説明

抗酸化物質のスクリーニング方法、及びそれによってスクリーニングされた抗酸化物質

【課題】容易な方法によって両親媒性抗酸化物質を選択的に大量にスクリーニングすることができる抗酸化物質のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異細菌を寒天平板培地上で培養し、抗酸化物質候補及びクロロフィリドが添加されたフィルターディスクを該寒天平板培地上に配置し、該突然変異細菌の成長が観察されるフィルターディスクを選別する。寒天平板培地にクロロフィリドを添加し、ブロック状に切り取った培地ブロックを製造し、該培地ブロックを細菌培養用のペトリ皿上に配置し、抗酸化物質候補と、スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異細菌とを該培地ブロック上に加え、該突然変異細菌が成長する培地ブロックを選別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突然変異細菌とクロロフィリドとを用いた抗酸化物質のスクリーニング方法に関する。より詳細には、クロロフィリドが添加されたフィルターディスクまたは培地ブロック中での特定突然変異細菌の成長状態を観察することによって、抗酸化物質を容易に選別するスクリーニング方法及び該スクリーニング方法によってスクリーニングされた抗酸化物質に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、活性酸素種(ROS)及び酸素フリーラジカルは人体内で酸化作用を起こし、それによって細胞膜、DNA及び多様な細胞構造物に損傷をもたらし、癌、動脈硬化症、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞症、肝炎、腎臓炎、アトピー、パーキンソン病のような多様な疾病に直接的または間接的に関与することが知られている。活性酸素種の一つであるスーパーオキシドは、酸素分子が生体組織の酸素代謝過程で電子を一つ受けとり、スーパーオキシドアニオン(O)へと還元されてできており、該スーパーオキシドは、反応性が高いため、核酸、タンパク質、脂質等の生体構成物質を非可逆的に破壊する。特に、スーパーオキシドは、Fe3+イオンが存在する時、Fe3+イオンをFe2+イオンに還元し、該還元されたFe2+は、過酸化水素との反応を通じてヒドロキシラジカルを形成させる。このように形成されたヒドロキシラジカルは、突然変異の誘発、タンパク質の鉄硫黄中心の破壊、脂質の過酸化の誘発等のような生命体の代謝及び恒常性を阻害するとことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
従って、スーパーオキシドアニオンラジカルを含む活性酸素種の細胞毒性を減少させるか、直接活性酸素種を不活性化させることができる抗酸化物質を得ることが非常に重要であり、抗酸化物質をスクリーニングするための多様な方法が開発されている。例えば、生体外での酸化還元反応による色または蛍光の変化、DNA鎖切断または活性酸素と特異的に反応するスピントラップ試薬等を用いて抗酸化物質を分析及び開発しているが、このような方法を通じて開発された抗酸化物質は、大部分が実際には生体内への吸収や代謝による生体利用効率が低いか、生体への毒性のために使用が制限される。また、上述した方法は、生体での効能、安全性及び抗酸化特異性等の生体外実験を含んでいるため、複数のスクリーニング工程を通じて検証しなければならなかった。
【0004】
また、高い抗酸化活性を有し、生体膜透過性及び生体利用効率に優れているにもかかわらず、組職吸収及び細胞膜透過性が比較的に優れた脂溶性抗酸化物質は、ほとんどが細胞膜に局在するので、活性酸素種の生成箇所で抗酸化作用を行うことは困難である。脂溶性の前記抗酸化物質は、体内から疎水性化学物質の排出を促進するROSまたはRNS(活性窒素種)と反応するため、体内に蓄積され、また、肝臓で親水性形態へと代謝されることも困難である。一方、水溶性抗酸化物質の場合には、酸化された抗酸化物質の体外への排出はよく行われるが、生体膜透過性が低く、細胞膜保護作用や、細胞内小器官へ拡散してしまう問題があった。従って、抗酸化物質の使用目的によって水溶性及び脂溶性の特性をいずれも備え、用途に応じて容易に調製可能な両親媒性抗酸化物質の開発が要求されている。
【0005】
一方、紅色非硫黄細菌であるロドバクター属(Rhodobacter)の微生物は、光合成細菌の一種であって、藻類や植物の光合成とは異なり、その過程中で酸素を発生させず、多様な代謝条件、すなわち、好気的条件、嫌気暗条件、嫌気光条件のいずれにおいても成長できるという長所を有する。特に、前記光合成細菌であるロドバクター属の微生物は、嫌気光条件では、バクテリオクロロフィル色素が含有する光合成装置を用いて長波長の光を受けると細胞膜関連の一連の電子伝達過程を行う。これを通じて光エネルギーが化学エネルギーに転換され、発生した化学エネルギーは、二酸化炭素の固定等の細胞代謝活動に必要なエネルギーとして用いられる。前記光合成細菌において、バクテリオクロロフィルを合成する代謝過程を媒介する酵素の一つでbchX遺伝子、bchY遺伝子及びbchZ遺伝子の三つの遺伝子の発現によってできる多量体タンパク質は、クロロフィリド還元活性を有することが知られている。
【0006】
