説明

抗癌療法のためのマクロファージマイグレーション阻害因子アンタゴニストの使用

【課題】MIF の生産又は活性を中和することにより細胞の過剰増殖の疾患を治療する。
【解決手段】ヒトマクロファージマイグレーション阻害因子(MIF) mRNAに相補的であり、そして以下のヌクレオチド配列:5'-ATG-AAC-ATC-GGC-ATG-ATG-GC-3'(配列番号2)を含んでなる、アンチセンス分子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞の過剰増殖に関する疾患を治療する方法であって、マクロファージマイグレーション阻害因子(MIF)の生産又は活性を中和することを含む方法に関する。本発明は、これらに限らないが、B及びT細胞リンパ腫を含む悪性腫瘍の治療のための組成物及び方法に更に関する。
【背景技術】
【0002】
MIF は、はじめ、試験管内でのモルモットマクロファージのマイグレーションを防ぐ能力により同定された(Bloom & Behnett, Science 153 : 80-82, 1966;及びDavid, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 56 : 72-77, 1966)。MIF は、遅延型の過敏性反応に関連すること(Bloom & Behnett, 1966 、前掲;David, 1966 、前掲)、レクチン活性化T細胞により生産されること(Weiserら、J. Imunol. 126 : 1958-1962, 1981) 、並びにマクロファージ接着、食作用及び殺腫瘍活性を増強すること(Nathanら、J. Exp. Med. 137 : 275-288, 1973 ; Nathan ら、J. Exp. Med. 133 ; 1356-1376, 1971;及びChurchill ら、J. Immunol. 115 : 781-785, 1975)が報告されている。不幸なことに、これらの研究の多くは、純粋なMIF と考えられたが、後にマイグレーション阻害活性も有する IFN−γ及びIL−4のような他のサイトカインも含んでいることが示された混合した培養上清を用いていた(McInnes & Rennick, J. Exp. Med. 167 :598-611, 1988 ; Thurman ら、J. Immunol. 134 : 305-309, 1985)。
【0003】
組換えヒトMIF は、最初、ヒトT細胞ライブラリーからクローン化され(Weiserら、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 : 7522-7526, 1989)、組換えヒトMIF は血液由来マクロファージを活性化して、試験管内で細胞内寄生体及び腫瘍細胞を殺し、IL−1β及び TNFα発現を刺激し、そして酸化窒素合成を誘導することが示されている(Weiserら、J. Immunol. 147 : 2006-2011, 1991 ; Pozziら、Cellular Immunol. 145 : 372-379, 1992 ; Weiserら、Proc.Natl. Acad. Sci. USA 89 : 8049-8052, 1992 ; 及びCunha ら、J. Immunol. 150 : 1902-1912, 1993)。しかしながら、ごく最近まで、精製されたMIF の信頼できるソースの欠如がこの分子の正確な生物学的プロフィールの研究を妨害し続けていた。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、MIF の活性を中和することにより細胞の過剰増殖に関する疾患を治療するための方法であって、MIF の活性を中和するための剤が、抗MIF モノクローナル抗体、MIF アンチセンスRNA 分子、及びそれらの組合せからなる群から選択されることを特徴とする方法を供する。好ましくは、細胞の過剰増殖は腫瘍増殖に関する。最も好ましくは、治療される腫瘍は、B細胞又はT細胞由来のリンパ腫である。
【0005】
本発明は、試験管内でのT細胞の増殖のためにMIF が要求されるという発見に基づく。MIF に対して中和するモノクローナル抗体(mAbs)は、抗CD3誘導化一次T細胞の増殖を直接、阻害する。これらの試験管内データは、MIF アンタゴニストが一般的な増殖中の腫瘍細胞集団に対して及び特にリンパ球に対して治療に活性であることを予言する。更に、MIF アンタゴニスト、特にMIF の中和性抗体が生体内で腫瘍細胞の増殖を阻害する腫瘍細胞増殖の予測モデルにおいて供された生体内データがある。これらの観察結果は、生物のレベルにおいて生体内の細胞サイクル及び細胞増殖を制御することにおけるMIF の予期されない関連性を示す。しかしながら、理論に結びつけるわけではないが、MIF アンタゴニストの治療活性は、充実性腫瘍組織の脈管化を阻害することにより機能し、これによりそれは、増殖中の腫瘍組織への血液供給を阻害する、遮断による腫瘍組織への栄養の阻害に基づく充実性腫瘍の普遍的治療であるようである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】抗MIF 中和性モノクローナル抗体での治療による生体内の最初のリンパ腫の成長の阻害を示す。図1は、抗MIF 処理した及びアイソタイプ対照グループについての平均の7日目に評価した腫瘍の重量を示す。B細胞リンパ腫細胞(J. D. Kemp, Dept. of Parhology, U. of IAにより供された38C13 細胞)を、指数増殖期培養(RPMI/10% FBS)から収集し、 300×gで10分、遠心し、PBS で2回洗って、1×105細胞/mlの密度に調節した。38C13 懸濁液(5×104細胞)を、27ゲージ針を備えた1mlシリングを用いてi.d.注入した。30分以内に、マウスに、IgG 、アイソタイプ対照抗体(Pharmingen ; San Diego, CA)又は抗MIF モノクローナル抗体XIV.15.5, XIV.14.3又はIII .D.9(C. Metz. Dept. of Med. Biochemistry, The Picower Institute)のいずれかを0.2ml (0.3mg)、i.p.注入した。抗体注入を6日間、48時間毎にくり返した、腫瘍の重量を、次式に従ってバーニヤーキャリパスを用いて7日後にとった測定結果から評価した:腫瘍重量(グラム)=(幅、cm)2×(長さ、cm)/2(Taetleら、Cancer Treatment Reports 71 : 297-304, 1987)。マウスをCO2窒息により安楽死させ、腫瘍を切除して計量した。
【図2】抗MIF 中和性モノクローナル抗体での処理による生体内の最初のリンパ腫の成長の阻害を示す。図2は、抗 MIF(XIV.15.5) 及び対照の処理したグループから切除した腫瘍塊の湿潤重量を示す。腫瘍は、図1に記載されるように、動物から収集した。
【図3】抗MIF 中和性モノクローナル抗体での処理による生体内の確立されたリンパ腫の成長の阻害を示す。これらの実験において、図1に記載される実験プロトコルを、処理を始める前に腫瘍を96時間、約0.01cm3の平均サイズになるまで成長させたことを除いて行った。次に腫瘍を有するマウスを、腫瘍が同様の平均腫瘍サイズを示すグループに分けた。マウスの処理及び腫瘍の測定を、図1に記載の最初のリンパ腫成長実験と同様に行った。腫瘍サイズのデータは、0日目(最初の抗体(XIV.15.5)注入の時間、38C13 細胞の注入後4日)から6日目まで48時間毎にプロットする。
