説明

抗増殖活性を有する3−シアノ−キノリン誘導体

【化1】


本発明は、式(I)の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体に関する。式(I)の化合物は、チロシンキナーゼ酵素を阻害する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌活性のような抗増殖活性を有することが見出され、従って、人体もしくは動物体の処置の方法において、例えばアテローム性動脈硬化症、再狭窄および癌のような過剰増殖性疾患における使用のための薬剤の製造において有用であるキノリン由来の大員環に関する。本発明はまた、該キノリン誘導体の製造方法に、それらを含有する製薬学的組成物にそして抗増殖効果の生成に有用な薬剤の製造におけるそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明の化合物は、チロシンキナーゼとも呼ばれるチロシンキナーゼ酵素を阻害することが見出された。チロシンキナーゼは、標的タンパク質に存在するチロシン残基のフェノール性ヒドロキシル基へのアデノシン三リン酸の末端ホスフェートの転移を触媒する酵素群である。悪性腫瘍細胞への細胞のトランスフォーメーションに関与するいくつかの癌遺伝子は、EGF、FGF、IGF−1R、IR、PDGFおよびVEGFのようなある種の増殖因子受容体を包含するチロシンキナーゼ酵素をコードすることが知られている。受容体チロシンキナーゼのこのファミリー、そして特に以下にEGFR受容体もしくはEGFタイプ受容体チロシンキナーゼとも称する受容体チロシンキナーゼのEGFファミリーは、細胞増殖関連疾患の例である、乳癌、肺の腺癌および扁平上皮細胞癌を包含する非小細胞肺癌、膀胱癌、食道癌、結腸癌、直腸癌もしくは胃癌のような胃腸癌、前立腺の癌、白血病ならびに卵巣癌、気管支癌もしくは膵臓癌のような一般的なヒト癌に高い頻度で存在する。
【0003】
従って、チロシンキナーゼの選択的阻害は、細胞増殖関連疾患の処置において有益であることが認識されている。この考えの裏づけは、標的に基づく制癌剤の最初の例であるハーセプチン(トラスツズマブ)およびグリーベックTM(メシル酸イマチニブ)の開発により与えられる。ハーセプチン(トラスツズマブ)は、侵潤性乳癌にかかっている患者の約30%において100倍まで増幅されることが見出された受容体チロシンキナーゼ、Her2/neuを標的とする。臨床試験においてハーセプチン(トラスツズマブ)は乳癌に対して抗腫瘍活性を有することが判明し(非特許文献1による概説)、従って、受容体チロシンキナーゼを標的とする治療の原理の裏づけを与えた。第二の例、グリーベックTM(メシル酸イマチニブ)は、慢性骨髄性白血病(CML)にかかっている実質的に全ての患者および急性リンパ芽球性白血病にかかっている成人患者の15%〜30%に存在する構成的に活性の細胞質チロシンキナーゼ、アベルソンチロシンキナーゼ(BcR−Abl)を標的とする。臨床試験においてグリーベックTM(メシル酸イマチニブ)は最小限の副作用で目覚しい効能を示し、それは提出の3ヶ月以内の承認をもたらした。臨床試験および規制審査のこの薬剤の通過の速度は、迅速な薬剤開発におけるケーススタディになっている(非特許文献2)。
【0004】
さらなる裏づけは、EGF受容体チロシンキナーゼインヒビターが、ヒト乳癌もしくはヒト扁平上皮細胞癌のような移植された癌腫の無胸腺ヌードマウスにおける増殖を特異的に軽減するという実証により与えられる(非特許文献3による概説)。結果として、EGFR受容体を標的とする異なる癌を処置するための薬剤の開発へのかなりの関心が生じている。例えば、Imclone Systemsにより開発されそしていくつかの癌の処置についてフェーズIII臨床試験中であるエルビタックスTM(C225、セツキシマブとも呼ばれる)を包含する、EGFRの細胞外ドメインに結合するいくつかの抗体は、臨床試験を受けている。また、EGFRチロシンキナーゼの強力なそして比較的特異的なインヒビターであるいくつかの有望な経口で有効な薬剤は、現在、臨床試験においてかな
り進んでいる。現在はイレッサと呼ばれそして進行した非小細胞肺癌の処置に認可されているAstraZeneca化合物ZD1839、および現在はタルセバTM(エルロチニブ)と呼ばれるOSI/Genentech/Roche化合物OSI−774は、ヒト臨床試験においていくつかの癌に対して際立った効能を示している(非特許文献4)。
【0005】
上記のことに加えて、EGF受容体チロシンキナーゼは、乾癬のような非悪性増殖性疾患に関与することが示されている(非特許文献5)。従って、EGFタイプ受容体チロシンキナーゼのインヒビターは、乾癬、前立腺肥大症、アテローム性動脈硬化症および再狭窄のような過剰細胞増殖の非悪性疾患の処置において有用であると予想される。
【0006】
ある種の4−アニリノ−3−シアノキノリンは、チロシンキナーゼのそして特にEGFタイプ受容体チロシンキナーゼのインヒビターとして有用であり得ることが特許文献1および2に、特許文献3および4に、そして非特許文献6に開示される。意外にも、構造が異なる本発明の式(I)の3−シアノキノリン誘導体は、チロシンキナーゼ阻害活性を有することを示すことが見出された。
【0007】
従って、細胞増殖関連疾患の処置における薬剤の製造に有用なチロシンキナーゼインヒビターをさらに提供することは本発明の目的である。
【特許文献1】米国特許US6,288,082明細書
【特許文献2】米国特許US6,002,008明細書
【特許文献3】国際特許出願WO98/43960明細書
【特許文献4】国際特許出願WO00/018761明細書
【非特許文献1】L.K.Shawer et al,“Smart Drugs:Tyrosine kinase inhibitors in cancer therapy”,2002,Cancer Cell Vol.1,117
【非特許文献2】Drucker B.J.& Lydon N.,“Lessons learned from the development of an Abl tyrosine kinase inhibitor for chronic myelogenous leukaemia.”,2000,J.Clin.Invest.105,3
【非特許文献3】T.R.Burke Jr.,Drugs of the Future,1992,17,119
【非特許文献4】Morin M.J.,“From oncogene to drug:development of small molecule tyrosine kinase inhibitors as anti−tumour and anti−angiogenic agents,2000,Oncogene 19,6574”
【非特許文献5】elder et al.,Science,1989,243:811
【非特許文献6】J.Med.Chem,2000,43(17),3244
【発明の開示】
【0008】
本発明は、式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
ZはO、NHもしくはSを表し;
Yは−C3〜9アルキル−、−C3〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−CO−NR14−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−CO−NH−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−NH−C1〜6アルキル−、−NH−CO−C1〜6アルキル−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−、C1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキル−NH−CO−CH15−NH−を表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR10、−NR10−C1〜2アルキル−、NR16−CO−、NR16−CO−C1〜2アルキル、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR11、NR11−C1〜2アルキル−、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキル、Het20−C1〜2アルキル、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ホルミル、C1〜6アルコキシ−、C1〜6アルキル−、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ヒドロキシもしくはハロから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、C1〜4アルキルカルボニル−、アミノカルボニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル−、Het、ホルミル、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、C3〜6シクロアルキル−、C3〜6シクロアルキルオキシ−、C1〜6アルコキシ−、Ar、Ar−オキシ−、ジヒドロキシボラン、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ハロ、ヒドロキシもしくはNRから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキル、
1〜4アルキルカルボニル−(ここで、該C1〜4アルキルは場合によりヒドロキシもしくはC1〜4アルキル−オキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい)を表し;
は水素、ヒドロキシ、Ar−オキシ、Ar−C1〜4アルキルオキシ−、C1〜4アルキルオキシ−、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜4アルケニ
ルオキシ−を表すか、あるいはRはC1〜4アルキルオキシ−、ヒドロキシ、ハロ、Het−、−NR、−カルボニル−NRもしくはHet−カルボニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
およびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルから選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)−アミノスルホニル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシカルボニル−C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル、Het−カルボニル−C1〜4アルキル−、Het10−カルボニル−、ポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−、Het11−C1〜4アルキル−またはAr−C1〜4アルキル−から選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、Het、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−もしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択され;
10は水素、C1〜4アルキル、Het、Het−C1〜4アルキル−、場合によりHet−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくは1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
11は水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、Het17、Het18−C1〜4アルキル−、場合によりHet19−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
12は水素、C1〜4アルキル、Het13、Het14−C1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
13およびR14は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het15−C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−から選択され;
15は水素または場合によりフェニル、インドリル、メチルスルフィド、ヒドロキシ、チオール、ヒドロキシフェニル、アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、アミン、イミダゾイルもしくはグアニジノで置換されていてもよいC1〜4アルキルを表し;
16およびR17は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het21−C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルから選択され;
Hetはピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよく;
Hetはモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−、アミノC1〜4アルキル−、モ
ノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−スルホニル−、アミノスルホニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het、HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het、HetもしくはHetは場合によりヒドロキシ−、アミノ−、C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルまたはアミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Hetはピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHet10は各々独立してフラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetもしくはHet10は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−もしくはアミノ−C1〜4アルキル−で置換されていてもよく;
Het11はインドリルもしくは
【0011】
【化2】

