説明

抗−HGF/SFヒト化抗体及びこの製造方法

【課題】本発明の目的は、低い免疫副反応を示し、母体モノクローナル抗体に比べて同等以上の結合親和度を有する抗−HGF/SFヒト化抗体、及びファージ表面発現を用いて前記抗−HGF/SFヒト化抗体を製造する方法を提供するものである。
【解決手段】本発明の抗−HGF/SFヒト化抗体は、母体抗−HGF/SF抗体と同等以上のHGF/SFに対する結合親和度及びHGF/SFとこの受容体であるcMETの結合を抑制する中和活性を有しながらも人体内で低い免疫副反応を示すため、より效果的にHGFとその受容体であるcMETの結合によって引き起こされる様々な疾患、特に、癌の予防及び治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗−HGF/SFヒト化抗体及びこの製造方法に関するものであって、より詳しくはヒト抗体の軽鎖可変領域(V)とヒト以外の動物由来の抗−HGF/SF抗体の重鎖可変領域相補性決定部位(HCDR)が移植されたヒト抗体の重鎖可変領域(V)の組合わせからなる抗−HGF/SFキメラFabライブラリをファージ表面発現させて製造された抗−HGF/SFヒト化抗体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
HGF/SF(hepatocyte growth factor/scatter factor;肝細胞成長因子/分散因子)は、間葉細胞(mesenchymal cell)により生産される多機能性ヘテロ二量体(heterodimer)ポリペプチドであって、N末端ドメインとセリンプロテアーゼ類似ベータ−チェーンC末端ドメインに共有結合で連結された4個のクリングルドメイン(NK4)を含むアルファ−チェーンからなっている。また、ヒトHGF/SFは、生物学的に不活性である単鎖体形態の728個のアミノ酸を有する前駆体として合成されて、R494残基が特異的血清セリンプロテアーゼにより切断されて生物学的に活性なHGF/SFになり、この活性HGF/SFは、69kDaのアルファ−チェーンと34kDaのベータ−チェーンが二硫化結合で連結されたヘテロ二量体である。
【0003】
HGF/SFがその受容体であるcMETに結合すれば、多様な細胞類型の成長及び分散を誘導し、上皮間葉転移及び細管(tubule)と内腔(lumen)の形成を媒介し、血管形成を促進する。cMETとHGF/SFが共にノックアウット(knock−out)されたマウスは胚芽段階で死亡率が高く、胎盤、胎児の肝及び手足/筋肉形成において分化欠陥を示す(Cao et al.、PNAS 98(13):7443−7448、2001;Gmyrek et al.、American Journal of Pathology 159(2):579−590、 2001)。また、cMetは、肝、前立腺、大腸、乳房、脳及び皮膚癌などの多様なヒト癌において過発現すると報告されている(Maulik et al、Cytokine & Growth Factor Reviews、13(1)、41−59、2002)。従って、cMET活性化は、血管新生、 細胞運動性及び細胞表面タンパク質分解酵素調節などの過程に刺激的な影響を及ぼし癌の転移を著しく増加させるので、癌を予防及び治療するための標的因子として関心の対象になって来た(Wielenga et al.、American Journal of Pathology、157(5)、1563−1573、2000)。
【0004】
モノクローナル抗体(monoclonal antibody、mAb)は、治療剤としての潜在力を有しているが、このような非ヒト抗体は、人体内では外来抗原として見なされて免疫反応を誘発し、半減期が短いのでその治療效果が制限的である。
従って、このような問題を解決するため、抗原と直接結合する母体モノクローナル抗体の可変領域の相補性決定部位(complementary determining region、CDR)をヒト抗体に移植することによって(CDR−移植方法)“ヒト化抗体(humanized antibody)”を開発する研究が多様行われてきた。このようにして得られたヒト化抗体は母体抗体の親和度及び特異性を維持しながら人体内での免疫反応を減らし、半減期を延長させる(Baselga、J.et al.、J Clin Oncol、14、737−744、1996)。しかし、このようなCDR−移植方法は、時々母体モノクローナル抗体より抗原結合力が弱いヒト化抗体を生産するという問題がある(Carter、P.et al.、Proc Natl Acad Sci USA、89、4285−4428、1992;Eigenbrot、C.et al.、Proteins、18、49−62、1994;及びKettleborough、C.A.et al.、Protein Eng.、4、773−778、19911)。
【0005】
そこで、母体モノクローナル抗体の親和度を維持するヒト化抗体を提供するためにCDRルーフ(loop)形成に影響を与えるヒト抗体骨格部位領域(framework region、FR)に存在する主なアミノ酸残基をこれに対応する母体モノクローナル抗体のアミノ酸残基で代替することが報じられた(Chothia、C.et al.、Nature、342、877−888、1989)。しかし、抗原結合に関与する骨格部位の残基を見つけることは非常に難しいため、これを利用した抗体のヒト化方法は非常に時間がかかる。
【0006】
