説明

抗真菌作用2−アミノトリアゾロピリジン誘導体

【課題】1,6−β−グルカン合成阻害という作用メカニズムに基づく抗真菌作用を特異的または選択的に発現し得るような化合物の提供。
【解決手段】1,6−β−グルカン合成阻害という作用メカニズムに基づく抗真菌作用を広スペクトルで、かつ特異的または選択的に発現し得るような化合物を提供する。さらにこのような化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する医薬、とりわけ抗真菌剤を提供する。
具体的には下式(I)で表される化合物、その塩、またはそれらの水和物であり、さらにはこの化合物、その塩、またはそれらの水和物を有効成分として含有する医薬、抗真菌剤である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原性真菌に対して抗真菌作用を示す化合物、その塩、またはこれらの水和物に関する。またこれらを含有する抗真菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
真菌は、ヒト、動物、植物等に感染して様々な疾病を引き起こすことが知られている。例えば、ヒトの皮膚の表皮角質層や爪、毛髪等の角化組織、口腔等の粘膜上皮に表在性真菌症を起こす他、体表面から深い部位にある皮膚組織に対しても深部皮膚真菌症を起こし、食道や内臓、脳などの深部組織でも深在性真菌症を起こす。ヒトに感染して深在性真菌症を起こす病原性真菌の主なものとしては、カンジダ属、クリプトコッカス属、アスペルギルス属等が知られ、表在性真菌症では、皮膚、口腔、膣等に感染するカンジダ属、手足の皮膚に感染する白癬菌等が主なものと考えられている。その他にも多様な真菌が存在し、動植物に感染すると考えられている。
【0003】
1950年以降の抗生物質、化学療法薬に関する研究開発の急速な進歩、およびそれらの広範な普及により、細菌性の感染症に対する多くの治療薬が開発されてきた。同様に抗真菌薬の開発へ向けても多大な努力が払われたが、抗菌化学療法剤の開発に比較して、現在臨床の場に供されている化合物は少ない。その一方で、医療現場における抗菌性薬剤(抗生物質や化学療法剤)の繁用、悪性腫瘍、白血病、臓器や骨髄移植、および後天性免疫不全症候群等により免疫力の低下したコンプロマイズトホストの増加等により、近年では深在性真菌症が増加して、問題となっている。
【0004】
現在の臨床の場にて使用されている主な抗真菌剤としては、ポリエンマクロライド系、フロロピリミジン系、アゾール系等がある。表在性真菌症の治療には、主に外用として使用され、それらには多種のアゾール系薬剤を始め、ポリエンマクロライド系のナイスタチン、グリセオフルビン、塩酸テルビナフィン、塩酸ブテナフィン、塩酸アモロルフィン等が用いられている。一方、近年増加が著しい深在性真菌症の治療においてはアゾール系フルコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾールおよびポサコナゾールが多用されているが、薬物相互作用が報告されている。また、ポリエンマクロライド系薬剤であるアンホテリシンBは、抗菌スペクトルが広く有効性も高いが、毒性(副作用)の面からみて問題がある。さらに、フロロピリミジン系薬剤であるフルシトシンは、毒性は低いものの容易に真菌の耐性化を招く。このように、現在、深在性真菌症の治療に使用されている薬剤は、抗菌スペクトル、有効性、安全性等の面からみて医療満足度の高いものは極めて少ない。さらに、これら抗深在性真菌剤のうちで特に多用されているフルコナゾールは病原性真菌のうち、例えば、カンジタ・グラブラタ、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・クルーセイ等には低感受性であり、また、耐性菌も出現しつつある。したがって、臨床ではこれらの問題点を克服した新規抗真菌薬が待ち望まれている。
【0005】
一方、近年の真菌症療法の発達や新規抗真菌剤の開発へ向けて、有用性を科学的に評価するための試験方法が確立され、作用メカニズムの研究の進歩と相俟って、より有効で安全な薬剤の開発が望まれている。耐性菌問題の克服という点からも、新規作用メカニズムを有する抗真菌剤の開発も待望されている。
【0006】
さらには、安全性面の問題から、真菌が細菌(原核細胞)とは異なって、ヒトと同様の真核細胞であるため、特異的(選択的)に真菌細胞に障害を及ぼす化合物を開発する必要がある。
【0007】
こうした状況下、真菌の主要な細胞壁構成成分の合成、いわゆる細胞壁多糖合成系を阻害する薬剤、すなわち真菌に特異的に存在する細胞壁多糖系の合成酵素を作用標的分子とする抗真菌剤が作用メカニズムの新規性や選択毒性の面から期待されている。真菌細胞壁を構成している多糖としては、β−グルカン、キチンあるいはキトサン、そしてマンナンが知られており、そのうちの真菌細胞壁の主要な構成成分であるβ−グルカンは、1,3−β−グルカンと1,6−β−グルカンに分けられる。
【0008】
1,3−β−グルカン合成酵素阻害剤としては、これまでにパプラカンジン類(非特許文献1)、エキノカンジン類(非特許文献2)、ニューモカンジン類(非特許文献3)、アクレアシン類(非特許文献4)等が報告されている。キャスポファンギン(非特許文献5)やミカファンギン(非特許文献6)等が開発されて上市されている。しかしながら、これらはいずれも注射剤しかなく、経口投与でも有効な新規抗真菌剤が望まれている。
【0009】
1,6−β−グルカン合成酵素阻害剤としては3環系のイミダゾ[1,2−a]ピリジン誘導体(特許文献1)、ジベンゾフランおよびベンゾフロピリジン誘導体(特許文献4)が報告されているが、より増殖抑制の強い、広い対象病原性真菌スペクトラムをもつ1,6−β−グルカン合成酵素阻害剤を開発する必要がある。
【0010】
一方、2環系の骨格をもつピリジン誘導体として、イミダゾピリジン、トリアゾロピリジン、ピラゾロピリジンおよびその誘導体が、非常に広範囲にわたる領域で薬理活性をもつことが知られており、イミダゾピリミジンやピラゾロピリミジン誘導体が植物病害を起こす真菌に対する抗真菌作用を示す報告がある(特許文献2、3および非特許文献7)。
【0011】
また、1,6−β−グルカン合成酵素阻害剤としてベンゾオキサゾール誘導体も報告されている(特許文献5)。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0113397号明細書
【特許文献2】米国特許発明第7211545号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2007−0191395号明細書
【特許文献4】特開平19−204458号公報
【特許文献5】欧州特許出願公開第1932837号明細書
【非特許文献1】ジャーナル オブ アンチビオテイクス、第36巻、1539頁(1983年)
【非特許文献2】ジャーナル オブ メディシナルケミストリー、第38巻、3271頁(1995年)
【非特許文献3】ジャーナル オブ アンチビオテイクス、第45巻、1875頁(1992年)
【非特許文献4】ジャーナル オブ バイオケミストリー、第105巻、606頁(1989年)
【非特許文献5】ジャーナル オブ メディシナルケミストリー、第37巻、222頁(1994年)
【非特許文献6】ジャーナル オブ アンチビオティクス、第52巻、674頁(1999年)
【非特許文献7】ジャーナル オブ メディシナルケミストリー、第18巻、1253頁(1975年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、1,6−β−グルカン合成阻害という作用メカニズムに基づく抗真菌作用を特異的または選択的に発現し得るような化合物を提供し、このような化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する抗真菌剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、1,6−β−グルカン合成酵素の阻害による抗真菌活性を示す化合物を獲得する目的で化合物の探索を実施し、[14C]−グルコースの取り込みを指標とする生体高分子合成阻害試験により、1,6−β−グルカン合成阻害作用を示す化合物を見出した。その化合物と構造的に類似した化合物群が、病原性真菌に対して抗真菌作用(増殖阻害活性)を示すかを検証し、その結果、式(I)で表されるトリアゾロピリジン誘導体、およびその塩ならびに水和物が、1,6−β−グルカン合成阻害を作用メカニズムとする抗真菌作用を示すことを見出した。特に、深在性真菌症の代表的な起因菌であるカンジダ属に対して抗真菌活性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
1.下式(I)で表わされる化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【0015】
【化1】

