説明

抗酸化剤として有用なアルキル置換複素環式反応生成物

本発明は、空気または酸素の存在下で酸化劣化を通常受け易い有機材料、例えば石油製品、合成重合体および弾性重合体物質などに添加した時に酸化防止特性を示す新規な高分子組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気または酸素の存在下で酸化劣化を通常受け易い有機材料、例えば石油製品、合成重合体および弾性重合体物質などに入れる抗酸化剤として用いるに有用な反応生成物および前記反応生成物を製造するに適した方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幅広く多様な有機材料が空気または酸素の存在下で酸化劣化を受け易く、特に温度が高い時に受け易いことは良く知られている。そのような有機材料には、例えばガソリン、ディーゼル燃料、バーナー燃料、ガスタービンおよびジェット燃料、オートマチックトランスミッション用流体、ギアオイル、エンジン潤滑油、熱可塑性重合体、天然および合成ゴムなどが含まれる。そのような材料の中の1種以上の劣化を最小限にする能力を有する化合物を発見および開発する努力が長年に渡ってかなり行われてきた。そのような材料がいろいろな酸素含有環境下で使用されかつそのような環境にさらされる条件が長年に渡って変化してきたことから、新規で有効な酸化防止剤(即ち抗酸化剤)の必要性が継続して存在する。また、公知の有効な酸化防止剤を製造するに適した新規で高度に有効な工程技術が提供されると、それも当該技術分野にとって多大な利益になる。
【0003】
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアルコールとアリールアミン、カルバゾール、フェナジンまたはアクリジンを反応させて酸化防止剤を生じさせることが特許文献1に開示されている。不幸なことには、その結果としてもたらされる反応生成物は未反応のアミン出発材料を多量に含有する複雑な混合物でありかつ所望生成物の生成収率も低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,673,091号
【発明の概要】
【0005】
本発明は、いくつかの態様において、酸化防止剤、特にこの上に示した種類の石油製品用の酸化防止剤としての有用性を高める特性を有する高分子抗酸化剤生成物に関する。そのような高分子反応生成物は、1種以上のi)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物、およびvi)1個以上、いくつかの態様では約1から約12個の範囲内の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物を含有して成る。
【0006】
本発明の好適な高分子抗酸化剤生成物は、室温(約23℃)で液体であるか或は約100℃未満、好適には約60℃未満で溶融する固体でありかつ通常の有機溶媒、特に液状炭化水素溶媒に溶解し得る化合物である。加うるに、多くの場合、そのような生成物は潤滑油、例えば高い粘度指数の100 Neutralが50体積%で高い粘度指数の250 Neutralが50体積%の基油、例えば米国特許第3,673,091号に示されている如き基油など中でも高い溶解性を示す。
【0007】
本発明の更に別の面では、潤滑油、特に内燃機関用潤滑油で用いるに特に適した新規な抗酸化剤配合物を提供する。また、前記および他の抗酸化剤配合物の詳細な説明をまた本明細書の以下でも行う。
【0008】
以下の説明および添付請求項から本発明の前記および他の面、特徴および態様が更に明らかになるであろう。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の反応生成物
上述したように、本発明の高分子反応生成物は抗酸化剤として用いるに有用であり、このように、本高分子反応生成物を本明細書では簡潔さの目的で時にはアルキル置換複素環式化合物、抗酸化剤生成物、高分子抗酸化剤組成物または高分子酸化防止剤とも呼ぶ。上述したように、本発明の好適な抗酸化剤生成物は、室温(約23℃)で液体であるか或は約100℃未満、好適には約60℃未満で溶融する固体でありかつ通常の有機溶媒、特に液状炭化水素溶媒に溶解し得る化合物である。加うるに、多くの場合、そのような生成物は潤滑油、例えば高い粘度指数の100 Neutralが50体積%で高い粘度指数の250 Neutralが50体積%の基油、例えば米国特許第3,673,091号に示されている如き基油など中でも高い溶解性を示す。
【0010】
本発明の抗酸化剤生成物は、典型的に、1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物および1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されておりかつメチレンブリッジを有する1種以上の複素環式化合物を含有して成る。そのようなアルキル置換複素環式化合物は、典型的に、1種以上のi)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、およびvi)1個以上、いくつかの態様では約1から約12個の範囲内の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物を含有して成る。本発明の高分子反応生成物が含有する1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の量が反応生成物の総重量を基準にして約10重量%未満であるのが好適である。他の態様において、本発明の反応生成物が含有する2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の量は同じ基準で25重量%以下である。更に他の態様において、本発明の抗酸化剤生成物が含有する1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の量は同じ基準で25重量%以下でありかつ2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の量は25重量%以下である。いくつかの態様では、本発明の抗酸化剤生成物が含有する3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の量は15重量%以上、いくつかの態様では約20重量%以上であり、他の態様では、4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物と5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の量は40重量%以上(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)である。この上に示した態様において、本発明の抗酸化剤生成物が含有する1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物の量は約1から約20重量%の範囲内、好適には約1から約15重量%の範囲内、最も好適には約1から10重量%の範囲内(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)である。
【0011】
いくつかの態様において、本発明の抗酸化剤生成物は、i)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の含有量が約10重量%未満、好適には約5重量%未満、より好適には約1重量%未満(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)であり、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の含有量が約20重量%未満、好適には約15重量%未満、より好適には約10重量%未満(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)であり、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の含有量が約15重量%から約40重量%の範囲内、好適には約15重量%から約30重量%の範囲内、より好適には約10重量%から約20重量%の範囲内(同じ基準)であり、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の含有量が約10重量%から約70重量%の範囲内、好適には約15重量%から約65重量%の範囲内、より好適には約20重量%から約60重量%の範囲内(同じ基準)であり、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物の含有量が約5重量%から約45重量%の範囲内、好適には約8重量%から約40重量%の範囲内、より好適には約10重量%から約35重量%の範囲内(同じ基準)であり、かつvi)1個以上、いくつかの態様では約1から約12個の範囲内の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物の含有量が約1重量%から約15重量%の範囲内、好適には約1から約10重量%の範囲内(全部抗酸化剤生成物の総重量を基準)であるとして記述可能である。
