、焦点調節機構7により、投射光軸L2に沿って前後方向に移動可能に構成されている。したがって、投射光学系5から投射面(図示省略)までの投射距離に応じて、投射光学系5の前後方向の位置を焦点調節機構7により調整することで、投射面に投射される投射画像のピントを合わせることができる。
【0021】
(保持筐体8の構成)
次に、図12を参照しながら、保持筐体8の構成について説明する。図12は、保持筐体8から光源ユニット2、照明光学系3、表示パネル4、投射光学系5等の光学部品6および焦点調節機構7を取り除いた状態の保持筐体8の平面図を示している。保持筐体8は、照明光学系3を保持する照明光学系保持部8Aと投射光学系5を保持する投射光学系保持部8Bとを有する。照明光学系保持部8Aと投射光学系保持部8Bとは、照明光学系3と投射光学系5の配置に合わせて配置されている。したがって、保持筐体8は、平面視においてL字型を呈している。
【0022】
保持筐体8は、底板11、側板12L,12Rおよび前板13等から構成される。そして、保持筐体8の上部には、蓋部15(図5から図7、および図9参照)が装着される。側板12L,12Rは、底板11の左右の両端に、上方に向けて底板11に対して直角に立設されている。側板12L,12Rは、照明光学系保持部8Aと投射光学系保持部8Bにそれぞれ設けられている。前板13は、投射光学系保持部8Bの前端部に、上方に向けて底板11に対して直角に立設されている。前板13には、投射光学系5から出射した光が通過する開口部16(図5、図8参照)が形成されている。
【0023】
保持筐体8は、ポリカーボネイト等の樹脂材により形成され、照明光学系保持部8Aから投射光学系保持部8Bに亘って一体の構造となるように、成型加工等によって一体成型されている。保持筐体8には、底板11と側板12R,12Lによって3方を囲まれる空間17が形成され、空間17の上方には開口部18が形成されている。また、保持筐体8の照明光学系保持部8Aの後端部には、開口部19が形成されている。空間17は、照明光学系保持部8Aから投射光学系保持部8Bに連通し、空間17には、照明光学系3や投射光学系5等の光学部品6が配置される。開口部18から照明光学系3や投射光学系5等を空間17に収容した後、保持筐体8に上方から蓋部15を装着することで開口部18が塞がれる。
【0024】
蓋部15も、ポリカーボネイト等の樹脂材により形成され、成型加工等において形成することができる。蓋部15の外周の3ヵ所には、下方に向かって突出するフック部20,20,20が設けられている(図5から図9参照)。また、保持筐体8の側板12R、12Lの外側の面には、フック部20,20,20を掛け止めることができる突起21,21,21が設けられている(図5から図9、図10から図12参照)。したがって、蓋部15は、フック部20,20,20を突起21,21,21に掛け止めることで、保持筐体8に対して固定される。
【0025】
(光源ユニット2の構成)
続いて、図13を参照しながら光源ユニット2の構成について説明する。図13は、図11に示される光源ユニット2の部分の拡大図を示し、図中、矢印X方向が光の出射方向となる前方として示されている。
【0026】
光源ユニット2は、光源収容筐体22と、ライトパイプ23と、平板状の反射偏光子24等を有する。光源収容筐体22は、前後方向に扁平した直方体の外形を呈し、内部に直方体を呈する空間25が形成されている。図13に示すように、空間25には、光源として、3つの発光ダイオード、LED26Rと、LED26Gと、LED26Bとが収容されている。LED26Rは、赤色光を放出し、LED26Gは、緑色光を放出する。そして、LED26Bは、青色光を放出する。LED26Rの光出射面には、赤色光を透過し他の色光を反射する特性のダイクロイックコート26RDが施されている。また、LED26Gの光出射面には、緑色光を透過し他の色光を反射する特性のダイクロイックコート26GDが施されている。さらに、LED26Bの光出射面には、青色光を透過し他の色光を反射する特性のダイクロイックコート26BDが施されている。
【0027】
直方体の外形を呈する光源収容筐体22の6面のうち、1つの面には、空間25の開口部となる開口部27が形成されている。この開口部27は、光源収容筐体26の扁平方向に位置する面に形成されている。空間25の内面は、例えば、アルミ蒸着等が施され光反射面28として構成されている。つまり、空間25の内面は、開口部27となる部分を除く5つの面が光反射面28となっている。LED26Rは、空間25の開口部27に対向する面である底面28Aに配置されている。また、底面28Aを挟んで互いに左右方向で対向する一対の面のうち一方の側面28Bには、LED26Gが配置され、他方の側面28Cには、LED26Bが配置されている。各LED26R,26G,26Bから放出された光は、一部は直接に開口部27に向かい、他の光は、光反射面28で反射を繰り返した後、開口部27に向かう。
【0028】
開口部27には、開口部27を塞ぐように反射偏光子24が配置されている。つまり、LED26R,26G,26Bから出射し、空間25内から開口部27を通過してライトパイプ23に出射する光は、反射偏光子24を透過する。反射偏光子24は、一方の偏光状態(例えば、P偏光状態)の光を透過し、他方の偏光状態(例えば、S偏光状態)の光を透過しない機能を有する偏光子である。したがって、各LED26R,26G,26Bから放出され開口部27からライトパイプ23に出射する光は、P偏光状態の光として出射する。なお、反射偏光子24としては、例えば、3M社製のDBEF(登録商標)を用いることができる。
【0029】
開口部27に反射偏光子24を備えることにより、開口部27に至る光のうち、P偏光状態の光については、反射偏光子24を透過し、S偏光状態の光については、空間25内に向けて反射される。反射偏光子24から空間25に向けて反射されたS偏光状態の光は、光反射面28で反射を繰り返す間に偏光状態が変化する。つまり、反射偏光子24から空間25に向けて反射され、光反射面28で反射を繰り返す間に、S偏光状態からP偏光状態に、または両方の偏光状態が混合した光に変化する。したがって、反射偏光子24で空間25に向けて反射され、光反射面28で反射を繰り返した後、再び、開口部27に向かう光のうち、P偏光状態の光については反射偏光子24を透過する。一方、光反射面28で反射を繰り返した後もなおS偏光状態のままの光については、さらに再び空間25内に向けて反射される。このように、反射偏光子24で反射されたS偏光状態の光を空間25に向けて反射し、光反射面28で反射を繰り返し偏光状態を変化させることで、反射偏光子24からより多くの光量のP偏光状態の光を出射させることができる。
【0030】