そこで、ロドバクター・スフェロイデス由来のスーパーオキシド生成酵素である多量体タンパク質が知られている(特許文献1参照)。前記多量体タンパク質は、両親媒性基質であるクロロフィリドが存在すれば、生体内外でスーパーオキシドを生成させることができるので、前記多量体タンパク質を発現する細胞を選択的に死滅させることができる。
【0007】
しかしながら、前記従来の多量体タンパク質は、スーパーオキシド生成試薬としての機能のみが記載されており、これを用いて具体的に抗酸化物質のスクリーニング方法に適用することができないという問題がある。
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2007−59485号
【非特許文献1】Imlay,J.A.,2003,Ann.Rev.Microbiol.57:395-418
【非特許文献2】Sistrom,W.R,1962.J.Gen.Microbiol.28:607-616
【非特許文献3】McCord and Fridovich,1969,J.Biol.Chem.244:6049-6055
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる問題を解消し、容易な方法によって両親媒性抗酸化物質を選択的に大量にスクリーニングすることができる抗酸化物質のスクリーニング方法を提供することを第1の目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記抗酸化物質のスクリーニング方法によってスクリーニングされた抗酸化物質を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる第1の目的を達成するために、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法は、スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによって、スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異細菌を寒天平板培地上で培養する段階と、スクリーニングする抗酸化物質候補及びクロロフィリドが添加されたフィルターディスクを該寒天平板培地上に配置する段階と、該突然変異細菌の成長が観察されるフィルターディスクを選別する段階とを含む。
【0011】
本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法は、前記第1の目的を達成するための他の方法であって、細菌培養用の寒天平板培地にクロロフィリドを添加した後、該寒天平板培地をブロック状に切り取ってクロロフィリドが添加された培地ブロックを製造する段階と、該培地ブロックを細菌培養用のペトリ皿上に配置する段階と、スクリーニングしようとする抗酸化物質候補と、スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによってスーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異細菌とを該培地ブロック上に加える段階と、該突然変異細菌が成長する培地ブロックを選別する段階とを含む。
【0012】
また、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法として、前記突然変異細菌は、酸素雰囲気下でスーパーオキシドアニオン生成を誘導する多量体タンパク質であるクロロフィリド還元酵素を発現することができる。
【0013】
また、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法に用いる前記突然変異細菌としては、例えば、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドスピリラム・ルブルム(Rhodospirillum rubrum)、ロドシュードモナスパルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、アロクロマチウムヴィノサム(Allochromatium vinosum)、クロロビウムテピダム(Chlorobium tepidum)またはクロロフレクサスアウランティアクス(Chloroflexus aurantiacus)を挙げることができる。
【0014】
また、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法に用いる前記突然変異細菌は、酸素雰囲気下でスーパーオキシドアニオン生成を誘導する多量体タンパク質であるクロロフィリド還元酵素を発現するように形質転換されたものであってよい。
【0015】
また、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法は、前記突然変異が導入される細菌(以下、突然変異対象細菌と記載する)の形質転換は、スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによって、スーパーオキシドジスムターゼ活性が阻害された第1組み換えベクター及び酸素雰囲気下でスーパーオキシドアニオンを過発現させることができる第2組み換え発現ベクターを製造する段階と、該第1組み換えベクターが導入された第1形質転換大腸菌(E.coli)及び該第2組み換え発現ベクターが導入された第2形質転換大腸菌を製造する段階と、該第1及び第2形質転換大腸菌と該突然変異対象細菌とを接合(conjugation)させることによって、該突然変異細菌を製造する段階とを含むことができる。
