説明

抗−CCR2抗体及びその使用方法

【課題】本発明は、新規のヒトCC−ケモカインレセプター、それに対する抗体またはその抗原結合フラグメント、およびこれらを含む薬学的組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題は、哺乳動物(例えば、ヒト)のCC−ケモカインレセプター(2)(CCR2)を単離し、CCR2又はレセプターの一部に結合し、レセプターへのリガンドの結合をブロックする抗体又はその機能的フラグメントを単離することによって達成された。本発明はさらに、哺乳動物のCCR2を産生する細胞とそのリガンドとの相互作用を阻害する方法、並びに予防法及び診断方法における抗体及びフラグメントの使用も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、1998年7月23日に提出された米国特許出願番号第09/12
1/781号の一部継続出願である。その全体の教示は、本明細書中でその全体
において本明細書中で参考として援用されている。
【背景技術】
【0002】
ケモカインと呼ばれる、白血球化学接着因子/活性化因子の拡大しつつあるファミリーが最近の数年間で記載されている(非特許文献1〜3)。このファミリーのメンバーは、IL−1β又はTNFαのような初期の炎症媒介因子に応答する多くの細胞型によって産生され、そして分泌される。ケモカインスーパーファミリーは、2つの主鎖:α−ケモカイン(又はCXCケモカイン)及びβ−ケモカイン(CCケモカイン)を含む。α−ケモカインの鎖は、IL−8、好中球活性化ペプチド−2(NAP−2)、黒色腫成長刺激活性(MGSA/gro又はGROα)、及びENA−78(これらのそれぞれは、好中球に対して主に引きつける効果及び活性化効果を有する)のようなタンパク質を含む。β−ケモカインの鎖のメンバーは、単球、リンパ球、好塩基球、及び好酸球のような他の細胞型に対して影響を与え(Oppenheim,J.J.ら、Annu.Rev.Immunol.,9:617−648(1991);Baggiolini,M.ら、Adv.Imunol.,55:97−179(1994);Miller及びKrangel、Crit.Rev.Immunol.,12:17−46(1992);Jose,P.J.ら、J.Exp.Med.,179:881−118(1994);Ponath,P.D.ら、J.Clin.Invest.,97:604−612(1996))、そして単球の化学走化性(chemotactic)タンパク質1−4(MCP−1、MCP−2、MCP−3、及びMCP−4)、RANTES,及びマクロファージ炎症性タンパク質(MIP−1α、MIP−1β)のようなタンパク質を含む。最近、CXC3ケモカインと命名された、膜に結合したケモカインの新規のクラスが、同定されている(Bazan,J.F.ら、Nature 385:640−644(1997))。ケモカインは、化学走化性の誘発、脱顆粒、脂質媒介因子の合成、及びインテグリンの活性化の
ような、一定の範囲の白血球に対するプロ炎症性の影響を媒介し得る(Oppenheim,J.J.ら、Annu.Rev.Immunol.,9:617−648(1991);Baggiolini,M.ら、Adv.Imunol.,55:97−179(1994);Miller,M.D.及びKrangel,M.S.、Crit.Rev.Immunol.,12:17−46(1992))。最近、特定のβ−ケモカインが、インビトロでヒトのT細胞株のHIV−1感染を抑制することが示されている(Cocchi,F.ら、Science(Wash.DC)、270:1811−1815(1995))。
【0003】
ケモカインは、7個の膜貫通スパン(7TMS)のGタンパク質結合レセプタ
ーに結合する(Murphy,P.M.,Annu.Rev.Immunol.
,12:593−633(1994))。CC又はβケモカインについてのいく
つかの既知のレセプターは、CCR1(これは、MIP−1α及びRANTES
に結合する(Neote,K.ら、Cell,72:415−425(1993
);Gao,J.L.、J.Exp.Med.,177:1421−1427(
1993)));CCR2(これは、MCP−1、MCP−2、MCP−3、及
びMCP−4を含むケモカインに結合する(Charo,I.F.ら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA、91:2752−2756(1994
);Myers,S.J.ら、J.Biol.Chem.,270:5786−
5792(1995);Gongら、J.Biol.Chem.272:116
82−11685(1997);Garcia−Zepedaら、J.Immu
nol.157:5613−5626(1996)));CCR3(これは、エ
オタキシン、RANTES、及びMCP−3を含むケモカインに結合する(Po
nath,P.D.ら、J.Exp.Med.,183:2437−2448(
1996)));CCR4(これは、MCP−1、MIP−1α、及びRANT
ESに応答してシグナルを伝達することが見出されている(Power,C.A
.ら、J.Biol.Chem.,270:19495−19500(1995
)));ならびにCCR5(これは、MIP−1α、MIP−1β、及びRAN
TESに応答してシグナルを伝達することが示されている(Boring,L.
ら、J.Biol.Chem.,271(13):7551−7558(199
6);Raport,C.J.,J.Biol.Chem.,271:1716
1−17166(1996);及びSamson,M.ら、Biochemis
try,35:3362−3367(1996)))を含む。
【0004】
CCR2は、いくつかの白血球サブセットの表面で発現され、そしてカルボキ
シ末端領域をコードするmRNAの異なったスプライシングに起因して2つのわ
ずかに異なる形態(CCR2a及びCCR2b)で発現されるようである(Ch
aroら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91:2752−
2756(1994))。MCP−1は、単球、リンパ球、及び好塩基球に対し
て作用して、化学走化性、顆粒の放出、呼吸バースト、ならびにヒスタミン及び
サイトカインの放出を誘導する。研究は、MCP−1が関節リウマチ、アテロー
ム性動脈硬化、肉芽腫性の疾患及び多発性硬化症のような疾患の病因であると考
えられることを示唆した(Koch,J.Clin.Invest.90:77
2−79(1992);Hosakaら、Clin.Exp.Immunol.
97:451−457(1994);Schwartzら、Am.J.Card
iol.71(6):9B−14B(1993);Schimmerら、J.I
mmunol.160:1466−1471(1998);Floryら、La
b.Invest.69:396−404(1993);Gongら、J.Ex
p.Med.186:131−137(1997))。さらに、CCR2は、H
IVの共レセプターとして作用し得る(Connorら、J.Exp.Med.
185:621−628(1997))。従って、CCR2レセプターアンタゴ
ニストは、重要な治療薬の新規のクラスを提示し得る。
本発明の従来技術としては、以下が挙げられる。
【非特許文献1】Oppenheim,J.J.ら、Annu.Rev.Immunol.,9:617−648(1991)
【非特許文献2】Schall及びBacon、Curr.Opin.Immunol.,6:865−873(1994)
【非特許文献3】Baggiolini,M.ら、Adv.Imunol.,55:97−179(1994)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規のヒトCC−ケモカインレセプター、それに対する抗体またはその抗原結合フラグメント、およびこれらを含む薬学的組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、抗体(イムノグロブリン)又はその機能的なフラグメント(例えば
、抗原結合フラグメント)に関する。これは、哺乳動物のCC−ケモカインレセ
プター−2(CCR2、CKR−2、MCP−1RA又はMCP−1RBともま
た呼ばれる)又はレセプター(抗−CCR2)の一部に結合する。1つの実施態
様においては、本発明の抗体又はそのフラグメントは、ヒト若しくはアカゲザル
のCCR2又はその一部への特異性を有する。別の実施態様においては、本発明
の抗体又はフラグメントは、レセプターへのリガンド(例えば、MCP−1、M
CP−2、MCP−3、MCP−4)の結合をブロックし、そしてレセプターへ
のリガンドの結合に関連する機能(例えば、白血球輸送)を阻害する。例えば、
本明細書中に記載されているように、ヒト若しくはアカゲザルのCCR2又はそ
の一部に結合する本発明の抗体及びそのフラグメントは、レセプターへのケモカ
イン(例えば、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4)の結合をブ
ロックし、そしてレセプターに対するケモカインの結合に関連する機能を阻害す
る。1つの実施態様においては、抗体は、モノクローナル抗体(mAb)、LS
132.1D9(1D9)、又はヒトのCCR2若しくはヒトのCCR2の一部
への結合について1D9と競合し得る抗体である。上記の抗体の機能的なフラグ
メントもまた想定される。
【0007】
別の実施態様においては、本発明の抗体又は機能的なフラグメントは、ヒトの
CCR2又はその一部に結合し、そしてレセプターに対するヒト免疫不全ウイル
ス(HIV)の結合を阻害し、それによってレセプターに対するHIVの結合に
関連する機能(例えば、HIV抗原の放出及び感染性)を阻害する。1つの実施
態様においては、抗体は、モノクローナル抗体1D9、又はヒトのCCR2若し
くはヒトのCCR2の一部への結合に関して1D9と競合することができる抗体
である。
【0008】
本発明はまた、哺乳動物のCCR2又はレセプターの一部に結合し、そして他
の抗−CCR2抗体と比較して、CCR2又はCCR2を含む組成物の増大した
蛍光染色強度を提供する、抗体又はその機能的なフラグメント(例えば、抗体結
合フラグメント)に関する。1つの実施態様においては、抗体は、モノクローナ
ル抗体1D9若しくはLS132.8G2(8G2)、又はヒトのCCR2若し
くはヒトのCCR2の一部への結合に関して1D9若しくは8G2と競合するこ
とができる抗体である。
【0009】
本発明はさらに、細胞が保有している哺乳動物(例えば、ヒト、ヒト以外の霊
長類、又はマウス)のCCR2とそのリガンドとの相互作用を阻害する方法に関
する。この方法は、細胞を、哺乳動物のCCR2若しくはCCR2の一部に結合
する有効量の抗体若しくはその機能的なフラグメントと接触させる工程を包含す
る。適切な細胞として、顆粒球、白血球(例えば、単球、マクロファージ、好塩
基球、及び好酸球)、肥満細胞、及びT細胞を含むリンパ球(例えば、CD8+
細胞、CD4+細胞、CD25+細胞、CD45RO+細胞)、ならびにCCR
2を発現する組換え細胞(例えば、トランスフェクトされた細胞)のようなCC
R2を発現する他の細胞が挙げられる。特定の実施態様においては、抗体は、1
D9、又はヒトのCCR2若しくはヒトのCCR2の一部への結合に関して1D
9と競合することができる抗体である。
【0010】
本発明の別の実施態様は、ケモカインと哺乳動物のCCR2を保有する細胞と
の相互作用を阻害する方法に関する。この方法は、CCR2又は上記のレセプタ
ーの一部に結合する有効量の抗体又はその機能的なフラグメントと、上記の細胞
とを接触させる工程を包含する。この方法の1つの実施態様においては、抗体又
はその機能的なフラグメントは、任意の1つ以上の、1D9、1D9の抗原結合
フラグメント、又は1D9のものと同一若しくは類似のエピトープ特異性を有す
る抗体若しくはそのフラグメントである。さらに、本発明は、CCR2に対する
ケモカインの結合に関連する機能を阻害する方法に関する。この方法は、哺乳動
物のCCR2タンパク質又は上記のレセプターの一部に結合する、有効量の抗体
又はその機能的なフラグメントを投与する工程を包含する。この方法の1つの局
面においては、抗体又はその機能的なフラグメントは、任意の1つ以上の、1D
9、1D9の抗原結合フラグメント、又は1D9のものと同一若しくは類似のエ
ピトープ特異性を有する抗体若しくはそのフラグメントである。
【0011】
本発明の別の局面は、細胞による、哺乳動物のCCR2又はレセプターの一部
の発現を同定する方法である。この方法に従うと、細胞又はその画分(例えば、
膜画分)を含む組成物は、哺乳動物のCCR2タンパク質又はレセプターの一部
に結合する抗体又はそのフラグメント(例えば、1D9又は8G2)と、それに
対する抗体の結合に適切な条件下で接触させられ、そして容器の抗体又はフラグ
メントと、上記のタンパク質又はその一部との複合体の形成が検出される。複合
体の検出は、直接的又は間接的に、細胞上のレセプターの存在を示す。本発明は
また、生物学的サンプル中のCCR2又はその一部の存在を検出することにおけ
る使用のためのキットに関する。キットは、哺乳動物のCC−ケモカインレセプ
ター2又は上記のレセプターの一部に結合する抗体又はそのフラグメント、及び
上記の抗体又はフラグメントと上記のタンパク質又はその一部との複合体の存在
を検出するために適切な1つ以上の付属の試薬を含む。
【0012】
哺乳動物のCCR2のインヒビター及び/又はプロモーターを含む、哺乳動物
CCR2タンパク質に結合するさらなるリガンド又はたの物質を同定する方法も
また、本発明によって含まれる。例えば、本発明の抗体又はその機能的なフラグ
メントのものと同一若しくは類似の結合特異性を有する試薬が、上記の抗体又は
フラグメントを用いる競合アッセイによって同定され得る。従って、本発明はま
た、レセプター機能のインヒビター(例えば、アンタゴニスト)又はプロモータ
ー(例えば、アゴニスト)を含む、CCR2レセプターに結合するリガンド又は
他の基質を同定する方法を含む。1つの実施態様においては、CCR2レセプタ
ータンパク質を天然に発現する細胞、又は核酸によってコードされるCCR2レ
セプター又は変異体を発現するように操作されている適切な宿主細胞が、リガン
ド、レセプター機能のインヒビター又はプロモーターを同定し、そしてそれらの
効率を評価するためのアッセイにおいて使用される。このような細胞はまた、発
現されたレセプタータンパク質又はポリペプチドの機能を評価することにおいて
有用である。
【0013】
従って、本発明はまた、哺乳動物のCCR2又はそのリガンド結合変異体に結
合する試薬を検出するか又は同定する方法に関する。この方法は、試験される試
薬、本発明の抗体又は抗原結合フラグメント(例えば、モノクローナル抗体1D
9、1D9のものと同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体、1D9の抗
原結合フラグメント、モノクローナル抗体8G2、8G2のものと同一又は類似
のエピトープ特異性を有する抗体、及び8G2の抗原結合フラグメント)、及び
哺乳動物のCCR2タンパク質又はそのリガンド結合変異体を含有する組成物を
混合する工程を包含する。上記の成分は、抗体又は抗原結合フラグメントの、哺
乳動物のCCR2タンパク質又はそのリガンド結合変異体への結合に適切な条件
下で混合され得、そして哺乳動物のCCR2タンパク質又はリガンド結合変異体
への抗体又はフラグメントの結合が、本明細書中に記載されている方法又は他の
適切な方法に従って直接又は間接的に検出される。適切なコントロール(例えば
、試験される試薬の非存在下)と比較して形成された複合体の量における減少は
、その試薬が上記のレセプター又は変異体に結合することの指標である。哺乳動
物のCCR2タンパク質又はそのリガンド結合変異体を含有する組成物は、組換
えCCR2タンパク質又はそのリガンド結合変異体を保有している細胞の膜画分
であり得る。抗体又はそのフラグメントは、放射性同位元素、スピン標識、抗原
標識、酵素標識,蛍光基、及び化学発光基のような標識を用いて標識され得る。
これら及び類似のアッセイが、リガンド(例えば、CCR2と相互作用するケモ
カイン)又は他の物質(CCR2に結合し、そしてレセプターへの結合に関して
本明細書中に記載されている抗体と競合する、レセプター機能のインヒビター又
はプロモーター)を含む、試薬を検出するために使用され得る。
【0014】
本発明に従うと、リガンド、レセプター機能のインヒビター又はプロモーター
は、適切なアッセイにおいて同定され得、そして治療効果についてさらに評価さ
れ得る。レセプター機能のインヒビターは、レセプター活性を阻害する(低減さ
せるか又は妨げる)ために使用され、そしてリガンド及びプロモーターは、示さ
れていような正常なレセプター機能を誘導する(誘発するか又は増強する)ため
に使用され得る。本発明はまた、炎症性の疾患、自己免疫疾患、アテローム性動
脈硬化、及び移植拒絶、又はHIV感染を治療する方法を提供する。この方法は
、レセプター機能(例えば、ケモカインの結合又はHIVの結合)のインヒビタ
ーを個体(例えば、ヒトのような哺乳動物)に投与する工程を包含する。本発明
はさらに、個体に対して新規のリガンド又はプロモーターを投与することによる
、レセプター機能を刺激する方法をさらに提供する。この方法によって、白血球
機能の選択的な刺激に対する新規のアプローチを提供する。これは、例えば、感
染性の疾患及びガンの治療において有用である。
【0015】
本発明の別の局面は、哺乳動物のCCR2又はその一部を発現する細胞のHI
V感染を阻害する方法に関する。この方法は、哺乳動物のCCR2又はレセプタ
ーの一部に結合しそしてHIVの結合及び感染を阻害する、有効量の抗体又はそ
の機能的なフラグメントと、細胞とを接触させる工程を包含する。本発明の特定
の実施態様においては、抗体又はその機能的なフラグメントは、任意の、1D9
、1D9のものと同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体、及びその抗原
結合フラグメントである。
【0016】
患者においてHIVを阻害する(例えば、治療する)方法もまた、本発明によ
って含まれる。この方法は、哺乳動物のCCR2タンパク質又は上記のレセプタ
ーの一部に結合し、そしてCCR2レセプターへのHIVの結合を阻害する、有
効量の抗体又はその機能的なフラグメントを患者に投与する工程を包含する。抗
−CCR2抗体又はフラグメントは、単独で、又は1つ以上のさらなる治療薬(
例えば、HIV感染についての共レセプターに結合し、そして上記の共レセプタ
ー(例えば、抗−CCR3、抗−CCR5、及び/又は抗−CXCR4抗体)へ
の結合を阻害する1つ以上の抗体)と組み合わせて投与され得る。
【0017】
本発明の別の局面はまた、個体におけるHIV感染を予防するか又は阻害する
方法にも関する。この方法は、CCR2に結合し、そしてCCR2へのHIVの
結合を阻害する、有効量の抗体又はその機能的なフラグメントを個体に投与する
工程を包含する。この方法に従うと、HIV感染を防ぐことは、感染した個体に
おける新たな細胞の感染を防ぐ(低減させるか又は排除する)ため、又は感染の
可能性があるか、HIVに曝される可能性があるか、若しくはHIVに曝されて
いる個体における感染を防ぐための治療を含む。例えば、HIVに感染した個体
、HIVに感染した女性の胎児、又は健常な看護従事者のような個体は、本発明
の方法に従って治療され得る。
【0018】
本発明はまた、患者における白血球の輸送を阻害する方法をも含む。この方法
は、哺乳動物のCCR2タンパク質又は上記のレセプターの一部に結合し、そし
てレセプターへのリガンドの結合に関連する機能を阻害する、有効量の抗体又は
その機能的なフラグメントを患者に投与する工程を包含する。
【0019】
本発明はまた、炎症性の障害のようなCCR2に媒介される障害を阻害又は治
療する方法にも関する。この方法は、哺乳動物のCCR2又は上記のレセプター
の一部に結合し、そしてCCR2によって媒介される機能を阻害する、有効量の
抗体又はその機能的なフラグメントを患者に投与する工程を包含する。例えば、
本発明は、脈管系の狭窄又は再狭窄を阻害又は治療する方法に関する。この方法
は、哺乳動物のCCR2又は上記のレセプターの一部に結合し、そしてCCR2
によって媒介される機能を阻害する、有効量の抗体又はその機能的なフラグメン
トを患者に投与する工程を包含する。
【0020】
本発明はさらに、治療(予防を含む)又は診断における使用のため本明細書中
に記載されているような抗体若しくはそのフラグメント(例えば、モノクローナ
ル抗体1D9、又はその抗原結合フラグメント)、及びCCR2によって媒介さ
れる障害又は本明細書中に記載されているような疾患若しくは炎症性の状態の治
療のための医薬品のためのこのような抗体若しくはフラグメントの使用に関する