また、各LEDの光出射面には、上述の所定のダイクロイックコートが施されている。そのため、例えば、LED26Gからダイクロイックコート26GDを透過して出射した光は、LED26R、LED26Bに吸収されることなくダイクロイックコート26RDおよびダイクロイックコート26BDで反射され、直接、あるいは光反射面28で反射されて反射偏光子24からライトパイプ23側に出射する。また、LED26R、LED26Bから出射した光についても、他のLEDに吸収されることなく他のLEDの光出射面に施されているダイクロイックコートで反射され、直接、あるいは光反射面28で反射されて反射偏光子24からライトパイプ23側に出射する。このように、LED26Rの光出射面にダイクロイックコート26RDを、また、LED26Gの光出射面にダイクロイックコート26GDを、さらに、LED26Bの光出射面にはダイクロイックコート26BDをそれぞれ施すことで、各LEDから出射した光のライトパイプ23側への出射効率を高いものとすることができる
【0031】
反射偏光子24の前方(反射偏光子24から出射した光の進行方向)には、内周面29をアルミ蒸着等により鏡面処理が施されたライトパイプ23が配置されている。ライトパイプ23の一端側(後端側)となる光入射口30から入射された光は、内周面29の鏡面で繰り返し反射され、ライトパイプ23の光軸であるパイプ光軸L3と直交する面内における光密度分布が均一化され、他端側となる光出射口31から出射される。つまり、反射偏光子24からP偏光状態で出射した光は、ライトパイプ23の光入射口30から入射し、光出射口31から照度分布の均一化が図られた光として出射する。なお、各LED26R,26G,26Bから放出された光は、空間25の内部あるいはライトパイプ23で反射される間に混合される。そのため、ライトパイプ23からは、白色の光として出射する。
【0032】
ライトパイプ23の内周面29のパイプ光軸L3に直交する面における形状は矩形を呈している。そして、該矩形の左右方向と上下方向の長さの比は、パネルアスペクト比と同一の比となるように構成されている。そのため、ライトパイプ23の光出射口31から出射する光の光束は、パイプ光軸L3に直交する面における照明範囲の形状が、パネルアスペクト比と同一の横縦比の形状となっている。したがって、表示パネル4を効率よく照明することができる。
【0033】
反射偏光子24は、光源収容筐体22の外側の面に対して開口部27を塞ぐように配置され、開口部27の周縁部27Aに対して接着剤により固着される。つまり、反射偏光子24は、光源収容筐体22に対して一体的に備えられている。また、ライトパイプ23は、後端を反射偏光子24の前側の面に対して接着剤により固着されている。このように、光源ユニット2は、光源収容筐体22、反射偏光子24およびライトパイプ23が一体的に構成されている。なお、反射偏光子24については、ライトパイプ23の光出射口31に配置してもよい。この場合には、ライトパイプ23は、後端を光源収容筐体22の前面部に対して接着剤により固着することになる。
【0034】
反射偏光子24を、ライトパイプ23の光出射口31に配置した場合には、反射偏光子24で反射されたS偏光状態の光は、内周面29内および空間25内の光反射面28で反射を繰り返す間にP偏光状態に向けて偏光方向が変化させられる。そして、P偏光状態で光出射口31に到達した光が反射偏光子24を通過することになる。反射偏光子24を、ライトパイプ23の光出射口31に配置することにより、反射偏光子24で反射されたS偏光状態の光を、内周面29および光反射面28の両方を使って反射を繰り返させることができ、偏光方向を効率的に変化させることができる。
【0035】
(光源ユニット2の保持筐体8への取り付け)
図10から図12に示すように、保持筐体8の照明光学系保持部8Aの後方の開口部19の左右には、光源ユニット2が保持される光源保持部32が設けられている。照明光学系保持部8Aにおける側板12R,12Lの後端部には、底板11の後端11Aよりも後方に突出し、保持筐体8の側面に対向する壁部としての突出部33R,33Lが形成され、この突出部33R,33Lが光源保持部32として構成されている。また、突出部33Rと突出部33Lは、互いに平行に対向している。
【0036】
光源ユニット2は、光源収容筐体22が突出部33Rと突出部33Lとの間に配置され、光出射口31を照明光軸L1の前方に向けて、照明光学系保持部8Aの空間17内に配置されている。
【0037】
ライトパイプ23の外形の左右方向の幅と上下方向の高さは、光源収容筐体22の左右方向の幅と上下方向の高さよりも小さく形成されている。
【0038】
突出部33Rと突出部33Lとの間の間隔(内法間隔)D1は、光源収容筐体22の左右方向の幅W1(図13参照)よりも若干広く形成されている。例えば、間隔D1は、幅W1よりも2mm程度広く形成されている。つまり、光源収容筐体22を突出部33Rと突出部33Lとの間に配置したときに、光源収容筐体22と突出部33Rおよび突出部33Lとの間に間隙MR,MLが形成されることになる。したがって、突出部33Rと突出部33Lとの間に配置された光源ユニット2を、間隔R1,L1の範囲で左右方向に移動させることができると共に、パイプ光軸L3の周りに回転させることもできる。
【0039】
また、光源収容筐体22の高さH1(図5、図9参照)は、側板12R,12Lの上下方向の高さH2(図5、図9参照)よりも若干低く形成されている。例えば、高さH2は、高さH1よりも2mm程度低く形成されている。したがって、側板12R,12Lの高さH2と光源収容筐体22の高さH1との差の範囲内で光源収容筐体22を上下方向に移動する場合には、光源収容筐体22が保持筐体8の上方あるいは下方に突出してしまうことがない。
【0040】
光源ユニット2は、照明光軸L1に対して所定位置に配置した状態で、接着剤としての紫外線硬化樹脂34により突出部33Rと突出部33Lとに対して接着され固定される。このように光源ユニット2を紫外線硬化樹脂34により保持筐体8に取り付けることで、ねじ等の取り付け具を用いて取り付ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。部品点数が削減される結果、投射表示装置1の小型化についても図ることができる。
【0041】
なお、光源ユニット2の所定位置への取り付けは、例えば、図14に示されるように、6軸型のX−Y−Zステージ(以下、ステージと記載する。)STを用いて行う。また、光源ユニット2の保持筐体8への取り付けは、照明光学系3、表示パネル4、投射光学系5等の光学部品6が保持筐体8に取り付けられ、照明光軸L1と投射光軸L2が決定された状態で行われる。
【0042】
光源ユニット2の所定位置への取り付けに当たって、先ず、照明光学系3等の光学部品が保持されている保持筐体8を筐体載置台ST1に載置すると共に、ステージSTのワーク保持部ST2に光源ユニット2を保持する。そして、光源ユニット2の光源収容筐体22を突出部33R,33Lとの間に配置し、光源ユニット2が保持筐体8の所定位置に配置されるように、ステージSTにより光源ユニット2の保持筐体8に対する位置を調整する。このようにして光源ユニット2が所定位置に配置されたならば、突出部33R,33Lと光源収容筐体22との間、すなわち間隙MR,MLに紫外線硬化樹脂34を注入する。そして、突出部33R,33Lと光源収容筐体22との間に注入された紫外線硬化樹脂34に紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂34を硬化させ、光源ユニット2を保持筐体8の所定位置に固定する。