【0016】
{式中、Rは、
1)アミノ基、
2)炭素数1から6のアルキル基を有するアルキルアミノ基、
3)同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、
4)アミノメチル基、
5)炭素数1から6のアルキル基を有するアルキルアミノメチル基、または
6)同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノメチル基、
を塩基性置換基として有する、下記の[a]ないし[c]から選ばれる基を意味し;
[a]:窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群の複素原子から、重複して選ばれてもよい複素原子1または2を含む、飽和もしくは部分飽和の複素環基、
[b]:二重結合を含んでいてもよい5員環または6員環の環状炭化水素基、
[c]:次式:
−X−(炭素数1から6のアルキル基)
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−CH−、または式:
−N(−Rll)−で表される構造を意味し、
窒素原子上のRllは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、または炭素数7から9のアラルキル基を意味する。)で表される基、であり、[a]または[b]における複素環基および環状炭化水素基は、[置換基群1]から、重複して選択されてもよい1または1以上の基を有していてもよく;
[置換基群1]:
ハロゲン原子、
水酸基、
カルボキシ基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のハロゲノアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数2から7のアルコキシメチル基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、
炭素数7から9のアラルキルオキシ基、
炭素数8から10のアラルキルオキシカルボニル基、および
下式:
−C(=O)−N(−R12)R13
(式中、窒素原子上のR12およびR13は、各々独立して、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数6から10のアリール基を表す。)で表される基;
は、
ハロゲン原子、
ヒドロキシメチル基、
ホルミル基、
同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、
炭素数1から8のアルキル基、
炭素数2から8のアルケニル基、
炭素数2から8のアルキニル基、
炭素数2から8のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、
炭素数5から6のシクロアルケニル基、
単環式もしくは二環式のアリール基、
単環式もしくは二環式のヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から重複して選択されてもよいヘテロ原子を1個から4個含む。)、または下式:
−X−R21
[式中、Xは、−C(=O)−、−(CH−、−C(=O)−N(−R22)−、または−N(−R23)−C(=O)−を意味し、
nは1から3の整数のいずれかを意味し、
21は、単環式もしくは二環式のアリール基であるか、または、単環式もしくは二環式のヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から重複して選択されてもよいヘテロ原子を1個から4個含む。)であり、
22およびR23は、各々独立に、水素原子または炭素数1から6のアルキル基を意味する。]で表される基を意味するが、
これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、およびヘテロアリール基は、[置換基群2]から重複して選択されてもよい基1または1以上を有していてもよく;
[置換基群2]:
ハロゲン原子、
アミノ基、
水酸基、
カルボキシ基、
ニトリル基、
ハロゲノメチル基、
ヒドロキシメチル基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、および次式:
−C(=O)−N(−R24)R25
(式中、窒素原子上のR24ぉよびR25は、各々独立して、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数6から10のアリール基を表す。)で表される基;
ここで、[置換基群2]のアミノ基は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアシル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から12のアラルキル基、芳香族複素環基、炭素数1から6のアルキルスルホニル基、および炭素数6から10のアリールスルホニル基からなる群の基から選ばれる1個または2個の基を置換基として有していてもよく、さらに、該アミノ基の置換基が2個の場合は互いに結合して環状構造を形成してもよい;
は、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素数1から4の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、
炭素数3または4の環状アルキル基、
炭素数1から4のアルコキシ基、
同一または異なるアルキル鎖を有し、炭素数の合計が2から4であるジアルキルアミノ基、ハロゲノメチル基、または
炭素数1から3のアルコキシ基を有するアルコキシメチル基を意味し;
およびRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から7のシクロアルキル基、単環式もしくは二環式のアリール基、単環式もしくは二環式のヘテロアリール基、式:−C(=O)−R41(式中、R41は、炭素数1から6のアルキル基を表わす。)で表わされる基であるか、または、両者が一体化してRとRが結合する窒素原子を含んで、炭素数3から7の飽和環、部分飽和環、または不飽和環を形成していてもよく、さらに環内に窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を1または2個含んでいてもよいが、この環構造は、置換基を有していてもよく;
ただし、RおよびRは同時に水素原子である場合を除く;
ここで、上記のRまたはRの、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、および飽和環、部分飽和環、もしくは不飽和環は、[置換基群3]から重複して選択されてもよい基を1個以上有していてもよく;
[置換基群3]:
ハロゲン原子、
アミノ基、
水酸基、
ホルミル基、
カルボキシ基、
ニトリル基、
ハロゲノメチル基、
ヒドロキシメチル基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基;
およびXは、各々独立に、
窒素原子であるかまたは、
ハロゲン原子、
炭素数1から6のアルコキシ基、
置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基、
もしくはエステル基で置換されていてもよい炭素原子を意味するが、
およびXのいずれか一方は必ず窒素原子であり;
ここで、アルキル基の置換基は、次の置換基の群から選ばれる、1または1以上の基であり;
ハロゲン原子、
アミノ基、
ニトロ基、
水酸基、
メルカプト基、
カルボキシ基、
シアノ基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、および
炭素数6から10のアリール基;
炭素原子上の置換基がエステルであるときこれらは、
炭素数1から6のアルキルエステル、
炭素数6から10のアリールエステル、
または炭素数1から6のアルキル基と炭素数6から10のアリール基とから構成されるアラルキルエステルでよく;
さらにこれらのアリールエステルおよびアラルキル基のアリール部分は、次の置換基の群から選ばれる、1または1以上の基によって置換されていてもよい;
ハロゲン原子、
アミノ基、
ニトロ基、
水酸基、
メルカプト基、
カルボキシ基、
シアノ基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、および
炭素数6から10のアリール基;
を意味する。}
2.XおよびXが、いずれも窒素原子である、上記1.に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
3.Rが、塩基性置換基を有する、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群の複素原子から、重複して選ばれてもよい複素原子1または2を含む、飽和もしくは部分飽和の複素環基である、上記1.または2.に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
4.Rが、塩基性置換基を有する含窒素複素環基である、上記1.または2.に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
5.Rが、塩基性置換基を有するピロリジニル基、シクロペンチル基、またはシクロペンテニル基である、上記1.または2.に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
6.Rが、置換基を有していてもよいアリール基である、上記1.から5.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
7.Rが、置換基を有していてもよいフェニル基である、上記1.から5.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
8.Rが、置換基を有していてもよい炭素数1から4のアルキル基である、上記1.から7.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
9.Rが、メチル基である、上記1.から7.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
10.RおよびRのいずれか一方が、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基である、上記1.から9.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
11.RおよびRのいずれか一方が、置換基を有していてもよい炭素数2から7のアシル基である、上記1.から9.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
12.RおよびRが一体化してRとRが結合する窒素原子を含む、炭素数3から7の飽和環または芳香環である、上記1.から9.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
13.上記1.から12.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する医薬。
14.上記1.から12.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する感染症治療剤。
15.上記1.から12.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する抗真菌剤。
16.上記1.から12.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を使用する感染症の治療方法。
17.上記1.から12.のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を使用する感染症治療のための使用。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、1,6−β−グルカン合成阻害という作用メカニズムに基づく抗真菌作用を広スペクトルで、かつ特異的または選択的に発現し得るような化合物を提供し、このような化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する医薬、特に感染症治療薬、抗真菌剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書において用いられる用語の定義は以下の通りである。これらのうちから、RからRの置換基各々の限定に応じてこれらから選択すればよい。
【0019】
「アルキル基」またはアルキル部分を含む置換基(例えばアルコキシ基等)におけるアルキル部分は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、ノルマルペンチル基、ノルマルへキシル基、ノルマルへプチル基、ノルマルオクチル基、ノルマルノニル基、ノルマルウンデシル基、ノルマルドデシル基、ノルマルトリデシル基、ノルマルテトラデシル基、ノルマルペンタデシル基、ノルマルヘキサデシル基、ノルマルへプタデシル基、ノルマルオクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、第三級ペンチル基、イソへキシル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−へプチル基、n−オクチル基等を挙げることができる。
【0020】
「シクロアルキル基」は、単環式または二環式の環状アルキル基を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、ビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル基等を挙げることができる。
【0021】
「アルケニル基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよく、炭素炭素二重結合を1個または2個以上有する。具体的には、ビニル基、プロペニル基、ブテン−1−イル基、イソブテニル基、ペンテン−1−イル基、2−メチルブテン−1−イル基、3−メチルブテン−1−イル基、へキセン−1−イル基、へプテン−1−イル基、オクテン−1−イル基等を挙げることができる。
【0022】
「シクロアルケニル基」は、単環式または二環式の環状アルケニル基を示し、例えば、1−シクロペンテン−1−イル基、1,3−シクロペンタジエン−1−イル基、2−ノルボルネン−2−イル基等を挙げることができる。
【0023】
「アルキニル基」は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよく、炭素炭素三重結合を1個または2個以上有する。具体的には、エチニル基、プロピニル基等を挙げることができる。
【0024】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。
【0025】
「アリール基」とは、芳香族炭化水素の芳香環から水素原子1個を除いた1価基のことを意味する。アリール基を構成する芳香環は単環または縮合環のいずれでもよい。
例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基等を挙げることができる。
【0026】
「アラルキル基」とは、アルキル基の水素原子が1個または2個以上前記のアリール基で置換されている基を意味する。例えば、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等を挙げることができる。
【0027】
「複素環基」とは、飽和、部分飽和、または不飽和の複素環化合物から導かれる基を意味し、単環式、二環式、またはスピロ環式のいずれでもよい。複素環基を与える複素環化合物としては、例えば、アジリジン、アゼチジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピペラジン、ピロリドン、ジオキサン、ピラン、モルホリン、ベンゾフラン、インドリジン、ベンゾチオフェン、インドール、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、クロマン等を挙げることができ、さらに、下式で表されるものを例示することができる。
【0028】
【化2】



【0029】
(式中、R51は、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、または炭素数3から6のシクロアルキル基を意味し、置換基Qは、次式:
−(C(−R71)R72n2一N(−R61)R62または−N(−R81)−(CH(−R71)R72n2で表わされる置換基を意味し、
bは、0、1、または2の整数を意味し、
n2は0、1または2の整数を意味し、
61およびR62は、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数1から6のハロゲノアルキル基であるか、アミノ酸、ジペプチド、もしくは3個から5個のアミノ酸からなるポリペプチドを意味し、
71およびR72は、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、炭素数1から6のヒドロキシアルキル基、炭素数1から6のアミノアルキル基、炭素数2から12のアルコキシアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、または置換基を有していてもよい炭素数3から10のヘテロアリール基を意味する。)
51としては、水素原子、またはアルキル基が好ましく、アルキル基としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、またはイソプロピル基が好ましい。
61およびR62としては、水素原子、またはアルキル基が好ましく、アルキル基としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、またはイソプロピル基が好ましい。
71とR72は、各々独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシルアルキル基、シクロアルキル基、またはフェニル基が好ましい。これらのうちでも水素原子、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、メトキシメチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、またはフェニル基がさらに好ましい。
【0030】
また、R71とR72は、一体化してポリメチレン鎖を形成し、これらが結合している炭素原子を含んで炭素数3から6の環構造を形成してもよい。さらに、この環には環を構成する原子として窒素原子を含んでいてもよい。好ましい環構造として、シクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルを挙げることができる。
【0031】
「ヘテロアリール基」とは、上記の複素環基の中で、芳香性(あるいは芳香族性)を有するものを特に意味し、「アロマティツクヘテロサイクル」と称されるものを意味する。例えば、5員環や6員環で単環性のものや、双環性でベンゾ縮合環系あるいは複素環−複素環縮合環系で、5−6縮合環系、6−6縮合環系のもの等を挙げることができる。例えば、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピラジニル基、ベンゾフリル基、インドリル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基等を挙げることができる。
【0032】
さらに、本願明細書において「芳香族複素環基」とは、上記のヘテロアリール基のうちで、単環性の5員環または6員環で、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を1個から4個を含むものを特に意味する。例えば、ピロリル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピラジニル基等を挙げることができる。
【0033】
本明細書中に、アミノ基、水酸基、またはメルカプト基等について、「保護基によって保護されていてもよい」とある場合の「保護基」はこの分野で汎用されるものであれば特に限定されないが、例えば、第三級ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基類;ベンジルオキシカルボニル基、パラメトキシベンジルオキシカルボニル基、パラニトロベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基類;アセチル基、メトキシアセチル基、トリフルオロアセチル基、クロロアセチル基、ピバロイル基、ホルミル基、ベンゾイル基等のアシル基類;第三級ブチル基、ベンジル基、パラニトロベンジル基、パラメトキシベンジル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基類、またはアラルキル基類;メトキシメチル基、第三級ブトキシメチル基、テトヒドロピラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル基等のエーテル類;トリメチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、第三級ブチルジメチルシリル基、トリベンジルシリル基、第三級ブチルジフェニルシリル基等の(アルキルおよび/またはアラルキル)置換シリル基を挙げることができる。また、アミノ基がフタルイミドとなって保護されていてもよい。
【0034】
「アミノ酸、ジペプチド、もしくは3個から5個のアミノ酸からなるポリペプチドから導かれる基」、あるいは「アミノ基に結合するアミノ酸、ジペプチド、または3個から5個のアミノ酸からなるポリペプチド」とは、例えば、アミノ酸類、ジペプチド類、およびトリペプチド類、あるいはこれらから導かれる置換カルボニル基である。すなわち、グリシン、アラニン、アスパラギン酸等のアミノ酸類、グリシンーグリシン、グリシンーアラニン、アラニンーアラニン等のジペプチド類、そしてグリシンーグリシンーアラニン、グリシンーアラニンーアラニン等のトリペプチド類、あるいはこれらから導かれる置換カルボニル基を挙げることができる。
【0035】
本発明の(I)で表わされる化合物の部分構造および置換基について述べる。
下式(I):
【0036】
【化3】