本発明はまた、以下を提供する。
(項目1) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2へのリガンドの結
合を阻害するものである、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前記レ
セプターの一部に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目2) レセプターへのリガンドの結合に関連する1つ又はそれ以上
の機能を阻害するものである、項目1記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
(項目3) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2がヒトCC−ケモ
カインレセプター2である、項目1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント

(項目4) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2のアミノ末端ドメ
イン又はその一部を結合するものである、項目1記載の抗体又はその抗原結合
フラグメント。
(項目5) アミノ末端ドメインの一部が約アミノ酸1位から約アミノ酸
30位である、項目4記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目6) 抗体が:
a)モノクローナル抗体1D9;
b)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

c)哺乳動物のCC−ケモカインレセプターへの結合に関して1D9と競合する
ことができる抗体;
d)モノクローナル抗体8G2;
e)8G2のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

f)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して8G2と競合す
ることができる抗体;及び
g)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合するものであ
る、(a)〜(f)のいずれか1つの抗原結合フラグメント、
からなる群より選択されるものである、項目1記載の抗体又はその抗原結合フ
ラグメント。
(項目7) リガンドがケモカインである、項目1記載の抗体又はその
抗原結合フラグメント。
(項目8) ケモカインが、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MC
P−4及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるものである、項目7
記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目9) ATCCアクセッション番号HB−12549の下に寄託さ
れたハイブリドーマ細胞株。
(項目10) ATCCアクセッション番号HB−12550の下に寄託
されたハイブリドーマ細胞株。
(項目11) 項目9記載のハイブリドーマ細胞株によって産生された
モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目12) 項目10記載のハイブリドーマ細胞株によって産生され
たモノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目13) a)i)モノクローナル抗体1D9;
ii)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗
体;
iii)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競
合することができる抗体;
iv)モノクローナル抗体8G2;
v)8G2のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

vi)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して8G2と競合
することができる抗体;及び
vii)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合する、(
i)〜(vi)のいずれか1つの抗原結合フラグメント、
からなる群より選択される少なくとも1つの抗体又はその抗原結合フラグメント
;ならびに
b)前記抗体又はその抗原結合フラグメントと前記哺乳動物のCC−ケモカイン
レセプター2又はその一部との複合体の存在を検出するのに適した1つ又はそれ
以上の補助試薬、
を含有する生物学的サンプル中の哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2の存
在を検出することにおいて使用するための試験キット。
(項目14) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2産生細胞と、哺
乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前記レセプターの一部に結合し、か
つ該レセプターへのリガンドの結合を阻害する抗体又はその抗原結合フラグメン
トの有効量とを接触させる工程を含む、前記リガンドと哺乳動物のCCケモカイ
ンレセプター2産生細胞との相互作用の阻害方法。
(項目15) 細胞が、リンパ球、単球、顆粒球、T細胞、好塩基球、及
びCCR2をコードする組換え核酸又はその一部を含有する細胞からなる群より
選択されるものである、項目14記載の方法。
(項目16) T細胞が、CD8+細胞、CD25+細胞、CD4+細胞
及びCD45RO+細胞からなる群より選択されるものである、項目15記載
の方法。
(項目17) リガンドがケモカインである項目14記載の方法。
(項目18) ケモカインが、MCP−1、MCP−2、MCP−3、M
CP−4及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるものである、項目
17記載の方法。
(項目19) 抗体又はその抗原結合フラグメントが:
a)モノクローナル抗体1D9;
b)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

c)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競合す
ることができる抗体;及び
d)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合する(a)〜
(c)のいずれか1つの抗原結合フラグメント、
からなる群より選択されるものである、項目14記載の方法。
(項目20) 細胞と、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前
記レセプターの一部に結合し、かつ前記細胞へのHIV侵入を阻害する抗体又は
その抗原結合フラグメントを含有する組成物の有効量とを接触させる工程を含む
、細胞のHIV感染の阻害方法。
(項目21) 細胞が、リンパ球、単球、マクロファージ、顆粒球、T細
胞、及びCCR2をコードする組換え核酸又はその一部を含有する細胞からなる
群より選択されるものである、項目20記載の方法。
(項目22) T細胞が、CD8+細胞、CD25+細胞、CD4+細胞
及びCD45RO+細胞からなる群より選択されるものである、項目21記載
の方法。
(項目23) 抗体又はその抗原結合フラグメントが:
a)モノクローナル抗体1D9;
b)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

c)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競合す
ることができる抗体;及び
d)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合する(a)〜
(c)のいずれか1つの抗原結合フラグメント、
からなる群より選択されるものである、項目20記載の方法。
(項目24) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前記レセプ
ターの一部に結合し、かつ細胞へのHIV侵入を阻害する抗体又はその抗原結合
フラグメントの有効量を含有する組成物を患者に投与する工程を含む、患者のH
IVの治療方法。
(項目25) 抗体又はその抗原結合フラグメントが:
a)モノクローナル抗体1D9;
b)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

c)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競合す
ることができる抗体;及び
d)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部を結合する(a)〜
(c)のいずれか1つの抗原結合フラグメント、
からなる群より選択されるものである、項目24記載の方法。
(項目26) a)i)モノクローナル抗体1D9;
ii)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗
体;
iii)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競
合することができる抗体;
iv)モノクローナル抗体8G2;
v)8G2のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

vi)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して8G2と競合
することができる抗体;
vii)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部を結合する(i
)〜(vi)のいずれか1つの抗原結合フラグメント;及び
viii)上述の組み合わせ、
からなる群より選択される抗体又はその抗原結合フラグメントと試験対象の細胞
を含んでなる組成物とを、前記抗体又はその抗原結合フラグメントのそれらへの
結合に適した条件下で接触させる工程;ならびに
b)前記抗体又はその抗原結合フラグメントの結合を検出する工程、
を含み、前記抗体又はその抗原結合フラグメントの結合が、前記細胞上での前記
レセプター又は前記レセプターの一部の存在を示すものである、細胞による哺乳
動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部の発現の検出方法。
(項目27) 組成物がヒト細胞を含有するサンプルである、項目26
記載の方法。
(項目28) a)i)モノクローナル抗体1D9;
ii)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗
体;
iii)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競
合することができる抗体;
iv)モノクローナル抗体8G2;
v)8G2のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

vi)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して8G2と競合
することができる抗体;
vii)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合する(i
)〜(vi)のいずれか1つの抗原結合フラグメント;及び
viii)上述の組み合わせ、
からなる群より選択される抗体又はその抗原結合フラグメントと試験対象のサン
プルとを、前記抗体又はそのフラグメントのそれらへの結合に適した条件下で接
触させる工程;ならびに
b)前記抗体又はその抗原結合フラグメントの結合を検出又は測定する工程、
を含み、前記サンプル中の物質への前記抗体又はその抗原結合フラグメントの結
合が、前記サンプル中の哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前記レセ
プターの一部の存在を示す、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前記
レセプターの一部の検出方法。
(項目29) サンプルが、正常個体における哺乳動物のCC−ケモカイ
ンレセプター2又は前記レセプターの一部を含有してなる細胞の画分である、請
求項28記載の方法。
(項目30) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は一部を含有
してなる組成物と、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前記レセプタ
ーの一部に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効量とを接触させる
工程を含み、前記抗体が、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への前記ケ
モカインの結合を阻害し、かつレセプターへのリガンドの結合に関連する1つ又
はそれ以上の機能を阻害するものである、哺乳動物のCC−ケモカインレセプタ
ー2又は前記レセプターの機能性部分へのケモカインの結合に関連する機能の阻
害方法。
(項目31) ケモカインが、MCP−1、MCP−2、MCP−3、M
CP−4及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるものである、項目
30記載の方法。
(項目32) 抗体又は抗原結合フラグメントが:
a)モノクローナル抗体1D9;
b)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

c)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競合す
ることができる抗体;及び
d)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合する(a)〜
(c)のいずれかの抗原結合フラグメント、
からなる群より選択されるものである、項目30記載の方法。
(項目33) a)試験対象の薬剤;
b)i)モノクローナル抗体1D9;
ii)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗
体;
iii)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競
合することができる抗体;
iv)モノクローナル抗体8G2;
v)8G2のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

vi)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して8G2と競合
することができる抗体;
vii)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合する(i
)〜(vi)のいずれかの抗原結合フラグメント;及び
viii)上述の組み合わせ、
からなる群より選択される抗体又は抗原結合フラグメント;ならびに
c)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリガンド結合変異体を含
有してなる組成物、
を、CC−ケモカインレセプター2又はそのリガンド結合変異体への前記抗体又
は抗原結合フラグメントの前記哺乳動物の結合に好適な条件下で混合する工程、
ならびに
前記哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリガンド結合変異体への
前記抗体又は抗原結合フラグメントの結合を検出又は測定する工程を含む、哺乳
動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリガンド結合変異体を結合する薬
剤の検出又は同定方法。
(項目34) 前記抗体又は抗原結合フラグメントと前記哺乳動物のCC
−ケモカインレセプター2又はリガンド結合変異体との複合体の形成がモニター
され、かつ適切な対照と比較した形成された複合体の量における減少が、薬剤が
前記レセプター又はそのリガンド結合変異体を結合することを示す、項目33
記載の方法。
(項目35) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリガン
ド結合変異体を含有してなる組成物が、組換えCC−ケモカインレセプター2又
はそのリガンド結合変異体を産生する細胞である、項目33記載の方法。
(項目36) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリガン
ド結合変異体を含有してなる組成物が、前記の組換えCC−ケモカインレセプタ
ー2又はそのリガンド結合変異体を産生する細胞の膜画分である、項目35記
載の方法。
(項目37) 抗体又はその抗原結合フラグメントが、放射性同位体、ス
ピン標識、抗原標識、酵素標識、蛍光性基及び化学発光基からなる群より選択さ
れる標識で標識される、項目33記載の方法。
(項目38) 薬剤が、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそ
の抗原結合フラグメントに対する特異性を有する抗体である、項目33記載の
方法。
(項目39) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に
結合し、かつレセプター又はその一部へのHIVの結合を阻害する抗体又はその
抗原結合フラグメントの有効量を含有する組成物を患者に投与する工程を含む、
患者におけるHIV感染の阻害方法。
(項目40) 抗体又はその抗原結合フラグメントが:
a)モノクローナル抗体1D9;
b)そのエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体
c)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競合す
ることができる抗体;及び
d)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合する(a)〜
(c)のいずれかの抗原結合フラグメント、
からなる群より選択されるものである、項目39記載の方法。
(項目41) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前記レセプ
ターの一部に結合し、かつレセプターへのリガンドの結合を阻害する抗体又はそ
の抗原結合フラグメントの有効量を含有してなる組成物を患者に投与する工程を
含む、患者における白血球輸送の阻害方法。
(項目42) リガンドがケモカインである、項目41記載の方法。
(項目43) ケモカインが、MCP−1、MCP−2、MCP−3、M
CP−4及び上述の組み合わせからなる群より選択されるものである、項目4
2記載の方法。
(項目44) 抗体又はその抗原結合フラグメントが:
a)モノクローナル抗体1D9;
b)1D9のエピトープ特異性と同一又は類似のエピトープ特異性を有する抗体

