説明

抗菌性組成物

【課題】広範囲の微生物に対して有効である低価格で安全な抗菌性組成物を提供する。
【解決手段】(a)安息香酸、またはその塩;(b)δ-グルコノラクトンを含み、さらに(c)レモングラス油;(d)シンナムアルデヒド、シンナモン油、シンナモナムカッシア、シンナモン抽出物、カッシア葉油、3,4-ジヒドロキシ桂皮酸もしくはその塩、またはこれらの混合物;(e)ソルビン酸、またはその塩;(f)エリソルビン酸、またはその塩;(g)アラビノガラクタン、ガラクトアラビナン、またはこれらの混合物;(h)ホップス抽出物から得られるヘキサヒドロ-イソ-α酸、テトラヒドロ-イソ-α酸、またはこれらの混合物;(i)アキレアフラグランティシマ(サントリーナフラグランティシマホルススク、ラベンダーコットン)油;のうち1以上を任意に含む抗菌的有効量の混合物を含んでなる抗菌性組成物。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の開示】
【0001】
[1] 本出願は、2002年8月12日に出願された米国仮特許出願60/403,004の優先権の利益と、2002年8月12日に出願された米国仮特許出願60/403,169の優先権の利益とを主張し、両出願の全内容は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[2] 本発明は、(1)抗菌性組成物、(2)微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法、(3)前記方法で製品を保存する方法、および(4)抗菌性組成物を増強する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[3] 天然産物は、多くの場合に安全である一方、一般に高価であり、広範囲の生物体、例えばグラム陰性および陽性細菌ならびに真菌に対して殺菌性効力をもたない。大部分の天然産物は、グラム陽性菌に対してのみ比較的高濃度で有効であるが、グラム陰性菌または真菌に対しては有効ではない。
【0004】
[4] シンナムアルデヒドは、(1)香料添加剤として、(2)保存系中で、および(3)昆虫と蛛形類の数を制御するために、使用されてきた天然産物である。米国特許4,525,480、5,306,707、5,536,501、5,676,958および5,839,224を参照されたい。
【0005】
[5] 広範囲の微生物に対して有効である低価格で安全な保存系について継続的な要求がある。
【発明の概要】
【0006】
[6] 本発明は、抗菌的有効量(例えば、保存的、殺菌的、および/または殺真菌的な有効量)の混合物を含んでなる抗菌性組成物であって、前記混合物が、
(a)レモングラス油;
(b)シンナムアルデヒド、シンナモン油、シンナモナムカッシア(cinnamomum cassia)、シンナモン抽出物、カッシア葉油、3,4-ジヒドロキシ桂皮酸もしくはその塩、またはこれらの混合物;
(c)ソルビン酸、またはその塩;
(d)エリソルビン酸、またはその塩;
(e)安息香酸、またはその塩;
(f)アラビノガラクタン、ガラクトアラビナン(galactoarabinan)、またはこれらの混合物;
(g)ヘキサヒドロ-イソ-α酸、テトラヒドロ-イソ-α酸、またはこれらの混合物;
(h)アキレア フラグランティシマ油(Achillea fragrantissima oil)、サントリーナ フラグランティシマ油(Santolina fragrantissima oil)、ホルススク油(Forssk oil)、ラベンダー コットン油(Lavender cotton oil);および
(i)グルコノ-δ-ラクトン
の少なくとも2つを含んでなる抗菌性組成物を提供する。好ましくは、本発明の混合物は、抗菌的(例えば、保存的、殺菌的、および/または殺真菌的)で相乗作用的な有効量の上述した成分を含む。
【0007】
[7] 本発明の好ましい混合物は、以下の表に示されたものを含むがこれらに限定されない。
【表1】

【0008】
[8] エリソルビン酸(もしくはその塩)またはグルコノ-δ-ラクトンを含む上述した混合の全てにおいて、エリソルビン酸(もしくはその塩)またはグルコノ-δ-ラクトンは、混合物中の保存剤(例えば、ソルビン酸または安息香酸)の抗菌性効力を増強する。
【0009】
[9] 他の実施形態は、本発明の有効量の抗菌性組成物を基体または製品に適用することによって、基体上または製品内部もしくは表面上に存在する微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法である。
【0010】
[10] 他の実施形態は、エリソルビン酸もしくはその塩、またはグルコノ-δ-ラクトンを抗菌性組成物中に加えまたは含ませることによって、ソルビン酸、安息香酸、またはこれらの塩を含む抗菌性組成物の抗菌性効力を増強する方法である。
【0011】
[11] さらに、他の実施形態は、本発明の抗菌的、保存的、殺菌的、および/または殺真菌的な有効量の抗菌性組成物を含んでなる製品である。製品は固体または液体でもよい。本発明の抗菌性組成物は、パーソナルケア製品のための保存剤として特に有効である。
【0012】
[12] さらに、他の実施形態は、本発明の保存的有効量の抗菌性組成物を製品に組み込むことによって、製品(例えば、パーソナルケア製品)を保存する方法である。
【0013】
[13] さらに、他の実施形態は、本発明の有効量の抗菌性組成物を植物および/または植物周囲の土壌に加えることによって、植物(例えば樹木)に生息する樹木または他の植物真菌を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法である。
【0014】
[14] さらに、他の実施形態は、保存的有効量のシンナムアルデヒドまたはエリソルビン酸もしくはその塩(例えば、エリソルビン酸ナトリウム)を含んでなる製品(好ましくは食料品、医薬品、または化粧品以外の製品)である。製品は、一般にパラベン(例えば、メチルパラベン、エチルパラベンおよびプロピルパラベン)を実質的にまたは完全に含まない。製品は、例えば、家庭用(例えばパーソナルケア)、産業用、または業務用の製品でもよい。好ましいパーソナルケア製品は、シャンプー、ローション(例えば、ボディーローション)、コンディショナー、および石鹸を含むがこれらに限定されない。適切な家庭用製品は、織物用柔軟仕上げ剤、洗濯用洗剤、および硬質表面用クリーナーを含むがこれらに限定されない。1つの実施形態によれば、製品は、製品の100%の全重量に基づいて、約1、0.5、0.4、0.3、0.25、0.2、0.15、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02または0.01重量%未満のパラベンを含む。1つの好ましい実施形態によれば、製品は、芳香的有効量未満のシンナムアルデヒドを含む。製品は、好ましくは0.01、0.03、0.05、0.07、0.09、または0.1重量%を越えるシンナムアルデヒドを含む。製品は、好ましくはシンナモン油を実質的にまたは完全に含まない。1つの実施形態によれば、製品は、シンナムアルデヒドまたはエリソルビン酸もしくはその塩以外の保存的有効量の保存剤を含まない。他の実施形態によれば、製品中の唯一の保存剤は、シンナムアルデヒドまたはエリソルビン酸もしくはその塩である。
【0015】
[15] さらに、他の実施形態は、製品(例えば、食料品、医薬品、または化粧品以外の製品)の内部または表面上に存在する微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法であって、有効量のシンナムアルデヒドを製品に適用することを含んでなる方法である。製品は、好ましくはパラベンを実質的にまたは完全に含まない。
【0016】
[16] さらに、他の実施形態は、製品(好ましくは食料品、医薬品または化粧品以外の製品)を保存する方法であって、有効量のシンナムアルデヒドを製品に適用することを含んでなる方法である。製品は、パラベンを実質的にまたは完全に含まなくてもよい。
【0017】
[17] さらに、他の実施形態は、製品(例えば(i)食料品以外の製品、または(ii)食料品、医薬品、もしくは化粧品以外の製品)の内部または表面上に存在する微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法であって、有効量のエリソルビン酸またはその塩を製品に適用することを含んでなる方法である。
【0018】
[18] さらに、他の実施形態は、製品(好ましくは(i)食料品以外の製品、または(ii)食料品、医薬品、もしくは化粧品以外の製品)を保存する方法であって、有効量のエリソルビン酸またはその塩を製品に適用することを含んでなる方法である。製品は、パラベンを実質的にまたは完全に含まなくてもよい。
【0019】
[19] さらに、本発明の他の実施形態は、抗菌的または保存的な有効量のシンナムアルデヒドまたはエリソルビン酸もしくはその塩を適用することによって基体上の微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法である(好ましくは全くパラベンを適用しないで)。
【0020】
[20] さらに、他の実施形態は、シンナムアルデヒドと、少なくとも1つの従来のパーソナルケア用保存剤、例えばイソチアゾリノン(isothiazolinone)、ベンズイソチアゾリノン(benzisothiazolinone)、および/またはホルムアルデヒド供与体、例えばアルカノールで置換されたジアルキルヒダントインとを含む抗菌的で相乗作用的な混合物を含んでなる保存処方剤である。好ましくは、アルカノールで置換されたジアルキルヒダントインは、式:
【化1】

