抗BCMA抗体
本発明は、B細胞成熟抗原(BCMA)を認識し、ナイーブB細胞、プラズマ細胞、および/または記憶B細胞に結合する抗体を提供する。本発明は、ナイーブB細胞、プラズマ細胞、および記憶B細胞を枯渇させるための方法と、リンパ腫および自己免疫疾患を含むB細胞関連疾患を治療するための方法と、をさらに提供する。本発明は、BCMAに特異的に結合する抗体を提供する。本発明の抗体は、以下のB細胞サブセットのうちの1つ以上を標的とするように使用することができる:プラズマ細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、EFS−Web経由で提出された配列表を含み、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。2010年3月10日に作成されたASCIIコピーは、08201010.txtと名前が付けられ、70,657バイトのサイズである。
【0002】
本発明は、B細胞表面抗原BCMAに結合する抗体に関する。本発明はまた、種々のB細胞サブタイプを検出するため、枯渇させるため、またさもなければ操作するための、これらの抗体の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
B細胞は、適応体液性免疫、および抗原を特異的に認識する抗体の産生において大きな役割を果たすリンパ球である。B細胞の3つのサブクラスは、ナイーブB細胞、記憶B細胞、およびプラズマ細胞である。ゲノムライブラリから2つまたは3つのDNAセグメントが選択され、抗体可変ドメインのコンビナトリアルアレイを作製するために組み換えられるVDJ組換えのプロセスと、B細胞の異なる系列によってコードされる可変ドメインがさらに変化した超変異とにより、異なる標的に対する特異性を有する抗体を産生する最大109個の異なるB細胞系列が生じる。B細胞は、そのB細胞によって作られる抗体に結合する抗原に対して特異的であると言われている。B細胞は、一般に、それらの特異的抗原(Ag)への曝露によって刺激される。ナイーブB細胞は、それらの特異的抗原にまだ曝露されていない。そのような曝露(例えば、感染の間)は、B細胞の増殖および姉妹クローンの発生をもたらす。姉妹クローンは、大量の抗体を産生するプラズマ細胞に発達することができる。プラズマ細胞は、寿命が短いか、または骨髄内に移動して、そこで長期間存続することができるかのいずれかである。Agに曝露されたB細胞の姉妹クローンはまた、記憶B細胞に発達することもでき、特異的抗原に再曝露されるまで静止状態となる。記憶B細胞は、分化してプラズマ細胞およびさらなる記憶B細胞の両方を産生することによって、抗原への再曝露に迅速に応答する。記憶B細胞には、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)、およびダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)が含まれる。
【0004】
いくつかの重大な疾患には、B細胞が関与している。B細胞の悪性転換は、例えば、多発性骨髄腫およびホジキンリンパ腫等のいくつかのリンパ腫を含む癌を引き起こす。全身性エリテマトーデス(SLE)を含むいくつかの自己免疫疾患にもまた、B細胞が関与している。B細胞が関与する癌および自己免疫疾患の両方とも、B細胞が過成長し、かつ/または、身体の部分を不適切に攻撃することから、機能獲得の状態であると考えることができる。そのような疾病をコントロールすることが可能なストラテジーは、病的B細胞を標的とする抗体を使用することである。
【0005】
B細胞成熟抗原(BCMA、TNFRSF17およびCD269としても知られる)は、形質芽細胞(すなわち、プラズマ細胞の前駆体)およびプラズマ細胞の表面上に発現されることが分かっているタンパク質であり、生存を刺激すると考えられている。したがって、それは、B細胞関連疾患の潜在的な標的であることを意味する。BCMAは、TNF受容体ファミリーのメンバーであり、TNFファミリーのリガンドであるBAFFおよびAPRILに結合する(Kalled et al.(2005),Curr Dir Autoimmun 8:206−242において考察される)。BCMAは、大抵のTNF受容体ファミリーのメンバーに見られるI型膜タンパク質と関連するシグナルペプチドを含まないため、III型膜タンパク質である。
【0006】
