説明

抗ウイルス法

本発明は、エンベロープを持たないウイルス粒子を不活化する方法を提供する。この方法は、ウイルスを、殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物と接触させることを含んでなり、前記組成物は、アルコール、及びカチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれるエンハンサーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンベロープを持たないウイルスを不活化する方法に関する。本発明は、哺乳動物の皮膚において、エンベロープを持たないウイルスに対して局所的殺ウイルス効果を生ずる方法を提供する。エンベロープを持たないウイルスに対するアルコールの効果を増大させる方法も提供される。
【背景技術】
【0002】
1以上の低級アルコールを含有する皮膚消毒剤は広く知られている。少なくとも約50質量%のアルコールを含有する消毒剤は抗菌効果を発揮するが、これらアルコール消毒剤の抗ウイルス効果は、ウイルスのタイプに左右される。
【0003】
病原性ウイルスは、ウイルスの構造に関して2つの一般的なタイプ、すなわち、エンベロープを持つウイルス及びエンベロープを持たないウイルスに分類される。エンベロープを持つウイルスとしてよく知られているものとしては、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス;パラミクソウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、コロナウイルス、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、SARS-CoV、及びトガウイルスがある。エンベロープを持たないウイルス(しばしば、「裸の」ウイルスと称される)としては、ピコウイルス科(Picornaviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、カルシウイルス科(Caliciviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)及びパルボウイルス科(Parvoviridae)が含まれる。これらの科のメンバーとしては、ライノウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、A型肝炎ウイルス、ノロウイルス、パピローマウイルス、及びロタウイルスが含まれる。
【0004】
「エンベロープを持つ」ウイルスは、比較的感受性であり、このため、当分野において、一般的に使用される消毒剤によって不活化されることがよく知られている。これに対して、エンベロープを持たないウイルスは、エンベロープを持つウイルスと比べて、実質的に、従来の消毒剤に対して抵抗性であり、環境的に安定である。エンベロープを持たないウイルの多くは、比較的高濃度のホルムアルデヒドによって不活化されるが、ホルムアルデヒドの使用は、その毒性のため望ましいものではない。
【0005】
酸含有消毒剤及び酸性pHを有する消毒剤の殺ウイルス効果は、ウイルスのタイプに左右される。エンベロープを持たないウイルスのいくつか、すなわち、ライノウイルス、ネコカリシウイルス、及びイヌカリシウイルスは、少なくとも多少は酸によって影響を受けるものと考えられている。Virus Taxonomy: VIIIth Report of the International Committee On Taxonomy of Virus, Elsevier Science & Tchnology Books, ISBN 0122499514, 2005参照(当文献を、引用して、ここに含める)。少なくとも1つの文献は、5未満のpHは、ライノウイルス及び他の酸に不安定なウイルスに対する効果を提供することを示唆している。
【0006】
しかし、多くのエンベロープを持たないウイルスは、酸性pHにおいて安定であることが知られている。これらのウイルスとしては、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、パルボウイルス、パピローマウイルス、及びノロウイルスが含まれる。このように、酸含有消毒剤は、例えば、ライノウイルスに対しては、いくらかの抗ウイルス効果を有することが報告されているが、他のエンベロープを持たないウイルスに対する効果は不十分である。すなわち、これら酸性消毒剤の効果は狭く、限定的である。
【0007】
米国特許第6,080,417号は、低級アルコール50−60容量%、C3-5ジオール、及び過酸化水素、アルカンスルホネート、チオシアン酸塩から選ばれる相乗剤を含有するハンド消毒剤を教示している。
【0008】
米国特許第6,034,433号は、頻繁に適用される際、ライノウイルスの手から手への伝達を阻止するように機能する、C1-6アルコール、リンゴ酸、及びクエン酸を含有するハンドローションを教示している。このローションを指腹に塗布し、乾燥する。ウイルスの懸濁液を同じ指腹に塗布し、10‐15分間乾燥する。指腹をすすぎ、ウイルスの測定を行う。ライノウイルスが絶滅されていた。
【0009】
米国特許第5,043,357号は、エタノール及び/又はプロパノール少なくとも70質量%、及び短鎖有機酸1‐5質量%を含有する殺ウイルス組成物を教示している。この殺ウイルス組成物は、少なくとも1‐2分間の処理期間後、広い抗ウイルス効果スペクトルを有することが述べられている。しかし、殺ウイルス組成物を塗布する前に、消毒されるべき皮膚は、皮脂を除去するように処理されなければならない。
【0010】
米国特許公開出願第2002/0165278号は、ウイルスを、本質的に、C1-3モノヒドロキシアルコール又はC2-4ジオール0.2‐13容量%、及びpHを4.6以下に調整するための充分な量の酸の希水溶液からなる殺ウイルス効果的に有効な量の組成物と接触させることを含んでなるウイルスを不活化させる方法を教示している。これらの比較的低いアルコールレベルでは、この組成物が迅速な抗菌効果を有することは期待できない。
【0011】
米国特許公開出願第2005/105070号は、水性抗菌組成物を教示しており、この組成物は、ライノウイルス、ロタウイルス、コロナウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルスに対する抗ウイルス効果を有することが述べられている。この組成物は、有機酸70%以下及び大きい親水性ヘッド基、分枝アルキル鎖、又は不飽和アルキル鎖の少なくとも1つを有する特殊な短鎖アニオン性界面活性剤40%以下を含んでなる。この組成物を、1‐10分間の抗ウイルス効果テストに供した。これらの比較的高い酸及びアニオン性界面活性剤レベルから、皮膚に対して刺激性であることが予測され、リーブオンタイプの抗ウイルス製品に適しているとは考えられない。
【0012】
米国特許公開出願第2004/101726号は、アルコール10‐30容量%、長鎖アルキルポリアミン10‐30容量%、及びハロゲン(例えば、ヨウ素)を含んでなる組成物を教示している。この組成物は抗ウイルス効果を有することが述べられており、5‐60分間のポリオウイルスに対するテストが行われている。他のエンベロープを持たないウイルスについてのテストは報告されていない。また、5分未満の接触期間についての記載もない。
【0013】
国際特許公開第WO 2001/28340号は、抗ウイルス効果を有する抗菌組成物を教示しているが、テストデータは報告されていない。組成物は、ジカルボン酸、金属塩、及び皮膚科病学的に許容されるキャリヤーを含んでなる。好適な金属塩としては、I、II、IIIA、IV、VIB、VIII族の金属の塩、希土類化合物、及びそれらの混合物が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の文献は、いずれも、エンベロープを持たないウイルスに対する広く、迅速な効果を有する方法を教示していない。いずれも、抗ウイルス活性スペクトルにおいて制限されているか、又は長い接触時間を必要とするものである。従って、短時間で、エンベロープを持たないウイルス粒子の高レベルの不活化を達成できる方法を開発することが望ましい。殺菌及び殺ウイルス効果を有し、エンベロープを持つ及び持たないウイルスの広いスペクトルに対して一般的に使用されるようなアルコール組成物についての要求が常に存在している。加えて、有毒性の、規制された、又は増感性の成分を必要としない抗ウイルス組成物についての要求がある。
【0015】
欧州標準化委員会は、抗ウイルスのテスト法(EN 14476:2005;ヒト医薬品において使用される化学殺菌剤及び消毒剤に関する殺ウイルス定量懸濁テスト)を開発した。この標準法はプロトコルを定めるものであり、衛生用ハンドラブ及びハンドウォッシャーは、このプロトコルによって、ポリオウイルス及びアデノウイルスに対する効果についてテストされるべきである。EN 14476:2005に従ってテストする際、ポリオウイルス及びアデノウイルスに対する効果を提供する抗ウイルス組成物についての要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、エンベロープを持たないウイルス粒子を不活化する方法であって、該方法は、ウイルスを、殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物と接触させることを含んでなり、前記組成物は、C1-6アルコール、及びカチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、効果を増大させる量の1以上のエンハンサーを含んでなり、ただし、アルコール組成物がプロトンドナーを含有する場合には、前記組成物は、さらに、相乗的量のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とするエンベロープを持たないウイルス粒子の不活性化法を提供する。
【0017】
本発明は、哺乳動物の皮膚において、エンベロープを持たないウイルスに対する局所的殺ウイルス効果を提供する方法であって、該方法は、C1-6アルコール、及びカチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、効果を増大させる量の1以上のエンハンサーを含んでなる殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物を塗布することを含んでなり、ただし、アルコール組成物がプロトンドナーを含有する場合には、前記組成物は、さらに、相乗的量のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とする局所的殺ウイルス効果を提供する方法を提供する。
【0018】
本発明は、さらに、皮膚へ塗布される際、C1-6アルコールのエンベロープを持たないウイルス粒子に対する効果を増大させる方法であって、該方法は、前記C1-6アルコールを、カチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、効果を増大させる量の1以上のエンハンサーと組み合わせて殺ウイルス組成物を形成することを含んでなり、ただし、殺ウイルス組成物がプロトンドナーを含有する場合には、前記組成物は、さらに、相乗的量のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とするエンベロープを持たないウイルスに対するC1-6アルコールの効果の増大法を提供する。
【0019】
本発明は、さらに、殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物であって、前記組成物は、C1-6アルコール、及びカチオン性オリゴマー及びポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、効果を増大させる量の1以上のエンハンサーを含んでなり、ただし、アルコール組成物がプロトンドナーを含有する場合には、前記組成物は、さらに、相乗的量のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含有するものであり、前記殺ウイルス組成物は、前記エンハンサーを含有しない同じ組成物の効果よりも大きい、エンベロープを持たないウイルスに対する効果を発揮するものであることを特徴とする殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、エンベロープを持たないウイルス粒子を不活化する方法を提供するものである。1具体例では、抗ウイルス法は、ピコウイルス科、レオウイルス科、カルシウイルス科、アデノウイルス科及びパルボウイルス科のメンバーを含むエンベロープを持たないウイルスに対する迅速な抗ウイルス効果を有する。さらに詳述すれば、特定の具体例では、抗ウイルス法は、ライノウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、パピローマウイルス、ネコカリシウイルス、A型肝炎ウイルス、パルボウイルス、及びロタウイルスのようなエンベロープを持たないウイルスに対する迅速な抗ウイルス効果を有する。1以上の具体例では、抗ウイルス法は、アデノウイルス、ノロウイルス、パピローマウイルス、ネコカリシウイルス、A型肝炎ウイルス、パルボウイルス、及びロタウイルスに対する迅速な抗ウイルス効果を有する。有利には、抗ウイルス法は、パピローマウイルス、ネコカリシウイルス、A型肝炎ウイルス、及びパルボウイルスに対する迅速な抗ウイルス効果を有する。
【0021】
特定の具体例では、本発明の抗ウイルス法は、グラム陰性及びグラム陽性細菌、真菌類、寄生虫、及びエンベロープを持つウイルスを殺すことにおいても有効である。さらに詳述すれば、特定の具体例では、抗ウイルス法は、ブドウ球菌(Staphylococcus)のようなグラム陽性細菌に対する、及び大腸菌(Escherichia colli)のようなグラム陰性細菌に対する迅速な抗菌効果を有する。これらの及び他の具体例では、本発明の方法は、アスペルギルス属菌(Aspergillus)のような菌類に対する迅速な効果を有する。1以上の具体例では、本発明の方法は、ヘルペス及びインフルエンザウイルスのようなエンベロープを持つウイルスに対する効果を有する。
【0022】
抗ウイルス法は、ウイルスを抗ウイルス組成物と接触させることを含む。抗ウイルス組成物の物理的形態は特に限定されないが、1以上の具体例では、組成物は、注入、ポンプ送給、噴霧又は分散されるような液体、ゲル、エーロゾル、又はフォーム(エーロゾル及び非エーロゾルの両方を含む)として存在できる。抗ウイルス組成物は、各種の表面又は基材(皮膚、多孔性及び非多孔性の表面を含む)上で使用される。1以上の具体例では、抗ウイルス組成物は、表面をぬぐうことができるふき取り繊維(例えば、ティッシュ又は布)として存在できる。一般に、抗ウイルス組成物は、アルコール、及びカチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれるエンハンサーを含む。
【0023】
有利には、本発明の方法は、幅広い温度(約25−約35℃の室温を含む)において抗ウイルス効果を有する。1具体例では、抗ウイルス組成物をウイルス粒子と接触させると、60秒未満で、1以上のlog減少が達成され、他の具体例では、2以上のlog減少が、さらに他の具体例では、3以上のlog減少が、60秒未満で達成される。他の具体例では、60秒未満で、3.5以上のlog減少が達成され、さらに他の具体例では、60秒未満で、4以上のlog減少が達成される。1以上の具体例では、約60秒以内で、ウイルスが、テスト法の検出限界まで完全に不活化される。特定の具体例では、抗ウイルス組成物をウイルス粒子と接触させると、30秒未満で、1以上のlog減少が達成され、他の具体例では、2以上のlog減少が、さらに他の具体例では、3以上のlog減少が、30秒未満で達成され、他の具体例では、30秒未満で、3.5以上のlog減少が達成され、さらに他の具体例では、30秒未満で、4以上のlog減少が達成される。1以上の具体例では、約30秒以内で、ウイルスが、テスト法の検出限界まで完全に不活化される。
