説明

抗癌剤としてのポリケチド分子

本発明は、下記式(I)のポリケチド分子またはその薬学上許容される塩:


(式中、Rは水素原子または(C−C)アルキル基である)、ならびに、その調製方法および特に抗癌剤としての、その使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、海綿動物から抽出されたポリケチド型分子およびその類似体、抽出および半合成の方法、並びに医薬としての、特に癌の治療用の、該化合物の使用に関する。
【0002】
海綿動物は、生物活性二次代謝産物、特にアルカロイドの生産について証明されてから、数十年来ずっと多くの研究の中心になっていた。
【0003】
こうして、本発明者らは海綿動物Hemimycale種から抗癌活性を有する新規ポリケチド型分子を単離することができた。
【0004】
よって、本発明の対象は、下記式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩:
【化1】

(式中、Rは水素原子または(C−C)アルキル基、例えば、(C−C)アルキル基、例えば、メチルである)
である。
【0005】
「(C−C)アルキル」基とは、本発明によれば、1〜7個、例えば、1〜4個、特に1個の炭素原子を含む飽和直鎖または分岐鎖炭化水素鎖を意味する。例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシル基が挙げられる。特にメチル基である。
【0006】
本発明では、「薬学上許容される」とは、一般的に安全であり、毒性がなく、生物学的にも他の点でも望ましくないものではない医薬組成物の調製において有用であること、およびヒト用医薬品使用と同様に動物用にも許容されることを意味する。
【0007】
化合物の「薬学上許容される塩」とは、本明細書に定義するとおり薬学上許容され、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を有する塩を意味する。薬学上許容される塩は、より詳しくは、塩基付加塩である。そのような塩は、親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、またはアルミニウムイオンによって置き換えられるか、または有機塩基または無機塩基と配位結合する場合に形成される。許容される有機塩基としては、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなどが挙げられる。許容される無機塩基としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0008】
前記式(I)の分子中に存在する不斉原子の数を考えると、後者は異なる立体配置をとり得る。本発明による化合物は、特に、その抽出様式により定義される、特に下記連続的工程を含んでなる方法により得られる、構造の化合物である:
(i)Hemimycale種海綿動物の凍結乾燥物をクロロホルム、次いで、水−エタノール溶液(特に10/90 水/エタノール)で浸漬(maceration)し、続いて、濾過して濾液を得、その後、該濾液を濃縮して抽出物を得る工程、
(ii)前述の工程(i)で得られた抽出物を水とジクロロメタンとで分液し、得られた水相と有機相を分離し、酢酸エチルで水相を抽出し、新たに得られた水相と有機相を分離し、それによって得られた2つの有機相を合わせ、濃縮して、脱塩抽出物を得る工程(無機塩は水相中に除去されている)、
(iii)前述の工程(ii)で得られた脱塩抽出物を水−メタノール溶液(特に10/90 水/メタノール)およびヘキサンに溶解し(reprise)、回収し、メタノール相を濃縮してメタノール抽出物を得る工程、
(iv)前述の工程(iii)で得られたメタノール抽出物からR=Hである式(I)の化合物を単離する工程、および
(v)所望により、C−(1)のカルボン酸をエステル化してR=(C−C)アルキルである式(I)の化合物を得、かつ/または前述の工程(iv)で得られた化合物を塩化し、それによって得られた化合物を反応混合物から単離する工程。
【0009】
この方法の範囲内で、使用される海綿動物Hemimycale種は、より詳しくは、バヌアツ共和国のトレス諸島を起源とし得るものである。
【0010】
式(I)の化合物は、より詳しくは、
【化2】