【0012】
から選択される複素環を表し;
Het12はモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het12は場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはモノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het13はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het15およびHet21は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、1,3,2−ジオキサボロランもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;そして
Het17はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het18およびHet19は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het20はピロリジニル、2−ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはピラゾリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;特にHet20はピロリジニル、2−ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルもしくはピラゾリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;そして
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは各々独立して場合によりシアノ、C1〜4アルキルスルホニル−、C1〜4アルキルスルホニルアミノ−、アミノスルホニルアミノ−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル、アミノスルホニル−、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシ−もしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体に関する。
【0013】
前述の定義および以下において用いる場合、
−ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称であり;
−C1〜2アルキルは、メチルもしくはエチルを定義し;
−C1〜3アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピルなどのような1〜3個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C1〜4アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどのような1〜4個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C1〜5アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルエチルなどのような1〜5個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C1〜6アルキルには、C1〜5アルキルおよび例えばヘキシル、1,2−ジメチルブチル、2−メチルペンチルなどのような6個の炭素原子を有するその高級同族体が包含されるものとし;
−C1〜7アルキルには、C1〜6アルキルおよび例えば1,2,3−ジメチルブチル、1,2−メチルペンチルなどのような7個の炭素原子を有するその高級同族体が包含されるものとし;
−C3〜9アルキルは、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどのような3〜9個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C2〜4アルケニルは、例えばビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニルなどのような、1個の二重結合を含有しそして2〜4個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義し;
−C3〜9アルケニルは、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−ヘキセニルなどのような、1個の二重結合を含有しそして3〜9個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義し;
−C2〜6アルキニルは、例えば2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、3−メチル−2−ブチニル、3−ヘキシニルなどのような、1個の三重結合を含有しそして2〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状炭化水素基を定義し;
−C3〜6シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルの総称であり;
−C1〜4アルキルオキシは、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどのような直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基を定義し;
−C1〜6アルキルオキシには、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、1−メチルエチルオキシ、2−メチルプロピルオキシなどのようなC1〜4アルキルオキシおよび高級同族体が包含されるものとし;
−ポリヒドロキシ−C1〜4アルキルは、例えばトリフルオロメチルのような、2、3個もしくは可能であればそれ以上のヒドロキシ置換基を有する上記に定義するようなC1〜4アルキルの総称である。
【0014】
前述の定義および以下において用いる場合、ホルミルという用語は式−CH(=O)の基をさす。
【0015】
上記の定義および以下に記載するような複素環には、その全ての可能な異性体が包含されるものとし、例えば、ピロリルには2H−ピロリルも包含され;トリアゾリルには1,2,4−トリアゾリルおよび1,3,4−トリアゾリルが包含され;オキサジアゾリルには1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリルおよび1,3,4−オキサジアゾリルが包含され;チアジアゾリルには1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリルおよび1,3,4−チアジアゾリルが包含され;ピラニルには2H−ピラニルおよび4H−ピラニルが包含される。
【0016】
さらに、上記の定義および以下に記載するような複素環は、必要に応じて任意の環炭素もしくはヘテロ原子を介して式(I)の分子の残りに結合していることができる。従って、例えば、複素環がイミダゾリルである場合、それは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、3−イミダゾリル、4−イミダゾリルおよび5−イミダゾリルであることができ;チアゾリルである場合、それは2−チアゾリル、4−チアゾリルおよび5−チアゾリルであることができ;トリアゾリルである場合、それは1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,3,4−トリアゾール−1−イルおよび1,3,4−トリアゾール−2−イルであることができ;ベンゾチアゾリルである場合、それは2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリルおよび7−ベンゾチアゾリルであることができる。
【0017】
上記のような製薬学的に許容しうる付加塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなるものとする。後者は、塩基形態(base form)をそのような適切な酸で処理することにより都合よく得ることができる。適切な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸などのような無機酸;もしくは例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモン酸などのような有機酸を含んでなる。
【0018】
上記のような製薬学的に許容しうる付加塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に有効な無毒の塩基付加塩形態を含んでなるものとする。そのような塩基付加塩形態の例は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩、ならびに例えばアンモニア、アルキルアミン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン(hydrabamine)、アミノ酸、例えばアルギニン、リシンのような製薬学的に許容しうるアミンとの塩である。
【0019】
逆に、該塩形態を適切な塩基もしくは酸での処理により遊離酸もしくは塩基形態に転化することができる。
【0020】
付加塩という用語はまた、上記に使用する場合、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することのできる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0021】
立体化学的異性体という用語は、上記に使用する場合、式(I)の化合物が有することのできる可能な異なる異性体ならびに立体配座形態を定義する。他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示は全ての可能な立体化学的および立体配座的異性体の混合物を意味し、該混合物は基本分子構造の全てのジアステレオマー、鏡像異性体および/もしくは配座異性体を含有する。純粋形態もしくは相互との混合物の両方の式(I)の化合物の全ての立体化学的異性体は、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0022】
式(I)の化合物のあるものはまた、それらの互変異性体で存在することもできる。そのような形態は、上記の式に明白に示されないが、本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0023】
式(I)の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化される式(I)の化合物を含んでなるものとする。
【0024】
化合物の好ましい群は、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C2〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−
1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−もしくはC1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表す;
がO、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、NR10もしくは−NR10−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが−O−もしくは−O−CH−を表す;
が直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、C1〜2アルキル、NR11もしくはNR11−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが直接結合、−O−N=CH−、−NR11−C1〜2アルキル−、−NR11−CH−、−C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が水素、シアノ、ハロもしくはヒドロキシ、好ましくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C2〜6アルキニル−、ArもしくはHetを表し;さらなる態様においてRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C2〜6アルキニル−もしくはHetを表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
10が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
12がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
Hetが場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよいチアゾリルを表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;
Het16がピペリジニル、モルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる。
【0025】
化合物のさらなる群は、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表す;
がO−を表す;
が直接結合、−NR11−C1〜2アルキル、−NR11−CH−、−C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が水素もしくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
10が水素を表す;
11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
12がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様としてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニルを表す;
Het16がモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Arがフェニルを表す;
Arが場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる。
【0026】
化合物の別の群は、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C2〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−もしくはC1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表す;
がO、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、NR16−CO−、−NR16−CO−C1〜2アルキル−、NR10もしくは−NR10−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが−O−、−O−CH−、NR10もしくは−NR10−C1〜2アルキル−を表す;
が直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、Het20−C1〜2アルキル、C1〜2アルキル、NR17−CO−、−NR17−CO−C1〜2アルキル−、NR11もしくはNR11−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが直接結合、−O−N=CH−、−NR11−C1〜2アルキル−、−NR11−CH−、Het20−C1〜2アルキル、NR17−CO、−NR17−CO−C1〜2アルキル−、−C1〜2アルキル、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が水素、シアノ、ハロもしくはヒドロキシ、好ましくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C2〜6アルキニル−、Arもしく
はHetを表し;さらなる態様においてRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C2〜6アルキニル−もしくはHetを表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
10が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
12がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
16が水素、C1〜4アルキル−、Het21−C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキルを表し;特にR16が水素もしくはC1〜4アルキルを表す;
17が水素、C1〜4アルキル−、Het21−C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキルを表し;特にR17が水素もしくはC1〜4アルキルを表す;
Hetが場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよいチアゾリルを表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;
Het16がピペリジニル、モルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Het20がピロリジニル、2−ピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het21がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het21が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる。
【0027】
化合物のさらなる群は、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−CO−
NR14−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表し;特にYが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表す;
が直接結合、NR10、−NR10−C1〜2アルキル−、−NR10−CH−、−C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル−、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が−O−、NR11、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキルもしくはHet20−C1〜2アルキルを表す;
が水素もしくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
10が水素を表す;
11が水素、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
12がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
13が水素を表す;
17が水素を表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニル表す;
Het16がモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Het20がピロリジニルもしくはピペリジニルを表す;
Arがフェニルを表す;
Arが場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる。
【0028】
化合物の他の特定の群は、次のとおりである:
−−X−が−O−を表す式(I)の化合物;
−−X−が−NR10−、特に−NH−を表す式(I)の化合物;
−−X−が−NR17−CO−C1〜2アルキル−、特に−NH−CO−C1〜2アルキル−を表す式(I)の化合物;
−−X−が−NR11−C1〜2アルキル−、特に−NH−C1〜2アルキル−を表す式(I)の化合物;
−−Y−が−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−もしくは−C1〜5アルキル−CO−NR14−C1〜5アルキル−、特に−C1〜5アルキル−NH−CO−C1〜5アルキル−を表す式(I)の化合物;
−Rがフルオロ、クロロもしくはブロモである式(I)の化合物;
−Rがフルオロ、クロロもしくはブロモである式(I)の化合物;
−RおよびRがハロを表す式(I)の化合物、特にRがフルオロを表し、そしてR
がクロロを表す式(I)の化合物;
−RがHet、特に場合によりメチルで置換されていてもよいチアゾリルである式(I)の化合物;
−RがC2〜6アルキニル−、特にエチニルである式(I)の化合物;
−RがAr、特に場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルである式(I)の化合物;
−Rがメトキシを表し、そして該メトキシが式(I)の構造の7位にある式(I)の化合物;
−RがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシ、特にモルホリニルで置換されたプロピルオキシを表す式(I)の化合物;
−R11が水素もしくはC1〜4アルキル−、特にメチルであるか、またはR11がC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、特にt−ブチル−オキシ−カルボニル−である式(I)の化合物;
−Hetが場合によりC1〜4アルキルで置換されていてもよいモルホリニル、好ましくは式(I)の化合物の残りに窒素原子を介して結合しているモルホリニルを表す式(I)の化合物;
−Hetが場合によりC1〜4アルキルで置換されていてもよいモルホリニル、好ましくは式(I)の化合物の残りに窒素原子を介して結合しているモルホリニルを表す式(I)の化合物;
−Het12が場合によりC1〜4アルキルで置換されていてもよいモルホリニル、好ましくは式(I)の化合物の残りに窒素原子を介して結合しているモルホリニルを表す式(I)の化合物。
【0029】
本発明のさらなる態様において、R置換基は式(I)の構造の4’位にあり、R置換基は5’位にあり、そしてR置換基は7位にある。
【0030】
本発明の化合物は、有機化学の当業者により一般に用いられそして例えば以下の参考文献;“Heterocyclic Compounds”Vol.24(part4)p261−304 Fused pyrimidines,Wiley Interscience;Chem.Pharm.Bull.,Vol 41(2)362−368(1993);J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,2001,130−137に記述されているいくつかの標準的な合成方法のいずれかにより製造することができる。
【0031】
【化3】

【0032】
[YおよびYはC1〜5アルキルもしくはCO−C1〜5アルキルを表し、
およびXは、例えば第一級、第二級もしくは第三級アミン、ヒドロキシもしくはハロ(Cl、BrもしくはI)のような、場合により保護されていてもよい官能基を表し、それらは反応の際にそれらが結合しているY、Y置換基とそれぞれ一緒になって式(I)に定義されるような2価のY基を生成せしめる。]
本記述の実験部分においてさらに例示されるように、Xが−O−を表す式(I)の化合物は、一般に、既知の5−アセトキシ−4−アルコキシ−2−ニトロ安息香酸から製造することができる(スキーム2)、式(II)の6−アセトキシ−4−クロロ−3−シアノキノリンから出発して製造した。
【0033】
反応スキーム3〜7に従って順に製造することができる、適当な置換されたアニリン(III)と式(II)のこのキノリンとのカップリングにより中間化合物(IV)を生成せしめる。
【0034】
T.W.GreeneおよびP.G.M.WutsによりProtective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,1998に記述されているような式(IV)の中間体の脱保護、続いてミツノブ条件下での閉環により目標化合物(I)を生成せしめる(スキーム1)。
【0035】
【化4】

【0036】
[V=例えばメチルカルボニル、t−ブチル、メチル、エチル、ベンジルもしくはトリアルキルシリル基のような保護基、
18はAr、Ar−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜6アルケニルを表すか、あるいはR18はC1〜4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロ、Het、NR、NR−カルボニルもしくはHet−カルボニルから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し、ここで、Ar、Ar、Het12、Het、R、R、R、RおよびHetは、式(I)の化合物についてのとおり定義される。]
6−アセトキシ−4−クロロ−3−シアノ−キノリン(II)は、スキーム2に従って製造することができる。この合成スキームにおいて、2−アミノ−安息香酸エステル誘導体(VII)は、5−アセトキシ−4−メトキシ−2−ニトロ安息香酸(V)を塩基、例えば炭酸カリウムの存在下で例えばジメチル硫酸でエステル化し、そして次にニトロ基を例えば鉄/酢酸で還元することにより製造することができる。次に、このようにして得られる化合物(VII)を記載の方法に従って、例えばジメチルホルムアミド(DMF)中で1,1−ジメトキシトリメチルアミン(DMFDMA)で式(IX)のキノリン環に転化し、続いて求電子置換反応により3−シアノ置換基を導入する。次に、このようにして得られる3−シアノ−キノリン誘導体をDMF中で塩素化剤、例えばSOClの作用により塩素化して式(II)のキノリン誘導体を生成せしめる。
【0037】
【化5】

【0038】
[R18はAr、Ar−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜6アルケニルを表すか、あるいはR18はC1〜4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロ、Het、NR、NR−カルボニルもしくはHet−カルボニルから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し、ここで、Ar、Ar、Het12、Het、R、R、R、RおよびHetは、式(I)の化合物についてのとおり定義される。]
が−O−を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、市販されているニトロ−フェノール(X)およびα,ω−保護されたハロゲン化アルコール(XI)から反応不活性溶媒においてアルカリ条件下で、例えば、KCOの存在下でジメチルアセトアミド(DMA)を用いて製造される。次に、得られるニトロ−フェニル誘導体(XII)を標準条件に従って、例えば、鉄/酢酸を用いて還元して式(III)の置換されたアニリンを生成せしめる(スキーム3)。
【0039】
【化6】