【0037】
で表される化合物において;
は塩基性基である。すなわち、下記の[a]の基の群から[c]の基の群として示した基礎となる基に、塩基性置換基が置換されて構成される基であればよい。塩基性基を構成する塩基性置換基としては次のものを挙げることができる。すなわち;
1)アミノ基、
2)炭素数1から6のアルキル基を有するアルキルアミノ基、
3)同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、
4)アミノメチル基、
5)炭素数1から6のアルキル基を有するアルキルアミノメチル基、または
6)同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノメチル基、
である。
【0038】
2)の例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ノルマルプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ノルマルブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、第二−ブチルアミノ基を挙げることができる。アミノ基に置換するアルキル基は、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。
【0039】
3)の例としては、2)で示したアルキルアミノ基の窒素原子がさらに炭素数1から6のアルキル基によってアルキル化されたものでよく、このような第2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、第二−ブチル基を挙げることができる。2個のアルキル基は、同一でも異なっていてもよい。
【0040】
5)および6)に記載のアミノメチル基およびジアルキルアミノメチル基は、上記2)および3)で説明したアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基とメチレン基(−CH−)とから構成されるものでよい。
【0041】
塩基性置換基としては、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基がよい。具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基が好ましい。
【0042】
塩基性基を構成する基礎となる基は、下記の[a]から[c]として示される群の基である。これらの基の上に塩基性置換基が置換されて塩基性基を構成する。
[a]:窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群の複素原子から、重複して選ばれてもよい複素原子1または2を含む、飽和もしくは部分飽和の複素環基、
[b]:二重結合を含んでいてもよい5員環または6員環の環状炭化水素基、
[c]:
次式:
−X−(炭素数1から6のアルキル基)
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−CH−、または式:
−N(−Rll)−
で表される構造を意味し、窒素原子上のRllは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数7から9のアラルキル基を意味する。)
で表される基、であり、
ここで、[a]および[b]の複素環基および環状炭化水素基は、[置換基群1]から、重複して選択されてもよい1または1以上の基を有していてもよい;
[置換基群1]:
ハロゲン原子、
水酸基、
カルボキシ基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、
炭素数7から9のアラルキルオキシ基、
炭素数8から10のアラルキルオキシカルボニル基、または下式:
−C(=O)−N(−R12)R13
(式中、窒素原子上のR12およびR13は、各々独立して、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数6から10のアリール基を表す。)
で表される基。
【0043】
[a]に示した飽和もしくは部分飽和の複素環基は、先に示した複素環基の中から、
1.複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群の複素原子から、重複して選ばれてもよい複素原子1または2であり、
2.飽和または部分飽和であり、さらに、
3.単環性の、4から6員環である、複素環基を選択すればよい。
【0044】
例えば、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基を挙げることができ、さらにこれらのうちのピロリジニル基およびピペリジニル基に、硫黄原子または酸素原子を第2の複素原子として有する複素環基を挙げることができる。
【0045】
これらのうち、窒素原子を複素原子として有し、飽和環である、4員環または5員環の複素環基が好ましい。さらに、この複素環基は窒素原子において二環性母核と結合していることが好ましい。
【0046】
[b]に示した環状炭化水素基としては、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基、ないしは、それらに二重結合1つを含むものが好ましく、シクロペンテニル基またはシクロへキセニル基が好ましい。二重結合の位置は、二環性母核と結合する炭素原子が二重結合の一方の炭素原子となり、二環性母核と共役する位置にあることが好ましい。
【0047】
これらの[a]および[b]の基に対して、塩基性置換基の置換位置は2位または3位が好ましい([a]および[b]の二環性母核への置換位置を1とする。)。塩基性置換基を有する[a]または[b]の基としては、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアミノメチル基、またはジアルキルアミノメチル基を有する、4員環または5員環の飽和複素環であるか、飽和または二重結合1を有する環状炭化水素基が好ましい。さらに具体的には、メチルアミノ基またはジメチルアミノ基をそれぞれ3位に有する1−ピロリジニル基、1−シクロペンチル基、または1−シクロペンテニル基;メチルアミノメチル基またはジメチルアミノメチル基をそれぞれ2位に有する1−ピロリジニル基、1−アゼチジニル基、または1−シクロペンチル基が好ましい。
【0048】
また、塩基性置換基が結合する炭素原子はさらに置換基を有していてもよい。このような置換基としては、炭素数1から6のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。以上のようにして構成された塩基性基を以下に示す。
【0049】
【化4】

【0050】
化4のうちでは、化4−1がより好ましい。
【0051】
【化4−1】

【0052】
[c]で示した基は、Xを(窒素原子、酸素原子、メチレン、または硫黄原子等)を二環性母核とのリンカーとして有するアルキル基である。このアルキル部分の炭素数は1から6であり、直鎖状、分枝鎖状のいずれでもよい。このアルキル上の塩基性置換基の位置はいずれでもよいが、アルキル鎖の末端にあるものがより好ましい。
【0053】
リンカーとしては窒素原子が好ましく、さらにこの窒素原子上にはアルキル基を置換基として有することが好ましい。リンカー部分を含む鎖長は、3または4原子分の鎖長が好ましい。
【0054】
の塩基性基としては環状構造を有するものがより好ましい。すなわち、[a]または[b]で示された群の基の上に塩基性置換基を有する構造のものが好ましく、具体的には先に挙げた構造のものである。
は、
ハロゲン原子、
ヒドロキシメチル基、
ホルミル基、
同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、
炭素数1から8のアルキル基、
炭素数2から8のアルケニル基、
炭素数2から8のアルキニル基、
炭素数2から8のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、
炭素数5から6のシクロアルケニル基、
単環式もしくは二環式のアリール基、
単環式もしくは二環式のヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から重複して選択されてもよいヘテロ原子を1個から4個含む。)、または下式:
−X−R21
[式中、Xは、−C(=O)−、−(CH−、−C(=O)−N(−R22)−、または−N(−R23)−C(=O)−を意味し、
nは1から3の整数のいずれかを意味し、
21は、単環式もしくは二環式のアリール基であるか、または、単環式もしくは二環式のヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から重複して選択されてもよいヘテロ原子を1個から4個含む。)であり、
22およびR23は、各々独立に、水素原子または炭素数1から6のアルキル基を意味する。]
で表される基を意味するが、
これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基は、[置換基群2]から重複して選択されてもよい基1または1以上を有していてもよく;
[置換基群2]:
ハロゲン原子、
アミノ基、
水酸基、
カルボキシ基、
ニトリル基、
ハロゲノメチル基、
ヒドロキシメチル基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、および次式:
−C(=O)−N(−R24)R25
(式中、窒素原子上のR24およびR25は、各々独立して、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数6から10のアリール基を表す。)で表される基;
ここで、[置換基群2]のアミノ基は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアシル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から12のアラルキル基、芳香族複素環基、炭素数1から6のアルキルスルホニル基、および炭素数6から10のアリールスルホニル基からなる群の基から選ばれる1個または2個の基を置換基として有していてもよく、さらに、該アミノ基の置換基が2個の場合は互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0055】
これらのうちでは、単環式もしくは二環式のアリール基、または単環式もしくは二環式のヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から重複して選択されてもよいヘテロ原子を1個から4個含む。)が好ましい。
【0056】
アリール基としては、単環性のものが好ましく、フェニル基が好ましい。このフェニル基は置換基を有していてもよく、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子、ニトリル基、炭素数1から3までのアルキル、炭素数1から3までのアルコキシ基等が1または1以上置換していてもよい。これらの置換基が置換する位置はオルト位またはメタ位が好ましく、特にメタ位が好ましい。これらのものを以下に示す。
【0057】
【化5】

【0058】
また、ヘテロアリール基としては、単環性の5または6員環のヘテロアリール基が好ましい。5または6員環のヘテロアリール基は、複素原子として、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から重複して選択されてもよい複素原子1個または2個を含む。例えば、フリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、等を挙げることができる。
これらのうちでは、5員環のヘテロアリール基が好ましく、4−チアゾリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロール基などが例として挙げることができる。これらを以下に示す。
【0059】
【化6】

【0060】
ヘテロアリール基は置換基を有していてもよく、炭素数1から6のアルキル基が置換していてもよい。アルキル基としてはメチル基が好ましく、2−メチル−4−チアゾリル基、3−メチル−4−チエニル基などを例示することができる。
【0061】
【化7】

【0062】
として、より好ましくはフェニル基、3−メチルフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−メチル−4−チアゾリル基である。
【0063】
なお、Rとして、アリール基、ヘテロアリール基以外ではハロゲン原子が好ましく、臭素原子が好ましい。
【0064】
は、
水素原子、
炭素数1から4の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、
炭素数3または4の環状アルキル基炭素数1から4のアルコキシ基、
同一または異なるアルキル鎖を有し、炭素数の合計が2から4であるジアルキルアミノ基、ハロゲノメチル基、または
炭素数1から3のアルコキシ基を有するアルコキシメチル基を意味する。
【0065】
としては炭素数1から4程度の嵩高さの基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基等である。
【0066】
これらのうちRとしてはアルキル基が好ましく、具体的にはメチル基が好ましい。
【0067】
およびRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から7のシクロアルキル基、単環式もしくは二環式のアリール基、単環式もしくは二環式のヘテロアリール基、式:−C(=O)−R41(式中、R41は、炭素数1から6のアルキル基を表わす。)で表わされる基であるか、または、両者が一体化してRとRが結合する窒素原子を含む、炭素数3から7の飽和環、部分飽和環、または不飽和環を形成していてもよく、環内に窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を1または2個含んでいてもよいが、この環構造は、さらに置換基を有していてもよい。ただし,RおよびRは同時に水素原子である場合を除く。
【0068】
ここで、上記のRまたはRの、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、および飽和環、部分飽和環、もしくは不飽和環は、[置換基群3]から重複して選択されてもよい基を1個以上有していてもよく;
[置換基群3]:
ハロゲン原子、
アミノ基、
水酸基、
ホルミル基、
カルボキシ基、
ニトリル基、
ハロゲノメチル基、
ヒドロキシメチル基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基;
およびRとしては、各々独立に、水素原子、あるいはアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。あるいは、両者が一体化してRとRが結合する窒素原子を含む、炭素数3から7の飽和環基、部分飽和環基、もしくは不飽和環基でもよく、具体的には、以下に示すものが挙げられる。
【0069】
【化8】

【0070】
[式中、R81は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアルケニル基、炭素数2から7のアルキニル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数1から6のハロゲノアルキル基、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数3から6のビシクロアルキル基、またはハロゲン原子を有していてもよいスピロシクロアルキル基を表わし、Xは、炭素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子を表わす。]
これらのうち、
【0071】
【化9】

【0072】
が好ましく、さらに、以下のものがより好ましい。
【0073】
【化10】

【0074】
およびXは、各々独立に、窒素原子であるかまたは、ハロゲン原子、炭素数1から6のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基、もしくはエステル基で置換されていてもよい炭素原子を意味するが、XおよびXのいずれか一方は必ず窒素原子である。
【0075】
ここで、アルキル基の置換基は、次の置換基の群の基から選ばれる、1または1以上の基である;
ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、シアノ基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数2から7のアシル基、炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、および炭素数6から10のアリール基;
炭素原子上の置換基がエステルであるときこれらは、炭素数1から6のアルキルエステル、炭素数6から10のアリールエステル、または炭素数1から6のアルキル基と炭素数6から10のアリール基とから構成されるアラルキルエステルでよく;
さらにこれらのアリールエステルおよびアラルキル基のアリール部分は、次の置換基の群の基から選ばれる、1または1以上の基によって置換されていてもよい;
ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、シアノ基、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、炭素数1から6のアルキルチオ基、炭素数2から7のアシル基、炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、および炭素数6から10のアリール基。
【0076】
およびXは、いずれも窒素原子であるのが好ましい。
【0077】
本発明の式(I)で表される化合物の各置換基の好ましい組合せの態様のひとつは、Rが、アリール基;Rが、置換基を有する飽和また部分飽和の環状置換基;Rが、炭素数1から3のアルキル基;RおよびRが、(1)各々独立に、水素原子またはアルキル基(ともに水素原子である場合を除く)、(2)両者が一体化してRとRが結合する窒素原子を含む、炭素数3から7の飽和環、部分飽和環、もしくは不飽和環から選ばれる置換基群から選ばれる置換基;の組合せである。
【0078】
さらに好ましい態様のひとつは、Rが、アリール基;Rが、炭素数1から6のアルキル基、アミノ基、炭素数1から6のアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基で置換された飽和または部分飽和の含窒素複素環基もしくは環状炭化水素基;Rが、炭素数1から3のアルキル基;RおよびRが、(1)各々独立に、水素原子またはアルキル基(ともに水素原子である場合を除く)、(2)両者が一体化してRとRが結合する窒素原子を含む、炭素数3から7の飽和環、部分飽和環、もしくは不飽和環から選ばれる置換基群から選ばれる置換基;の組合せである。
【0079】
本発明の式(I)で表される化合物の各置換基の好ましい組合せの好ましい具体的態様のひとつは、Rが、フェニル基;Rが、炭素数1から6のアルキル基、アミノ基、炭素数1から6のアルキルアミノ基もしくはジアルキルアミノ基で置換されたピロリジニル基;Rが、メチル基;RおよびRが、水素原子およびエチル基、ともにメチル基、ともにエチル基、もしくは両者が一体化して形成する下式:
【0080】
【化11】