BCMA RNAは、脾臓、リンパ節、胸線、副腎、および肝臓で検出されており、多くのB細胞株の分析は、成熟するとBCMA mRNAレベルが増加することを示した。ヒトBCMAタンパク質は、CD38+B細胞、特にプラズマ細胞の、種々のサブタイプ上で検出されている(Zhang et al.(2005),Int Immunol 17:779−788、Darce et al.(2007),J Immunol 179:7276−7286、Sims et al.(2005),Blood 105:4390−4398、Avery et al.(2003),J Clin Invest 112:286−297)。独立した研究機関が血液および/または扁桃腺のB細胞サブセットを調べたところ、ナイーブまたは記憶B細胞上ではBCMA発現を検出することができないことが分かった(Zhang et al.(2005),Int Immunol 17:779−788、Darce et al.(2007),J Immunol 179:7276−7286、Chiu et al.(2007),Blood 109:729−739)。胚中心B細胞の表面上でBCMAタンパク質を検出する試みは、矛盾する結果を示した(Zhang et al.(2005),Int Immunol 17:779−788、Chiu et al.(2007),Blood 109:729−739)。
【0007】
BCMAの作用機序は、完全には理解されていない。BCMAに対する機能遺伝子を欠損するように遺伝子操作されたマウスは、正常なリンパ器官および細胞集団、ならびにほぼ正常に機能する免疫系を有する(Xu and Lam(2001),Mol Cell Biol 21:4067−4074、Schiemann et al.(2001),Science 293:2111−2114)。これらのマウスにおいてこれまで定義されている唯一の欠陥は、寿命の長い骨髄(BM)プラズマ細胞の生存率が低いことである(O’Connor et al.(2004),J Exp Med 199:91−98)。したがって、BCMAは、少なくともマウス系において、BMに存在するプラズマ細胞に、BAFFもしくはAPRILのいずれかまたは両方が媒介する生存シグナルを提供している可能性がある。実際に、BCMAを介するシグナル伝達は、B細胞の生存、増殖、および成熟に関与する(Litinskiy et al.(2002)Nat Immunol 3:822−829、Pomerantz and Baltimore (2002)Mol Cell 10:693−695、Huang et al.(2004)Proc Natl Acad Sci USA 101:17789−17794、He et al.(2004)J Immunol 172:3268−3279)NF−κB経路を活性化する(Hatzoglou et al.(2000),J Immunol 165:1322−1330)。悪性ヒト細胞に伴う結果は、通常、BCMAと細胞生存との間の関係と一致している。原発性多発性骨髄腫(MM)細胞、MM細胞株(Novak et al.(2004)Blood 103:689−694)、ならびにホジキンリンパ腫由来のホジキンおよびリード・シュテルンベルク(HRS)細胞(Chiu et al.(2007),Blood 109:729−739、Novak et al.(2004),Blood 104:2247−2253)は、BCMAを発現することが明らかになっている。BAFFおよび/またはAPRILを加えることにより、これらの悪性細胞に生存シグナルを提供することがさらに分かっているが、BCMAがこの効果に主に寄与しているかは不明である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
異なるB細胞サブセットが、異なるB細胞関連状態に関係していると考えられるため、1つ以上のB細胞サブセットを特異的に標的とする薬剤の必要性が存在する。いくつかのB細胞の表面上におけるBCMAの発現は、それらの細胞が特異的に標的とされ得るマーカーを提供する。1つ以上のB細胞サブセットのマーカーとしてBCMAを利用するためには、BCMAに特異的に結合する薬剤と、どのB細胞サブセットがそれらのBCMA特異的薬剤によって結合されるかの判定の必要性が存在する。本発明は、BCMAに特異的に結合する抗体を提供する。本発明の抗体は、以下のB細胞サブセットのうちの1つ以上を標的とするように使用することができる:プラズマ細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞。
【0009】
【表1−1】
【0010】
【表1−2】
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】BCMAでトランスフェクトしたCHO細胞上の抗ヒトBCMA mAbの結合を示す。ストレプトアビジン−PEで可視化したビオチンコンジュゲート抗ヒトBCMA mAbの結合を、BCMA−CHO安定細胞株(A)および対照である非トランスフェクトCHO細胞(B)上でフローサイトメトリーによって測定した。影付き領域は、アイソタイプ対照mAbによる細胞の染色を表す。
【図1B】BCMAでトランスフェクトしたCHO細胞上の抗ヒトBCMA mAbの結合を示す。ストレプトアビジン−PEで可視化したビオチンコンジュゲート抗ヒトBCMA mAbの結合を、BCMA−CHO安定細胞株(A)および対照である非トランスフェクトCHO細胞(B)上でフローサイトメトリーによって測定した。影付き領域は、アイソタイプ対照mAbによる細胞の染色を表す。
