説明

投影式万華鏡

【課題】光源からの光束を効率よく投影用の光として利用することができ、均一な明るさで模様を投影する。
【解決手段】鏡筒ユニット46を傾斜させることで、直進する光軸を二等辺三角形の二等辺の頂点に近づけるようにした。鏡筒ユニット48を傾斜させることで、鏡面で反射せず、直進して出力される光が、二等辺の頂点に近づいているのがわかる。このため、明るさの中心(円S内の中心A1と、投影画像の中心B1とが比較的近い位置とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と、反射面を内側にして多角形に配置された複数の鏡面を含む筒体と、前記光源と前記筒体との間に着脱可能に装着されるターゲットとを備えた、投影式万華鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、万華鏡は、細長い3枚以上の平面鏡を、鏡面を内側にして多角形の鏡筒を形成し、この鏡筒の一端をすりガラスで覆い、他端にのぞき窓を設けて構成している。
【0003】
このような構成の万華鏡では、すりガラスの端に半透明な色片の小片を複数個入れて明るい方に向け、のぞき窓から見ると、前記色片が鏡面に反射して、たくさんの像を形成し、きれいな模様となる。さらに、鏡筒を軸回転しながら見ると、色片が動いてその位置が変化するため、所謂幻想的な模様を見ることができる。
【0004】
ところが、上記従来の万華鏡は、光源を持たないため、太陽光や電灯光に向ける必要があり、これを解消するため、光源を備え、色片の模様を投影する構造の万華鏡が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−236775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、太陽光等の自然光、或いは電灯光を透過して覗き見る万華鏡と異なり、光源となる電球を発光させて得た光を用いる場合、光量の不足や光束の偏りにより、均一の明るさで模様を投影することが困難であった。
【0006】
また、光源を持つ万華鏡である先行技術の構造では、色片を回転させる自由度が減り、色片の動きに制約が出る可能性がある。
【0007】
さらに、投影する向きが限られ、投影する向きを変えるためには、万華鏡本体を置き変えるか、台座との間に傾斜したスペーサ等を介在させる必要がある。
【0008】
本願発明は、上記事実を考慮し、光源からの光束を効率よく投影用の光として利用することができ、均一な明るさで模様を投影することができる万華鏡を得ることが目的とする。
【0009】
また、本願発明は、所謂半固定的で、例えばモータ等の駆動系で色片の動きを制御する場合でも、色片の変化が単調になることなく、動きのバリエーションを増加させることができる万華鏡を得ることを目的とする。
【0010】
さらに、本願発明は、光源を備えた複雑な構造であっても、投影の向きを簡単な作業で行うことができる万華鏡を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、第1の発明の発明に係る万華鏡は、光源と、反射面を内側にして多角形に配置された複数の鏡面を含む筒体と、前記光源と前筒体との間に着脱可能に装着されるターゲットとを備えた万華鏡であって、前記万華鏡はさらに装着きれたターゲットを回転駆動する機構を備えてなり、前記ターゲットは、円板状透明ケースと、該ケース内に収納された液体と該液体内を移動する可能に収納された被写体小片群と、前記円板状ケースの円板側壁から内部に向かって突出して設けられた複数のフィンを備え、前記複数のフィンは、前記回転機構により前記ターゲットが回動するとき、前記円板側壁近くを移動する前記液体および前記被写体小片群の移動方向を円板状ケースの内側に向かう方向に誘導するように構成されてなり、前記円板状ケース内を移動する前記被写体小片群が前記鏡面に映され前記筒体から観察可能に構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
第1の発明に係る万華鏡によれば、ターゲットが回転駆動するとき、円板状透明ケース内の被写体小片群に対して、フィンがケースの内側に向かう方向に誘導するため、当該被写体小片群の動きを助長し、結果として投影される模様のバリエーションを増やすことができる。
【0013】
第1の発明において、前記被写体小片群は比重の異なる小片群を含むことを特徴としている。また、第1の発明において、前記液体には少なくとも一つの気泡を含まれても良い。
【0014】