【0021】
{式中、R1とR2は各々独立して水素または(CH2)OHであり(但し、R1とR2は共に水素になり得ない)、R3とR4は各々独立してメチル、エチル、プロピル、またはアリルである}の化合物である。好ましいアルカノールで置換されたジアルキルヒダントインは、1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン(DMDMH)と、モノメチロール ジメチルヒダントイン(MMDMH)とを含むがこれらに限定されない。好ましくは、保存処方剤は、保存的有効量の相乗作用的な混合物を含む。1つの実施形態によれば、保存処方剤は、殺菌的および/または殺真菌的な有効量の相乗作用的な混合物を含む。保存処方剤は、芳香的有効量未満のシンナムアルデヒドを含んでいてもよい。好ましくは、保存処方剤は、パラベンを実質的にまたは完全に含まない。製品、例えば本出願中で議論されたものに保存処方剤を組み込んでもよい。
【0022】
[21] さらに、他の実施形態は、製品(例えば、食料品、医薬品、または化粧品以外の製品)の内部または表面上に存在する微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法であって、有効量の上述の保存処方剤を製品に適用することを含んでなる方法である。1つの実施形態によれば、製品は、パラベンを実質的にまたは完全に含まない。
【0023】
[22] さらに、本発明の他の実施形態は、本発明の抗菌的または保存的な有効量の保存処方剤を適用することによって、基体上の微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法である。
【0024】
[23] さらに、他の実施形態は、基体上の真菌を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法であって、有効量の上述の保存処方剤を製品に適用することを含んでなる方法である。1つの実施形態によれば、製品は、パラベンを実質的にまたは完全に含まない。
【0025】
[24] 本発明の処方剤および製品は、好ましくは10、9、8.5、または8未満のpHをもつ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、21日後の、(a)保存剤を含まないシャンプー、(b)0.5%(w/w)のレモングラス油を含むシャンプー、(c)1.2%(w/w)のソルビン酸カリウムを含むシャンプー、および(d)0.5%(w/w)のレモングラス油と0.3%(w/w)のソルビン酸カリウムとを含むシャンプーの細菌数に基づいた安定性の棒グラフである。
【図2】図2は、21日後の、(a)保存剤を含まないシャンプー、(b)0.05%(w/w)のシンナムアルデヒドを含むシャンプー、(c)1.2%(w/w)のソルビン酸カリウムを含むシャンプー、(d)0.05%のシンナムアルデヒドと0.5%のソルビン酸カリウムとを含むシャンプー、および(e)0.1%(w/w)のシンナムアルデヒドと0.5%(w/w)のソルビン酸カリウムとを含むシャンプーの細菌数に基づいた安定性の棒グラフである。
【図3】図3は、21日後の、(a)保存剤を含まないシャンプー、(b)0.05%(w/w)のシンナムアルデヒドを含むシャンプー、(c)1.0%(w/w)のアキレア油を含むシャンプー、および(d)0.05%(w/w)のシンナムアルデヒドと0.75%(w/w)のアキレア油とを含むシャンプーの細菌数に基づいた安定性の棒グラフを示す。
【図4】図4は、7日後の、(a)保存剤を含まないシャンプー、(b)0.1%(w/w)のシンナムアルデヒドを含むシャンプー、(c)1.0%(w/w)のHexahop GoldTMを含むシャンプー、および(d)0.1%(w/w)のシンナムアルデヒドと0.4%(w/w)のHexahop GoldTMとを含むシャンプーの真菌数に基づいた安定性の棒グラフである。
【図5】図5は、14日後の、(a)保存剤を含まないシャンプー、(b)1.0%(w/w)のLarexTM(アラビノガラクタン)を含むシャンプー、(c)0.6%(w/w)のソルビン酸カリウムを含むシャンプー、および(d)0.5%(w/w)のLarexTMと0.5%(w/w)のソルビン酸カリウムとを含むシャンプーの真菌数に基づいた安定性の棒グラフである。
【図6】図6は、7日後の、(a)保存剤を含まないシャンプー、(b)0.25%(w/w)のレモングラス油を含むシャンプー、(c)0.6%(w/w)のソルビン酸カリウムを含むシャンプー、および(d)0.1%(w/w)レモングラス油と0.5%(w/w)ソルビン酸カリウムとを含むシャンプーの真菌数に基づいた安定性の棒グラフである。
【図7】図7は、7日後の、(a)保存剤を含まないシャンプー、(b)(w/w)のHexahop GoldTMを含むシャンプー、(c)0.6%(w/w)のソルビン酸カリウムを含むシャンプー、(d)0.1%(w/w)のシンナムアルデヒドを含むシャンプー、および(e)0.3%(w/w)のHexahop GoldTMと、0.1%(w/w)のシンナムアルデヒドと、0.6%(w/w)のソルビン酸カリウムとを含むシャンプーの安定性の棒グラフである。
【発明の詳細な説明】
【0027】
定義
[32] 用語「微生物」は、細菌、真菌、酵母、藻、昆虫および害虫を含むがこれらに限定されない。
【0028】
[33] 用語「約」または「近似的に」とは、当業者によって決定されたときの、特定の値についての許容可能な誤差の範囲内にあることを意味し、その値がどのように測定されあるいは決定されたのかという部分、すなわち測定系の限界に依存するであろう。例えば、「約」は、当該技術のプラクティスで、1以上の標準偏差の範囲内にあることを意味し得る。また、「約」は、得られた値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、さらにより好ましくは1%までの範囲を意味し得る。また、特に生物学的系またはプロセスに関して、用語は、値の1オーダーの大きさの範囲内、好ましくは5倍の範囲内、より好ましくは2倍の範囲内にあることを意味し得る。特定の値が本出願および請求項中に記載されている場合には、他に記載がない限り、用語「約」とは、特定の値についての想定されるべき許容可能な誤差の範囲内にあることを意味する。
