説明

抗血管新生分子群およびその使用

本発明は、VEGF165のアンチセンス核酸分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインのアンチセンス核酸分子、およびVAP−1のアンチセンス核酸分子、VEGF165特異的抗体分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメイン特異的抗体分子、およびVAP−1特異的抗体分子、および/またはこれらの組合せを含む群から選択される少なくとも1つの分子ならびに薬学的に許容されるビヒクルを含む、抗血管新生医薬組成物に関する。本発明はまた、薬物を生産するための前記分子の使用を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管系疾患の治療法分野に含まれ、特に、抗血管新生活性を有する分子群および血管系疾患におけるその使用に関し、より具体的には、がんおよび/または眼疾患におけるその使用に関する。本発明はまた、前記抗血管新生活性を有する分子群を含む医薬組成物および抗がん治療および/または眼の治療に有用な医薬の製造における前記組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生は、既存の血管から新たな血管が形成されることからなる生理学的プロセスである。血管新生は、胚発生、身体成長、創傷治癒中の正常な現象である。しかし、悪性形質転換および腫瘍成長中の主要なプロセスでもある。
【0003】
血管新生が起こるためには、血管内皮細胞が周囲の組織に侵入して新しい毛細血管の先端で増殖する必要がある。新しい毛細血管ネットワークが完全に確立されるまで侵入および増殖の両プロセスが順番に繰り返される。最初、特定の内皮細胞が自身の基底膜を分解して、血管周囲の結合組織に浸透する非常に小さな芽を形成する。これらの芽は、先端部への内皮細胞の遊走および先端部の下におけるその他の内皮細胞の増殖によって形成される。芽が伸びるにしたがって内側に内腔が徐々に形成される。このようにして中空の管が形成され、これらが互いに吻合し、血液が循環し始めることができる毛細血管係蹄を形成する。新しく形成された毛細血管から、新しい芽が出現することができ、最終的に完全な毛細血管網が生じる[Hanahan D., Weinberg R.A. The hallmarks of cancer. Cell 100:57-70, 2000、Hobson B., Denekamp J. Endothelial proliferation in tumours and normal tissue: continuous labelling studies. Br. J. Cancer 49:405-13, 1984、Hanahan D., Folkman J. Patterns and emerging mechanisms of the angiogenic switch during tumorigenesis. Cell 86:353-64, 1996、Carmeliet P. Mechanisms of angiogenesis and arferiogenesis. Nat. Med. 6:389-95, 2000]。
【0004】
毛細血管は、内皮細胞および周皮細胞を含む。毛細血管網の形成を完成するにはこれら2種類の細胞型で十分である。特定の血管新生分子がこのプロセスを開始させることができ、これは特定の阻害剤で停止させることができる。これらの分子は反対の機能を有し、その時点において最も重要な生理学的必要性に応じて、連続的且つ協調的に、一方向または逆方向に作用する。したがって、これらは、血管網を静止状態に維持するのと同じように、例えば創傷治癒中で起こるように、血管内皮細胞の急速な増殖を引き起こすこともできる。血管新生プロセスが起こるか起こらないかは、正のシグナルと負のシグナルの微妙なバランスの結果である。
【0005】
血管新生は、創傷治癒、骨折修復、月経周期等の多くの生理学的プロセスに関わる。一方、関節リウマチ、乾癬、バルトネラ症、移植臓器の拒絶、出血等、および眼球の新血管形成(失明の最も多い原因の1つ)、例えば加齢に関連する黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、ぶどう膜炎等の多くの病態が血管新生に依存する。また、血管新生は、腫瘍の進行性の成長および転移性の分散にも重要な役割を担っている。腫瘍は、成長するために、新しい毛細血管の成長を連続的に刺激する必要がある。