【0016】
また、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法に用いる前記突然変異細菌は、例えばロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)2.4.1SodB1変異菌株(寄託番号:KCTC11069BP)である。
【0017】
また、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法として、前記突然変異細菌は、クロロフィリド存在時、1〜3%の範囲の濃度の酸素条件下で過酸化水素を生成せず、スーパーオキシドアニオン生成活性を有することができる。
【0018】
また、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法として、本発明の望ましいさらに他の実施形態によれば、前記クロロフィリドは、前記フィルターディスクまたは前記寒天平板培地が0.1〜100mMの範囲のクロロフィリド濃度となるように添加される。
【0019】
また、本発明の抗酸化物質のスクリーニング方法として、前記フィルターディスクは、例えば、5〜20mmの範囲の直径及び0.1〜1mmの範囲の厚さを有し、前記培地ブロックは、10〜30mmの範囲の直径及び5〜15mmの範囲の厚さを有することができる。
【0020】
また、前記第2の目的を達成するために、本発明の抗酸化物質は、上述した抗酸化物質のスクリーニング方法によってスクリーニングされた抗酸化物質である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0022】
本発明は、クロロフィリド及び突然変異細菌を用いて多様な抗酸化物質候補のうちから抗酸化物質を選択的にスクリーニングするための方法及びそれによりスクリーニングされた抗酸化物質に関するものであって、クロロフィリドが添加されたフィルターディスクまたは培地ブロック中での特定の突然変異細菌の成長状態を観察することによって、抗酸化物質を容易に選別するスクリーニング方法に関する。
【0023】
本発明では、スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによって、スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異光合成細菌を製造し、これを抗酸化物質のスクリーニングに応用する方法を提供する。
【0024】
野生型細菌においては、生成したスーパーオキシドアニオンを過酸化水素に変換するスーパーオキシドジスムターゼが発現されるので、スーパーオキシドアニオンに対する細胞毒性が緩和されるが、本発明による突然変異細菌は、前記スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害されているので、相対的に野生型細菌に比べてスーパーオキシドアニオンによる細胞毒性が大きく表われる。
【0025】
従って、本発明による突然変異細菌は、クロロフィリドに対する多量体タンパク質の酵素作用の結果として生成されたスーパーオキシドアニオンによって死滅するが、スクリーニングされる候補物質の中で抗酸化物質としての活性を有する特定の物質が存在する場合には、スーパーオキシドアニオンの細胞毒性を阻害するようになる。この結果、突然変異細菌であっても成長可能になるので、突然変異細菌の成長如何によって抗酸化物質としての活性を有する物質を容易に選別することができる。
【0026】
具体的には、本発明による抗酸化物質のスクリーニング方法は、スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによって、スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異細菌を寒天平板培地上で培養する段階と、スクリーニングする抗酸化物質候補及びクロロフィリドが添加されたフィルターディスクを該寒天平板培地上に配置する段階と、該突然変異細菌の成長が観察されるフィルターディスクを選別する段階とを含む。前記フィルターディスクを使った抗酸化物質のスクリーニング方法の概略図を図1に示す。
【0027】
前記抗酸化物質のスクリーニング方法は、前記突然変異細菌の培養後、クロロフィリド及び抗酸化物質候補を、フィルターディスクを用いて添加する方法である。
【0028】
また、前記抗酸化物質のスクリーニング方法は、クロロフィリドが添加された前記培地ブロックを製造した後、突然変異細菌及び抗酸化物質候補を添加する方法であってもよい。すなわち、本発明による、他の抗酸化物質のスクリーニング方法は、細菌培養用の寒天平板培地にクロロフィリドを添加した後、該寒天平板培地をブロック状に切り取ってクロロフィリドが添加された培地ブロックを製造する段階と、該培地ブロックを細菌培養用のペトリ皿上に配置する段階と、スクリーニングしようとする抗酸化物質候補と、スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによってスーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異細菌とを該培地ブロック上に加える段階と、該突然変異細菌が成長する培地ブロックを選別する段階とを含む。前記培地ブロックを用いた抗酸化物質のスクリーニング方法の概略図を図2に示す。