【0029】
[34] 用語「パーソナルケア製品」とは、ヒトの体、例えば皮膚、毛髪、および爪への塗布を目的とした製品をいい、シャンプー、コンディショナー、クリーム、ローション(例えばボディーローション)、化粧品、および石鹸を含むがこれらに限定されない。
【0030】
[35] 用語「芳香的有効量」とは、製品に組み込まれる薬剤の、製品に芳香を与えるための十分な量をいう。
【0031】
[36] 用語「増強する」とは、抗菌性の化合物または組成物の効果を強めまたは増す化合物または組成物の能力をいう。
【0032】
[37] ソルビン酸、エリソルビン酸、および安息香酸の適切な塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えば、カリウムおよびナトリウムを含むがこれらに限定されない。
【0033】
混合物の成分
[38] あらゆる供給源由来のシンナムアルデヒドを、本発明中に使用することができる。例えば、シンナムアルデヒドは、シンナモンバーク抽出物(例えば、樹皮および葉由来のもの)、カッシア葉油、シンナモナムカッシア、シンナモン油、シンナマール(cinnamal)、桂皮アルコール、およびこれらの混合物から誘導されてもよい。
【0034】
[39] ソルビン酸の好ましい塩は、ソルビン酸カリウムである。
【0035】
[40] エリソルビン酸の好ましい塩は、エリソルビン酸ナトリウムである。
【0036】
[41] 安息香酸の好ましい塩は、安息香酸ナトリウムである。
【0037】
[42] アラビノガラクタンおよびガラクトアラビナンを、ラレックスの木(Larex tree)から誘導することができる。アラビノガラクタンは、ミネソタ州ホワイトベア湖にあるLarex社製のLarex UFTMとして入手可能である。
【0038】
[43] 好ましいヘキサヒドロ-イソ-α酸およびテトラヒドロ-イソ-α酸は、ホップス抽出物、例えばワシントンD.CにあるJohn I. Haas社から入手可能なHexahop GoldTM(本明細書中ではヘキサホップと呼ぶ)から得られたものである。
【0039】
[44] 好ましいアキレア フラグランティシマ油は、アキレア油である。
【0040】
[45] 特定の実施形態によれば、抗菌性組成物は、少なくとも0.1%のソルビン酸、またはその塩、例えばソルビン酸カリウムを含む。
【0041】
好ましい混合物の例
(i) シンナムアルデヒドと、ソルビン酸、エリソルビン酸、またはこれらの塩
[46] 好ましい混合物は、シンナムアルデヒドと、ソルビン酸またはその塩、例えばソルビン酸カリウムである。他の好ましい混合物は、シンナムアルデヒドと、エリソルビン酸またはその塩、例えばエリソルビン酸ナトリウムである。シンナムアルデヒドと(i)ソルビン酸もしくはその塩または(ii)エリソルビン酸もしくはその塩との重量比は、好ましくは約10:1〜約0.1:1、より好ましくは約5:1〜約0.2:1である。
【0042】
[47] 混合物の濃度は、ヒドロキシル共溶媒(例えば、ブレンド中のシンナムアルデヒドの溶解性と安定性を増加させる、グリセリンまたはエタノール)を含むまたは含まない水中で、好ましくは約2〜約40重量%のシンナムアルデヒドと、約10〜約60重量%のソルビン酸、エリソルビン酸、またはこれらの塩とを含む。
【0043】
[48] 好ましくは、(i)シンナムアルデヒドと、(ii)ソルビン酸、エリソルビン酸、またはこれらの塩との混合物を含む処方剤のpHは、10、9、8.5、または8未満である。9未満のpHで、前記処方剤は改善された色彩安定性を示す。1つの好ましい実施形態によれば、シンナムアルデヒドと、ソルビン酸、エリソルビン酸、またはこれらの塩との混合物を含む処方剤のpHを、塩酸を使用して低下させる。好ましくは、9、8.5または8未満までそのpHを低下させるために、十分な量の塩酸を処方剤中に含ませる。
【0044】
[49] 好ましい保存処方剤は、約5〜約20%(w/w)のシンナムアルデヒド、約20〜50%のソルビン酸カリウム、エタノール、および水を含む。より好ましい保存処方剤は、約15%のシンナムアルデヒド、約40%のソルビン酸カリウム、10%のエタノール、および35%の水を含む。
【0045】
(ii) エリソルビン酸もしくはその塩、クエン酸もしくはその塩、グルコノ-δ-ラクトン、安息香酸もしくはその塩、ソルビン酸、EDTA、またはこれらの塩の組み合わせ
[50] 他の好ましい混合物は、(a)エリソルビン酸もしくはその塩(例えばエリソルビン酸ナトリウム)と、(b)1以上の(i)クエン酸もしくはその塩、(ii)グルコノ-δ-ラクトン、(iii)安息香酸もしくはその塩(例えば、安息香酸ナトリウム)、(iv)ソルビン酸もしくはその塩、または(v)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)もしくはその塩である。
【0046】
[51] 他の好ましい混合物は、(a)安息香酸もしくはその塩(例えば、安息香酸ナトリウム)と、(b)1以上の(i)クエン酸もしくはその塩、(ii)グルコノ-δ-ラクトン、(iii)ソルビン酸もしくはその塩、または(iv)エチレンジアミン四酢酸(EDTA)もしくはその塩である。
【0047】
[52] エリソルビン酸およびその塩は、典型的には処方剤、例えばシャンプーの中で色彩安定性がない。驚くべきことに、これらの混合物は色彩安定性があることが見出された。またさらに驚くべきことに、エリソルビン酸およびその塩ならびにグルコノ-δ-ラクトンがクエン酸、安息香酸、EDTA、およびこれらの塩の殺菌性効力を増強することが見出された。
【0048】
[53] 好ましい混合物は、以下の表のものを含むがこれらに限定されない。また、好ましい重量比とより好ましい重量比とを表中に与えた。
【表2】

