説明

投影装置、投影方法及びプログラム

【課題】設置角度により筐体の側方に突出したコネクタが台と干渉するのを回避する。
【解決手段】本体筐体10aと、本体筐体10aの外面に形成され、外部機器からの画像信号を伝送するケーブル先端のコネクタを接続する入出力コネクタ部11と、本体筐体10aの下面に配設され、それぞれ伸縮自在にして上記本体筐体を支持する4本の電動脚部35a〜35d,34a〜34d,33a〜33dと、入出力コネクタ部11より入力した画像信号に応じた光像を形成して投影する投影系13〜24と、本体筐体10aの姿勢の変化を指示する操作部28と、指示した変化後の本体筐体の姿勢が所定の傾斜値を超えているか否かを判断し、その判断結果により操作部28での指示内容に加えて電動脚部35a〜35d,34a〜34d,33a〜33dの全てを一律に伸縮させる制御系25〜27,29,31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動脚部により投影方向を調整可能なプロジェクタに好適な投影装置、投影方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロジェクタ装置で電動の脚部を伸縮して姿勢を制御することで、投影方向の調整を行なう技術が考えられていた。(例えば、特許文献1)
【特許文献1】特開2000−241875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、パーソナルコンピュータと併用してプレゼンテーション等に多く用いられること等により携帯性が要求されることもあり、プロジェクタ装置の筐体も薄型化することが求められている。電源ケーブルや画像信号を入力するケーブルを接続するためのコネクタ部は、通常、筐体の投影レンズが配置されている面とは反対の背面側に設けられることが多い。そのため、プロジェクタ装置の筐体が薄型化されることにより、上記コネクタ部も筐体底面から低い位置に配置せざるを得なくなる。
【0004】
このようなプロジェクタ装置を、特に投影対象となるスクリーンに対してプロジェクタ装置を接地する台の位置が近く、且つスクリーンに比して上記台の位置が低いような投影環境で使用する場合、前側の脚部を長く伸ばして投影方向の仰角が大きく設定する必要があり、そのためにプロジェクタ装置の筐体背面から突出するケーブルのコネクタ部が台と干渉して、投影方向の調整が困難となる場合も多々考えられる。
【0005】
この点で、プロジェクタ装置の投影方向を手動で脚部の長さを調整して設定するような場合であれば、ユーザはプロジェクタ装置を直接操作しうる近い位置にいることになり、対処も容易となる。
【0006】
一方で上記特許文献1に記載された技術に代表されるように、電動で伸縮する脚部を有するプロジェクタ装置の場合、ユーザはそのプロジェクタ装置用のリモートコントローラによりプロジェクタ装置の投影方向を遠隔操作しているケースもあるため、上述した如く背面から突出したコネクタにより投影方向の調整が制限されてしまうような状況では、その都度プロジェクタ装置の位置まで移動して、例えばプロジェクタ装置の後側の下に手近な書籍等をあてがうなど、本来ユーザの調整作業を簡易化するべく電動式の脚部を備えるにも拘わらず、煩雑な作業が必要となるという不具合があった。
【0007】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、設置角度により筐体の側方に突出したコネクタが台と干渉するのを回避することが可能な投影装置、投影方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、装置の本体筐体と、上記本体筐体の外面に形成されたコネクタと、上記本体筐体の下面に配設され、それぞれ伸縮自在にして上記本体筐体を支持する、少なくとも3本以上の電動脚部と、画像信号に応じた光像を形成して投影する投影手段と、上記電動脚部を伸縮して上記本体筐体の姿勢の変化を指示する指示手段と、上記指示手段で指示した変化後の上記本体筐体の姿勢が所定の傾斜値を超えているか否かを判断する判断手段と、上記判断手段での判断結果により上記指示手段での指示内容に加えて上記電動脚部の全てを一律に伸縮させる脚部制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記判断手段での判断基準となる所定の傾斜値は、上記本体筐体側コネクタの位置、及び本体筐体側コネクタに接続されて上記本体筐体の外面より突出するケーブル側コネクタの突出量により定まることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、上記本体筐体側コネクタは、複数種類の形状及び突出量のコネクタを接続可能であり、上記判断手段は、上記