説明

抗感染性ヒドロゲル組成物

本発明は、ポリ(N-ビニルラクタム)、多糖類および水を含むことを特徴とする、哺乳類の体腔または身体開口部への微生物の侵入を予防し得るヒドロゲル組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
哺乳類の表面への開口部を有する体腔は、自然体腔および損傷由来の体腔の双方とも、微生物汚染の高リスクを有する。感染性の汚染は、特に免疫低下哺乳類において生死にかかわる結果となり得る。例えば、耳の三半規管、目、爪または蹄、腟、乳頭、火傷および裂傷の微生物感染は、医師および獣医にとって周知である。関与する生物体の例としては、グラム陰性およびグラム陽性種、マイコプラズマ菌株、および多くの真菌類がある。これらの遍在性微生物による感染のリスクを最低限にするためには、体腔および開口部の頻繁な処置および清浄化を必要とする。
【0002】
感染し易い体腔の1つの例は、乳畜の乳頭である。乳頭の感染症は、いわゆる乳腺炎である。採乳哺乳類はその泌乳サイクル全体に亘って乳腺炎のリスクを有するものの、乳牛は、無乳期において特段に高い乳腺炎のリスクを有する。無乳期は、仔牛分娩直前のおよそ4〜10週間である。この期間は、非泌乳期としても知られている。無乳期においては、牛は搾乳機からの汚染リスクはないものの、50%を越える乳頭感染症が牛の無乳期において生じている。この高割合の感染は、牛の免疫応答が無乳期において弱まることから生じている。さらに、乳頭は、無乳期においては膨満し、微生物がより容易に乳腺に浸透するのを可能にする;そして、フラッシングなしで、泌乳が備わり、感染の可能性は増大する。乳頭での残留乳タンパク質は、乳腺炎を発症させる微生物に対し良好な供給基地を提供する。
【0003】
乳腺炎は、細菌、真菌および多くのマイコプラズマ菌株のような広範囲の環境微生物に関連する。米国食品医薬品局(FDA)および全米乳腺炎カウンセル(NMC)が認めている乳腺炎関連菌としては、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、クラブシエラ(Klebsiella)属菌種、ストレプトコッカス アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、シュードモナス属菌種、ストレプトコッカス ディスガラクティエ(Streptococcus dysgalactiae)、ウシコリネバクテリウム(Corynebacteroum bovis)、ストレプトコッカス ウベリス(Streptococcus uberis)、ノカルジア(Nocardia)属、ウシストレプトコッカス (Streptococcus bovis)、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)、大腸菌(Escherichia coli)、およびマイコプラズマ(Mycoplasma)菌種がある。マイコプラズマ種としては、ウシマイコプラズマ(Mycoplasma bovis) マイコプラズマ カリフォルニカム(Mycoplasma californicam)およびマイコプラズマ ボボゲニタリウム(Mycoplasma Bovogenitalium)がある。さらに、サルモネラ(Salmonella)菌株、プロテウス ブルガリス(Proteus vulgaris)、ボルデテラ ブロンチセプチカ(Bordetella bronchiseptica)、パスツレラ ムルトシダ(Pastorella multocida)等も、それらの頻繁な発生により、研究上の集中的な注目を受けている。FDAと連携してのNMC、並びに幾つかの国際的安全衛生当局は、乳腺炎関連酪農産業における上述の微生物の制御の重要性を明言している。
【0004】
牛の無乳期間中の乳腺炎は、新生仔牛およびその後の産生乳の汚染をもたらし、それはさらに、低い繁殖結果、低い乳生産量、さらに、重篤な症例においては、親牛および仔牛の損失をもたらす。米国のみで、乳腺炎は、酪農産業に年に30億ドルに近いコストを或いは親牛当り約300ドルを費やしている。コストとしては、薬物、獣医処置、および乳の廃棄または乳生産量の低下がある。
一般的な衛生プログラム、清浄薬製品、泌乳期バリア浸漬液、長期持続性無乳期牛浸漬液、抗菌性バリア製品、全身および局所投与抗生剤、乳頭内部治療および抗生剤乳頭管プラグ系のような多くの乳腺炎予防方法が、研究発表および特許文献において示唆されている。しかしながら、乳腺炎を制御する現在の方法は、多くの欠点を有する。
【0005】
例えば、抗生剤は、牛乳および牛肉の双方を汚染し得る。また、抗生剤は、完全な感染防御を提供しない。さらにまた、抗生剤の過度の使用は、微生物による耐性をもたらし、それによって新たな抗生剤の開発が強いられる。
また、現在使用されている乳頭浸漬液の殆どは、哺乳類の泌乳期において使用されている。例えば、乳牛の標準的な泌乳期において使用される有効な乳頭浸漬組成物は、米国特許第6,395,289号および第6,203,812号に記載されている(Hydromer社、ニュージャージー州ブランチバーグ)。これらの組成物は、親水性重合体ブレンドであり、有効で長期持続性のバリア特性を有すると共に、泌乳前の組成物の迅速除去を可能にしている。哺乳動物乳頭の外部を上記組成物中に浸漬させている。しかしながら、そのような乳頭浸漬液の物理的稠度および諸性質は、それら浸漬液を乳頭管治療においては不適切にしている。例えば、これらの浸漬液は、容易にゲル化しないので、乳頭管から流れ出る傾向を有するであろう。
【0006】
哺乳類の泌乳期において使用する他の乳頭浸漬液組成物は、米国特許第4,113,854号および第5,017,369号に開示されている。外部から適用したとき、これらの組成物は、乳頭管の末端を密封する厚い膜を形成する。これらの組成物は、ラテックスを含む。ラテックスの結果として、これらの組成物は、粘稠で且つ粘着性のままであり、それによって乳頭管治療を可能にしていない。また、ラテックスは毒性でもあり得る。乳の汚染以外にも、ラテックスは、ヒトにおけるアレルギー反応を誘発させ得る。
【0007】
50%を越える乳腺炎症例が牛の無乳期において発症するという事実にもかかわらず、無乳期牛の乳頭保護用に特定的に設計された製品は、ほんの数種しか上市されていない。採乳動物をその無乳期において治療することは、泌乳期における治療を補完するであろう。
現在上市されている無乳期牛製品は、幾つかの欠点を有する。例えば、これらの製品の殆どは、乳頭管の治療に対処していない。乳頭管の治療は、乳頭管内の残留乳タンパク質が微生物用の優れた繁殖基地として作用するので重要である。現在利用し得る幾つかの無乳期牛乳頭管治療のもう1つの欠点は、これらの治療が、照射、加熱、触媒または有用な形状維持プラグ物質を形成させるための他の特定の添加剤のような複雑な処理工程を必要とすることである。さらなる欠点は、これらの製品が広範囲の温度および/または水分条件変化において安定ではないことである。
【0008】
米国特許第6,254,881号、第6,340,469号および第6,506,400号は、無乳期牛における乳腺炎の予防的治療用の無抗生剤配合物を開示している。該配合物は、乳頭端部に注入して乳頭管を乳腺炎原因微生物に対して封鎖している。該配合物は、ステアリン酸アルミニウムをベースとするゲル中に約65質量%の次硝酸ビスマスからなる。これらの米国特許は無抗生剤配合物を特許請求しているものの、NMCは、該配合物と一緒に抗生剤を使用することを勧奨している。この配合物の欠点として、寒冷気候における次硝酸ビスマスの厚さがあり、それによって乳頭管中に十分に流入するその能力が妨げられている。さらに、これらの配合物は搾乳機の力学を干渉し得るので、これらの配合物は、機械搾乳前に、乳頭管から手で剥ぎ取ることを必要とする。
【0009】