【0049】
[54] より好ましい混合物は、以下の表に示されたものを含むがこれらに限定されない。
【表3】

【0050】
抗菌性組成物
[55] 本発明の抗菌性組成物は、抗菌的、殺真菌的、および殺菌的な薬剤(例えば、アレルゲン、樹木および植物真菌、植物および樹木細菌に対する薬剤)として有用であり、製紙業、織物業、農業、およびコーティング産業の保存剤として、パーソナルケア用、家庭用、産業用、および業務用の製品の保存剤として有用である。抗菌性組成物を、微生物が増殖し易い基体に組み込んでこれを保存してもよい。例えば、保存系は、パーソナルケア製品、例えばシャンプー、コンディショナー、クリーム、ローション(例えば、ボディーローション)、化粧品、もしくは石鹸;家庭用製品、例えば織物用柔軟仕上げ剤、洗濯用洗剤、もしくは硬質表面用クリーナー;または産業用製品、例えば塗料、コーティング、木材、織物、接着剤、シーラント、革、ロープ、紙、パルプ、厚紙、シートロック(sheet rock)、天井用タイル、プラスチック、燃料、石油、油、ゴム作動用流体、金属作動用流体、澱粉(例えばペットフード用澱粉)、もしくは鉱物スラリー、例えば粘土のスラリー、炭酸カルシウム、もしくは酸化チタン(TiO2)に組み込まれていてもよいし、あるいはそれ自体であってもよい。
【0051】
[56] 一般に、製品は、抗菌的、保存的、殺菌的、および/または殺真菌的な有効量の抗菌性組成物を含む。1つの実施形態によれば、製品は、製品の100%の全重量に基づいて、約0.01〜約2.0重量%の抗菌性組成物の各成分を含む。他の実施形態によれば、製品は、全製品の100重量%に基づいて、約0.1〜約1または2重量%の抗菌性組成物を含む。
【0052】
シンナムアルデヒドの保存系
[57] シンナムアルデヒドならびに(i)シンナムアルデヒドと(ii)アルカノールジアルキルヒダントイン、イソチアゾロン、およびベンズイソチアゾリノンの少なくとも1つとの混合物(以下、「保存系」という)は、抗菌的、殺真菌的、および殺菌的な薬剤(例えば、アレルゲン、樹木真菌、および樹木細菌に対する薬剤)として有用であり、製紙業、織物業、農業、およびコーティング産業の保存剤として、パーソナルケア用、家庭用、産業用、および業務用の製品の保存剤として有用である。保存系を、微生物が増殖し易い基体に組み込んでこれを保存してもよい。例えば、保存系は、パーソナルケア製品、例えばシャンプー、コンディショナー、クリーム、ローション(例えばボディーローション)、化粧品、もしくは石鹸;家庭用製品、例えば織物用柔軟仕上げ剤、洗濯用洗剤、もしくは硬質表面用クリーナー;または産業用製品、例えば塗料、コーティング、木材、織物、接着剤、シーラント、革、ロープ、紙、パルプ、厚紙、シートロック、天井用タイル、プラスチック、燃料、石油、油、ゴム作動用流体、金属作動用流体、澱粉(例えばペットフード用澱粉)、もしくは鉱物スラリー、例えば粘土のスラリー、炭酸カルシウム、もしくは酸化チタン(TiO2)に組み込まれていてもよいし、あるいはそれ自体であってもよい。
【0053】
[58] 一般に、本発明の抗菌性組成物および保存系は迅速に作用し{例えば、1時間以内に微生物(例えば、細菌および/または真菌)の数を、典型的には95、99、99.9、または99.99%まで減少させる}、長期間にわたって(例えば、少なくとも7、10、14、または28日間)効力を維持する(例えば、10cfu/g未満に維持する)。用語「保存的有効量」とは、少なくとも1、4、7、10、14、または28日間にわたって1000、100、または10 cfu/gを下回る微生物の数を維持する保存系の量をいう。
【0054】
[59] 抗菌性組成物および保存系は、溶媒、例えば水および水混和性溶媒であって、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、およびブタノール)、グリコール(例えばグリセリン、ジグリセリン、ブチレングリコール、ブトキシジグリコール、プロピレングリコール、およびジプロピレングリコール)、エステル、エーテル、ポリエーテル、および先の全ての任意の組み合わせを含む(但しこれらに限定されない)、溶媒、例えば水および水混和性溶媒を含んでもよい。例えば、溶媒は、水、ならびに1以上のグリコールおよび/または1以上のアルコール、例えばグリセリン、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、またはエタノールを含んでもよい。特定の溶媒系は、水およびグリコール、例えばグリセリンを含む。第2の特定の溶媒系は、水およびアルコール、例えばエタノールを含む。
【0055】
[60] 当業者に既知の他の補助剤が、抗菌性組成物および保存系に含まれてもよい。
【0056】
適切な補助剤は、保存剤;可溶化剤;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩、およびゼオライト;界面活性剤、例えば陽イオン、陰イオン、非イオン、および両性イオンの界面活性剤;酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)およびブチルヒドロキシトルエン(BHT);アミン酸化物;第三級アミン;亜鉛化合物;ヒドロトロープ;フッ化化合物;マグネシウム塩;カルシウム塩;カルボン酸;リン酸塩;ホスホン酸塩;ホルムアルデヒド供与体;グリセレース-7(glycereth-7);ミリスチル ミリステート;グルタルアルデヒド;ビグアニド;天然産物、例えば、ゲラノイル(geranoil)、ウスニン酸、およびティー・ツリー油;および先の任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない。適切な保存剤は、第四級アンモニウム塩化物;第四級アンモニウム炭酸塩;ベンズアルコニウム塩化物;ヨウ素含有化合物、例えば3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC);ヒダントイン、例えば、ジメチルヒダントインおよびハロゲン化ヒダントイン;イソチアゾリノン;パラベン、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、およびプロピルパラベン;デヒドロ酢酸およびその塩;イソシル(isocil);クロロキシレノール(chloroxylenol);クロルヘキシジン(chlorhexidine);フェノキシエタノール;ベンジルアルコール;フェネチルアルコール;安息香酸およびその塩、例えば安息香酸ナトリウム;クロロブタノール;ソルビン酸およびその塩;トリクロサン(triclosan);トリクロカルバン(triclocarban);ならびにこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0057】
[61] 抗菌性組成物および防腐性系は、水性または油性ベースの系またはエマルジョンに組み込まれてもよい。油性ベースの系に好適な溶媒は、フェノキシエタノールおよび/またはベンジルアルコールである。
【0058】
[62] 抗菌性組成物は、液体または固体にすることができる。
【0059】
[63] 相乗作用的な混合物が上記リストから2つの成分のみを含む場合、第1の成分と第2の成分との重量比は、典型的には約0.01:100〜約100:0.01の範囲にあり、好ましくは約0.1:20〜約20:0.1の範囲にあり、より好ましくは約1:10〜約10:1の範囲にある。相乗作用的な混合物が3つの成分を含む場合、第3の成分は任意の量とすることができるが、典型的には第3の成分と最初の2つの成分のいずれか一方との重量比は、約0.01:100〜約100:0.01である。
【0060】
[64] 本発明の製品を含む処方剤を調製するために、通常、抗菌性組成物および保存系の濃縮物を最初に調製する。濃縮物は、濃縮物の100%の全重量に基づいて、約0.01〜約100重量%の抗菌性組成物および保存系を含んでもよく、好ましくは約5〜約80重量%の抗菌性組成物を含む。2成分の抗菌性組成物のために、濃縮物は、広く約0.01〜約99.99重量%の第1の成分と、約99.99重量%〜約0.01重量%の第2の成分とを含む(濃縮物の100%の全重量に基づいて)。保存系がシンナムアルデヒドである場合、濃縮物は、濃縮物の100%の全重量に基づいて、約0.01〜約100重量%のシンナムアルデヒドを含んでもよく、好ましくは約5〜約80重量%のシンナムアルデヒドを含む。表Aは、シンナムアルデヒド/アルカノールで置換されたジアルキルヒダントインの混合物についての典型的な濃縮物中に存在する成分および成分の範囲を例示する(濃縮物の100%の全重量に基づいて)。
【表4】

