説明

抗菌ペプチドまたはその阻害剤を用いた疾病治療

.必要に応じて被験体の疾病を治療する方法は開示されている。本方法は、被験体に治療効果のある化合物、特にカテリシジンまたはその有効な断片またはカテリシジン類似体を提供することからなり、つまり治療の必要な被験体の疾病を治療することも含んでいる。 .本方法では、アンタゴニストとして機能し、内因性カテリシジンの機能も果たし、優性阻害効果を発揮し、同族受容体結合に際して炎症促進性物質や抗菌ペプチドと疾病の誘発なしに競合するカテリシジンの特異的類似体または断片を挙げている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌ペプチド(AMP)および/または抗菌ペプチド様分子(AML)、また特に cathelicidin type AMPs(カテリシジン型抗菌ペプチド)を用いた疾病治療を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
また疾病治療ができるようAMPs/AMLの活性/レベルを調節、増幅、または低下させることのできる化合物を同定する方法に関する。より詳細には、本発明は、骨量の減少または骨分解または骨粗鬆症、また、多発性硬化症、関節炎、乾癬などの他の自己免疫疾患、または炎症を伴う癌などの悪性腫瘍、代謝性疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、1型糖尿病および関連疾患の原因となる無調節の細胞調節/細胞分化を含む疾患などの、cathelicidin(カテリシジン)またはcathelicidin fragment(カテリシジン断片)または cathelicidin analogue(カテリシジンの類似体)または抗菌ペプチド(AMPs)/抗菌ペプチド様分子(AML)の活性/レベルを調節できる化合物を使用して疾病治療を行う方法に関する。
【0003】
従来技術に比べ、本発明に初めて含まれるデータが示すように、ビタミンD3がまた調整することで知られる疾患の主な免疫調節因子をcathelicidin (カテリシジン)が形成する。これには、特に以下の疾病が含まれる:骨量低下による歯周炎、肥満、真正2型糖尿病、1型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、喘息、アレルギー、骨粗鬆症、骨減少症、多発性硬化症、間接リウマチ、関節炎、クローン病などの自己免疫疾患、1型糖尿病、統合失調症、加齢による筋肉疲労を含む筋肉疲労、癌、乾癬などの皮膚炎、結核、インフルエンザ、慢性痛、変形性関節炎、普通感冒、ビタミンD3に関連のあるその他の既知の疾患(The Breast Journal, Volume 14 Number 3, 2008 255?260, Photochem Photobiol.2008 Mar-Apr;84(2):356-65)。データは本発明に提示されているように、カテリシジンとビタミンD3との間の疾患制御の共通経路を示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】CLINICAL AND DIAGNOSTIC LABORATORY IMMUNOLOGY Sept. 2002, p. 972?982 (18-mer LLKKK),ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY, Sept. 2006, p. 2983?2989 Vol. 50, No. 9 (GKE) , Laryngoscope.2008 May;118(5):816-20,
【非特許文献2】Inflamm Res.2004 Nov;53(11):609-22,
【非特許文献3】Antimicrob Agents Chemother.2005 Jul;49(7):2845-50,
【非特許文献4】Protein Expr Purif.2004 Sep;37(1):229-35,
【非特許文献5】Int J Antimicrob Agents.2004 Jun;23(6):606-12, Am J Respir Crit Care Med. 2004
【非特許文献6】Jan 15;169(2):187-94,
【非特許文献7】Eur J Biochem.2002 Feb;269(4):1181-9,
【非特許文献8】Surgery.1995 Jun;117(6):656-62,
【非特許文献9】Prog Clin Biol Res.1995;392:317-26,
【非特許文献10】p e p t i d e s 2 7 ( 2 0 0 6 ) 6 4 9 ? 6 6 0 (P60, P60.4, P60.4-Ac),
【非特許文献11】Biotechnol Lett (2008) 30:1183?1187のP18。
【0005】
内因性プロアテーゼによるカテリシジン hCAP18プロペプチドの異常開裂によって、カテリシジンの炎症促進性断片が生じる可能性がある (Nat Med. 2007 Aug;13(8):975-80)。これに対し、適正な内因性プロアテーゼによるプロセシングを経て適正な開裂によって、抗炎症性カテリシジン類似体およびペプチドの生成が可能である。すなわち、カテリシジンのプロセシング異常を調節する方法は、以下に記載し、例示されている抗炎症性カテリシジン類似体、またはペプチドもしくはプロペプチドの断片を用いた方法と同様に必要とされる。
抗菌ペプチド(AMP)は単独で、あるいは多数の抗菌ペプチド(AMP)が組み合わさった結果のいずれかで、効力を発揮する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の好適な実施の形態の特徴によると、ビタミンD3、カテリシジンペプチド断片、またはその類似体の被験体に対する投与は、約50ng/ml〜約2mg/mlの範囲で選んだ濃度の化合物を含有するキャリアを、2〜30回の投与で、本被験体の部位に投与することによって行われ、局所性、静脈、経鼻、経皮、皮内、経口、口腔、非経口、直腸、吸入の経路からなる群から選択される経路を介して、複数回の各投与間隔を約2.4時間から約30日までの範囲から選ぶことを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
同様に、包装材料、医薬組成物からなる製品、そして細胞および/または組織内の生体内作用に関連する疾病の治療用に特定される製品、炎症または自己免疫に関連する増殖、分化または疾病で構成するグループから選んだ生体内作用が含まれる;局所性、静脈、経鼻、経皮、皮内、経口、口腔、非経口、直腸、吸入などの投与経路からなる群から選択される経路を通して、薬学的に受容可能なキャリア、そして有効成分として抗菌ペプチド(AMP)および/または抗菌ペプチド様分子(AML)の活性/レベルを調節できる化合物を含み、医薬組成物はソリューション、サスペンション、エマルジョン、またはゲルの剤形にし、約50ng/ml〜約1mg/mlの範囲で選択された濃度の化合物を疾患のある被験体細胞および/そして組織に暴露できるように構成されている。
記載された好適な実施形態のさらなる特徴によれば、被験体に複数回投与では約2.4時投与の間隔で、2〜30回、約30日まで行う投与の医薬組成物を同定する。
【0008】
以下に記載された発明の好適な実施の形態のさらなる特徴によれば、被験者への化合物の投与は、約50ng/ml〜約1mg/mlの範囲で選んだ濃度で、被験者に化合物を投与することによって達成されるか、被験者内に化合物を発現させることによって達成される。.
【0009】
以下に記載された発明の好適な実施の形態のさらなる特徴によれば、抗菌ペプチド(AMP)は、配列番号が 1-58のように以下に挙げられているカテリシジンまたはカテリシジン断片 のいずれか一つである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】マウス・モデルにおけるコラーゲン誘導「関節炎の発症率」を表しているグラフである。横軸は免疫処置後の日数である。カテリシジン34a.a. mCRAMPペプチドを(実験群に)1.5mg/kgの濃度で投与した。免疫処置後、連続して2日間および4日間、1.0 mg/kgまで投与量を削減した。7日目から、72日目まで0.8 mg/kgの投与量で 投与した。全治療は、月曜日、水曜日、金曜日の週3回で行われ、各治療で投与部位を交代させながら、ペプチドまたは対照群にビークル(vehicle)を腹腔内投与した。実験開始時に全マウスの体重を測定し、投与量を算出した。49日目に、再び体重を測定した(平均 1.6グラム増 )。体重に応じて投与量を調節した。開始11日目から毎週3回、全マウスの関節炎の重症度を測定し、各マウス肢の関節炎の炎症度を観察し、以下の基準に従って数値スコアを割り当てた。四肢のうちのいずれかに、足根骨、中足骨、足、指、関節強直または足関節に紅斑もしくは軽い腫脹が認められた場合は関節炎の発症率に加算される。 図に示すように、対照群の発症率が高くなっている。全マウスの炎症肢発症率の分析結果の詳細については図6に示されている。 mCRAMPは以下の通りである:gllrkggekigeklkkigqkiknffqklvpqpeq
【図2】関節炎の重症度を表しているグラフである。横軸は免疫処置後の日数である。関節炎の重症度は次のように配点した炎症度および患肢数に基づいて分析した。0 ?紅斑および腫脹が認められない。1-紅斑を伴った軽い腫脹が足根骨または足関節に認められる。 2-紅斑を伴った腫脹が足関節から足根骨にまで拡張。3-紅斑を伴った中度の腫脹が足関節から中足関節まで拡張。4-紅斑を伴った重度の腫脹が 足関節、足、指、関節強直に認められる。図2に見られるように、マウス1匹あたりの重症度スコアの平均値を分析すると、2群間に有意差が認められた。これらのデータで、関節炎発症率の差はいく分認められるが、重症度の差は、関節炎発症率以上に明確に認められる。図2にあるデータは 図1に記載されている同実験のものである。
【図3】患肢数の平均値を表示しているグラフである。横軸は免疫処置後の日数である。図2の様にマウスの重症度スコアの平均値に類似して、実験群もまた概して低値を示している。しかし、患肢の発現は対照群と同じ動向が認められる。但し、発症は遅い。 図3のデータは、図1および図2に記載されている同じ実験からのものである。
【図4】関節炎発症日から19日目までの臨床スコアのフォローアップを表示しているグラフである。 横軸は関節炎発症日からの日付である。各関節炎関節炎マウスが実験開始以来様々な日数で四肢のいずれか1本に炎症が発現した時点で、フォローアップが必要とされる。従って、2群間の有意差を測定するには、フォローアップテストの統計量を満たす必要がある。図4のデータは、図1および図2に記載されている同じ実験からのものである。
【図5】免疫処置から数日間対照群対治療群の全マウスで測定した総重症度指数を示すグラフである。横軸は免疫処置後の日数である。27日目から対照群で疾病の重症度が高くなる傾向が明確に表れている。図5のデータは、図1および図2で記述された同じ実験のものである。
【図6】治療群対対照群の四肢体関節炎の発症率を表示しているグラフである。縦軸は発症率、横軸は免疫処置後の日数である。どのマウスも、それぞれの肢を、最大4本データに記録されることもあり得る。.マイクロソフト社のエクセルを用いて、治療群および対照群の各傾向線を算出している。図6のデータは、図1および図2に記載されている同じ実験からのものである。