米国特許出願第2003/0060414号は、シーラントを伝達させる前に滅菌剤を乳頭に導入することによってシーラント投与中の乳頭の汚染を防止する方法を記載している。該滅菌剤は、バクテリオシン、例えば、Lacticin 3147を含有する水混和性ゲル、オイル系ゲルまたはオイル系ペーストである。該滅菌剤は、増粘剤および/または他の賦形剤を含み得る。これらの滅菌剤の稠度はペースト様であり、ある種の力の下で不可逆的に形状を変化させる。増粘剤は、これらの薬剤においては、一つには、これらペーストの形状を維持するために使用している。
【0010】
米国特許第4,472,374号は、無乳期の乳房感染を低減させるための獣医用組成物を記載している。これらの組成物は、混入抗菌剤を含むシロキサンエラストマーを含有する。これらの組成物は、条痕管への適用を容易にするのに十分に低い粘度を有する;そして、これらの組成物は、無乳期間中に適所に残存し、泌乳の開始時に搾り出し得る。しかしながら、これらの組成物を製造するには、硬化用触媒の使用のような複雑な工程が必要である。そのような触媒は、これらの触媒が高反応性化合物として漏出し得るので、毒物学的問題をもたらす。
【0011】
長期持続性フィルム形成性親水性ポリマーブレンドは、米国特許第6,440,442号において、無乳期牛の乳腺炎治療用として記載されている(Hydromer社、ニュージャージー州ブランチバーグ)。フィルムは、乳頭の外側上に形成し、感染防止のためのバリアとして機能する。これらブレンドの主成分は、ポリウレタンおよびポリ(N-ビニルラクタム)である。これらの浸漬液は、粘稠であることから、内部乳頭管中に流入するのに容易には適し得ない。
乳腺炎の予防並びに多くの乳頭浸漬液製品、清浄薬および抗生剤の利用可能性についての数10年の集中的な研究にもかかわらず、無乳期牛の乳腺炎感染症は、乳生産の経済性に対し有意に負の影響を依然として有している。泌乳期において使用する乳腺炎管理治療を補完する有効な無乳期牛治療が益々求められている。そのような無乳期治療は、乳生産の経済性および食品衛生を改善し、且つ抗生剤の使用を最低限にするであろう。
【発明の開示】
【0012】
本発明は、哺乳類の体腔または身体開口部への微生物侵入を予防し得る新規なヒドロゲル組成物に関する。本組成物は、水と一緒にゼラチン状組成物を形成する特定比率のポリビニルラクタム対多糖類を有する。本組成物は、必要に応じて、稠度改良剤、性能改良剤、架橋剤、および治療増強剤を含む。
【0013】
本ヒドロゲル組成物は、乳牛の乳頭管のような哺乳類の自然体腔、並びに傷口、火傷および疾患のような損傷によって生じた偶発的皮膚空洞に移行させるのに適している。本組成物は、体腔または開口部に、注入具、好ましくはプラスチックシリンジによって適用する。本ヒドロゲル組成物は、感染原因微生物の侵入を防止するためのバリアまたはシーラントを形成する。例えば、本ヒドロゲル組成物は、環境的乳腺炎関連微生物による感染からの無乳期牛の乳頭管の汚染を防止する。同時に、本ヒドロゲル組成物は、炎症を清浄化し、消毒し、予防し、且つ体腔または身体開口部の内壁の治癒を促進させる。そのような清浄化および/または消毒活性は、抗菌剤/抗生剤を含ませることなく生じる。
本発明のヒドロゲル組成物は、現在使用されている乳頭浸漬治療を上回る幾つかの利点を提供する。
【0014】
例えば、殆どの乳頭浸漬治療薬は、牛の泌乳期において使用するために調合されている;一方で、全乳腺炎症例の50%以上が乳牛の無乳期に検出されている。本発明のヒドロゲル組成物は、牛の無乳期において使用するように調合している。さらに、殆どの現在入手可能な無乳期牛の治療剤は、抗生剤の使用を必要としている。本発明のヒドロゲル組成物は、抗生剤の必要なしで消毒/清浄化活性を提供する。抗生剤の使用を最低限にすれば、抗生剤副作用のリスクは低減され、抗生剤投与後の長い待ち時間は回避され、微生物における抗生物質耐性発生のリスクは低下する。
さらにまた、硬化および触媒反応のような複雑な処理工程を必要とする殆どの現在入手可能な無乳期牛の治療剤とは異なり、本発明のヒドロゲル組成物は、単純な混合手順によって製造する。さらにまた、殆どの現在入手可能な無乳期牛の治療剤と異なり、本発明のヒドロゲル組成物は、広い温度範囲において安定である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、哺乳類の体腔および身体開口部に充填するのに適する生体適合性の潤滑性ヒドロゲル組成物に関する。本ヒドロゲル組成物は、可逆性または不可逆性ヒドロゲルの形にある。本ヒドロゲル組成物は、体腔または身体開口部のシーラントおよび/または清浄薬として機能する。
【0016】
本明細書の全体に亘って、上限および下限によって定義された範囲が存在する。各々の下限を各々の上限と組合せて一定の範囲を定義し得る。下限および上限値は、各々、別個の構成要素と解釈すべきである。
本発明のヒドロゲル組成物は、ポリ(N-ビニルラクタム)、多糖類および水を含む。好ましくは、ポリ(N-ビニルラクタム)の質量対多糖類の質量の比の範囲は、約75:1の上限を有する。他の上限の例としては、約1、50:1、30:1、20:1、15:1、13:1、12:1または1:2がある。
好ましくは、ポリ(N-ビニルラクタム)の質量対多糖類の質量の比の範囲は、約1:10の下限を有する。他の下限の例としては、約1:5、1:3、1:1、5:1、12:1、13:1、15:1、20:1、30:1または50:1がある。
【0017】
本発明のヒドロゲル組成物のポリ(N-ビニルラクタム)は、例えば、N-ビニルラクタムのホモポリマー、コポリマーもしくはターポリマー、またはこれらの混合物のような任意のタイプのポリ(N-ビニルラクタム)であり得る。本ヒドロゲル組成物において使用するのに適するポリ(N-ビニルラクタム)ポリマーの例としては、N-ビニルピロリドン、N-ビニルブチロラクタム、N-ビニルカプロラクタム、およびこれらの混合物がある。好ましいポリ(N-ビニルラクタム)ホモポリマーの例は、ポリビニルピロリドン(PVP)である。
ポリ(N-ビニルラクタム)コポリマーおよびターポリマーの例としては、ビニルモノマーと共重合させているN-ビニルラクタムポリマーがある。ビニルモノマーの例としては、アクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、およびこれらの混合物がある。N-ビニルラクタムとビニルモノマーとの共重合により、本ヒドロゲル組成物の稠度の改変を可能にする。
【0018】
好ましいポリ(N-ビニルラクタム)コポリマーの例としては、ビニルピロリドンコポリマーおよびアクリルアミドコポリマーがある。好ましいターポリマーの例としては、ビニルピロリドンターポリマー、ビニルカプロラクタムターポリマー、およびジメチルアミノエチルメタクリレートターポリマーがある。
好ましくは、本発明のヒドロゲル組成物において使用するポリ(N-ビニルラクタム)は、商業的に入手可能なポリ(N-ビニルラクタム)類であり、本ヒドロゲル中で使用する前に何らの予備処理も必要としない。例えば、好ましくは、ポリ(N-ビニルラクタム)は、そのラクタム環の開裂を誘発させるような処理を行なわない。
1つの実施態様においては、本発明のヒドロゲル組成物は、酸のポリマー、例えば、ポリアクリル酸、または無水物のような酸形成性化合物を含有しない。
【0019】