【0040】
[Xは例えばCl、Br、IおよびFのようなハロゲンを表し、
Vは例えばメチルカルボニルのような保護基を表す。]
が−NR11−もしくは−NR11−C1〜2アルキル−を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、市販されている2−ニトロ−ベンズ
アルデヒド(XIII)およびアミン置換されたアルコール(XIV)から標準条件下で還元的アミノ化により、例えば、溶媒としてエタノール中で還元剤としてNaBHおよびチタン(iv)イソプロポキシドを用いて製造され、第一段階において式(XV)のニトロ−ベンジルアミンを生成せしめる。次に、第一級遊離アルコールを当該技術分野で既知の方法を用いて、例えば、ピリジンの存在下で無水酢酸とのエステル化反応を用いて保護する。次に、このようにして得られる式(XVI)の中間体を標準条件に従って、例えば、鉄/酢酸を用いて還元して式(III)の置換されたアニリンを生成せしめる(スキーム4)。
【0041】
【化7】

【0042】
[Vは例えばメチルカルボニルのような保護基を表す。]
が−O−N=CH−を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、反応スキーム5に従って製造される。第一段階において、既知の2−ニトロ−ベンズアルデヒド(XIII)を例えばヒドロキシルアミンとの当該技術分野で既知の縮合反応を用いて対応するオキシム(XVII)に転化する。次に、式XVIIの該オキシムをアルカリ条件下で、例えばDMSO中でKCOを用いてハロゲン化アルキルアセテートと反応させ、続いてニトロ基を例えば鉄/酢酸で還元して、式(III)の適当な置換されたアニリンを生成せしめる。
【0043】
【化8】

【0044】
[Xは、例えばCl、Br、IもしくはFのようなハロゲンを表す。]
が直接結合を表し、そしてYがC1〜6アルキル−NH−CO−を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、反応スキーム6に従って製造される。第一段階において、既知の2−ニトロ−安息香酸(XX)を当該技術分野で既知の条件下で、例えば1,1’カルボニルビス−1H−イミダゾールの存在下でCHCl中の(XX)の混合物に滴下して加える式(XXI)のヒドロキシル化アミンを用いて式(XXII)の中間体にアミド化する。次に、第一級遊離アルコールを当該技術分野で既知の方法を用いて、例えばピリジンの存在下で無水酢酸とのエステル化反応を用いて保護する。次に、このようにして得られる式(XXIII)の中間体を標準条件に従って、例えば、鉄/酢酸を用いて還元して式(III)の置換されたアニリンを生成せしめる。
【0045】
【化9】

【0046】
[Vは例えばメチルカルボニルのような保護基を表す。]
が直接結合を表す化合物では、式(III)の適当な置換されたアニリンは、一般に、反応スキーム7に従って製造される。第一段階において、既知の2−ニトロ−ベンズアルデヒド(XIII)を当該技術分野で既知の条件下で、例えば、式(XXIV)の適切なホスホニウム塩とのウィッティッヒ反応を用いて式(XXV)の中間体にアルケン化する。標準条件下での、例えば、酸性条件下でエタノールを用いる遊離カルボン酸のエステル化の後に、式(XXVI)の中間体を還元して式(III)の所望の置換されたアニリンを生成せしめる。
【0047】
【化10】

【0048】
[YはC1〜7アルキルを表す。]
あるいはまた、Yが−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜2アルキル−NH−CO−CH15−NH−もしくは−C1〜5アルキル−CO−NR14−C1〜5アルキル−を表す式(I’)の化合物は、以下の合成スキームを用いて製造される。式(IV)の中間体は、上記のように得られる。脱保護およびその後の標準条件下で適切なアミノ化アルコールを用いる対応するエーテルの形成により式(XXVIII)の中間体を生成せしめる。脱保護、続いて閉環により式(I’)の目標化合物を生成せしめる。
【0049】
【化11】

【0050】
[V=例えばメチルカルボニル、t−ブチル、メチル、エチル、ベンジルオキシカルボニルもしくはトリアルキルシリル基のような保護基、または固相化学の場合には分子の残りがそれに結合している樹脂、
18はAr、Ar−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜6アルケニルを表すか、あるいはR18はC1〜4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロ、Het、NR、NR−カルボニルもしくはHet−カルボニルから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し、ここで、Ar、Ar、Het12、Het、R、R、R、RおよびHetは、式(I)の化合物についてのとおり定義され、
およびYは各々独立してC1〜5アルキル、CO−C1〜5アルキルもしくはCO−CH15−NH−を表す。]
必要もしくは所望に応じて、任意の順序の以下のさらなる段階の任意の1つもしくはそれ以上を行うことができる:
(i)任意の残留保護基(1つもしくは複数)を除くこと;
(ii)式(I)の化合物もしくはその保護された形態を式(I)のさらなる化合物もしくはその保護された形態に転化すること;
(iii)式(I)の化合物もしくはその保護された形態を式(I)の化合物もしくはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンもしくは溶媒和物に転化すること;(iv)式(I)の化合物もしくはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンもしくは溶媒和物を式(I)の化合物もしくはその保護された形態に転化すること;
(v)式(I)の化合物もしくはその保護された形態のN−オキシド、塩、第四級アミンもしくは溶媒和物を式(I)の化合物もしくはその保護された形態の別のN−オキシド、製薬学的に許容しうる付加塩、第四級アミンもしくは溶媒和物に転化すること;
(vi)式(I)の化合物が(R)および(S)鏡像異性体の混合物として得られる場合
に、所望の鏡像異性体を得るために該混合物を分割すること。
【0051】
式(I)の化合物、そのN−オキシド、付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体は、当該技術分野において既知である方法を用いて本発明のさらなる化合物に転化することができる。
【0052】
上記の方法において、中間化合物の官能基は保護基によりブロックされる必要があり得ることが、当業者により理解される。
【0053】
保護することが望ましい官能基には、ヒドロキシ、アミノおよびカルボン酸が包含される。ヒドロキシの適当な保護基には、トリアルキルシリル基(例えば、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリルもしくはトリメチルシリル)、ベンジルおよびテトラヒドロピラニルが包含される。アミノの適当な保護基には、tert−ブチルオキシカルボニルもしくはベンジルオキシカルボニルが包含される。カルボン酸の適当な保護基には、C(1〜6)アルキルもしくはベンジルエステルが包含される。
【0054】
官能基の保護および脱保護は、反応段階の前もしくは後に行われることができる。
【0055】
さらに、式(I)の化合物におけるN−原子は、例えば2−プロパノン、テトラヒドロフランもしくはジメチルホルムアミドのような適当な溶媒中でCH−Iを用いて当該技術分野で既知の方法によりメチル化することができる。
【0056】
式(I)の化合物はまた、そのいくつかの例が以下に記載される官能基転化の当該技術分野で既知の方法に従って相互に転化することもできる。
【0057】
式(I)の化合物はまた、3価の窒素をそのN−オキシド形態に転化するための当該技術分野で既知の方法に従って対応するN−オキシド形態に転化することもできる。該N−酸化反応は、一般に、式(I)の出発物質を3−フェニル−2−(フェニルスルホニル)オキサジリジンとまたは適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより実施することができる。適切な無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば、過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適切な有機過酸化物は、例えば、ベンゼンカルボペルオキソ酸もしくはハロ置換されたベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸のようなペルオキシ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば、水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、およびそのような溶媒の混合物である。
【0058】
式(I)の化合物の純粋な立体化学的異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。ジアステレオマーは、選択的結晶化およびクロマトグラフィー技術、例えば向流分配、液体クロマトグラフィーなどのような物理的方法により分離することができる。
【0059】
本発明における式(I)の化合物のいくつかおよび中間体のいくつかは、不斉炭素原子を含有し得る。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体は、当該技術分野で既知の方法の適用により得ることができる。例えば、ジアステレオマーは、選択的結晶化もしくはクロマトグラフィー技術、例えば、向流分配、液体クロマトグラフィーおよび同様の方法のような物理的方法により分離することができる。鏡像異性体は、ラセミ混合物から最初に該ラセミ混合物を例えばキラル酸のような適当な分割剤でジアステレオマー塩も
しくは化合物の混合物に転化し;次にジアステレオマー塩もしくは化合物の該混合物を例えば選択的結晶化もしくはクロマトグラフィー技術、例えば液体クロマトグラフィーおよび同様の方法により物理的に分離し;そして最後に該分離したジアステレオマー塩もしくは化合物を対応する鏡像異性体に転化することにより得ることができる。純粋な立体化学的異性体はまた、適切な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体から得ることもでき、ただし、介在反応は立体特異的に起こる。
【0060】
式(I)の化合物および中間体の鏡像異性体を分離する代わりの方法は、液体クロマトグラフィー、特にキラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。
【0061】
上記の反応方法において使用する場合に中間体および出発物質のいくつかは既知の化合物であり、そして市販されている可能性があるかもしくは当該技術分野で既知の方法に従って製造することができる。しかしながら、例えば式(I)の化合物のような大環状キナーゼインヒビターの合成において、本発明は次のものをさらに提供する;
a)式(III)
【0062】
【化12】

【0063】
[式中、
Yは−C3〜9アルキル−、−C3〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−CO−NR14−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−CO−NH−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−C1〜7アルキル−CO−、C1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR11、−NR11−C1〜2アルキル−、−CH−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ホルミル、C1〜6アルコキシ−、C1〜6アルキル−、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ヒドロキシもしくはハロから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、C1〜4アルキルカルボニル−、アミノカルボニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル−、Het、ホルミル、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、C3〜6シクロアルキル−、C3〜6シクロアルキルオキシ−、C1〜6アルコキシ−、Ar、Ar−オキシ−、ジヒドロキシボラン、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ハロ、ヒドロキシもしくはNRから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキル、
1〜4アルキルカルボニル−(ここで、該C1〜4アルキルは場合によりヒドロキシもしくはC1〜4アルキル−オキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい)を表し;
およびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルから選択され;
11は水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、Het17、Het18−C1〜4アルキル−、場合によりHet19−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
12は水素、C1〜4アルキル、Het13、Het14−C1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
13およびR14は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het15−C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−から選択され;
Hetはピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよく;
Het13はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het15はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het15は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、1,3,2−ジオキサボロランもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;そして
Het17はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het18およびHet19は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het18およびHet19は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4
アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは各々独立して場合によりシアノ、C1〜4アルキルスルホニル−、C1〜4アルキルスルホニルアミノ−、アミノスルホニルアミノ−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル、アミノスルホニル−、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシ−もしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す]
の中間体、その製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体。
【0064】
特に、以下の制限;
i)Yが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−を表す;
ii)Xが直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、NR11、−NR11−C1〜2アルキル−、−CH−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表す;
iii)Rが水素、シアノ、ハロもしくはヒドロキシ、好ましくはハロを表す;
iv)Rが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、ArもしくはHetを表し;さらなる態様としてRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C2〜6アルキニル−もしくはHetを表し;特にRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシもしくはArを表す;
v)R11が水素、C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキルオキシカルボニルを表す;
vi)R12がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
vii)Hetが場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよいチアゾリルを表す;
viii)Het16がピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(III)の中間体。
【0065】
b)式(XXX)
【0066】
【化13】