【図7】マウスの実験的自己免疫性脳炎(EAE)モデルの結果を挙げている表を示している。カテリシジン対PBS治療結果を表す表であり、図のボックスは、左から、グループ番号、テスト材料、発症率、50日目の死亡率、臨床スコア(平均)の概要、病気の第1ピーク時平均スコアである。C57BL/6 (B6) マウスはイスラエル、エルサレムにある Harlan(ハーラン)社 から購入した。雌、 9 週齢マウスを実験で使用した。マウスはヘブライ大学(Hebrew University)の 動物施設のSPF(特定病原体未感染)エリアで飼育され、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee (IACUC)) から全実験の承認を得た。35-55ペプチド (ペプチド配列:MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK) をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で1.25mg/mlに希釈した液を、400μgの結核菌M. tuberculosis (Mt) H37RA (Difco社)完全フロイント・アジュバント(CFA)に加えてエマルジョンを作製した。マウスの脇腹に250μg MOGB35-55Bペプチド/CFAを25Gの注射針で皮下注射(免疫処置)を施行した。シグマ(Sigma)社から購入したPertussis Toxin(百日咳毒素)200ngを予防接種時に、そして48時間後に静脈注射した。 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を0から6までの7段階で評価した:0, 機能障害は認められない; 1,尻尾を引きずる; 2,尻尾を引きずり、後肢不全麻痺が認められる; 3,1度以上の後肢完全麻痺が認められる; 4,後肢全体および背部に完全麻痺が認められる; 5, 背部に完全麻痺および前肢不全麻痺が認められる; 6, 死亡.イスラエル、カルミエルにあるバイオサイト社(Biosight Ltd)から購入したカテリシジンペプチドのPBS希釈液と、対照群用のPBSをそれぞれマウスに投与した。カテリシジン (GLLRKGGEKIGEKLKKIGQKIKNFFQKLVPQPEQ) を無菌PBSで希釈し、一回の使用分を解凍して使用できるように分けて−20℃で保存した。 マウスにMOGペプチド/CFA の免疫付与日から48日間、週3回(日曜−火曜−木曜)で約200ul(体重によって調節)の投与量で腹腔内投与した。 60日間のEAEの臨床スコアを算出した。カテリシジン 2mg/Kg の投与量と0.2 mg/Kg投与量を各グループに投与した。各グループに6匹のマウス(全部で18匹)が使用された。注目すべきなのは、EAEが進行したマウスが結局50日までに死んでしまったのに対し、治療グループのマウスは60日経っても1匹も死亡しなかったという事実である。最初のピーク時では、平均臨床スコアおよび平均スコアに明確な差は認められなかった。ペプチドの投与量が少ないグループ(0.2mg/Kg)の方が、投与量の多い グループ(2mg/Kg)より防御力が高かった。
【図8】図7で記載したように、免疫処置後から毎日測定した3つのグループの 臨床スコアの平均値を示している。EAEの臨床スコア・チャートである。縦軸は臨床スコア、横軸は免疫処置後の日数である。
【図9A】49日目のPBS対照群で3匹の健常マウスの写真である。
【図9B】49日目まで生き残った6匹すべての低投与群の健常マウスの60日目を取った写真。EAEの重篤さは、時間と共に減少した。
【図9C】後肢と尻尾が完全麻痺したEAEマウスの2例を表示している。
【図10】LL-37ペプチドLL-37に結合して発現した4つの異なるscFv のウェスタンブロット分析を表示している。
【図11】細菌致死アッセイにおいてscFvのLL-37に対する阻害効果を示している。細菌の50%を死滅させることができるLL37の濃度を調べる( "IC50"と呼ぶ)。基本的に活性プロトコルではLL37の抗菌活性を阻止する抗体能力について追跡調査する。使用された細菌は創傷から分離されるシュードモナス菌である。成長培地はLB培地である。 LL-37を100μl//mlの濃度で加えた (最終量または反応は50 μl/である)。1または5μlの抗体での遮断抗体(= 1:50 または 1:10にそれぞれ希釈する) 低抗体価は非特異的影響がみられる。 細菌濃度は光学濃度 (OD) 測定で、推定490であった。
【図12】治療群対対照群に(リポ多糖体)を投与してから2時間の血糖値の変化率を示している。 LPS0.2 mg/kgをC57BL/6マウスに投与した。LPS投与後約2時間後採血を施した(T = 0)血糖値の変化を測定した。
【図13】21日間通常の非高脂肪飼料を与えられていた約10週齢の雄 DBA/1マウスの体重増加の平均を示している。各群10匹の両群のマウスの体重を測定した。対照群は1日平均0.0536グラム増加したのに対し、治療群(カテリシジン mCRAMP 0.8 ug/ml) は1日であった。
【図14】図13にあるように、60%キロカロリーの高脂肪飼料を与えられたマウスに0.4 ug/ml投与し、体重を週3回測定した。
【図15】骨吸収、骨変形、免疫組織、破骨細胞に関する統計分析するために選んだマウス肢の一覧を示す。 例1の実験手法からマウス肢を採取した。
【図16】治療群で骨吸収が低下するというカテリシジンの有効効果や、炎症の認められた治療群が炎症の認められなかった対照群より破骨細胞が少なかったというカテリシジン効果の組織学的解析を示している。ヘマトキシリン・エオジン染色法で組織学的解析を行い、 酒石酸塩耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)を測定した。
【図17】治療群で骨吸収が低下するというカテリシジンの有効効果や、炎症の認められた治療群が炎症の認められなかった対照群より破骨細胞が少なかったというカテリシジン効果の組織学的解析を示している。ヘマトキシリン・エオジン染色法で組織学的解析を行い、 酒石酸塩耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)を測定した。
【図18】治療群で骨吸収が低下するというカテリシジンの有効効果や、炎症の認められた治療群が炎症の認められなかった対照群より破骨細胞が少なかったというカテリシジン効果の組織学的解析を示している。ヘマトキシリン・エオジン染色法で組織学的解析を行い、 酒石酸塩耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)を測定した。
【図19】治療群で骨吸収が低下するというカテリシジンの有効効果や、炎症の認められた治療群が炎症の認められなかった対照群より破骨細胞が少なかったというカテリシジン効果の組織学的解析を示している。ヘマトキシリン・エオジン染色法で組織学的解析を行い、 酒石酸塩耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)を測定した。
【図20】ヒト乾癬皮膚に対するヒトβデフェンシン2の7週間の効果を示しています。ドミナントネガティブ型のペプチド類似体または断片で阻害することが、本疾病の治療に応用できる方法であることを示唆している。
【図21】カテリシジン LL-37がもたらす著しいBETATC ベータ細胞株の増殖を表現するヒストグラムを示している。ネズミ科のベータ細胞株に2ミクログラムのLL-37を3.5日間投与し、 PBS 投与された対照群(赤/黒のバー)と比較した。[3(H)]-チミジン取り込み法により細胞増殖を測定し、対照群の未治療細胞の割合(%)で表わした。代表的実験を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
具体的には、本発明は自己免疫および/または、多発性硬化症、関節炎、肥満、インスリン抵抗性、骨粗鬆症、歯周炎、もしくはその他の細胞増殖/細胞分化の不均衡に関係のある疾病などの細胞増殖/細胞分化の不均衡に関連のある炎症性疾病を含む生体内作用に関係する広範囲の疾病の最適な治療法として使用してもよい。さらに具体的に言うと、関係のある抗菌ペプチド(AMP)は、カテリシジンまたはその類似体またはその断片、抗菌ペプチド(AMP)、特にカテリシジンペプチド、疾病を誘発させないで、抗菌ペプチド(AMP)と競争して同族受容体に結合するドミナントネガティブペプチドまたはカテリシジンペプチドとして機能する、その炎症促進性断片、カテリシジン類似体に分解されないように、in vivo でより安定できるよう設計されたカテリシジンペプチドの類似体、抗菌ペプチド(AMP)および/または抗菌ペプチド様分子(AML)の活性/レベルを低下または増幅させることの可能な化合物である。
本明細書で用いられる「抗菌ペプチド(AMP)」という用語は、いかなるカテリシジンも含まれ、そして/または当該分子の自然発生変異体、当該自然突然変異体/多型変異体/当該分子の対立遺伝子、または当該分子のいかなる合成変異体なども含まれる。本明細書で用いられる「抗菌ペプチド様分子(AML)」という用語は、カテリシジンの生物活性にかなり類似している生物活性を保有するいかなる分子も含まれ、カテリシジンの生物活性を大いに促進するいかなる分子を含まれ、そして/または、構造的にカテリシジンとの相同性の高いいかなる分子も含まれる。そのような場合に、定義される相同性は、0% から 60%まで、60% から 70%まで、70% から80%まで、 80% から 90%まで、90% から99%までの間で区分できる。
【0012】
本方法は、本発明の単独の調節因子を用いて達成されることができるか、あるいは多数の制御分子のいかなる組み合わせも用いて達成されることができる。
【0013】
AMP/AMLの阻害剤は、小分子、AMP/AMLの優勢阻害、または疾病を誘発させないで、抗菌ペプチド(AMP)と競争して同族受容体に結合するポリペプチドであってもよい。例えば、 AMP/AMLの阻害剤は、抗菌性が保てるように設計されたAMP/AMLのトポロジー類似体であってもよい。但し、化学的に誘因する能力は失われている可能性もある。
本明細書で用いられるドミナントネガティブ突然変異体とは、天然ペプチドの生物活性および/または薬理活性に要する活性点でアミノ酸残基位置を変更する位置で、対応する野生型天然バージョンと相対的な、配列に少なくとも1つの位置に関して変化したポリペプチドまたはコーディング領域の配列のことを言う。従って、下に挙げている、あるいはここで想定するドミナントネガティブ突然変異体もしくはカテリシジンペプチド断片は、AMPまたはカテリシジンペプチドの 少なくとも1つのアミノ酸に関して変更(置き換えもしくは/あるいは削除)を示すポリペプチド種を含むが、これらに限定されない。 さらに、本発明のドミナントネガティブ突然変異体の実施例は、ペプチドをコード化する核酸、またはペプチド自体である。また、それはAMP断片、またはカテリシジン hCAP-18 の断片から成り、(SEQ. ID. NOs:1-58)に記載されている。
【0014】
特に注目すべきことは、カテリシジン抗菌ペプチドが樹枝状細胞TLR4活性化 (J Immunol.2007 Feb 1;178(3):1829-34) を阻害することであり、その結果、カテリシジンがTLR4のβ−デフェンシン活性を抑制する役割を演ずることになる。
【0015】
調節因子の投与は、例えばアテローム性動脈硬化、変形性関節症、リウマチ性疾患などの非ステロイド抗炎症薬またはアスピリンによって通常治療される関節炎、または他の炎症円疾患などの疾患治療用にしようされる錠剤タイプで、アスピリンまたは非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と一緒に調節因子(例えば、カテリシジンまたはその類似体または断片、またはその断片の類似体)を、好ましくは経口投与することによって達成されされる。 乾癬などの皮膚疾患治療においては、好ましくは脂質又は食塩水に入った調節因子を局所適用する。又はクリームに入った調節因子を皮膚に局所使用する。嚢胞性線維症および喘息あるいは慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患治療においては、好ましくは、調節因子を溶剤で溶かしたり、吸入器を利用して投与する。好ましくは、抗菌ペプチド(AMP)および/または抗菌ペプチド様分子(AML)は陽イオンもしくは/または疎水性のペプチドである。
【0016】
