説明

抗老化皮膚外用組成物

【課題】 老化現象の典型である皮膚のしわを短時間で取ることができ、極めて優れた老化防止効果を有する抗老化皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 キトサン又はその誘導体を0.5〜10重量%含有する抗老化皮膚外用組成物であって、前記キトサン又はその誘導体は、平均重合度が5〜1000である抗老化皮膚外用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老化現象の典型である皮膚のしわを短時間で取ることができ、極めて優れた老化防止効果を有する抗老化皮膚外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の老化現象としては、皮膚の乾燥、弾力性の低下等が挙げられ、その結果、皮膚表面にしわが発生する。このような皮膚の老化現象に対して、例えば、特許文献1には、コンドロイチン酸ナトリウムに水、ブチレングリコール等を配合することで、美肌効果、老化防止効果を発現させた化粧料が開示されている。また、特許文献2には、アルモンド抽出物とムコ多糖類等を配合することで、水分を補い、優れた保湿力で、しわ等の皮膚の老化症状改善、肌荒れ改善等に効果を有する皮膚外用剤が開示されている。
しかしながら、これらの化粧料、皮膚外用剤は、保湿効果によって間接的にしわをとるものであることから、長期間の反復使用が必要であった。
【特許文献1】特開2003−292433号公報
【特許文献2】特開2002−363090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記現状に鑑み、老化現象の典型である皮膚のしわを短時間で取ることができ、極めて優れた老化防止効果を有する抗老化皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、キトサン又はその誘導体を0.5〜10重量%含有する抗老化皮膚外用組成物であって、前記キトサン又はその誘導体は、平均重合度が5〜1000である抗老化皮膚外用組成物である。
以下に本発明を詳述する。
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、キトサン又はその誘導体を所定濃度で含有し、かつ、キトサン又はその誘導体の平均重合度が所定の範囲内である皮膚外用組成物を用いることにより、従来の保湿成分では得られなかった、老化現象の典型である皮膚のしわに対して短時間で極めて優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の抗老化皮膚外用組成物は、キトサン又はその誘導体を含有する。
【0007】
上記キトサンとは、キチンを濃アルカリ溶液等と加熱する等の方法により、40mol/mol%以上の脱アセチル化をすることにより得られるポリ−N−アセチル−D−グルコサミンのことをいう。使用する原料キチンの種類、キトサンの製造方法については特に限定されない。
【0008】
上記キトサンの誘導体としては、例えば、キトサンのグルコサミン残基のアミノ基、−OH基又は−CHOH基がアルキル化、サクシニル化、ヒドロキシアルキル化、アルキルカルボニル化、ヒドロキシアルキルカルボニル化されたもの等が挙げられる。更に、キチンの脱アセチル化されたアミノ基が有機酸や無機酸と塩を形成しているもの等も挙げられる。また、その分子量分布についても、特に限定されるものではなく、非常に広い範囲の中で特定の分布だけのもの、又は、広範囲に分布するものも含まれる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0009】
上記キトサン又はその誘導体の平均重合度の下限は5、上限は1000である。5未満であると、充分な抗老化効果が得られず、1000を超えても、それ以上の効果は期待できず、むしろ抗老化効果が減弱する。
【0010】
本発明の抗老化皮膚外用組成物における上記キトサン又はその誘導体の含有量の下限は0.1重量%、上限は10重量%である。0.1重量%未満であると、充分な抗老化効果が得られず、10重量%を超えても、それ以上の効果は期待できないことに加え、溶解しにくく、製剤化が困難となる。また、充分な効果と製剤化の観点から、好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は5重量%である。
【0011】
本発明の抗老化皮膚外用組成物は、上記キトサン又はその誘導体を水溶化するために酸を含有することが好ましい。上記酸としては無機酸、有機酸のいずれも用いることができる。
上記無機酸としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。上記有機酸としては、例えば、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、酪酸、フマル酸、マロン酸、イタコン酸、グルコン酸、グリコール酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。特に、カルボン酸にヒドロキシ基を有する化学構造を持つ脂肪酸であるヒドロキシ酸が好ましい。これらの酸は単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
本発明の抗老化皮膚外用組成物における上記酸の含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は20重量%である。0.1重量%未満であると、上記キトサン又はその誘導体を充分に水溶化できないことがあり、20重量%を越えると、適用部位によっては皮膚刺激性を示すことがある。より好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0013】