【0012】
いくつかの態様において、本反応生成物は、一般に式I:
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、Xは硫黄、酸素または窒素であり、RはHまたはヒドロカルビルであり、Rは3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジルであり、RはHまたはヒドロカルビルであり、nは約0から約1の範囲内の整数であり、pは約1から約10の範囲内の整数であり、そしてn=0の時のmは1であり、そしてn=1の時のmは約2から約10の範囲内の整数である]
で表される1種以上の化合物を含有して成る。いくつかの態様において、R1がHであり、n=0、m=1およびp=1でありそして本発明の反応生成物は式II:
【0015】
【化2】

【0016】
で表され得る。
【0017】
いくつかの態様におけるXは硫黄であり、いくつかの態様におけるXは酸素であり、他の態様におけるXは窒素である。
【0018】
既に理解されるであろうように、本発明の反応生成物に入っている複素環式化合物のアルキル置換度を考察する時に本発明者らは「p」値を言及する。例えば、本反応生成物が式Iで表される場合、一アルキル置換複素環式化合物の「p」値は1でありかつそれは一般に式III:
【0019】
【化3】

【0020】
で表されるであろう。
【0021】
式III中のRおよびR’は独立してHまたはヒドロカルビルであり、そしてR1およびXは上述した通りである。
【0022】
いくつかの態様において、本発明の高分子抗酸化剤組成物は、下記の一般式IV:
【0023】
【化4】

【0024】
[式中、R、R’、R1、R2およびR4は独立して水素またはヒドロカルビルであり、qおよびsは整数であり、そしてq+s=pであり、かつXは上述した通りである]
で表される1種以上、好適には2種以上の化合物を含有する。例えば、式IVで表される四アルキル置換メチレン橋渡し化合物は式V:
【0025】
【化5】

【0026】
で表され得る。
【0027】
また、式II、III、IVおよびVに示した置換パターンは単に可視的表示の目的でありかつアルキルおよびフェノールの置換は複素環式分子上のあらゆる有効活性部位上に起こり得ることも当業者に明らかであろう。当業者は、また、窒素含有複素環の場合には窒素原子による橋渡しも可能でありかつそのような場合にはアルキル置換度がチオフェン類似物の場合よりも2単位高くなることも理解するであろう。
【0028】
本発明の抗酸化剤生成物、例えば上述した生成物などが大気圧下で示す沸点は好適には少なくとも約175℃である。
【0029】
本発明の反応生成物の使用
本発明の反応生成物は、空気または酸素の存在下で酸化劣化を通常受け易いいずれかの有機基質材料に入れる抗酸化剤として用いる目的で「混ぜ物無し」または基油組成物に入っている溶液として使用または販売で使用可能である。これを使用する時、本発明の新規な生成物を抗酸化量で当該基質、例えば潤滑油、液体燃料、熱可塑性重合体、樹脂もしくはオリゴマー、または天然もしくは合成ゴムもしくは弾性重合体などと混合してもよい。
【0030】
本発明の添加剤組成物は、そのような有機材料が空気または酸素の存在下で早期の酸化劣化を起こさないようにそれを保護する別の様式の保護を構成するものである。このように、本発明の1種以上の反応生成物を油に入れる添加剤として用いるに適するようにする場合には、それを基油もしくは加工油である程度希釈するか或はそれに溶解させてもよいか、或は幅広く多様な潤滑油で通常用いられる他の成分と混合してもよい。使用可能な基油の例には、グループI、IIおよびIIIの鉱油、ポリ−アルファ−オレフィン、合成エステル、ガスツーリキッドで得られた油(gas to liquid derived oils)、バイオが基になった油が含まれる。本発明の反応生成物を用いて新規で有用な潤滑添加剤混合物を生じさせようとする時に使用可能な他の添加剤の例には、これらに限定するものでないが、分散剤、洗浄剤、抗摩耗添加剤、極圧添加剤、腐食防止剤、錆防止剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、粘度指数調整剤、乳化剤、解乳化剤、シールスウェル剤(seal swell agents)、可溶化剤、消泡剤、酸捕捉剤、金属不活性化剤および他の抗酸化剤もしくは安定剤が含まれる。そのような成分の中の1種以上の組み合わせを本発明の反応生成物の中の1種以上と一緒に用いることで添加剤混合物を生じさせることができる。また、本発明の反応生成物の中の1種以上を希釈剤、溶媒または担体流体および/または他の1種以上の適切な添加剤と混合することで内燃機関用油、列車および海洋用潤滑油、天然ガスエンジンオイル、ガスタービンオイル、蒸気タービンオイル、航空タービンオイル、錆および酸化用油、油圧油、コンプレッサー用流体、滑斜面用油、急冷用油、マニュアルおよびオートマチックトランスミッション用流体、ギアオイル、グリースなどに入れて用いるに適した添加剤組成物を生じさせることも可能である。油に入れて用いるに適した本発明の添加剤組成物のそれの含有量は、当該混合物に入れる他の成分の数および種類に応じて、本添加剤組成物の総重量を基準にして5重量%から95重量%の範囲内であってもよい。本発明の完成潤滑油は本発明の生成物を抗酸化量で含有し、その量は典型的に本完成潤滑油の総重量を基準にして少なくとも約0.1重量%、好適には少なくとも約1重量%、より好適には少なくとも約3重量%である。潤滑粘度を有する油の使用を意図するサービスの種類に応じて、それに単一の添加剤としてか或は他の1種以上の成分を含有する添加剤組成物として混合する本発明の生成物の量は同じ基準で典型的に約15重量%以下である。
【0031】
本発明のそのような態様で用いる潤滑油は、鉱物、合成または鉱物および/または合成潤滑油の混合物であってもよい。そのような油はガスもしくは蒸気タービン、トランスミッションもしくは油圧油、火花点火および圧縮点火内燃機関、例えば天然ガスエンジン、自動車およびトラック用エンジン、海洋および列車用ディーゼルエンジンなどに適した典型的な産業用およびクランクケース用潤滑油である。潤滑用鉱油は、芳香、アスファルト系、ナフテン系、パラフィン系もしくは混合基原油から精製した油であってもよい。そのような潤滑油は、所望特性を有する完成ベースストックをもたらす潤滑用蒸留もしくは残油、例えばブライトストックなどまたはそのような油の混合物であってもよい。用いる合成基油は、(i)ジカルボン酸とポリグリコールとアルコールのアルキルエステル、(ii)ポリ−アルファ−オレフィン(ポリブテンを包含)、(iii)アルキルベンゼン、(iv)燐酸の有機エステルまたは(v)ポリシリコーン油であってもよい。そのような基油が100℃で示す粘度は典型的に約2から約15cSt、好適には約2.5から約11cStである。
【0032】
本発明の液体燃料組成物(例えばガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料、ガスタービンエンジン燃料など)を生じさせようとする時に用いるに適した添加剤組成物の製造は、本発明の少なくとも1種の新規な化合物を他の1種以上の添加剤、例えば洗浄剤、担体流体、解乳化剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、滑剤、流動点降下剤、セタンもしくはオクタン価改良剤、アンチノック剤、防氷剤などと一緒に含有して成る本発明の添加剤組成物の形態で本発明の反応生成物の中の1種以上を抗酸化量でそれに混合もしくは供給することで実施可能である。そのような基質である燃料は石油から得られた燃料であってもよいか或は合成燃料であってもよいか或はそれは前記種類の両方の材料の混合物であってもよい。そのような新規な組成物を本発明の添加剤混合物に入れる量は、この混合物に入れる他の成分の種類および数に応じて、この添加剤混合物の総重量を基準にして5重量%から95重量%に及んで多様であり得る。
【0033】
本発明の液体燃料組成物の製造を典型的には本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を抗酸化量で燃料と一緒に単一の添加剤組成物(即ち他の種類の燃料添加剤を含有する)としてか或は本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を他の少なくとも1種の燃料添加剤と一緒に含有する添加剤濃縮液として混合することで実施する。このように、本発明の添加剤濃縮液は本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を約5から約95重量%の範囲内で含有していてもよく、100重量%に対する残りは他の1種以上の添加剤および場合により希釈剤、溶媒または担体流体であってもよいが、全部本添加剤濃縮液の総重量を基準にした重量%である。その完成した燃料組成物は本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を典型的には約0.0001から約0.1重量%の範囲内、好適には約0.001から約0.05重量%の範囲内(全部完成燃料組成物の総重量を基準)の量の抗酸化量で含有する。
【0034】
