説明

抗菌性カチオン性ペプチドおよびそれらの処方物

【課題】抗菌性カチオン性ペプチドの治療的処方物の特徴付けおよび使用のための組成物および方法の提供。
【解決手段】この抗菌性カチオン性ペプチド処方物は、例えば、微生物の引き起こす感染の処置において用いられ得、ここで感染は、全身的(例えば、敗血症)、または局所的(例えば、挫創または移植したもしくは留置した医療用デバイス)であり得る。本発明は、抗菌性カチオン性ペプチド、特に、インドリシジンペプチドおよびそのアナログまたは誘導体、ならびに多様な治療セッティング(例えば、外来性の物体に関連する感染性疾患、原発感染部位または第一の疾患状態から発生する二次感染の処置または予防のような)において使用するためのこのようなペプチドの処方物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、感染性疾患の処置に関し、そしてより詳細には、治療用途のために
処方された抗菌性カチオン性ペプチドを含む組成物に関する。
【0002】
(関連分野の説明)
今世紀の間、現代社会は、例えば、ワクチンの使用、薬物(例えば、抗生物質)の使用
および厳しい公衆衛生測定の使用によって感染性疾患の制御に成功してきた。これらの利
点は、感染性疾患の原因となる因子(これらの因子は、細菌、真菌、原生生物、およびウ
イルスを含む)を首尾よく同定することによって対応されてきた。従って、健康な宿主の
免疫応答は別として、抗生物質治療レジメンは、現在、開発国において、最も感染性の疾
患を処置するための主要な処置単位を示す。対照的に、感染性疾患は、適切な公衆衛生の
欠如および結果として生じる乏しい衛生、ならびに免疫無防備状態の個体に起因して、開
発国にとって重大な懸念のままである。しかし、抗生物質の使用が広がったことに起因し
て、1つ以上の抗生物質に対する薬物耐性が、以前処置可能であった多くの感染性疾患(
例えば、Staphylococcal感染)を制御することについて、世界中でますま
す共通な問題になってきている。従って、薬物耐性微生物が原因の感染は難治性性質なの
で、院内感染(すなわち、病院内で発生する感染)および医療装置への内在に関連する感
染の処置は、より困難になっており、これは、重大な世界中の臨床的懸念である。
【背景技術】
【0003】
種々の生理学的機能の実行を補助するための多様な人工デバイスは、カテーテルのよう
に人体に短期間、挿入されるように開発されるか、または人工の心臓弁ように、永久的に
挿入されるように開発されている;しかし、このデバイスと身体との間の接合点は、感染
の傾向を増大させる新規の生物学的状態を作り出す。例えば、カテーテルに関連する感染
は、混入物の複数の潜在的な供給源を有し得る。これらの混入物としては、直接注射され
る注入物(infusate)中の混入物、投与セットがカテーテルに接続するカテーテ
ルハブの混入物、カテーテルにコロニーを作る遠く離れた局所的感染供給源から血液によ
って運ばれた混入物、またはカテーテルが挿入される時点もしくは挿入の数日後に、経皮
的な外管腔的路(percutaneous tract extralumenall
y)に浸潤する皮膚起源の混入物が挙げられる。利用可能な証拠は、カテーテルに関連す
る菌血症の大部分が、挿入部位の皮膚性微生物叢に由来することを示している。血管内デ
バイス関連感染の病因における皮膚性微生物の重要性についての証拠と考えると、感染部
位にコロニー形成を減少させるための手段は、保健医療産業において非常に重要である。
【0004】
別の重要な臨床的指標は、院内感染であり、特に、院内感染肺炎および院内感染静脈洞
炎である。混入した分泌物は、気管気管支樹に毎日、吸入され得、これは、肺炎を引き起
こし得る。さらに、院内感染肺炎の危険性は、気管開口術が実行された後、そして気管内
挿管の間に増大される。静脈洞炎は、おそらく、遠位気道への混入された洞性流体(si
novial fluid)の吸入に起因して、院内感染肺炎の増大した危険性に関連す
ることが見出されている。静脈洞炎は、代表的に、機械的人工呼吸患者を設定する病院に
おいて発生する。挿管患者の静脈洞炎に対して推奨される処置としては、管の除去または
全身的な抗生物質が挙げられる。しかし、再度、抗生物質耐性生物が増加すると、(予防
的であるか治療的である)後期処置はあまり効果的ではなくなる。
【0005】
なお別の臨床的指標は、生命を危うくするものではないが、青年期および早期成年期に
最も一般的な皮膚疾患、尋常性挫瘡(すなわち一般的に挫瘡と称される)である。心理学
的な効果(例えば、不安、うつ状態および社会からの離脱(withdrawal))に
加えて、研究はまた、尋常性挫瘡が患者の生活の質に直接的かつ重大に影響し得ることを
示す。抗生物質剤は、数十年にわたって挫瘡の処置のために広く使用されてきた;しかし
、挫瘡を処置するための抗生物質の使用に、薬物耐性微生物が必然的に出現するという懸
念が増大してきた。
【0006】
薬物耐性微生物が増大するというこれまでの問題を説明するために、研究により、抗菌
性ペプチドのような抗生物質の新規の種類を調べた。抗菌性ペプチドは、進化的に多様な
種(例えば、原核生物、植物、昆虫、および哺乳動物を含む)において見出されている。
抗菌性ペプチドは、アニオン性であり得るが、最も公知の抗菌性ペプチドはカチオン性で
ある。抗菌性カチオン性ペプチドの複数のファミリーは公知であり、これらのペプチドは
、広範な構造的モチーフを有し、さらにこれらのカチオン性ペプチドは、類似の物理化学
的特性を有する。例えば、最も公知な抗菌性カチオン性ペプチドは、中性のpHでカチオ
ン性であり、一般的に10kDa未満であり、そして疎水性側鎖が領域化されるような溶
液において両親媒性「側(sided)」である。多くの抗菌性カチオン性ペプチドが公
知であり、これらとしては、例えば、デフェンシン、セクロピン(cecropin)、
メリチン、マゲイニン、インドリシジン(indolicidin)およびプロテグリン
(protegrin)が挙げられる。カチオン性ペプチドの利点は、標的細胞を迅速に
殺傷する能力、広範な抗菌力スペクトラム(spectrum of activity
)、およびより重大な抗生物質耐性および臨床的に関連する病原のいくつかに対する活性
である。最も重要なことに、抗菌ペプチド耐性微生物は、インビトロで選択することが、
相対的に困難である。しかし、いくつかの抗菌ペプチドは、毒性(例えば、ハチ毒、スズ
メバチの毒、およびサソリ毒)が見出されており、いくつかは、(高い一価のカチオン濃
度および二価のカチオン濃度、ポリアニオン、血清、アポリポタンパク質A−1、セルピ
ン、およびプロテアーゼのような因子に起因して、(しかし、多くのペプチドはこれらの
因子によって影響されない))インビボで減少した活性を有することが見出されており、
そしていくつかは、慣習的な抗生物質ほど強力ではないことが見出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、最適な治療用途のためのこのようなペプチドおよびそれらの誘導体を処方する
ために、そしてこれらのカチオン性ペプチドについての治療に有効な臨床レジメンを開発
するために、改善された活性を有する(そして、いくつかの場合においては、減少した毒
性を有する)改変抗菌性ペプチドまたは誘導体抗菌性ペプチドを同定する必要性が存在す
る。さらに、多様な臨床的指標において有用な処方物についての必要性が存在する。本発
明は、このような必要性に対処し、そしてさらに他の関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、抗菌性カチオン性ペプチド、特に、インドリシジンペプチドおよびそのアナ
ログまたは誘導体、ならびに多様な治療セッティング(例えば、外来性の物体に関連する
感染性疾患、原発感染部位または第一の疾患状態から発生する二次感染の処置または予防
のような)において使用するためのこのようなペプチドの処方物を提供する。
【0009】
1つの局面において、本発明は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤および溶媒を含む
組成物を提供する。特定の実施形態において、本発明の溶媒は、水、グリセリン、プロピ
レングリコール、イソプロパノール、エタノール、またはメタノールである。特定の他の
実施形態において、この溶媒は、約0.1%〜約20%または約9%〜約11%の範囲の
濃度のグリセリンである。さらに他の実施形態において、この溶媒は、約0.1%〜約2
0%または約9%〜約11%の範囲の濃度のグリコールである。なお他の実施形態におい
て、この溶媒は、水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタノー
ル、またはメタノールの少なくとも1つを含む。さらに他の実施形態において、この溶媒
は、99%までの濃度の水、20%までの濃度のグリセリン、20%までの濃度のプロピ
レングリコール、99%までの濃度のエタノール、および99%までの濃度のメタノール
の少なくとも1つを含む。
【0010】
特定の実施形態において、増粘剤は、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキ
シエチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。別の実施形態
において、増粘剤は、約0.5%〜約5%または約1%〜約3%の範囲の濃度のヒドロキ
シエチルセルロースである。別の実施形態において、この増粘剤は、約1%〜約3%の範
囲の濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースである。他の実施形態において、この増
粘剤は、約0.1%〜約5%または約0.5%〜約1%の範囲の濃度のデキストランであ
る。特定の他の実施形態において、この増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロースであり、
この組成物はさらに、デキストラン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピル
メチルセルロースの第二の増粘剤を含む。1つの実施形態において、この第二の増粘剤は
、ポリビニルピロリドンである。関連する実施形態において、ポリビニルピロリドンは、
約0.1%〜約5% または約0.5%〜約1%の範囲の濃度である。別の実施形態にお
いて、この第二の増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。関連する実施
形態において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、約1%〜約3%の範囲の濃度で
ある。特定の他の実施形態において、この増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スであり、この組成物はさらに、デキストラン、または約0.1%〜約5%もしくは約0
.5%〜約1%の範囲の濃度のデキストランの第二の増粘剤を含む。さらに他の実施形態
において、この増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、この組成物はさ
らに、ポリビニルピロリドン、または約0.1%〜約5%もしくは約0.5%〜約1%の
範囲の濃度のポリビニルピロリドンの第二の増粘剤を含む。特定の実施形態において、第
一の増粘剤は、約3%までの濃度のヒドロキシエチルセルロースを含み、そして第二の増
粘剤は、約3%までの濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤および溶媒を含
む組成物を提供し、これはさらに、緩衝剤を含む。特定の実施形態において、この緩衝剤
は、約1mM〜約200mMの範囲の濃度である。他の実施形態において、緩衝剤は、モ
ノカルボキシレートまたはジカルボキシレートを含み得る。さらなる実施形態において、
この緩衝剤は、アセテート、フマレート、ラクテート、マロネート、スクシネートまたは
タートレートを含む。なお別の実施形態において、この組成物はさらに、約3〜約8の範
囲のpHを有する緩衝剤を含む。
【0012】
さらに他の実施形態において、任意の上記組成物はさらに、湿潤剤を含む。1つの実施
形態において、湿潤剤はソルビトールまたはグリセロールである。さらなる実施形態にお
いて、任意の上記組成物はさらに、保存剤を含む。1つの実施形態において、この保存剤
は、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピル
パラベン、またはそれらの組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、あらゆる酸
への言及は、遊離の酸、それらの塩またはエステルを含み得る。他の実施形態において、
任意の上記組成物はさらに、湿潤剤および保存剤を含む。
【0013】
特定の実施形態において、抗菌性カチオン性ペプチドは、上記組成物のいずれか1つに
おいてインドリシジンまたはそれらのアナログもしくは誘導体である。他の実施形態にお
いて、カチオン性ペプチドは、上記組成物のいずれか1つにおいて、約0.01%〜約1
0%または約0.5%〜約1.5%の範囲の濃度である。さらに他の実施形態において、
上記組成物のいずれか1つは、カチオン性ペプチド(35アミノ酸までのペプチドである
)を有し、このカチオン性ペプチドは、以下の配列の1つを含む:11B7CN、11B
32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12C
N、11F17CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F64C
N、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G27C
N、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11J58
CN、11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グ
ルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CN。
【0014】
別の局面において、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、溶媒、湿潤剤、および緩衝剤
を含む組成物が提供される。1つの実施形態において、湿潤剤は、ソルビトールまたはグ
リセロールである。特定の実施形態において、緩衝剤は、約1mM〜約200mMの範囲
の濃度である。他の実施形態において、この緩衝剤は、モノカルボキシレートまたはジカ
ルボキシレートを含む。さらなる実施形態において、この緩衝剤は、アセテート、フマレ
ート、ラクテート、マロネート、スクシネートまたはタートレートである。なお別の実施
形態において、この組成物は、約3〜約8の範囲のpHを有する。別の実施形態において
、この組成物はさらに、保存剤を含む。1つの実施形態において、この保存剤は、安息香
酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、
またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態において、この溶媒は、水、グリセリ
ン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタノール、またはメタノールである。
特定の他の実施形態において、この溶媒は、約0.1%〜約20%または約9%〜約11
%の範囲の濃度のグリセリンである。さらに他の実施形態において、この溶媒は、約0.
1%〜約20%または約9%〜約11%の範囲の濃度のプロピレングリコールである。な
お他の実施形態において、この溶媒は、水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプ
ロパノール、エタノール、およびメタノールの少なくとも1つを含む。さらなる実施形態
において、この溶媒は、99%までの濃度の水、20%までの濃度のグリセリン、20%
までの濃度のプロピレングリコール、99%までの濃度のエタノール、および99%まで
の濃度のメタノールの少なくとも1つを含む。
【0015】
特定の実施形態において、増粘剤は、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキ
シエチルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースである。別の実施形態
において、この増粘剤は、約0.5%〜約5%または約1%〜約3%の範囲の濃度のヒド
ロキシエチルセルロースである。別の実施形態において、この増粘剤は、約1%〜約3%
の範囲の濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースである。他の実施形態において、こ
の増粘剤は、約0.1%〜約5%または約0.5%〜約1%の範囲の濃度のデキストラン
である。特定の他の実施形態において、この増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロースであ
り、この組成物はさらに、デキストラン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースの第二の増粘剤を含む。1つの実施形態において、この第二の増粘
剤は、ポリビニルピロリドンである。関連する実施形態において、ポリビニルピロリドン
は、約0.1%〜約5%または約0.5%〜約1%の範囲の濃度である。別の実施形態に
おいて、第二の増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。関連する実施形
態において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、約1%〜約3%の範囲の濃度であ
る。特定の他の実施形態において、この増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
であり、この組成物はさらに、デキストラン、または約0.1%〜約5%もしくは約0.
5%〜約1%の範囲の濃度のデキストランの第二の増粘剤を含む。さらに他の実施形態に
おいて、この増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、この組成物はさら
に、ポリビニルピロリドン、または約0.1%〜約5%もしくは約0.5%〜約1%の範
囲の濃度のポリビニルピロリドンの第二の増粘剤を含む。
【0016】
特定の実施形態において、抗菌性カチオン性ペプチドは、上記組成物のいずれか1つに
おいてインドリシジンまたはそのアナログもしくは誘導体である。他の実施形態において
、カチオン性ペプチドは、上記組成物のいずれか1つにおいて、約0.01%〜約10%
または約0.5%〜約1.5%の範囲の濃度である。さらに他の実施形態において、以下
の配列カチオン性ペプチドは、35アミノ酸までのペプチドであり、このカチオン性ペプ
チドは、上記組成物のいずれか1つにおいて、以下の配列の1つを含む:11B7CN、
11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F
12CN、11F17CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F
64CN 11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G
27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11
J58CN、11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、N
t−グルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CN。
【0017】
さらに別の局面において、本発明は、抗菌性カチオン性ペプチド、緩衝剤、および溶媒
を含む組成物を提供する。他の実施形態において、この組成物は、湿潤剤をさらに含む。
1つの実施形態において、湿潤剤は、ソルビトールまたはグリセロールである。別の実施
形態において、この組成物はさらに、保存剤を含む。1つの実施形態において、保存剤は
、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパ
ラベン、またはそれらの組合せを含む。なお他の実施形態において、この組成物はさらに
、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、またはヒドロキ
シプロピルメチルセルロースの増粘剤を含む。別の実施形態において、この増粘剤は、約
1%〜約3%の範囲の濃度のヒドロキシエチルセルロースである。別の実施形態において
、この増粘剤は、約1%〜約3%の範囲の濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースで
ある。特定の他の実施形態において、この増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロースであり
、この組成物はさらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの第二の増粘剤を含む。別
の実施形態において、増粘剤は、約3%までの濃度のヒドロキシエチルセルロースであり
、そして第二の増粘剤は、約3%までの濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースであ
る。さらなる実施形態において、この組成物はさらに、レチノイド、ビタミンD3、また
はコルチコステロイド、およびそれらのアナログもしくは誘導体の挫瘡医薬を含む。
【0018】
特定の実施形態において、溶媒は、水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロ
パノール、エタノール、またはメタノールである。特定の実施形態において、この溶媒は
、約9%〜約11%の範囲の濃度のグリセリンである。別の実施形態において、この溶媒
は、約9%〜約11%の範囲の濃度のプロピレングリコールである。なお他の実施形態に
おいて、この溶媒は、水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタ
ノール、またはメタノールの少なくとも1つを含む。さらに他の実施形態において、この
溶媒は、99%までの濃度の水、20%までの濃度のグリセリン、20%までの濃度のプ
ロピレングリコール、99%までの濃度のエタノール、および99%までの濃度のメタノ
ールの少なくとも1つを含む。
【0019】
特定の実施形態において、緩衝剤は、モノカルボキシレートまたはジカルボキシレート
を含む。他の実施形態において、この緩衝剤は、アセテート、フマレート、ラクテート、
マロネート、スクシネートまたはタートレートである。なお別の実施形態において、この
組成物はさらに、約3〜約8の範囲のpHを有する。さらなる実施形態において、緩衝剤
は、約1mM〜約200mMまたは約4mM〜約6mMの範囲の濃度である。
【0020】
特定の実施形態において、抗菌性カチオン性ペプチドは、上記組成物のいずれか1つに
おいてインドリシジンまたはそのアナログもしくは誘導体である。他の実施形態において
、カチオン性ペプチドは、上記組成物のいずれか1つにおいて、約0.01%〜約10%
または約0.5%〜約1.5%の範囲の濃度である。なお他の実施形態において、カチオ
ン性ペプチドは、35アミノ酸までのペプチドであり、このカチオン性ペプチドは、上記
組成物のいずれか1つにおいて、以下の配列の1つを含む:11B7CN、11B32C
N、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、1
1F17CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F64CN、1
1F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G27CN、1
1J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11J58CN、
11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシ
ル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CN。
【0021】
なお別の局面において、本発明は、約0.01%〜約10%の範囲の濃度の抗菌性カチ
オン性ペプチド;デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、
またはヒドロキシプロピルメチルセルロースの増粘剤;および水、グリセリン、プロピレ
ングリコール、イソプロパノール、エタノール、またはメタノールの溶媒を含み;約3〜
約8の範囲のpHである組成物を提供する。特定の実施形態において、この組成物は、約
1%〜約2%の範囲の濃度のヒドロキシエチルセルロースを含む。他の実施形態において
、この組成物は、約9%〜約11%の範囲の濃度のグリセリンを含む。別の実施形態にお
いて、この組成物はさらに、緩衝剤を含む。1つの実施形態において、この組成物はさら
に、約3.5〜約7の範囲のpHを有する緩衝剤を含む。他の実施形態において、この緩
衝剤は、モノカルボキシレートまたはジカルボキシレートを含む。なお他の実施形態にお
いて、この緩衝剤は、アセテート、フマレート、ラクテート、マロネート、スクシネート
またはタートレートである。特定の他の実施形態において、この緩衝剤は、約1mM〜約
200mMまたは約4mM〜約6mMの範囲の濃度である。別の実施形態において、この
組成物はさらに、保存剤を含む。1つの実施形態において、この保存剤は、安息香酸、ベ
ンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、または
それらの組み合わせを含む。
【0022】
特定の実施形態において、この抗菌性カチオン性ペプチドは、上記の組成物の任意の1
つにおいて、インドリシジン(indolicidin)またはそのアナログもしくは誘
導体である。他の実施形態において、このカチオン性ペプチドは、35アミノ酸までのペ
プチドであり、上記の組成物の任意の1つにおいて、以下の配列のうち1つを含む:11
B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5C
N、11F12CN、11F17CN、11F50CN、11F56CN、11F63C
N、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93C
N、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36
CN、11J58CN、11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロイル−11B
7CN、Nt−グルコシル−11J36CNまたはNt−グルコシル−11J38CN。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:(a)抗菌性カチオ
ン性ペプチドであって、このカチオン性ペプチドは、35アミノ酸までのペプチドであっ
て、以下のうち1つを含む:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3
CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F17CN、11F50CN
、11F56CN、11F63CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN
、11F68CN、11F93CN、11G27CN、11J02CN、11J02AC
N、11J30CN、11J36CN、11J58CN、11J67CN、11J68C
N、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CNまたはNt
−グルコシル−11J38CN;(b)増粘剤であって、この増粘剤は、約1.2%〜約
1.8%の濃度のヒドロキシエチルセルロースである;(c)緩衝剤であって、この緩衝
剤は、約4mM〜約6mMの範囲の濃度のラクテートである;(d)溶媒であって、この
溶媒は、約9%〜約11%の範囲の濃度のグリセリンおよび約85%〜約90%の範囲の
濃度の水を含む;ならびに(e)約3.5〜約7の範囲のpH。特定の実施形態において
、このカチオン性ペプチドは、約0.8〜約1.2%の範囲の濃度である。なお他の実施
形態において、標的部位において微生物叢を減少する方法または感染を処置もしくは予防
する方法が提供され、この標的部位は、皮膚であり得、この皮膚は、さらに、挫瘡を含み
得る。別の実施形態において、この組成物は、炎症(例えば、挫瘡に関連する(または移
植された医療用デバイスもしくは内在する医療用デバイスに関連する)炎症)を処置また
は予防または緩和するために標的部位に対して適用され得る。
【0024】
本発明の別の局面は、以下を含む組成物である:(a)抗菌性カチオン性ペプチドであ
って、このカチオン性ペプチドは、35アミノ酸までのペプチドであり、以下のうち1つ
を含む:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN
、11F5CN、11F12CN、11F17CN、11F50CN、11F56CN、
11F63CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、
11F93CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN
、11J36CN、11J58CN、11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロ
イル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CNまたはNt−グルコシル−11
J38CN;(b)緩衝剤であって、この緩衝剤は、約4mM〜約6mMの範囲の濃度の
ラクテートである;(c)溶媒であって、この溶媒は、約45%〜約55%の範囲の濃度
のエタノールおよび約44%〜約54%の範囲の濃度の水を含む;ならびに(d)約3.