【0029】
特に、本発明による抗酸化物質スクリーニング方法は、水溶性及び脂溶性特性を同時に有する両親媒性抗酸化物質のスクリーニングを容易に行うことができる。すなわち、抗酸化物質候補が水溶性でない場合には、フィルターディスクまたは培地ブロックに対する溶解度が低下し、細胞内拡散性が不十分である。一方、前記抗酸化物質が脂溶性でない場合には、細胞膜透過度が低下して細胞吸収度が低いために、スーパーオキシドアニオンによる毒性を効果的に阻害することができない。従って、本発明による抗酸化物質スクリーニング方法による場合、両親媒性抗酸化物質である抗酸化物質候補が突然変異細菌の成長を効果的に援助する。
【0030】
本発明による突然変異細菌は、酸素雰囲気下でスーパーオキシドアニオン生成を誘導する多量体タンパク質であるクロロフィリド還元酵素を発現することができる。このような突然変異細菌の具体例としては、これに制限されるものではないが、ロドバクター・スフェロイデス、ロドスピリラム・ルブルム、ロドシュードモナス・パルストリス、アロクロマチウム・ヴィノサム、クロロビウム・テピダムまたはクロロフレクサス・アウランティアクス等の光合成細菌を挙げることができる。
【0031】
また、本発明による突然変異細菌は、クロロフィリド還元酵素を発現することができないものであるとしても、該クロロフィリド還元酵素を過発現するように形質転換する場合がある。例えば、本発明による突然変異細菌は、配列番号1のbchX遺伝子、配列番号2のbchY遺伝子及び配列番号3のbchZ遺伝子、rrnBプロモーター及びN末端His−tag等を含む組み換え発現ベクターによって形質転換されることによって、多量体タンパク質を過発現することができ、該多量体タンパク質は、クロロフィリドを基質とする還元酵素として作用し、その結果、スーパーオキシドアニオンを生成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0032】
前記突然変異細菌の形質転換は、スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによって、スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された第1組み換えベクター及び酸素雰囲気下でスーパーオキシドアニオン生成を誘導する多量体タンパク質を過発現する第2組み換え発現ベクターを製造する段階と、前記第1組み換えベクター及び第2組み換え発現ベクターのそれぞれを使って第1組み換えベクターが導入された第1形質転換大腸菌及び第2組み換え発現ベクターが導入された第2形質転換大腸菌を製造する段階と、前記第1形質転換大腸菌及び第2形質転換大腸菌と前記突然変異対象細菌とを接合させることによって、前記突然変異細菌を製造する段階とによって行うことができる。
【0033】
例えば、本発明者は、突然変異対象細菌としてロドバクター・スフェロイデスを選択し、スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子を破壊するための組み換え発現ベクターを製造した。その後、前記製造された組み換え発現ベクターを使って大腸菌を形質転換させることによって、形質転換大腸菌を製造した。最後に、前記形質転換大腸菌とロドバクター・スフェロイデスとを接合させることによって、突然変異細菌を製造した。前記製造された突然変異細菌は、クロロフィリドを還元する多量体タンパク質を発現しながらも、スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害されたSodB1変異菌株であって、これをロドバクター・スフェロイデス 2.4.1 SodB1変異菌株とし、2007年2月12日付で寄託した(寄託番号:KCTC11069BP)。
【0034】
本発明によって製造された突然変異細菌は、多量体タンパク質を発現し、該発現された多量体タンパク質はクロロフィリドを還元するため1〜3%の範囲の濃度の酸素条件下では過酸化水素を生成しないが、スーパーオキシドアニオン生成活性を有することができる。従来のスーパーオキシド生成物質であるメチルビオローゲン、プルンバギン、メナジオン等は、結果としてスーパーオキシドだけではなく、過酸化水素も生成する。生成した過酸化水素は、様々な問題を有する。例えば、鉄イオン(Fe2+)と反応してヒドロキシラジカルを生成し、脂肪の変性やDNA変異を引き起こす。さらに、細胞膜透過性が高くて比較的安定しているため、過酸化水素を生成した細胞以外の正常細胞にも影響を及ぼすという副作用があるために、カタラーゼにより該過酸化水素を分解し、除去しなければならないという問題があった。しかし、本発明によって製造された突然変異細菌が発現する多量体タンパク質は、過酸化水素を生成せず、かつ、スーパーオキシドアニオン生成活性を有するために、従来技術の限界点を克服することができる。
【0035】
本発明による抗酸化物質スクリーニング方法において、前記フィルターディスクまたは前記平板培地には、クロロフィリド濃度が0.1〜100mMの範囲になるよう添加することが望ましい。前記クロロフィリド濃度が0.1mM未満である場合には、感度が低くなり過ぎることがある。一方、前記クロロフィリド濃度が100mMを超える場合には、細胞毒性を示すことがある。
【0036】