【0081】
(式中、R81は、上述の定義と同様である。)
の群の基から選ばれる置換基;の組合せである。
【0082】
本発明の式(I)で表される化合物の各置換基の好ましい組合せの好ましいさらに具体的態様のひとつは、Rが、フェニル基;Rが、メチル基もしくはエチル基、およびメチルアミノ基で置換されたピロリジニル基;Rが、メチル基;RおよびRが、水素原子およびエチル基、ともにメチル基、ともにエチル基、もしくは両者が一体化して形成する下式:
【0083】
【化12】

【0084】
(式中、R81は、上述の定義と同様である。)
の群の基から選ばれる置換基;の組合せである。
【0085】
式(I)で表わされる本発明の化合物は種々の方法により製造されるが、その好ましい例として、XおよびXがともに窒素原子である代表的な製造法を次式に示し説明するが、これらに限定されるものではない。なお、反応に際しては必要に応じて置換基を保護基で保護して実施し、各置換基(官能基)の変換順序は特に限定されない。また、以下の製造法におけるRからRの定義は、式(I)の置換基の定義と同様である。
【0086】
【化13】

【0087】
(式中、R‘は、炭素数1から6のアルキル基である。)
工程1は、化合物(1)であるトリアゾールのアセトニトリル誘導体と化合物(2)であるβ−ケトエステル誘導体を作用させ、縮合環化させて化合物(3)を製造する工程である。
【0088】
工程2は、化合物(3)の水酸基を脱離基として、化合物(4)を製造する工程である。脱離基Xとしては、ハロゲン類(Cl,Br,I,F)、スルホン酸エステル類(メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル等)、エーテル類(メチルエーテル、エチルエーテル等の低級アルキルエーテルあるいはフェニルエーテル等の芳香属エーテルetc.)、エステル類(アセテート、プロピオネート、ベンゾエート等)が用いられる。好ましくはハロゲン類であり、さらに好ましくはクロロ基である。
【0089】
工程3は、化合物(4)にアミン誘導体(5)を作用させて式(I)で表される本発明化合物を製造する工程である。Rがシクロアルケニル基、シクロアルキル基、アルキル基の場合には、鈴木クロスカップリング反応(Chem.Rev.,95,2457,1995)、Stilleクロスカップリング反応(Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,25,508,1986)などにより得られた生成物から導くことができる。
【0090】
【化14】

【0091】
一方、トリアゾールのアセトニトリル誘導体上の置換基を、エステル基とし、以下に示す製造法によって、その後に目的とする置換基に変換することもできる。Rとしては、アルキル基(メチル基、エチル基、第三−ブチル基等)、フェニル基ならびに4−メトキシフェニル基等のその置換誘導体、アリル基、ビニル基、ベンジル基ならびに4−メトキシベンジル基等のその置換誘導体が用いられる。好ましくはメチル基、エチル基等の低級アルキル基である。
【0092】
工程4は、エステル基を加水分解してカルボン酸体(7)を製造する工程である。
【0093】
工程5は、(7)のカルボキシル基をクルチウス転位反応あるいはホフマン転位反応によってアミン体(8)を製造する工程である。
【0094】
工程6は化合物(8)のアルキル化、アシル化等の修飾によって(I)で表される本発明化合物を製造する工程である。
【0095】
【化15】

【0096】
一方、(I)で表される本発明化合物は、工程7に示されるハロゲン誘導体(9)を経由しても合成できる。ハロゲン体(9:X=Cl, Br, I)はアミノ体(8)をザンドマイヤー反応等を利用することにより製造できる。
【0097】
工程8はハロゲン体(9)に対し、第一級あるいは第二級アミンを置換して(I)で表される本発明化合物を製造する工程である。
【0098】
【化16】

【0099】
トリアゾールのアセトニトリル誘導体上の置換基を、アルキルオキシメチル基(ROCH)とし、以下に示す製造法によって、その後に目的とする置換基に変換することもできる。Rとしては、アルキル基(メチル基、エチル基、第三−ブチル基等)、フェニル基ならびに4−メトキシフェニル基等のその置換誘導体、ベンジル基ならびに4−メトキシベンジル基等のその置換誘導体が用いられる。
【0100】
工程9は化合物(10)のアルキル基を除去して第一級アルコール(11)を製造する工程である。Rがアルキル基(メチル基、エチル基、第三−ブチル基等)の場合、脱アルキル化試薬としてはBBr,AlClなどのルイス酸等が、Rがフェニル基ならびに4−メトキシフェニル基等のその置換誘導体の場合、硝酸セリウムアンモニウム等が、Rがベンジル基ならびに4−メトキシベンジル基等のその置換誘導体の場合、Pd,Rh等の存在下水素添加によるか、または4−メトキシベンジル基等の場合はDDQ等が用いられる。
【0101】
工程10は化合物(11)の水酸基を酸化してカルボン酸体(7)を製造する工程である。
【0102】
一方、カルボン酸体(7)は工程11に示したように、化合物(10)からハロゲン体(12:X=Cl,Br,I)を経由しても製造することができる。
【0103】
工程12はハロゲン体(12)を酸化してカルボン酸体(7)を製造する工程である。
【0104】
【化17】

【0105】
(式中、RおよびRはそれぞれ、上述の製造法2および4における定義と同様である。)
がシクロアルケニル基、シクロアルキル基、アルキル基の場合には、さらに化合物(1)であるトリアゾールのアセトニトリル誘導体(R=−C(O)OR,−CHOR,−NR)と化合物(14)であるジケトン誘導体から、直接式(I)で表される本発明化合物を製造することもできる。
【0106】
工程1から工程13において導入した置換基は、必要に応じて官能基の保護ならびに保護基の除去や官能基変換を適宜実施できる。
【0107】
本発明の化合物は、抗真菌作用を特異的(選択的)に示すとともに、各種の真菌感染症の原因となる真菌類に対して活性であり、これらの病原体によって引き起こされる疾病を治療し、予防し、または軽減することができる。
【0108】
本発明の化合物が有効な真菌類として、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルーセイ、カンジダ・トロピカリス等のカンジダ属諸菌種、クリプトコッカス・ネオフォルマンス等のクリプトコッカス属、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・フラバス等のアスペルギウス属、ニューモシスティス・カリニ菌、クモノスカビ属、アブシディア属、ヒストプラスマ・カプスラータム等のヒストプラスマ属、コクシジオイデス・イミティス等のコクシジオイデス属、ブラストミセス属、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス等のパラコクシジオイデス属、ペニシリウム属、シューダレシア属、スポロトリクス属、黒色真菌、トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属、マラセチア属、ホンセンカエア属、フサリウム属、ペシロミセス属、トリコスポロン・クタネウム等のトリコスポロン属、ヒアロホーラ属、クラドスポリウム等を例示することができる。さらに、サッカロミセスセレヴィシエ、カンジダ アルビカンス、カンジダ グラブラタ、カンジダクルーセイ、カンジダ トロピカリス、クリプトコックス ネオフォルマンス、トリコスポロン・クタネウム、アスペルギルス・フミガタス等を例示することができる。
【0109】
また、これらの病原体によって引き起こされる疾病として、内臓真菌症(深在性真菌症)としては、カンジダ症、クリプトコッカス症、アスペルギルス(糸状菌症)、アクチノマイセス症(放線菌症)、ノカルジア症、ムコール症(接合菌症)、ゲオトリクム症、ヒストプラスマ症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症、ブラストミセス症、ペニシリウム症等、具体的には、真菌血症、呼吸器真菌症、消化器真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎等が、深部皮膚真菌症としては、スポロトリコーシス、クロモミコーシス(黒色真菌症)、菌腫(マイセトーマ)等が、表在性真菌症としては、通常病型白癬、深在性白癬、難治性白癬、爪白癬、癜風、皮膚カンジダ症、口腔カンジダ症等を例示することができる。
【0110】
本発明の医薬の投与方法、投与量および投与回数は特に限定されずに、病原性真菌の種類や患者の年齢、体重、症状等の種々の条件に応じて適宜選択することができる。通常成人に対しては、経口または非経口(注射、点滴等)的投与により、1日、0.1〜100mg/kgを1回から数回に分割して投与すればよい。
また、本発明の化合物は、動物の真菌感染症の原因となる各種の真菌類にも有効である。
【0111】
本発明化合物の病原性の真菌に対する抗真菌作用を利用して、本発明化合物、その塩、またはこれらの水和物を含有する医薬、感染症治療剤、または抗真菌剤として用いることができる他、動物薬、水産用薬、または抗真菌性の保存剤にも応用が可能である。
【0112】
本発明の化合物、その塩、またはこれらの水和物は、これらを含有する医薬、感染症治療剤、または抗真菌剤の生産に使用してもよい。例えば、溶液状態で提供される注射剤または液剤等の生産のために本発明化合物、その塩、またはこれらの水和物を使用してもよい。また、本発明化合物、その塩、またはこれらの水和物を配合し、必要に応じて適宜添加剤を加える等の通常の製剤の方法により、医薬、感染症治療剤、または抗真菌剤を生産することができる。
【0113】
本発明化合物を、その塩、またはこれらの水和物からなる抗真菌剤の剤型としては例えば錠剤、散剤、顆粒剤、もしくはカプセル剤、あるいは溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、または油性もしくは水性の懸濁液等を経口用製剤として例示できる。
注射剤としては、製剤中に安定剤、防腐剤、または溶解補助剤を使用することもあり、これらの補助剤を含むこともある溶液を容器に収納後、凍結乾燥等によって固形製剤として用時調製の製剤としてもよい。
【0114】
また外用製剤として溶液剤、懸濁液、乳濁液、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、またはスプレー等を例示できる。
【0115】
固形製剤としては、本発明化合物、その塩、またはそれらの水和物とともに製剤学上許容されている添加物を含んでよく、例えば、充填剤類や増量剤類、結合剤類、崩壊剤類、溶解促進剤類、湿潤剤類、潤滑剤類等を必要に応じて選択して混合し、製剤化することができる。
【0116】
液体製剤としては、溶液、懸濁液、乳液剤等を挙げることができるが添加剤として懸濁化剤、乳化剤等を含むこともある。
【0117】
本発明の化合物、その塩、またはそれらの水和物を動物に投与する方法としては、直接あるいは飼料中に混合して経口的に投与する方法、また溶液とした後、直接もしくは飲水、飼料中に添加して経口的に投与する方法、注射によって投与する方法等を例示することができる。
【0118】
本発明の化合物、その塩、またはそれらの水和物を動物に投与するための製剤としては、この分野において通常用いられている技術によって、適宜、散剤、細粒剤、可溶散剤、シロップ剤、溶液剤、あるいは注射剤とすることができる。
【0119】
本発明の式(I)で示される化合物が、鏡像異性体(エナンチオマー)の存在する構造であるとき、その各エナンチオマー、その1:1比の混合物であるラセミ体、および各エナンチオマーが適宜の混合比で存在し、光学純度が100%未満であるエナンチオマー混合物のいずれもが、本発明化合物に包含される。さらに、式(I)で示される化合物がジアステレオマーの存在する構造であるとき、本発明の化合物には、単一のジアステレオマーおよびジアステレオマーの混合物が包含される。
【0120】
式(I)で示される化合物がエナンチオマーの存在する構造であるとき、本発明の化合物をヒトや動物に投与する際は単一のエナンチオマーからなるものを投与することが望ましい。この「単一のエナンチオマーからなる」とは、もう一方の鏡像異性体(エナンチオマー)を全く含有しない場合だけでなく、化学的に純粋であると通常言える程度の場合を含むと解される。つまり、物理定数や、生理活性に対して影響がない程度であれば、もう一方の鏡像異性体(エナンチオマー)が含まれていてもよいと解される。
【0121】
さらに、式(I)で示される化合物がジアステレオマーの存在する構造であるとき、本発明の化合物をヒトや動物に投与する際は単一のジアステレオマーからなるものを投与することが望ましい。この「単一のジアステレオマーからなる」とは、他のジアステレオマーを全く含有しない場合だけでなく、化学的に純粋であると通常言える程度の場合を含むと解される。つまり、物理定数や、生理活性に対して影響がない程度であれば、他のジアステレオマーが含まれていてもよいと解される。
【0122】
また、「立体化学的に単一な」とは、化合物等において不斉炭素原子が含まれるために、異性体関係となる場合にそれらのうちの1種のみにて構成されたものであることを示す。この場合においてもこの「単一な」の解釈に関しても上記と同様に考える。
【0123】
式(I)で示される化合物が、任意の置換基部分に、フェノール性水酸基、カルボキシ基(カルボン酸誘導体)、またはスルホ基(スルホン酸誘導体)を有する酸誘導体である場合、それらの酸誘導体は遊離体のままでよいが、フェノール性水酸基、カルボキシ基、またはスルホ基の塩としてもよい。
これらの塩のとしては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、またはトリエチルアミン塩やN−メチルグルカミン塩、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩等で無機塩類、有機塩類のいずれでもよい。また、これらの酸誘導体の遊離体や塩は水和物として存在することもある。
【0124】
一方、式(I)で示される化合物が、任意の置換基部分に、アミノ基、アミン構造を有する塩基性誘導体である場合、それらの塩基性誘導体は遊離体のままでよいが、酸付加塩としてもよい。
【0125】
酸付加塩とする場合の例としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩類、あるいはメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩(スルホン酸塩)、酢酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩(カルボン酸塩)等の有機酸塩を挙げることができる。また、これらの塩基性誘導体の遊離体や塩は水和物として存在することもある。
【0126】
式(I)で示される化合物が、カルボン酸化合物である場合、カルボン酸部分がエステルとなった誘導体は合成中間体やプロドラッグとして有用である。例えば、アルキルエステル類やベンジルエステル類、アルコキシアルキルエステル類、フェニルアルキルエステル類およびフェニルエステル類は合成中間体として有用である。
【0127】
また、本発明のカルボン酸化合物を抗真菌目的に使用する場合、プロドラッグとして用いられるエステルとしては、生体内で容易に切断されてカルボン酸の遊離体を生成するようなエステルであり、例えば、アセトキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルエステル、コリンエステル、ジメチルアミノエチルエステル、5−インダニルエステルおよびフタリジニルエステル、5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イルメチルエステル、そして3−アセトキシ−2−オキソブチルエステル等のオキソアルキルエステルを挙げることができる。
【0128】
さらに、式(I)で示される化合物が、アミノ基を有する塩基性化合物であり、アミノ基にアミノ酸、ジペプチド、トリペプチドが結合した誘導体はプロドラッグとして有用である。
【0129】
プロドラッグとして用いられるアミノ酸、ジペプチド、およびトリペプチドとしては、これらのカルボキシ基と本発明化合物である式(I)のアミノ基から形成されるペプチド結合が生体内で容易に切断されてアミンの遊離体を生成するようなものであり、例えば、グリシン、アラニン、アスパラギン酸等のアミノ酸類、グリシン−グリシン、グリシン−アラニン、アラニン−アラニン等のジペプチド類、およびグリシン−グリシン−アラニン、グリシン−アラニン−アラニン等のトリペプチド類を挙げることができる。
【実施例】
【0130】
次に本願発明を実施例と参考例により説明するが、本願発明はこれに限定されるものではない。
[参考例1]
2-(メトキシメチル)-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (I-1)
【0131】
【化18】