5〜約7の範囲のpH。特定の実施形態において、このカチオン性ペプチドは、約0.8
%〜約1.2%の範囲の濃度である。他の実施形態において、この組成物は、挫瘡医薬(
例えば、レチノイド、ビタミンD3またはコルチコステロイド)およびそのアナログまた
は誘導体をさらに含み得る。なお別の実施形態において、標的部位において微生物叢を減
少する方法または感染を処置もしくは予防する方法が提供され、この標的部位は、皮膚で
あり得、この皮膚は、さらに、挫瘡を含み得る。別の実施形態において、この組成物は、
炎症(例えば、挫瘡に関連する(または移植された医療用デバイスもしくは内在する医療
用デバイスに関連する)炎症)を処置または予防または緩和するために標的部位に対して
適用され得る。
【0025】
なお別の局面において、本発明は、以下を含む組成物を提供する:(a)抗菌性カチオ
ン性ペプチドであって、このカチオン性ペプチドは、35アミノ酸までのペプチドであり
、以下のうち1つを含む:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3C
N、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F17CN、11F50CN、
11F56CN、11F63CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、
11F68CN、11F93CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN
、11J30CN、11J36CN、11J58CN、11J67CN、11J68CN
、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CNまたはNt−
グルコシル−11J38CN;(b)増粘剤であって、この増粘剤は、約1.2%〜約1
.8%の濃度のヒドロキシエチルセルロースである;(c)溶媒であって、この溶媒は、
約9%〜約11%の範囲の濃度のエタノールおよび約85%〜約90%の範囲の濃度の水
を含む;(d)保存剤であって、この保存剤は、約20mM〜約30mMの範囲の濃度の
安息香酸である;ならびに(e)約3.5〜約4.7の範囲のpH。特定の実施形態にお
いて、このカチオン性ペプチドは、約0.8%〜約1.2%の範囲の濃度であるか、また
は約2.5%〜約3.5%の範囲の濃度である。なお別の実施形態において、標的部位に
おいて微生物叢を減少する方法または感染を処置もしくは予防する方法が提供され、この
標的部位は、皮膚であり得、この皮膚は、さらに、挫瘡を含み得る。別の実施形態におい
て、この組成物は、炎症(例えば、挫瘡に関連する(または移植された医療用デバイスも
しくは内在する医療用デバイスに関連する)炎症)を処置または予防または緩和するため
に標的部位に対して適用され得る。
【0026】
別の局面において、標的部位にて微生物叢を減少させるための方法が提供され、この方
法は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤および溶媒を含む組成物を、この標的部位に適
用する工程を包含する。特定の実施形態において、この微生物叢は、原核生物、真核生物
またはウイルスである。いくつかの実施形態において、この標的部位は、皮膚であり、他
の実施形態において、この皮膚は、挫瘡をさらに含む。他の実施形態において、この標的
部位は粘膜であり、そしてなお他の実施形態において、この粘膜はさらに、鼻腔を含む。
1つの実施形態において、この鼻腔は、外鼻腔である。特定の他の実施形態において、こ
の方法は、さらに、この組成物を適用する工程の前または後に、この標的部位において医
療用デバイスを挿入する工程を包含する。なお別の実施形態において、この方法は、さら
に、この標的部位においてこのデバイスを挿入する工程の前に、このデバイスにこの組成
物を適用する工程を包含する。1つの実施形態において、このデバイスは、カテーテルを
含み、そして別の実施形態は、中心静脈カテーテルである。特定の他の実施形態において
、このカテーテルは、血管透析カテーテル、肺動脈カテーテル、腹膜透析カテーテルまた
は臍帯カテーテルである。
【0027】
さらなる局面において、本発明は、標的部位において感染を処置または予防するための
方法を提供し、この方法は、カチオン性ペプチド、増粘剤および溶媒を含む組成物を、こ
の標的部位に適用する工程を包含する。特定の実施形態において、この感染は、原核生物
、真核生物またはウイルスによって引き起こされる。他の実施形態において、標的部位で
の感染は、その標的部位での医療用デバイスに関連する。さらなる実施形態において、こ
の方法は、この標的において医療用デバイスを挿入する工程の前または後に、この組成物
を適用する工程を包含する。1つの実施形態において、このデバイスは、カテーテルを含
み、そして別の実施形態は、中心静脈カテーテルである。特定の他の実施形態において、
このカテーテルは、血管透析カテーテル、肺動脈カテーテル、腹膜透析カテーテルまたは
臍帯カテーテルである。いくつかの実施形態において、この標的部位は皮膚であり、そし
て他の実施形態において、この皮膚は、挫瘡を含む。他の実施形態において、この標的部
位は粘膜であり、そしてなお他の実施形態において、この粘膜はさらに、鼻腔を含む。1
つの実施形態において、この鼻腔は、外鼻腔である。
【0028】
なお別の局面において、標的部位において炎症を処置または予防するための方法が提供
され、この方法は、カチオン性ペプチド、増粘剤および溶媒を含む組成物を、この標的部
位に適用する工程を包含する。1つの実施形態において、この標的部位は、感染をさらに
含む。さらなる実施形態において、標的部位での感染は、医療用デバイスに関連する。さ
らなる実施形態において、この方法は、この標的において医療用デバイスを挿入する工程
の前または後に、この組成物を適用する工程を包含する。1つの実施形態において、この
デバイスは、カテーテルを含み、そして別の実施形態は、中心静脈カテーテルである。特
定の他の実施形態において、このカテーテルは、血管透析カテーテル、肺動脈カテーテル
、腹膜透析カテーテルまたは臍帯カテーテルである。いくつかの実施形態において、この
標的部位は皮膚であり、そして他の実施形態において、この皮膚は、挫瘡を含む。他の実
施形態において、この標的部位は粘膜であり、そしてなお他の実施形態において、この粘
膜はさらに、鼻腔を含む。1つの実施形態において、この鼻腔は、外鼻腔である。
【0029】
なお別の局面において、本発明は、標的部位において炎症を緩和するための方法を提供
し、この方法は、カチオン性ペプチド、増粘剤および溶媒を含む組成物を、この標的部位
に適用する工程を包含する。1つの実施形態において、この標的部位は、感染をさらに含
む。さらなる実施形態において、標的部位での感染は、医療用デバイスに関連する。さら
なる実施形態において、この方法は、この標的において医療用デバイスを挿入する工程の
前または後に、この組成物を適用する工程を包含する。1つの実施形態において、このデ
バイスは、カテーテルを含み、そして別の実施形態は、中心静脈カテーテルである。特定
の他の実施形態において、このカテーテルは、血管透析カテーテル、肺動脈カテーテル、
腹膜透析カテーテルまたは臍帯カテーテルである。いくつかの実施形態において、この標
的部位は皮膚であり、そして他の実施形態において、この皮膚は、挫瘡を含む。他の実施
形態において、この標的部位は粘膜であり、そしてなお他の実施形態において、この粘膜
はさらに、鼻腔を含む。1つの実施形態において、この鼻腔は、外鼻腔である。
【0030】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照して明ら
かとなる。さらに、特定の手順または組成物をより詳細に記載する種々の参考文献が本明
細書中に示され、従って、その全体が参考として援用される。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、および溶媒を含む、組成物。
(項目2)
項目1に記載の組成物であって、緩衝剤をさらに含む、組成物。
(項目3)
項目2に記載の組成物であって、前記緩衝剤が、モノカルボキシレートまたはジカルボキシレートを含む、組成物。
(項目4)
項目2に記載の組成物であって、前記緩衝剤が、アセテート、フマレート、ラクテート、マロネート、スクシネート、およびタートレートからなる群から選択される、組成物。
(項目5)
項目2に記載の組成物であって、pHが約3〜約8の範囲である、組成物。
(項目6)
項目2に記載の組成物であって、約1mM〜約200mMの濃度範囲の前記緩衝剤を含む、組成物。
(項目7)
項目1に記載の組成物であって、湿潤剤をさらに含む、組成物。
(項目8)
項目7に記載の組成物であって、前記湿潤剤が、ソルビトールまたはグリセロールである、組成物。
(項目9)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒が、水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタノール、およびメタノールからなる群から選択される、組成物。
(項目10)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒が、グリセリンである、組成物。
(項目11)
項目10に記載の組成物であって、グリセリンを、約0.1%〜約20%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目12)
項目10に記載の組成物であって、グリセリンを、約9%〜約11%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目13)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒が、プロピレングリコールである、組成物。
(項目14)
項目13に記載の組成物であって、プロピレングリコールを、約0.1%〜約20%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目15)
項目13に記載の組成物であって、プロピレングリコールを、約9%〜約11%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目16)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒が、水である、組成物。
(項目17)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒が、エタノールである、組成物。
(項目18)
項目1、2、または7のいずれか1項に記載の組成物であって、防腐剤をさらに含む、組成物。
(項目19)
項目18に記載の組成物であって、前記防腐剤が、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、またはそれらの組合せを含む、組成物。
(項目20)
項目1に記載の組成物であって、前記増粘剤が、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、組成物。
(項目21)
項目1に記載の組成物であって、前記増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロースである、組成物。
(項目22)
項目21に記載の組成物であって、ヒドロキシエチルセルロースを、約0.5%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目23)
項目21に記載の組成物であって、ヒドロキシエチルセルロースを、約1%〜約3%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目24)
項目1に記載の組成物であって、前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、組成物。
(項目25)
項目24に記載の組成物であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、約1%〜約3%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目26)
項目21に記載の組成物であって、デキストラン、ポリビニルピロリドン、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、第2の増粘剤をさらに含む、組成物。
(項目27)
項目26に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、デキストランである、組成物。
(項目28)
項目27に記載の組成物であって、デキストランを、約0.1%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目29)
項目27に記載の組成物であって、デキストランを、約0.5%〜約1%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目30)
項目26に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、ポリビニルピロリドンである、組成物。
(項目31)
項目30に記載の組成物であって、ポリビニルピロリドンを、約0.1%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目32)
項目30に記載の組成物であって、ポリビニルピロリドンを、約0.5%〜約1%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目33)
項目26に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、組成物。
(項目34)
項目33に記載の組成物であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、約1%〜約3%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目35)
項目24に記載の組成物であって、デキストランまたはポリビニルピロリドンの、第2の増粘剤をさらに含む、組成物。
(項目36)
項目35に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、デキストランである、組成物。
(項目37)
項目36に記載の組成物であって、デキストランを、約0.1%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目38)
項目36に記載の組成物であって、デキストランを、約0.5%〜約1%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目39)
項目35に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、ポリビニルピロリドンである、組成物。
(項目40)
項目39に記載の組成物であって、ポリビニルピロリドンを、約0.1%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目41)
項目39に記載の組成物であって、ポリビニルピロリドンを、約0.5%〜約1%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目42)
項目1に記載の組成物であって、前記溶媒が、水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタノール、およびメタノールのうち少なくとも1つを含む、組成物。
(項目43)
項目42に記載の組成物であって、前記溶媒が、水を99%までの濃度で、グリセリンを20%までの濃度で、プロピレングリコールを20%までの濃度で、エタノールを99%までの濃度で、およびメタノールを99%までの濃度で、のうちの少なくとも1つを含む、組成物。
(項目44)
項目1に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、インドリシジンまたはそれらのアナログまたは誘導体である、組成物。
(項目45)
項目1に記載の組成物であって、カチオン性ペプチドを、約0.01%〜約10%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目46)
項目1に記載の組成物であって、カチオン性ペプチドを、約0.5%〜約1.5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目47)
項目1〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、35アミノ酸までのペプチドであり、以下の配列:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F17CN、11F27CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11J58CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CNの1つを含む、組成物。
(項目48)
項目1〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、前記アミノ酸配列11B7CNを含む、組成物。
(項目49)
項目1〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、前記アミノ酸配列11F4CNを含む、組成物。
(項目50)
項目1〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、前記アミノ酸配列11J02CNを含む、組成物。
(項目51)
項目1〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、前記アミノ酸配列11J30CNを含む、組成物。
(項目52)
項目1〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、前記アミノ酸配列11J36CNを含む、組成物。
(項目53)
項目1〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、前記アミノ酸配列Nt−アクリロイル−11B7CNを含む、組成物。
(項目54)
項目1〜46のいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、前記アミノ酸配列Nt−グルコシル−11J36CNを含む、組成物
(項目55)
抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、溶媒、湿潤剤および緩衝剤を含む組成物。
(項目56)
項目55に記載の組成物であって、前記緩衝剤が、モノカルボキシレートまたはジカルボキシレートを含む、組成物。
(項目57)
項目55に記載の組成物であって、前記緩衝剤が、アセテート、フマレート、ラクテート、マロネート、コハク酸、およびタートレートからなる群から選択される、組成物。(項目58)
項目55に記載の組成物であって、pHが約3〜約8の範囲である、組成物。
(項目59)
項目55に記載の組成物であって、前記緩衝剤を、約1mM〜約200mMの範囲の濃度で含む、組成物。
(項目60)
項目55に記載の組成物であって、前記湿潤剤が、ソルビトールまたはグリセロールである、組成物。
(項目61)
項目55に記載の組成物であって、前記溶媒が、水、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、およびメタノールからなる群から選択される、組成物。
(項目62)
項目55に記載の組成物であって、前記溶媒が、グリセリンである、組成物。
(項目63)
項目62に記載の組成物であって、グリセリンを、約0.1%〜約20%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目64)
項目62に記載の組成物であって、グリセリンを、約9%〜約11%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目65)
項目55に記載の組成物であって、前記溶媒が、プロピレングリコールである、組成物。
(項目66)
項目65に記載の組成物であって、プロピレングリコールを、約0.1%〜約20%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目67)
項目65に記載の組成物であって、プロピレングリコールを、約9%〜約11%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目68)
項目55に記載の組成物であって、前記溶媒が、水である、組成物。
(項目69)
項目55に記載の組成物であって、前記溶媒が、エタノールである、組成物。
(項目70)
項目55に記載の組成物であって、防腐剤をさらに含む、組成物。
(項目71)
項目70に記載の組成物であって、前記防腐剤が、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、またはそれらの組合せを含む、組成物。
(項目72)
項目55に記載の組成物であって、前記増粘剤が、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、組成物。
(項目73)
項目55に記載の組成物であって、前記増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロースである、組成物。
(項目74)
項目73に記載の組成物であって、ヒドロキシエチルセルロースを、約0.5%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目75)
項目73に記載の組成物であって、ヒドロキシエチルセルロースを、約1%〜約3%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目76)
項目55に記載の組成物であって、前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、組成物。
(項目77)
項目76に記載の組成物であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、約0.5%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目78)
項目76に記載の組成物であって、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、約1%〜約3%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目79)
項目73に記載の組成物であって、デキストラン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される第2の増粘剤をさらに含む、組成物。
(項目80)
項目79に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、デキストランである、組成物。
(項目81)
項目80に記載の組成物であって、デキストランを、約0.1%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目82)
項目80に記載の組成物であって、デキストランを、約0.5%〜約1%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目83)
項目79に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、ポリビニルピロリドンである、組成物。
(項目84)
項目83に記載の組成物であって、ポリビニルピロリドンを、約0.1%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目85)
項目83に記載の組成物であって、ポリビニルピロリドンを、約0.5%〜約1%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目86)
項目76に記載の組成物であって、デキストランまたはポリビニルピロリドンの、第2の増粘剤をさらに含む、組成物。
(項目87)
項目86に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、デキストランである、組成物。
(項目88)
項目87に記載の組成物であって、デキストランを、約0.1%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目89)
項目87に記載の組成物であって、デキストランを、約0.5%〜約1%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目90)
項目86に記載の組成物であって、前記第2の増粘剤が、ポリビニルピロリドンである、組成物。
(項目91)
項目90に記載の組成物であって、ポリビニルピロリドンを、約0.1%〜約5%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目92)
項目90に記載の組成物であって、ポリビニルピロリドンを、約0.5%〜約1%の濃度範囲で含む、組成物。
(項目93)
項目55に記載の組成物であって、前記溶媒が、水、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、およびメタノールのうちの少なくとも1つを含む、組成物。
(項目94)
項目93に記載の組成物であって、前記溶媒が、水を99%までの濃度で、グリセリンを20%までの濃度で、プロピレングリコールを20%までの濃度で、エタノールを99%までの濃度で、およびメタノールを99%までの濃度で、のうちの少なくとも1つを含む、組成物。
(項目95)
項目55に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、インドリシジンまたはそれらのアナログまたは誘導体である、組成物。
(項目96)
約0.01%〜約10%の範囲の濃度でカチオン性ペプチドを含む、項目55に記載の組成物。
(項目97)
約0.5%〜約1.5%の範囲の濃度でカチオン性ペプチドを含む、項目55に記載の組成物。
(項目98)
項目55〜項目97のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、以下の配列:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F17CN、11F27CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11J58CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CNのうちの1つを含む、35アミノ酸までのペプチドである、組成物。
(項目99)
項目55〜項目97のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11B7CNを含む、組成物。