本体筐体側コネクタに接続されるケーブル側コネクタの位置及び突出量により上記所定の傾斜値を可変設定することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明において、上記本体筐体側コネクタに接続するケーブル側コネクタの種類を選択的に設定する選択手段をさらに具備し、上記判断手段は、上記選択手段での選択内容に応じて上記所定の傾斜値を可変設定することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、上記請求項3記載の発明において、上記本体筐体側コネクタに入力される画像信号の有無により接続されているケーブル側コネクタの種類を自動的に判別する判別手段をさらに具備し、上記判断手段は、上記判別手段での判別内容に応じて上記所定の傾斜値を可変設定することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、本体筐体、上記本体筐体の外面に形成されたコネクタ、上記本体筐体の下面に配設され、それぞれ伸縮自在にして上記本体筐体を支持する、少なくとも3本以上の電動脚部、画像信号に応じた光像を形成して投影する投影部を備えた投影装置での投影方法であって、上記電動脚部を伸縮して上記本体筐体の姿勢の変化を指示する指示工程と、上記指示工程で指示した変化後の上記本体筐体の姿勢が所定の傾斜値を超えているか否かを判断する判断工程と、上記判断工程での判断結果により上記指示工程での指示内容に加えて上記電動脚部の全てを一律に伸縮させる脚部制御工程とを有したことを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、本体筐体、上記本体筐体の外面に形成されたコネクタ、上記本体筐体の下面に配設され、それぞれ伸縮自在にして上記本体筐体を支持する、少なくとも3本以上の電動脚部、画像信号に応じた光像を形成して投影する投影部を備えた投影装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、上記電動脚部を伸縮して上記本体筐体の姿勢の変化を指示する指示ステップと、上記指示ステップで指示した変化後の上記本体筐体の姿勢が所定の傾斜値を超えているか否かを判断する判断ステップと、上記判断ステップでの判断結果により上記指示ステップでの指示内容に加えて上記電動脚部の全てを一律に伸縮させる脚部制御ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、設置角度により筐体の側方に突出したコネクタが台と干渉するのを回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下本発明をフィールド・シーケンシャル方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、同実施形態に係るデータプロジェクタ装置10が備える電子回路の機能構成を示すブロック図である。
同図で、11はデータプロジェクタ装置10の本体ケーシング背面側に設けられる入出力コネクタ部であり、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、D−sub15タイプのRGB入力端子、及びUSB端子からなる。
【0018】
入出力コネクタ部11より入力される各種規格の画像信号は、入出力インタフェース12(I/F)12、システムバスSBを介して画像変換部13に送られる。画像変換部13は、一般にスケーラとも称されるもので、送られてきた画像信号に対して解像度数、階調数等を含む投影に適した所定のフォーマットの画像信号に統一した後に、投影画像処理部14へ送る。
【0019】
この際、OSD(On Screen Display)用の文字画像やポインタ等の記号も必要に応じて画像信号上に重畳加工された状態で投影画像処理部14へ送られる。
【0020】
投影画像処理部14は、送られてきた画像信号から、フレームレート、例えば60[フレーム/秒]と、色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子(SOM)であるマイクロミラー素子15を表示駆動する。
【0021】
このマイクロミラー素子15は、アレイ状に配列された複数、例えばXGA(横1024×縦768ドット)分の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作することでその反射光により光像を形成する。
【0022】
一方で、LEDアレイ16はRGBの各色で発光する多数のLEDが混在するように規則的にアレイ配置して構成されるもので、その各色成分毎の時分割による発光が、内面全面に反射ミラーを貼設した角錐台状のハウジング17により集光され、インテグレータ18で輝度分布が均一な光束とされた後に、ミラー19で全反射して上記マイクロミラー素子15に照射される。