膵臓ベータ細胞/細胞組織の成長を確実に調節できるので、当該成長を促したり、抑制したりする前述の方法は、特にインスリン生産細胞成長の調節不全または成長率の低下に関する様々な疾病のいずれも治療するのに適していおり、そのような訳でインスリン分泌枯渇に関連のある様々な疾病のいずれも治療用に使用することができる。当該疾病には、特に真正1型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病又は第2糖尿病、そして低悪性度の炎症性疾患などの他の代謝性疾患が含まれる。さらに、癌治療で求められるような細胞の成長調節もまた実証されている。
【0017】
適用や目的によって、複数回投与の各投与間隔は、2.4時間から3日まで、3日から6日まで、6日間から9日間まで、9日間から12日間まで、12日間から15日間まで、15日間から18日間まで、18日間から21日間まで、21日間から24日間まで、24日間から27日間まで、27日間から30日間までのさまざまな範囲から選択できる。
【0018】
経口投与の場合は、カテリシジン類似体またはペプチドは胃腸組織(GIT)に届くことができる。ヒトへの薬物伝達に使用されているポリ(L-ラクチド) (L.PLA)などの合成ポリエステルを用いたマイクロカプセル化技術およびポリ(D,L-ラクチド co‐グリコリド) (PLG)などの共重合体は、経口ワクチンおよび経口ペプチド用に検討されている(M. Manocha et al Vaccine 23 (2005) (48?49), pp.5599?5617)。PLAナノ粒子をエマルジョン蒸発法によってリン脂質でコーティングする。第2 組織は、ペプチドおよび共通の分解性かつ立体規則性PLA間の物理的相互作用に基づいている。 溶剤と調合する際には、ペプチド−PLAステレオコンプレックスの析出物を製するポリマー (D-PLA)とともに、ペプチドを安全な溶媒に溶かす。 析出物は、ナノメートル(nm)の単位の大きさで、高負荷のペプチドを含んでも構わない。ペプチドは、ペプチド鎖に沿って絡み合ったPLA鎖の加水分解によって、ステレオコンプレックスから放出される。
【0019】
本発明の医薬組成物は、当技術分野で周知のように、例えば従来の調合、分解法、整粒、糖衣錠製造、 粉末化、乳化法、カプセル化、 包括法、凍結乾燥処理を用いて製造しても良い。
【0020】
経口投与で使用できる医薬組成物には、押し込み式のゼラチン製カプセルやゼラチン製の柔らかい密封カプセル、そしてグリセロールまたはソルビトール製の可塑剤が含まれる。押し込み式のカプセルには、ラクトース(乳糖)などの増量剤、でんぷんなどの結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑剤そして任意選択で安定剤を添加して有効成分を含有してもよい。ソフトカプセルにおいては、有効成分は脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレン・グリコールなどの適した液体に溶かすか、または懸濁してもよい。尚、安定剤を加えてもよい。 経口投与用の全剤形には、適切な投与経路に適した投与量分が含有されていなければならない。 口腔投与用の組成物は、従来の方法で考案された錠剤またはトローチ剤の剤形でよい。
【0021】
本発明によれば、鼻孔吸入による投与用の有効成分は、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン)の使用と一緒に 加圧型パックまたは噴霧器からエアゾールスプレーの剤形で便利に投与できる 本明細書に記載した医薬組成物は、例えばボーラス注入または持続注入によるなど、非経口投与の剤形でもよい。注射剤用剤形は、例えばアンプルまたは任意選択で保存料が使用された多量投与用容器などで、1回投与分量分の剤形にしてもよい。医薬組成物はサスペンション、ソリューション、油性または水性エマルジョンでよい。また、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの処方剤を含有してもよい。
【0022】
非経口投与の医薬組成物には水溶性型の有効製剤の水性ソリューション(溶剤)も含まれる。 また、有効成分のサスペンションを水性懸濁注射剤として調合してもよい。適当な親油性溶媒またはビークルにはごま油などの脂肪油、またはオリエン酸エチルなどの合成脂肪酸エステル、トリグリセリドまたはリポソームなどが含まれる。水性懸濁注射剤には、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどのサスペンションの粘度を高める物質を含有してもよい。また、任意選択でサスペンションに高濃度ソリューションを生成するのに適した安定剤または有効成分の溶解度を高める薬剤を含有してもよい。クリーム状ソリューションには、脂質または有機アルコール、または例えばベンジルアルコール、エデト酸ナトリウム、水、トロメタロール、ポロキサマーなどの化学物質が含まれてもよい。 あるいは、有効成分に例えば無菌で発熱物質(ピロゲン)フリーの水性ソリューションなどの、適切なビークルを含有した粉末形態にしてもよい。
【0023】
本発明の医薬組成物はまた、例えばココアバターや他のグリセリドなどの従来の坐剤の基剤を用いて、座薬または停留かん腸などの直腸投与用組成物の剤形でもよい。
【0024】
カテリシジンまたは カテリシジンペプチドには、hCAP18プロペプチドおよび以下の様に順に挙げた これらの断片配列の断片および/または類似体 (SEQ ID NOs 1-58)が含まれる:
SEQID1:fdiscdkdnkrfallgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQID2:discdkdnkrfallg dffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes SEQID3:Iscdkdnkrfallgdffrkskekigkefkrivqrikd flrnlvprtes, SEQ ID 4:Scdkdnkrfallgdffrkskekig kefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 5:
Cdkdnkrfallgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes SEQ ID 6:Dkdnkrfallgdffrkskekig kefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 7:kdnkrfallgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes,
SEQ ID 8:dnkrfallgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 9:nkrfallgdffrk skekig kefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 10:krfallgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes,
SEQ ID 11:rfallgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 12:fallgdffrkskekig kefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 13:allgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 14:llgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 15:lgdffrkskekigkefkrivqrikdflrn
lvprtes, SEQ ID 16:gdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 17:dffrkskekigk
efkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 18:ffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 19:frkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 20:rkskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 21:kskekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 22:skekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 23:llgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprte, SEQ ID 24:llgdffrkskekigkefkri
vqrikdflrnlvprt, SEQ ID 25:llgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvpr, SEQ ID 26:llgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvp, SEQ ID 27:llgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlv, SEQ ID 28:llgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnl, SEQ ID 29:llgdffrkskekIgkefkrivqrikdflrn, SEQ ID 30:llgdffrkskekigkefkrivqrikdflr,SEQ ID 31:llgdffrkskekigkefkrivqrikdfl, SEQ ID 32:llgdffrkskekigkefkrivqrikdf, SEQ ID 33:llgdffrkskekigkefkrivqrikd,SEQ ID 34:llgdffrkskekigkefkrivqrik,SEQ ID 35:llgdffrkskekigkefkrivqri, SEQ ID 36:llgdffrkskekigkefkrivqr, SEQ ID 37:llgdffrkskekigkefkrivq, SEQ ID 38:llgdffrkskekigkefkriv, SEQ ID 39:llgdffrkskekigkefkri, SEQ ID 40:efkriv, SEQ ID 41:kefkrivq, SEQ ID 42:gkefkrivqr, SEQ ID 43:igkefkrivqri, SEQ ID 44:kigkefkrivqrik, SEQ ID 45:ekigkefkrivqrikd, SEQ ID 46:kekigkefkrivqrikdf, SEQ ID 47:skekigkefkrivqrikdfl, SEQ ID 48:skekigkefkrivqrikdflrnlvprtes, SEQ ID 48:kskekigkefkrivqrikdflr, SEQ ID 50:rkskekigkefkrivqrikdflrn, SEQ ID 51:frkskekigkefkrivqrikdflrnl, SEQ ID 52:ffrkskekigkefkrivqrikdflrnlv, SEQ ID 53:dffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvp, SEQ ID 54:gdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvpr, SEQ ID 55:lgdffrkskekigkefkrivqrikdflrnlvprt.