勿論、本発明の反応生成物の中の1種以上を液状の基質である燃料または油と混合する
と本発明の反応生成物はこれをそのような基質である燃料または油に添加した時ともはや正確に同じ組成および形態では存在しないことは理解されるであろう。例えば、それらは当該燃料もしくは油に入っている他の成分の中の1種以上と相互作用する可能性がありそして/またはそれらは当該基質である燃料もしくは油に溶解することで複合体を形成するか或は他の様式で変化する可能性もある。しかしながら、完成燃料もしくは潤滑油はこれに本発明の1種以上の反応生成物を添加したことから抗酸化特性を有することで、そのような基質が希釈された時にそのような変換が起こったとしてもそれは問題にならない。本発明に関して問題になる事項は、そのような希釈を行った時にどのような物が生じようともそれが抗酸化剤として有効であることである。従って、「の範囲内で含有」、「の中」などの如き表現を本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を言及する時に用いる場合、それは、液体燃料または基油のいずれかおよび/または他のいずれかの成分とブレンドまたは混合する直前にそれが存在していたかのように本発明の反応生成物の中の少なくとも1種を言及するとして理解されるべきである。
【0035】
また、完成潤滑油に入れる本発明の反応生成物の量は潤滑油の種類、用いる本発明の1種以上の反応生成物の同定および要求される性能の所望レベルに応じて変わることも理解されるであろう。例えば、タービンオイルに入れる本発明の反応生成物1種または2種以上の濃度はしばしば完成タービンオイルの総重量を基準にして約0.05から約1.0重量%に及んで多様である。しかしながら、エンジンオイルに入れる濃度は典型的にエンジンオイルの総重量を基準にして約0.2から約2重量%に及んで多様である。低燐エンジンオイルに入れる濃度は低燐エンジンオイルの総重量を基準にして約0.3から約3重量%に及んで多様であり得る。無燐エンジンオイルに入れる濃度は、無燐エンジンオイルの総重量を基準にして約4または5重量%の如く高くてもよい。重量%は全部あらゆる添加剤などを含有する完成油の総重量を基準にした重量%であることは理解されるであろう。本発明の反応生成物を適切に用いると、これは抗酸化剤組成物として働く。このように、本発明は、また、酸化の度合を低下させ、粘度上昇および重合の度合を低下させ、酸生成度合を低下させかつ潤滑油の塩基性を維持させ(TANおよびTBN)、ワニスおよび付着物の生成度合を低下させ、摩擦および摩耗の度合を低下させ、酸化および付着物の制御に関してZDDPおよび燐への依存度を低下させ、上述したあらゆる潤滑油の使用可能寿命を長引かせかつオイル交換および車整備の回数を低下させる新規な改良方法も提供する。そのような方法の各々で本発明の少なくとも1種の新規な生成物が抗酸化量で混ざり合っている潤滑粘度の油を含有して成る本発明の潤滑油組成物を潤滑油として用いる。本発明の更に別の方法は潤滑油の酸化安定性を向上させる方法であり、この方法は、潤滑油に本発明の少なくとも1種の反応生成物を酸化安定性を向上させる量で混合することを含んで成る。このようにして、油の酸化安定性が本発明の反応生成物を含有しない以外は同じ油に比べて有意に向上する。
【0036】
本発明のエンジンオイル組成物の一例は、下記:
・ 洗浄剤:高純度成分または濃縮液[濃縮液は典型的に希釈用油を25から90重量%含有]として0.5から5.0重量%
・ 分散剤:高純度成分または濃縮液[濃縮液は典型的に希釈用油を25から90重量%含有]として1.0から10.0重量%
・ ジアルキルジチオ燐酸亜鉛(ZDDP):高純度成分として0.1から1.5重量%(この量を低くする方が好適である)
・ 任意成分としての粘度調整剤:高純度成分または濃縮液[濃縮液は典型的に希釈用油を5から50重量%含有]として1.0から15.0重量%
・ 1種以上の追加的任意成分としての追加的抗酸化剤1種または2種以上:高純度成分または濃縮液[濃縮液は典型的に希釈用油を25から90重量%含有]として0.01から1.0重量%
・ 1種以上の任意成分としての下記の追加的添加剤を当該添加剤1種または2種以上が
意図した機能を示すに充分な使用量:1種以上の摩擦調整剤、補足的抗摩耗添加剤、消泡剤、シールスウェル剤、乳化剤、解乳化剤、極圧添加剤、腐食防止剤、酸捕捉剤、金属不活性化剤および/または錆防止剤
・ 本発明の少なくとも1種の生成物:0.1−2.5重量%[100重量%に対する残りを1種以上の基油で構成]
を含有して成る成分を一緒に混合することで生じさせた組成物である。重量%は全部あらゆる添加剤などを含有する完成油の総重量を基準にした重量%であることは理解されるであろう。
【0037】
本発明では、また、本発明の少なくとも1種の反応生成物を
1)少なくとも1種の通常のヒンダードフェノール系抗酸化剤
2)少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン系抗酸化剤
3)少なくとも1種の有機モリブデン化合物
4)少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミンおよび少なくとも1種の有機モリブデン化合物
5)少なくとも1種の無燐抗摩耗もしくは極圧添加剤
6)少なくとも1種のモリブデン含有もしくはホウ素含有分散剤
7)少なくとも1種の有機ホウ素化合物
8)少なくとも1種の有機ホウ素化合物および少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン
9)少なくとも1種の硫化抗酸化剤、EP(極圧)添加剤もしくは抗摩耗添加剤
10)少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミンに加えて少なくとも1種の(i)硫化抗酸化剤、(ii)EP添加剤、(iii)抗摩耗添加剤および(iv)有機ホウ素化合物
11)少なくとも1種の基油もしくは加工油
と一緒にすることで構成させた新規な組成物も提供する。このパラグラフに記述した組成物が1)−11)の中のいずれか1つまたは1)−11)の中のいずれか2つ以上の組み合わせを含有していてもよいことは本発明の範囲内であることは理解されるであろう。
【0038】
本発明の生成物の製造方法
本発明の高分子反応生成物の製造は、例えば下記:
(A)立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノール、好適には
立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジアルキルフェノール、より好適には4
−アルコキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール(アルコキシメチル基は
エトキシメチルまたはメトキシメチルである)、更により好適には4−メトキシメ
チル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、または立体障害4−ヒドロキシメチル
−2,6−ジヒドロカルビルフェノール、好適には立体障害4−ヒドロキシメチル
−2,6−ジアルキルフェノール、より好適には4−ヒドロキシメチル−2,6−
ジ−t−ブチルフェノール、および
(B)単環式もしくは多環式化合物でありかつ
a)単環式化合物の単環式基が完全に共役状態にありかつ完全共役環の中の唯一のヘテロ
原子1種または2種以上として(i)1個の窒素原子、1個の硫黄原子または1個の
酸素原子、(ii)1個の硫黄原子と1個の窒素原子、1個の硫黄原子と1個の酸素
原子または1個の窒素原子と1個の酸素原子または(iii)2個の窒素原子、2個
の硫黄原子または2個の酸素原子を有し、かつ
b)多環式化合物が有する環式基の中の少なくとも1つが完全に共役状態にありかつ完全
共役環の中の唯一のヘテロ原子1種または2種以上として(i)1個の窒素原子、1
個の硫黄原子または1個の酸素原子、(ii)1個の硫黄原子と1個の窒素原子、1
個の硫黄原子と1個の酸素原子または1個の窒素原子と1個の酸素原子または(ii i)2個の窒素原子、2個の硫黄原子または2個の酸素原子を有する、
少なくとも1種の複素環式化合物、
(C)アルキル化用触媒、および
(D)場合により、有機溶媒、
を含有して成る成分を、
前記少なくとも1種の複素環式化合物がアルキル化されて(A)の少なくとも1種の成分と(B)の少なくとも1種の成分の間の反応生成物混合物が生じることに加えて少なくとも1種のアルコールであるROH(ここで、ROはアルコキシ基または水に相当する)が共生成するように一緒にすることで反応混合物を生じさせることを含んで成る工程技術などを用いて実施可能である。(A)が(B)に対してモル過剰量で存在するように(A)と(B)をいろいろな相対的比率で用いることができる。好適な態様では、(A)と(B)を(A)対(B)のモル比が約1:1から約10:1、より好適には1:1から約7:1の範囲内になるように用いる。
【0039】
成分(A)