本発明者たちは、HGF/SFとこの受容体であるcMETの結合を抑制する中和活性を有する抗−HGF/SFのヒト化抗体及びこの效果的な製造方法に対する研究を続けた結果、ヒト抗体の軽鎖可変領域と人間以外の動物来由の抗−HGF/SF抗体の重鎖可変領域相補性決定部位(HCDR)が移植されたヒト抗体の重鎖可変領域で構成された組合わせ抗体ライブラリのファージ表面発現を利用すれば、母体抗体に比べて同等以上の活性を有しながらもモノクローナル抗体により誘導される人体内の免疫副反応が低いヒト化抗体を迅速に製造できることを見つけることで本発明を完成した。
【0007】
【非特許文献1】Cao et al.、PNAS.、98(13)、7443−7448、2001
【非特許文献2】Gmyrek et al.、American Journal of Pathology、159(2)、579−590、2001
【非特許文献3】Maulik et al、Cytokine & Growth Factor Reviews、13(1)、41−59、2002
【非特許文献4】Wielenga et al.、American Journal of Pathology、157(5)、1563−1573、2000
【非特許文献5】Baselga、J.et al.、J Clin Oncol、14、737−744、1996
【非特許文献6】Carter、P.et al.、Proc Natl Acad Sci USA、89、4285−4428、1992
【非特許文献7】Eigenbrot、 C.et al.、Proteins、18、49−62、1994
【非特許文献8】Kettleborough、C.A.et al.、Protein Eng.、4、773−778、19911
【非特許文献9】Chothia、C.et al.、Nature、342、877−888、1989
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、低い免疫副反応を示し、母体モノクローナル抗体に比べて同等または高い結合親和度を有する抗−HGF/SFヒト化抗体を提供することである。
本発明の他の目的は、ファージ表面発現を用いて前記抗−HGF/SFヒト化抗体を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような目的を果たすために、本発明は、
a)相補性決定部位(CDR)にそれぞれ下記アミノ酸配列を有するヒト抗体の重鎖可変領域;
TYYMS YIGTSSGTTYYANSVKG GLGRINL(配列番号1〜3)
b)ヒト抗体の軽鎖可変領域と同一の軽鎖可変領域;
c)ヒト抗体の重鎖不変領域と同一の重鎖不変領域;及び
d)ヒト抗体の軽鎖不変領域と同一の軽鎖不変領域
を有することを特徴とする抗−HGF/SFヒト化抗体を提供する。
前記他の目的を果たすために、本発明は相補性決定部位にそれぞれ配列番号1〜3のアミノ酸配列を有するヒト抗体の重鎖可変領域とヒト抗体の軽鎖可変領域との組合わせからなるキメラFabライブラリを製造した後、これをファージ表面発現させる段階を含むことを特徴とする前記抗−HGF/SFヒト化抗体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
完全にヒト化された軽鎖可変領域、及び移植された重鎖可変領域相補性決定部位及び骨格部位の一部残基を除き、全てヒト化された重鎖可変領域を有する本発明の抗−HGF/SFヒト化抗体は、母体抗体と同等なまたは高いHGF/SFに対する結合親和度を有し、HGF/SFとこの受容体であるcMETの結合を抑制する中和活性を有しながらも人体内で低い免疫副反応を示すので、より效果的にHGFとその受容体であるcMETの結合により引き起こされる多様な疾患、特に癌の予防及び治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明でキメラ(chimeric)抗体は、抗体可変領域(variable domain)又はこのCDRが抗体の残りの部分と相違した動物から由来する抗体を指す。このような抗体は、例えば、抗体可変領域は人間以外の動物(例えば、マウス、ラビット、家擒類など)から由来し、抗体不変領域(constant domain)は人間から由来した抗体であり得る。このようなキメラ抗体は、当業界で公知の遺伝子再組合わせなどの方法で製造されることができる。
【0012】
本発明でヒト化抗体(humanized antibody)は、動物由来モノクローナル抗体の高い親和度と特異性を維持しながらも人体内での免疫副反応を減少させるために、動物由来モノクローナル抗体のCDRをヒト抗体に移植させて製造される抗体を意味する。
【0013】
本発明で重鎖は、抗原に対する特異性を付与するための十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインV及び3個の不変領域ドメインであるC1、C2及びC3を含む全体長さ重鎖及びこの断片を指す。
軽鎖は、抗原に特異性を付与するための十分な可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む可変領域ドメインV及び不変領域ドメインCを含む全体長さ軽鎖及びこの断片を指す。
【0014】
また、Fabは、軽鎖及び重鎖の可変領域と軽鎖の不変領域及び重鎖の一番目の不変領域(C1)を有する構造であって、1個の抗原結合部位を有する。
【0015】
本発明のヒト化抗体は、ヒト抗体の軽鎖可変領域、人間以外の動物来由の抗−HGF/SF抗体の重鎖可変領域相補性決定部位(HCDR)が移植されたヒト抗体の重鎖可変領域及びヒト抗体の重鎖及び軽鎖不変領域で構成される。
【0016】
前記重鎖可変領域に移植される相補性決定部位は、相補性決定部位に配列番号1〜3のアミノ酸配列を有する人間以外のすべての動物の抗体重鎖から由来することができ、望ましくは配列番号20のアミノ酸配列を有する、抗−HGF/SFラビット/ヒトキメラモノクローナル抗体SFN 68(大韓民国特許登録第556660号)の重鎖可変領域から由来する。