さらに、第1の発明において、前記光源が配置された側とは反対側の前記筒体の出口側に前記筒体から出る光の方向を変更する投影手段を回転可能に配置し、前記光方向変更手段からの光の投影像を観察するように構成されてなることを特徴としている。さらにまた、また、第1の発明において、前記筒体は、前記光源が配置された側とは反対側の前記筒体の前記出口が垂直面において回転可能に構成されてなることを特徴としている。
【0015】
第2の発明に係る万華鏡は、光源と、反射面を内側にして多角形に配置された複数の鏡面を含む筒体と、前記光源と前記筒体との間に着脱可能に装着されるターゲットとを備えた万華鏡であって、前記ターゲットは、円板状透明ケースと、該ケース内に収納された液体と該液体内を移動可能に収納された被写体小片群と、を備え、前記装着されたターゲットを回転駆動する機構と、前記光源が配置された側とは反対の前記筒体の出口側に回動可能に配置された前記筒体から出る光の方向を変更する投影手段と、をさらに備えてなり、前記円板状ケース内を移動する前記被写体小片群が前記鏡面に映され前記光方向変更手段によって投影された投影像を観察するように構成されてなることを特徴としている。第2の発明によれば、投影する向きを万華鏡全体を動かすことなく、変更することができる。
【0016】
第3の発明に係る万華鏡は、光源と、反射面を内側にして多角形に配置された複数の鏡面を含む筒体と、前記光源と前記筒体との間に着脱可能に装着されるターゲットとを備えた万華鏡であって、前記ターゲットは、円板状透明ケースと、該々−ス内に収納された液体と該液体内を移動可能に収納された被写体小片群と、を備え、前記光源から前記筒体の入口へ入り、前記鏡面によって反射され、当該筒体の出口側から出力される光が、当該出口開口面領域内で均一となるように、前記光源の光軸を配置したことを特徴としている。第3の発明によれば、投影される光が均一化されるため、模様をきれいに見せることができる。
【0017】
また、第3の発明において、前記筒体が、光源の光軸に対して所定角度傾斜させ、前記筒体内で全ての光を鏡面で反射させることを特徴としている。直進して出口へ向かう強い光がなくなるため、光の強度を均一にできる。
【0018】
さらに、第3の発明において、前記筒体の軸線と、光源の光軸とが、互いに軸直角方向にオフセットされて配置されていることを特徴としている。鏡筒の断面が多角形となる鏡の左右方向への光の反射回数を増やして投影される模様を均一の明るさに近づけることができる。
【0019】
また、第3の発明において、前記筒体が、頂点が長さの等しい二辺の挟角が鋭角とされた二等辺三角形であり、前記光源の光軸が前記二等辺三角形の重心よりも前記頂点寄りに配置されていることを特徴としている。鏡筒の断面が二等辺三角形となる鏡の左右方向への光の反射回数を増やして投影される模様を均一の明るさに近づけることができる。
【0020】
さらに、第3の発明において、前記光源が、主構成部材として、発散光の発光点である点発光部と、点発光部から発光した光を所定の領域に集光する集光筒と、を備えると共に、さらに前記集光筒の出口開口部に光拡散板が着脱可能に取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、所謂半固定的で、例えばモータ等の駆動系で色片の動きを制御する場合でも、色片の変化が単調になることなく、動きのバリエーションを増加させることが可能な投影式万華鏡を提供できる。
【0022】
第2の発明によれば、光源を備えた複雑な構造であっても、投影の向きを簡単な作業で行える投影式万華鏡を提供することができる。
【0023】
第3の発明によれば、光源からの光束を効率よく投影用の光として利用することができ、均一な明るさで模様を投影可能な投影式万華鏡を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1乃至図3には、本実施の形態に係る万華鏡10が示されている。図1に示される如く、万華鏡10は、本体12と投射方向変更手段としてのフード14とで構成されている。本体12は、矩形の筐体16で覆われている。筐体16の一端部には、光源ユニット18が配設されている。
【0025】
この光源ユニット18は、電源基板20から電力を受けて点発光するランプ22を備えている。電源基板20には、その裏面側に放熱部材24が取り付けられている。放熱板24は、ランプ22の発光による発熱を放熱する役目を有している。
【0026】
電源基板20におけるランプ22が取り付けられた面には、当該ランプ22を隠蔽するように円筒状の集光部材26の一端が取り付けられている。この集光部材26によりランプ22で発光した光は、集光部材26の内部を通り、当該集光部材26の他端の開口へ案内されるようになっている。
【0027】
なお、この集光部材26の内周面は光を反射させるように細かい凹凸が設けられ、ランプ22で発光した光が拡散しながら案内する構成としてもよい。前記集光部材26の他端部には、ターゲットホルダー28が配設されている。