および
【化3】

から選択される。
【0011】
本発明のもう1つの対象は、医薬として、特に癌の治療を目的とする、使用のための上記で定義した式(I)の化合物である。
【0012】
本発明はまた、医薬の調製のための、特に癌の治療を目的とする、前述の式(I)の化合物の使用にも関する。
【0013】
本発明はまた、増殖性疾患、例えば、癌を治療する方法にも関し、その方法は、それを必要とする人に上記で定義した式(I)の化合物の有効量を投与することを含んでなる。
【0014】
本発明のもう1つの対象は、上記で定義した少なくとも1種の式(I)化合物と、薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物である。
【0015】
本発明の医薬組成物は、例えば、静脈内経路または経口経路による投与のために処方される。
【0016】
有効成分としての本発明の化合物は、例えば、単回投与では、1日0.01mg〜1000mgの間で含まれる用量で用いられる。
【0017】
本発明の特定の実施形態では、前記医薬組成物は、医薬として、例えば、癌の治療のために用いられる。
【0018】
本発明のもう1つの対象は、前記で定義した化合物を合成する方法であり、その方法は、下記連続的工程:
(i)Hemimycale種海綿動物の凍結乾燥物をクロロホルム、次いで、水−エタノール溶液(特に10/90 水/エタノール)で浸漬し、続いて、濾過して濾液を得、その後、該濾液を濃縮して抽出物を得る工程、
(ii)前述の工程(i)で得られた抽出物を水とジクロロメタンとで分液し、得られた水相と有機相を分離し、酢酸エチルで水相を抽出し、新たに得られた水相と有機相を分離し、それによって得られた2つの有機相を合わせ、濃縮して、脱塩抽出物を得る工程、
(iii)前述の工程(ii)で得られた脱塩抽出物を水−メタノール溶液(特に10/90 水/メタノール)およびヘキサンに溶解し、回収し、メタノール相を濃縮してメタノール抽出物を得る工程、
(iv)前述の工程(iii)で得られたメタノール抽出物からR=Hである式(I)の化合物を単離する工程、および
(v)所望により、C−(1)のカルボン酸をエステル化してR=(C−C)アルキルである式(I)の化合物を得、かつ/または前述の工程(iv)で得られた化合物を塩化し、それによって得られた化合物を反応混合物から単離する工程
を含む。
【0019】
この方法に使用される海綿動物は、より詳しくは、バヌアツ共和国のトレス諸島を起源とし得るものである。
【0020】
=Hである本発明による化合物の単離(工程iv)は、特にシリカゲルクロマトグラフィーにより実施することができる。得られた生成物は、次いで、当業者に周知の技術により、特に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、精製することができる。
【0021】
工程(v)でのカルボン酸のエステル化は、当業者に周知のプロトコールにより実施することができる。メチルエステルを得ることが望まれる場合には、その反応は、トリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN)の存在下で実施することができる。
【0022】
工程(v)の塩化工程は、前記化合物と薬学上許容される塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)との単純な混合により実施することができる。
【0023】
それによって得られた化合物は、当業者に周知の方法により(例えば、抽出、溶媒の蒸発によりまたはその代わりとして沈澱および濾過によるなど)反応混合物から分離することができる。
【0024】
その化合物は、必要に応じてさらに、当業者に周知の技術により(その化合物が結晶性であるならば再結晶により、蒸留により、シリカゲルクロマトグラフィーにより、またはその代わりとして高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるなど)精製することができる。
【0025】
本発明の対象はまた、R=Hである前記で定義した式(I)の化合物から、Rが(C−C)アルキル基を表す前記で定義した化合物を合成する方法にも関し、その方法は、下記連続的工程:
(a)C−(1)のカルボン酸をエステル化して、R=(C−C)アルキルである式(I)の化合物を得る工程、
(b)所望により、前述の工程(a)で得られた化合物を塩化する工程、および
(c)前述の工程(a)または(b)で得られた化合物を反応混合物から単離する工程
を含んでなる。
【0026】
工程(a)
カルボン酸のエステル化は、当業者に周知のプロトコールにより実施することができる。メチルエステルを得ることが望まれる場合には、その反応は、トリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN)の存在下で実施することができる。
【0027】
工程(b)
塩化工程は、前記化合物と薬学上許容される塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなど)との単純な混合により実施することができる。
【0028】
工程(c)
それによって得られた化合物は、当業者に周知の方法により(例えば、抽出、溶媒の蒸発によりまたはその代わりとして沈澱および濾過によるなど)反応混合物から分離され得る。
その化合物は、必要に応じてさらに、当業者に周知の技術により(その化合物が結晶性であるならば再結晶により、蒸留により、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、またはその代わりとして高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるなど)精製することができる。
次の実施例において本発明を限定されない方法でより詳細に記載する。
【実施例】
【0029】
実施例1:化合物I−1(R=Hである式(I)の化合物)の抽出
バヌアツ共和国のトレス諸島で5kgの新鮮なHemimycale種海綿動物を収集し、次いで、凍結乾燥して650gの凍結乾燥物を得た。凍結乾燥物をクロロホルム、次いで、水−アルコール溶液(10:90は10%の水と90%のエタノールを表している)で連続して6時間浸漬させた。この2番目の工程を2回繰り返した。得られた濾液を一緒に合わせ、濾過し、ロータリーエバポレーターを使用して水性シロップが得られるまで濃縮した。水性シロップをジクロロメタンと酢酸エチルとで連続して分液して抽出物から無機塩を(水相中に)除去した。脱塩抽出物(42g)を水−メタノール溶液(10:90)に溶解し、次いで、ヘキサンで分液して大部分の無極性分子を除去した。それによって2つの抽出物、ヘキサン抽出物(24g)およびメタノール抽出物(18g)を得た。薬理学的活性を示したのはメタノール抽出物だけであった。
薬理学的活性試験と、分取スプリットを備えたネガティブエレクトロスプレーイオン化モード(ESI−)での液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)を用いる分析および精製との両方を組み合わせたモニタリング方法により、m/z 1061.8;1059.4;1077.7;1093.3(ESI−では+/−0.4)を有する分子ファミリーを明らかにすることが可能となった。その中で最も重要なイオンはm/z 1061.8である。
【0030】
メタノール抽出物について、酢酸エチルおよびメタノールの漸増極性溶出による標準シリカカラムでの「フラッシュ」(または「ステップワイズ」)型クロマトグラフィーを実施して、7画分を得た。次いで、薬理学的活性を示した画分番号4〜7をメタノール溶出によるLH20カラムでのクロマトグラフィーに付した。最後の精製を、水・アセトニトリル勾配を用いる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(RP C18)により実施して、分子量1062(量0.5mg、海綿動物の凍結乾燥物に対して収率0.000077%);HRESITOFMS m/z 1061,6780(M−H)、C599716についての計算値 m/z 1061.6782の活性分子を得た。
【0031】
(HRESITOFMS=高分解能エレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析)
このようにして分子I−1を得た。
【化4】