【図4】抗MIF 中和性モノクローナル抗体での生体内でのヒト内皮細胞の増殖の阻害を示す。増殖中のヒト微小血管内皮細胞(第4継代)(Clonetics ; San Diego, CA)(96ウェルプレート中 5,000/ウェル)を、3時間、1%胎児ウシ血清を含む内皮細胞増殖培地(ECG−1)中、IgG 、対照(Sigma ; St. Louis, MO)又は抗MIF 中和性モノクローナル抗体XIV.15.5の10〜 200μg/mlと共にインキュベートした。これらの培養物の増殖活性を、液体シンチレーションカウンターにより、[3H] チミジン(4μCi/ml)のDNA への組み込みにより測定した。
【図5】MIF アンチセンスオリゴヌクレオチドでの生体内でのヒト内皮細胞の増殖の阻害を示す。 ECG−1(96ウェルプレート中 5,000/ウェル)で培養した増殖中のヒト微小血管内皮細胞(第4継代;Clonetech)に製造元のプロトコール(Gibco ; Gaithersburg,MD)に従いLipotectinを用いて、ホスホロチオネートオリゴヌクレオチド(10μg/ml;Oligo's Etc ; Wilsonville, OR)をトランスフェクトした:S−MIF :5'-GCC-ATC-ATG-CCG-ATG-TTC-AT-3'(センス、ヒトMIF ;配列番号:1)及びAS−MIF :5'-ATG-AAC-ATC-GGC-ATG-ATG-GC-3'(アンチセンス、ヒトMIF ;配列番号:2)。16時間後、これらの培養物の増殖活性を、液体シンチレーションカウンターにより、[3H] チミジン(4μCi/ml)のDNA への組み込みにより、次の8時間にわたって測定した。
【図6】MIF アンチセンスオリゴヌクレオチドでの骨髄性白血病細胞の増殖の阻害を示す。対数期増殖中のK−562 慢性骨髄性白血病細胞培養物(96ウェルプレート中 5,000細胞/ウェル;ATCC;Rochville, MD から得たもの)に製造元のプロトコル(Gibco)に従うLipofectin試薬を用いて次のホスホロチオネートオリゴヌクレオチド(10μg/ml;Oligo's etc)をトランスフェクトした:S−MIF:5'-GCC-ATC-ATG-CCG-ATG-TTC-AT-3'(センス、ヒトMIF ;配列番号:1);及びAS−MIF(:5'-ATG-AAC-ATC-GGC-ATG-ATG-GC-3'(アンチセンス、ヒトMIF ;配列番号:2)。標準細胞培養条件(37℃,5% CO2、加湿大気中)下で16時間のインキュベーションの後、これらの培養物の増殖活性を、液体シンチレーションカウンターにより、[3H] チミジン(4μCi/ml;DuPont)のDNA への組み込みにより、次の8時間にわたって測定した。
【図7】生体内で抗MIF 抗体での処理による腫瘍脈管化の阻害を示す。抗MIF mAb 処理対対照Ab処理動物から収集した腫瘍へ免疫組織化学的に染色したセクションにおける高倍率場(400×)当りのCD31陽性キャピラリープロフィールの平均数の比較を行った。その結果は、抗MIF 抗体処理動物中で増殖する腫瘍が、対照抗体処理動物において発生するものより小さいことに加えて、単位体積当りにかなり脈管化が少なかった。
【図8a】NIH3T3繊維芽細胞の増殖を阻害する抗MIF モノクローナル抗体を示す試験管内実験を示す。
【図8b】図8aに同じ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な記載
本発明は、MIF の生産又は活性を中和することにより細胞の過剰増殖の疾患を治療するための方法を供する。本発明は、腫瘍関連の疾患の治療のためのMIF の活性を阻害する治療組成物の使用を供する。本発明の特定の実施形態において、中和性MIF モノクローナル抗体又はMIF アンチセンスRNA 分子を含む治療組成物は、充実性腫瘍;最も好ましくはB及びT細胞リンパ腫を治療するのに用いられる。本発明は、MIF アンチセンスRNA 分子及びMIF モノクローナル抗体並びにそれらの誘導体及びアナログを含む治療組成物を包含する。
【0008】
本発明は、MIF の遊離を阻害し又はその活性を中和する因子を投与することによる細胞の過剰増殖に関連する疾患(即ち癌及び過剰増殖性疾患)の治療又は予防を供する。本発明の方法は、前癌状態、例えば良性腫瘍、過剰増殖性疾患及び良性異常増殖性疾患の治療に関する。本発明の組成物により治療されるべき疾患及び病気は、これらに限らないが、B及びT細胞リンパ腫、皮膚癌、脳腫瘍、骨癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、乳癌、直腸癌、肺癌、黒色腫、鼻咽腔癌、骨癌、卵巣癌及び子宮癌も含む。
【0009】
本発明は、MIF に免疫特異的に結合する抗体の治療に有効な量を含む医薬組成物も包含する。本発明は、MIF に免疫特異的に結合する結合ドメインを含む治療に有効な量の抗体のフラグメント又は誘導体を含む医薬組成物を更に包含する。
【0010】
本発明によるMIF の中和又は阻害は、いくつかの方法において達成することができる。これらは、これらに限られないが、MIF に結合しその生物活性を中和する因子の使用;MIF −レセプターアンタゴニストの使用;MIF の酵素活性を阻害する因子の使用;体内の細胞のソースからのMIF の放離を阻害する化合物の使用;及びMIF 発現を防止し又は減少させるためのMIF コーディング、非コーディング、及び/又は調節配列由来のヌクレオチド配列の使用を含み得る。これらのいずれも、細胞の過剰発現に関連する病状の治療においてMIF 活性を阻害するために個々に又は組み合わせて利用することができ、更に他のいずれかの抗腫瘍療法、例えば薬理的、外科的、サイトカイン、ステロイドもしくは遺伝子療法、又はそれらのいずれかの組合せと組み合わせることができる。
【0011】
本発明は、部分的に、MIF が細胞の増殖を制御することにおいて役割を果たすこと、及びMIF の活性を特異的に中和することにより細胞の増殖の阻害がおこるであろうことに基づく。このモデルは例により支持される。試験管内でのT細胞の増殖のためにMIF が要求される。MIF に対する中和性モノクローナル抗体(mAbs)は、[3H] チミジン組み込み量により測定して、抗CD3活性化一次T細胞の増殖を直接、阻害した。これらの結果は、MIF がT細胞の活性化により免疫系を制御するよう機能することを示唆する。MIF に対する中和性、モノクローナル抗体の投与は、ネズミB細胞リンパ腫モデルにおいて腫瘍の増殖を阻害した。更に、抗MIF 剤(モノクローナル抗体及び抗センス分子)は、腫瘍確立のために要求されるホスト依存の過程、例えば腫瘍新脈管形成の確立を阻害した。これらの結果は、MIF の生産、遊離又は活性を中和することは、特に成長を維持するために、脈管化を必要とする充実性腫瘍のための、大きな抗腫瘍治療活性を有することを推定する。MIF 中和因子は、抗MIF 抗体、抗体フラグメント、MIF レセプター、及びMIF レセプターフラグメントを含む。
【0012】
当該技術で周知である種々の手順を、組換え生産した又は自然から精製したMIF のエピトープに対する抗体の生産のために用いることができる。中和性抗体、例えば細胞のレセプターの結合に関連するMIF エピトープについて競合し、又はそれを立体的に妨害することによりMIF の生物活性を阻害するものは、診断及び治療のために特に好ましい。このような抗体は、これらに限らないが、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、一本鎖、及びFab 発現ライブラリーにより生産されたフラグメントを含む。