c)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2への結合に関して1D9と競合す
ることができる抗体;及び
d)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合する(a)〜
(c)のいずれかの抗原結合フラグメント、
からなる群より選択されるものである、項目41記載の方法。
(項目45) レセプターへのリガンドの結合を阻害する、哺乳動物のC
C−ケモカインレセプター2又は前記レセプターの一部に結合する抗体又はその
抗原結合フラグメント、及び任意に薬学的に許容され得るベヒクルを含有してな
る組成物。
(項目46) 約1.0μg/ml未満のIC50でレセプターへのリガ
ンドの結合を阻害する、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又は前記レセ
プターの一部に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目47) IC50が約0.05μg/ml未満である、項目46記
載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目48) IC50が、約0.05μg/ml未満である、項目46
記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目49) レセプターへのリガンドの結合を阻害し、かつ少なくとも
約0.1×10-9Mの親和性でレセプターを結合する、哺乳動物のCC−ケモカ
インレセプター2又は前記レセプターの一部に結合する抗体又はその抗原結合フ
ラグメント。
(項目50) 親和性が少なくとも約1×10-9Mである、項目49記
載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目51) 親和性が少なくとも約3×10-9Mである、項目50記
載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
(項目52) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に
結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効量を患者に投与する工程を含
む、患者のCC−ケモカインレセプター2媒介性障害の治療方法。
(項目53) 障害が炎症性障害である項目52記載の方法。
(項目54) 哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に
結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの有効量を患者に投与する工程を含
む、患者における再狭窄の阻害方法。
【0021】
発明の詳細な記載
本発明は、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2(CCR2、CKR−2
、MCP−1RA、若しくはMCP−1RB)又はCCR2の部分に結合する、
抗体(抗−CCR2)又はその機能的なフラグメントに関する。一実施態様にお
いては、抗体は、ヒト若しくはアカゲザルンのCCR2又はその一部に対する特
異性を有する。一実施態様においては、抗体(イムノグロブリン)は、単離され
た及び/又は組換えの哺乳動物CCR2又はその部分(例えば、ペプチド)に対
して、あるいは、哺乳動物のCCR2を発現する宿主細胞に対して、産生される
。好ましい実施態様においては、抗体は、ヒトCCR2レセプター(単数又は複
数)(例えば、CCR2a及び/又はCCR2b)又はその部分に特異的に結合
し、そして特に好ましい実施態様においては、抗体は、天然に存在するか又は内
因性のヒトCCR2に対して特異性を有する。本明細書中で使用されているよう
に、「CC−ケモカインレセプター2」(「CCR2」)は、CC−ケモカイン
レセプター2a及び/又はCC−ケモカインレセプター2bをいう。哺乳動物の
CCR2に特有の1つ以上の機能(例えば、結合活性(例えば、リガンド、イン
ヒビター、及び/又はプロモーターの結合)、シグナル伝達活性(例えば、哺乳
動物のGタンパク質の活性化、細胞質ゾルの遊離のカルシウムの濃度[Ca2+
iにおける迅速でありそして一時的な増大の誘導)、及び/又は細胞性の応答の
刺激(例えば、化学走性の刺激、エキソサイトーシス、又は白血球による炎症性
媒介因子の放出、インテグリンの活性化)を阻害し得る抗体又はその機能的なフ
ラグメントもまた、本発明によって含まれる。このような抗体は、リガンド(す
なわち、1つ以上のリガンド)の、CCR2に対する結合を阻害、及び/又はリ
ガンドに応答してCCR2により媒介される1つ以上の機能を阻害する。例えば
、1つの局面においては、抗体又はその機能的なフラグメントは、天然のリガン
ド(例えば、MCP−1、MCP−1、MCP−3、及び/又はMCP−4)と
レセプターとの相互作用を阻害し得る(低減し得るか又は妨げ得る)。別の局面
においては、CCR2に結合する抗体又はその機能的なフラグメントは、哺乳動
物のCCR2(例えば、ヒトのCCR2、ヒト以外の霊長類のCCR2、マウス
のCCR2)に対する、MCP−1、MCP−2、MCP−3、及び/又はMC
P−4、及び/又はHIVの結合を阻害し得る。本発明の抗体又はその機能的な
フラグメントは、ヒトのCCR2によって媒介される機能(白血球の輸送(tr
afficking)、細胞中へのHIVの侵入、T細胞の活性化、炎症性媒介
因子の放出、及び/又は白血球の脱顆粒を含む)を阻害し得る。好ましくは、抗
体又はフラグメントは、少なくとも約0.1×10-9Mの、好ましくは、少なく
とも約1×10-9M、そしてより好ましくは、少なくとも約3×10-9Mの親和
性で、CCR2に結合し得る。特定の実施態様においては、抗体又はその機能的
なフラグメントは、ケモカインによって誘導される(例えば、MCP−1によっ
て誘導される)細胞(例えば、PBMC)の化学走性を、約150μg/ml未
満、好ましくは、100μg/ml未満、より好ましくは約50μg/ml未満
、及びなおより好ましくは、約20μg/ml未満の阻害を示す。
【0022】
本発明のさらなる実施態様においては、本発明の抗体又はその機能的なフラグ
メントは、約1.0μg/ml未満、好ましくは、約0.05μg/ml未満、
及びより好ましくは、0.005μg/ml未満のIC50で、CCR2に対する
CCR2リガンド(例えば、ケモカイン)の結合を阻害し得る。
【0023】
CCR2に対して特異的なマウスのモノクローナル抗体(1D9及び8G2と
命名した)を、本明細書中に記載されているように産生した。好ましい実施態様
においては、本発明の抗体は、ヒトのCCR2に結合し、そして本明細書中に記
載されているマウスの1D9又は8G2抗体のものと同じであるか又は類似であ
るエピトープ特異性を有する。マウスの1D9モノクローナル抗体のものと同じ
であるか又は類似であるエピトープ特異性を有する抗体は、ヒトのCCR2に対
する(例えば、ヒトのCCR2を保有している細胞(例えば、CCR2を保有し
ているトランスフェクタント、CD8+細胞、CD4+細胞、CDR45RO+
細胞、CD25+細胞、単球、樹状細胞、マクロファージ、及び好塩基球)に対
する)結合についてマウスの1D9モノクローナル抗体と競合するそれらの能力
によって同定され得る。同様に、マウスの8G2モノクローナル抗体のものと同
じであるか又は類似であるエピトープ特異性を有する抗体は、ヒトのCCR2に
対する結合についてマウスの8G2モノクローナル抗体と競合するそれらの能力
によって同定され得る。レセプターのキメラ(Ruckerら、Cell 87
:437−446(1996))を使用して、mAb 1D9及び8G2の結合
部位が、タンパク質の約アミノ酸1から約アミノ酸30までを含むエピトープに
特異的である、ヒトのCC−ケモカインレセプター2のアミノ末端ドメインにマ
ップされている。これら又は他の適切な技術を使用して、本発明の抗体のものと
同じであるか又は類似であるエピトープ特異性を有する抗体が、同定され得る。
mAb 1D9及び8G2は、CCR2レセプターのアミノ末端ドメイン(例え
ば、該レセプタータンパク質の約アミノ酸番号1から約アミノ酸番号30まで)
に対するエピトープ特異性を有する。従って、本発明は、哺乳動物のCC−ケモ
カインレセプター2のアミノ末端ドメイン又はその部分に結合する、そして特に
、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2の約アミノ酸1から約アミノ酸30
までを含むエピトープに結合する抗体又はその機能的な部分に関する。
【0024】
本発明はまた、二重特異性抗体又はその機能的なフラグメント(例えば、F(
ab’)2)にも関する。これは、本明細書中に記載されている抗体の少なくと
も2つと同じであるか又は類似のエピトープ特異性を有する(例えば、米国特許
第5,141,736号(Iwasaら)、米国特許第4,444,878号、
第5,292,668号、第5,523,210号(全て、Paulusら)、
及び米国特許第5,496,549号(Yamazakiら)を参照のこと)。
例えば、本発明の二重特異性抗体は、mAb 1D9及び8G2と同じであるか
又は類似のエピトープ特異性を有し得、例えば、哺乳動物のCCR2タンパク質
のアミノ末端ドメイン又はその部分に結合する。
【0025】
本発明の抗体を産生するハイブリドーマ細胞株は、1998年7月17日に、
LeukoSite,Inc.,215 First Street,Camb
ridge,MA 02142,U.S.A.を代表してアメリカン・タイプ・
カルチャー・コレクション(American Type Culture C
ollection)、10801、University Boulevar
d,Manassas,Virginia 20110,U.S.A.に、登録
番号第HB−12549号(1D9)及び第HB−12550号(8G2)で寄
託された。本発明はまた、ATCC登録番号第HB−12549号及びATCC
登録番号第HB−12550号の下で寄託されたハイブリドーマ細胞株、ならび
にATCC登録番号第HB−12549号及びHB−12550号の下で寄託さ
れたハイブリドーマ細胞株によって産生されるモノクローナル抗体に関する。
【0026】
本発明の抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであり得、そして用語「
抗体」は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を含むことが意図
される。さらに、8G2を利用する本明細書中に記載されている方法はまた、8
G2の機能的なフラグメント(例えば、抗原結合性フラグメント)、8G2のも
のと同じであるか又は類似のエピトープ特異性を有する抗体、及びその組み合わ
せも、必要に応じて、8G2と同じでも類似でもないエピトープ特異性を有する
抗体又はフラグメントとの組み合わせをもまた利用し得る;同様に、1D9を利
用する記載されている方法もまた、1D9の機能的なフラグメント、1D9のも
のと同じであるか又は類似のエピトープ特異性を有する抗体、及びその組み合わ
せも、必要に応じて、1D9と同じでも類似でもないエピトープ特異性を有する
抗体又はフラグメントとの組み合わせて利用し得ることが理解される。本発明の
抗体は、適切な免疫原(例えば、単離された及び/又は組換えの哺乳動物CCR
2タンパク質若しくはその部分)又は合成分子(例えば、合成ペプチド)に対し
て産生され得る。好ましい実施態様においては、レセプターを発現する細胞(例
えば、トランスフェクトされた細胞)は、免疫原として、又はレセプターに結合
する抗体についてのスクリーニングにおいて使用され得る。
【0027】
本発明の抗体及びそのフラグメントは、本明細書中で記載されているように、
治療適用、診断適用、及び研究適用において有用である。本発明は、治療(予防
を含む)又は(例えば、本明細書中に記載されているような特定の疾患若しくは
状態の)診断における使用、及び本明細書中に記載されているような疾患若しく
は状態の治療における使用のための薬物の製造のための、本発明の抗体又はその
機能的な部分(例えば、mAb 1D9若しくは8G2、又はそれらの抗原結合
性フラグメント)の使用を含む。
【0028】
免疫化抗原の調製、ならびにポリクローナル及びモノクローナル抗体の産生は
、本明細書中で記載されているように、又は他の適切な技術を使用して、行われ
得る。種々の方法が、記載されている(例えば、Kohlerら、Nature
,256:495−497(1975)及びEur.J.Immunol.6:
511−519(1976);Milsteinら、Nature,266:5
50−552(1977);Koprowskiら、米国特許第4,172,1
24号;Harlow,E.及びD.Lane,1988,Antibodie
s:A Laboratory Manual,(Cold Spring H
arbor Laboratory:Cold Spring Harbor,
NY);Current Protocols In Molecular B
iology,第2巻(増刊号 27、1994年、夏)、Ausubel,F
.M.ら編、(John Wiley & Sons:New York,NY
)、第11章、(1991)を参照のこと)。一般的には、ハイブリドーマは、
適切な不死細胞株(例えば、SP2/0のような骨髄腫細胞株)を抗体産生細胞
と融合させることによって産生され得る。抗体産生細胞(好ましくは、脾臓又は
リンパ節の細胞)は、目的の抗原を用いて免疫化された動物から得られる。融合
細胞(ハイブリドーマ)は、選択的な培養条件を使用して単離され得、そして限
界希釈によってクローン化され得る。所望の結合特性を有する抗体を産生する細
胞は、適切なアッセイ(例えば、ELISA)によって選択され得る。
【0029】
CCR2に結合する抗体(ヒト抗体又は人工的な抗体を含む)を産生又は単離
する他の適切な方法が使用され得る。これは、例えば、ライブラリーから組換え
抗体(例えば、単鎖Fv又はFab)を選択する方法、又はヒト抗体のレパート
リーを産生し得るトランスジェニック動物(例えば、マウス)の免疫化による方
法を含む(例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.
Sci.USA,90:2551−2555(1993);Jakobovit
sら、Nature、362:255−258(1993);Lonbergら
、米国特許第5,545,806号;Suraniら、米国特許第5,545,
807号を参照のこと)。
【0030】
単鎖抗体、及びキメラ抗体、ヒト化抗体、又は霊長類化(primatize
d)(CDR−移植)抗体、ならびにキメラ又はCDR移植単鎖抗体など(異な
る種に由来する部分を含む)もまた、本発明及び用語「抗体」に含まれる。これ
らの抗体の種々の部分は、従来技術によって互いに化学的に連結され得るか、又
は遺伝子操作技術を使用して連続するタンパク質として調製され得る。例えば、
キメラ鎖又はヒト化鎖をコードする核酸は、連続するタンパク質を産生するよう
に発現させられ得る。例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,56
7号;Cabillyら、欧州特許第0,125,023 B1号;Bossら
、米国特許第4,816,397号;Bossら、欧州特許第0,120,69
4 B1号、Neuberger,M.S.ら、国際公開第86/01533号
;Neuberger,M.S.ら、欧州特許第0,194,276 B1号;
Winter、米国特許第5,225,539号;Winter、欧州特許第0
,239,400 B1号、;ならびにQeenら、米国特許第5,58508
9号、第5,698,761号、及び第5,698,762号を参照のこと。ま
た、霊長類化抗体に関しては、Newman,R.ら、BioTechnolo
gy,10:1455−1460(1992)を、そして単鎖抗体に関しては、
Ladnerら、米国特許第4,946,778号及びBird,R.E.ら、
Science,242:423−426(1988)も参照のこと。
【0031】
さらに、キメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、又は単鎖抗体のフラグメン
トを含む、抗体の機能的なフラグメントもまた、産生され得る。上記の抗体の機
能的なフラグメントは、それらが由来する全長の抗体の少なくとも1つの結合機
能及び/又は調節機能を保持している。好ましい機能的なフラグメントは、対応
する全長の抗体の抗原結合性機能(例えば、哺乳動物のCCR2に結合する能力
)を保持している。特に好ましい機能的なフラグメントは、哺乳動物のCCR2
に特有の1つ以上の機能(例えば、結合活性、シグナル伝達活性、及び/又は細
胞性応答の刺激)を阻害する能力を保持している。例えば、一実施態様において
は、機能的なフラグメントは、1つ以上のそのリガンド(例えば、MCP−1、
MCP−2、MCP−3、及び/又はMCP−4)とCCR2との相互作用を阻
害し得、及び/又は1つ以上のレセプター媒介性機能(例えば、白血球の輸送、
細胞中へのHIVの侵入、T細胞の活性化、炎症媒介因子の放出、及び/又は白
血球の脱顆粒)を阻害し得る。
【0032】
例えば、哺乳動物のCCR2レセプター又はその部分に対して結合し得る抗体
フラグメント(Fv、Fab、Fab’、及びF(ab’)2 フラグメントを含
むが、これらに限定されない)は、本発明によって包含される。このようなフラ
グメントは、例えば、酵素的な切断によって又は組換え技術によって産生され得
る。例えば、パパイン又はペプシンによる切断によって、それぞれFab又はF
(ab’)2 フラグメントが生成され得る。抗体はまた、1つ以上の停止コドン
が天然の停止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、種々の短縮さ
れた形態で産生され得る。例えば、F(ab’)2 の重鎖部分をコードするキメ
ラ遺伝子は、重鎖のCH1 ドメイン及びヒンジ領域をコードするDNA配列を含
むように設計され得る。
【0033】
本明細書中で使用される用語「ヒト化イムノグロブリン」は、異なる起源のイ
ムノグロブリンの部分を含むイムノグロブリンをいう。ここで、少なくとも1つ
の部分は、ヒト起源のものである。従って、本発明は、哺乳動物のCCR2(例
えば、ヒトのCCR2、マウスのCCR2)に結合するヒト化イムノグロブリン
に関する。上記のイムノグロブリンは、ヒト以外の起源(例えば、げっ歯類)の
抗原結合性領域、及びヒト起源のイムノグロブリンの少なくとも部分(例えば、
ヒトのフレームワーク領域、ヒトの定常領域、又はその部分)を含む。例えば、
ヒト化抗体は、従来技術(例えば、合成)によって互いに化学的に連結されたか
、又は遺伝子操作技術を使用して連続するポリペプチドとして調製された(例え
ば、キメラ抗体のタンパク質部分をコードするDNAは、連続するポリペプチド
鎖を産生するように発現され得る)、必要条件の特異性を有するヒト以外の起源
(例えば、マウス)のイムノグロブリンに由来する部分、及びヒト起源のイムノ
グロブリン配列に由来する部分(例えば、キメライムノグロブリン)を含み得る
。本発明のヒト化イムノグロブリンの別の例は、ヒト以外の起源のCDR(例え
ば、ヒト以外の起源の抗体に由来する1種以上のCDR)、及びヒト起源の軽鎖
及び/又は重鎖に由来するフレームワーク領域(例えば、フレームワーク変更を
有するか又は有しないCDR−移植抗体)を含有する1つ以上のイムノグロブリ
ン鎖を含有するイムノグロブリンである。一実施態様においては、ヒト化イムノ
グロブリンは、ヒトのCCR2に対する結合について、1D9又は8G2モノク
ローナル抗体と競合し得る。好ましい実施態様においては、ヒト化イムノグロブ
リンの抗原結合性領域は、(a)1D9モノクローナル抗体に由来する(例えば
、1D9の軽鎖のCDR1、CDR2、及びCDR3、ならびに1D9の重鎖の
CDR1、CDR2、及びCDR3を含有するヒト化イムノグロブリン中におけ
るような)か、又は(b)8G2モノクローナル抗体に由来する(例えば、8G
2の軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3、ならびに8G2の重鎖のCDR1、
CDR2、及びCDR3を含有するヒト化イムノグロブリン中におけるような)
。キメラ又はCDR−移植単鎖抗体もまた、ヒト化イムノグロブリンという用語
に含まれる。
【0034】
このようなヒト化イムノグロブリンは、所望されるヒト化鎖をコードする遺伝
子(例えば、cDNA)を調製するために、合成及び/又は組換え核酸を使用し
て産生され得る。例えば、ヒト化可変領域をコードする核酸(例えば、DNA)
配列は、ヒトの又はヒト化された鎖(例えば、予めヒト化された可変領域に由来
するDNA鋳型)をコードするDNA配列を変更するために、PCR変異誘発方
法を使用して構築され得る(例えば、Kamman,M.ら、Nucl.Aci
ds.Res.,17:5404(1989);Sato,K.ら、Cance
r Research,53:851−856(1993);Daughert
y,B.L.ら、Nucleic Acids Res,19(9):2471
−2476(1991);ならびにLewis,A.P.及びJ.S.Crow
e,Gene,101:297−302(1991)を参照のこと)。変異体は
また、これら又は他の適切な方法を使用して、容易に産生され得る。一実施態様
においては、クローン化された可変領域は、変異誘発され得、そして所望される
特異性を有する変異体をコードする配列が、選択され得る(例えば、ファージラ
イブラリーから;例えば、Krebberら、米国特許第5,514,548号
;1993年4月1日に公開された、Hoogenboomら、国際公開第93
/06213号を参照のこと)。
【0035】
抗−イディオタイプ抗体もまた、提供される。抗−イディオタイプ抗体は、別
の抗体の抗原結合性部位に関連する抗原決定基を認識する。抗−イディオタイプ
抗体は、二次抗体を産生するために使用される動物と同じ種、好ましくは同じ系
統の動物を免疫化することによって、二次抗体に対して調製され得る。例えば、
米国特許第4,699,880号を参照のこと。
【0036】
本発明はまた、ATCCアクセッション番号第HB−12549号及び第HB
−12550号の下で寄託されたハイブリドーマ細胞株、ならびにATCCアク
セッション番号第HB−12549号及び第HB−12550号の下で寄託され
たハイブリドーマ細胞株によって産生されるモノクローナル抗体にも関する。本
発明の細胞株は、モノクローナル抗体の産生のため以外の用途を有する。例えば
、本発明の細胞株は、さらなるハイブリドーマを産生するように他の細胞(例え
ば、適切な薬物の耐性マーカーを有する、ヒトの骨髄腫、マウスの骨髄腫、ヒト
−マウスへテロ骨髄腫、又はヒトのリンパ芽細胞)と融合され得、そして従って
、モノクローナル抗体をコードする遺伝子の伝達を提供する。さらに、細胞株は
、抗−CCR2イムノグロブリン鎖をコードする核酸の供給源として使用され得
る。これは、単離され得、そして発現され得る(例えば、任意の適切な技術(例
えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Winter、米
国特許第5,225,539号を参照のこと)を使用して他の細胞に導入したと
き)。例えば、再配列された抗−CCR2軽鎖又は重鎖を含むクローンが単離さ
れ得る(例えば、PCRによって)か、又はcDNAライブラリーが、細胞株か
ら単離されたmRNAから調製され得、そして抗−CCR2イムノグロブリン鎖
をコードするcDNAクローンが単離され得る。従って、抗体又はその部分の重
鎖及び/又は軽鎖をコードする核酸を得ることができ、そして種々の宿主細胞中
、又はインビトロ翻訳系中での、特異的なイムノグロブリン、イムノグロブリン
鎖、又はその変異体(例えば、ヒト化イムノグロブリン)の産生のための組換え
DNA技術に従って使用され得る。例えば、核酸(cDNA、又はヒト化イムノ
グロブリン若しくはイムノグロブリン鎖のような変異体をコードするその誘導体
を含む)は、適切な原核生物又は真核生物ベクター(例えば、発現ベクター)中
に配置され得、そして適切な方法(例えば形質転換、トランスフェクション、エ
レクトロポレーション、感染)によって適当な宿主細胞中に導入され得る。その
結果、核酸は、1つ以上の発現制御エレメントに作動可能に連結される(例えば
、ベクター中、又は宿主細胞のゲノム中に組み込まれる)。産生のためには、宿
主細胞は、発現のために適切な条件下(例えば、インデューサー、適切な塩を補
充された適切な培地、成長因子、抗生物質、栄養補充物などの存在下)で維持す
ることができ、それによって、コードされたポリペプチドが産生される。所望さ
れる場合は、コードされたタンパク質は回収、及び/又は単離することができる
(例えば、宿主細胞、培地、乳から)。産生方法が、トランスジェニック動物の
宿主細胞中での発現を含むことは理解される(例えば、1992年3月19日に
公開された、国際公開第92/03918号、GenPharm Intern
ationalを参照のこと)。
【0037】
本明細書中で記載されているように、本発明の抗体及びその機能的なフラグメ
ントは、CCR2に対するリガンドの結合をブロック(阻害)及び/又はCCR
2に対するリガンドの結合に関連する機能を阻害し得る。以下に議論されるよう
に、種々の方法が、CCR2に対するリガンドの結合の阻害、及び/又はレセプ
ターに対するリガンドの結合に関連する機能を評価するために使用され得る。
【0038】
結合アッセイ
本明細書中で使用されるように、「哺乳動物のCCR2タンパク質」は、天然
に存在するか又は内因性の哺乳動物CCR2タンパク質、及び天然に存在するか
又は内因性の対応する哺乳動物CCR2タンパク質のものと同じであるアミノ酸
配列を有するタンパク質(例えば、組換えタンパク質)をいう。従って、本明細
書中で定義しているように、この用語は、成熟レセプタータンパク質、多形性又
は対立遺伝子変異体、及び哺乳動物のCCR2の他のイソタイプ(例えば、異な
ったスプライシング又は他の細胞性のプロセシングによって産生される)、なら
びに上記の改変されたか又は改変されていない形態(例えば、グリコシル化、非
グリコシル化)を含む。哺乳動物のCCR2タンパク質は、単離さたタンパク質
及び/又は組換えタンパク質(合成によって産生されたタンパク質を含む)であ
り得る。天然に存在するか又は内因性の哺乳動物CCR2タンパク質として、成
熟CCR2のような野生型のタンパク質、多形性又は対立遺伝子変異体、及び哺
乳動物(例えば、ヒト、ヒト以外の霊長類)中に天然に存在する他のイソタイプ
(例えば、タンパク質のカルボキシ末端の異なったスプライシングによって産生
される、レセプタータンパク質のCCR2a及びCCR2bの形態)が挙げられ
る。このようなタンパク質は、例えば、哺乳動物のCCR2を天然に産生する供
給源から回収、又は単離され得る。天然に存在するか又は内因性の対応する哺乳
動物のCCR2と同じアミノ酸配列を有するこれらのタンパク質及び哺乳動物の
CCR2タンパク質は、対応する哺乳動物の名称によって言及される。例えば、
対応する哺乳動物がヒトである場合は、タンパク質は、ヒトのCCR2タンパク
質と命名される(例えば、組換えのヒトのCCR2が適切な宿主細胞中で産生さ
れる)。
【0039】
哺乳動物のCCR2タンパク質の「機能的な変異体」として、機能的なフラグ
メント、機能的な変異体タンパク質、及び/又は機能的な融合タンパク質(例え
ば、変異誘発及び/又は組換え技術により産生される)が挙げられる。一般的に
は、哺乳動物のCCR2タンパク質のフラグメント又は部分は、成熟哺乳動物C
CR2タンパク質と比較して、アミノ酸(すなわち、1つ以上のアミノ酸)の欠
失(すなわち、1つ以上の欠失)(例えば、N−末端、C−末端、又は内部欠失
)を有するものを含む。成熟哺乳動物CCR2タンパク質と比較して、連続する
アミノ酸のみが欠失されているか、又は連続しないアミノ酸が欠失されているフ
ラグメント又は部分もまた、想定される。
【0040】
一般的には、哺乳動物のCCR2タンパク質の変異体は、1つ以上の連続する
か、又は連続しないアミノ酸残基の付加、欠失、及び/又は置換によって異なる
、哺乳動物のCCR2タンパク質の天然の又は人工的な変異体(例えば、レセプ
ターキメラ)を含む。このような変異は、例えば、保存されている領域内であり
得るか、又は保存されていない領域内であり得るか(他のCXC及び/又はCC
ケモカインレセプタ−と比較して)、細胞外、細胞質、又は膜貫通領域であり得
る。
【0041】
一般的には、融合タンパク質は、天然に見出されるような哺乳動物CCR2中
には存在しない第2の部分に対してペプチド結合(cond)を介して連結され
た、第1の部分としての哺乳動物のCCR2(例えば、ヒトのCCR2)を含む
ポリペプチドを含む。従って、第2の部分は、アミノ酸、オリゴペプチド、又は
ポリペプチドであり得る。第1の部分は、融合タンパク質に対して、N−末端位
置、C−末端位置、又は内部であり得る。1つの実施態様においては、融合タン
パク質は、第1の部分としての親和性リガンド(例えば、酵素、抗原、エピトー
プタグ)、ならびに、リンカー配列及びヒトのCCR2又はその部分を含む第2
の部分を含む。
【0042】
哺乳動物のCCR2タンパク質の、「機能的なフラグメント又はその部分」、
「機能的な変異体」、及び/又は「機能的な融合タンパク質」は、本明細書中に
記載されている哺乳動物のCCR2タンパク質に特有の少なくとも1つの機能(
例えば、結合活性、シグナル伝達活性、及び/又は細胞性の応答を刺激する能力
)を有する、単離された及び/又は組換えのタンパク質又はポリペプチドをいう
。好ましい機能的な変異体は、リガンド(すなわち、MCP−1、MCP−2、
MCP−3、及び/又はMCP−4などの1つ以上のリガンド)に結合し得、そ
して本明細書中では「リガンド結合性変異体」と呼ばれる。
【0043】
1つの実施態様においては、哺乳動物のCCR2の機能的な変異体は、上記の
哺乳動物のCCR2と、少なくとも約85%の配列同一性を、好ましくは、少な
くとも約90%の配列同一性を、そしてより好ましくは、上記の哺乳動物のCC
R2と少なくとも約95%の配列同一性を、共有する。ヒトのCCR2a及びC
CR2bの核酸及びアミノ酸配列は、米国特許第5,707,815号に記載さ
れている。配列同一性は、Blastxプログラム(バージョン1.4)のよう
な適切なプログラムを使用して、適切なパラメーター(例えば、デフォルトパラ
メーター)を使用して決定され得る。1つの実施態様においては、Blastx
検索のためのパラメーターは、マトリックスBLOSUM62、W=3をスコア
する。別の実施態様においては、機能的な変異体は、天然に存在する核酸分子と
は異なるが、遺伝子コードの縮重に起因して、哺乳動物のCCR2又はその部分
をコードする核酸配列を含む。
【0044】
単離された及び/又は組換えの哺乳動物のCCR2又はその機能的な変異体を
含有する組成物は、結合のために適切な条件下で維持され得、哺乳動物のCCR
2又は変異体は、試験される抗体又はフラグメントと接触させられ、そして結合
が、直接又は間接的に検出又は測定される。1つの実施態様においては、CCR
2を天然に発現する細胞、又は哺乳動物のCCR2若しくはその変異体をコード
する組換え核酸配列を含む細胞が、使用される。細胞は、レセプターの発現に適
切な条件下で維持される。細胞は、結合に適切な条件下(例えば、適切な結合緩
衝液中)で抗体又はフラグメントと接触させられ、そして結合が、標準的な技術
によって検出される。結合を決定するためには、結合の程度が、適切な対照と比
較して(例えば、抗体の非存在下で決定されたバックグラウンドと比較して、二
次抗体(すなわち、標準)の結合と比較して、トランスフェクトされていない細
胞に対する抗体の結合と比較して)決定され得る。レセプター又はレセプターを
含有するリポソームを含む細胞性の画分(例えば、膜画分)が、全細胞の代わり
に使用され得る。
【0045】
1つの実施態様においては、抗体は、適切な標識(例えば、蛍光標識、放射性
同位元素標識、抗原又はエピトープ標識、酵素標識)を用いて標識され、そして
結合は、標識の検出によって決定される。別の実施態様においては、結合した抗
体は、標識された二次抗体によって検出され得る。結合の特異性は、例えば、標
識していない抗体又は競合因子としてのリガンドを使用して、競合又は置き換え
によって評価され得る。
【0046】
結合阻害アッセイもまた、CCR2に結合し、そしてCCR2又はその機能的
な変異体に対するリガンド(例えば、MCP−1、MCP−2、MCP−3、及
び/又はMCP−4)のような別の化合物の結合を阻害する、抗体又はそのフラ
グメントを同定するために使用され得る。例えば、結合アッセイが行われ得る。
ここでは、抗体の非存在下でのリガンドの結合と比較した場合の、CCR2のリ
ガンドの結合(抗体の存在下)における減少が検出されるか又は測定される。単
離された及び/又は組換えの哺乳動物CCR2又はその機能的な変異体を含有す
る組成物は、リガンド及び抗体と、同時に、又はいずれかの順で順番に、接触さ
せられ得る。抗体の存在下でのリガンドの結合の程度における減少は、抗体によ
る結合の阻害の指標である。例えば、リガンドの結合は、減少又は回避され得る