本ヒドロゲル組成物中で使用する多糖類は、任意の多糖類であり得る。本発明の目的において、多糖類としては、任意の多糖類および任意の多糖類誘導体がある。本組成物において使用するのに適する多糖類の例としては、キチン、脱アセチル化キチン、キトサン、キトサン塩類、キトサンソルベート、キトサンプロピオネート、キトサンラクテート、キトサンサリチレート、キトサンピロリドンカルボキシレート、キトサンイタコネート、キトサンナイアシネート、キトサンホルメート、キトサンアセテート、キトサンガラート、キトサングルタメート、キトサンマレート、キトサンアスパラテート、キトサングリコネート、第四級アミン置換キトサン塩、N-カルボキシメチルキトサン、O-カルボキシメチルキトサン、N,-O-カルボキシメチルキトサン、等価のブチルキトサン誘導体、セルロース誘導体、アルキルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、澱粉誘導体、メチルグルセス誘導体、コラーゲン、アルギネート、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパリン誘導体、およびこれらの組合せがある。
【0020】
本発明の組合せたポリ(N-ビニルラクタム)と多糖類は、親水性であり、水中でその質量の数倍を吸収可能である。本組成物の水分含有量は、当業者が承知しているとおり、組成物の特定の用途に応じて変動し得る。好ましくは、本組成物中の水分含有量の範囲は、約90質量%の水の上限を有する。他の上限の例としては、約75質量%の水および65質量%の水がある。好ましくは、本組成物中の水分含有量の範囲は、約25質量%の下限を有する。他の下限の例としては、約45質量%の水および55質量%がある。本ヒドロゲル組成物の水分含有量が増大するにつれて、本ヒドロゲル組成物は、より軟質となる。
本発明のある実施態様においては、本組成物の水分の幾分かをアルコールに置換える。水分の約15質量%〜75質量%、35質量%〜65質量%または45質量%〜55質量%をアルコールで置換え得る。アルコールの好ましい例としては、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールがある。
【0021】
ポリ(N-ビニルラクタム)と多糖類の組合せを含む本ヒドロゲル組成物は、予期に反して、本ヒドロゲル組成物が体腔/開口部を効率的に充填してその中に残存するのを可能にする稠度を有する。例えば、乳畜においては、本ヒドロゲルは、動物が動き回るまたは寝ているときであっても長時間乳頭管内に留まる。さらに、これらのヒドロゲルの稠度は、これらのヒドロゲルを必要なとき或いは所望するときに全て搾り出すことを可能にする。
【0022】
本発明の組成物がゲルを形成した後、本組成物は、離散させ得、その後、驚くべきことに、数時間内に再びゲルを形成し得る。即ち、これらのヒドロゲルは、完全に可逆性である。理論によって限定するものではないが、これらのヒドロゲル内の水素結合が、そのようなヒドロゲルをアプリケーターの小孔を介して押出すときに、一時的に破壊されるものと信じている。水素結合は、数時間後再び一緒に融合する。
【0023】
本発明のある実施態様においては、本ヒドロゲル組成物は、少なくとも1種の稠度改良剤、性能改良剤、架橋剤、またはこれらの混合物をさらに含み得る。
ポリ(N-ビニルラクタム)の約5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%または90質量%までを、上記稠度および/または性能改良剤で置換え得る。例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)とキトサンまたはキトサン誘導体を含む配合物においては、好ましくは、PVPの約50質量%を稠度および/または性能改良剤で置換える。
【0024】
好ましい稠度改良および/または性能改良剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、メチルビニルエーテル-コ-無水マレイン酸、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリウレタン、ジメチコーン、ポリグリコールエステルコポリマー、接着性プレポリマー類、ポリエチレンイミン、ポリペプチド類、ケラチン類、ポリビニルピロリドン/ポリエチレンイミンのコポリマー、ポリビニルピロリドン/ポリカルバミル/-ポリグリコールエステル(AquamereR H-1212、H-1511、H-2012、A-1212)、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル(AquamereR C-1011、C-1031)、ポリビニルピロリドン/ジメチコニルアクリレート/ポリカルバミル/-ポリグリコールエステル(AquamereR S-2011、S-2012)、(AquamereR 製品のPECOGEL等価物)、レシチン、並びにこれらのコポリマー、誘導体および組合せがある。Hydromer社に譲渡された米国特許第4,642,267号、第4,769,013号、第5,837,266号、第5,851,540号および第5,888,520号は、その全体を参考として本明細書に合体させる。例えば、米国特許第4,642,267号および第4,769,013号は、性能改良用治療薬およびポリマーを含む潤滑性/親水性コポリマー、並びにゲルシリンジ適用装置先端用の潤滑性で親水性の抗菌性コーティーングを記載している。米国特許第5,837,266号、第5,851,540号および第5,888,520号は、治療薬を含み皮膚炎に対するバリア効果を有する皮膚学的に許容し得るポリマーおよびコポリマー類を記載している。
【0025】
上記のポリビニルピロリドン/ポリエチレンイミンのコポリマー、ポリビニルピロリドン/ポリカルバミル/-ポリグリコールエステル(AquamereR H-1212、H-1511、H-2012、A-1212)、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル(AquamereR C-1011、C-1031)、ポリビニルピロリドン/ジメチコニルアクリレート/ポリカルバミル/-ポリグリコールエステル(AquamereR S-2011、S-2012)、およびこれらのPECOGEL等価物は、化粧品中間体として周知である。(Phoenix Chemicals社、ニュージャージー州)。AquamereR コポリマーは、独特の疎水性化特性を有することが知られている。特に、これらのコポリマーは、UV吸収剤、染料、着色剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、抗生剤および薬物のような活性成分の放出を遅延させる独特の高分子カプセル化作用を有する。例えば、AquamereR S-2011、S-2012コポリマーのジメチコニルアクリレート形は、乳化活性物の溶解性を遅延させ得る内包複合体コポリマーを形成することが知られている。
【0026】
AquamereR コポリマー類は、疎水性の粘稠液体であり、体腔または身体開口部に流入させるためのゲルとして使用するには不適切であると考えられていた。しかしながら、今回、驚くべきことに、本発明のヒドロゲル組成物のゲル化が、組成物中の水分の90質量%までをAquamereR コポリマーで置換えながら、依然として達成されることを見出した。AquamereR コポリマーは、添加剤、例えば、治療薬および抗微生物剤の放出を遅延させるように機能する。本ヒドロゲル組成物へのAquamereR コポリマーの添加は、組成物中で使用するポリ(N-ビニルラクタム)の量に影響する。例えば、元の配合物が35質量%のPVP、2質量%のキトサンおよび63質量%の水である場合、相応するAquamereR 配合物は、25質量%のPVP、10質量%のAquamereR コポリマー、2質量%のキトサンおよび63質量%の水である。食品および化粧品工業において周知のレシチンは、AquamereR コポリマーと同様な機能を有する。
【0027】
さらなる性能向上のためには、本ヒドロゲル組成物は、必要に応じて、保湿剤、例えば、グリセリンを含有し得る。
本発明のヒドロゲル組成物は、可逆性または不可逆性ヒドロゲルのいずれかであり得る。可逆性比ヒドロゲルの成分は、水に溶解する。不可逆性ヒドロゲルの成分は、使用する量に応じてある量の不可逆結合をもたらす架橋剤(即ち、クロスリンカー)の存在により、水に溶解しない。