【0061】
[65] 使用の前に、濃縮物を、好ましくは濃縮物中で使用され、および/または製品中に組み込まれたものと同じ溶媒で希釈する。組成物の使用希釈液は、典型的には抗菌的、保存的、抗真菌的、または殺菌的な有効量の抗菌性組成物または保存系を含む。
【0062】
[66] 一般に、使用希釈液は、約0.0001重量%または0.01重量%〜約2重量%の濃縮物を含む。1つの好ましい実施形態によれば、使用希釈液は、約0.1〜約1重量%の濃縮物を含む。より好ましい実施形態では、使用希釈液は、0.2、0.25または0.30重量%の濃縮物を含む。使用希釈液は、使用希釈液の100%の全重量に基づいて、一般に約0.01〜約2.0重量%の各抗菌性成分を含む。好ましい実施形態によれば、抗菌性組成物は、約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.01〜約1重量%、より好ましくは約0.05〜約0.5重量%の各抗菌性成分(例えば、シンナムアルデヒド)を含む。保存系がシンナムアルデヒドである場合、使用希釈液は、使用希釈液の100%の全重量に基づいて、約0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、または0.1重量%から、約1、0.5、0.4、0.3、0.25、0.2、0.15、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、または0.01重量%までを含んでもよい。表Bは、成分および該成分の使用希釈液中に存在する一般的範囲を例示する(使用希釈液の100%の全重量に基づいて)。
【表5】

【0063】
[67] 他の実施形態によれば、上述の保存系は、製品の100%の全重量に基づいて、約0.1〜約1または2重量%の濃度で製品に組み込まれる。
【0064】
[68] 本発明の他の実施形態は、基体上の微生物、細菌{例えば、黄色ブドウ球菌(S. aureus(ATCC♯6538)、緑濃菌(P. aeruginosa)(ATCC♯9027)、および大腸菌(E.coli)(ATCC♯8739)}、および/または真菌(植物および樹木真菌を含む){例えば、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、およびフィトフトラ ラムラム(Phytophthora ramrum)}の増殖を阻害する方法である。当該方法は、抗菌的、保存的、殺菌的、または殺真菌的な有効量の本発明の抗菌性組成物または保存系を前記基体に適用することによって行われる。抗菌性組成物または保存系は、当該技術において既知の任意の方法(ブラッシング、液浸、浸漬、真空含浸、および加圧処理を含むがこれらに限定されない)によって基体に適用されてもよい。特定の実施形態は、樹木真菌であるフィトフトラ ラムラムの増殖を阻害する方法である。当該方法は、殺真菌的な有効量の本発明の抗菌性組成物または保存系を樹木真菌に適用するかまたは樹木真菌が増殖する基体(例えば樹木)に適用することによって行われる。フィトフトラ ラムラムはオーク樹木の突然死を引き起こす。
【0065】
[69] 本発明の抗菌性組成物は、抗菌性成分と、任意的に溶媒、および補助剤とを混合することによって調製されてもよい。
【実施例】
【0066】
[70] 以下の例は、制限なしで本発明を例示する。全ての割合と百分率は他に示さない限り重量で与えられる。
【0067】
例1
[71] 図1〜3の各陰イオン性シャンプーのサンプルについて次のように試験を行った。標準化された混合細菌溶液を、次の手順に従って調製した。黄色ブドウ球菌(ATCC♯6538)、緑濃菌(ATCC♯9027)、および大腸菌(ATCC♯8739)の3つの寒天スタッブ(agar stab)を約35℃で約24時間にわたり別々にインキュベートした。その後、各スタッブを3mLの無菌0.85%塩溶液で洗浄した。3つのスタッブの洗浄物を一緒にプールして生物体混合物を調製した。530nmでの生物体混合物の吸光度を、塩溶液を加えることによって約1.00に調整した。分光計を塩溶液ブランクで較正した。生物体混合物の5mLアリコートを一緒に混合して標準化された混合細菌溶液を調製した。その後、40gの各シャンプーのサンプルに、0.2 mLの標準化された混合細菌溶液を接種し混合した。無菌の20×150mmスクリューキャップの試験管にこの混合液を1 g加えた。
【0068】
[72] 9 mLの無菌D/E中和ブイヨンを前記試験管に加え、混合して10-1希釈液を調製した。リン酸緩衝水を使って10-6稀釈液までの一連の希釈液を調製した。一連の希釈液をトリプトソイ寒天上にプレートし、約35℃で2日間にわたってインキュベートした。21日後に細菌のカウントを行った。
【0069】
[73] 陰イオン性タンパク質含有のシャンプー組成物は、35重量%のナトリウムラウリルエーテル硫酸塩;25重量%のトリエタノールアミンラウリル硫酸塩;3重量%のココナッツジエタノールアミド(コカミド DEA); ミネソタ州にあるHormel Foods of AustinからのPolypro 5000TMとして入手可能な1重量%の加水分解されたコラーゲン;および36重量%の脱イオン水で構成された。
【0070】
[74]適切な量の抗菌性成分と上述の陰イオン性タンパク質含有のシャンプー組成物とを混合し、約50℃で約15分間にわたって混合物を加熱することによって、抗菌性組成物含有のサンプルを調製した。
【0071】
[75] 結果を、図1〜3に示した。
【0072】
例2
[76] 図4〜7の各陰イオン性シャンプーのサンプルについて次のように試験を行った。標準化された混合細菌溶液を、次の手順に従って調製した。カンジダ アルビカンスの2つの寒天スラント(agar slant)とアスペルギルス ニガーの4つの寒天スラントとを、約25℃で約48時間および7日間にわたりそれぞれ別々にインキュベートした。各スラントを3 mLの無菌0.85%塩溶液で洗浄し、組織粉砕機中に集めて細断した。十分な量の0.85%塩溶液を各スラントに加え、顕微鏡下でノイバウアー血球計算板を使ってカンジダ アルビカンスとアスペルギルス ニガーの各接種物(innoculum)の目視の数を得た。カンジダ アルビカンスとアスペルギルス ニガーの各標準化された接種物の等しい量を一緒に混合し、標準化された混合真菌溶液を調製した。
【0073】
[77] 40gの各シャンプーのサンプルに、0.4mLの標準化された混合真菌溶液を接種し混合した。無菌の20×150mmスクリューキャップの試験管にこの混合液を1 g加えた。
【0074】
[78] 9 mLの無菌D/E中和ブイヨンを前記試験管に加え、混合して10-1希釈液を調製した。リン酸緩衝水を使って10-6稀釈液までの一連の希釈液を調製した。一連の希釈液を、サブローデキストロース寒天上にプレートし、約25℃で5日間にわたりインキュベートした。0、7、および/または14日後に真菌のカウントを行った。
【0075】
[79] 陰イオン性タンパク質含有のシャンプー組成物を、例1に記載する。適切な量の抗菌性成分と陰イオン性タンパク質含有のシャンプー組成物とを混合し、約50℃で約15分間にわたって混合物を加熱することによって、シャンプーのサンプルを調製した。
【0076】
[80] 結果を図4〜7に示した。
【0077】
例3
[81] 下記の表1に示された保存処方剤で、例1に記載された手順を繰り返した。シャンプーのpHを6.5に調整した。また、その結果を表1に示す。
【表6】