(項目100)
項目55〜項目97のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11F4CNを含む、組成物。
(項目101)
項目55〜項目97のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11J02CNを含む、組成物。
(項目102)
項目55〜項目97のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11J30CNを含む、組成物。
(項目103)
項目55〜項目97のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11J36CNを含む、組成物。
(項目104)
項目55〜項目97のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列Nt−アクリロイル−11B7CNを含む、組成物。
(項目105)
項目55〜項目97のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列Nt−グルコシル−11J36CNを含む、組成物。
(項目106)
抗菌性カチオン性ペプチド、緩衝剤および溶媒を含む、組成物。
(項目107)
前記緩衝剤が、モノカルボキシレートまたはジカルボキシレートを含む、項目106
に記載の組成物。
(項目108)
前記緩衝剤が、アセテート、フマレート、ラクテート、マロネート、スクシネート、およびタートレートからなる群より選択される、項目106に記載の組成物。
(項目109)
約3〜8の範囲のpHを有する、項目106に記載の組成物。
(項目110)
約1mM〜約200mMの範囲の濃度で前記緩衝剤を含む、項目106に記載の組成物。
(項目111)
約4mM〜約6mMの範囲の濃度で前記緩衝剤を含む、項目106に記載の組成物。
(項目112)
湿潤剤をさらに含む、項目106に記載の組成物。
(項目113)
前記湿潤剤が、ソルビトールまたはグリセロールである、項目112に記載の組成物。
(項目114)
前記溶媒が、水、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、およびメタノールからなる群より選択される、項目106に記載の組成物。
(項目115)
前記溶媒がグリセリンである、項目106に記載の組成物。
(項目116)
約9%〜約11%の範囲の濃度でグリセリンを含む、項目115に記載の組成物。
(項目117)
前記溶媒がプロピレングリコールである、項目106に記載の組成物。
(項目118)
約9%〜約11%の範囲の濃度でプロピレングリコールを含む、項目117に記載の組成物。
(項目119)
前記溶媒が水である、項目106に記載の組成物。
(項目120)
前記溶媒がエタノールである、項目106に記載の組成物。
(項目121)
前記溶媒がイソプロパノールである、項目106に記載の組成物。
(項目122)
前記溶媒がメタノールである、項目106に記載の組成物。
(項目123)
保存剤をさらに含む、項目106または項目112のいずれか1項に記載の組成物

(項目124)
前記保存剤が、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、またはそれらの組合せを含む、項目123に記載の組成物。
(項目125)
デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1つの増粘剤をさらに含む、項目106に記載の組成物。
(項目126)
前記増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロースである、項目125に記載の組成物。
(項目127)
約1%〜約3%の範囲の濃度でヒドロキシエチルセルロースを含む、項目126に記載の組成物。
(項目128)
前記増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項目125に記載の組成物。
(項目129)
約1%〜約3%の範囲の濃度でヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、項目128に記載の組成物。
(項目130)
第2の増粘剤をさらに含む項目126に記載の組成物であって、該第2の増粘剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、組成物。
(項目131)
約3%までの濃度のヒドロキシエチルセルロースおよび約3%までの濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、項目130に記載の組成物。
(項目132)
前記溶媒が、水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタノール、およびメタノールのうち少なくとも1つを含む、項目106に記載の組成物。
(項目133)
前記溶媒が、99%までの濃度の水、20%までの濃度のグリセリン、20%までの濃度のプロピレングリコール、99%までの濃度のイソプロパノール、99%までの濃度のエタノール、および99%までの濃度のメタノールのうちの少なくとも1つを含む、請求項132に記載の組成物。
(項目134)
前記カチオン性ペプチドが、インドリシジンあるいはそのアナログまたは誘導体である、項目106に記載の組成物。
(項目135)
約0.01〜10%の範囲の濃度でカチオン性ペプチドを含む、項目106に記載の組成物。
(項目136)
約0.5〜1.5%の範囲の濃度でカチオン性ペプチドを含む、項目106に記載の組成物。
(項目137)
項目106〜項目136のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、以下の配列:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F17CN、11F27CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11J58CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CNのうちの1つを含む、35アミノ酸までのペプチドである、組成物。
(項目138)
項目106〜項目136のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11B7CNを含む、組成物。
(項目139)
項目106〜項目136のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11F4CNを含む、組成物。
(項目140)
項目106〜項目136のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11J02CNを含む、組成物。
(項目141)
項目106〜項目136のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11J30CNを含む、組成物。
(項目142)
項目106〜項目136のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11J36CNを含む、組成物。
(項目143)
項目106〜項目136のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列Nt−アクリロイル−11B7CNを含む、組成物。
(項目144)
項目106〜項目136のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列Nt−グルコシル−11J36CNを含む、組成物。
(項目145)
レチノイド、ビタミンD3、およびコルチコステロイド、ならびにそれらのアナログまたは誘導体からなる群より選択される挫瘡医薬をさらに含む、項目106に記載の組成物。
(項目146)
組成物であって、該組成物は、約0.01%〜約10%の範囲の濃度の抗菌性カチオン性ペプチド;デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群より選択される増粘剤;ならびに水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタノール、およびメタノールからなる群より選択される溶媒を約3〜約8の範囲のpHで含む、組成物。
(項目147)
緩衝剤をさらに含む、項目146に記載の組成物。
(項目148)
約3.5〜約7の範囲のpHを有する、項目147に記載の組成物。
(項目149)
前記緩衝剤が、アセテート、フマレート、ラクテート、マロネート、スクシネート、およびタートレートからなる群より選択される、項目147に記載の組成物。
(項目150)
前記緩衝剤が、モノカルボキシレートまたはジカルボキシレートを含む、項目147に記載の組成物。
(項目151)
約1mM〜約200mMの範囲の濃度で前記緩衝剤を含む、項目147に記載の組成物。
(項目152)
約4mM〜約6mMの範囲の濃度で前記緩衝剤を含む、項目147に記載の組成物。
(項目153)
前記増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロースである、項目146に記載の組成物。
(項目154)
約1%〜約2%の範囲の濃度でヒドロキシエチルセルロースを含む、項目153に記載の組成物。
(項目155)
前記溶媒が、グリセリンである、項目146に記載の組成物。
(項目156)
約9%〜約11%の範囲の濃度でグリセリンを含む、項目146に記載の組成物。
(項目157)
前記溶媒が、水である、項目146に記載の組成物。
(項目158)
前記溶媒が、エタノールである、項目146に記載の組成物。
(項目159)
保存剤をさらに含む、項目146に記載の組成物。
(項目160)
前記保存剤が、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、またはそれらの組合せを含む、項目159に記載の組成物。
(項目161)
前記カチオン性ペプチドが、インドリシジンあるいはそのアナログまたは誘導体である、項目146に記載の組成物。
(項目162)
項目146〜項目161のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、以下の配列:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F17CN、11F27CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11J58CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CNのうちの1つを含む、35アミノ酸までのペプチドである、組成物。
(項目163)
項目146〜項目161のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11B7CNを含む、組成物。
(項目164)
項目146〜項目161のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11F4CNを含む、組成物。
(項目165)
項目146〜項目161のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11J02CNを含む、組成物。
(項目166)
項目146〜項目161のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオンペプチドが、アミノ酸配列11J30CNを含む、組成物。
(項目167)
項目146〜項目161のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列11J36CNを含む、組成物。
(項目168)
項目146〜項目161のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列Nt−アクリロイル−11B7CNを含む、組成物。
(項目169)
項目146〜項目161のうちのいずれか1項に記載の組成物であって、前記カチオン性ペプチドが、アミノ酸配列Nt−グルコシル−11J36CNを含む、組成物。
(項目170)
以下:
a)抗菌性カチオン性ペプチドであって、以下の配列:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F
17CN、11F27CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F
64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G
27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11
J58CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CNのうちの1つを含む、35アミノ酸までのペプチドである、カチオン性ペプチド;
b)増粘剤であって、約1.2%〜約1.8%の濃度のヒドロキシエチルセルロースである、増粘剤;
c)緩衝剤であって、約4mM〜約6mMの範囲の濃度のラクテートである、緩衝剤;
d)溶媒であって、約9%〜約11%の範囲の濃度のグリセリンおよび約85%〜約90%の範囲の濃度の水を含む、溶媒;ならびに
e)約3.5〜約7の範囲のpH、
を含む、組成物。
(項目171)
以下:
a)抗菌性カチオン性ペプチドであって、以下の配列:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F
17CN、11F27CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F
64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G
27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11
J58CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CNのうちの1つを含む、35アミノ酸までのペプチドである、カチオン性ペプチド;
b)緩衝剤であって、約4mM〜約6mMの範囲の濃度のラクテートである、緩衝剤;
c)溶媒であって、約45%〜約55%の範囲の濃度のエタノールおよび約44%〜約54%の範囲の濃度の水を含む、溶媒;ならびに
d)約3.5〜約7の範囲のpH、
を含む、組成物。
(項目172)
以下:
a)抗菌性カチオン性ペプチドであって、以下の配列:11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12CN、11F17CN、11F27CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11J58CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−グルコシル−11J36CN、またはNt−グルコシル−11J38CNのうちの1つを含む、35アミノ酸までのペプチドである、カチオン性ペプチド;
b)増粘剤であって、約1.2%〜約1.8%の濃度のヒドロキシエチルセルロースである、増粘剤;
c)溶媒であって、約9%〜約11%の範囲の濃度のグリセリンおよび約85%〜約90%の範囲の濃度の水を含む、溶媒;
d)保存剤であって、約20mM〜約30mMの範囲の濃度の安息香酸である、保存剤;ならびに
e)約3.5〜約4.7の範囲のpH、
を含む、組成物。
(項目173)
前記カチオン性ペプチドが、約0.8%〜約1.2%の範囲の濃度である、項目170〜項目172に記載の組成物。
(項目174)
前記カチオン性ペプチドが、約2.5%〜約3.5%の範囲の濃度である、項目172に記載の組成物。
(項目175)
標的部位において、微生物叢を減少させるための方法であって、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、および溶媒を含む組成物を、該標的部位に適用する工程を包含する、方法。
(項目176)
前記微生物叢が、原核細胞生物、真核細胞生物、またはウイルスである、項目175に記載の方法。
(項目177)
前記組成物の適用後に、前記標的部位において医療用デバイスを挿入する工程をさらに包含する、項目175に記載の方法。
(項目178)
前記組成物の適用前に、前記標的部位において医療用デバイスを挿入する工程をさらに包含する、項目175に記載の方法。
(項目179)
前記デバイスがカテーテルを備える、項目177または項目178のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目180)
前記標的部位において前記デバイスを挿入する前に、該デバイスに前記組成物を適用する工程をさらに包含する、項目177または項目178のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目181)
前記カテーテルが、中心静脈カテーテルを含む、項目179に記載の方法。
(項目182)
前記カテーテルが、血管透析カテーテル、肺動脈カテーテル、腹膜透析カテーテル、および臍帯カテーテルからなる群より選択される、項目179に記載の方法。
(項目183)
前記標的部位が皮膚である、項目175に記載の方法。
(項目184)
前記皮膚が、挫瘡をさらに含む、項目183に記載の方法。
(項目185)
前記標的部位が粘膜である、項目175に記載の方法。
(項目186)
前記粘膜が、鼻腔をさらに含む、項目185に記載の方法。
(項目187)
前記鼻腔が外鼻腔である、項目186に記載の方法。
(項目188)
標的部位における感染を処置または予防するための方法であって、カチオン性ペプチド、増粘剤、および溶媒を含む組成物を、該標的部位に適用する工程を包含する、方法。
(項目189)
前記感染が、原核細胞生物、真核細胞生物、またはウイルスによって引き起こされる、項目188に記載の方法。
(項目190)
前記標的部位における感染が、該標的部位における医療用デバイスと関連する、項目188に記載の方法。
(項目191)
前記標的に医療用デバイスを挿入する前、または挿入した後に、前記組成物を適用する工程を包含する、項目190に記載の方法。
(項目192)
前記デバイスがカテーテルを備える、項目191に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、抗菌性カチオン性ペプチド(1%、ゲル)処方物の、細菌チャレンジ試験の結果を示し、種々の細菌および真菌の大きい接種材料を用いて播種された場合の、この処方物の抗菌効果を例示する。
【図2】図2は、この処方物の抗菌効果を例示する、抗菌性カチオン性ペプチド(1%、ペトロラタム)処方物の、細菌チャレンジ試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(発明の詳細な説明)
上記のように、本発明は、感染性疾患を処置および/または予防するために抗菌性カチ
オン性ペプチドを使用するための組成物ならびに方法を提供する。従って、本発明は、一
般に、抗菌性カチオン性ペプチドが、そのインビボおよびインビトロの安定性、放出半減
期ならびに抗菌活性を最大化するために、臨床的に適切な濃度で処方され得るという、驚
くべき知見に関する。本発明によれば、本明細書中に記載されるような抗菌性カチオン性
ペプチド(例えば、インドリシジンおよびその誘導体またはアナログ)の処方物は、(例
えば、院内感染、挫瘡ならびに例えば、皮下注射針およびカテーテルの使用における血管
内浸透に関連する感染の処置および予防における)種々の治療設定において使用するため
の新規かつ有用な組成物を提供する。本発明における使用ならびに予防的処方物および治
療的使用に適切なカチオン性ペプチドは、以下により詳細に考察される。本明細書中に引
用される任意の濃度範囲は、他に示されない限り、範囲内の任意の整数およびその分数(
例えば、この整数の1/10および1/100)の濃度を含むことが理解されるべきであ
る。
【0033】
(A.抗菌性カチオン性ペプチド)
本発明は、一般に、本明細書中に記載される処方物において使用するための、種々の方
法(例えば、化学的方法または組換え方法)によって生成され得る抗菌性カチオン性ペプ
チドに関する。適切な抗菌性カチオン性ペプチドとしては、単離された天然に存在するカ
チオン性ペプチドおよびその誘導体またはアナログが挙げられるが、これらに限定されな
い。「単離されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質」は、このポリペプチドに天
然に付随する細胞性成分(例えば、炭水化物、脂質、核酸(DNAもしくはRNA)また
は他のタンパク質性不純物を実質的に含まないアミノ酸配列である。好ましくは、単離さ
れたポリペプチドは、所望の用量での治療的使用について、十分に純粋である。
【0034】
本発明の抗菌性カチオン性ペプチドは、組換えペプチドでも合成ペプチドでもよく、そ
して好ましくは組換えペプチドである。ペプチドは、標準的な化学的方法(自動化手順に
よる合成を含む)によって合成され得る。一般に、ペプチドアナログは、カップリング剤
としてHATUを用いる標準的な固相Fmoc保護ストラテジーに基づいて合成される。
このペプチドは、適切なスカベンジャー(これはまた、側鎖官能基を脱保護化する)を含
むトリフルオロ酢酸を用いて、固相樹脂から切断される。粗製ペプチドは、調製的逆相ク
ロマトグラフィーを使用してさらに精製される。他の精製方法(例えば、分配クロマトグ
ラフィー、ゲル濾過、ゲル電気泳動またはイオン交換クロマトグラフィー)が使用され得
る。当該分野で公知の他の合成技術(例えば、tBoc保護ストラテジー)または他の異
なるカップリング剤などの使用が、等価なペプチドを生成するために使用され得る。ペプ
チドは、直線状分子または分枝分子として合成され得る。分枝ペプチドは、代表的に、さ
らなるペプチドについての多数の結合点を提供するコアペプチドを含む。リジンは、1つ
のカルボキシル官能基および2つ(αおよびε)アミノ官能基を有するので、コアペプチ
ドとして最も一般的に使用される。他のジアミノ酸もまた使用され得る。好ましくは、2
つまたは3つのレベルのいずれかの幾何学的に分枝したリジンが使用される;これらのコ
アは、それぞれ、テトラマーコア構造およびオクタマーコア構造を形成する(Tam、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5409、1988)。
【0035】
抗菌性カチオン性ペプチドは、約3〜約10の範囲のpHで正の荷電を代表的に示す(
すなわち、少なくとも約9の等電点を有する)ペプチドであり、そして少なくとも1つの
塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン)を含む。さらに、抗菌性カ
チオン性ペプチドは、一般に、約0.5kDa(すなわち、約5アミノ酸長)〜約10k
Da(すなわち、約100アミノ酸長)の分子量、または約0.5kDa〜約10kDa
の範囲の任意の整数の分子量もしくはその分数(ある整数の1/10および1/100)
を有するアミノ酸配列を含む。好ましくは、抗菌性カチオン性ペプチドは、約0.5kD
a〜約5kDaの(すなわち、約5アミノ酸長〜約45アミノ酸長)、より好ましくは約
1kDa〜約4kDa(すなわち、約10アミノ酸長〜約35アミノ酸長)、そして最も
好ましくは約1kDa〜約2kDa(すなわち、約10アミノ酸長〜約18アミノ酸長)
の範囲の分子量を有する。別の好ましい実施形態において、この抗菌性カチオン性ペプチ
ドは、例えば、合計100アミノ酸まで、より好ましくは50アミノ酸まで、さらにより
好ましくは35アミノ酸まで、そして最も好ましくは15アミノ酸までを有する、大きい
ペプチド配列またはポリペプチド配列の部分である。本発明は、5〜100アミノ酸のア
ミノ酸配列を有する抗菌性カチオン性ペプチドを企図し、このペプチド配列を構成するア
ミノ酸の数は、この範囲の任意の整数を含む。抗菌性カチオン性ペプチドは、抗菌活性、
抗内毒素活性、抗真菌活性、抗寄生生物活性、抗ウイルス活性、抗癌活性、抗炎症活性、
創傷治癒活性、および他のペプチドもしくは抗菌化合物またはこれらの組み合わせとの層
状活性を示し得る。
【0036】
例示的な抗菌性ペプチドとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:通常鱗
翅目(Steinerら、Nature 292:246、1981)および双翅目(M
errifieldら、Ciba Found.Symp.186:5、1994)、ブ
タの腸(Leeら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:9159
、1989)、海洋性原生動物の血球(Zhaoら、FEBS Lett.412:14
4、1997)によって生成されるセクロピン;セクロピンAの合成アナログ、メリチン
およびセクロピン−メリチンキメラペプチド(Wadeら、Int.J.Pept.Pr
otein Res.40:429、1992);セクロピンBアナログ(Jaynes
ら、Plant Sci.89:43、1993);キメラセクロピンA/Bハイブリッ
ド(During、Mol.Breed.2:297、1996);マゲイニン(mag
ainin)(Zasloff、Proc.Nat’l Acad.Sci USA 8
4:5449、1987);ヒト、ウシ、ブタ、マウス、ウサギおよびヒツジの白血球由
来のカテリン(cathelin)関連抗菌性ペプチド(Zanettiら、FEBS
Lett.374:1、1995);脊椎動物ディフェンシン(例えば、ヒト好中球ディ
フェンシン)[HNP1〜4];マウスおよびヒトの小腸のパネート細胞のディフェンシ
ン(OuletteおよびSelsted、FASEB J.10:1280、1996
;Porterら、Infect.Immun.65:2396、1997);脊椎動物
β−ディフェンシン(例えば、ヒト上皮細胞のHBD−1)(Zhaoら、FEBS L
ett.368:331、1995);炎症したヒト皮膚のHBD−2(Harderら
、Nature 387:861、1997);ウシβ−ディフェンシン(Russel
lら、Infect.Immun.64:1565、1996);植物ディフェンシン(
例えば、ラディッシュ種子のRs−AFP1)(Fehlbaumら、J.Biol.C
hem.269.33159、1994);α−チオニンおよびβ−チオニン(Stua
rtら、Cereal Chem.19:288、1942;BohlmannおよびA
pel、Annu.Rev.Physiol.Plant Mol.Biol.42:2
27、1991);γ−チオニン(Broekaertら、Plant Physiol
.108:1353、1995);抗真菌ドロソマイシン(drosomycin)(F
ehlbaumら、J.Biol.Chem.269:33159、1994);ミツバ
チ、マルハナバチ、スズメバチ(cicada killer)スズメバチ(horne
t)、スズメバチ(yellow jacket)およびスズメバチ(wasp)によっ
て産生されるアピデシン(apidaecin)(Casteelsら、J.Biol.