本発明の抗老化皮膚外用組成物は、従来の化粧品に配合される保湿成分を1種又は2種以上適宜選択して含有してもよい。
【0014】
本発明の抗老化皮膚外用組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、粉末、油分、界面活性剤、増粘剤、有機溶剤、可塑剤、色素、顔料、香料、防腐剤、抗酸化剤等の従来公知の添加剤を含有していてもよい。
【0015】
本発明の抗老化皮膚外用組成物の剤形としては特に限定されず、例えば、軟膏剤、クリーム剤又は液剤(ゲル剤、ゾル剤、水溶液剤、アルコール剤、グリセリン・グリコール剤、油剤、懸濁型ローション剤、乳剤型ローション剤、ニス剤、湿布剤、噴霧剤)等が挙げられる。また、シート状に不織布、織布、紙、合成樹脂ネットにしみこませる、又は、ゲル剤としてこれらを支持体とする等、貼付剤の形状も挙げられる。本発明の抗老化皮膚外用組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、粉末、油分、界面活性剤、増粘剤、有機溶剤、可塑剤、色素、顔料、香料、防腐剤、抗酸化剤等の従来公知の添加剤を含有していてもよい。その製造方法としては特に限定されず、従来公知の方法により製造することができる。
【0016】
本発明の抗老化皮膚外用組成物の適用量は、濃度や塗布する部位の状態により特に限定されないが、通常は1日に1〜数回、0.01〜1g/1回程度を適用することが好ましい。また本発明の抗老化皮膚外用組成物の適用方法としても特に限定されず、手指や器具(へら等)を用いた通常の皮膚外用剤塗布方法の他、ポンプ式、スプレー式、チューブ式容器から直接塗布する方法、シート状であれば貼付する方法等が挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、老化現象の典型である皮膚のしわに対して短時間で極めて優れた効果を有する抗老化皮膚外用組成物を提供することができる。
即ち、本発明の抗老化皮膚外用組成物は、キトサン又はその誘導体を所定量配合し、かつ、キトサン又はその誘導体の平均重合度を所定の範囲内とすることにより、従来では得られなかった画期的な短時間のしわとり効果が得られ、非常に有用である。例えば、従来の保湿効果による抗老化剤では得られなかったしわを取る効果を短時間で実感できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0019】
(実施例1〜6)
表1に示した重合度、配合量のキトサン(和光純薬社製)、及び、酸として乳酸(小堺製薬社製)2重量%を注射用水(大塚製薬社製)に添加した後、攪拌、溶解して、抗老化皮膚外用組成物を得た。
【0020】
(比較例1〜9)
表1に示した重合度、配合量のキトサン(和光純薬社製)、及び、酸として乳酸(小堺製薬社製)2重量%を用いた以外は、実施例と同様にして抗老化皮膚外用組成物を得た。
【0021】
(評価)
実施例1〜6及び比較例1〜9で得られた皮膚外用組成物を、以下の方法により評価した。結果を表1に示した。
【0022】
(1)手の甲への塗布5分後のしわとり効果評価
6名(男性3名、女性3名)のパネラー(実施例、比較例によってパネラーは重複)に対して、手の甲2.5cm角に実施例及び比較例で得られた抗老化皮膚外用組成物を塗布した。塗布前及び塗布5分後にマイクロスコープによりしわの様子を観察し、下記の基準に従って評価を行った。表1には、各人の評価の平均値を示す。なお、表1中の「−」は塗布困難のため評価不能であったことを示す。
評価点5:しわがない
評価点4:しわがほとんどない
評価点3:しわがある
評価点2:太いしわがある
評価点1:太いしわが複数ある
【0023】
(2)顔への塗布5分後のしわとり効果の官能性評価
明らかにしわの多い6名(男性3名、女性3名)のパネラー(実施例、比較例によってパネラーは重複)に対して、顔に実施例、比較例を塗布した。塗布前及び塗布5分後のしわの様子について、下記の基準に従って官能性評価を行った。表1には、各人の評価の平均値を示す。なお、表1中の「−」は塗布困難のため評価不能であったことを示す。
評価点5:明らかにしわが目立たなくなった。
評価点4:しわが目立たなくなった。
評価点3:しわがやや目立たなくなった。
評価点2:どちらともいえない。
評価点1:しわとり効果がなかった。
【0024】
【表1】

【0025】
表1から明らかなように、実施例で得られた抗老化皮膚外用組成物は、所定濃度のキトサンを含有し、かつ、平均重合度が所定の範囲内であるキトサンを用いることで、老化現象の典型である皮膚のしわに対し、短時間で優れた効果を示すことがわかる。一方、比較例で得られた抗老化皮膚外用組成物は、しわとり効果が不充分となっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、老化現象の典型である皮膚のしわに対し、短時間で優れた効果を示す抗老化皮膚外用組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キトサン又はその誘導体を0.5〜10重量%含有する抗老化皮膚外用組成物であって、前記キトサン又はその誘導体は、平均重合度が5〜1000であることを特徴とする抗老化皮膚外用組成物。

【公開番号】特開2007−223909(P2007−223909A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43732(P2006−43732)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】