【0024】
抗ウイルス組成物は、MS2(エンベロープを持たないウイルスに対する効果を証明するためのテストにおいて、しばしば、使用される、エンベロープを持たないバクテリオファージ)に対して効果を発揮する。1具体例では、抗ウイルス組成物をエンベロープを持たないバクテリオファージMS2と接触させると、60秒未満で、1以上のlog減少が達成され、他の具体例では、2以上のlog減少が達成され、さらに他の具体例では、3以上のlog減少が、60秒未満で達成される。他の具体例では、60秒未満で、3.5以上のMS2ウイルスのlog減少が達成される。さらに他の具体例では、60秒未満で、4以上のMS2のlog減少が達成される。1以上の具体例では、約60秒以内で、ウイルスが、テスト法の検出限界まで完全に不活化される。特定の具体例では、抗ウイルス組成物をウイルス粒子と接触させると、30秒未満で、1以上のlog減少が達成され、他の具体例では、2以上のlog減少が、さらに他の具体例では、3以上のMS2のlog減少が、30秒未満で達成される。他の具体例では、30秒未満で、3.5以上のMS2のlog減少が達成される。さらに他の具体例では、30秒未満で、4以上のMS2のlog減少が達成される。1以上の具体例では、約30秒以内で、ウイルスが、テスト法の検出限界まで完全に不活化される。
【0025】
他の具体例では、抗ウイルス組成物を、アデノウイルスのような哺乳動物ウイルスと接触させると、60秒未満で、1以上のlog減少が達成され、他の具体例では、2以上のlog減少が、さらに他の具体例では、3以上のlog減少が、60秒未満で達成される。他の具体例では、60秒未満で、3.5以上のlog減少が達成される。さらに他の具体例では、60秒未満で、4以上のlog減少が達成される。1以上の具体例では、約60秒以内で、ウイルスが、テスト法の検出限界まで完全に不活化される。特定の具体例では、抗ウイルス組成物をアデノウイルス粒子と接触させると、30秒未満で、1以上のlog減少が達成され、他の具体例では、2以上のlog減少が、さらに他の具体例では、3以上のlog減少が、30秒未満で達成される。他の具体例では、30秒未満で、3.5以上のlog減少が達成される。さらに他の具体例では、30秒未満で、4以上のlog減少が達成される。1以上の具体例では、約30秒以内で、ウイルスが、テスト法の検出限界まで完全に不活化される。
【0026】
1具体例では、抗ウイルス組成物をヒトの皮膚上でウイルスと接触させる方法は、所定の量の組成物を皮膚に塗布すること、及び組成物を、好適な時間、皮膚と接触させたままにすることを含む。他の具体例では、組成物を、皮膚の表面上に延展し、擦り込み、又はすすぎ、蒸発によって乾燥させるか、又は拭う。
【0027】
有利には、本発明の抗ウイルス組成物は、アルコールの効果と比較する際、エンベロープを持たないウイルスに対する増大された効果を発揮する。C1-6アルコールはエンベロープを持たないウイルスに対してわずかな効果しか持たないが、C1-6アルコールを、効果を増大させる量のエンハンサーと組み合わせて、抗ウイルス組成物を形成することによって、その効果は増大される。1以上の具体例では、抗ウイルス組成物は、同量のC1-6アルコールを含有する組成物と比べて、エンベロープを持たないウイルスに対する増大された効果を発揮する。特定の具体例では、相乗効果も認められる。換言すると、エンベロープを持たないウイルスに対する抗ウイルス組成物の効果は、同量の各成分の効果の和よりも大きい。
【0028】
従って、本発明は、アルコール及びエンハンサーを含んでなる効果が増大されたアルコール組成物を提供する。1具体例では、アルコールは、低級アルコール、すなわち、炭素原子1‐6個を含有するアルコールである。代表的には、これらのアルコールは抗菌特性を有する。低級アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、それらの異性体及び混合物が含まれるが、これらに限定されない。1具体例では、アルコールは、エタノール、プロパノール、又はブタノール、又はそれらの異性体又は混合物からなる。他の具体例では、アルコールはエタノールからなる。
【0029】
一般に、抗ウイルス組成物は、少なくとも約50質量%の量のアルコールを含んでなる。迅速な効果が要件として求められない具体例では、アルコールの量は低減される。アルコール組成物の総質量について、1具体例では、抗ウイルス組成物はアルコール少なくとも約60質量%を含んでなり、他の具体例では、抗ウイルス組成物はアルコール少なくとも約65質量%を含んでなり、他の具体例では、抗ウイルス組成物はアルコール少なくとも約70質量%を含んでなり、さらに他の具体例では、抗ウイルス組成物はアルコール少なくとも約78質量%を含んでなる。特定の例では、組成物において使用される他の成分及びその量に応じて、より多い又はより少ない量のアルコールが求められる。抗ウイルス組成物の総質量について、特定の具体例では、抗ウイルス組成物はアルコール約50−約98質量%を含んでなり、他の具体例では、抗ウイルス組成物はアルコール約60−約95質量%を含んでなり、さらに他の具体例では、抗ウイルス組成物はアルコール約65−約90質量%を含んでなり、さらの他の具体例では、抗ウイルス組成物はアルコール約70−約85質量%を含んでなる。
【0030】
特定の具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーが、エンベロープを持たないウイルスに対するアルコール組成物の抗ウイルス効果を増大させるとの知見を得た。カチオン性オリゴマー又はポリマーとしては、カチオン性多糖、糖類及び合成のカチオン性モノマーのカチオン性コポリマー、及び合成のカチオン性オリゴマー又はポリマーが含まれるが、これらに限定されない。合成のカチオン性オリゴマー又はポリマーとしては、カチオン性ポリアルキレンイミン、カチオン性エトキシポリアルキレンイミン、カチオン性ポリ[N-[3-(ジアルキルアンモニオ)アルキル]N'[3-(アルキレンオキシアルキレンジアルキルアンモニオ)アルキル]ウレアジクロライド]、ビニルカプロラクタム/VP/ジアルキルアミノアルキルアルキレートコポリマー、及びポリクオタニウムポリマーが含まれる。
【0031】
カチオン性オリゴマー又はポリマーの例としては、キトサン、イソホロンジイソシアネート及びPEG-15コカミンのコポリマー、ポリクオタニウム-4/ヒドロキシプロピルスターチコポリマー、ブチルメタクリレート-(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド及びジリノレイルアミドプロピルジメチルアンモニウムクロライドヒドロキシプロピルコポリマーが含まれる。ポリクオタニウムの例として、下記の表1(INCI名称及び専門的名称を含む)に示されるものが含まれる。
表1
INCI名 化合物名
ポリクオタニウム
−X

−2 ビス(2-クロロエチル)エーテル, polym. w. N,N'-ビス[3-(ジメチルア
ミノ)プロピル]尿素
−4 ヒドロキシエチルセルロース ジメチルジアリルアンモニウムクロライド
コポリマー
−5 アクリルアミド及びβ-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウム
メトスルフェートのコポリマー
−6 ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド
−7 ジメチルジアリルアンモニウムクロライド及びアクリルアミドコポリマ

−9 臭化メチルにて4級化したポリジメチルアミノエチルメタクリレート
−10 トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシルエチ
ルセルロース
−11 PVP N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸コポリマー硫酸ジエチル溶

−14 エタンアミニウム, N,N,N-トリメチル-2-[(2-メチル-1-オキソ-2-
プロペニル)オキシ]-, 硫酸メチルホモポリマー
−15 アクリルアミド−ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライ
ドコポリマー
−16 3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムクロライド−1-ビニル-2-ピロリ
ジノンクロライド
−17 アジピン酸及びジエチルアミノピロピルアミン及びジクロロエーテルか
ら調製された4級塩
−18 アジピン酸及びジメチルアミノプロピルアミンを反応させ、ジクロロエ
チルエーテルと反応させることによって調製された4級塩
−19 ポリビニルアルコールと2,3−エポキシプロピルアミンとの反応によ
って調製された4級アンモニウム塩
−20 ポリビニルオクタデシルエーテルと2,3-エポキシプロピルアミンとの
反応によって調製された4級アンモニウム塩
−22 アクリル酸−ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)ポリ
マー
−24 ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシ
エチルセルロースのポリ4級アンモニウム塩
−27 ポリクオタンウム−2及び17のブロックコポリマー
−28 ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム
クロライドコポリマー
−29 エピクロルヒドリンにて4級化したプロポキシル化キトサン
−30 エタンアンモニウム, N-カルボキシメチル-N,N-ジメチル-2-((2-メチ
ル-1-オキソ-2-プロペニル)オキシ)-, 分子内塩, メチル2-メチル-
2-プロペノエートとのポリマー
−31 N, N-ジメチルプロパンジアミンとの2-プロパンニトリルの反応生成物,
硫酸塩
−32 アクリルアミド−ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロライ
ド(DMAEMA)コポリマー
−37 トリメチルアミノエチルメタクリートクロライドポリマー
−39 アクリル酸(AA), ポリマーw/アクリルアミド及びジアリルジメチルア
ンモニウムクロライド(DADMAC)
−42 ポリオキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン−(ジメチルイミノ)エチ
レンジクロライド
−43 アクリルアミド, アクリルアミドプロピルトリモニウムクロライド, ア
ミドプロピルアクリルアミド及びDMAPAモノマーのコポリマー
−44 ビニルピリリドン及び4級化イミダゾリンモノマーのポリ4級アンモニ
ウム塩
−46 ビニルカプロラクタム, ビニルピロリドン及びメチルビニルイミダゾリ
ウムの4級アンモニウム塩
−47 4級アンモニウムクロライド−アクリル酸, メチルアクリレート及びメ
タクリルアミドプロピルトリモニウムクロライド
−48 メタクリロイルエチルベタイン, 2-ヒドロキシエチルメタクリレート及
びメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロライドのコポリマ

−51 3,5,8-トリオキシ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アンモニウム,
4-ヒドロキシ-N,N,N,10-テトラメチル-9-オキソ, 分子内塩, 4-オキ
シド, ブチル2-メチル-2-プロペノエートとのポリマー
−53 アクリル酸(AA)/アクリルアミド/メタクリルアミドプロピルトリモ
ニウムクロライド(MAPTAC)コポリマー
−54 アスパラキシ酸及びC6-18アルキルアミンとジメチルアミノプロピルア
ミン及びクロル酢酸ナトリウムのと反応によって調製されたポリマー性
4級アンモニウム塩
−55 1-ドデカンアミニウム, N,N-ジメチル-N-[3-[(2-メチル-1-オキソ-
2-プロペニル)アミノプロピル]-, クロライド, N-[3-(ジメチルアミノ
)プロピル]-2-メチル-2-プロベンアミド及び1-エテニル-2-ピロリド
ンとのポリマー
−56 アスパラギン酸及びC6-18アルキルアミンとジメチルアミノプロピルア
ミン及びクロロ酢酸ナトリウムの反応によって調製されたポリマー性4
級アンモニウム塩
−57 カストールイソステアレートスクシネート(q.v.)及びリシノールアミ
ドプロピルトリモニウムクロライド(q.v.)モノマーからなるポリマー
性4級アンモニウム塩
−58 2-プロペノン酸、メチルエステル、2,2-ビス[(2-プロペニルオキシ)
メチル]-1-ブタノール及びジエテニルベンゼンとのポリマー, N,N-ジメ
チル−1,3-プロパンジアミンとの反応生成物, クロロメタン−4級化
−59 ポリクオンタニウムポリエステル
−60 9-オクタデセン酸, 12-ヒドロキシ, [(2-ヒドロキシエチル)イミノ]
ジ-2,1-エタンジイルエステル, 5-イソシアナト-1-(イソシアナトメ
チル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンとのポリマー, 硫酸ジエチ
ルとの化合物
−62 ブチルメタクリート, ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリ
ート、エチレングリコールジメタクリート及び2-メタクリロイルエチル
トリモニウムクロライドと2,2'-アゾビス-(2-メチルプロピオンアミ
ジン)2塩酸塩との反応によって調製されたポリマー性4級アンモニウム

−63 アクリルアミド, アクリル酸及びエチルトリモニウムクロライドアクリ
レートのコポリマー
−65 2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン, ブチルメタクリート
及びメタクリル酸ナトリウムモノマーからなるポリマー性4級アンモニ
ウム塩
−68 ビニルプロリドン(VP)、メタクリルアミド(MAM)、ビニルイミダゾー
ル(VI)及び4級化ビニルイミダゾール(QVI)の4級化コポリマー
−69 ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメ
タクリルアミド(DMAPA)及びメタクリロイルアミノプロピルラウリルジ
モニウムクロライドを含有するポリマー性4級アンモニウム塩
−70
−71
−72
−73
−74
−75
【0032】
1以上の具体例において、ポリクオタニウムポリマーには、ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−5、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−24、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−42、ポリクオタニウム−43、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−57、ポリクオタニウム−58、ポリクオタニウム−59、ポリクオタニウム−60、ポリクオタニウム−63、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−65、ポリクオタニウム−68、又はその混合物が含まれる。
【0033】
1具体例では、ポリクオタニウムポリマーには、ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−42、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−58、又はその混合物が含まれる。他の具体例では、ポリクオタニウムポリマーはポリクオタニウム−37を含む。