【0028】
架橋剤は、本ヒドロゲル組成物がその元の形状を維持し、体腔または開口部内に残存する能力を増強し、および/または本ヒドロゲル組成物が体腔または開口部から容易に除去される能力を増強する。例えば、架橋剤は、本ヒドロゲル組成物が乳頭管内に残存する能力を増強し、搾り出しによる乳頭からの容易な除去を可能にする。上記組成物において使用するのに適する架橋剤の例としては、グルタルアルデヒド、ゲニピン(genipin)、アジリジン誘導体、カルボジミド(carbodimid)誘導体、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、コロイド状二酸化チタン、ポリアミノシラン、エポキシ類、第一級ポリアミン類、ジアルデヒド類、アクロレイン反応生成物からのポリアルデヒド類、パラホルムアルデヒド、アクリルアミド、ポリエチレンイミン、およびこれらの組合せがある。
架橋剤は、所望の稠度を有するヒドロゲル組成物を与える任意の量で使用し得る。例えば、本組成物は、約2質量%、3質量%、4質量%、5質量%または8質量%までの架橋剤を含み得る。
【0029】
ポリ(N-ビニルラクタム)および多糖類を含む本ヒドロゲル組成物は、驚くべきことに、シーラント特性および清浄化/消毒特性を有する。本発明のある実施態様においては、本ヒドロゲル組成物は、少なくとも1種の治療効果増強剤をさらに含み得る。治療効果増強剤は、本組成物の約3質量%、7質量%、10質量%、15質量%または20質量%までを構成し得る。
【0030】
本組成物において使用するのに適する治療効果増強剤の例としては、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗カンジダ症剤、増殖促進剤、消毒剤、殺生剤、殺菌剤、防腐剤、抗ウイルス剤、殺精子剤、殺菌剤(germicide)、滅菌剤、清浄化成分、防臭剤、防腐薬(antiseptic)、殺胞子剤、調合薬、動物製剤、抗生剤、抗炎症剤、天然成分、保湿剤、化粧用成分、無痛化剤、ビタミン類およびこれらの組合せがある。
【0031】
治療効果増強剤の幾つかの特定の例としては、抗菌性銀塩、銀ゼオライト類、銀スルファジアジン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、プロピオン酸、ソルビン酸、サリチル酸、ウンデカン酸、漂白剤、ヨウ素、ヨードフォア、ヨウ化カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸、過酸化物類、ブロノポール、タービナフィン、ミコナコール、エコナコール、クロトリマゾール、トルナフタート、トリクロサン、トリクロカルバン、第四級アンモニウム化合物、ベンズアルコニウムハロゲナイド類、ポリクォート(polyquat)類、ポリクォタニウム誘導体(例えば、ポリクォタニウム-28)、ホルムアルデヒド放出性化合物、ヘキセチジン、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン誘導体、亜鉛ピリチオン、酸化亜鉛、プロピオン酸亜鉛、パラベン類、フェノキシエタノール、オクトキシノール-9、ノノキシノール-9、リシノール酸、フェノール酢酸第二水銀、イオウ、乳酸、アシクロビル、イドキシウミジン、リバビリン、ビダラビン、リマンタジン、アスピリン、ビタミンAおよびビタミンA誘導体、ビタミンEおよびビタミンE誘導体、ビタミンCおよびビタミンC誘導体、ベータカロチン、ベタメタゾン、デクサメタゾン、コルチノン、グリセリン、およびこれらの組合せがある。
【0032】
天然成分の群からの治療効果増強剤としては、例えば、植物または種子抽出物、植物抽出物誘導体もしくは漢方薬、またはこれらの組合せがある。天然成分の例としては、ローズマリー、エキナシア、イラクサ、フェンネル、ジュニパー、チョウセンニンジン、ルリヂサ、ゲルセミウム、マンサク、洋種ヤマゴボウ(poke root)、アルニカ、トリカブト、ミツバチ、ムラサキセンダイハギ、ヒノキ科クロベ属の木(thuja)およびアロエ(バルバデンシス、べラ、カペンシス)、緑茶、キンレンカ、ブリオニア、ヒヨドリバナおよびカモミルの抽出物がある。さらなる例としては、タイムレッド、オールスパイス、シナモンおよびキダチハッカのエッセンシャルオイルがある。
【0033】
抗菌性銀塩の例としては、ヨウ化銀、酸化チタン(IV)上の塩化銀複合体、乳酸銀、クエン酸銀、銀ゼオライト類、リン酸銀ナトリウム水素ジルコニウムおよび銀スルファジアジンがある。
【0034】
好ましくは、上記成分に対する耐性の増大を最小限にするために、種々の抗菌剤、抗生剤および抗炎症剤の組合せを上記ヒドロゲル組成物において使用し得る。また、天然植物および種子抽出物を抗炎症剤、抗菌剤および抗生剤と組合せて使用して、耐性の増大をさらに最低限にすることもできる。
【0035】
本ヒドロゲル組成物中の治療効果増強剤の量は、個々の薬剤の有効範囲内である。例えば、有効濃度の殺精子剤を含むヒドロゲル組成物は、避妊用ヒドロゲルとして使用するのに適している。典型的には、本発明のヒドロゲル組成物は、約3質量%、7質量%、10質量%、15質量%または20質量%までの治療効果増強剤を含む。
本発明のある実施態様においては、本ヒドロゲル組成物は、例えば、対照染料、食用染料、化粧用染料、FD&C染料またはD&C承認染料のような染料をさらに含み得る。
本発明のある実施態様においては、本ヒドロゲル組成物は、例えば、硫酸バリウム、ヨウ素有機物、ヨウ素ポリマー、ヨウ素造影剤、ビスマス有機物、タングステン粒子およびこれらの混合物のような放射線不透過性添加剤をさらに含み得る。
【0036】
もう1つの局面においては、本発明は、哺乳動物体腔または開口部への微生物の侵入を抑制または防止する;および/または、そのような空洞または開口部内の微生物レベルを低減または削減する方法を提供する。本方法は、本発明のヒドロゲル組成物を体腔または開口部中に適用することを含む。
【0037】
体腔または開口部は、自然発生性であり得る。自然発生性体腔または開口部の例としては、耳の三半規管、目、鼻管、口、歯科開口部、生殖口、直腸口、皺または腺開口部がある。腺開口部の例は、乳畜の乳腺の乳頭管である。乳頭管は、条痕管または乳管とも称される。
非自然発生性体腔または開口部は、裂傷、火傷または疾病の結果であり得る。そのような空洞または開口部の例には、刺創、刺傷、疥癬、糖尿病性潰瘍、歯周病変、ヘルペス疱疹、単純疱疹、水胞、重度の火傷に対する表面等がある。
【0038】
本組成物は、例えば、ヒト、動物園動物、ペットおよび農場動物のようなあらゆる哺乳類において使用し得る。本組成物が特に有用である農場動物の例は、乳牛である。
体腔または開口部に適用した時点で、本ヒドロゲル組成物は、二重の機能(即ち、シーラントとしておよび清浄薬としての)を有する。
【0039】
特に、本ヒドロゲル組成物は、微生物の体腔または開口部への侵入を抑制/防止することにより、シーラントとして機能する。本ヒドロゲル組成物は、長期持続貢献性をもたらす親水性の組織親和性バリアを形成する。本組成物は、特異的粘着性を示して、本ヒドロゲル組成物が長時間適所に留まるのを可能にする。
また、本ヒドロゲル組成物は、その独特の配合に基づき、空洞または開口部内の微生物レベルを低減または削減することにより、清浄薬/消毒剤として機能する。驚くべきことに、本組成物は、抗生剤および抗菌剤のような治療増強剤を何ら使用することなく、微生物レベルを低減または削減し得る。
【0040】
本ヒドロゲル組成物は、本ヒドロゲル組成物が体腔/開口部を効率的に充填し且つその中に残存するのを可能にする任意の方法で適用し得る。例えば、本組成物は、スパチュラにより、手で、注射装置により、プラスチックシリンジのような注入装置により、プランジャーにより、或いはアプリケーターにより適用し得る。好ましくは、本ヒドロゲル組成物は、プラスチックシリンジにより適用する。好ましくは、シリンジは、意図する適用領域のサイズに調節した適切な管状開口を有する。本ヒドロゲル組成物は、1回の適用でよく、所望または必要に応じて交換し得る。