【0043】
なお、光源ユニット2の保持筐体8に対する所定位置とは、例えば、スクリーンに形成される投射画像の明るさが最も高くなる位置である。したがって、例えば、スクリーンに投射される投射画像を見ながら、該所定位置となるように、ステージSTを用いて光源ユニット2の保持筐体8に対する配置を変え、該所定位置となったところで、紫外線硬化樹脂34を硬化させ、光源ユニット2を光源保持部32に対して固定する。なお、光源収容筐体22の幅W1は、突出部33Rと突出部33Lの間隔D1に対して調整代が確保できる長さに設定する。また、光源収容筐体22の高さH1は、側板12R,12Lの高さH2に対して調整代が確保できる長さに設定する。
【0044】
ところで、突出部33Rには、図5および図10に示すように、後端縁から前方に向けて凹む貫通部としての切欠部35Rが上下方向に2つ並んで形成されている。また、突出部33Lにも、後端縁から前方に向けて凹む貫通部としての切欠部35Lが上下方向に2つ並んで形成されている。切欠部35R,35Lは、内側(照明光軸L1側)から外側に向けて、突出部33R,33Lを貫通している。
【0045】
突出部33R,33Lと光源収容筐体22との間に紫外線硬化樹脂34を注入する際には、切欠部35R,35Lの内部にも紫外線硬化樹脂34を注入する。そして、切欠部35R,35Lの内部に注入された紫外線硬化樹脂34は、光源収容筐体22に対しても及ぶ(接触する)。したがって、切欠部35R,35Lの内部に注入された紫外線硬化樹脂34を硬化させると、光源収容筐体22は、切欠部35R,35Lの内部から光源収容筐体22に対して及ぶ紫外線硬化樹脂34によっても保持筐体8に対して固定される。つまり、光源収容筐体22は、突出部33R,33Lと光源収容筐体22との間で硬化する紫外線硬化樹脂34に加えて、切欠部35R,35Lの内部から光源収容筐体22に対して及ぶ紫外線硬化樹脂34によっても保持筐体8に対して固定される。
【0046】
切欠部35R,35Lの内部から光源収容筐体22に対して及ぶ紫外線硬化樹脂34については、切欠部35R,35Lの内周縁に対しても接着している。そのため、接着面積を広く取ることができ、光源収容筐体22の保持筐体8への固定をより確実なものとすることができる。また、切欠部35R,35Lの内部から光源収容筐体22に対して及ぶ紫外線硬化樹脂34については、切欠部35R,35Lの上下方向の内周縁に対して引っ掛かるように当たる。このため、光源収容筐体22を上下方向に対して強固に固定することができる。
【0047】
また、切欠部35R,35Lの外側、すなわち光源収容筐体22が位置する側とは反対側から切欠部35R,35L内に紫外線を照射することで、突出部33R,33Lと光源収容筐体22との間に注入されている紫外線硬化樹脂34に紫外線を照射させ易くなり、紫外線硬化樹脂34の硬化処理を行い易い。また、切欠部35R,35Lは、後方が開口部35Ra,35Laとして開放されているため、切欠部35R,35Lの後方から切欠部35R,35L内の紫外線硬化樹脂34に紫外線を照射させ易く、紫外線硬化樹脂34の硬化処理を行い易い。
【0048】
上述したように、突出部33Rと突出部33Lは、底板11よりも後方に突出している。つまり、突出部33Rと突出部33Lの下側には、底板11が存在しない。また、突出部33Rと突出部33Lの間の上方は開放されている。つまり、光源ユニット2を保持筐体8に対して取り付ける際に、光源収容筐体22の上下方向において、光源ユニット2やワーク保持部ST2が、保持筐体8に衝突し難い構成となっている。このため、光源収容筐体22を光源保持部32に取り付ける際の取り付け作業の効率化を図ることができる。
【0049】
(照明光学系3の構成)
次に、照明光学系3の構成について説明する。図10および図11に示すように、照明光学系3は、4枚のレンズ36,37,38,39と、ワイヤーグリッド偏光分離素子9と、光学補償板10等を有する。ライトパイプ23から出射した光は、照明光学系3を介して表示パネル4に入射する。レンズ36,37,38,39は、それぞれ正の屈折率を有するレンズであり、ライトパイプ23から出射した光が、表示パネル4にテレセントリックな状態で入射することができるように、テレセントリック光学系として構成されている。レンズ36,38は、それぞれガラスモールドにより成型される非球面レンズであり、レンズ36については、ライトパイプ23から出射した光りをコリメートするコリメートレンズである。レンズ39は、フィールドレンズである。
【0050】
ワイヤーグリッド偏光分離素子9は、光の波長より短いピッチで並べられた多数の導体の微細ワイヤーを持つ素子であり、ワイヤーグリッド偏光分離素子9に入射する入射光のうち微細ワイヤーに平行な偏光軸を有する成分を反射すると共に、微細ワイヤーに垂直な偏光軸を有する成分を透過する機能を持つ。本実施の形態に係る投射表示装置1においては、ワイヤーグリッド偏光分離素子9は、P偏光状態の光については透過し、S偏光状態の光については反射する構成となっている。
【0051】
ライトパイプ23から出射し、レンズ36,37,38を透過した光は、P偏光状態の光であるため、ワイヤーグリッド偏光分離素子9を透過し、表示パネル4に入射する。表示パネル4は、カラー画像を表示することができるカラー液晶パネルとして構成されている。表示パネル4は、制御部(図示省略)により画像データに基づいて駆動され、画像データに応じた画像を構成する光を、ワイヤーグリッド偏光分離素子9に向けて出射させる。
【0052】
レンズ39と表示パネル4との間には、光学補償板10が配置されている。光学補償板10は、表示パネル4のプレチルト角による画像のコントラストの低下を補償し、コントラストの向上を図る機能を有する。光学補償板10としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等の透明支持体上に配向膜を介してディスコティック(円盤状)化合物層を形成したもので構成でき、WVフィルム(富士写真フィルム社製)を採用できる。このように、レンズ39と表示パネル4との間に光学補償板10を配置することで投射画像のコントラストを向上させることができる。
【0053】
(照明光学系3の保持筐体8への取り付け)
レンズ36,37,38,39は、保持筐体8の照明光学系保持部8Aに保持され、保持筐体8に対して紫外線硬化樹脂等の接着剤を用いて、保持筐体8に対して固定されている。各レンズ36,37,38,39は、それぞれ照明光学系保持部8Aの内側(レンズ配置側)に設けられるレンズ支持部40,40,41,41,42,42,43,43(図12参照)に対して支持されると共に接着剤により固定されている。