前記平板培地またはペトリ皿上に配置される、クロロフィリドが添加されたフィルターディスクまたは培地ブロックの大きさは、スクリーニングしようとする候補物質の個数または視覚的観察の容易性等を考慮して多様に調節可能であるが、例えば、前記フィルターディスクは、5〜20mmの範囲の直径及び0.1〜1mmの範囲の厚さを有し、前記培地ブロックは、10〜30mmの範囲の直径及び5〜15mmの範囲の厚さを有することができる。
【0037】
また、本発明は、前記第2の目的を達成するために、上述された方法によってスクリーニングされた抗酸化物質を提供する。
【0038】
例えば、下記実施例に記載したように、本発明によるスクリーニング方法によってスクリーニングされた抗酸化物質の中でPch212は両親媒性を有し、そのため、DMSO(ジメチルスルホキシド)及び水溶性緩衝溶液の両方に対して優れた溶解度を有する。また、図4の細菌増殖の観察結果から分かるように、本発明によるスクリーニング方法によってスクリーニングされた抗酸化物質は、従来の抗酸化物質である脂溶性ケルセチンまたは脂溶性トコフェロールに比較して優れた抗酸化効能を有することが明らかである。
【0039】
本発明によれば、前記突然変異細菌及びクロロフィリドを用いて該突然変異細菌の成長状態をモニタリングすることによって、両親媒性抗酸化物質を大量で容易に選択的にスクリーニングすることができる。
【0040】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるためのものであり、下記実施例によって本発明の範囲が制限されるものではない。
【実施例1】
【0041】
突然変異細菌の製造
1.1 多量体タンパク質発現突然変異細菌の製造
bchX遺伝子(配列番号1)、bchY遺伝子(配列番号2)、bchZ遺伝子(配列番号3)に対してPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)により、N末端にHis−tagまたはStrep−tagを融合させた。前記PCRは、翻訳開始コドン(ATG)を修飾された前方プライマー(forward primer)が使われた。前記修飾された前方プライマーは、前記bchX遺伝子、bchY遺伝子及びbchZ遺伝子に対して、それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6に記載の配列を有するように製作された。また、前記PCRは、HindIII認識配列を有する後方プライマーが使われた。前記後方プライマーは、前記bchX遺伝子、bchY遺伝子及びbchZ遺伝子に対して、それぞれ配列番号7、配列番号8及び配列番号9に記載の配列を有するように製作された。表1の下線は、制限酵素認識配列を作るために任意に変形させた塩基配列を表わし、太字で表示した塩基配列は、対応する制限酵素の認識配列である。
【0042】
【表1】

【0043】
次に、前記配列番号4〜9に記載の配列を有するプライマーを用いて、前記bchX遺伝子及びbchY遺伝子に対するPCRで得られた生成物を、BamHI及びHindIIIで切断して、BamHI及びHindIIIの認識配列が開裂したpRSET―Cベクター(Invitrogen社製)に連結することで、それぞれpRSET−HisXベクター、pRSET−HisYベクターを製作した。DNA断片を得るための切断には、対応する制限酵素(restriction endonuclease、タカラバイオ株式会社製)を使い、該DNA断片の連結のためには、T4 DNAリガーゼ(タカラバイオ株式会社製)を使った。また、bchZ遺伝子のPCRで得られた生成物は、BglII及びHindIIIの認識配列で切断して、BamHI及びHindIIIの認識配列が開裂したpRSET−Cベクターに連結し、pRSET−HisZベクターを製作した。前記pRSET−CベクターのBamHI位置から142bp上位にあるXbaI認識配列を用いて、前記pRSET−HisXベクター、pRSET−HisYベクター及びpRSET−HisZベクターをXbaI及びHindIIIを用いて切断し、各ベクターの制限断片を得た。前記制限断片は、pRK415ベクターにロドバクター・スフェロイデスのrrnBプロモーターを含むベクターに連結され、pRK−HisXベクター、pRK−HisYベクター及びpRK−HisZベクターを製作した。これらのベクターは、細胞内でrrnBプロモーター(配列番号10)によって転写されてN末端にHis−tagが融合された所定のタンパク質を発現させるように設計されており、従って、該所定のタンパク質を発現することができる。このような各ベクター構造は大腸菌S17−1に形質転換されて、連結法(conjugation process)によりロドバクター・スフェロイデスに可動化された。所定の形質転換体を得るために、ベクタープラスミドを選別できる抗生物質であるテトラサイクリンを添加したシストロム最小培地に塗抹し、抗生物質耐性を有する菌株を確保した。前記pRK−HisXベクター、pRK−HisYベクター及びpRK−HisZベクターによる前記BchXタンパク質、BchYタンパク質及びBchZタンパク質の発現は、前記His−Tagに対する抗体を用いたウエスタンブロッティングにより確認した。
【0044】