【0078】
[82] 表1から、(1)ソルビン酸カリウム(75%)とエリソルビン酸ナトリウム(25%)との0.3%希釈液と、(2)安息香酸ナトリウム(75%)とエリソルビン酸ナトリウム(25%)との0.3%希釈液について、シャンプー中の混合細菌に対する両希釈液の相乗作用を、C.E. Kull et al., “Mixtures of Quaternary Ammonium Compounds and Long-chain Fatty Acids as Antifungal Agents”, Applied Microbiology, 9:538-541(1961)に記載された方法によって算定した。相乗作用の値(QA/Qa+QB/Qb)を決定した。QAは、細菌の100%の妨害をもたらしたときの、すなわち7日後で<10 cfu/gのプレート数をもたらしたときの、混合物中のソルビン酸カリウムまたは安息香酸ナトリウムの濃度(重量%)である。Qaは、細菌の100%の妨害をもたらすために必要とされる、ソルビン酸カリウムまたは安息香酸ナトリウム単独の濃度(重量%)である。QBは、細菌の100%の妨害をもたらしたときの、混合物中のエリソルビン酸ナトリウムの濃度(重量%)である。Qbは、細菌の100%の妨害をもたらすために必要とされる、エリソルビン酸ナトリウム単独の濃度(重量%)である。
【0079】
[83] (QA/Qa+QB/Qb)の値が1未満である場合、混合液は相乗作用的である。1および1より大きい(QA/Qa+QB/Qb)の値は、付加的効果および拮抗的効果のそれぞれを示す。この結果を下記の表2に示した。
【表7】

【0080】
例4
[84] 下記の表3の各陰イオン性シャンプーのサンプルについて次のように試験を行った。標準化された混合細菌溶液を次の手順に従って調製した。黄色ブドウ球菌(S. aureus(ATCC♯6538)、緑濃菌(P. aeruginosa)(ATCC♯9027)、および大腸菌(E.coli)(ATCC♯8739)の3つの寒天スタッブ(agar stab)を約35℃で約24時間にわたり別々にインキュベートした。その後、各スタッブを3mLの無菌0.85%塩溶液で洗浄した。3つのスタッブの洗浄物を一緒にプールして生物体混合物を調製した。530nmでの生物体混合物の吸光度を、塩溶液を加えることによって約1.00に調整した。分光計を塩溶液ブランクで較正した。生物体混合物の5mLアリコートを一緒に混合して標準化された混合細菌溶液を生成した。その後、40gの各シャンプーのサンプルに、0.2 mLの標準化された混合細菌溶液を接種し混合した。無菌の20×150mmスクリューキャップの試験管にこの混合物を1 g加えた。
【0081】
[85] 9 mLの無菌D/E中和ブイヨンを前記試験管に加え、混合して10-1希釈液を調製した。リン酸緩衝水を使って10-6稀釈液までの一連の希釈液を調製した。一連の希釈液をトリプトソイ寒天上にプレートし、約35℃で2日間にわたってインキュベートした。0、7、および14日後に細菌のカウントを行った。結果を表1に示した。
【0082】
[86] 陰イオン性タンパク質含有のシャンプー組成物は、35重量%のナトリウムラウリルエーテル硫酸塩;25重量%のトリエタノールアミンラウリル硫酸塩;3重量%のココナッツジエタノールアミド(コカミド DEA); ミネソタ州にあるHormel Foods of AustinからのPolypro 5000TMとして入手可能な1重量%の加水分解されたコラーゲン;および36重量%の脱イオン水で構成された。
【0083】
[87] 適切な量の保存剤と上述した陰イオン性タンパク質含有のシャンプー組成物とを混合し、約50℃で約15分間にわたり混合物を加熱することによって、シンナムアルデヒドと他の保存剤とを含有するサンプルを調製した。
【表8】

