抗ヒドロキシラーゼ抗体およびその使用
アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼに対する抗体、またはその抗原結合部分を提供する。アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ抗体またはその抗原結合部分は、アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼの活性を調節することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年4月19日出願の米国出願番号60/563,514および2003年11月14日出願の米国出願番号60/520,114の利点を請求するものである。両先行出願の内容は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府の資金による研究に関する記述
本明細書に記載の研究は、部分的に、国立化学財団からの助成金(認可番号9843342)により資金を提供されたものである。従って、米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本発明は、アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼを認識する抗体ならびに、例えばアスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼを検出および/またはその活性を調節するための、これらの抗体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景技術
アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ(AAH)は、細胞外基質蛋白、低密度リポ蛋白(LDL)受容体、ノッチ相同体およびノッチリガンド相同体を含む多数の蛋白質の上皮成長因子様ドメインにおいて、特定のアスパラギン酸塩およびアスパラギン残基のβ炭素の翻訳後ヒドロキシル化に対し触媒作用を及ぼす(Jia等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA91(15):7227‐7231、1994年;Jia等、J.Biol.Chem.267(20):14322‐14327、1992年;Gronke等、ProcNatlAcadSciUSA86(10):3609‐13、1989年)。この膜貫通酵素は、プロリルおよびリシルヒドロキシラーゼのα‐ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ族の一部である。ヒトAAH(HAAH)の過剰発現は、肝細胞癌、胆管癌、および神経外胚葉性腫瘍を含む多くのヒト癌において検出されている(Lavaissiere等、J.Clin.Investig.98:1313‐1323、1996年;Sepe等、Lab.Invetsig.82(7):81‐891、2002年)。AAHが多くの腫瘍において過剰発現すること、および強制発現が細胞運動および生存を向上させることの発見は、AAHが生体内における悪性の形質転換を助長しうることを示している(Sepe等、Lab.Investig.82(7):881‐891、2002年)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明は、部分的に、当方によるアスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ(AAH)を結合するヒト一本鎖抗体の発見に基づく。従って、本発明は、完全な多量体抗体(Gクラスのヒト四量体抗体(IgG))、および特異的にAAH蛋白を結合する断片またはその他の変異形を含む抗体を特色とする。これらの断片および変異体は、一本鎖抗AAH抗体、多重(例えば、四重)AAH抗体の断片または部分、および特異的にAAH蛋白を結合するその他の変異形を含む。抗AAH抗体もしくはその断片または変異形のいずれかは、例えば親和性成熟過程によって突然変異した可能性がある。
【0006】
本発明の組成物は、抗AAH抗体(例えば、ヒト単クローン抗体)、その断片またはその他の変異形、それらを含む薬剤組成物、およびそれらを含むキットを含む。抗体、その断片またはその他の変異形は、1つ以上のAAH生物活性(例えば、適合する基質のヒドロキシル化であり、生体内、細胞または組織培養、もしくは生体外において、自然的にまたは非自然的に発生したもの)および/またはAAHに仲介される1つ以上の細胞的事象(例えば、細胞成長または増殖、もしくは細胞運動性)を抑制する可能性があるが、必ずしもこの限りではない。望ましくない細胞増殖および運動性は、AAHが過剰に活動しているか過剰発現している病態(例えば癌等)に関連して発生するため、本発明の組成物は、そのような症状を有する患者を識別、その予後を評価、および/またはそのような症状(例えば、癌またはAAH発現または活性の上昇に関連するその他の疾患)を有するか、発症するリスクが高い患者を治療するために使用することができる。
【0007】
より具体的には、本発明は治療に適している患者(例えば、AAHが過剰に活動または過剰発現した細胞を有する患者)を識別する方法および効果的な量の抗AAH抗体(もしくはその断片またはその他の変異形)を患者(例えば、特異的にHAAHを結合するヒト単クローン抗体またはヒト一本鎖抗体(scFv))に投与することによってそのような患者を治療する治療法または予防法を特色とする。本発明の抗体を発現するのに使用できる核酸、それらの核酸を含む病毒媒介体、それらの核酸または病毒媒介体を含む細胞、抗AAH抗体および/またはその断片またはその他の変異形を含む医薬的に許容可能な組成物を製剤する方法、抗AAH抗体(例えば、抗HAAH抗体)および/またはその断片またはその他の変異形の特性を識別および/または評価する方法、ならびに抗AAH抗体(例えば、ヒト抗HAAH抗体)および/またはその断片またはその他の変異形の特性を親和性成熟する方法も提供される。
【0008】
読みやすくするため、すべての「抗体」の後にくる「および/またはその断片またはその他の変異形」という句を反復しない。抗AAH抗体が使用できるところであれば、特異的にAAH蛋白を任意の有用な程度まで結合するその断片またはその他の変異形も使用できることを理解されたい。AAHを「AAH蛋白」と称する場合がある。明らかに逆の意味で解釈されるべき場合を除いて、「蛋白」「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は同義的に2つ以上のアミノ残基の鎖を意味する。同様に、抗AAH抗体をエンコードする核酸が使用できるところであれば、抗AAH抗体の機能的断片またはその他の変異形をエンコードする核酸が使用でき、抗AAH抗体を備える細胞が使用できるところであれば、抗AAH抗体の機能的断片またはその他の変異形を備える細胞を使用できる、等がいえる。抗AAH抗体の断片は、断片が特異的にAAH抗原を結合する抗AAH抗体の一部である場合があるため、抗AAH抗体の「抗原結合部分」とも称されてよい。断片および異性体についてはさらに以下で説明するが、それらはscFvに加えてFab、Fab´およびF(ab´)2断片も含む(例えば、特異的にHAAHを結合するヒトscFv)ことをここで留意されたい。
【0009】
抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の異性体は、図34乃至38の表中のアミノ酸配列からなる、またはそれを含むことができる。あるいは、抗AAH抗体は、図34乃至38の表中のアミノ酸配列に対するある程度の同一性を提示する配列からなる、またはそれを含むことができる。例えば、前記抗体は、図34および35に示されるVH配列の1つと少なくとも80%同一(例えば、85%、90%、95%、98%または100%同一)の重鎖の可変領域(VH)を含むことができる。あるいは、前記抗体は、図36に示されるscFvの1つと少なくとも80%同一(例えば、85%、90%、95%、98%または100%同一)のscFvであってよい。あるいは、前記抗体もしくはその断片またはその他の変異形は、図37および38に示されるCDRと少なくとも40%同一(例えば、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、または98%同一)の相補性決定領域(CDR)を含んでよい。その他の断片および変異形については以下でさらに説明する。
【0010】
前記抗体は、アミノ酸配列Ser−Gln−Ser/Asn−Val−Ser−Ser/His−(Xaa)−Tyr/His−Leu−Ala(配列ID番号:320)を含む(または、それからなる)第1のCDR、アミノ酸配列Asp−Val−Ala−Asn−Xaa−Ala−Ala(配列ID番号:321)を含む(または、それからなる)第2のCDR、およびアミノ酸配列Gln−Gln−Arg−Ser−Gln−Trp−Pro−Gln(配列ID番号:322)を含む(または、それからなる)第3のCDRを含む可変軽鎖(VLまたはVLC)を含むことができる。特に指示がない場合、これらの配列および以下の配列において「Xaa」は任意のアミノ酸残基、またはアミノ酸残基がないことを示す。あるいは、または追加で、前記抗体は、アミノ酸配列Tyr/His−Ala−Met−His/Gly(配列ID番号:323)を含む(または、それからなる)第1のCDRおよびアミノ酸配列Tyr−Ala−Xaa−Ser−Val−Lys−Gly/Ser(配列ID番号:324)を含む(または、それからなる)第2のCDRを含むVHCを含むことができる。別の実施形態において、前記抗体は、アミノ酸配列Ser−Gly−Ser−Ser−Ser−Asn−Ile−Gly/Glu−Ser−Asn−His/Tyr−Val−His/Tyr(配列ID番号:325)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第1のCDR)を含むVLCを含むことができる。あるいは、または追加で、前記抗体は、アミノ酸配列Ser/Gly−Asp/Asn−Ser/Gly−Ala−Ala−Trp−Ser/Asn(配列ID番号:326)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第1のCDR)およびアミノ酸配列Arg−Ile/Thr−Tyr/His−Tyr/His−Gly/Arg−Xaa−Lys/Arg−Trp/Arg−Tyr/Arg−Asn−Asp/Gly−Tyr/His−Ala−Val/Ala−Pro/Ser−Val/Ala−Lys−Ser(配列ID番号:327)を含む(または、それからなる)第2のCDRを含むVHCを含むことができる。その他の実施形態において、前記抗体は、アミノ酸配列Asp−Val−Xaa−Xaa−Arg−Pro−Ser(配列ID番号:328)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第2のCDR)を含むVLCを含むことができる。あるいは、前記抗体は、アミノ酸配列Leu−Phe/Leu−Ile/Val−His/Tyr−Lys/Arg−Xaa−Asn−Gln−Arg−Pro−Ser(配列ID番号:329)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第2のCDR)および、任意で、アミノ酸配列Ala−Trp−Asp−Asp−Ser(配列ID番号:330)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第3のCDR)を含むことができる。例えば、第3のCDRは配列Ala−Ala−Trp−Asp−Asp−Ser−Leu−Arg−Gly−Tyr−Val(配列ID番号:51)からなることができる。前記抗体は、アミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Trp−Val−Val−Xaa−Phe−Asp/Gly(配列ID番号:331)を含む(例えば、Thr−Gly−Tyr−Ser−Ser−Ser−Trp−Val−Val−Asn−Phe−Asp−Tyr(配列ID番号:96))(または、それからなる)CDR(例えば、第3のCDR)を含むVHCも含むことができる。
【0011】
本発明の抗体はいずれも、その配列にかかわらず、単クローン性(例えば、単一特異性)または多クローン性の抗体であってよく、前記抗体のいずれもヒトあるいはヒト化抗体であってよく、前記抗体のいずれも親和性成熟されてよく、前記抗体のいずれも単離(例えば、それらが生み出される動物または細胞からある程度精製)されてよい。ヒト抗体は、生殖系免疫グロブリン配列が提供する可変領域および定常領域を有する抗体を含む。そのような抗体は、ヒト免疫グロブリン重鎖のすべてまたは一部、および、ヒト免疫グロブリン軽鎖のすべてまたは一部を有してよい。本発明の抗体(ヒトまたは非ヒト)が自然発生的な配列を含まなくてはならないというわけではない。本発明の抗体は、ヒト免疫グロブリン核酸配列によってエンコードされていないアミノ酸残基(例えば、生体外における無作為または部位特異的な突然変異誘発により導入された突然変異体)を含んでよい。突然変異または親和性成熟した抗体については以下でさらに説明する。
【0012】
抗体は、AAHを特定の様式で結合するものに限定されないが、前記抗体はAAHの触媒ドメイン(例えば、HAAHの触媒ドメイン)を結合してよく、触媒ドメインの立体構造を修正する、またはそうでなければその活性を低くさせるような方法でAAHを結合してよい。結合したAAH抗原の活性がどの程度抑制されるかは可変である。本発明の範囲内の有用な抗体(もしくはその断片またはその他の変異形)は、AAHの活性(例えば、HAAHの触媒活性)を、患者への投与時に臨床的に有益な程度まで、または生体外アッセイにおいて有用である程度まで抑制するものを含む。例えば、前記抗体は、AAHまたはHAAHの酵素活性を約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(例えば、約95%、98%、または99%)を超えて抑制することができる。抑制は、対照または基準試料、もしくは標準と比較して評価されることができる。あるいは、抗AAH抗体は、AAH蛋白の活性を抑制することなく、特異的にAAH蛋白を結合することができる。そのような抗体は、AAHの検出において有用であり、AAHが過剰発現している細胞を有する患者を識別するために使用することができる。識別過程は、例えば、AAHの生物活性(例えば、触媒活性)を抑制する抗AAH抗体を患者に投与する前に行うことができる。
【0013】
本発明の抗体は、さらにその細胞培養における腫瘍細胞成長または腫瘍細胞増殖を抑制および/または生体内における腫瘍細胞成長または転移を抑制する能力の観点において特徴付けられる、または評価されることができる。親和性も測定することができる。例えば、本発明の抗体は、約1μM以下のAAA蛋白(例えば、HAAH)に対する親和性を有することができる。本発明の抗体は、他の抗体との競争を評価されることもできる。例えば、本発明の抗体(ヒトまたはヒト化抗体)は、抗AAHマウス抗体(例えば、単クローン性抗体FB50または単クローン性抗体15C7)とマウス抗体により結合されたエピトープを結合するために競争してよい。FB50および15C7は、本発明の範囲から明白に除外される。本発明の抗体は、そのクローン11抗体(本明細書に記載(図34を参照))とクローン11抗体により結合されたエピトープを結合するために競争する能力を評価されることもできる。クローン11抗体と効果的に競争する抗体は、本発明の範囲内である。
【0014】
前述の観点から、抗体の(1)有用な親和性(例えば、少なくとも1x106M−1)を持つAAHに結合する、または(2)非特異性抗原に対する親和性より大きい(少なくとも2倍大きい)親和性を持つAAHに結合する、または(3)臨床的に望ましい結果(例えば、治療の必要がある対象(例えば、癌またはその他の望ましくない細胞増殖を有する対象)の徴候または症候における改善)を生み出すのに十分な親和性を持つAAHに結合する能力を意味する「特異結合」または「特異的に結合する」という用語を使用する場合がある。
【0015】
前記抗体は、1つ以上のFcドメイン(例えば、ガンマアイソタイプ(例えば、IgG1)のFcドメイン)を含むことができる。「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってエンコードされる抗体クラス(例えば、IgM、IgA、IgE、IgD、またはIgG1)を意味する従来の意味において使用する。本発明の抗体は、任意のアイソタイプであってよい。あるいは、または追加で、前記抗体は、標識(例えば、マーカーまたはレポーターとしての役割を果たす、もしくは付着している抗体配列の精製を促進するポリペプチド)を含むことができる。適合する標識は、FLAGタグ、ヒスチジンタグ、または酵素的に活性または蛍光性の蛋白を含む。あるいは、または追加で、前記抗体は毒素を含むことができる。
【0016】
その他の側面において、本発明は、本発明の抗体(例えば、抗AAHscFv)をエンコードする配列を含む単離された核酸分子、本発明の抗体をエンコードする核酸配列を含む発現ベクター(例えば、プラスミド)、およびそれらの核酸分子または発現ベクター(酵母または哺乳類の細胞のような原核細胞または真核細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または腫瘍細胞(例えば、骨髄腫細胞)))のうち1種類以上を含む宿主細胞を特色とする。抗AAHscFvは、多重結合の抗AAH抗体(例えば、IgG)へ容易に変換されることができる。より具体的には、本発明は、細胞表面において発現される(例えば、酵母細胞に表示される)抗体を特色とする。組み替え手段により調製された抗体(例えば、宿主細胞をトランスフェクションした組み換え発現ベクターを使用して発現される抗体、組み換え型から単離された抗体、組み合わせの抗体ライブラリー、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニック動物(例えば、マウス)から単離された抗体、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列のその他のDNA配列へのスプライシングを伴うその他任意の手段により調製された抗体)を意味する「組み換え型」という用語を使用することがある。組み換え抗体は、ヒト化またはCDR移植抗体、キメラ抗体、および生体外において(例えば、ファージ提示法によって)生成された抗体を含む。前記抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列から派生した定常領域を含んでよい。
【0017】
本発明は、上記に掲載された1つ以上の組成物を含むキットおよび使用説明書(印刷物、音声、視覚等、その形状を問わず)も特色とする。例えば、本発明のキットは、抗AAH抗体を(凍結乾燥または濃縮された形状で、または使用に適した濃度(例えば、診断分析または患者への投与の実施に適した濃度)の生理学的に許容可能な希釈液に懸濁されて)含むことができる。前記キットは、本明細書に記載のように、核酸、ベクター、および/または宿主細胞も含むことができる。任意で、本明細書のキットのいずれかは、抗AAH抗体を投与するための道具(例えば、針、注射器、アルコール綿、および包帯)、またはそれを診断分析に使用するための道具(例えば、対照として有用な試薬)を含むことができる。
【0018】
本発明の方法は、細胞内におけるAAH発現を評価する方法を含む。前記細胞はヒトまたは非ヒト細胞および/またはAAHが過剰に活動または過剰発現している細胞であってよく、前記細胞は生体内の細胞または組織培養内に維持されたものであってよく、前記細胞は癌性(例えば、腫瘍細胞)であってよく、前記細胞はほぼすべての組織タイプ(例えば、肺、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、卵巣、胆管、脳、または乳房の細胞)から得られる。前記細胞は、無傷であってもなくてもよい(例えば、前記細胞から生成された蛋白のように、組織ホモジネートが使用できる)。前記方法は、抗AAH抗体(本明細書に記載のもののいずれかが使用されうる)を提供するステップと、前記抗体に前記細胞により発現したAAHを結合させるのに一時的に十分な条件下において、前記抗体を用いて前記細胞(もしくは組織ホモジネートまたは前記細胞から生成された蛋白)に接触するステップと、前記抗体またはその抗原接続部位を(例えば、ウエスタンブロット分析、免疫組織化学、またはその他の抗体に基づいた検出方法によって)検出するステップと、を含むことができる。前記検出ステップは、AAH発現の定性的または定量的評価を提供してよく、その結果を対照試料から得られたもの、または基準試料や標準と比較してよい。そのような方法は、特異的にAAHを結合するがAAHの活性には影響を及ぼさない抗体を用いて効果的に実行されうる。前記方法は、本発明のAAH抑制性抗体を用いて治療する必要がある患者を診断するための取り組みの一部として実施されてよい。
【0019】
本発明の方法は、細胞内におけるAAH蛋白の活性を調節(例えば、抑制)する方法も含む。上述の評価方法と同様に、前記細胞はヒトまたは非ヒト細胞および/またはAAHが過剰に活動または過剰発現している細胞であってよく、前記細胞は生体内の細胞または組織培養内に維持されたものであってよく、前記細胞は癌性(例えば、腫瘍細胞)であってよく、前記細胞はほぼすべての組織タイプ(例えば、肺、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、卵巣、胆管、脳、または乳房の細胞)から得られる。前記方法は、細胞を提供するステップと、前記細胞内におけるAAH活性を調節(例えば、抑制)するのに十分な条件下において、当該細胞を一時的に本明細書に記載の抗体(または断片またはその他の変異形)にさらすステップを含んでよい。細胞が生体内において抗AAH抗体にさらされる場合、前記方法は、疾患(例えば、癌またはその他の望ましくない細胞増殖)を有する患者、またはそのような疾患を発症するリスクが高い患者(例えば、AAHが過剰に活動または過剰発現しているがまだ検出可能な腫瘍もその他の癌の徴候も有していない患者)を治療する方法として記載できる。前記方法は、本明細書に記載の抗体(もしくはその断片またはその他の変異形)を、抗体が患者の体内において癌性細胞の増殖または転移を抑制するのに十分な量と時間で、患者に投与するステップを含むことができる。治療方法は以下でさらに説明するが、抗AAH抗体を含む組成物は局所的に(例えば、腫瘍の部位または腫瘍が外科的に除去された後に残留している組織へ)または全身的に(例えば、静脈注射によって)投与されることができることに留意されたい。患者は単一タイプの抗AAH抗体または抗体の組み合わせを受け取り、抗体は第2の薬剤(例えば、化学療法薬、鎮痛剤、または制吐剤)と組み合わせて投与されることができる。
【0020】
治療に関連する用語は、患者または患者から提供される細胞に対する本発明の組成物の適用または投与を意味する。前記組成物は、抗AAH抗体、同一物をエンコードする核酸分子もしくは発現ベクター、または同一物を発現する宿主細胞であってよい(いずれも生理学的に許容可能な希釈液を配合される)。前記組成物は、生体外で対象から、好ましくは治療が必要な患者から単離された(例えば、除去された)細胞に投与されてよい。治療終了時、前記細胞は患者に戻されてよい。さらに、前記治療方法は予防法であってよい。例えば、それらの方法は癌を発症するリスクの高い患者(十分に確立したリスクの指標(例えば、PSAおよび上述のとおりAAH自体のような癌関連抗原の濃度)がある)に適用されてよい。前記治療は、前記患者を治すまたは治癒するものであってよいが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の方法は、癌の徴候または症候もしくは患者の癌に対する素因を緩和し、軽減し、修正し、改善し、和らげ、または改良することができる。
【0021】
抗AAH抗体の「治療効果のある量」は、疾患(例えば癌、例えば腫瘍またはその他の新生物もしくは異形成症候群)の徴候または症候を治療するのに効果的な抗AAH抗体の量である。抗AAH抗体の「予防効果のある量」は、発病の発生または疾病(例えば癌)の再発を遅らせるのに、もしくはその徴候または症候の重篤性を低減するのに効果的な抗AAH抗体の量である。
【0022】
治療に適した患者については以下でさらに説明するが、ここで前記患者は過剰に活動するまたは過剰発現したAAHに関連する任意の増殖性疾患を有する可能性があることに留意されたい。例えば、前記患者は、AAH陽性細胞を含む肺、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、卵巣、胆管、脳、または乳房内に腫瘍を有することがある。
【0023】
別の側面において、本発明は、AAHに特異的に結合する抗体を識別する方法を特色とする。前記方法は、例えば、(a)抗体(例えば、ヒト抗体であり、scFvであってよい)のライブラリーを提供するステップと、(b)前記抗体にポリペプチドを結合させる条件下において、前記ライブラリーの一部をAAH蛋白またはその断片と接触させるステップと、(c)AAH蛋白(またはAAH断片)に結合する抗体を選択するステップと、を含むことができる。前記方法は、前記選択された抗体を親和性成熟させるステップをさらに含むことができる。成熟は、例えば、変異性PCRのような方法、抗体をエンコードする核酸が、例えばCDRシャッフリングまたは鎖シャッフリング技術を使用して、ライブラリーの核酸方法による組み換えを受ける方法によって実現されうる。本発明は、AAHに特異的に結合するヒト単クローン性抗体を作成する方法も特色とする。前記方法は、AAH蛋白に特異的に結合する抗体を認識するステップと、細胞内において前記抗体をエンコードする核酸配列を発現するステップと、前記発現した抗体を前記細胞から単離するステップと、を含むことができる。これらの方法を産生方法と称することができ、これらの方法で作成された抗AAH抗体は本発明の範囲内である。
【0024】
本発明の抗体は、様々な理由で好都合でありうる。例えば、完全長に満たない抗体が使用される場合、抗体断片または変異体はより容易に腫瘍へ侵入できる。ヒトまたはヒト化抗体がヒト患者に投与される場合、非ヒト蛋白により誘発される可能性と同じくらい、それらが望ましくない免疫応答を刺激する可能性は低い。HAAH発現はきわめて低く、非癌性組織内で検出できないため、本発明の抗体がその他の望ましくない副作用を生成する可能性も低く、HAAHを対象とする抗体は、非癌性組織に対する特異性の低い治療よりも毒性が低くてよい。当方の知る限りにおいて、当方はHAAHに結合する最初のヒト抗体を有する。
【0025】
本明細書で述べたすべての公告、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照することによりその全体が組み込まれる。本発明のその他の特色および利点は、以下の詳しい説明および特許請求の範囲より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
詳細な説明
アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ(AAH)は、細胞外基質蛋白、低密度リポ蛋白(LDL)受容体、ノッチ相同体およびノッチリガンド相同体を含む上皮成長因子のような各蛋白ドメインにおいて、特定のアスパラギン酸塩およびアスパラギン残基のβ炭素の翻訳後ヒドロキシル化に対し触媒作用を及ぼす(Jia等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA91(15):7227‐7231、1994年;Jia等、J.Biol.Chem.267(20):14322‐14327、1992年;Gronke等、ProcNatlAcadSciUSA86(10):3609‐13、1989年)、高度に保存されたアルファケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼである。ヒトAAH(HAAH)の過剰発現は、肝細胞癌、胆管癌、および神経外胚葉性腫瘍を含む多くのヒト癌において検出されている(Lavaissiere等、J.Clin.Investig.98:1313‐1323、1996年;Sepe等、Lab.Invetsig.82(7):81‐891、2002年)。AAHが多くの腫瘍において過剰発現すること、および強制発現が細胞運動および生存を向上させることの発見は、AAHが生体内における悪性の形質転換を助長しうることを示している(Sepe等、Lab.Investig.82(7):881‐891、2002年)。癌の診断または治療へのHAAH使用に関する発明が記載されている(Radosevich、米国特許番号6,166,176;Radosevich、米国特許番号6,727,080;Wands等、米国特許番号6,783,758;Wands等、米国特許番号6,797,696;Wands等、米国特許番号6,812,206;Wands等、米国特許番号6,815,415)。
【0027】
本発明は、抗体およびそのAAHまたはAAHの一部に対する結合特異性を有する抗原結合部分に関する。特に、本発明は、特異的にAAHに結合するヒト単クローン性抗体に関する。一実施形態において、抗体またはその結合部分はヒトAAH(HAAH)に対する特異性を有する。AAHを特徴付ける1つ以上の機能を抑制する抗体は、その機能が酵素活性(例えば、水酸化酵素活性)であっても細胞の段階で現れる機能(例えば、腫瘍細胞の促進運動)であっても、本発明の範囲内である。従って、例えば、抗AAH抗体は、腫瘍細胞の運動性を抑制するものであってよい。あるいは、または追加で、本発明の抗体は、EGF様ドメインを含む蛋白(例えば、細胞外基質蛋白)等の天然リガンドとのAAHの相互作用を抑制(低減または阻止)してよい。AAHを対象とするヒト単クローン性抗体(例えば、特異的に結合する抗体)は、ヒドロキシル化による基質活性の変調を含む、AAHにより仲介された機能を抑制できる。好ましくは、抗体およびその抗原結合部分は、AAHを1x106M−1より大きい親和性で結合することができる。
【0028】
HAAHアミノ酸配列は、ジンバンク(登録商標)のアクセッション番号I38423(GI:7433245)の項目に記載されている。当業者の1人が容易にジンバンク(登録商標)またはその他の資料から配列を検索することができる。HAAHの膜貫通ドメインは、ジンバンク(登録商標)配列のアミノ酸341乃至374の間にあるよう指定されている。分子の細胞外(または内腔)部分は、C末端に対応する。抗AAH抗体は、完全長であってもなくても、AAHまたはその蛋白の断片と相互に作用(例えば、結合)する(例えば、抗HAAH抗体はHAAHに結合する)。抗体はAAHのエピトープ(例えば、立体構造または直線状エピトープ)または完全長AAH蛋白の断片と結合してよい。立体構造エピトープは、一般的に変性溶剤にさらされると失われる。
【0029】
抗体:本発明の抗体は、様々な構成をとることができる。例えば、抗体は四量体(例えば、2本の重鎖および2本の軽鎖を有する抗体)または一本鎖抗体であってよい。従って、本発明の抗体は、1本または2本の重(H)鎖可変領域および1本または2本の軽鎖可変領域を有する蛋白を含む。VHCおよびVLC領域は、さらに、「相補性決定領域」(CDR)と呼ばれる超過変性領域に細分され、「骨格領域」(FR)と呼ばれるより保存された領域が組み入れられることができる。FRおよびCDRの範囲は定義されている(Kabat,E.A.等、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、国立衛星研究所出版番号91−3242、1991年、および、Chothia等、J.Mol.Biol.196:901−917、1987年、を参照。これらは参照することにより本明細書に組み込まれる)。本発明の抗体が1つ以上のVHCおよび/または1つ以上のVLCを含む場合、各VHCおよびVLCは3つのCDRおよび4つのFRからなることができ、アミノ末端からカルボキシル末端まで、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順で配置されることができる。
【0030】
本発明の抗体のVHCまたはVLC鎖は、重鎖または軽鎖定常領域のすべてまたは一部をさらに含むことができる。一実施形態において、抗体は2本の免疫グロブリン重鎖および2本の免疫グロブリン軽鎖の四量体であり、ここで免疫グロブリン重鎖および軽鎖は、例えばジスルフィド結合によって相互接続している。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3という3つのドメインを含む。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインからなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互に作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、一般的に、免疫システムの様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および典型的な補体系の第1成分(Clq)を含む宿主組織または因子への抗体の結合を仲介する。「抗体」という用語は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgMタイプの無傷免疫グロブリン(そのサブタイプ(例えば、IgGI、IgG2、IgG3、およびIgG4)も同様)を含み、ここで免疫グロブリンの軽鎖はカッパまたはラムダのタイプであってよい。
【0031】
抗体は、「免疫グロブリン」と称されてもよい(実質的に免疫グロブリン遺伝子によりエンコードされる1つ以上のポリペプチドからなる蛋白、本発明の抗AAH抗体は、抗AAH免疫グロブリンと称されてもよく、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子によりエンコードされた配列を含んでよい)。存在が認められているヒト免疫グロブリン遺伝子は、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子とともに、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、エプシロン、およびミュー定常領域遺伝子を含む。完全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25kDaおよび214アミノ酸)は、NH2末端(約110アミノ酸)の可変領域遺伝子およびCOOH末端のカッパまたはラムダ定常領域遺伝子によりエンコードされる。完全長免疫グロブリン重鎖(約50kDaおよび446アミノ酸)は、同様に可変領域遺伝子(約116アミノ酸)およびその他の上記定常領域の1つ、例えばガンマ(約330アミノ酸をエンコード)によりエンコードされる。
【0032】
本発明の抗体または免疫グロブリンは、ヒトまたは非ヒト資源のCDR(これについては本明細書にてさらに説明する)を含んでよい。免疫グロブリンの骨格は、例えばヒトにおいて抗原性を低下させるよう修正されたマウス骨格のような、ヒト、ヒト化、または非ヒト、または、例えば共通配列のような合成骨格であってよい。
【0033】
抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」または「部分」)という用語は、本明細書で使用される場合、特異的にAAH(例えば、HAAH)に結合する抗体の部分、例えば1つ以上の免疫グロブリン鎖が完全長でないが特異的にAAHに結合する分子を意味する。抗体の「断片(または抗原結合部分)またはその他の変異形内」に包含される結合部位の例は、(i)Fab断片、VLC、VHC、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片、(ii)F(ab’)2断片、ジスルフィド架橋によってヒンジ領域で結合した2つのFab断片を含む二価断片、(iii)VHCおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一腕部のVLCおよびVHCドメインからなるFv断片、(v)VHCドメインからなるdAb断片(Ward等、Nature341:544−546、1989年)、および(vi)特異的に結合するのに十分な骨格、例えば可変領域の抗原結合部分を有する単離された相補性決定領域(CDR)を含む。軽鎖可変領域の抗原結合部分および重鎖可変領域の抗原結合部分、例えばFv断片の2つのドメイン、VLCおよびVHCは、VLCおよびVHC領域が一価の分子を形成するために組み合わさっている単一蛋白鎖としてそれらを作成できるようにする合成リンカーにより、組み換え法を使用して接合されることができる(一本鎖Fv(scFv)として周知のものとしては、例えば、Bird等、Science242:423−426、1988年、および、Huston等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883、1988年を参照)。そのような一本鎖抗体は、抗体の「抗原結合部分」という用語内に包含されるよう意図されてもよい。これらの抗体部分は、当業者に周知の従来技術を使用して得られ、これらの部分は実用のため無傷の抗体と同じ様式でスクリーニングされる。Fab断片は、四量体抗体の分裂によって生じることができる。Fab’およびF(ab’)2断片は、ペプシンとの分裂により生成されることができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、骨格残基がヒト生殖系配列に対応し、CDRがV(D)J組み換えおよび体細胞変異により生じる任意の抗体を含む。しかしながら、ヒト抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン核酸配列においてエンコードされないアミノ酸残基(例えば、生体外における無作為または部位特異的な突然変異誘発により導入された突然変異体)も含んでよい。生体内におけるヒト可変遺伝子の体細胞変異は、骨格残基の特別変異を引き起こすことが実証されている(Nat.Immunol.2:537、2001年、を参照)。そのような抗体は、骨格突然変異にかかわりなく、その資源を考慮して、「ヒト」と称される場合がある。マウス抗体可変ドメインが骨格残基における体細胞変異を含むこともできる(Sem.Immunol8:159、1996年、を参照)。その結果、ヒトIg遺伝子座を含むトランスジェニックマウスは、平均4.5の骨格突然変異を保有するにもかかわらず、一般に「完全ヒト」と称される抗体を生み出す(この研究においては1乃至8の範囲:Nat Genet.1997年2月、15(2):146−56)。そのため一般に認められた語法では、生殖系配列に基づくが例えば生体内体細胞異変によって導入された骨格突然変異過程を保有する抗体可変ドメイン遺伝子は、「ヒト」と呼ばれる。従って、本発明は、特異的にAAH(例えば、HAAH、それらの抗体が突然変異体(例えば、FR内の突然変異体)を含んでいる場合でも)およびその断片またはその他の変異形を結合するヒト抗体(例えば、多量体ヒト抗体のVLCおよびVHCを含む一本鎖抗体)を包含する。例えば、本発明のヒト抗体は、1乃至8の骨格突然変異(例えば、約2、4、6、または8の置換、追加、または削除)を有することができる。原型ヒト抗体の配列はヒト生殖系配列であることが好ましい。
【0035】
HAAHに対して特異的なヒト一本鎖抗体は、本明細書で記載されているように生み出される。特定の実施形態において、本発明は、HAAHに対し特異性を有し、本明細書に記載の抗体により結合されたエピトープに結合する抗体(例えば、クローン11によりエンコードされた抗体または親和性成熟されたクローン11の派生物)を提供する。本明細書に記載の抗体により結合されたエピトープと重複するエピトープを結合する抗体は、HAAHと結合するためにEGF様ドメインと競争するその能力により識別されることができる(例えば、HAAH形質転換体のようなHAAHを運ぶ細胞、またはH460腫瘍細胞)。抗AAH抗体の結合部位は、HAAHの触媒ドメイン内にあってよい。
【0036】
抗AAH抗体は、多クローン性または単クローン性であってよい。本明細書に記載の抗体およびその抗原結合部分は、治療用組成物および処方計画、診断用組成物および処方計画、ならびにAAH蛋白を識別または抑制できる薬剤を必要とするアッセイにおいて有用である。本発明は、治療(予防を含む)または診断(例えば、癌など特定の疾病または症状の)において使用するための、抗体またはその抗原結合部分、ならびに、本明細書に記載されるような疾病および症状の治療に使用する薬品製造のための、そのような抗体またはその抗原結合部分の使用を包含する。
【0037】
異なる種から派生した部分を備えるキメラまたはCDR移植一本鎖抗体と同様に、一本鎖抗体、およびキメラヒト化またはCDR移植抗体も本発明によって、また「抗体」という用語によって包含される。これらの抗体の様々な部分は、従来技術により化学的に接合されるか、遺伝子操作技術を使用して連続したポリペプチドとして調製されることができる。例えば、キメラまたはヒト化鎖をエンコードする核酸は、連続するポリペプチドを生み出すために発現することができる。例えば、Cabilly等、米国特許番号4,816,567;Cabilly等、ヨーロッパ特許番号0,125,023B1;Boss等、米国特許番号4,816,397;Boss等、ヨーロッパ特許番号0,120,694B1;Neuberger,M.S.等、WO86/01533;Neuberger,M.S.等、ヨーロッパ特許番号0,194,276Bl;Winter、米国特許番号5,225,539;および、Winter、ヨーロッパ特許番号0,239,400Blを参照のこと。また、CDR移植抗体に関する、Newman等、Biotechnology10:1455−1460、1992年、および、Ladner等、米国特許番号4,946,778、ならびに、一本鎖抗体に関するBird,R.E.等、Science242:423−426、1988年、も参照のこと。
【0038】
また、キメラ、ヒト化、CDR移植、または一本鎖抗体の断片を含む抗体の抗原結合部分を生み出すこともでき、これは本発明の範囲内である。抗体の抗原結合部分は、それらが派生した完全長抗体の結合機能を少なくとも1つ保持する。好適な抗原結合部分は、完全長抗体に相当する抗原結合機能(例えば、AAHに対する特異性)を保持する。機能的断片は、AAHヒドロキシラーゼ活性のようなAAHを特徴付ける1つ以上の機能を抑制する完全長抗体の能力を保持することができる。例えば、機能的断片はEGF様ドメインのヒドロキシル化を抑制することができる。これらのEGF様ドメインは、凝固因子、細胞外基質蛋白、低密度リポ蛋白受容体、ノッチ相同体、またはノッチリガンド相同体のような多様な蛋白において反復配列を形成する保存モチーフを含む。今述べたものを含む任意のAAH基質は、抗AAH抗体を評価するアッセイにおいて使用できる。典型的なAAHアッセイ基質は、EGF−IX1H(Gronke等、Proc Natl Acad Sci USA86(10):3609−13、1989年)、EGF−X1H(Gronke等、J.Biol.Chem.265:8558−8565、1990年)、およびEGF−Asn(Gronke等、J.Biol.Chem.265:8558−8565、1990年;Wang等、J.Biol.Chem.266:14004−14010、1991年)を含む。
【0039】
例えば、AAHに結合できる抗体部分またはその断片は、Fv、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片を含む。そのような部分は、酵素的切断または組み換え技術により生み出されることができる。例えば、パパインまたはペプシン切断は、FabまたはF(ab’)2断片をそれぞれ生成することができる。抗体は、1つ以上の終止コドンが天然終止部位の上流へ導入された抗体遺伝子を使用して、様々な切断型で生み出すこともできる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をエンコードするキメラ遺伝子は、重鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をエンコードするDNA配列を含むよう設計されることができる。
【0040】
本発明は、遺伝子操作技術を使用して連続したポリペプチドとして調製されうるキメラ抗体を提供する(例えば、キメラ抗体の蛋白部分をエンコードするDNAは連続するポリペプチド鎖を生み出すために発現できる)。本発明のキメラ抗体の一例は、CDR(例えば、本明細書に記載されている抗体のCDRのうち1つ以上)を備える1つ以上の抗体鎖を含む抗体および第2の抗体の軽鎖および/重鎖から派生した骨格領域である(例えば、ヒト由来のもの、例えば骨格変化の有無を問わずCDR移植抗体)。一実施形態において、キメラ抗体は、HAAHに結合するためにマウス15C7またはFB50単クローン性抗体と競争することができる。キメラ抗体の抗原結合領域は、本明細書に記載の抗体クローン(例えば、クローン11、またはクローン11の突然変異体、例えば、クローン11軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびにクローン11重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3を備えるキメラ抗体におけるもの等)から派生することができる。キメラまたはCDR移植一本鎖抗体は、ヒト化免疫グロブリンも含む。例えば、Cabilly等、米国特許番号4,816,567;Cabilly等、ヨーロッパ特許番号0,125,023B1;Queen等、ヨーロッパ特許番号0,451,216B1;Boss等、米国特許番号4,816,397;Boss等、ヨーロッパ特許番号0,120,694B1;Neuberger等、WO86/01533;Neuberger,M.S.等、ヨーロッパ特許番号0,194,276B1;Winter、米国特許番号5,225,539;Winter、ヨーロッパ特許番号0,239,400B1;Padlan,E.A.等、ヨーロッパ特許出願番号0,519,596Alを参照。また、一本鎖抗体については、Ladner等、米国特許番号4,946,778;Huston、米国特許番号5,476,786;およびBird等、Science242:423−426、1988年)も参照のこと。
【0041】
キメラ抗体は、望ましいキメラ鎖をエンコードする遺伝子(例えば、cDNA)を調整するため、合成および/または組み換え核酸を使用して生み出すことができる。例えば、可変領域をコードする核酸(例えば、DNA)配列は、抗体鎖をエンコードするDNA配列を修正するためのPCR突然変異誘発法、例えばヒト化抗体を生成するために採用される方法を使用して構築される(例えば、Kanunan等、Nucl.Acids Res.17:5404、1989年;Sato等、Cancer Research53:851−856、1993年;Daugherty等、Nucleic Acids Res.19(9):2471−2476、1991年;およびLewisとCrowe、Gene101:297−302、1991年、を参照のこと)。これらの、またはその他適合する方法を使用して、変異形も容易に産出できる。一実施形態において、クローン化可変領域は突然変異することがあり、望ましい特異性で変異形をエンコードする配列が選択されることができる(例えば、ファージライブラリーから、例えばKrebber等、米国特許番号5,514,548;Hoogenboom等、WO93/06213、1993年4月1日公告、を参照のこと))。
【0042】
AAH抗体を産生または単離するその他の適合する方法は、例えば、ヒト抗体の完全なレパートリーを生み出すことができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)の免疫に依存する方法を含む(例えば、Jakobovits等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:2551−2555、1993年;Jakobovits等、Nature362:255−258、1993年;Lonberg等、米国特許番号5,545,806;Surani等、米国特許番号5,545,807を参照のこと)。
【0043】
特異的にAAHに結合する抗体は、ライブラリーにおいて組み換え抗体を発現することおよびAAHを結合するライブラリーのメンバーを選択することによって識別できる。選択された抗体のAAHに対する親和性は、これらの抗体を、例えば本明細書に記載のとおり1サイクル以上のスクリーニングと併せてPCR突然変異誘発、鎖シャッフリング、またはCDRシャッフリング技術を使用し親和性成熟することによってさらに高めることができる。抗AAH抗体を生成するためにその他の方法も使用できる。例えば、抗AAH抗体は動物に免疫性を与えることによって生み出すことができる。免疫性を求めて抗原を調製するための、および免疫動物から単クローン性抗体を生成するための様々な方法が記載されている(例えば、Kohler等、Nature256:495−497、1975年;Kohlerand Milstein,Eur.J.Immunol.6:511−519、1976年、;Milstein等、Nature266:550−552、1977年;Koprowski等、米国特許番号4,172,124;Harlow,E.とD.Lane、1988年、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor、N.Y.);Current Protocols In Molecular Biology、第2巻(1994年春、付録27)、Ausubel,F.M.等、Eds.(John Wiley&Sons:New York、N.Y.)、第11章、(1991年)を参照のこと)。概して、ハイブリドーマは、適合する不死の細胞系(例えば、骨髄腫細胞系)を抗体産生細胞と融合させることによって生み出されることができる。抗体産生細胞、好ましくは脾臓またはリンパ節のそれらは、免疫動物から得られる。融合細胞(ハイブリドーマ)は、選択的培養条件を使用して単離され、限界希釈によりクローン化されることができる。望ましい特異性を持つ抗体を生み出す細胞は、適合するアッセイ(例えば、ELISA)により選択できる。
【0044】
抗体またはその抗原結合部分は、例えば、配列ID番号:1、配列ID番号:3、配列ID番号:5、配列ID番号:7、配列ID番号:9、配列ID番号:11、配列ID番号:13、配列ID番号:15、配列ID番号:17、配列ID番号:19、配列ID番号:21、配列ID番号:23、配列ID番号:25、配列ID番号:27、配列ID番号:29、配列ID番号:119、配列ID番号:121、配列ID番号:123、配列ID番号:125、配列ID番号:127、配列ID番号:129、配列ID番号:131、配列ID番号:133、配列ID番号:135、配列ID番号:137、配列ID番号:139、配列ID番号:141、配列ID番号:143、配列ID番号:145、配列ID番号:147、配列ID番号:254、配列ID番号:256、配列ID番号:258、配列ID番号:260;配列ID番号:262、配列ID番号:264、配列ID番号:266、配列ID番号:268、および配列ID番号:270の配列のいずれか1つに対し、少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域を含む。
【0045】
抗体またはその抗原結合部分は、配列ID番号:2、配列ID番号:4、配列ID番号:6、配列ID番号:8、配列ID番号:10、配列ID番号:12、配列ID番号:14、配列ID番号:16、配列ID番号:18、配列ID番号:20、配列ID番号:22、配列ID番号:24、配列ID番号:26、配列ID番号:28、配列ID番号:30、配列ID番号:120、配列ID番号:122、配列ID番号:124、配列ID番号:126、配列ID番号:128、配列ID番号:130、配列ID番号:132、配列ID番号:134、配列ID番号:136、配列ID番号:138、配列ID番号:140、配列ID番号:142、配列ID番号:144、配列ID番号:146、配列ID番号:148、配列ID番号:255、配列ID番号:257、配列ID番号:259、配列ID番号:261、配列ID番号:263、配列ID番号:265、配列ID番号:267、配列ID番号:269、および配列ID番号:271の配列のいずれか1つに対し、少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域を含む。
【0046】
抗体またはその抗原結合部分は、例えば、配列ID番号:1に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:2に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:3に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:4に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:5に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:6に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:7に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:8に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:9に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:10に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:11に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:12に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:13に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:14に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:15に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:16に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:17に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:18に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:19に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:20に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:21に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:22に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:23に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:24に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:25に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:26に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:27に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:28に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:29に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:30に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:119に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:120に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:121に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:122に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:123に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:124に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:125に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:126に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:127に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:128に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:129に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:130に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:131に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:132に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:133に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:134に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:135に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:136に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:137に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:138に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:139に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:140に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:141に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:142に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:143に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:144に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:145に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:146に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:147に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:148に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:254に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:255に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:256に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:257に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:258に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:259に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:260に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:261に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:262に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:263に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:264に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:265に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:266に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:267に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:268に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:269に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、または、配列ID番号:270に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:271に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域を含む。
【0047】
様々な実施形態において、抗体およびその抗原結合部分は配列ID番号46乃至81または281乃至313のいずれか1つに対し、少なくとも40%(例えば、40%、60%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%)同一である相補性決定領域(CDR)を含む。
【0048】
様々な実施形態において、抗体もしくはその断片またはその他変異形は、配列ID番号46乃至51、54、56、82乃至117、164乃至250、または314乃至319のいずれか1つに対し、少なくとも40%(例えば、40%、60%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%)同一である相補性決定領域(CDR)を含む。抗体もしくはその断片またはその他変異形は、配列ID番号:1に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:2に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:3に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:4に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:5に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:6に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:7に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:8に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:9に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:10に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:11に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:12に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:13に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:14に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:15に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:16に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:17に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:18に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:19に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:20に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:21に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:22に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:23に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:24に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:25に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:26に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:27に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:28に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:29に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:30に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:119に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:120に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:121に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:122に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:123に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:124に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:125に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:126に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:127に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:128に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:129に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:130に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:131に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:132に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:133に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:134に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:135に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:136に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域配列ID番号:137に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:138に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:139に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:140に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:141に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:142に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:143に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:144に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:145に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:146に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:147に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:148に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:254に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:255に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:256に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:257に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:258に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:259に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:260に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:261に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域配列ID番号:262に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:263に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:264に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:265に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:266に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:267に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:268に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:269に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、または、配列ID番号:270に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:271に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域であってよく、またはそれを含んでもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「実質的に同一」(または「実質的に相同」)という用語は、第1および第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列が同様の活性を有するように、第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列に対し同一あるいは同等な(例えば、同様の側鎖、例えば保存されたアミノ酸置換を持つ)十分な数のアミノ酸残基またはヌクレオチドを含む第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列を意味する。抗体の場合、第2の抗体は同じ特異性を有し、第1の抗体の親和性を少なくとも50%有する。