前記タンパク質発現の有無を確認するために、前記形質転換された大腸菌に前記BchXタンパク質(配列番号11)、BchYタンパク質(配列番号12)及びBchZタンパク質(配列番号13)を過発現させ、該タンパク質各々を分離した。前記pRK−HisXベクター、pRK−HisYベクター及びpRK−HisZベクターを含む前記形質転換された大腸菌は、嫌気条件で1L培養瓶をブチルゴム栓で塞ぎ、雰囲気ガスを窒素ガスに置き換えて培養した。分離過程は、5%水素、5%二酸化炭素、90%窒素を含む嫌気性チャンバー(model10、COY社製)内で行われた。細胞内にある水溶性の過発現タンパク質を得るために超音波破砕機(Sonifier250、Branson社製)を用いて4℃、10分間細胞を破砕して細胞溶解物を得た。次に、前記細胞溶解物を4℃で12,000Gに遠心分離して水溶性の細胞質画分を得た後、ニッケル親和クロマトグラフイー(QIAGEN社製)を使い、使用説明書に従って分離した。前記細胞質画分をニッケル樹脂に吸着させた後、該細胞質画分のタンパク質のイミダゾールとの親和度の競合を通じて前記BchXタンパク質、BchYタンパク質及びBchZタンパク質を得た。得られた前記タンパク質の溶出のために150mMのイミダゾールと300mM塩化ナトリウムとを含む50mMリン酸二水素ナトリウム(NaHPO)緩衝液(pH7.9)を使った。前記タンパク質はそれぞれ、12%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動によって同定され、前記BchXタンパク質は40kDa、前記BchYタンパク質は58KDa、前記BchZタンパク質は57kDaのバンドが確認された(図3)。
【0045】
図3は、前記ロドバクター・スフェロイデスから前記BchXタンパク質、BchYタンパク質及びBchZタンパク質を分離した後、12%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動(SDS−PAGE)写真である。レーン1〜3は、分離したタンパク質を表わし、その大きさを確認するために標準分子量を有するタンパク質をともに電気泳動した。
【0046】
このようなbchX遺伝子、bxhY遺伝子及びbchZ遺伝子を一つのベクター上に位置させてプラスミドを製作し、該プラスミドを接合法により可動化させることによって、前記BchXタンパク質、BchYタンパク質及びBchZタンパク質が全て発現されてクロロフィリド還元酵素を発現することができる形質転換突然変異細菌を製造した。
【0047】
1.2 SodB1変異菌株の製造
実施例1の1.1で製造された突然変異細菌を使って、下記の方法によりスーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによって、スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害されたSodB1変異菌株を製造した。
【0048】
Fe−スーパーオキシドジスムターゼ(Fe−SOD)を暗号化するsodB遺伝子はpLO1自殺ベクターを使った相同組み換えの誘導により破壊された。ストレプトマイシンまたはスペクチノマイシン耐性遺伝子を含む転写ターミネーターまたは翻訳ターミネーターは、前記sodB遺伝子のStuI位置に挿入され、該挿入された遺伝子構造を、自殺ベクターにクローニングしてpLO1−B1ベクターとした。前記pLO1−B1ベクターを使った相同組み換え時において、遺伝子の中間に位置するストレプトマイシン耐性遺伝子及びスペクチノマイシン耐性遺伝子の存在により、ストレプトマイシン及びスペクチノマイシンに対してのみ耐性を有し、該pLO1−B1ベクターによるカナマイシン耐性のない二重交差相同組み換えが起きたコロニーを選別してsodB1欠損変異菌株とした。
【0049】
前記多量体タンパク質を発現するSodB1変異菌株であるロドバクター・スフェロイデス2.4.1SodB1変異菌株を2007年2月12日付で寄託した(寄託番号:KCTC11069BP)。
【実施例2】
【0050】
クロロフィリドの分離
実施例1の1.1で製造された突然変異細菌から発現される多量体タンパク質に対する基質であるクロロフィリドを分離するために、前記ロドバクター・スフェロイデスの前記bchZ遺伝子の相同組み換えを誘導する方法を通じて破壊した。前記bchZ遺伝子が欠損された変異株を製作するために、該bchZ遺伝子内にある制限酵素であり、BamHI認識配列を認識し、開裂するBamHIを用いた。BalIとPstIとを用いてbchZ遺伝子領域を得た後、抗生物質であるカナマイシン耐性遺伝子を含む転写ターミネーターまたは翻訳ターミネーターはBamHI領域に挿入され、該挿入された遺伝子構造を、自殺ベクターpSUP2O2にクローニングしてpSUP−BZベクターとした。前記pSUP−BZベクターを使った相同組み換え時において、遺伝子の中間に位置するカナマイシン耐性遺伝子の存在により、カナマイシンに対してのみ耐性を有し、該pSUP−BZベクターによるテトラサイクリン耐性のない二重交差相同組み換えが起きたコロニーを選別してbchZ欠損変異株を確保した。前記bchZ欠損変異株は、ジメチルスルホキシドを電子移動連鎖の最終電子受容体として使う嫌気暗条件で成長させた場合、緑色クロロフィリドを培地内に蓄積させる。前記緑色クロロフィリドを、分光光度計(UV−2550、株式会社島津製作所製)を用いて吸光度を測定した時、従来報告されていたように、663nmの波長に対する吸光度を表わした。前記培地内に蓄積されている緑色クロロフィリドを分離するために、該培地をジエチルエーテルで抽出し、窒素を用いて乾燥させた後、ジメチルスルホキシドに溶かして以下の反応に使った。