【0054】
図15に、代表的にレンズ36を支持するレンズ支持部40,40の構成を示す。図15は、図12における切断線B−Bにおける断面図を示している。レンズ支持部40,40は左右一対として設けられている。一方のレンズ支持部40は、側板12Rの内側に、照明光軸L2の側に向けて突出する突出部として、側板12Rに一体に形成されている。また、他方のレンズ支持部40は、側板12Lの内側に、照明光軸L2の側に向けて突出する突出部として、側板12Lに一体に形成されている。
【0055】
レンズ支持部40,40は、下方支持面40A,40Aと、前後支持面40B,40Bとを有する。下方支持面40A,40Aは、側板12R,12Lの側から空間17の内側に向かうにつれて下方に傾斜し、支持面を上方に向ける斜面として形成されている。つまり、下方支持面40A,40Aは、互いに左右方向の間隔が徐々に狭くなる斜面に形成されている。したがって、レンズ36を、レンズ36の周縁部の2点が左右の下方支持面40A,40Aにそれぞれ当接する状態で、下方支持面40A,40Aに支持させることができる。このように、レンズ36の周縁部を下方支持面40A,40Aに支持されることで、レンズ36を上下方向と左右方向について位置決めすることができる。
【0056】
また、前後支持面40B,40Bは、側板12R,12Lから内側に突出し、前方に支持面を向けて形成されている。したがって、レンズ36の後面の周囲を前後支持面40B,40Bに当接させることで、レンズ36の前後方向への位置決め、およびレンズ面の前後方向への傾きについて位置決めを行うことができる。左側の前後支持面40Bと右側の前後支持面40の間の間隔は、レンズ36の有効径以上の間隔に設定されている。
【0057】
上述のように、レンズ36は、レンズ支持部40,40により、左右方向、上下方向、前後方向およびレンズ面の前後方向への傾斜について位置決めが行われる。レンズ支持部41,41,42,42,43,43についてもレンズ支持部40,40と同様の構成を有する。したがって、レンズ支持部41,41についても同様に、レンズ37を、左右方向、上下方向、前後方向およびレンズ面の前後方向への傾斜について位置決めして支持することができる。また、レンズ支持部42,42についても同様に、レンズ38を、左右方向、上下方向、前後方向およびレンズ面の傾斜について位置決めして支持することができる。さらに、レンズ支持部43,43についても同様に、レンズ39を、左右方向、上下方向、前後方向およびレンズ面の傾斜について位置決めして支持することができる。
【0058】
図10から図12に示すように、ワイヤーグリッド偏光分離素子9は、側板12R,12Lの内側の面に形成される嵌め込み部44により保持される。嵌め込み部44の前側の面部44Aにワイヤーグリッド偏光分離素子9の前面を当接させることで、ワイヤーグリッド偏光分離素子9は保持筐体8に対して所定位置に配置される。所定位置とは、表示パネル4から出射した光を、照明光軸L1と直交するように投射光学系5に向けて反射することができる位置である。
【0059】
嵌め込み部44は上方に開口部44Bを有し、この開口部44Bからワイヤーグリッド偏光分離素子9を挿入し、ワイヤーグリッド偏光分離素子9の前面を面部44Aに当接させた状態で、ワイヤーグリッド偏光分離素子9は保持筐体8に対して所定位置に配置される。ワイヤーグリッド偏光分離素子9を嵌め込み部44に挿入し、所定位置に配置した状態で、ワイヤーグリッド偏光分離素子9の後側には、嵌め込み部44の後側の面との間に間隙44Cが形成される。この間隙44Cに接着剤としての紫外線硬化樹脂を注入する。そして、この注入された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射し、硬化させ、ワイヤーグリッド偏光分離素子9を嵌め込み部44に対して固定する。
【0060】
(表示パネル4の取り付け)
図12に示すように、照明光学系保持部8Aの前方端部には開口部45が形成されている。また、図10および図11に示すように、表示パネル4は、表示パネル4の光の入出射面であるパネル面4Aが開口部45に面するように配置されている。表示パネル4は、保持筐体8の前板13の右端縁13Aと照明光学系保持部8Aの側板12Rの前端部12RTに対して紫外線硬化樹脂等の接着剤により固定されている。
【0061】
開口部45の左右の周縁部には、光学補償板支持面46が設けられている。光学補償板支持面46は、照明光軸L1の前方に向けて面部が形成されている。光学補償板10は、光学補償板支持面46に光学補償板10の後面の左右の縁部を当接させ、光学補償板支持面46に対して位置決めされた状態で、紫外線硬化樹脂等の接着剤により、光学補償板支持面46に固定されている。
【0062】
上述したように、照明光学系3を構成するレンズ36,37,38,39、ワイヤーグリッド偏光分離素子9および光学補償板10は、保持筐体8に対して支持され、そして、保持筐体8に対して紫外線硬化樹脂により接着され固定されている。また、表示パネル4についても、保持筐体8に対して紫外線硬化樹脂により接着され固定されている。このように、各部材を保持筐体8に対して紫外線硬化樹脂(接着剤)で接着し取り付けることで、ねじ等の取り付け具を用いて取り付ける場合に比べて、部品点数を削減することができる。また部品点数が削減される結果、投射表示装置1の小型化を図ることができる。
【0063】
(投射光学系5の構成)
図16に示すように、投射光学系5は、3枚のレンズ47,48,49とレンズ保持枠50等を有する。レンズ保持枠50には、絞り部として機能する孔部51が形成されている。レンズ保持枠50の前側には、レンズ47が保持され、後側には、レンズ48が保持されている。レンズ49は、レンズ48に対して保持されている。
【0064】
表示パネル4から出射した光は、投射光学系5を介してスクリーン(図示省略)に投射される。レンズ47,48,49は、順に正、負、正の屈折率を有するレンズであり、それぞれプラスチックモールドにより成型される非球面レンズである。表示パネル4から出射した光は、レンズ49,48を透過し、レンズ保持枠50の孔部51を通過し、そして、レンズ47を透過してスクリーン(図示省略)に向けて投射される。
【0065】
レンズ保持枠50の孔部51は絞り機能を有し、投射光学系5は、絞り位置において、表示パネル4から出射する光に対してテレセントリック性を確保できるように構成されている。また、投射光学系5は、後述する焦点調節機構7により前後方向に移動可能に構成されている。つまり、焦点調節機構7により投射光学系5を前後に移動することにより、スクリーン(図示省略)に投射される画像のピント調整を行うことができる。
【0066】