本発明の抗酸化剤生成物を生じさせる時に反応体として用いる立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノールもしくは4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノールは、かなり大きな群の化合物のいずれであってもよい。ヒドロキシル基を持つ炭素原子に対してオルソ位に位置するヒドロカルビル基は一価の如何なる炭化水素基であってもよいが、但し結果としてもたらされる2位と6位の置換によってヒドロキシル基が立体障害を受けることを条件とする。立体障害を達成するには前記オルソ位の炭素原子総数が典型的には少なくとも4または5になるようにする必要がある。オルソ位に位置させることができる適切なヒドロカルビル基はとりわけアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、アリールおよびアラルキルであり、かつ環式部分は、飽和もしくは不飽和であるかに拘わらず、アルキルで置換されていてもよい。アルキルおよびアルケニル基は直鎖もしくは分枝していてもよい。オルソ位に位置させる個々のヒドロカルビル基各々の炭素原子数は1から約12の範囲内であってもよく、オルソ位に位置させるそれらの炭素原子総数は炭素原子数が約4から約18の範囲内、好適には炭素原子数が8から約16の範囲内になるような総数であってもよい。オルソ位の中の少なくとも一方が第三アルキル基で置換されている4−アルコキシメチルフェノールが好適である。そのアルコキシ基は直鎖もしくは分枝していてもよく、それの炭素原子数は約18以下、好適には炭素原子数は約6以下であってもよい。アルコキシ基がエトキシ、より好適にはアルコキシ基がメトキシである4−アルコキシメチルヒンダードフェノールが好適である。アルキルもしくはアルケニル基が分枝している場合、その分枝の場所はアルキルもしくはアルケニル基の中の如何なる場所(第二アルキル基のアルファ−炭素原子の所を包含)であってもよく[例えばイソプロピルまたはs−ブチルの如く]、またはより離れた場所であってもよい[例えば2−エチルヘキシルの場合のようにベータ位など]。また、アルキルもしくはアルケニル基が有する分枝の数は如何なる数であってもよく、例えば1,1,3,3−テトラメチルブチル基の場合のように4個の分枝が存在していてもよい。
【0040】
適切な立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェニルの非限定例には、4−エトキシメチル−2,6−ジイソプロピルフェノール、4−メトキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−ブトキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−ヘキサデシルオキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−デシルオキシメチル−2−t−ブチル−6−イソプロピルフェノール、4−ヘキシルオキシメチル−2−シクロヘキシル−6−エチルフェノール、4−メトキシメチル−2−t−ブチル−6−フェニルフェノール、4−プロポキシメチル−2−ベンジル−6−イソプロピルフェノール、4−エトキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−メトキシメチル−ジ−t−ブチルフェノール、4−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−2,6−ジ−t−ブチルフェノールおよび類似ヒンダードフェノール化合物が含まれる。立体障害4−アルコキシメチル−2,6−ジアルキルフェノールの好適なサブグループは
、オルソアルキル基の中の一方がt−ブチルでありかつもう一方がメチル、より好適にはt−ブチルでありかつアルコキシメチル基の総炭素原子数が9であるサブグループである。特に4−メトキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノールが好適である。1つの典型的な態様における(A)は4−メトキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールである。
【0041】
適切な立体障害4−ヒドロキシメチル−2,6−ジヒドロカルビルフェノールの非限定例には、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジイソプロピルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−イソプロピルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−シクロヘキシル−6−エチルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−フェニルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2−ベンジル−6−イソプロピルフェノール、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールおよび類似ヒンダードフェノール化合物が含まれる。立体障害4−ヒドロキシメチル−2,6−ジアルキルフェノールの好適なサブグループは、オルソアルキル基の中の一方がt−ブチルでありかつもう一方がメチル、より好適にはt−ブチルであるサブグループである。特に4−ヒドロキシメチル−2−t−ブチル−6−メチルフェノールが好適である。1つの典型的な態様における(A)は4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールである。
【0042】
成分(B)
本発明を実施する時の(B)は、いろいろな化合物、例えば上述した化合物などの中のいずれであってもよい。しかしながら、(B)を典型的には単環式もしくは多環式化合物でありかつ単環式基または多環式化合物が有する環式基の中の少なくとも1つが完全に共役状態にありかつ完全共役環の中の唯一のヘテロ原子1種または2種以上として(i)1個の窒素原子または1個の硫黄原子または1個の酸素原子、(ii)1個の硫黄原子と1個の窒素原子、1個の硫黄原子と1個の酸素原子、1個の窒素原子と1個の酸素原子または(iii)2個の窒素原子または2個の硫黄原子または2個の酸素原子を有する複素環式化合物から選択する。そのような化合物の非限定例には、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、フェナジン、チオフェン、2−ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ジチイン、ベンゾジチイン、インドール、キノリン、アクリジン、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾールおよびイソチアゾール、フラン、2−ベンゾフラン、1,4−ジオキシン、ベンゾジオキシン、ジベンゾジオキシンおよびジベンゾフランが含まれる。そのような化合物の環は1個以上の電子放出基、例えばヒドロキシ、メルカプト、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノおよび/またはヒドロカルビル基などで置換されていてもよいが、但し置換可能な活性水素原子が環上に少なくとも1個残存することを条件とする。そのような置換化合物の非限定例には、2−メチルピロール、2−エチルピロール、2−メチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,3−ジメチルピラジン、2−エチルピリジン、2−メチルイミダゾール、2−メチルフラン、2−エチルフラン、2,3−ジメチルフランおよびこの上に示した種類の同様なアルキル置換(例えばC1−12)複素環式化合物が含まれる。
【0043】
いくつかの方法では、(B)を下記:
(B1)単環式、二環式、三環式もしくは四環式化合物でありかつ単環式化合物の環式基
または二環式、三環式もしくは四環式化合物が有する環式基の中の少なくとも1
つが完全に共役状態にありかつ完全共役環の中の唯一のヘテロ原子1種または2 種以上として(i)1個の窒素原子、1個の硫黄原子または1個の酸素原子、(
ii)1個の硫黄原子と1個の窒素原子、1個の硫黄原子と1個の酸素原子また
は1個の窒素原子と1個の酸素原子または(iii)2個の窒素原子、2個の硫
黄原子または2個の酸素原子を有する少なくとも1種の複素環式化合物から選択
してもよく、かつ(B1)は各々が(a)置換可能水素原子を環上に少なくとも
1個有し、(b)各々の炭素原子数が3から約24の範囲内、好適には炭素原子
数が4から約12の範囲内の1個以上の分枝鎖アルキル基で置換されておりかつ
(c)場合により各々の炭素原子数が1から約3の範囲内の追加的アルキル側鎖
を1個以上有していてもよい。
【0044】
いくつかの態様では、(B)を下記:
(B2)単環式、二環式、三環式もしくは四環式化合物でありかつ単環式化合物の環式基
または二環式、三環式もしくは四環式化合物が有する環式基の中の少なくとも1
つが完全に共役状態にありかつ完全共役環の中の唯一のヘテロ原子1種または2
種以上として(i)1個の窒素原子、1個の硫黄原子または1個の酸素原子、(
ii)1個の硫黄原子と1個の窒素原子、1個の硫黄原子と1個の酸素原子また
は1個の窒素原子と1個の酸素原子または(iii)2個の窒素原子、2個の硫
黄原子または2個の酸素原子を有する少なくとも1種の複素環式化合物から選択
してもよく、