【0023】
そして、マイクロミラー素子15での反射光で光像が形成され、形成された光像が投影レンズユニット20を介して、投影対象となるここでは図示しないスクリーンに投影表示される。
【0024】
上記投影レンズユニット20は、合焦位置及びズーム位置(投影画角)を任意に可変できるものとする。すなわち、投影レンズユニット20を構成する複数の光学レンズ中、図示しないフォーカスレンズ及びズームレンズがそれぞれ光軸方向に沿って前後に移動することで合焦位置及びズーム位置が個別に制御される。
【0025】
上記LEDアレイ16は、Rドライバ21、Gドライバ22、及びBドライバ23によりそれぞれ対応する色のLED群が一括して駆動制御され、RGBの各原色を時分割で発光する。
【0026】
上記Rドライバ21、Gドライバ22、及びBドライバ23は、投影光処理部24からの制御信号に基づいたタイミング及び駆動電流でLEDアレイ16を構成する個々の色成分のLED群を発光する。
【0027】
投影光処理部24は、上記投影画像処理部14から与えられる画像データに応じて上記Rドライバ21、Gドライバ22、及びBドライバ23による発光タイミングと駆動電流とを制御する。
【0028】
上記各回路の動作すべてをCPU25が制御する。このCPU25は、DRAMで構成されたメインメモリ26、及び動作プログラムや各種定型データ等を記憶した電気的書換可能な不揮発性メモリでなるプログラムメモリ27を用いてこのデータプロジェクタ装置10内の制御動作を実行する。
【0029】
上記CPU25は、操作部28からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。この操作部28は、データプロジェクタ装置10の本体に設けられるキー操作部と、このデータプロジェクタ装置10専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受信するレーザ受光部を含み、ユーザが直接またはリモートコントローラを介して操作したキーに基づくキー操作信号をCPU25へ直接出力する。
【0030】
ここで操作部28を構成する上記キー操作部及びリモートコントローラはいずれも、例えば電源のオン/オフを指示する電源キー、各種設定メニュー項目の投影を指示するメニューキー、投影画像中のポインタや各種項目選択状態での移動方向を指示するカーソル(上下左右)キー、選択した項目の設定を指示するエンターキー、選択状態の解除を指示するキャンセルキー、上記投影レンズユニット20での投影方向の変更を指示する「チルト+(プラス)」キー、「チルト−(マイナス)」キー等を備えるものとする。
【0031】
上記CPU25はさらに、上記システムバスSBを介して角加速度センサ29、音声処理部30、及び姿勢処理部31と接続される。
【0032】
角加速度センサ29は、例えば3軸角加速度センサで構成され、このデータプロジェクタ装置10の載置されている姿勢角が変化した場合のヨー、ピッチ、及びロールの各変化量を検出して検出結果をCPU25へ出力する。
【0033】
音声処理部30は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ部32を駆動して拡声放音する一方で、必要によりビープ音等を発生させる。
【0034】
姿勢処理部31は、上記CPU25の制御の下に例えば4つのモータ(M)33a〜33dの回動制御を行なうことにより、各モータ33a〜33dに直結されたギヤ部34a〜34dを介して調整脚部35a〜35dの長さを個別に調整可能する。ここで調整脚部35a〜35dは、データプロジェクタ装置10の筐体底面の矩形の各コーナー部に配設される。
【0035】
姿勢処理部31は、上記投影レンズユニット20が形成された装置前面寄りの調整脚部35a,35bの長さと、上記入出力コネクタ部が形成された装置背面寄りの調整脚部35c,35dの長さとを揃えて調整するようにモータ33a,33bと33c,33dの回動制御を行なうことで、データプロジェクタ装置10の筐体の仰角を制御して、投影レンズユニット20より投影される画像の左右の傾きを変えることなく、投影レンズユニット20の投影光軸を上下させることができる。
【0036】
次に上記実施形態の動作について説明する。
図2は、電源投入後の主として投影動作と投影方向の変更に関する処理内容を抽出して示すものであり、その制御についてはCPU25がプログラムメモリ27に記憶されている動作プログラムを読出してメインメモリ26に展開することで実行する。
【0037】
その当初に、入出力コネクタ部11に入力される画像信号に基づいてマイクロミラー素子15で対応する光像を形成し、投影レンズユニット20より投影対象の図示しないスクリーンに向けて投影を行なう(ステップS101)。