【0050】
2つの配列間の「相同性」または「同一性」の計算は、以下のように実施できる。配列を最適な比較のため1列に並べる(例えば、最適な配置のため第1および第2のアミノ酸または核酸配列の片方または両方にギャップを導入してよく、比較目的のため非相同性配列は無視してよい)。異なる実施形態において、比較目的のために1列に並べられた基準配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも50%である。次いで、アミノ酸位置またはヌクレオチド位置に対応するアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が第2の配列における位置に対応するものと同じアミノ酸残基またはヌクレオチドに占められる場合、分子はその位置において同一である。2つの配列間の同一度は、2つの配列の最適な配置のために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れると、それらの配列に共有される同一位置の数の関数である。
【0051】
配列の比較および2つの配列間の相同度決定は、数学アルゴリズムを使用して遂行できる。2つのアミノ酸配列間の相同度は、12のギャップペナルティ、4のギャップ延長ペナルティ、および5のフレームシフトギャップペナルティを持つマトリックスを記録するBLOSUM62を使用してGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれるNeedlemanとWunsch、J.Mol.Biol.48:444−453、1970年、アルゴリズムを使用することにより決定される。
【0052】
本明細書で使用される場合、「低ストリジェンシー、中ストリジェンシー、高ストリジェンシー、または超高ストリジェンシー条件下においてハイブリダイズする」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を表す。ハイブリダイゼーション反応を実施するための手引きは、参照することで本明細書に組み込まれるCurrent Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、N.Y.6.3.1−6.3.6、1989年、に見ることができる。当該参考文献には水性および非水性の方法が記載されており、いずれも使用可能である。本明細書でいわれる特定のハイブリダイゼーション条件は、1)6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃の低ストリジェンシーハイブリダイゼーション条件、その後0.2X SSC、0.1%SDS中、少なくとも50°で2回洗浄(低ストリジェンシー条件の場合、洗浄液の温度は55℃まで上げることができる)、2)6X SSC中、約45℃の中ストリジェンシーハイブリダイゼーション条件、その後0.2X SSC、0.1%SDS中、60℃で1回以上洗浄、3)6X SSC中、約45℃の高ストリジェンシーハイブリダイゼーション条件、その後0.2X SSC、0.1%SDS中、65℃で1回以上洗浄、および4)超高ストリジェンシーハイブリダイゼーション条件は、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、65℃、その後0.2X SSC、1%SDS、65℃で1回以上洗浄である。
【0053】
本発明の抗体およびその抗原接続部分は、追加の保存または非必須アミノ酸置換を有してもよいと理解されている(「非必須」アミノ酸残基は、例えば抗体等の結合剤のように、実質的に生物活性を修正することなくポリペプチドの野生型配列から修正できる残基であり、一方「必須」アミノ酸残基はそのような変化を生じさせる)。
【0054】
例えば、特定の置換は耐容されてもされなくても、Bowie等、Science、247:1306−1310、1990年、に記載のように決定されうる結合活性のような望ましい生物特性に悪影響を与えないであろう。「保存アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられるものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基の族は、当技術分野で定義されている。これらの族は、塩基側鎖を持つアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。
【0055】
本明細書に記載されているように、本発明の抗体は、AAHのヒドロキシナーゼ活性を抑制および/または細胞運動等のヒドロキシナーゼ活性と関連する機能を抑制することができる。以下に説明するように、AAH活性および/または活性に関連する機能の抑制をk評価するために様々な方法が使用できる。
【0056】
結合アッセイ
本明細書で使用される場合、「哺乳類AAH蛋白」は、自然発生的または内因性の哺乳類AAH蛋白および哺乳類AAH蛋白に対応する自然発生的または内因性のものと同じアミノ酸配列を有する蛋白(例えば、組み換え蛋白)を意味する。従って、本明細書で定義するように、この用語は、多様型または対立遺伝子多型、もしくは哺乳類AAHのその他のアイソフォーム(例えば、選択的スプライシングまたはその他の細胞過程により生み出されたもの)、および前述のものの修正型または非修正型(例えば、グリコシル化、非グリコシル化)を含む。AAH蛋白は単離したものおよび/または組み換え蛋白(合成的に生み出された蛋白を含む)であってよい。自然発生的または内因性の哺乳類AAHは、修復されるか自然に例えば腫瘍細胞のようなAAHを生み出す資源から単離されることができる。
【0057】
AAH蛋白の「機能的変異形」は、機能的断片、機能的変異蛋白、および/または機能的融合蛋白(例えば、突然変異誘発および/または組み換え技術により生み出されたもの)を含む。概して、AAH蛋白の断片または部分は、成熟した哺乳類AAHに関連するアミノ酸(すなわち、1つ以上のアミノ酸)の欠損(すなわち1つ以上の欠損)を有するものを含む(N端、C端または内部欠損等)。
【0058】
概して、AAH蛋白の突然変異体は、1つ以上の連続する、または連続しないアミノ酸残基の追加、欠損および/または置換で異なるAAH蛋白の天然または人工の変異形を含む。そのような突然変異体は、例えば保存領域または非保存領域、細胞外、細胞質内、もしくは膜貫通領域にあってよい。
【0059】
AAH蛋白の「機能的断片または部分」「機能的突然変異体」および/または「機能的融合蛋白」は、ヒドロキシラーゼ活性等、本明細書に記載するようなAAH蛋白を特徴付ける少なくとも1つの機能を有する単離した、および/または組み換え蛋白もしくはポリペプチドを意味する。
【0060】
単離された、および/または組み換え哺乳類AAHまたはその部分を備える組成物は、結合に適合する条件下で維持することができ、受容体はテストされる抗体に接触し、結合が検出または測定される。一実施形態において、受容体蛋白は、AAHを発現する細胞内またはAAHまたはその部分をエンコードする核酸配列を備える構造を持つ安定してまたは一時的にトランスフェクションされる細胞内で発現されることができる。細胞は、受容体の発現に適切な条件下で維持される。細胞は結合に適合する条件下(例えば、適合する結合バッファー内)で抗体に接触し、結合は標準的な技術により検出される。結合を測定するために、結合の範囲は適合する対照に対して決定される(例えば、抗体がない場合に決定されるバックグラウンドと比較、第2の抗体(すなわち、標準)と比較、トランスフェクションされていない細胞に対する抗体の結合と比較等)。膜画分等のAAHを含む細胞分画は、全細胞の代わりに使用できる。
【0061】
一実施形態において、抗体には適合する標識(例えば、蛍光標識、同位体標識、酵素標識)で標識され、結合はその標識の検出により決定される。別の実施形態において、結合された抗体は標識された第2の抗体により検出されうる。結合の特異性は、例えば標識されていない抗体またはリガンドを競争相手として使用し、競争または変位により評価されることができる。
【0062】
結合抑制アッセイはAAHを結合しEGF様ドメインのような別の化合物の結合を抑制する抗体を識別するためにも使用できる。例えば、結合アッセイは、抗体がある場合のリガンドと比較して、EGF様ドメインの結合の減少が検出および測定される場合において実施されうる(抗体がない場合)。AAHはEGF様ドメインおよび抗体を同時に、または交互に、いずれかの順序で含む蛋白と接触できる。抗体がある場合における蛋白の結合範囲の縮小は、抗体による結合の抑制を示す。例えば、EGF様ドメインの結合は減少もしくは根絶する場合がある。
【0063】
その他の適合する結合アッセイ、もしくは例えば細胞形質転換または細胞運動等のAAH活性によって事象を監視する方法のような、AAHを結合する抗体の存在を識別するその他の方法が使用可能である。
【0064】
本発明の抗体の抑制効果は結合抑制アッセイにおいて評価されることが理解されるであろう。結合する抗体間の競争もこの方法で評価することができる。この様式で識別される抗体は、結合に続いてAAHのその他の機能を抑制する役割を果たす、および/またはその治療的有用性を評価するか否かを決定するためにさらに評価されることができる。
【0065】
抗体活性を決定するためのアッセイ
AAHは、第1鉄がある場合において、蛋白の上皮成長因子(EGF)様ドメイン内のアスパラギン酸またはアスパラギン残基のβ炭素にヒドロキシル基を導入する。保存されたCX7CX4CX10CXCX8C配列を含むEGF様ドメインは、凝固因子、細胞外基質蛋白、低密度リポ蛋白受容体、ノッチ相同体、およびノッチリガンド相同体のような多くの多様な蛋白内に存在する。AAH基質のヒドロキシル化は、ヒドロキシラーゼ活性の直接検出を含むことができる、または、例えばヒドロキシル化の生物活性を検出するアッセイを使用して間接的に測定されることができる。
【0066】
ヒト抗AAH抗体がAAH活性を抑制するか否かを決定するアッセイは、テスト抗体が存在する酵素反応におけるヒドロキシル化のレベルを化合物がない場合の併発反応と、または所定の対照値と比較することによって実施できる。標準的なヒドロキシラーゼアッセイが周知である。例えば、Lavaissiere等、J.Clin.Invest.98:1313−1323、1996年;Jia等、J.Biol.Chem.267:14322−14327、1992年、;Wang等、J.Biol.Chem.266:14004−14010、1991年;またはGronke等、J.Biol.Chem.265:8558−8565、1990年、を参照のこと。ヒドロキシラーゼ活性は、マイクロタイタープレート中の二酸化炭素(14CO2キャプチャーアッセイ)を使用して測定することができる(Zhang等、Anal.Biochem.271:137−142、1999年)。
【0067】
AAH活性の変調は、特異的基質における影響を含むヒドロキシル化下流の生化学的影響および細胞過程における影響により判断できる。AAH活性は細胞運動、増殖、生存、および細胞周期の進行を向上させる。抗体によるAAH活性の抑制は、抗体がある場合のこれらの過程いずれか1つの減少を検出することにより判断できる。
【0068】
細胞運動の変調は、例えば運動アッセイを使用してアッセイすることができる。概して、運動アッセイは、障壁(例えば、フィルター)内でまたは介して、適合する細胞(腫瘍細胞等)の、障壁の第2の表面と対立する第1の表面から化合物の上昇レベル(例えば、成長因子またはその他のポリペプチド)への方向性または移動を監視する。膜またはフィルターは、フィルター内のまたは介する適合する細胞の、障壁の第2の表面と対立する第1の表面からから化合物の上昇レベルへ向かう方向性または移動が監視されるよう、都合のよい障壁を提供する。適合する容器内において、第1室から微多孔膜内に入るかそれを通過してテストする抗体を含み、膜により第1室から分割される第2室へ向かう細胞の移動を検出または測定することができる。特異的移動の監視に適合する膜孔サイズを有する適合する膜は、例えばニトロセルロース、ポリカーボネートを含む化合物に対応して選択される。例えば、約3乃至8ミクロンの膜孔サイズを使用することができる。
【0069】
移動および移動の抑制を評価するために、フィルターの第2の表面に接着したフィルターを通過する細胞の数および/または第2室中に蓄積する細胞の数を、標準的技術(例えば、顕微鏡検査)を使用して判断することができる。一実施形態において、細胞は検出可能な標識(例えば、放射性同位体、蛍光標識、抗原またはエピトープ標識)で標識されており、移動は、適切な方法を用いて膜に接着する標識の存在および/または第2室の存在を判断することにより(例えば、放射活性、蛍光性、免疫学的検定を検出することにより)、抗体がある場合およびない場合において評価されうる。抗体アゴニストにより誘発される移動の範囲は、適合する対照に対して決定できる(例えば、抗体がない場合に決定されるバックグラウンドの移動と比較、第2の抗体(すなわち、標準)とにより誘発される移動の範囲と比較、抗体により誘発された拡散を入れられていない細胞の移動と比較)。抗体がある場合における化合物(例えば、ウシ血清)により誘発された移動の範囲の縮小は、阻害活性を示す。
【0070】
一実施形態において、細胞は、無血清培地内に挿入するBoyden室タイプの培養物の上室内に置かれる。1%乃至2%のウシ胎仔血清が添加された培地は、移動のための刺激物を提供するため、下室に置かれる。細胞は約4時間培養され、移動を生じさせる。上室および下室内の細胞数が定量化される。各室内の生存細胞は、ATPLite(商標)のようなATP監視システムを使用して定量化されることができる(Perkin Elmer(登録商標);例えば、運動アッセイを説明するSepe等、Lab.Invest.82:881−891、2002年、を参照のこと)。
【0071】
AAH過剰発現は、細胞増殖および悪質形質転換に連鎖している。AAH活性の抑制は、ヌードマウスにおける形質転換、足場依存性細胞成長、および腫瘍原性のような、悪性の表現型の細胞特性を測定することによってアッセイされることができる。NIH 3T3細胞をAAHでトランスフェクションし、形質転換焦点を観測することにより形質転換にアクセスできる(CopelandとCooper、Cell16(2):347−56、1979年)。足場依存性細胞成長は、細胞をAAHでトランスフェクションし、形質転換体を単離し、0.53%の低融点アガロースを含む培地の下層を覆う、形質転換体を0.4%の低融点アガロースを含む完全培地に懸濁させることでアッセイできる。
【0072】
腫瘍原性を生体内においてアッセイするため、AAH形質転換クローン(またはAAH発現腫瘍細胞)をヌードマウスに注入する。一般的なアッセイにおいては、約百万乃至1千万の細胞が同時に注入される。1週間から1ヵ月間成長させた後、マウスを犠牲死させ、腫瘍を除去して重さを量る。抗体は、AAH形質転換体または腫瘍細胞が埋め込まれた動物への注入および埋め込まれた細胞の成長を対照注入(例えば、生理食塩水または非特異的抗体)を受けた動物の細胞の成長と比較することによりテストできる。
【0073】
抑制活性を持つ抗体は、これらのアッセイにおける細胞成長、形質転換および腫瘍原性の効率を下げることがある。
【0074】
診断および治療への応用
本発明の抗体は、研究、診断および治療への応用を含む様々な用途において有用である。一実施形態において、抗体は適合する標識(例えば、蛍光標識、化学発光標識、同位体標識、エピトープまたは酵素標識)で標識される。
【0075】
HAAHの過剰発現は、悪性形質転換に関連する。HAAHの活性を阻害および/または抑制する抗体またはその抗原結合部分は、細胞形質転換を抑制および/または形質転換した細胞を診断するために使用できる。従って、本発明は、細胞をAAHまたはAAHの一部を結合させる効果的な量の抗体またはその抗原結合部分に接触させるステップを含む、AAHまたはその部分を発現する細胞のAAH活性を抑制する方法を提供する。細胞は、対象の細胞(例えば、腫瘍細胞)であってよく、抗体またはその抗原結合部分は対象の生体内に投与されてよい。抗体またはその抗原結合部分の治療的使用は、予防的使用(例えば、癌を発症するリスクの高い患者の治療のため)を含む。
【0076】
抗AAH抗体またはその抗原結合部分は、抗癌剤等、1つ以上のその他の治療用薬剤と組み合わせて投与してもよい。抗癌剤の限定されない例としては、例えば抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤、アルキル化剤、挿入剤、信号変改経路を妨害できる薬剤、アポトーシス(細胞死遺伝子を含む)を促進する薬剤、放射性化合物、およびその他の腫瘍関連抗原(裸抗体、免疫毒素および放射性接合体を含む)が挙げられる。抗癌剤の特定クラスの詳細な例は、例えばパクリタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、酒石酸ビノレルビン、タキソテール等の抗チューブリン/抗微小管;例えばトポテカン、カンプトセシン、ドキソルビシン、エトポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、テニポシド、アムサクリン、エピルビシン、メルバロン、ピロキサントロン塩酸塩等のトポイソメラーゼI阻害剤;例えば5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、シタラビン/Ara−C、トリメトレキサート、ゲムシタビン、アシビシン、アラノシン、ピラゾフリン、N−ホスホラセチル−L−アスパラギン酸(PALA)、ペントスタチン、5−アゼチジン、5−Aza2’−デオキシシチジン、ara−A、クラドリビン、5−フルオロウリジン、FUDR、チアゾフリン、N−[5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル]−L−グルタミン酸等の代謝拮抗剤;例えばシスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシンC、メルファラン、チオテパ、ブスルファン、クロラムブシル、プリカマイシン、ダカルバジン、リン酸イホスファミド、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラシルマスタード、ピポブロマン、4−イポメアノール等のアルキル化剤;例えばジヒドロレンペロン、スピロムスチン、およびデシペプチド等の、作用のその他のメカニズムを介して作用する薬剤;例えばインターフェロンのような抗腫瘍反応を高めるための生物反応修飾物質;アクチノマイシンDのようなアポトーシス剤;例えばタモキシフェンのような抗エストロゲン、または、例えば4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルフォニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオナニリドのような抗アンドロゲン等の抗ホルモンである。
【0077】
本発明の抗AAH抗体は、診断への応用においても価値を有する。抗AAH抗体は、生体内における腫瘍の成長および/または転移を監視するために使用でき、病期の診断上の指標として使用されてもよい。ヒト抗体は、ヒトにおいては免疫原性でなく、従ってヒト抗体はマウス抗体よりも生体内における診断への応用に適切であると思われる。
【0078】
診断目的のためには、抗体または抗原結合部分は標識されてもされなくてもよい。一般的に、診断アッセイは、抗体または部分をAAHへ結合した結果生じる合成物の形成を検出することを必要とする。抗体または部分は、直接標識されてよい。放射性核種、蛍光剤、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素阻害剤およびリガンド(例えば、ビオチン、ハプテン等)を含むがそれらに限定されない様々な標識を採用することができる。当業者には多数の適切な免疫学的検定が周知である(例えば、米国特許番号3,817,827、3,850,752、3,901,654、および4,098,876を参照のこと)。標識されていない抗体または断片は、第1の抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体または標識されていない免疫グロブリンに対して特異的なその他の抗体)と反応する標識された抗体(例えば、第2の抗体)等、抗体を検出するために使用できる別の(すなわち、1つ以上の)適合する試薬またはその他の適合する試薬(例えば、標識された蛋白A)と組み合わせて使用することもできる。
【0079】
生体試料におけるAAHの存在の検出に使用するキットも調製できる。そのようなキットは、抗体または部分およびAAHまたはその部分の間にある合成物の存在の検出に適合する1つ以上の補助試薬に加えて、前記受容体のAAH蛋白または部分に結合する抗体またはその抗原結合部分を含むことになる。本発明の抗体の組成物は、単独で、またはその他のエピトープに対して特異的な追加の抗体と組み合わせて、凍結乾燥形状で提供される場合がある。抗体は、標識されていてもいなくても、付属材料(例えば、トリス、リン酸塩および炭酸塩のような緩衝剤、安定剤、賦形剤、殺生剤および/または例えばウシ血清アルブミン等の不活性蛋白)とともにキットに含まれることができる。例えば、抗体は付属材料を持つ冷凍乾燥された混合物として提供されることができるか、付属材料を持つ冷凍乾燥された混合物が、使用者が組み合わせるように個別に提供されることができる。単クローン性抗体に結合できる第2の抗体が採用され、そのような抗体がキット内において、例えば別個のバイアルまたは容器中に供される。第2の抗体が存在する場合、一般的に標識されており、上述の抗体製剤を用いて類似の様式で製剤することができる。
【0080】
同様に、本発明は、細胞またはその画分(例えば、膜画分)を含む組成物が、抗体の結合に適切な条件下においてAAHまたはAAHの一部(例えば、触媒ドメイン)と結合する抗体またはその機能部分と接触し、抗体結合が監視される、AAHまたは酵素の部分の発現を細胞ごとに検出および/または定量化する方法にも関する。抗体とAAHまたはその部分の間にある合成物の形成を示す抗体の検出は、AAHの存在を示す。例えば細胞への抗体の結合は、上記のように「結合アッセイ」に該当する。前記方法は、個体から細胞内における(例えば、腫瘍生検標本内の)AAHの発現を検出するために使用できる。腫瘍細胞の表面におけるAAHの定量的発現は、例えばフローサイトメトリーによって検討することができ、染色度は疾患の進行または危険性と相関関係を持つ場合がある。
【0081】
AAHは細胞運動の役割を有し、そのためAAH抗体を腫瘍の成長または転移を抑制(低減または阻止)するために使用することができる。従って、本発明の抗体は、研究および治療への応用においてAAH機能を調節するためにも使用できる。例えば、本明細書に記載の抗体は、(a)AAHへの(例えば、蛋白のEGF様ドメインの)結合、(b)AAHにより仲介される受容体シグナル伝達機能、および/または(c)(例えば、AAHの基質またはAAH経路等の)刺激性機能を抑制(低減または阻止)するための抑制剤として作用することができる。受容体機能の抑制剤として採用する抗体は、AAH結合を直接的または間接的に阻害することができる(例えば、構造変化を起こすことによって)。従って、本発明は、AAHまたはAAHの部分と結合する抗体またはその抗原結合部分を効果的な量で哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類(例えば、ヒト患者)における細胞運動を抑制する方法を提供する。前記方法に従って治療できる疾患は、癌を含み、病状の改善がもたらされうる。治療可能な癌は、充実性腫瘍、軟部組織腫瘍、および転移病巣を含むがそれらに限定されない。充実性腫瘍の例は、ほとんどの結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌、神経外胚葉性腫瘍その他のような悪性腫瘍を含む腺癌に加えて、例えば、肺、乳房、リンパ、胃腸管(例えば、結腸)および尿生殖路(例えば、腎臓、尿路上皮細胞)、肝臓、咽頭、前立腺、卵巣に影響を及ぼすような様々な臓器系の非上皮性悪性腫瘍、腺癌、上皮性悪性腫瘍等の悪性腫瘍や胆管癌を含む。上記の癌の転移病巣は、本発明の方法または組成物を使用して治療または防止することもできる。
【0082】
対象方法は、ほとんどの結腸癌、腎細胞癌、前立腺癌および/または精巣腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸の癌、および食道の癌のような悪性腫瘍を含む腺癌に加えて、例えば、肺、乳房、リンパ、胃腸管(例えば、結腸)および尿生殖路(例えば、腎臓、尿路上皮細胞)、前立腺、卵巣、咽頭に影響を及ぼすような様々な臓器系の悪性腫瘍治療において有用である。治療可能な典型的な充実性腫瘍としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮性癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽腫が挙げられる。
【0083】
本明細書に記載の抗AAH抗体を用いた治療に適する患者は、癌または「上皮性悪性腫瘍」を有するとされてよい。「上皮性悪性腫瘍」は、呼吸器系癌、胃腸系癌、非尿生殖器系癌、精巣癌、乳房癌、前立腺癌、内分泌系癌および黒色腫を含む上皮または内分泌組織の悪性腫瘍として当業者に認識されている。典型的な上皮性悪性腫瘍としては、頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸および卵巣の組織から形成したものが挙げられる。この用語は、例えば癌性組織および肉腫組織からなる悪性腫瘍を含む癌肉腫も含む。「腺癌」は、腺組織から派生した、または腫瘍細胞が認識できる腺状構造を形成する上皮性悪性腫瘍を意味する。「非上皮性悪性腫瘍」という用語は、当業者に認識されており、間葉系由来の悪性腫瘍を意味する。
【0084】
本発明の方法は、例えば骨髄性、リンパまたは赤血球系、またはその前駆細胞から生じたもの等、造血由来の増殖性/腫瘍性細胞の増殖を抑制するために使用することもできる。例えば、本発明は、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)を含むがこれらに限定されない、様々な脊髄疾患の治療を意図している(Vaickus、Crit Rev.in Oncol./Hematol.11:267−97、1991年、に掲載)。対象方法により治療されうるリンパ性悪性腫瘍は、B系ALLおよびT系ALLを含む急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)を含むがこれらに限定されない。本発明の治療方法により意図される悪性リンパ腫の追加の形状は、非ホジキンリンパ腫およびその変異形、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)およびホジキン病を含むがこれらに限定されない。
【0085】
投与の様態
本方法によると、1つ以上の抗体またはその抗原結合部分を、単独でまたは別の薬物と組み合わせて(前、同時、または後に)適切な経路により宿主に投与することができる。例えば、本発明の抗体は、別の単クローン性または多クローン性の抗体もしくは化学療法と組み合わせて使用することもできる。
【0086】
効果的な量の抗体(すなわち、1つ以上の抗体または断片)を投与する。効果的な量は、AAH機能の、また結果として腫瘍細胞の抑制に十分な量等、投与条件下において望ましい治療効果を実現するために十分な量である。
【0087】
治療すべき疾病または症状に応じて、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下注射)、経口、食餌、局所、吸入(例えば、気管支内、鼻腔内、または経口吸入、鼻腔内滴下)を含むがこれらに限定されない、様々な投与経路が可能である。その他の適合する投与方法としては、充電式または生分解性のデバイスおよび除放性高分子デバイスも挙げられる。本明細書に記載の医薬組成物は、その他の薬剤との組み合わせ治療の一部として投与してもよい。
【0088】
投与される抗体またはその一部の剤形は、選択される投与経路に応じて変わるであろう(例えば、液剤、乳剤、カプセル)。投与される抗体またはその抗原結合部分を含む適切な医薬組成物は、生理学的に許容可能な媒介体または担体に入れて調製してよい。抗体および/または部分の混合物も使用してよい。液剤または乳剤の場合、適合する担体は、例えば、生理食塩水および緩衝媒体を含む、水性またはアルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含む。非口径の媒介体は、塩化ナトリウム溶液、ブドウ糖リンゲル液、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、または不揮発性油を含む場合がある。水、緩衝用水、緩衝生理食塩水、ポリオール類(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、ブドウ糖溶液およびグリシンを含む多種の適切な水性担体が当業者に周知されている。静脈の媒介体は、様々な添加物、保存料、もしくは流動体、栄養または電解質の補給液を含む場合がある(概して、Remington’s Pharmaceutical Science、第16版、Mack,Ed.1980年、を参照のこと)。この組成物は、生理学的条件に近づける必要が有るため、任意で、pH調整および緩衝薬剤ならびに毒性調整薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および乳酸ナトリウムのような薬学的に許容可能な補助剤を含んでもよい。抗体は、分野にて周知の凍結乾燥および再構成技術に従って、保存のために凍結乾燥され、使用前に適合する担体内で再構成される場合がある。選んだ媒体内における活性成分の最適濃度は、当業者に周知の手順に従って実験的に決定してよく、望まれる最終的な製剤処方次第であろう。吸入の場合、化合物は投与のため可溶化し適合するディスペンサー(例えば、アトマイザー、ネブライザーまたは加圧エアゾールディスペンサー)に装填される場合がある。
【実施例】
【0089】
以下の実施例において本発明をさらに説明するが、これらは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0090】
実施例1 抗HAAH抗体のライブラリースクリーニング
酵母表面提示技術(BoderとWittrup、Nat Biotechnol.15(6):553−7、1997年)を使用し、抗HAAH Fv断片を得るため、実験未使用のヒト一本鎖Fvライブラリーのスクリーニングを行った。このライブラリーは、Feldhaus等(Nature Biotech.21:163−170、2003年)に記載のとおり調製を行った。つまり、ヒト抗体可変遺伝子を、58の成体からプールした市販の脾臓およびリンパ節ポリ(A)mRNAのPCRでクローン化した。IgG、IgM、κおよびλのプライマーを第1鎖cDNA合成に使用した。別個のVHおよびVLライブラリーを構築し、次いでオーバーラップエクステンションPCRによって1本鎖Fv(scFv)フォーマット内に集めた。次いで、酵母表面上にAga2p融合体として発現させるため、scFvライブラリーをサブクローン化した。Aga2p−scFv融合蛋白を概略的に図1に描写する。約109のscFv断片が酵母に発現した。
【0091】
BoderとWittrup(Biotechnol Prog.14(1):55−62、1998年)に記載されているような細胞外ドメインを含むHAAHの組み換え型に結合するため、ライブラリーのスクリーニングを行った。つまり、フローサイトメトリー(FACS)によって蛍光HAAHに結合するため、Aga2p−scFv融合体を発現している酵母細胞をアッセイする。選別により結合剤を選択し、再分析する。300nMのHAAH中で結合のスクリーニングを6回行うと、16の特異クローンが識別できる。3つの特異クローンの、HAAHへの結合のFACS分析を、図2に描写する。8つの特異クローンの、HAAHの触媒ドメインへの結合のFACS分析を、図3に描写する。これらのクローンのうち、8つがHAAHの触媒ドメインに結合した。