【0013】
抗体の生産のために、MIF 及び/又はMIF の一部の注入により種々のホスト動物を免疫化することができる。このようなホスト動物は、これらに限らないがウサギ、マウス及びラットを含む、ホストの種により、免疫応答を増加させるために種々のアジュバントを用いることができる。これらは、これらに限らないが、フロイント(完全及び不完全)、無機ゲル、例えば水酸化アルミニウム、表面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルション、キーホール・リンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、及び潜在的に役立つヒトアジュバント、例えばBCG (bacille calmette-Guerin) 及びコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)を含む。
【0014】
MIF に対するモノクローナル抗体は、培養中の連続培養系による抗体分子の生産を供するいずれかの技術を用いることにより調製することができる。これらは、これらに限らないが、Kohler及びMilstein (Nature, 256 : 495-497, 1975)によりもしくは記載されるハイブリドーマ、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術)(Kosborら、Immunology Today, 4 : 72, 1983;及びCoteら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80 : 2026-2030, 1983)及び EBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc. pp.77-96, 1985)を含む。更に、適切な生物活性のヒト抗体分子からの遺伝子と共に適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることによる“キメラ抗体”の生産のために開発された技術(Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81 : 6851-6855, 1984 ; Neubergerら、Nature, 312 : 604-608, 1984 : 及びTakedaら、Nature, 314 : 452-454, 1985)を用いることができる。あるいは、一本鎖抗体の生産について記載される技術(米国特許 4,946,778)はMIF 特異的一本鎖抗体を生産するのに適合し得る。
【0015】
抗MIF モノクローナル抗体を作り出すためにハイブリドーマ技術が利用されている。MIF のヒト及びネズミ形態の両方に対するIgGモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマが単離され、MIF 生物活性を中和する能力についてキャラクタライズされている。抗MIF モノクローナル抗体は、細胞内寄生体のマクロファージ殺傷の刺激を阻害することが示された。抗MIF モノクローナル抗体は、MIFについての特異的かつセンシティブなELISA スクリーニングアッセイを開発するのにも利用されている。抗MIF モノクローナル抗体及びELISA アッセイの両方は、炎症応答及びショックの診断及び/又は治療に用いることができる。
【0016】
特定のMIF エピトープを認識する抗体フラグメントは周知の技術により作ることができる。例えば、このようなフラグメントは、これらに限らないが、抗体フラグメントのペプシン消化により作ることができるF(ab')2フラグメント及びF(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより作ることができるFab フラグメントを含む。あるいは、Fab 発現ライブラリーは、MIF について要求される特異性でのモノクローナルFab のフラグメントの迅速かつ容易な同定を許容するように作ることができる(Huseら、Science,246 : 1275-1281, 1989)。
【0017】
MIF のヒト及びネズミ形態に対するモノクローナル抗体(MAbs)を分泌するハイブリドーマを作り、当該技術で周知の方法に従って単離した。要約すると、雌のBALB/cマウスをRibiアジュバント(Ribi Immunochem)中の組換えネズミ又はヒトMIF(10μg/マウス)で腹腔内(i.p.)で免疫化した。免疫化及びブースト期間の間、マウスを尾から採血し、血清抗MIF 抗体及びアイソタイプ分布(IgM対IgG)を、抗原として固定化した組換えMIF (250ng/ml;55μl/ウェル)でのウェル上でのマイクロタイターベース直接酵素連結イムノソルベントアッセイ(ELISA)によりアッセイした。免疫化したマウスに、脾臓を融合のために除去する前に少くとも4回、Ribiアジュバント中の組換えMIF(10μg/マウス)のブースター注入を行った。ポリエチレングリコール(Boerhinger Mannheim)を用いるマウスミエローマ細胞(P3 X68A8.653;American Type Culture Collection)との脾臓細胞融合前3日間、マウスを、ネズミ及びヒトMIF (PBS中10μg)で腹腔内でブーストした、ハイブリドーマを、2〜3週間、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジン;GIBCO)、10% Condimed (Boehringer Mannheim)、20% FBS (Hyclone)、及び抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン;GIBCO)を含むHAT 選択培地(DMEM)下に広げた。増殖中のハイブリドーマからの培養上清を、固定化した組換えMIF での直接的ELISA 法により抗MIF 抗体についてスクリーニングした。
【0018】
抗MIF 陽性クローンからの抗体の免疫反応性をウェスタンイムノブロッティング技術により更に分析し、高タイター生産ハイブリドーマを希釈を制限することにより再クローニングのために選択した。抗MIF モノクローナルを、Screentype ELISA (Boehringer Mannheim)を用いてアイソタイプ化した。要求されるモノクローナル抗体(IgG−型)を分泌するハイブリドーマを、BALB/cマウス中の腹水として増殖させ、MAb をT−ゲルクロマトグラフィー(Pierce)を用いて精製した。いくつかのIgM 型抗MIF モノクローナル抗体を同定したが、更にキャラクタライズしなかった。いくつかのIgG 分泌性ハイブリドーマを単離し、キャラクタライズした(表1)。
【0019】
表 1
ヒトMIF ネズミMIF IgGサブタイプ
VII G3 − + IgG2b
IXD11 − + IgG2a
XB2 − + IgG3
XID5 − + IgG2b
XIG2 − + IgG3
VD8 − + IgG2b
IID9 + + IgG1
III D9 + + IgG1
XIF7 + + IgG2b
I31 + + IgG1
IV2.2 + + IgG1
XI7 + + n.d.