更に、腫瘍内の新しい血管は、悪性細胞に、循環中に入って離れた部位で転移を成立させるための経路を提供する[Hanahan D., Weinberg R.A. The hallmarks of cancer. Cell 100:57-70, 2000、Hobson B., Denekamp J. Endothelial proliferation in tumours and normal tissue: continuous labelling studies. Br. J. Cancer 49:405-13, 1984、Hanahan D., Folkman J. Patterns and emerging mechanisms of the angiogenic switch during tumorigenesis. Cell 86:353-64, 1996、Carmeliet P. Mechanisms of angiogenesis and arferiogenesis. Nat. Med. 6:389-95, 2000、Maltepe E., Simon M. C. The role of HIF-1 and ARNT proteins in blood vessel development. In: Angiogenesis in health and disease (Rubany G. M., Ed.), Marcel Dekker, New York, pp 133-144、Kaban K., Herbst R. S. Angiogenesis as a target for cancer therapy. Hematol. Oncol. Clin. North Am. 16:1125-71, 2002、Rakic J. M., Maillard C., Jost M., Bajou K., Masson V., Devy L., Lambert V., Foidart J. M., Noel A. Role of plasminogen activator-plasmin system in tumor angiogenesis. Cell Mol. Life Sci. 60:463-73, 2003、Bazzoni G., Dejana E., Lampugnani M. G. Endotelial adhesion molecules in the development of the vascular tree. Curr. Opin. Cell Biol. 11:573-81, 1999、Lafleur M.A., Forsyth P.A., Atkinson S.J., Murphy G., Edwards D. R. Perivascular cells regulate endothelial membrane type-1 matrix metalloproteinase activity. Biochem. Biophys. Res. Commun. 282:463-73, 2001、Folkman J. Role of angiogenesis in tumor growth and metastasis. Semin. Oncol. 29(suppl. 16):15-8, 2002]。
【0006】
特に眼の病理学分野において近年大きな進歩が見られ、それにより、眼に存在するVEGF165(血管内皮増殖因子)等の血管新生因子に特異的な阻害剤の開発が可能になった。VEGF165は、数年前に既に報告されている眼の新血管形成に関与する因子である[Napoleone Ferrara & Robert S. Kerbel, Angiogenesis as a therapeutic target, Nature 438:967-971, 15 December 2005]。この因子は、新しい血管の形成を十分に活性化するために補因子を必要とするため、補因子の合成および前記因子の産生のステップが先に必要である。前記補因子にはいわゆる接着分子が含まれ、これは新しい血管の増殖・分化シグナルの翻訳に重要な役割を果たし、いわゆるインテグリンが含まれ、これは、細胞の接着、遊走、および増殖を仲介できるヘテロダイナミックな膜タンパク質である。間接的証拠から、インテグリンアルファ−3/ベータ−1を阻害するとVEGFが阻害されることが示唆されている。同様に、インテグリンアルファ−5/ベータ−5、アルファ−5/ベータ−1、およびアルファ−4/ベータ−1が血管新生に関与することも示されている。例えば、血管接着タンパク質1VAP−1(SSAO(ヒトセミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ)とも呼ばれる)は、銅を含み且つ酵素機能および接着機能の両方を有するアミンオキシダーゼである。VAP−1は、第一級アミンの酸化的脱アミノ反応を触媒し、それぞれのアルデヒドを形成させ、過酸化水素およびアンモニアを放出させる。膜結合VAP−1は、炎症血管中で白血球と活性化された内皮細胞との間の相互作用を仲介する炎症誘発性内皮細胞接着分子である。直接的接着機能および酵素機能の両方が接着カスケードに関与していると考えられている。
【0007】
アンチセンス戦略の進展につれて、治療薬剤として核酸分子を使用するという発想が数年前に考え出された。アンチセンス化合物は、原則的には、コーディングmRNAとの配列依存的ハイブリダイゼーションを介して標的タンパク質の合成をブロックする単鎖核酸である。核酸アプタマーに基づく作用機序は完全に異なる。アプタマーは、標的のタンパク質への高アフィニティー結合を規定する特定の三次元構造に自身がフォールディングされることでタンパク質機能を直接阻害する単鎖核酸である。