かつ(B2)は(a)置換可能水素原子を環上に少なくとも1個有しかつ(b)場合により各々の炭素原子数が1から2の範囲内のアルキル側鎖を1個以上有していてもよい。
【0045】
成分(C)
本明細書に記述する方法では、(A)と(B)の間の反応を助長する目的でアルキル化用触媒を用いてもよく、このように、(A)と(B)の間の反応を本明細書では時にはアルキル化反応と呼ぶ。本明細書で用いるアルキル化反応用触媒は、(A)と(B)の反応を助長することが知られているアルキル化用触媒のいずれからも選択可能である。いくつかの態様における(C)は、好適には、酸性触媒、例えば硫酸、アリールスルホン酸、アルキルスルホン酸またはアリールアルキルスルホン酸などである。他の適切なアルキル化用触媒の非限定例には、例えば塩酸、臭化水素酸、塩化アルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム/塩化水素、塩化第二鉄、塩化亜鉛、三塩化アンモニウム、塩化第二錫、三フッ化ホウ素、酸性ゼオライト、酸性粘土および高分子スルホン酸、例えば名称Amberlyst(商標)の下で販売されているそれらが含まれる。
【0046】
成分(D)
本発明の方法を液状の反応用媒体中で実施するが、そのような液状の反応用媒体は、アルキル化反応条件下で液体である反応体の中の1つに由来する媒体であってもよいか或は不活性な有機溶媒の使用に由来する媒体であってもよい。使用可能な有機溶媒の非限定例には、例えば酢酸、プロピオン酸、1種以上のヘキサン異性体、1種以上のヘプタン異性体、1種以上のオクタン異性体、1種以上のデカン、アルカン溶媒、例えば上述した溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの中の1種以上の混合物、二塩化メチレン、二臭化メチレン、ブロモクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、1種以上の塩化および/または臭化溶媒の混合物、例えば上述した溶媒の混合物など、およびアルカノール、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、オクチルアルコールおよび他の液状もしくは低沸点の類似アルカノールなどの中の1種または混合物、および1種以上のエーテル、例えばジアルキルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはこれらの混合物などが含まれる。いくつかの態様における溶媒は炭化水素溶媒である。好適な態様では(D)を本発明の実施で用いる。
【0047】
工程条件
本明細書に記述する方法を約20℃から約160℃またはそれ以上の範囲の中の1つ以上の温度で実施する。いくつかの態様では、本発明の方法を40℃以上、好適には70℃
から約160℃またはそれ以上の範囲の中の1つ以上の温度で実施する。本発明者らは、本発明の反応生成物をもたらすには前記範囲内の反応温度がより適切であることが見いだした。更に、本発明者らは、温度をより高くする、即ち40℃以上にすると本発明の工程がより速く進行することで以前に考えていた時間よりも短い時間内に完了に到達し得ることも見いだした。例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを(A)として用いる場合の反応は、室温(約23℃)で2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールが約1当量消費されるまでは比較的速い速度で始まる傾向がある。その後、反応の進行がより遅くなる傾向があり、従って、追加的熱エネルギーをかける必要がありそして/または追加的触媒を用いる必要がある。しかしながら、温度をより高くする、即ち40℃以上にすると、前記反応がより速く進行することでより短い時間内に完了に到達し得る。
【0048】
沸点がより低い反応体および/または溶媒を用いる時には反応を加圧下で実施してもよいか或は反応を冷却器の存在下で実施してもよい。たいていは、その反応の結果として電子が豊富に存在する活性環上にアルキル化が起こる。ある場合には、アルキル化が窒素原子上に起こることもあり得る。
【0049】
本発明者らは、本発明を実施する時に(A)と(B)の相対的モル比を変えることによって以下に記述する如きいろいろな高分子反応生成物を生じさせることができかつそのような高分子反応生成物を抗酸化剤として用いることができることを見いだした。いくつかの態様では、(A)と(B)を(B)対(A)のモル比が約1:1から約1:10の範囲内、好適には約1:1から約1:7の範囲内になるように用い、いくつかの態様では、(B)対(A)のモル比を約1:3から約1:10の範囲内、好適には約1:3から約1:7の範囲内にする。好適な態様では、(B)対(A)のモル比を約1:1、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約1:4.5、約1:5、約1:5.5、約1:6、約1:6.5または約1:7のいずれかにしてもよい。
【0050】
この上で行った説明は本発明のいくつかの態様に向けたものである。当業者は、本発明の精神を実施する目的で等しく有効な他の手段を考案することができることを認識するであろう。また、本発明の好適な態様では本明細書に考察する範囲の全部がより低いいずれかの量からより高いいずれかの量の範囲を包含することを意図することも注目すべきである。
【0051】
以下の実施例は本発明を例示するものであり、決して限定を意味するものでない。
【実施例】
【0052】
以下の実施例に示す生成物が抗酸化剤として有効であることを標準的酸化試験手順(ASTM D 6186)を用いて分析したが、この分析では、添加剤を指定量で含有させておいた潤滑油に酸化を酸素を仕込んで160℃の温度に加熱しておいた耐圧容器内で500psigの初期高圧下で受けさせる。当該組成物の安定性は圧力降下が起こる前の誘導時間(OIT)が長ければ長いほど高い。
【実施例1】
【0053】
チオフェンと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(1:1の比率)
3つ口丸底フラスコに滴下漏斗、磁気撹拌子、温度探針および冷却器を装備した。チオフェン(0.1モル、8.4g)をジクロロメンタン(20mL)に溶解させた後、室温で硫酸(80%を3mL)を加えた。2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(0.1モル、25g)をジクロロメタン(50mL)に入れることで生じさせた溶液を室温で少しずつ増やしながら添加した。最初の1当量の2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを添加している間に発熱反応が起こったが、添加を継続す
ると止んだ。その反応混合物を室温で3時間撹拌した。NMR分析により、出発材料の変換が完了したことが分かった。酸性相を分離した後、有機相を水(20mL)、希水酸化ナトリウムでpHが7−8になるまで、そして水(20mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させることで粘性のある油を得たが、それを室温で放置すると固化した(融点54℃)。HPLC分析により、一置換異性体(13%)、二置換異性体(18%)、三置換異性体(19%)、四置換異性体(32%)および五置換異性体(11%)が存在することが分かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が6%存在することを同定した。PDSCを160℃で実施することで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25重量%の時には72分であり、0.50重量%の時には115分でありそして0.75重量%の時には174分であった。
【実施例2】
【0054】
チオフェンと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(1:2の比率)
3つ口丸底フラスコに滴下漏斗、磁気撹拌子、温度探針および冷却器を装備した。チオフェン(0.1モル、8.4g)をジクロロメンタン(20mL)に溶解させた後、室温で硫酸(80%を3mL)を加えた。2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(0.2モル、50g)をジクロロメタン(60mL)に入れることで生じさせた溶液を室温で少しずつ増やしながら添加した。最初の1当量の2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールを添加している間に発熱反応が起こったが、添加を継続すると止んだ。その反応混合物を室温で3時間撹拌した。NMR分析により、出発材料の変換が完了したことが分かった。酸性相を分離した後、有機相を水(20mL)、希水酸化ナトリウムでpHが7−8になるまで、そして水(20mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させることで粘性のある油を得たが、それを室温で放置すると固化した。その固体は明瞭な融点を示さず、70℃で流体になった。HPLC分析により、一置換異性体(5%)、二置換異性体(8%)、三置換異性体(13%)、四置換異性体(40%)、五置換異性体(20%)が存在することが分かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が12%存在することを同定した。PDSCを160℃で実施することで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25重量%の時には68分であり、0.50重量%の時には114分でありそして0.75重量%の時には169分であった。