【図1C】BCMAでトランスフェクトしたCHO細胞上の抗ヒトBCMA mAbの結合を示す。ストレプトアビジン−PEで可視化したビオチンコンジュゲート抗ヒトBCMA mAbの結合を、BCMA−CHO安定細胞株(A)および対照である非トランスフェクトCHO細胞(B)上でフローサイトメトリーによって測定した。影付き領域は、アイソタイプ対照mAbによる細胞の染色を表す。
【図2A】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2B】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2C】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2D】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2E】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2F】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図3A】健常な個体およびSLEに罹患する個体から単離されたB細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、健常ボランティアおよびSLE患者由来のヒト末梢血中のB細胞サブセットを、抗BCMA mAb C12A3.2およびA7D12.2に対する反応性について評価した。B細胞サブセットは図2の通りであった。可視化は、図1の通りであった。
【図3B】健常な個体およびSLEに罹患する個体から単離されたB細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、健常ボランティアおよびSLE患者由来のヒト末梢血中のB細胞サブセットを、抗BCMA mAb C12A3.2およびA7D12.2に対する反応性について評価した。B細胞サブセットは図2の通りであった。可視化は、図1の通りであった。
【図3C】健常な個体およびSLEに罹患する個体から単離されたB細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、健常ボランティアおよびSLE患者由来のヒト末梢血中のB細胞サブセットを、抗BCMA mAb C12A3.2およびA7D12.2に対する反応性について評価した。B細胞サブセットは図2の通りであった。可視化は、図1の通りであった。
【図3D】健常な個体およびSLEに罹患する個体から単離されたB細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、健常ボランティアおよびSLE患者由来のヒト末梢血中のB細胞サブセットを、抗BCMA mAb C12A3.2およびA7D12.2に対する反応性について評価した。B細胞サブセットは図2の通りであった。可視化は、図1の通りであった。
【図4】HSC/NSGマウスから単離されたヒトCD45+脾細胞区画内のヒトプラズマ細胞のフローサイトメトリー染色を示す。脾臓プラズマ細胞を、抗BCMA抗体A7D12.2(左パネル、太線)およびC12A3.2(右パネル、太線)、またはアイソタイプ対照マウスIgG2bもしくはIgG1 Abで(両パネル内の細線)、それぞれ染色した。
【図5】抗BCMA抗体(chC12A3.2もしくはchC13F12.1)またはヒトIgG1対照で処理したHSC/NSGマウスから単離されたヒトCD45+脾細胞区画内のプラズマ細胞(PC)に対するフローサイトメトリー染色を示す。抗BCMA AbまたはHIgG1対照を、週2回2週間マウスに腹腔内注入した。**p<0.0001、*p=0.0066。
【図6】抗BCMA抗体(chC11D5.1もしくはchA7D12.2)またはヒトIgG1対照で処理したHSC/NSGマウスから単離されたヒトCD45+脾細胞区画内のプラズマ細胞(PC)に対するフローサイトメトリー染色を示す。抗BCMA AbまたはHIgG1対照を、週2回2週間マウスに腹腔内注入した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、BCMAおよびその特定のエピトープに結合する抗体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、プラズマ細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞等の、B細胞の1つ以上のサブセットに結合する。本発明はまた、B細胞、またはプラズマ細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞を含むB細胞のサブセットを枯渇させる方法も提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号9に結合し、かつプラズマ細胞に結合する、単離された抗体を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号9に結合し、かつ記憶B細胞に結合する、単離された抗体を提供する。別の実施形態において、本発明は、配列番号9に結合し、かつナイーブB細胞に結合する、単離された抗体を提供する。