【0025】
本発明に従って、AMPs、それを用いた組成物、その使用方法を提供する。特定の実施形態では、抗菌ペプチドはアミノ酸配列fallgdffrksk.Xsub.1 (SEQ ID NO: 56)と少なくとも90%の相同性があり、X.sub.1は0、1、2、3、4、5、 6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のアミノ酸からなることを特徴とする。また、ペプチドのアミノ酸配列を反対の配向性に配置してもよい。他の実施形態では、抗菌ペプチドはアミノ酸配列 X.sub.1igkefkrivq.sub.2 (SEQ ID NO: 57)と少なくとも90%の相同性があり、またX.sub.1 は0、1、2、3、4、5、 6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のアミノ酸であり、X.sub.2 は 0、 1、2、3、4、5、6、7または8 のアミノ酸であることが特徴である。他の実施形態では、さらに抗菌ペプチドはアミノ酸配列 X.sub. ffrkskekigk.sub.2 (SEQ ID NO: 57)と少なくとも90%の相同性があり、X.sub.1は0、1、2、3、4、5、 6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16のアミノ酸で、X.sub.2 は 0、 1、2、3、4、5、6、7または8 のアミノ酸であることが特徴である。また、 X.sub.1 vqrikdflrn X.sub.2と少なくとも90%の相同性があり、X.sub.2 は0、1、2、3、4、5、6、7 のアミノ酸であり、 X.sub.1 は 0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 のアミノ酸であることが特徴である。また、X.sub.1 gkefkrivqrikdflrn X.sub.2 は少なくとも90%の相同性があり、X.sub.2は0、1、2、3、4, 5、6、7のアミノ酸であり、X.sub.1は0、1、2、 3、 4、5、 6、7、 8、9、10、11、12、13、 14、15、16、17、18、19のアミノ酸であることが特徴である。
【0026】
他の実施形態では、抗菌ペプチドには、以下の(Curr Issues Mol Biol.2005 Jul;7(2):179-96) に記載されているような哺乳類由来のカテリシジンペプチド内のアミノ酸とは少なくとも60%, 70%, 80% または 90%の相同性がある:
RL-37:RLGNFFRKVKEKIGGGLKKVGQKIKDFLGNLVPRTAS アカゲザル(Rhesus monkey), CAP18:GLRKRLRKFRNKIKEKLKKIGQKIQGLLPKLAPRTDY ウサギ(Rabbit)、 CRAMP:GLLRKGGEKIGEKLKKIGQKIKNFFQKLVPQPE マウス(Mouse), rCRAMP:GLVRKGGEKFGEKLRKIGQKIKEFFQKLALEIEQ ラット(rat), CAP11:(GLRKKFRKTRKRIQKLGRKIGKTGRKVWKAWREYGQIPYPCRI) Guinea,
イヌ(Canine) cath:KKIDRLKELITTGGQKIGEKIRRIGQRIKDFFKNLQPREEKS,
Bac5:RFRPPIRRPPIRPPFYPPFRPPIRPPIFPPIRPPFRPPLGPFP-NH2 ウシ(Cow),
Bac7:RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPGPRPIPRPLPFPRPGPRPIPRPLPFPRPGPRPIPRPL ウシ(Cow),BMAP-27:GRFKRFRKKFKKLFKKLSPVIPLLHL-NH2 ウシ(Cow),
BMAP-28:GGLRSLGRKILRAWKKYGPIIVPIIRI-NH2ウシ(Cow),
BMAP-34:GLFRRLRDSIRRGQQKILEKARRIGERIKDIFR-NH2 ウシ(Cow),
Indolicidin(インドリシジン):ILPWKWPWWPWRR-NH2 ウシ(Cow), ドデカペプチド(Dodecapeptide):RLCRIVVIRVCR ウシ(Cow), Water buffalo cath GLPWILLRWLFFR-NH2 Water buffalo, OADode:RYCRIIFLRVCR ヒツジ(Sheep), SMAP-29:RGLRRLGRKIAHGVKKYGPTVLRIIRIA-NH2 ヒツジ(Sheep), SMAP-34:GLFGRLRDSLQRGGQKILEKAERIWCKIKDIFR-NH2 ヒツジ(Sheep), OaBac5 RFRPPIRRPPIRPPFRPPFRPPVRPPIRPPFRPPFRPPIGPFP-NH2 ヒツジ(Sheep), OaBac6:RRLRPRHQHFPSERPWPKPLPLPLPRPGPRPWPKPLPLPL
PRPGLRPWPKPL ヒツジ(Sheep),OaBac7.5:RRLRPRRPRLPRPRPRPRPRPRSLPLPRPQP
RRIPRPILLPWRPPRPIPRPQIQPIPRWLヒツジ(Sheep),OaBac11:RRLRPRRPRL
PRPRPRPRPRPRSLPLPRPKPRPIPRPLPLPRPRPKPIPRPLPLPRPRPRRIPRPLPLPRPRPRPIPRPLPLPQPQPSPIPRPLヒツジ(Sheep), ChBac5:RFRPPIRRPPIRPPFNPPFRPP
VRPPFRPPFRPPFRPPIGPFP-NH2Goat,eCATH-1:LAKSFLRMRILLPRRKILLAS, eCATH-2:KRRHWFPLSFQEFLEQLRRFRDQLPFP ウマ(Horse), eCATH-3 KRFHSVGSLIQRHQQMIRDKSEATRHGIRIITRPKLLLAS, PR-39:RRRPRPPYLPRPRPPPFFPPRLPPRIPPGFPPRFPPRFP-NH2, ブタ(Pig), AFPPPN
VPGPRFPPPNFPGPRFPPPNFPGPRFPPPNFPGPRFPPPNFPGPPFPPPIFPGPWFPPPPPFRPPPFGPPRFP- NH2 ブタ(Pig), Prophenin-2:AFPPPNVPGPRFPPPNVPG
PRFPPPNFPGPRFPPPNFPGPRFPPPNFPGPPFPPPIFPGPWFPPPPPFRPPPFGPPRFP- NH2 ブタ(Pig), Protegrin-1:RGGRLCYCRRRFCVCVGR-NH2 Pig, RGGRLCYCRRRFCICV-NH2 ブタ(Pig), Protegrin-3:RGGGLCYCRRRFCVCVGR-NH2 ブタ(Pig) ,Protegrin-4:RGGGLCYCRRRFCVCVGR-NH2 ブタ(Pig) ,Protegrin-5:RGGRLCYCRPRFCVCVGR-NH2,ブタ(Pig),PMAP-23:RIIDLLWRVRRPQK
PKFVTVWVR ブタ(Pig), PMAP-36:GRFRRLRKKTRKRLKKIGKVLKWIPPIV
GSIPLGC-NH2ブタ(Pig), PMAP-37:GLLSRLRDFLSDRGRRLGEKIERIGQKIKDL
SEFFQS chCATH-B1:(Proc Natl Acad Sci U S A. 2007 Sep 18;104(38):15063-8) chicken,Canine cathelicidin (K9CATH):(Dev Comp Immunol.2007;31(12):1278-96),Fowlicidin-3:(FEBS J. 2007 Jan;274(2):418-28.), (J Biol Chem.2006 Feb 3;281(5):2858-67), (Immunogenetics.2004 Jun;56(3):170-7.) chicken,CMAP27:(Vet Immunol Immunopathol.2005 Jul 15;106(3-4):321-7),
Fish (cathelicidin from Atlantic cod and Atlantic salmon) Maier VH et al.Mol Immunol. 2008 Jul 7.