【0028】
ターゲットホルダ28は、矩形(長方形)の板材30を備え、この板材30には、円孔30Aが設けられ、前記集光部材26の他端開口面と対向している。このターゲットホルダ28の板材30における前記集光部材26と対向する面と反対側の面には、万華鏡の観察媒体としてのターゲット32(図4参照)が取り付けられ、複数のローラ34によって支持回転可能に支持されている。
【0029】
(ターゲット32)
図4に示される如く、ターゲット32は、少なくとも両端面が透明の円形のケース36を備えている。なお、このケース36は、両端面間の寸法が薄いため、円板状ということもできるが、板状であれば円形ではなく多角形や曲線形状等の所定大きさの範囲の形状であってもよい。更に、ローラ34をバネ等の弾性部材でターゲット32を中央部に付勢することで、ターゲット32の回転を偏心させるようにしてもよい。
【0030】
前記ケース36の内方空間は、外部と隔離され、複数の被写体小片38が収容されると共に、所定の粘性を持った液体が注入されている。当該液体は、内方空間の容積よりも若干少ない量だけ注入されており、言い換えれば、ケース内には所定量の気泡が存在している。
【0031】
液体は、例えば水、オイル等透明度の高いものが好ましい。また、収容された被写体小片は、複数の比重の異なるものが混在しており、前記液体よりも比重が高いものは、液体内での自由落下速度が異なり、液体よりも比重が低いものは、液体内での浮力速度が異なる。すなわち、ターゲット32が回転したとき、被写体小片38は、それぞれ液体との比重に応じて様々な方向へ、異なる速度で移動する構成となっている。
【0032】
また、このケース36における内周面には、複数箇所(本実施の形態では、90°間隔で均等に4箇所)に中心に向けてフィン40が一体形成されている。フィン40は、ターゲット32が回転するとき、ケース36の外周縁に集まった被写体小片38を中心部案内することで、攪拌性を向上させる役目を有する。
【0033】
尚、集光部材26の他端部の径は、ターゲット32の径よりも小さく、かつ、ターゲット32内のフィン40のターゲット32の中心に向かう一端と、ターゲット32の中心とを結んだ距離を半径とする円の内部に重なるように配置されている。このようにすることで、万華鏡の投影画像にフィン40の影が映りこむことを防ぐことが出来るようになる。
【0034】
上記構成のターゲット32は、その外周が図1に示すターゲートホルダ28の複数のローラ34に支持された状態で回転可能に支持される。また、ターゲット32は、図示しない案内レールによって、ローラ34への支持状態から簡単に取り外すことができる構成となっており、例えば、粘性の異なる液体や形状等の異なる被写体小片38が収容された複数種類のターゲット32を交換することが可能となっている。
【0035】
図1に示される如く、ターゲットホルダ28には、モータ42が取り付けられ、装着されたターゲット32を支持する1つのローラ34を回転駆動させるようになっている。このモータ42によるローラ34の回転駆動によりターゲット32が回転する。ターゲットホルダ28に装着されたターゲット32は、鏡筒ユニット44の一端と対向されている。鏡筒ユニット44は、円筒状の鏡筒カバー46と、この鏡筒カバー46に収容された鏡筒本体48(図5参照)と、で構成されている。
【0036】
(鏡筒本体48)
図5に示される如く、鏡筒本体48は、3枚の平面鏡板50を断面が三角形(本実施の形態では二等辺のなす角度が60度より小さい角度の二等辺三角形)となる筒状に組み合わされ、その両端部がフランジ52によって保持されている。なお、それぞれ平面鏡板50は、鏡面が内側となっている。
【0037】
この鏡筒本体48は、その一端面(ターゲット32と対向する開口面)が前記ランプ22の光によって透過したターゲット32内の被写体小片38の透過光が入射されるようになっており、この透過光が鏡面で複数回反射しながら、他端面へ案内される。すなわち、鏡筒本体48の他端面からは、前記複数回の反射により、同一の形(本実施の形態では、鏡筒本体48の断面形状が三角形であるため、この形状)の画像が組み合わされて出力される。
【0038】
図1に示される如く、鏡筒本体48の他端面には、レンズ筒54が取り付けられている。レンズ筒54には、レンズ56が取り付けられ、鏡筒本体48から出力される透過光を所定の焦点位置で合焦させることができるようになっている。また、このレンズ筒54が、前述した本体12の筐体16における他端部に位置するようになっている。
【0039】