【0067】
[式中、
およびYは各々独立してC1〜5アルキル、CO−C1〜5アルキルもしくはCO−CH15−NH−を表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR10、−NR10−C1〜2アルキル−、−CH−、−O−N=CH−もしくは−C1〜2アルキル−を表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR11、−NR11−C1〜2アルキル−、−CH−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ホルミル、C1〜6アルコキシ−、C1〜6アルキル−、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ヒドロキシもしくはハロから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、C1〜4アルキルカルボニル−、アミノカルボニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル−、Het、ホルミル、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、C3〜6シクロアルキル−、C3〜6シクロアルキルオキシ−、C1〜6アルコキシ−、Ar、Ar−オキシ−、ジヒドロキシボラン、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ハロ、ヒドロキシもしくはNRから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキル、
1〜4アルキルカルボニル−(ここで、該C1〜4アルキルは場合によりヒドロキシもしくはC1〜4アルキル−オキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい)を表し;
およびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルから選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)−アミノスルホニル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシカルボニル−C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル、Het−カルボニル−C1〜4アルキル−、Het10−カルボニル−、ポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−、Het11−C1〜4アルキル−またはAr−C1〜4アルキル−から選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、Het、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−もしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択され;
10は水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、Het17、Het18−C1〜4アルキル−、場合によりHet19−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくは1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
11は水素、C1〜4アルキル、Het13、Het14−C1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
18はAr、Ar−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜6アルケニルを表すか、あるいはR18はC1〜4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロ、Het、NR、NR−カルボニルもしくはHet−カルボニルから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
15は水素または場合によりフェニル、インドリル、メチルスルフィド、ヒドロキシ、チオール、ヒドロキシフェニル、アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、アミン、
イミダゾイルもしくはグアニジノで置換されていてもよいC1〜4アルキルを表し;
Hetはピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよく;
Hetはモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−、アミノC1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−スルホニル−、アミノスルホニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het、HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het、HetもしくはHetは場合によりヒドロキシ−、アミノ−、C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルまたはアミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHet10は各々独立してフラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetもしくはHet10は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−もしくはアミノ−C1〜4アルキル−で置換されていてもよく;
Het11はインドリルもしくは
【0068】
【化14】

【0069】
から選択される複素環を表し;
Het12はモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het12は場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはモノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het13はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het13は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−
1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、1,3,2−ジオキサボロランもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het17はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het18およびHet19は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het18およびHet19は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Ar、Ar、ArおよびArは各々独立して場合によりシアノ、C1〜4アルキルスルホニル−、C1〜4アルキルスルホニルアミノ−、アミノスルホニルアミノ−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル、アミノスルホニル−、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシ−もしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す]
の中間体、その製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体。
【0070】
特に、以下の制限;
i)Xが−O−を表す;
ii)Xが直接結合、−NR11−C1〜2アルキル−、−NR11−CH−、−C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表す;
iii)Rが水素もしくはハロを表す;
iv)Rが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表す;
v)R18が水素、C1〜4アルキル−、Ar−C1〜4アルキルを表すか、あるいはR18がC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表す;
vi)R11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
vii)R12がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
viii)Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様としてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
ix)Het14がモルホリニルを表す;
x)Het16がモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
xi)Arがフェニルを表す;
xii)Arが場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(XXX)の中間体。
【0071】
式(I)の化合物の合成における式(III)もしくは(XXX)の中間体の使用を提供することもまた本発明の目的である。
【0072】
本発明の化合物は、薬理学的特性を有するので有用である。従って、それらは薬剤として使用することができる。
【0073】
以下の実験部分に記述されるように、本発明の化合物の増殖阻害効果および抗腫瘍活性は、受容体チロシンキナーゼEGFRに対する酵素アッセイにおいてインビトロで示されている。別のアッセイにおいて、これらの化合物の増殖阻害効果は、LIVE/DEAD(Molecular Probes)もしくはMTTのような当該技術分野で既知の細胞毒性アッセイを用いて卵巣癌細胞系SKOV3に対して試験された。
【0074】
従って、本発明は治療における、さらに特に細胞増殖媒介疾患の処置もしくは予防における使用のための式(I)の化合物ならびにそれらの製薬学的に許容しうるN−オキシド、付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体を提供する。式(I)の化合物ならびにそれらの製薬学的に許容しうるN−オキシド、付加塩、第四級アミンおよび立体化学的異性体は、以下に本発明の化合物と称することができる。
【0075】
本発明の化合物が特に有用である疾患は、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、癌および糖尿病性合併症、例えば網膜症である。
【0076】
本発明の化合物の有用性を考慮して、本発明の化合物の有効量を投与することを含んでなる、アテローム性動脈硬化症、再狭窄および癌のような細胞増殖性疾患を患っている動物、例えばヒトを包含する哺乳類の処置の方法が提供される。該方法は、ヒトを包含する動物への本発明の化合物の有効量の全身もしくは局所投与を含んでなる。
【0077】
EGFRインヒビターとしてのそれらの高度の選択性のために、上記に定義するような式(I)の化合物はまた、受容体チロシンキナーゼ受容体内のキナーゼドメインを明らかにするかもしくは同定するためにも有用である。この目的のために、本発明の化合物は、特に分子における1つもしくはそれ以上の原子をそれらの放射性同位体で部分的にもしくは完全に置換することにより標識することができる。興味深い標識化合物の例は、ヨウ素、臭素もしくはフッ素の放射性同位体である少なくとも1個のハロを有する化合物;または少なくとも1個の11C−原子もしくはトリチウム原子を有する化合物である。
【0078】
1つの特定の群は、Rが放射性ハロゲン原子である式(I)の化合物からなる。原則として、ハロゲン原子を含有する式(I)の任意の化合物は、ハロゲン原子を適当な同位体で置換することにより放射性標識しやすい(prone for radiolabeling)。この目的に適当なハロゲン放射性同位体は、放射性ヨウ化物、例えば122I、123I、125I、131I;放射性臭化物、例えば75Br、76Br、77Brおよび82Brおよび放射性フッ化物、例えば18Fである。放射性ハロゲン原子の導入は、適当な交換反応によりもしくは式(I)のハロゲン誘導体を製造するために上記のような方法の任意の1つを用いることにより行うことができる。
【0079】
放射性標識の別の興味深い形態は、炭素原子を11C−原子で置換することもしくはトリチウム原子での水素原子の置換によってである。
【0080】
従って、式(I)の該放射性標識化合物は、生物学的材料において受容体部位を特異的に明らかにする方法において使用することができる。該方法は、(a)式(I)の化合物を放射性標識する段階、(b)この放射性標識化合物を生物学的材料に投与する段階、続いて(c)放射性標識化合物からの放射を検出する段階を含んでなる。
【0081】
生物学的材料という用語は、生物学的起源を有するあらゆる種類の材料を含んでなるものとする。さらに特に、この用語は組織サンプル、血漿もしくは体液をさすが、また動物、特に温血動物、もしくは臓器のような動物の一部もさす。
【0082】
インビボアッセイにおいて使用する場合、放射性標識化合物は、適切な組成物において動物に投与され、そして該放射性標識化合物の位置は、例えば、シングルフォトンエミッションコンピューター連動断層撮影(SPECT)もしくはポジトロンエミッション断層撮影(PET)などのような画像化技術を用いて検出される。このようにして体全体にわたる特定の受容体部位の分布を検出することができ、そして該受容体部位を含有する臓器を上記の画像化技術により視覚化することができる。式(I)の放射性標識化合物を投与し、そして放射性化合物からの放射を検出することにより臓器を画像化するこの方法もまた、本発明の一部を構成する。
【0083】
なおさらなる態様として、本発明は、上記の細胞増殖性疾患もしくは適応症のいずれかを処置するための薬剤の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0084】
治療効果を達成するために必要とされる、本明細書において有効成分とも呼ばれる本発明の化合物の量は、もちろん、特定の化合物、投与の経路、レシピエントの年齢および症状、ならびに処置する特定の疾患もしくは疾病によって異なる。適当な毎日用量は、0.01mg/kg〜300mg/kg体重、特に10mg/kg〜100mg/kg体重である。処置の方法にはまた、1日当たり1〜4回の間の摂取の処方計画で有効成分を投与することを包含することもできる。
【0085】
有効成分を単独で投与することは可能であるが、それを製薬学的組成物として与えることが好ましい。従って、本発明は、製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤と一緒に、本発明の化合物を含んでなる製薬学的組成物をさらに提供する。担体もしくは希釈剤は、組成物の他の成分と適合しそしてそのレシピエントに有害ではないという意味において「許容可能」でなければならない。
【0086】
本発明の製薬学的組成物は、薬学の当該技術分野において周知である任意の方法により、例えば、Gennaro et al.Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.,Mack Publishing Company,1990,特にPart8:Pharmaceutical preparations and their Manufactureを参照)に記述されているもののような方法を用いて製造することができる。有効成分として、塩基形態(base form)もしくは付加塩形態の特定の化合物の治療的に有効な量を、投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとり得る製薬学的に許容しうる担体とよく混合して合わせる。望ましくは、これらの製薬学的組成物は、好ましくは、経口、経皮もしくは非経口投与のような全身投与;または吸入、鼻腔用スプレー、点眼薬によるかもしくはクリーム、ゲル、シャンプーなどによるような局所投与に適当な単位投与形態物である。例えば、経口用投与形態物の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および液剤のような経口用液状製剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、澱粉、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口用投与単位形態物に相当し、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、例えば溶解性を促進するために、他の成分を含むことができるが、担体は、通常、少なくとも大部分において滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、沈殿防止剤などを用いることができる。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなり、これらの添加剤は皮膚へのいかなる重大な悪影響ももたらさない。該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、そして/もしくは所望の組成物を製造するのに役立つことができる。これらの組成物は様々な方法で、例えば経皮パッチとして、スポットオンとしてもしくは軟膏として投与することができる。
【0087】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投与単位形態物における上記の製薬学的組成物を調合することは特に好都合である。投与単位形態物は、本明細書および本明細書の請求項において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような投与単位形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、注入可能な液剤もしくは懸濁剤、茶さじ一杯分、大さじ一杯分など、およびその分離した倍量である。
【0088】
実験部分
以下で、「ADDP」という用語は1,1’−(アゾジカルボニル)ビス−ピペリジンと定義され、「BuLi」はブチル−リチウムと定義され、「DCM」はジクロロメタンと定義され、「DIPE」はジイソプロピルエーテルと定義され、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドと定義され、「MeOH」はメタノールと定義され、「THF」はテトラヒドロフランと定義され、「iPrOH」は2−プロパノールと定義され、「t−BuOH」は2−メチル−2−ブタノールと定義され、「AcOEt」は酢酸エチルと定義され、「TFA」はトリフルオロ酢酸と定義され、「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンと定義され、「HBTU」は1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−,ヘキサフルオロリン酸(1−),1H−ベンゾトリアゾリウム,3−オキシドと定義され、「(n−Bu)NI」はヨウ化テトラブチルアンモニウムと定義され、「NMP」は1−メチル−2−ピロリジノンと定義され、そして「EtN」はN,N−ジエチルエタナミンと定義される。
[実施例O1]
【0089】
式12の化合物の合成についての一般的な記述
【0090】
【化15】