ペプチドのLPS (リポ多糖体)中和作用の促進や向炎症性活性の低下についても記載されている。当該ペプチド、例えば、18-mer LLKKK または GKE および P60、P60.4、 P60.4-Ac、CAP11 (11 kDaのカチオン性抗菌ポリペプチド(cationic antibacterial polypeptide) )、CAP18、GSLL-39、SMAP-29や、当該ペプチドの発見方法については、非特許文献1に記載されている
【0027】
特に、LPS (リポ多糖体)中和活性のある当該ペプチドは、代謝性疾患、肥満およびインスリン抵抗性の治療用薬剤として記載されており、下記の例4でカテリシジンとともに表示されている。
【0028】
これらの上記のペプチドの類似体、ペプチド断片およびタンパク質を利用した治療は、類似体(修飾されたカテリシジンペプチドまたは修飾ペプチド断片)を(下記のように)血中でより安定化させ、細胞外内因性プロテアーゼによってそれらの炎症促進性断片に分解されないように、下記のように修飾によって形成できる。
【0029】
修飾には、N末端修飾、C末端修飾、CH2-NH, CH2-S, CH2-S=O, O=C-NH, CH2-O, CH2-CH2, S=C-NH, CH=CH または CF=CHなどのペプチド結合修飾、背骨修飾(backbone modification)および 残基修飾が含まれるが、この限りではない。 ペプチド模倣化合物を調合する方法は当技術分野で周知であり、例えば次の文献に明記されている: Quantitative Drug Design, C.A. Ramsden Gd., Chapter 17.2, F. Choplin Pergamon Press (1992)。
【0030】
ペプチド内のペプチド結合 (-CO-NH-) は、例えばN‐メチル化結合(-N(CH3)-CO-)、エステル結合 (-C(R)H-C-O-O-C(R)-N-), ケトメチレン(ketomethylen)結合(-CO-CH2-)、α-aza 結合(-NH-N(R)-CO-)で 代用してもよい。 但し、R は 例えば、メチル基(methyl)カルバ(carba)結合(-CH2-NH-)、 ヒドロキシエチレン結合(-CH(OH)-CH2-), チオアミド(thioamide )結合 (-CS-NH-)、オレフィン二重結合(-CH=CH-), レトロ‐アミド結合(-NH-CO-), ペプチド誘導体(-N(R)-CH2-CO-)など、すべてのアルキル基(alkyl)であることを特徴とし、またR は、従来から炭素原子上にある"通常の" 側鎖であることを特徴とする。
【0031】
ペプチド鎖に沿ったどの結合であっても、また同時に複数(2−3)でも修飾を起こすことができる。
【0032】
天然香料のアミノ酸である、 Trp, Tyr およびPheは、TIC、ナフチルアラニン(Nol), Pheのring-メチル誘導体、Pheまたはo-メチル-Tyrのハロゲン化誘導体などの合成非天然型アミノ酸で代用してもよい。 上記に加えて、本発明のペプチドには、また一個以上の修飾アミノ酸または一個以上の非アミノ酸モノマー(例、脂肪酸、複合糖質など)が含まれる。用語 "アミノ酸"には、 D- アミノ酸と L-アミノ酸の両方含まれる。
さらに、本書で上述し特許請求の範囲に記載する本発明の様々な実施形態および態様の各実験による裏付けが、以下の実施例に見出される。
【0033】
以下の実例をここで参照するが、上記の本発明の説明と同様、本発明を限定しない。
次に挙げる実施例内の全動物実験は、エルサレム動物管理倫理委員会のヘブライ大学(EAEモデル、肥満モデル、インスリン抵抗性および歯周炎モデル)と米国テネシー大学(CIAモデルおよび骨粗鬆症モデルいずれかが認可したガイドラインの下で施行された。
【0034】
炎症または自己免疫に関連する関節リウマチなどのリウマチ様関節炎に対する最適処置用カテリシジン使用
本発明者らはcathelicidin(カテリシジン)を調整することで関節炎などの疾患に使用できると仮定する。本発明の実施化のために、関節リウマチ、シェーグレン症および強皮症、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、サルコイドーシスなどの炎症または自己免疫に関連するヒト疾患のコラーゲン誘導関節炎マウスモデルの最適治療として、34a.a.カテリシジン(mCRAMP) (GLLRKGGEKIGEKLKKIGQKIKNFFQKLVPQPEQを使用する方法を下記のように初めて立証しており、それによって先行技術の制限を克服した。
この生体内(in-vivo)実験は、 コラーゲン誘導関節炎マウスモデルを使用する。
【0035】
実験材料 :
抗菌ペプチド (AMPs):マウスカテリシジン mCRAMP 34a.a.用合成ペプチドを、バイオサイト株式会社(Biosight Ltd) (イスラエル)から購入した。 Chick native CII (Sigma (シグマ社)または Chondrex(コンドレックス社)から購入)、 a1(II) 鎖 または CIIの CB11断片。酢酸10 mM 、0.2-umフィルター でろ過したフロイント不完全アジュバント(FIA、例、 Difco社)。 ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis) (菌株H37Ra; 熱殺菌済み; 農漁業食糧省(Ministry of Agriculture ,Fisheries, and Food)、中央獣医学研究所 (Central Veterinary Laboratory)( 住所:英国のウェーブリッジ、サリー)に依頼し入手した)。DBA/1JLacJ マウス (ジャクソンラボ(Jackson-Labs) )
方法:本モデルのプロトコルは公表文献 Nature Protocols (ネイチャープロトコル誌)に記載している(Brand DD et al.2007;2(5):1269-75). 雄9‐11週齢DBA/マウス 9-11を一時的にこれらの施設で使用した。マウスを実験群と、対照群の2群に分け、Mycobacterium butyricum の加熱死菌4 mg/mlに補充したフロイント完全アジュバントと乳化したウシCII 100 μg含有液 50 μl を全マウスの尾底部に免疫付与した。マウスを免疫付与する間、イソフルラン吸入麻酔を行なった。免疫付与日と同じ日に、マウスはまた、対照群にビークル(150mM)または、実験群に実験用ペプチドを1.5mg/kgの濃度で投与した。免疫処置後から2日間および4日間は、1.0 mg/kgまで投与量を削減。7日目から、72日目まで0.8 mg/kgの投与量で 投与した。全治療は、月曜日、水曜日、金曜日の週3回で行われ、各治療で投与部位を交代させながら、ペプチドまたは対照群にビークル(vehicle)を腹腔内投与した。実験開始時に全マウスの体重を測定し、投与量を算出した。マウスは0、21,46日目に、体重測定を行った。46日目に体重を測定した(平均 1.6グラム増) 。体重に応じて投与量を調節した。
【0036】
開始11日目から毎週3回、全マウスの関節炎の重症度を測定し、各マウス肢の関節炎の炎症の程度を観察し、以下の基準に準じて数値スコアを割り当てた。重症度採点法は公表文献(Rosleniec E et al.Current protocols in immunology, 1997)に記載されている通り。簡潔に説明すると、 スコア0 ?紅斑および腫脹が認められない。スコア 1紅斑を伴った軽い腫脹が足根骨または足関節に認められる。スコア 2紅斑を伴った腫脹が足関節から足根骨にまで拡張。スコア 3紅斑を伴った中度の腫脹が足関節から中足関節まで拡張。スコア 4紅斑を伴った重度の腫脹が 足関節、足、指、関節強直に認められる。
本実験で、各群10匹の両群のマウス(治療群10匹、対照群11匹)を比較検討した。治療群に週3回、mCRAMP (0.8mg/Kg)を腹腔内投与し、対照群にも同様に同じ日に治療群と並行して 生理食塩水を投与した。
【0037】
実験結果および統計分析 :
統計分析の結果 :関節炎の進行において治療群と対照群の間に著しい有意差が認められた (p=0.0037)。(1日目の発症から19日目の発症まで測定された重症度スコアの平均値の差から求めたt検定で有意差がみられた)。
関節炎発生率-対照群では、自己免疫性関節炎の進行速度および発症率が、DBA/1マウスよりも高かった。対照群は44日目までに発症率が100%に達した。それに対し、治療群(ペプチド投与)の発症率は対照群より若干低く、関節炎進行速度も遅いように思われる。同様に、治療群のマウス1匹当たりの患肢数は、95%信頼区間で示すと対照群よりも有意に低かった。
関節炎の重症度−関節炎の重症度は(上記のように配点した)炎症度および患肢数に基づいて分析した。下記の図に見られるように、マウス1匹あたりの重症度スコアの平均値を分析すると、2群間に有意差が認められた。これらのデータで、関節炎発症率の差はいく分認められるが、重症度の差は、関節炎発症率以上に明確に認められる。
【0038】
期待値‐実現値を差し引いて得られた残余分配のt検定統計量で、95%信頼区間を算出した。実際のデータの線形回帰モデルを用いて期待値を算出した。
CIA(コラーゲン誘導関節炎)には通常体重減少が認められ、疾病重症度の判断因子となる。 対照群は治療群より体重が増えていなかった。ゆえに、21日目から46日目までの体重を比較し、マン・ホイットニー有意検定で、46日目の体重を21日目の体重で割って算出した2群間(対照群対治療群)の重量にわずかに有意差がみられた (P < 0.05, 両側検定).対照群の平均の(21日目から46日目まで)体重増加量は、2.1%で、治療群の方は5.4%であった。
関節炎肢の重症度および発症率の結果および統計的分析については図1〜6に示されている。
【0039】
結果および考察:上の図1〜6に記載している結果は、抗菌ペプチド、具体的には、カテリシジンを使用した疾病治療について、従来技術と比べ初めて明確に実証する。特に、上記に記載した結果は、自己免疫に関連する関節炎用マウスモデルの最適の生体内治療について、従来技術と比べ初めて明確に実証する。カテリシジンで処置した場合、コラーゲン誘導関節炎用モデルで関節炎発症率および重症度の低下が認められた。
【0040】
本実験では、カテリシジンの製脈内または皮下または腹腔内投与が、関節炎、リウマチ性疾患、そして関節炎、リウマチ様関節炎、化膿性関節炎、混合性結合組織疾患、コレステリン腫、再発性多発性軟骨炎、自己免疫性筋炎、原発性シェーグレン症候群、平滑筋自己免疫疾患、筋炎、腱炎、靭帯炎症、軟骨炎、関節の炎症、滑膜炎、手根管症候群、変形性関節症、強直性脊椎炎、骨格の炎症、自己免疫性内耳疾患、骨粗鬆症、線維筋痛症、歯周病、および内耳自己免疫疾患などの結合組織疾患/炎症性疾患の実行可能な治療方法であることを示唆している。
【0041】
実験はまた、カテリシジンの経口投与、静脈投与、または皮下投与または腹腔内投与が、全身性エリテマトーデス、全身性硬化、敗血症性ショック、毒素性ショック症候群、ライター症候群、および悪液質などの関連のある炎症性/全身性疾患の実行可能な治療方法であることを示唆している。
例 2
【0042】
多発性硬化症( Multiple sclerosis)および中枢神経系炎症疾患(CNS inflammatory disease)の治療用カテリシジン
多発性硬化症 (MS)は未知の病因である中枢神経系(CNS) の 免疫介在性脱髄疾患である。本実験でのカテリシジンの投与形態は、注射 (IP)であった。
材料および方法: C57BL/6マウスによるミエリンタンパク質 (MOG)-ペプチド誘導性EAEのプロトコル
【0043】
マウス.:C57BL/6 (B6) マウスはイスラエル、エルサレムにある Harlan(ハーラン)社 から購入した。雌、 9 週齢マウスを実験で使用した。マウスはヘブライ大学(Hebrew University)の 動物施設のSPF(特定病原体未感染)エリアで飼育され、動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee (IACUC)) から全実験の承認を得た。
【0044】
EAE誘導:エマルジョン製剤:MOGB35-55ペプチド (ペプチド配列:MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK) をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で1.25mg/mlに希釈した液を、400μgの結核菌M. tuberculosis (Mt) H37RA (Difco社)完全フロイント・アジュバント(CFA)に加えてエマルジョンを作製した。マウスの脇腹に250μg MOGB35-55ペプチド/CFAを25Gの注射針で皮下注射(免疫処置)を施行した。
【0045】
シグマ(Sigma)社から購入したPertussis Toxin(百日咳毒素)200ngを免疫付与時に、そして48時間後に静脈注射した。
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)スコア :実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を0から6までの7段階で評価した:0, 機能障害は認められない; 1,尻尾を引きずる; 2,尻尾を引きずり、後肢不全麻痺が認められる; 3,1度以上の後肢完全麻痺が認められる; 4,後肢全体および背部に完全麻痺が認められる; 5, 背部に完全麻痺および前肢不全麻痺が認められる; 6, 死亡.