【0038】
その一方で、操作部28の「チルト+(プラス)」キーまたは「チルト−(マイナス)」キーが操作されたか否かを判断し(ステップS102)、操作されていなければ再び上記ステップS101からの処理に戻る。
こうしてステップS101,S102の処理を繰返し実行することにより、投影動作を行ないながら、合わせて操作部28の「チルト+(プラス)」キーまたは「チルト−(マイナス)」キーが操作されるのを待機する。
【0039】
操作部28の「チルト+(プラス)」キーまたは「チルト−(マイナス)」キーが操作された場合、ステップS102でそれを判断すると、次に操作されたのが「チルト+(プラス)」キーであるか否かを判断する(ステップS103)。
【0040】
ここで「チルト+(プラス)」キーが操作されたのではないと判断すると、操作されたのは「チルト−(マイナス)」キーであることとなるので、次にその時点での前側の調整脚部35a,35bの長さがそれ以上の圧縮が不可能な限界値となっているか否かにより、それ以上の前側の調整脚部35a,35bの長さを縮めることが不可能であるか否かを判断する(ステップS104)。
【0041】
このとき、それ以上前側の調整脚部35a,35bの長さを縮めることが不可能であると判断した場合には、「チルト−(マイナス)」キーの操作をNOP(無効)としてそのまま上記ステップS101からの処理に戻る。
【0042】
また、ステップS104でまだ前側の調整脚部35a,35bの長さを縮めることが可能であると判断した場合には、「チルト−(マイナス)」キーの操作にしたがって前側の調整脚部35a,35bの長さが一定長Dだけ縮むように姿勢処理部31でモータ33a,33bを回動制御させた上で(ステップS105)、再び上記ステップS101からの処理に戻る。
【0043】
さらに、上記ステップS103で「チルト+(プラス)」キーが操作されたと判断した場合は、次にその時点での前側の調整脚部35a,35bの長さがそれ以上の伸長が不可能な限界値となっているか否かにより、それ以上の前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすことが不可能であるか否かを判断する(ステップS106)。
【0044】
このとき、それ以上前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすことが不可能であると判断した場合には、「チルト+(プラス)」キーの操作をNOP(無効)としてそのまま上記ステップS101からの処理に戻る。
【0045】
また、ステップS106でまだ前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすことが可能であると判断した場合には、次いで前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすことにより、このデータプロジェクタ装置10で予め設定されている所定の仰角Aeを超えることになるか否かを、角加速度センサ29より検出する現在の姿勢角度を参照して判断する(ステップS107)。
【0046】
図3は、このデータプロジェクタ装置10の本体筐体10aの前側の調整脚部35a,35bを後側の調整脚部35c,35dより長く伸ばした状態での姿勢を例示するものである。
同図中、机等の台PF上に載置した本体筐体10aにおいて、入出力コネクタ部11に接続する図示しないケーブル先端のコネクタCの中心軸の延長線上で台PFと交差する点を3Bとし、該延長線と台PFとのなす角をθとする。
【0047】
さらに、点3Bから後側の調整脚部35c,35dの設置中心点までの距離を3C、後側の調整脚部35c,35dの設置中心点から前側の調整脚部35a,35bの設置中心点までの距離を3Aとし、コネクタCの中心軸の延長線上で、後側の調整脚部35c,35dの中心軸に対応した交差点位置の高さをB、前側の調整脚部35a,35bの中心軸に対応した交差点位置の高さをFとすると、
3C/B=tanθ,(3A+3C)/F=tanθ,
F/B=(tanθ×3A)/(tanθ/(3A+3C))
=(3C+3A)/3C
となり、ゆえに
前脚:後脚=1:3C/(3C+3A)
となって、このような前後調整脚部の駆動量と、同図中のコネクタCが確実に台PFと干渉する距離3Cにより、実際に入出力コネクタ部11に装着されるケーブル側のコネクタCの長さを勘案すると、データプロジェクタ装置10の本体筐体10aでの所定の仰角Aeを予め設定しておくことができる。
【0048】