【0041】
注射によるようなある適用方法においては、本ヒドロゲルは、空洞への適用中に離散し得る。一旦適用すると、驚くべきことに、本ヒドロゲルは、適所に留まるとき再び一緒に融合することが判明した。理論によって限定するものではないが、本ヒドロゲルの水素結合が、本ヒドロゲルを小アプリケーター孔に通して押出すときに一時的に離散するものと信じている。数時間後、驚くべきことに、上記結合は再び一緒に融合する。
【0042】
本発明のヒドロゲル組成物は、乳蓄用の乳頭管シーラントとして特に有用である。特に、本ヒドロゲル組成物は、無乳期中の牛における乳頭管プラグとして有用である。無乳期は、おおよそ、仔牛分娩直前の約4〜10週間続く。本ヒドロゲル組成物は、乳頭を一時的に塞ぐことによりシーラントとして機能し、それによって乳腺炎原因微生物の侵入を阻止する。また、本ヒドロゲル組成物は、乳頭管内の乳腺炎原因微生物を低減/削減することにより、乳頭管の清浄薬/消毒薬としても機能する。
【0043】
本ヒドロゲル組成物は、好ましくは、乳頭管、即ち、条痕管中に、注入装置によって適用する。乳房内投与に適する任意の注入装置を、使用し得或いはそのような使用に容易に適応させ得る。適切な注入装置の例は、“乳腺炎アプリケーター”として知られているシリンジである。シリンジ類は、プラスチックカニューレまたは広口径ニードルのいずれかを有する。
ある実施態様においては、治療増強剤は、本ヒドロゲル組成物と別個に注入し得る。例えば、本ヒドロゲル組成物を抗菌剤と一緒に使用する場合、本組成物とその抗菌剤を、適切な先端部を取付けた通常の1本のシリンダー状シリンジを使用して同時に注入し、抗菌剤溶液が体腔、例えば、乳頭に先ず入り、その後、本組成物が入るようにする。また、抗菌剤溶液と本ヒドロゲル組成物を、別々のシリンジを使用して注入してもよい。
【0044】
本ヒドロゲル組成物は、約1cm3を各乳頭管に注入することによって乳頭管内に入れることができる。本ヒドロゲル組成物を乳頭管内に入れ、本ヒドロゲル組成物がゲル化した時点で、本ヒドロゲルは、その形状を維持する。一定の粘着性により、本ヒドロゲルプラグは、牛が動き回り或いは寝入った場合でさえも、長時間乳頭管内に留まり得る。例えば、本ヒドロゲルは、好ましくは、無乳期中の乳頭管内に約1〜10日間残存する。本ヒドロゲルは、必要または所望に応じて、全体的に搾り出し得る。
乳房内注入による無乳期牛治療手法は、潜在的に危険な手法である。危険は、不衛生な注入実施において存在し、さらなる環境微生物を乳房に導入して乳腺炎感染のリスク増大をもたらす。従って、本ヒドロゲル組成物および注入装置を滅菌することが推奨される。
【0045】
例えば、本ヒドロゲル組成物適用中の交叉汚染を防止するには、注入装置の先端を当該技術において公知の潤滑性の抗菌性コーティーングでコーティーングする。例えば、医療装置用の抗菌性潤滑コーティーングは、米国特許第4,642,267号および第4,769,013号に開示されている。好ましくは、抗菌剤は、銀系組成物である。好ましくは、装置先端の内側も潤滑性コーティーングでコーティーングして、本ヒドロゲル組成物が注入装置の開口を通して押出される容易性を改善する。
適用した時点で、本ヒドロゲル組成物は、乳頭への微生物の侵入を阻止および/または抑制するためのバリアまたはシーラントを形成する。本ヒドロゲル組成物は、環境的乳腺炎関連微生物による感染からの無乳期牛の乳頭管汚染を防止する。同時に、本組成物プラグは、体腔または身体開口部の内壁の炎症を清浄化し、消毒し、予防する。清浄化および消毒は、必要に応じての抗生剤/抗菌剤の添加なしで生じる。
【0046】
本ヒドロゲル組成物は、乳頭のさらなる保護のための親水性外部フィルム形成性生成物と一緒に使用し得る。例えば、本ヒドロゲル組成物を乳頭管中に注入すると共に、同時に、米国特許第6,440,442号に記載されている無乳期乳頭浸漬液のような無乳期牛乳頭浸漬液を乳頭の外側に適用する。
【0047】
1つの実施態様においては、本発明は、ポリ(N-ビニルラクタム)、多糖類、水および殺精子剤を含み、ポリ(N-ビニルラクタム)の質量対多糖類の質量の比が約75:1〜1:5、約50:1〜1:1または約30:1〜5:1であり、組成物が約25質量%〜55質量%の水を含むことを特徴とする避妊用ヒドロゲルを提供する。この実施態様においては、本ヒドロゲルは、適切な避妊薬として機能する有効量の殺精子剤を含む。
【0048】
本発明のヒドロゲル組成物は、種々の方法によって製造し得る。好ましくは、本ヒドロゲル組成物のポリ(N-ビニルラクタム)成分と多糖類成分を別々の溶液中で予備調製する。好ましい実施態様においては、これら2つの溶液は、およそ等容量である。各溶液は、水溶液または水/アルコール溶液であり得る。
【0049】
任意成分として添加する成分、即ち、稠度および/または性能改良コポリマー、架橋剤、治療効果増強剤、染料および/または放射線不透過性添加剤のいずれかを、好ましくは、等量で、ポリ(N-ビニルラクタム)予備調製溶液と多糖類予備調製溶液に、これら2つの溶液を混合する前に添加する。また、任意成分として添加する成分の全てを、ポリ(N-ビニルラクタム)予備調製溶液または多糖類予備調製溶液のいずれかに、これら2つの溶液を混合する前に添加してもよい。また、任意成分として添加する成分の任意の画分を、いずれかの予備調製用液に、これら2つの溶液を混合する前に添加してもよい。例えば、組成物全体において必要な上記2つの成分を混合する前に、多糖類予備調製溶液よりもポリ(N-ビニルラクタム)予備調製溶液の方に2倍ほど多くの架橋剤を添加する。
【0050】
予備調製した各溶液を、ゲル化が起り始める時間前に2つの溶液の均質混合を可能にする任意の方法で混合する。例えば、混合は、スクリューミキサーを使用して或いは2つの成分を容器内で単純に混合して実施し得る。
本組成物の初期ゲル化は、2つの溶液の混合後の数秒〜数分で生じ得る。ゲル化が生じるのに、他の処理工程、硬化またはさらなる添加剤は必要としない。例えば、照射、加熱または触媒は、これらのヒドロゲルの形成においては必要でない。
本ヒドロゲル組成物は、好ましくは、周囲温度において約2〜10時間完全にゲル化させる。その後、本組成物は、哺乳類の体腔または身体開口部へ好都合に適用するための適切な装置内に入れることができる。
【0051】
本発明のヒドロゲル組成物は、一般的な競合ヒドロゲルタイプを上回る種々の利点を有する。所望の性能および稠度を示すヒドロゲル組成物が、主要成分を特定の比率で物理的に混合することによって簡単に生成する。性能改良剤および/または稠度改良剤の添加は、一般に必要でない。本ヒドロゲル組成物は、数秒〜数分の範囲の時間において形成される。他の処理工程または他の添加剤を必要としない。本ヒドロゲル組成物は、現存する製品設計に合うような形状に成形し得る。本ヒドロゲル組成物は、独特の保護バリア特性を有する親水性プラグ形成性粘稠物として使用し得る。本ゲルは、保湿および吸収特性を有し、広範囲の化粧および薬物成分と適合し得る。本発明ヒドロゲル組成物は、水、塩水、皮膚-または他の体液を吸収し、冷却および鎮痛性水分バリアを提供し、損傷皮膚の治癒を促進する。単独で、或いは種々の抗菌剤または抗生剤、抗炎症剤、抗カンジダ症剤または関連調合薬、または動物製剤と併用して、本ヒドロゲル組成物は、哺乳動物の体腔/開口部の清浄化に寄与し、同時に、その後の細菌、真菌、胞子、病原菌、ウイルス等のような微生物の侵入を阻止する。
【0052】