XII15.6 + + IgG1
XIV15.4 + + IgG1
【0020】
精製した抗MIF モノクローナル抗体をマクロファージ殺傷アッセイにおいて中和活性についてテストした。チオグリコール酸顕在化マウス腹膜マクロファージをBALB/cマウスから得て、4時間、接着させ、次に8:1の寄生体:マクロファージ比で細胞内寄生体レイシマニア・メジャー(Leishmania Major)を感染させた。洗った後、感染したマクロファージ培養物を、VII G3又はXID5モノクローナル抗MIF 抗体(25μg/ml)を加えて又は加えないで組換えヒトMIF(培養培地対照と比べた時に投与量依存式に細胞内寄生体のマクロファージ殺傷を増強するもの)でテストした。両方の抗体が約50%だけ、L.メジャーのMIF 増強殺傷を中和することが見い出された。
【0021】
別個の実験において、精製したモノクローナル抗MIF 抗体を抗CD3 IgGコート(Pharminger)組織培養プレートで培養した一次ネズミT細胞で、[3H] −チミジン組込みアッセイにおいてMIF 中和活性についてテストした。要約すると、このアッセイは、ネズミT細胞富化カラム(R&D)を用いて単離され、抗MIF 又は対照マウスモノクローナル抗体と共に、10% FBS、抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)及びL−グルタミンを含むRPMI中の抗CD3 IgGコート96ウェルマイクロタイタープレートで増殖されたBALB/c脾臓細胞を用いた。48時間後、T細胞を16〜18時間、[3H] −チミジンでパルスして、収集し、β−シンチレーションカウンティング法により計数した。陽性対照として、抗IL−2モノクローナル抗体(Genzyme)を、増殖及び関連する[3H] −チミジン組み込みを阻害するために加えた。VII G3及びXID5抗体の両方は約20%だけチミジン組み込みを減少させ;抗IL−2処理は約75%だけ[3H] −チミジン組み込みを減少させた。
【0022】
MIF 特異的“サンドイッチ”ELISA 技術を、固定化されたVII G3抗体によるMIF のトラッピング、次のウサギポリクローナル抗MIF抗血清での検出に基づいて開発した。このアッセイは次の通り行った:Immulon II(Dyhatech)ELISA プレートウェルをPBS(65μl/ウェル)中10〜15μg/mlのMAb(VII G3)でコートし;そのMAb T−ゲル吸収材(Pierce)を用いて腹水から精製した。プレートを密閉して室温で一晩、インキュベートした。次にウェルを室温で1〜2時間、2%ヤギ血清(140〜 150μl/ウェル)を含むSuperblock (Pierce)でブロックした。プレートを、自動化ELISA プレートウォッシャーを用いて洗った(200μl/ウェルを用いて0.05% Tween 20 を含むTBS で2回)。MIF サンプル及び標準を、Tween 20を培養上清に 0.2%の最終濃度まで加えることにより、 0.5ml又は 1.5mlエッペンドルフチューブ中に調製した。細胞ライゼートを同様に、 0.2%の最終濃度でTween 20でTBS 緩衝液中に希釈した。標準を、精製した組換えネズミ又はヒトMIF をDMEM/1% FBS/ 0.2% Tween 20 に希釈することにより同様に調製した。サンプル及び標準をプレート(60μl/ウェル)に適用し、そのプレートを密閉し、静かに振とうしながら4℃で一晩、インキュベートした。そのプレートを TBS/0.05% Tween 20 で5回、洗い、二次抗体(例えば、ウサギ 102抗ネズミMIF 血清、 TBS/ 0.2% Tween 20 /2%ヤギ血清)を60μl/ウェルで加えた。そのプレートを密閉して静かに振とうしながら、室温で2時間、インキュベートした。次に全てのウェルを TBS/0.05% Tween 20 で5回、洗い、三次抗体コンジュゲート(市販のヤギ抗ウサギ IgG−アルカリホスファターゼ、製造元、Boehringer Mannheim により推奨されるように TBS/ 0.2% Tween 20 /2%ヤギ血清中1:4000希釈)を60μl/ウェルで加えた。そのプレートをカバーして、室温で35分、インキュベートし、次に TBS/0.05% Tween 20 で5回、洗った。そのアッセイは、製造元により推奨されるようにp−ニトロフェニルホスフェート(pNPP)溶液で展開した(5ml AP 緩衝液:10mMジエタノールアミン/0.5mM MgCl2, pH9.5中5mgのSigma 104 錠剤)。反応生成物を室温で暗所で展開し、15〜30分で 405nmで読んだ。このアッセイは、約 100pg/ml〜 250ng/mlの範囲のセンシティビティーを供する。この“サンドイッチ”技術の実施のために、2又はそれ超のMIF 特異的抗体の種々の組合せをサンプル中のMIF を捕獲し、検出するために用いることができることに注意すべきである。その固定化された抗体はVII G3抗体に限られず、二次抗体はウサギ抗血清に限られない。
【0023】
本発明は、抗MIF モノクローナル抗体の投与による種々の病気及び疾患の治療及び予防を供する。MIF モノクローナル抗体は、癌及び過剰増殖性又は異常増殖性疾患の治療のための治療目的のために用いることができる。抗MIF モノクローナル抗体により治療され得る悪性腫瘍は、これらに限らないが、表2に残記するものを含む。
【0024】
表 2
悪性腫瘍及び関連する疾患
白血病
急性白血病
急性リンパ球白血病
急性骨髄球白血病
骨髄芽球
プロ骨髄芽球
骨髄単球
単球
赤白血病
慢性白血病
慢性骨髄球白血病
慢性リンパ球白血病
リンパ腫
ホジキン病
非ホジキン病
多発性骨髄腫
充実性腫瘍
肉腫及び癌腫
繊維肉腫
粘液肉腫
脂肪肉腫
軟骨肉腫
骨原性肉腫
骨肉腫
脊索腫
血管肉腫
内皮肉腫
ユーイング肉腫
直腸癌
結腸直腸癌
膵臓癌
乳癌
卵巣癌
前立腺癌
扁平上皮癌
腺癌
汗腺癌
脂腺癌
乳頭癌
ウィルムス腫瘍
子宮頸癌
肺癌
小細胞肺癌
上皮癌
黒色腫
神経芽腫
血管腫
糖尿病性網膜症
【0025】
好ましくは、B及びT細胞リンパ腫が治療又は予防される。他の特定の実施形態において、悪性腫瘍又は異常増殖性変化又は過剰増殖性疾患は、頭、首、子宮頸、腎臓、胃、皮膚、卵巣、膀胱、胸、直腸、肺又は子宮において治療又は予防される。他の特定の実施形態において、骨肉腫又は腎細胞癌が治療又は予防される。
【0026】
本発明のMIF モノクローナル抗体は、これらに限らないが、表2に列記される疾患を含む、前悪性腫瘍状態を治療するため、及び新生物形成又は悪性腫瘍状態への進行を防ぐためにも投与することができる。このような診断又は治療的使用は、周知の病状又は新生物もしくは癌への進行が予想される病状、特に過形成又は異常形成からなる非新生物細胞増殖がおこっているものにおいて示される。過形成は、構造又は機能の大きな変化なしに組織又は器官における細胞数の増加に関連する制御された細胞増殖の形態である。異常形成は、頻繁に、癌の前駆体であり、主に上皮において見い出され;それらは個々の細胞均一性及び細胞の建築方向の損失に関連する非新生物細胞増殖の最も無秩序の形態である。異常形成は、慢性的な刺激又は炎症がある場合に特徴的におこり、子宮頸、呼吸経路、口腔、及び胆嚢においてしばしば見い出される。
【0027】
あるいは、又は過形成もしくは異常形成としてキャラクタライズされる異常な細胞増殖の存在に加えて、生体内に示され又は患者からの細胞サンプルにより試験管内で示される、1もしくは複数の特徴もしくは形質転換された表現型の、又は悪性腫瘍表現型の存在は、抗MIF モノクローナル抗体の予防/治療的投与の要求性を示唆し得る。形質転換された表現型の特徴は、形態学的変化、ゆるんだ基底接着、接触阻害の喪失、固定依存性の喪失、プロテアーゼ遊離、糖輸送の増加、血清要求の減少、胎児抗原の発現、 250,000ダルトン細胞表面タンパク質の消滅を含む。