【実施例3】
【0055】
チオフェンと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(1:2.4の比率)
使用するチオフェン/2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールのモル比を1:2.4にする以外は実施例1と同じ手順を用いた。融点が71℃の固体状生成物を単離した。HPLC分析により、一置換異性体(1%)、二置換異性体(4%)、三置換異性体(20%)、四置換異性体(59%)、五置換異性体(11%)が存在することが分かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が4%存在することを同定した。PDSCを160℃で実施することで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25重量%の時には72分であり、0.50重量%の時には124分でありそして0.75重量%の時には187分であった。
【実施例4】
【0056】
チオフェンと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(1:3の比率)
使用するチオフェン/2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノールのモル比を1:3にする以外は実施例1と同じ手順を用いた。融点が53℃の固体状生成物を単離した。HPLC分析により、一置換異性体(3%)、二置換異性体(5%)、三置換異性体(13%)、四置換異性体(34%)、五置換異性体(28%)が存在することが分
かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が13%存在することを同定した。PDSCを160℃で実施することで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25重量%の時には72分であり、0.50重量%の時には124分でありそして0.75重量%の時には187分であった。
【実施例5】
【0057】
トルエン中のチオフェンと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(1:2の比率)
3つ口丸底フラスコに滴下漏斗、磁気撹拌子、温度探針および冷却器を装備した。チオフェン(0.1モル、8.4g)をトルエン(40mL)に溶解させた後、室温で硫酸(80%を6mL)を加えた。2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(0.2モル、50g)をトルエン(170mL)に入れることで生じさせた溶液を50℃で45分かけて加えた。その反応混合物を110℃に加熱して3時間還流させた。NMR分析により、出発材料の変換が完了したことが分かった。酸性相を分離した後、有機相を水(30mL)、希水酸化ナトリウムでpHが7−8になるまで、そして水(30mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させることで粘性のある油を得たが、それを室温で放置すると固化した。HPLC分析により、一置換異性体(21%)、二置換異性体(34%)、三置換異性体(25%)、四置換異性体(9%)、五置換異性体(10%)が存在することが分かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が10%存在することを同定した。PDSCを160℃で実施することで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25重量%の時には84分であり、0.50重量%の時には131分でありそして0.75重量%の時には184分であった。
【実施例6】
【0058】
トルエン中のチオフェンと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(1:3の比率)
3つ口丸底フラスコに滴下漏斗、磁気撹拌子、温度探針および冷却器を装備した。チオフェン(0.1モル、8.4g)をトルエン(40mL)に溶解させた後、室温で硫酸(80%を6mL)を加えた。2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(0.3モル、75g)をトルエン(230mL)に入れることで生じさせた溶液を50℃で1時間かけて加えた。その反応混合物を110℃に加熱して3時間還流させた。NMR分析により、出発材料の変換が完了したことが分かった。酸性相を分離した後、有機相を水(30mL)、希水酸化ナトリウムでpHが7−8になるまで、そして水(30mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させることで粘性のある油を得たが、それを室温で放置すると固化した。HPLC分析により、一置換異性体(7%)、二置換異性体(21%)、三置換異性体(29%)、四置換異性体(19%)、五置換異性体(4%)が存在することが分かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が16%存在することを同定した。
【実施例7】
【0059】
チオフェンと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(無溶媒)
硫酸(80%を0.5mL)とチオフェン(10mL)の混合物を室温で撹拌しながらこれに2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(5g)をチオフェン(20mL)に入れることで生じさせた溶液を加えた。その反応混合物を室温で一晩撹拌した。NMR分析により、出発材料の変換が完了したことが分かった。酸性相を除去した後、粗反応混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、それを水(10mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒をアスピレーターの圧力下で除去した後、余分なチオフェンを1−2mmHg下60℃で留出させた。生成物は室温でオレンジ色の油であった。HPLC分析により、一置換生成物(91%)および二置換生成物(2%)が存在することが分かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が6%存在することを同定した。
【実施例8】
【0060】
チオフェンと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(無溶媒でAMBERLYST(商標)触媒を使用)
2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(15g)をチオフェン(50mL)に入れることで生じさせた溶液にAmberlyst(商標)35を加えた後、その結果として得た混合物を23時間還流させた。NMR分析により、出発材料の変換が完了したことが分かった。室温に冷却した後の反応混合物を濾過し、そしてその濾液に濃縮を実施例7に記述したようにして受けさせた。その結果として得た油をHPLCで分析した結果、一置換異性体(70%)、二置換異性体(21%)および三置換異性体(3%)が存在することが分かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が6%存在することを同定した。PDSCを160℃で実施することで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25重量%の時には87分であり、0.50重量%の時には119分でありそして0.75重量%の時には157分であった。
【実施例9】
【0061】
フランと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(1:3の比率)
3つ口丸底フラスコに滴下漏斗、磁気撹拌子、温度探針および冷却器を装備した。2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(0.3モル、75g)をジクロロメタン(200mL)と硫酸(80%を3mL)に入れることで生じさせた室温の溶液にフラン(0.1モル、6.8g)をジクロロメタン(20mL)に入れることで生じさせた溶液を約10分かけて加えた。その反応混合物を最初に室温で一晩撹拌した後、4時間還流させた。NMR分析により、出発材料の変換が完了したことが分かった。酸性相を分離した後、有機相を水(30mL)、希水酸化ナトリウムでpHが7−8になるまで、そして水(30mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させることで粘性のある油を得たが、それを室温で放置すると固化した。HPLC分析により、一置換異性体(3%)および二置換異性体(15%)が存在することが分かった。加うるに、生成物中にメチレン橋渡し生成物と他のオリゴマー状材料が約80%存在することを同定した。PDSCを160℃で実施することで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25重量%の時には57分であり、0.50重量%の時には69分でありそして0.75重量%の時には78分であった。