【0092】
実施例2 抗HAAH抗体の結合活性
様々なscFvクローンのHAAHに対する親和性を、あるscFvを提示している細胞が、標識されていないHAAHの濃度を変え、次いで標識されたHAAHの濃度を変え、FACSによって標識度を検出しながら標識される滴定を実施することにより決定した。2つの代表的な抗HAAH scFvクローンを、図4に描写する。クローン5‐2は、約500nmのHAAHに対する親和性を提示した。クローン6‐12は、約150nmのHAAHに対する親和性を提示した。
【0093】
1つの抗体クローン、クローン27は、完全長HAAHには結合したがHAAHの触媒ドメインには結合せず、単離された。このscFvクローンの、HAAHの触媒ドメインおよび完全長HAAHへの結合のFACS分析を、図5に示す。
【0094】
実施例3 可溶性抗HAAH scFv断片による結合
触媒ドメインに結合したクローンを、可溶性形状で発現させ、結合およびその他の生物活性のために分析した。6つの特異クローンの可溶性scFv断片を、HAAHの触媒ドメイン(図6)および完全長HAAH(図7)への結合のために分析した。scFv断片は1乃至2μMで存在した。これらのアッセイにおいて、クローン11が最高レベルの非特異結合を示した。
【0095】
次に、3つの特異scFvクローンの、HAAHを発現しているH460ヒト肺癌細胞への結合を評価した。scFv断片を約1μMでテストした。これらの実験の結果を、図8に描写する。クローン11は、これらのアッセイにおいても最高レベルの結合を示した。クローン12もH460細胞に結合した。
【0096】
実施例4 可溶性抗HAAH scFv断片による細胞運動の抑制
5つの可溶性scFvクローンおよび1つのマウスIgG、15C7の、H460細胞運動の抑制をテストした(図9)。細胞を膜孔サイズ約8ミクロンのフィルターカップ内の無血清培地に入れた。フィルターカップを、血清を含む培地に入れ、細胞をインキュベートしてフィルターごしに移動させる。インキュベーション後、クリスタルバイオレットで染色し、顕微鏡および血球計算板を使用して数えてフィルターの各面の細胞数を測定した。抗体がない場合、H460細胞の60%が運動性であった。抗体は、運動性アッセイにおいて、2μMで存在した。15C7は運動性を100%阻害した。クローン11scFvが存在した場合、細胞の約10%のみが運動性であった。クローン10および13も適度な細胞運動の抑制を示した。クローン11による細胞成長の抑制のアッセイも行った。クローン11は2μMでH460成長の抑制を示さなかった(データは図示せず)。
【0097】
実施例5 抗HAAH scFv断片の親和性成熟のための変異性PCR
次に、HAAH結合scFvをエンコードする核酸に突然変異を起こさせ、生体外において「親和性成熟」抗体を生み出すための結合に再選択した。Zaccolo等(J.Mol.Biol.255:589−603、1996年)およびZaccolo等(J.Mol.Biol.285:775−783、1999年)に記載されているヌクレオチド類似体を使用して、scFvを変異性PCRにエンコードするDNAを支配することにより、突然変異誘発を実施した。突然変異後初期(親和性選択前)ライブラリーは、約3x106メンバーを有していた。突然変異後にライブラリーから単離され、完全長読み取り枠を含む選択したクローンの配列を決定した。クローン11から派生したクローンにおけるアミノ酸配列変化の平均数は、入力配列と比較して7±8であった(合計266のアミノ酸中)。
【0098】
突然変異を起こした核酸を、酵母表面提示を使用して再発現させ、上述のFACSを使用して結合のスクリーニングを行った。結合剤をエンコードするDNAを単離し、再度突然変異を起こし、再発現させ、スクリーニングその他を6回行った。6回のうち5回は、順次HAAHの濃度を下げながら実施し、1μMから始めて200mMで終了した。1回は、検出抗体に結合するクローンを使い果たすため、HAAHを除外して検出抗体で実施した。この選別段階の後にこのクローン11から派生した7つのクローンにおけるアミノ酸配列変化の平均数は、入力配列と比較して23±16であった。生殖細胞系にエンコードされた骨格領域における突然変異体の数は、原型クローンにおける4つの突然変異体と比較して(生殖細胞系配列と比較して)、8から35の範囲であった。
【0099】
HAAH(0.5μM)の触媒ドメインに結合するため、改良型クローン11scFv突然変異体の結合のアッセイを行った(図10)。この改良型クローンのアミノ酸配列を図11に示す。原型クローン11と比較したアミノ酸変化を、太字活字および下線で示す。突然変異誘発の連続する回のクローン11突然変異体のHAAH結合を、上述のようにFACSによってアッセイした。並行して酵母細胞におけるscFv発現のレベルの分析を行った。これらの実験の結果を図12に示す。図12に示すように、スクリーニングを4回行った後に生み出される突然変異体(第1回突然変異体)は、原型クローン11よりも高いレベルのHAAHへの結合を提示した。1つのクローン、11m1‐2も、一様に原型クローン11よりも高いレベルの結合を提示した。親和性成熟したその他のクローン11突然変異体を図13に示す。最改良型クローン(例えば、11m1‐2)の解離速度定数は、初期の、派生元である突然変異していないscFvより2桁大きい改良である220±60nMと測定された。
【0100】
クローン11から派生した親和性成熟クローン7つのうち5つは、重鎖における位置H22(Kabatの分類による)にシステインからアルギニンまたはチロシンまでの突然変異体を有していた。このシステインは、イントラドメインジスルフィド結合を形成する。この突然変異体を持つ5つのクローンのうち、3つが重鎖骨格領域3(FW3)または軽鎖CDR3いずれかにおけるシステイン残基の発生とともにシステイン添加を有する。システインH22突然変異体を有していなかった2つのクローンのうち、1つがシステイン添加を欠いていた。もう1つは、重鎖CDR3ループにおけるチロシンとシステインの交換、システインH22から離れた4つの残基を有していた。システイン突然変異体の頻出は、重鎖構造の弛緩が結合の改良を導くことを示している可能性がある。
【0101】
親和性成熟をクローン13でも実施した。クローン突然変異体13m1の、HAAHの触媒ドメインへの結合を図14に示す。13m1は、突然変異誘発/スクリーニングを5サイクル行った後に生み出されたものである。この突然変異体のアミノ酸配列を、図15に描写する。原型クローン13と比較したアミノ酸変化は太字および下線で示されている。クローン13の連続した突然変異体の結合のアッセイを、クローン11突然変異体について説明したように行った。図16に示すように、クローン13m1および13m1から生み出されたクローン12m2‐3は、双方とも原型クローン13と比較して高められたレベルの結合を提示した。
【0102】
実施例6 抗HAAH scFv断片の親和性成熟のための鎖シャッフリング
鎖シャッフリングは、抗体鎖全体または鎖の一部その他の鎖と再結合する突然変異誘発技術である。HAAHに対する親和性が高められた抗HAAH scFv断片を生み出すために、実験未使用のライブラリーの重鎖を野生型抗HAAH軽鎖へシャッフリングすることによってライブラリーを構築した(軽鎖配列を保存し、それを異なる重鎖配列と連結させるため)。具体的には、図17に描写するように、ヒト実験未使用ライブラリーの重鎖断片をNhelおよびBamHIによる制限消化により抽出し、野生型scFvの軽鎖を含むプラスミドを提示するNheI−BamHI−消化酵母に結紮した。この過程によって生み出された初期ライブラリーは、1.2x105のメンバーを有していた。初期ライブラリーの5つのクローンが配列決定され、すべてが初期重鎖と異なる重鎖を有していた。図18Aは、各クローンにおける重鎖および軽鎖を記載したチャートを含む。
【0103】
次に、改良型結合剤をスクリーニングするため、抗原濃度が低下している状態で(800nMから500nMのHAAH)FACSスクリーニングを6回実施した。検出抗体に結合しているクローンを除去するため、追加でHAAHがない場合のスクリーニングステップを実施した。突然変異細胞のプールからの酵母細胞のscFv提示レベル(x軸)およびHAAH結合(y軸)を、FACSによって分析した。図18Bは、高親和性scFv断片を高レベルで有するクローンがプールに存在していたことを示す。
【0104】
6回のスクリーニング後、20個のクローンの配列を決定した。配列決定したクローンのうち11個は特異であり、それぞれが野生型scFvと異なる重鎖を含んでいた。これらのクローンのscFv提示レベル(x軸)およびHAAH結合(y軸)を図19A乃至19Kに示す。2つの選択したクローンLLm11およびLLm13の解離定数は、それぞれ野生型より2桁大きい改良である240±70nMおよび160±50nMと測定された。
【0105】
この技術により生み出されたクローンの骨格配列は、骨格突然変異体の数が多いクローンよりも免疫原性である可能性を低くする、生殖系骨格配列からの最小変位(重鎖生殖系骨格から平均4±2の突然変異体)を有していた。これらのクローンはすべて異なる重鎖CDR3を有しており、それらはわずかに異なる結合特異性を有する場合がある。同じ標的に対して異なる特異性を有する多数の結合剤は、容易に特定のヒト組織への最小結合のような2次的に望ましい特性のスクリーニングができる。
【0106】
実施例7 CDRシャッフリングを使用した抗HAAH scFv断片の親和性成熟
第3の技術、CDRシャッフリング(ドメインシャッフリングとも呼ばれる)を使用してHAAHに対して親和性を高められたscFvクローンを生み出した。CDRシャッフリングを実施するために、酵母細胞を受容体ベクターおよび複数の線形挿入配列と同時形質転換する。受容体ベクターおよび挿入配列は、5’端および3’端の一方または両方に相同配列を有するよう設計されている。これらの部位間および利子(例えば、抗体鎖)遺伝子内の無作為な部位の相同的組み換えは、「シャッフルされた」産生物を生成する。CDRシャッフリングについては、Swers等(Nucl.Acids.Res.32(3):e36、2004年)でさらに詳しく記述されている。
【0107】
野生型クローン11scFv断片をエンコードするDNAを受容体ベクターとして、またヒトscFvライブラリーの配列を挿入配列として使用し、CDRシャッフリングを実施した(図21)。挿入配列は、クローン11軽鎖と同一の軽鎖を有し、3つの各ライブラリーの挿入配列は、原型クローンとして同じVH族の実験未使用の重鎖遺伝子配列で置き換えられたHC FW1乃至CDR1、HC FW1乃至CDR2、またはHC FW1乃至CDR3に対応する領域を含んでいた。HC FW1乃至CDR1およびHC FW1乃至CDR2の交換を含むライブラリーは、生体内のB細胞に自然発生するレセプター編集と同様の突然変異誘発事象を引き起こした。
【0108】
HC FW1乃至CDR1、HC FW1乃至CDR2、またはHC FW1乃至CDR3が挿入されたライブラリーは、それぞれ1.1x104、1.2x104、および1.1x104のメンバーを含んでいた。これらのライブラリーを、スクリーニングのためにプールした。抗原濃度をHAAHの500nMから160nMの範囲で下げながら、FACSによるスクリーニングを6回実施した。検出抗体に結合するクローンを除去するため、追加でHAAHがない場合のステップを実施した。
【0109】
10個のクローンを単離して配列決定すると、それらのクローンのうち4つが特異であった。scFv提示レベル(x軸)およびこれらのクローンのHAAH結合(y軸)を図22A乃至22Dに示す。野生型クローンのCDRのアミノ酸配列および4つの突然変異クローンを図23に示す。4つの特異配列のうち、3つがFW1乃至CDR3の範囲で実験未使用のライブラリー配列との置き換えを有していた。4番目のクローンは、FW1乃至CDR2の実験未使用のライブラリー配列との置き換えを有していた。この突然変異体の解離定数は、原型野生型クローンより1桁の大きい改良である1μM乃至2μMであった。この突然変異体の骨格領域において、2つのアミノ酸位置のみが生殖系骨格領域と異なっていた。
【0110】
様々なクローンの解離定数を測定した。各クローンの結合と濃度の対比を図24に示す。グラフ中で比較される各クローンのKD寸法は以下のとおりである。
野生型クローン6乃至22>10μM
クローンLLm13: 26±8nM
クローンCM4: 17乃至5nM
クローンC4m18: 0.6±0.1nM
【0111】
実施例8 IgG抗体として選択されたscFv断片の発現
単離した可変重鎖および可変軽鎖配列を重IgG鎖および軽IgG鎖の定常領域をエンコードする配列を含む発現ベクターに挿入し、得られたベクターに完全長IgG抗体を発現させることにより、scFv断片から完全長IgG抗体を作成した(図25)。つまり、選択したscFv断片の重鎖および軽鎖配列を、PCRで別個に増幅した。次いで、結果として生じた断片を発現ベクターpPNL501の適切な位置へ結紮した(Pacific Northwest National Laboratory)。正しい配列が挿入されたことを確かめるため、結果として生じたベクターをクローン化し、単離し、配列決定を行った。次いでそれらのベクターを、標準的方法によってCOS‐7L細胞(Invitrogen社)にトランスフェクションした。結果として生じたこれらのCOS‐7L細胞が発現し、培養基中にIgGを分泌する。次いで培地を単離し、標準的方法により蛋白A樹脂を使用してIgGを精製する。
【0112】
完全長IgG抗体の結合特異性をELISAおよびHAAHを発現している腫瘍細胞への結合により測定した。ELISAによる結合特異性の測定では、HAAHまたはウシ血清アルブミン(BSA)のいずれかをELISAウェルに塗布し、異なる量のIgGを各ウェル内において結合させた。ヤギ抗ヒトIgGペルオキシターゼ共役および化学発光基質を使用して検出を実施した。IgG6−22、6−23、6−25、および6−28に関するこの実験の結果を図26に示す。HAAH発現腫瘍細胞への結合特異性の測定では、異なる量のIgG抗体を、高レベルのHAAHを発現するH460腫瘍細胞に結合させた。ヤギ抗ヒトIgG‐FITC共役を使用し、FACSによる検出で細胞に対するIgG抗体の結合を検出した。IgG6‐22および6‐23に関する結果を図27に、IgG LLm11、LLm13、LLm15、およびCDRm4に関する結果を図28に示す。IgG6‐22およびCDRm4の解離定数を測定した。異なる濃度のIgGを、4℃でH460またはFOCUS細胞のいずれかに結合させた。FOCUS細胞は、HAAHも発現するヒト肝細胞癌株である。IgGに結合させた後、ヤギ抗ヒトIgG‐フィコエリトリン共役で細胞を標識し、FACSにより蛍光性を検出した。6‐22IgGに関する結合と濃度の対比を図29に、CDRm4に関する結合と濃度の対比を図30に示す。測定したKD寸法は以下のとおりである。
【0113】
H460 FOCUS
6−22 IgG 1.3±0.2nM 1.1±0.2nM
CDRm4 IgG 1.0±0.1nM 0.70±0.1nM
【0114】
抗HAAHscFv断片および派生したIgG抗体がHAAH上の同様のエピトープに結合するか否かを測定するため、実験を実施した。6‐22IgGまたは対照IgGがある状態で、FLAGタグ付きscFv断片6‐22をH460細胞に結合させた。scFv6‐22にのみ存在するFLAGタグをビオチン化マウス抗FLAG抗体で標識し、続いてストレプトアビジン‐フィコエリトリン共役に結合させることにより、タグ付きscFv6‐22の結合を測定した。対照IgGではなくIgG6‐22がscFv6‐22の結合のために競争し、scFv6‐22のIgG形状が同様のエピトープをscFv6‐22としてHAAHに結合することを示した(図31)。
【0115】
scFv断片およびIgG抗体が同様のHAAHエピトープに結合することをさらに実証するため、競争するCDRm4IgG、競争するLLmIgG、またはバッファーが単独で存在する状態で、異なるscFv断片を提示する酵母細胞を15nMのHAAHに結合させた。scFv断片を提示する細胞へのHAAHの結合を、上述のとおりFACSによって検出した。図32に示す結果は、IgG抗体はHAAHへ結合するために競争することができること、さらにIgG抗体およびscFv断片が同様のエピトープに結合することを示している。
【0116】
実施例9 変異性PCRによる抗HAAH scFv断片の第2世代親和性成熟
第2世代突然変異体C4m8およびC4m18を生成するため、CDR4m突然変異scFvに親和性成熟を実施した。上述のように、ヌクレオチド類似体を使用して、CDR4mscFvを変異性PCRにエンコードするDNAを支配することにより、突然変異誘発を実施した。突然変異した核酸を酵母表面提示で最発現させ、上述のようにFACSを使用して結合のスクリーニングを行った。上述のように、結合剤をエンコードするDNAを単離し、再度突然変異を起こし、再発現させ、スクリーニングその他を4回行った。この過程から、改良型第2世代scFvクローンが単離された。
【0117】
上述のように、HAAHに結合するため、酵母に提示された改良型クローンC4m18scFv突然変異体の結合のアッセイを行った。この改良型突然変異体は、CDRm4上での結合および提示の両方において、約倍数に改良された(図33)。
【0118】
本発明の多くの実施形態を説明してきた。しかしながら、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であることを理解されたい。従って、以下の特許請求の範囲内にはその他の実施形態も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、酵母表面提示技術を用いてスクリーニングおよび結合試験を実施するために酵母細胞上に提示された融合蛋白質を描写した概略図である。検出のために採用されうる様々なエピトープタグおよび抗原も描写されている。本明細書に記載の実験に使用される蛍光性抗原は、図のように、完全長または触媒ドメインのみに対応する組み替えHAAH蛋白であった。
【図2】図2は、酵母細胞に発現した3つの独自のscFvクローンを蛍光性HAAHでインキュベートした実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。
【図3】図3は、酵母細胞に発現した8つの独自のscFvクローンを、触媒ドメインを含む蛍光的に標識されたHAAHの断片でインキュベートした実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。
【図4】図4は、2つの抗HAAHscFv抗体クローンの親和性測定を描写した一連のグラフである。
【図5】図5は、酵母細胞に発現した1つのscFvクローンを、蛍光的に標識されたHAAHの触媒ドメインまたは共役完全長HAAHでインキュベートした実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。前記共役完全長HAAH蛋白は、図のように、FB50IgGまたは15C7IgGを用いて検出した。
【図6】図6は、6つの独自クローンの可溶性scFv断片がHAAHの触媒ドメインに結合するのを描写した棒グラフである。
【図7】図7は、6つの独自のクローンの可溶性scFv断片が完全長HAAHに結合するのを描写した棒グラフである。
【図8】図8は、3つの独自のクローンのscFv断片がH640腫瘍細胞に結合した実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。
【図9】図9は、5つの独自のクローンのscFV断片の存在、15C7(マウスIgG)、および抗体の不在(第1の棒)における運動性H460腫瘍細胞のパーセンテージを描写した棒グラフである。
【図10】図10は、クローン11から派生した親和性成熟したscFv断片がHAAHの触媒ドメインに結合した実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写したグラフである。
【図11】図11は、親和性成熟したクローン11scFv断片のアミノ酸配列の描写である。クローン11に関連して変化したアミノ酸残基は、太字体および下線で示す。
【図12】図12は、原型クローン11scFv断片、変異体クローン11scFv断片の第1ラウンド、および変異体の第1ラウンドから派生したクローンを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図13】図13は、変異体クローン11scFv断片を分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図14】図14は、クローン13から派生した親和性成熟したscFv断片がHAAHの触媒ドメインに結合したにおいて、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。
【図15】図15は、親和性成熟したクローン13scFv断片13mlのアミノ酸配列の描写である。クローン13に関連して変化したアミノ酸残基は、太字体および下線で示す。
【図16】図16は、原型クローン13scFv断片、変異体クローン13scFv断片の第1ラウンド、および変異体クローン13の第2ラウンドから派生したクローンを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図17】図17は、鎖シャッフリングのための制限酵素部位を持つDNAプラスミドの概略描写である。
【図18】図18Aは、野生型クローンおよび鎖シャッフリングにより前記野生型クローンから生成された5つのクローンにおけるVHおよびVL領域を記載したチャート図である。図18Bは、鎖シャッフリングにより野生型クローンから派生した変異体クローンプールを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図19】図19は、鎖シャッフリングにより生み出されたクローンを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである(図19A、クローンLLm1;図19B、クローンLLm3;図19C、クローンLLm5;図19D、クローンLLm6;図19E、クローンLLm7;図19F、クローンLLm8;図19G、クローンLLm9;図19H、クローンLLm11;図19I、クローンLLml4;図19J、クローンLLml5(3);図19K、クローンLLm20(8))。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図20】図20は、野生型scFvクローンおよび鎖シャッフリングにより派生した11のクローンのCDR1、CDR2およびCDR3領域のアミノ酸配列の描写である。
【図21】図21は、野生型クローン11scFvをエンコードする受容体DNAプラスミドおよびCDRシャッフリングのためプラスミドと再結合されるヒトライブラリー挿入配列の概略描写である。
【図22】図22A乃至Dは、鎖シャッフリングにより生み出されたクローンを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである(図22A、CM1;図22B、CM2;図22C、CM3;図22D、CM4)。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図23】図23は、野生型scFvクローンおよびCDRシャッフリングにより派生した4つのクローンのCDR1、CDR2およびCDR3領域のアミノ酸配列の描写である。
【図24】図24は、選択された抗HAAHscFv断片対抗HAAH結合活性濃度を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。
【図25】図25は、scFv断片の完全長IgG抗体への変換を描写した概略図である。
【図26】図26A乃至Bは、野生型抗HAAH IgG抗体のHAAHへの結合を、ELISAにより決定されたとおりに描写したグラフである。各抗体に使用される濃度は、グラフの下に示す。
【図27】図27は、抗HAAH IgG抗体のH460腫瘍細胞への結合を、FACSにより決定されたとおりに描写したグラフである。抗体の濃度は、グラフに示す。
【図28】図28は、選択された抗HAAH IgG変異体抗体のH460腫瘍細胞への結合を、FACSにより決定されたとおりに描写したグラフである。使用した抗体の濃度は、グラフに示す。
【図29】図29Aは、6‐22IgG抗体とH460細胞への結合の濃度比較を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。図29Bは、6‐22IgG抗体とFOCUS細胞への結合の濃度比較を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。
【図30】図30Aは、CDRm4IgG抗体とH460細胞への結合の濃度比較を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。図30Bは、CDRm4IgG抗体とFOCUS細胞への結合の濃度比較を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。
【図31】図31は、scFv6‐22の、6‐22IgG抗体との競争の存在または不在においてH460細胞への結合を描写したグラフである。
【図32】図32Aは、HAAHの、CDRm4IgG抗体による競争の存在または不在において異なるscFv断片を発現する酵母への結合を描写したグラフである。図32Bは、HAAHの、LLm11IgG抗体による競争の存在または不在において異なるscFv断片を発現する酵母への結合を描写したグラフである。
【図33】図33Aは、HAAHの、scFv CDR4mおよび第2世代変異体scFvC4m8を提示する酵母への結合を描写したグラフである。解離定数は、グラフに示す。図33Bは、酵母上における第1および第2世代scFv異性体の提示レベルを描写したグラフである。
【図34】図34は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形として使用されうる、またはそれに含まれうるアミノ酸配列を含む表である。
【図35】図35は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形として使用されうる、またはそれに含まれうるアミノ酸配列を含む表である(例えば、親和性成熟した抗HAAH、突然変異抗体領域)。
【図36】図36は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形として使用されうる、またはそれに含まれうるアミノ酸配列を含む表である(例えば、抗HAAHscFv抗体)。
【図37】図37は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形に含まれうるアミノ酸配列(抗AAH抗体CDR)を含む表である。
【図38】図38は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形に含まれうるアミノ酸配列(親和性成熟した突然変異抗HAAH抗体CDR)を含む表である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年4月19日出願の米国出願番号60/563,514および2003年11月14日出願の米国出願番号60/520,114の利点を請求するものである。両先行出願の内容は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府の資金による研究に関する記述
本明細書に記載の研究は、部分的に、国立化学財団からの助成金(認可番号9843342)により資金を提供されたものである。従って、米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本発明は、アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼを認識する抗体ならびに、例えばアスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼを検出および/またはその活性を調節するための、これらの抗体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景技術
アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ(AAH)は、細胞外基質蛋白、低密度リポ蛋白(LDL)受容体、ノッチ相同体およびノッチリガンド相同体を含む多数の蛋白質の上皮成長因子様ドメインにおいて、特定のアスパラギン酸塩およびアスパラギン残基のβ炭素の翻訳後ヒドロキシル化に対し触媒作用を及ぼす(Jia等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA91(15):7227‐7231、1994年;Jia等、J.Biol.Chem.267(20):14322‐14327、1992年;Gronke等、ProcNatlAcadSciUSA86(10):3609‐13、1989年)。この膜貫通酵素は、プロリルおよびリシルヒドロキシラーゼのα‐ケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼ族の一部である。ヒトAAH(HAAH)の過剰発現は、肝細胞癌、胆管癌、および神経外胚葉性腫瘍を含む多くのヒト癌において検出されている(Lavaissiere等、J.Clin.Investig.98:1313‐1323、1996年;Sepe等、Lab.Invetsig.82(7):81‐891、2002年)。AAHが多くの腫瘍において過剰発現すること、および強制発現が細胞運動および生存を向上させることの発見は、AAHが生体内における悪性の形質転換を助長しうることを示している(Sepe等、Lab.Investig.82(7):881‐891、2002年)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明は、部分的に、当方によるアスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ(AAH)を結合するヒト一本鎖抗体の発見に基づく。従って、本発明は、完全な多量体抗体(Gクラスのヒト四量体抗体(IgG))、および特異的にAAH蛋白を結合する断片またはその他の変異形を含む抗体を特色とする。これらの断片および変異体は、一本鎖抗AAH抗体、多重(例えば、四重)AAH抗体の断片または部分、および特異的にAAH蛋白を結合するその他の変異形を含む。抗AAH抗体もしくはその断片または変異形のいずれかは、例えば親和性成熟過程によって突然変異した可能性がある。
【0006】
本発明の組成物は、抗AAH抗体(例えば、ヒト単クローン抗体)、その断片またはその他の変異形、それらを含む薬剤組成物、およびそれらを含むキットを含む。抗体、その断片またはその他の変異形は、1つ以上のAAH生物活性(例えば、適合する基質のヒドロキシル化であり、生体内、細胞または組織培養、もしくは生体外において、自然的にまたは非自然的に発生したもの)および/またはAAHに仲介される1つ以上の細胞的事象(例えば、細胞成長または増殖、もしくは細胞運動性)を抑制する可能性があるが、必ずしもこの限りではない。望ましくない細胞増殖および運動性は、AAHが過剰に活動しているか過剰発現している病態(例えば癌等)に関連して発生するため、本発明の組成物は、そのような症状を有する患者を識別、その予後を評価、および/またはそのような症状(例えば、癌またはAAH発現または活性の上昇に関連するその他の疾患)を有するか、発症するリスクが高い患者を治療するために使用することができる。
【0007】
より具体的には、本発明は治療に適している患者(例えば、AAHが過剰に活動または過剰発現した細胞を有する患者)を識別する方法および効果的な量の抗AAH抗体(もしくはその断片またはその他の変異形)を患者(例えば、特異的にHAAHを結合するヒト単クローン抗体またはヒト一本鎖抗体(scFv))に投与することによってそのような患者を治療する治療法または予防法を特色とする。本発明の抗体を発現するのに使用できる核酸、それらの核酸を含む病毒媒介体、それらの核酸または病毒媒介体を含む細胞、抗AAH抗体および/またはその断片またはその他の変異形を含む医薬的に許容可能な組成物を製剤する方法、抗AAH抗体(例えば、抗HAAH抗体)および/またはその断片またはその他の変異形の特性を識別および/または評価する方法、ならびに抗AAH抗体(例えば、ヒト抗HAAH抗体)および/またはその断片またはその他の変異形の特性を親和性成熟する方法も提供される。
【0008】
読みやすくするため、すべての「抗体」の後にくる「および/またはその断片またはその他の変異形」という句を反復しない。抗AAH抗体が使用できるところであれば、特異的にAAH蛋白を任意の有用な程度まで結合するその断片またはその他の変異形も使用できることを理解されたい。AAHを「AAH蛋白」と称する場合がある。明らかに逆の意味で解釈されるべき場合を除いて、「蛋白」「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は同義的に2つ以上のアミノ残基の鎖を意味する。同様に、抗AAH抗体をエンコードする核酸が使用できるところであれば、抗AAH抗体の機能的断片またはその他の変異形をエンコードする核酸が使用でき、抗AAH抗体を備える細胞が使用できるところであれば、抗AAH抗体の機能的断片またはその他の変異形を備える細胞を使用できる、等がいえる。抗AAH抗体の断片は、断片が特異的にAAH抗原を結合する抗AAH抗体の一部である場合があるため、抗AAH抗体の「抗原結合部分」とも称されてよい。断片および異性体についてはさらに以下で説明するが、それらはscFvに加えてFab、Fab´およびF(ab´)2断片も含む(例えば、特異的にHAAHを結合するヒトscFv)ことをここで留意されたい。
【0009】
抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の異性体は、図34乃至38の表中のアミノ酸配列からなる、またはそれを含むことができる。あるいは、抗AAH抗体は、図34乃至38の表中のアミノ酸配列に対するある程度の同一性を提示する配列からなる、またはそれを含むことができる。例えば、前記抗体は、図34および35に示されるVH配列の1つと少なくとも80%同一(例えば、85%、90%、95%、98%または100%同一)の重鎖の可変領域(VH)を含むことができる。あるいは、前記抗体は、図36に示されるscFvの1つと少なくとも80%同一(例えば、85%、90%、95%、98%または100%同一)のscFvであってよい。あるいは、前記抗体もしくはその断片またはその他の変異形は、図37および38に示されるCDRと少なくとも40%同一(例えば、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、または98%同一)の相補性決定領域(CDR)を含んでよい。その他の断片および変異形については以下でさらに説明する。
【0010】