【0028】
特定の実施形態において、白斑症、上皮の良性に出現する過形成もしくは異常形成障害、又はボーエン病、内癌は、予防が介入するこの要求性の新生物形成前障害の指唆である。
【0029】
医薬製剤
治療化合物、例えば治療用モノクローナル抗体は、それ自体により又は細胞の過剰発現に関する種々の病状を治療又は緩和するための投与量で適切な担体もしくは賦形剤と混合された医薬組成物においてヒト患者に投与することができる。治療に友好な量は、腫瘍成長を阻害するのに十分な化合物の量をいう。治療に有効な投与量は、単独で又は腫瘍成長もしくは関連する病気のための他の治療と組み合わせて補助的療法として投与することができる。本願の製剤のための技術及び化合物の投与は、“Remington's Pharmaceutical Sciences ”Mark Publishing Co., Easton, PA, Iatest edditionに見い出すことができる。
【0030】
投与の適切な経路は、例えば、経口、直腸、経粘膜、又は腸管投与;非経口デリバリー、例えば筋肉、皮下、骨髄内注入、及び髄腔内、直接的心室内、静脈内、腹腔内、鼻内、又は眼内注入、並びに任意に貯蔵又は徐放性製剤を含み得る。
【0031】
更に、標的化薬剤デリバリーシステムにおいて、例えば標的T細胞リンパ腫に対する抗CD4抗体でコートされたリポソームにおいて本発明の剤を投与することができる。リポソームは、CD4を発現する細胞に標的化され、それにより選択的に取り込まれるであろう。
【0032】
本発明の医薬製剤は、それ自体周知である方法で、例えば慣用的な混合、溶解、ドラジェー作製、浮揚、乳化、カプセル化、捕獲、又は凍結乾燥法により製造することができる。本発明による使用のための医薬製剤に、医薬として用いることができる、調製物中への活性化合物の処理を容易にする賦形剤及び補助剤を含む1又は複数の生理的に許容される担体を用いて慣用的な方法において製剤化することができる。正確な製剤は、選択された投与の経路による。
【0033】
注入のために、本発明の剤は、水溶液中、好ましくは生理的に、適合する緩衝液、例えばハンクス溶液、リンガー溶液、又は生理食塩水中に製剤化することができる。経粘膜投与のため、浸透するバリアーに適した浸透剤が製剤中に用いられる。このような浸透剤は当該技術で周知である。経口投与のために、活性化合物は、その活性化合物を当業者に公知である医薬として許容される担体と組み合わせることにより直ちに製剤化することができる。このような担体は、本発明の化合物が、治療すべき患者による経口的消化のため、錠剤、丸剤、ドラジェー、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー及び懸濁液等として製剤化されるのを可能にする。経口的使用のための医薬調製物は、固体賦形剤として、任意に生じた混合物を粉砕し、そして必要に応じて適切な補助剤を加えた。後に、粒子の混合物を処理して錠剤又はドラジェーコアを得ることにより得ることができる。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば糖、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトール;セルロース調製物、例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ポテトデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)である。必要に応じて、分解剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又はその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添加することができる。
【0034】
ドラジェーコアには適切なコーティングが供される。この目的のため、濃縮糖溶液を用いることができ、これは、任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポルゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含み得る。活性化合物投与量を同定するため又はその異なる組合せをキャラクタライズするための錠剤又はドラジェーコーティングに染料又は色素を加えることができる。
【0035】
経口投与に用いることができる医薬調製物は、ゼラチンから作られたプッシュ・フィットカプセル、並びにゼラチン及び可塑剤、例えばグリセロール又はソルビトールから作られた軟質密封カプセルを含む。プッシュ・フィットカプセルは、充填剤、例えばラクトース、バインダー、例えばデンプン、及び/又は滑剤、例えばタルクもしくはステアリン酸マグネシウム及び任意に安定剤との混合物において活性成分を含み得る。軟質カプセルにおいて、活性化合物は、適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコール中に溶かし又は懸濁することができる。更に、安定剤を加えることができる。経口投与のための全ての製剤は、このような投与のために適した投与量であるべきである。
【0036】
口内投与のために、組成物は、慣用的な方法において製剤化された錠剤又はロゼンジの形態をとり得る。
【0037】
吸入による投与のために、本発明による使用のための化合物は、慣用的には、適切な推進薬、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切な気体の使用を伴い、加圧パック又はネブライザーからのエーロゾルスプレー供給の形態でデリバリーされる。加圧エーロゾルの場合、その投与単位は、計量した量を送り出すためのバルブを供することにより決定することができる。吸入器又は吹き入れ器に用いるためのゼラチンのカプセル及びカートリッジは、本化合物及び適切な粉末ベース、例えばラクトース又はデンプンの粉末混合物を含めてと調剤することができる。
【0038】
本化合物は、注入により、例えばボーラス注入又は連続注入による非経口投与のために調剤化することができる。注入のための製剤は、防腐剤を加えて、単位投与形態、アンプル、又は多重投与容器において供することができる。本組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルションのような形態をとり得、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような処方剤を含み得る。
【0039】
非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。更に、活性化合物の懸濁液は、適切な油状注入懸濁液として調製することができる。適切な脂溶性溶媒又はビヒクルは、脂肪酸、例えばゴマ油、又は合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル又はトリグリセリド、又はリポソームを含む。水性注入懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、又はデキストランを含み得る。任意に、懸濁液は、適切な安定剤又は高濃度の溶液の調製を許容するために化合物の溶解度を増加させる剤も含み得る。
【0040】
本化合物は、直腸組成物、例えば慣用的な坐剤ベース、例えばココア緩衝液又は他のグリセリドを含む坐剤又は留置浣腸剤においても製剤化することができる。
【0041】
本化合物は、貯蔵調製物としても製剤化することができる。このような長期に作用する製剤は、移植(例えば皮下に又は筋内に)により又は筋内注入により投与することができる。これにより、例えば本化合物は、適切なポリマー又は疎水性材料(例えば許容される油中のエマルションとして)又はイオン交換樹脂と共に、又は弱可溶性誘導体として、例えば弱溶性塩として製剤化することができる。