【0091】
上記のスキーム9において使用する場合;RおよびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルを表すか、またはRおよびRは一緒になってピロリジニル、イミダゾリニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピラゾリジニルもしくはピペラジニルから選択される複素環を形成し;nは0、1、2もしくは3を表す。
【0092】
還元的アミノ化
1,2−ジクロロエタン(3mL/mmol)中の1(1当量)および2(1当量)の溶液に、MgSOを加え(1.5当量)、そして混合物を室温で90分間攪拌する。得
られる混合物にNaBH(OAc)(1.1当量)を3分割して(in three portions)加え(時間当たり1部分)、そして得られる混合物を室温でさらに2時間攪拌する。反応混合物をNaCOの飽和溶液に注ぎ込み、そしてジクロロメタン(3x)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、AcOEt/ヘキサン混合物)により精製して純粋な3を生成せしめる。
【0093】
ニトロ基の還元
メタノール(5mL/mmol)中の3(1当量)の溶液に、Pt/Cを加え(10%
w/w)、そして得られる混合物をH大気(バルーン)下に置き、そして室温で一晩(14時間)攪拌する。混合物をセライトの短いパッドを通して濾過し、そして濃縮乾固させる。ある場合には、フラッシュクロマトグラフィーによる精製がタイプ4の純粋なアニリンを生成せしめるために必要とされる。
【0094】
求核置換
iPrOHもしくはt−BuOH(11mL/mmol)中のクロロシアノキノリン5(1.05当量)の攪拌懸濁液に、4を加える(1当量)。混合物をN下で還流温度下で6〜8時間反応させる。反応混合物を蒸発乾固させ、そして得られる残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、AcOEt/ヘキサン混合物)により精製して純粋な6を生成せしめる。
【0095】
脱アシル化
化合物6をMeOH/NH 7N(8mL/mmol)に溶解する。この溶液に、iPrOH(2mL/mmol)を加え、そして反応混合物を室温で30〜120分間攪拌する(TLCモニタリング)。混合物を濃縮乾固させ、そして得られる生成物をさらに精製せずに次の段階において使用する。
【0096】
アルキル化反応
DMF(5mL/mmol)中の7の攪拌溶液に、CsCO(3当量)、続いてアルキル化試薬(2.5当量)を加える。反応混合物を室温で一晩攪拌する。必要に応じて、追加の3当量のCsCOおよび2.5当量のアルキル化試薬を加え、そして反応が完全に終了するまで(TLCモニタリング)反応混合物を室温でさらに攪拌する。反応混合物をブラインとAcOEtとの間で分配し、そして層を分離する。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させる。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/n−ヘキサン)により精製して純粋な9を生成せしめる。
【0097】
Boc基の切断
CHCl(3mL/mmol)中の9の冷却(0℃)溶液に、TFA(2mL/mmol)を滴下して加える。得られる混合物を室温まで温め、そして1〜2時間攪拌する。塩基性pHに到達するまでNaHCOの飽和溶液を反応混合物に加える。混合物をCHCl(2x)で抽出する。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮乾固させる。生成する遊離アミンは、さらに精製せずに次の段階において使用するのに十分な純度で得られる。
【0098】
エステル基の鹸化
MeOH/HO(10:1)中の10の溶液にLiOH・HO(5当量)を加え、そして反応混合物を室温で2時間まで攪拌する。溶媒を真空下で蒸発させ、そして残留物をDMFに溶解し、そして焼結ガラス漏斗を通して濾過する。DMFを除き、そして生成物をそのようなものとしてその後の反応において使用する。
【0099】
環化反応
DMF(10mL)中の11(0.25mmol、1当量)およびDIPEA(6当量)の溶液をDMF(100mL/11のmmol)中のHBTU(3当量)の溶液に滴下して加える。得られる混合物を室温で1時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、そして生成物を逆相HPLCにより精製する。
【0100】
上記の合成方法により、以下の化合物が得られる:
7−クロロ−8−フルオロ−21−メトキシ−13−オキソ−10,11,12,13,14,15,16,17−オクタヒドロ−5H−1,19−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,10,13]ベンゾキサトリアザシクロヘキサデシン−4−カルボニトリル(化合物1.1)
20−クロロ−19−フルオロ−23−メトキシ−12−オキソ−9,10,11,12,12a,13,14,15,17,22−デカヒドロ−8H−4,6−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b]ピロロ[2,1−l][6,1,10,13]ベンゾキサトリアザシクロヘキサデシン−4−カルボニトリル(化合物1.2)
7−クロロ−8−フルオロ−21−メトキシ−11−メチル−13−オキソ−10,11,12,13,14,15,16,17−オクタヒドロ−5H−1,19−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,10,13]ベンゾキサトリアザシクロヘキサデシン−4−カルボニトリル(化合物1.3)
17−クロロ−16−フルオロ−20−メトキシ−13−メチル−11−オキソ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−4,6−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,9,12]ベンゾキサトリアザシクロペンタデシン−1−カルボニトリル(化合物1.4)
7−クロロ−8−フルオロ−12−イソブチル−21−メトキシ−13−オキソ−10,11,12,13,14,15,16,17−オクタヒドロ−5H−1,19−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,10,13]ベンゾキサトリアザシクロヘキサデシン−4−カルボニトリル(化合物1.5)
[実施例O2]
【0101】
式13の化合物の合成についての一般的な記述
【0102】
【化16】

【0103】
上記のスキーム10において使用する場合;Xはハロ、特にクロロ、フルオロもしくはブロモを表し;nは0、1、2もしくは3を表し;mは0、1、2もしくは3を表す。
【0104】
アミド形成
CHCl(5mL/mmol)中の1(1当量)の攪拌溶液に、ジイソプロピルカルボジイミド(1.05当量)を加える。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次にアミン2(1.05当量)を加え、そして攪拌をさらに30分間続ける。次に、反応混合物を1Nのクエン酸とCHClとの間で分配する。層を分離し、そして有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて、次の段階において使用するのに十分な純度
を有する3を生成せしめる。
【0105】
ニトロ基の還元
MeOH(5mL/mmol)中の3(1当量)の溶液に、Pt/Cを加え(10% w/w)、そして得られる混合物をH大気(バルーン)下に置き、そして室温で一晩(14時間)攪拌する。混合物をセライトの短いパッドを通して濾過し、そして濃縮乾固させる。ある場合には、フラッシュクロマトグラフィーによる精製がタイプ4の純粋なアニリンを生成せしめるために必要とされる。
【0106】
求核置換
iPrOH(11mL/mmol)中のクロロシアノキノリン5(1.05当量)の攪拌懸濁液に、4(1当量)および数滴の濃HClを加える。混合物をN下で還流温度下で6〜8時間反応させる。反応混合物を蒸発乾固させ、そして得られる残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、AcOEt/ヘキサン混合物)により精製して純粋な6を生成せしめる。
【0107】
Boc基の切断
CHCl(3mL/mmol)中の6の冷却(0℃)溶液に、TFA(2mL/mmol)を滴下して加える。得られる混合物を室温まで温めておき、そして1〜2時間攪拌する。塩基性pHに到達するまでNaHCOの飽和溶液を反応混合物に加える。混合物をCHCl(2x)で抽出する。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮乾固させる。生成する遊離アミンは、さらに精製せずに次の段階において使用するのに十分な純度で得られる。
【0108】
スルホニル化反応
CHCl(2mL/mmol)中、7(1当量)の冷却(0℃)溶液に、EtN(1.5当量)およびDMAP(10%mol)を加える。CHCl(1mL/7のmmol)中の塩化オルト−ニトロベンゾスルホニル(1.1.当量)の溶液を滴下して加える。反応混合物を0℃で攪拌し、そして室温まで一晩温めておく。酸性pHに到達するまで1N HClを加え、そして層を分離する。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させる。得られる残留物をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン)により精製して純粋な9を生成せしめる。
【0109】
脱アシル化
化合物9をMeOH/NH 7N(8mL/mmol)に溶解する。この溶液に、iPrOH(2mL/mmol)を加え、そして反応混合物を室温で30〜120分間攪拌する(TLCモニタリング)。混合物を濃縮乾固させ、そして得られる生成物をさらに精製せずに次の段階において使用する。
【0110】
アルキル化反応
DMF(5mL/mmol)中の10の攪拌溶液に、CsCO(3当量)、続いてアルキル化試薬(2.5当量)を加える。反応混合物を室温で一晩攪拌する。必要に応じて、追加の3当量のCsCOおよび2.5当量のアルキル化試薬を加え、そして反応が完全に終了するまで(TLCモニタリング)反応混合物を室温で攪拌する。反応混合物をブラインとAcOEtとの間で分配し、そして層を分離する。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させる。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/n−ヘキサン)により精製して純粋な11を生成せしめる。
【0111】
環化反応
MeCN(60mL/mmol)中の11(1当量)の溶液をMeCN(30mL/m
mol)中のCsCO(5当量)および(n−Bu)NI(2当量)の混合物上に室温で滴下して加える。反応混合物を65℃で一晩攪拌する。反応の完了の際に(LCモニタリング)、HOを加える。得られる沈殿物を濾過により集め、そしてHOで洗浄する。生成物を65℃で真空下で乾燥させる。固形物をiPrOH中で沸騰させる。固形物を濾過し、そして乾燥させる。
【0112】
脱スルホニル化反応
DMF(45mL/12のmmol)中の12(1当量)、チオフェノール(1.2当量)およびCsCO(3当量)の混合物を室温で2時間攪拌する.反応混合物を氷HOでクエンチし,そしてCHCl/MeOH(90:10)で抽出する。分離した有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させる。生成物を逆相HPLCにより精製する。
【0113】
上記の合成方法により、以下の化合物が得られる:
7−ブロモ−23−メトキシ−12−オキソ−10,11,12,13,14,15,16,17,18,19−デカヒドロ−5H−1,21−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,10,13]ベンゾキサトリアザシクロオクダデシン−4−カルボニトリル(化合物1.6)
7−クロロ−23−メトキシ−11−オキソ−10,11,12,13,14,15,16,17,18,19−デカヒドロ−5H−1,21−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,10,14]ベンゾキサトリアザシクロオクタデシン−4−カルボニトリル(化合物2.1)
7−クロロ−24−メトキシ−12−オキソ−5,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20−ドデカヒドロ−1,22−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,10,14]ベンゾキサトリアザシクロノナデシン−4−カルボニトリル(化合物2.2)
7−クロロ−23−メトキシ−12−オキソ−10,11,12,13,14,15,16,17,18,19−デカヒドロ−5H−1,21−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,10,13]ベンゾキサトリアザシクロオクタデシン−4−カルボニトリル(化合物2.4)
[実施例O3]
【0114】
式8の化合物の合成についての一般的な記述
【0115】
【化17】

【0116】
22−メトキシ−14−オキソ−11,12,13,14,15,16,17,18−オクタヒドロ−5H−1,20−(エタンジイリデン)ピリド[3,4−m][1,10,6,15]ベンゾジオキサジアザシクロヘプタデシン−4−カルボニトリル(化合物2.3)
【0117】
求核置換
iPrOH(11mL/mmol)中のクロロシアノキノリン2(1.05当量)の攪拌懸濁液に、1(1当量)、続いてEtN(1当量)を加える。混合物をN大気下で6時間加熱還流する。反応混合物を蒸発乾固させ、そして得られる残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、AcOEt/ヘキサン混合物)により精製して純粋な3を生成せしめる。
【0118】
脱アシル化
化合物3をMeOH/NH 7N(8mL/mmol)に溶解する。この溶液に、iPrOH(2mL/mmol)を加え、そして反応混合物を室温で30〜120分間攪拌する(TLCモニタリング)。混合物を濃縮乾固させ、そして得られる生成物をさらに精
製せずに次の段階において使用する。
【0119】
アルキル化反応
DMF(5mL/mmol)中の4の攪拌溶液に、CsCO(3当量)、続いてアルキル化試薬(2.5当量)を加える。反応混合物を室温で一晩攪拌する。反応混合物をブラインとAcOEtとの間で分配し、そして層を分離する。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させる。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/n−ヘキサン)により精製して純粋な5を生成せしめる。
【0120】
Boc基の切断
CHCl(3mL/mmol)中の5の冷却(0℃)溶液に、TFA(2mL/mmol)を滴下して加える。得られる混合物を室温まで温めておき、そして1〜2時間攪拌する。塩基性pHに到達するまでNaHCOの飽和溶液を反応混合物に加える。混合物をCHCl(2x)で抽出する。合わせた有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮乾固させる。生成する遊離アミンは、さらに精製せずに次の段階において使用するのに十分な純度で得られる。
【0121】
エステル基の鹸化
MeOH/HO(10:1)中の6の溶液に、LiOH・HO(5当量)を加え、そして反応混合物を室温で2時間まで攪拌する。溶媒を真空下で蒸発させ、そして残留物をDMFに溶解し、そして焼結ガラス漏斗を通して濾過する。DMFを除去し、そして生成物をそのようなものとしてその後の反応において使用する。
【0122】
環化反応
DMF(10mL)中の7(0.25mmol、1当量)およびDIPEA(6当量)の溶液をDMF(100mL/7のmmol)中のHBTU(3当量)の溶液に滴下して加える。得られる混合物を室温で1時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、そして生成物を逆相HPLCにより精製する。
[実施例O4]
【0123】
式6の化合物の合成についての一般的な記述
【0124】
【化18】