本発明のヒドロゲル組成物は、中性pH辺りの比較的広いpH範囲内で良好な不活性を示している。本ヒドロゲル組成物は、適切な蒸発防止パッケージ内で少なくとも1年間安定である。これらのヒドロゲル組成物中に配合した活性成分による長期試験の結果は、ビタミンおよびその誘導体、植物または種子抽出物、リン脂質、収斂剤、抗菌剤、抗生剤、抗カンジダ症剤または他の薬物関連調合薬、経皮成分、美白剤、緑茶、しわ防止活性物、アルファヒドロキシ酸類または冷却剤との相互作用または不適合性を何ら示していない。
【実施例】
【0053】
微生物試験
本発明のヒドロゲル組成物を、その抗菌/生物静止ポテンシャルについて、抗菌剤を寒天に通して拡散させることにより抗菌活性評価の定性的および半定量的手法を提供する実験室試験方法によって試験した。該方法は、Antibacterial Activity Assessment of Textile Material; AATCC Test Method 147-1998に基づく“Parallel Streak Method”に由来する。
培養物を新たに1夜で調製した。使用した試験微生物は、大腸菌、ATCC# 25922および黄色ブドウ球菌、ATCC# 29213であった。各微生物を、試験前日に、トリプトンソイブロス(Trypton Soy Broth) (TSB)と一緒に37℃でインキュベートした。TSB中細菌細胞懸濁液は、>107細胞/mlであった。試験当日、高温寒天サンプルを滅菌チューブ内で冷却し、その後、0.1mlの個々の培養物を溶融寒天に添加した。各寒天サンプルを、混合後、プレート上に注ぎ、ゲル化せしめ、その後、本発明のヒドロゲルの試験サンプルを寒天の上に置いた。その後、インキュベーションを1日および5日間続け、細菌増殖の抑制領域を各サンプル辺りで概算した。
各実施例中の全てのパーセントは、特に断らない限り、質量パーセントである。
【0054】
実施例1
ヒドロゲルの製造方法
1.4グラムのプロピレングリコールおよび3.0グラムのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックコポリマー(Pluronic F88、BASF Corporation社)の20%水溶液を、8.6グラムのポリビニルピロリドン(PVP) (Kollidon K90、BASF Corporation社)の25%水溶液に添加した。この溶液に、5グラムのピロリドンカルボン酸で中和したキトサン(Kytamer PCA、Amerchol Corporation社)の3%水溶液を添加した。混合物を数分間撹拌し、空洞適用のためのプラスチックシリンジ中に移した。
【0055】
実施例2
ヒドロゲルの製造方法
5.0グラムの水中PVP20%溶液を、5.0グラムのN,O-カルボキシメチルキトサン(NOCC、Nova Chem社)の2%溶液と混合した。混合物を半球状モールド中に注入した。混合物は、室温にて10秒内で固化し、軽度に粘着性の非流動性ゲルを形成した。このゲルは、柔軟性であり、創傷に対して比較的非接着性であった。
【0056】
実施例3
ヒドロゲルの製造方法
5.0gの20%PVP、5グラムの脱イオン水、5.0gの2%中和キトサン、0.25グラムの可塑剤としてのポリエチレングリコール(carbowax 400、Union Carbide Corporation社)、および0.25グラムのエチレングリコールとプロピレングリコールのブロックコポリマー(Pluronic F88、BASF Corporation社)の溶液を、ゲル化が生じるまで緩やかに混合した。
【0057】
実施例4
ヒドロゲルのPVP成分の濃度の変更
20gの脱イオン水中30%PVPおよび5%ポリビニルピロリドン/ジメチコニルアクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステルの溶液を、20gの脱イオン水中2.0%のキトサン溶液を混合した。数分内で、堅固な粘着性稠度を有するヒドロゲルが形成された。
上記20g PVP溶液の配合物を、25%PVPおよび10%ポリビニルピロリドン/-ジメチコニルアクリレート/-ポリカルバミル/ポリグリコールエステルに変えた。この場合も、堅固なヒドロゲルが数分後に得られた。
上記20g PVP溶液の配合物を、17.5%PVPおよび17.5%ポリビニルピロリドン/ジメチコニルアクリレート/-ポリカルバミル/ポリグリコールエステルに変えた。数分後、堅固な粘着性ゲルが形成された。
PVPのポリビニルピロリドン/ジメチコニルアクリレート/-ポリカルバミル/ポリグリコールエステルによる完全置換えは、キトサンの2%溶液によってゲルを生成しなかった。
【0058】
実施例5
抗菌活性
10gの脱イオン水中35%PVP溶液を10gの脱イオン水中2.0%キトサン溶液と混合した(両溶液は、1%の抗菌性銀組成物(Milliken社から品名AlphaSanとして市場で入手し得る)を含有していた)。
上記組成物は、2成分を1:1比で混合した後まもなくゲル化する。ゲルを5ccの目盛り付きプラスチックシリンジに移した。抗菌有効性試験においては、ゲルを寒天ペトリ皿内の標準試験容器中に移した。1日後および5日後において、大腸菌または黄色ブドウ球菌のいずれの増殖も観察されなかった。約2mmの抑制ゾーンが黄色ブドウ球菌により形成された。大腸菌においては、実際の抑制ゾーンは検出されなかった。
【0059】
実施例6
ヒドロゲルの製造方法
44gの35%PVP溶液および6gの40%ポリウレタン水溶液を、0.25%キトサンと混合して、50.25グラムのヒドロゲル組成物を得た。この組成物は、この組成物を体腔、身体開口部、例えば、腺中へ流入するのに適するようにする粘着性を有する粘稠物に数分内でゲル化する。
【0060】
実施例7
抗菌活性
20gの0.1%トリクロサン(Triclosan)を含有する35%PVP水溶液を、20gのこれも0.1%トリクロサンを含有する2%キトサン水溶液と混合した。ゲルをプラスチックシリンジに移し、抗菌性試験のために、1×1×0.5cm3の標準塊状物の形で適用した。1日後および5日後において、大腸菌または黄色ブドウ球菌のいずれの増殖も観察されなかった。大腸菌において約6〜9mmの、黄色ブドウ球菌において9〜10mmの抑制ゾーンが観察された。
【0061】
実施例8
架橋剤の効果
実施例6におけるような、44gの35%PVP溶液および6gの40%ポリウレタン水溶液に、0.2%の商業的に入手し得るゲニピンを添加した。0.25%のキトサンを実施例6に従って調製した。混合前に、両成分を、より良好な光学的可視化のために、0.1クリスタルバイオレット溶液の数滴により染色した。架橋および非架橋ゲルの接着性を模擬乳頭管内で試験するために、本実施例と実施例6の最終ゲルを約3mmのIDを有する20cm長の医療用チューブ中に注入した。チューブの各末端上に長さで約3cmのゲル量を注入した。チューブの中心をクランプ留めし、600rpmまでの漸増rpmで回転させたところ、実施例6の非架橋ヒドロゲルは、600rpmまで適所に留まることができた;一方、ゲニピン架橋ヒドロゲルは、約450〜500rpmで放出された。
実施例5のヒドロゲルは、約700〜800rpmまで適所に留まっていた。
【0062】
実施例9
抗菌活性
20gの1%アスピリンを含有する35%PVP水溶液を、20gのこれも1%アスピリンを含有する2%キトサン水溶液と混合した。ゲルをプラスチックシリンジに移し、抗菌性試験のために、標準塊状物上に適用した。驚くべきことに、1日後および5日後において、いずれの微生物の増殖も観察されなかった。約3〜4mmの抑制ゾーンを大腸菌において観察した。約4〜6mmの抑制ゾーンを黄色ブドウ球菌において観察した。
【0063】
実施例10
抗菌活性
20gの0.5%銀AlphaSanおよび0.5%アスピリンを含有する35%PVP水溶液を、20gのこれも0.5%銀AlphaSanおよび0.5%アスピリンを含有する2%キトサン水溶液と混合した。ゲルをプラスチックシリンジに移し、抗菌性試験のために、標準塊状物上に適用した。1日後および5日後において、いずれの微生物の増殖も観察されなかった。約1mmの抑制ゾーンを大腸菌において観察した。約3mmの抑制ゾーンを黄色ブドウ球菌において観察した。