しかして、上記ステップS107で前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばしても、このデータプロジェクタ装置10の本体筐体10aに対して予め設定されている所定の仰角Aeを超えることにはならないと判断した場合には、「チルト+(プラス)」キーの操作にしたがって前側の調整脚部35a,35bの長さが一定長Dだけ伸びるように姿勢処理部31でモータ33a,33bを回動制御させた上で(ステップS109)、再び上記ステップS101からの処理に戻る。
【0049】
図4(A)はこのときのデータプロジェクタ装置10の姿勢を簡略化して示すもので、前側の調整脚部35a,35bのみが伸びてデータプロジェクタ装置10の本体筐体10aの仰角が調整されている。
【0050】
また、上記ステップS107で前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすと、このデータプロジェクタ装置10の本体筐体10aで予め設定されている所定の仰角Aeを超えることになると判断した場合には、「チルト+(プラス)」キーの操作にしたがって、前側の調整脚部35a,35bの長さが一定長Dに加えて所定のリフト量L分さらに伸びるように姿勢処理部31でモータ33a,33bを回動制御させると共に、後側の調整脚部35c,35dの長さも上記所定のリフト量L分だけ伸びるように姿勢処理部31でモータ33c,33dを回動制御させた上で(ステップS108)、再び上記ステップS101からの処理に戻る。
【0051】
図4(B)はこのときのデータプロジェクタ装置10の本体筐体10aの姿勢を簡略化して示すもので、前側の調整脚部35a,35bが所定量Dだけ伸びてデータプロジェクタ装置10の仰角が調整されると共に、前側の調整脚部35a,35bと後側の調整脚部35c,35dが共に所定のリフト量Lだけ伸びるように共に調整されることにより、本体筐体10aの背面から突出して本来は台PFと干渉する筈のコネクタCが、台PFとの間に充分なクリアランスを有していることがわかる。
【0052】
以上詳記した如く本実施形態によれば、設置角度により本体筐体10aの例えば背面側より突出したコネクタCが設置されている台PFと干渉するのを確実に回避することが可能となる。
【0053】
また、上記実施形態では、判断基準となる所定の傾斜値(仰角Ae)に関し、データプロジェクタ装置10の本体筐体10a側コネクタ部11の位置と、入出力コネクタ部11に接続されて本体筐体10aの外面より突出するケーブル側のコネクタCの突出量により定まるものとしたので、上記所定のリフト量Lをもって前側の調整脚部35a,35bと後側の調整脚部35c,35dを同様に伸ばすタイミングを正確に判断することができ、限りがある調整脚部35a〜35dの長さを有効に活用して、調整可能な範囲を最大限に適用できる。
【0054】
(第2の実施の形態)
以下本発明をフィールド・シーケンシャル方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
なお、同実施形態に係るデータプロジェクタ装置が備える電子回路の機能構成については、上記図1に示したものと基本的に同様であるため、同一部分には同一符号を付加するものとして、その図示と説明とを省略する。
【0055】
なお本実施形態では、入出力コネクタ部11に接続するケーブルのコネクタに関し、メニュー動作からのキー操作によりユーザが任意に設定所定のCPU25に認識させることが可能であるものとする。
【0056】
次に上記実施形態の動作について説明する。
図5は、電源投入後の主として投影動作と投影方向の変更に関する処理内容を抽出して示すものであり、その制御についてはCPU25がプログラムメモリ27に記憶されている動作プログラムを読出してメインメモリ26に展開することで実行する。
【0057】
その当初に、入出力コネクタ部11に入力される画像信号に基づいてマイクロミラー素子15で対応する光像を形成し、投影レンズユニット20より投影対象の図示しないスクリーンに向けて投影を行なう(ステップS201)。
【0058】
その一方で、操作部28のメニューキーが操作されたか否かを判断し(ステップS202)、操作されていなければさらに「チルト+(プラス)」キーまたは「チルト−(マイナス)」キーが操作されたか否かを判断する(ステップS102)。これらがいずれも操作されていなければ、再び上記ステップS201からの処理に戻る。
こうしてステップS201〜S203の処理を繰返し実行することにより、投影動作を行ないながら、合わせて操作部28のメニューキー、「チルト+(プラス)」キーまたは「チルト−(マイナス)」キーが操作されるのを待機する。
【0059】
操作部28のメニューキーが操作された場合、ステップS202でそれを判断し、次にサブメニュー項目中から「入力切換」が選択されるか否かを判断する(ステップS204)。
【0060】