【0008】
今日まで公開されている全ての最新の知見を考慮すると、モノクローナル抗体の個々の使用は、循環しているVEGF165のみを阻害すると考えられ得る。そこで、本発明者らは、VEGF165を最も多くブロックする最適な方法が、血管新生を引き起こす複数の因子、この場合には各種抗体(抗VEGF、抗VAP1、および抗アルファ9)と前記因子の抗siRNA(抗VEGF siRNA、抗VAP1 siRNA、および抗アルファ9 siRNA)との組合せ、を含む医薬組成物の使用によるものであると決定した。また、この態様は最先端の知識に基づいて当業者に明白なものではない。
【0009】
上記の全記述によれば、血管の問題は長年にわたり広範に研究が行われているが、血管新生プロセスに由来する血管系疾患を治療するための代替的治療法の発見に対するニーズが依然として存在することに留意しなければならない。したがって、今日でも、がんおよび/または眼疾患等の疾患につながる血管の変質を寛解することができる抗血管新生能を有する分子を発見し、当該技術分野で既に報告されている治療に代わる有効な療法を提供することに対するニーズが依然として存在する。
【発明の具体的説明】
【0010】
本発明の対象は、薬学的に許容される量の、VEGF165のアンチセンス核酸分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインのアンチセンス核酸分子、およびVAP−1のアンチセンス核酸分子、VEGF165に特異的な抗体分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインに特異的な抗体分子、およびVAP−1に特異的な抗体分子、および/またはこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの分子、ならびに薬学的に許容されるヒビクルを含む、抗血管新生医薬組成物である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、VEGF165のアンチセンス核酸分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインのアンチセンス核酸分子、およびVAP−1のアンチセンス核酸分子からなる群から選択される少なくとも2つの分子を含む。
【0012】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、VEGF165のアンチセンス核酸分子およびインテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインのアンチセンス核酸分子を含む。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、VEGF165のアンチセンス核酸分子およびVAP−1のアンチセンス核酸分子を含む。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインのアンチセンス核酸分子およびVAP−1のアンチセンス核酸分子を含む。
【0015】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、VEGF165のアンチセンス核酸分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインのアンチセンス核酸分子、およびVAP−1のアンチセンス核酸分子を含む。
【0016】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、VEGF165に特異的な抗体分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインに特異的な抗体分子、およびVAP−1に特異的な抗体分子からなる群から選択される少なくとも2つの分子を含む。
【0017】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、VEGF165に特異的な抗体分子およびインテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインに特異的な抗体分子を含む。
【0018】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、VEGF165に特異的な抗体分子およびVAP−1に特異的な抗体分子を含む。
【0019】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインに特異的な抗体分子およびVAP−1に特異的な抗体分子を含む。
【0020】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、組成物は、VEGF165に特異的な抗体分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインに特異的な抗体分子、およびVAP−1に特異的な抗体分子を含む。