【0064】
実施例11
抗菌活性
20gの1%の商業的に入手し得る48%亜鉛ピリチオン溶液(Zinc Omadine社)を含有する35%PVP水溶液を、20gのこれも1%の48%亜鉛ピリチオン溶液を含有する2%キトサン水溶液と混合した。ゲルをプラスチックシリンジに移し、抗菌性試験のために、標準塊状物上に適用した。1日後および5日後において、いずれの微生物の増殖も、大腸菌においては約8〜9mmの、黄色ブドウ球菌においては4〜5mmの抑制ゾーンでもって観察されなかった。
【0065】
実施例12
抗菌活性
20gの0.05%トリクロサンおよび0.5%の40%商業的に入手し得る48%亜鉛ピリチオン溶液(Zinc Omadine社)を含有する35%PVP水溶液を、20gのこれも0.05%トリクロサンおよび0.5%の40%亜鉛ピリチオン溶液を含有する2%キトサン水溶液と混合した。ゲルをプラスチックシリンジに移し、抗菌性試験のために、標準塊状物上に適用した。1日後および5日後において、いずれの微生物の増殖も、大腸菌においては約8〜9mmの、黄色ブドウ球菌においては10〜12mmの抑制ゾーンでもって観察されなかった。
【0066】
実施例13
抗菌活性
20gの0.05%トリクロサンおよび0.5%の抗菌性銀AlphaSanを含有する35%PVP水溶液を、20gのこれも0.05%トリクロサンおよび0.5%の抗菌性銀AlphaSanを含有する2%キトサン水溶液と混合した。ゲルをプラスチックシリンジに移し、抗菌性試験のために、標準塊状物上に適用した。1日後および5日後において、いずれの微生物の増殖も、大腸菌においては約4〜6mmの、黄色ブドウ球菌においては約1mmの抑制ゾーンでもって観察されなかった。
【0067】
実施例14
抗菌活性
20gの0.5%亜鉛ピリチオンおよび0.5%の抗菌性銀AlphaSanを含有する35%PVP水溶液を、20gのこれも0.5%亜鉛ピリチオンおよび0.5%の抗菌性銀AlphaSanを含有する2%キトサン水溶液と混合した。ゲルをプラスチックシリンジに移し、抗菌性試験のために、標準塊状物上に適用した。1日後および5日後において、いずれの微生物の増殖も、大腸菌においては約3〜4mmの、黄色ブドウ球菌においては約6mmの抑制ゾーンでもって観察されなかった。
【0068】
実施例15
抗菌活性
20gの追加の抗菌剤または薬物を含有しない35%PVP水溶液を、20gのこれも追加の抗菌剤または薬物を含有しない2%キトサン水溶液と混合した。ゲルをプラスチックシリンジに移し、抗菌性試験のために、標準塊状物上に適用した。驚くべきことに、1日後および5日後において、いずれの微生物の増殖も観察されなかった。増殖は、ゲルの表面上または塊状物試験サンプルのいずれの面上でも直接検出されなかった。抑制ゾーンは、測定できなかった。
【0069】
上記のように、本発明の好ましい実施態様であると現在信じていることを説明してきたが、他のおよびさらなる実施態様、修正および改良は、当業者であれば、承知していることであり、そのようなさらなる実施態様、修正および改良は、全てを包含し、特許請求の真の範囲に属するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(N-ビニルラクタム)、多糖類および水を含むことを特徴とする、哺乳類の体腔また身体開口部への微生物の侵入を防止し得るヒドロゲル組成物。
【請求項2】
ポリ(N-ビニルラクタム)の質量対多糖類の質量の比の範囲の上限が、約75:1、50:1、30:1、20:1、15:1、13:1、12:1または1:2である、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項3】
ポリ(N-ビニルラクタム)の質量対多糖類の質量の比の範囲の下限が、約1:10、1:5、1:3、1:1、5:1、12:1、13:1、15:1、20:1、30:1または50:1である、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項4】
約25質量%〜90質量%の水、約45質量%〜75質量%の水、または約55質量%〜65質量%の水を含む、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項5】
ポリ(N-ビニルラクタム)が、N-ビニルラクタムのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー;またはこれらの混合物である、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項6】
ポリ(N−ビニルラクタム)が、N-ビニルピロリドン、N-ビニルブチロラクタム、N-ビニルカプロラクタム、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項5記載のヒドロゲル組成物。
【請求項7】
ポリ(N-ビニルラクタム)が、N-ビニルラクタムと共重合させたビニルモノマーを含む、請求項5記載のヒドロゲル組成物。
【請求項8】
前記ビニルモノマーが、アクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項7記載のヒドロゲル組成物。
【請求項9】
前記ホモポリマーが、ポリビニルピロリドン(PVP)である、請求項5記載のヒドロゲル組成物。
【請求項10】
前記コポリマーが、ビニルピロリドンコポリマーおよびアクリルアミドコポリマーからなる群から選ばれる、請求項5記載のヒドロゲル組成物。
【請求項11】
前記ターポリマーが、ビニルピロリドンターポリマー、ビニルカプロラクタムターポリマー、およびジメチルアミノエチルメタクリレートターポリマーからなる群から選ばれる、請求項5記載のヒドロゲル組成物。
【請求項12】
多糖類が、キチン、脱アセチル化キチン、キトサン、キトサン塩類、キトサンソルベート、キトサンプロピオネート、キトサンラクテート、キトサンサリチレート、キトサンピロリドンカルボキシレート、キトサンイタコネート、キトサンナイアシネート、キトサンホルメート、キトサンアセテート、キトサンガラート、キトサングルタメート、キトサンマレート、キトサンアスパラテート、キトサングリコネート、第四級アミン置換キトサン塩、N-カルボキシメチルキトサン、O-カルボキシメチルキトサン、N,-O-カルボキシメチルキトサン、等価のブチルキトサン誘導体、セルロース誘導体、アルキルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、澱粉誘導体、メチルグルセス誘導体、コラーゲン、アルギネート、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパリン誘導体、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項13】
稠度改良剤、性能改良剤、架橋剤、またはこれらの混合物をさらに含む、請求項2記載のヒドロゲル組成物。
【請求項14】
前記稠度改良剤および/または性能改良剤が、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、メチルビニルエーテル-コ-無水マレイン酸、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、ポリペプチド類、ケラチン類、ポリビニルピロリドン/ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン/ポリカルバミル/-ポリグリコールエステル、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル、ポリビニルピロリドン/ジメチコニルアクリレート/ポリカルバミル/ポリグリコールエステル、レシチン、並びにこれらのコポリマー、誘導体およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項13記載のヒドロゲル組成物。