【0034】
特定の具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーは、公知の方法、例えば、コロイド滴定によって測定される電荷密度によって特徴付けられる。1具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーの電荷密度は、少なくとも約0.1meq/gであり、他の具体例では、少なくとも約2.5meq/gであり、さらに他の具体例では、少なくとも約5meq/gである。
【0035】
有利には、アルコール及び効果を増大させる量のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含んでなる抗ウイルス消毒組成物は、アルコールを含むが、カチオン性オリゴマー又はポリマーを含まない抗ウイルス組成物と比較する場合、広いスペクトルのエンベロープを持たないウイルスに対する増大された効果を有することが認められた。特定の具体例では、エンベロープを持たないウイルスに対して、それ自体は効果を発揮しないカチオン性オリゴマー又はポリマーが、本発明に従って、アルコールと組み合わされる場合には、増大された効果を提供する。
【0036】
1具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーの効果を増大させる量とは、抗ウイルス組成物の総質量に関して少なくとも約0.02質量%であり、他の具体例では、少なくとも約0.05質量%、さらに他の具体例では、少なくとも約0.1質量%である。一般に、カチオン性オリゴマー又はポリマーの効果を増大させる量は、抗ウイルス組成物の総質量について、約0.02−約20質量%である。抗ウイルス組成物の総質量に関して、1具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーは、約0.1−約10質量%の量で存在し、他の具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーは、約0.25−約5質量%の量で存在し、さらに他の具体例では、約0.4−約1質量%の量で存在する。特定の具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーの量は、他の美的資質と共に、抗ウイルス組成物の粘性に影響を及ぼす。それでも、必要によって、より多くの量のカチオン性オリゴマー又はポリマーを使用でき、この場合、抗ウイルス効果の点で少なくとも同様の機能することが期待される。
【0037】
カチオン性オリゴマー又はポリマーは、乾燥粉末の形、又はエマルジョン又は液状混合物として供給される。1具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーは、固体として抗ウイルス組成物に添加される。他の具体例では、カチオン性オリゴマー又はポリマーは、溶液又はエマルジョンとして、抗ウイルス組成物に添加される。換言すれば、カチオン性オリゴマー又はポリマーは、予め、キャリヤー及び任意の1以上の他の成分と混合されて、カチオン性オリゴマー又はポリマーの溶液又はエマルジョンとされるが、ただし、キャリヤーは組成物の抗ウイルス特性に有害な影響を及ぼすものであってはならない。さらに詳述すれば、キャリヤーは、log減少を僅少量(de minimus amount)以上に低減させる場合、組成物の抗ウイルス特性に悪影響を及ぼす。「僅少」は、約0.5以下のlog減少の低下を意味する。
【0038】
キャリヤーの例としては、水、アルコール、又は水と他のキャリヤー(例えば、グリコール、ケトン、直鎖及び/又は環状炭化水素、トリグリセリド、カーボネート、シリコーン、アルケン、エステル(例えば、酢酸エステル、安息香酸エステル、脂肪酸エステル、グリセリルエステル)、エーテル、アミド、ポリエチレングリコール、PEG/PPGコポリマー、無機塩溶液(例えば、食塩水)、及びその混合物)とのブレンドが含まれる。カチオン性オリゴマー又はポリマーをプレ混合して、カチオン性オリゴマー又はポリマー溶液又はエマルジョンを形成する場合に、抗ウイルス組成物に添加される溶液又はエマルジョンの量は、カチオン性オリゴマー又はポリマーの量が上述の範囲内に入るように選択されることが理解されるであろう。
【0039】
特定の具体例では、抗ウイルス組成物は、さらに、プロトンドナーを含有する。プロトンドナーとしては、アレニウス酸、ブレンステッド‐ローリー酸及びルイス酸が含まれる。強酸又は弱酸が使用できる。
【0040】
酸の例としては、無機酸及び有機酸が含まれる。無機酸としては、塩酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、及び硫酸が含まれるが、これらに限定されない。有機酸としては、スルホン酸、有機リン酸、カルボン酸(例えば、安息香酸、プロピオン酸、フタル酸、酪酸、酢酸)、アミノ酸、及び他の置換又は未置換の有機酸が含まれる。
【0041】
有機酸の例としては、アジピン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、クロロコハク酸、塩化コリン、シス-アコニット酸、シトラマル酸、クエン酸、シクロブタン1,1,3,3-テトラカルボン酸、シクロヘキサン1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロペンタン1,2,3,4-テトラカルボン酸、ジグリコール酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリオキシル酸、イソクエン酸、ケトマロン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、ニトリロトリ酢酸、オキサル酢酸、オキサル酸、フィチン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、タルトロン酸、テトラヒドロフラン2,3,4,5-テトラカルボン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、3-ヒドロキシグルタル酸、2-ヒドロキシプロパン1,3-ジカルボン酸、グリセリン酸、フラン2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシフラン-2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸、2-オキソグルタル酸、dl-グリセリン酸、及び2,5-フランジカルボン酸がある。
【0042】
特定の具体例では、プロトンドナーはヒドロキシカルボン酸を含んでなり、1具体例では、ヒドロキシ酸は、2以上のカルボン酸基を有する。1以上の具体例では、2以上のカルボン酸基を有するα-ヒドロキシ酸の例としては、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、及びイソクエン酸が含まれる。他のα-ヒドロキシカルボン酸の例としては、乳酸、酒石酸、及びマロン酸が含まれる。1具体例では、プロトンドナーとしては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、オキサル酸、又はその混合物が含まれる。1具体例では、プロトンドナーはクエン酸である。
【0043】
特定の具体例では、プロトンドナーは、エンベロープを持たないウイルスに対するアルコール溶液の抗ウイルス効果を増大させるとの知見を得た。1以上の具体例では、エンベロープを持たないウイルスに対して、それ自体では、大した効果又は全く効果を発揮しないプロトンドナーが、本発明の抗ウイルス組成物において存在する場合、増大された効果を提供する。
【0044】
1以上の具体例では、エンベロープを持たないウイルス粒子を、C1-6アルコール、効果を増大させる量のプロトンドナー、及び相乗的量のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含んでなる殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物と接触させることによって、抗ウイルス効果の相乗的増大が達成される。相乗的量に相当するカチオン性オリゴマー又はポリマーの最少量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して少なくとも約0.02質量%であり、他の具体例では、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.05質量%、さらに他の具体例では、少なくとも約0.1質量%である。
【0045】
プロトンドナーの量は、少なくとも効果増大量である限り、特に制限されない。効果増大量に相当するプロトンドナーの最少量は、アルコールを含んでなる組成物によって達成されるウイルスのlog減少を、アルコール及び所定のプロトンドナーを含んでなる組成物と比較することによって決定される。それ以下ではlog減少の差が認められないようなプロトンドナーの量が、効果増大量である。特定の具体例、例えば、MS2ウイルスの対する効果が求められる場合では、プロトンドナーの最少の効果増大量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して少なくとも約0.04質量%である。さらに他の具体例では、例えば、ネコカリシウイルスに対する効果が求められる場合、プロトンドナーの最少の効果増大量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.04質量%である。
【0046】
1具体例では、プロトンドナーは、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.01−約1質量%の量で添加される。プロトンドナーの量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、他の具体例では、約0.015‐約0.5質量%であり、さらに他の具体例では、約0.03−約0.3質量%である。必要により、より多量のプロトンドナーを使用でき、少なくとも等しい効果が期待されることが理解されるであろう。
【0047】
1具体例では、プロトンドナーは、溶液又はエマルジョンとして抗ウイルス組成物に添加される。換言すれば、プロトンドナーを、キャリヤー及び任意に1以上の他の成分とプレ混合して、プロトンドナー溶液又はエマルジョンとすることができるが、ただし、キャリヤーは組成物の抗ウイルス特性に悪影響を及ぼすものであってはならない。キャリヤーの例としては、カチオン性オリゴマー又はポリマー用のキャリヤーとして上記した、水、アルコール、各種のブレンド、及びその混合物が含まれる。プロトンドナーをプレ混合して、プロトンドナー溶液又はエマルジョンとする場合、抗ウイルス組成物に添加される溶液又はエマルジョンの量は、プロトンドナーの量が、上記の範囲内に入るように選択される。
【0048】
1以上の具体例では、効果が増大されたアルコール組成物は、アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及び相乗的量の亜鉛又は銅化合物を含んでなる。相乗的な亜鉛又は銅化合物としては、亜鉛又は銅が、化合物中に、イオン(例えば、I又はIIの酸化状態を有する)として存在するものが含まれる。1以上の具体例では、銅又は亜鉛化合物は、水及び/又は水性アルコール組成物に可溶性である。
【0049】
効果増大性亜鉛化合物の例としては、アルミニウム亜鉛酸化物、アンモニウム銀亜鉛アルミニウムシリケート、エチレン/亜鉛アクリレートコポリマー、ラクトバチルス/ミルク/カルシウム/リン/マグネシウム/亜鉛ファーメント、ラクトバチルス/ミルク/マグネシウム/亜鉛ファーメント溶解物、蛍光性硫化亜鉛、マグネシウム/アルミニウム/亜鉛/水酸化物/カーボネート、ポルフィリジウム(porphyridium)/亜鉛ファーメント、サッカロミセス/亜鉛ファーメント、サッカロミセス/亜鉛/鉄/ゲルマニウム/マグネシウム/ケイ素ファーメント、サッカロミセス/亜鉛/マグネシウム/カルシウム/ゲルマニウム/セレンファーメント、ケイ素/チタン/セリウム/亜鉛酸化物、ナトリウム亜鉛セチルホスフェート、ナトリウム亜鉛ヒスチジンジチオオクタンアミド、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルメチオネート、亜鉛アデノシントリホスフェート、アスコルビン酸亜鉛、亜鉛アスパルテート、ホウ酸亜鉛、ホウケイ酸亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、亜鉛セリウム酸化物、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、コセス硫酸亜鉛、ココ硫酸亜鉛、亜鉛システイナート(cysteinate)、亜鉛ジブチルチオカルバメート、亜鉛DNA、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート、亜鉛グルコヘプタノエート、亜鉛グルコネート、亜鉛グルタメート、亜鉛グリシネート、亜鉛グリシレチナート、亜鉛ヘキサメタホスフェート、亜鉛加水分解コラーゲン、乳酸亜鉛、亜鉛ラウレート、亜鉛マグネシウムアスパルテート、亜鉛ミリステート、亜鉛ネオデカノエート、酸化亜鉛、亜鉛パルミテート、亜鉛PCA、亜鉛ペンタデセントリカルボキシレート、過酸化亜鉛、亜鉛フェノールスルホネート、亜鉛ピコリネート、亜鉛ピリチオン、亜鉛リシノレート、亜鉛ロジネート、サリチル酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、亜鉛ステアレート、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、チオサリチル酸亜鉛、亜鉛ウンデシレナート、亜鉛ウンデシレノイル加水分解小麦タンパク、及び亜鉛ゼオライトが含まれる。
【0050】
効果増大性銅化合物の例としては、硫酸銅、クエン酸銅、シュウ酸銅、ウスニン酸銅、酢酸銅、塩化銅、炭酸銅、アラニン/ヒスチジン/リジンポリペプチド銅HCl、ビス(トリペプチド-1)銅酢酸塩、クロロフィリン-銅錯体、銅アセチルメチオネート、銅アセチルチロシネートメチルシラノール、銅アデノシントリホスフェート、アスパルギン酸銅、銅クロロフィル、銅DNA、グルコン酸銅、銅PCA、銅PCAメチルシラノール、ピコリン酸銅、銅末、銅トリペプチド-1、EDTAジナトリウム-銅、サッカロミセス/銅ファーメント、サッカロミセス/銅ファーメント加水分解物濾液、サッカロミセス/亜鉛/鉄/ゲルマニウム/銅/マグネシウム/ケイ素ファーメント、及び銀銅ゼオライトが含まれる。
【0051】
特定の具体例では、銅又は亜鉛化合物が、エンベロープを持たないウイルスに対するアルコール溶液の抗ウイルス効果を増大させるとの知見を得た。1以上の具体例では、それ自体は、エンベロープを持たないウイルスに対してわずかな効果を発揮する又は効果を持たない胴又は亜鉛化合物が、本発明の抗ウイルス組成物中に存在する場合には、増大された効果を提供する。
【0052】
1以上の具体例では、エンベロープを持たないウイルス粒子を、C1-6アルコール、効果増大量のカチオン性オリゴマー又はポリマー、及び相乗的量の銅又は亜鉛の化合物を含んで殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物と接触させることによって、抗ウイルス効果の相乗的増大が提供される。
【0053】
銅又は亜鉛化合物の量は、少なくとも相乗的な量であれば、特に制限されない。相乗的な量に相当する銅又は亜鉛化合物の最少量は、アルコール及びカチオン性オリゴマー又はポリマーを含んでなる組成物によって達成されるウイルスのlog減少を、アルコール及び所定量の銅又は亜鉛化合物を含んでなる組成物と比較することによって決定される。それ以下ではlog減少における差異が求められないような銅又は亜鉛化合物の量が相乗的な量である。