【0132】
tert-ブチル メチル[(3S)-3-メチルピロリジン-3-イル]カルバメート (WO2007/020936に記載の方法に準じて合成した) (106 mg, 0.495 mmol) に、室温にて4規定塩酸-1,4-ジオキサン溶液 (4 ml) を加え、1時間撹拌した。その反応液を減圧濃縮し、得られた残留物を、5-クロロ-2-(メトキシメチル)-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (WO2005/077948に記載の方法に準じて合成した) (129 mg, 0.41 mmol) およびトリエチルアミン (287 μl, 2.06 mmol) のジメチルスルホキシド (2 ml) 溶液に加え、110℃のオイルバス上にて3時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮後、得られた残留物をクロロホルムに溶解し、これをを飽和食塩水にて洗浄した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物を濾別し、その濾液を濃縮して得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物140 mg (87%) を褐色固体として得た。
ESI-MS m/z: 391 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.13 (3H, s), 1.53-1.67 (1H, m), 1.72-1.83 (1H, m), 2.27 (3H, s), 2.28 (3H, s), 3.16 (1H, d, J = 10.5 Hz), 3.20-3.30 (1H, m), 3.31-3.40 (1H, m), 3.42 (1H, d, J= 10.5 Hz), 3.56 (3H, s), 4.75 (2H, s), 7.15-7.24 (2H, m), 7.39-7.52 (3H, m).
IR (ATR): 3313, 3057, 2969, 2925, 2879, 2212, 1716, 1606, 1537, 1500, 1495, 1473, 1427, 1365, 1335, 1269, 1188, 1113, 1065, 1016, 966 cm-1.
Anal. Calcd for C22H26N6O・0.25H2O: C, 66.90; H, 6.76; N, 21.28. Found: C, 67.14; H, 6.69; N, 21.70.
[参考例2]
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(メトキシメチル)-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-2)
【0133】
【化19】

【0134】
2-(メトキシメチル)-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (I-1) (1.2 g, 3.07 mmol) のピリジン (30 ml) 溶液に、室温にて4-ジメチルアミノピリジン (75.1 mg, 0.62 mmol) および 2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド (4.09 g, 18.4 mmol) を加え、60℃にて15時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮後、得られた残留物を酢酸エチルに溶解し、得られた有機相を1規定塩酸水溶液および飽和食塩水にて洗浄した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物を濾別し、その濾液を濃縮して得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(溶離液;クロロホルム:酢酸エチル=2:1, v/v)、標記化合物1.35 g (76%) を黄色泡状物質として得た。
HRESI-MS m/z: 576.2040 (Calcd for C28H29N7O5S 576.2029).
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.36 (3H, s), 1.85-2.08 (2H, m), 2.27 (3H, s), 2.86 (3H, s), 3.28 (1H, d, J = 10.7 Hz), 3.36-3.53 (2H, m), 3.55 (3H, s), 3.76 (1H, d, J = 10.7 Hz), 4.69 (2H, s), 7.11-7.22 (2H, m), 7.39-7.63 (6H, m), 7.90-7.96 (1H, m).
IR (ATR): 2924, 2854, 2218, 1724, 1606, 1541, 1504, 1479, 1444, 1342, 1267, 1215, 1161, 1105, 1016, 960 cm-1.
[参考例3]
N-{(3S)-1-[2-(ブロモメチル)-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-3)
【0135】
【化20】

【0136】
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(メトキシメチル)-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-2) (1.35 g, 2.35 mmol) のジクロロメタン (12 ml) 溶液に、室温にて三臭化ホウ素 (1.0モルジクロロメタン溶液) (3.52 ml, 3.52 mmol) を加え、室温にて20時間撹拌した。本反応液に飽和食塩水を加え、これを酢酸エチルにて抽出し、得られた有機相を飽和食塩水にて洗浄した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物を濾別し、その濾液を濃縮して得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(溶離液;クロロホルム:酢酸エチル=10:1, v/v)、標記化合物1.08 g (74%) を黄色泡状物質として得た。
HRESI-MS m/z: 624.1005, 626.0992 (Calcd for C27H26BrN7O4S 624.1029, 626.1008).
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.36 (3H, s), 1.86-1.94 (1H, m), 1.98-2.09 (1H, m), 2.26 (3H, s), 2.87 (3H, s), 3.29-3.46 (3H, m), 3.78 (1H, d, J = 11.0 Hz), 4.58 (2H, d, J = 1.7 Hz), 7.11-7.22 (2H, m), 7.41-7.52 (3H, m), 7.59-7.67 (3H, m), 7.94-7.96 (1H, m).
IR (ATR): 2925, 2854, 2218, 1724, 1606, 1541, 1504, 1479, 1439, 1367, 1340, 1265, 1217, 1159, 1120, 1076, 1016, 962 cm-1.
[参考例4]
8-シアノ-7-メチル-5-((3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル)-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸 (I-4)
【0137】
【化21】

【0138】
N-{(3S)-1-[2-(ブロモメチル)-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-3) (1.08 g, 1.73 mmol) のジメチルスルホキシド (15 ml) 溶液に、室温にて酢酸 (990 μl, 17.3 mmol) および亜硝酸ナトリウム (358 mg, 5.19 mmol) を加え、室温にて3時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物に水を加え、これを酢酸エチルにて抽出し、得られた有機相を水および飽和食塩水にて洗浄した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物を濾別し、その濾液を濃縮して得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール:水=8:3:0.5, v/v)、標記化合物407 mg (41%) を黄色泡状物質として得た。
ESI-MS m/z: 576 (M+1)+.
[参考例5]
tert-ブチル {8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}カルバメート (I-5)
【0139】
【化22】

【0140】
8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸 (I-4) (1.0 g, 1.74 mmol) のトルエン (17ml) 溶液に、ジフェニルリン酸アジド (450 μl, 2.08 mmol)、トリエチルアミン (484 μl, 3.47 mmol) およびtert-ブタノール (3.3 ml) を加え、100℃のオイルバス上にて14時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルに溶解し、これを水および飽和食塩水にて洗浄した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物を濾別し、その濾液を減圧濃縮して得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(溶離液;クロロホルム:酢酸エチル=2:1, v/v)、標記化合物745 mg (66%) を淡黄色泡状物質として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.37 (3H, s), 1.54 (9H, s), 1.93-2.07 (2H, m), 2.24 (3H, s), 2.88 (3H, s), 3.34 (1H, d, J = 10.7 Hz), 3.40-3.47 (2H, m), 3.86 (1H, d, J = 10.7 Hz), 7.10-7.22 (2H, m), 7.36-7.50 (4H, m), 7.55-7.64 (2H, m), 7.93-7.99 (1H, m).
[参考例6]
N-[(3S)-1-(2-アミノ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-6)
【0141】
【化23】

【0142】
tert-ブチル {8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}カルバメート (I-5) (745 mg, 1.15 mmol) のジクロロメタン (4 ml) 溶液に、氷冷下、トリフルオロ酢酸 (4 ml) を加え、50℃のオイルバス上にて2時間加熱還流した。本反応液に室温にて飽和炭酸水素ナトリウムを加え、これをクロロホルムで抽出した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物を濾別し、その濾液を減圧濃縮して得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物431 mg (69%) を淡黄色固体として得た。
HRESI-MS m/z: 547.1865 (Calcd for C26H27N8O4S 547.1876).
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.34 (3H, s), 1.81-1.90 (1H, m), 1.95-2.06 (1H, m), 2.21 (3H, s), 2.88 (3H, s), 3.17 (1H, dd, J = 1.0, 10.5 Hz), 3.24-3.32 (1H, m), 3.35-3.43 (1H, m), 3.71 (1H, d, J = 10.5 Hz), 4.61 (2H, s), 7.10-7.19 (2H, m), 7.37-7.48 (3H, m), 7.55-7.66 (3H, m), 7.92-7.97 (1H, m).
[実施例1]
2-アミノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (#1)
【0143】
【化24】

【0144】
N-[(3S)-1-(2-アミノ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル) -3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-6) (100 mg, 0.18 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (5 ml) に溶解し、これに対し炭酸カリウム (76 mg, 0.55 mmol) およびチオフェノール (38 μl, 0.37 mmol) を添加した後、室温で2時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。その有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液; クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物28 mg (42%) を無色固体として得た。
ESI-MS: m/z: 362 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.16 (3H,s), 1.56-1.66 (1H, m), 1.83-1.92 (1H, m), 2.23 (3H, s), 2.33 (3H, s), 2.93 (1H, d, J=10.7 Hz), 3.07-3.16 (1H, m), 3.40-3.50 (2H, m), 4.82 (2H, brs), 7.19-7.24 (2H, m), 7.39-7.50 (3H, m).
IR (ATR): 3313, 2974, 1656, 1606, 1546, 1477, 1376, 1264, 1147, 762, 701 cm-1.
Anal. Calcd for C30H23N7・1.5H2O: C, 61.84; H, 6.75; N, 25.24. Found: C, 62.76; H, 6.13; N, 24.57.
[参考例7]
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(ジメチルアミノ)-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-7)
【0145】
【化25】