前記抗体は、アミノ酸配列Ser−Gln−Ser/Asn−Val−Ser−Ser/His−(Xaa)−Tyr/His−Leu−Ala(配列ID番号:320)を含む(または、それからなる)第1のCDR、アミノ酸配列Asp−Val−Ala−Asn−Xaa−Ala−Ala(配列ID番号:321)を含む(または、それからなる)第2のCDR、およびアミノ酸配列Gln−Gln−Arg−Ser−Gln−Trp−Pro−Gln(配列ID番号:322)を含む(または、それからなる)第3のCDRを含む可変軽鎖(VLまたはVLC)を含むことができる。特に指示がない場合、これらの配列および以下の配列において「Xaa」は任意のアミノ酸残基、またはアミノ酸残基がないことを示す。あるいは、または追加で、前記抗体は、アミノ酸配列Tyr/His−Ala−Met−His/Gly(配列ID番号:323)を含む(または、それからなる)第1のCDRおよびアミノ酸配列Tyr−Ala−Xaa−Ser−Val−Lys−Gly/Ser(配列ID番号:324)を含む(または、それからなる)第2のCDRを含むVHCを含むことができる。別の実施形態において、前記抗体は、アミノ酸配列Ser−Gly−Ser−Ser−Ser−Asn−Ile−Gly/Glu−Ser−Asn−His/Tyr−Val−His/Tyr(配列ID番号:325)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第1のCDR)を含むVLCを含むことができる。あるいは、または追加で、前記抗体は、アミノ酸配列Ser/Gly−Asp/Asn−Ser/Gly−Ala−Ala−Trp−Ser/Asn(配列ID番号:326)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第1のCDR)およびアミノ酸配列Arg−Ile/Thr−Tyr/His−Tyr/His−Gly/Arg−Xaa−Lys/Arg−Trp/Arg−Tyr/Arg−Asn−Asp/Gly−Tyr/His−Ala−Val/Ala−Pro/Ser−Val/Ala−Lys−Ser(配列ID番号:327)を含む(または、それからなる)第2のCDRを含むVHCを含むことができる。その他の実施形態において、前記抗体は、アミノ酸配列Asp−Val−Xaa−Xaa−Arg−Pro−Ser(配列ID番号:328)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第2のCDR)を含むVLCを含むことができる。あるいは、前記抗体は、アミノ酸配列Leu−Phe/Leu−Ile/Val−His/Tyr−Lys/Arg−Xaa−Asn−Gln−Arg−Pro−Ser(配列ID番号:329)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第2のCDR)および、任意で、アミノ酸配列Ala−Trp−Asp−Asp−Ser(配列ID番号:330)を含む(または、それからなる)CDR(例えば、第3のCDR)を含むことができる。例えば、第3のCDRは配列Ala−Ala−Trp−Asp−Asp−Ser−Leu−Arg−Gly−Tyr−Val(配列ID番号:51)からなることができる。前記抗体は、アミノ酸配列Ser−Ser−Ser−Trp−Val−Val−Xaa−Phe−Asp/Gly(配列ID番号:331)を含む(例えば、Thr−Gly−Tyr−Ser−Ser−Ser−Trp−Val−Val−Asn−Phe−Asp−Tyr(配列ID番号:96))(または、それからなる)CDR(例えば、第3のCDR)を含むVHCも含むことができる。
【0011】
本発明の抗体はいずれも、その配列にかかわらず、単クローン性(例えば、単一特異性)または多クローン性の抗体であってよく、前記抗体のいずれもヒトあるいはヒト化抗体であってよく、前記抗体のいずれも親和性成熟されてよく、前記抗体のいずれも単離(例えば、それらが生み出される動物または細胞からある程度精製)されてよい。ヒト抗体は、生殖系免疫グロブリン配列が提供する可変領域および定常領域を有する抗体を含む。そのような抗体は、ヒト免疫グロブリン重鎖のすべてまたは一部、および、ヒト免疫グロブリン軽鎖のすべてまたは一部を有してよい。本発明の抗体(ヒトまたは非ヒト)が自然発生的な配列を含まなくてはならないというわけではない。本発明の抗体は、ヒト免疫グロブリン核酸配列によってエンコードされていないアミノ酸残基(例えば、生体外における無作為または部位特異的な突然変異誘発により導入された突然変異体)を含んでよい。突然変異または親和性成熟した抗体については以下でさらに説明する。
【0012】
抗体は、AAHを特定の様式で結合するものに限定されないが、前記抗体はAAHの触媒ドメイン(例えば、HAAHの触媒ドメイン)を結合してよく、触媒ドメインの立体構造を修正する、またはそうでなければその活性を低くさせるような方法でAAHを結合してよい。結合したAAH抗原の活性がどの程度抑制されるかは可変である。本発明の範囲内の有用な抗体(もしくはその断片またはその他の変異形)は、AAHの活性(例えば、HAAHの触媒活性)を、患者への投与時に臨床的に有益な程度まで、または生体外アッセイにおいて有用である程度まで抑制するものを含む。例えば、前記抗体は、AAHまたはHAAHの酵素活性を約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(例えば、約95%、98%、または99%)を超えて抑制することができる。抑制は、対照または基準試料、もしくは標準と比較して評価されることができる。あるいは、抗AAH抗体は、AAH蛋白の活性を抑制することなく、特異的にAAH蛋白を結合することができる。そのような抗体は、AAHの検出において有用であり、AAHが過剰発現している細胞を有する患者を識別するために使用することができる。識別過程は、例えば、AAHの生物活性(例えば、触媒活性)を抑制する抗AAH抗体を患者に投与する前に行うことができる。
【0013】
本発明の抗体は、さらにその細胞培養における腫瘍細胞成長または腫瘍細胞増殖を抑制および/または生体内における腫瘍細胞成長または転移を抑制する能力の観点において特徴付けられる、または評価されることができる。親和性も測定することができる。例えば、本発明の抗体は、約1μM以下のAAA蛋白(例えば、HAAH)に対する親和性を有することができる。本発明の抗体は、他の抗体との競争を評価されることもできる。例えば、本発明の抗体(ヒトまたはヒト化抗体)は、抗AAHマウス抗体(例えば、単クローン性抗体FB50または単クローン性抗体15C7)とマウス抗体により結合されたエピトープを結合するために競争してよい。FB50および15C7は、本発明の範囲から明白に除外される。本発明の抗体は、そのクローン11抗体(本明細書に記載(図34を参照))とクローン11抗体により結合されたエピトープを結合するために競争する能力を評価されることもできる。クローン11抗体と効果的に競争する抗体は、本発明の範囲内である。
【0014】
前述の観点から、抗体の(1)有用な親和性(例えば、少なくとも1x106M−1)を持つAAHに結合する、または(2)非特異性抗原に対する親和性より大きい(少なくとも2倍大きい)親和性を持つAAHに結合する、または(3)臨床的に望ましい結果(例えば、治療の必要がある対象(例えば、癌またはその他の望ましくない細胞増殖を有する対象)の徴候または症候における改善)を生み出すのに十分な親和性を持つAAHに結合する能力を意味する「特異結合」または「特異的に結合する」という用語を使用する場合がある。
【0015】
前記抗体は、1つ以上のFcドメイン(例えば、ガンマアイソタイプ(例えば、IgG1)のFcドメイン)を含むことができる。「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってエンコードされる抗体クラス(例えば、IgM、IgA、IgE、IgD、またはIgG1)を意味する従来の意味において使用する。本発明の抗体は、任意のアイソタイプであってよい。あるいは、または追加で、前記抗体は、標識(例えば、マーカーまたはレポーターとしての役割を果たす、もしくは付着している抗体配列の精製を促進するポリペプチド)を含むことができる。適合する標識は、FLAGタグ、ヒスチジンタグ、または酵素的に活性または蛍光性の蛋白を含む。あるいは、または追加で、前記抗体は毒素を含むことができる。
【0016】
その他の側面において、本発明は、本発明の抗体(例えば、抗AAHscFv)をエンコードする配列を含む単離された核酸分子、本発明の抗体をエンコードする核酸配列を含む発現ベクター(例えば、プラスミド)、およびそれらの核酸分子または発現ベクター(酵母または哺乳類の細胞のような原核細胞または真核細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または腫瘍細胞(例えば、骨髄腫細胞)))のうち1種類以上を含む宿主細胞を特色とする。抗AAHscFvは、多重結合の抗AAH抗体(例えば、IgG)へ容易に変換されることができる。より具体的には、本発明は、細胞表面において発現される(例えば、酵母細胞に表示される)抗体を特色とする。組み替え手段により調製された抗体(例えば、宿主細胞をトランスフェクションした組み換え発現ベクターを使用して発現される抗体、組み換え型から単離された抗体、組み合わせの抗体ライブラリー、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニック動物(例えば、マウス)から単離された抗体、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列のその他のDNA配列へのスプライシングを伴うその他任意の手段により調製された抗体)を意味する「組み換え型」という用語を使用することがある。組み換え抗体は、ヒト化またはCDR移植抗体、キメラ抗体、および生体外において(例えば、ファージ提示法によって)生成された抗体を含む。前記抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列から派生した定常領域を含んでよい。
【0017】
本発明は、上記に掲載された1つ以上の組成物を含むキットおよび使用説明書(印刷物、音声、視覚等、その形状を問わず)も特色とする。例えば、本発明のキットは、抗AAH抗体を(凍結乾燥または濃縮された形状で、または使用に適した濃度(例えば、診断分析または患者への投与の実施に適した濃度)の生理学的に許容可能な希釈液に懸濁されて)含むことができる。前記キットは、本明細書に記載のように、核酸、ベクター、および/または宿主細胞も含むことができる。任意で、本明細書のキットのいずれかは、抗AAH抗体を投与するための道具(例えば、針、注射器、アルコール綿、および包帯)、またはそれを診断分析に使用するための道具(例えば、対照として有用な試薬)を含むことができる。
【0018】
本発明の方法は、細胞内におけるAAH発現を評価する方法を含む。前記細胞はヒトまたは非ヒト細胞および/またはAAHが過剰に活動または過剰発現している細胞であってよく、前記細胞は生体内の細胞または組織培養内に維持されたものであってよく、前記細胞は癌性(例えば、腫瘍細胞)であってよく、前記細胞はほぼすべての組織タイプ(例えば、肺、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、卵巣、胆管、脳、または乳房の細胞)から得られる。前記細胞は、無傷であってもなくてもよい(例えば、前記細胞から生成された蛋白のように、組織ホモジネートが使用できる)。前記方法は、抗AAH抗体(本明細書に記載のもののいずれかが使用されうる)を提供するステップと、前記抗体に前記細胞により発現したAAHを結合させるのに一時的に十分な条件下において、前記抗体を用いて前記細胞(もしくは組織ホモジネートまたは前記細胞から生成された蛋白)に接触するステップと、前記抗体またはその抗原接続部位を(例えば、ウエスタンブロット分析、免疫組織化学、またはその他の抗体に基づいた検出方法によって)検出するステップと、を含むことができる。前記検出ステップは、AAH発現の定性的または定量的評価を提供してよく、その結果を対照試料から得られたもの、または基準試料や標準と比較してよい。そのような方法は、特異的にAAHを結合するがAAHの活性には影響を及ぼさない抗体を用いて効果的に実行されうる。前記方法は、本発明のAAH抑制性抗体を用いて治療する必要がある患者を診断するための取り組みの一部として実施されてよい。
【0019】
本発明の方法は、細胞内におけるAAH蛋白の活性を調節(例えば、抑制)する方法も含む。上述の評価方法と同様に、前記細胞はヒトまたは非ヒト細胞および/またはAAHが過剰に活動または過剰発現している細胞であってよく、前記細胞は生体内の細胞または組織培養内に維持されたものであってよく、前記細胞は癌性(例えば、腫瘍細胞)であってよく、前記細胞はほぼすべての組織タイプ(例えば、肺、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、卵巣、胆管、脳、または乳房の細胞)から得られる。前記方法は、細胞を提供するステップと、前記細胞内におけるAAH活性を調節(例えば、抑制)するのに十分な条件下において、当該細胞を一時的に本明細書に記載の抗体(または断片またはその他の変異形)にさらすステップを含んでよい。細胞が生体内において抗AAH抗体にさらされる場合、前記方法は、疾患(例えば、癌またはその他の望ましくない細胞増殖)を有する患者、またはそのような疾患を発症するリスクが高い患者(例えば、AAHが過剰に活動または過剰発現しているがまだ検出可能な腫瘍もその他の癌の徴候も有していない患者)を治療する方法として記載できる。前記方法は、本明細書に記載の抗体(もしくはその断片またはその他の変異形)を、抗体が患者の体内において癌性細胞の増殖または転移を抑制するのに十分な量と時間で、患者に投与するステップを含むことができる。治療方法は以下でさらに説明するが、抗AAH抗体を含む組成物は局所的に(例えば、腫瘍の部位または腫瘍が外科的に除去された後に残留している組織へ)または全身的に(例えば、静脈注射によって)投与されることができることに留意されたい。患者は単一タイプの抗AAH抗体または抗体の組み合わせを受け取り、抗体は第2の薬剤(例えば、化学療法薬、鎮痛剤、または制吐剤)と組み合わせて投与されることができる。
【0020】
治療に関連する用語は、患者または患者から提供される細胞に対する本発明の組成物の適用または投与を意味する。前記組成物は、抗AAH抗体、同一物をエンコードする核酸分子もしくは発現ベクター、または同一物を発現する宿主細胞であってよい(いずれも生理学的に許容可能な希釈液を配合される)。前記組成物は、生体外で対象から、好ましくは治療が必要な患者から単離された(例えば、除去された)細胞に投与されてよい。治療終了時、前記細胞は患者に戻されてよい。さらに、前記治療方法は予防法であってよい。例えば、それらの方法は癌を発症するリスクの高い患者(十分に確立したリスクの指標(例えば、PSAおよび上述のとおりAAH自体のような癌関連抗原の濃度)がある)に適用されてよい。前記治療は、前記患者を治すまたは治癒するものであってよいが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の方法は、癌の徴候または症候もしくは患者の癌に対する素因を緩和し、軽減し、修正し、改善し、和らげ、または改良することができる。
【0021】
抗AAH抗体の「治療効果のある量」は、疾患(例えば癌、例えば腫瘍またはその他の新生物もしくは異形成症候群)の徴候または症候を治療するのに効果的な抗AAH抗体の量である。抗AAH抗体の「予防効果のある量」は、発病の発生または疾病(例えば癌)の再発を遅らせるのに、もしくはその徴候または症候の重篤性を低減するのに効果的な抗AAH抗体の量である。
【0022】
治療に適した患者については以下でさらに説明するが、ここで前記患者は過剰に活動するまたは過剰発現したAAHに関連する任意の増殖性疾患を有する可能性があることに留意されたい。例えば、前記患者は、AAH陽性細胞を含む肺、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、卵巣、胆管、脳、または乳房内に腫瘍を有することがある。
【0023】
別の側面において、本発明は、AAHに特異的に結合する抗体を識別する方法を特色とする。前記方法は、例えば、(a)抗体(例えば、ヒト抗体であり、scFvであってよい)のライブラリーを提供するステップと、(b)前記抗体にポリペプチドを結合させる条件下において、前記ライブラリーの一部をAAH蛋白またはその断片と接触させるステップと、(c)AAH蛋白(またはAAH断片)に結合する抗体を選択するステップと、を含むことができる。前記方法は、前記選択された抗体を親和性成熟させるステップをさらに含むことができる。成熟は、例えば、変異性PCRのような方法、抗体をエンコードする核酸が、例えばCDRシャッフリングまたは鎖シャッフリング技術を使用して、ライブラリーの核酸方法による組み換えを受ける方法によって実現されうる。本発明は、AAHに特異的に結合するヒト単クローン性抗体を作成する方法も特色とする。前記方法は、AAH蛋白に特異的に結合する抗体を認識するステップと、細胞内において前記抗体をエンコードする核酸配列を発現するステップと、前記発現した抗体を前記細胞から単離するステップと、を含むことができる。これらの方法を産生方法と称することができ、これらの方法で作成された抗AAH抗体は本発明の範囲内である。
【0024】
本発明の抗体は、様々な理由で好都合でありうる。例えば、完全長に満たない抗体が使用される場合、抗体断片または変異体はより容易に腫瘍へ侵入できる。ヒトまたはヒト化抗体がヒト患者に投与される場合、非ヒト蛋白により誘発される可能性と同じくらい、それらが望ましくない免疫応答を刺激する可能性は低い。HAAH発現はきわめて低く、非癌性組織内で検出できないため、本発明の抗体がその他の望ましくない副作用を生成する可能性も低く、HAAHを対象とする抗体は、非癌性組織に対する特異性の低い治療よりも毒性が低くてよい。当方の知る限りにおいて、当方はHAAHに結合する最初のヒト抗体を有する。
【0025】
本明細書で述べたすべての公告、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照することによりその全体が組み込まれる。本発明のその他の特色および利点は、以下の詳しい説明および特許請求の範囲より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
詳細な説明
アスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ(AAH)は、細胞外基質蛋白、低密度リポ蛋白(LDL)受容体、ノッチ相同体およびノッチリガンド相同体を含む上皮成長因子のような各蛋白ドメインにおいて、特定のアスパラギン酸塩およびアスパラギン残基のβ炭素の翻訳後ヒドロキシル化に対し触媒作用を及ぼす(Jia等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA91(15):7227‐7231、1994年;Jia等、J.Biol.Chem.267(20):14322‐14327、1992年;Gronke等、ProcNatlAcadSciUSA86(10):3609‐13、1989年)、高度に保存されたアルファケトグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼである。ヒトAAH(HAAH)の過剰発現は、肝細胞癌、胆管癌、および神経外胚葉性腫瘍を含む多くのヒト癌において検出されている(Lavaissiere等、J.Clin.Investig.98:1313‐1323、1996年;Sepe等、Lab.Invetsig.82(7):81‐891、2002年)。AAHが多くの腫瘍において過剰発現すること、および強制発現が細胞運動および生存を向上させることの発見は、AAHが生体内における悪性の形質転換を助長しうることを示している(Sepe等、Lab.Investig.82(7):881‐891、2002年)。癌の診断または治療へのHAAH使用に関する発明が記載されている(Radosevich、米国特許番号6,166,176;Radosevich、米国特許番号6,727,080;Wands等、米国特許番号6,783,758;Wands等、米国特許番号6,797,696;Wands等、米国特許番号6,812,206;Wands等、米国特許番号6,815,415)。
【0027】
本発明は、抗体およびそのAAHまたはAAHの一部に対する結合特異性を有する抗原結合部分に関する。特に、本発明は、特異的にAAHに結合するヒト単クローン性抗体に関する。一実施形態において、抗体またはその結合部分はヒトAAH(HAAH)に対する特異性を有する。AAHを特徴付ける1つ以上の機能を抑制する抗体は、その機能が酵素活性(例えば、水酸化酵素活性)であっても細胞の段階で現れる機能(例えば、腫瘍細胞の促進運動)であっても、本発明の範囲内である。従って、例えば、抗AAH抗体は、腫瘍細胞の運動性を抑制するものであってよい。あるいは、または追加で、本発明の抗体は、EGF様ドメインを含む蛋白(例えば、細胞外基質蛋白)等の天然リガンドとのAAHの相互作用を抑制(低減または阻止)してよい。AAHを対象とするヒト単クローン性抗体(例えば、特異的に結合する抗体)は、ヒドロキシル化による基質活性の変調を含む、AAHにより仲介された機能を抑制できる。好ましくは、抗体およびその抗原結合部分は、AAHを1x106M−1より大きい親和性で結合することができる。
【0028】
HAAHアミノ酸配列は、ジンバンク(登録商標)のアクセッション番号I38423(GI:7433245)の項目に記載されている。当業者の1人が容易にジンバンク(登録商標)またはその他の資料から配列を検索することができる。HAAHの膜貫通ドメインは、ジンバンク(登録商標)配列のアミノ酸341乃至374の間にあるよう指定されている。分子の細胞外(または内腔)部分は、C末端に対応する。抗AAH抗体は、完全長であってもなくても、AAHまたはその蛋白の断片と相互に作用(例えば、結合)する(例えば、抗HAAH抗体はHAAHに結合する)。抗体はAAHのエピトープ(例えば、立体構造または直線状エピトープ)または完全長AAH蛋白の断片と結合してよい。立体構造エピトープは、一般的に変性溶剤にさらされると失われる。
【0029】
抗体:本発明の抗体は、様々な構成をとることができる。例えば、抗体は四量体(例えば、2本の重鎖および2本の軽鎖を有する抗体)または一本鎖抗体であってよい。従って、本発明の抗体は、1本または2本の重(H)鎖可変領域および1本または2本の軽鎖可変領域を有する蛋白を含む。VHCおよびVLC領域は、さらに、「相補性決定領域」(CDR)と呼ばれる超過変性領域に細分され、「骨格領域」(FR)と呼ばれるより保存された領域が組み入れられることができる。FRおよびCDRの範囲は定義されている(Kabat,E.A.等、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、国立衛星研究所出版番号91−3242、1991年、および、Chothia等、J.Mol.Biol.196:901−917、1987年、を参照。これらは参照することにより本明細書に組み込まれる)。本発明の抗体が1つ以上のVHCおよび/または1つ以上のVLCを含む場合、各VHCおよびVLCは3つのCDRおよび4つのFRからなることができ、アミノ末端からカルボキシル末端まで、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順で配置されることができる。
【0030】
本発明の抗体のVHCまたはVLC鎖は、重鎖または軽鎖定常領域のすべてまたは一部をさらに含むことができる。一実施形態において、抗体は2本の免疫グロブリン重鎖および2本の免疫グロブリン軽鎖の四量体であり、ここで免疫グロブリン重鎖および軽鎖は、例えばジスルフィド結合によって相互接続している。重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3という3つのドメインを含む。軽鎖定常領域は、CLという1つのドメインからなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互に作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、一般的に、免疫システムの様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および典型的な補体系の第1成分(Clq)を含む宿主組織または因子への抗体の結合を仲介する。「抗体」という用語は、IgA、IgG、IgE、IgD、IgMタイプの無傷免疫グロブリン(そのサブタイプ(例えば、IgGI、IgG2、IgG3、およびIgG4)も同様)を含み、ここで免疫グロブリンの軽鎖はカッパまたはラムダのタイプであってよい。
【0031】
抗体は、「免疫グロブリン」と称されてもよい(実質的に免疫グロブリン遺伝子によりエンコードされる1つ以上のポリペプチドからなる蛋白、本発明の抗AAH抗体は、抗AAH免疫グロブリンと称されてもよく、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子によりエンコードされた配列を含んでよい)。存在が認められているヒト免疫グロブリン遺伝子は、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子とともに、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、エプシロン、およびミュー定常領域遺伝子を含む。完全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25kDaおよび214アミノ酸)は、NH2末端(約110アミノ酸)の可変領域遺伝子およびCOOH末端のカッパまたはラムダ定常領域遺伝子によりエンコードされる。完全長免疫グロブリン重鎖(約50kDaおよび446アミノ酸)は、同様に可変領域遺伝子(約116アミノ酸)およびその他の上記定常領域の1つ、例えばガンマ(約330アミノ酸をエンコード)によりエンコードされる。
【0032】
本発明の抗体または免疫グロブリンは、ヒトまたは非ヒト資源のCDR(これについては本明細書にてさらに説明する)を含んでよい。免疫グロブリンの骨格は、例えばヒトにおいて抗原性を低下させるよう修正されたマウス骨格のような、ヒト、ヒト化、または非ヒト、または、例えば共通配列のような合成骨格であってよい。
【0033】
抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」または「部分」)という用語は、本明細書で使用される場合、特異的にAAH(例えば、HAAH)に結合する抗体の部分、例えば1つ以上の免疫グロブリン鎖が完全長でないが特異的にAAHに結合する分子を意味する。抗体の「断片(または抗原結合部分)またはその他の変異形内」に包含される結合部位の例は、(i)Fab断片、VLC、VHC、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片、(ii)F(ab’)2断片、ジスルフィド架橋によってヒンジ領域で結合した2つのFab断片を含む二価断片、(iii)VHCおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一腕部のVLCおよびVHCドメインからなるFv断片、(v)VHCドメインからなるdAb断片(Ward等、Nature341:544−546、1989年)、および(vi)特異的に結合するのに十分な骨格、例えば可変領域の抗原結合部分を有する単離された相補性決定領域(CDR)を含む。軽鎖可変領域の抗原結合部分および重鎖可変領域の抗原結合部分、例えばFv断片の2つのドメイン、VLCおよびVHCは、VLCおよびVHC領域が一価の分子を形成するために組み合わさっている単一蛋白鎖としてそれらを作成できるようにする合成リンカーにより、組み換え法を使用して接合されることができる(一本鎖Fv(scFv)として周知のものとしては、例えば、Bird等、Science242:423−426、1988年、および、Huston等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883、1988年を参照)。そのような一本鎖抗体は、抗体の「抗原結合部分」という用語内に包含されるよう意図されてもよい。これらの抗体部分は、当業者に周知の従来技術を使用して得られ、これらの部分は実用のため無傷の抗体と同じ様式でスクリーニングされる。Fab断片は、四量体抗体の分裂によって生じることができる。Fab’およびF(ab’)2断片は、ペプシンとの分裂により生成されることができる。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、骨格残基がヒト生殖系配列に対応し、CDRがV(D)J組み換えおよび体細胞変異により生じる任意の抗体を含む。しかしながら、ヒト抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン核酸配列においてエンコードされないアミノ酸残基(例えば、生体外における無作為または部位特異的な突然変異誘発により導入された突然変異体)も含んでよい。生体内におけるヒト可変遺伝子の体細胞変異は、骨格残基の特別変異を引き起こすことが実証されている(Nat.Immunol.2:537、2001年、を参照)。そのような抗体は、骨格突然変異にかかわりなく、その資源を考慮して、「ヒト」と称される場合がある。マウス抗体可変ドメインが骨格残基における体細胞変異を含むこともできる(Sem.Immunol8:159、1996年、を参照)。その結果、ヒトIg遺伝子座を含むトランスジェニックマウスは、平均4.5の骨格突然変異を保有するにもかかわらず、一般に「完全ヒト」と称される抗体を生み出す(この研究においては1乃至8の範囲:Nat Genet.1997年2月、15(2):146−56)。そのため一般に認められた語法では、生殖系配列に基づくが例えば生体内体細胞異変によって導入された骨格突然変異過程を保有する抗体可変ドメイン遺伝子は、「ヒト」と呼ばれる。従って、本発明は、特異的にAAH(例えば、HAAH、それらの抗体が突然変異体(例えば、FR内の突然変異体)を含んでいる場合でも)およびその断片またはその他の変異形を結合するヒト抗体(例えば、多量体ヒト抗体のVLCおよびVHCを含む一本鎖抗体)を包含する。例えば、本発明のヒト抗体は、1乃至8の骨格突然変異(例えば、約2、4、6、または8の置換、追加、または削除)を有することができる。原型ヒト抗体の配列はヒト生殖系配列であることが好ましい。
【0035】
HAAHに対して特異的なヒト一本鎖抗体は、本明細書で記載されているように生み出される。特定の実施形態において、本発明は、HAAHに対し特異性を有し、本明細書に記載の抗体により結合されたエピトープに結合する抗体(例えば、クローン11によりエンコードされた抗体または親和性成熟されたクローン11の派生物)を提供する。本明細書に記載の抗体により結合されたエピトープと重複するエピトープを結合する抗体は、HAAHと結合するためにEGF様ドメインと競争するその能力により識別されることができる(例えば、HAAH形質転換体のようなHAAHを運ぶ細胞、またはH460腫瘍細胞)。抗AAH抗体の結合部位は、HAAHの触媒ドメイン内にあってよい。
【0036】
抗AAH抗体は、多クローン性または単クローン性であってよい。本明細書に記載の抗体およびその抗原結合部分は、治療用組成物および処方計画、診断用組成物および処方計画、ならびにAAH蛋白を識別または抑制できる薬剤を必要とするアッセイにおいて有用である。本発明は、治療(予防を含む)または診断(例えば、癌など特定の疾病または症状の)において使用するための、抗体またはその抗原結合部分、ならびに、本明細書に記載されるような疾病および症状の治療に使用する薬品製造のための、そのような抗体またはその抗原結合部分の使用を包含する。
【0037】
異なる種から派生した部分を備えるキメラまたはCDR移植一本鎖抗体と同様に、一本鎖抗体、およびキメラヒト化またはCDR移植抗体も本発明によって、また「抗体」という用語によって包含される。これらの抗体の様々な部分は、従来技術により化学的に接合されるか、遺伝子操作技術を使用して連続したポリペプチドとして調製されることができる。例えば、キメラまたはヒト化鎖をエンコードする核酸は、連続するポリペプチドを生み出すために発現することができる。例えば、Cabilly等、米国特許番号4,816,567;Cabilly等、ヨーロッパ特許番号0,125,023B1;Boss等、米国特許番号4,816,397;Boss等、ヨーロッパ特許番号0,120,694B1;Neuberger,M.S.等、WO86/01533;Neuberger,M.S.等、ヨーロッパ特許番号0,194,276Bl;Winter、米国特許番号5,225,539;および、Winter、ヨーロッパ特許番号0,239,400Blを参照のこと。また、CDR移植抗体に関する、Newman等、Biotechnology10:1455−1460、1992年、および、Ladner等、米国特許番号4,946,778、ならびに、一本鎖抗体に関するBird,R.E.等、Science242:423−426、1988年、も参照のこと。
【0038】
また、キメラ、ヒト化、CDR移植、または一本鎖抗体の断片を含む抗体の抗原結合部分を生み出すこともでき、これは本発明の範囲内である。抗体の抗原結合部分は、それらが派生した完全長抗体の結合機能を少なくとも1つ保持する。好適な抗原結合部分は、完全長抗体に相当する抗原結合機能(例えば、AAHに対する特異性)を保持する。機能的断片は、AAHヒドロキシラーゼ活性のようなAAHを特徴付ける1つ以上の機能を抑制する完全長抗体の能力を保持することができる。例えば、機能的断片はEGF様ドメインのヒドロキシル化を抑制することができる。これらのEGF様ドメインは、凝固因子、細胞外基質蛋白、低密度リポ蛋白受容体、ノッチ相同体、またはノッチリガンド相同体のような多様な蛋白において反復配列を形成する保存モチーフを含む。今述べたものを含む任意のAAH基質は、抗AAH抗体を評価するアッセイにおいて使用できる。典型的なAAHアッセイ基質は、EGF−IX1H(Gronke等、Proc Natl Acad Sci USA86(10):3609−13、1989年)、EGF−X1H(Gronke等、J.Biol.Chem.265:8558−8565、1990年)、およびEGF−Asn(Gronke等、J.Biol.Chem.265:8558−8565、1990年;Wang等、J.Biol.Chem.266:14004−14010、1991年)を含む。
【0039】
例えば、AAHに結合できる抗体部分またはその断片は、Fv、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片を含む。そのような部分は、酵素的切断または組み換え技術により生み出されることができる。例えば、パパインまたはペプシン切断は、FabまたはF(ab’)2断片をそれぞれ生成することができる。抗体は、1つ以上の終止コドンが天然終止部位の上流へ導入された抗体遺伝子を使用して、様々な切断型で生み出すこともできる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をエンコードするキメラ遺伝子は、重鎖のCH1ドメインおよびヒンジ領域をエンコードするDNA配列を含むよう設計されることができる。
【0040】