【0017】
本発明の抗−HGF/SFヒト化抗体は、断片または全体形態の抗体であり得、望ましくはFabの形態を有する。
【0018】
また、本発明のヒト化抗体は、HGF/SFに対して1×10−9〜5×10−8Mの結合親和度(K)を有する。
【0019】
本発明では、抗原との結合力を高めるために、相補性決定部位が由来した母体抗体でCDRルーフの形態に影響を与える骨格部位領域のアミノ酸残基が追加に移植されたヒト抗体の重鎖可変領域を含むことができ、前記アミノ酸残基は配列番号20のアミノ酸配列を有するSFN 68重鎖可変領域の2、37、48、49、71、75及び78番アミノ酸残基中の一つ以上であることが望ましい。本発明でアミノ酸残基番号は、カバット番号付与体系(Kabat numbering scheme)により指定した。
【0020】
本発明の抗−HGF/SFヒト化抗体は、次のような方法に製造され得る。
まず、人間骨髓から抽出したRNAを用いてcDNAを合成した後、これを鋳型として縮退プライマー(degenerate primer)の組合わせを用いてPCRを行ってヒト抗体の軽鎖可変領域を合成し、ヒト抗体の軽鎖不変領域(Cκ)を重畳延長PCRで結合させて軽鎖遺伝子を製造する。
【0021】
配列番号1〜3のアミノ酸配列を有するHCDR、例えば、ラビット/ヒトキメラモノクローナル抗体SFN 68のHCDRが移植されたヒト抗体の重鎖可変領域を増幅するために、先に配列番号20のアミノ酸配列を有するSFN 68重鎖可変領域のHCDR 1(アミノ酸31−35)、HCDR2(アミノ酸50−65)またはHCDR3(アミノ酸95−102)を移植するように設計されたプライマーを用いて、骨格部位FR1(HCDR1を含む)、FR2(HCDR2を含む)、FR3(HCDR3を含む)及びFR4(ヒト抗体重鎖不変領域C1を含む)を合成するためのPCRをそれぞれ行う。
【0022】
この時、製造される抗体の抗原との結合力を高めるために骨格部位領域の任意の位置にこれに対応するSFN 68のアミノ酸残基を追加的に移植するように設計されたプライマーを利用できる。この時、追加的に移植される骨格部位領域のアミノ酸残基は、ラビット/ヒトキメラモノクローナル抗体SFN 68の重鎖アミノ酸配列及びこれと類似性が高い人間重鎖のアミノ酸配列を比較してラビットと人間の骨格部位領域の差からCDR ループの形態に影響を与える骨格部位領域のアミノ酸残基を確認することで決めることができ、配列番号20のアミノ酸配列を有するSFN 68重鎖可変領域の2、37、48、49、71、75及び78番アミノ酸残基中の一つ以上であることが望ましい。
【0023】
前記で得たFR1〜FR4に対するPCR産物を重畳延長PCR(overlap extension PCR)で結合させてラビット/ヒトキメラモノクローナル抗体SFN 68のHCDRが移植されたヒト抗体の重鎖可変領域とヒト抗体の重鎖不変領域(C1)に組合わされた重鎖遺伝子を製造する。この時用いられるプライマーは、效果的な結合のために各HCDRに対応する塩基を20個以上有するように設計される。
【0024】
本発明では前記で得た重鎖及び軽鎖遺伝子を重畳延長PCRで結合させてラビット/ヒトキメラFab抗体のDNAライブラリを製造する。
【0025】
本発明では前記ライブラリのDNA切片をベクターに挿入した後、このベクターで大膓菌を形質変換させることでラビット/ヒトキメラFab抗体ライブラリを製造する。前記ベクターと大膓菌は、当業界で通常的に用いられるものであれば、制限なしに用いられることができるが、ベクターではファージミドベクター、例えば、pComb3X(the Scripps Research Institute、米国)を用いるのが望ましく、大膓菌では大膓菌ER2537(NEB)を用いるのが望ましい。ライブラリDNAを含むファージミドベクターで大膓菌を形質変換させれば、導入したファージがファージコートタンパク質(phage coat protein)であるpIIIに融合タンパク質形態としてFab抗体を表面発現する。
【0026】
以後、HGF/SFにコーティングされたELISAプレート及び抗ヒトゴートFab多クローン抗体を用いた酵素免疫法を通じて抗−HGF/SF Fabを含むファージクローンを選別する。選別された抗−HGF/SF Fabを含むファージクローンのうち、SFN 68と同等以上の親和度を示すクローンをHSFN 68−13、HSFN 68−16、HSFN 68−27及びHSFN 68−41とそれぞれ名付けた。
【0027】
前記HSFN 68−13クローンはそれぞれ配列番号6及び7の塩基配列を有する V及びV領域を、HSFN 68−16クローンはそれぞれ配列番号10及び11の塩基配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−27クローンはそれぞれ配列番号 14及び15の塩基配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−41クローンはそれぞれ配列番号18及び19の塩基配列を有するV及びV領域を有する。
【0028】
前記クローンのV及びV領域に対するアミノ酸配列を類推すると、HSFN 68−13クローンはそれぞれ配列番号4及び5のアミノ酸配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−16クローンはそれぞれ配列番号8及び9のアミノ酸配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−27クローンはそれぞれ配列番号12及び13のアミノ酸配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−41クローンはそれぞれ配列番号16及び17のアミノ酸配列を有するV及びV領域を有する。