【0125】
17−クロロ−16−フルオロ−20−メトキシ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−4,6−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,12]ベンゾキサジアザシクロペンタデシン−1−カルボニトリル(化合物2.5)
【0126】
求核置換
t−BuOH/DMF 12:1(11mL/mmol)中のクロロシアノキノリン2(1.05当量)の攪拌懸濁液に、1を加える。混合物を80℃までN下で6時間温める。反応混合物を蒸発乾固させ、そして得られる残留物をMeCNにおいて1時間攪拌する。固体沈殿物を濾過により集め、MeCNで洗浄し、そして乾燥させて純粋な3を63%の収率で生成せしめる。
【0127】
塩素化反応
塩化メチルスルホニル(9.4mL)を室温で50mLのNMP中の3(12.50mmol)の溶液に加える。次に、反応混合物を90℃で1時間攪拌する。次に、反応混合物を300mLのHO中に注ぎ出し、水層をAcOEt(3x100mL)で抽出する。合わせた有機層をHO(2x100mL)で洗浄し、そして最後に有機層を乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮する。得られる残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して純粋な4を90%の収率で生成せしめる。
【0128】
環化反応
化合物4(5.0mmol)およびKCO(5当量)を予熱した密閉反応器において150℃で83mLのDMA/HO(1:1)中で30分間攪拌する。反応混合物を
減圧下で濃縮し、そして残留物を逆相HPLCにより精製して5を生成せしめる。
【0129】
CBz基の除去
MeOH(5mL/mmol)中の5(1当量)の溶液に、Pt/Cを加え(10% w/w)、そして得られる混合物をH大気(バルーン)下に置き、そして室温で一晩(14時間)攪拌する。混合物をセライトの短いパッドを通して濾過し、そして濃縮乾固させる。残留物を逆相HPLCにより精製して純粋な6を生成せしめる。
[実施例O5]
【0130】
式10の化合物の合成についての一般的な記述
【0131】
【化19】

【0132】
7−クロロ−8−フルオロ−21−メトキシ−11−メチル−10,11,12,13,14,15,16,17−オクタヒドロ−5H−1,19−(エタンジイリデン)ピリド[4,3−b][6,1,13]ベンゾキサジアザシクロヘキサデシン−4−カルボニトリル(化合物2.6)
【0133】
還元的アミノ化
1,2−ジクロロエタン(3mL/mmol)中の1(1当量)および2(1当量)の溶液に、MgSOを加え(1.5当量)、そして混合物を室温で90分間攪拌する。得られる混合物にNaBH(OAC)(1.1当量)を3分割して加え(時間当たり1部分)、そして得られる混合物を室温でさらに2時間攪拌する。反応混合物をNaCO
の飽和溶液に注ぎ込み、そしてCHCl(3x)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、AcOEt/ヘキサン混合物)により精製して純粋な3を生成せしめる。
【0134】
ニトロ基の還元
O中のNHClの0.5M溶液5当量を室温でトルエン中のニトロ誘導体3(1当量)の0.1M溶液に加える。強く攪拌しながら鉄粉(5当量)を加える。反応混合物を還流温度で1時間攪拌し、そして次に室温に冷却し、セライトパッドを通して濾過し、そして有機層を分離し、MgSO上で乾燥させ、そして減圧下で蒸発させる。アニリン4は定量的に得られ、そしてさらに精製せずに次の段階において使用するのに十分に純粋である。
【0135】
求核置換
iPrOH(11mL/mmol)中のクロロシアノキノリン5(1.05当量)の攪拌懸濁液に、4を加える(1当量)。混合物をN下で還流温度下で6〜8時間反応させる。反応混合物を蒸発乾固させ、そして得られる残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、AcOEt/ヘキサン混合物)により精製して純粋な6を生成せしめる。
【0136】
脱アシル化
化合物6をMeOH/NH 7N(8mL/mmol)に溶解する。この溶液に、iPrOH(2mL/mmol)を加え、そして反応混合物を室温で30〜120分間攪拌する(TLCモニタリング)。混合物を濃縮乾固させ、そして得られる生成物をさらに精製せずに次の段階において使用する。
【0137】
アルキル化反応
DMF(5mL/mmol)中の7の攪拌溶液に、CsCO(3当量)、続いてアルキル化試薬(2.5当量)を加える。反応混合物を室温で一晩攪拌する。
【0138】
閉環メタセシス
無水(anh.)CHCl(100mL/mmol)中の8(1当量)の溶液に、グラブス触媒第二世代を加える(20%mol)。得られる混合物をN大気下で攪拌しながら4時間還流する。その後、追加の触媒(20%mol)を加え、そして混合物をさらに2時間攪拌し、その時までに反応は本質的に完了する。溶媒を減圧下で除き、そして得られる粗物質をフラッシュクロマトグラフィー(AcOEt/ヘキサン)により精製して純粋な生成物9を生成せしめる。
【0139】
二重結合の水素化
MeOH(5mL/mmol)中の9(1当量)の溶液に、Pt/Cを加え(10% w/w)、そして得られる混合物をH大気(バルーン)下に置き、そして室温で一晩(14時間)攪拌する。混合物をセライトの短いパッドを通して濾過し、そして濃縮乾固させる。残留物を逆相HPLCにより精製して純粋な10を生成せしめる。
A.中間体の製造
[実施例A1]
【0140】
a)1−ペンタノール,5−[[(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル]アミノ]−(中間体1)の製造
エタノール(15mL)中の4−ブロモ−2−ニトロ−ベンズアルデヒド(0.013mol)、5−アミノ−1−ペンタノール(0.013mol)およびチタン,テトラキス(2−プロパノレート)(0.014mol)の溶液を室温で1時間攪拌し、次に反応
混合物を50℃に加熱し、そして30分間攪拌した。混合物を室温に冷却し、そしてヒドロホウ酸ナトリウム(0.013mol)を少しずつ加えた。反応混合物を一晩攪拌し、そして次に氷水(50ml)中に注ぎ出した。得られる混合物を20分間攪拌し、生じた沈殿物を濾過して分離し(濾液(I)を与える)、水で洗浄し、そしてDCM中で攪拌した(生成物を溶解するためそしてTi塩からそれを除くため)。混合物を濾過し、そして次に濾液を乾燥させ(MgSO)、そして濾過し、最後に溶媒を蒸発乾固させた。濾液(I)をエタノールが除去されるまで蒸発させ、そして水性濃縮物をDCMで2回抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過して分離し、そして溶媒を蒸発乾固させ、3.8g(93%)の中間体1を生成せしめた。
【0141】
b)カルバミン酸,[(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル](5−ヒドロキシペンチル)−,1,1−ジメチルエチルエステル(中間体2)の製造
DCM(20mL)中の中間体1(0.0032mol)の溶液を室温で攪拌し、そしてDCM(5ml)中のジカルボン酸,ビス(1,1−ジメチルエチル)エステル(0.0032mol)の溶液を滴下して加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌し、そして水で2回洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過して分離し、そして溶媒を蒸発乾固させ、中間体2を生成せしめた。
【0142】
c)カルバミン酸,[5−(アセチルオキシ)ペンチル][(4−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチル]−,1,1−ジメチルエチルエステル(中間体3)の製造
無水酢酸(15mL)中の中間体2(0.0032mol)およびピリジン(0.032mol)の溶液を室温で16時間攪拌し、次に溶媒を減圧下で蒸発させ、そしてトルエンと共蒸着させた。残留物をそのようなものとして次の反応段階において使用し、1.47g(100%)の中間体3を生成せしめた。
d)カルバミン酸,[5−(アセチルオキシ)ペンチル][(2−アミノ−4−ブロモ−フェニル)メチル]−,1,1−ジメチルエチルエステル(中間体4)の製造
THF(50ml)中の中間体3(0.0033mol)の混合物をチオフェン溶液(0.5ml)の存在下でPt/C 5%(0.5g)を触媒として水素化した。H(3当量)の取り込み後に、触媒を濾過して分離し、そして濾液を蒸発させ、中間体4を生成せしめた。
[実施例A2]
【0143】
a)安息香酸,2−アミノ−4−メトキシ−5−(フェニルメトキシ)−,メチルエステル(中間体5)の製造
THF(400ml)中の4−メトキシ−2−ニトロ−5−(フェニルメトキシ)−安息香酸,メチルエステル(0.166mol)およびトリエチルアミン(0.198mol)の混合物をDIPE(4ml)中チオフェンの存在下でPt/C(5g)を触媒として水素化した。水素(3当量)の取り込み後に、触媒を濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。残留物をDIPE(300ml)で処理し、そして3時間攪拌し、次に得られる沈殿物を濾過して分離し、そして真空オーブン中で乾燥させ、45.9g(96%)の中間体5を生成せしめた。
【0144】
b)3−キノリンカルボニトリル,4−ヒドロキシ−7−メトキシ−6−(フェニル−メトキシ)−(中間体6)の製造
DMF(30ml)中の中間体5(0.029mol)および1,1−ジメトキシトリメチルアミン(0.058mol)の混合物を攪拌し、そして2.5時間還流し、次に溶媒を蒸発させ、そしてトルエン(2x)と共蒸着させ、残留物(I)を生成せしめた。THF(40ml)中のn−BuLiの溶液、ヘキサン中2.5M(0.058mol)を攪拌し、そして−75℃に冷却し、そしてアセトニトリル(0.058mol)を30分で滴下して加えた。15分後に、THF(40ml)中の残留物(I)の溶液を滴下して
加え、そして反応を−75℃で酢酸(0.058mol)でクエンチし、次に混合物を室温に到達させ、そして水(50ml)で希釈した。有機溶媒(THF)を蒸発させ、そして水性濃縮物を2−プロパノール(10ml)で希釈した。この混合物を1時間攪拌し、そして次に得られる沈殿物を濾過し、そして空気乾燥させ、4.4gの中間体6を生成せしめた。濾液を蒸発させ、そして次に残留物を水およびDCM/MeOH(90/10)で処理した。得られる混合物を15分間攪拌し、そして得られる固体を集め、そして空気乾燥させ、1.8gの中間体6を生成せしめた。全収量:6.2g(70.4%)。
【0145】
c)3−キノリンカルボニトリル,4,6−ジヒドロキシ−7−メトキシ−(中間体7)の製造
トリエチルアミン(3ml)およびTHF中の中間体6(0.016mol)の混合物をPd/C(1.0g)を触媒として水素化した。H(1当量)の取り込み後に、触媒を濾過して分離し、そして濾液を蒸発させ、2.8gの中間体7を生成せしめた(そのようなものとして次の反応段階において使用する)。
【0146】
d)3−キノリンカルボニトリル,6−(アセチルオキシ)−4−ヒドロキシ−7−メトキシ−(中間体8)の製造
無水酢酸(30ml)中の中間体7(0.011mol)およびピリジン(0.016mol)の混合物を95℃で油浴上で1時間加熱し、次に反応混合物を室温に到達させ、そして一晩攪拌した。溶媒を蒸発させ、そして次に残留物をDIPE(30ml)で処理し、そして混合物を2時間攪拌した。得られる沈殿物を集め、そして蒸発させ、2.58g(90.8%)の中間体8を生成せしめた。
【0147】
e)3−キノリンカルボニトリル,6−(アセチルオキシ)−4−クロロ−7−メトキシ−(中間体9)の製造
塩化チオニル(25ml)中の中間体8(0.01mol)およびDMF(3滴)の混合物を80℃で油浴上で2時間加熱し、次に溶媒を蒸発させた。残留物をDIPEで処理し、そして混合物を1時間攪拌した。得られる固体を濾過して分離し、そして空気乾燥させた。残留物(2.7g)をDCMに溶解し、そしてNaHCO溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過して分離し、そして溶媒を蒸発させ、2.5gの中間体9を生成せしめた。
【0148】
f)カルバミン酸,[[2−[[6−(アセチルオキシ)−3−シアノ−7−メトキシ−4−キノリニル]アミノ]−4−ブロモフェニル]メチル][5−(アセチルオキシ)ペンチル]−,1,1−ジメチルエチルエステル(中間体10)の製造
2−プロパノール(20ml)中の中間体9(0.0018mol)および中間体4(0.0018mol)の混合物を65℃で油浴上で一晩加熱し、次に溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:DCM/MeOH 99.7/0.3)。1つの画分を集め、そしてカラムをDCM/MeOH/THF(90/5/5)で再び溶出した。もう一つの画分を集め、そしてシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーによりさらに精製した(溶離剤:DCM/MeOH勾配)。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、0.61g(50.6%)の中間体10を生成せしめた。
【0149】
g)カルバミン酸,[[4−ブロモ−2−[(3−シアノ−6−ヒドロキシ−7−メトキシ−4−キノリニル)アミノ]フェニル]メチル](5−ヒドロキシペンチル)−,1,1−ジメチルエチルエステル(中間体11)の製造
MeOH(20ml)中の中間体10(0.000896mol)の攪拌溶液を水(5ml)中の炭酸カリウム(0.0018mol)の溶液で処理した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、そして次にpH:7まで酢酸で中和した。溶媒を蒸発させた。残留物をDC
Mで希釈し、そして水で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過して分離し、そして溶媒を蒸発させ、0.38g(73.1%)の中間体11を生成せしめた、融点114.3〜136.2℃。
B.化合物の製造
[実施例B1]
【0150】
a)4,6−エタンジイリデンピリド[4,3−b][6,1,12]ベンゾキサジアザシクロペンタデシン−13(8H)−カルボン酸,17−ブロモ−1−シアノ−9,10,11,12,14,19−ヘキサヒドロ−20−メトキシ−,1,1−ジメチルエチルエステル(化合物1)の製造
THF p.a.(40ml)中の中間体11(0.000649mol)およびADDP(0.00094mol)の混合物をトリブチルホスフィン(0.00094mol)で1時間処理し、そして次に追加のADDP(0.00094mol)およびトリブチルホスフィン(0.00094mol)を加えた。16時間後に、溶媒を部分的に蒸発させ、そして得られる濃縮物を濾過し、そして濾液を蒸発させた。残留物をTHF p.a.(40ml)に溶解し、そして次にADDP(2当量)、続いてトリブチルホスフィン(2当量)を加えた。得られる混合物を逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製した。生成物画分を集め、そして溶媒を蒸発させ、0.0955g(26.0%)の化合物1を生成せしめた。
【0151】
b)4,6−エタンジイリデンピリド[4,3−b][6,1,12]ベンゾキサジアザシクロペンタデシン−1−カルボニトリル,17−ブロモ−8,9,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−20−メトキシ−,1塩酸塩(化合物2)の製造
MeOH(5ml)中の化合物1(0.00012mol)の溶液をHCl/2−プロパノール(6N)(1ml)で処理し、そして反応混合物を週末にわたって攪拌した。得られる沈殿物を集め、そして真空オーブン中で乾燥させ、1塩酸塩として単離される、0.0197gの化合物2を生成せしめた。
C.薬理学的実施例
[実施例C.1]
【0152】
EGFRのインビトロ阻害
EGFRのインビトロ阻害は、フラッシュプレート技術もしくはDavies,S.P.et al.,Biochem J.(2000),351;p.95−105により記述されるようなガラスファイバーフィルター技術のいずれかを用いて評価した。フラッシュプレート技術は、一般に、B.A.Brown et al.によりHigh Throughput Screening(1997),p.317−328.編集者:Devlin,John P.出版社:Dekker,New York,N.Y.に記述されている。
【0153】
フラッシュプレートEGFRキナーゼ反応アッセイでは、ビオチニル化ポリ(L−グルタミン酸−L−チロシン)(ポリ(GT)ビオチン)からなるキナーゼ基質を(33P)放射性標識ATPの存在下で上記のタンパク質とインキュベーションする。次に、基質の(33P)リン酸化を標識ビオチンと放射性標識基質との結合を捕獲しそして定量することによりストレプトアビジン被覆フラッシュプレート(PerkinElmer Life Sciences)を用いて放射される光エネルギーとして測定する。
【0154】
詳細な記述
EGFRキナーゼ反応は、96ウェルマイクロタイターフラッシュプレート(PerkinElmer Life Sciences)において30℃で60分間行われる。試験化合物の各々について総用量反応1.10−6M〜1.10−10Mが行われている。
イレッサおよびタルセバTM(エルロチニブ)を対照化合物として用いた。100μlの反応容量は、54.5mMのTrisHCl pH8.0、10mMのMgCl、100μMのNaVO、5.0μMの非標識ATP、1mMのDTT、0.009%のBSA、0.8μCiのAT33P、0.35μg/ウェルのポリ(GT)ビオチンおよび0.5μgのEGFR−キナーゼドメイン/ウェルを含有する。
【0155】
反応混合物を吸引し、そしてプレートを200μlの洗浄/停止バッファー(PBS+100mM EDTA)で3x洗浄することにより反応を止める。最終洗浄段階の後に200μlの洗浄/停止バッファーを各ウェルに加え、そしてリン酸化(33P)ポリ(GT)ビオチンの量をマイクロタイタープレートシンチレーションカウンターにおいて計数することにより(30秒/ウェル)決定した。
【0156】
ガラス−ファイバーフィルター技術EGFRキナーゼ反応アッセイでは、ポリ(L−グルタミン酸−L−チロシン)(ポリ(GT))からなるキナーゼ基質を(33P)放射性標識ATPの存在下で上記のタンパク質とインキュベーションする。次に、基質の(33P)リン酸化をガラスファイバーフィルター上に結合した放射活性として測定する。
【0157】
詳細な記述
EGFRキナーゼ反応は、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて25℃で10分間行われる。試験化合物の各々について総用量反応1.10−6M〜1.10−10Mが行われている。イレッサおよびタルセバTM(エルロチニブ)を対照化合物として用いた。25μlの反応容量は、60mMのTrisHCl pH7.5、3mMのMgCl、3mMのMnCl、3μMのNaVO、50μg/mlのPEG20000、5.0μMの非標識ATP、1mMのDTT、0.1μCiのAT33P、62.5ng/ウェルのポリ(GT)および0.5μgのEGFR−キナーゼドメイン/ウェルを含有する。
【0158】
5μlの3%リン酸溶液を加えることにより反応を止める。次に、10μlの反応混合物をFiltermat Aフィルター(Wallac)上にスポットし、そして5分間75mMのリン酸において3回、そして5分間メタノールにおいて1回洗浄し、その後に乾燥させ、そしてLE phosphorage storageスクリーンを用いてTyphoon(Amersham)上で定量する。
[実施例C.2]
【0159】
卵巣癌SKOV3細胞上での血清飢餓増殖アッセイ
全細胞におけるEGFへの化合物の阻害効果を評価するために、卵巣癌細胞系(SKOV3)を上皮増殖因子刺激細胞増殖アッセイにおいて使用した。
【0160】
第一段階として、SKOV3細胞を10%のFCS血清の存在下で24時間インキュベーションした。第二段階として細胞を試験する化合物と無血清条件(37℃および5%(v/v)CO)においてインキュベーションし、そして次にEGFで100ng/mlの最終濃度で72時間刺激した。EGF刺激への化合物の効果は、標準的なMTT細胞生存アッセイにおいて最終的に評価した。
【0161】
以下の表は、上記のキナーゼアッセイを用いて得られる、本発明の化合物のpIC50値を提供する。
【0162】
【表1】