【0047】
1つの実施態様においては、抗体又はフラグメントによる、哺乳動物のCCR
2又はその変異体に対するリガンド(例えば、MCP−1のようなケモカイン)
の結合の直接的な阻害が、モニターされる。例えば、哺乳動物のCCR2に対す
る、125Iで標識されたMCP−1、125 Iで標識されたMCP−2、125 Iで
標識されたMCP−3、又は125 Iで標識されたMCP−4の結合を阻害する抗
体の能力が、モニターされ得る。このようなアッセイは、例えば、単離された全
血球(例えば、T細胞、PBMC)のようなCCR2又はその機能的な変異体を
保有している適切な細胞、あるいはCCR2を天然に発現する適切な細胞株、あ
るいは哺乳動物のCCR2をコードする核酸を含有している細胞株、あるいは上
記の細胞に由来する膜画分を使用して行われ得る。
【0048】
他の適切な結合アッセイ、又はレセプター結合によって誘発される事象(シグ
ナル伝達機能、及び/又は細胞性の応答の刺激(例えば、白血球の輸送)を含む
)をモニターする方法のような、CCR2に結合する抗体の存在を同定する他の
方法が、利用可能である。
【0049】
本発明の抗体の阻害性の影響が、結合阻害アッセイにおいて評価され得ること
が、理解される。レセプターの結合についての抗体間での競合もまた、これらの
方法において評価され得る。このようにして同定される抗体はさらに、続いて結
合するかどうか、それらがCCR2の他の機能を阻害するように作用するかどう
かを決定するため、及び/又はそれらの治療的な有用性を評価するために、評価
され得る。
【0050】
シグナル伝達アッセイ
CCR2に対するリガンド又はプロモーター(例えば、アゴニスト)の結合は
、このGタンパク質結合レセプターによるシグナル伝達を生じ得、そしてGタン
パク質及び他の細胞内シグナル伝達分子の活性化が刺激される。化合物(例えば
、抗体又はそのフラグメント)によるシグナル伝達機能の誘導は、任意の適切な
方法を使用してモニターされ得る。このようなアッセイは、CCR2の抗体アゴ
ニストを同定するために使用され得る。抗体又はその機能的なフラグメントの阻
害活性は、アッセイにおいてリガンド又はプロモーターを使用して、そしてリガ
ンド又はプロモーターによって誘導される活性を阻害する抗体の能力を評価する
ことによって決定され得る。
【0051】
Gタンパク質の活性(例えば、GTPからGDPへの加水分解、又はその後の
レセプターの結合によって誘発されるシグナル伝達事象(例えば、細胞内(細胞
質ゾル)の遊離のカルシウム[Ca2+]iの濃度における迅速でありそして一時
的な増大の誘導)は、当該分野で公知の方法又は他の適切な方法によってアッセ
イされ得る(例えば、Neote,K.ら、Cell、72:415−425、
1993);Van Riperら、J.Exp.Med.、177:851−
856(1993);Dahinden,C.A.ら、J.Exp.Med.、
179:751−756(1994)を参照のこと)。
【0052】
例えば、ハイブリッドGタンパク質結合レセプターを使用する、Sledzi
ewskiらの機能的アッセイは、レセプターに結合し、そしてGタンパク質を
活性化する、リガンド又はプロモーターの能力をモニターするために使用され得
る(Sledziewskiら、米国特許第5,284,746号、その教示は
本明細書中で参考として援用されている)。
【0053】
かかるアッセイは、評価される抗体又はそのフラグメントの存在下で行われ得
る。そしてリガンド又はプロモーターによって誘導される、活性を阻害する抗体
又はフラグメントの能力は、公知の方法及び/又は本明細書中に記載される方法
を使用して決定される。
【0054】
化学走化性及び細胞性の刺激のアッセイ
化学走化性アッセイもまた、哺乳動物のCCR2又はその機能的な変異体に対
するリガンドの結合をブロックし、及び/又はレセプターに対するリガンドの結
合に関連する機能を阻害する抗体又はその機能的なフラグメントの能力を評価す
るために使用され得る。これらのアッセイは、化合物によって誘導されるインビ
トロ又はインビボでの細胞の機能的な移動に基づく。化学走化性は、例えば、9
6−ウェル化学走化プレートを利用するアッセイで、又は化学走化性を評価する
ための他の当該分野で認識されている方法を使用して、実施例において記載され
ているように評価され得る。例えば、インビトロでの内皮を通過する(tran
sendothelial)化学走化性アッセイの使用が、Springerら
によって記載されている(Springerら、1994年9月15日に公開さ
れた、第WO94/20142号、その教示は、本明細書中で参考として援用さ
れている;Bermanら、Immunol.Invest.17:625−6
77(1988)をもまた参照のこと)。コラーゲンゲル中への内皮を通過する
移動もまた、記載されている(Kavanaughら、J.Immunol.、
146:4149−4156(1991))。例えば、マウスのL1−2プレ−
B細胞又は化学走化し得る他の適切な宿主細胞の安定なトランスフェクタントが
、化学走化性アッセイにおいて使用され得る。
【0055】
一般的には、化学走化性アッセイは、化合物の増大したレベルに対する、バリ
アの第1の表面から反対側の第2の表面への、バリア(例えば、内皮、フィルタ
ー)中へ又はそれを通じる適切な細胞(例えば、白血球(例えば、リンパ球、好
酸球、好塩基球))の直接的な運動又は移動をモニターする。膜又はフィルター
は、便利なバリアを提供する。その結果、化合物の増大したレベルに対する、フ
ィルターの第1の表面からフィルターの反対側の第2の表面に対する、フィルタ
ー中へ又はそれを通じる適切な細胞の直接的な運動又は移動がモニターされる。
いくつかのアッセイにおいては、膜は、接着を容易にするために物質(例えば、
ICAM−1、フィブロネクチン、又はコラーゲン)でコーティングされる。こ
のようなアッセイは、白血球の「帰巣」のインビトロでの概算を提供する。
【0056】
例えば、当業者は、微小孔の膜中へ又はそれを通じる第1のチャンバーからの
、試験される抗体を含みそして膜によって第1のチャンバーとは分けられている
第2のチャンバーへの、適切な容器(包含する手段)中の細胞の移動の阻害を検
出又は測定し得る。化合物に応答する特異的な移動をモニターするための適切な
孔のサイズを有する適切な膜(例えば、ニトロセルロース、ポリカーボネート)
が、選択される。例えば、孔のサイズ約3〜8マイクロン、及び好ましくは約5
〜8マイクロンが使用され得る。孔のサイズは、フィルター上で均一であり得、
そして適切な孔のサイズの範囲内であり得る。
【0057】
移動及び移動の阻害を評価するために、フィルター中への移動の距離、フィル
ターの第2の表面に対して接着したままであるフィルターを通過しつつある細胞
の数、及び/又は第2のチャンバー中に蓄積している細胞の数が、標準的な技術
(例えば、顕微鏡)を使用して決定され得る。1つの実施態様においては、細胞
は、検出可能な標識(例えば、放射性同位元素、蛍光標識、抗原、又はエピトー
プ標識)を用いて標識され、そして移動は、適切な方法(例えば、放射活性、蛍
光、イムノアッセイを検出することによる)を使用して、膜の標識接着物の存在
及び/又は第2のチャンバー中の存在を決定することによって、抗体又はフラグ
メントの存在及び非存在下で評価され得る。抗体アゴニストによって誘導される
移動の程度は、適切な対照と比較して〔例えば、抗体の非存在下で決定されたバ
ックグラウンドの移動と比較して、第2の化合物(すなわち、標準)によって誘
導される移動の程度と比較して、抗体によって誘導されるトランスフェクトされ
ていない細胞の移動と比較して〕決定され得る。
【0058】
1つの実施態様においては、特に、T細胞、単球、又は哺乳動物のCCR2を
発現する細胞については、内皮を通過する移動がモニターされ得る。この実施態
様においては、内皮細胞層を通じる移動が評価される。細胞の層を調製するため
に、内皮細胞は、微小孔のフィルター又は膜上で培養され得、必要に応じて、内
皮細胞の接着を容易にするために、コラーゲン、フィブロネクチン、又は他の細
胞外マトリックスタンパク質のような物質を用いてコーティングされ得る。好ま
しくは、内皮細胞は、均質な単層が形成されるまで培養される。例えば、静脈、
動脈、微小血管の内皮(例えば、ヒトの臍帯静脈の内皮細胞(Clonetic
s Corp,San Diego,CA))を含む、種々の哺乳動物の内皮細
胞が、単層の形成のために利用可能であり得る。特定の哺乳動物のレセプターに
対して応答する化学走化性をアッセイするためには、同じ哺乳動物の内皮細胞が
好ましい;しかし、異種の哺乳動物種又は属に由来する内皮細胞もまた、使用さ
れ得る。
【0059】
一般的には、アッセイは、化合物の増大したレベルに対する、フィルターの第
1の表面からフィルターの反対側の第2の表面に対する膜又はフィルター中へ又
はそれを通過する細胞の方向性の移動を検出することによって行われる。ここで
は、フィルターは、第1の表面上の内皮細胞の層を含む。方向性の移動は、第1
の表面に対して隣接する領域から、膜の内部又はそれを通じて、フィルターの反
対側上に配置された化合物に対して生じる。第2の表面に隣接する領域中に存在
する化合物の濃度は、第1の表面に隣接する領域中の濃度よりも大きい。
【0060】
抗体インヒビターについて試験するために使用される1つの実施態様において
は、移動し得る細胞を含み、そして哺乳動物のCCR2レセプターを発現する組
成物が、第1のチャンバー内に配置され得る。第1のチャンバー中の細胞の化学
走化性を誘導し得る1つ以上のリガンド又はプロモーターを含有する組成物(化
学接着機能を有する)は、第2のチャンバー内に配置される。好ましくは、細胞
のすぐ前に、第1のチャンバー中に配置されるか、又は細胞と同時に配置され、
試験される抗体を含有する組成物は、好ましくは、第1のチャンバー中に配置さ
れる。このアッセイにおいては、レセプターに結合しそして哺乳動物のCCR2
を発現する細胞の、リガンド又はプロモーターによる化学走化性の誘導を阻害し
得る抗体又はその機能的なフラグメントは、レセプター機能のインヒビター(例
えば、刺激機能のインヒビター)である。抗体又はフラグメントの存在下でのリ
ガンド又はプロモーターによって誘導される移動の程度における減少は、阻害活
性の指標である。別の結合研究(上記を参照のこと)は、阻害が、レセプターに
対する抗体の結合の結果であるか、又は異なる機構を介して生じるかどうかを決
定するために行われ得る。
【0061】
組織中の化合物(例えば、ケモカイン又は抗体)の注射に応答する、組織の白
血球の浸潤をモニターするインビボでのアッセイが、以下に記載される(炎症の
モデルを参照のこと)。インビボでの帰巣のこれらのモデルは、この移動をブロ
ックする抗体又はそのフラグメントの能力を評価するために、炎症の部位に対す
る移動及び化学走化性による、リガンド又はプロモーターに応答する細胞の能力
を測定する。
【0062】
記載されている方法に加えて、CCR2の刺激機能に対する抗体又はフラグメ
ントの影響が、レセプターを含有する適切な宿主細胞を使用して、活性なレセプ
ターによって誘導される細胞性の応答をモニターすることによって評価され得る