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)治療 :イスラエル、カルミエルにあるバイオサイト社(Biosight Ltd)から購入した配列:GLLRKGGEKIGEKLKKIGQKIKNFFQKLVPQPEQのカテリシジンペプチドのPBS希釈液を治療群に、PBSを対照群に、それぞれマウスに投与した。カテリシジンを無菌PBSで希釈し、一回の使用分を解凍して使用できるように分けて−20℃で保存した。 マウスにMOG/CFA の免疫付与日から48日間、週3回(日曜−火曜−木曜)で約200ul(体重によって調節)の投与量で腹腔内投与した。 60日間のEAEの臨床スコアを算出した。
結果:結果は図 7、 8、 9に表示している。
図8のグラフのように、50日目までの臨床スコアを示すグラフが表示されている。
【0046】
結論:カテリシジンペプチドの治療により、EAE重症度を低下させ、対照群の被験マウスで認められたEAEの重篤な末期症状にならないように治療群のマウスを保護している。ペプチドの投与量が少ないグループ(0.2mg/Kg)の方が、投与量の多い グループ(2mg/Kg)より防御力が高かった。
したがって、カテリシジンまたはその類似体またはその断片は、神経系、中枢神経系炎症疾患の治療用薬剤として使用できる。
【0047】
その疾患には下記の疾患が含まれる:神経変性疾患、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、重症筋無力症、運動神経障害、ギラン・バレー症候群、自己免疫性神経障害、Lambert-Eaton 筋無力症候群、筋無力症候群、神経学的腫瘍随伴症、進行性小脳萎縮症、ラスムッセン脳炎、筋萎縮性側索硬化症、シデナム舞踏病、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群、自己免疫性多腺性内分泌不全症、自己免疫性末梢神経障害、 先天性多発性関節拘縮症、視神経炎、海綿状脳症、片頭痛、頭痛、群発頭痛、およびスティフマン症候群などの神経系/炎症性疾患。 .
例 3
【0048】
LL-37に対する完全ヒト化抗体の開発:カテリシジンLL-37への完全ヒト化抗体である単一鎖可変フラグメント抗体(scFv)は、米国特許 6,610,472に記述されているように酵母2ハイブリッド法の技術で開発された。簡潔に説明すると、発現ベクターライブラリーは酵母細胞内で相同的組み換えによって生成された;標的分子LL-37の高親和性のコード化プロテイン複合体を、 in vivo または in vitroでのハイスループット・スクリーニングで選択した。ヒト化抗体がLL-37の殺菌作用を阻止する能力を測定し、in-vivo で のLL-37 に対する抑制能を試験した。
【0049】
図10では LL-37ペプチドLL-37に結合して発現した4つの異なるscFv のウェスタンブロット分析を表示している。 図11では、細菌致死アッセイにおいてscFvのLL-37に対する阻害効果を示している。細菌の50%を死滅させることができるLL37の濃度を調べる( "IC50"と呼ぶ)。基本的に活性プロトコルではLL37の抗菌活性を阻止する抗体能力について追跡調査する。使用された細菌は創傷から分離されるシュードモナス菌である。成長培地はLB培地である。 LL-37は100μl//mlの濃度で付け加えた (最終量または反応は50 μl/である)。1または5μリットルの抗体での遮断抗体(= 1:50 または 1:10にそれぞれ希釈する)。
【0050】
低抗体価には非特異的影響がみられる。100mMのイミダゾールを含む溶出液の2フラクションを用いた。
抗体および LL-37の 混合物 は30分間常温で培養した。
細菌を加えた (40マイクロリットルの容量 )。 混合物 は3時間37℃で振動を与えながら培養した。長時間で細菌を培養するには使用した容量が少なかったので、その時点でLB培地を加え、その混合物をさらに2−3時間培養した。細菌濃度は光学濃度 (OD) 測定で、推定490であった。
【0051】
例 4
治療で用いるカテリシジン−高血糖または低血糖、低血圧または高血圧などの関連疾病、腺/炎症性疾患、肥満、アテローム性動脈硬化、そして歯周炎および糖尿病による創傷治癒不良などの糖尿病関連の疾病
背景: 本実験では、カテリシジンを用いてインスリン抵抗性や血糖値を阻止できることを立証し、糖尿病や糖尿病関連の疾病用新薬であることを示している。
【0052】
使用されたin-vivo マウスモデルについては以下の文献に記載されている。 “ LPS-induced biomarkers in mice: A potential model for identifying insulin sensitizers”‐ Biochemical and Biophysical Research Communications 361 (2007) 140?145。
Lipopolysaccharide (LPS)-mediated inflammatory response may modulate pathways implicated in insulin resistance (J Clin Endocrinol Metab 85: 3770?3778, 2000)。
【0053】
材料および方法:各群6匹のマウスを2群使用した。ある群には、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)をもう片方の群にはmCRAMPカテリシジン をそれぞれ(0.4mg/Kg)ずつ、週3回(日曜−火曜−木曜)投与した。両群に50%キロカロリーの高脂肪飼料 (リサーチ・ダイエット社(Research Diets Inc.)ニューブランズウィック、米国) を4週間与え、被験マウスがインスリン抵抗性になりやすい通常の状況を確保した。4週間目の終わりに、マウス尾から採血した血液で、血糖値測定器を利用して血糖値を測定した。 LPS0.2 mg/kgをC57BL/6マウスに投与した。LPS投与後約2時間後に採血を施した(T = 0)。 グルコース取り込み調整を施しながら、インスリン依存性(またはインスリン非依存性)のインスリン感受性を測定し、グルコースの増減を曲線で示した。勾配の度合いで、グルコースの経時的な低下率が分かる。mCRAMP配列: GLLRKGGEKIGEKLKKIGQKIKNFFQKL
VPQPEQ.統計を出す際に、各マウスの2時間経過後の割合を得るため、投与時(t=0)各被験体の 2時間後( T= 2hrs.)のグルコース値を T=0の値で割り、統計を算出した。全割合の平均値を算出し、スチューデントのt検定を行った。
【0054】
結果:グルコース値の変化率に顕著な有意差がみられた(スチューデントt検定< 0.05)。対照群にLPS投与して2時間経過後の平均グルコース値は、5.31% 上昇しているのに対し、カテリシジン投与群の平均値は、2時間前に測定した最初のグルコース値より90.05% まで低下している。
治療群はインスリン感受性が低下しないように保護されており、対照群と比べ2時間でグルコース値が下がっている。 対照群の方は、高脂肪飼料を摂取しているので、グルコース値は高いままで、インスリン抵抗性を示している。高脂肪飼料を4週間摂取すると対照群のように通常発現するインスリン抵抗性が、理療群の方では、発現しないように保護されている。
そのデータをグラフに示したものが 図12にある。
【0055】
結論:本実験では、カテリシジン、その類似体またはその断片の静脈投与、または皮下投与または腹腔内投与で、インスリン抵抗性や高血糖を抑え、LPS 誘導性血中グルコース調節不全を阻害することを示しており、以下の疾患のような代謝性疾患または腺/炎症性疾患などの疾患治療用として利用できることを立証した:1型糖尿病、2型糖尿病、B型インシュリン抵抗性、シュミット症候群、クッシング症候群、甲状腺機能高進症、良性前立腺過形成、膵疾患、橋本甲状腺炎、突発性副腎萎縮、グレーブズ病、アンドロゲン性脱毛症、甲状腺疾患、甲状腺炎、自然発症自己免疫性甲状腺炎、特発性粘液水腫、卵巣自己免疫損傷、抗精子抗体による不妊症、自己免疫性前立腺炎,アジソン病、多腺性自己免疫症候群1型、2型真性糖尿病、肥満、高血糖症または低血糖症、皮膚潰瘍形成などの糖尿病合併症、そして増殖性網膜症などの糖尿病関連の眼疾患。
【0056】
例 5
肥満、太りすぎおよび歯周炎などの関連疾患および糖尿病関連諸疾患の治療でのカテリシジン効能
背景:慢性的な高脂肪食はインスリン抵抗性、肥満および代謝性疾患の発症を促進する。糖尿病および肥満はインスリン抵抗性や軽度の炎症を特徴とする代謝性疾患である。 本実験では、カテリシジンまたはカテリシジン断片または類似体を用いて肥満を阻止できることを立証し、肥満および肥満関連緒疾病の疾病用新薬であることを示している。使用されたin-vivo マウスモデルについては (Diabetes 56:1761?1772, 2007) に記載されている。
【0057】
材料および方法:2つの実験が行われ、1つの実験では通常の飼料、もう一つは高脂肪飼料で実験を行った。
最初の実験:マウスは、一時的に21日間通常の非高脂肪飼料を与えられ、マウスの体重の平均値 を測定した。10週齢のDBA/1マウスの2群(治療群と対照群)で各群10匹ずつ。実験開始日に、対照群にはビークル(150mM 生理食塩水)を投与し、実験群にはカテリシジンmCRAMPペプチドを1.5mg/kgの濃度で投与した。を(実験群に)1.5mg/kgの濃度で投与。その後2日間および4日間、1.0 mg/kgまで投与量を削減。7日目から、21日目まで0.8 mg/kgの投与量で 投与した。全治療は、月曜日、水曜日、金曜日の週3回で行われ、各治療で投与部位を交代させながら、ペプチドまたは対照群にビークル(vehicle)を腹腔内投与した。
【0058】
2番目の実験:C57BL/6 マウスに一時的に6週間 60%%キロカロリーの高脂肪飼料 (リサーチ・ダイエット社(Research Diets Inc.)ニューブランズウィック、米国) を与え、実験的に肥満を誘発した。実験では、各群6匹のマウスを2群使用した: 1群: 2群(PBS):mCRAMP カテリシジン 0.2mg/Kgを3週間、それから0.4mg/Kgを次の3週間。対照群にはPBSを、治療群にはペプチド(一投与につき200 ml)をそれぞれ毎週日曜、火曜、木曜に腹腔内投与した。被験マウスの体重をベースライン時および治療日の週3回、測定した。