【0054】
特定の具体例では、銅又は亜鉛化合物の最少の相乗的な量は、抗ウイルス組成物に銅又は亜鉛化合物の有効量を提供するような量である。1以上の具体例では、銅又は亜鉛化合物の有効量は、抗ウイルス組成物に有効な量の銅又は亜鉛イオンを提供する量である。1以上の具体例では、銅又は亜鉛イオンの有効な量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して少なくとも約1ppm、他の具体例では、抗ウイルス組成物の総質量に関して、少なくとも約10ppm、さらに他の具体例では、少なくとも約30ppmである。当業者であれば、好適な銅又は亜鉛化合物の分子量及び相乗的な量(すなわち、抗ウイルス組成物に所望の量の銅又は亜鉛イオンを提供するために必要な量)を決定できるであろう。
【0055】
1以上の具体例では、銅又は亜鉛化合物の最少の相乗的な量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.01質量%である。特定の具体例では、銅又は亜鉛化合物の相乗的な量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、少なくとも約0.03質量%、他の具体例では、少なくとも約0.05質量%である。相乗的な量は、選択される銅又は亜鉛化合物によって、及び不活性化されるべきウイルスによって変動する。
【0056】
1具体例では、銅又は亜鉛化合物は、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.01−約1質量%の量で添加される。他の具体例では、銅又は亜鉛化合物の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、約0.03−約0.5質量%であり、さらに他の具体例では、約0.05−約0.1質量%である。必要により、より多いレベルの銅又は亜鉛化合物を使用でき、少なくとも同等の効果の発揮が期待されることが理解されるであろう。
【0057】
銅又は亜鉛化合物は、抗ウイルス組成物に、各種の好適な性状で、例えば、固体又は液体として添加される。1具体例では、銅又は亜鉛化合物は粉末として添加され、抗ウイルス組成物に溶解又は分散される。他の具体例では、銅又は亜鉛化合物は、抗ウイルス組成物に、溶液又はエマルジョンとして添加される。換言すれば、銅又は亜鉛化合物は、キャリヤー及び任意の1以上の他の成分と共にプレ混合され、銅又は亜鉛化合物溶液又はエマルジョンとされる(ただし、キャリヤーは、組成物の抗ウイルス特性に悪影響を及ぼすものであってはならない)。キャリヤーの例としては、水、アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー用のキャリヤーとして上記した各種のブレンド、及びそれらの混合物が含まれる。銅又は亜鉛化合物をプレ混合して、銅又は亜鉛化合物溶液又はエマルジョンを形成する場合、抗ウイルス組成物に添加される溶液又はエマルジョンの量は、銅又は亜鉛化合物の量が上述の範囲内に入るように選択される。
【0058】
抗ウイルス組成物が効果増大性の銅又は亜鉛化合物を含むような1以上の具体例では、酸の量が制限される。1具体例では、酸の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.05質量%未満であり、他の具体例では、約0.01質量%未満、さらに他の具体例では、約0.005質量%である。他の具体例では、抗ウイルス組成物は、酸を含まない。
【0059】
特定の具体例では、抗ウイルス組成物はカオトロピック剤を含む。カオトロピック剤としては、分子構造、特に、水素結合、ファンデルワース相互作用、及び疎水性のような非結合力によって形成された分子構造を分裂させる剤が含まれる。カオトロピック剤は、生物化学の分野ではよく知られており、尿素、チオ尿素、グアニジンHCl、グアニジンチオシアネート、アミノグアニジン重炭酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンリン酸塩、及びアミノグアニジン- HClが含まれる。当分野では、熱がカオトロピック剤として機能することが知られているが、この明細書の目的については、用語「カオトロピック剤」は熱以外の物質である。本発明の方法は広い温度範囲で実施されるものであるため、これが本発明の方法から熱の存在を除外することを意味するものとして解釈されてはならない。
【0060】
1具体例では、カオトロピック剤は尿素である。カオトロピック剤は、乾燥粉末状で、又はエマルジョン又は液状混合物として供給されるか、又はカチオン性オリゴマー又はポリマーについて上記したもののようなキャリヤーを任意に含むことができる。
【0061】
特定の具体例では、カオトロピック剤の存在は、エンベロープを持たないウイルスに対するアルコール溶液の抗ウイルス効果を増大させることが見出された。有利には、カオトロピック剤がアルコール及びカチオン性オリゴマー又はポリマーと組み合わされる場合に、相乗的な抗ウイルス効果が観察される。理論的に裏付けられたものではないが、カオトロピック剤は、ウイルスのキャプシドのタンパク質を分裂させることによってアルコール組成物の抗ウイルス効果を増大させるものと考えられる。特定の具体例では、エンベロープを持たないウイルスに対して、それ自体では、効果を発揮しないカオトロピック剤は、本発明によりアルコールと組み合わされる場合に、増大された効果を提供する。従来技術において発表された見解(タンパク質を変性するためには、カオトロピック剤が約6‐8Mの濃度であることが推奨される)と対照的に、驚くべきことには、本発明の抗ウイルス法は、かなり低いカオトロープ濃度において、良好な抗ウイルス効果を提供することが見出された。
【0062】
カオトロープ剤の量は、少なくとも効果を増大させる量であれば、特に制限されない。効果増大量に相当するカオトロピック剤の最少量は、アルコールを含んでなる組成物によって達成されるウイルスのlog減少を、アルコール及び所定の量のカオトロピック剤を含んでなる組成物と対比することによって決定される。それ以下では、log減少において差異が認められないようなカオトロピック剤の量が効果増大量である。
【0063】
1具体例では、カオトロピック剤は、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.25−約20質量%の量で添加される。他の具体例では、カオトロピック剤の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して約1−約15質量%であり、さらに他の具体例では、カオトロピック剤の量は、約4−約12質量%の量で添加される。必要により、より多いレベルのカオトロピック剤を使用でき、少なくとも同等の効果の発揮が期待されることが理解されるであろう。
【0064】
上述のように、本発明の抗ウイルス組成物は、アルコール、及びカチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー及びカオトロピック剤から選ばれるエンハンサーを含む。さらに、組成物は、広範囲の任意成分を含むことができるが、任意成分は、組成物の抗ウイルス効果に悪影響を及ぼすものであってはならない。悪影響とは、log減少における低下がマイナスであってはならないこと、換言すれば、log減少が約0.5以上減少しないことを意味する。CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 11版, 2005及び2004 CTFA International Buyer's Guide(これらの両文献を、参考として、ここに含める)には、本発明の組成物での使用に適するスキン・ケア工業において一般的に使用される化粧品用及び医薬品用成分が開示されている(これらに限定されない)。これら文献には、成分の機能の種類の非限定的な例も記載されている。これら機能の種類の例としては、研磨剤、抗ニキビ剤、固化防止剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤;着色料、化粧品用収れん剤、化粧品用殺生剤、変成剤、医薬品用収れん剤、乳化剤、外用鎮痛薬、膜形成剤、フレグランス成分、保湿剤、乳白剤、可塑化剤、保存料(時折、抗菌薬と称される)、高圧ガス、還元剤、皮膚漂白剤、皮膚コンディショニング剤(皮膚軟化剤、保湿剤、その他、)、皮膚保護剤、溶媒、界面活性剤、起泡力増進剤、ヒドロトロープ、安定化剤、懸濁化剤(非界面活性剤)、日焼け止め剤、紫外線吸収剤、粘着力低減剤、及び粘性増加剤(水性又は非水性)がある。本発明において使用される他の物質の機能の種類(当業者に公知である)の例としては、可溶化剤、金属イオン封鎖剤、及び角質溶解剤、局所活性成分等がある。1具体例では、アルコール組成物は、さらにグリセリンを含有する。
【0065】
発泡性界面活性剤が含まれるが、ただし、これらは組成物の抗ウイルス効果に悪影響を及ぼすものであってはならない。発泡性界面活性剤は、アルコール組成物に発泡特性を付与するものであり、アニオン性、カチオン性、両イオン性、又は両性界面活性剤及びこれらの会合塩を含む。1具体例では、発泡性界面活性剤は、フルオロ界面活性剤、シロキサンポリマー界面活性剤、又はそれらの組合せを含む。フルオロ界面活性剤としては、フッ素原子少なくとも1個を含有する化合物を含む。フルオロ界面活性剤の例としては、ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、ペルフルオロアルキルエチルベタイン、フルオロ脂肪族アミンオキシド、フルオロ脂肪族ナトリウムスルホスクシネート、フルオロ脂肪族ステアリン酸エステル、フルオロ脂肪族リン酸エステル、フルオロ脂肪族4級塩、フルオロ脂肪族ポリオキシエチレン等及びそれらの混合物がある。
【0066】
フルオロ界面活性剤の例としては、ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、ペルフルオロアルキルエチルベタイン、フルオロ脂肪族アミンオキシド、フルオロ脂肪族ナトリウムスルホスクシネート、フルオロ脂肪族リン酸エステル及びフルオロ脂肪族4級塩がある。フルオロ界面活性剤の特殊な例としては、DEA-C8-18ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、TEA-C8-18ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、NH4-C8-18ペルフルオロアルキルエチルホスフェート、及びC8-18ペルフルオロアルキルエチルベタインがある。
【0067】
シロキサンポリマー界面活性剤は、一般に、ポリマー主鎖骨格に1以上のSi-O-Si結合を含有することによって特徴付けられる。シロキサンポリマー界面活性剤は、フッ素原子を含有していてもよく、又は含有していなくてもよい。従って、いくつかの発泡性界面活性剤は、フルオロ界面活性剤及びシロキサンポリマー界面活性剤の両方に分類される。シロキサンポリマー界面活性剤は、オルガノポリシロキサンジメチコーンポリオール、シリコーンカルビノール流体、シリコーンポリエーテル、アルキルメチルシロキサン、アモジメチコーン、トリシロキサンエトキシレート、ジメチコノール、4級化シリコーン界面活性剤、ポリシリコーン、シリコーンクロスポリマー、及びシリコーンワックスを包含する。
【0068】
シロキサンポリマー界面活性剤の例としては、ジメチコーンPEG-7ウンデシレネート、PEG-10ジメチコーン、PEG-8ジメチコーン、PEG-12ジメチコーン、ペルフルオロノニルエチルカルボキシデカルPEG 10、PEG-20/PPG-23ジメチコーン、PEG-11メチルエチルジメチコーン、ビス-PEG/PPG-20/20ジメチコーン、シリコーンquats、PEG-9ジメチコーン、PPG-12ジメチコーン、フルオロPEG-8ジメチコーン、PEG23/PPG6ジメチコーン、PEG20/PPG23ジメチコーン、PEG 17ジメチコーン、 PEG5/PPG3メチコーン、ビス PEG20ジメチコーン、PEG/PPG20/15ジメチコーンコポリオール及びスルホスクシネートブレンド、PEG-8ジメチコーン/二量体酸ブレンド、PEG-8ジメチコーン/脂肪酸ブレンド、PEG-8ジメチコーン/冷時圧搾植物油/ポリクオタニウムブレンド、ランダムブロック重合体及びそれらの混合物がある。
【0069】
発泡性界面活性剤の量は、発泡を生ずるに有効な量が存在する限り、特に制限されない。特別な具体例では、発泡を生ずるに有効な量は、存在するアルコール及び他の成分の量に応じて変動する。1以上の具体例では、アルコール組成物は、アルコール組成物の総質量に関して、発泡性界面活性剤少なくとも約0.002質量%を含む。他の具体例では、アルコール組成物は、アルコール組成物の総質量に関して、発泡性界面活性剤少なくとも約0.01質量%を含む。さらに他の具体例では、アルコール組成物は、アルコール組成物の総質量に関して、発泡性界面活性剤少なくとも約0.05質量%を含む。
【0070】
発泡性のアルコール組成物は、出願中の米国特許出願第11/483,664号に開示されている(この特許出願の内容を、参照して、ここに含める)。
【0071】
特別な具体例では、アルコールは、組成物に配合された唯一の活性な抗菌性又は保存成分である。アルコール以外の各種の抗菌性又は保存成分は、補助抗菌剤と呼ばれる。1具体例では、補助抗菌剤の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、約0.1質量%未満であり、他の具体例では、約0.05質量%未満である。他の具体例では、抗ウイルス組成物は補助抗菌剤を含まない。
【0072】
他の具体例では、補助抗菌剤を含有できるが、ただし、抗菌成分は、組成物の消毒特性に有害な影響を及ぼすものであってはならない。補助抗菌剤の例としては、トリクロサン(5-クロロ-2(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(PCMX)としても知られており、Ciba-Geigy社から、商標名IRGASANとして市販されている);クロロキシレノール(4-クロロ-3,5-キシレノールとしても知られており、Nipa Laboratories社から、商標名NIPACIDE MX又はPXとして市販されている);ヘキセチジン(5-アミノ-1,3-ビス(2-エチルへキシル)-5-メチル-ヘキサヒドロピリミジンとしても知られている);クロロヘキシジングルコネート及びN,N''-ビス(4-クロロフェニル)-3,12-ジイミノ-2,4,11,14-テトラアザテトラデカンジイミジアミドの塩を含むクロロヘキシジン塩;2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1;3-ジオール塩化ベンザルコニウム;塩化セチルピリジニウム;塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム;ヨウ素;フェノール、ビスフェノール、ジフェニルエーテル、フェノール誘導体、ポリビニルピロリドン-ヨウ素を含むポビドン-ヨウ素;パラベン;ジメチロール5,5-ジメチルヒダントイン(DMDMヒダントイン又はグリダントとしても知られている)と共に、2,4-イミダゾリンジノン及び2,4-イミダゾリンジノン誘導体を含むヒダントイン及びその誘導体;フェノキシエタノール;塩化1-(3-クロロアリル)-3,5,6-トリアザ-1-アゾニアアダマンタン(クオタニウム-15としても知られており、Dow Chemical社から商標名DOWCIL 2000として市販されている)のシス異性体;ジアゾリジニル尿素;塩化ベンゼトニウム;塩化メチルベンゼトニウム;グリセリルラウレート、銀、銅、マグネシウム、亜鉛化合物のような遷移金属化合物、過酸化水素、二酸化塩素、アニリド、ビスグアニジン、及びその混合物がある(これらに限定されない)。使用する場合、補助抗菌剤は、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.1−約1質量%の量で存在する。