【0029】
前記クローンのアミノ酸配列で骨格部位(FR)とCDRを分析して見れば、各クローンのV及びV領域にはそれぞれ4個のFRと3個のCDRが存在し(図2及び3を参照)、前記HSFN 68クローンとSFN 68の軽鎖配列類似度は78〜81%であり、重鎖配列類似度は85〜90%である。
【0030】
本発明のヒト化抗体の重鎖及び軽鎖は、コドンの縮重性(degeneracy)により特定アミノ酸に対してこれをコードするいくつの他のコドンが存在するという事実は公知されているため、それらのアミノ酸配列から予測されるどのような塩基配列で特定でき、これらの塩基配列は全て本発明の範疇内に含まれる。望ましくはヒト化抗体重鎖及び軽鎖遺伝子配列は宿主細胞の一つ以上の選好コドンを含む。
【0031】
また、本発明では選別されたクローンのファージミドDNAで大膓菌を形質変換させ、抗体タンパク質を発現させた後、培養液を通常の方法で精製することによって抗−HGF/SFヒト化抗体を生産し得る。前記大膓菌と精製方法は、当業界で再組合わせタンパク質の生産のために通常的に用いるものであれば、制限なしに用いることができるが、大膓菌ではHB2151(Amersham Pharmacia Biotech)を用いるのが望ましく、精製方法では培養液を濃縮した後、タンパク質Lコラム(protein L column; Pierce Chemical Co、米国)で精製することが望ましい。
【0032】
HGF/SFに対するHSFN 68クローンの親和度を調査した結果、HSFN 68−13クローンが前述の4個のクローンの中で一番高い親和度を示し、これは SFN 68より6倍も高いものである。一方、HSFN 68−16は一番弱い親和度を示し、HSFN 68−27及び41はSFN 68と類似した親和度を示す(表 2を参照)。
【0033】
また、本発明のヒト化抗体は、HGF/SFとcMET/Fcキメラとの間の結合をSFN 68と同等な水準で抑制し(図5を参照)、SFN 68と類似した中和活性を示す(図6を参照)。
【0034】
このように、完全にヒト化された軽鎖可変領域、及び移植された重鎖可変領域相補性決定部位及び骨格部位の一部残基を除き、共にヒト化された重鎖可変領域を有する本発明によるヒト化抗体は、母体SFN 68と同等以上のHGF/SFに対する結合親和度を有し、HGF/SFとこの受容体であるcMETの結合を抑制する中和活性を有しながらも人体内で低い免疫副反応を示すため、より效果的にHGFとその受容体であるcMETの結合により引き起こされる多様な疾患、特に癌の予防及び治療剤として有用である。
従って、本発明では前記ヒト化抗体を有效成分で含む癌の予防・治療用組成物も提供する。本発明の組成物は薬学的に許容可能な担体を含むことができ、通常的な方法により剤形化され得る。
【0035】
本発明の薬学組成物は、静脈及び筋肉注射を含む多様な方法で投与されることができる。活性成分の投与量は患者の状態、投与経路、年齢、性別及び体重を含む多様な関連因子、及び患者の症状により決められる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を、実施例を通じてより詳しく説明する。
但し、下記の実施例は、本発明を例示することだけであって、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1
抗−HGF/SF ラビット/ヒトキメラFabを含むファージライブラリの製造
(1−1) ヒト抗体の軽鎖可変領域(V)の増幅
TRI試薬(Molecular Research Center、米国)を用いて人間骨髓(入手先:実験室研究員寄贈)から全体RNAを抽出した後、塩化リチウム沈澱法で精製した後、オリゴ(dT)をプライマーにし、スーパースクリプト前増幅システム(SUPERSCRIPT Preamlification System; Life Technologies社)を用いてcDNAを合成した。
前記ヒトcDNAを鋳型にし、下記表1の配列番号21〜25の縮退プライマー(degenerate primer)の組合わせを用いて重合酵素連鎖反応(PCR)を行うことでヒト抗体の軽鎖可変領域を合成した。
【表1】

【0037】
各PCR反応は、前記合成したcDNA(約 0.5μg)1μl、それぞれ60pmolの 正方向プライマーと逆方向プライマー、0.5μlのTaq重合酵素、8μlの2.5mM dNTP混合物、10μlの10×PCR緩衝溶液を混合し、蒸溜水を加えて100μlに調節し、この混合物を94℃で15秒、56℃で30秒、72℃で90秒の反応を30回繰り返した後、72℃で10分間定置して行った。
増幅されたDNAは1%アガロースゲルで電気泳動した後、LaboPassTMゲル抽出キット(Cosmo、韓国)を用いて精製した。
【0038】
(1−2) ヒト抗体の軽鎖不変領域(Cκ)の増幅
ヒト抗体の軽鎖不変領域(Cκ)を増幅するために、20ngのヒトFabのCκ配列を含むpComb3XTTベクター(the Scripps Research Institute、米国)を鋳型にして各60pmolの配列番号26及び27に記載するプライマーを用いたことを除き、前記(1−1)と同一な方法でPCRを行った。
【0039】
(1−3) 軽鎖の増幅
前記(1−1)及び(1−2)から得たヒト抗体の軽鎖可変領域(V)及びヒト抗体の軽鎖不変領域(Cκ)を重畳延長PCRを行って結合させて軽鎖遺伝子を製造した。