【0021】
本発明の別の対象は、血管増殖が起こる病理的プロセスの治療のための医薬を製造するための上述の医薬組成物の使用である。より具体的には、血管増殖が、加齢に関連する黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、またはがんである、病理的プロセスの治療のための医薬を製造するためである。
【0022】
本発明の別の対象は、長期間の治療効果(prolonged therapeutic effect)を有する、網膜血管新生の治療のための医薬を製造するための医薬組成物の使用および硝子体内経路による前記医薬組成物の使用である。
【0023】
本発明の別の対象は、患者に上述の医薬組成物を投与することからなる、血管の増殖が起こる病理的プロセスの治療方法である。
【0024】
本発明の分子は、上述の疾患に存在する新しい血管を制御および生成する調節物質として有用である。したがって、アンチセンス核酸分子を用いると、前述の因子の伝令RNAがブロックされることで新しい血管の生成がブロックされ、特異的モノクローナル抗体分子を用いると、循環中の前記因子がブロックされる。
【0025】
これらの分子は同じように組み合わせてまたは個々に用いることができる。したがって、前述の因子の伝令RNAのブロックを介して新しい血管の生成をブロックするために患者をアンチセンス核酸分子(抗VEGF siRNA、抗VAP1 siRNA、および抗アルファ9 siRNA)の組合せを用いて治療することができ、血流中を循環している前記因子をブロックする特異的モノクローナル抗体分子の組合せ(抗VEGF、抗VAP1、および抗アルファ9)またはアンチセンス核酸分子とモノクローナル抗体分子の組合せ(抗VEGF siRNA、抗VAP1 siRNA、抗アルファ9 siRNA、抗VEGF、抗VAP1、および抗アルファ9)で治療することができる。
【0026】
本発明のアンチセンス核酸分子は、当該技術分野で公知の古典的な遺伝操作技術によって得ることができる。
【0027】
その一例として、本発明の特異的モノクローナル抗体分子は、ハイブリドーマセルラインから、典型的なタンパク質のペプチドをコンジュゲートし、このセルラインを融合および増殖させ、その後サブクローニングすることで得ることができる。
【実施例】
【0028】
以下に記載する具体例は、本発明の性質を説明するものである。これらの実施例は説明のみを目的として記載するものあり、請求されている本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0029】
実施例1:アンチセンス核酸分子を用いた、血管新生因子の発現ブロック
アンチセンス核酸分子群の使用による血管新生因子の発現ブロックを行うために、有効量の前記分子群を対象に投与し、核酸を定量するための技術を用いて発現抑制の程度を評価する。
【0030】
実施例2:特異的モノクローナル抗体分子を用いた、循環している血管新生因子のブロック
特異的モノクローナル抗体分子群の使用による循環中の血管新生因子のブロックを行うために、有効量の前記分子群を投与し、タンパク質を定量するための技術を用いて前記因子の循環レベルを求める。
【0031】
実施例3:網膜への毒性の評価
本実験の目的は、ニュージーランドホワイト系(NZW)ウサギに硝子体内経路で別々におよび組み合わせて投与する3つの治療薬(表1の治療薬1、2、および3)により生じる潜在的な網膜毒性効果を評価することである。
【0032】
試験に用いた3つの治療薬は、輸送担体を含む各種モノクローナル抗体と合成ペプチドおよび合成干渉RNA(siRNA)の組合せである。本実施例の表中で用いる名称は抗原に対する名称であり、すなわち抗VEGF、抗VAP1、および抗アルファ9である。
【0033】
【表1】

【0034】
全てのアッセイで、各眼中の抗体投与量は0.75μgとし、各眼中の体積が0.05μlとなるように硝子体内経路で投与した。
【0035】
全動物に対して予備的検眼鏡検査を行い、実験に用いることが可能か確認した。
【0036】
各種抗体を投与した後、投与後1、5、8、12、および33日後に一連の検眼鏡検査を行った。
【0037】
各検眼鏡検査後に、各群中の動物1頭を屠殺し、両目を切除し、10%ホルマリンに入れ、冷保存した。
【0038】
本実験の目的は、NZWウサギに硝子体内経路で個々におよび組み合わせて投与される3つの組合せ(表1の治療薬1、2、および3)により生じる潜在的な網膜毒性効果を評価することである。
【0039】
物質を組み合わせて投与する目的は、より長期間の治療効果を有する網膜血管新生のための治療薬を得ることである。
【0040】
ヒトでの使用を意図した経路である硝子体内経路を選択した。
【0041】
投与経路および投与量:
治療薬は、右目に溶液50mlの量で硝子体内経路で投与した(この経路はヒトでの使用が見込まれる経路として用いた)。
【0042】
各アッセイで投与された量は、0.75μg/眼であった。対照群は、同じ経路で右目に50μgのビヒクル(注射剤用のPBS水溶液)を受け、これは各種治療薬サンプルの調製に用いたビヒクルと同じものある。