Chem.269:26107、1994;Levashinaら、Eur.J.Bio
chem.233:694、1995);カテリシジン(cathelicidin)(
例えば、ウシ好中球由来のインドリシジンおよびその誘導体またはアナログ)(Fall
aら、J.Biol.Chem.277:19298、1996);バクテリオシン(例
えば、ナイシン)(Delves−Broughtonら、Antonie van L
eeuwenhoek J.Microbiol.69:193、1996);ならびに
抗真菌活性、抗菌活性および抗ウイルス活性を有するプロテグリン(protegrin
)およびタキプレシン(tachyplesin)(Tamamuraら、Biochi
m.Biophys.Acta 1163:209、1993;Aumelasら、Eu
r.J.Biochem.237:575、1996;Iwangaら、Ciba Fo
und.Symp.186:160、1994)。
【0037】
特定の実施形態において、本発明の好ましい抗菌性カチオン性ペプチドは、インドリシ
ジンまたはそのアナログもしくは誘導体である(実施例1の表2を参照のこと)。天然の
インドリシジンは、種々の生物から単離され得、そして例えば、ウシ好中球から単離され
たインドリシジンは、13アミノ酸のペプチドであり、これはトリプトファンリッチであ
り、そのC末端にてアミド化されている(Selstedら、J.Biol.Chem.
267:4292、1992を参照のこと)。上記のように、好ましいインドリシジンま
たはそのアナログもしくは誘導体は、5〜45アミノ酸、より好ましくは7〜35アミノ
酸、なおより好ましくは8〜25アミノ酸、そして最も好ましくは10〜14アミノ酸を
含む(例えば、表2を参照のこと)。本発明のインドリシジンまたはそのアナログもしく
は誘導体は、意図される使用および処方成分に依存して、約0.01%〜約10%、好ま
しくは約0.5%〜約5%、そしてより好ましくは約1%〜約3%または約4%〜約6%
のいずれかの範囲の濃度で使用され得る(ここで、「約」は、示された値の±10%であ
る)。特定の実施形態において、この抗菌性カチオン性ペプチドは、上記の組成物のいず
れか1つにおいて、インドリシジンまたはそのアナログもしくは誘導体である。好ましい
実施形態において、この抗菌性カチオン性ペプチドは、上記の組成物のいずれか1つにお
いて使用され得る、以下の配列のうち1つを含む、35アミノ酸までのペプチドである:
11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F
5CN、11F12CN、11F17CN、11F50CN、11F56CN、11F6
3CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F9
3CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J
36CN、11J58CN、11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロイル−1
1B7CN、Nt−グルコシル−11J36CNまたはNt−グルコシル−11J38C
N。
【0038】
本発明の抗菌性カチオン性ペプチドは、そのアナログまたは誘導体であり得る。本明細
書中で使用される場合、用語「誘導体」および「アナログ」は、抗菌性カチオン性のペプ
チド、ポリペプチドまたは融合タンパク質をいう場合、上で留意されるような天然のペプ
チドと、実質的に同じ(少なくとも50%、そして好ましくは70%、80%または90
%より高い)かまたは増強された生物学的機能または活性を保持する、任意の抗菌性カチ
オン性のペプチド、ポリペプチドまたは融合タンパク質をいう。このようなアナログおよ
び誘導体の生物学的機能または活性は、本明細書中に記載されるアッセイのような標準的
な方法(例えば、抗菌性インヒビター、抗炎症性インヒビター、DNAおよび/またはタ
ンパク質合成のインヒビター)を使用して決定され得る。例えば、アナログまたは誘導体
は、切断によって活性化されて、活性な抗菌性カチオン性ペプチドを生成し得るプロタン
パク質であり得る。あるいは、カチオン性ペプチドのアナログまたはその誘導体は、抗カ
チオン性ペプチド抗体を特異的に結合する能力によって同定され得る。
【0039】
カチオン性ペプチドのアナログまたは誘導体は、例えば、任意の遊離アミノ酸残基(N
末端またはC末端のアミノ酸を含む)の1つ以上の欠失、挿入または改変を有し得る。改
変された抗菌性カチオン性ペプチド(例えば、アセチル化、アシル化、アクリロイル化、
アルキル化、グリコシル化(例えば、グルコシル化)、PEG化、ミリスチル化などのN
末端アミノ酸改変を有するペプチド;エステル化されたアミド化ホモセリン/ホモセリン
ラクトンまたはカプロラクタムC末端アミノ酸改変を有するペプチド;あるいは任意のア
ミノ基に結合体化されたポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール)
を有するペプチド)が、本発明の範囲内である。C末端アミノ酸の好ましい改変は、アミ
ド化である。
【0040】
アナログまたは誘導体もまた、抗菌性カチオンペプチド融合タンパク質であり得る。融
合タンパク質、またはキメラは、1つ以上の抗菌性カチオンペプチドの融合物、およびカ
チオン性ペプチドと非カチオン性ペプチドの融合物を含む。さらに、ペプチドは、ポリマ
ー改変ペプチドを形成するために改変され得る。ペプチドはまた、例えば、放射性標識、
蛍光標識、質量分析法タグ、ビオチンなどで標識され得る。
【0041】
アナログまたは誘導体の別の例としては、天然に存在するカチオン性ペプチドのアミノ
酸配列と比較して、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する抗菌性カチオン性ペプチドが
挙げられる。通常のアミノ酸間において、「保存的アミノ酸置換」は、例えば、以下の基
のそれぞれの中でのアミノ酸間の置換によって示される:(1)グリシン、アラニン、バ
リン、ロイシン、およびイソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシン、およびトリ
プトファン、(3)セリンおよびスレオニン、(4)アスパラギン酸およびグルタミン酸
、(5)グルタミンおよびアスパラギン、ならびに(6)リジン、アルギニンおよびヒス
チジン、あるいはこれらの組合せ。さらに、カチオン性ペプチドのアナログまたは誘導体
としては、例えば、非タンパク質アミノ酸(例えば、通常のアミノ酸の前駆体(例えば、
ホモセリンおよびジアミノピメレート)、異化経路における中間体(例えば、ピペコリン
酸および通常のアミノ酸のD−エナンチオマー)、ならびにアミノ酸アナログ(例えば、
アゼチジン−2−カルボン酸およびカナバニン)が挙げられ得る。
【0042】
アミノ酸の明示は、本明細書中において、標準的な1文字コードまたは3文字コードの
いずれかとして記載される。他に示さない限り、指定されたアミノ酸は、L−エナンチオ
マーをいう。極性アミノ酸としては、アスパラギン(AspまたはN)およびグルタミン
(GlnまたはQ);ならびに塩基性アミノ酸(例えば、アルギニン(ArgまたはR)
、リジン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH)、およびそれらの誘導体)
;ならびに酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸(AspまたはD)およびグルタミン
酸(GluまたはE)、およびそれらの誘導体)が挙げられる。疎水性アミノ酸としては
、トリプトファン(TrpまたはW)、フェニルアラニン(PheまたはF)、イソロイ
シン(IleまたはI)、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)
、バリン(ValまたはV)、およびそれらの誘導体;ならびに他の非極性アミノ酸(例
えば、グリシン(GlyまたはG)、アラニン(AlaまたはA)、プロリン(Proま
たはP)、およびそれらの誘導体)が挙げられる。中間の極性のアミノ酸としては、セリ
ン(SerまたはS)、スレオニン(ThrまたはT)、チロシン(TryまたはY)、
システイン(CysまたはC)、およびそれらの誘導体が挙げられる。大文字は、L−エ
ナンチオマーアミノ酸を示し;小文字は、D−エナンチオマーアミノ酸を示す。例えば、
いくつかの改変アミノ酸としては、2,3−ジアミノ酪酸、3−または4−メルカプトプ
ロリン誘導体、N−アセチル−N−ヒドロキシル−L−オルニチン、およびα−N−
ヒドロキシアミノ酸が挙げられ得る。抗菌性カチオン性ペプチドアナログまたはその誘導
体としては、天然ペプチドに対する上記改変のいずれか1つまたはその組合せ、あるいは
当該分野で公知の任意の他の改変が挙げられ得る。
【0043】
本発明のインドリシジンまたはそのアナログもしくは誘導体は、個々に使用され得るか
、あるいは1つ以上の異なるインドリシジンまたはそのアナログもしくは誘導体と組み合
わせて、1つ以上の抗菌性カチオン性ペプチドと組み合わせて、そして1つ以上の従来の
抗菌剤と組み合わせて、本明細書中に記載されるように使用され得る。従って、抗菌性カ
チオン性ペプチドおよび抗菌剤の相乗的組み合わせは、類似の治療効果または改善された
治療効果を達成するために、1つの薬剤または両方の薬剤の投薬量の減少を可能にし得る
。これは、より少ない用量の使用を可能にし、従って、(例えば、アミノグリコシドから
)毒性の潜在的発生を減少し、そして高価な抗菌剤(例えば、バンコマイシン)の費用を
低減する。抗菌性カチオン性ペプチド処方物および抗菌剤組成物の同時投与または連続的
投与は、種々の微生物(例えば、細菌、ウイルス、真菌、および寄生生物)によって引き
起こされる感染のより効果的な処置を提供することが期待される。特に、感染性疾患の首
尾良い処置または予防は、抗菌性カチオン性ペプチドおよび抗菌剤を、これらの抗菌剤が
個々に使用される場合に通常治療的に有効である用量より少ない用量で使用することによ
って、達成され得る。あるいは、抗生物質剤および抗菌性カチオン性ペプチド処方物は、
それぞれの抗菌剤の通常の効果的な治療用量を使用して投与され得るが、2つの薬剤の組
み合わせは、さらにより強力な効果を提供する。
【0044】
上記のように、好ましい抗菌性カチオン性ペプチド処方物は、他の公知の抗菌剤と相乗
的組み合わせで使用され得る。抗細菌剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定さ
れない:ペニシリン、セファロスポリン、カルバセフェム、セファマイシン、カルバペネ
ム、モノバクタム、アミノグリコシド、グリコペプチド、キノロン、テトラサイクリン、
マクロライド、およびフルオロキノロン。抗生物質剤の例としては、以下が挙げられるが
、これらに限定されない:ペニシリンG(CAS登録番号:61−33−6);メチシリ
ン(CAS登録番号:61−32−5);ナフシリン(CAS登録番号:147−52−
4);オキサシリン(CAS登録番号:66−79−5);クロキサシリン(CAS登録
番号:61−72−3);ジクロキサシリン(CAS登録番号:3116−76−5);
アンピシリン(CAS登録番号:69−53−4);アモキシリン(CAS登録番号:2
6787−78−0);チカルシリン(CAS登録番号:34787−01−4);カル
ベニシリン(CAS登録番号:4697−36−3);メズロシリン(CAS登録番号:
51481−65−3);アズロシリン(CAS登録番号:37091−66−0);ピ
ペラシリン(CAS登録番号:61477−96−1);イミペネム(CAS登録番号:
74431−23−5);アズトレオナム(CAS登録番号:78110−38−0);
セファロチン(CAS登録番号:153−61−7);セファゾリン(CAS登録番号:
25953−19−9);セファクロール(CAS登録番号:70356−03−5);
セファマンドールホルメートナトリウム(CAS登録番号:42540−40−9);セ
フォキシチン(CAS登録番号:35607−66−0);セフロキシム(CAS登録番
号:55268−75−2);セフォニシド(CAS登録番号:61270−58−4)
;セフメタゾール(CAS登録番号:56796−20−4);セフォテタン(CAS登
録番号:69712−56−7);セフプロジル(Cefprozil)(CAS登録番
号:92665−29−7);リンコマイシン(CAS登録番号:154−21−2);
リネゾリド(Linezolid)(CAS登録番号:165800−03−3);ロラ
カルベフ(Loracarbef)(CAS登録番号:121961−22−6);セフ
ェタメト(Cefetamet)(CAS登録番号:65052−63−3);セフォペ
ラゾン(CAS登録番号:62893−19−0);セフォタキシム(CAS登録番号:
63527−52−6);セフチゾキシム(CAS登録番号:68401−81−0);
セフトリアキソン(CAS登録番号:73384−59−5);セフタジジム(CAS登
録番号:72558−82−8);セフェピム(Cefepime)(CAS登録番号:
88040−23−7);セフィキシム(CAS登録番号:79350−37−1);セ
フポドキシム(CAS登録番号:80210−62−4);セフスロジン(CAS登録番
号:62587−73−9);フレロキサシン(CAS登録番号:79660−72−3
);ナリジクス酸(CAS登録番号:389−08−2);ノルフロキサシン(CAS登
録番号:70458−96−7);シプロフロキサシン(CAS登録番号:85721−
33−1);オフロキサシン(CAS登録番号:82419−36−1);エノキサシン
(CAS登録番号:74011−58−8);ロメフロキサシン(CAS登録番号:98
079−51−7);シノキサシン(CAS登録番号:28657−80−9);ドキシ
サイクリン(CAS登録番号:564−25−0);ミノサイクリン(CAS登録番号:
10118−90−8);テトラサイクリン(CAS登録番号:60−54−8);アミ
カシン(CAS登録番号:37517−28−5);ゲンタマイシン(CAS登録番号:
1403−66−3);カナマイシン(CAS登録番号:8063−07−8);ネチル
マイシン(CAS登録番号:56391−56−1);トブラマイシン(CAS登録番号
:32986−56−4);ストレプトマイシン(CAS登録番号:57−92−1);
アジスロマイシン(CAS登録番号:83905−01−5);クラリスロマイシン(C
AS登録番号:81103−11−9);エリスロマイシン(CAS登録番号:114−
07−8);エリスロマイシンエストレート(estolate)(CAS登録番号:3
521−62−8);エリスロマイシンエチルスクシネート(CAS登録番号:4134
2−53−4);エリスロマイシングルコヘプトネート(CAS登録番号:23067−
13−2);エリスロマイシンラクトビオネート(lactobionate)(CAS
登録番号:3847−29−8);エリスロマイシンステアレート(CAS登録番号:6
43−22−1);バンコマイシン(CAS登録番号:1404−90−6);テイコプ
ラニン(Teicoplanin)(CAS登録番号:61036−64−4);クロラ
ムフェニコール(CAS登録番号:56−75−7);クリンダマイシン(CAS登録番
号:18323−44−9);トリメトプリム(CAS登録番号:738−70−5);
スルファメトキサゾール(CAS登録番号:723−46−6);ニトロフラントイン(
CAS登録番号:67−20−9);リファンピン(CAS登録番号:13292−46
−1);ムピロシン(Mupirocin)(CAS登録番号:12650−69−0)
;メトロニダゾル(CAS登録番号:443−48−1);セファレキシン(CAS登録
番号:15686−71−2);ロキシスロマイシン(CAS登録番号:80214−8
3−1);コ−アモキシクラブアネート(Co−amoxiclavuanate);ピ
ペラシリンおよびタゾバクタム(Tazobactam)の組み合わせ;ならびにこれら
の種々の塩、酸、塩基、および他の誘導体。
【0045】
抗菌性カチオン性ペプチドはまた、抗真菌剤と組み合わせて使用され得る。例示的な抗
真菌剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:テルビナフィン塩酸塩、
ナイスタチン、アンホテリシン B、グリセオフルビン、ケトコナゾール、硝酸ミコナゾ
ール、フルシトシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、クロトリマゾール、安息香酸
、サリチル酸、および硫化セレニウム。
【0046】
抗菌性カチオン性ペプチドはまた、抗ウイルス剤と組み合わせて使用され得る。例示的
な抗ウイルス剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:塩酸アマンタジ
ン、リマンタジン、アシクロビル、ファムシクロビル(famciclovir)、ホス
カネット、ガンシクロビルナトリウム、イドクスウリジン、リバビリン、ソリブジン、ト
リフルリジン、バラシクロビル(valacyclovir)、ビダラビン、ジダノシン
、スタブジン(stavudine)、ザルシタビン(zalcitabine)、ジド
ブジン、インターフェロンα、およびエドクスジン(edoxudine)。
【0047】
抗菌性カチオン性ペプチドはまた、抗寄生生物剤と組み合わせて使用され得る。例示的
な抗寄生生物剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ピレトリン(p
irethrins)/ピペロニルブトキシド(piperonyl butoxide
)、ペルメトリン、ヨードキノール、メトロニダゾル、クエン酸ジエチルカルバマジン、
ピペラジン、ピランテルパモエート、メベンダゾール、チアベンダゾール、プラジカンテ
ル、アルベンダゾール、プログアニル、キニジングルコネート注射物、硫酸キニーネ、リ
ン酸クロロキン、塩酸メフロキン、リン酸プリマキン、アトバクオン(atovaquo
ne)、コトリモキサゾール(スルファメトキサゾール/トリメトプリム)、およびイセ
チオン酸ペンタミジン。
【0048】
別の局面において、免疫原を形成するために、小さな非免疫原性ペプチジルコアに結合
された約8個のコピーのペプチドを含む複数の抗原性ペプチド(MAP)を使用して、特
定の抗菌性カチオン性ペプチドおよびそのアナログまたは誘導体に対する抗体を作製し得
る(一般的に、Antibodies:A Laboratory Manual,Ha
rlow and Lane(編),Cold Spring Harbor Labo
ratory Press,1988を参照のこと)。あるいは、標的ペプチドは、ウシ
血清アルブミン(BSA)、オボアルブミン、または別の適切な結合体に結合体化され得
る。MAPまたはペプチド結合体は、ウサギまたはマウスまたは他の齧歯類動物(ここで
、これらの結合体は、抗体の産生を容易にするために、十分に長い半減期を有する)に皮
下的に注射される。12週間後に、血液サンプルが取られ、そして血清を、元のペプチド
に対するELISAアッセイにおける試験のために分離し、陽性結果が、標的ペプチドに
特異的な抗体の存在を示す。次いで、この血清を保存し得、そして特定の抗菌性カチオン
性ペプチドおよび/またはそのアナログもしくは誘導体の量を具体的に測定するためのE
LISAアッセイにおいて使用する。あるいは、抗体産生の他の標準的な方法(例えば、
モノクローナル抗体の作製)が使用され得る。
【0049】
本発明の文脈において、抗体は、特に、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗
イディオタイプ抗体、および抗体フラグメント(例えば、Fab、およびF(ab’)
、F可変領域、または相補性決定領域)を含むことが理解される。抗体は、一般的に、
10−7M以上、好ましくは、10−8M以上、より好ましくは、10−9M以上のK
で結合する場合、特異的なカチオン性ペプチド(例えば、インドリシジンおよびそれらの
アナログまたは誘導体)として受け入れられる。モノクローナル抗体または結合パートナ
ーの親和性は、当業者によって容易に決定され得る(例えば、Scatchard,An
n.N.Y.Acad.Sci.51:660−672,1949を参照のこと)。一旦
、適切な抗体が同定されると、これらは、当業者に周知な多くの技術によって単離または
精製され得る。
【0050】
モノクローナル抗体はまた、従来の技術を使用して、ハイブリドーマ細胞株から容易に
作製され得る(米国特許RE 32,011,同第4,902,614号、同第4,54
3,439号、および同第4,411,993号を参照のこと;Antibodies:
A Laboratory Manual,1988もまた参照のこと)。簡単に述べる
と、1つの実施形態において、被験体動物(例えば、ラットまたはマウス)が、選ばれた
ペプチドを注射される。このペプチドは、一般的に、フロイント完全アジュバントまたは
フロイント不完全アジュバントのようなアジュバント(これは、免疫応答を増加すること
を意図する)を含む、エマルジョンで投与される。動物は、一般的に、脾臓および/また
はリンパ節の採取およびそれらの細胞の不死化の前に、少なくとも1回ブーストされる。
種々の不死化技術(例えば、ハイブリドーマを作製するためのエプスタイン−バーウイル
スまたは融合物によって媒介される)が使用され得る。好ましい実施形態において、不死
化は、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製するために、適切なミエロー
マ細胞株との融合によって生じる。適切なミエローマ株としては、例えば、NS−1(A
TCC番号TIB 18)、およびP3X63−Ag 8.653(ATCC番号CRL
1580)が挙げられる。好ましい融合パートナーは、内因性抗体遺伝子を発現しない
。約7日後に、ハイブリドーマは、抗菌性カチオン性ペプチドおよびそのアナログまたは
誘導体に対して反応性である抗体の存在についてスクリーニングされ得る。幅広い種々の
アッセイが利用され得る(Antibodies:A Laboratory Manu