【0073】
特定の具体例では、アルコール及びエンハンサーの組み合せは、殺ウイルス効果的に活性な成分であり、他の殺ウイルス効果的に活性な物質の量は制限される。1具体例では、補助殺ウイルス活性物質の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、約0.1質量%未満であり、他の具体例では、約0.05質量%未満であり、さらに他の具体例では、約0.02質量%未満である。他の具体例では、抗ウイルス組成物は補助殺ウイルス活性物質を含まない。
【0074】
他の具体例では、補助抗ウイルス剤が含有され得るが、ただし、抗ウイルス成分は本発明による組成物の抗ウイルス効果に悪影響を及ぼすものであってはならない。補助抗ウイルス剤の例には、ロスマリン酸、テトラヒドロクルクミノイド(tetrahydrocurcuminoid)、オレウロペン(oleuropen)、オレアノール酸、ルイボス(Aspalathus linearis)エキス、白茶、紅茶、緑茶エキス、ニーム油リモノイド、コリウスオイル、甘草エキス、ワレモコウ、ショウガ及び桂皮エキス、アルファグルカンオリゴサッカライド、ペリラ・オシモイデス(perilla ocymoides)の葉の粉末、樟脳、カメリア・オレイフェラ(Camellia oleifera)の葉のエキス、ショウガ、メントール、ユーカリ油、キャピリシル(capillisil)hc、ヒドロキシプロリシラン(hydroxyprolisilane)、サンドルウッズ(sandlewood)オイル/樹脂、キンセンカ(calendula)オイル、ローズマリーオイル、ライム/オレンジオイル、及びホップ酸のようなハーブが含まれる。
【0075】
有利には、従来技術において、迅速な抗ウイルス効果を達成するための重要であるとして示されている特定の成分は、本発明の抗ウイルス組成物では制限される。例えば、亜鉛化合物は必要ではなく、必要な場合、本発明の消毒組成物の総質量に関して、約0.5質量%未満、他の具体例では、約0.1質量%未満に制限される。他の具体例では、消毒組成物は亜鉛の有機塩を含まない。このように制限される亜鉛化合物としては、上述のもののいずれかがある。このように制限される特殊な亜鉛化合物としては、グルコン酸塩、酢酸塩、塩化物、アセチル酢酸塩、臭化物、クエン酸塩、ギ酸塩、グリセロリン酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、硝酸塩、サリチル酸塩、硫酸塩、ピリチオン及び酒石酸塩が含まれる。
【0076】
特定の具体例では、組成物における金属塩の量は制限される。例えば、1具体例では、殺ウイルス効果が増大された組成物は、アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及びプロトンドナーを含んでなり、金属塩の量は制限される。1具体例では、金属塩の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、約0.05質量%未満であり、他の具体例では、約0.01質量%未満、さらに他の具体例では、約0.001質量%未満である。他の具体例では、抗ウイルス組成物は金属塩を含まない。
【0077】
特定の具体例では、組成物におけるヨウ素の量は制限される。1具体例では、ヨウ素の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、約1質量%未満であり、他の具体例では、約0.1質量%未満、さらに他の具体例では、約0.01質量%未満である。他の具体例では、抗ウイルス組成物はヨウ素を含まない。
【0078】
これらの又は他の具体例では、無機塩、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、又はアルミニウム‐ジルコニウム複合体の量は制限される。1以上の具体例では、無機塩、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、又はアルミニウム‐ジルコニウム複合体の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.05質量%未満である。
【0079】
特定の具体例では、脂肪酸の量は制限される。これらの具体例では、脂肪酸の量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、約1質量%未満であり、他の具体例では、約0.1質量%未満、他の具体例では、約0.05質量%未満、さらに他の具体例では、約0.01質量%未満である。他の具体例では、抗ウイルス組成物は脂肪酸を含まない。これらの又は他の具体例では、組成物における脂肪酸エステルの量は制限される。これらの具体例では、脂肪酸エステルの量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、約1質量%未満であり、他の具体例では、約0.1質量%未満、他の具体例では、約0.05質量%未満、さらに他の具体例では、約0.01質量%未満である。他の具体例では、抗ウイルス組成物は脂肪酸エステルを含まない。これらの又は他の具体例では、組成物における脂肪酸エーテルの量は制限される。これらの具体例では、脂肪酸エーテルの量は、抗ウイルス組成物の総質量に関して、約1質量%未満であり、他の具体例では、約0.1質量%未満、他の具体例では、約0.05質量%未満、さらに他の具体例では、約0.01質量%未満である。他の具体例では、抗ウイルス組成物は脂肪酸エーテルを含まない。
【0080】
一般に、任意に制限される脂肪酸、脂肪酸エステル、及び脂肪酸エーテルとしては、抗菌特性を有するものとして文献に記載されているものが含まれる。これらの抗菌性脂肪酸化合物の例としては、(C6-C14)アルキルカルボン酸、(C6-C14)アルキルカルボン酸エステル、(C8-C22)モノ-又はポリ-不飽和カルボン酸、多価アルコールの(C7-C12)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8-C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7-C22)飽和脂肪酸エーテル、多価アルコールの (C8-C22) 不飽和脂肪酸エーテル、及びそのアルコキシル化誘導体が含まれる。
【0081】
実際、アルコール及びエンハンサー以外の成分は、活性な抗菌又は抗ウイルス効果にとっては不要であり、任意に、所望であれば、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.1質量%未満に制限され、所望であれば、約0.01質量%未満、又は所望であれば、約0.001質量%未満に制限される。
【0082】
1以上の具体例では、アルコール組成物の残余成分としては、水又は他の好適な溶媒が含まれる。抗ウイルス組成物は、単に、成分を一緒に混合することによって調製される。カチオン性オリゴマー又はポリマーが固体粉末であるような1具体例では、抗ウイルス組成物は、カチオン性オリゴマー又はポリマーを水に分散させ、ゆっくりと撹拌しながらアルコールを添加し、ついで、要望どおりの他の成分を添加し、混合物が均質になるまで添加することを含んでなる方法によって調製される。
【0083】
上述のように、本発明の抗ウイルス組成物は、例えば、液状、ゲル状、又はフォーム状のような各種の状態で具現化される。驚くべきことには、液状の抗ウイルス組成物の粘性は、組成物の殺菌効果に影響を及ぼさないことが見出された。例えば、本発明の1以上の具体例では、粘度5cPを有する液状の抗ウイルス組成物及び粘度約2000 cPを有する消毒組成物によって、同じlog減少量が達成される。このように、本発明の抗ウイルス組成物の粘度は制限されないことが理解されるであろう。
【0084】
また、抗ウイルス組成物の粘性は成分の相対的な量によって影響されることも理解されるであろう。例えば、特定のポリクオタニウムポリマーの相対的な量の減少は、抗ウイルス組成物の粘性に影響を及ぼす。また、ポリクオタニウムポリマーのタイプも、抗ウイルス組成物の粘性に影響を及ぼす。例えば、非粘性のカチオン性オリゴマー又はポリマー、例えば、ポリクオタニウム-22を使用する場合、カチオン性オリゴマー又はポリマーの量は、抗ウイルス組成物の粘性には実質的に影響を及ぼさない。
【0085】
抗ウイルス組成物が液状であるような1具体例では、粘度は、温度22℃±3℃において、RV/LVスピンドルを使用するブルックフィールドRV粘度計によって測定して、1具体例では、約0−約5000 cP、他の具体例では、約50−約500 cP、他の具体例では、約100−約400 cPである。
【0086】
驚くべきことには、抗ウイルス組成物は、広いpH範囲において、抗ウイルス効果を提供できることが見出された。抗ウイルス効果は、pH0−約14において達成される。さらに詳述すれば、エンベロープを持たないウイルスに対する3log減少又はそれ以上が、本発明の1以上の具体例では、pH約2.5以上、他の具体例では、約3以上、さらに他の具体例では、約4以上、さらに他の具体例では、約4.5以上、さらに他の具体例では、約5以上を有する抗ウイルス組成物によって達成される。特定の具体例では、エンベロープを持たないウイルスに対する3log減少又はそれ以上が、pH約4.5−約9、他の具体例では、約5−約8.5、さらに他の具体例では、約5.5−約7.5以上を有する抗ウイルス組成物によって達成される。
【0087】
本発明の実施を説明するため、下記の実施例を例示する。しかし、これらの実施例は、本発明の精神を制限するものではない。発明の限定にあたっては、請求の範囲が機能する。
【実施例】
【0088】
バクテリオファージの増殖
大腸菌(E. coli)ATCC 15597に関する高力価のためMS2(ATCCから入手)を生育した。2mM CaCl2を補充したLBブロス中での大腸菌の対数成長培養物を200μlずつのアリコートに分け、連続希釈したファージストック200μlを接種した。混合物を、44℃に保持した溶融した軟質(0.7%)MS寒天培地2.5mlに添加し、直ちに、LBカンテンプレートの表面上に注いだ。37℃におけるインキュベーション16時間後、大腸菌ローンの完全な溶菌を示すプレートからファージを採取した。ファージを採取するため、無菌のSM緩衝液10mlをプレートの表面に添加し、曲がった無菌のガラス棒にて軟質カンテンを破壊した。破壊した寒天を5000Gにて10分間遠心分離して破片を除去し、精製したファージを含有する上澄み液をクロロホルムにて処理し、4℃において2ヶ月まで保存した。使用前に、ファージの上澄み液を室温となるように放置した。
【0089】
バクテリオファージの力価
軟質寒天オーバーレイ法を使用することによって、感染性粒子をカウントした。ガラス瓶において、溶融した軟質(0.7%)MS寒天を、2.5mlアリコートに分配し、44℃に維持した。ファージ含有溶液を、20℃において、SM懸濁液において連続希釈し、0.1mlを、大腸菌ATCC 15597の対数培養物0.1mlと共に、溶融した寒天に添加した。内容物をやさしく混合し、栄養寒天プレート上に注いだ。37℃でのインキュベーション24時間後、プラークがカウント可能であり、結果を、1ml当たりのプラーク形成単位(pfu ml-1)として表示した。
【0090】
MS2を使用する殺ウイルス懸濁テスト
MS2を使用する懸濁テストを、本質的に、下記のようにして行った。代表的には、ファージ100μlを抗ウイルス組成物9.9mlに添加した。25℃における所望の接触時間の経過後、懸濁液0.1mlを、D.E.ブロス9.9mlに希釈することによって中和した。さらに、D.E.ブロス中での10倍連続希釈物を調整した。残存する活性なファージを、大腸菌を感染させ、上述の軟質寒天オーバーレイ法を使用することによって定量した。
【0091】
哺乳類ウイルスを使用する殺ウイルス懸濁テスト
哺乳類ウイルスを使用する殺ウイルス懸濁テストを、特殊な用途を目的とする殺ウイルス剤の効果に関する標準テスト法(ASTM E1052)の変法を使用して実施した。ウイルス株及び指標細胞株は次のとおりである:MRC-5ヒト胎児肺細胞で生育したライノウイルスATCC VR-1147;CRFKネコ腎臓細胞で成育したネコカリシウイルス株F-9 ATCC VR-782;A-549ヒト肺ガン細胞で生育したアデノウイルス タイプ2 ATCC VR-846;MA-104アカゲザル腎臓細胞で生育したロタウイルスWA ATCC VR-2018;ウサギ腎臓細胞(RK)で生育した単純ヘルペス タイプ1 株F(1) ATCC VR-733(ViroMed Laboratoriesから入手);アカゲザル胎児腎臓細胞(FRhK-4)で生育したヘルペスAウイルス株HM-175(AppTec Laboratory Servicesから入手);A-72イヌガン細胞で生育したイヌパルボウイルス株Cornell ATCC VR-72017(VioMed Laboratoriesから入手)。各テスト物質の4.5mlアリコートを、別個の殺菌した円錐管(15ml)に分配し、ストックのウイルス懸濁液の0.5mlアリコートと混合した。混合物を約10秒間渦撹拌し、30秒間の露出時間の残りの間を33±2℃に維持した。露出時間の経過直後に、各管から0.1mlアリコートを回収し、混合物を10倍連続希釈によって滴定し、指標細胞株を感染させることによってウイルスの存在についてのアッセイを行った。各ケースにおいて、感染を表示するため細胞変性効果(CPE)を使用し、TCID50値を、Sperman Karberの方法によって算定した。ウイルスコントロール、中和コントロール、及び細胞毒性コントロールについても実施した。
【0092】
抗ウイルス組成物の調製及びテスト法
実施例1−4
実施例1:95%エタノールを水と混合して、78質量%エタノール混合物を形成した。
【0093】
実施例2:実施例1のようにして、ただし、1Mクエン酸水溶液1.25質量%を添加し、撹拌して、均質な混合物を調製した。
【0094】
実施例3:フラスコにおいて、粉末状Synthalen CR(ポリクオタニウム-37)を水に添加し、滑らかなゲルが形成されるまで混合した。フラスコに78%エタノールを添加し、撹拌して、均質な混合物を形成した。
【0095】
実施例4:フラスコにおいて、粉末状Synthalen CR(ポリクオタニウム-37)を水に添加し、滑らかなゲルが形成されるまで混合した。フラスコに78%エタノールを添加し、撹拌して、均質な混合物を形成した。1Mクエン酸水溶液1.25質量%をを添加し、混合した。
【0096】
実施例1−4の抗ウイルス効果を、MS2に関して、上述のようにしてテストし、結果を表2に示す
表2
実施例 組成物 log 減少 MS2
1 78%エタノール 0.2
2 78%エタノール+0.25%クエン酸 0.7
3 78%エタノール+0.4%ポリクオタニウム-37 0.9
4 78%エタノール+0.25%クエン酸+ 4.3
0.4%ポリクオタニウム-37
:25℃において60秒間
【0097】
実施例5−13
実施例5では、95%エタノールを水と混合することによって、70質量%エタノール混合物を調製した。実施例6では、尿素を水に溶解することによって、10重量%混合物を調製した。実施例7では、実施例5と同様にして、ただし、尿素も添加して、混合物を調製した。実施例8では、実施例7と同様にして、ただし、ポリクオタニウム-37も添加して、混合物を調製した。実施例8の混合物のpHは約5.5である。実施例9では、実施例5と同様にして、ただし、ポリクオタニウム-22も添加して、混合物を調製した。実施例10では、実施例9と同様にして、ただし、尿素も添加して、混合物を調製した。実施例10の混合物のpHは約4.9である。実施例11では、実施例5と同様にして、ただし、グアニジンHClも添加して、混合物を調製した。実施例11の混合物のpHは約7.6である。実施例12では、実施例11と同様にして、ただし、ポリクオタニウム-22も添加して、混合物を調製した。実施例12の混合物のpHは約6.2である。実施例13では、実施例12と同様にして、混合物を調製した。実施例13の混合物のpHは約5.8である。MS2について上記したようにして、実施例5−13の抗ウイルス効果をテストし、結果を表3に示す。