レンズ保持枠50の前部には、レンズ47と嵌め合うことができる2つの嵌合部52,52が形成されている。一方、レンズ47には、嵌合部52,52にそれぞれ嵌合される被嵌合部53,53が形成されている。被嵌合部53,53は、レンズ47の有効径の外側にフランジ状に突出して形成されている。また、被嵌合部53,53は、投射光軸L2に対して左右対称の形状に形成されている。そして、嵌合部52,52も、投射光軸L2に対して左右対称の形状に形成されている。なお、レンズ47は、被嵌合部53,53の部分を含めて、上述したプラスチックモールド成型により一体的に形成されている。
【0067】
嵌合部52,52の内周面52A,52Aと被嵌合部53,53の外周面53A,53Aとは、互いに投射光軸L2を中心とする同一曲率の円弧面を呈している。つまり、内周面52A,52Aと外周面53A,53Aとは、嵌合部52,52に被嵌合部53,53を嵌めたときに、互いにガタなく接するように構成されている。したがって、外周面53A,53Aと内周面52A,52Aとが対向するように、嵌合部52,52に被嵌合部53,53を嵌合すると、被嵌合部53,53は、投射光軸L2と直交する全方向において嵌合部52,52に対して当接することができる。つまり、レンズ47は、被嵌合部53,53が嵌合部52,52に嵌合されることで、レンズ保持枠50に対して投射光軸L2と直交する方向について移動しないように位置決めされた状態で保持される。
【0068】
図17に示すように、被嵌合部53,53の外周面53A,53Aは、それぞれ投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下に約45度ずつの円周を有する円弧面に形成されている。また、嵌合部52,52についても同様に、各内周面52A,52Aは、それぞれ投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下に約45度ずつの円周を有する円弧面に形成されている。
【0069】
一方、レンズ保持枠50には、投射光軸L2を通り光軸面LSに直交する面を挟む左右それぞれ45度の範囲においては、レンズ47を保持する部分が形成されていない。しかしながら、内周面52A,52Aおよび外周面53A,53Aの円弧面の円周長を、投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下に約45度ずつとすることで、上下方向においてもレンズ保持枠50は、レンズ47を確実に保持することができる。なお、外周面53A,53Aおよび内周面52A,52Aの円弧面の円周長は、投射光軸L2に対して上下に30度から50度とすることで、レンズ保持枠50およびレンズ47の大型化を抑えつつ、レンズ保持枠50によるレンズ47の保持を確実なものとすることができる。外周面53A,53Aと内周面52A,52Aの円弧面の円周長が、投射光軸L2に対して30度未満となると、レンズ保持枠50によるレンズ47の上下方向における保持が、不安定となる。50度を超えると、レンズ保持枠50およびレンズ47が大型化し易くなる。
【0070】
レンズ保持枠50の後部には、レンズ48の外周縁と嵌め合うことができる2つの嵌合部54,54が形成されている。また、レンズ48には、嵌合部54,54にそれぞれ嵌合される被嵌合部55,55が形成されている。被嵌合部55,55も、上述のレンズ47の被嵌合部53,53と同様に、レンズ48の有効径の外側にフランジ状に突出して形成されると共に、投射光軸L2に対して左右対称の形状に形成されている。なお、レンズ48は、被嵌合部55,55の部分を含めて、プラスチックモールド成型により一体的に形成されている。嵌合部54,54も、嵌合部52,52と同様に、投射光軸L2に対して左右対称の形状に形成されている。
【0071】
そして、嵌合部54,54の内周面54A,54Aと被嵌合部55,55の外周面55A,55Aとも、内周面52A,52Aおよび外周面53A,53Aと同様に、互いに投射光軸L2を中心とする同一曲率の円弧面を呈し、嵌合部54,54に被嵌合部55,55を嵌めたときに、内周面54A,54Aと外周面55A,55Aとがガタなく接するように構成されている。したがって、被嵌合部55,55と嵌合部54,54とについても、外周面55A,55Aと内周面54A,54Aとが対向するように、嵌合部54,54に被嵌合部55,55を嵌合すると、被嵌合部55,55は、投射光軸L2と直交する全方向において嵌合部54,54に対して当接することができる。つまり、レンズ48は、被嵌合部55,55が嵌合部54,54に嵌合されることで、レンズ保持枠50に対して投射光軸L2と直交する方向について移動しないように位置決めされた状態で保持される。
【0072】
なお、被嵌合部55,55の外周面55A,55Aは、被嵌合部53,53の外周面53A,53Aと同様に、それぞれ投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下に約45度ずつの円周を有する円弧面に形成されている。また、嵌合部54,54についても同様に、各内周面54A,54Aは、それぞれ投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下に約45度ずつの円周を有する円弧面に形成されている。
【0073】
一方、レンズ保持枠50には、投射光軸L2を通り光軸面LSに直交する面を挟む左右それぞれ45度の範囲においては、レンズ48を保持する部分が形成されていない。しかしながら、内周面54A,54Aおよび外周面55A,55Aの円弧面の円周長を、投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下に約45度ずつとすることで、上下方向においてもレンズ保持枠50は、レンズ48を確実に保持することができる。なお、外周面55A,55Aおよび内周面54A,54Aの円弧面の円周長は、投射光軸L2に対して上下に30度から50度とすることで、レンズ保持枠50およびレンズ48の大型化を抑えつつ、レンズ保持枠50に対するレンズ48の保持を確実なものとすることができる。外周面55A,55Aと内周面54A,54Aの円弧面の円周長が、投射光軸L2に対して30度未満となると、レンズ保持枠50によるレンズ48の上下方向における保持が、不安定となる。50度を超えると、レンズ保持枠50およびレンズ48が大型化し易くなる。
【0074】
レンズ48には、左右の被嵌合部55,55との間に、後方に円筒状に突出した突出部56が形成される。一方、レンズ49の外周部には、突出部56を内側に嵌合することができる嵌合部57,57が形成されている。嵌合部57,57は、レンズ49の有効径の外側に形成されるフランジ状部58,58の前面部を、レンズ49の前面よりも前方に突出させた突出部として形成されている。嵌合部57,57は、投射光軸L2に対して左右対称の形状に形成されている。そして、嵌合部57,57の内側に突出部56を嵌合させることで、レンズ49をレンズ48に対して保持することができる。
【0075】