al,1988を参照のこと)。
【0051】
当該分野において公知の他の技術は、モノクローナル抗体を構築するために利用され得
る(Huseら,Science 246:1275−1281,1989;Sastr
yら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5728−5732,1
989;Alting−Meesら,Strategies in Molecular
Biology 3:1−9,1990を参照のこと;これらは、組換え技術を記載す
る)。これらの技術は、適切なベクター(例えば、λImmunoZap(H)およびλ
ImmunoZap(L))において重鎖免疫グロブリンcDNAおよび軽鎖免疫グロブ
リンcDNAをクローニングすることを包含する。これらの組換えは、個々にスクリーニ
ングされ得るかまたは同時に発現されて、Fabフラグメントまたは抗体を形成し得る(
Huseら、上記;Sastryら、上記を参照のこと)。引き続いて、陽性プラークは
、宿主(例えば、E.coli)においてモノクローナル抗体の高レベル発現を可能にす
るために、非溶解性プラスミドに変換され得る。
【0052】
同様に、抗体の一部またはフラグメント(例えば、FabおよびFvフラグメント)は
また、抗体の単離された可変領域を作製するために、従来の酵素消化または組換えDNA
技術を使用して構築され得る。1つの実施形態において、目的のモノクローナル抗体を産
生するハイブリドーマから可変領域をコードする遺伝子を、可変領域に対するヌクレオチ
ドプライマーを使用して増幅する。さらに、抗菌性カチオン性ペプチドおよびそのアナロ
グまたは誘導体に対する抗体の結合特異性を変化させることなく、「マウス」抗体を「ヒ
ト」抗体に変更するための技術が使用され得る。
【0053】
(B.抗菌性カチオン性ペプチドをコードする核酸)
カチオン性ペプチドをコードする核酸分子は、天然の供給源から単離され得るか、核酸
分子の自動合成により得られ得るか、または抗菌性カチオン性ペプチド遺伝子の公知のヌ
クレオチド配列に基づくヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドプライマーを用い
るポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いることによって得られ得る。後者のアプローチ
において、カチオン性ペプチド遺伝子は、相互プライミングオリゴヌクレオチド(mut
ually priming oligonucleotide)を使用して合成される
(例えば、Ausubelら(編),Short Protocols in Mole
cular Biology,第3版,8−8〜8−9頁,John Wiley &
Sons,1995を参照のこと、これは、本明細書中において以後、「Ausubel
(1995)」と呼れる)。ポリメラーゼ連鎖反応を使用する確立された技術は、少なく
とも2キロベースの長さのDNA分子を合成する能力を提供する(Adangら,Pla
nt Molec.Biol.21:1131,1993;Bambotら,PCR M
ethods and Applications 2:266,1993;Dillo
nら,「Use of the Polymerase Chain Reaction
for the Rapid Construction of Synthetic
Genes,「Methods in Molecular Biology,15巻
:PCR Protocols:Current Methods and Appli
cations,White(編),263−268頁,Humana Press,I
nc.,1993;Holowachukら,PCR Methods Appl.4:
299,1995)。
【0054】
上記のように、本発明は、天然のカチオン性ペプチドのアナログまたは誘導体を企図し
、このアナログまたは誘導体は、本明細書で記載される方法によって組換え的に産生され
得る。保存的アミノ酸アナログまたは誘導体をコードするヌクレオチド配列は、例えば、
オリゴヌクレオチド指向変異誘発、リンカー走査変異誘発、ポリメラーゼ連鎖反応を使用
する変異誘発などによって得られ得る(Ausubel,1995,8−10頁〜8−2
2頁;およびMcPherson(編),Directed Mutagenesis:
A Practical Approach,IRL Press,1991を参照のこ
と)。
【0055】
カチオン性ペプチド改変体を構築する際の1つの目的がその活性を改善することであり
得るが、組換え宿主細胞におけるその産生を向上するために、天然に存在するカチオン性
ペプチドのアミノ酸置換を変更することもまた望ましくあり得る。特定のコドンの存在は
、特定の宿主における有害な効果を有し得;従って、所望のカチオン性ペプチドをコード
するDNA配列が、特定の宿主系(例えば、原核生物細胞または真核生物細胞)について
最適化される。例えば、ダイコンカチオン性ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、
ダイコンにおいて通常見出されるが、E.coliについてはまれであるコドンを含み得
る。まれなコドンの存在は、ダイコンカチオン性ペプチドが組換えE.coliにおいて
発現される場合に、タンパク質レベルで有害な効果を有し得る。コドン使用頻度の問題を
軽減するためにヌクレオチド配列を変更するための方法は、当業者に周知である(例えば
、Kane,Curr.Opin.Biotechnol.6:494,1995;Ma
krides,Microbiol.Rev.60:512,1996;およびBrow
n (編),Molecular Biology LabFax,BIOS Scie
ntific Publishers,Ltd.,1991(これは、245頁〜253
頁において、コドン使用頻度表を提供する)を参照のこと)。
【0056】
ペプチドは、組換え技術(米国特許第5,593,866号を参照のこと)によって合
成され得、そして種々の宿主系(細菌(例えば、E.coli)、酵母(例えば、Sac
charomyces cerevisiae)、昆虫(例えば、Sf9)、および哺乳
動物細胞(例えば、CHO、COS−7)を含む)が、カチオン性ペプチドおよびそのア
ナログまたは誘導体の産生に適切である。多くの発現ベクターが開発され、そしてこれら
の宿主細胞のそれぞれについて利用可能である。一般的に、細菌において機能的であるベ
クターが、本発明において使用される。しかし、時々、他の宿主において機能的であるベ
クターを有することが好ましくあり得る。E.coliにおけるクローニングおよび発現
のためのベクターおよび手順は、本明細書中、および例えば、Sambrookら(Mo
lecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold
Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spr
ing Harbor,NY,1987)およびAusubelら,1995において考
察される。
【0057】
カチオン性ペプチドをコードするDNA配列は、宿主細胞に適切な発現ベクターに導入
される。好ましい実施形態において、遺伝子は、融合タンパク質を作製するために、ベク
ターにクローニングされる。融合パートナーは、細菌宿主がペプチドの毒性効果から保護
されるように、アニオン性領域を含むように選択される。この保護性領域は、ペプチドの
抗菌性効果を効果的に中和し、そして宿主プロテアーゼによるペプチド分解も妨げ得る。
本発明の融合パートナー(キャリアタンパク質)は、さらに、融合ペプチドを、封入体、
ペリプラズム、外膜、または細胞外環境に輸送するために機能する。本発明の文脈におい
て適切なキャリアタンパク質としては、具体的には、以下が挙げられるが、これらに限定
されない:グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、Staphylococ
cus aureus由来のプロテインA、プロテインAの2つの合成IgG結合ドメイ
ン(ZZ)、外膜プロテインF、β−ガラクロシダーゼ(lacZ)、ならびにバクテリ
オファージλおよびバクテリオファージT7の種々の産物。本明細書中に提供される技術
から、他のタンパク質がキャリアとして使用され得ることが明らかである。さらに、保護
性アニオン領域が存在する限り、キャリアタンパク質全体が使用される必要はない。ペプ
チド配列の単離を容易にするために、化学切断(例えば、CNBr)または酵素切断(例
えば、V8プロテアーゼ、トリプシン)に感受性のアミノ酸が、ペプチドおよび融合パー
トナーを架橋するために使用される。E.coliにおける発現のために、融合パートナ
ーは、好ましくは、封入体形成に対する発現を指向する通常の細胞内タンパク質である。
このような場合において、最終生成物を放出するための切断に続いて、ペプチドの再生に
は必要でない。本発明において、DNAカセット(融合パートナーおよびペプチド遺伝子
を含む)は、発現ベクター(これは、プラスミド、ウイルスまたは当該分野で公知の他の
ビヒクル)に挿入され得る。好ましくは、発現ベクターは、宿主に挿入されたDNAの効
率的な転写を容易にするために、誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターを含むプ
ラスミドである。組換えDNAを用いる宿主細胞の形質転換は、Ca++媒介技術、エレ
クトロポレーション、または当業者に周知の他の方法によって実施され得る。
【0058】
簡単に述べると、ペプチドをコードするDNA配列フラグメントは、既存のcDNAま
たはゲノムクローンに由来するか、あるいは合成される。従来の方法は、一本鎖テンプレ
ートからの遺伝子の増幅である。テンプレートは、一般的に、自動化オリゴヌクレオチド
合成の産物である。増幅プライマーは、テンプレートの5’末端および3’末端に由来し
、そして代表的には、ベクターのクローニング部位に関して選択された制限部位を組み込
む。必要な場合、翻訳開始コドンおよび停止コドンは、プライマー配列中に操作され得る
。タンパク質をコードする配列は、特定の宿主における発現のためにコドン最適化され得
る。従って、例えば、アナログ融合タンパク質が細菌において発現される場合、コドンは
、細菌使用について最適化される。コドン最適化は、遺伝子全体または遺伝子領域の自動
化合成、複数のオリゴヌクレオチドの連結、ネイティブ配列の変異誘発、または当業者に
公知の他の技術によって達成される。
【0059】
好ましい実施形態において、ベクターは、細菌細胞中で複製し得る。従って、このベク
ターは、細菌複製起点を含み得る。好ましい細菌複製起点としては、f1−oriおよび
col E1ori、特に、pUCプラスミドから誘導されるoriが挙げられる。低コ
ピー数のベクター(例えば、pPD100)、もまた使用され得る(特に、この産物が宿
主に対して有害な場合)。このプラスミドはまた、好ましくは、宿主中で機能的である少
なくとも1つの選択マーカーを含む。選択マーカー遺伝子は、形質転換細胞に同定され、
そして/または選択的に成長させることを可能にする宿主の表現型を与える。細菌宿主の
ために適切な選択マーカー遺伝子としては、クロロアンフェニコール(chloroam
phenicol)耐性遺伝子(Cm)、アンシピリン耐性遺伝子(Amp)、テト
ラサイクリン耐性遺伝子(Tc)、カナマイシン耐性遺伝子(Kan)、および当該
分野で公知の他のものが挙げられる。選択において機能するために、いくつかのマーカー
は、宿主における相補的欠損(deficiency)を必要とし得る。このベクターは
また、レプレッサタンパク質をコードする遺伝子を含み得、このレプレッサタンパク質は
、レプレッサ結合部位を含むプロモーターの転写を抑制し得る。細胞の生理学的状態を変
化させることによって、プロモーターを抑制し得る。例えば、レプレッサを競合的に結合
する分子を加え得るかまたは増殖培地の温度を変更し得る。レプレッサタンパク質として
は、E.coli laclレプレッサ(IPTGによる誘発に対して応答性)、温度感
応性λcI857レプレッサなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
最低限、発現ベクターは、プロモーター配列を含むべきである。しかし、他の調節配列
もまた、含まれ得る。このような配列としては、エンハンサー、リボソーム結合部位、転
写末端シグナル配列、分泌シグナル配列、複製起点、選択マーカーなどが挙げられる。こ
の調節配列は、別の調節配列と作動可能に連結されて、転写および引き続く翻訳を可能に
する。好ましい局面において、発現のために本明細書中で使用されるプラスミドは、細菌
中のタンパク質の発現のために設計されたプロモーターを含む。適切なプロモーターは、
構成プロモーターと誘導プロモーターの両方を含み、これらは、広範に入手可能であり、
そして当該分野で周知である。細菌中での発現のために一般に使用されるプロモーターと
しては、T7ファージ、T3ファージ、T5ファージ、およびSP6ファージならびにt
rpオペロン、lppオペロン、およびlacオペロン由来のプロモーターが挙げられる
。ハイブリッドプロモーター(米国特許第4,551,433号を参照のこと)(例えば
、tacおよびtrc)もまた、使用され得る。細菌中での発現のためのプラスミドの例
としては、pET発現ベクターである、pET3a、pET 11a、pET 12a−
c、およびpET 15b(米国特許第4,952,496号;Novagen、Mad
ison、WI製)が挙げられる。低コピー数のベクター(例えば、pPD100)は、
E.coli宿主に対して有害なペプチドの効率的な過剰産生のために使用され得る(D
erschら、FEMS Microbiol.Lett.123:19、1994)。
T7発現ベクターのための細菌宿主は、E.coli HMS174(DE3)pLys
S株、BL21(DE3)pLysS株、HMS174(DE3)株およびBL21(D
E3)株に見出されるような、誘導プロモーター(例えば、lacUVプロモーター;米
国特許第4,952,496号を参照のこと)に作動可能に連結されたT7 RNAポリ
メラーゼをコードするDNAの染色体コピーを含み得る。T7 RNAポリメラーゼはま
た、T7発現ベクターと適合性のプラスミド上に存在し得る。このポリメラーゼは、λプ
ロモーターおよびレプレッサの制御下にあり得る(例えば、pGP1−2;Taborお
よびRichardson、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1
074、1985)。
【0061】
いくつかの局面において、このペプチドをコードするヌクレオチド配列はまた、分泌シ
グナルをコードし、その結果得られるペプチドは、前駆タンパク質(すなわち、プロタン
パク質)として合成され、この前駆タンパク質は、引き続き処理され、そして分泌される
。得られる分泌ペプチドまたは融合タンパク質は、細胞膜周辺腔または発酵培地から回収
され得る。使用のために適切な分泌シグナルの配列は、広範に入手可能であり、そして周
知である(von Heijne、J.Mol.Biol.184:99−105、19
85)。
【0062】
このペプチド産物は、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフ
ィー、またはイオン交換クロマトグラフィー、HPLCなどのような標準的な技術によっ
て単離される。単離されたペプチドは、好ましくは、SDS−PAGEのクマシーブルー
染色によって主要なバンドを示すべきであり、好ましくは、少なくとも75%、80%、
90%、または95%の精製ペプチド、ポリペプチド、または融合タンパク質である。
【0063】
(C.抗菌性カチオン性ペプチドアナログおよび誘導体の試験)
本発明の抗菌性カチオン性ペプチド、およびそのアナログまたは誘導体が、単独でかま
たは抗菌剤もしくは別のアナログと組み合わせてかのいずれかで、一連のアッセイを使用
する抗生物質治療剤としてのそれらの可能性について評価される。好ましくは、全てのペ
プチドがインビトロで最初に評価され、最も見込みのある候補は、インビボでのさらなる
評価のために選択され、次いで、候補が、前臨床研究のために選択される。このインビト
ロアッセイとしては、抗菌活性、毒性、溶解性、薬理学、二次構造、リポソーム透過化処
理などの測定が挙げられる。インビボアッセイとしては、動物モデルにおける効力(抗原
性、毒性など)の評価が挙げられる。一般的に、インビトロアッセイは、最初に実施され
、その後インビボアッセイが実施される。
【0064】
一般的に、カチオン性ペプチドは、以下について最初に試験される:(1)インビトロ
での抗菌活性;(2)正常な哺乳動物細胞に対するインビトロ毒性;および(3)動物モ
デルにおけるインビボ毒性。いくつかの抗菌活性を有するカチオン性ペプチドが好ましい
が、このような活性は、抗菌剤の活性を増強するために必要であるとは限らない。また、
インビボでの使用について、ペプチドは、好ましくは、標準的な手順によって測定される
ような受容可能な毒性プロフィールを示すべきであり、ここで、より低い毒性が好ましい
。さらなるアッセイが、ペプチドが、免疫原性ではないことを示すため、およびインビボ
の抗菌活性を試験するために実施される。
【0065】
(1.インビトロアッセイ)
カチオン性ペプチド(例えば、インドリシジン(indolicidin)アナログを
含む)は、例えば、アガロース希釈MICアッセイ、液体希釈法、タイムキル(time
−kill)アッセイ、または等価法(equivalent method)によって
評価される。抗菌活性は,微生物(例えば、細菌、真菌)の増殖または死滅の阻害として
測定される。
【0066】
簡単に言うと、カルシウムとマグネシウムを補充されたMueller Hinton
ブロス中の候補抗菌性カチオン性ペプチドは、溶融アガロースと混合される。他のブロス
および寒天は、ペプチドがその培地全体に自由に拡散し得るほど長く使用され得る。この
アガロースは、ペトリ皿またはウエルに注がれ、凝固され、そして試験株がこのアガロー
スプレートに適用される。この試験株は、一部、ペプチドの適用を意図して選択される。
したがって、実施例の方法によって、S.aureusに対する活性を有する、インドリ
シンまたはそのアナログもしくは誘導体が所望される場合、S.aureus株が使用さ
れる。いくつかの株および/または試験種の臨床単離体における候補抗菌性カチオン性ペ
プチドをアッセイすることが所望され得る。プレートを一晩インキュベートして、細菌の
増殖について視覚的に調べた。カチオン性ペプチドの最小阻止濃度(MIC)は、生物の
増殖を完全に阻止する、ペプチドの最小濃度である。試験株または試験株群に対して良好
な活性を示すペプチドは、典型的には、16μg/ml以下または16μg/mlに等し
いのMICを有し、これらのペプチドは、さらなる試験のために選択される。好ましい抗
菌性カチオン性ペプチドまたはそのアナログもしくは誘導体は、殺菌薬または静菌薬(m
icrobistatic)であり得る。
【0067】
あるいは、タイムキル(time kill)曲線を使用して、所定の時間(典型的に
は、24時間)にわたる増殖の差異(例えば、細菌コロニー数)を決定し得る。簡単に言
うと、既知の濃度の生物懸濁液が調製され、そして候補ペプチドが添加される。懸濁液の
アリコートを所定の時間で取りだし、希釈し、培地にプレートし、インキュベートし、そ
して計数する。MICは、ペプチドの最低濃度として測定され、これは、生物の増殖を完
全に阻止し、そして一般的には、より低いMIC値が好ましい。
【0068】
本明細書中で記載される溶媒、ブロスまたは共溶媒(co−solvent)系中のペ
プチドの溶解性は、試験され得るさらなるパラメーターである。緩衝液中での様子のよう
な種々の異なるアッセイが使用され得る。簡単に言うと、候補抗菌性カチオン性ペプチド
またはそのアナログもしくは誘導体は、溶媒、ブロス、または共溶媒系と接触され得、そ
して(a)清澄(clear)、沈殿無し;(b)明るい(light)、散在性の沈殿
;から(c)濁っている(cloudy)、重みのある(heavy)沈殿、までの範囲
のスケールにしたがって、その見た目を評価した。一般的には、より少ない沈殿がより望
まれるが、いくらかの沈殿は、受け入れられ得る。溶解性のレベルを評価するために、例
えば、当業者は、その組み合わせを可視的に観察し得るか、または適切な波長でのU.V
.もしくは可視光吸収のような種々の分光光度技術を使用し得る。
【0069】
さらなるインビトロアッセイを実施して、治療剤としての候補ペプチドまたはそのアナ
ログもしくは誘導体の可能性を評価し得る。このようなアッセイとしては、処方物中のペ
プチド溶解性、血液または血漿中の薬理学および安定性、血清タンパク質結合、二次構造
(例えば、円偏光二色性)の分析、リポソーム透過化処理、および細菌膜透過化処理が挙
げられる。一般的には、好ましい実施形態は、可溶性であり、生物学的流体中で活性であ
り、安定であり、そして一般的に天然のペプチド(例えば、インドリシジン)よりも大き
い抗菌活性を有する、候補ペプチドアナログまたはその誘導体を含む。
【0070】
(2.インビボアッセイ)
インビトロアッセイからの結果に基づいて選択されたペプチドおよびそのアナログまた
は誘導体は、効力、安定性などについてさらにインビボで試験され得る。種々の方法およ
び動物モデルが、選択された候補ペプチドおよびそのアナログまたは誘導体の抗菌活性を
、微生物感染を回復させるそれらの能力について、インビボで評価するために利用可能で
ある。これらのアッセイにおいて、ペプチドは、ビヒクルのみでの阻止と比較して、微生
物増殖の阻害が統計学的に有意である場合、治療剤として有用である。この測定は、体液
または身体部位から単離された培養物から直接的にかまたは感染した動物の生存率を評価
することによって間接的に、なされ得る。
【0071】
候補ペプチドアナログおよび誘導体の抗菌活性を天然のペプチドと比較して評価するた
めに、いくつかの動物モデルが利用可能であり、その動物モデルとしては、(a)致死的
容量の微生物を受容する正常マウス、(b)致死的容量の微生物を受容する好中球減少性