【実施例3】
【0051】
抗酸化物質のスクリーニング
図1及び図2に図示されたように、クロロフィリド(0.1〜100mM)を添加した寒天平板培地を作った後、該寒天平板培地を非常に小さな培地ブロックに切り取ってブランク寒天平板培地に載せて、該培地ブロックに抗酸化物質候補とSodB1変異菌株とを加えるか、または直接フィルターディスクにクロロフィリド(0.1〜100mM)を加えた後、該フィルターディスクに所望する濃度の抗酸化物質候補を加えた後、多量体タンパク質を発現するSodB1変異菌株であるロドバクター・スフェロイデス 2.4.1 SodB1変異菌株(寄託番号:KCTC11069BP)をシストロム最小平板培地[20mMリン酸二水素カリウム(KHPO)、3.8mM硫酸アンモニウム((NHSO)、34mMコハク酸、0.59mM L−グルタミン酸、0.30mM L−アスパラギン酸、8.5mM塩化ナトリウム、1.05mMニトリロ三酢酸、1.2mM塩化マグネシウム(MgCl・6HO)、0.23mM塩化カルシウム(CaCl・7HO)、25μM硫酸第一鉄(FeSO・7HO)、0.16μMモリブデン酸アンモニウム((NH)6Mo24・4HO)、4.7μM EDTA、38μM硫酸亜鉛(ZnSO・7HO)、9.1μM硫酸マンガン(MnSO・HO)、1.6μM硫酸銅(CuSO・5HO)、0.85μM硝酸コバルト(II)(Co(NO・6HO)、1.8μMホウ酸(HBO)、8.1μMニコチン酸、1.5μMチアミン塩酸塩、41nMビオチン(非特許文献2参照)]に塗抹した。
【0052】
結果、スクリーニングしようとする抗酸化物質候補に抗酸化活性がある場合には、前記培地ブロック上または前記フィルターディスクの周りにのみ細胞が成長し、赤色の細菌が観察されるのに比べて、抗酸化物質候補に抗酸化活性がない場合には、すべての細胞が死滅して赤色の細胞成長が見られなかった。また、スクリーニングしようとする抗酸化物質候補に抗酸化活性がある場合には、フィルターディスクの周りでも細胞が育ち、赤色の細菌が観察されるのに比べて、抗酸化物質候補に抗酸化活性がない場合には、フィルターディスク周辺の細胞が死滅した(図4)。
【0053】
多様な細菌の細胞培養物をエタノール、メタノール、ジエチルエーテル、アセトン及びクロロホルムでそれぞれ抽出し、これら抽出物を窒素により乾燥させた。得られた抽出物の抗酸化活性を前述した方法によって観察し、そのうち優れた抗酸化活性を有するものをPch212と名付けた。前記Pch212の抗酸化活性を既存抗酸化物質と比べるために、適当な濃度でエタノールまたはジメチルスルホキシド溶媒に溶解させて抗酸化活性を観察した。観察結果を図5に示す。
【0054】
図5に示すように、エタノールやジメチルスルホキシド等の陰性対照群では、細胞成長を表わさない一方、強力な抗酸化活性を有する脂溶性ケルセチンや脂溶性トコペロールは部分的な細胞の成長を見せたが、前記Pch212が細胞の死滅を最も効果的に防止した。また、前記Pch212の両親媒性を確認するために、DMSO及び水溶性緩衝溶液に溶解させて見た結果、両溶媒に対して優れた溶解度を表わした。
【実施例4】
【0055】
Pch212のスーパーオキシドアニオンに対する抗酸化効果の確認
本発明による両親媒性抗酸化物質のスクリーニング方法でスクリーニングされた抗酸化物質Pch212の抗酸化活性をシトクロム還元方法で確認した。シトクロム還元方法は、既存の方法を応用して行った(非特許文献3参照)。
【0056】
分析のため、反応緩衝溶液(50mM リン酸カリウム(pH7.4))を準備した。ゴム栓で密閉された5mLのガラス瓶内に前記反応緩衝溶液と100mMのキサンチン、0.004Uのキサンチン酸化剤及び実施例3でスクリーニングされた抗酸化物質Pch212を入れた後、ゴム栓で密封して空気を抜いた。20μMのシトクロムcさらに加えて550nmでの吸光度の増加を通じて還元程度を測定し、21000M−1cm−1の吸光係数を用いて数値化した。このとき、スーパーオキシドアニオンを除去する抗酸化活性は、シトクロムの還元程度差を通じて確認できた(図6)。
【0057】
本発明は、治療用の医薬品だけではなく、各種食品及び化粧品の添加剤として用いられる毒性が少なくて効果的な抗酸化物質をスクリーニングして製品化するのに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明において、フィルターディスクを使った抗酸化物質をスクリーニングする方法についての概略図。
【図2】本発明において、培地ブロックを使った抗酸化物質をスクリーニングする方法についての概略図。
【図3】BchXタンパク質、BchYタンパク質及びBchZタンパク質を分離した後、12%ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動写真。
【図4】本発明によって培地ブロックを使って抗酸化物質をスクリーニングする場合、抗酸化物質に抗酸化活性がある場合とない場合との細菌増殖観察結果を比較対照した写真。
【図5】本発明によってスクリーニングされた抗酸化物質であるPch212の抗酸化活性を既存の抗酸化物質の抗酸化活性と比べるための細菌増殖観察結果を示す写真。