ここで、「入力切換」以外のサブメニューが選択された場合には、本実施形態には直接関係しないものとして、その選択された内容に応じた適切に処理を行なうものとし、以下の詳細な説明を省略する。
【0061】
一方で、上記ステップS204で「入力切換」が選択されたと判断した場合には、次いでそれまでの入力される画像信号に応じた投影に代えて、あるいは少なくとも画面の一部を用いて、入力切換メニューを投影して(ステップS205)、その投影に対する切換操作を受付ける。
【0062】
ここで操作部28でのカーソルキーの操作が行なわれると、そのキー操作に応じて入力信号を切換えて選択状態とする(ステップS206)。
【0063】
図6は、このとき選択される内容と入力切換メニューでの選択状態とを例示するもので、ここではコネクタ等を一切接続しない「無し」、D−sub15タイプのRGB入力端子を接続する「RGB」、ピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子を接続する「ビデオ」、及びUSB端子を接続する「USB」のいずれかの選択を行なうものとする。
【0064】
こうして入力切換の選択ことで、当然ながら入出力コネクタ部11に実際に接続するコネクタの形状及びサイズも容易に類推可能であるものとし、選択されたコネクタの種類に応じた仰角AeXを設定する(ステップS207)。
【0065】
ここで、入力切換の内容に応じた接続されるコネクタのサイズは図6に示す通りであり、コネクタのサイズが大きいほど、本体筐体10aの仰角を大きくした時に台PFとコネクタCの先端とが干渉してしまう限界が低いため、仰角AeXを寄り低い値に設定する。
【0066】
こうしてコネクタの種類に応じた仰角AeXを設定を終えると、再び上記ステップS201からの処理に戻る。
【0067】
また、上記ステップS203で操作部28の「チルト+(プラス)」キーまたは「チルト−(マイナス)」キーが操作されたと判断した場合には、次に操作されたのが「チルト+(プラス)」キーであるか否かを判断する(ステップS208)。
【0068】
ここで「チルト+(プラス)」キーが操作されたのではないと判断すると、操作されたのは「チルト−(マイナス)」キーであることとなるので、次にその時点での前側の調整脚部35a,35bの長さがそれ以上の圧縮が不可能な限界値となっているか否かにより、それ以上の前側の調整脚部35a,35bの長さを縮めることが不可能であるか否かを判断する(ステップS209)。
【0069】
このとき、それ以上前側の調整脚部35a,35bの長さを縮めることが不可能であると判断した場合には、「チルト−(マイナス)」キーの操作をNOP(無効)としてそのまま上記ステップS201からの処理に戻る。
【0070】
また、ステップS209でまだ前側の調整脚部35a,35bの長さを縮めることが可能であると判断した場合には、「チルト−(マイナス)」キーの操作にしたがって前側の調整脚部35a,35bの長さが一定長Dだけ縮むように姿勢処理部31でモータ33a,33bを回動制御させた上で(ステップS210)、再び上記ステップS201からの処理に戻る。
【0071】
さらに、上記ステップS208で「チルト+(プラス)」キーが操作されたと判断した場合は、次にその時点での前側の調整脚部35a,35bの長さがそれ以上の伸長が不可能な限界値となっているか否かにより、それ以上の前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすことが不可能であるか否かを判断する(ステップS211)。
【0072】
このとき、それ以上前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすことが不可能であると判断した場合には、「チルト+(プラス)」キーの操作をNOP(無効)としてそのまま上記ステップS201からの処理に戻る。
【0073】
また、ステップS211でまだ前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすことが可能であると判断した場合には、次いで前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすことにより、このデータプロジェクタ装置10で予め設定されているコネクタCの種類に対応した所定の仰角AeXを超えることになるか否かを、角加速度センサ29から検出する現時点での姿勢角度を参照して判断する(ステップS212)。
【0074】
このデータプロジェクタ装置10の本体筐体10aの前側の調整脚部35a,35bを後側の調整脚部35c,35dより長く伸ばした状態での姿勢については上記図3にて説明した通りであり、データプロジェクタ装置10のデータプロジェクタ装置10の大きさと入出力コネクタ部11の位置、及び入出力コネクタ部11に接続されるケーブル側のコネクタCの種類により、上記所定の仰角AeXを予め設定しておくことができる。