【0146】
N-[(3S)-1-(2-アミノ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-6) (200 mg, 0.37 mmol) のメタノール (3 ml) およびクロロホルム (3 ml) 溶液に、室温にて酢酸 (126 μl, 2.20 mmol)、37%ホルマリン (178 μl, 2.20 mmol) およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム (82.8 mg, 1.32 mmol) を加え、室温にて2時間撹拌した。さらに本溶液に対し、室温にて酢酸 (126 μl, 2.20 mmol)、37%ホルマリン (178 μl, 2.20 mmol) およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム (82.8 mg, 1.32 mmol) を加え、この操作を30分おきに合計6回繰り返した。本反応液を減圧濃縮後、得られた残留物に対し水を加え、これをクロロホルムで抽出した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物を濾別し、その濾液を減圧濃縮して得られた残留物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し(溶離液;クロロホルム:酢酸エチル=1:1, v/v)、標記化合物142 mg (67%) を淡黄色泡状物質として得た。
ESI-MS m/z: 575 (M+1)+.
HRESI-MS m/z: 575.2176 (Calcd for C28H31N8O4S 575.2189).
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.36 (3H, s), 1.82-1.90 (1H, m), 1.93-2.04 (1H, m), 2.21 (3H, s), 2.87 (3H, s), 3.13 (6H, s), 3.24 (1H, d, J = 10.5 Hz), 3.28-3.44 (2H, m), 3.67 (1H, d, J= 10.5 Hz), 7.12-7.15 (2H, m), 7.35-7.62 (6H, m), 7.92 (1H, dd, J = 1.3, 7.9 Hz).
[実施例2]
2-(ジメチルアミノ)-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (#2)
【0147】
【化26】

【0148】
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(ジメチルアミノ)-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-7) (141 mg, 0.25 mmol) のN,N-ジメチルホルムアミド (2 ml) 溶液に、室温にて、炭酸カリウム (102 mg, 0.74 mmol) およびチオフェノール (37.5 μl, 0.37 mmol) を加え、室温にて2時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮後、得られた残留物をクロロホルムに溶解し、得られた有機相を飽和食塩水にて洗浄した。この有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、不溶物を濾別し、その濾液を濃縮して得られた残留物を、プレパラティブTLCにて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)て得られた無色個体を、ジイソプロピルエーテルにてスラリー精製した。析出した固体を濾取して、標記化合物61.0 mg (63%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 390 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.13 (3H, s), 1.54-1.63 (1H, m), 1.72-1.81 (1H, m), 2.23 (3H, s), 2.27 (3H, s), 3.05 (1H, d, J = 10.3 Hz), 3.12-3.20 (1H, m), 3.15 (6H, s), 3.30-3.37 (2H, m), 7.14-7.20 (2H, m), 7.36-7.48 (3H, m).
IR (ATR): 3343, 3054, 2968, 2942, 2884, 2794, 2205, 1601, 1571, 1531, 1502, 1468, 1439, 1418, 1390, 1369, 1338, 1307, 1271, 1209, 1152, 1092, 1062, 1017, 976, 932, 900 cm-1.
Anal. Calcd for C22H27N7・0.25H2O: C, 67.06; H, 7.04; N, 24.88. Found: C, 67.84; H, 6.99; N, 24.75.
[参考例8]
N-{(3S)-1-[8-シアノ-7-メチル-6-フェニル-2-(1H-ピロール-1-イル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]ピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-8)
【0149】
【化27】

【0150】
N-[(3S)-1-(2-アミノ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)ピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-6) (240 mg, 0.39 mmol) を酢酸 (10 ml) に溶解した。この溶液に2,5-ジメトキシテトラヒドロフラン (175 μl, 1.36 mmol) を室温で加えた後,100℃で3時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残渣に酢酸エチルを添加し、これを飽和食塩水で洗浄した。この有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=0:100, v/v→100:0, v/v)、標記化合物175 mg (67%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 583 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.82-1.94 (1H, m), 2.01-2.10 (1H, m), 2.31 (3H, s), 2.86 (3H, s), 2.97-3.06 (1H, m), 3.19-3.26 (1H, m), 3.41-3.49 (1H, m), 3.61-3.68 (1H, m), 4.56-4.65 (1H, m), 6.33-6.37 (2H, m), 7.12-7.17 (1H, m), 7.19-7.24 (1H, m), 7.44-7.53 (3H, m), 7.55-7.58 (2H, m), 7.61-7.74 (3H, m), 8.02-8.07 (1H, m).
[実施例3]
7-メチル-5-[(3S)-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル-2-(1H-ピロール-1-イル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (#3)
【0151】
【化28】

【0152】
N-{(3S)-1-[8-シアノ-7-メチル-6-フェニル-2-(1H-ピロール-1-イル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]ピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-8) (140 mg, 0.24 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (10 ml) に溶解し、これに対し炭酸カリウム (99.5 mg, 0.72 mmol) およびチオフェノール (49 μl, 0.48 mmol) を添加した後、室温で2時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。この有機相を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物62 mg (65%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 398 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.58-1.69 (1H, m), 1.90-2.00 (1H, m), 2.23 (3H, m), 2.35 (3H, s), 3.11-3.18 (1H, m), 3.21-3.34 (2H, m), 3.40-3.51 (2H, m), 6.30-6.34 (2H, m), 7.16-7.22 (2H, m), 7.38-7.48 (3H, m), 7.57-7.60 (2H, m).
IR (ATR): 2965, 2208, 1614, 1557, 1526, 1509, 1450, 1296, 1178, 1083, 727 cm-1.
Anal. Calcd for C23H23N7・0.25H2O: C, 68.72; H, 5.89; N, 24.39. Found: C, 68.92; H, 5.69; N, 23.99.
[参考例9]
N-{8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}-4-ヒドロキシブタンアミド (I-9)
【0153】
【化29】

【0154】
N-[(3S)-1-(2-アミノ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)ピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-6) (383 mg, 0.70 mmol) をジクロロメタン (10 ml) に溶解した。この溶液にトリメチルアルミニウム (1.03モルノルマルヘキサン溶液) (2.1 ml, 2.1 mmol) を加えた後,室温で30分間撹拌した。この溶液にγ-ブチロラクトン (161 μl, 2.1 mmol) を加えた後、50℃で5時間撹拌した。本反応液に酢酸エチルを添加し、これを飽和食塩水で洗浄した。この有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル)、標記化合物260 mg (59%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 633 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.24-1.28 (2H, m), 1.35 (3H, s), 1.89-2.04 (4H, m), 2.23 (3H, s), 2.85 (3H, s), 3.33-3.48 (3H, m), 3.75 (2H, t, J = 6.0 Hz), 3.84-3.91 (1H, m), 7.14-7.24 (2H, m), 7.38-7.49 (3H, m), 7.56-7.68 (3H, m), 7.94-7.99 (1H, m).
[参考例10]
N-{(3S)-1-[8-シアノ-7-メチル-2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-10)
【0155】
【化30】

【0156】
N-{8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}-4-ヒドロキシブタンアミド (I-9) (260 mg, 0.48 mmol) をテトラヒドロフラン (2 ml) に溶解した。この溶液にトリ-n-ブチルホスフィン (356 μl, 1.43 mmol) およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート (282 μl, 1.43 mmol) を加えた後,室温で3日間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残渣に酢酸エチルを添加し、これを飽和食塩水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=0:100, v/v→100:0, v/v)、標記化合物98 mg (33%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 615 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.38 (3H, s), 1.39-1.45 (1H, m), 1.96-2.01 (1H, m), 2.26 (3H, s), 2.21-2.28 (2H, m), 2.65 (2H, t, J = 8.1 Hz), 2.88 (3H, s), 3.32-3.39 (2H, m), 3.50 (1H, d, J= 11.0 Hz), 3.93 (1H, d, J = 11.0 Hz), 4.10-4.18 (2H, m), 7.11-7.16 (1H, m), 7.19-7.23 (1H, m), 7.38-7.50 (3H, m), 7.54-7.64 (3H, m), 7.96-8.01 (1H, m).
[実施例4]
7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (#4)
【0157】
【化31】

【0158】
N-{(3S)-1-[8-シアノ-7-メチル-2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-10) (98 mg, 0.16 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (5 ml) に溶解し、これに炭酸カリウム (66 mg, 0.48 mmol) およびチオフェノール (33 μl, 0.32 mmol) を添加した後、室温で1時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物29 mg (43 %) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 430 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.25 (3H, s), 1.56-1.66 (1H, m), 1.91-2.01 (1H, m), 2.20-2.28 (2H, m), 2.29 (3H, s), 2.40 (3H, s), 2.63-2.69 (2H, m), 3.00-3.08 (1H, m), 3.15 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.40-3.48 (1H, m), 3.85-3.94 (1H, m), 4.14-4.21 (2H, m), 7.15-7.25 (2H, m), 7.40-7.50 (3H, m).
IR (ATR): 2962, 2214, 1731, 1671, 1610, 1538, 1504, 1440, 1200, 940, 847 cm-1.
Anal. Calcd for C24H27N7O・1.25H2O: C, 63.77; H, 6.58; N, 21.69. Found: C, 64.04; H, 6.48; N, 21.19.
[参考例11]
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(ジエチルアミノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-11a) およびN-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(エチルアミノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-11b)
【0159】
【化32】

【0160】
N-[(3S)-1-(2-アミノ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-6) (160 mg, 0.29 mmol) をジクロロメタン (5 ml) およびメタノール (5ml) に溶解した。この溶液にアセトアルデヒド (329 μl, 5.9 mmol)、モレキュラシーブス4A (100 mg)、酢酸 (100 μl) 、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(110 mg, 1.76 mmol) を加えた後,室温で24時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残渣に酢酸エチルを添加し、これを飽和食塩水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=2:1, v/v)、標記化合物 (I-11a) 40 mg (11%)、(I-11b) 120 mg (36%) を無色固体として得た。
(I-11a)
ESI-MS m/z: 603 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.20-1.28 (6H, m), 1.37 (3H, s), 1.83-1.96 (2H, m), 2.20 (3H, s), 2.85 (3H, s), 3.26-3.41 (3H, m), 3.54-3.62 (4H, m), 3.77-3.85 (1H, m), 7.11-7.17 (2H, m), 7.35-7.47 (3H, m), 7.52-7.65 (3H, m), 7.88-7.92 (1H, m).
(I-11b)
ESI-MS m/z: 575 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.24-1.32 (3H, m), 1.36 (3H, s), 1.86-2.03 (2H, m), 2.20 (3H, s), 2.86 (3H, s), 3.25 (1H, d, J = 10.5 Hz), 3.35-3.45 (3H, m), 3.65 (1H, d, J = 10.5 Hz), 4.63-4.69 (1H, m), 7.12-7.18 (2H, m), 7.37-7.65 (6H, m), 7.89-7.94 (1H, m).
[実施例5]
2-(エチルアミノ)-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (#5)
【0161】
【化33】