マウス、または(c)心臓に微生物の種菌を受容するウサギ、を含む急性感染症モデル、
および慢性感染性モデルが挙げられる。選択されるモデルは、一部、ペプチドおよび/ま
たはそのアナログもしくは誘導体の、意図された臨床的指標に依存する。
【0072】
例示であって、限定ではない目的によって、正常なマウスモデルを使用して、致死量の
細菌を腹腔内(i.p.)または静脈内(i.v.)で、マウスに接種する。代表的に、
この用量は、90〜100%の動物が2日以内に死亡する量である。このアッセイのため
の微生物株の選択は、一部、抗菌性カチオン性ペプチドまたはそのアナログもしくは誘導
体の、意図される用途に依存し、そして付随する実施例において、アッセイを、3つの異
なるStaphylococcus株を用いて実施する。簡単に言うと、選択した微生物
の接種の直前または直後(一般的には60分以内)に、適切な処方緩衝液(本明細書中に
記載したとおり)中のペプチドまたはそのアナログもしくは誘導体を注射する。ペプチド
の複数注射が投与され得る。動物を、感染後8日まで観察し、そして生き残った動物を記
録する。成功した処置は、非処置のコントロール動物と比較して、動物を死から救出する
かまたは統計学的に有意なレベルまで死を遅らせる。天然のペプチド(例えば、インドリ
シジン)よりもよりよい効力を示す抗菌性カチオン性ペプチドアナログまたはその誘導体
が、好ましい。
【0073】
さらに、インビボでの使用のためには、低い免疫原性が好ましい。免疫原性を測定する
ために、ペプチドを正常な動物(一般的には、ウサギ)に注射する。単回または複数回の
注射後、種々の時点で、血清を得、そしてペプチドまたはそのアナログもしくは誘導体に
対する抗体反応性について試験する。ペプチドまたはそのアナログもしくは誘導体に対す
る抗体を、ELISA、免疫沈降アッセイ、ウエスタンブロットおよび他の当該分野で公
知の方法(Antibodies:A Laboratory Manual、1988
を参照のこと)によって同定し得る。好ましい実施形態において、目的の抗体は、検出不
可能かまたは最小限度に検出可能な、候補ペプチドまたはそのアナログもしくは誘導体と
の反応性を有する。さらに、動物における候補ペプチドまたはそのアナログもしくは誘導
体の薬理学およびペプチドで処理される動物の組織病理学が決定され得る。
【0074】
潜在的な治療剤としての、抗菌性カチオン性ペプチドおよびそのアナログまたは誘導体
の選択は、典型的には、インビトロおよびインビボのアッセイ結果に基づく。一般的に、
低い免疫原性、良好なインビボ安定性、および低い用量レベルでの高い効力を示すペプチ
ドが、好ましい候補抗菌性カチオン性ペプチドおよびそのアナログまたは誘導体である。
【0075】
(D.カチオン性ペプチド処方物および治療法)
上記したように、本発明は、本明細書中に記載されるような、治療的に有効な量の抗菌
性カチオン性ペプチド、好ましくは、インドリシジンまたはそのアナログもしくは誘導体
を、患者に投与することによって感染を処置および予防するための方法を提供する。抗菌
性カチオン性ペプチドは、本発明の方法において使用される場合、好ましくは、薬学的組
成物の一部である。この薬学的組成物は、少なくとも1種の薬学的に受容可能なビヒクル
、キャリア、希釈剤、または賦形剤を含み、さらに、1種以上の抗菌性カチオン性ペプチ
ドおよび必要に応じて、他の成分も含む。治療用途のための薬学的に受容可能な賦形剤は
、薬学的分野において周知であり、本明細書中および例えば、Remington’s
Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing
Co.(A.R.Gennaro(編)第18版、1990)およびCRC Handb
ook of Food、Drug、and Cosmetic Excipients
、CRC Press LLC(S.C.Smolinski(編)、1992)に記載
される。
【0076】
本発明に従う抗菌性カチオン性ペプチド組成物の治療効力は、成功した臨床的結果に基
づき、感染に関与する微生物の100%の排除を必要としない。宿主が生存するか、感染
を解決するか、または原因物質を根絶するのを可能にする感染部位の抗菌活性レベルを達
成することが十分である。宿主防御が最大に効果的である場合、そうでなければ健康な個
体において、最小の抗菌効果のみが十分であり得る。したがって、1対数(底は10)ま
で生物負荷を減少させることによって、宿主の防御が、感染を制御するのを可能にし得る
。さらに、臨床的治療の成功は、長期間の効果よりもむしろ初期の細菌効果をさらに増強
することに依存し得る。なぜならば、長期間の効果は、宿主防御機構の活性化に時間を与
えるからである。このことは、特に、生命を脅かす感染(例えば、髄膜炎)および他の重
篤な慢性感染(例えば、感染性心内膜炎)について事実である。
【0077】
本発明の処方物は、感染を処置および予防するのに十分な量の抗菌性カチオン性ペプチ
ドを有し、例えば、局所的(例えば、クリーム、軟膏、皮膚パッチ、点眼薬、点耳薬、シ
ャンプー)適用または投与のために特に適切である。他の典型的な投与経路としては、以
下が挙げられるが、これらに限定されない:経口、非経口、舌下、膀胱洗浄(bladd
er wash−out)、膣、直腸、腸、坐剤、鼻、および吸入。非経口という用語は
、本明細書中で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内(intraa
bdominal)、腹腔内(intraperitoneal)、関節内、眼内または
眼球後、耳内、鞘内、腔内性、腔内、脊椎内、肺内または経肺(transpulmon
ary)、滑液包内、および尿道内の注射または感染技術を含む。本発明の薬学的組成物
は、その中に抗菌性カチオン性ペプチドを含み、被験体への組成物の投与において生物が
利用可能になるように処方される。投与後の血清および他の組織中のペプチドのレベルは
、種々の十分に確立された技術(例えば、細菌ベースのアッセイ、クロマトグラフベース
のアッセイまたは抗体ベースのアッセイ(例えば、ELISA)によってモニターされ得
る。したがって、特定の好ましい実施形態において、本明細書中に記載される抗菌性カチ
オン性ペプチドならびにそのアナログおよび誘導体は、それを必要とする被験体(例えば
、動物またはヒト)の標的部位への局所適用のために処方される。
【0078】
その組成物は、単回投与単位(例えば、錠剤、カプセル、またはゲル)として被験体に
投与され得、そしてその組成物は、複数回投与単位(例えば、エアロゾル形態)として投
与され得る。例えば、抗菌性カチオン性ペプチド処方物は、滅菌され得、所定の寸法の単
回使用のプラスチックラミネートされた子袋またはプラスチックチューブにパッケージン
グされ得、日常的な測定された分散剤を提供する。1つの例において、この容器は、0.
5mlの抗菌性カチオン性ペプチド組成物(例えば、ゲル形態)を、感染を処置または予
防するために被験体上または被験体中の標的表面の限定された部分に分配するように予測
された寸法を有し得る。典型的な標的は、例えば、静脈内カテーテルの挿入部位のごく近
くであり、ここで、この標的表面は、通常、約2平方センチメートルの領域を有する。
【0079】
抗菌性カチオン性ペプチド組成物は、存在する、異なる薬学的に受容可能な賦形剤の量
および数に依存して、種々の形態で提供され得る。例えば、ペプチド組成物は、固体、半
固体、液体、ローション、クリーム、軟膏、セメント、ペースト、ゲル、またはエアロゾ
ルの形態であり得る。好ましい実施形態において、ペプチド処方物は、ゲルの形態である
。本明細書中に記載されるようなこのペプチド処方組成物中で使用するために適切な薬学
的に受容可能な賦形剤としては、例えば、増粘剤、緩衝剤、溶媒、湿潤剤、保存剤、キレ
ート剤、油性化合物、緩和剤、抗酸化剤、アジュバントなどが挙げられ得る。これらの各
賦形剤の機能は、本発明の内容において相互排他的ではない。例えば、グリセリンは、溶
媒としてか湿潤剤としてかまたは増粘剤として使用され得る。1つの好ましい実施形態に
おいて、この処方物は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、および溶媒を含む組成物で
あり、この処方物は、例えば、本明細書中に記載されるような移植されたかまたは内在す
る医療用デバイスの標的部位で有用である。
【0080】
上記の薬学的に受容可能な賦形剤は当該分野で公知であるが、賦形剤の特定の組み合わ
せが、抗菌性カチオン性ペプチドならびにそのアナログおよび誘導体に、周囲温度で貯蔵
される場合、アルコール性の溶媒の存在下でさえも、安定性および延長された活性を与え
ることは本発明の予想外の結果である。本発明の組成物中で有用な溶媒は、当該分野で周
知であり、この溶媒としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:水、グリセ
リン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタノール、およびメタノール。いく
つかの実施形態において、溶媒は、好ましくは、約0.1%〜約20%、より好ましくは
、約5%〜約15%、および最も好ましくは、約9%〜11%の範囲の濃度のグリセリン
またはプロピレングリコールである。他の実施形態において、溶媒は、好ましくは、約9
9%まで、より好ましくは約90%まで、そして最も好ましくは85%までの濃度の水ま
たはエタノールである。(他に示されない限り、全ての%は、w/wに基づく。)なお他
の実施形態において、溶媒は、水、グリセリン、プロピレングリコール、イソプロパノー
ル、エタノール、およびメタノールのうちの少なくとも1つであり、好ましくは、グリセ
リンまたはプロピレングリコールおよびエタノールであり、より好ましくは、グリセリン
およびエタノール、そして最も好ましくは、グリセリンおよび水である。1つの実施形態
は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、溶媒を含む組成物であり、ここで、この溶媒は
、99%までの濃度の水、20%までの濃度のグリセリン、20%までの濃度のプロピレ
ングリコール、99%までの濃度のエタノール、および99%までの濃度のメタノールの
うちの少なくとも1つを含む。
【0081】
本発明の別の有用な薬学的賦形剤は、増粘剤である。特定の実施形態では、本発明の抗
菌性カチオン性ペプチド組成物は、増粘剤を含み、限定することなく以下が挙げられる:
デキストラン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキ
シプロピルセルロース、ならびにこれらの組み合わせ。好ましい実施形態では、増粘剤は
、好ましくは、約0.5%〜約5%、より好ましくは、約1%〜約3%、最も好ましくは
、約1.3%〜約1.7%の範囲の濃度のヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシ
プロピルセルロースである。さらに他の好ましい実施形態では、抗菌性カチオン性ペプチ
ド組成物は、第1の増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、デキストラン、またはポリビニルピロリドン)および第2の増粘剤(
例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキスト
ラン、またはポリビニルピロリドン)を有する。第1の増粘剤または第2の増粘剤のいず
れかとして用いられる場合、デキストランおよびポリビニルピロリドンが、好ましくは、
約0.1%〜約5%、そして、より好ましくは、約0.5%〜約1%の範囲の濃度で用い
られる。1つの好ましい実施形態では、第1の増粘剤は、3%までの濃度のヒドロキシエ
チルセルロースであり、そして第2の増粘剤は、3%までの濃度のヒドロキシプロピルメ
チルセルロースである。当該分野で知られているように、増粘剤の量を増加して、組成物
の形態を、液体〜ゲル〜半固体形態にシフトし得る。従って、処方物に用いられる増粘剤
の量は、意図される用途および本明細書中で提供されるペプチド組成物の投与の位置に依
存して変化し得る。
【0082】
特定の適用では、本発明により意図される抗菌性カチオン性ペプチド組成物のpHを、
生理学的に受容可能な範囲内およびペプチドまたはそのアナログもしくは誘導体の活性を
最適にする範囲内に維持することが所望され得る。本発明の抗菌性カチオン性ペプチドは
、中性またはいくらか酸性である組成物中で最良に機能するが、このペプチドは、わずか
に塩基性(すなわち、pH8)である組成物中でも、抗菌活性および抗炎症活性をなお有
する。従って、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、および溶媒を含む組成物は、緩衝剤
をさらに含み得る。特定の実施形態では、この緩衝剤は、モノカルボキシレートまたはジ
カルボキシレートを含み、そして、さらに具体的には、アセテート、フマレート、ラクテ
ート、マロネート、スクシネート、またはタータレートであり得る。好ましくは、緩衝剤
を有する抗菌性カチオン性ペプチド組成物は、約3〜約8、そして、より好ましくは、約
3.5〜7の範囲のpHを有する。別の好ましい実施形態では、この緩衝剤は、約1mM
〜約200mM、そして、より好ましくは、約2mM〜約20mM、そして、最も好まし
くは、約4mM〜約6mMの範囲の濃度である。
【0083】
他の任意の薬学的に受容可能な賦形剤は、例えば、処方物の投与を補助し得るもの(例
えば、抗刺激剤、ポリマーキャリア、アジュバント)、または処方物の構成成分の完全性
を保護することを補助し得るもの(例えば、酸化防止剤および保存剤)である。代表的に
は、1.0%の抗菌性カチオン性ペプチド組成物は、2℃〜8℃で保存され得る。特定の
実施形態では、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、および溶媒を含む組成物は、湿潤剤
(好ましくは、ソルビトールなど)、または保存剤(好ましくは、安息香酸、ベンジルア
ルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)をさらに含
み得る。特定の状況では、抗菌性カチオン性ペプチド、またはそのアナログもしくは誘導
体は、それ自体、最終の治療用組成物の保存剤として機能し得る。例えば、保存剤は、必
要に応じて、本明細書中に記載されるゲル処方物中にある。なぜならば、ゲルは、オート
クレーブすることにより滅菌され得、そして、さらに、他の処方物(例えば、クリーム)
よりも、より最適な速度で、抗菌性カチオン性ペプチドを驚くべき品質で放出すること(
すなわち、生物が利用可能にすること)を示す。さらに、特定の実施形態は、単一の処方
物中に、湿潤剤、保存剤、および緩衝剤、またはそれらの組み合わせを有し得る。従って
、好ましい実施形態は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、溶媒、湿潤剤、および緩衝
剤を含む組成物である。別の好ましい実施形態は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、
緩衝剤、および溶媒を含む組成物である。さらに別の好ましい実施形態では、組成物は、
抗菌性カチオン性ペプチド、緩衝剤、および溶媒を含む。上記の処方物の各々を用いて、
感染を処置または予防し得るか、あるいは標的部位(例えば、被験体(すなわち、動物ま
たはヒト)のカテーテル挿入部位)での微生物叢を減少させ得る。
【0084】
さらに他の実施形態では、組成物は、抗菌性カチオン性ペプチド(好ましくは、感染を
処置または予防するのに十分な量)、および油性化合物を含む軟膏の形態である。例えば
、油性化合物は、ペトロラタムであり得る。1つの実施形態では、油性化合物は、約50
%〜約100%、より好ましくは、約70%〜約100%、さらにより好ましくは、約8
0%〜約100%、および、最も好ましくは、約95%〜約100%の範囲の濃度で存在
する。特定の他の実施形態では、軟膏組成物は、少なくとも1つの皮膚軟化剤をさらに含
み得る。この皮膚軟化剤は、約1%〜約40%、より好ましくは、約5%〜約30%、そ
して、より好ましくは、約5%〜約10%の範囲の濃度で存在し得る。特定の好ましい実
施形態では、この皮膚軟化剤は、鉱油、セトステアリルアルコール、グリセリルステアレ
ート、およびそれらの組み合わせであり得る。
【0085】
別の局面では、組成物は、抗菌性カチオン性ペプチド(好ましくは、感染を処置または
予防するのに十分な量)、溶媒、緩衝剤、少なくとも1つの皮膚軟化剤、および少なくと
も1つの乳化剤を含む、半固体エマルジョン(例えば、クリーム)の形態である。好まし
い実施形態では、半固体エマルジョンまたはクリームは、少なくとも1つの湿潤剤(例え
ば、ソルビトールおよび/またはグリセロール)、油性化合物(例えば、ペトロラタム)
、増粘剤(例えば、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース
、および/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、酸化防止剤(例えば、ブチル
化ヒドロキシトルエンおよび、好ましくは、約0.01%〜約0.1%の範囲の濃度)、
保存剤(例えば、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベ
ン、プロピルパラベン、またはそれらの組み合わせ)、またはこれらの組み合わせをさら
に含む。特定の好ましい実施形態では、皮膚軟化剤は、ステアリルアルコール、セチルア
ルコール、および鉱油の内1つ以上であり得る。特定の他の好ましい実施形態では、乳化
剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ポリオキシエチレン40ステアレート
、およびグリセリルモノステアレートの内1つ以上であり得る。好ましい実施形態では、
この乳化剤は、約1%〜約20%、より好ましくは、約5%〜約10%、および、最も好
ましくは、約1%〜約1.5%の範囲の濃度で存在する。上記のように、これらの乳化剤
および皮膚軟化剤の各々の機能は、相互排除的ではなく、当該分野で公知でありそして本
明細書中に記載される、特定の処方物に依存して、皮膚軟化剤が、乳化剤として機能し得
、そして乳化剤が、皮膚軟化剤として機能し得る。特定の好ましい実施形態では、本明細
書中に記載されるように、溶媒は、水などを含み、そして緩衝剤は、モノカルボキシレー
トまたはジカルボキシレートなどを含む。
【0086】
抗菌ペプチド処方物を用いる処置に適切な被験体は、疾患を発症する危険性の十分に確
立された指標、または存在する疾患の十分に確立された顕著な特徴(hallmark)
により同定され得る。例えば、感染の指標としては、熱、膿、微生物陽性培養物、炎症な
どが挙げられる。本発明により提供される抗菌性カチオン性ペプチドを用いて処置され得
る感染としては、感染が原発性であろうと、続発性であろうと、日和見性であろうと、そ
の他であろうと、限定することなく、微生物によってかまたは微生物に起因して引き起こ
されるものが挙げられる。微生物の例としては、細菌(例えば、グラム陽性、グラム陰性
)、真菌(例えば、酵母およびカビ)、寄生生物(例えば、原生動物、線虫、条虫、およ
び吸虫)、ウイルス(例えば、HIV、HSV、VSV)、藻類、およびプリオンが挙げ
られる。これらのクラスの特定の生物は、周知である(例えば、Davisら、Micr
obiology、第3版、Harper & Row,1980;およびStanie
rら、The Microbial World、第5版、Prentice Hall
,1986を参照のこと)。感染としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない
:トキシックショック症候群、ジフテリア、コレラ、発疹チフス、髄膜炎、百日咳、ボツ
リスム、破傷風、化膿性感染、静脈洞炎、肺炎、歯肉炎、粘膜炎、毛包炎、蜂巣炎、挫瘡
および尋常性挫瘡、膿痂疹、骨髄炎、心内膜炎、潰瘍、熱傷、赤痢、尿路感染症、胃腸炎
、炭疽、ライム病、梅毒、風疹、敗血症、および悪疫;ならびに、例えば、外傷、手術、
気管内挿管、気管開口術、および嚢胞性線維症に関係する、原発性感染、続発性感染、お
よび日和見性感染。
【0087】
被験体は、本発明の組成物および方法を用いて処置可能かまたは予防可能な他の臨床的
適応症を有し得、これらとしては、限定することなく、以下が挙げられる:移植可能なデ
バイス、留置デバイス、または類似の医療用デバイス(例えば、血管内(例えば、静脈内
および動脈内)カテーテル、右心流動指向性カテーテル(right heart fl
ow−directed catheter)、Hickmanカテーテル、動静脈瘻、
血液透析および腹膜透析において用いられるカテーテル(例えば、シラスチックカテーテ
ル、中心静脈カテーテル、Tenckhoffカテーテル、およびテフロン(登録商標)
カテーテル)、血管アクセスポート(vascular access port)、留
置尿道カテーテル、尿道カテーテル、シリコーンカテーテル、心室カテーテル、合成血管
プロテーゼ(例えば、大腿大動脈(aortofemoral)および大腿膝窩動脈)、
人工心臓弁、人工関節、整形外科用インプラント、陰茎インプラント、シャント(例えば
、Scribner、Torkildsen、中枢神経系、門脈系、心室、心室腹膜(v
entriculoperitoneal))、子宮内器具、綿球、コンタクトレンズ、
歯科用インプラント、尿管ステント、ペースメーカ、移植可能な除細動器、チューブ、カ
ニューレ、プローブ、血液モニタリングデバイス、針など)と関係するもの。本明細書中
で用いられる場合、「医療用デバイス」とは、被験体(例えば、動物またはヒト)におけ
る使用のための任意のデバイスをいう。
【0088】
背景として、毎年、5百万個を超える中心静脈カテーテル(CVC)ユニットが、米国
内で販売されており、そして、米国における250,000人の患者が、毎年、CVCに
関係する血流感染を発症していると見積もられている。種々の型のCVCと関係した感染
は、全ての血管カテーテルに関係した血流感染の80〜90%を占める(Maki,D.