このPCR 反応は、それぞれ100ngのV及びCκPCR産物、それぞれ配列番号 28及び27と記載される60pmolの正方向プライマーと逆方向プライマー、0.5 μlのTaq重合酵素、8μlの2.5mM dNTP混合物、10μlの10×PCR緩衝溶液を混合し、蒸溜水を加えて100μlに調節し、この混合物を94℃で15秒、56℃で30秒、72℃で2分の反応を15回繰り返した後、72℃で10分間定置して行った。 以後増幅されたDNAを前記(1−1)と同一な方法でアガロースゲル電気永同・精製した。
【0040】
(1−4) SFN 68のHCDRが移植された重鎖可変領域(V)及び人間重鎖不変領域(C1)の増幅
前記(1−1)から得たヒトcDNAを鋳型にし、下記表2の配列番号29〜36のプライマーを用ってラビット/ヒトキメラモノクローナル抗体SFN 68(大韓民国特許登録第556660号)のHCDRが移植されたヒト抗体の重鎖骨格部位FR1(HCDR1を含む)、FR2(HCDR2を含む)及びFR3(HCDR3を含む)をPCRで合成し、FR4はヒト抗体の重鎖不変領域C1の配列を含むように、ヒトFabのC1 配列を含むpComb3XTT発現ベクター(the Scripps Research Institute、米国)を鋳型にして下記表2の配列番号37及び38のプライマーを用いてPCRで合成した。
【0041】
前記各PCRは、鋳型としてそれぞれ500ngのcDNAまたは20ngのpComb3XTT発現ベクターを用いたことを除き、前記(1−1)と同一の条件で行い、増幅されたDNAを前記(1−1)と同じの方法でアガロースゲル電気永同・精製した。
【表2】

【0042】
上記PCRに用いたプライマーは、図3に示されたように、配列番号20のアミノ酸配列を有するSFN 68重鎖可変領域のHCDR1(アミノ酸31−35)、HCDR2(アミノ酸50−65)またはHCDR3(アミノ酸95−102)、及び2、37、48、49、71、75及び78番アミノ酸残基の中で少なくとも一つがヒト抗体の重鎖配列の対応位置に移植されるように設計された。
【0043】
(1−5) 重鎖の増幅
下記表3に記載の鋳型及びプライマーの組合わせを用いて前記(1−3)と同一な方法で重畳延長PCRを行うことで前記(1−4)から得たFR1〜FR4に対する各PCR産物を順に結合させてSFN 68のHCDRが移植された重鎖可変領域(V)及び人間重鎖不変領域(C1)を含む重鎖を合成し、以後増幅されたDNAを前記(1−1)と同一な方法でアガロースゲル電気永同・精製した。
この時、用いられたプライマーは、效果的な結合のために抗−HGF/SF Fabをコーディングする塩基配列のHCDRの塩基配列に対応する塩基を20個以上有するように設計された。
【表3】

【0044】
(1−6) 抗−HGF/SFラビット/ヒトキメラFabライブラリ遺伝子の製造
抗−HGF/SFラビット/ヒトキメラFabライブラリ遺伝子を製造するために、それぞれ100ngの前記(1−3)で精製された軽鎖遺伝子産物と前記実施例(1−5)で精製された重鎖遺伝子産物、それぞれ60pmolの配列番号28及び配列番号40と記載するプライマーを用いたことを除き、前記(1−3)と同一な方法で PCRを行い、増幅されたDNAを前記(1−1)と同一な方法でアガロースゲル電気永同・精製した。
【0045】
(1−7) 抗−HGF/SF ラビット/ヒトキメラ Fab ライブラリ遺伝子を含むファージの製造
前記(1−6)で精製されたキメラFabライブラリ遺伝子を制限酵素SfiI(Roche、米国)で切断して分離した後、図1に示されているファージミドベクターpComb3X(the Scripps Research Institute、米国)に挿入した。この製造されたファージミドベクターを用いて大膓菌ER2537(NEB、米国)を電気穿孔(eletroporation)法で形質変換させた。
【0046】
このように導入したファージは、ファージコートタンパク質(phage coat protein)であるpIIIタンパク質形態としてFabを表面発現する。
前記形質変換された菌株をSB培地(10gのMOPS(3(N−Morpholino)propanesulfonic acid、Sigma)、30gのトリプトン(BD Biosciences、Difco)及び20gの酵母抽出物(BD sciences、Difco)を含む)を用いて37℃、250rpmで培養した後、培養物にヘルパーファージVCSM13(Stratagene、米国)を添加してファージ救助(phage rescue)を行った(文献[Barbas、C.F.et al.、Phage Display:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、2001]を参照)。一晩培養して得た培養物を4℃、14、000×gで20分間遠心分離して細胞ペレットを取り除いた後、上層液に4%(w/v)ポリエチレングリコール8000(PEG、シグマ)及び3%(w/v)NaClを添加し、氷溶上で30分間放置してファージを沈澱させた。これを4℃、17、000×gで20分間遠心分離して得た、ペレットを3%(w/v)BSA(bovine serum albumin)を含むTBS(TBSB)1mlに再度溶解させた。得られたライブラリの多様性をファージの滴定法(文献[Barbas、C.F.et al.、Phage Display:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、2001]を参照)及びBstNIフィンガープリンティング(fingerprinting)(文献 [Barbas、C.F.et al.、Phage Display:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、2001]を参照)で確認した。