【請求項15】
5質量%、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%または90質量%までのポリ(N-ビニルラクタム)を、前記稠度および/または性能改良コポリマーで置換える、請求項13記載のヒドロゲル組成物。
【請求項16】
前記架橋剤が、グルタルアルデヒド、ゲニピン、アジリジン誘導体、カルボジミド誘導体、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、コロイド状二酸化チタン、ポリアミノシラン類、エポキシ類、第一級ポリアミン類、ジアルデヒド類、アクロレイン反応生成物からのポリアルデヒド類、パラホルムアルデヒド、アクリルアミド、ポリエチレンイミン、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項13記載のヒドロゲル組成物。
【請求項17】
治療効果増強剤をさらに含む、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項18】
前記治療効果増強剤が、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗カンジダ症剤、消毒剤、殺生剤、殺菌剤、防腐剤、抗ウイルス剤、殺精子剤、殺菌剤、滅菌剤、清浄化成分、防臭剤、防腐薬、殺胞子剤、調合薬、動物製剤、抗生剤、抗炎症剤、植物または種子抽出物、植物抽出物誘導体、漢方薬、保湿剤、およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項17記載のヒドロゲル組成物。
【請求項19】
前記治療効果増強剤が、抗菌性銀塩;銀ゼオライト類;銀スルファジアジン;エチルアルコール;イソプロピルアルコール;ベンジルアルコール;プロピオン酸;ソルビン酸;サリチル酸;ウンデカン酸;漂白剤;ヨウ素;ヨードフォア;ヨウ化カリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸;過酸化物類;ブロノポール;タービナフィン;ミコナコール;エコナコール;クロトリマゾール;トルナフタート;トリクロサン;トリクロカルバン;第四級アンモニウム化合物;ベンズアルコニウムハロゲナイド類;ポリクォート類;ポリクォタニウム誘導体;ホルムアルデヒド放出性化合物;ヘキセチジン;クロルヘキシジン;クロルヘキシジン誘導体;亜鉛ピリチオン;酸化亜鉛;プロピオン酸亜鉛;パラベン類;フェノキシエタノール;オクトキシノール-9;ノノキシノール-9;リシノール酸;フェノール酢酸第二水銀;イオウ;乳酸;タイムレッド、オールスパイス、シナモンおよびキダチハッカのエッセンシャルオイル;ローズマリー、エキナシア、イラクサ、フェンネル、ジュニパー、チョウセンニンジン、ルリヂサ、ゲルセミウム、マンサク、洋種ヤマゴボウ、アルニカ、トリカブト、ミツバチ、ムラサキセンダイハギ、ヒノキ科クロベ属の木、アロエ(バルバデンシス、べラ、カペンシス)、緑茶、キンレンカ、ブリオニア、ヒヨドリバナおよびカモミルの抽出物;アシクロビル;イドキシウミジン;リバビリン;ビダラビン;リマンタジン;アスピリン;ビタミンAおよびビタミンA誘導体;ビタミンEおよびビタミンE誘導体;ビタミンCおよびビタミンC誘導体;ベータカロチン;ベタメタゾン;デクサメタゾン;コルチノン;グリセリン;およびこれらの組合せからなる群から選ばれる、請求項18記載のヒドロゲル組成物。
【請求項20】
前記治療効果増強剤が、前記組成物の約3質量%、7質量%、10質量%、15質量%または20質量%までを構成する、請求項17記載のヒドロゲル組成物。
【請求項21】
15質量%〜75質量%、35質量%〜65質量%または45質量%〜55質量%の水を、エチルアルコールまたはイソプロピルアルコールで置換える、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項22】
対照染料、食用染料、化粧用染料、FD&C染料またはD&C承認染料からなる群から選ばれる染料をさらに含む、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項23】
硫酸バリウム、ヨウ素有機物、ヨウ素ポリマー、ヨウ素造影剤、ビスマス有機物およびタングステン粒子からなる群から選ばれる放射線不透過性添加剤をさらに含む、請求項1記載のヒドロゲル組成物。
【請求項24】
体腔に、ポリ(N-ビニルラクタム)、多糖類および水を含むヒドロゲル組成物を適用し、それによって体腔中への微生物の侵入を抑制することを特徴とする、哺乳類の体腔中への微生物の侵入の抑制方法。
【請求項25】
体腔が、自然体腔または損傷に由来する体腔である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
自然体腔が、耳の三半規管、目、鼻管、口、生殖口、直腸口、皺または腺開口部である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記腺開口部が、乳畜の乳腺の乳頭管である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記組成物を、注射装置、注入装置、アプリケーターまたはプラスチックシリンジによって適用する、請求項24記載の方法。
【請求項29】
ポリ(N-ビニルラクタム)の質量対多糖類の質量の比の範囲の上限が、約75:1、50:1、30:1、20:1、15:1、13:1、12:1または1:2である、請求項24記載の方法。
【請求項30】
ポリ(N-ビニルラクタム)の質量対多糖類の質量の比の範囲の下限が、約1:10、1:5、1:3、1:1、5:1、12:1、13:1、15:1、20:1、30:1または50:1である、請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、約25質量%〜90質量%の水、約45質量%〜75質量%の水、または約55質量%〜65質量%の水を含む、請求項24記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗カンジダ症剤、消毒剤、殺生剤、殺菌剤、防腐剤、抗ウイルス剤、殺精子剤、殺菌剤、滅菌剤、清浄化成分、防臭剤、防腐薬、殺胞子剤、調合薬、動物製剤、抗生剤、抗炎症剤、植物または種子抽出物、植物抽出物誘導体、漢方薬、保湿剤、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる治療効果増強剤をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項33】
ポリ(N-ビニルラクタム)、多糖類、水および殺精子剤を含み、ポリ(N-ビニルラクタム)の質量対多糖類の質量比が約75:1〜1:5、約50:1〜1:1、または約30:1〜5:1であり、該組成物が約25質量%〜55質量%の水を含むことを特徴とする、避妊用ヒドロゲル。

【公表番号】特表2007−525584(P2007−525584A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500900(P2007−500900)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005323
【国際公開番号】WO2005/086641
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(500314485)ハイドロマー インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】