ここで、本実施の形態の鏡筒ユニット44は、その軸線が前記集光部材26の軸線(すなわち、ランプ光軸)に対して所定角度傾斜されて配置されている(図2及び図6参照)。この傾斜角度は、自由に調整可能にすることが好ましい。例えば、ターゲットホルダ28側の一端に軸線と直交する方向に回転軸部を設け、レンズ筒54側に回転軸部を中心として回転させるための調整部材を設ける。この鏡筒ユニット44の傾斜は、ランプ22による透過光の明るさの中心点と、万華鏡10による投影画像を観察する観察者の注視点とを近づけるためのものである。
【0040】
すなわち、ランプ22からの光は鏡筒本体48の断面(二等辺三角形)の内側の何れかに反射するが、観察する投影画像は二等辺の間で光が反射を繰り返して二等辺三角形の頂点を中心に円形状に組み合わされてなるため、観察者からは、見た目上当該頂点が注視点となる。ランプ22からの光による明るさの中心と、この注視点を近づけることで、投影画像と光とのバランスがよくなり、見栄えがよくなる。
【0041】
そこで、鏡筒ユニット44の軸線を傾斜させ、ランプ光軸を二等辺三角形の頂点に近づける。その結果、二等辺の間で反射する回数が増え、反射した隣り合う二等辺三角形が明るく表示されるため、ランプ22からの光による明るさの中心を、見た目上頂点付近に移動させることができる。
【0042】
上記のように光源ユニット18、ターゲットホルダ28、鏡筒ユニット44並びにレンズ筒54が収容された前記筐体16に隣接するように取り付けられたフード14には、レンズ筒54から出力される光軸を反射する反射ミラー58が取り付けられている。反射ミラー58は、光軸を略90°偏向可能に取り付けられている。
【0043】
フード14は、回転可能に支持されており、このため、反射ミラー58の向きを変更することで、略水平に出力される投影画像を真横(図1の状態)から真上までの範囲における所望の方向へ案内することが可能となっている。
【0044】
以下に本実施の形態の作用を説明する。まず、複数のターゲット32の中から1つを選択し、ターゲットホルダ28へ装着する。この装着によりターゲット32は、複数のローラ42に支持される。
【0045】
次にランプ22を点灯すると共にモータ42を駆動しターゲット32を回転させる。ランプ22から発光した光は点発光であるため、四方八方へ発光するが、これを集光部材26で受けるため、効率良く光をターゲット32へ案内することができる。
【0046】
ターゲット32では、モータ42の駆動によりローラ34を介して回転力が付与されて回転する。この回転によって、内部に収容された被写体小片38が液体内で沈んだり、浮いたりを繰り返すことになるが、被写体小片38の比重が異なるため、被写体小片38はターゲット32のケース36内で散乱動作する。
【0047】
ところで、ターゲット32には、回転により少なからず遠心力が働くため、被写体小片38がケース36の外周縁に偏ることがあった。そこで、本実施の形態では、ケース36の内周面にフィン40を設け、回転によって、被写体小片38をケース36の中心方向へ送り出す作用を助長した。これにより、被写体小片38を、ケース36の内方空間の全域で均一に散乱動作させることができる。
【0048】
このように被写体小片38が散乱動作をしているターゲット32をランプ22からの光が通過すると、当該被写体小片38の動きに応じた投影画像が、鏡筒本体48に入力すると、投影画像の光は拡散光であるため、内壁の鏡面によって何度も反射し、複数の画像が組み合わされて出力する。
【0049】
鏡筒ユニット46の鏡筒本体48から出力した光(投影画像)は、レンズ筒54のレンズ56を介してフード14の反射ミラー58に反射され、反射方向に備え付けたスクリーン等に投影され、幻想的な画像を観察することができる。
【0050】
ここで、フード14は、回転可能となっており、万華鏡10を移動しなくても投影方向を変更することができる。すなわち、フード14の回転動作により、投影画像を天井に映したいときはフード14内の反射ミラー58によって反射方向を上向きにでき、壁等の映したいときはフード14内の反射ミラー58によって反射方向を横向きにできる。
【0051】
ここで、光軸に沿った光(最も明るい点)は、鏡筒本体48内でも直進し、内壁の鏡面に反射せず出力するため、鏡筒本体48の断面形状の内側の1点(二等辺三角形の内側)となる。一方、投影画像は、鏡筒本体48の断面形状の外周の1点(二等辺三角形の二等辺の頂点)を中心として複数の断面形状が組み合わされた形となっている。この両者の点が離れていればいるほど、光量むらが目立ち、投影画像の見栄えが悪い。
【0052】
そこで、本実施の形態では、鏡筒ユニット46を傾斜させることで、直進する光軸を二等辺三角形の二等辺の頂点に近づけるようにした(図7参照)。図7(A)は鏡筒本体48が傾斜しているときの光の反射状態を示す図であり、図7(B)投影画像と明るさとの関係を示す図である。