【0047】
実施例2
ヒト化された抗−HGF/SF Fabを含むファージクローンの選別
(2−1) バイオパニング (Biopanning)
96−ウェルマイクロプレート(Costar、米国)の各ウェルに0.1M重炭酸ナトリウム緩衝額(pH8.6、コーティング緩衝額)に溶かした10μg/mlHGF/SF50μlを加えて4℃で一晩かけてコーティングした。各ウェルにTBSB(5%BSAを含む)100μlを添加し、37℃で2時間放置してコーティングされない部分をブロッキングした。コーティングされた各ウェルに実施例1で製造したFabを表面発現しているファージをTBSBに懸濁させた溶液50μlを加え、2時間程度37℃で放置した後、0.05%ツイン20を含むTBS(TBS−T)で洗滌し、ウェルに固定されているファージを0.1M HCl−グリシン(pH2.2)100μlに湧出させ、1M Tris−Cl(pH9.1)16μlを添加して中和させた。パンニングは、総4回実施し、洗滌回数は一番目パンニング(panning)に1回、二番目及び三番目パンニングに5回及び四番目パンニングに10回と増加させた。各パンニング毎に湧出されたファージで指数生長期の大膓菌ER2537細胞を形質変換させた後、実施例1の(1−7)と同一な方法でファージ球助を行い、インプット−アウトプットタイター(input−output titer)を通常の方法(文献[Barbas、C.F.et al.、2001]を参照)で調査した。
【0048】
(2−2) ELISA
HGF/SFに結合するクローンを同定するために表面発現されたFabを用いたELISAを行った。
具体的に、前記(2−1)で最終回パンニング後のアウトプットタイタープレート(output titer plate)から41個のクローンを無作為に選別した後、カベニシルリン(carbenicillin)が含まれたSB培地に前記クローンを接種して4時間を培養し、ヘルパーファージVCSM13を処理してファージ球助を行った。2時間後にカナマイシンで処理して一晩中培養して最終的に表面にFabが発現されたファージを含む上層液を得た。96−ウェルELISAプレートの各ウェルをコーティング緩衝額に溶かした1μg/mlHGF/SFを用いて4℃で一晩コーティングし、TBSBでブロッキングした。前記で得たファージ上層液を同一体積のTBSBと混合してコーティングされた各ウェルに50μlずつ添加した後、37℃で1時間放置し、TBS−Tで洗滌した。 各ウェルにABTS(one−step ABTS溶液、シグマ)を基質として用いてHRP(horseradish peroxidase)が結合されたシープ(sheep)抗−M13ファージ多クローン抗体(Amersham Pharmacia Biotech)を添加して37℃で30分間放置した後、405nmで光学密度を測定した。
その結果、HGF/SFに対して結合活性を有する総33個のクローンが選別され、これらに対して前記と同一な方法でELISAを行ってSFN 68と同等以上の結合親和度を示す4個のクローンを選別した。これら選別されたクローンをそれぞれHSFN68−13、16、27及び41と名付け、以後の実験に用いた。
【0049】
実施例3
選別されたファージの配列分析
前記実施例2で選別された4個のクローンのFab遺伝子の塩基配列分析は文献[Barbas、C.F.et al.、2001]に記載されている特定プライマーを用いてジデオキシ鎖終了(dideoxy chain termination)方法で行った。シーケンシング反応の産物は、ABIプリズム3100遺伝子分析機(Applied Biosystems、米国)に分析された。
その結果、HSFN 68−13 Fab遺伝子はそれぞれ配列番号6及び7の塩基配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−16 Fab遺伝子はそれぞれ配列番号10及び11の塩基配列を有するV及びV領域を、HSFN68−27 Fab遺伝子はそれぞれ配列番号14及び15の塩基配列を有するV及びV領域を、HSFN68−41 Fab遺伝子はそれぞれ配列番号18及び19の塩基配列を有するV及びV領域を有するということを確認した。
【0050】
これから前記FabのV及びV領域に対するアミノ酸配列を類推した結果、HSFN 68−13 Fabはそれぞれ配列番号4及び5のアミノ酸配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−16 Fabはそれぞれ配列番号8及び9のアミノ酸配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−27 Fabはそれぞれ配列番号12及び13のアミノ酸配列を有するV及びV領域を、HSFN 68−41 Fabはそれぞれ配列番号16及び17のアミノ酸配列を有するV及びV領域を有するということを確認した。
【0051】
前記Fabのアミノ酸配列で骨格部位(FR)とCDRを公知の方法(文献[Harris et al.、Protein Science、4(2)、p306−310、1995]を参照)で分析した結果、図2及び3のような領域構成を有することが判明した。
また、HSFN 68 Fabと SFN 68 Fabの軽鎖配列類似度は78〜81%であり、重鎖配列類似度は85〜90%であった。
【0052】
実施例4
抗−HGF/SF Fabの発現及び試験管内分析のための精製