表3
実施例 組成物 log 減少 MS2
5 70%エタノール 0
6 10%尿素水溶液 0
7 70%エタノール+10%尿素 0.9
8 70%エタノール+10%尿素+ ≧6.1
0.4%ポリクオタニウム-22
9 70%エタノール+1%ポリクオタニウム-22 0.7
10 70%エタノール+10%尿素+ 6.1
0.4%ポリクオタニウム-37
11 70%エタノール+10%グアニジンHCl 2.7
12 70%エタノール+10%グアニジンHCl+ 5.5
0.4%ポリクオタニウム-22
13 70%エタノール+10%グアニジンHCl+ 5.8
0.4%ポリクオタニウム-22
:25℃において60秒間
【0098】
実施例14−15
実施例14では、実施例1と同様にして、実施例15では、実施例4と同様にして、混合物を調製した。実施例14及び15の混合物のネコカリシウイルスに対する効果を、特殊な用途を目的とする殺ウイルス剤の効果に関する標準テスト法(ASTM E1052)の変法を使用してテストした。サンプルを、インビトロ殺ウイルス懸濁アッセイによってテストした。ネコカリシウイルスのストックウイルスF-9株を、アメリカン・タイプ・コレクション・センター(マナッサス)から入手した(VA(ATCC VR-782))。ウイルスの懸濁液を、サンプルに対して暴露させた。予め決定した暴露時間で、アリコートを取り出し、連続希釈によって中和し、CRFK細胞を感染させ、上述のようにCPEを測定することによってウイルスの存在をアッセイした。陽性のウイルスコントロール、細胞毒性コントロール、及び中和コントロールを、並行してアッセイした。log減少を算定し、結果を表4に示す。
表4
実施例 組成物 log 減少 ネコ カリシウイルス
14 78%エタノール 3.4
15 78%エタノール+0.25%クエン酸+ ≧4.7
0.4%ポリクオタニウム-37
:33℃において30秒間
【0099】
実施例16−17
実施例16では、実施例2と同様にして、実施例17では、実施例4と同様にして、混合物を調製した。実施例16及び17の混合物のアデノウイルスに対する効果を、ASTM E1052の変法を使用してテストした。サンプルを、インビトロ殺ウイルス懸濁アッセイによってテストした。アデノイドウイルス タイプ2のストックウイルスのアデノイド6株を、アメリカン・タイプ・コレクション・センター(マナッサス)から入手した(VA(ATCC VR-846))。ウイルスの懸濁液を、サンプルに対して暴露させた。予め決定した暴露時間で、アリコートを取り出し、連続希釈によって中和し、ウイルスの存在をアッセイした。陽性のウイルスコントロール、細胞毒性コントロール、及び中和コントロールを、並行してアッセイした。log減少を算定し、結果を表4に示す。
表5
実施例 組成物 log 減少 アデノウイルス
16 78%エタノール+0.25%クエン酸 1.3
17 78%エタノール+0.25%クエン酸+ ≧5.0
0.4%ポリクオタニウム-37
:33℃において30秒間
【0100】
実施例18−20
実施例18では、実施例4と同様にして、ただし、エタノール濃度を70質量%として混合物を調製した。実施例19では、実施例4と同様にして、混合物を調製した。実施例20では、実施例4と同様にして、ただし、クエン酸の代わりに酒石酸を使用して、混合物を調製した。混合物の各種ウイルスに対する効果をテストし、結果を表6に示す。
【0101】
ライノウイルス タイプ37に対する実施例18−20の混合物の効果を、ASTM E1052の変法を使用してテストした。サンプルを、インビトロ殺ウイルス懸濁アッセイによってテストした。ライノウイルス タイプ37の151-1株を、アメリカン・タイプ・コレクション・センター(マナッサス)から入手した(VA(ATCC VR-1147))。ウイルスの懸濁液を、サンプルに対して暴露させた。予め決定した暴露時間で、アリコートを取り出し、連続希釈によって中和し、MRC-5細胞を感染させ、上述のようにCPEを測定することによってウイルスの存在をアッセイした。陽性のウイルスコントロール、細胞毒性コントロール、及び中和コントロールを、並行してアッセイした。
【0102】
ロタウイルス タイプ37に対する実施例18−20の混合物の効果を、ASTM E1052の変法を使用してテストした。サンプルを、インビトロ殺ウイルス懸濁アッセイによってテストした。WAストックウイルスを、アメリカン・タイプ・コレクション・センター(マナッサス)から入手した(VA(ATCC VR-2018))。ウイルスの懸濁液を、サンプルに対して暴露させた。予め決定した暴露時間で、アリコートを取り出し、連続希釈によって中和し、MA-104細胞を感染させ、上述のようにCPEを測定することによってウイルスの存在をアッセイした。陽性のウイルスコントロール、細胞毒性コントロール、及び中和コントロールを、並行してアッセイした。
【表6】

【0103】
実施例21−22
実施例21では、95%エタノールを水と混合することによって、78質量%エタノール混合物を形成した。実施例22では、実施例21と同様にして、ただし、ポリクオタニウム-37も添加して、混合物を調製した。実施例21−22のA型肝炎ウイルスに対する効果を、ASTM E1052の変法を使用してテストした。サンプルを、インビトロ殺ウイルス懸濁アッセイによってテストした。A型肝炎ウイルス(HAV)のストックウイルスHM-175株を、AppTec Laboratories Services(カムデン, N.J.)から入手した。ウイルスの懸濁液を、サンプルに対して暴露させた。予め決定した暴露時間で、アリコートを取り出し、連続希釈によって中和し、FRhK-4細胞を感染させ、上述のようにCPEを測定することによってウイルスの存在をアッセイした。陽性のウイルスコントロール、細胞毒性コントロール、及び中和コントロールを、並行してアッセイした。結果を表7に示す。
表7
実施例 組成物 log 減少 A型肝炎ウイルス
21 78%エタノール 1.25
22 78%エタノール+ 3.0
1%ポリクオタニウム-37
:25℃において60秒間
【0104】
実施例23−24
実施例23では、実施例18と同様にして、混合物を調製した。実施例24は、現在市販されている製品(そのラベルには、「米国特許第6,080,417号」が付されている)と同様の抗菌性ハンドウオッシュ組成物である。実施例23−24の混合物のイヌパルボウイルスに対する効果を、ASTM E1052の変法を使用してテストした。サンプルを、インビトロ殺ウイルス懸濁アッセイによってテストした。ウイルス、Strain Cornell(ATCC VR-2017)、細胞株A-72イヌガン細胞(ATCC CRL-1542)をテストした。ウイルスの懸濁液を、サンプルに対して暴露させた。予め決定した暴露時間で、アリコートを取り出し、連続希釈によって中和し、CRFK細胞を感染させ、上述のようにCPEを測定することによってウイルスの存在をアッセイした。陽性のウイルスコントロール、細胞毒性コントロール、及び中和コントロールを、並行してアッセイした。結果を表8に示す。
表8
実施例 組成物 log 減少 イヌパルボウイルス
23 70%エタノール+0.25%クエン酸+ 1.0
0.4%ポリクオタニウム-37
24 Manorapid Synergy 0
:33℃において30秒間
【0105】
実施例25−26
実施例25−26は、現在市販されている製品と同様の抗菌性ハンドウオッシュ組成物である。組成は表9に示すとおりであり、MS2に対する効果をテストした。
表9
実施例 組成物 log 減少 MS2
25 カルボマーゲル中62%エタノール 0
26 Manorapid Synergy 0.8
:25℃において60秒間
【0106】
ASTM E1838-96(大人のボランティアの指腹を使用する液体の消毒ハンドウオッシュ剤のウイルス排除効果の測定のための標準テスト法)に従い、実施例19及び23の組成物の指腹インビボテストを行った。ネコカリシウイルス及びロタウイルスに対する組成物の効果をテストし、結果を表10に示す。
【表10】

【0107】
実施例25−26
実施例25−26の組成物のヘルペスウイルス(エンベロープを持つウイルス)に対する効果を、インビトロ殺ウイルス懸濁アッセイによってテストした(ウサギ腎臓細胞(RK)で生育した単純ヘルペス タイプ1Strain F(1), ATCC VR-733(ViroMed Laboratoriesから入手)。ウイルスの懸濁液を、サンプルに対して暴露させた。予め決定した暴露時間で、アリコートを取り出し、連続希釈によって中和し、RK細胞を感染させ、上述のようにCPEを測定することによってウイルスの存在をアッセイした。陽性のウイルスコントロール、細胞毒性コントロール、及び中和コントロールを、並行してアッセイした。結果を表11に示す。
表11
実施例 組成物 log 減少 ヘルペスウイルス
25 カルボマーゲル中62%エタノール ≧5.5
26 62%エタノール+ ≧4.5
1.5%ポリクオタニウム-37
:室温において60秒間
【0108】
EN14476:2005によるアデノウイルス及びポリオウイルスを使用する殺ウイルス懸濁テスト
ヨーロッパ基準14476:2005を使用して、哺乳類ウイルスについての殺ウイルス懸濁テストを行った。
【0109】
使用したアデノウイルスは、アデノウイルス タイプ5株Adenoid 75, ATCC VR-5(Medical Virology, Hannover Medical School(ハノーバー, ドイツ国)から入手)である。アデノウイルスを、A549ヒト肺上皮ガン細胞(同じく、Medical Virology, Hannover Medical School(ハノーバー, ドイツ国)から入手)で生育した。
【0110】
ポリオウイルス株は、Eurovir(ルッケンバルド, ドイツ国)から入手したポリオウイルス タイプ1, LSc-2ab(Chiron-Behring)である。ポリオウイルスを、Institut fur Angewandte Zellkultur(ミュンヘン, ドイツ国)から入手したBuffaloミドリザル腎臓細胞で生育した。
【0111】
ストックウイルス懸濁ウイルスの0.1mlアリコートを、リン酸塩緩衝化塩水0.1mlに添加し、渦撹拌した。テスト物質の0.8mlアリコートを試験管に入れ、渦撹拌し、露出時間の残り期間、水浴において、20±1℃に維持した。露出時間(30秒−5分)の経過後直ちに、テスト混合物を、10−8倍希釈を介して中和し、指標細胞株を感染させることによってウイルスの存在についてアッセイした。感染後10日における細胞変成作用の測定を介して伝染力を測定した。log 10 TCID50/mlを測定するため、Spearman-Karber法によって、ウイルス濃度の算定を行った。実験コントロールは、0.7%ホルムアルデヒド溶液、ウイルスコントロール及び中和コントロールを含む。
【0112】
抗ウイルス組成物の調製及びテスト法
実施例27−30
実施例27:実施例5と同様にして調製した。
【0113】
実施例28:グルコン酸銅粉末を水に添加することによって、溶液を形成した。撹拌しながら、エタノールを添加して、表12に示す組成を有する均質な混合物を調製した。
【0114】
実施例29:フラスコにおいて、粉末状Synthalen CR(ポリクオタニウム-37)を水に添加し、滑らかなゲルが形成されるまで混合した。フラスコに70%エタノールを添加し、撹拌して、均質な混合物を形成した。
【0115】
実施例30:実施例29と同様にして、ただし、撹拌しながら、充分な量のグルコン酸銅水溶液を添加して、フラスコにおいて、粉末状Synthalen CR(ポリクオタニウム-37)を水に添加し、表12に示す組成を有する均質な混合物を調製した。
【0116】
実施例27−30の抗ウイルス効果を、EN 14476:2005に関して記載したようにしてテストし、結果(log減少)を表12に示す
【表12】

【0117】
このように、本発明はウイルスを不活性化する方法を提供するものであることが明らかである。特定の具体例では、アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及びエンハンサーを含んでなる殺ウイルス組成物は、エンベロープを持たないウイルスに対して、同じ組成ではあるが、エンハンサーを含まない組成物の効果よりも高い効果を発揮する。1具体例では、殺ウイルス組成物は、エンベロープを持たないウイルスに対して、同じ組成ではあるが、エンハンサーを含まない組成物の効果よりも高い、少なくとも約0.5 log減少の効果を発揮する。他の具体例では、殺ウイルス組成物は、エンベロープを持たないウイルスに対して、同じ組成ではあるが、エンハンサーを含まない組成物の効果よりも高い、少なくとも約1 log減少の効果を発揮する。
【0118】
抗ウイルス組成物は、家庭における洗浄(例えば、床、調理台、浴槽、皿のような硬質表面、及び衣類、スポンジ、ペーパータオルのような軟質の布製品等)、パーソナルケア(例えば、ローション、シャワージェル、セッケン、ハンド殺菌製品、シャンプー、雑巾)及び産業又は病院(例えば、器具、表面、医療器具、グローブの消毒)の各用途について極めて有効である。この組成物は、グラム陰性細菌、菌類、寄生虫、グラム陽性細菌、エンベロープを持つウイルス及びエンベロープを持たないウイルスに感染又は汚染された表面を迅速に消毒又は除菌することに関して有効である。C1-6アルコール、酸、及びカチオン性オリゴマー又はポリマーを含んでなるアルコール組成物の、常在又は一過性フロラに対する効果は、出願中の米国仮特許出願第60/771,784に記載されている(参照して、ここに含める)。
【0119】
本発明の範囲及び精神を逸脱しない各種の変形及び変更は、当業者にとって、明らかになるであろう。本発明は、ここに記載の具体例には限定されないものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンベロープを持たないウイルス粒子を不活化させる方法であって、該方法は、エンベロープを持たないウイルスを、殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物と接触させることを含んでなり、前記組成物は、C1-6アルコール、及びカチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、効果を増大させる量の1以上のエンハンサーを含んでなり、ただし、アルコール組成物がプロトンドナーを含有する場合には、前記組成物は、さらに、相乗的量のカチオンオリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とする、エンベロープを持たないウイルス粒子の不活性化法。
【請求項2】