【図6】本発明によってスクリーニングされた抗酸化物質であるPch212の抗酸化活性をシトクロム還元方法で確認した結果を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによって、スーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異細菌を寒天平板培地上で培養する段階と、
スクリーニングする抗酸化物質候補及びクロロフィリドが添加されたフィルターディスクを該寒天平板培地上に配置する段階と、
該突然変異細菌の成長が観察されるフィルターディスクを選別する段階とを含むことを特徴とする抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項2】
細菌培養用の寒天平板培地にクロロフィリドを添加した後、該寒天平板培地をブロック状に切り取ってクロロフィリドが添加された培地ブロックを製造する段階と、
該培地ブロックを細菌培養用のペトリ皿上に配置する段階と、
スクリーニングしようとする抗酸化物質候補と、スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによってスーパーオキシドジスムターゼの活性が阻害された突然変異細菌とを該培地ブロック上に加える段階と、
該突然変異細菌が成長する培地ブロックを選別する段階とを含むことを特徴とする抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項3】
前記突然変異細菌は、酸素雰囲気下でスーパーオキシドアニオン生成を誘導する多量体タンパク質であるクロロフィリド還元酵素を発現することを特徴とする請求項1または請求項2記載の抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項4】
前記突然変異細菌は、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドスピリラム・ルブルム(Rhodospirillum rubrum)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、アロクロマチウム・ヴィノサム(Allochromatium vinosum)、クロロビウム・テピダム(Chlorobium tepidum)またはクロロフレクサス・アウランティアクス(Chloroflexus aurantiacus)であることを特徴とする請求項3記載の抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項5】
前記突然変異細菌は、酸素雰囲気下でスーパーオキシドアニオン生成を誘導する多量体タンパク質であるクロロフィリド還元酵素を過発現するように形質転換されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項6】
前記突然変異が導入される細菌(以下、突然変異対象細菌と記載する)の形質転換は、
スーパーオキシドジスムターゼを暗号化した遺伝子配列に突然変異を組み込むことによって、スーパーオキシドジスムターゼ活性が阻害された第1組み換えベクター及び酸素雰囲気下でスーパーオキシドアニオンを過発現させることができる第2組み換え発現ベクターを製造する段階と、
該第1組み換えベクターが導入された第1形質転換大腸菌(E.coli)及び該第2組み換え発現ベクターが導入された第2形質転換大腸菌を製造する段階と、
第1形質転換大腸菌及び第2形質転換大腸菌と該突然変異対象細菌とを接合させることによって、該突然変異細菌を製造する段階とを含むことを特徴とする請求項5記載の抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項7】
前記突然変異細菌は、ロドバクター・スフェロイデス2.4.1SodB1変異菌株(寄託番号:KCTC11069BP)であることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記突然変異細菌は、クロロフィリド存在時、1〜3%の範囲の濃度の酸素条件下で過酸化水素を生成せず、スーパーオキシドアニオン生成活性を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項9】
前記クロロフィリドは、前記フィルターディスクまたは前記寒天平板培地が0.1〜100mMの範囲のクロロフィリド濃度となるように添加されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項10】
前記フィルターディスクは、5〜20mmの範囲の直径及び0.1〜1mmの範囲の厚さを有し、前記培地ブロックは、10〜30mmの範囲の直径及び5〜15mmの範囲の厚さを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の抗酸化物質のスクリーニング方法。
【請求項11】
請求項1または請求項2記載の方法によってスクリーニングされたことを特徴とする抗酸化物質。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−206513(P2008−206513A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15328(P2008−15328)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(505162227)西江大学校 産学協力団 (11)
【Fターム(参考)】