前記実施例2で選別されたクローンのファージミドDNAで非抑制性大膓菌HB2151(Amersham Pharmacia Biotech)を形質変換させた。形質変換された菌株を50μg/mlのカルベニシリンを含むLB培地400mlに入れ、600 nmにおけるO.Dが0.5−1.0となるまで30℃、250rpmの条件で培養した後、1mM IPTGを添加し、30℃で一晩培養しながら発現を誘導した。培養液の上層液をLabscale TFF System(Millipore、米国)を用いて濃縮し、protein Lコラム(Pierce Chemical Co、米国)を用いて精製した後、精製された50 KDaのFabをクマシ染色で確認した。その結果を図4に示す。
【0053】
実験例1
HGF/SFに対する抗−HGF/SF Fabヒト化抗体の結合親和度分析
HGF/SFに対する抗−HGF/SF Fabヒト化抗体の結合親和度は、BIAcore器機(BIAcore、スウェーデン)を用いてSPR(Surface plasmon Resonance;表面プラズモン共鳴技術)で決定した。
【0054】
具体的に、10mMソジウムアセテート緩衝溶液(pH4.0)を5μl/minの速度で流しながらアミンカップルリングキット(Biacore AB)と共にキットの説明書に従ってCM5(carboxymethyldextran−modified)センサーチップ(Biacore AB)にHGF/SFを固定させた。0.005% ツイン20(シグマ)を含むPBS(phosphate buffered saline、pH7.4)に溶かした4種類の抗−HGF/SF Fab及び対照群としてSFN 68をそれぞれ25℃で2分間30μl/minの速度でチップに注入した。抗−HGF/SF Fabヒト化抗体は、1.25−200nMの濃度に希釈した。表面は、1 M NaCl/50mM NaOHで再生し、分析ソフトウェア(BIA evaluation software)を用いて運動速度定数(kon及びkoff)と平衡解離定数(K)を得た。その結果を表4に示す。
【表4】

【0055】
表4に示したように、HSFN 68−13 Fabが分析された4個のFabの中で最も高い親和度を示し、これは対照群として用いられたSFN 68より6倍も高いものである。一方、HSFN 68−16は最も弱い親和度を示し、HSFN 68−27及び41はSFN 68と類似した親和度を示した。
実験例2
抗−HGF/SF Fabの中和活性測定のための競争酵素免疫法(competition enzyme immunoassay)
96−ウェルマイクロプレートを1μg/mlのHGF/SFでコーティングし、前記実施例2の(2−2)と同一な方法でブロッキングした。2nM cMET/Fcキメラ(R&D systems、米国)25μlとTBSBに溶かした0〜200nMのHSFN 68−13またはSFN 68 25μlをHGF/SFがコーティングされたウェルに添加した後、37℃で1時間放置し、TBS−Tで洗滌した。ウェルに固定されたcMET/Fcの量は基質としてウルトラ−TMB基質溶液(Pierce)を用いてHRPが結合されたラビット抗−ヒトFc特異的IgG(Pierce)で測定した。30分間放置した後、450nmで光学密度を測定した。すべての実験を三度行い、これらの平均値及び標準偏差を図5に示した。
【0056】
図5に示したように、HSFN 68−13クローンはその量の増加にともなって固定されたHGF/SFとcMET/Fcキメラとの間の結合を抑制し、このような中和活性はSFN 68と類似した。
【0057】
実験例3
MDCK分散(scattering)分析
HSFN 68 FabがHGF/SFの生物学的活性を中和させるかどうかを確認するためにHGF/SF及びcMET信号伝逹に対する阻害剤效果の定量化に広く用いられるMDCK分散分析(文献[Thiery J.P.et al.、Nat.Rev.Cancer.、2、p442−445、2002]を参照)を行った。
【0058】
MDCK細胞(Epithelial Madin Darbey Canine Kidney cell;ATCC CCL 34)を10%FBSが添加されたDMEM培地で37℃、5%COの条件で培養した。96−ウェルプレートの各ウェル当り1.5×10個のMDCK細胞を分株して24時間放置した。18.75pMのHGF/SFを0〜 4.7nMのHSFN 68−13及び0〜700ng/mlの多クローンゴート抗−ヒトFab特異的IgG(シグマ)の混合物と37℃で1時間の前培養した後、PBSで洗滌した各ウェルに添加して一晩反応させた。この際、比較するためにSFN 68を用いて前記と同一な実験を繰り返した。また、多クローンゴート抗−ヒトFab特異的IgG、または非特異的Fab(Calbiochem Inc、米国)と抗−ヒトFab特異的IgGの混合物をHGF/SFと共に処理した実験群を比較群として用いた。細胞をメタノール及びアセトン混合物(1:1(v/v))で固定し、1%(w/v)クリスタルバイオレット水溶液で染色した後、逆位光学顕微鏡で分散效果を観察した。
図6に示したように、何れの処理もしなかった対照群のMDCK細胞(A)に比べて、HGF/SFで処理されたMDCK細胞(B)では細胞の分散が観察された。一方、多クローンゴート抗−ヒトFab抗体と共に前培養されて二量体化されたHSFN 68−13またはSFN 68を培地に添加すれば(C及びD)、HGF/SFによるMDCK細胞の分散が遮断されて対照群と類似した結果を示し、この時、HSFN 68−13とSFN 68は最小187.5pM濃度で14.06ng/mlのゴート抗−ヒトFab多クローン抗体と共に中和效果を示した。一方、比較群として用いられた多クローン塩素項−ヒトFab特異的IgG(E)及び非特異的Fabとゴート抗−ヒトFab特異的IgGの混合物(F)はHSF/SFによる細胞分散に対して何れの抑制效果も示されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】抗体ライブラリ製造に用いられたファージミドベクターpComb3Xの概略的な遺伝子構成を図式化したことであって、ファージ表面にFabを表面発現(display)することを示す図である。