【0053】
図7(A)に示される如く、鏡筒ユニット48を傾斜させることで、鏡面で反射せず、直進して出力される光が、二等辺の頂点に近づいているのがわかる。このため、図7(B)に示される如く、明るさの中心(図7(B)に示す円S内の中心A1と、投影画像の中心B1とが比較的近い位置とすることができる。
【0054】
なお、図7(B)のそれぞれの二等辺三角形の中に付した数字は、鏡筒本体48の内壁の鏡面で反射した回数を示す。従って、この数字が小さいほど明るいことになる。また、 なお、図8に、図7の比較例として鏡筒本体48を傾斜させない場合の状態を示した。この場合、図8(B)に示される如く、明るさの中心(図8(B))に示す円Sの中心A2と、当栄画像の中心B2とが比較的離れていることがわかる。
【0055】
以下に本実施の形態の変形例を示す。なお、この変形例は、投影される画像領域の光の均一化を図るものである。すなわち、上記実施の形態において、鏡筒ユニット46(鏡筒本体46)を傾斜させることで投影画像の観察中心と、明るさの中心とを近づけたが、以下の変形例はそれ以外、或いは本実施の形態との組み合わせによって光の均一化を図る手段を示したものである。
【0056】
(変形例1)
変形例1は、前記鏡筒本体48の傾斜角度を所定以上としたことである。図9に示される如く、この所定以上の角度θとは、直進して通過する光を完全になくす程度の角度を言う。この変形1によれば、全ての光を少なくとも1回以上、内壁の鏡面で反射させた後出力されるため、明るさの中心がぼやけ、均一な光量とすることができる。
【0057】
(変形例2)
変形例2は、鏡筒本体48を傾斜させずに、明るさの中心をずらす手段の一例であり、ランプ22の光軸に対して、鏡筒本体48を軸直角方向にずらした。このずらす方向は、鏡面本体48の断面である二等辺三角形の二等辺の頂点と反対方向である。構造的に筐体12に収まらない場合は、鏡筒本体48の外形を小さく構成すればよい。
【0058】
(変形例3)
変形3は、変形例2とは異なる手段による、鏡筒本体48を傾斜させずに、明るさの中心をずらす手段の一例であり、ランプ22自体を集光部材26、ターゲット32、鏡筒本体48の中心からずらした構造であり、最も簡便な構造ということができる。上記変形例1乃至変形例3においても、図12に示される如く、明るさの中心(図12に示す円S内の中心A3と、投影画像の中心B3とが比較的近い位置とすることができる。
【0059】
(変形例4)
変形例4の特徴は、集光部材26によって集光した光を拡散することにある。このため、図13に示される如く、集光部材26の出口側に(実際には、ターゲットホルダ28の板材30に沿って)、光拡散板60を挿入している。光拡散板60は、薄肉板状で、所謂曇りガラスのように光を直接透過せず、表面に設けた凹凸によって透過する光を拡散する役目を有している。これにより、ターゲット32に入射する光は、ターゲット32のケース36の端面の領域内でほぼ均一となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施の形態に係る万華鏡の斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る万華鏡の正面図である。
【図3】本実施の形態に係る万華鏡の平面図である。
【図4】ターゲットを軸線方向から見た正面図である。
【図5】(A)は鏡筒本体の斜視図、(B)は鏡筒本体を軸線方向から見た正面図である。
【図6】フードの斜視図である。
【図7】本実施の形態に係る万華鏡での光の方向を示す万華鏡の正面図、(B)は図7(A)によって投影される投影画像の正面図である。
【図8】図7の比較対照に係る万華鏡での光の方向を示す万華鏡の正面図、(B)は図8(A)によって投影される投影画像の正面図である。
【図9】変形例1に係る万華鏡での光の方向を示す万華鏡の正面図である。
【図10】変形例2に係る万華鏡での光の方向を示す万華鏡の正面図である。
【図11】変形例3に係る万華鏡での光の方向を示す万華鏡の正面図である。
【図12】変形例1乃至変形例3における投影画像の正面図である。
【図13】変形例4に係る万華鏡の斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
10 万華鏡
12 本体
14 フード
16 筐体
18 光源ユニット(光源)
20 電源基板
22 ランプ
24 放熱部材
26 集光部材
28 ターゲットホルダー
30 板材
30A 円孔
32 ターゲット
34 ローラ
36 ケース
38 被写体小片
40 フィン
42 モータ
44 鏡筒ユニット
46 鏡筒カバー
48 鏡筒本体
50 平面鏡板
52 フランジ
54 レンズ筒