G.,Infections Caused by Intravascular De
vices Used for Infusion Therapy:Pathogen
esis,Prevention,and Management,Infection
s Associated with Indwelling Medical Dev
ices、第2版、A.L.BisnoおよびF.A.Waldvogel(編),Am
erican Society for Microbiology,Washingt
on,DC,1994を参照のこと)。鎖骨下静脈または内頸静脈へと経皮的に挿入され
た、短期間の袖口なしの単一または複数のカテーテルの見込みのある研究は、3〜5%の
範囲のカテーテル関連敗血症の割合(いくつかの病院においては、7〜10%の割合)を
示した(Maki、1994)。これらの感染を引き起こすことが最も一般的に見出され
るいくつかの生物は、Staphylococcus aureus、Staphylo
coccus epidermidis、Enterococcus faecium、
Escherichia coli、Enterobacter cloacae、Ps
eudomonas aeruginosa、およびCandida albicans
であり、これらは、報告された感染の95%の原因である。従って、カテーテルを有する
被験体またはカテーテルを挿入することが計画されている被験体は、本発明の抗菌性カチ
オン性ペプチド組成物および方法によって、特に利益を得る。
【0089】
カテーテル関連感染を予防するための主なストラテジーは、バリア予防策(barri
er precaution)および専門のi.v.チームの使用である。積極的な手洗
いおよび滅菌グローブは、カテーテル挿入の前に、非常に推奨される。他のバリア予防策
としては、例えば、長袖でかつ滅菌の手術着、マスク、帽子、および大きな滅菌ドレープ
が挙げられる。専門のi.v.チームと組合わせて用いられる、このバリア方法論は、例
えば、カテーテル関連感染の割合を低下させるのに有効であることが見出されている。し
かし、たとえ、これらの予防策を講じたとしても、任意の型の血管内デバイスが長く、同
じ場所にあるほど、デバイスに関連した感染(特に、敗血症)の度重なる危険性は高くな
る。例えば、袖口のないCVCが、集中治療室(ICU)患者において同じ位置で維持さ
れる時間の長さは、多くの医療センターにおいて、3日間〜7日間に任意に制限される。
4日間よりも長い短期間のCVCの連続使用が、ICU患者において重要であるとみなさ
れる場合、医師は、3つの選択肢を有する:(i)カテーテルを同じ位置に残し、感染の
危険性が、4日後に増加することを受け入れる;(ii)元々の挿入部位で、古いカテー
テルをガイドワイヤと交換する;または(iii)カテーテルを取除き、そして新しい部
位に新しいカテーテルを配置して、それにより、さらに4日間低い危険性をもたらす。こ
れらの選択肢は、医師または患者にとってどれも最適ではない。
【0090】
本発明の利点は、インドリシジン、またはそのアナログもしくは誘導体を有し、そして
本明細書中に記載されるように処方される、挿入デバイスの標的部位の防腐法が、デバイ
ス挿入の前および/またはデバイス挿入の後、ならびにデバイスに関連した感染および他
の感染の危険性を低下させる、バリア予防策と組合わせて達成され得ることである。従っ
て、本発明の組成物および方法は、例えば、局所感染(例えば、外傷、手術、または他の
医療手段の後の)を処置または予防するための、および医療用デバイスに関連した敗血症
を予防するための皮膚防腐法に特に有用である。さらに、上記のように、抗菌性カチオン
性ペプチドを使用する1つの利点は、抗菌剤耐性微生物を選択する危険性の低下である。
【0091】
本発明の抗菌性カチオン性ペプチド処方物の使用は、多数の適用を包含し、ここで、局
所的な抗菌剤は、感染の処置または予防に有用である。例えば、やけどによる創傷の感染
は、広範にやけどした患者における罹患および死亡の最も一般的な原因のままである。さ
らに、感染は、創傷治癒、合併症の発生、およびやけど患者の予後の主な決定要因である
。原因となる主な生物は、Pseudomonas aeruginosa、S.aur
eus、Streptococcus pyogenes、および種々のグラム陰性生物
である。頻繁な挫滅組織切除法、および表皮または代理物(例えば、移植物または代用皮
膚)の樹立は、感染の予防に必須である。好ましくは、抗菌ペプチド処方物は、単独かま
たは抗生物質と組合わせて、ゲル、軟膏またはクリームとしてやけど創傷に塗布されるか
、かつ/または全身投与される。局所適用は、表在性コロニー形成の後の全身感染を予防
し得るか、または表在性感染を根絶し得る。抗菌ペプチド組成物は、好ましくは、0.5
〜2%のゲル、クリーム、または軟膏として投与される。皮膚への塗布は、1日1回、ま
たは包帯を替えるごとに行われ得る。全身投与は、静脈内、筋肉内、または皮下の注射ま
たは注入を介してのものであり得る。当該分野で公知の他の経路もまた用いられ得る。
【0092】
本発明の組成物および方法についての別の用途は、手術による創傷、特に、外来の物質
(例えば、縫合糸)に関係するものの処置における用途である。院内感染は、全ての手術
患者の71%ほど多く生じ得、そしてこれらの内40%は、手術部位での感染である。感
染を予防する努力にもかかわらず、米国において、一年間に行われる約2300万の手術
手順において、500,000と920,000との間の手術による創傷の感染が併発す
ることが見積もられる。感染生物は変化するが、Staphylococci ssp.
は、これらの感染において重要な生物である。好ましくは、抗菌ペプチド処方物は、単独
かまたは抗生物質と組合わせて、ゲル、軟膏、クリーム、または液体として、創傷部位に
塗布されるか、あるいは創傷が閉じる前または創傷が閉じる間に、液体として創傷内に適
用される。閉じた後、抗菌ペプチド組成物はまた、包帯の交換時に塗布され得る。感染さ
れる、手術による創傷または外傷による創傷について、本明細書中に記載される抗菌ペプ
チド処方物は、局所的および/または全身に適用され得る。
【0093】
なお別の例として、滅菌ガーゼ包帯は、長年の間、カテーテル処置における、標準的な
ケアであったが、透明なポリウレタンフィルムの包帯が優れていることもまた実証されて
いる。なぜならば、これらは、カテーテル処置の部位の継続的な視診を可能にし、これら
は、デバイスを確実に固定し、そしてこれらは、包帯を濡らすことなく、患者が入浴およ
びシャワーを浴びることを可能にするからである(Maki、1994)。従って、本発
明の特定の実施形態は、滅菌ガーゼ包帯またはポリウレタンフィルム包帯と共に使用する
ための、本明細書中に記載される抗菌性カチオン性ペプチド組成物を含む。
【0094】
さらに、本発明の組成物および方法は、標的部位での挿入の前に医療用デバイスを直接
コーティングすることによってか、または製造時に医療用デバイスの外表面を含浸させる
ことによって、デバイスに関連した感染の危険性を低下させるために用いられ得る。本発
明のさらに別の局面では、この処方物は、医療用デバイスを含浸またはコーティングする
ために適切な抗菌性カチオン性ペプチドを含む。従って、抗菌性カチオン性ペプチドは、
医療用デバイスまたはその構成部品の表面を処理するために適切なコーティング材料また
は含浸材料として処方され得る。特定の実施形態では、このようなコーティング材料およ
び含浸材料は、抗菌性カチオン性ペプチドおよびそのアナログもしくは誘導体の、医療用
デバイスまたはその構成部品の内部表面および/または外部表面への共有結合および/ま
たは非共有結合を含み得る。他の実施形態では、このようなコーティング材料および含浸
材料は、ヒドロゲル層または生分解性層中に抗菌性カチオン性ペプチドのエントラップメ
ントを含み得る。
【0095】
他の実施形態は、抗菌性カチオン性ペプチドのコーティング、ゲル、軟膏、および含浸
組成物の、単独か、あるいは、例えば、血液透析装置と共に用いられる、フィルターユニ
ットまたはカテーテル構成部品と組み合わせでの使用を含む。1つの実施形態では、動静
脈シャント(例えば、Scribnerシャント)は、抗菌性カチオン性ペプチドをコー
ティングするフィルターに、含浸され得るか、コーティングされ得るか、または適合され
得る。他の実施形態は、動静脈瘻と共に使用するための、同じコーティング、ゲル、軟膏
、および含浸組成物を含む。さらに別の実施形態では、コーティングは、ウーブンファイ
バー血管シャント(woven fiber vascular shunt)と共に使
用するために適切であり得る。
【0096】
さらに他の実施形態は、抗菌性カチオン性ペプチド処方物および医療用デバイスを挿入
するために使用される一時的なアクセス部位を用いる方法の使用を含む。1つの好ましい
実施形態では、抗菌性カチオン性ペプチド処方物は、大腿静脈カテーテル処置の間に用い
られ得る。他の好ましい実施形態は、カテーテル(例えば、血管透析カテーテル、肺動脈
カテーテル、腹腔透析カテーテル、臍帯カテーテル、および鎖骨下静脈カテーテル)との
、抗菌性カチオン性ペプチド処方物の使用を含む。
【0097】
例示の目的で、そして限定ではなく、局所感染および全身感染の両方は、汚染された血
管内デバイス(例えば、CVC)から生じ得、そして代表的な原因となる生物は、コアグ
ラーゼ陰性Staphylococci(CoNS)、Staphylococcus
aureus、Enterococcus spp、E.coliおよびCandida
sppである。従って、抗菌性カチオン性ペプチド、またはそのアナログもしくは誘導
体(好ましくは、ゲルまたはクリームの形態)は、カテーテルの挿入の前に、次いで、包
帯交換のたびに再び、カテーテル部位に適用され得る。好ましくは、このペプチドは、約
0.85%〜約1.15%の範囲の濃度である。従って、代表的な実施形態では、組成物
は、約3〜約8の範囲のpHで、以下を含む:約0.01%〜約10%の範囲の濃度の抗
菌性カチオン性ペプチド;デキストラン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセル
ロース、またはヒドロキシプロピルセルロースから選択される増粘剤;ならびに水、グリ
セリン、プロピレングリコール、イソプロパノール、エタノール、またはメタノールの溶
媒。
【0098】
好ましい実施形態では、本発明は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、および溶媒を
含む組成物を、標的部位に適用する工程を包含する、標的部位の微生物叢を減少するため
の方法において有用である。本明細書中で用いられる場合、標的部位は、原発性感染また
は続発性感染または日和見性感染(ここで感染は、被験体の外部または内部である)が存
在するか、これらの危険性がある、被験体の任意の部位であり、そして本明細書中の処方
物が、投与され得るか、または適用され得る任意の部位である。特定の実施形態では、標
的部位で減少される微生物叢は、原核生物、真核生物、またはウイルスであり得、そして
好ましくは、原核生物である。他の実施形態では、標的部位での微生物叢の減少ための方
法は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、および溶媒を含む組成物を標的部位に適用す
る工程を包含し、そしてこの組成物を適用する前および/または後に、標的部位に医療用
デバイスを挿入する工程をさらに包含する。別の実施形態では、組成物は、上記の緩衝剤
をさらに含み得、そして約3.5〜約7の範囲のpHを有し得る。さらに、組成物は、保
存剤(例えば、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン
、プロピルパラベンなど)をさらに含み得る。好ましくは、このペプチドは、本明細書中
に記載される、インドリシジン、またはそのアナログもしくは誘導体である。
【0099】
別の好ましい実施形態は、以下を含む組成物である:(a)抗菌性カチオン性ペプチド
(カチオン性ペプチドは、以下のうちの1つを含む35アミノ酸までのペプチドである:
11B7CN、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F
5CN、11F12CN、11F17CN、11F50CN、11F56CN、11F6
3CN、11F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F9
3CN、11G27CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J
36CN、11J58CN、11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロイル−1
1B7CN、Nt−グルコシル−11J36CNまたはNt−グルコシル−11J38C
N);(b)増粘剤(増粘剤は、約1.2%〜約1.8%の濃度のヒドロキシエチルセル
ロースである);(c)緩衝液(緩衝液は、約4mM〜約6mMの範囲の濃度のラクター
トである);(d)溶媒(溶媒は、約9%〜約11%の範囲の濃度のグリセリンおよび約
85%〜約90%の範囲の濃度の水を含む);および(e)約3.5〜約7の範囲のpH
。より好ましい実施形態において、カチオン性ペプチドは、約0.8%〜約1.2%の範
囲の濃度である。このような組成物は、例えば、デバイス(例えば、カテーテル)または
人工器官(例えば、合成動脈移植片)の挿入前に局所的に消毒するのに有用である。別の
実施形態において、この組成物は、炎症(例えば、移植された医療用デバイスまたは留置
医療用デバイスに関連する炎症)を回復するために、標的部位に適用され得る。
【0100】
本発明の組成物および方法は、挫瘡(重症の尋常性挫瘡を含む)を処置または予防する
のに治療的に有効である。挫瘡は、Propionibacterium acneによ
る毛包および皮脂嚢胞の集落形成および感染に起因する。多くの場合は、穏やかなままで
あり、そして瘢痕の原因にならないが、患者のサブセットは、大きな炎症性の嚢胞および
小結節(これらは排出し、そして有意な瘢痕を生じ得る)を発症する。本明細書中に記載
されるようなペプチド処方物は、石鹸に取り込まれ得るか、またはクリーム、ローション
またはゲルとして、患部に局所的に適用され得る。このペプチド処方物は、1日に1回ま
たは1日に数回のいずれかで適用され得、そして処置の長さは、病巣が存在する間である
かまたは再発性の病巣を防止するまでであり得る。あるいは、このペプチド組成物は、挫
瘡病巣を処置または予防するために経口的にかまたは全身に投与されるように処方され得
る。好ましいペプチド組成物は、局所的投与または局所的適用のために処方される。好ま
しい実施形態は、抗菌性カチオン性ペプチド、緩衝化試薬および溶媒を含む組成物であり
、より好ましくは以下を含む組成物である:(a)抗菌性カチオン性ペプチド(カチオン
性ペプチドは、以下のうちの1つを含む35アミノ酸までのペプチドである:11B7C
N、11B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、1
1F12CN、11F17CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、1
1F64CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、1
1G27CN、11J02CN,、11J02ACN、11J30CN、11J36CN
、11J58CN、11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロイル−11B7C
N、Ntグルコシル−11J36CNまたはNt−グルコシル−11J38CN;(b)
緩衝液(緩衝液は、約4mM〜約6mMの範囲の濃度のラクテートである);(c)溶媒
(溶媒は、約45%〜約55%の範囲の濃度のエタノールおよび約44%〜約54%の範
囲の濃度の水を含む);および(d)約3.5〜約7の範囲のpH。より好ましい実施形
態において、カチオン性ペプチドは、約0.8%〜約1.2%の範囲の濃度である。別の
好ましい実施形態において、このペプチド組成物は、挫瘡薬(例えば、レチノイド、ビタ
ミンD3またはコルチコステロイドおよびそれらのアナログまたは誘導体))をさらに含
み得る。従って、標的部位で、微生物叢を減少するための、または感染を処置または予防
するための特定の好ましい方法において、標的部位は皮膚であり得、そしてその皮膚は挫
瘡をさらに含み得る。
【0101】
本発明の組成物および方法の治療的な価値の別の例は、院内感染の処置においてである
。例えば、S.aureusによる感染は、膿痂疹の病巣または感染性創傷を生じ得、そ
して以下の感染率の増加に関連する:心臓手術、血液透析、整形外科手術および好中球減
少症(誘発性および医原性の両方の疾患)。Staphylococci spp.の鼻
および鼻の外(extra−nasal)の輸送は、同じStaphylococci株
の病院内での発生を生じ、この同じのStaphylococci株は、患者または病院
の作業員の鼻通路あるいは鼻の外の部位を集落形成する。多くの注意が鼻での集落形成の
根絶に対して払われたが、処置の結果は、一般的に不満足であった。局所的な抗菌性物質
(例えば、バシトラシン、テトラサイクリンおよびクロルヘキシジン)の使用は、根絶に
対して妨害されるような鼻での集落形成の抑制を生じる。
【0102】
従って、好ましい実施形態は、抗菌性カチオン性ペプチド、増粘剤、溶媒および保存薬
を含み;より好ましくは以下を含む:(a)抗菌性カチオン性ペプチド(カチオン性ペプ
チドは、以下のうち1つを含む35アミノ酸までのペプチドである:11B7CN、11
B32CN、11B36CN、11E3CN、11F4CN、11F5CN、11F12
CN、11F17CN、11F50CN、11F56CN、11F63CN、11F64