【0042】
リポソーム及びエマルションは、疎水性薬剤のためのデリバリービヒクル又は担体の周知の例である。特定の有機溶媒、例えばジメチルスルホキシドも、通常、より大きな毒性を犠牲にするが、用いることができる。更に、本化合物は、徐放性システム、例えば治療剤を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスを用いてデリバリーすることができる。種々の徐放性材料が確立されており、当業者に公知である。徐放性カプセルは、それらの化学的性質により、数週間〜 100日超まで本化合物を放出する。治療剤の化学的性質及び生物安定性により、タンパク質安定化のための更なるストラテジーを用いることができる。
【0043】
本医薬組成物に、適切な固体−又はゲル−相担体又は賦形剤も含み得る。このような担体又は賦形剤の例は、これらに限らないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリマー、例えばポリエチレングリコールを含む。
【0044】
MIF 活性の中和剤として同定された本発明の化合物の多くは医薬として適合する対イオンが塩として供され得る。医薬として適合する塩は、多くの酸、例えばこれらに限らないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等;又は塩基と共に形成され得る。塩は、対応する遊離塩基形態である水性又は他のプロトン性溶媒により可溶性である傾向がある。医薬として許容される塩、担体又は賦形剤の例は当業者に公知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A. R. Gennaro, Ed., MackPublishing Co., Easton, PA, 1990において見い出すことができる。このような塩は、これらに限られないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、酢酸、クエン酸、酒石酸及びリンゴ酸塩等を含む。
【0045】
投与量
治療に有効な量は、治療される患者において癌又は過剰増殖性疾患の発達又は進行を防ぎ又は阻害するのに有効な量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書に供される詳細な開示の範囲内で、十分に当業者の能力の範囲内である。本発明の方法に用いられるいずれかの化合物のために、治療に有効な投与量は、細胞培養アッセイから最初に評価することができる。このような情報は、ヒトにおいて役立つ投与量をより正確に決定するのに用いることができる。
【0046】
治療に有効な投与量とは、癌、腫瘍、もしくは過剰増殖性の疾患の、もしくはその症状の発達を減少させ、又は患者の生存を引きのばす化合物の量をいう。このような化合物の毒性及び治療有効性は、LD50(その集団の50%に致死的な投与量)及びED50(その集団の50%の治療に有効な投与量)を決定するための、細胞培養又は実験動物における標準的医薬的、薬理的、及び毒物学的手順により決定することができる。毒性及び治療効果の投与比は、治療系数であり、それは、LD50とED50との間の比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイ又は動物研究から得られたデータは、ヒトに用いるための所定範囲の投与量を調剤するのに用いることができる。このような化合物の投与に、好ましくは、毒性をほとんど又は全く含まないED50を含む所定範囲の循環濃度の範囲内にある。投与量は、用いる投与形態及び利用する投与の経路によりこの範囲内で種々であり得る。正確な調剤、投与の経路及び投与量は、患者の状態により個々の医師により選択することができる。
【0047】
投与の量及び間隔は、要求される調節効果を維持するのに十分である活性成分の血漿レベル、又は最小効果濃度(MEC)を供するように個々に調節することができる。MEC は、各々の化合物について種々であろうが、試験管内データ;本明細書に記載されるアッセイを用いて、細胞又は腫瘍増殖の50〜90%阻害を達成するのに必要な濃度から評価することができる。MEC を達成するのに必要な投与量は、個々の特徴及び投与の経路によるであろう。しかしながら、HPLCアッセイ、バイオアッセイ、又はイムノアッセイを、血漿濃度を決定するのに用いることができる。
【0048】
投与間隔は、MEC 値を用いても決定することができる。化合物は、その時間の10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%の間、MEC を超える血漿レベルを維持する管理を用いて投与するべきである。局所的投与、例えば、腫瘍への直接的導入、又は選択的取り込みの場合、薬剤の有効な局所濃度は血漿濃度に関連し得ない。投与する組成物の量は、治療する患者、患者の体重、痛みのセンシティビティー、投与の様式及び指示する医師の判断によるであろう。
【実施例】
【0049】
実施例1
この例は、抗MIF モノクローナル抗体での腫瘍を有するマウスの処置を示す。これらの実験のために、種々の抗MIF mAbsでのC3H-HeN マウスの処置を腫瘍移植と同日に始めた。この手順は、抗MIF mAbsが最初の腫瘍増殖を阻害する能力を検査し、転移性及び転移性癌を治療するための治療剤のための予想されるモデルであると考えられる。種々の抗MIF mAbsをこのモデルにおいて抗腫瘍効能について検査した。38C13 B細胞リンパ腫モデルは、1977年に最初に開示されてから、癌に対して新規な治療を評価するために用いられている十分に確立された充実性腫瘍モデルである(Kempら、Cancer Research 55 : 3817-3824, 1995)。そのモデルを、ネズミBリンパ腫細胞を、それらが最初に得られたマウスの株 (C3H-HeN)に皮内(i.d.)注入することにより行った。10日以内に、これらのマウスは容易に測定できる充実性リンパ腫を発達させた。
【0050】
3H−チミジン組み込みアッセイを用いて、我々は、試験管内での38C13 細胞への抗MIF 処置の効果をテストした。抗MIF 抗体処置(mAb's III . D.S 又はXIV. 15.5)も抗MIF アンチセンスオリゴヌクレオチド処置(上述のアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いるもの)も試験管内で38C13 細胞増殖をかなり抑制した。これらのデータは、このような抗MIF 治療法及び剤は、この腫瘍細胞のために直接的に抗増殖性ではないことを予測した。
【0051】
C3H-HeN マウスを麻酔し、次に横腹上部にきつくとめた。50,000の対数期の38C13 細胞(0.05ml PBS中)を、1mlシリンジ及び27g針で注入した。30分以内に、動物に 500mgの抗MIF mAbsをIP注入し、又は対照アイソタイプmAbs 500mgをIP注入し、mAb 注入を4日間、48時間毎にくり返した。動物と、バーニャ・キャリパスを用いて腫瘍成長について毎日モニターした。動物をCO2窒息を用いて安楽死させ、腫瘍を単離し、計量し、そして組織学により分析した。
【0052】
(注入の正確な部位、注入の容量により)グループ内の腫瘍成長の多様性のため、及び結果として統計的な評価を得るために、各々の実験グループは5の動物を含み、実験に3回、行った。実験グループ(即ち抗MIF-Ab処理したもの)に加えて、対照グループ、例えば無関係の抗原に対する抗体アイソタイプ対照抗体で処理したグループ及びビヒクルのみで処理したグループを研究した。結果を図1及び2に示す。それらは、この場合モノクローナル抗体で処理することによる、MIF の生物活性の妨害が、充実性腫瘍発達を、この場合他は正常な動物におけるB細胞リンパ腫において阻害したことを証明する。