【0084】
[88] *-LiquaPar Optimaは、フェノキシエタノール(および)メチルパラベン(および)イソプロピルパラベン(および)イソブチルパラベン(および)ブチルパラベンであり、ニュージャージー州にあるISP Labs of Wayneから入手可能である。
【0085】
[89] 表3の全ての%は、100重量%の全シャンプーに基づいた重量百分率である。
【0086】
例5
[90] 下記の表4の各陰イオン性シャンプーのサンプルについて以下のように試験を行った。標準化された混合細菌溶液を、以下の手順に従って調製した。カンジダ アルビカンスの2つの寒天スラントとアスペルギルス ニガーの4つの寒天スラントとを、約25℃で約48時間および7日間にわたりそれぞれ別々にインキュベートした。各スラントを3 mLの無菌0.85%塩溶液で洗浄し、組織粉砕機中に集めて細断した。十分な量の0.85%塩溶液を各スラントに加え、顕微鏡下でノイバウアー血球計算板を使ってカンジダ アルビカンスとアスペルギルス ニガーの各接種物(innoculum)の目視の数を得た。カンジダ アルビカンスとアスペルギルス ニガーの各標準化された接種物の等しい量を一緒に混合し、標準化された混合真菌溶液を調製した。
【0087】
[91] 40gの各シャンプーのサンプルに、0.4 mLの標準化された混合細菌溶液を接種し混合した。無菌の20×150mmスクリューキャップの試験管にこの混合物を1 g加えた。
【0088】
[92] 9 mLの無菌D/E中和ブイヨンを試験管に加え、混合して10-1希釈液を調製した。リン酸緩衝水を使って10-6稀釈液までの一連の希釈液を調製した。一連の希釈液を、サブローデキストロース寒天上にプレートし、約25℃で5日間にわたりインキュベートした。0および14日後に真菌のカウントを行った。その結果を表9に示す。
【0089】
[93] 陰イオン性タンパク質含有シャンプーの組成物を例4に記載する。適切な量の保存剤と陰イオン性タンパク質含有シャンプーの組成物とを混合し、約50℃で約15分間にわたって混合物を加熱することによって、シャンプーのサンプルを調製した。
【表9】

【0090】
例6
[94] 下記の表5の各クリームのサンプルについて例1に記載した手順に従って試験を行った。グリセリルモノステアレート(GMS)のクリームを、下記の表3に記載されたように以下のように調製した。ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート、グリセリルモノステアレート、セテアリールアルコール、およびミリスチルプロピオン酸塩を、第1の容器内で混合し60℃まで加熱した。グリセリンと無菌の脱イオン水とを、第2の容器内で混合し60℃まで加熱した。第1の容器内の溶液を第2の容器内に注いだ。第2の容器を60℃で10分間維持した。第2の容器内の溶液を冷却しておいた。溶液のpHを水酸化ナトリウムでpH 7に調整し、GMSクリームを得た。
【表10】

【0091】
[95] 下記の表6に示されたクリームサンプルを、適切な量の保存剤とGMSクリームとを混合し、この混合物を50℃で10〜15分間にわたって加熱することによって調製した。結果を下記の表6に示す。
【表11】

【0092】
[96] 下記の表7に示されたクリームサンプルを、適切な量の保存剤とGMSクリームとを混合し、この混合物を50℃で10〜15分間加熱することによって調製した。結果を下記の表7に示す。
【表12】

【0093】
例7
[97]下記の表8に示したシャンプーのサンプルについて例4の手順を繰り返した。結果を表8に示した。
【表13】

【0094】
[98] *-Glydant 2000TMは、約36%のジメチロール ジメチルヒダントイン(DMDMH)と、約29%のモノメチロールジメチルヒダントイン(MMDMH)と、約5%のジメチルヒダントイン(DMH)と、30%の水とを含むヒダントイン種の70%溶液であり、ニュージャージー州フェアローンにあるLonza社から入手可能である。
【0095】
[99] 表8のシンナムアルデヒド/Glydant 2000TM溶液についての黄色ブドウ球菌、緑濃菌、および大腸菌に対する相乗作用を、C.E. Kull et.al.,“Mixtures of Quaternary Ammonium Compounds and Long-chain Fatty Acids as Antifungal Agents”, Applied Microbiology, 9:538-541(1961)に記載された方法によって算定した。表7において相乗作用的な値(QA/Qa+QB/Qb)を決定した。QAは、細菌の100%の妨害をもたらしたときの、すなわち14日後で<10 cfu/gのプレート数をもたらしたときの、混合物中のシンナムアルデヒドの濃度(重量%)である。Qaは、細菌の100%の妨害をもたらすために必要とされた、シンナムアルデヒド単独の濃度(重量%)である。QBは、細菌の100%の妨害をもたらしたときの、混合物中のGlydant 2000TMの濃度(重量%)である。Qbは、細菌の100%の妨害をもたらすために必要とされた、Glydant 2000TM単独の濃度(重量%)である。
【0096】
[100] (QA/Qa+QB/Qb)の値が1未満である場合、混合物は相乗作用的である。1および1より大きい(QA/Qa+QB/Qb)の値は、付加的効果および拮抗的効果のそれぞれを示す。
【0097】
[101] 結果を下記の表9および10に示す。
【表14】

【表15】

【0098】
例8
[102] 保存剤混合物の最小阻害濃度(MIC)について試験を行った。MICとは、生物体の増殖を阻害するであろう成分の最低の濃度をいう。この研究は、ハミルトン ミクロ ラボ AT プラス自動希釈装置液体処理システムを使用して行われた。自動希釈装置のためのプログラムは、ロンザ社の標準適用方法SAPM♯412-01-1に基づいた。ハミルトン自動希釈装置を使用して保存剤組み合わせの開始濃度を、96ウェルマイクロタータプレート中においてブイヨンを使用して50%まで希釈し、試験サンプル中に微生物を接種した。
【0099】
[103] 試験対象の保存剤は、様々な濃度およびシンナムアルデヒドとの組み合わせに係る、IsocilTM(メチルイソチアゾリノンとメチル-クロロ-イソチアゾリノンとのブレンド)、BenzocilTM(ベンズイソチアゾリノン)、およびLonzagardTM(塩化ベンゼトニウム)とした。これらの全ては、ニュージャージー州フェアローンにあるロンザ社から入手可能である。また、各試験プレート中には対照を含めた。保存剤の各組み合わせについて黄色ブドウ球菌(ATCC♯6538)と大腸菌(ATCC♯8739)に対する2回試験を行った。
【0100】
[104] 試験プレートをハミルトン自動希釈装置によって希釈し、次に、試験生物体を接種し、試験サンプル中で近似的に約106のコロニー形成単位/グラム(cfu/g)を達成した。その後、プレートを、摂氏温度32度のオーブンの中で72時間にわたりインキュベートした。各プレートの対照ウェルに対する試験サンプルの増殖性を調べることによって結果を定量した(ウェルの濁りを視覚的に定量)。下記の表11に示されたMICは、全く増殖性を示さなかった保存剤または保存剤のブレンドの最小試験レベルとして報告された。
【0101】
[105] 7.5ppm(活性)BenzocilTMと25ppmシンナムアルデヒドとの混合物は、増殖性を有効に阻害した。また、0.47ppm(活性)IsocilTMと6.3ppmシンナムアルデヒドとの混合物も増殖性を有効に阻害した。
【表16】