【図2】母体抗体であるラビット/ヒトキメラモノクローナル抗体SFN 68と本発明のヒト化抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ比べたものである。(ここで、−は同一なアミノ酸を、太字はPCRプライマーにより置き換えされるアミノ酸を、下線はプライマーをコーディングするアミノ酸を、*はPCRによりヒトcDNAからクローニングされた多様性を有する領域を示す。)
【図3】母体抗体であるラビット/ヒトキメラモノクローナル抗体SFN 68と本発明のヒト化抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ比べたものである。(ここで、−は同一なアミノ酸を、太字はPCRプライマーにより置き換えされるアミノ酸を、下線はプライマーをコーディングするアミノ酸を、*はPCRによりヒトcDNAからクローニングされた多様性を有する領域を示す。)
【図4】実施例4で精製されたFab切片に対してクマシ染色を行ったゲル写真である。
【図5】本発明のヒト化抗体によるHGF/SFとcMET/Fcキメラの結合抑制程度を母体抗体であるSFN 68と比べたグラフである。
【図6】HGF/SFに対する本発明のヒト化抗体と抗−ヒトFab特定IgGの混合物のMDCK分散抑制程度を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)相補性決定部位(CDR)にそれぞれ下記アミノ酸配列を有するヒト抗体の重鎖可変領域;
TYYMS YIGTSSGTTYYANSVKG GLGRINL
(配列番号1〜3)
b)ヒト抗体の軽鎖可変領域と同一の軽鎖可変領域;
c)ヒト抗体の重鎖不変領域と同一の重鎖不変領域;及び
d)ヒト抗体の軽鎖不変領域と同一の軽鎖不変領域
を有することを特徴とする抗−HGF/SFヒト化抗体。
【請求項2】
抗原に対する結合親和度(K)が1×10−9〜5×10−8M以上であることを特徴とする請求項1に記載の抗−HGF/SFヒト化抗体。
【請求項3】
Fabであることを特徴とする請求項1に記載の抗−HGF/SFヒト化抗体。
【請求項4】
重鎖可変領域に配列番号20のアミノ酸配列を有するラビット/ヒトキメラモノクローナル抗体SFN 68重鎖可変領域の2、37、48、49、71、75及び78番アミノ酸残基中の一つ以上が追加に移植されたことを特徴とする請求項1に記載の抗−HGF/SFヒト化抗体。
【請求項5】
配列番号4のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号5のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;配列番号12のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号13のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;及び配列番号16のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号17のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域からなる群から選ばれる軽鎖及び重鎖可変領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の抗−HGF/SFヒト化抗体。
【請求項6】
請求項1に記載のヒト化抗体の重鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項7】
配列番号7、配列番号11、配列番号15または配列番号19の塩基配列を有する重鎖可変領域をコードすることを特徴とする請求項6に記載のDNA。
【請求項8】
相補性決定部位にそれぞれ配列番号1〜3のアミノ酸配列を有するヒト抗体の重鎖可変領域とヒト抗体の軽鎖可変領域の組合わせを含むFabのライブラリを製造した後、これをファージ表面発現させる段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記相補性決定部位がラビットから由来したことを特徴とする請求項8に記載の抗−HGF/SFヒト化抗体の製造方法。
【請求項10】
前記ヒト抗体重鎖可変領域に、配列番号20のアミノ酸配列を有するSFN 68重鎖可変領域の2、37、48、49、71、75及び78番アミノ酸残基中の一つ以上が追加的に移植されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載のヒト化抗体を含む癌予防及び治療用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−17816(P2008−17816A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200894(P2006−200894)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年1月23日ソウル大学中央図書館に学位論文として提出して発表
【出願人】(503317485)ソウル ナショナル ユニバーシティー インダストリー ファウンデーション (25)
【Fターム(参考)】