【0059】
結果:非高脂肪飼料を使用した最初の実験で、また図13で示しているように、 対照群は1日平均0.0536グラム増加したのに対し、治療群(カテリシジン mCRAMP 0.8 ug/ml) は1日であった。
【0060】
2番目の実験:高脂肪飼料を与えながら、測定ごと(週3回)に測定した対照群の平均体重を治療群のそれと割って算出したものである。図14に見られるように、ある傾向がグラフに描写されている。この傾向は直線回帰および残差分析の統計的検定を用いて解析すると、顕著な結果が得られるものである。50日目まで治療を継続し、両群の50日目の体重を比較すると、スチューデントt−t検定で、両群間に統計的有意差が認められた (<0.05) 。従って、通常の内因性レベルでのカテリシジンの長期使用は肥満マウスの体重を有意に落とすことになるであろう。
【0061】
結論:本実験では、カテリシジンの静脈投与、または皮下投与または腹腔内投与が、肥満治療に応用できる方法であることを示唆している60%Kcalの飼料および、週3回0.4mg/Kgの投与量で、肥満マウスの体重を著しく減らし、肥満を防止した。
例 6
【0062】
骨粗鬆症、強直性脊椎炎、変形性関節炎および歯周炎の治療用として、骨浸食または再吸収を阻止するカテリシジンの使用
背景:骨吸収、骨分解または骨形成に対するカテリシジンの効果について、またコラーゲン誘導関節炎のマウスモデルで対照群の患肢とカテリシジン治療を受けた患肢を比較し、骨分解、炎症または骨吸収の状態すべてに違いがみられるかどうか、また歯周炎におけるLPS誘導骨粗鬆症のカテリシジン治療群対対照群の比較についても検討してきた (J Clin Periodontol 2004; 31:596?603)。また、両群の炎症のみられない関節および骨を検査し、比較検討した。
カテリシジンを治療群に腹腔内投与し、対照群と比較検討した。マウス肢の足関節から採取した骨組織サンプルを分析し、ヘマトキシリン・エオジン染色法(H&E)免疫組織化学的染色およびTRAP 染色技術(酸性ホスファターゼ、白血球 製品番号, 387 A シグマアルドリッチ社製 )を用いて破骨細胞数を数えた。
8つの群の炎症状態を比較検討した: 2つの群:対照群と治療群の肢に炎症が誘発されたが炎症度は同じであった。 さらに2つの群:対照群と治療群の肢に炎症が認められなかった。 さらに2つの群:対照群と治療群の肢に炎症が誘発されたが炎症度は違っていた。
さらに2つの群:対照群と治療群の肢にLPSを投与して炎症を誘発し、下顎骨の骨形態に差異が生じることが分かった。この方法を利用することにより、破骨細胞そして免疫細胞または炎症細胞の活性を検査することで骨分解、炎症または骨吸収を検討することが可能となった。
【0063】
材料および方法:コラーゲン誘導関節炎 (CIA) の肢の実験が検討された。本試験で利用可能な20匹のマウスの80肢のうち、50肢のみが炎症/関節炎重症度スコアに従って検討された。 CIA誘導のポロトコルが上記の実験1で報告されている。
【0064】
組織:関節の組織スライドでTRAP+ 細胞を検出するため、切断した肢を数週間1%のパラホルムアルデヒドで固定し、PBSで洗浄した。エチレンジアミン四酢酸をPBSで希釈した液 0.5 Mでの培養で組織を除去した。パラフィン包埋組織を 6 μmの切片を作った。 再水和処理を施したパラフィン切片をヘマトキシリンおよびエロシンで染色するか、もしくはpH 5.5のアセテート緩衝液100mM内に 12.5 mM 酒石酸ナトリウム溶液を入れ、2.5時間、37℃でプレインキュベートした。
【0065】
さらに、切片を酸性ホスファターゼで1時間37℃でインキュベートした(0.05% ナフトールAS-BI リン酸塩 50 mM 酒石酸ナトリウム、0.16%p-ローズアニリン、 0.16% 亜硝酸ナトリウム(NaNO2)、25% ミカエリスの 0.14 M アセテート/バルビタール緩衝液, pH 5.0、蒸留水で)。 切片を蒸留水で洗浄し、0.2%酢酸と混ぜた0.15% ライトグリーンSF 黄口(Lightgreen SF Yellowish)で対比染色し、1%酢酸に入れて10分間インキュベートし、37%で乾燥させた。赤染色した細胞は、破骨細胞としてみなされるTRAPおよび TRAP陽性多核細胞(3個以上の核)を含んでいるとされる。
【0066】
等しい時間の長さで同じ関節炎重症度のあるマウス肢をカテリシジン治療を施した治療群と対照群の骨吸収および骨分解を検査し、比較検討した。このタイプの比較検討は、骨芽細胞や破骨細胞の分化状態を主な決定要因として捉え、骨分解または関節強直からの炎症は排除する。関節炎の骨分解を誘導するために使用した材料および方法については、上記の例1のマウスモデルに記述している。重症度指数がグレード3の関節炎肢を同じ実験手法から採取し、固定できる場所に置き、組織を測定した。
【0067】
実験結果:歯周炎、変形性関節炎などの破骨細胞および炎症性骨分解を検査するため、H&Eおよび TRAPで染色した。 等しい時間の長さで、同じ重症度のあるいくつかのマウス肢の組織を調べた ( 図 15のテーブルを参照)。さらに、対照群と治療群において炎症のない肢に関しても検討した(Fig 15)。異なる重症度数および同じ期間の他のマウス肢も検討した。図において、 LF =左前肢, RF =右前肢, LH = 左後ろ肢, そして RH = 右後ろ肢。
【0068】
治療群と対照群との間にみられる骨浸食や骨吸収の明確な有意差は、治療群において骨分解および骨吸収があまり認められないことにある。骨分解および骨変形は主に対照群で認められた。同様に、重症度および時間の長さが同じマウスを選択し、2群に分け検査すると骨吸収/浸食で同様の明確な差が認められた。
【0069】
図16 は、マウス 3 (右前肢)間の組織スライドの例であり、図17は マウス 3肢 (右前肢)のH&E染色を示している。 図18は上記の炎症マウス3より多く破骨細胞がみられる肢に炎症兆候が認められない対照群のTRAP染色を示している。
【0070】
図19は、対照群マウス17の 炎症肢のTRAP染色を示している-右前肢は破骨細胞の著しい増加がみられることを示している。
両群のマウスが同じ炎症度である場合でも、対照群マウスの方が活発な破骨細胞の数がより多く、また骨吸収および骨分解が顕著に認められる。
結果および考察: カテリシジンは、骨粗鬆症、強直性脊椎炎、変形性関節炎および歯周炎の例でみられるように、骨浸食または再吸収を阻止し、これらの疾病の治療薬として使用できる。
【0071】
本実験でのカテリシジンの投与形態は、腹腔内投与(IP)であった。従って、カテリシジンの投与形態は、経口投与で胃腸管経由でキャリアを介して血流に運搬する、または注射あるは皮下注射で行うことも可能である。
本データは、カテリシジンが以下の治療で使用できる適正な薬剤候補として、納得できるように示している:骨粗鬆症、強直性脊椎炎、変形性関節炎、歯周炎、骨髄炎、骨肉腫、骨形成不全症、バジェット病、骨軟骨種、骨軟化症、骨髄炎、大理石骨病、腎性骨ジストロフィー、単房性骨棘、骨腫瘍、頭蓋骨癒合症、内軟骨腫、線維性骨異形成、骨巨細胞腫、感染性関節炎、骨髄炎、クリぺル−ファイル症候群、脚長不等、離断性骨軟骨症、歯周炎による骨量の低下。
例 7
【0072】
炎症または自己免疫又は皮膚細胞/組織の増殖/分化の不均衡および創傷治癒に関連する乾癬などの疾病に対する最適処置用カテリシジン類似体および断片使用
背景:炎症、自己免疫および/または皮膚細胞/組織の増殖/分化の不均衡に関連する疾病には、乾癬やふけなどの疾病多くの疾病が含まれるが、当疾病に対する最適治療は、今のところ存在しない。乾癬皮膚での血管形成および 上皮形成は LL-37などの AMPsで増強される。 (Koczulla, R. et al., 2003. J.Clin.Invest 111:1665-1672; Heilborn, JD. et al., 2003. J Invest Dermatol 120:379-389).当該疾病の最適な治療法は皮膚細胞/組織の増殖/分化の異常調節に関わる因子を特定し、当該疾病を治療するのに当該因子の活性を阻止することのできる化合物を使用することである。
【0073】
ヒト組織カリクレイン( kallikreins)は15トリプシン様またはキモトリプシン様または分泌型セリン・プロテアーゼ(KLK1?KLK15)と同族である。落屑に関係のある対象となるプロテアーゼとして多くのKLKsを、正常な角質層や汗の中から多く同定した。乾癬患者の角質層および血清のヒト組織カリクレイン値に異常が認められた (British Journal of Dermatology 2007 156, pp875?883)。これらのカリクレインはカテリシジンLL-37の その先駆体hCAP-18からの成熟過程に関与しているプロテアーゼである。 多くのプロテアーゼ間の不均衡により、カテリシジンを炎症促進性断片または抗炎症性断片に切断されるかどうかを決定する可能性もある。 WO 2004-056307で、本発明者が証明したように、カテリシジンは、in-vivoでの免疫調節因子であり、乾癬や皮膚の炎症に主要な役割を担っている。.その活性を阻止したりまたは調整したりすることは、疾病治療にとって 極めて重要な働きである。皮膚炎症におけるカテリシジン阻害に関しては、乾癬 (Nature 2007 Oct 4;449(7162):564-9) および酒さなどのその他の皮膚炎症 (Nat Med. 2007 Aug;13(8):975-80)で証明されている。本発明の実施化のために、乾癬などの炎症、自己免疫および/または皮膚細胞/組織の増殖/分化の不均衡に関連する疾病のヒトへの最適治療として、ドミナント・ネガティブカテリシジンペプチドまたは断片を使用する方法を下記のように初めて立証しており、それによって先行技術の制限を克服した。
【0074】
材料および方法ー 用いられた抗菌ペプチドはカテリシジンの断片SK29:SKEKIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTES、 または GLLRKGGEKIGEKLKKIGQKIKNFFQKLVPQPEQ マウスカテリシジン、 ??LLGDFFRKSKEKIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTES の類似体No.?61302? LL-37ヒト抗菌ペプチド、アナスペック社 米国、ヒトβ−デフェンシン2 シグマ アルドリッチ 社から購入。