【実施例10】
【0062】
フランと2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(無溶媒)
3つ口丸底フラスコに滴下漏斗、磁気撹拌子、温度探針および冷却器を装備した。フラン(50mL)と硫酸(80%を5mL)の混合物を撹拌しながらこれに2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール(25g)をフラン(100L)に入れることで生じさせた溶液を15分かけて加えた。その反応混合物を室温で3時間撹拌した。次に、それを短いセライト床に通して濾過した後、その濾液に濃縮を減圧下で受けさせた。油状残留物をヘキサン(60mL)に溶解させ、その結果として生じた溶液を水(30mL)、希水酸化ナトリウムでpHが7−8になるまで、そして水(30mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させることで粘性のある油を得たが、それを室温で放置すると固化した。HPLC分析により、一置換異性体が主生成物(91%)として存在することが分かった。PDSCを160℃で実施することで測定した酸化防止時間は、充填率が0.25重量%の時には53分であり、0.50重量%の時には63分でありそして0.75重量%の時には69分であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のi)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物およびv)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている複素環式化合物、およびvi)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物を含有して成る高分子反応生成物であって、室温で液体であるか或は約100℃未満で溶融する固体でありかつ液状炭化水素溶媒に溶解し得る高分子反応生成物。
【請求項2】
i)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物の含有量が約10重量%未満であり、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物の含有量が約25重量%未満であり、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物の含有量が約15重量%以上であり、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物またはiv)とv)の組み合わせおよびvi)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物の中の少なくとも1種の含有量が40重量%以上でありかつあらゆる重量%が高分子反応生成物の総重量を基準にした重量%である高分子反応生成物であって、室温で液体であるか或は約100℃未満で溶融する固体である高分子反応生成物。
【請求項3】
i)とii)の含有量が高分子反応生成物の総重量を基準にして約15重量%未満である請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項4】
i)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物の含有量が約5重量%未満であり、ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物の含有量が約15重量%未満であり、iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物の含有量が約15重量%から約40重量%の範囲内であり、iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物の含有量が約10重量%から約70重量%の範囲内であり、v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上の複素環式化合物の含有量が約5重量%から約45重量%の範囲内でありかつvi)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物の含有量が約1重量%から約15重量%の範囲内でありかつあらゆる重量%が高分子反応生成物の総重量を基準にした重量%である請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項5】
下記の一般式である式I:
【化1】

[式中、Xは硫黄、酸素または窒素であり、RはHまたはヒドロカルビルであり、Rは3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジルであり、RはHまたはヒドロカルビルであり、nは約0から約1の範囲内の整数であり、pは約1から約10の範囲内の整数であり、そしてn=0の時のmは1であり、そしてn=1の時のmは約2から約10の範囲内の整数である]
で表される1種以上の化合物を含有して成る請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項6】
pが1である請求項5記載の高分子反応生成物であって、一般式である式III:
【化2】

[式中、Xは硫黄、酸素または窒素であり、RはHまたはヒドロカルビルであり、R’はHまたはヒドロカルビルであり、そしてRはHまたはヒドロカルビルである]
で表される1種以上の化合物を含有して成る高分子反応生成物。
【請求項7】
下記の一般式である式IV:
【化3】

[式中、各Xは独立して硫黄、酸素または窒素であり、各R、R’、R1、R2およびR4は独立して水素またはヒドロカルビルであり、qおよびsは整数であり、そしてq+s=pであり、かつpは約1から約10の範囲内の整数である]
で表される1種以上の化合物を含有して成る請求項2記載の高分子反応生成物。
【請求項8】
式V:
【化4】

[式中、各Xは独立して硫黄、酸素または窒素であり、そして各RおよびR’は独立して水素またはヒドロカルビルである]
で表される1種以上の化合物を含有して成る請求項8記載の高分子反応生成物。
【請求項9】
R1がHであり、n=0、m=1およびp=1である請求項6記載の高分子反応生成物。
【請求項10】
前記1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物が式IV、式Vまたは式IVと式Vで表される請求項1記載の高分子反応生成物。
【請求項11】
空気または酸素の存在下で酸化を受け易い1種以上の有機材料および
a)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の複素環式化合物の含有量が約10重量%未満であり、
b)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の複素環式化合物の含有量が約20重量%未満であり、
c)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の複素環式化合物の含有量が約15重量%から約40重量%の範囲内であり

d)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の複素環式化合物の含有量が約10重量%から約70重量%の範囲内であり

e)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されている
1種以上の複素環式化合物の含有量が約5重量%から約45重量%の範囲内であり、
かつ
f)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されて
いる1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物の含有量が約1重量%から約15重量
%の範囲内であり、かつ
あらゆる重量%が高分子反応生成物の総重量を基準にした重量%である、
抗酸化剤生成物から生じさせた組成物。
【請求項12】
前記抗酸化剤生成物がXが硫黄、酸素または窒素であり、RがHまたはヒドロカルビルであり、Rが3,5−ジヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジルであり、RがHまたはヒドロカルビルであり、nが約0から約1の範囲内の整数であり、pが約1から約10の範囲内の整数でありそしてn=0の時のmが1でありそしてn=1の時のmが約2から約10の範囲内の整数である式Iで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項11記載の組成物。