【0063】
さらなる哺乳動物のCCR2機能のリガンド、インヒビター及び/又はプロモー
ターの同定
本発明の抗体及びフラグメントの結合及び機能を評価するために使用され得る
上記のアッセイは、哺乳動物のCCR2又はその機能的なフラグメントに結合す
るさらなるリガンド又は他の物質、ならびに哺乳動物のCCR2の機能のインヒ
ビター及び/又はプロモーターを同定するために適合させられ得る。例えば、本
発明の抗体又はその機能的な部分のものと同じであるか又は類似の結合特異性を
有する試薬が、上記の抗体又はその一部を用いる競合アッセイによって同定され
得る。従って、本発明はまた、哺乳動物のCCR2タンパク質に結合するレセプ
ターのリガンド又は他の物質、ならびにレセプター機能のインヒビター(例えば
、アンタゴニスト)又はプロモーター(例えば、アゴニスト)を同定する方法を
含む。1つの実施態様においては、哺乳動物のCCR2タンパク質又はその機能
的な変異体を保有している細胞(例えば、白血球、上記の細胞中に導入された核
酸によってコードされる哺乳動物のCCR2タンパク質又は機能的な変異体を発
現するように操作されている細胞株又は適切な宿主細胞)が、レセプター機能の
インヒビター又はプロモーターを含むリガンド又はレセプターに結合する他の物
質の同定及びそれらの効率を評価するためのアッセイにおいて使用される。この
ような細胞はまた、発現されたレセプタータンパク質又はポリペプチドの機能を
評価することにおいても有用である。
【0064】
本発明に従うと、リガンド又はレセプターに結合する他の物質、レセプター機
能のインヒビター及びプロモーターは、適切なアッセイにおいて同定され得、そ
してさらに治療的な効果について評価され得る。レセプター機能のインヒビター
は、レセプター活性を阻害する(低減させるか又は妨げる)ために使用され得、
そしてリガンド及び/又はプロモーターは、示されているような正常なレセプタ
ー機能を誘導する(誘発するか又は増強する)ために使用され得る。従って、本
発明は、自己免疫疾患及び移植拒絶を含む炎症性の疾患を治療する方法を提供す
る。この方法は、個体(例えば、哺乳動物)に対してレセプター機能のインヒビ
ターを投与する工程を包含する。本発明はさらに、個体に対してレセプター機能
の新規のリガンド又はプロモーターを投与することによってレセプター機能を刺
激する方法を提供し、これによって、例えば、感染性の疾患及びガンの治療にお
いて有用である、白血球の機能を選択的に刺激するための新規のアプローチを提
供する。
【0065】
本明細書中で使用される場合は、哺乳動物のCCR2タンパク質の「リガンド
」は、哺乳動物のCCR2タンパク質に結合する物質の特定のクラスをいう。こ
れは、天然のリガンド、ならびに天然のリガンドの合成の及び/又は組換えの形
態を含む。哺乳動物のCCR2−ポジティブである細胞に対する指向性を有する
感染性の試薬(例えば、HIVのようなウイルス)もまた、哺乳動物のCCR2
タンパク質に結合し得る。選択された哺乳動物のレセプターの天然のリガンドは
、哺乳動物のCCR2タンパク質(例えば、MCP−1、MCP−2.MCP−
3及び/又はMCP−4のようなケモカイン)のものと同じである哺乳動物起源
である。好ましい実施態様においては、哺乳動物のCCR2タンパク質のリガン
ド結合は、高い親和性を伴って生じる。
【0066】
本明細書中で使用される場合は、「インヒビター」は、哺乳動物のCCR2タ
ンパク質(例えば、ヒトのCCR2)の少なくとも1つの機能的特徴、例えば、
結合活性(例えば、リガンド結合、プロモーター結合、抗体結合)、シグナル伝
達活性(例えば、哺乳動物のGタンパク質の活性化、細胞質ゾルの遊離のカルシ
ウム[Ca2+]iの濃度における迅速でありそして一時的な増加の誘導)、及び
/又は細胞性応答機能(例えば、化学走化性の刺激、エキソサイトーシス又は白
血球による炎症性媒介因子の放出)を阻害する(低減する又は妨げる)物質であ
る。インヒビターはまた、細胞へのHIVの侵入を阻害する物質でもある。用語
インヒビターは、レセプターに結合するアンタゴニスト(例えば、抗体、天然の
リガンドの変異体、低分子量の有機分子、リガンドの結合の他の競合的なインヒ
ビター)を含む物質、及びそれに対して結合することなくレセプター機能を阻害
する物質(例えば、抗−イディオタイプ抗体)をいう。
【0067】
本明細書中で使用される場合は、「プロモーター」は、哺乳動物のCCR2タ
ンパク質(例えば、ヒトのCCR2)の少なくとも1つの機能的な特徴、例えば
、結合活性(例えば、リガンド、インヒビター及び/又はプロモーターの結合)
、シグナル伝達活性(例えば、哺乳動物のGタンパク質の活性化、細胞質ゾルの
遊離のカルシウム[Ca2+]iの濃度における迅速でありそして一時的な増加の
誘導)、及び/又は細胞性応答機能(例えば、化学走化性の刺激、エキソサイト
ーシス又は白血球による炎症性媒介因子の放出)を促進する(誘導する、引き起
こす、高める又は増大する)物質である。用語プロモーターは、レセプターに結
合するアゴニスト(例えば、抗体、別の種に由来する天然のリガンドのホモログ
)を含む物質、及びそれに対して結合することなくレセプター機能を促進する(
例えば、関連するタンパク質を活性化することによって)物質をいう。好ましい
実施態様においては、アゴニストは、天然のリガンドのホモログ以外である。
【0068】
従って、本発明はまた、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリ
ガンド結合変異体(リガンド、インヒビター、プロモーター、及び哺乳動物のC
CR2レセプター若しくは機能的な変異体に結合する他の物質を含む)に結合す
る試薬を検出又は同定する方法に関する。この方法に従うと、試験される試薬、
本発明の抗体又は抗原結合フラグメント(例えば、8G2、1D9、8G2又は
1D9ものと同じであるか又は類似であるエピトープ特異性を有する抗体、及び
それらの抗原結合フラグメント)、及び哺乳動物のCC−ケモカインレセプター
2又はそのリガンド結合変異体を含有する組成物が、混合され得る。上記の成分
は、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリガンド結合変異体に対
する抗体又は抗原結合フラグメントの結合に適切な条件下で混合され、そして哺
乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はリガンド結合変異体に対する抗体又
はフラグメントの結合は、本明細書中に記載されている方法又は他の適切な方法
に従って、直接又は間接的にのいずれかで、検出されるか又は測定される。適切
な対照(例えば、試験される試薬の非存在下)と比較して、形成された複合体の
量における減少は、試薬が上記のレセプター又は変異体に結合することの指標で
ある。哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリガンド結合変異体を
含有する組成物は、組換えのケモカインレセプター2タンパク質又はそのリガン
ド結合変異体を保有している細胞の膜画分であり得る。抗体又はそのフラグメン
トは、放射性同位元素、スピン標識、抗原、又はエピトープ標識、酵素標識、蛍
光基、及び化学発光基のような標識で標識され得る。
【0069】
1つの実施態様においては、本発明は、哺乳動物のCC−ケモカインレセプタ
ー2又はそのリガンド結合変異体に結合する試薬を検出又は同定する方法に関す
る。この方法は、試験される試薬、本発明の抗体又は抗原結合フラグメント(例
えば、1D9、8G2、1D9若しくは8G2のものと同じであるか若しくは類
似であるエピトープ特異性を有する抗体、又はそれらの抗原結合フラグメント)
、及び哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はそのリガンド結合変異体を
保有している細胞を混合する工程を包含する。上記の成分は、CCR2タンパク
質又はそのリガンド結合変異体に対する抗体又は抗原結合フラグメントの結合の
ために適切な条件下で混合され、そして哺乳動物のCC−ケモカインレセプター
2又は変異体に対する抗体又はフラグメントの結合は、本明細書中に記載されて
いる方法及び/又は他の適切な方法によって、直接又は間接的のいずれかで、検
出されるか又は測定される。適切なコントロールと比較した、形成された複合体
の量における減少は、試薬がレセプター又は変異体に結合することの指標である
。抗体又はそのフラグメントは、放射性同位元素、スピン標識、抗原又はエピト
ープ標識、酵素標識、蛍光基、及び化学発光基からなる群より選択される標識で
標識され得る。これら及び類似のアッセイは、リガンド(例えば、ケモカイン、
又はCCR2と相互作用するHIVの株)又は他の物質(CCR2に結合し得、
そしてレセプターに対する結合について本明細書中に記載されている抗体と競合
し得る、レセプター機能のインヒビター、又はプロモーターを含む)を含む試薬
を検出するために使用され得る。
【0070】
上記に記載されているアッセイは、単独で、あるいは互いに、又は他の適切な
方法と組み合わせて、リガンド又は哺乳動物のCCR2タンパク質に結合する他
の物質、及び哺乳動物のCCR2タンパク質若しくは変異体のインヒビター又は
プロモーターを同定するために使用され得る。本発明のインビトロでの方法は、
多数のサンプルが処理される高スループットスクリーニング(例えば、96−ウ
ェル形式)について適合させられ得る。哺乳動物のCCR2(例えば、ヒトのC
CR2)を高スループットスクリーニングに適切なレベルで発現する細胞が使用
され得、そして従って、リガンド又はレセプターに結合する他の物質、及び哺乳
動物のCCR2タンパク質のインヒビター又はプロモーターの同定及び/又は単
離において特に有用である。レセプターの発現は、種々の方法においてモニター
され得る。例えば、発現は、レセプター又はその一部に結合する本発明の抗体を
使用してモニターされ得る。また、市販によって入手可能な抗体が、レセプター
タンパク質又はポリペプチド(例えば、FLAGタグ化レセプター)を含有する
抗原−又はエピトープ−タグ化融合タンパク質の発現を検出するために使用され
得、そして所望のレベルを発現する細胞が選択され得る。
【0071】
哺乳動物のCCR2タンパク質又はその機能的な変異体をコードする核酸は、
レセプタータンパク質又はポリペプチドを産生するように、発現システム中に取
りこまれ得る。単離された及び/又は組換えの哺乳動物のCCR2タンパク質又
は変異体(例えば、哺乳動物のCCR2タンパク質又は変異体をコードする組換
え核酸を含む構築物を用いて安定に又は一時的にトランスフェクトされた細胞中
で、あるいはレセプターを含有している細胞の画分中で(例えば、トランスフェ
クトされた細胞に由来する膜画分、レセプターを取りこんでいるリポソーム)発
現されるレセプター)が、レセプター機能についての試験において使用され得る
。レセプターは、所望される場合は、さらに精製され得る。レセプター機能の試
験は、インビトロ又はインビボで行われ得る。
【0072】
単離された及び/又は組換えの哺乳動物のCCR2タンパク質又はその機能的
な変異体(例えば、ヒトのCCR2)が、本発明の方法において使用され得る。
ここでは、化合物の影響は、本明細書中に記載されているようにレセプター機能
をモニターすることによって、又は他の適切な技術を使用して評価される。例え
ば、安定な又は一時的なトランスフェクタント(例えば、バキュロウイルスに感
染したSf9細胞、マウスのL1/2プレ−B細胞の安定なトランスフェクタン
ト)が、結合アッセイにおいて使用され得る。例えば、Jurkat細胞の安定
なトランスフェクタント又は化学走化し得る他の適切な細胞の安定なトランスフ
ェクタント(例えば、マウスのL1/2プレ−B細胞)が、化学走化性アッセイ
において使用され得る。
【0073】
本発明の方法に従うと、化合物は、個々にスクリーニングされ得るか、又は1
以上の化合物は、本明細書中の方法に従って同時に試験され得る。化合物の混合
物が試験される場合は、記載されている処理によって選択された化合物は、分離
され得(適切である場合は)、そして適切な方法(例えば、PCR、配列決定、
クロマトグラフィー、質量スペクトル分析)によって同定され得る。試験サンプ
ル中の1つ以上の化合物(例えば、リガンド、インヒビター、プロモーター)の
存在もまた、これらの方法に従って決定され得る。
【0074】
組み合わせ化学合成又は他の方法によって産生された化合物(例えば、有機化
合物、組換え又は合成のペプチド、「ペプトイド」、核酸)の大きな組合せライ
ブラリーが、試験され得る(例えば、Zuckerman,R.N.ら、J.M
ed.Chem.、37:2678−2685(1994)、及びその中で引用
されている参考文献を参照のこと;タグ化化合物に関しては、Ohlmyer,
M.H.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:10
922−10926(1993)及びDeWitt,S.H.ら、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA、90:6909−6913(1993)を
もまた参照のこと;Rutter,W.J.ら、米国特許第5,010,175
号;Huebner,V.D.ら、米国特許第5,182,366号;及びGe
ysen,H.M.、米国特許第4,833,092号)。本発明の方法による
組み合わせライラリーから選択された化合物が特有のタグを保有する場合は、ク
ロマトグラフィーの方法による個々の化合物の同定が可能である。
【0075】
1つの実施態様においては、ファージディスプレイ方法が使用される。例えば
、哺乳動物のCCR2タンパク質又は機能的な変異体、本発明の抗体又はその機
能的な部分、及びポリペプチドを提示するファージ(例えば、ファージ又はライ
ブラリーのようなファージのコレクション)が、哺乳動物のCCR2タンパク質
又は変異体に対する抗体又はその一部の結合について適切な条件下(例えば、適
切な結合緩衝液中)で混合され得る。抗体又はその一部と競合し得、そして哺乳
動物のCCR2タンパク質又は変異体に結合し得るファージは、標準的な技術又
は他の適切な方法を使用して、検出又は選択され得る。結合したファージは、適
切な溶出緩衝液を使用してレセプターから分離され得る。例えば、イオン強度又
はpHにおける変更は、ファージの放出を導き得る。あるいは、溶出緩衝液は、
化合物(例えば、結合を競合的に阻害するリガンド、インヒビター、及び/又は
プロモーターのような、レセプターに対する提示されたペプチドの結合を破壊し
得る、1つ以上の化合物)の結合を破壊するように設計された放出成分(単数又
は複数)を含み得る。必要に応じて、選択プロセスが繰り返され得るか、又は別
の選択工程が、レセプターに結合するファージについてさらに富化するために使
用され得る。提示されたポリペプチドは、特徴付けられ得る(例えば、ファージ
DNAの配列決定によって)。同定されたポリペプチドは産生され得、そしてさ
らに、結合について、及びインヒビター又はプロモーター機能について試験され
る。増大した安定性又は他の所望される特性を有するこのようなペプチドのアナ
ログが、産生され得る。
【0076】
1つの実施態様においては、ランダムな配列の核酸によってコードされるN−
末端のペプチドを有するコートタンパク質を含む融合タンパク質を発現しそして
提示するファージが、産生され得る。哺乳動物のCCR2タンパク質又は変異体
、及び抗−CCR2抗体又はその機能的なフラグメントを発現する適切な宿主細
胞はファージと混合され得、結合したファージが選択され、回収され、そして特
徴付けられる。(例えば、Gタンパク質結合レセプターとともに使用されるファ
ージディスプレイ手順を議論している、Doorbar,J.及びG.Wint
er,J.Mol.Biol.,244:361(1994)を参照のこと)。
【0077】
可能性のあるリガンド又はそれに結合する他の物質、あるいは哺乳動物のCC
R2タンパク質のインヒビター及び/又はプロモーターの他の供給源として、C
CR2リガンドの変異体(MCP−1、MCP−2、MCP−3、及び/又はM
CP−4の天然に存在する、合成の、又は組換えの変異体を含む)、他の化学接
着因子又はケモカインのような物質、それらの変異体、低分子量の有機分子、他
のインヒビター及び/又はプロモーター(例えば、抗−CCR2抗体、アンタゴ
ニスト、アゴニスト)、他のGタンパク質結合レセプターリガンド、インヒビタ
ー及び/又はプロモーター(例えば、アンタゴニスト又はアゴニスト)、及び哺
乳動物のCCR2レセプターの可溶性の部分(例えば、可溶性のレセプターペプ
チド又はレセプター機能を阻害し得るアナログ(例えば、Murphy,R.B
.、第WO94/05695号を参照のこと))が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0078】
炎症のモデル
治療薬としてのインビボでの本発明の抗体及びフラグメントの影響を評価する
ために使用され得るインビボの炎症のモデルが、利用可能である。例えば、適切
な動物(例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、又はアカゲザル、マカ
ク)中への、ケモカイン及び抗体又は哺乳動物のCCR2の反応性であるそのフ
ラグメントの経皮注射の際の白血球の浸潤が、モニターされ得る(例えば、Va
n Damme,J.ら、J.Exp.Med.、176:59−65(199
2);Zachariae,C.O.C.ら、J.Exp.Med.171:2
177−2182(1990);Jose,P.J.ら、J.Exp.Med.
179:881−887(1994)を参照のこと)。1つの実施態様において
は、皮膚の生検が、白血球(例えば、好酸球、顆粒球)の浸潤について組織学的
に評価される。別の実施態様においては、化学走化及び血管外遊出し得る標識さ
れた細胞(例えば、例えば111 Inで標識された、哺乳動物のCCR2を発現す
る安定にトランスフェクトされた細胞)が、動物に投与される。例えば、評価さ
れる抗体又はフラグメントは、リガンド又はアゴニストが試験動物に対して投与
される前に、それと同時に、あるいはその後にのいずれかで投与され得る。イン
ヒビターの非存在下での浸潤の程度と比較した場合の、抗体の存在下での浸潤の
程度の低下は、阻害の指標である。
【0079】
診断適用及び治療適用
本発明の抗体及びフラグメントは、研究、診断、及び治療適用を含む種々の適
用において有用である。1つの実施態様においては、抗体は、適切な標識(例え
ば、蛍光標識、化学発光標識、放射性同位元素標識、抗原、又はエピトープ標識
、又は酵素標識)を用いて標識される。例えば、これらは、レセプター又はその
一部を単離及び/又は精製するために、そしてレセプターの構造(例えば、立体
構造)及び機能を研究するために使用され得る。
【0080】
さらに、本発明の種々の抗体は、CCR2を検出するため、又は例えばT細胞
(例えば、CD8+細胞、CD45RO+細胞)、単球、及び/又はレセプター
遺伝子でトランスフェクトされた細胞上でのレセプターの発現を測定するために
使用され得る。従って、これらは、診断又は研究目的のための、細胞分離(例え
ばフローサイトメトリー、蛍光活性化細胞分離)のような適用における有用性を
もまた有する。
【0081】
本発明の抗−CCR2抗体は、診断適用における価値を有する。抗−CCR2
抗体又はそのフラグメントは、HIV感染した個体中でのこのレセプターの発現
をモニターするために、抗−CD4が疾患の段階の診断の指標として使用されて
いる方法と同様に、使用され得る。
【0082】
代表的には、診断アッセイは、CCR2に対する抗体又はそのフラグメントの
結合によって生じる複合体の形成を検出することを必要とする。診断目的につい
ては、抗体又は抗原結合フラグメントは、標識され得るか又は標識され得ない。
抗体又はフラグメントは、直接標識され得る。放射性核種、蛍光、酵素、酵素基
質、酵素補因子、酵素インヒビター、及び酵素リガンド(例えば、ビオチン、ハ
プテン)を含むがこれらに限定されない種々の標識が、使用され得る。多数の適
切なイムノアッセイが、当業者に公知である(例えば、米国特許第3,817,
827号;同第3,850,752号;同第3,901,654号;及び同第4
,098,876号を参照のこと)。標識されていない場合は、抗体又はフラグ
メントは、例えば、凝集アッセイにおける場合は、適切な手段を使用して検出さ
れ得る。標識されていない抗体又はフラグメントはまた、抗体を検出するために
使用され得る別の(すなわち、1つ以上の)適切な試薬(例えば、一次抗体(例
えば、標識されていないイムノグロブリンについて特異的である抗−イディオタ
イプ抗体又は他の抗体)又は他の適切な試薬(例えば、標識されたプロテインA
)と反応性である標識された抗体(例えば、二次抗体))と組み合わせて使用さ
れ得る。
【0083】
1つの実施態様においては、本発明の抗体又はフラグメントは、酵素イムノア
ッセイにおいて利用され得る。ここでは、被検抗体又はフラグメント、あるいは
二次抗体は、酵素に対して結合させられる。哺乳動物のCCR2タンパク質を含
有している生物学的サンプルが被検抗体と混合される場合は、結合は、抗体とC
CR2タンパク質との間で生じる。1つの実施態様においては、哺乳動物のCC
R2タンパク質を発現する細胞を含有しているサンプル(例えば、ヒトの血液)
は、被検抗体と混合され、そして結合は、抗体と、抗体によって認識されるエピ
トープを含むヒトのCCR2タンパク質を保有している細胞との間で生じる。こ
れらの結合した細胞は、結合していない試薬から分離され得、そして細胞に対し
て特異的に結合した抗体−酵素結合体の存在が、例えば、酵素によって作用され
た場合に、色素又は他の検出可能な変化を生じる酵素の基質とサンプルとを接触
させることによって、決定され得る。別の実施態様においては、被検抗体は標識
されなくてよく、被検抗体を認識する標識された二次抗体が、添加され得る。
【0084】
生物学的サンプル中の哺乳動物のCCR2タンパク質の存在を検出することに
おける使用のためのキットもまた、調製され得る。このようなキットは、哺乳動
物のCC−ケモカインレセプター2又は上記のレセプターの一部に結合する抗体
又はその機能的なフラグメント、ならびに抗体又はフラグメントとCCR2又は
その一部との間での複合体の存在を検出するために適切な1つ以上の付属の試薬
を含む。本発明の抗体組成物は、単独で、又は他のエピトープに特異的なさらな
る抗体と組み合わせて、凍結乾燥させられた形態で提供され得る。抗体(これは
、標識され得るか、又は標識され得ない)は、補助的な成分(例えば、緩衝液(
例えば、トリス、リン酸塩、及び炭酸塩)、安定剤、賦形剤、殺生物剤及び/又
は不活性なタンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)とともに、キット中に含
まれ得る。例えば、抗体は、補助的な成分とともに凍結乾燥された混合物として
提供され得るか、又は補助的な成分は、使用者による組み合わせのために別々に
提供され得る。一般的には、これらの補助的な物質は、活性な抗体の量に基づい
て約5重量%未満で存在し、そして通常は、抗体の濃度に基づいて少なくとも約
0.001重量%の全量で存在する。モノクローナル抗体に結合し得る二次抗体
が使用される場合は、かかる抗体は、例えば、別々のバイアル又は容器中で、キ
ット中に提供され得る。二次抗体は、存在する場合は、代表的には標識され、そ
して上記の抗体処方物と類似の様式で処方され得る。
【0085】
同様に、本発明はまた、細胞による、哺乳動物のCCR2又はレセプターの一
部の発現の検出及び/又は定量の方法にも関する。ここでは、細胞又はその画分
(例えば、膜画分)を含む組成物は、哺乳動物のCCR2又はレセプターの一部
に対して抗体又はそのフラグメントの結合について適切な条件下で結合する抗体
又はその機能的なフラグメント(例えば、1D9及び/又は8G2)と接触させ
られ、そして結合がモニターされる。抗体の検出は、抗体とCCR2又はその一
部との間での複合体の形成の指標であり、これは、レセプターの存在を示す。細
胞に対する抗体の結合は、例えば、「結合アッセイ」と表題された、上記のよう
に決定され得る。この方法は、個体による細胞上でのCCR2の発現を検出する
ために使用され得る(例えば、体液(例えば、血液、唾液、又は他の適切なサン
プル)のようなサンプル中で)。T細胞又は単球の表面上でのCCR2の発現の
レベルもまた、例えば、フローサイトメトリーによって決定され得、そして発現
のレベル(例えば、染色強度)は、疾患のかかりやすさ、進行、又は危険性と相
関し得る。
【0086】
ケモカインレセプターは、体、特に炎症部位を通じる白血球の移動において機
能する。血管からの炎症性の細胞の移動は、白血球及び内皮細胞接着タンパク質
及び細胞特異的化学接着因子及び活性化因子の相互作用を含む、3工程のプロセ
スによって調節される(Springer,T.A.、Cell、76:301
−314(1994);Butcher、E.C.、Cell、67:1033
−1036(1991);Butcher,E.C.及びPicker,L.J
.、Science(Wash.DC)、272:60−66(1996))。
(a)白血球のセレクチンと内皮細胞の炭水化物との間の低い親和性相互作用;
(b)白血球の化学接着因子レセプターと化学接着因子/活性化因子との間での
高親和性の相互作用;及び(c)白血球のインテグリンとイムノグロブリンスー
パーファミリーの内皮細胞接着タンパク質との間での密接な結合が、存在する。
異なる白血球のサブセットは、選択、化学接着因子レセプター、及びインテグリ
ンの異なるレパートリーを発現する。さらに、炎症は、内皮の接着タンパク質の
発現、及び化学接着因子の発現、及び白血球活性化因子の発現を変更する。結果
として、血管外部位に対する白血球の漸増の選択性を調節するための多くの多様
性が存在する。第2の工程は、白血球の化学接着因子レセプターの活性化がイン
テグリンによって媒介される密接な結合を導くセレクチンによって媒介される細
胞による移動を生じると考えられる点で、決定的である。このことは、血管周囲
の部位への白血球の容易な移動を生じる。化学接着因子/化学接着因子レセプタ
ーの相互作用はまた、組織内での内皮を経由する移動及び局在化についても決定
的である(Campbell,J.J.ら、J.Cell Biol.、134
:255−266(1996);Carr,M.W.ら、Immunity、4
:179−187(1996))。この移動は、化学接着因子の濃度勾配によっ
て、炎症の中心に対して指向され得る。
【0087】
CCR2は、白血球の輸送において重要な役割を有する。CCR2は、特定の
炎症部位に対するT細胞又はT細胞のサブセット又は単球の移動についての鍵と
なるケモカインレセプターであるようである。それゆえこのような抗−CCR2
mAbは、T細胞又は単球の移動を阻害する(低減させるか又は妨げる)ため
に使用され得る。特にこれは、自己免疫疾患、又はアレルギー反応のようなT細
胞の不全に、あるいはアテローム性動脈硬化のような単球によって媒介される障
害に関連する。従って、本発明の抗体又はそのフラグメントはまた、研究及び治
療適用においてレセプターの機能を調節するためにも使用され得る。例えば、本
明細書中に記載されている抗体及び機能的なフラグメントは、(a)レセプター
への(例えば、リガンド、インヒビター、又はプロモーターの)結合、(b)レ
セプターのシグナル伝達機能、及び/又は(c)刺激機能を阻害する(低減させ
るか又は妨げる)ためのインヒビターとして作用し得る。レセプター機能のイン
ヒビターとして作用する抗体は、リガンド又はプロモーターの結合を、直接又は
間接的にブロックし得る(例えば、立体構造的な変化を生じることによる)。例
えば、抗体は、リガンドの結合を阻害することによって、又は脱感作によって(
リガンドの結合の阻害を伴って、又はそれを伴わずに)レセプターの機能を阻害
し得る。レセプターに結合する抗体はまた、レセプター機能のアゴニストとして
作用し得、その結果、レセプター機能(例えば、レセプターへの結合の際の、レ
セプターのシグナル伝達及び/又は刺激機能(例えば、白血球輸送))を誘発又
は刺激する。
【0088】
従って、本発明は、哺乳動物(例えば、ヒトの患者)における白血球の輸送を
阻害する方法を提供する。この方法は、本発明の抗体又は機能的なフラグメント
の有効量を哺乳動物に投与する工程を包含する。本発明の抗体又はフラグメント
の投与は、疾患状態の緩和又は排除を生じ得る。
【0089】
本発明の抗体又はその機能的なフラグメントはまた、障害を治療するためにも
使用される。ここでは、ケモカインの結合によるCCR2レセプターの活性化が
関与している。例えば、抗体又はその機能的なフラグメント(例えば、1D9及
び/若しくは8G2、又はそれらの機能的なフラグメント)が、アレルギー、ア
テローム形成、アナフィラキシー、悪性腫瘍、慢性及び急性の炎症、ヒスタミン
及びIgEによって媒介されるアレルギー反応、ショック、及び慢性関節リウマ
チ、アテローム性動脈硬化、多発性硬化症、移植拒絶、繊維性の疾患、喘息、な
らびに糸球体腎炎を治療するために使用され得る。
【0090】
CCR2レセプター機能のインヒビター(抗体又はその適切なフラグメントを
含む)を用いて治療され得るヒト又は他の種の疾患又は状態として、以下が挙げ
られるが、これらに限定されない:
・炎症又はアレルギー疾患及び状態。これは、呼吸性のアレルギー疾患(例え
ば、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患(ILD)(例えば、突発性肺繊維
症、又はILDに関連する関節リウマチ、全身性紅班性狼瘡、強直性脊椎炎、全
身性硬化症、シェーグレン症候群、多筋炎又は皮膚筋炎)、アナフィラキシ−又
は超過敏性応答、薬剤アレルギー(例えば、ペニシリン、セファロスポリンに対
する)、昆虫の刺毛アレルギー;炎症性の腸疾患(例えば、クローン病、及び腸
潰瘍);脊髄関節症;強皮症;乾癬及び炎症性の皮膚疾患(例えば、皮膚炎、湿
疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、じんま疹;脈管炎(例えば、
壊死、皮膚、及び過敏性の脈管炎)を含む;
・自己免疫疾患、例えば、関節炎(例えば、関節リウマチ、乾癬性の関節炎)
、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年性で発症する糖
尿病、糸球体腎炎のような腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病;
・同種移植片の拒絶又は移植片−対−宿主疾患、及び器官の移植に関連するア
テローム性動脈硬化を含む、移植拒絶(例えば、移植における)
・アテローム性動脈硬化;
・皮膚又は器官の白血球の浸潤をともなうガン
・血管形成(特に、動脈(例えば、環状血管動脈)の狭窄又は再狭窄、例えば
、血管の介入(例えば、外科手術による介入、治療的な介入、又は機械的な介入
)ならびに新内膜(neointimal)の過形成によって生じる狭窄又は再
狭窄。例えば、代表的には、血管の内腔の開口の狭窄を生じる再狭窄は、以下を
含むが、これらに限定されない血管の損傷によって生じ得る:血管の移植手順、
血管形成術(バルーン、アテレクトミー、レーザー、又は他の適切な方法(例え
ば、経皮的な経内腔の環状血管の血管形成術(PTCA))、ステントの配置(
例えば、機械的又は生物学的な脈管内皮ステントの配置)、血管のバイパス手順
、又はそれらの組み合わせ、ならびに狭窄又は閉塞した血管を治療するために使
用される他の手順を含む)によって生じるもの。
・他の疾患又は状態(CCR2によって媒介される疾患又は状態を含む)(こ
こでは、所望されない炎症性の応答は、阻害されるべきである)は、再灌流障害
、特定の血液学的な悪性腫瘍、サイトカインによって誘導される毒性(例えば、
敗血症のショック、内毒性のショック)、多発性筋炎、皮膚筋炎、及び類肉腫症
を含む肉芽腫性の疾患を含むが、これらに限定されないものが治療され得る。
【0091】
ヒト又は他の種の疾患又は状態(これは、CCR2レセプター機能のプロモー
ター(抗体又はそのフラグメントを含む)を用いて治療され得る)として, 以下
が挙げられるが、これらに限定されない:
・免疫抑制、例えば、AIDSのような免疫不全症候群を有する個体、放射線
治療、化学療法、自己免疫疾患のための治療、又は他の薬物療法(例えば、副腎
皮質ホルモン治療)(これは、免疫抑制を生じる)を受けているう個体、におけ
るもの;及びレセプター機能又は他の原因における先天的な不全による免疫抑制