【0075】
しかして、上記ステップS212で前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばしても、このデータプロジェクタ装置10の本体筐体10aに対して予め設定されている所定の仰角AeXを超えることにはならないと判断した場合には、「チルト+(プラス)」キーの操作にしたがって前側の調整脚部35a,35bの長さが一定長Dだけ伸びるように姿勢処理部31でモータ33a,33bを回動制御させた上で(ステップS214)、再び上記ステップS201からの処理に戻る。
【0076】
また、上記ステップS212で前側の調整脚部35a,35bの長さを伸ばすと、このデータプロジェクタ装置10の本体筐体10aで予め設定されているコネクタCの種類に対応した所定の仰角AeXを超えることになると判断した場合には、「チルト+(プラス)」キーの操作にしたがって、前側の調整脚部35a,35bの長さが一定長Dに加えて所定のリフト量L分さらに伸びるように姿勢処理部31でモータ33a,33bを回動制御させると共に、後側の調整脚部35c,35dの長さも上記所定のリフト量L分だけ伸びるように姿勢処理部31でモータ33c,33dを回動制御させた上で(ステップS213)、再び上記ステップS201からの処理に戻る。
【0077】
上記図6に示した如くコネクタCとして接続されるサイズが大きくなるほど、前側の調整脚部35a,35bが所定量Dだけ伸びてデータプロジェクタ装置10の仰角が調整されると共に、早いタイミングで前側の調整脚部35a,35bと後側の調整脚部35c,35dが共に所定のリフト量Lだけ伸びるように共に調整されることにより、結果としてコネクタC側の距離3Cが長くなるように調整される。
【0078】
以上詳記した如く本実施形態によれば、入出力コネクタ部11に接続可能な複数のコネクタ中、実際に接続されるものに対応して、しきい値となる所定の仰角AeXの値を可変設定するため、実際に接続されるコネクタCの形状とサイズに則して、上記所定のリフト量Lをもって前側の調整脚部35a,35bと後側の調整脚部35c,35dを同様に伸ばすタイミングを正確に判断することができ、限りがある調整脚部35a〜35dの長さを有効に活用して、調整可能な範囲を最大限に適用できる。
【0079】
その場合、入出力コネクタ部11に接続されるコネクタCの種類を選択することでその選択内容に応じて上記所定の仰角AeXの値を可変設定するものとしたので、簡易な操作ながら確実にコネクタCの種類に対応した上記所定の仰角AeXの値を設定することができる。
【0080】
なお、上記実施形態では説明しなかったが、上記第2の実施の形態で説明したようにユーザ自身が入出力コネクタ部11に接続されるケーブル側のコネクタCを選択するのではなく、入出力コネクタ部11より入力されている画像信号をCPU25が判断することで、入力される画像信号から入出力コネクタ部11で接続されているコネクタCを自動的に判別し、その判別結果に基づいて上記所定の仰角AeXの値を可変設定するものとし手もよい。
【0081】
このようにCPU25により自動判別を行なうことで、ユーザに一切の手間を煩わせることなく、きわめて確実にコネクタCの種類に対応した上記所定の仰角AeXの値を設定することができる。
【0082】
なお、上記第1及び第2の実施の形態は、フィールド・シーケンシャル方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合について説明したものであるが、本発明は光像を形成する素子等や入力される画像信号の種類、入力されるケーブルのコネクタ形状等を限定するものではなく、その他の投影装置にも同様に適用可能となる。
【0083】
また、本体筐体10aの外面より突出するケーブル側のコネクタCは入出力コネクタ部11に接続するコネクタに限らず、電源ケーブルなど、様々なケーブル側のコネクタであってもよい。さらに、接続するものはコネクタCに代わってUSBメモリなどの外部メモリであってもよい。
【0084】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプロジェクタ装置の電子回路の機能構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係る主として投影方向のチルト制御に関する処理内容を示すフローチャート。
【図3】同実施形態に係る本体筐体の前側の調整脚部を後側の調整脚部より長く伸ばした状態での姿勢を例示する図。
【図4】同実施形態に係る本体筐体の姿勢を簡略化して示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る主として投影方向のチルト制御に関する処理内容を示すフローチャート。