【0163】
D.組成物実施例
以下の製剤は、本発明による動物およびヒト被験体への全身投与に適当な典型的な製薬学的組成物を例示する。
【0164】
「有効成分」(A.I.)は、これらの実施例の全体にわたって使用する場合に式(I)の化合物もしくはその製薬学的に許容しうる付加塩に関する。
[実施例D.1]
【0165】
フィルムコート錠
【0166】
錠剤コアの製造
A.I.(100g)、ラクトース(570g)および澱粉(200g)の混合物をよく混合し、そしてその後に約200mlの水中のドデシル硫酸ナトリウム(5g)およびポリビニルピロリドン(10g)の溶液で湿らせた。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させ、そして再びふるいにかけた。次に、微晶質セルロース(100g)および水素化植物油(15g)を加えた。全体をよく混合し、錠剤に圧縮し、各々10mgの有効成分を含んでなる10,000個の錠剤を生成せしめた。
【0167】
コーティング
変性エタノール(75ml)中のメチルセルロース(10g)の溶液にCHCl(150ml)中のエチルセルロース(5g)の溶液を加えた。次に、CHCl(75ml)および1,2,3−プロパントリオール(2.5ml)を加えた。ポリエチレングリコール(10g)を溶融し、そしてジクロロメタン(75ml)に溶解した。後者の溶液を前者に加え、そして次にオクタデカン酸マグネシウム(2.5g)、ポリビニル−ピロリドン(5g)および濃縮色懸濁液(30ml)を加え、そして全体を均質化した。このようにして得られる混合物で錠剤コアをコーティング装置においてコーティングした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
ZはO、NHもしくはSを表し;
Yは−C3〜9アルキル−、−C3〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−CO−NR14−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−CO−NH−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−NH−C1〜6アルキル−、−NH−CO−C1〜6アルキル−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−、C1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキル−NH−CO−CH15−NH−を表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR10、−NR10−C1〜2アルキル−、NR16−CO−、NR16−CO−C1〜2アルキル、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR11、NR11−C1〜2アルキル−、NR17−CO−、NR17−CO−C1〜2アルキル、Het20−C1〜2アルキル、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ホルミル、C1〜6アルコキシ−、C1〜6アルキル−、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ヒドロキシもしくはハロから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、C1〜4アルキルカルボニル−、アミノカルボニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル−、Het、ホルミル、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、C3〜6シクロアルキル−、C3〜6シクロアルキルオキシ−、C1〜6アルコキシ−、Ar、Ar−オキシ−、ジヒドロキシボラン、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ハロ、ヒドロキシもしくはNRから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキル、
1〜4アルキルカルボニル−(ここで、該C1〜4アルキルは場合によりヒドロキシもしくはC1〜4アルキル−オキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい)を表し;
は水素、ヒドロキシ、Ar−オキシ、Ar−C1〜4アルキルオキシ−、C1〜4アルキルオキシ−、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜4アルケニルオキシ−を表すか、あるいはRはC1〜4アルキルオキシ−、ヒドロキシ、ハロ、Het−、−NR、−カルボニル−NRもしくはHet−カルボニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
およびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルから選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)−アミノスルホニル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシカルボニル−C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル、Het−カルボニル−C1〜4アルキル−、Het10−カルボニル−、ポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−、Het11−C1〜4アルキル−またはAr−C1〜4アルキル−から選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、Het、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−もしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択され;
10は水素、C1〜4アルキル、Het、Het−C1〜4アルキル−、場合によりHet−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくは1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
11は水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、Het17、Het18−C1〜4アルキル−、場合によりHet19−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
12は水素、C1〜4アルキル、Het13、Het14−C1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
13およびR14は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het15−C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−から選択され;
15は水素または場合によりフェニル、インドリル、メチルスルフィド、ヒドロキシ、チオール、ヒドロキシフェニル、アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、アミン、イミダゾイルもしくはグアニジノで置換されていてもよいC1〜4アルキルを表し;
16およびR17は各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het21−C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルから選択され;
Hetはピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよく;
Hetはモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ
−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−、アミノC1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−スルホニル−、アミノスルホニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het、HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het、HetもしくはHetは場合によりヒドロキシ−、アミノ−、C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルまたはアミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Hetはピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetおよびHetは場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHet10は各々独立してフラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetもしくはHet10は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−もしくはアミノ−C1〜4アルキル−で置換されていてもよく;
Het11はインドリルもしくは
【化2】