【請求項13】
pが1でありそして前記抗酸化剤生成物がXが硫黄、酸素または窒素であり、RがHまたはヒドロカルビルであり、R’がHまたはヒドロカルビルでありそしてRがHまたはヒドロカルビルである式IIIで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記抗酸化剤生成物が各Xが独立して硫黄、酸素または窒素であり、各R、R’、R1、R2およびR4が独立して水素またはヒドロカルビルであり、qおよびsが整数でありそしてq+s=pでありかつpが約1から約10の範囲内の整数である式IVで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項11記載の組成物。
【請求項15】
前記抗酸化剤生成物が各Xが独立して硫黄、酸素または窒素でありそして各RおよびR’が独立して水素またはヒドロカルビルである式Vで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項14記載の組成物。
【請求項16】
更に1種以上の分散剤、洗浄剤、抗摩耗添加剤、極圧添加剤、腐食防止剤、錆防止剤、摩擦調整剤、金属不活性化剤、滑剤、流動点降下剤、アンチノック剤、防氷剤、粘度指数調整剤、乳化剤、解乳化剤、シールスウェル剤、可溶化剤、消泡剤、他の抗酸化剤もしくは安定剤、希釈剤、溶媒、担体流体、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛、少なくとも1種の通常のヒンダードフェノール系抗酸化剤、少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン系抗酸化剤、少なくとも1種の有機モリブデン化合物、少なくとも1種のアルキル置換ジフェニルアミンと少なくとも1種の有機モリブデン化合物、少なくとも1種の無燐抗摩耗もしくは極圧添加剤、少なくとも1種のモリブデン含有もしくはホウ素含有分散剤、少なくとも1種の有機ホウ素化合物、少なくとも1種の有機ホウ素化合物と少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン、少なくとも1種の硫化抗酸化剤、EP(極圧)添加剤もしくは抗摩耗添加剤、少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミンに加えて少なくとも1種の(i)硫化抗酸化剤、(ii)EP添加剤、(iii)抗摩耗添加剤および(iv)有機ホウ素化合物も含有して成る請求項11記載の組成物。
【請求項17】
前記1種以上の有機材料が1種以上の熱可塑性重合体、樹脂もしくはオリゴマー;天然もしくは合成ゴムもしくは弾性重合体;グループI、IIおよびIIIの鉱油、ポリ−アルファ−オレフィン、合成エステル、ガスツーリキッドで得られた油、バイオが基になった油、内燃機関用油、列車および海洋用潤滑油、天然ガスエンジンオイル、ガスタービンオイル、蒸気タービンオイル、航空タービンオイル、錆および酸化用油、油圧油、コンプレッサー用流体、滑斜面用油、急冷用油、マニュアルおよびオートマチックトランスミッション用流体、ギアオイルおよびグリースである請求項11記載の組成物。
【請求項18】
R1がHであり、n=0、m=1およびp=1である請求項12記載の組成物。
【請求項19】
a)グループI、IIおよびIIIの鉱油から選択される潤滑粘度を有する少なくとも
1種の油、ポリ−アルファ−オレフィン、合成エステル、ガスツーリキッドで得ら
れた油、バイオが基になった油、内燃機関用油、列車および海洋用潤滑油、天然ガ
スエンジンオイル、ガスタービンオイル、蒸気タービンオイル、航空タービンオイ
ル、錆および酸化用油、油圧油、コンプレッサー用流体、滑斜面用油、急冷用油、
マニュアルおよびオートマチックトランスミッション用流体、ギアオイルおよびグ
リースから選択される空気または酸素の存在下で酸化され易い1種以上の有機材料

b)i)1個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されて
いる1種以上の複素環式化合物の含有量が約10重量%未満であり、
ii)2個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されて
いる1種以上の複素環式化合物の含有量が約20重量%未満であり、
iii)3個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されて
いる1種以上の複素環式化合物の含有量が約15重量%から約40重量%の範囲内
であり、
iv)4個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されて
いる1種以上の複素環式化合物の含有量が約10重量%から約70重量%の範囲内
であり、
v)5個の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換されて
いる1種以上の複素環式化合物の含有量が約5重量%から約45重量%の範囲内で
あり、
vi)1個以上の3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシルベンジル基で置換さ
れている1種以上のメチレン橋渡し複素環式化合物の含有量が約1重量%から約1
5重量%の範囲内であり、かつ
あらゆる重量%が高分子反応生成物の総重量を基準にした重量%である、抗酸化
剤生成物、および
c)1種以上の分散剤、洗浄剤、抗摩耗添加剤、極圧添加剤、腐食防止剤、錆防止剤、摩
擦調整剤、金属不活性化剤、滑剤、流動点降下剤、アンチノック剤、防氷剤、粘度指
数調整剤、乳化剤、解乳化剤、シールスウェル剤、可溶化剤、消泡剤、他の抗酸化剤
もしくは安定剤、希釈剤、溶媒、担体流体、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛、少なくとも
1種の通常のヒンダードフェノール系抗酸化剤、少なくとも1種の通常のアルキル置
換ジフェニルアミン系抗酸化剤、少なくとも1種の有機モリブデン化合物、少なくと
も1種のアルキル置換ジフェニルアミンと少なくとも1種の有機モリブデン化合物、
少なくとも1種の無燐抗摩耗もしくは極圧添加剤、少なくとも1種のモリブデン含有
もしくはホウ素含有分散剤、少なくとも1種の有機ホウ素化合物、少なくとも1種の
有機ホウ素化合物と少なくとも1種の通常のアルキル置換ジフェニルアミン、少なく
とも1種の硫化抗酸化剤、EP(極圧)添加剤もしくは抗摩耗添加剤、少なくとも1
種の通常のアルキル置換ジフェニルアミンに加えて少なくとも1種の(i)硫化抗酸
化剤、(ii)EP添加剤、(iii)抗摩耗添加剤および(iv)有機ホウ素化合
物、
を含有して成る組成物。
【請求項20】
前記抗酸化剤生成物がXが硫黄、酸素または窒素であり、RがHまたはヒドロカルビルであり、Rが3,5−ジ−ヒドロカルビル−4−ヒドロキシベンジルであり、RがHまたはヒドロカルビルであり、nが約0から約1の範囲内の整数であり、pが約1から約10の範囲内の整数でありそしてn=0の時のmが1でありそしてn=1の時のmが約2から約10の範囲内の整数である式Iで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項19記載の組成物。
【請求項21】
pが1でありそして前記抗酸化剤生成物がXが硫黄、酸素または窒素であり、RがHまたはヒドロカルビルであり、R’がHまたはヒドロカルビルでありそしてRがHまたはヒドロカルビルである式IIIで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項20記載の組成物。
【請求項22】
前記抗酸化剤生成物が各Xが独立して硫黄、酸素または窒素であり、各R、R’、R1、R2およびR4が独立して水素またはヒドロカルビルであり、qおよびsが整数でありそしてq+s=pでありかつpが約1から約10の範囲内の整数である式IVで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項19記載の組成物。
【請求項23】
前記抗酸化剤組成物が各Xが独立して硫黄、酸素または窒素でありそして各RおよびR’が独立して水素またはヒドロカルビルである式Vで表される1種以上の化合物を含有して成る請求項22記載の組成物。
【請求項24】
b)とc)が少なくとも1種以上の油と一緒に濃縮液として混合されておりかつ前記濃縮液がa)を約5から約95重量%の範囲内の量で含有しかつ希釈用油も含有する請求項
19記載の組成物。
【請求項25】
R1がHであり、n=0、m=1およびp=1である請求項20記載の組成物。

【公表番号】特表2010−522136(P2010−522136A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533497(P2009−533497)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/081603
【国際公開番号】WO2008/048988
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】