【0075】
ヒトin-vivo 乾癬病巣治療:カテリシジン10ug/mlまたはヒトβ−デフェンシン2を0.1% BSAまたは緩衝液を加えているPBSで希釈し、盲検法にてヒト被験者の病斑に塗布した。
【0076】
実験結果:7週間の治療過程で行われたヒトβ−デフェンシン2 では、図20で例示している通り、塗布した乾癬病斑部は悪化がみられた。それに対し、カテリシジン LL-37 および SK29の方は、5日間の治療過程でわずかな軽快がみられた。
【0077】
結果および考察:近年、酒さに関する研究成果が公表され、酒さの疾患憎悪に関与している内因性プロアテーゼによって、カテリシジンのプロセシング異常がみられた (Nat Med. 2007 Aug;13(8):975-80)。 恐らく、同様のメカニズムは乾癬などの他の疾病にも有効になる。このケースでは、疾病を憎悪させることなくLL-37 断片と競合するドミナントネガティブペプチドの阻害剤により、疾病の治療に応用できる可能性が広がる。 発明者らの WO 2004-056307 における先の出願によって立証されたように、また公表文献 (Nature 2007 Oct 4;449(7162):564-9) で証明されたように、ある抗体によってLL-37を抑制したり、LL-37を利用したりすることは、同様に効果が期待できるということに間違いない。 異常な内因性プロテアーゼ作用によって形成されたLL‐37の断片をLL‐37自身が抑制することもあるだろう。
【0078】
例 8
糖尿病治療用カテリシジン断片またはその類似体の使用
ベータ細胞( Beta-Cells)のインビトロ研究(in-vitro studies)
背景:No optimal therapy exists for treatment of type 1 diabetes.1型糖尿病の治療で最適治療法がない。当該疾病の最適な治療法は、ベータ細胞の成長を促進すことに関与している因子を同定することである。本発明の実施化に向けて、1型糖尿病の最適な治療を実現するため、抗菌ペプチド(AMP)の重要な役割を特定し、またベータ細胞の増殖成長を促すカテリシジンの能力を立証しており、それによって先行技術の制限を克服した。
材料および方法: 抗菌ペプチドヒトカテリシジン LL-37:LLGDFFRKSKEKIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTESを米国 アナスペック社( AnaSpec)から購入した。, USA (カタログ番号:61302)。カテリシジン(2ug/ml) 培養し、対照群と比較検討した。
【0079】
チミジン取り込み法での細胞増殖アッセイ:[3(H)]-チミジンのDNAへの取り込み量を指標として、細胞増殖量を測定した。Cells were pulsed with [3(H)]-thymidine 細胞をセ氏37℃で1時間 [3(H)]-チミジンでパルスされた (1 μcrie/mL, ICN, アーバイン, カリフォルニア州)。インキュベーション後、細胞をPBSで3時間洗浄し、5%のトリクロロ酢酸を加えて常温で15分間インキュベートし、1%トリトン(triton) X-100で可溶化した。細胞への放射能の取り込みをTricarb 液体シンチレーションカウンターの[3(H)]ウィンドウで数えた。各実験の実験条件のもとで3部の試料を測定して平均値を求めた。チミジン取り込み は、 タンパク質1mgごとの壊変毎分で測定した。
【0080】
実験結果:抗菌ペプチドはベータ(β)細胞の増殖を促進する:抗菌ペプチドがベータ細胞の成長を促す効能を調査するため、マウスBETATCベータ細胞株をカテリシジンで慢性的に治療し、その増殖を観察した。本細胞。図21にみられるように、カテリシジンに暴露された上皮細胞すべてに、細胞増殖の促進が若干みられた。細胞の過剰増殖に関して、抗菌ペプチド(AMP)が糖尿病の発症、特に1型糖尿病の発症に関与していることを、本データが明確に証明している。
【0081】
結論:上記の結果は、カテリシジンまたはその断片、またはその類似体などの抗菌ペプチドがベータ細胞 増殖を促すことに関与しており、従ってインスリン分泌ベータ細胞数を増殖することで糖尿病の治療に役立つということを明確に証明している。
【0082】
例 9
走化性アッセイ法.
走化性アッセイ法. 0.5% のBSA (シグマアルドリッチ社) 含有の RPMI培地(ベイト ヘメク(Beit Haemek)社)にある細胞(例.好中球、単球、T細胞、HEK293;1.0-3.0 x 106 cells/mlの濃度で25μリットル)を5μ細孔径(ニューロプローブ)で96-well ChemoTxディスポーザブル走化性測定装置の上に置く。0.5%のBSAを加えたまたは加えていない RPMI培地にある試薬の10倍段階希釈液をチャンバーの底に流し込む。 37℃の5%の二酸化炭素の空気中で、60‐600分の間インキュベートし、走化性物質の各濃度で、倒立顕微鏡を利用して 遊走した細胞数を数えた。
【0083】
細胞(1×107/mL)を、Buffer(緩衝)液で(以下の物質含有:0.25% のBSA、145 mM の塩化ナトリウム(NaCl)、 5 mM の塩化カリウム(KCl)、 10 mM のナトリウム/MOPS(緩衝剤)、 1 mM の塩化カルシウム(CaCl2)、 1 mM の塩化マグネシウム(MgCl2)、 10 mM のグルコース, 10 mM のHEPES(緩衝液) (すべて、シグマアルドリッチ社製), pH 7.4, )懸濁し、常温で40分間2 ミクロモルの Fura-2-AMで (モレキュラー・プローブ(Molecular Probes)社製, ユージーン, オレゴン州)インキュベートした。細胞を0.25% BSA含有バッファー液で一度洗浄し、常温で保管した。使用する前に、細胞(4×105)のアリコートを洗浄し、かくはん用キュベットに入れ、0.05%の BSA含有バッファー液2 ml で温度を37℃に保ち再けん濁した。細胞内のカルシウムイオン(Ca2+)濃度の測定および走行性アッセイを上記の通り行った (Maghazachi, AA. et al., 1997. FASEB J. 11:765-774)。 明確化のために、別々の実施形態を背景において記述された本発明の一定の特徴を、また一実施形態に組み合わせて提供してもよい。反対に、簡潔化のために一実施形態を背景に置いて発明の様々な特徴を 明確化のために、別々の実施形態を背景において記述された本発明の一定の特徴を、別々にまたはサブコンビネーションで提供してもよい。
本発明は、その特定の実施形態に併せて説明されてきたが、多くの変更、修正および変形例が当業者に明らかになるであろうことは明白である従って、本願は、添付の特許請求の精神および広い範囲に制限されている本発明の任意の変更、修正および変形例を包含するものと意図されている。本明細書中で言及するすべての刊行物、特許出願、そしてアクセッション番号によって識別される配列は、各個々の刊行物、特許出願またはアクセッション番号によって識別される配列が、具体的に、個別に参照により本明細書に組み込まれるべく指示されている場合と同じレベルで、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本願書中の文献の引用また識別情報を、本発明に対して先行技術として利用可能であることの承認として解釈してはならない。
【0084】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患治療用薬剤の調合において、哺乳類のカテリシジンまたはその有効な断片またはカテリシジンまたは、その断片の有効な修飾されたフォームを使用する方法。
【請求項2】
前記病状が、自己免疫性炎症性疾患、代謝性および炎症性疾患、炎症性皮膚疾患、軽度の炎症性疾患、胃腸炎、骨の炎症、呼吸器の炎症からなる群から選択される炎症に関係する疾病である請求項1に記載の使用法。
【請求項3】
前記病状が、間節炎、多発性硬化症、乾癬、肥満、過剰体重、インスリン抵抗性、骨粗鬆症、糖尿病および炎症性大腸炎以下の疾病からなる群から選択される疾病であることを特徴とする請求項1に記載の使用法
【請求項4】
病状が、クローン病または潰瘍性大腸炎である請求項1に記載の使用法:
【請求項5】
病状が、骨粗鬆症である請求項1に記載の使用法:
【請求項6】
病状が、骨粗鬆症である請求項1に記載の使用法:
【請求項7】
病状が、インスリン抵抗性である請求項1に記載の使用法:
【請求項8】
病状が、乾癬である請求項1に記載の使用法:
【請求項9】
病状が、慢性の閉塞性肺疾患(COPD)である請求項1に記載の使用法:
【請求項10】
前述の化合物がLL-37 ペプチドおよび配列番号2に示すペプチドからなる群から選択される先行請求項のいずれか1項に記載の使用法
【請求項11】
前記化合物が、N末端修飾、C末端修飾、ペプチド結合修飾、背骨修
飾そして残基修飾からなる群から選択される少なくとも1個の修飾を含むカテリシジンまたはその有効な断片の有効な修飾されたフォームである請求項1から10までのいずれか一項に記載の使用法。
【請求項12】
前述の化合物がLL-37 ペプチドおよび番号2に示すペプチドからなる群から選択される請求項11に記載ざれる使用法.
【請求項13】
前述の化合物が少なくとも非天然アミノ酸を包含する請求項1から10までのいずれかに記載の使用法。
【請求項14】
哺乳類のカテリシジンまたはその有効な断片、またはカテリシジンまたはその断片の有効な修飾されたフォームそして 薬学的に受容可能な賦形剤またはキャリアである有効成分として含まれている医薬組成物。
【請求項15】
組成物が、吸入可能な医薬組成物である請求項14に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2010−533705(P2010−533705A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516648(P2010−516648)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000977
【国際公開番号】WO2009/010968
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(505227869)
【Fターム(参考)】