【0053】
実施例2
この例は、MIF アンタゴニスト治療が、予測される生体内モデルにおいて確立された腫瘍に対して有効であることを証明する。腫瘍細胞を接腫したマウスを、腫瘍が確立される期間の後に処理した。これらの実験において、固体腫瘍を6日間、約6mmの平均直径まで発達及び増殖させたことを除いて実施例1に記載されるのと同数の腫瘍細胞を同様に注入した。6日後に、動物の処理及び腫瘍の測定を上述と同じスキームで行った。この手順は、確立された腫瘍への抗MIF mAbsの治療活性を強調する。
【0054】
C3H-HeN マウスを麻酔し、次に横腹上部をきつくとめた。50,000の10g期の38C13 細胞(0.05ml PBS中)を、1mlシリンジ及び27g針でi.d.注入した。動物を、バーニャ・キャリパスでの測定により腫瘍成長について毎日モニターした。実験6日目に、動物のグループに 500mgのアイソタイプmAbs、抗MIF mAbs、又はPBS のみをIP注入した。注入を4日間、48時間毎にくり返した。動物を毎日モニターし、腫瘍成長をバーニャ・キャリパスからの測定から評価した。動物をCO2窒息を用いて安楽死させ、腫瘍を単離し、計量し、そして組織学により分析した。
【0055】
(注入の正確な部位、注入の容量及び他の因子による)最初の腫瘍の大きさの多様性のため、及び統計的評価のためのデータを供するため、各々の実験及び対照グループは5の動物を含む。図3に示すように、確立された腫瘍は、対照抗体で処理した動物においてより抗MIF 処理した動物においてよりゆっくり成長した。
【0056】
MIF に対して標的化した治療の抗腫瘍効果を評価するための上述の手順を異なる投与スキーム下でくり返し、それにより、対象の腫瘍を有する動物を、1日おきでなく2日おきに、 0.5mgの抗MIF 抗体又は対照抗体で処理し、それは腫瘍細胞移植後6日目に始めた。平均の評価された重量は、最初の抗体注入の直前に測定して6日目においてグループ間で異ならなかった(アイソタイプ対照グループについて45.6±4.6mg 対抗MIF mAb XIV. 15.5を定期的に受容したグループについて46.1±3.4mg ; 平均±Sd)。しかしながら、7日目に、対照処理グループの腫瘍は抗MIF 抗体処理グループの腫瘍よりかなり成長した(各々 246.7±41.4対97.2±12.2)。これらのデータは、MIF の阻害に関する方法及び剤、特に抗MIF 抗体での処理が生体内の確立された腫瘍の成長を阻害するのに有効であることを支持する。
【0057】
実施例3
この例は、MIF アンタゴニストが腫瘍脈管化を阻害することにより腫瘍成長を阻害することを証明する。増殖中のヒト微小血管内皮細胞(第4継代)(Clonetics ; San Diego, CA) (96ウェルプレート中 5,000/ウェル)を、1%胎児ウシ血清を含む内皮細胞成長培地(ECG−1;Clonetics)中の10〜 200μg/mlのIgG 、対照(Sigma ; St. Louis, MO)又は抗MIF 中和性モノクローナル抗体XIV. 15.5(Dr. C. Metz, Department of Medycal Biochemistry, The Picower Institute For Medical Research : Manhassert, NYのご好意)と共に3時間、インキュベートした。これらの培養物の増殖活性を、次の16時間、[3H] チミジン(4μCi/ml)(DuPont ; Boston, MA)の、DNA への組込み(液体シンチレーションカウンターで測定)により測定した(図3)。 ECG−1(96ウェルプレート中 5,000/ウェル)中で培養した増殖中のヒト微小血管内皮細胞(第4継代;Clonetics)に、製造元のプロトコル(Gibco ; Gaithersburg,MD)に従ってLipotectin試薬を用いて、以下のホスホロチオネートオリゴヌクレオチド(10μg/ml;Oligo's etc. ; Wilsonville,OR)をトランスフェクトした:S-MIF : 5'-GCC-ATC-ATG-CCG-ATG-TTC-AT-3'(センス、ヒトMIF ;配列番号:1)、AS−MIF ;5'-ATG-AAC-ATC-GGC-ATG-ATG-GC-3'(アンチセンス、ヒトMIF 、配列番号:2)。16時間後、これらの培養物の増殖活性を次の8時間にわたり、液体シンチレーションカウンティングにより測定して[3H] チミジン(4μCi/ml;DuPont)のDNA への組込みにより測定した(図5)。抗MIF 抗体は、ヒト微小血管内皮細胞について抗増殖性であることを示し(図4)、これは、抗MIF 抗体が生体内で抗血管形成活性を発揮することを示す。
【0058】
アンチセンスMIF mRNAはセンス構成物に対して約50%(図5)だけ試験管内でヒト内皮細胞増殖を阻害した。これにより、抗センスMIF mRNAはヒト内皮細胞について抗増殖性であることが示され、アンチセンスMIF mRNAが抗脈管形成活性を発揮することを示す。これらの結果は、癌に対する抗MIF 療法が、(1)腫瘍細胞への抗MIF療法の直接的抗増殖効果;及び/又は(2)腫瘍の開始、発達又は進行のために必要とされる血管形成のようなホスト依存過程の阻害から有益であり得ることを証明する。
【0059】
実施例5
この例は、試験管内での白血病細胞の増殖の阻害を証明する。これらの研究は、抗MIF 治療方法及び剤が腫瘍細胞への直接の抗増殖効果を有し得るか否かを検査するために行った。この例において、K562 細胞(慢性ヒト骨髄性白血病細胞)をアンチセンスMIF 構成物に露出した。log 期の増殖中のK562 慢性骨髄性白血病細胞培養物(96ウェルプレート中 5,000細胞/ウェル;ATCC;Rockville, MD から得たもの)に、製造元のプロトコル(Gibco)に従って、Lipofectin試薬を用いて、以下のホスホロチオネートオリゴヌクレオチド(10μg/ml;Oligo's etc)をトランスフェクトした:S−MIF: 5'-GCC-ATC-ATG-CCG-ATG-TTC-AT-3'(センス、ヒトMIF ;配列番号:1);AS−MIF : 5'-ATG-AAC-ATC-GGC-ATG-ATG-GC-3'(アンチセンス、ヒトMIF ;配列番号:2)。標準細胞培養条件(37℃、加湿大気中5% CO)下での16時間のインキュベーションの後、これらの培養物の増殖活性を、次の8時間にわたり、液体シンチレーションカウンティングにより測定して、[3H] チミジン(4μCi/ml;DuPont)のDNA への組込みにより測定した。
【0060】
センスMIF 構成物に対して、アンチセンスMIF mRNAは約50%だけK562 細胞増殖を阻害した。結果は、腫瘍細胞への抗MIF 処理の直接的抗増殖効果、特に白血病細胞増殖に対するMIF 特異的アンチセンス処理の活性を証明する。
【0061】
実施例6
この例は、抗MIF 中和性抗体での処理による生体内リンパ腫脈管形成の阻害を証明する。腫瘍新血管形成を、構成的に発現される内皮細胞表面マーカー(CD31、血小板内皮細胞接着分子又はPE(AM−1としても知られる)についての免疫組織化学的染色により評価した。腫瘍増殖は、共通遺伝子のリンパ腫細胞の移植により正常なマウスにおいて始まった。腫瘍細胞を接種したマウスを腫瘍細胞転移の時から、抗MIF 又は対照抗体のいずれかで処理し、CD31について特異的な免疫組織化学的染色により収集された腫瘍の組織学的試料において視覚化した腫瘍脈管形成を、抗MIF 対対照抗体処理腫瘍を有するマウスからのセクション間で比較した。
【0062】