エンベロープを持つウイルスを不活性化するように作用し、さらに、エンベロープを持つウイルスを、前記組成物と接触させることを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌類、寄生虫を含む微生物を殺すように作用し、さらに、微生物を、前記組成物と接触させることを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して少なくとも約50質量%のC1-6アルコールを含んでなるものである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して約0.02−約20質量%のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含んでなるものである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、カチオン性多糖、糖類及び合成のカチオン性モノマーのカチオン性コポリマー、カチオン性ポリアルキレンイミン、カチオン性エトキシポリアルキレンイミン、カチオン性ポリ[N-[3-(ジアルキルアンモニオ)アルキル]N'[3-(アルキレンオキシアルキレンジアルキルアンモニオ)アルキル]ウレアジクロライド]、ビニルカプロラクタム/VP/ジアルキルアミノアルキルアルキレートコポリマー、ポリクオタニウムポリマー又はその混合物である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−5、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−24、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−42、ポリクオタニウム−43、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−57、ポリクオタニウム−58、ポリクオタニウム−59、ポリクオタニウム−60、ポリクオタニウム−63、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−65、ポリクオタニウム−68、又はその混合物である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、電荷密度少なくとも約0.1meq/gを有するものである、請求項5記載の方法。
【請求項9】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及びプロトンドナーを含んでなるものである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して約0.015−約1質量%のプロトンドナーを含んでなるものである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
プロトンドナーが、塩酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、硫酸、スルホン酸、アジピン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、クロロコハク酸、塩化コリン、シス-アコニット酸、シトラマル酸、クエン酸、シクロブタン1,1,3,3-テトラカルボン酸、シクロヘキサン1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロペンタン1,2,3,4-テトラカルボン酸、ジグリコール酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリオキシル酸、イソクエン酸、ケトマロン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、ニトリロトリ酢酸、オキサル酢酸、オキサル酸、フィチン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、タルトロン酸、テトラヒドロフラン2,3,4,5-テトラカルボン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、3-ヒドロキシグルタル酸、2-ヒドロキシプロパン1,3-ジカルボン酸、グリセリン酸、フラン2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシフラン-2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸、2-オキソグルタル酸、dl-グリセリン酸、2,5-フランジカルボン酸、又はその混合物である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及び有効量の亜鉛又は銅イオンを含んでなるものである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して約0.01−約1質量%の亜鉛又は銅化合物、及び約0.05質量%未満の酸を含んでなるものである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
亜鉛又は銅化合物が、グルコン酸亜鉛又はグルコン酸銅である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及びカオトロピック剤を含んでなるものである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して約0.25−約20質量%のカオトロピック剤を含んでなるものである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
カオトロピック剤が、尿素、チオ尿素、グアニジンHCl、グアニジンチオシアネート、アミノグアニジンHCl、アミノグアニジン重炭酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンリン酸塩、又はその混合物である、請求項15記載の方法。
【請求項18】
同量のC1-6アルコールを含むが、効果を増大させる量未満の量のエンハンサーを含む組成物のlog減少と比べて、エンベロープを持たないウイルスに対して、増大されたlog減少を発揮するものである、請求項1記載の方法。
【請求項19】
60秒以下において、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、少なくとも1log減少を発揮するものである、請求項1記載の方法。
【請求項20】
60秒以下において、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、少なくとも2log減少を発揮するものである、請求項1記載の方法。
【請求項21】
60秒以下において、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、少なくとも3log減少を発揮するものである、請求項1記載の方法。
【請求項22】
エンベロープを持たないウイルス粒子が、ピコウイルス科(Picornaviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、カルシウイルス科(Caliciviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)及びパルボウイルス科(Parvoviridae)のメンバーから選ばれるものである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
エンベロープを持たないウイルス粒子が、アデノウイルス、ネコカリシウイルス、ノロウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、パルボウイルス、及びロタウイルスから選ばれるものである、請求項1記載の方法。
【請求項24】
哺乳動物の皮膚において、エンベロープを持たないウイルスに対する局所的殺ウイルス効果を提供する方法であって、該方法は、C1-6アルコール、及びカチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、効果を増大させる量の1以上のエンハンサーを含んでなる殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物を塗布することを含んでなり、ただし、アルコール組成物がプロトンドナーを含有する場合には、前記組成物は、さらに、相乗的量のカチオンオリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とする、局所的殺ウイルス効果を提供する方法。
【請求項25】
さらに、エンベロープを持つウイルスに対しても局所的殺ウイルス効果を生ずる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌類、寄生虫を含む微生物に対する局所的殺ウイルス効果を提供する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して少なくとも約50質量%のC1-6アルコールを含んでなるものである、請求項24記載の方法。
【請求項28】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して約0.02−約20質量%のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含んでなるものである、請求項24記載の方法。
【請求項29】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、カチオン性多糖、糖類及び合成のカチオン性モノマーのカチオン性コポリマー、カチオン性ポリアルキレンイミン、カチオン性エトキシポリアルキレンイミン、カチオン性ポリ[N-[3-(ジアルキルアンモニオ)アルキル]N'[3-(アルキレンオキシアルキレンジアルキルアンモニオ)アルキル]ウレアジクロライド]、ビニルカプロラクタム/VP/ジアルキルアミノアルキルアルキレートコポリマー、ポリクオタニウムポリマー又はその混合物である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−5、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−24、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−42、ポリクオタニウム−43、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−57、ポリクオタニウム−58、ポリクオタニウム−59、ポリクオタニウム−60、ポリクオタニウム−63、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−65、ポリクオタニウム−68、又はその混合物である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、電荷密度少なくとも約0.1meq/gを有するものである、請求項28記載の方法。
【請求項32】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及びプロトンドナーを含んでなるものである、請求項24記載の方法。
【請求項33】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して約0.015−約1質量%のプロトンドナーを含んでなるものである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
プロトンドナーが、塩酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、硫酸、スルホン酸、アジピン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、クロロコハク酸、塩化コリン、シス-アコニット酸、シトラマル酸、クエン酸、シクロブタン1,1,3,3-テトラカルボン酸、シクロヘキサン1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロペンタン1,2,3,4-テトラカルボン酸、ジグリコール酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリオキシル酸、イソクエン酸、ケトマロン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、ニトリロトリ酢酸、オキサル酢酸、オキサル酸、フィチン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、タルトロン酸、テトラヒドロフラン2,3,4,5-テトラカルボン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、3-ヒドロキシグルタル酸、2-ヒドロキシプロパン1,3-ジカルボン酸、グリセリン酸、フラン2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシフラン-2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸、2-オキソグルタル酸、dl-グリセリン酸、2,5-フランジカルボン酸、又はその混合物である、請求項24記載の方法。
【請求項35】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及び相乗的量の亜鉛又は銅イオンを含んでなるものである、請求項24記載の方法。
【請求項36】
亜鉛又は銅化合物が、グルコン酸亜鉛又はグルコン酸銅である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して、少なくとも約10ppmの亜鉛又は銅イオン、及び約0.05質量%未満の酸を含んでなるものである、請求項35記載の方法。
【請求項38】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及びカオトロピック剤を含んでなるものである、請求項24記載の方法。
【請求項39】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して約0.25−約20質量%のカオトロピック剤を含んでなるものである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
カオトロピック剤が、尿素、チオ尿素、グアニジンHCl、グアニジンチオシアネート、アミノグアニジンHCl、アミノグアニジン重炭酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンリン酸塩、又はその混合物である、請求項38記載の方法。
【請求項41】
同量のC1-6アルコールを含むが、効果を増大させる量未満の量のエンハンサーを含む組成物のlog減少と比べて、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、増大されたlog減少を発揮するものである、請求項24記載の方法。
【請求項42】
60秒以下において、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、少なくとも1log減少を発揮するものである、請求項24記載の方法。
【請求項43】
60秒以下において、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、少なくとも2log減少を発揮するものである、請求項24記載の方法。
【請求項44】
60秒以下において、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、少なくとも3log減少を発揮するものである、請求項24記載の方法。
【請求項45】
エンベロープを持たないウイルス粒子が、ピコウイルス科(Picornaviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、カルシウイルス科(Caliciviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)及びパルボウイルス科(Parvoviridae)のメンバーから選ばれるものである、請求項24記載の方法。
【請求項46】