から選択される複素環を表し;
Het12はモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het12は場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはモノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het13はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het13は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het15およびHet21は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、1,3,2−ジオキサボロランもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;そして
Het17はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het17は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het18およびHet19は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het18およびHet19は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het20はピロリジニル、2−ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリルもしくはピラゾリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het20は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;そして
Ar、Ar、Ar、ArおよびArは各々独立して場合によりシアノ、C1〜4アルキルスルホニル−、C1〜4アルキルスルホニルアミノ−、アミノスルホニルアミノ−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル、アミノスルホニル−、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシ−もしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す]
を有する化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体。
【請求項2】
化合物の別の群が、以下の制限:
ZがNHを表す;
Yが−C3〜9アルキル−、−C2〜9アルケニル−、−C1〜5アルキル−オキシ−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−、−CO−C1〜7アルキル−、−C1〜7アルキル−CO−もしくはC1〜6アルキル−CO−C1〜6アルキルを表す;
がO、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、NR16−CO、−NR16−CO−C1〜2アルキル−、NR10もしくは−NR10−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが−O−、−O−CH−、NR10もしくは−NR10−C1〜2アルキル−を表す;
が直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、−O−N=CH−、Het20−C
1〜2アルキル、C1〜2アルキル、NR17−CO、−NR17−CO−C1〜2アルキル−、NR11もしくはNR11−C1〜2アルキル−を表し;特定の態様においてXが直接結合、−O−N=CH−、−NR11−C1〜2アルキル−、−NR11−CH−、Het20−C1〜2アルキル、NR17−CO、−NR17−CO−C1〜2アルキル−、−C1〜2アルキル、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表す;
が水素、シアノ、ハロもしくはヒドロキシ、好ましくはハロを表す;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C2〜6アルキニル−、ArもしくはHetを表し;さらなる態様においてRが水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、C2〜6アルキニル−もしくはHetを表す;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表す;
10が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表す;
12がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表す;
16が水素、C1〜4アルキル−、Het21−C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキルを表し;特にR16が水素もしくはC1〜4アルキルを表す;
17が水素、C1〜4アルキル−、Het21−C1〜4アルキルもしくはC1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキルを表し;特にR17が水素もしくはC1〜4アルキルを表す;
Hetが場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよいチアゾリルを表す;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het14がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;
Het16がピペリジニル、モルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表す;
Het20がピロリジニル、2−ピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表す;
Het21がモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het21が場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4
アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す;
Arが場合によりシアノ、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシもしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す
の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物からなる請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがNHを表し;
Yが−C3〜9アルキル−、−C1〜5アルキル−NR12−C1〜5アルキル−、−C1〜5アルキル−NR13−CO−C1〜5アルキル−、−C1〜6アルキル−NH−CO−もしくは−CO−NH−C1〜6アルキル−を表し;
が直接結合、NR10、−NR10−C1〜2アルキル−、−NR10−CH−、−C1〜2アルキル−、−O−C1〜2アルキル、−O−もしくは−O−CH−を表し;
が−O−、NR11、NR17−CO、NR17−CO−C1〜2アルキルもしくはHet20−C1〜2アルキルを表し;
が水素もしくはハロを表し;
が水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシカルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、Het16−カルボニル−もしくはArを表し;
が水素、ヒドロキシ、C1〜4アルキルオキシ−、Ar−C1〜4アルキルオキシを表すか、あるいはRがC1〜4アルキルオキシ−もしくはHet−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルオキシを表し;
10が水素を表し;
11が水素、C1〜4アルキル−もしくはC1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−を表し;
12がHet14−C1〜4アルキル、特にモルホリニル−C1〜4アルキルを表し;
13が水素を表し;
17が水素を表し;
Hetがモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetが場合によりヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;さらなる態様においてHetが場合によりC1〜4アルキル−、好ましくはメチルで置換されていてもよいモルホリニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し;
Het14がモルホリニル表し;
Het16がモルホリニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し;
Het20がピロリジニルもしくはピペリジニルを表し;
Arがフェニルを表し;
Arが場合によりシアノで置換されていてもよいフェニルを表す
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
置換基が式(I)の構造の4’位にあり、R置換基が5’位にあり、そしてR置換基が7位にある請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
式(I)のキナーゼインヒビター。
【請求項6】
薬剤としての使用のための請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
アテローム性動脈硬化症、再狭窄および癌のような細胞増殖性疾患を処置するための薬
剤の製造における請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項8】
製薬学的に許容しうる担体および有効成分として請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物の有効キナーゼ阻害量を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項9】
a)式(II)の既知の6−アセトキシ−4−クロロ−3−シアノ−キノリンを式(III)の適当な置換されたアニリンとカップリングさせて式(IV)の中間体を生成せしめ、そして式(IV)の中間体を脱保護し、続いて適当な条件下で閉環すること
【化3】

[V=例えばメチルカルボニル、t−ブチル、メチル、エチル、ベンジルもしくはトリアルキルシリル基のような保護基、
18はAr、Ar−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜6アルケニルを表すか、あるいはR18はC1〜4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロ、Het、NR、NR10−カルボニルもしくはHet−カルボニルから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し、ここで、Ar、Ar、Het12、Het、R、R、R、R10およびHetは、式(I)の化合物についてのとおり定義される]
b)式(IV)の中間体を脱保護し、続いて標準条件下で適切なアミノ化アルコールを用いる対応するエーテルの形成により式(XXVIII)の中間体を生成せしめること、脱保護、続いて閉環により式(I’)の目標化合物を生成せしめること、
【化4】

[V=例えばメチルカルボニル、t−ブチル、メチル、エチル、ベンジルもしくはトリアルキルシリル基のような保護基、または固相化学の場合には分子の残りがそれに結合している樹脂、
18はAr、Ar−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜6アルケニルを表すか、あるいはR18はC1〜4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロ、Het、NR、NR−カルボニルもしくはHet−カルボニルから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し、ここで、Ar、Ar、Het12、Het、R、R、R、RおよびHetは、式(I)の化合物についてのとおり定義され、
およびYは各々独立してC1〜5アルキル、CO−C1〜5アルキルもしくはCO−CH16−NH−を表す]
を含んでなる請求項1〜4に記載の化合物の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量をそのような処置を必要とする動物に投与することを含んでなる、細胞増殖性疾患の処置方法。
【請求項11】
式(XXX)
【化5】

[式中、
およびYは各々独立してC1〜5アルキル、CO−C1〜5アルキルもしくはC
O−CH15−NH−を表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR10、−NR10−C1〜2アルキル−、−CH−、−O−N=CH−もしくは−C1〜2アルキル−を表し;
は直接結合、O、−O−C1〜2アルキル−、CO、−CO−C1〜2アルキル−、NR11、−NR11−C1〜2アルキル−、−CH−、−O−N=CH−もしくはC1〜2アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ホルミル、C1〜6アルコキシ−、C1〜6アルキル−、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ヒドロキシもしくはハロから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
は水素、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル−、Het16−カルボニル−、C1〜4アルキルオキシカルボニル−、C1〜4アルキルカルボニル−、アミノカルボニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノカルボニル−、Het、ホルミル、C1〜4アルキル−、C2〜6アルキニル−、C3〜6シクロアルキル−、C3〜6シクロアルキルオキシ−、C1〜6アルコキシ−、Ar、Ar−オキシ−、ジヒドロキシボラン、
ハロで置換されたC1〜6アルコキシ−、
ハロ、ヒドロキシもしくはNRから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキル、
1〜4アルキルカルボニル−(ここで、該C1〜4アルキルは場合によりヒドロキシもしくはC1〜4アルキル−オキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよい)を表し;
およびRは各々独立して水素もしくはC1〜4アルキルから選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、Het、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)−アミノスルホニル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシカルボニル−C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル、Het−カルボニル−C1〜4アルキル−、Het10−カルボニル−、ポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−、Het11−C1〜4アルキル−またはAr−C1〜4アルキル−から選択され;
およびRは各々独立して水素、C1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、Het、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−もしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択され;
10は水素、C1〜4アルキル、C1〜4アルキル−オキシ−カルボニル−、Het17、Het18−C1〜4アルキル−、場合によりHet19−C1〜4アルキルアミノカルボニル−で置換されていてもよいC2〜4アルケニルカルボニル−、C2〜4アルケニルスルホニル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくは1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
11は水素、C1〜4アルキル、Het13、Het14−C1〜4アルキル−あるいは場合により水素、ヒドロキシ、アミノもしくはC1〜4アルキルオキシ−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルを表し;
15は水素または場合によりフェニル、インドリル、メチルスルフィド、ヒドロキシ、チオール、ヒドロキシフェニル、アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、アミン、イミダゾイルもしくはグアニジノで置換されていてもよいC1〜4アルキルを表し;
18はAr、Ar−C1〜4アルキル、C1〜4アルキル、場合によりHet12で置換されていてもよいC2〜6アルケニルを表すか、あるいはR18はC1〜4アルキルオキシ、ヒドロキシ、ハロ、Het、NR、NR−カルボニルもしく
はHet−カルボニルから選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されたC1〜4アルキルを表し;
Hetはピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりアミノ、C1〜4アルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、フェニル、フェニル−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはアミノ−カルボニル−で置換されていてもよく;
Hetはモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Hetは場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−、アミノC1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−スルホニル−、アミノスルホニル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het、HetおよびHetは各々独立してモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、フラニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het、HetもしくはHetは場合によりヒドロキシ−、アミノ−、C1〜4アルキル−、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−、アミノスルホニル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノスルホニルまたはアミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
HetおよびHet10は各々独立してフラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピラゾリル、ジオキソラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニルもしくはピロリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該HetもしくはHet10は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル−C1〜4アルキル−もしくはアミノ−C1〜4アルキル−で置換されていてもよく;
Het11はインドリルもしくは
【化6】

から選択される複素環を表し;
Het12はモルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオモルホリニルもしくはジチアニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het12は場合によりヒドロキシ、ハロ、アミノ、C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−オキシ−C1〜4アルキル−、モノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−またはモノ−もしくはジ(C1〜4アルキル)アミノ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het13はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het13は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ
−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het14はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het14は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het16はモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニル、1,3,2−ジオキサボロランもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該複素環は場合によりC1〜4アルキルから選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het17はピロリジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het17は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Het18およびHet19は各々独立してモルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルもしくはピペリジニルから選択される複素環を表し、ここで、該Het18およびHet19は場合によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1〜4アルキル−、C1〜4アルキルオキシC1〜4アルキルもしくはポリヒドロキシ−C1〜4アルキル−から選択される1個または可能であれば2個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよく;
Ar、Ar、ArおよびArは各々独立して場合によりシアノ、C1〜4アルキルスルホニル−、C1〜4アルキルスルホニルアミノ−、アミノスルホニルアミノ−、ヒドロキシ−C1〜4アルキル、アミノスルホニル−、ヒドロキシ−、C1〜4アルキルオキシ−もしくはC1〜4アルキルで置換されていてもよいフェニルを表す]
の中間体、その製薬学的に許容しうる付加塩および立体化学的異性体。
【請求項12】
式(I)の化合物の合成における式(XXX)の中間体の使用。

【公表番号】特表2007−514711(P2007−514711A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544439(P2006−544439)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053497
【国際公開番号】WO2005/058318
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】