【0102】
[106] IsocilTM/シンナムアルデヒドおよびBenzocilTM/シンナムアルデヒドについての相乗作用的な値を、上記のC.E. Kull et alに記載された方法によって表11で報告されたMIC値から算定した。
【表17】

【表18】

【0103】
例9
[107] 下記のシンナムアルデヒド/ソルビン酸カリウムの混合物の色彩安定性についてガードナー色彩試験で試験を行った。塩酸を添加して処方剤のpHを指定されたpHに調整した。結果を以下に示す。
【表19】

【0104】
[108] 上記の全ての特許、出願、記事、刊行物、および試験方法は、参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0105】
[109]上記の詳細な説明は、当業者に対して本発明の多くの変形を示唆するであろう。このような自明な変形は、添付された請求項の目的範囲内に完全に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌性組成物であって:
(a)レモングラス油;
(b)シンナムアルデヒド、シンナモン油、シンナモナムカッシア、シンナモン抽出物、カッシア葉油、3,4-ジヒドロキシ桂皮酸もしくはその塩、またはこれらの混合物;
(c)ソルビン酸、またはその塩;
(d)エリソルビン酸、またはその塩;
(e)安息香酸、またはその塩;
(f)アラビノガラクタン、ガラクトアラビナン、またはこれらの混合物;
(g)ヘキサヒドロ-イソ-α酸、テトラヒドロ-イソ-α酸、またはこれらの混合物;
(h)アキレア フラグランティシマ油、サントリーナ フラグランティシマ油、ホルススク油、ラベンダー コットン油;および
(i)グルコノ-δ-ラクトン
の少なくとも2つを含む抗菌的有効量の混合物を含んでなる抗菌性組成物。
【請求項2】
前記混合物が、(a)シンナムアルデヒドと;(b)ソルビン酸またはその塩とを含んでなる請求項1の抗菌性組成物。
【請求項3】
前記成分(b)の塩が、ソルビン酸カリウムである請求項2の抗菌性組成物。
【請求項4】
前記混合物が、(a)エリソルビン酸またはその塩と、(b)1以上のクエン酸、グルコノ-δ-ラクトン、安息香酸、ソルビン酸、EDTA、またはこれらの塩とを含んでなる請求項1の抗菌性組成物。
【請求項5】
前記混合物が、(a)安息香酸またはその塩と、(b)1以上のクエン酸、グルコノ-δ-ラクトン、ソルビン酸、EDTA、またはこれらの塩とを含んでなる請求項1の抗菌性組成物。
【請求項6】
前記混合物が、エリソルビン酸カリウムナトリウムとソルビン酸カリウムとを含んでなる請求項4の抗菌性組成物。
【請求項7】
安息香酸またはその塩をさらに含んでなる請求項6の抗菌性組成物。
【請求項8】
前記安息香酸の塩が、安息香酸ナトリウムである請求項7の抗菌性組成物。
【請求項9】
前記混合物が、(a)安息香酸ナトリウムとエリソルビン酸ナトリウムとを含んでなる請求項5の抗菌性組成物。
【請求項10】
溶媒をさらに含んでなる請求項1の抗菌性組成物。
【請求項11】
前記溶媒が、水、グリコール、アルコール、およびこれらの混合物から選択される請求項10の抗菌性組成物。
【請求項12】
前記溶媒が、水とグリコールとの混合物である請求項11の抗菌性組成物。
【請求項13】
前記グリコールがグリセリンである請求項12の抗菌性組成物。
【請求項14】
前記溶媒が、水とアルコールとの混合物である請求項10の抗菌性組成物。
【請求項15】
前記アルコールがエタノールである請求項14の抗菌性組成物。
【請求項16】
前記混合物が、(a)シンナムアルデヒドと、(b)ソルビン酸またはその塩とを含んでなる請求項1の抗菌性組成物。
【請求項17】
前記組成物の混合物が、全組成物の100重量%に基づいて約0.001〜約2重量%の濃度で存在する請求項1の抗菌性組成物。
【請求項18】
基体上の微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法であって、請求項1の有効量の抗菌性組成物を基体に適用することを含んでなる方法。
【請求項19】
前記微生物が、黄色ブドウ球菌、緑濃菌、大腸菌、カンジダ アルビカンス、アスペルギルス ニガー、およびフィトフトラ ラムラムから選択される請求項18の方法。
【請求項20】
保存的有効量のシンナムアルデヒドを含んでなる食料品、医薬品、化粧品以外の製品であって、前記製品がパラベンを実質的に含まない製品。
【請求項21】
前記製品が、家庭用、産業用、または業務用の製品である請求項20の製品。
【請求項22】
前記製品が、パーソナルケア製品である請求項20の製品。
【請求項23】
前記パーソナルケア製品が、シャンプー、ボディーローション、コンディショナー、または石鹸である請求項22の製品。
【請求項24】
前記製品が、芳香的有効量未満のシンナムアルデヒドを含んでなる請求項20の製品。
【請求項25】
前記製品が、シンナモン油を含まない請求項20の製品。
【請求項26】
(a)シンナムアルデヒドと;
(b)少なくとも1つのアルカノールで置換されたジアルキルヒダントインと
を含む抗菌的有効量の相乗作用的な混合物を含んでなる保存処方剤。
【請求項27】
前記アルカノールで置換されたジアルキルヒダントインが、式:
【化1】

{式中、R1とR2は各々独立して水素または(CH2)OHであり(但し、R1とR2は共に水素になり得ない)、R3とR4は各々独立してメチル、エチル、プロピル、またはアリルである}
をもつ、請求項26の保存処方剤。
【請求項28】
前記アルカノールで置換されたジアルキルヒダントインが、ジメチロール ジメチルヒダントインである請求項27の保存処方剤。
【請求項29】
有効量のシンナムアルデヒドを製品に適用することを含んでなる、食料品、医薬品、または化粧品以外の製品上の微生物を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法であって、前記製品がパラベンを含まない方法。
【請求項30】
請求項26の有効量の保存処方剤を適用することを含んでなる微生物の増殖を阻害する方法。
【請求項31】
有効量のシンナムアルデヒドを製品に適用することを含んでなる、真菌を殺傷および/またはその増殖を阻害する方法であって、前記製品がパラベンを含まない方法。
【請求項32】
請求項26の有効量の保存処方剤を適用することを含んでなる、基体上の真菌の増殖を阻害する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−57687(P2011−57687A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−240815(P2010−240815)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【分割の表示】特願2004−528017(P2004−528017)の分割
【原出願日】平成15年8月12日(2003.8.12)
【出願人】(592233462)ロンザ インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】