【0092】
本発明の抗−CCR2抗体は、1つ以上のケモカインの結合をブロックし得、
それによって、上記の障害を導く1つ以上の事象の下流のカスケードをブロック
する。
【0093】
CCR2のアンタゴニストである抗体及びそのフラグメントは、AIDS、及
び特定の炎症性の疾患のための治療薬として使用され得る。HIV−1及びHI
V−2は、ヒトにおける後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因論的な因子で
ある。AIDSは、HIVに感染した個体におけるCD4+Tリンパ球の枯渇に
よって、一部生じる。HIV−1は、主にTリンパ球、単球/マクロファージ、
樹状細胞に感染し、そして中枢神経システム中の小神経膠細胞に感染する。これ
らの細胞の全てが、CD4糖タンパク質を発現し、これは、HIV−1及びHI
V−2に対するレセプターをとして作用する。標的細胞中へのHIVの効率的な
侵入は、アミノ末端のCD4ドメインへの、ウイルスの外部エンベロープ糖タン
パク質であるgp120の結合に依存する。ウイルスの結合後、HIV−1エン
ベロープ糖タンパク質は、ウイルスと宿主細胞膜との融合を媒介し、それによっ
て、侵入プロセスを完了する。感染した細胞の表面上で発現されたHIV−1の
エンベロープ糖タンパク質によって指向された膜の融合は、細胞−細胞の融合を
導き、それによって融合細胞を生じる。
【0094】
最近、CD4に加えて宿主細胞因子が、HIV−1のエンベロープ糖タンパク
質によって媒介される膜の融合の効率を決定することが示唆されている。HUM
STSR、LESTR、又は「fusin」と呼ばれる、7膜貫通レセプター(
7TMR)は、一連のCD4を発現する細胞が研究室用に適合されたHIV−1
のエンベロープ糖タンパク質によって媒介される感染及び細胞の融合を支持する
ことを可能にすることが示されている(Feng,Y.ら、Science(W
ash.DC)、272:872−877(1996))。HUMSTSRに対
する抗体は、細胞の融合及び研究室用に適合されたHIV−1単離物による感染
をブロックしたが、マクロファージ向性一次ウイルスによる感染はインビトロで
はブロックしなかった(Feng,Y.ら、Science(Wash.DC)
、272:872−877(1996))。
【0095】
サイトカインレセプター及び関連する分子の、一次的的な臨床的なHIV−1
単離物の感染を促進する能力が、いくつかのグループによって最近報告されてい
る(例えば、Bates、P.、Cell、86:1−3(1996);Cho
e,H.ら、Cell、85:1135−1148(1996);Doranz
ら、Cel、85:1149−1158(1996)を参照のこと)。これらの
研究は、HIV−1感染の初期段階におけるサイトカインレセプターファミリー
の種々のメンバーの関与が、ウイルスの向性及び一次HIV−1単離物のβ−ケ
モカインの阻害を説明することを手助けすることを示す。
【0096】
本発明はまた、細胞のHIV感染(例えば、新たな感染及び/又は融合細胞の
形成)を阻害する方法を提供する。細胞は、哺乳動物のCCR2又はその一部を
発現する。この方法は、哺乳動物のCCR2又は上記のレセプターの一部に結合
する抗体又はその機能的なフラグメントの有効量を含有する組成物と、細胞とを
接触させる工程を包含する。この組成物はまた、抗−CCR3抗体、抗−CCR
5抗体、及び抗−fusin抗体を含むがこれらに限定されない、HIVに対し
て有効である1つ以上のさらなる試薬を含み得る。
【0097】
種々の方法は、本発明の抗体の存在下での、細胞へのHIVの結合及び/又は
HIVによる細胞の感染を評価するために使用され得る。例えば、レセプターへ
のgp120又はその一部の結合、HIV感染、及び融合細胞の形成を評価する
アッセイが、使用され得る(例えば、Choe,H.ら、Cell、85:11
35−1148(1996))。本発明の抗体の、これらのプロセスを阻害する
能力は、これらの又は他の適切な方法を使用して評価され得る。
【0098】
さらに、本発明は、患者におけるHIVを治療する方法を提供する。この方法
は、哺乳動物のCCR2又は上記のレセプターの一部に結合する抗体又はその機
能的なフラグメントの有効量を含有する組成物を患者に投与する工程を包含する
。さらに、組成物はまた、抗−CCR3抗体、抗−CCR5抗体、及び抗−fu
sin抗体を含むがこれらに限定されない、HIVに対して有効である1つ以上
のさらなる試薬を含み得る。HIVを治療するための抗体の治療的用途として、
予防的な使用(例えば、HIVに曝される可能性があるか、又はHIVに曝され
ている可能性がある患者の治療のため)が挙げられる。例えば、HIVに曝され
る可能性があるか又はHIVに曝されている可能性がある(例えば,針刺による
)健常な医療従事者は、この方法に従って治療され得る。別の例は、防御しなか
った性的な接触又は防御の不備の後のウイルスに曝された患者の治療である。
【0099】
AIDSにおいては、複数の薬剤治療が最も見こみがあるようである。HIV
感染を阻害する抗−ケモカインレセプターアンタゴニストが、薬剤治療レジメに
、特に、新たな細胞のウイルス感染をブロックすることによって、添加され得る
。従って、1つ以上の他の治療薬(例えば、ヌクレオシドアナログ(例えば、A
ZT、3TC、ddI)及び/又はプロテアーゼインヒビター)との組み合わせ
での本発明の抗体又はフラグメントの投与が想定され、そして、HIV治療レジ
メに対する重要な相化作用を提供する。1つの実施態様においては、ヒト化抗―
CCR2 mAbは、患者からのウイルスの負荷を低減するために、新たな細胞
の融合及び/又は感染を妨げることによって、治療薬と(すなわち、1つ以上の
)組み合わせて使用される。このような抗体は、出産時の感染を妨げることにお
いて有用であり得る。
【0100】
本発明の別の局面は、個体におけるHIVの感染を防ぐ方法に関する。この方
法は、CCR2に結合する抗体又はそのフラグメントの有効量を個体に投与する
工程を包含する。この方法に従うと、HIV感染を防ぐことは、感染した個体中
の新たな細胞の感染を防ぐ(低減するか又は排除する)ため、又はHIVに曝さ
れる可能性があるか、曝されている可能性があるか、若しくはHIVに曝されて
いる個体における感染を防ぐための治療を含む。例えば、HIVに感染した個体
、HIVに感染した女性の胎児、又は健常な医療従事者のような個体は、本発明
の方法に従って治療され得る。
【0101】
投与の態様
本発明の1つ以上の抗体又はフラグメントは、外科的、機械的、若しくは治療
的な介入の前、それと同時、若しくはその後で、単独又は別の薬物若しくは薬剤
(その前、それと同時、若しくはその後で)と組み合わせて、適切な経路によっ
て個体に投与され得る。例えば、本発明の抗体はまた、他のモノクローナル若し
くはポリクローナル抗体と組み合わせて(例えば、CCR3及びCCR5を含む
がこれらに限定されない、他のケモカインレセプターに結合する抗体と組み合わ
せて)、又は予防的若しくは治療的治療において使用される市販されているガン
マグロブリン及び免疫グロブリン産物のような、既存の血液血漿生成物と組み合
わせて、使用され得る。本発明の抗体又はフラグメントは、抗性物質及び/又は
抗真菌剤と組み合わせて、別々に投与される組成物として使用され得る。
【0102】
抗体又はフラグメント(すなわち、1つ以上の抗体又はフラグメント)の有効
量が投与される。有効量は、投与の条件下で、所望の治療的(予防的を含む)効
果を達成するために十分な量(例えば、CCR2の機能の阻害に充分な量、及び
従って、示されているように、炎症性応答若しくはHIV感染の阻害、又はCC
R2の機能の促進に十分な量)である。
【0103】
種々の投与経路が、可能であり、これは以下を含むが必ずしもこれらに限定さ
れない:試験される疾患又は状態に依存して、経口、摂食、非経口(例えば、静
脈内、動脈内、筋肉内、皮下注射又は注入)、吸入(例えば、気管支内、鼻腔内
、又は経口吸入、鼻腔内滴剤)。他の適切な投与方法はまた、再充電できるか又
は生体分解性のデバイス及び緩徐放出ポリマーデバイスを含む。本発明の医薬組
成物はまた、他の薬剤との組み合わせ治療の一部として投与され得る。
【0104】
投与される抗体又はフラグメントの処方は、選択される投与の経路及び処方(
例えば、溶液、乳濁物、カプセル)に従って変化する。投与される抗体又はその
フラグメントを含有する適切な薬学的組成物は、生理学的に受容可能なビヒクル
又はキャリア中に調製され得る。抗体及び/又はフラグメントの混合物が、使用
され得る。溶液又は乳濁物については、適切なキャリアとして、例えば、水溶液
又はアルコール/水溶液、乳濁物又は懸濁物が挙げられ、これらは生理食塩水及
び緩衝化された媒体を含む。非経口的なビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リン
ガーのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸化されたリン
ガーの又は固定された油を含み得る。種々の適切な水溶性のキャリアが、当業者
に公知である。これらは、水、緩衝化された水、緩衝化生理食塩水、ポリオール
(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体のポリエチレングリコー
ル)、デキストロース溶液及びグリシンを含む。静脈内ビヒクルは、種々の添加
物、保存料、又は液体、栄養素、又は電解質、補充液を含み得る(一般的には、
Remington’s Pharmaceutical Science、第
16版、Mack編、1980を参照のこと)。組成物は、必要に応じて、pH
の調節及び薬剤の緩衝化のような適切な生理学的条件のために必要とされる場合
は薬学的に受容可能な補助物質、及び毒性の調節試薬(例えば、酢酸ナトリウム
、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び乳酸ナトリウム)を含
み得る。本発明の抗体及びフラグメントは、当業者に公知の凍結乾燥及び再構成
技術に従って、使用の前に、適切なキャリア中での保存のために凍結乾燥され得
る。選択された媒体中での有効成分(単数又は複数)の最適な濃度は、当業者に
周知の手順に従って経験的に決定され得、そして所望される最終的な薬学的処方
物に依存する。吸入については、抗体又はフラグメントは可溶化させられ得、そ
して投与に適切なディスペンサー(例えば、アトマイザー、ネブライザー、又は
加圧したエアゾールディスペンサー)中に充填され得る。
【0105】
本発明は、以下の実施例によって本明細書中で説明される。これらは決して限
定を意図しない。本明細書中で引用されている全ての参考文献が、本明細書中で
参考として援用されている。
【0106】
実施例
材料:
以下の材料を、示されている供給源より入手した:
PEに結合させた抗−CD16、PEに結合させたストレプトアビジン、及び
ビオチニル化抗−ヒトIgEは、Pharmingen(San Diego,
CA)による。FITCに結合させたヤギ抗−マウスIgGは、Jackson
Immunoresearch Laboratories(West Gr
ove,PA)による。FACS溶解緩衝液は、Becton Dickens
on(Mountain View,CA)により、そして[125 I]−MCP
−1はNEN(Boston,MA)による。
【0107】
細胞、細胞株、及び組織培養物
マウスのプレ−Bリンパ腫細胞株L1/2を、10%のFetal Clon
e I(Gibco BRL、Gaithersburg,MD)、50ユニッ
ト/mLのペニシリン(Gibco BRL)、50μg/mLのストレプトア
ビジン(Gibco BRL)、2mMのL−グルタミン(Gibco BRL
)、及び55μMのβ−メルカプトエタノール(Gibco BRL)を補充し
たRPMI−1640中で維持した。他の細胞株(CCR1(Campbell
,J.ら(1996)J.Cell Bio.,134:255−266)、C
CR5(Wuら、Nature、384:179−183(1996))のいず
れかを発現するL1/2細胞のトランスフェクタントを含む)を、800μg/
mlの活性なG418を補充した上記の培養培地中で増殖させた。THP−1細
胞(ATCC番号第TIB202号)を、ATCCの指示に従って増殖させた。
PBMCを、Ponathら、J.Clin.Invest.,97:604−
612(1996)に記載されているように、ヘパリン化した血液から精製した