56 レンズ
58 反射ミラー
60 光拡散板(変形例4)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、反射面を内側にして多角形に配置された複数の鏡面を含む筒体と、前記光源と前筒体との間に着脱可能に装着されるターゲットとを備えた万華鏡であって、
前記万華鏡はさらに装着されたターゲットを回転駆動する機構を備えてなり、
前記ターゲットは、円板状透明ケースと、該ケース内に収納された液体と該液体内を移動する可能に収納された被写体小片群と、前記円板状ケースの円板側壁から内部に向かって突出して設けられた複数のフィンを備え、
前記複数のフィンは、前記回転機構により前記ターゲットが回動するとき、前記円板側壁近くを移動する前記液体および前記被写体小片群の移動方向を円板状ケースの内側に向かう方向に誘導するように構成されてなり、
前記円板状ケース内を移動する前記被写体小片群が前記鏡面に映され前記筒体から観察可能に構成されたことを特徴とする万華鏡。
【請求項2】
前記被写体小片群は比重の異なる小片群を含むことを特徴とする請求項1記載の万華鏡。
【請求項3】
前記液体に少なくとも一つの気泡を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の万華鏡。
【請求項4】
前記光源が配置された側とは反対側の前記筒体の出口側に前記筒体から出る光の方向を変更する投影手段を回転可能に配置し、前記光方向変更手段からの光の投影像を観察するように構成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の万華鏡。
【請求項5】
前記筒体は、前記光源が配置された側とは反対側の前記筒体の前記出口が垂直面において回転可能に構成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の万華鏡。
【請求項6】
光源と、反射面を内側にして多角形に配置された複数の鏡面を含む筒体と、前記光源と前記筒体との間に着脱可能に装着されるターゲットとを備えた万華鏡であって、
前記ターゲットは、円板状透明ケースと、該ケース内に収納された液体と該液体内を移動可能に収納された被写体小片群と、を備え、
前記装着されたターゲットを回転駆動する機構と、前記光源が配置された側とは反対の前記筒体の出口側に回動可能に配置された前記筒体から出る光の方向を変更する投影手段と、をさらに備えてなり、
前記円板状ケース内を移動する前記被写体小片群が前記鏡面に映され前記光方向変更手段によって投影された投影像を観察するように構成されてなることを特徴とする万華鏡。
【請求項7】
光源と、反射面を内側にして多角形に配置された複数の鏡面を含む筒体と、前記光源と前記筒体との間に着脱可能に装着されるターゲットとを備えた万華鏡であって、
前記ターゲットは、円板状透明ケースと、該ケース内に収納された液体と該液体内を移動可能に収納された被写体小片群と、を備え、
前記光源から前記筒体の入口へ入り、前記鏡面によって反射され、当該筒体の出口側から出力される光が、当該出口開口面領域内で均一となるように、前記光源の光軸を配置したことを特徴とする万華鏡。
【請求項8】
前記筒体が、光源の光軸に対して所定角度傾斜させ、前記筒体内で全ての光を鏡面で反射させることを特徴とする請求項6記載の万華鏡。
【請求項9】
前記筒体の軸線と、光源の光軸とが、互いに軸直角方向にオフセットされて配置されていることを特徴とする請求項6記載の万華鏡。
【請求項10】
前記筒体が、頂点が長さの等しい二辺の挟角が鋭角とされた二等辺三角形であり、前記光源の光軸が前記二等辺三角形の重心よりも前記頂点寄りに配置されていることを特徴とする請求項6記載の万華鏡。
【請求項11】
前記光源が、主構成部材として、発散光の発光点である点発光部と、点発光部から発光した光を所定の領域に集光する集光筒と、を備えると共に、さらに前記集光筒の出口開口部に光拡散板が着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項6乃至請求項9の何れか1項記載の万華鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−176241(P2008−176241A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12005(P2007−12005)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(599064214)株式会社セガ トイズ (32)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】