突出部56の外周面56Aと嵌合部57,57の内周面57A,57Aとは互いに同一の曲率に形成され、突出部56に嵌合部57,57を嵌めたときに、内周面57A,57Aと外周面56Aとがガタなく接するように構成されている。したがって、レンズ49は、レンズ48に対して投射光軸L2と直交する方向について移動しないように位置決めされた状態で保持される。
【0076】
なお、嵌合部57,57は、投射光軸L2に対して左右対称の形状であり、嵌合部57,57の内周面57A,57Aは、投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下に約45度ずつの円周を有する円弧面に形成されている。一方、レンズ49には、投射光軸L2を通り光軸面LSに直交する面を挟む左右それぞれ45度の範囲においては、レンズ48に保持される部分が形成されていない。しかしながら、内周面57A,57Aの円弧面の円周長を投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下に約45度ずつとすることで、上下方向においても突出部56に対するレンズ49の保持を確実なものとすることができる。内周面57A,57Aの円弧面の円周長は、投射光軸L2に対して光軸面LSを挟んで上下にそれぞれ30度から50度とすることで、レンズ49の大型化を抑えつつ、突出部56に対するレンズ49の保持を確実なものとすることができる。内周面57A,57Aの円弧面の円周長が、投射光軸L2に対して30度未満となると、レンズ48に対するレンズ49の保持が不安定となり、50度を超えると、レンズ49が大型化し易くなる。
【0077】
上述のように構成される投射光学系5においては、図18に示すように、レンズ47およびレンズ48がレンズ保持枠50に対して保持され、そしてレンズ49がレンズ48に保持された状態で、レンズ47、レンズ48およびレンズ49の光軸が一致するように、レンズ保持枠50に対するレンズ47およびレンズ48の保持構造、およびレンズ48へのレンズ49の保持構造が構成されている。つまり、レンズ47、レンズ48およびレンズ49の各光軸が一致するように、嵌合部52,52と被嵌合部53,53の嵌め合い、嵌合部54,4と被嵌合部55,55の嵌め合い、さらに突出部56と嵌合部57,57の嵌め合い等が構成されている。
【0078】
嵌合部52,52は、内周面52A,52Aの投射光軸L2と直交する方向の間隔が、前方から後方に向かって僅かに狭くなるように構成されている。また、レンズ47の被嵌合部53,53については、投射光軸L2と直交する方向の幅(直径)が、前方から後方に向かって僅かに狭くなるように構成されている。したがって、嵌合部52,52に被嵌合部53,53を嵌め込んだときに、レンズ47を、投射光軸L2と直交する方向にガタ付くことなく、レンズ保持枠50に対して確実に位置決めをした状態で保持することができる。
【0079】
嵌合部54,54も、内周面54A,54Aの投射光軸L2と直交する方向の間隔が、後方から前方に向かって僅かに狭くなるように構成されている。また、レンズ48の被嵌合部55,55についても、投射光軸L2と直交する方向の幅(直径)が、後方から前方に向かって僅かに狭くなるように構成されている。したがって、嵌合部54,54に被嵌合部55,55を嵌め込んだときに、レンズ48を、投射光軸L2と直交する方向にガタ付くことなく、レンズ保持枠50に対して確実に位置決めした状態で保持することができる。
【0080】
さらに、レンズ49の嵌合部57,57についても、内周面57A,57Aの投射光軸L2と直交する方向の間隔が、前方から後方に向かって僅かに狭くなるように構成されている。また、レンズ48の突出部56についても、投射光軸L2と直交する方向の幅(直径)が、前方から後方に向かって僅かに狭くなるように構成されている。したがって、突出部56に嵌合部57,57を嵌め込んだときに、レンズ49を、投射光軸L2と直交する方向にガタ付くことなく、レンズ48に対して位置決めされた状態で保持することができる。
【0081】
(投射光学系5の保持筐体8への取り付け)
次に、図10から図12および図16、図18を参照しながら、投射光学系5の保持筐体8への取り付け構造について説明する。投射光学系5は、保持筐体8に支持されるガイド部としてのガイド軸59L,59Rにレンズ保持枠50を支持させることにより、保持筐体8に対して取り付けられている。ガイド軸59Lは、投射光学系5の左側に、投射光軸L2に平行に配置され、ガイド軸59Rは、投射光学系5の右側に、投射光軸L2に平行に配置されている。レンズ保持枠50の左側には、ガイド軸59Lが挿通される軸受部60Lが形成され、また、レンズ保持枠50の右側には、ガイド軸59Rが挿通される軸受部60Rが形成されている。軸受部60Rは、前後に配置される前側軸受部60RAと後側軸受部60RBとを有している。軸受部60Lには、ガイド軸59Lが挿通される軸受孔61Lが形成され、軸受部60Rにも、ガイド軸59Rが挿通される軸受孔61Rが形成されている。レンズ保持枠50は、軸受孔61Lにガイド軸59Lを通し、また、軸受孔61Rにガイド軸59Rを通し、保持筐体8に対して、ガイド軸59L,59Rを介して支持されている。軸受孔61Lはガイド軸59Lに対してガタ付くことなくスムーズに摺動可能であり、また、軸受孔61Rもガイド軸59Rに対してガタ付くことなくスムーズに摺動可能に構成されている。
【0082】
ガイド軸59Lは、前板13から側板12Lに向けて挿入されることで前板13と側板12Lとに対して支持されている。側板12Lには切欠部12LAが形成され、この切欠部12LAにおいてガイド軸59Lは側板12Lから露出する露出軸部59LAを有する(図10、図11参照)。また、ガイド軸59Rは、前板13から側板12Rに向けて挿入されることで前板13と側板12Rとに支持されている。側板12Rには切欠部12RAが形成され、この切欠部12RAの部分においてガイド軸59Rは側板12Rから露出する露出軸部59RAを有する(図10、図11参照)。軸受部60Lは、切欠部12LAにおいて露出軸部59LAに軸支されている。また、軸受部60Rは切欠部12RAにおいて露出軸部59RAに軸支されている。そして、軸受部60Rの前後の側面と、切欠部12RAの内側の縁面12RA1,12RA1との間の間隔D2,D2(図11参照)の範囲内で、投射光学系5は前後方向に移動を許容される。
【0083】
図10、図11に示すように、ガイド軸59Lは、側板12L内に前方から後方に向かって挿入され、また、ガイド軸59Rも、側板12R内に前方から後方に向かって挿入されている。このように構成することで、ガイド軸59R,59Lを側板12R,12Rの内側(空間17内)に配置する場合に比べて、側板12Rと側板12Lとの間の間隔を狭くすることができ、投射表示装置1の小型化を図ることができる。
【0084】