1H NMR (500MHz, メタノール-d4)δ = 7.10 (1H, dd, J = 15.1 Hz, J = 11.1 Hz, H-3), 6.45 (1H, dd, J = 15.0 Hz, J = 10.7 Hz, H-5), 6.27 (1H, dd, J = 15.0 Hz, J = 11.0 Hz, H-4), 6.17 (1H, dd, J = 15.3 Hz, J = 10.7 Hz, H-6), 5.95 (1H, br. s., H-15), 5.90 (1H, d, J = 15.3 Hz, H-2), 5.87 (1H, dd, J = 15.1 Hz, J = 8.7 Hz, H-7), 5.55 (1H, dt, J = 14.8 Hz, J = 7.3 Hz, H-34), 5.34 (1H, dd, J = 15.3 Hz, J = 8.5 Hz, H-35), 5.16 (1H, d, J = 9.8 Hz, H-17), 4.42 (1H, ddd, J = 11.3 Hz, J = 7.5 Hz, J = 3.5 Hz, H-19), 4.32 (1H, d, J = 11.3 Hz, H-40), 4.27 (1H, s, H-22), 4.11 (1H, ddd, J = 11.1 Hz, J = 7.7 Hz, J = 3.5 Hz, H-37), 3.99 (1H, d, J = 7.3 Hz, H-13), 3.66 - 3.74 (2H, m, H-31, 45), 3.59 - 3.66 (1H, m, H-29), 3.57 (1H, dd, J = 9.6 Hz, J = 2.0 Hz, H-11), 3.40 (3H, s, H-29a), 3.39 (3H, s, H-9a), 3.33 (3H, s, H-27a), 3.32-3.34 (1H, m, H-27), 3.27 (1H, dd, J = 6.7 Hz, J = 4.6 Hz, H-9), 2.74 - 2.87 (1H, m, H-18), 2.48 - 2.61 (1H, m, H-8), 2.29 - 2.39 (1H, m, H-36), 2.20 - 2.27 (1H, m, H-33), 2.02 - 1.22 (22H, m, H-10, 12, 20, 24, 25, 26, 28, 30, 32, 33, 38, 39, 42, 43, 44), 1.82 (3H, s, H-16a), 1.69 (3H, s, H-14a), 1.15 (3H, d, J = 6.4 Hz, H-46), 1.10 (3H, d, J = 6.7 Hz, H-18a), 1.11 (3H, d, J = 6.7 Hz, H-36a), 1.07 (3H, d, J = 6.7 Hz, H-8a), 0.98 - 1.02 (1H, m, H-25), 0.96 (3H, d, J = 6.7 Hz, H-24a), 0.93 (3H, d, H-12a), 0.91 (3H, d, J = 7.0 Hz, H-42a), 0.89 (3H, d, J = 6.7 Hz, H-32a), 0.85 (3H, d, J = 7.0 Hz, H-10a)