【0108】
CCR2b発現構築物及び安定なトランスフェクタントの調製
ヒトのCCR2bのコード領域(Charoら、(1994)Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA、91:2752)を、記載されているように
(Qin,S.ら、(1996)Eur.J.Immunol.,26:640
−647)、RT−PCR増幅によって得た。cDNAを、オリゴ(dT)−プ
ライミングを使用して作成し、そしてCCR2bのコード領域の増幅を、示され
ているように、CCR2b配列の一部に対応する以下のプライマーのセットを用
いるネスティッドPCRによって達成した(GenBankアクセッション番号
第U03905号;Charoら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA、91:2752−2756(1994)):
1)5’プライマー:5’−TGAGACAAGCCACAAGCTGAAC
−3’(ヌクレオチド11から32;配列番号:1);
3’プライマー:5’−TCTGTATTAGTACACACAGCCC
−3’(ヌクレオチド1301から1280;配列番号:2);
2)5’プライマー:5’−ATGCTGTCCACATCTCGTTCTC
GG−3’(ヌクレオチド81から104;配列番号:3);
3’プライマー:5’−TTATAAACCAGCCGAGACTTCC
TGCTC−3’(ヌクレオチド1164から1137;配列番号:4)。
【0109】
CCR2BのcDNAをコードする領域を、CD5シグナルペプチドリーダー
配列(Aruffoら、Cell、61:1303−1313(1990))を
含むように改変した。このペプチドの推定されるアミノ酸配列は、以下である:
NH2−Met−Pro−Met−Gly−Ser−Leu−Gln−Pro
−Leu−Ala−Thr−Leu−Tyr−Leu−Leu−Gly−Met
−Leu−Val−Ala−Ser−Val−Leu−Ala...(配列番号
:5)。
【0110】
鋳型としてCCR2bのcDNAを、そしてBamHI制限部位を含み、CD
5のシグナルペプチド配列及びCCR2bのアミノ末端配列をコードする2個の
重複している5’プライマー、ならびにCCR2bのコード領域の内部に位置す
る3’プライマーを使用する、PCR。
【0111】
5’CD5 Seq1プライマー
5’−GGGGATCCAGAAACCATGCCCATGGGGTCTCT
GCAACCGCTGGCCACCTTGTACCTGCTG−3’(配列番号
6)
5’CD5 Seq2プライマー
5’−GCCACCTTGTACCTGCTGGGGATGCTGGTCGC
TTCCGTGCTAGCGATGCTGTCCACATCTCGTTC−3’
(配列番号:7)
3’CCR2AB2プライマー− 5’−GACGACCAGCATGTTG
CC−3’(配列番号:8;U03905のヌクレオチド272から255)。
【0112】
278塩基対の増幅したフラグメントを、BamHI及びApaIで消化し、
そして得られた209塩基対のフラグメントを、CCR2の内因性の5’の塩基
対のフラグメントを置きかえるために、CCB2bのcDNA(GenBank
アクセッション番号第U03905号)の206位のApaI部位に挿入した。
哺乳動物発現プラスミドpCD5MCPRBを作成するために、レセプターの開
始メチオニンのすぐ前にCD5のシグナルペプチドリーダー配列を有するCCR
2bをコードする得られた配列を、pcDNA3(Invitrogen,Sa
n Diego,CA)のBamHI及びXhoI部位に挿入した。CD5−C
CR2bフラグメントを、pCDEF3(Goldmanら、(1996)Bi
otechniques 21:1013−1015)のBamHI−NotI
部位中にサブクローン化し、そしてこの構築物を、CCR2bDEF3と命名し
た。この発現ベクターにおいては、挿入した遺伝子の発現は、EF−1αプロモ
ーターによって駆動される。
【0113】
50mLのL1/2細胞を、エレクトロポレーションの1日前に4×105
胞/mLで播種した。エレクトロポレーションの日に、1×106 細胞/mLの
密度にまで増殖した細胞を、それらの培地から遠心分離し、そして800μlの
室温のエレクトロポレーション緩衝液(Zajacら、DNA、7:509−5
13)中に再懸濁した。120mMのL−グルタミン酸(Sigma)、7mM
の酢酸(EM Science)、4.3mMのグルコース(Sigma)、1
7mMのK Pipes、pH6.9(Sigma)、1mMのEGTA(Si
gma)、5mMのATP、pH7.0(Sigma)。25μgのScaIで
直鎖状にし、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールで抽出し、そし
てイソプロパノールで沈殿させた、CCR2bDEF3プラスミドDNAを、0
.4cmの間隙のエレクトロポレーションキュベット中に配置した。再懸濁した
細胞を、キュベットに添加し、そして一回のパルスを、450ボルト、960μ
Fdで適用した。次いで、細胞を、キュベットから15mLのL1/2増殖培地
(上記)を含有するT−75フラスコに移し、そして3日間増殖させた。その時
点で細胞をそれらの培地から遠心分離し、そして1mMのピルビン酸ナトリウム
(Gibco BRL)及び0.8mg/mLの活性なG418(Gibco
BRL)をさらに補充したL1/2増殖培地中に再懸濁した。
【0114】
化学走化性によるCCR2bを発現する細胞の選択
トランスフェクトした細胞を、11日間増殖させ、その時点で、それらを新し
い増殖培地中に1:20に分けた。17日目に、細胞を化学相化性によって選択
した。0.5%のBSA(RPMI/BSA)を補充したRPMI 1640中
の600μLの1μMのMCP−1を、下部のチャンバーに配置し、そして10
0μlのRPMI/BSA中の1×106 のCCR2bDEF3細胞を、3.0
ミクロンの孔の24ウェル化学走化プレート(Becton Dickinso
n)の上部のチャンバー中に配置した。細胞を、4時間と20分間、37℃にて
5%のCO2 、加湿したインキュベーター中で化学走化させ、その時点で、上部
のチャンバーを回収した。このインキュベーション時間を実験のときに選択した
。なぜならば、それがMCP−1に応答する細胞が化学走化するのに十分に長く
、バックグラウンドを低く維持するのに十分に短いからである。
【0115】
FACS分類によるCCR2bを発現する細胞の二次選択
膜を通じて下部のチャンバーに化学走化した細胞を増殖させ、滅菌したFAC
S分類によってさらに精製した。1000万個のCCR2bDEF3細胞をそれ
らの培地から遠心分離し、1%の熱不活化したウシの胎児の血清(「HI FC
S」)(Gibco BRL)及び2.5mLの滅菌濾過した抗−CCR2bア
ミノ末端ペプチド抗体の上清5A11を補充した2.5mLのPBS(+Ca、
Mg)中に再懸濁した。細胞及び抗体を混合し、そして30分間氷上でインキュ
ベートした。次いで、細胞をPBS(+)(Gibco BRL)で2回洗浄し
、そして1%のHI FCSを補充したPBS(+)中のFITCに結合させた
、アフィニティー精製したF(ab1 2 ヤギ抗−マウスIgG(Jackso
n ImmunoResearch Laboratories)の、5mLの
滅菌濾過した1:250希釈物中に再懸濁した。細胞を暗所で氷上で30分間イ
ンキュベートし、そして次いで、PBS(+)(Gibco BRL)で2回洗
浄した。細胞を、FACSCalibur(登録商標)上で分類し、そして最も
明るい4%の細胞を回収した(FL1≧3×102 )。
【0116】
分類した細胞を増殖させ、そしてそれらを、上記と同じプロトコールを使用し
て再度分類した。最も明るい1%の細胞を回収した(FL1≧3×103 )。
【0117】
モノクローナル抗体の産生
CCR2bに対するmAbを産生するために、トランスフェクタントを継続的
にモニターし、発現のレベルが次第に減少しないことを確実にした。FACS染
色を、トランスフェクタント上でのレセプターの発現を確認するために、二次抗
体としてヤギ抗−マウスIgG FITCを有する抗CCR2b抗体の上清5A
11を使用して、定期的に行った。
【0118】
2000万個のCCR2bDEF3.L1/2細胞をRPMI 1640(G
ibco BRL)中で洗浄し、そしてRPMI 1640及び0.2mg/m
LのマイトマイシンC中で30分間、37℃にてインキュベートした。次いで、
細胞をPBS(+)中で2回洗浄し、そして0.5mLのPBS(+)中の2×
107 個の細胞を、C57 BL/6雌性マウス中に腹膜内で注射した。これを
、2週間の間隔で2回以上繰り返した。4回目に、2×107 個の細胞を、0.
25mL中に再懸濁し、そして静脈内で注射した。静脈注射の3日後、マウスを
屠殺し、そして脾臓を取り出し、そして記載されているように、細胞をSP2/
0細胞株と融合させた(Current Protocols in Immu
nology、John Wiley and Sons、New York、
1992)。
【0119】
このマウスのセットを、予め、2つの異なる細胞株及び合成のペプチドを用い
て複数回免疫化したが、CCR2陽性細胞を染色した抗体、数回の融合からは生
成されなかった。上記の、高レベルのCCR2を発現するCCR2bDEF3.
L1/2細胞株での4回の免疫化は、記載されている抗体を得るために重要であ
った。
【0120】
限界希釈によるCCR2トランスフェクタントの単一の細胞クローンの選択
マウスに最後の注射を受けさせた後、2回分類した細胞を再び増殖させ、そし
て次いで、それらをさらに、限界希釈によって精製した。細胞を、96ウェルプ
レート中に、1ウェルあたり1個及び0.5個の細胞で配置した。1ウェルあた
り0.5個の細胞の希釈物からサブクローン化した細胞を増殖させ、そしてヤギ
抗−マウスIgG FITCを二次抗体として有する抗−CCR2抗体上清5A
11を使用する、間接的な免疫蛍光FACS分析によってCCR2bの発現につ
いて試験した。手順は、染色の容量が100μlであったことを除いて、上記の
ものと同じであった。4つのポジティブを選択し、そして凍結させた。
【0121】
陽性モノクローナル抗体の同定
FACScan(登録商標)(Beckton Dickinson & C
o.、Mountain View、CA)を使用する免疫蛍光染色分析を、C
CR2bレセプターと反応するモノクローナル抗体を同定するために使用した。
ハイブリドーマ培養上清を、二次抗体としてヤギ抗−マウスIgG FITCを
使用する96−ウェル形式でアッセイした。CCR2bDEF3.L1/2細胞
を、CCR2bと反応するモノクローナル抗体を同定するために使用し、そして
トランスフェクトしていないL1/2細胞を、他の細胞の表面タンパク質と反応
するモノクローナル抗体を排除するために使用した。
【0122】
FACS染色−培養した細胞
培養したトランスフェクタント細胞株の染色のために、50μl中の0.5×
106 個の細胞を、96ウェルのポリスチレンV底プレート中のPBS+1%の
FCS中に再懸濁した。50μlの1次抗体の上清又はHT培地(陰性対照)を
添加し、そしてサンプルを、4℃にて30分間インキュベートした。100μl
のPBSを添加し、そして細胞を遠心分離によってペレット状にし、そしてPB
Sで1回洗浄した。ペレットを、FITCに結合させたヤギ抗−マウスIgG抗
体を含有する(1:250希釈)100μlのPBS+1%のFCS中に再懸濁
し、そして30分間、暗所にて4℃でインキュベートした。細胞を、PBSで2
回洗浄し、PBS中に再懸濁し、そしてCellQuestソフトウェア(Be
ckton−Dickenson)を使用してFacScanサイトメーターを
用いてフローサイトメトリーによって分析した。細胞を、PBS/1%のホルム
アルデヒド(それらが同じ日に分析されない場合は)で固定した。モノクローナ
ル抗体1D9及び8G2は、CCR2トランスフェクタントを染色したが、CC
R1又はCCR5トランスフェクタントは染色しなかった(図1)。
【0123】
FACS染色−全血
100μlの全血を、100μLの1D9抗体ハイブリドーマ上清又はHT培
地(陰性対照)と混合し、そして4℃にて30分間インキュベートした。PBS
での1回の洗浄後、100μLのFITCに結合させたヤギ抗−マウスIgG抗
体(1:250希釈)を各サンプルに添加し、そして30分間、4℃にて暗所で
インキュベートした。次いで、サンプルを、二次的な色素染色が行われる場合は
PBSで1回洗浄し、そうでなければPBSで2回洗浄した。2つの色素染色の
ために、5μlのマウスの血清を1回の洗浄後に細胞のペレットに添加し、混合
し、そして5分間、4℃にてにて暗所でインキュベートした。第2の一次抗体(
又は陰性対照としてのPBS)を添加し(10μlの抗−CD16、抗IgGの
100μlの1:200希釈物)を添加し、そして30分間、4℃にて暗所でイ
ンキュベートした。次いで、サンプルをPBSで1回洗浄し、そして100μL
のストレプトアビジンPE(1:200のPBS+1%のBSA)中に再懸濁し
、そして15分間、4℃にて暗所でインキュベートした。赤血球を、各サンプル
に2mlのFACS溶解緩衝液を添加すること、及び室温にて暗所で15分間又
はサンプルが透明になるまでインキュベートすることによって溶解させた。細胞
を、遠心分離によってペレット状にし、200μlの上清以外を吸引した。サン
プルを、CellQuestソフトウェア(Beckton−Dickenso
n)を使用してFacScanサイトメーター上でフローサイトメトリーによっ
て分析した。CCR2bはほとんどの単球、リンパ球のサブ集団、及び顆粒球の
サブセット上で発現される(図2)。CCR2bは、末梢血中のIgE陽性の集
団(好塩基球)上で発現される(図3)。
【0124】
MCP−1結合アッセイ
MCP−1結合を、2.5μgのTHP−1膜タンパク質又は500,000
個のPMBC及び0.1nMの[125 I]−MCP−1のいずれかを含有する、
50mMのHepes、pH7.4、1mMのCaCl2 、5mMのMgCl2
、0.02%のアジ化ナトリウム、0.5%のBSA(HBB)の0.1mlの
最終容量で行った。競合結合実験を、標識していないMCP−1、1D9抗体、
又は陰性対照のIgG2aの種々の濃度を含ませることによって行った。非特異
的な結合を、2500倍過剰の標識していないMCP−1の添加後に決定した。
サンプルを60分間室温にてインキュベートし、そして結合したトレーサー及び
遊離のトレーサーを、0.3%のポリエチレンイミン中に予め浸した96−ウェ
ルGF/Bフィルタープレートを通す濾過によって分離した。フィルターを、0
.5MのNaClをさらに補充したHBB中で洗浄し、乾燥させ、そして結合し
た放射活性の量を、液体シンチレーションカウンティングによって決定した。m
Ab 1D9は、[125 I]−MCP−1のTHP−1細胞膜への結合を、約0
.004μg/mlのIC50で(約0.02nM;図4)、そして新鮮なPBM
Cへの結合を、0.04μg/mlのIC50で(約0.2nM;図5)阻害する