CN、11F66CN、11F67CN、11F68CN、11F93CN、11G27
CN、11J02CN、11J02ACN、11J30CN、11J36CN、11J5
8CN、11J67CN、11J68CN、Nt−アクリロイル−11B7CN、Nt−
グルコシル−11J36CNまたはNt−グルコシル−11J38CN;(b)増粘剤(
増粘剤は、約1.2%〜約1.8%の範囲の濃度のヒドロキシエチルセルロースである)
;(c)溶媒(溶媒は、約9%〜約11%の範囲の濃度のグリセリンおよび約85%〜約
90%の範囲の濃度の水を含む);(d)保存薬(保存薬は、約20mM〜約30mMの
範囲の濃度の安息香酸である);および(e)約3.5〜約4.7の範囲のpH。より好
ましい実施形態において、カチオン性ペプチドは、約0.8%〜約1.2%の範囲、また
は約2.5%〜約3.5%の範囲の濃度である。
【0103】
これらの好ましい組成物は、本明細書中に記載される抗菌性カチオン性ペプチド処方物
を標的部位に適用することによって、標的部位において、微生物叢を減少する方法、感染
を処置または予防する方法に使用され得る。別の実施形態において、標的部位は粘膜(好
ましくは鼻通路または外鼻腔の粘膜)であり得る。
【0104】
本発明の薬学的組成物は、処置されるべき感染または疾患に対して、適切な様式で投与
される。投与の量および頻度は、因子(例えば、患者の状態、感染の原因および感染の重
篤度)によって決定される。適切な投薬は、臨床試験によって決定され得るが、一般的に
約0.1〜50mg/kgの範囲である。
【0105】
さらに、本発明の組成物は、一般的な消毒薬の様式または微生物が所望でない任意の状
況で使用され得る。例えば、これらのペプチドは、以下に使用され得る:医療用デバイス
用の表面の消毒、コーティング(共有結合を含む)、衣服用のコーティング(例えば、細
菌の増殖を阻害するかまたは蚊を撃退するような)、空気の浄化用のフィルター(例えば
、飛行機での)、水の浄化(シャンプーおよび石鹸の成分)、食物保存薬、化粧品保存薬
、媒体保存薬、除草剤または殺虫剤、建築材料の成分(例えば、シリコーン封止剤)およ
び動物産物の処理(例えば、動物の皮の硬化)。
【0106】
抗菌性カチオン性ペプチド(特に、その標識されたアナログおよび誘導体)は、画像解
析および診断アッセイまたは多細胞生物または単細胞生物における標的化部位に使用され
得る。標的系として、アナログは、他のペプチド、タンパク質、核酸、抗体、化合物(例
えば、蛍光タグ)などと結合され得る。
【0107】
以下の実施例は、限定の目的ではなく、例示の目的で提供される。
【実施例】
【0108】
(実施例1)
(カチオン性ペプチドおよびアナログの合成精製および特徴付け)
ペプチド合成は、標準的な固相Fmocタンパク質ストラテジーに基づく。使用される
機器は、9050 Plus PepSynthesiser(PerSeptive
BioSystems,Inc.)である。ポリエチレングリコールポリスチレン(PE
G−PS)移植片樹脂は、C末端アミド合成のためのFmoc保護アミノ酸リンカーを用
いて誘導体化した固相として使用される。HATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール
−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)
は、カップリング試薬として使用される。合成の間、カップリング工程は、アミノ酸が高
い収率で取り込まれることが保証されるように連続的にモニターされる。このペプチドを
、トリフルオロ酢酸および適切なスカベンジャーを使用して固相樹脂から切断し、そして
粗ペプチドを、分取用逆相クロマトグラフィーを使用して精製する。代表的に、このペプ
チドを、トリフルオロ酢酸塩として調製するが、他の塩(例えば、酢酸塩、塩化物、硫酸
塩)もまた、塩交換によって調製され得る。
【0109】
全てのペプチドを、産物が予測された分子量を有することを保証するように質量分析法
によって分析する。分析用逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)(ペプチ
ドの疎水性に基づく分離方法)に供される場合、産物は、全ピーク面積の95%より大き
い単一ピークアカウンティングを有するべきである。さらに、酸−尿素ゲル電気泳動、キ
ャピラリー電気泳動またはペプチドの質量比に対する荷電に基づく任意の他の分離方法に
供される場合、ペプチドは、全バンド強度の90%より大きい単一バンドアカウンティン
グを示すべきである。
【0110】
ペプチド含有量(残っている水、塩または溶媒よりもペプチドである産物の量)を、定
量的なアミノ酸分析、遊離アミンの誘導体化または分光光度的定量化によって測定する。
アミノ酸分析はまた、ペプチド中に存在するアミノ酸の比における情報を提供し、この情
報は、ペプチドの確実性の確認を補助する。
【0111】
ペプチドアナログおよびそれらの名前を、以下に列挙する。このリストおよび他におい
て、アミノ酸を、一文字アミノ酸コードによって示し、そして小文字はアミノ酸のD体を
示す。
【0112】
(表1.インドリシジン(indolicidin)アナログおよびその誘導体ならび
に他の抗菌性カチオン性ペプチド)
【0113】
【表1】








Nt−アクリロイル−11B7CN
Nt−グルコシル−11J36CN
Nt−グルコシル−11J38CN

Nt接頭語=N−末端改変
CN接尾語=アミド化C末端
H接尾語=C末端のホモセリン
M接尾語=MAP分枝ペプチド
R接尾語=レトロ合成化ペプチド
Orn=オルニチン
Dab=ジアミノ酪酸
大文字=L−エナンチオマーアミノ酸
小文字=D−エナンチオマーアミノ酸
(実施例2)
(改変ペプチドの合成)
抗菌性カチオン性ペプチド(例えば、インドリシジンアナログまたはその誘導体)を、
合成における改変アミノ酸の使用または合成後改変のいずれかによって改変し、元のペプ
チドの物理学的特性を変更する。このような改変としては以下が挙げられる:N末端での
アセチル化、Fmoc誘導体化N末端、ポリメチル化(polymethylation
)、ペルアセチル化(peracetylation)および分枝化誘導体。本明細書中
に記載の手順を使用して改変されたペプチドを、表4に列挙する。
【0114】
(α−N末端アセチル化)
樹脂からペプチドを切断し、そしてペプチドを脱保護する前に、完全に保護されたペプ
チドを、室温にて1時間、DMF中のN−アセチルイミダゾール(これは、α−N末端で
選択的な反応を生じる)で処理する。次いで、このペプチドを脱保護/切断し、そして改
変していないペプチドを精製する。
【0115】
(Fmoc誘導体化α−N末端)
最終的なFmoc脱保護工程を行なわない場合、α−N末端Fmoc基は、ペプチド上
に残ったままである。次いで、このペプチドを、側鎖脱保護/切断し、そして改変してい
ないペプチドを精製する。
【0116】
(ポリメチル化)
メタノール溶液中の精製ペプチドを、過剰の重炭酸ナトリウム、次いで過剰のヨウ化メ
チルで処理する。この反応混合物を、室温にて一晩撹拌し、有機溶媒で抽出し、中和し、
そして改変されていないペプチドを精製する。この手順を使用すると、ペプチドは完全に
はメチル化されない;11CNのメチル化は、平均6メチル基を生じる。従って、改変ペ
プチドは、メチル化産物の混合物である。
【0117】
(カプロラクタム改変)
DMF溶液中の精製ペプチドを、撹拌しながら氷上で0℃まで冷却する。2−(1H−
ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフル
オロホスフェートおよびN−メチルモルホリンを、ペプチド溶液に添加する;この反応混
合物を氷浴中から取り出し、そして反応混合物が室温まで上昇するまで1時間撹拌する。
水を添加し、そして得られたカプロラクタムペプチド溶液を、C8 RP−HPLCによ
って精製する。
【0118】
(ペルアセチル化)
DMF溶液中の精製ペプチドを、N−アセチルイミダゾールで、1時間室温にて処理す
る。粗産物を濃縮し、水に溶解し、凍結乾燥し、水に再溶解し、そして改変していないペ
プチドを精製する。一級アミン基の完全なアセチル化が観察される。
【0119】
(4/8分枝誘導体)
分枝ペプチドを、樹脂への4分枝コア結合または8分枝コア結合上で合成する。合成お
よび脱保護/切断は、改変していないペプチドについて行う。これらのペプチドを、4M
の塩酸グアニジン次いで水に対する透析によって精製し、そして質量分析器によって分析
する。
【0120】
(表2.改変インドリシジンアナログおよびその誘導体)
【0121】
【表2】


(実施例3)
(カチオン性ペプチドの抗菌活性)
カチオン性ペプチドを、以下に記載されるようなインビトロアッセイを使用することに
よって、抗菌活性について試験し得る。
【0122】
(アガロース希釈アッセイ)
アガロース希釈アッセイは、ペプチドおよびペプチドアナログの抗菌アッセイを測定す
る。活性を、ペプチドの最小阻止濃度(MIC)(μg/ml)として表す。
【0123】
インビボ条件を模倣するために、カルシウムおよびマグネシウム補充Mueller
Hintonブロスを、細菌増殖培地として低EEOアガロースと組み合わせて使用する
。寒天よりもむしろアガロースを、寒天における、培地を通ってのペプチド拡散を防止す
る荷電基として使用する。この培地をオートクレーブし、次いでペプチド溶液の無菌添加
の前に、水浴で50℃〜55℃まで冷却する。同体積の異なる濃度のペプチド溶液を、冷
却した溶解したアガロースに添加し、次いで、ペトリ皿に3〜4mmの深さで注ぎ、凝固
させる。
【0124】
細菌性種菌を、0.5McFarland濁度標準(PML Microbiolog
ical)に調製し、次いでアガロースプレートに塗布する前に1:10に希釈する。ア
ガロースに塗布される最終的な種菌は、5〜8mmの直径のスポット中で約10CFU
である。アガロースプレートを、35℃〜37℃で、16〜20時間インキュベートする

【0125】
MICを、目視検査によって測定されるように、生物の増殖を完全に阻止する最低濃度
のペプチドとして記録する。細菌および酵母に対する種々のペプチドアナログについての
代表的なMIC値を、表3に示す。
【0126】
(表3.アガロース希釈感受性試験によって測定されるような抗菌性カチオン性ペプチ
ドの活性)
【0127】
【表3】










(実施例4)
(低フローセルを使用しての局所的処方物のためのインビトロ薬物放出方法)
低フローセルを使用しての局所的処方物のためのインビトロ薬物放出方法を使用して、
実験的処方物からのペプチドの放出を試験する。細胞は、浸透性の合成膜(Tuffry
n,Gelman)によって下部(レセプター)チャンバーから物理的に分離された上部
(ドナー)チャンバーから構成される。全部で1gの候補処方物を、ドナーチャンバーに
置く。レセプター流体(水に希釈、37℃)を、2ml/hでレセプターチャンバーを通
ってポンピングする。画分を、様々な時間間隔で回収した。画分をバイアルに回収し、そ
して1画分あたりの回収されたレセプター流体の量(g)を記録した。このレセプター流
体中の薬物濃度を、Nova Pak C8カラムでRP−HPLCによって測定した。
このカラムを、アセトニトリル(20%〜40%の勾配)で、溶媒として0.1%水性ト
リフルオロ酢酸およびアセトニトリル中の0.1%トリフルオロ酢酸を使用して、10分
間にわたって溶出した。流速は1ml/分であった。
【0128】
(表4.インビトロ放出のフローセル測定)
【0129】
【表4】


膜は、0.45μm Tuffryn(親水性ポリスルホン)膜であり、データは、時
間間隔の間に放出された抗菌性カチオン性ペプチドのμgを示す。検出制限は、1時間あ
たり1μgの放出である。表4のデータは、ゲル処方物が優れた初期放出(これは、塗布
の際、迅速な抗菌作用を促進するべきである)を示すことを示す。ゲル処方物はまた、薬
物の良好な徐放を示す。22〜24時間の回収の間、レセプター流体へ放出された平均の
薬物濃度は、93μg/ml(ゲル75A)〜124μg/ml(ゲル76A)の範囲で
あり、感受性生物体についてのMIC値を十分超える。
【0130】
(表5.試験したゲルおよびクリームの組成物)
【0131】
【表5】


全てのエントリーは、ゲル100gあたりに添加されたグラムである。
【0132】
(実施例5)
(水性1.0%カチオン性ペプチドゲルの抗菌活性)
この研究の目的は、以下に対しての1.0%抗菌性カチオン性ペプチドゲルの抗菌活性
を評価することであった:Pseudomonas aeruginosa PA004
;Candida albicans CA002;Staphylococcus a
ureus SA016;およびStaphylococcus epidermidi
s SE010。手短に言えば、2g部分の11B7CN 1.0%ゲルに、16本の5
0mL管の各々に無菌的に移す。4つの管(各細菌について1つ)を、0日目、1日目、
3日目および7日目としてラベルを付けた。コントロールとして、2g部分のビヒクル(
抗菌性カチオン性ペプチド1.0%を含まないゲル)を、16本の50mL管の各々に無
菌的に移し、そして上記のようにラベルを付けた。
【0133】
上に列挙された生物の各々について1×10CFU/mlの種菌を、調製した。特定
の生物の各々について設計された一連の管の各々について10μlの希釈されていない種
菌を各管中のゲルに添加し、最終細菌濃度が5×10CFU/gのゲルを与える。管の
含量を、掻き出し棒の持ち手を使用して混合した。
【0134】
1日目、3日目および7日目のラベルを付けた管を、周囲の温度で維持し、そして示さ
れた時間点でサンプリングした。0日目の管は、直ぐにサンプリングした。サンプリング
の時間に、試験管またはコントロール管からの1gのゲルを取り出し、そして適切な培養
培地上にストリークした。適切な生物の増殖を、インキュベーションの24時間および4
8時間の後に観察した。残っている1gの試験ゲルおよびコントロールゲルを、生理食塩
水に添加し、そして連続希釈した。0.1mlのアリコートを、適切な培地上に2連でプ
レーティングし、そしてインキュベーションの24時間および48時間後に計数した。
【0135】
この研究の結果を、表6に記載する。1.0%の抗菌性カチオン性ペプチドゲルは、以
下に対して活性を有する:P.aeruginosa PA004;C.albican
s CA002;S.aureus SA016;およびS.epidermidis
SE010。各生物は、1.0%の抗菌性カチオン性ペプチドゲルに対する曝露の際、直
ぐに死んだ。
【0136】
(表6.)1.0%抗微生物カチオン性ペプチドゲルを用いた4種類の生物についての
コロニー数のまとめ
【0137】
【表6−1】


TNTC=多すぎて数えられない
(表6.)(続き)
【0138】
【表6−2】


(表6.)(続き)
【0139】
【表6−3】


TNTC=多すぎて数えられない
(表6.)(続き)
【0140】
【表6−4】


TNTC=多すぎて数えられない
本明細書中で言及したおよび/または出願データシートに列挙した上記の全ての米国特
許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は
、参考として本明細書中にその全体が援用される。
【0141】
本発明の特定の実施形態は、例証の目的で本明細書中に記載されているが、本発明の精
神および範囲を逸脱することなく、種々の改変がなされ得ることが理解される。従って、
本発明は、添付の特許請求の範囲を除いては、制限を受けない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症を処置または予防または緩和するための医薬の製造におけるカチオン性ペプチドの使用であって、該カチオン性ペプチドが35アミノ酸までのペプチドであり、以下の配列:
11B7CN(配列番号23)、11B32CNR(配列番号33)、11B36CN(配列番号34)、11F4CN(配列番号58)、11F5CN(配列番号60)、11F12CN(配列番号62)、11F17CN(配列番号63)、11F50CN(配列番号64)、11F56CN(配列番号65)、11F63CN(配列番号66)、11F64CN(配列番号67)、11F66CN(配列番号68)、11F67CN(配列番号69)、11F68CN(配列番号70)、11F93CN(配列番号71)、11J02CN(配列番号98)、11J02ACN(配列番号99)、11J30CN(配列番号100)、11J36CN(配列番号101)、11J58CN(配列番号103)、11J67CN(配列番号104)、11J68CN(配列番号105)、Nt−アクリロイル−11B7CN(配列番号119)、Nt−グルコシル−11J36CN(配列番号120)、またはNt−グルコシル−11J38CN(配列番号121)
のうちの1つを含む、使用。
【請求項2】
前記カチオン性ペプチドが、以下の配列:11B7CN(配列番号23)、11J02CN(配列番号98)、11J67CN(配列番号104)、11J68CN(配列番号105)、または11F66CN(配列番号68)のうちの1つである、請求項42に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−41367(P2012−41367A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−256779(P2011−256779)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2003−520767(P2003−520767)の分割
【原出願日】平成14年8月21日(2002.8.21)
【出願人】(511285118)カーラス キャピタル コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】