13C NMR (126MHz, メタノール-d4) δ = 178.4 (C-41), 177.0 (C-23), 174.1 (C-1), 142.8 (C-7), 142.7 (C-3), 139.8 (C-5), 137.4 (C-14), 135.4 (C-16), 133.2 (C-34), 132.5 (C-35), 131.7 (C-15), 131.6 (C-17), 130.9 (C-6), 130.7 (C-4), 127.6 (C-2), 88.3 (C-9), 82.8 (C-19), 82.1 (C-13), 80.9 (C-37), 79.1 (C-27), 77.0 (C-29), 76.4 (C-21), 75.5 (C-11), 72.5 (C-22), 72.0 (C-31), 68.7 (C-45), 68.2 (C-40), 59.6 (C-9a), 57.9 (C-29a), 56.5 (C-27a), 43.6 (C-36), 41.5 (C-8), 41.4 (C-39), 40.8 (C-26), 40.8 (C-28), 40.6 (C-32), 40.1 (C-10), 39.3 (C-18), 39.3 (C-24), 38.5 (C-12), 38.0 (C-44), 37.7 (C-33), 33.7 (C-42), 33.0 (C-30), 32.2 (C-20), 32.1 (C-43), 28.0 (C-25), 26.7 (C-38), 23.6 (C-46), 17.9 (C-16a), 17.2 (C-36a), 17.2 (C-18a, 8a), 14.4 (C-32a), 14.0 (C-14a), 13.4 (C-42a), 13.1 (C-24a), 13.0 (C-10a), 7.6 (C-12a)
【0032】
実施例2:分子I−1からのメチルエステルI−2の調製
【化5】

50μlのメタノールに溶解させた分子I−1の溶液50μgに、トリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN)1滴を加えた。その反応物を周囲温度で10分間攪拌し、最後に少量の窒素噴射により乾燥させ、ESI−モードでLC/MSにより分析した。その反応物は総てm/z 1075.4(M−H)の極性がより低いメチルエステルを形成した。
【0033】
実施例3:ヒト癌細胞株パネルの増殖阻害
癌性細胞[細胞株A549(非小細胞肺癌)、BxPC3(膵臓癌)、LoVo(結腸癌)、MCF7(乳癌)、Namalwa(バーキットリンパ腫)およびSK−OV−3(卵巣癌)]を、10%の胎児ウシ血清(100μl/ウェル、考察する細胞株に応じて1〜3.10細胞/ml)添加、フェノールレッド(Seromed)無添加のRPMI 1640培地が入った96−ウェルプレートで培養した。5%COのインキュベーター内での37℃で24時間のインキュベーション後に、その培地を、試験する化合物(分子I−1)を含有する培地と交換し、その後、プレートをさらに48時間インキュベートした。ATP−lite−M(商標)キットに入っている細胞溶解溶液、ルシフェラーゼおよびルシフェリンを製造業者(Packard, Rungis, France)推奨のとおり用いて、培地中へのATP放出後の発光の測定により細胞生存を評価した。各実験条件を六連で少なくとも3回試験した。下の表は、分子I−1のIC50データ(Mで表される)を、試験した異なる細胞株に応じて示している。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例4:細胞表現型の説明(免疫蛍光および顕微鏡)
HeLa腫瘍性細胞(ヒト癌腫)を、24ウェル培養プレート中に入れた12mm径ガラススライド上で24時間培養した(1ウェル当たり7.10細胞)。
【0036】
次いで、それらの細胞を試験濃度の分子I−1により新たに24時間処理した。処理終了時にスライドを回収し、従前に記載されているとおり細胞を固定し細胞膜浸透化処理した(Lajoie-Mazenc I. et al., Journal of Cell Science 107, 2825-2837 (1994))。次いで、γ−チュブリンおよびα−チュブリンを、1/1000希釈した特異的一次抗体(それぞれ:R75ウサギポリクローナル抗体(Lajoie-Mazenc I. et al.);クローンB−5−1−2モノクローナル抗体、Sigma-Aldrich, France)により標識し(2時間−37℃)、その後、対応する蛍光二次抗体(1/1000希釈したAlexa−568抗マウスおよびAlexa−488抗ウサギ;45分−37℃)により明らかにした。DNAをDAPI(0.2μg/ml−15分−37℃)で標識した。種々の標識後、スライドを乾燥させ、Vectashield封入液(AbCys, France)で封入した後、落射蛍光顕微鏡(Axiovert 200M;対物レンズ x63 Plan Apochromat NA, 1.4; ZEISS, France)により観察した。
【0037】
5.10−9M〜5.10−8Mの間では、間期細胞に微小管細胞骨格はなかった(α−チュブリンにより標識)。中心体は分離されていることが多く、通常γ−チュブリンにより標識された。
【0038】
10−9M〜5.10−8Mの間の用量効果により、有糸分裂細胞は前中期に遮断され微小管は存在しなかった(α−チュブリン標識)。分離された2つの中心体が通常存在し、γ−チュブリンにより標識された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物またはその薬学上許容される塩:
【化1】