ところで、軸受部60Lは、レンズ保持枠50の左側に配置される嵌合部52,54を挟んで投射光軸2Lの反対側に設けられている。また、軸受部60Rは、レンズ保持枠50の右側に配置される嵌合部52,54を挟んで投射光軸2Lの反対側に設けられている。つまり、投射光軸2Lの左側に嵌合部52,54と軸受部60Lが配置され、また、投射光軸2Lの右側に嵌合部52,54と軸受部60Rが配置されているため、レンズ保持枠50は、左右方向に幅広の形状となっている。そのため、レンズ保持枠50を保持する投射光学系保持部8Bの左右方向の幅W2(図11参照)は、レンズ保持枠50の左右方向の幅に応じて広くする必要がある。
【0085】
しかしながら、L字型に直交する照明光軸L1と投射光軸L2の挟角側に、ガイド軸59Lを配置することで、保持筐体8の左右方向の寸法Tと前後方向の寸法Sを変えることなく、投射光学系保持部8Bの幅W2を広く確保することができる。つまり、L字型に直交する照明光軸L1と投射光軸L2の挟角側に形成されるスペースKに、投射光学系保持部8Bの幅広になった部分が配置され、保持筐体8の全体的な大きさ寸法となる寸法Tと寸法Sを変えることなく、投射光学系保持部8Bの左右方向の幅を広く確保することができる。
【0086】
また、ガイド軸59L,59Rをレンズ保持枠50の左右に配置することで、ガイド軸59L,59Rを上下方向に配置する場合に比べて保持筐体8の上下方向の高さを低く抑えることができる。さらに、レンズ保持枠50の軸受部60Lと軸受部60Rの左右方向の間隔を広くする(ガイド軸59Lとガイド軸59Rの左右方向の間隔を広くする)ことで、投射光学系5の保持筐体8への保持を安定させることができる。レンズ保持枠50の軸受部60Lと軸受部60Rの左右方向の間隔を広くしても、上述したように、スペースKに、投射光学系保持部8Bの幅広になった部分を配置することで、保持筐体8の全体的な大きさが大きくなることを抑えることができる。なお、ガイド軸59L,59Rは、レンズ47,48,49のそれぞれについての最上部T1,T2,T3と最下部G1,G2,G3(図16参照)の内、最も光軸面LSから離れた位置に位置する最上部と最下部よりも光軸面LS側の位置に配置する。このようにガイド軸59R,59Lを配置することで、投射光学系5の上下方向の大きさを小さくすることができ、投射表示装置1の一層のコンパクト化を図ることができる。
【0087】
本実施の形態においては、ガイド軸59R,59Lは、ガイド軸59R,59Lの各軸線、すなわち、ガイド軸59Rの中心線とガイド軸59Lの中心線とを含む面が、光軸面LSと一致するように配置されている。ガイド軸59R,59Lをこのような配置とすることで、ガイド軸59R,59Lと投射光軸L2が同一面上に配置される。したがって、投射表示装置1においては、軸受孔61L,61Rが、光軸面LSを通るように配置される。つまり、ガイド軸59Lとガイド軸59Rを、光軸面LSよりも上方、あるいは下方に配置した場合には、ガイド軸59R,59Lが通る軸受孔61L,61Rを上方、あるいは下方に配置する必要が生じる。そのため、軸受部60L,60Rを軸受孔61L,61Rの配置に対応させて上方あるいは下方に設ける必要が生じる。その結果、保持筐体8についても、レンズ保持枠50の軸受部60L,60Rを収容できるように大きさを増す必要が生じ、保持筐体8の上下方向の高さが大きくなる。これに対し、軸受孔61L,61Rが、光軸面LSを通るように配置されることで、レンズ保持枠50の上下方向の高さを低く抑えることができ、レンズ保持枠50が収容されるレンズ保持枠50の上下方向の高さを低く抑えることができる。
【0088】
なお、上述したレンズ支持部40,40〜43,43の形状や配置、あるいはガイド軸59R,59L等の配置等は、照明光学系3および投射光学系5が、上述のように保持筐体8に保持された状態で、照明光軸L1と投射光軸L2が所定の配置になるように構成されている。また、保持筐体8の底板11には、図12に示すように、上下に貫通する孔部62A,62B,62C,62D,62Eが形成されている。
【0089】
孔部62Aから孔部62Dは、それぞれ順にレンズ36からレンズ39に対向する位置に設けられ、この孔部62Aから孔部62Dにそれぞれ対応するレンズ36からレンズ39の周縁部の一部が配置される。また、孔部62Eは、レンズ47からレンズ49に対向する位置に設けられ、レンズ47からレンズ49の周縁部の一部が配置される。
【0090】
また、図5に示すように、蓋部15にも、レンズ36からレンズ39およびレンズ47からレンズ49の配置位置に対応してそれぞれ孔部63A,63B,63Cが形成されている。そして、孔部63A,63B,63Cにそれぞれ対応するレンズ36からレンズ39およびレンズ47からレンズ49の周縁部の一部が配置される。
【0091】
このように孔部62Aから孔部62Eおよび孔部63Aから孔部63Cを設けることにより、これらの孔部62Aから孔部62Eおよび孔部63Aから孔部63Cに対応するレンズの周縁部の一部が配置されるため、保持筐体8の高さを低く構成することができる。なお、孔部62Aから孔部62Eおよび孔部63Aから孔部63Cから、レンズの周縁部が突出しないように、保持筐体8の高さ等が設定されている。
【0092】
(焦点調節機構7の構成)
次に、図19を参照しながら、投射光学系5を前後方向に移動し、投射面における投射画像のピント調整を行う移動手段としての焦点調節機構7の構成について説明する。図19は、投射表示装置1を下方から見た図である。
【0093】
レンズ保持枠50の下部には、突起部64が設けられている。この突起部64は、後述するカム溝65に係合しカムフォロアとして機能する。突起部64は、レンズ保持枠50の下部に下方に突出する円柱状の形状を呈している。底板11には、底板11を上下に貫通し、前後方向に長い形状の長孔部66が形成されている。突起部64は、長孔部66を通して底板11の下面側に突出できる長さに構成されている。また、長孔部66は、レンズ保持枠50の前後方向の移動量を許容できる長さに形成されている。
【0094】
底板11の下面側には、カム溝65を有する円盤状のカム盤67が配置されている。図19においては、突起部64および長孔部51を示すため、カム盤67については、便宜上、2点鎖線にて示している。カム盤67は、支持部68を中心に回転可能に底板11に取り付けられている。この支持部68と突起部64とは、投射光軸L2と平行に配置されている。支持部68は、底板11に対してねじ結合されるねじ69により構成され、ねじ69の軸部に対してカム盤67が回転可能に支持されている。また、ねじ69の頭部は、カム盤67の下方への抜け止めとして機能している。すなわち、カム盤67は、底板11の下面とねじ69の頭部との間に挟持された状態で、ねじ69の軸部の周りに回転可能に、ねじ69によって底板11に取り付けられている。
【0095】