B細胞リンパ腫細胞(38C13 細胞系;J. D. Kemp, Dept. of Pathology, U. of IAから供されたもの)を指数増殖期培養物(RPMI/10% FBS)から収集し、30×gで10分、遠心し、PBS で2回、洗浄し、1×106細胞/ml(PBS中)に調節した。Kempら(前掲)の方法の後、5の C3H/HeN 雌マウス(20〜25g;Harlan Labs, NY)のグループを横腹上部で切り、0.05mlの1× 106/mlの38C13 細胞懸濁液(5×104細胞)を、1mlシリンジ及び27ゲージ針でi.d.注入した。30分以内に、マウスに、IgG 、アイソタイプ対照抗体(Pharmingen;San Diego, CA)又は抗MIF モノクローナル抗体(C. Metz, Dept. of Med. Biochemistry, The Picower Institute for Medical Research により供されたXIV. 15.5, IgG1サブクラス mAb)の0.2ml (0.3mg) i.p.注入を行った。抗体注入は6日間、48時間毎にくり返した。マウスをCO2窒息により安楽死させ、腫瘍を切除し、緩衝した中性の10%ホルマリンに固定し、切断し、免疫組織化学分析のために処理した。内因性のペルオキシドをH2O2(3%)で消した後、脱パラフィン化セクションを、抗CD31 mAb(1:50希釈:クローンMEC 13.3 ; Pharmingen ; San Diego, CA)又はIgG2アイソタイプ対照抗体(Pharmingen) と、アルカリホスファターゼ連結抗マウスIgG 二次抗体と連続的にインキュベートし、そして基質として新しいフクシン(DAKO)で展開した。アイソタイプ対照で又は一次抗体なしで染色した対照セクションは免疫反応性を示さなかった。
【0063】
内皮細胞マーカーCD31について免疫化学的に染色することにより表出されるように、対照抗体で処理したマウスから収集された腫瘍組織のセクションは新血管形成の均一な濃密ベッドを示す。しかしながら、マウス抗MIF モノクローナル抗体で処理したマウスからの腫瘍組織のセクションは、腫瘍塊のまばらな脈管形成の免疫組織化学的証拠しか示さなかった。抗MIF mAbsで処理した動物において発達した腫瘍は、対照抗体処理マウスの腫瘍より対照Ab処理マウス塊において発達した腫瘍よりかなり小さかった。
【0064】
抗MIF mAb 処理対Ab処理動物から収集された腫瘍の免疫組織化学物に染色されたセクションにおける高倍率の場(406×)当りのCD31陽性キャピラリープロフィールの平均数の比較を行ったCD31+キャピラリープロフィールの数を各々のグループからの2の動物からとった腫瘍サンプルの組織セクションの5の高倍率場について表にした(抗MIF 対対照抗体処理)。これらの腫瘍は、図1及び2に示される最初の腫瘍成長実験に記載されるように収集したものであった。この脈管形成の程度の比較の結果を図7に示す。これは、抗MIF抗体処理動物中で成長する腫瘍が、対照抗体処理動物において発生したものより小さいことに加えて、単位体積ベース当りにかなり少い脈管形成である。これにより、MIF に対する治療剤及び方法の抗腫瘍利益は少くとも部分的に、脈管形成のようなホスト依存過程への明らかな効果を通しておこり、腫瘍発達の過程を決定するために強力に寄与することが示される。
【0065】
実施例7
この例は、抗MIF モノクローナル抗体を用いての、分泌されたMIF の枯渇を示す。モノクローナル抗体を確立されたプロトコルに従って作った。RIBIアジュバント(RIBI Immuno Chem Research Inc., Hamilton, MT) を伴う精製したネズミ組換えMIF を、雌BALB/cマウスを免疫化するために用いた。pET116 IPTG 誘導プラスミド(Novagen, Madison, WI) から大腸菌内で発現されたネズミ組換えMIF 10μgをFPLC及びC8 Sep Pak (Waters Co., Milford, MA)により精製し、 100μl RIBI アジュバントと混合し、i.p.注入した。抗体タイターを直接ELISA によりアッセイした。タイターが5倍超になった後、非免疫血清脾臓細胞を50%ポリエチレングリコールを用いてP3−X63Ag 8細胞に融合した。単一クローンをELISA 及びウェスタン・ブロットによりスクリーニングし、次に陽性物をBALB/cマウスにi.p.注入し、プリスチンプライミングし(pristine primed)、IgG 含有腹水を収集した。抗MIF 及び非免疫IgG を、製造元の説明(Pharmacia LKB, Piscataway, NJ)に従ってプロテイン−Gアフィニティークロマトグラフィーにより腹水から精製した。ほとんどの実験について、10μg/mlの非免疫又は抗MIF IgG をNIH 3T3細胞に加え(5×105細胞/ml)、[3H] チミジン(5μCi/ml;1Ci=3Gbq) (DuPont NEN, Boston, MA) の存在下で一晩、増殖させた。
【0066】
95%空気/5% CO2中のDMEM/10% FBS/2.0mM グルタミン;37℃でNIH 3T3 細胞を培養した。細胞を96ウェルフィルター(Packard Cell Havvester) に収集し;シンチレーション液を加え、組み込んだ3Hについてウェルをカウントした。図8に供されるデータは、抗体−MIF 抗体投与量の関数として増殖についての投与量応答関係を示す。対照抗体は増殖を阻害しなかったが、抗MIF 抗体は 600mg/ml〜6μg/mlの濃度範囲で増殖を阻害した。
【受託番号】
【0067】
寄 託
ネズミハイブリドーマ株III .D.9及びXIV.15.5は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定の下で、American Type Culture Collection, 120, Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852に、1996年10月29日に寄託し、寄託番号ATCC HB-12220 が割り当てられた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトマクロファージマイグレーション阻害因子(MIF) mRNA に相補的であり、そして以下のヌクレオチド配列:
5'-ATG-AAC-ATC-GGC-ATG-ATG-GC-3'(配列番号2)
を含んでなる、アンチセンス分子。
【請求項2】
請求項1に記載のアンチセンス分子及び医薬として許容される担体又は賦形剤を含んでなる医薬組成物。
【請求項3】
ヒトマクロファージマイグレーション阻害因子(MIF)に免疫特異的に結合し、そして中和する、抗MIFモノクローナル抗体。
【請求項4】
単離された形態又は精製された形態における、請求項3に記載の抗MIFモノクローナル抗体。
【請求項5】
抗MIFモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマであって、該抗体がヒトマクロファージマイグレーション阻害因子(MIF)に免疫特異的に結合し、そして中和することを特徴とする、ハイブリドーマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【公開番号】特開2009−155335(P2009−155335A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6088(P2009−6088)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【分割の表示】特願平10−519750の分割
【原出願日】平成9年10月24日(1997.10.24)
【出願人】(506425321)サイトカイン ファーマサイエンシズ インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】