(式中、Rは水素原子または(C−C)アルキル基である)。
【請求項2】
下記連続的工程を含んでなる方法により得られる、請求項1に記載の化合物:
(i)Hemimycale種海綿動物の凍結乾燥物をクロロホルム、次いで、水−エタノール溶液で浸漬し、続いて、濾過して濾液を得、その後、該濾液を濃縮して、抽出物を得る工程、
(ii)前述の工程(i)で得られた抽出物を水とジクロロメタンとで分液し、得られた水相と有機相を分離し、酢酸エチルで水相を抽出し、新たに得られた水相と有機相を分離し、それによって得られた2つの有機相を合わせ、濃縮して、脱塩抽出物を得る工程、
(iii)前述の工程(ii)で得られた脱塩抽出物を水−メタノール溶液およびヘキサンに溶解し、回収し、メタノール相を濃縮してメタノール抽出物を得る工程、
(iv)前述の工程(iii)で得られたメタノール抽出物からR=Hである式(I)の化合物を単離する工程、および
(v)所望により、C−(1)のカルボン酸をエステル化してR=(C−C)アルキルである式(I)の化合物を得、かつ/または前述の工程(iv)で得られた化合物を塩化し、それによって得られた化合物を反応混合物から単離する工程。
【請求項3】
前記海綿動物Hemimycale種が、バヌアツ共和国のトレス諸島を起源とする、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
以下の化合物から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物:
【化2】

および
【化3】


【請求項5】
医薬として使用するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
癌の治療を目的とする医薬として使用するための、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項8】
下記連続的工程:
(i)Hemimycale種海綿動物の凍結乾燥物をクロロホルム、次いで、水−エタノール溶液で浸漬し、続いて、濾過して濾液を得、その後、該濾液を濃縮して抽出物を得る工程、
(ii)前述の工程(i)で得られた抽出物を水とジクロロメタンとで分液し、得られた水相と有機相を分離し、酢酸エチルで水相を抽出し、新たに得られた水相と有機相を分離し、それによって得られた2つの有機相を合わせ、濃縮して、脱塩抽出物を得る工程、
(iii)前述の工程(ii)で得られた脱塩抽出物を水−メタノール溶液およびヘキサンに溶解し、回収し、メタノール相を濃縮してメタノール抽出物を得る工程、
(iv)前述の工程(iii)で得られたメタノール抽出物からR=Hである式(I)の化合物を単離する工程、および
(v)所望により、C−(1)のカルボン酸をエステル化してR=(C−C)アルキルである式(I)の化合物を得かつ/または前述の工程(iv)で得られた化合物を塩化し、それによって得られた化合物を反応混合物から単離する工程
を含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を合成する方法。
【請求項9】
前記海綿動物Hemimycale種が、バヌアツ共和国のトレス諸島を起源とする、請求項8に記載の合成方法。
【請求項10】
=Hである請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物から、Rが(C−C)アルキル基を表す請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を合成する方法であって、下記連続的工程:
(a)C−(1)のカルボン酸をエステル化し、R=(C−C)アルキルである式(I)の化合物を得る工程、
(b)所望により、前述の工程(a)で得られた化合物を塩化する工程、および
(c)前述の工程(a)または(b)で得られた化合物を反応混合物から単離する工程
を含んでなる、方法。

【公表番号】特表2013−509377(P2013−509377A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535823(P2012−535823)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066334
【国際公開番号】WO2011/051380
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(500033483)ピエール、ファーブル、メディカマン (73)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【出願人】(510263249)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT DE RECHERCHE POUR LE DEVELOPPEMENT I.R.D.
【住所又は居所原語表記】Immeuble le Sextant, 44 boulevard de Dunkerque, CS 90009, F−13572 Marseille Cedex 02, France
【Fターム(参考)】