本発明は、遺伝子操作技術を使用して連続したポリペプチドとして調製されうるキメラ抗体を提供する(例えば、キメラ抗体の蛋白部分をエンコードするDNAは連続するポリペプチド鎖を生み出すために発現できる)。本発明のキメラ抗体の一例は、CDR(例えば、本明細書に記載されている抗体のCDRのうち1つ以上)を備える1つ以上の抗体鎖を含む抗体および第2の抗体の軽鎖および/重鎖から派生した骨格領域である(例えば、ヒト由来のもの、例えば骨格変化の有無を問わずCDR移植抗体)。一実施形態において、キメラ抗体は、HAAHに結合するためにマウス15C7またはFB50単クローン性抗体と競争することができる。キメラ抗体の抗原結合領域は、本明細書に記載の抗体クローン(例えば、クローン11、またはクローン11の突然変異体、例えば、クローン11軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびにクローン11重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3を備えるキメラ抗体におけるもの等)から派生することができる。キメラまたはCDR移植一本鎖抗体は、ヒト化免疫グロブリンも含む。例えば、Cabilly等、米国特許番号4,816,567;Cabilly等、ヨーロッパ特許番号0,125,023B1;Queen等、ヨーロッパ特許番号0,451,216B1;Boss等、米国特許番号4,816,397;Boss等、ヨーロッパ特許番号0,120,694B1;Neuberger等、WO86/01533;Neuberger,M.S.等、ヨーロッパ特許番号0,194,276B1;Winter、米国特許番号5,225,539;Winter、ヨーロッパ特許番号0,239,400B1;Padlan,E.A.等、ヨーロッパ特許出願番号0,519,596Alを参照。また、一本鎖抗体については、Ladner等、米国特許番号4,946,778;Huston、米国特許番号5,476,786;およびBird等、Science242:423−426、1988年)も参照のこと。
【0041】
キメラ抗体は、望ましいキメラ鎖をエンコードする遺伝子(例えば、cDNA)を調整するため、合成および/または組み換え核酸を使用して生み出すことができる。例えば、可変領域をコードする核酸(例えば、DNA)配列は、抗体鎖をエンコードするDNA配列を修正するためのPCR突然変異誘発法、例えばヒト化抗体を生成するために採用される方法を使用して構築される(例えば、Kanunan等、Nucl.Acids Res.17:5404、1989年;Sato等、Cancer Research53:851−856、1993年;Daugherty等、Nucleic Acids Res.19(9):2471−2476、1991年;およびLewisとCrowe、Gene101:297−302、1991年、を参照のこと)。これらの、またはその他適合する方法を使用して、変異形も容易に産出できる。一実施形態において、クローン化可変領域は突然変異することがあり、望ましい特異性で変異形をエンコードする配列が選択されることができる(例えば、ファージライブラリーから、例えばKrebber等、米国特許番号5,514,548;Hoogenboom等、WO93/06213、1993年4月1日公告、を参照のこと))。
【0042】
AAH抗体を産生または単離するその他の適合する方法は、例えば、ヒト抗体の完全なレパートリーを生み出すことができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)の免疫に依存する方法を含む(例えば、Jakobovits等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:2551−2555、1993年;Jakobovits等、Nature362:255−258、1993年;Lonberg等、米国特許番号5,545,806;Surani等、米国特許番号5,545,807を参照のこと)。
【0043】
特異的にAAHに結合する抗体は、ライブラリーにおいて組み換え抗体を発現することおよびAAHを結合するライブラリーのメンバーを選択することによって識別できる。選択された抗体のAAHに対する親和性は、これらの抗体を、例えば本明細書に記載のとおり1サイクル以上のスクリーニングと併せてPCR突然変異誘発、鎖シャッフリング、またはCDRシャッフリング技術を使用し親和性成熟することによってさらに高めることができる。抗AAH抗体を生成するためにその他の方法も使用できる。例えば、抗AAH抗体は動物に免疫性を与えることによって生み出すことができる。免疫性を求めて抗原を調製するための、および免疫動物から単クローン性抗体を生成するための様々な方法が記載されている(例えば、Kohler等、Nature256:495−497、1975年;Kohlerand Milstein,Eur.J.Immunol.6:511−519、1976年、;Milstein等、Nature266:550−552、1977年;Koprowski等、米国特許番号4,172,124;Harlow,E.とD.Lane、1988年、Antibodies:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor、N.Y.);Current Protocols In Molecular Biology、第2巻(1994年春、付録27)、Ausubel,F.M.等、Eds.(John Wiley&Sons:New York、N.Y.)、第11章、(1991年)を参照のこと)。概して、ハイブリドーマは、適合する不死の細胞系(例えば、骨髄腫細胞系)を抗体産生細胞と融合させることによって生み出されることができる。抗体産生細胞、好ましくは脾臓またはリンパ節のそれらは、免疫動物から得られる。融合細胞(ハイブリドーマ)は、選択的培養条件を使用して単離され、限界希釈によりクローン化されることができる。望ましい特異性を持つ抗体を生み出す細胞は、適合するアッセイ(例えば、ELISA)により選択できる。
【0044】
抗体またはその抗原結合部分は、例えば、配列ID番号:1、配列ID番号:3、配列ID番号:5、配列ID番号:7、配列ID番号:9、配列ID番号:11、配列ID番号:13、配列ID番号:15、配列ID番号:17、配列ID番号:19、配列ID番号:21、配列ID番号:23、配列ID番号:25、配列ID番号:27、配列ID番号:29、配列ID番号:119、配列ID番号:121、配列ID番号:123、配列ID番号:125、配列ID番号:127、配列ID番号:129、配列ID番号:131、配列ID番号:133、配列ID番号:135、配列ID番号:137、配列ID番号:139、配列ID番号:141、配列ID番号:143、配列ID番号:145、配列ID番号:147、配列ID番号:254、配列ID番号:256、配列ID番号:258、配列ID番号:260;配列ID番号:262、配列ID番号:264、配列ID番号:266、配列ID番号:268、および配列ID番号:270の配列のいずれか1つに対し、少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域を含む。
【0045】
抗体またはその抗原結合部分は、配列ID番号:2、配列ID番号:4、配列ID番号:6、配列ID番号:8、配列ID番号:10、配列ID番号:12、配列ID番号:14、配列ID番号:16、配列ID番号:18、配列ID番号:20、配列ID番号:22、配列ID番号:24、配列ID番号:26、配列ID番号:28、配列ID番号:30、配列ID番号:120、配列ID番号:122、配列ID番号:124、配列ID番号:126、配列ID番号:128、配列ID番号:130、配列ID番号:132、配列ID番号:134、配列ID番号:136、配列ID番号:138、配列ID番号:140、配列ID番号:142、配列ID番号:144、配列ID番号:146、配列ID番号:148、配列ID番号:255、配列ID番号:257、配列ID番号:259、配列ID番号:261、配列ID番号:263、配列ID番号:265、配列ID番号:267、配列ID番号:269、および配列ID番号:271の配列のいずれか1つに対し、少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域を含む。
【0046】
抗体またはその抗原結合部分は、例えば、配列ID番号:1に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:2に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:3に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:4に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:5に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:6に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:7に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:8に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:9に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:10に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:11に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:12に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:13に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:14に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:15に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:16に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:17に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:18に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:19に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:20に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:21に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:22に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:23に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:24に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:25に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:26に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:27に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:28に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:29に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:30に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:119に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:120に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:121に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:122に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:123に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:124に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:125に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:126に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:127に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:128に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:129に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:130に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:131に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:132に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:133に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:134に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:135に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:136に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:137に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:138に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:139に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:140に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:141に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:142に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:143に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:144に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:145に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:146に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:147に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:148に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:254に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:255に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:256に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:257に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:258に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:259に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:260に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:261に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:262に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:263に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:264に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:265に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:266に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:267に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:268に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:269に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域、または、配列ID番号:270に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変重鎖領域、および配列ID番号:271に対し少なくとも80%(例えば、85%、90%、95%、98%または100%)同一の可変軽鎖領域を含む。
【0047】
様々な実施形態において、抗体およびその抗原結合部分は配列ID番号46乃至81または281乃至313のいずれか1つに対し、少なくとも40%(例えば、40%、60%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%)同一である相補性決定領域(CDR)を含む。
【0048】
様々な実施形態において、抗体もしくはその断片またはその他変異形は、配列ID番号46乃至51、54、56、82乃至117、164乃至250、または314乃至319のいずれか1つに対し、少なくとも40%(例えば、40%、60%、80%、85%、90%、95%、98%、または100%)同一である相補性決定領域(CDR)を含む。抗体もしくはその断片またはその他変異形は、配列ID番号:1に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:2に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:3に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:4に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:5に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:6に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:7に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:8に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:9に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:10に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:11に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:12に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:13に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:14に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:15に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:16に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:17に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:18に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:19に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:20に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:21に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:22に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:23に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:24に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:25に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:26に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:27に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:28に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:29に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:30に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:119に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:120に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:121に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:122に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:123に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:124に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:125に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:126に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:127に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:128に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:129に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:130に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:131に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:132に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:133に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:134に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:135に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:136に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域配列ID番号:137に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:138に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:139に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:140に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:141に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:142に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:143に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:144に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:145に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:146に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:147に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:148に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:254に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:255に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:256に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:257に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:258に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:259に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:260に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:261に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域配列ID番号:262に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:263に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:264に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:265に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:266に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:267に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、配列ID番号:268に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:269に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域、または、配列ID番号:270に対し少なくとも80%同一の可変重鎖領域および配列ID番号:271に対し少なくとも80%同一の可変軽鎖領域であってよく、またはそれを含んでもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「実質的に同一」(または「実質的に相同」)という用語は、第1および第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列が同様の活性を有するように、第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列に対し同一あるいは同等な(例えば、同様の側鎖、例えば保存されたアミノ酸置換を持つ)十分な数のアミノ酸残基またはヌクレオチドを含む第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列を意味する。抗体の場合、第2の抗体は同じ特異性を有し、第1の抗体の親和性を少なくとも50%有する。
【0050】
2つの配列間の「相同性」または「同一性」の計算は、以下のように実施できる。配列を最適な比較のため1列に並べる(例えば、最適な配置のため第1および第2のアミノ酸または核酸配列の片方または両方にギャップを導入してよく、比較目的のため非相同性配列は無視してよい)。異なる実施形態において、比較目的のために1列に並べられた基準配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも50%である。次いで、アミノ酸位置またはヌクレオチド位置に対応するアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が第2の配列における位置に対応するものと同じアミノ酸残基またはヌクレオチドに占められる場合、分子はその位置において同一である。2つの配列間の同一度は、2つの配列の最適な配置のために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れると、それらの配列に共有される同一位置の数の関数である。
【0051】
配列の比較および2つの配列間の相同度決定は、数学アルゴリズムを使用して遂行できる。2つのアミノ酸配列間の相同度は、12のギャップペナルティ、4のギャップ延長ペナルティ、および5のフレームシフトギャップペナルティを持つマトリックスを記録するBLOSUM62を使用してGCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれるNeedlemanとWunsch、J.Mol.Biol.48:444−453、1970年、アルゴリズムを使用することにより決定される。
【0052】
本明細書で使用される場合、「低ストリジェンシー、中ストリジェンシー、高ストリジェンシー、または超高ストリジェンシー条件下においてハイブリダイズする」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を表す。ハイブリダイゼーション反応を実施するための手引きは、参照することで本明細書に組み込まれるCurrent Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、N.Y.6.3.1−6.3.6、1989年、に見ることができる。当該参考文献には水性および非水性の方法が記載されており、いずれも使用可能である。本明細書でいわれる特定のハイブリダイゼーション条件は、1)6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃の低ストリジェンシーハイブリダイゼーション条件、その後0.2X SSC、0.1%SDS中、少なくとも50°で2回洗浄(低ストリジェンシー条件の場合、洗浄液の温度は55℃まで上げることができる)、2)6X SSC中、約45℃の中ストリジェンシーハイブリダイゼーション条件、その後0.2X SSC、0.1%SDS中、60℃で1回以上洗浄、3)6X SSC中、約45℃の高ストリジェンシーハイブリダイゼーション条件、その後0.2X SSC、0.1%SDS中、65℃で1回以上洗浄、および4)超高ストリジェンシーハイブリダイゼーション条件は、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、65℃、その後0.2X SSC、1%SDS、65℃で1回以上洗浄である。
【0053】
本発明の抗体およびその抗原接続部分は、追加の保存または非必須アミノ酸置換を有してもよいと理解されている(「非必須」アミノ酸残基は、例えば抗体等の結合剤のように、実質的に生物活性を修正することなくポリペプチドの野生型配列から修正できる残基であり、一方「必須」アミノ酸残基はそのような変化を生じさせる)。
【0054】
例えば、特定の置換は耐容されてもされなくても、Bowie等、Science、247:1306−1310、1990年、に記載のように決定されうる結合活性のような望ましい生物特性に悪影響を与えないであろう。「保存アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基に置き換えられるものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基の族は、当技術分野で定義されている。これらの族は、塩基側鎖を持つアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。
【0055】
本明細書に記載されているように、本発明の抗体は、AAHのヒドロキシナーゼ活性を抑制および/または細胞運動等のヒドロキシナーゼ活性と関連する機能を抑制することができる。以下に説明するように、AAH活性および/または活性に関連する機能の抑制をk評価するために様々な方法が使用できる。
【0056】
結合アッセイ
本明細書で使用される場合、「哺乳類AAH蛋白」は、自然発生的または内因性の哺乳類AAH蛋白および哺乳類AAH蛋白に対応する自然発生的または内因性のものと同じアミノ酸配列を有する蛋白(例えば、組み換え蛋白)を意味する。従って、本明細書で定義するように、この用語は、多様型または対立遺伝子多型、もしくは哺乳類AAHのその他のアイソフォーム(例えば、選択的スプライシングまたはその他の細胞過程により生み出されたもの)、および前述のものの修正型または非修正型(例えば、グリコシル化、非グリコシル化)を含む。AAH蛋白は単離したものおよび/または組み換え蛋白(合成的に生み出された蛋白を含む)であってよい。自然発生的または内因性の哺乳類AAHは、修復されるか自然に例えば腫瘍細胞のようなAAHを生み出す資源から単離されることができる。
【0057】