【0125】
PBMCの化学走化性
化学走化性を、3μmの孔サイズの96ウェル化学走化プレート(Neuro
probe、Cabin John,MD)を使用してアッセイした。Fico
ll−Hypaque密度勾配遠心分離を使用する標準的な方法によって単離し
たPBMCを、PBS/0.5%のBSAで洗浄し、そして次いで、10×10
6 個の細胞/mlになるように化学走化アッセイ培地(HBSS/10mlのH
EPES/0.5%の脂肪酸を含まないBSA)中に再懸濁した。細胞を、化学
走化アッセイ培地中に室温で20分間、種々の濃度の抗−CCR2抗体、1D9
、又は非特異的なマウスのIgG2aとともに、予めインキュベートした。抗体
の同じ希釈物をケモカインと混合し、そして30μlの混合物を、化学走化プレ
ートの底ウェルのそれぞれに添加した。底ウェルをメンブレンで覆い、そして2
5μlの細胞と抗体の混合物を、フィルターの上部に添加した。プレートを、3
7℃にて5%のCO2 インキュベーター中で、約80分間インキュベートした。
移動の完了時点で、メンブレンを回収し、そして底ウェルを伴うプレートを、内
容物を凍結させるために−80℃にて30分間インキュベートした。プレートを
37℃にて10分間で融解させた。供給元によって提供された溶解緩衝液中のC
yQuant試薬(Molecular Probes、Eugene、OR)
の6μlの1:400希釈物を各ウェルに添加し、そして細胞の移動を、485
ex/535emでCytoFlour蛍光プレートリーダーを使用して決定し
た蛍光強度によって、示されているように定量した。mAb 1D9は、新鮮な
PBMCのMCP−1によって誘導される化学走化を阻害するが、RANTES
によって誘導される化学走化は阻害しない(図6A及び6B)。新鮮なPBMC
のMCP−1によって誘導される化学走化の阻害は、10μg/ml(約40n
M)を用いて実証された。
【0126】
本発明は、その好ましい実施態様を参照して詳細に示されそして記載されてい
るが、形態及び詳細における種々の変更が、添付の特許請求の範囲によって定義
されているような本発明の精神及び範囲を逸脱することなくその範囲内で行われ
得ることが、当業者によって理解される。
【0127】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1−1】図1は、蛍光活性化細胞スキャン(FACS)ヒストグラムプロフィールである。これは、mAb 1D9及び8G2は、CCR2トランスフェクタントを染色するが、CCR5又はCCR1トランスフェクタントは染色しないことを示す。L1/2(本明細書中では、L1.2とも呼ばれる)マウスプレ−Bリンパ腫宿主細胞を、図に示したCCR2、CCR5、及びCCR1でトランスフェクトし、そして異なるレセプター特異性を有する抗体を用いて染色した。染色を、フローサイトメトリーによって分析した。
【図1−2】図1は、蛍光活性化細胞スキャン(FACS)ヒストグラムプロフィールである。これは、mAb 1D9及び8G2は、CCR2トランスフェクタントを染色するが、CCR5又はCCR1トランスフェクタントは染色しないことを示す。L1/2(本明細書中では、L1.2とも呼ばれる)マウスプレ−Bリンパ腫宿主細胞を、図に示したCCR2、CCR5、及びCCR1でトランスフェクトし、そして異なるレセプター特異性を有する抗体を用いて染色した。染色を、フローサイトメトリーによって分析した。
【図1−3】図1は、蛍光活性化細胞スキャン(FACS)ヒストグラムプロフィールである。これは、mAb 1D9及び8G2は、CCR2トランスフェクタントを染色するが、CCR5又はCCR1トランスフェクタントは染色しないことを示す。L1/2(本明細書中では、L1.2とも呼ばれる)マウスプレ−Bリンパ腫宿主細胞を、図に示したCCR2、CCR5、及びCCR1でトランスフェクトし、そして異なるレセプター特異性を有する抗体を用いて染色した。染色を、フローサイトメトリーによって分析した。
【図1−4】図1は、蛍光活性化細胞スキャン(FACS)ヒストグラムプロフィールである。これは、mAb 1D9及び8G2は、CCR2トランスフェクタントを染色するが、CCR5又はCCR1トランスフェクタントは染色しないことを示す。L1/2(本明細書中では、L1.2とも呼ばれる)マウスプレ−Bリンパ腫宿主細胞を、図に示したCCR2、CCR5、及びCCR1でトランスフェクトし、そして異なるレセプター特異性を有する抗体を用いて染色した。染色を、フローサイトメトリーによって分析した。
【図1−5】図1は、蛍光活性化細胞スキャン(FACS)ヒストグラムプロフィールである。これは、mAb 1D9及び8G2は、CCR2トランスフェクタントを染色するが、CCR5又はCCR1トランスフェクタントは染色しないことを示す。L1/2(本明細書中では、L1.2とも呼ばれる)マウスプレ−Bリンパ腫宿主細胞を、図に示したCCR2、CCR5、及びCCR1でトランスフェクトし、そして異なるレセプター特異性を有する抗体を用いて染色した。染色を、フローサイトメトリーによって分析した。
【図2−1】図2は、FACSドットプロットである。これは、ほとんどの単球、リンパ球のサブ集団、及び顆粒球の小さいサブセット上でのCCR2の発現を示す。全血細胞を、3個の抗−CCR2 mAbの1つを用いて染色した(5A11は、免疫原としてCCR2のアミノ末端の最初の32個のアミノ酸からなるペプチドを使用して生成し、そして1D9及び8G2は、免疫原としてCCR2b L1/2細胞のトランスフェクタントを使用して本明細書中に記載されているように生成した)。染色を、フローサイトメトリーによって分析し、そしてリンパ球、顆粒球、及び単球の集団を、前方向及び側方向の光の散乱を使用して導いた(gate)。X軸は、前方光散乱(細胞の大きさの測定値)を示し、そしてY軸は、CCR2についての染色の蛍光強度を示す。陰性対照染色のレベルは、直線で示す。
【図2−2】図2は、FACSドットプロットである。これは、ほとんどの単球、リンパ球のサブ集団、及び顆粒球の小さいサブセット上でのCCR2の発現を示す。全血細胞を、3個の抗−CCR2 mAbの1つを用いて染色した(5A11は、免疫原としてCCR2のアミノ末端の最初の32個のアミノ酸からなるペプチドを使用して生成し、そして1D9及び8G2は、免疫原としてCCR2b L1/2細胞のトランスフェクタントを使用して本明細書中に記載されているように生成した)。染色を、フローサイトメトリーによって分析し、そしてリンパ球、顆粒球、及び単球の集団を、前方向及び側方向の光の散乱を使用して導いた(gate)。X軸は、前方光散乱(細胞の大きさの測定値)を示し、そしてY軸は、CCR2についての染色の蛍光強度を示す。陰性対照染色のレベルは、直線で示す。
【図2−3】図2は、FACSドットプロットである。これは、ほとんどの単球、リンパ球のサブ集団、及び顆粒球の小さいサブセット上でのCCR2の発現を示す。全血細胞を、3個の抗−CCR2 mAbの1つを用いて染色した(5A11は、免疫原としてCCR2のアミノ末端の最初の32個のアミノ酸からなるペプチドを使用して生成し、そして1D9及び8G2は、免疫原としてCCR2b L1/2細胞のトランスフェクタントを使用して本明細書中に記載されているように生成した)。染色を、フローサイトメトリーによって分析し、そしてリンパ球、顆粒球、及び単球の集団を、前方向及び側方向の光の散乱を使用して導いた(gate)。X軸は、前方光散乱(細胞の大きさの測定値)を示し、そしてY軸は、CCR2についての染色の蛍光強度を示す。陰性対照染色のレベルは、直線で示す。
【図2−4】図2は、FACSドットプロットである。これは、ほとんどの単球、リンパ球のサブ集団、及び顆粒球の小さいサブセット上でのCCR2の発現を示す。全血細胞を、3個の抗−CCR2 mAbの1つを用いて染色した(5A11は、免疫原としてCCR2のアミノ末端の最初の32個のアミノ酸からなるペプチドを使用して生成し、そして1D9及び8G2は、免疫原としてCCR2b L1/2細胞のトランスフェクタントを使用して本明細書中に記載されているように生成した)。染色を、フローサイトメトリーによって分析し、そしてリンパ球、顆粒球、及び単球の集団を、前方向及び側方向の光の散乱を使用して導いた(gate)。X軸は、前方光散乱(細胞の大きさの測定値)を示し、そしてY軸は、CCR2についての染色の蛍光強度を示す。陰性対照染色のレベルは、直線で示す。
【図3−1】図3は、FACSドットプロットである。これは、mAb 1D9が、IgE及びCCR2についての2色染色を使用して、末梢血中のIgEポジティブな集団(好塩基球)を染色することを示す。全血細胞を、最初に、図に示した陰性対照抗体(抗−Flag)、抗−CCR2抗体1D9、又は抗−CXCR1抗体のいずれかを用いて染色し、そして抗−マウス−FITC結合によって検出した。第2回目の染色を、図に示したPBS、又はIgE若しくはCD16に特異的なビオチニル化した抗体のいずれかを使用して行い、そしてストレプトアビジン−フィコエリトリンを用いて検出した。染色を、フローサイトメトリーによって分析した。
【図3−2】図3は、FACSドットプロットである。これは、mAb 1D9が、IgE及びCCR2についての2色染色を使用して、末梢血中のIgEポジティブな集団(好塩基球)を染色することを示す。全血細胞を、最初に、図に示した陰性対照抗体(抗−Flag)、抗−CCR2抗体1D9、又は抗−CXCR1抗体のいずれかを用いて染色し、そして抗−マウス−FITC結合によって検出した。第2回目の染色を、図に示したPBS、又はIgE若しくはCD16に特異的なビオチニル化した抗体のいずれかを使用して行い、そしてストレプトアビジン−フィコエリトリンを用いて検出した。染色を、フローサイトメトリーによって分析した。
【図3−3】図3は、FACSドットプロットである。これは、mAb 1D9が、IgE及びCCR2についての2色染色を使用して、末梢血中のIgEポジティブな集団(好塩基球)を染色することを示す。全血細胞を、最初に、図に示した陰性対照抗体(抗−Flag)、抗−CCR2抗体1D9、又は抗−CXCR1抗体のいずれかを用いて染色し、そして抗−マウス−FITC結合によって検出した。第2回目の染色を、図に示したPBS、又はIgE若しくはCD16に特異的なビオチニル化した抗体のいずれかを使用して行い、そしてストレプトアビジン−フィコエリトリンを用いて検出した。染色を、フローサイトメトリーによって分析した。
【図4】図4は、mAb 1D9がTHP−1細胞膜に対する[125 I]MCP−1の結合を阻害することを示す。3.0μgのTHP−1膜タンパク質を、0.1nMの[125I]MCP−1とともに、種々の濃度の1D9又はイソタイプ適合抗−CXCR3抗体1C6の存在下でインキュベートした。結合したトレーサーの量を、濾過及びシンチレーションカウンティングによる、結合物からの非結合物の分離によって決定した。データを、KaleidaGraphソフトウェアを用いる4−パラメーターの記号論理学の方程式(logitic equation)を使用して、非直線的回帰によって、IC50値を決定するために分析した。
【図5】図5は、mAb 1D9が新鮮なヒトのPBMCに対する[125 I]MCP−1の結合を阻害することを示す。新たに単離した末梢血単核細胞(500,000個)を、0.1nMの[125 I]MCP−1とともに、種々の濃度の1D9又はイソタイプ適合抗−CXCR3抗体1C6の存在下でインキュベートした。結合したトレーサーの量を、濾過及びシンチレーションカウンティングによる、結合物からの非結合物の分離によって決定した。データを、図4についてと同様に、IC50値を決定するために分析した。
【図6】図6A及び6Bは、mAb 1D9が、MCP−1によって誘導される化学走性を阻害するが、新鮮なPBMCのRANTESによって誘導される化学走性は阻害しないことを示すグラフである。図6Aは、抗体なし、あるいは0.1若しくは10μg/mlの1D9、又は非特異的マウスIgG2aを用いる、10nMのMCP−1に対するPBMCの化学走性アッセイの結果を示す。自発的な非特異的な移動もまた、示される。図6Bは、抗体なし、10μg/mlの1D9若しくは10μg/mlの非特異的マウスIgG2aを用いる、10nMのRANTESに対するPBMCの化学走性アッセイの結果を示す。RANTESの非存在下での自発的な非特異的な移動もまた、示される。 (配列表)
【表2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2へのリガンドの結合を阻害し、かつ該レセプターへのリガンドの結合に関連する1つ又はそれ以上の機能を阻害するものである、哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2のアミノ末端ドメインに結合する抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
組換え抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1記載の抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項3】
キメラ抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項2記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項2記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
ヒト抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
抗体が:a)ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体;
b)ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体のエピトープ特異性を有する抗体;
c)結合に関してATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体と競合する抗体;
d)ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体;
e)ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体のエピトープ特異性を有する抗体;
f)結合に関してATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体と競合する抗体;
及びg)哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2又はその一部に結合するものである、(a)〜(f)のいずれか1つの抗原結合フラグメント、からなる群より選択されるものである、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体のエピトープ特異性またはATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体のエピトープ特異性を有する、請求項2〜5いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
結合に関してATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体またはATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体と競合する、請求項2〜5いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体の1つ又はそれ以上の抗原結合領域を含有する、請求項1〜4いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体の1つ又はそれ以上の相補性決定領域を含有する、請求項1〜4いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体の6つの相補性決定領域を含有する、請求項10記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項12】
ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体の1つ又はそれ以上の抗原結合領域を含有する、請求項1〜4いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項13】
ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体の1つ又はそれ以上の相補性決定領域を含有する、請求項1〜4いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項14】
ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体の6つの相補性決定領域を含有する、請求項13記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項15】
ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生される可変重鎖のアミノ酸配列、およびATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生される可変軽鎖のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列の抗原結合領域を含有する、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項16】
ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生される可変重鎖のアミノ酸配列の抗原結合領域、およびATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生される可変軽鎖のアミノ酸配列の抗原結合領域を含有する、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項17】
ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生される可変重鎖のアミノ酸配列、およびATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生される可変軽鎖のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列の抗原結合領域を含有する、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項18】
ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生される可変重鎖のアミノ酸配列の抗原結合領域、およびATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生される可変軽鎖のアミノ酸配列の抗原結合領域を含有する、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項19】
ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生される可変重鎖をコードする核酸配列、およびATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生される可変軽鎖をコードする核酸配列からなる群より選択される核酸配列にコードされるアミノ酸配列の抗原結合領域を含有する、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項20】
ATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生される可変重鎖をコードする核酸配列にコードされるアミノ酸配列の抗原結合領域、およびATCC寄託番号HB−12549を有するハイブリドーマにより産生される可変軽鎖をコードする核酸配列にコードされるアミノ酸配列の抗原結合領域を含有する、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項21】
ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生される可変重鎖をコードする核酸配列、およびATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生される可変軽鎖をコードする核酸配列からなる群より選択される核酸配列にコードされるアミノ酸配列の抗原結合領域を含有する、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項22】
ATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生される可変重鎖をコードする核酸配列にコードされるアミノ酸配列の抗原結合領域、およびATCC寄託番号HB−12550を有するハイブリドーマにより産生される可変軽鎖をコードする核酸配列にコードされるアミノ酸配列の抗原結合領域を含有する、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項23】
抗体またはそのフラグメントがモノクローナル抗体またはそのフラグメントである、請求項1〜5及び15〜22いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項24】
抗体がCC−ケモカインレセプター2発現細胞に対して生成させられたものである、請求項23記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項25】
抗体がポリクローナル抗体である、請求項1記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項26】
前記レセプターの第1アミノ酸あたり〜第30アミノ酸あたりである、アミノ末端ドメインの部分に結合する、請求項1〜25いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項27】
哺乳動物のCC−ケモカインレセプター2がヒトCC−ケモカインレセプター2である、請求項1〜26いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項28】
リガンドがケモカインである、請求項1〜27いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項29】
ケモカインが、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるものである、請求項28記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項30】
リガンドが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)である、請求項1〜27いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項31】
白血球の輸送、細胞中へのHIVの侵入、T細胞の活性化、炎症媒介因子の放出及び白血球の脱顆粒の1つ又はそれ以上を阻害するものである、請求項1〜30いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項32】
前記レセプターへのケモカインの結合に関連する機能が白血球の輸送である、請求項28記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項33】
前記レセプターへのケモカインの結合に関連する機能が化学走化性である、請求項28記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項34】
前記レセプターへのケモカインの結合に関連する機能がHIV感染性である、請求項30記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項35】
抗原結合フラグメントがFvフラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、及びF(ab’)フラグメントからなる群より選択される、請求項1〜34いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項36】
少なくとも約0.1×10−9Mの親和性でCC−ケモカインレセプター2を結合する、請求項1〜35いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項37】
少なくとも約1×10−9Mの親和性でCC−ケモカインレセプター2を結合する、請求項1〜35いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項38】
少なくとも約3×10−9Mの親和性でCC−ケモカインレセプター2を結合する、請求項1〜35いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項39】
ケモカインによって誘導される細胞の化学走化性を、150μg/ml未満で阻害する、請求項29記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項40】
ケモカインによって誘導される細胞の化学走化性を、100μg/ml未満で阻害する、請求項29記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項41】
ケモカインによって誘導される細胞の化学走化性を、50μg/ml未満で阻害する、請求項29記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項42】
ケモカインによって誘導される細胞の化学走化性を、20μg/ml未満で阻害する、請求項29記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項43】
細胞が、末梢血単核細胞(PBMC)である、請求項39〜42いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項44】
約1.0μg/ml未満のIC50で前記レセプターへのリガンドの結合を阻害する、請求項1〜43いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項45】
約0.05μg/ml未満のIC50で前記レセプターへのリガンドの結合を阻害する、請求項1〜43いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項46】
約0.005μg/ml未満のIC50で前記レセプターへのリガンドの結合を阻害する、請求項1〜43いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項47】
標識されている、請求項1〜46いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項48】
標識が、放射性同位元素、スピン標識、抗原標識、酵素標識、蛍光標識、化学発光標識及びエピトープ標識より選択される、請求項47記載の抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項49】
請求項1〜48いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、及び任意の生理学的に受容可能なビヒクルを含んでなる組成物。
【請求項50】
凍結乾燥させられた形態である、請求項49記載の組成物。
【請求項51】
緩衝液、安定剤、賦形剤、殺生物剤及び不活性なタンパク質の1つ以上をさらに含んでなる、請求項49及び50のいずれか記載の組成物。
【請求項52】
請求項1〜48いずれか記載の抗体又はその抗原結合フラグメント、及び生理学的に受容可能なビヒクルを含んでなる医薬組成物。
【請求項53】
抗体又はその抗原結合フラグメントが、薬学的に受容可能なキャリア中で再構成される凍結乾燥された抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項52記載の医薬組成物。
【請求項54】
ATCCアクセッション番号HB−12549の下に寄託されたハイブリドーマ細胞株。
【請求項55】
ATCCアクセッション番号HB−12550の下に寄託されたハイブリドーマ細胞株。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−262074(P2007−262074A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117804(P2007−117804)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【分割の表示】特願2000−561221(P2000−561221)の分割
【原出願日】平成11年7月22日(1999.7.22)
【出願人】(500287639)ミレニアム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (98)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】