【図6】同実施形態に係るコネクタ選択メニューでの選択例示す図。
【符号の説明】
【0086】
10…データプロジェクタ装置、10a…本体筐体、11…入出力コネクタ部、12…入出力インタフェース(I/F)、13…画像変換部、14…投影画像処理部、15…マイクロミラー素子、16…LEDアレイ、17…ハウジング、18…インテグレータ、19…ミラー、20…投影レンズユニット、21…Rドライバ、22…Gドライバ、23…Bドライバ、24…投影光処理部、25…CPU、26…メインメモリ26、27…プログラムメモリ、28…操作部、29…角加速度センサ、30…音声処理部、31…姿勢処理部、32…スピーカ部、33a〜33d…モータ(M)、34a〜34d…ギヤ部(G)、35a〜35d…調整脚部、C…(ケーブル側)コネクタ、PF…台、SB…システムバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の本体筐体と、
上記本体筐体の外面に形成されたコネクタと、
上記本体筐体の下面に配設され、それぞれ伸縮自在にして上記本体筐体を支持する、少なくとも3本以上の電動脚部と、
画像信号に応じた光像を形成して投影する投影手段と、
上記電動脚部を伸縮しての上記本体筐体の姿勢の変化を指示する指示手段と、
上記指示手段で指示した変化後の上記本体筐体の姿勢が所定の傾斜値を超えているか否かを判断する判断手段と、
上記判断手段での判断結果により上記指示手段での指示内容に加えて上記電動脚部の全てを一律に伸縮させる脚部制御手段と
を具備したことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
上記判断手段での判断基準となる所定の傾斜値は、上記本体筐体側コネクタの位置、及び本体筐体側コネクタに接続されて上記本体筐体の外面より突出するケーブル側コネクタの突出量により定まることを特徴とする請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
上記本体筐体側コネクタは、複数種類の形状及び突出量のコネクタを接続可能であり、
上記判断手段は、上記本体筐体側コネクタに接続されるケーブル側コネクタの位置及び突出量により上記所定の傾斜値を可変設定する
ことを特徴とする請求項2記載の投影装置。
【請求項4】
上記本体筐体側コネクタに接続するケーブル側コネクタの種類を選択的に設定する選択手段をさらに具備し、
上記判断手段は、上記選択手段での選択内容に応じて上記所定の傾斜値を可変設定する
ことを特徴とする請求項3記載の投影装置。
【請求項5】
上記本体筐体側コネクタに入力される画像信号の有無により接続されているケーブル側コネクタの種類を自動的に判別する判別手段をさらに具備し、
上記判断手段は、上記判別手段での判別内容に応じて上記所定の傾斜値を可変設定する
ことを特徴とする請求項3記載の投影装置。
【請求項6】
本体筐体、上記本体筐体の外面に形成されたコネクタ、上記本体筐体の下面に配設され、それぞれ伸縮自在にして上記本体筐体を支持する、少なくとも3本以上の電動脚部、画像信号に応じた光像を形成して投影する投影部を備えた投影装置での投影方法であって、
上記電動脚部を伸縮しての上記本体筐体の姿勢の変化を指示する指示工程と、
上記指示工程で指示した変化後の上記本体筐体の姿勢が所定の傾斜値を超えているか否かを判断する判断工程と、
上記判断工程での判断結果により上記指示工程での指示内容に加えて上記電動脚部の全てを一律に伸縮させる脚部制御工程と
を有したことを特徴とする投影方法。
【請求項7】
本体筐体、上記本体筐体の外面に形成されたコネクタ、上記本体筐体の下面に配設され、それぞれ伸縮自在にして上記本体筐体を支持する、少なくとも3本以上の電動脚部、画像信号に応じた光像を形成して投影する投影部を備えた投影装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、
上記電動脚部を伸縮しての上記本体筐体の姿勢の変化する指示する指示ステップと、
上記指示ステップで指示した変化後の上記本体筐体の姿勢が所定の傾斜値を超えているか否かを判断する判断ステップと、
上記判断ステップでの判断結果により上記指示ステップでの指示内容に加えて上記電動脚部の全てを一律に伸縮させる脚部制御ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−244410(P2009−244410A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88679(P2008−88679)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】