AAH蛋白の「機能的変異形」は、機能的断片、機能的変異蛋白、および/または機能的融合蛋白(例えば、突然変異誘発および/または組み換え技術により生み出されたもの)を含む。概して、AAH蛋白の断片または部分は、成熟した哺乳類AAHに関連するアミノ酸(すなわち、1つ以上のアミノ酸)の欠損(すなわち1つ以上の欠損)を有するものを含む(N端、C端または内部欠損等)。
【0058】
概して、AAH蛋白の突然変異体は、1つ以上の連続する、または連続しないアミノ酸残基の追加、欠損および/または置換で異なるAAH蛋白の天然または人工の変異形を含む。そのような突然変異体は、例えば保存領域または非保存領域、細胞外、細胞質内、もしくは膜貫通領域にあってよい。
【0059】
AAH蛋白の「機能的断片または部分」「機能的突然変異体」および/または「機能的融合蛋白」は、ヒドロキシラーゼ活性等、本明細書に記載するようなAAH蛋白を特徴付ける少なくとも1つの機能を有する単離した、および/または組み換え蛋白もしくはポリペプチドを意味する。
【0060】
単離された、および/または組み換え哺乳類AAHまたはその部分を備える組成物は、結合に適合する条件下で維持することができ、受容体はテストされる抗体に接触し、結合が検出または測定される。一実施形態において、受容体蛋白は、AAHを発現する細胞内またはAAHまたはその部分をエンコードする核酸配列を備える構造を持つ安定してまたは一時的にトランスフェクションされる細胞内で発現されることができる。細胞は、受容体の発現に適切な条件下で維持される。細胞は結合に適合する条件下(例えば、適合する結合バッファー内)で抗体に接触し、結合は標準的な技術により検出される。結合を測定するために、結合の範囲は適合する対照に対して決定される(例えば、抗体がない場合に決定されるバックグラウンドと比較、第2の抗体(すなわち、標準)と比較、トランスフェクションされていない細胞に対する抗体の結合と比較等)。膜画分等のAAHを含む細胞分画は、全細胞の代わりに使用できる。
【0061】
一実施形態において、抗体には適合する標識(例えば、蛍光標識、同位体標識、酵素標識)で標識され、結合はその標識の検出により決定される。別の実施形態において、結合された抗体は標識された第2の抗体により検出されうる。結合の特異性は、例えば標識されていない抗体またはリガンドを競争相手として使用し、競争または変位により評価されることができる。
【0062】
結合抑制アッセイはAAHを結合しEGF様ドメインのような別の化合物の結合を抑制する抗体を識別するためにも使用できる。例えば、結合アッセイは、抗体がある場合のリガンドと比較して、EGF様ドメインの結合の減少が検出および測定される場合において実施されうる(抗体がない場合)。AAHはEGF様ドメインおよび抗体を同時に、または交互に、いずれかの順序で含む蛋白と接触できる。抗体がある場合における蛋白の結合範囲の縮小は、抗体による結合の抑制を示す。例えば、EGF様ドメインの結合は減少もしくは根絶する場合がある。
【0063】
その他の適合する結合アッセイ、もしくは例えば細胞形質転換または細胞運動等のAAH活性によって事象を監視する方法のような、AAHを結合する抗体の存在を識別するその他の方法が使用可能である。
【0064】
本発明の抗体の抑制効果は結合抑制アッセイにおいて評価されることが理解されるであろう。結合する抗体間の競争もこの方法で評価することができる。この様式で識別される抗体は、結合に続いてAAHのその他の機能を抑制する役割を果たす、および/またはその治療的有用性を評価するか否かを決定するためにさらに評価されることができる。
【0065】
抗体活性を決定するためのアッセイ
AAHは、第1鉄がある場合において、蛋白の上皮成長因子(EGF)様ドメイン内のアスパラギン酸またはアスパラギン残基のβ炭素にヒドロキシル基を導入する。保存されたCX7CX4CX10CXCX8C配列を含むEGF様ドメインは、凝固因子、細胞外基質蛋白、低密度リポ蛋白受容体、ノッチ相同体、およびノッチリガンド相同体のような多くの多様な蛋白内に存在する。AAH基質のヒドロキシル化は、ヒドロキシラーゼ活性の直接検出を含むことができる、または、例えばヒドロキシル化の生物活性を検出するアッセイを使用して間接的に測定されることができる。
【0066】
ヒト抗AAH抗体がAAH活性を抑制するか否かを決定するアッセイは、テスト抗体が存在する酵素反応におけるヒドロキシル化のレベルを化合物がない場合の併発反応と、または所定の対照値と比較することによって実施できる。標準的なヒドロキシラーゼアッセイが周知である。例えば、Lavaissiere等、J.Clin.Invest.98:1313−1323、1996年;Jia等、J.Biol.Chem.267:14322−14327、1992年、;Wang等、J.Biol.Chem.266:14004−14010、1991年;またはGronke等、J.Biol.Chem.265:8558−8565、1990年、を参照のこと。ヒドロキシラーゼ活性は、マイクロタイタープレート中の二酸化炭素(14CO2キャプチャーアッセイ)を使用して測定することができる(Zhang等、Anal.Biochem.271:137−142、1999年)。
【0067】
AAH活性の変調は、特異的基質における影響を含むヒドロキシル化下流の生化学的影響および細胞過程における影響により判断できる。AAH活性は細胞運動、増殖、生存、および細胞周期の進行を向上させる。抗体によるAAH活性の抑制は、抗体がある場合のこれらの過程いずれか1つの減少を検出することにより判断できる。
【0068】
細胞運動の変調は、例えば運動アッセイを使用してアッセイすることができる。概して、運動アッセイは、障壁(例えば、フィルター)内でまたは介して、適合する細胞(腫瘍細胞等)の、障壁の第2の表面と対立する第1の表面から化合物の上昇レベル(例えば、成長因子またはその他のポリペプチド)への方向性または移動を監視する。膜またはフィルターは、フィルター内のまたは介する適合する細胞の、障壁の第2の表面と対立する第1の表面からから化合物の上昇レベルへ向かう方向性または移動が監視されるよう、都合のよい障壁を提供する。適合する容器内において、第1室から微多孔膜内に入るかそれを通過してテストする抗体を含み、膜により第1室から分割される第2室へ向かう細胞の移動を検出または測定することができる。特異的移動の監視に適合する膜孔サイズを有する適合する膜は、例えばニトロセルロース、ポリカーボネートを含む化合物に対応して選択される。例えば、約3乃至8ミクロンの膜孔サイズを使用することができる。
【0069】
移動および移動の抑制を評価するために、フィルターの第2の表面に接着したフィルターを通過する細胞の数および/または第2室中に蓄積する細胞の数を、標準的技術(例えば、顕微鏡検査)を使用して判断することができる。一実施形態において、細胞は検出可能な標識(例えば、放射性同位体、蛍光標識、抗原またはエピトープ標識)で標識されており、移動は、適切な方法を用いて膜に接着する標識の存在および/または第2室の存在を判断することにより(例えば、放射活性、蛍光性、免疫学的検定を検出することにより)、抗体がある場合およびない場合において評価されうる。抗体アゴニストにより誘発される移動の範囲は、適合する対照に対して決定できる(例えば、抗体がない場合に決定されるバックグラウンドの移動と比較、第2の抗体(すなわち、標準)とにより誘発される移動の範囲と比較、抗体により誘発された拡散を入れられていない細胞の移動と比較)。抗体がある場合における化合物(例えば、ウシ血清)により誘発された移動の範囲の縮小は、阻害活性を示す。
【0070】
一実施形態において、細胞は、無血清培地内に挿入するBoyden室タイプの培養物の上室内に置かれる。1%乃至2%のウシ胎仔血清が添加された培地は、移動のための刺激物を提供するため、下室に置かれる。細胞は約4時間培養され、移動を生じさせる。上室および下室内の細胞数が定量化される。各室内の生存細胞は、ATPLite(商標)のようなATP監視システムを使用して定量化されることができる(Perkin Elmer(登録商標);例えば、運動アッセイを説明するSepe等、Lab.Invest.82:881−891、2002年、を参照のこと)。
【0071】
AAH過剰発現は、細胞増殖および悪質形質転換に連鎖している。AAH活性の抑制は、ヌードマウスにおける形質転換、足場依存性細胞成長、および腫瘍原性のような、悪性の表現型の細胞特性を測定することによってアッセイされることができる。NIH 3T3細胞をAAHでトランスフェクションし、形質転換焦点を観測することにより形質転換にアクセスできる(CopelandとCooper、Cell16(2):347−56、1979年)。足場依存性細胞成長は、細胞をAAHでトランスフェクションし、形質転換体を単離し、0.53%の低融点アガロースを含む培地の下層を覆う、形質転換体を0.4%の低融点アガロースを含む完全培地に懸濁させることでアッセイできる。
【0072】
腫瘍原性を生体内においてアッセイするため、AAH形質転換クローン(またはAAH発現腫瘍細胞)をヌードマウスに注入する。一般的なアッセイにおいては、約百万乃至1千万の細胞が同時に注入される。1週間から1ヵ月間成長させた後、マウスを犠牲死させ、腫瘍を除去して重さを量る。抗体は、AAH形質転換体または腫瘍細胞が埋め込まれた動物への注入および埋め込まれた細胞の成長を対照注入(例えば、生理食塩水または非特異的抗体)を受けた動物の細胞の成長と比較することによりテストできる。
【0073】
抑制活性を持つ抗体は、これらのアッセイにおける細胞成長、形質転換および腫瘍原性の効率を下げることがある。
【0074】
診断および治療への応用
本発明の抗体は、研究、診断および治療への応用を含む様々な用途において有用である。一実施形態において、抗体は適合する標識(例えば、蛍光標識、化学発光標識、同位体標識、エピトープまたは酵素標識)で標識される。
【0075】
HAAHの過剰発現は、悪性形質転換に関連する。HAAHの活性を阻害および/または抑制する抗体またはその抗原結合部分は、細胞形質転換を抑制および/または形質転換した細胞を診断するために使用できる。従って、本発明は、細胞をAAHまたはAAHの一部を結合させる効果的な量の抗体またはその抗原結合部分に接触させるステップを含む、AAHまたはその部分を発現する細胞のAAH活性を抑制する方法を提供する。細胞は、対象の細胞(例えば、腫瘍細胞)であってよく、抗体またはその抗原結合部分は対象の生体内に投与されてよい。抗体またはその抗原結合部分の治療的使用は、予防的使用(例えば、癌を発症するリスクの高い患者の治療のため)を含む。
【0076】
抗AAH抗体またはその抗原結合部分は、抗癌剤等、1つ以上のその他の治療用薬剤と組み合わせて投与してもよい。抗癌剤の限定されない例としては、例えば抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、分裂抑制剤、アルキル化剤、挿入剤、信号変改経路を妨害できる薬剤、アポトーシス(細胞死遺伝子を含む)を促進する薬剤、放射性化合物、およびその他の腫瘍関連抗原(裸抗体、免疫毒素および放射性接合体を含む)が挙げられる。抗癌剤の特定クラスの詳細な例は、例えばパクリタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、酒石酸ビノレルビン、タキソテール等の抗チューブリン/抗微小管;例えばトポテカン、カンプトセシン、ドキソルビシン、エトポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、テニポシド、アムサクリン、エピルビシン、メルバロン、ピロキサントロン塩酸塩等のトポイソメラーゼI阻害剤;例えば5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、シタラビン/Ara−C、トリメトレキサート、ゲムシタビン、アシビシン、アラノシン、ピラゾフリン、N−ホスホラセチル−L−アスパラギン酸(PALA)、ペントスタチン、5−アゼチジン、5−Aza2’−デオキシシチジン、ara−A、クラドリビン、5−フルオロウリジン、FUDR、チアゾフリン、N−[5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル]−L−グルタミン酸等の代謝拮抗剤;例えばシスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシンC、メルファラン、チオテパ、ブスルファン、クロラムブシル、プリカマイシン、ダカルバジン、リン酸イホスファミド、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラシルマスタード、ピポブロマン、4−イポメアノール等のアルキル化剤;例えばジヒドロレンペロン、スピロムスチン、およびデシペプチド等の、作用のその他のメカニズムを介して作用する薬剤;例えばインターフェロンのような抗腫瘍反応を高めるための生物反応修飾物質;アクチノマイシンDのようなアポトーシス剤;例えばタモキシフェンのような抗エストロゲン、または、例えば4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルフォニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオナニリドのような抗アンドロゲン等の抗ホルモンである。
【0077】
本発明の抗AAH抗体は、診断への応用においても価値を有する。抗AAH抗体は、生体内における腫瘍の成長および/または転移を監視するために使用でき、病期の診断上の指標として使用されてもよい。ヒト抗体は、ヒトにおいては免疫原性でなく、従ってヒト抗体はマウス抗体よりも生体内における診断への応用に適切であると思われる。
【0078】
診断目的のためには、抗体または抗原結合部分は標識されてもされなくてもよい。一般的に、診断アッセイは、抗体または部分をAAHへ結合した結果生じる合成物の形成を検出することを必要とする。抗体または部分は、直接標識されてよい。放射性核種、蛍光剤、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素阻害剤およびリガンド(例えば、ビオチン、ハプテン等)を含むがそれらに限定されない様々な標識を採用することができる。当業者には多数の適切な免疫学的検定が周知である(例えば、米国特許番号3,817,827、3,850,752、3,901,654、および4,098,876を参照のこと)。標識されていない抗体または断片は、第1の抗体(例えば、抗イディオタイプ抗体または標識されていない免疫グロブリンに対して特異的なその他の抗体)と反応する標識された抗体(例えば、第2の抗体)等、抗体を検出するために使用できる別の(すなわち、1つ以上の)適合する試薬またはその他の適合する試薬(例えば、標識された蛋白A)と組み合わせて使用することもできる。
【0079】
生体試料におけるAAHの存在の検出に使用するキットも調製できる。そのようなキットは、抗体または部分およびAAHまたはその部分の間にある合成物の存在の検出に適合する1つ以上の補助試薬に加えて、前記受容体のAAH蛋白または部分に結合する抗体またはその抗原結合部分を含むことになる。本発明の抗体の組成物は、単独で、またはその他のエピトープに対して特異的な追加の抗体と組み合わせて、凍結乾燥形状で提供される場合がある。抗体は、標識されていてもいなくても、付属材料(例えば、トリス、リン酸塩および炭酸塩のような緩衝剤、安定剤、賦形剤、殺生剤および/または例えばウシ血清アルブミン等の不活性蛋白)とともにキットに含まれることができる。例えば、抗体は付属材料を持つ冷凍乾燥された混合物として提供されることができるか、付属材料を持つ冷凍乾燥された混合物が、使用者が組み合わせるように個別に提供されることができる。単クローン性抗体に結合できる第2の抗体が採用され、そのような抗体がキット内において、例えば別個のバイアルまたは容器中に供される。第2の抗体が存在する場合、一般的に標識されており、上述の抗体製剤を用いて類似の様式で製剤することができる。
【0080】
同様に、本発明は、細胞またはその画分(例えば、膜画分)を含む組成物が、抗体の結合に適切な条件下においてAAHまたはAAHの一部(例えば、触媒ドメイン)と結合する抗体またはその機能部分と接触し、抗体結合が監視される、AAHまたは酵素の部分の発現を細胞ごとに検出および/または定量化する方法にも関する。抗体とAAHまたはその部分の間にある合成物の形成を示す抗体の検出は、AAHの存在を示す。例えば細胞への抗体の結合は、上記のように「結合アッセイ」に該当する。前記方法は、個体から細胞内における(例えば、腫瘍生検標本内の)AAHの発現を検出するために使用できる。腫瘍細胞の表面におけるAAHの定量的発現は、例えばフローサイトメトリーによって検討することができ、染色度は疾患の進行または危険性と相関関係を持つ場合がある。
【0081】
AAHは細胞運動の役割を有し、そのためAAH抗体を腫瘍の成長または転移を抑制(低減または阻止)するために使用することができる。従って、本発明の抗体は、研究および治療への応用においてAAH機能を調節するためにも使用できる。例えば、本明細書に記載の抗体は、(a)AAHへの(例えば、蛋白のEGF様ドメインの)結合、(b)AAHにより仲介される受容体シグナル伝達機能、および/または(c)(例えば、AAHの基質またはAAH経路等の)刺激性機能を抑制(低減または阻止)するための抑制剤として作用することができる。受容体機能の抑制剤として採用する抗体は、AAH結合を直接的または間接的に阻害することができる(例えば、構造変化を起こすことによって)。従って、本発明は、AAHまたはAAHの部分と結合する抗体またはその抗原結合部分を効果的な量で哺乳類に投与するステップを含む、哺乳類(例えば、ヒト患者)における細胞運動を抑制する方法を提供する。前記方法に従って治療できる疾患は、癌を含み、病状の改善がもたらされうる。治療可能な癌は、充実性腫瘍、軟部組織腫瘍、および転移病巣を含むがそれらに限定されない。充実性腫瘍の例は、ほとんどの結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌、神経外胚葉性腫瘍その他のような悪性腫瘍を含む腺癌に加えて、例えば、肺、乳房、リンパ、胃腸管(例えば、結腸)および尿生殖路(例えば、腎臓、尿路上皮細胞)、肝臓、咽頭、前立腺、卵巣に影響を及ぼすような様々な臓器系の非上皮性悪性腫瘍、腺癌、上皮性悪性腫瘍等の悪性腫瘍や胆管癌を含む。上記の癌の転移病巣は、本発明の方法または組成物を使用して治療または防止することもできる。
【0082】
対象方法は、ほとんどの結腸癌、腎細胞癌、前立腺癌および/または精巣腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸の癌、および食道の癌のような悪性腫瘍を含む腺癌に加えて、例えば、肺、乳房、リンパ、胃腸管(例えば、結腸)および尿生殖路(例えば、腎臓、尿路上皮細胞)、前立腺、卵巣、咽頭に影響を及ぼすような様々な臓器系の悪性腫瘍治療において有用である。治療可能な典型的な充実性腫瘍としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮性癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽腫が挙げられる。
【0083】
本明細書に記載の抗AAH抗体を用いた治療に適する患者は、癌または「上皮性悪性腫瘍」を有するとされてよい。「上皮性悪性腫瘍」は、呼吸器系癌、胃腸系癌、非尿生殖器系癌、精巣癌、乳房癌、前立腺癌、内分泌系癌および黒色腫を含む上皮または内分泌組織の悪性腫瘍として当業者に認識されている。典型的な上皮性悪性腫瘍としては、頸部、肺、前立腺、乳房、頭頸部、結腸および卵巣の組織から形成したものが挙げられる。この用語は、例えば癌性組織および肉腫組織からなる悪性腫瘍を含む癌肉腫も含む。「腺癌」は、腺組織から派生した、または腫瘍細胞が認識できる腺状構造を形成する上皮性悪性腫瘍を意味する。「非上皮性悪性腫瘍」という用語は、当業者に認識されており、間葉系由来の悪性腫瘍を意味する。
【0084】
本発明の方法は、例えば骨髄性、リンパまたは赤血球系、またはその前駆細胞から生じたもの等、造血由来の増殖性/腫瘍性細胞の増殖を抑制するために使用することもできる。例えば、本発明は、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)を含むがこれらに限定されない、様々な脊髄疾患の治療を意図している(Vaickus、Crit Rev.in Oncol./Hematol.11:267−97、1991年、に掲載)。対象方法により治療されうるリンパ性悪性腫瘍は、B系ALLおよびT系ALLを含む急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、ヘアリー細胞白血病(HLL)およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)を含むがこれらに限定されない。本発明の治療方法により意図される悪性リンパ腫の追加の形状は、非ホジキンリンパ腫およびその変異形、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)およびホジキン病を含むがこれらに限定されない。
【0085】
投与の様態
本方法によると、1つ以上の抗体またはその抗原結合部分を、単独でまたは別の薬物と組み合わせて(前、同時、または後に)適切な経路により宿主に投与することができる。例えば、本発明の抗体は、別の単クローン性または多クローン性の抗体もしくは化学療法と組み合わせて使用することもできる。
【0086】
効果的な量の抗体(すなわち、1つ以上の抗体または断片)を投与する。効果的な量は、AAH機能の、また結果として腫瘍細胞の抑制に十分な量等、投与条件下において望ましい治療効果を実現するために十分な量である。
【0087】
治療すべき疾病または症状に応じて、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下注射)、経口、食餌、局所、吸入(例えば、気管支内、鼻腔内、または経口吸入、鼻腔内滴下)を含むがこれらに限定されない、様々な投与経路が可能である。その他の適合する投与方法としては、充電式または生分解性のデバイスおよび除放性高分子デバイスも挙げられる。本明細書に記載の医薬組成物は、その他の薬剤との組み合わせ治療の一部として投与してもよい。
【0088】
投与される抗体またはその一部の剤形は、選択される投与経路に応じて変わるであろう(例えば、液剤、乳剤、カプセル)。投与される抗体またはその抗原結合部分を含む適切な医薬組成物は、生理学的に許容可能な媒介体または担体に入れて調製してよい。抗体および/または部分の混合物も使用してよい。液剤または乳剤の場合、適合する担体は、例えば、生理食塩水および緩衝媒体を含む、水性またはアルコール性/水性溶液、乳剤または懸濁液を含む。非口径の媒介体は、塩化ナトリウム溶液、ブドウ糖リンゲル液、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、または不揮発性油を含む場合がある。水、緩衝用水、緩衝生理食塩水、ポリオール類(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、ブドウ糖溶液およびグリシンを含む多種の適切な水性担体が当業者に周知されている。静脈の媒介体は、様々な添加物、保存料、もしくは流動体、栄養または電解質の補給液を含む場合がある(概して、Remington’s Pharmaceutical Science、第16版、Mack,Ed.1980年、を参照のこと)。この組成物は、生理学的条件に近づける必要が有るため、任意で、pH調整および緩衝薬剤ならびに毒性調整薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および乳酸ナトリウムのような薬学的に許容可能な補助剤を含んでもよい。抗体は、分野にて周知の凍結乾燥および再構成技術に従って、保存のために凍結乾燥され、使用前に適合する担体内で再構成される場合がある。選んだ媒体内における活性成分の最適濃度は、当業者に周知の手順に従って実験的に決定してよく、望まれる最終的な製剤処方次第であろう。吸入の場合、化合物は投与のため可溶化し適合するディスペンサー(例えば、アトマイザー、ネブライザーまたは加圧エアゾールディスペンサー)に装填される場合がある。
【実施例】
【0089】
以下の実施例において本発明をさらに説明するが、これらは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0090】
実施例1 抗HAAH抗体のライブラリースクリーニング
酵母表面提示技術(BoderとWittrup、Nat Biotechnol.15(6):553−7、1997年)を使用し、抗HAAH Fv断片を得るため、実験未使用のヒト一本鎖Fvライブラリーのスクリーニングを行った。このライブラリーは、Feldhaus等(Nature Biotech.21:163−170、2003年)に記載のとおり調製を行った。つまり、ヒト抗体可変遺伝子を、58の成体からプールした市販の脾臓およびリンパ節ポリ(A)mRNAのPCRでクローン化した。IgG、IgM、κおよびλのプライマーを第1鎖cDNA合成に使用した。別個のVHおよびVLライブラリーを構築し、次いでオーバーラップエクステンションPCRによって1本鎖Fv(scFv)フォーマット内に集めた。次いで、酵母表面上にAga2p融合体として発現させるため、scFvライブラリーをサブクローン化した。Aga2p−scFv融合蛋白を概略的に図1に描写する。約109のscFv断片が酵母に発現した。
【0091】
BoderとWittrup(Biotechnol Prog.14(1):55−62、1998年)に記載されているような細胞外ドメインを含むHAAHの組み換え型に結合するため、ライブラリーのスクリーニングを行った。つまり、フローサイトメトリー(FACS)によって蛍光HAAHに結合するため、Aga2p−scFv融合体を発現している酵母細胞をアッセイする。選別により結合剤を選択し、再分析する。300nMのHAAH中で結合のスクリーニングを6回行うと、16の特異クローンが識別できる。3つの特異クローンの、HAAHへの結合のFACS分析を、図2に描写する。8つの特異クローンの、HAAHの触媒ドメインへの結合のFACS分析を、図3に描写する。これらのクローンのうち、8つがHAAHの触媒ドメインに結合した。
【0092】
実施例2 抗HAAH抗体の結合活性
様々なscFvクローンのHAAHに対する親和性を、あるscFvを提示している細胞が、標識されていないHAAHの濃度を変え、次いで標識されたHAAHの濃度を変え、FACSによって標識度を検出しながら標識される滴定を実施することにより決定した。2つの代表的な抗HAAH scFvクローンを、図4に描写する。クローン5‐2は、約500nmのHAAHに対する親和性を提示した。クローン6‐12は、約150nmのHAAHに対する親和性を提示した。
【0093】
1つの抗体クローン、クローン27は、完全長HAAHには結合したがHAAHの触媒ドメインには結合せず、単離された。このscFvクローンの、HAAHの触媒ドメインおよび完全長HAAHへの結合のFACS分析を、図5に示す。
【0094】
実施例3 可溶性抗HAAH scFv断片による結合
触媒ドメインに結合したクローンを、可溶性形状で発現させ、結合およびその他の生物活性のために分析した。6つの特異クローンの可溶性scFv断片を、HAAHの触媒ドメイン(図6)および完全長HAAH(図7)への結合のために分析した。scFv断片は1乃至2μMで存在した。これらのアッセイにおいて、クローン11が最高レベルの非特異結合を示した。
【0095】
次に、3つの特異scFvクローンの、HAAHを発現しているH460ヒト肺癌細胞への結合を評価した。scFv断片を約1μMでテストした。これらの実験の結果を、図8に描写する。クローン11は、これらのアッセイにおいても最高レベルの結合を示した。クローン12もH460細胞に結合した。
【0096】
実施例4 可溶性抗HAAH scFv断片による細胞運動の抑制
5つの可溶性scFvクローンおよび1つのマウスIgG、15C7の、H460細胞運動の抑制をテストした(図9)。細胞を膜孔サイズ約8ミクロンのフィルターカップ内の無血清培地に入れた。フィルターカップを、血清を含む培地に入れ、細胞をインキュベートしてフィルターごしに移動させる。インキュベーション後、クリスタルバイオレットで染色し、顕微鏡および血球計算板を使用して数えてフィルターの各面の細胞数を測定した。抗体がない場合、H460細胞の60%が運動性であった。抗体は、運動性アッセイにおいて、2μMで存在した。15C7は運動性を100%阻害した。クローン11scFvが存在した場合、細胞の約10%のみが運動性であった。クローン10および13も適度な細胞運動の抑制を示した。クローン11による細胞成長の抑制のアッセイも行った。クローン11は2μMでH460成長の抑制を示さなかった(データは図示せず)。
【0097】
実施例5 抗HAAH scFv断片の親和性成熟のための変異性PCR
次に、HAAH結合scFvをエンコードする核酸に突然変異を起こさせ、生体外において「親和性成熟」抗体を生み出すための結合に再選択した。Zaccolo等(J.Mol.Biol.255:589−603、1996年)およびZaccolo等(J.Mol.Biol.285:775−783、1999年)に記載されているヌクレオチド類似体を使用して、scFvを変異性PCRにエンコードするDNAを支配することにより、突然変異誘発を実施した。突然変異後初期(親和性選択前)ライブラリーは、約3x106メンバーを有していた。突然変異後にライブラリーから単離され、完全長読み取り枠を含む選択したクローンの配列を決定した。クローン11から派生したクローンにおけるアミノ酸配列変化の平均数は、入力配列と比較して7±8であった(合計266のアミノ酸中)。
【0098】
突然変異を起こした核酸を、酵母表面提示を使用して再発現させ、上述のFACSを使用して結合のスクリーニングを行った。結合剤をエンコードするDNAを単離し、再度突然変異を起こし、再発現させ、スクリーニングその他を6回行った。6回のうち5回は、順次HAAHの濃度を下げながら実施し、1μMから始めて200mMで終了した。1回は、検出抗体に結合するクローンを使い果たすため、HAAHを除外して検出抗体で実施した。この選別段階の後にこのクローン11から派生した7つのクローンにおけるアミノ酸配列変化の平均数は、入力配列と比較して23±16であった。生殖細胞系にエンコードされた骨格領域における突然変異体の数は、原型クローンにおける4つの突然変異体と比較して(生殖細胞系配列と比較して)、8から35の範囲であった。
【0099】
HAAH(0.5μM)の触媒ドメインに結合するため、改良型クローン11scFv突然変異体の結合のアッセイを行った(図10)。この改良型クローンのアミノ酸配列を図11に示す。原型クローン11と比較したアミノ酸変化を、太字活字および下線で示す。突然変異誘発の連続する回のクローン11突然変異体のHAAH結合を、上述のようにFACSによってアッセイした。並行して酵母細胞におけるscFv発現のレベルの分析を行った。これらの実験の結果を図12に示す。図12に示すように、スクリーニングを4回行った後に生み出される突然変異体(第1回突然変異体)は、原型クローン11よりも高いレベルのHAAHへの結合を提示した。1つのクローン、11m1‐2も、一様に原型クローン11よりも高いレベルの結合を提示した。親和性成熟したその他のクローン11突然変異体を図13に示す。最改良型クローン(例えば、11m1‐2)の解離速度定数は、初期の、派生元である突然変異していないscFvより2桁大きい改良である220±60nMと測定された。
【0100】
クローン11から派生した親和性成熟クローン7つのうち5つは、重鎖における位置H22(Kabatの分類による)にシステインからアルギニンまたはチロシンまでの突然変異体を有していた。このシステインは、イントラドメインジスルフィド結合を形成する。この突然変異体を持つ5つのクローンのうち、3つが重鎖骨格領域3(FW3)または軽鎖CDR3いずれかにおけるシステイン残基の発生とともにシステイン添加を有する。システインH22突然変異体を有していなかった2つのクローンのうち、1つがシステイン添加を欠いていた。もう1つは、重鎖CDR3ループにおけるチロシンとシステインの交換、システインH22から離れた4つの残基を有していた。システイン突然変異体の頻出は、重鎖構造の弛緩が結合の改良を導くことを示している可能性がある。
【0101】
親和性成熟をクローン13でも実施した。クローン突然変異体13m1の、HAAHの触媒ドメインへの結合を図14に示す。13m1は、突然変異誘発/スクリーニングを5サイクル行った後に生み出されたものである。この突然変異体のアミノ酸配列を、図15に描写する。原型クローン13と比較したアミノ酸変化は太字および下線で示されている。クローン13の連続した突然変異体の結合のアッセイを、クローン11突然変異体について説明したように行った。図16に示すように、クローン13m1および13m1から生み出されたクローン12m2‐3は、双方とも原型クローン13と比較して高められたレベルの結合を提示した。
【0102】
実施例6 抗HAAH scFv断片の親和性成熟のための鎖シャッフリング
鎖シャッフリングは、抗体鎖全体または鎖の一部その他の鎖と再結合する突然変異誘発技術である。HAAHに対する親和性が高められた抗HAAH scFv断片を生み出すために、実験未使用のライブラリーの重鎖を野生型抗HAAH軽鎖へシャッフリングすることによってライブラリーを構築した(軽鎖配列を保存し、それを異なる重鎖配列と連結させるため)。具体的には、図17に描写するように、ヒト実験未使用ライブラリーの重鎖断片をNhelおよびBamHIによる制限消化により抽出し、野生型scFvの軽鎖を含むプラスミドを提示するNheI−BamHI−消化酵母に結紮した。この過程によって生み出された初期ライブラリーは、1.2x105のメンバーを有していた。初期ライブラリーの5つのクローンが配列決定され、すべてが初期重鎖と異なる重鎖を有していた。図18Aは、各クローンにおける重鎖および軽鎖を記載したチャートを含む。
【0103】
次に、改良型結合剤をスクリーニングするため、抗原濃度が低下している状態で(800nMから500nMのHAAH)FACSスクリーニングを6回実施した。検出抗体に結合しているクローンを除去するため、追加でHAAHがない場合のスクリーニングステップを実施した。突然変異細胞のプールからの酵母細胞のscFv提示レベル(x軸)およびHAAH結合(y軸)を、FACSによって分析した。図18Bは、高親和性scFv断片を高レベルで有するクローンがプールに存在していたことを示す。
【0104】
6回のスクリーニング後、20個のクローンの配列を決定した。配列決定したクローンのうち11個は特異であり、それぞれが野生型scFvと異なる重鎖を含んでいた。これらのクローンのscFv提示レベル(x軸)およびHAAH結合(y軸)を図19A乃至19Kに示す。2つの選択したクローンLLm11およびLLm13の解離定数は、それぞれ野生型より2桁大きい改良である240±70nMおよび160±50nMと測定された。
【0105】
この技術により生み出されたクローンの骨格配列は、骨格突然変異体の数が多いクローンよりも免疫原性である可能性を低くする、生殖系骨格配列からの最小変位(重鎖生殖系骨格から平均4±2の突然変異体)を有していた。これらのクローンはすべて異なる重鎖CDR3を有しており、それらはわずかに異なる結合特異性を有する場合がある。同じ標的に対して異なる特異性を有する多数の結合剤は、容易に特定のヒト組織への最小結合のような2次的に望ましい特性のスクリーニングができる。
【0106】
実施例7 CDRシャッフリングを使用した抗HAAH scFv断片の親和性成熟