支持部68に支持されたカム盤67のカム溝65内には、突起部64が配置される。したがって、カム盤67を回転することで、カム溝65と突起部64との関係により、レンズ保持枠50を前後方向に移動することができる。つまり、カム盤67を回転し、レンズ保持枠50を前後方向に移動することで、レンズ保持枠50に保持されるレンズ47,48,49を移動することができ、この移動により投射面に投射される投射画像の合焦位置を、投射距離に合わせて調整することができる。
【0096】
また、上述したように、支持部68と突起部64とは投射光軸L2に対して平行に配置されている。そのため、カム溝65は、突起部64の投射光軸L2に平行な方向に位置する前端または後端に接する。これに対し、例えば、支持部68と突起部64とが投射光軸L2に対して平行でない場合には、カム溝65は、突起部64の前端または後端から左右にずれた位置に当接することになる。このため、カム盤67を回転して投射光学系5を移動させる際に、突起部64に対して左右方向への力が作用し易くなり、投射光学系5の移動方向が左右にぶれる虞がある。また、ガイド軸59R,59Lに対しても左右方向に力が作用するため、軸受孔61L,61Rとガイド軸59R,59Lとの間の移動抵抗が大きくなる。そのため、投射光学系5のスムーズな移動が損なわれたり、ガイド軸59R,59Lが、偏摩耗する虞もある。
【0097】
一方、本実施の形態に示すように、支持部68と突起部64とが投射光軸L2に対して平行に配置することにより、カム盤67を回転して投射光学系5を移動させる際に、カム溝65から突起部64に対して左右方向(投射光軸L2と直交する方向)に作用する力を小さくできる。このため、カム盤67を回転し投射光学系5を移動させる際の左右へのぶれを抑えることができ、また、ガイド軸59R,59Lの偏摩耗等を防ぐことができる。
【0098】
上述した実施の形態に説明した投射表示装置1は、光源保持体としての光源ユニット2と、照明光学系3と、光変調手段としての表示パネル4と、投射光学系5とを有し、光源ユニット2、照明光学系3、表示パネル4および投射光学系5が、光学部品保持筐体としての保持筐体8に保持され、光源ユニット2は、保持筐体8の光源保持部32に対して接着剤により固定されていることとする。
【0099】
このように投射表示装置を構成することにより、ねじ部材を用いることなく、光源ユニット2を保持筐体8に取り付けることができるので、投射表示装置1の小型化を図ることができる。
【0100】
また、投射表示装置1においては、光源ユニット2と光源保持部32とは、光源保持部32に光源ユニット2が保持された状態で、光源ユニット2と光源保持部32との間にクリアランス(間隙MR,ML)を有するように構成され、光源ユニット2は、光源保持部32に対して間隙MR,MLを有した状態で接着剤により固定されることが好ましい。
【0101】
このように投射表示装置を構成することにより、光源ユニット2を光源保持部32に保持する際の保持位置や保持角度の調整の自由度が大きくなり、照明光学系3への照明光の入射角度、入射位置の最適化を図ることができる。
【0102】
さらに、投射表示装置1においては、光源保持部32には、照明光学系3の投射光軸L2を挟んだ両側に、光源ユニット2に対して対向する壁部としての突出部33R,33Lを有し、この突出部33R,33Lに、光源ユニット2に対向する位置に突出部33R,33Lを内側から外側に貫通する貫通部としての切欠部35R,35Lを形成し、切欠部35R,35Lに接着剤として光硬化樹脂が注入されることが好ましい。
【0103】
このように投射表示装置を構成することにより、切欠部35R,35Lに注入された接着剤が、切欠部35R,35Lの内周縁と光源ユニット2とに固着し、光源ユニット2を光源保持部32に固定することができる。
また、切欠部35R,35L内に注入された光硬化樹脂に対して、切欠部35R,35Lの外側から光を照射することができるため、光硬化樹脂の硬化処理を行い易い。
【0104】
また、投射表示装置1においては、切欠部35R,35Lは、突出部33R,33Lの後端縁に開口部を有することが好ましい。
【0105】
このように投射表示装置1を構成することにより、切欠部35R,35Lの後端縁に形成される開口部の側からも切欠部35R,35L内の光硬化樹脂に光を照射することができ、光硬化樹脂の硬化処理を行い易い。
【符号の説明】
【0106】
1 … 投射表示装置
2 … 光源ユニット(光源保持体)
3 … 照明光学系
4 … 表示パネル(光変調手段)
5 … 投射光学系
8 … 保持筐体(光学部品保持筐体)
26R … LED(光源)
26G … LED(光源)
26B … LED(光源)
32 … 光源保持部
33R,33L … 突出部(壁部)
34 … 紫外線硬化樹脂(接着剤,光硬化樹脂)
35R,35L … 切欠部(貫通部)
35Ra,35La … 開口部
MR,ML … 間隙(クリアランス)
L1 … 照明光学系の光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を保持する光源保持体と、照明光学系と、光変調手段と、投射光学系とを有し、上記光源保持体、上記照明光学系、上記光変調手段および上記投射光学系が光学部品保持筐体に保持される投射表示装置において、
上記光源保持体は、上記光学部品保持筐体の光源保持部に対して接着剤により固定されている、
ことを特徴とする投射表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投射表示装置において、
前記光源保持体と前記光源保持部とは、前記光源保持部に前記光源保持体が保持された状態で、前記光源保持体と前記光源保持部との間にクリアランスを有するように構成され、前記光源保持体は、前記光源保持部に対して上記クリアランスを有した状態で前記接着剤により固定されている、
ことを特徴とする投射表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の投射表示装置において、
前記光源保持部は、前記照明光学系の光軸を挟んだ両側に前記光源保持体に対して対向する壁部を有し、
上記壁部には、前記光源保持体に対向する位置に前記壁部を内側から外側に貫通する貫通部が形成され、
上記貫通部には接着剤として光硬化樹脂が注入される、
ことを特徴とする投射表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投射表示装置において、
前記貫通部は、前記壁部の縁部に開口部を有する、
ことを特徴とする投射表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−281973(P2010−281973A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134396(P2009−134396)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(509304667)株式会社SUWAオプトロニクス (17)
【Fターム(参考)】