【0162】
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(エチルアミノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-11b) (60 mg, 0.10 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (5 ml) に溶解し、この溶液に対し炭酸カリウム (43 mg, 0.48 mmol) およびチオフェノール (21 μl, 0.21 mmol) を添加した後、室温で2時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物25 mg (62%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 390 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.17 (3H,s), 1.28 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.57-1.67 (1H, m), 1.86-1.95 (1H, m), 2.22 (3H, s), 2.33 (3H, s), 2.91-2.96 (1H, m), 3.39-3.56 (4H, m), 4.96-5.02 (1H, m), 7.13-7.18 (1H, m), 7.21-7.26 (1H, m), 7.38-7.49 (3H, m).
IR (ATR): 3266, 2967, 2214, 1572, 1500, 1467, 1442, 1335, 1258, 1143, 1015, 704 cm-1.
Anal. Calcd for C22H27N7・1.0H2O: C, 64.84; H, 7.17; N, 24.04. Found: C, 65.70; H, 7.04; N, 23.15.
[実施例6]
2-(ジエチルアミノ)-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (#6)
【0163】
【化34】

【0164】
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(ジエチルアミノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-11a) (126 mg, 0.16 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (5 ml) に溶解し、これに対し炭酸カリウム (87 mg, 0.63 mmol) およびチオフェノール (43 μl, 0.42 mmol) を添加した後、室温で18時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物29 mg (43 %) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 418 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.16 (3H,s), 1.23 (6H, t, J = 7.1 Hz), 1.56-1.66 (1H, m), 1.79-1.88 (1H, m), 2.22 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.64 (2H, br s), 3.01 (1H, d, J = 10.2 Hz), 3.13-3.21 (1H, m), 3.33 (1H, d, J = 10.2 Hz), 3.37-3.46 (1H, m), 3.59 (4H, q, J = 7.1 Hz), 7.14-7.20 (2H, m), 7.37-7.49 (3H, m).
IR (ATR): 2962, 2211, 1614, 1562, 1504, 1449, 1366, 1346, 759, 701 cm-1.
Anal. Calcd for C24H27N7O・0.75H2O: C, 66.87; H, 7.60; N, 22.75. Found: C, 67.08; H, 7.52; N, 21.85.
[参考例12]
N-{8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}-N-エチルアセトアミド (I-12)
【0165】
【化35】

【0166】
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(エチルアミノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-11b) (160 mg, 0.29 mmol) をピリジン (5 ml) に溶解した。この溶液に無水酢酸 (41 μl, 0.43 mmol) を加えた後、100℃で24時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残渣にクロロホルムを添加し、これを1規定塩酸水溶液ついで飽和食塩水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:1, v/v)、標記化合物110 mg (62%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 617 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.22-1.29 (3H, s), 1.36 (3H, s), 1.91-2.00 (2H, m), 2.27 (3H, s), 2.46 (3H, s), 2.78 (3H, s), 3.17-3.26 (1H, m), 3.30-3.42 (1H, m), 3.48-3.55 (1H, m), 3.68-3.74 (1H, m), 4.05-4.14 (2H, m), 7.11-7.16 (1H, m), 7.22-7.27 (1H, m), 7.40-7.52 (3H, m), 7.58-7.74 (3H, m), 7.91-7.96 (1H, m).
[実施例7]
N-{8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}-N-エチルアセトアミド (#7)
【0167】
【化36】

【0168】
N-{8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}-N-エチルアセトアミド (I-12) (110 mg, 0.18 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (5 ml) に溶解し、これに対し炭酸カリウム (74 mg, 0.53 mmol) およびチオフェノール (37 μl, 0.36 mmol) を添加した後、室温で2時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物56 mg (62%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 432 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.15 (3H, s), 1.26 (3H, t, J = 7.1 Hz), 1.59-1.68 (1H, m), 1.78-1.87 (1H, m), 2.06 (1H, br), 2.28 (6H, s), 2.48 (3H, s), 3.13 (1H, d, J = 10.2 Hz), 3.27-3.43 (3H, m), 4.10 (2H, q, J = 7.1 Hz), 7.19-7.23 (2H, m), 7.43-7.52 (3H, m).
IR (ATR): 2969, 2212, 1685, 1502, 1431, 1256, 1177, 996, 700 cm-1.
Anal. Calcd for C24H29N7O・0.5H2O: C, 65.43; H, 6.86; N, 22.26. Found: C, 65.43; H, 6.83; N, 21.83.
[参考例13]
N-{8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}アセトアミド (I-13)
【0169】
【化37】

【0170】
N-[(3S)-1-(2-アミノ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-6) (200 mg, 0.37 mmol) をピリジン (5 ml) に溶解した。この溶液に無水酢酸 (103 μl, 1.1 mmol) を加えた後,100℃で18時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残渣にクロロホルムを添加し、これを1規定塩酸水溶液次いで飽和食塩水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:1, v/v)、標記化合物61 mg (28%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 589 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.36 (3H, s), 1.60-1.85 (1H, br), 1.93-2.03 (2H, m), 2.25 (3H, s), 2.34-2.47 (3H, m), 2.85 (3H, br s), 3.30-3.34 (2H, m), 3.47 (1H, d, J = 10.7 Hz), 3.84-3.93 (1H, m), 7.12-7.16 (1H, m), 7.20-7.24 (1H, m), 7.40-7.50 (3H, m), 7.57-7.69 (3H, m), 7.96-8.01 (1H, m).
[実施例8]
N-{8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}アセトアミド (#8)
【0171】
【化38】

【0172】
N-{8-シアノ-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-{メチル[(2-ニトロフェニル)スルホニル]アミノ}ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル}アセトアミド(I-13) (74 mg, 0.18 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (5 ml) に溶解し、これに対し炭酸カリウム (52 mg, 0.38 mmol) およびチオフェノール (26 μl, 0.25 mmol) を添加した後、室温で24時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物21 mg (41 %) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 404 (M+1)+.
1H-NMR (CD3OD) δ: 1.29 (3H, s), 1.69-1.79 (1H, m), 2.01-2.11 (1H, m), 2.25 (3H, br), 2.31 (3H, s), 2.52 (3H, br), 2.93-3.02 (2H, m), 3.30-3.35 (1H, m), 3.98-4.13 (1H, m), 7.26-7.39 (2H, m), 7.44-7.56 (3H, m).
IR (ATR): 2965, 2215, 1712, 1503, 1490, 1240, 1004, 778, 721 cm-1.
Anal. Calcd for C22H25N7O・2.25H2O: C, 59.51; H, 6.70; N, 22.08. Found: C, 59.23; H, 6.26; N, 21.45.
[参考例14]
N-[(3S)-1-(2-ブロモ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-14)
【0173】
【化39】

【0174】
N-[(3S)-1-(2-アミノ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-6) (300 mg, 0.55 mmol) および臭化銅 (208 mg, 0.93 mmol) を無水アセトニトリル (12 ml) に溶解した。この溶液を0℃に冷却し、亜硝酸tert-ブチル (91 μl, 0.77 mmol) を加えた後、0℃で3時間撹拌した。本反応液に酢酸エチルを添加し、これを飽和食塩水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:1, v/v)、標記化合物270 mg (81%)を淡黄色固体として得た。
APCI-MS m/z: 610 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.35 (3H, s), 1.86-1.94 (1H, m), 1.99-2.09 (1H, m), 2.26 (3H, s), 2.87 (3H, br s), 3.28-3.47 (3H, m), 3.76 (1H, d, J = 10.7 Hz), 7.12-7.16 (1H, m), 7.18-7.22 (1H, m), 7.41-7.52 (3H, m), 7.57-7.65 (3H, m), 7.95-7.99 (1H, m).
[参考例15]
N-{(3S)-1-[2-(アゼチジン-1-イル)-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-15)
【0175】
【化40】

【0176】
N-[(3S)-1-(2-ブロモ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-14) (200 mg, 0.33 mmol) をジメチルスルホキシド (10 ml) に溶解した。この溶液にアゼチジン (45 μl, 0.66 mmol) およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(224 μl, 1.32 mmol) を加えた後、150℃で1時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残渣に酢酸エチルを添加し、これを飽和食塩水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:2, v/v)、標記化合物40 mg (19%) を淡黄色固体として得た。
ESI-MS m/z: 587 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.35 (3H, s), 2.21 (3H, s), 2.39-2.49 (2H, m), 2.86 (3H, s), 2.95-3.05 (1H, m), 3.20 (1H, d, J = 10.0 Hz), 3.30-3.44 (3H, m), 3.67 (1H, d, J = 10.0 Hz), 4.14-4.20 (4H, m), 7.09-7.18 (2H, m), 7.37-7.64 (6H, m), 7.89-7.92 (1H, m).
[実施例9]
2-(アゼチジン-1-イル)-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (#9)
【0177】
【化41】

【0178】
N-{(3S)-1-[2-(アゼチジン-1-イル)-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-15) (40 mg, 0.07 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (3 ml) に溶解し、これに対し炭酸カリウム (28 mg, 0.2 mmol) およびチオフェノール (21 μl, 0.2 mmol) を添加した後、室温で2時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物20 mg (74%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 402 (M+1)+.
HRESI-MS m/z: 402.24064 (Calcd for C22H28N7402.24062).
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.16 (3H, s), 1.58-1.64 (1H, m), 1.82-1.95 (1H, m), 2.24 (3H, s), 2.32 (3H, s), 2.40-2.49 (2H, m), 2.95 (1H, d, J= 10.5 Hz), 3.03-3.09 (1H, m), 3.30-3.39 (1H, m), 3.47 (1H, d, J = 10.5 Hz), 4.20 (4H, t, J = 7.6 Hz), 7.14-7.19 (2H, m), 7.38-7.48 (3H, m).
[参考例16]
1-(ジフェニルメチル)-3-メトキシアゼチジン (I-16)
【0179】
【化42】

【0180】
1-(ジフェニルメチル)アゼチジン-3-オール (5 g, 20.9 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (3 ml) に溶解した。この溶液を0℃に冷却した後、水素化ナトリウム (55% in paraffin liquid) (1.37 g, 31.4 mmol) を加え、次にヨウ化メチル(3.9 ml, 62.7 mmol) を添加して室温で3時間撹拌した。本反応液に酢酸エチルを添加し、これを飽和食塩水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:2, v/v)、標記化合物3.27 g (62%) を無色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.88-2.93 (2H, m), 3.21 (3H, s), 3.45-3.51 (2H, m), 4.00-4.07 (1H, m), 4.35 (1H, s), 7.14-7.20 (2H, m), 7.22-7.28 (4H, m), 7.37-7.42 (4H, m).
[参考例17]
3-メトキシアゼチジン塩酸塩 (I-17)
【0181】
【化43】

【0182】
1-(ジフェニルメチル)-3-メトキシアゼチジン (I-16) (3.2 g, 12.6 mmol) をエタノール (100 ml) に溶解した。この溶液に水酸化パラジウム (20% on carbon) (1.6g) を添加後、水素雰囲気下室温で6時間撹拌した。本反応液を濾過し、減圧下その濾液を留去した。得られた残渣に4規定塩酸/1,4-ジオキサン溶液を添加し、室温で6時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮し、得られた残渣にノルマルヘキサンを添加し、溶媒をデカントして取り除き、その残留物を減圧下に濃縮した後、減圧乾燥を行い、標記化合物1.2 g (77%) を無色固体として得た。
1H-NMR (CD3OD) δ: 3.89-3.96 (2H, m), 4.22-4.35 (3H, m), 4.83 (3H, s).
[参考例18]
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-18)
【0183】
【化44】

【0184】
N-[(3S)-1-(2-ブロモ-8-シアノ-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル)-3-メチルピロリジン-3-イル]-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-14) (500 mg, 0.82 mmol) をジメチルスルホキシド (5 ml) に溶解した。この溶液に3-メトキシアゼチジン塩酸塩 (I-17) (202 mg, 1.64 mmol) およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(696 μl, 4.1 mmol) を加えた後,150℃で18時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残渣に、酢酸エチルを添加し、これを飽和食塩水で洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後,減圧下溶媒を留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し(溶離液;酢酸エチル:ノルマルヘキサン=1:2, v/v)、標記化合物170 mg (34%) を淡黄色固体として得た。
ESI-MS m/z: 617 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.35 (3H, s), 1.84-2.06 (2H, m), 2.22 (3H, s), 2.86 (3H, s), 3.16 (1H, d, J = 10.5 Hz), 3.34 (3H, s), 3.33-3.36 (1H, m), 3.40-3.49 (1H, m), 3.66 (1H, d, J = 10.5 Hz), 4.02-4.08 (2H, m), 4.31-4.40 (3H, m), 7.12-7.15 (2H, m), 7.39-7.51 (3H, m), 7.57-7.65 (3H, m), 7.92-7.89 (1H, m).
[実施例10]
2-(メトキシアゼチジン-1-イル)-7-メチル-5-[(3S)-3-メチル-3-(メチルアミノ)ピロリジン-1-イル]-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-8-カルボニトリル (#10)
【0185】
【化45】