第3の技術、CDRシャッフリング(ドメインシャッフリングとも呼ばれる)を使用してHAAHに対して親和性を高められたscFvクローンを生み出した。CDRシャッフリングを実施するために、酵母細胞を受容体ベクターおよび複数の線形挿入配列と同時形質転換する。受容体ベクターおよび挿入配列は、5’端および3’端の一方または両方に相同配列を有するよう設計されている。これらの部位間および利子(例えば、抗体鎖)遺伝子内の無作為な部位の相同的組み換えは、「シャッフルされた」産生物を生成する。CDRシャッフリングについては、Swers等(Nucl.Acids.Res.32(3):e36、2004年)でさらに詳しく記述されている。
【0107】
野生型クローン11scFv断片をエンコードするDNAを受容体ベクターとして、またヒトscFvライブラリーの配列を挿入配列として使用し、CDRシャッフリングを実施した(図21)。挿入配列は、クローン11軽鎖と同一の軽鎖を有し、3つの各ライブラリーの挿入配列は、原型クローンとして同じVH族の実験未使用の重鎖遺伝子配列で置き換えられたHC FW1乃至CDR1、HC FW1乃至CDR2、またはHC FW1乃至CDR3に対応する領域を含んでいた。HC FW1乃至CDR1およびHC FW1乃至CDR2の交換を含むライブラリーは、生体内のB細胞に自然発生するレセプター編集と同様の突然変異誘発事象を引き起こした。
【0108】
HC FW1乃至CDR1、HC FW1乃至CDR2、またはHC FW1乃至CDR3が挿入されたライブラリーは、それぞれ1.1x104、1.2x104、および1.1x104のメンバーを含んでいた。これらのライブラリーを、スクリーニングのためにプールした。抗原濃度をHAAHの500nMから160nMの範囲で下げながら、FACSによるスクリーニングを6回実施した。検出抗体に結合するクローンを除去するため、追加でHAAHがない場合のステップを実施した。
【0109】
10個のクローンを単離して配列決定すると、それらのクローンのうち4つが特異であった。scFv提示レベル(x軸)およびこれらのクローンのHAAH結合(y軸)を図22A乃至22Dに示す。野生型クローンのCDRのアミノ酸配列および4つの突然変異クローンを図23に示す。4つの特異配列のうち、3つがFW1乃至CDR3の範囲で実験未使用のライブラリー配列との置き換えを有していた。4番目のクローンは、FW1乃至CDR2の実験未使用のライブラリー配列との置き換えを有していた。この突然変異体の解離定数は、原型野生型クローンより1桁の大きい改良である1μM乃至2μMであった。この突然変異体の骨格領域において、2つのアミノ酸位置のみが生殖系骨格領域と異なっていた。
【0110】
様々なクローンの解離定数を測定した。各クローンの結合と濃度の対比を図24に示す。グラフ中で比較される各クローンのKD寸法は以下のとおりである。
野生型クローン6乃至22>10μM
クローンLLm13: 26±8nM
クローンCM4: 17乃至5nM
クローンC4m18: 0.6±0.1nM
【0111】
実施例8 IgG抗体として選択されたscFv断片の発現
単離した可変重鎖および可変軽鎖配列を重IgG鎖および軽IgG鎖の定常領域をエンコードする配列を含む発現ベクターに挿入し、得られたベクターに完全長IgG抗体を発現させることにより、scFv断片から完全長IgG抗体を作成した(図25)。つまり、選択したscFv断片の重鎖および軽鎖配列を、PCRで別個に増幅した。次いで、結果として生じた断片を発現ベクターpPNL501の適切な位置へ結紮した(Pacific Northwest National Laboratory)。正しい配列が挿入されたことを確かめるため、結果として生じたベクターをクローン化し、単離し、配列決定を行った。次いでそれらのベクターを、標準的方法によってCOS‐7L細胞(Invitrogen社)にトランスフェクションした。結果として生じたこれらのCOS‐7L細胞が発現し、培養基中にIgGを分泌する。次いで培地を単離し、標準的方法により蛋白A樹脂を使用してIgGを精製する。
【0112】
完全長IgG抗体の結合特異性をELISAおよびHAAHを発現している腫瘍細胞への結合により測定した。ELISAによる結合特異性の測定では、HAAHまたはウシ血清アルブミン(BSA)のいずれかをELISAウェルに塗布し、異なる量のIgGを各ウェル内において結合させた。ヤギ抗ヒトIgGペルオキシターゼ共役および化学発光基質を使用して検出を実施した。IgG6−22、6−23、6−25、および6−28に関するこの実験の結果を図26に示す。HAAH発現腫瘍細胞への結合特異性の測定では、異なる量のIgG抗体を、高レベルのHAAHを発現するH460腫瘍細胞に結合させた。ヤギ抗ヒトIgG‐FITC共役を使用し、FACSによる検出で細胞に対するIgG抗体の結合を検出した。IgG6‐22および6‐23に関する結果を図27に、IgG LLm11、LLm13、LLm15、およびCDRm4に関する結果を図28に示す。IgG6‐22およびCDRm4の解離定数を測定した。異なる濃度のIgGを、4℃でH460またはFOCUS細胞のいずれかに結合させた。FOCUS細胞は、HAAHも発現するヒト肝細胞癌株である。IgGに結合させた後、ヤギ抗ヒトIgG‐フィコエリトリン共役で細胞を標識し、FACSにより蛍光性を検出した。6‐22IgGに関する結合と濃度の対比を図29に、CDRm4に関する結合と濃度の対比を図30に示す。測定したKD寸法は以下のとおりである。
【0113】
H460 FOCUS
6−22 IgG 1.3±0.2nM 1.1±0.2nM
CDRm4 IgG 1.0±0.1nM 0.70±0.1nM
【0114】
抗HAAHscFv断片および派生したIgG抗体がHAAH上の同様のエピトープに結合するか否かを測定するため、実験を実施した。6‐22IgGまたは対照IgGがある状態で、FLAGタグ付きscFv断片6‐22をH460細胞に結合させた。scFv6‐22にのみ存在するFLAGタグをビオチン化マウス抗FLAG抗体で標識し、続いてストレプトアビジン‐フィコエリトリン共役に結合させることにより、タグ付きscFv6‐22の結合を測定した。対照IgGではなくIgG6‐22がscFv6‐22の結合のために競争し、scFv6‐22のIgG形状が同様のエピトープをscFv6‐22としてHAAHに結合することを示した(図31)。
【0115】
scFv断片およびIgG抗体が同様のHAAHエピトープに結合することをさらに実証するため、競争するCDRm4IgG、競争するLLmIgG、またはバッファーが単独で存在する状態で、異なるscFv断片を提示する酵母細胞を15nMのHAAHに結合させた。scFv断片を提示する細胞へのHAAHの結合を、上述のとおりFACSによって検出した。図32に示す結果は、IgG抗体はHAAHへ結合するために競争することができること、さらにIgG抗体およびscFv断片が同様のエピトープに結合することを示している。
【0116】
実施例9 変異性PCRによる抗HAAH scFv断片の第2世代親和性成熟
第2世代突然変異体C4m8およびC4m18を生成するため、CDR4m突然変異scFvに親和性成熟を実施した。上述のように、ヌクレオチド類似体を使用して、CDR4mscFvを変異性PCRにエンコードするDNAを支配することにより、突然変異誘発を実施した。突然変異した核酸を酵母表面提示で最発現させ、上述のようにFACSを使用して結合のスクリーニングを行った。上述のように、結合剤をエンコードするDNAを単離し、再度突然変異を起こし、再発現させ、スクリーニングその他を4回行った。この過程から、改良型第2世代scFvクローンが単離された。
【0117】
上述のように、HAAHに結合するため、酵母に提示された改良型クローンC4m18scFv突然変異体の結合のアッセイを行った。この改良型突然変異体は、CDRm4上での結合および提示の両方において、約倍数に改良された(図33)。
【0118】
本発明の多くの実施形態を説明してきた。しかしながら、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であることを理解されたい。従って、以下の特許請求の範囲内にはその他の実施形態も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、酵母表面提示技術を用いてスクリーニングおよび結合試験を実施するために酵母細胞上に提示された融合蛋白質を描写した概略図である。検出のために採用されうる様々なエピトープタグおよび抗原も描写されている。本明細書に記載の実験に使用される蛍光性抗原は、図のように、完全長または触媒ドメインのみに対応する組み替えHAAH蛋白であった。
【図2】図2は、酵母細胞に発現した3つの独自のscFvクローンを蛍光性HAAHでインキュベートした実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。
【図3】図3は、酵母細胞に発現した8つの独自のscFvクローンを、触媒ドメインを含む蛍光的に標識されたHAAHの断片でインキュベートした実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。
【図4】図4は、2つの抗HAAHscFv抗体クローンの親和性測定を描写した一連のグラフである。
【図5】図5は、酵母細胞に発現した1つのscFvクローンを、蛍光的に標識されたHAAHの触媒ドメインまたは共役完全長HAAHでインキュベートした実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。前記共役完全長HAAH蛋白は、図のように、FB50IgGまたは15C7IgGを用いて検出した。
【図6】図6は、6つの独自クローンの可溶性scFv断片がHAAHの触媒ドメインに結合するのを描写した棒グラフである。
【図7】図7は、6つの独自のクローンの可溶性scFv断片が完全長HAAHに結合するのを描写した棒グラフである。
【図8】図8は、3つの独自のクローンのscFv断片がH640腫瘍細胞に結合した実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。
【図9】図9は、5つの独自のクローンのscFV断片の存在、15C7(マウスIgG)、および抗体の不在(第1の棒)における運動性H460腫瘍細胞のパーセンテージを描写した棒グラフである。
【図10】図10は、クローン11から派生した親和性成熟したscFv断片がHAAHの触媒ドメインに結合した実験において、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写したグラフである。
【図11】図11は、親和性成熟したクローン11scFv断片のアミノ酸配列の描写である。クローン11に関連して変化したアミノ酸残基は、太字体および下線で示す。
【図12】図12は、原型クローン11scFv断片、変異体クローン11scFv断片の第1ラウンド、および変異体の第1ラウンドから派生したクローンを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図13】図13は、変異体クローン11scFv断片を分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図14】図14は、クローン13から派生した親和性成熟したscFv断片がHAAHの触媒ドメインに結合したにおいて、フローサイトメトリーにより検出された蛍光性を描写した一連のグラフである。
【図15】図15は、親和性成熟したクローン13scFv断片13mlのアミノ酸配列の描写である。クローン13に関連して変化したアミノ酸残基は、太字体および下線で示す。
【図16】図16は、原型クローン13scFv断片、変異体クローン13scFv断片の第1ラウンド、および変異体クローン13の第2ラウンドから派生したクローンを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図17】図17は、鎖シャッフリングのための制限酵素部位を持つDNAプラスミドの概略描写である。
【図18】図18Aは、野生型クローンおよび鎖シャッフリングにより前記野生型クローンから生成された5つのクローンにおけるVHおよびVL領域を記載したチャート図である。図18Bは、鎖シャッフリングにより野生型クローンから派生した変異体クローンプールを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図19】図19は、鎖シャッフリングにより生み出されたクローンを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである(図19A、クローンLLm1;図19B、クローンLLm3;図19C、クローンLLm5;図19D、クローンLLm6;図19E、クローンLLm7;図19F、クローンLLm8;図19G、クローンLLm9;図19H、クローンLLm11;図19I、クローンLLml4;図19J、クローンLLml5(3);図19K、クローンLLm20(8))。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図20】図20は、野生型scFvクローンおよび鎖シャッフリングにより派生した11のクローンのCDR1、CDR2およびCDR3領域のアミノ酸配列の描写である。
【図21】図21は、野生型クローン11scFvをエンコードする受容体DNAプラスミドおよびCDRシャッフリングのためプラスミドと再結合されるヒトライブラリー挿入配列の概略描写である。
【図22】図22A乃至Dは、鎖シャッフリングにより生み出されたクローンを分析した実験において、フローサイトメトリーにより検出された2タイプの蛍光性を描写した一連のドットプロットグラフである(図22A、CM1;図22B、CM2;図22C、CM3;図22D、CM4)。x軸に描写された蛍光性強度は、酵母細胞に提示されたscFv断片のレベルに対応している。y軸の蛍光性強度は、前記細胞のHAAHに結合するレベルに対応している。
【図23】図23は、野生型scFvクローンおよびCDRシャッフリングにより派生した4つのクローンのCDR1、CDR2およびCDR3領域のアミノ酸配列の描写である。
【図24】図24は、選択された抗HAAHscFv断片対抗HAAH結合活性濃度を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。
【図25】図25は、scFv断片の完全長IgG抗体への変換を描写した概略図である。
【図26】図26A乃至Bは、野生型抗HAAH IgG抗体のHAAHへの結合を、ELISAにより決定されたとおりに描写したグラフである。各抗体に使用される濃度は、グラフの下に示す。
【図27】図27は、抗HAAH IgG抗体のH460腫瘍細胞への結合を、FACSにより決定されたとおりに描写したグラフである。抗体の濃度は、グラフに示す。
【図28】図28は、選択された抗HAAH IgG変異体抗体のH460腫瘍細胞への結合を、FACSにより決定されたとおりに描写したグラフである。使用した抗体の濃度は、グラフに示す。
【図29】図29Aは、6‐22IgG抗体とH460細胞への結合の濃度比較を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。図29Bは、6‐22IgG抗体とFOCUS細胞への結合の濃度比較を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。
【図30】図30Aは、CDRm4IgG抗体とH460細胞への結合の濃度比較を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。図30Bは、CDRm4IgG抗体とFOCUS細胞への結合の濃度比較を(蛍光性により測定されたとおり)描写したグラフである。
【図31】図31は、scFv6‐22の、6‐22IgG抗体との競争の存在または不在においてH460細胞への結合を描写したグラフである。
【図32】図32Aは、HAAHの、CDRm4IgG抗体による競争の存在または不在において異なるscFv断片を発現する酵母への結合を描写したグラフである。図32Bは、HAAHの、LLm11IgG抗体による競争の存在または不在において異なるscFv断片を発現する酵母への結合を描写したグラフである。
【図33】図33Aは、HAAHの、scFv CDR4mおよび第2世代変異体scFvC4m8を提示する酵母への結合を描写したグラフである。解離定数は、グラフに示す。図33Bは、酵母上における第1および第2世代scFv異性体の提示レベルを描写したグラフである。
【図34】図34は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形として使用されうる、またはそれに含まれうるアミノ酸配列を含む表である。
【図35】図35は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形として使用されうる、またはそれに含まれうるアミノ酸配列を含む表である(例えば、親和性成熟した抗HAAH、突然変異抗体領域)。
【図36】図36は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形として使用されうる、またはそれに含まれうるアミノ酸配列を含む表である(例えば、抗HAAHscFv抗体)。
【図37】図37は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形に含まれうるアミノ酸配列(抗AAH抗体CDR)を含む表である。
【図38】図38は、抗AAH抗体もしくはその断片またはその他の変異形に含まれうるアミノ酸配列(親和性成熟した突然変異抗HAAH抗体CDR)を含む表である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたヒト抗体もしくはその断片またはその他の変異形を含む組成物であって、前記抗体、前記断片または前記その他の変異形がアスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ(AAH)に特異的に結合する、組成物。
【請求項2】
前記その他の変異形が一本鎖抗体(scFv)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、前記HAAHの触媒ドメインに特異的に結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、患者への投与時に、HAAHの酵素活性を臨床的に有益な程度まで抑制する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、HAAHが過剰に活動または過剰発現している増殖中の細胞に接触するように置かれた際、前記細胞の増殖を抑制する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、HAAHが過剰に活動または過剰発現している運動性細胞に接触するよう置かれた際、前記細胞の運動性を抑制する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、HAAHに対して約1μM以下の親和性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が突然変異している、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、変異性PCR、鎖シャッフリング、もしくはCDRまたはドメインシャッフリングによって突然変異している、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、配列ID番号31乃至45、149乃至163、または272乃至280の範囲にあるCDRのいずれか1つに対し、少なくとも40%同一である相補性決定領域(CDR)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、図37または図38に示されるCDRのいずれか1つに対し、少なくとも40%同一であるCDRを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、クローン11により結合されるエピトープに結合するため、クローン11と効果的に競争する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、アミノ酸配列:S−Q−S/N−V−S−S/H−(X)−Y/H−L−A;D−V−A−N−X−A−A;Q−Q−R−S−N−W−P−Q;Y/H−A−M−H/G;Y−A−X−S−V−K−G/S;S−G−S−S−S−N−I−G/E−S−N−H/Y−V−H/Y;S/G−D/N−S/G−A−A−W−S/N;R−I/T−Y/H−Y/H−G/R−X−K/R−W/R−Y/R−N−D/G−Y/H−A−V/A−P/S−V/A−K−S;D−V−X−X−R−P−S;L−F/L−I/V−H/Y−K/R−X−N−Q−R−P−S;A−W−D−D−S;またはS−S−S−W−V−V−X−F−D/Gを含むCDRを含み、
ここでXは任意のアミノ酸残基である、またはアミノ酸残基がないことを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記scFvが、配列ID番号31乃至45、149乃至163、または272乃至280のいずれか1つに対し、少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
薬学的に許容可能な希釈液をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、標識または毒素をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が前記抗体もしくはその断片またはその他の変異形からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ヒト抗体もしくはその断片または変異形をエンコードする配列を含み、前記抗体、前記断片、または前記その他の変異形がAAHに特異的に結合する、単離した核酸分子。
【請求項19】
請求項18の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項20】
請求項19の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項21】
前記宿主細胞が酵母細胞である、請求項20に記載の宿主細胞。
【請求項22】
前記宿主細胞が哺乳類細胞である、請求項20に記載の宿主細胞。
【請求項23】
前記哺乳類細胞が腫瘍細胞である、請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項24】
請求項1の組成物と使用説明書とを含む、診断的または治療的使用のためのキット。
【請求項25】
細胞におけるAAH活性を調節する方法であって、
前記細胞内におけるAAH活性を調節するのに十分な条件下において、前記細胞を、請求項1の組成物にさらすステップを含む、前記方法。
【請求項26】
過剰に活動するまたは過剰発現したHAAHに関連する癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者の体内において癌性細胞の増殖または転移を抑制するのに十分な量と時間で、請求項1の組成物を前記患者に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項27】
前記組成物が全身的に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記癌性細胞が、肺、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、卵巣、胆管、脳、または乳房の腫瘍細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
AAHに特異的に結合する抗体もしくはその断片またはその他の変異形を識別するための方法であって、
抗体もしくはその断片またはその他の変異形のメンバーであるライブラリーを提供するステップと、
前記抗体または前記その断片またはその他の変異形をポリペプチドに結合させる条件下において、前記ライブラリーのメンバーをAAHまたはそのドメインを含むポリペプチドと接触させ、それによって合成物を形成するステップと、
いずれかが前記AAHと結合する抗体もしくはその断片またはその他の変位形を含む合成物を識別するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項30】
前記抗体または前記その断片またはその他の変異形がヒトである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記その他の変異形がscFvである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ライブラリーが酵母細胞の表面に発現している、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
識別した抗体を親和性成熟するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
請求項30の方法によって作成される、抗体またはその抗原結合部分。
【請求項35】
AAHに特異的に結合するヒト単クローン性抗体もしくはその断片またはその他の変異形を作成する方法であって、
前記AAHに特異的に結合する抗体もしくはその断片またはその他の変異形を認識するステップと、
発現した抗体または発現したその断片またはその他の変異形を生成するため、細胞内において前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形をエンコードする核酸配列を発現するステップと、
前記発現した抗体または前記発現したその断片またはその他の変異形を精製するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項1】
単離されたヒト抗体もしくはその断片またはその他の変異形を含む組成物であって、前記抗体、前記断片または前記その他の変異形がアスパルチル(アスパラギニル)β‐ヒドロキシラーゼ(AAH)に特異的に結合する、組成物。
【請求項2】
前記その他の変異形が一本鎖抗体(scFv)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、前記HAAHの触媒ドメインに特異的に結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、患者への投与時に、HAAHの酵素活性を臨床的に有益な程度まで抑制する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、HAAHが過剰に活動または過剰発現している増殖中の細胞に接触するように置かれた際、前記細胞の増殖を抑制する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、HAAHが過剰に活動または過剰発現している運動性細胞に接触するよう置かれた際、前記細胞の運動性を抑制する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、HAAHに対して約1μM以下の親和性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が突然変異している、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、変異性PCR、鎖シャッフリング、もしくはCDRまたはドメインシャッフリングによって突然変異している、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、配列ID番号31乃至45、149乃至163、または272乃至280の範囲にあるCDRのいずれか1つに対し、少なくとも40%同一である相補性決定領域(CDR)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、図37または図38に示されるCDRのいずれか1つに対し、少なくとも40%同一であるCDRを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、クローン11により結合されるエピトープに結合するため、クローン11と効果的に競争する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、アミノ酸配列:S−Q−S/N−V−S−S/H−(X)−Y/H−L−A;D−V−A−N−X−A−A;Q−Q−R−S−N−W−P−Q;Y/H−A−M−H/G;Y−A−X−S−V−K−G/S;S−G−S−S−S−N−I−G/E−S−N−H/Y−V−H/Y;S/G−D/N−S/G−A−A−W−S/N;R−I/T−Y/H−Y/H−G/R−X−K/R−W/R−Y/R−N−D/G−Y/H−A−V/A−P/S−V/A−K−S;D−V−X−X−R−P−S;L−F/L−I/V−H/Y−K/R−X−N−Q−R−P−S;A−W−D−D−S;またはS−S−S−W−V−V−X−F−D/Gを含むCDRを含み、
ここでXは任意のアミノ酸残基である、またはアミノ酸残基がないことを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記scFvが、配列ID番号31乃至45、149乃至163、または272乃至280のいずれか1つに対し、少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
薬学的に許容可能な希釈液をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形が、標識または毒素をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が前記抗体もしくはその断片またはその他の変異形からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ヒト抗体もしくはその断片または変異形をエンコードする配列を含み、前記抗体、前記断片、または前記その他の変異形がAAHに特異的に結合する、単離した核酸分子。
【請求項19】
請求項18の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項20】
請求項19の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項21】
前記宿主細胞が酵母細胞である、請求項20に記載の宿主細胞。
【請求項22】
前記宿主細胞が哺乳類細胞である、請求項20に記載の宿主細胞。
【請求項23】
前記哺乳類細胞が腫瘍細胞である、請求項22に記載の宿主細胞。
【請求項24】
請求項1の組成物と使用説明書とを含む、診断的または治療的使用のためのキット。
【請求項25】
細胞におけるAAH活性を調節する方法であって、
前記細胞内におけるAAH活性を調節するのに十分な条件下において、前記細胞を、請求項1の組成物にさらすステップを含む、前記方法。
【請求項26】
過剰に活動するまたは過剰発現したHAAHに関連する癌を有する患者を治療する方法であって、前記患者の体内において癌性細胞の増殖または転移を抑制するのに十分な量と時間で、請求項1の組成物を前記患者に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項27】
前記組成物が全身的に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記癌性細胞が、肺、肝臓、結腸、膵臓、前立腺、卵巣、胆管、脳、または乳房の腫瘍細胞である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
AAHに特異的に結合する抗体もしくはその断片またはその他の変異形を識別するための方法であって、
抗体もしくはその断片またはその他の変異形のメンバーであるライブラリーを提供するステップと、
前記抗体または前記その断片またはその他の変異形をポリペプチドに結合させる条件下において、前記ライブラリーのメンバーをAAHまたはそのドメインを含むポリペプチドと接触させ、それによって合成物を形成するステップと、
いずれかが前記AAHと結合する抗体もしくはその断片またはその他の変位形を含む合成物を識別するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項30】
前記抗体または前記その断片またはその他の変異形がヒトである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記その他の変異形がscFvである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ライブラリーが酵母細胞の表面に発現している、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
識別した抗体を親和性成熟するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
請求項30の方法によって作成される、抗体またはその抗原結合部分。
【請求項35】
AAHに特異的に結合するヒト単クローン性抗体もしくはその断片またはその他の変異形を作成する方法であって、
前記AAHに特異的に結合する抗体もしくはその断片またはその他の変異形を認識するステップと、
発現した抗体または発現したその断片またはその他の変異形を生成するため、細胞内において前記抗体もしくは前記その断片またはその他の変異形をエンコードする核酸配列を発現するステップと、
前記発現した抗体または前記発現したその断片またはその他の変異形を精製するステップと、
を含む、前記方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34−1】
【図34−2】
【図35−1】
【図35−2】
【図35−3】
【図35−4】
【図36−1】
【図36−2】
【図36−3】
【図36−4】
【図36−5】
【図37−1】
【図37−2】
【図37−3】
【図38−1】
【図38−2】
【図38−3】
【図38−4】
【図38−5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34−1】
【図34−2】
【図35−1】
【図35−2】
【図35−3】
【図35−4】
【図36−1】
【図36−2】
【図36−3】
【図36−4】
【図36−5】
【図37−1】
【図37−2】
【図37−3】
【図38−1】
【図38−2】
【図38−3】
【図38−4】
【図38−5】
【公表番号】特表2007−535907(P2007−535907A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539985(P2006−539985)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/038197
【国際公開番号】WO2005/049802
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/038197
【国際公開番号】WO2005/049802
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
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