エンベロープを持たないウイルス粒子が、アデノウイルス、ネコカリシウイルス、ノロウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、パルボウイルス、及びロタウイルスから選ばれるものである、請求項24記載の方法。
【請求項47】
表面への局所適用の際、エンベロープを持たないウイルスに対するC1-6アルコールの効果を増大させる方法であって、該方法は、C1-6アルコールに、カチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、効果を増大させる量の1以上のエンハンサーを配合して、抗ウイルス組成物を形成することを含んでなり、ただし、抗ウイルス組成物がプロトンドナーを含有する場合には、前記組成物は、さらに、相乗的量のカチオンオリゴマー又はポリマーを含有することを特徴とする、C1-6アルコールの効果を増大させる方法。
【請求項48】
さらに、エンベロープを持つウイルスに対しても局所的殺ウイルス効果を生ずる、請求項47記載の方法。
【請求項49】
グラム陽性細菌、グラム陰性細菌、真菌類、寄生虫を含む微生物に対する局所的殺ウイルス効果を提供する、請求項47記載の方法。
【請求項50】
組成物が、抗ウイルス組成物の総質量に関して少なくとも約50質量%のC1-6アルコールを含んでなるものである、請求項47記載の方法。
【請求項51】
組成物が、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.02−約20質量%のカチオン性オリゴマー又はポリマーを含んでなるものである、請求項24記載の方法。
【請求項52】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、カチオン性多糖、糖類及び合成のカチオン性モノマーのカチオン性コポリマー、カチオン性ポリアルキレンイミン、カチオン性エトキシポリアルキレンイミン、カチオン性ポリ[N-[3-(ジアルキルアンモニオ)アルキル]N'[3-(アルキレンオキシアルキレンジアルキルアンモニオ)アルキル]ウレアジクロライド]、ビニルカプロラクタム/VP/ジアルキルアミノアルキルアルキレートコポリマー、ポリクオタニウムポリマー又はその混合物である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−5、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−24、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−42、ポリクオタニウム−43、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−57、ポリクオタニウム−58、ポリクオタニウム−59、ポリクオタニウム−60、ポリクオタニウム−63、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−65、ポリクオタニウム−68、又はその混合物である、請求項51記載の方法。
【請求項54】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、電荷密度少なくとも約0.1meq/gを有するものである、請求項51記載の方法。
【請求項55】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及びプロトンドナーを含んでなるものである、請求項47記載の方法。
【請求項56】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して約0.015−約1質量%のプロトンドナーを含んでなるものである、請求項55記載の方法。
【請求項57】
プロトンドナーが、塩酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、硫酸、スルホン酸、アジピン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、クロロコハク酸、塩化コリン、シス-アコニット酸、シトラマル酸、クエン酸、シクロブタン1,1,3,3-テトラカルボン酸、シクロヘキサン1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロペンタン1,2,3,4-テトラカルボン酸、ジグリコール酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリオキシル酸、イソクエン酸、ケトマロン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、ニトリロトリ酢酸、オキサル酢酸、オキサル酸、フィチン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、タルトロン酸、テトラヒドロフラン2,3,4,5-テトラカルボン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、3-ヒドロキシグルタル酸、2-ヒドロキシプロパン1,3-ジカルボン酸、グリセリン酸、フラン2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシフラン-2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸、2-オキソグルタル酸、dl-グリセリン酸、2,5-フランジカルボン酸、又はその混合物である、請求項55記載の方法。
【請求項58】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及び相乗的量の亜鉛又は銅化合物を含んでなるものである、請求項47記載の方法。
【請求項59】
亜鉛又は銅化合物が、グルコン酸亜鉛又はグルコン酸銅である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して少なくとも約10ppmの亜鉛又は銅イオンを含んでなるものである、請求項58記載の方法。
【請求項61】
組成物が、C1-6アルコール、カチオン性オリゴマー又はポリマー、及びカオトロピック剤を含んでなるものである、請求項47記載の方法。
【請求項62】
組成物が、抗ウイルス組成物の総質量に関して約0.25−約20質量%のカオトロピック剤を含んでなるものである、請求項47記載の方法。
【請求項63】
カオトロピック剤が、尿素、チオ尿素、グアニジンHCl、グアニジンチオシアネート、アミノグアニジンHCl、アミノグアニジン重炭酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンリン酸塩、又はその混合物である、請求項47記載の方法。
【請求項64】
同量のC1-6アルコールを含むが、効果を増大させる量未満の量のエンハンサーを含む組成物の効果と比べて、エンベロープを持たないウイルスに対して、増大された効果を発揮するものである、請求項47記載の方法。
【請求項65】
60秒以下において、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、少なくとも1log減少を発揮するものである、請求項47記載の方法。
【請求項66】
60秒以下において、エンベロープを持たないウイルス粒子に対して、少なくとも3log減少を発揮するものである、請求項47記載の方法。
【請求項67】
表面が多孔性又は非多孔性表面を含む、請求項47記載の方法。
【請求項68】
エンベロープを持たないウイルス粒子が、ピコウイルス科(Picornaviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、カルシウイルス科(Caliciviridae)、アデノウイルス科(Adenoviridae)及びパルボウイルス科(Parvoviridae)のメンバーから選ばれるものである、請求項47記載の方法。
【請求項69】
エンベロープを持たないウイルス粒子が、アデノウイルス、ネコカリシウイルス、ノロウイルス、パピローマウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、A型肝炎ウイルス、パルボウイルス、及びロタウイルスから選ばれるものである、請求項47記載の方法。
【請求項70】
殺ウイルス効果が増大されたアルコール組成物であって、C1-6アルコール、及びカチオン性オリゴマー又はポリマー、プロトンドナー、カオトロピック剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、効果を増大させる量の1以上のエンハンサーを含んでなり、ただし、アルコール組成物がプロトンドナーを含有する場合には、前記組成物は、さらに、相乗的量のカチオンオリゴマー又はポリマーを含有しており、前記殺ウイルス組成物は、同様の組成物ではあるが、エンハンサーを含まない組成物の効果よりも高い、エンベロープを持たないウイルスに対する効果を発揮するものである、アルコール組成物。
【請求項71】
同様の組成物ではあるが、エンハンサーを含まない組成物の効果よりも少なくとも約0.5log減少高い、エンベロープを持たないウイルスに対する効果を発揮するものである、請求項70記載の組成物。
【請求項72】
同様の組成物ではあるが、エンハンサーを含まない組成物の効果よりも少なくとも約1log減少高い、エンベロープを持たないウイルスに対する効果を発揮するものである、請求項70記載の組成物。
【請求項73】
プロトンドナーが、塩酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、ホウ酸、硫酸、スルホン酸、アジピン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、クロロコハク酸、塩化コリン、シス-アコニット酸、シトラマル酸、クエン酸、シクロブタン1,1,3,3-テトラカルボン酸、シクロヘキサン1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロペンタン1,2,3,4-テトラカルボン酸、ジグリコール酸、フマル酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリオキシル酸、イソクエン酸、ケトマロン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、ニトリロトリ酢酸、オキサル酢酸、オキサル酸、フィチン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、タルトロン酸、テトラヒドロフラン2,3,4,5-テトラカルボン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、3-ヒドロキシグルタル酸、2-ヒドロキシプロパン1,3-ジカルボン酸、グリセリン酸、フラン2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシフラン-2,5-ジカルボン酸、3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2,5-ジカルボン酸、2-オキソグルタル酸、dl-グリセリン酸、2,5-フランジカルボン酸、又はその混合物である、請求項70記載の組成物。
【請求項74】
カオトロピック剤が、尿素、チオ尿素、グアニジンHCl、グアニジンチオシアネート、アミノグアニジンHCl、アミノグアニジン重炭酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンリン酸塩、又はその混合物である、請求項70記載の組成物。
【請求項75】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、カチオン性多糖、糖類及び合成のカチオン性モノマーのカチオン性コポリマー、カチオン性ポリアルキレンイミン、カチオン性エトキシポリアルキレンイミン、カチオン性ポリ[N-[3-(ジアルキルアンモニオ)アルキル]N'[3-(アルキレンオキシアルキレンジアルキルアンモニオ)アルキル]ウレアジクロライド]、ビニルカプロラクタム/VP/ジアルキルアミノアルキルアルキレートコポリマー、ポリクオタニウムポリマー又はその混合物である、請求項70記載の組成物。
【請求項76】
カチオン性オリゴマー又はポリマーが、ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−5、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−24、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−32、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−42、ポリクオタニウム−43、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−47、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−55、ポリクオタニウム−57、ポリクオタニウム−58、ポリクオタニウム−59、ポリクオタニウム−60、ポリクオタニウム−63、ポリクオタニウム−64、ポリクオタニウム−65、ポリクオタニウム−68、又はその混合物である、請求項75記載の組成物。
【請求項77】
組成物が、アルコール組成物の総質量に関して、約0.02−約20質量%の、ポリクオタニウム−2、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−37及びその混合物からなる群から選ばれるカチオン性オリゴマー又はポリマーを含んでなるものである、請求項76記載の組成物。
【請求項78】
組成物がポリクオタニウム−37を含んでなるものである、請求項77記載の組成物。
【請求項79】
組成物がクエン酸約0.05−約1質量%を含んでなるものである、請求項78記載の組成物。
【請求項80】
組成物が尿素約0.25−約10質量%を含んでなるものである、請求項78記載の組成物。
【請求項81】
組成物がグルコン酸銅約0.01−約1質量%を含んでなるものである、請求項78記載の組成物。
【請求項82】
組成物がポリクオタニウム−2を含んでなるものである、請求項77記載の組成物。
【請求項83】
組成物がクエン酸約0.05−約1質量%を含んでなるものである、請求項82記載の組成物。
【請求項84】
組成物が尿素約0.25−約10質量%を含んでなるものである、請求項82記載の組成物。
【請求項85】
組成物がポリクオタニウム−16を含んでなるものである、請求項77記載の組成物。
【請求項86】
組成物がクエン酸約0.05−約1質量%を含んでなるものである、請求項85記載の組成物。
【請求項87】
組成物が尿素約0.25−約10質量%を含んでなるものである、請求項85記載の組成物。
【請求項88】
組成物がポリクオタニウム−22を含んでなるものである、請求項77記載の組成物。
【請求項89】
組成物がクエン酸約0.05−約1質量%を含んでなるものである、請求項85記載の組成物。
【請求項90】
組成物が尿素約0.25−約10質量%を含んでなるものである、請求項85記載の組成物。

【公表番号】特表2009−526060(P2009−526060A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554302(P2008−554302)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/003148
【国際公開番号】WO2007/095008
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(506190555)ゴジョ・インダストリーズ・インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】