【0043】
組成物の調製:
各組成物中の抗体濃度は以下の通りである(表2参照)。
【0044】
【表2】

【0045】
抗体濃度に従い、PBS中の濃度が15μg/mlの溶液を調製し、両方の物質(抗体+siRNA)を混合し、それぞれの最終的な組合せの量を得た。このようにして得られた10mlの最終溶液は以下の通りである(表3参照):
各動物の各眼に0.75μgの投与量で抗体を投与し、最終体積を0.05μl/眼とした。
【0046】
【表3】

【0047】
実験デザイン:
全ての動物に硝子体内経路で各治療薬を投与する前に、予備的な検眼鏡検査を行い、実験に用いることが可能か確認した。本実験は、2.5%フェニレフリンと0.5%トロピカミドを眼に局所投与して散瞳を誘導した後に高解像度顕微鏡を用いて行った。動物は、塩酸ケタミン(50mg/kg)および塩酸キシラジン(5mg/kg)の組合せをテトラカイン(0.1%)とオキシブプロカイン(0.4%)とを含む局所麻酔配合物と一緒に用いて麻酔した。
【0048】
治療薬は、50mlの溶液として硝子体内経路で右目に投与した(この経路はヒトでの使用が見込まれる経路として用いた)。
【0049】
各アッセイで投与した量は、0.75μg/眼であった。対照群は、同じ経路で右目に50μlのビヒクル(注射剤用のPBS水溶液)を受けた。このビヒクルは各種治療薬サンプルの調製に用いたビヒクルと同じものである。
【0050】
各種治療薬を投与した後、投与後1、5、8、12、および33日後に各種検眼鏡検査を行った。
【0051】
各検眼鏡検査後、各群から1頭を過剰量のフェノバルビタールナトリウムで屠殺して、各動物の両目を切除し、10%ホルマリンに入れ、冷保存した。ホルマリン溶液に入れた後、光彩のすぐ下を30Gの針で刺し、内側をホルマリン化した。
【0052】
実験中、動物の重量に関して異常な値は観察されなかった。更に、実験期間中、検眼鏡検査による評価中に観察された変化以外には、動物の行動または健康状態の変化は観察されなかった。
【0053】
物質を組み合わせて投与する目的は、より長期間の治療効果を有する網膜血管新生のための治療薬を得ることである。
【0054】
得られた結果から、各抗体と各siRNA+輸送担体、またはその組合せのどちらを投与しても、網膜毒性は生じず、したがって、個々にまたは組み合わせて、疾患の治療に用いることができることが実証された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容される量の、VEGF165のアンチセンス核酸分子、インテグリンアルファ9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインのアンチセンス核酸分子、およびVAP−1のアンチセンス核酸分子、VEGF165に特異的な抗体分子、インテグリンアルファ−9/ベータ−1を形成するアルファ−9ドメインに特異的な抗体分子、およびVAP−1に特異的な抗体分子、および/またはこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの分子、ならびに薬学的に許容されるビヒクルを含むことを特徴とする抗血管新生医薬組成物。
【請求項2】
血管増殖が起こる病理学的プロセスの治療のための医薬を製造するための、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項3】
前記血管増殖が、加齢に関連する黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、またはがんである、病理的プロセスの治療のための医薬を製造するための、請求項2に記載の医薬組成物の使用。
【請求項4】
長期間の治療効果を有する、網膜血管新生の治療のための医薬を製造するための、請求項2または3に記載の医薬組成物の使用。
【請求項5】
硝子体内経路による、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項6】
血管増殖が起こる病理的プロセスの治療方法であって、請求項1に記載の医薬生物を患者に投与することからなる、方法。

【公表番号】特表2011−519902(P2011−519902A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507947(P2011−507947)
【出願日】平成21年5月5日(2009.5.5)
【国際出願番号】PCT/ES2009/000236
【国際公開番号】WO2009/138533
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510294276)
【氏名又は名称原語表記】DAVID BENET FERRUS
【出願人】(510294287)
【氏名又は名称原語表記】FRANCISCO DE BORJA CORCOSTEGUI GURAYA
【出願人】(510294298)
【氏名又は名称原語表記】JORGE ALBERTO PRIETO GARCIA
【Fターム(参考)】