【0186】
N-{(3S)-1-[8-シアノ-2-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)-7-メチル-6-フェニル[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル]-3-メチルピロリジン-3-イル}-N-メチル-2-ニトロベンゼンスルホンアミド (I-18) (170 mg, 0.28 mmol) をN,N-ジメチルホルミアミド (5 ml) に溶解し、これに対し炭酸カリウム (114 mg, 0.83 mmol) およびチオフェノール (85 μl, 0.83mmol) を添加した後、室温で2時間撹拌した。本反応液を減圧濃縮して得られた残留物を酢酸エチルにて希釈し、これを飽和食塩水にて洗浄した。その有機相を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、減圧下にて溶媒を留去した。得られた残留物をプレパラティブTLCを用いて精製し(溶離液;クロロホルム:メタノール=10:1, v/v)、標記化合物47 mg (40%) を無色固体として得た。
ESI-MS m/z: 432 (M+1)+.
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.22-1.28 (1H, br), 1.40 (3H, s), 1.74-1.83 (1H, m), 2.24 (3H, s), 2.26-2.30 (1H, m), 2.55 (3H, s), 2.92-3.00 (1H, m), 2.98 (1H, d, J = 11.0 Hz), 3.33 (3H, s), 3.43-3.52 (1H, m), 3.88 (1H, d, J = 11.0 Hz), 4.02-4.08 (2H, m), 4.33-4.40 (3H, m), 7.14-7.23 (2H, m), 7.40-7.52 (3H, m).
IR (ATR): 2924, 2741, 2215, 1553, 1502, 1366, 1122, 1095, 761, 732 cm-1.
Anal. Calcd for C24H27N7O・1.0H2O: C, 64.12; H, 6.95; N, 21.81. Found: C, 64.62; H, 6.61; N, 20.86.
[試験例1]
96穴平底プレートを用いた微量液体希釈法で行った。
すなわち、サブローデキストロース寒天培地で30℃、24時間培養した菌体を、YPD20倍地 (1% yaest extract, 2% peptone, 20% glucose) で希釈し、最終菌液濃度が1X103 ~ 1x104cell/mLとなるよう調整した。11段階2倍希釈により作成した薬液2μlと菌液を96穴プレート上で混釈した後、37℃で16~30時間培養後に吸光度 (600 nm) を測定し、薬剤無添加時の生育を80%阻害する最小濃度を算出し、GI80値 (μg/mL) とした。
【0187】
結果を次の表に示す。
【0188】
【表1】

【0189】
本発明の化合物は、優れた抗真菌作用を示した。
[試験例2]細胞壁各構成成分合成に及ぼす影響の検討
C. albicans ATCC90028株をSabouraud Dextrose(SD)培地に接種し、30℃で対数増殖期まで培養し、遠心にて回収した。これを、RPMI1640培地(RPMI1640 (with L-glutamine, without sodium bicarbonates), 0.165M 3-morpholinopropanesulfonic acid, PH7.0) に懸濁し、OD595= 0.7となるよう菌液を調整した。この菌液に、各濃度の化合物と[14C] グルコース(最終濃度1μCi/mL) を同時に添加し、30℃、60min振盪培養後、各細胞壁成分(β-1,3-glucan、β-1,6-glucan、chitin、mannan )を分画した。各画分の放射活性を測定し、化合物非添加時の値を100%とした取り込み比率(% control)を算出した。
【0190】
本発明の化合物は、特異的にβ-1,6-glucan合成酵素阻害作用を示した。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、1,6−β−グルカン合成阻害という作用メカニズムに基づく抗真菌作用を広スペクトルで、かつ特異的または選択的に発現し得るような化合物を提供し、このような化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する抗真菌剤を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)で表わされる化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【化1】


{式中、Rは、
1)アミノ基、
2)炭素数1から6のアルキル基を有するアルキルアミノ基、
3)同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、
4)アミノメチル基、
5)炭素数1から6のアルキル基を有するアルキルアミノメチル基、または
6)同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノメチル基、
を塩基性置換基として有する、下記の[a]ないし[c]から選ばれる基を意味し;
[a]:窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群の複素原子から、重複して選ばれてもよい複素原子1または2を含む、飽和もしくは部分飽和の複素環基、
[b]:二重結合を含んでいてもよい5員環または6員環の環状炭化水素基、
[c]:次式:
−X−(炭素数1から6のアルキル基)
(式中、Xは、酸素原子、硫黄原子、−CH−、または式:
−N(−Rll)−で表される構造を意味し、
窒素原子上のRllは、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、または炭素数7から9のアラルキル基を意味する。)で表される基、であり、[a]または[b]における複素環基および環状炭化水素基は、[置換基群1]から、重複して選択されてもよい1または1以上の基を有していてもよく;
[置換基群1]:
ハロゲン原子、
水酸基、
カルボキシ基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のハロゲノアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数2から7のアルコキシメチル基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、
炭素数7から9のアラルキルオキシ基、
炭素数8から10のアラルキルオキシカルボニル基、および
下式:
−C(=O)−N(−R12)R13
(式中、窒素原子上のR12およびR13は、各々独立して、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数6から10のアリール基を表す。)で表される基;
は、
ハロゲン原子、
ヒドロキシメチル基、
ホルミル基、
同一でも異なっていてもよい炭素数1から6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、
炭素数1から8のアルキル基、
炭素数2から8のアルケニル基、
炭素数2から8のアルキニル基、
炭素数2から8のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、
炭素数5から6のシクロアルケニル基、
単環式もしくは二環式のアリール基、
単環式もしくは二環式のヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から重複して選択されてもよいヘテロ原子を1個から4個含む。)、または下式:
−X−R21
[式中、Xは、−C(=O)−、−(CH−、−C(=O)−N(−R22)−、または−N(−R23)−C(=O)−を意味し、
nは1から3の整数のいずれかを意味し、
21は、単環式もしくは二環式のアリール基であるか、または、単環式もしくは二環式のヘテロアリール基(窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から重複して選択されてもよいヘテロ原子を1個から4個含む。)であり、
22およびR23は、各々独立に、水素原子または炭素数1から6のアルキル基を意味する。]で表される基を意味するが、
これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、およびヘテロアリール基は、[置換基群2]から重複して選択されてもよい基1または1以上を有していてもよく;
[置換基群2]:
ハロゲン原子、
アミノ基、
水酸基、
カルボキシ基、
ニトリル基、
ハロゲノメチル基、
ヒドロキシメチル基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、および次式:
−C(=O)−N(−R24)R25
(式中、窒素原子上のR24ぉよびR25は、各々独立して、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、または炭素数6から10のアリール基を表す。)で表される基;
ここで、[置換基群2]のアミノ基は、炭素数1から6のアルキル基、炭素数2から7のアシル基、炭素数3から6のシクロアルキル基、炭素数6から10のアリール基、炭素数7から12のアラルキル基、芳香族複素環基、炭素数1から6のアルキルスルホニル基、および炭素数6から10のアリールスルホニル基からなる群の基から選ばれる1個または2個の基を置換基として有していてもよく、さらに、該アミノ基の置換基が2個の場合は互いに結合して環状構造を形成してもよい;
は、
水素原子、
ハロゲン原子、
炭素数1から4の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基、
炭素数3または4の環状アルキル基、
炭素数1から4のアルコキシ基、
同一または異なるアルキル鎖を有し、炭素数の合計が2から4であるジアルキルアミノ基、ハロゲノメチル基、または
炭素数1から3のアルコキシ基を有するアルコキシメチル基を意味し;
およびRは、各々独立に、水素原子、炭素数1から6のアルキル基、炭素数3から7のシクロアルキル基、単環式もしくは二環式のアリール基、単環式もしくは二環式のヘテロアリール基、式:−C(=O)−R41(式中、R41は、炭素数1から6のアルキル基を表わす。)で表わされる基であるか、または、両者が一体化してRとRが結合する窒素原子を含んで、炭素数3から7の飽和環、部分飽和環、または不飽和環を形成していてもよく、さらに環内に窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を1または2個含んでいてもよいが、この環構造は、置換基を有していてもよく;
ただし、RおよびRは同時に水素原子である場合を除く;
ここで、上記のRまたはRの、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、および飽和環、部分飽和環、もしくは不飽和環は、[置換基群3]から重複して選択されてもよい基を1個以上有していてもよく;
[置換基群3]:
ハロゲン原子、
アミノ基、
水酸基、
ホルミル基、
カルボキシ基、
ニトリル基、
ハロゲノメチル基、
ヒドロキシメチル基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基;
およびXは、各々独立に、
窒素原子であるかまたは、
ハロゲン原子、
炭素数1から6のアルコキシ基、
置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基、
もしくはエステル基で置換されていてもよい炭素原子を意味するが、
およびXのいずれか一方は必ず窒素原子であり;
ここで、アルキル基の置換基は、次の置換基の群から選ばれる、1または1以上の基であり;
ハロゲン原子、
アミノ基、
ニトロ基、
水酸基、
メルカプト基、
カルボキシ基、
シアノ基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、および
炭素数6から10のアリール基;
炭素原子上の置換基がエステルであるときこれらは、
炭素数1から6のアルキルエステル、
炭素数6から10のアリールエステル、
または炭素数1から6のアルキル基と炭素数6から10のアリール基とから構成されるアラルキルエステルでよく;
さらにこれらのアリールエステルおよびアラルキル基のアリール部分は、次の置換基の群から選ばれる、1または1以上の基によって置換されていてもよい;
ハロゲン原子、
アミノ基、
ニトロ基、
水酸基、
メルカプト基、
カルボキシ基、
シアノ基、
炭素数1から6のアルキル基、
炭素数1から6のアルコキシ基、
炭素数1から6のアルキルチオ基、
炭素数2から7のアシル基、
炭素数2から7のアルコキシカルボニル基、
炭素数3から6のシクロアルキル基、および
炭素数6から10のアリール基;
を意味する。}
【請求項2】
およびXが、いずれも窒素原子である、請求項1に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項3】
が、塩基性置換基を有する、窒素原子、酸素原子、および硫黄原子からなる群の複素原子から、重複して選ばれてもよい複素原子1または2を含む、飽和もしくは部分飽和の複素環基である、請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項4】
が、塩基性置換基を有する含窒素複素環基である、請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項5】
が、塩基性置換基を有する、ピロリジニル基、シクロペンチル基、またはシクロペンテニル基である、請求項1または2に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項6】
が、置換基を有していてもよいアリール基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項7】
が、置換基を有していてもよいフェニル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項8】
が、置換基を有していてもよい炭素数1から4のアルキル基である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項9】
が、メチル基である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項10】
およびRのいずれか一方が、置換基を有していてもよい炭素数1から6のアルキル基である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項11】
およびRのいずれか一方が、置換基を有していてもよい炭素数2から7のアシル基である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項12】
およびRが一体化してRとRが結合する窒素原子を含む、炭素数3から7の飽和環または芳香環である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する医薬。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する感染症治療剤。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を含有する抗真菌剤。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を使用する感染症の治療方法。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物、その塩、またはそれらの水和物を使用する感染症治療のための使用。

【公開番号】特開2010−70503(P2010−70503A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240208(P2008−240208)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】