【0013】
Legacy Biogen(6)で作製されるクローンC4E2.2(ハムスターIgG)、クローンVICKY−1(ラットIgG1)(Alexis Biochemicals、Lausen,Switzerland、また、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz,CAより6D10としても販売される)、およびクローン335004(ラットIgG2a)(R&D Systems,Inc.、Minneapolis,MN)を含む特定の抗BCMA mAbは、本発明の範囲外である。
A.抗体
本発明は、配列番号9に特異的に結合する抗体を提供する。本発明はまた、B細胞、または、プラズマ細胞、記憶B細胞(スイッチ、非スイッチ、およびダブルネガティブを含む)、ならびに/もしくはナイーブB細胞を含む、そのサブクラスの表面に結合する抗体も提供する。本明細書で使用される用語「抗体」は、同じ抗原に結合する全長免疫グロブリンおよび抗体断片の両方を含む。抗体は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態において、抗体断片は、Fab断片またはF(ab’)2断片であり、配列番号9のタンパク質に特異的に結合する能力を保有する。
【0014】
一部、本発明は、抗体A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、およびC13F12.1を提供する。これらの各々は、マウスモノクローナル抗体である。A7D12.2は、マウスの「種々の」サブグループの重鎖、配列番号1である重鎖可変ドメイン配列、サブグループIκ軽鎖、および配列番号2である軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0015】
C11D5.3は、サブグループII(A)の重鎖、配列番号3である重鎖可変ドメイン配列、マウスサブグループIIIκ軽鎖、ならびに配列番号4、配列番号11、および配列番号12から選択される軽鎖可変ドメイン配列を有する。いくつかの実施形態において、C11D5.3の軽鎖可変ドメイン配列は、配列番号12である。
【0016】
C12A3.2は、サブグループII(A)の重鎖、配列番号5である重鎖可変ドメイン配列、マウスサブグループIIIκ軽鎖、および配列番号6である軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0017】
C13F12.1は、サブグループII(A)の重鎖、配列番号7である重鎖可変ドメイン配列、マウスサブグループIIIκ軽鎖、および配列番号8である軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0018】
配列番号9のタンパク質に特異的な一本鎖抗体を産生するための技術は、例えば、米国特許第4,946,778号に記載される技術から適応されてもよい。また、方法は、BCMAタンパク質、またはその誘導体、断片、類似体、もしくは相同体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ効果的な同定を可能にするために、Fab発現ライブラリの構築に適応されてもよい(例えば、Huse et al.(1989)Science 246:1275−1281を参照のこと)。非ヒト抗体をヒト化するための多数の技術が当該技術分野において周知である。例えば、米国特許第5,225,539号、第6,632,927号、または第5,648,237号を参照のこと(これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる)。BCMAタンパク質に対するイディオタイプを含有する抗体断片は、(i)抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab’)2断片、(ii)F(ab’)2断片のジスフィルド架橋を減少させることによって作製されるFab断片、(iii)抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することよって作製されるFab断片、ならびに(iv)Fv断片を含むが、これらに限定されない多様な技術のうちのいずれかによって産生されてもよい。
【0019】
また、標準的な組換えDNA技術を使用して作ることができるヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体等の組換え抗BCMA抗体は、本発明の範囲内である。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、米国特許第7,112,421号、Better et al.(1988)Science 240:1041−1043、またはLiu et ai.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443に記載されるような組換えDNA技術によって産生することができる。
【0020】
本発明の抗体のうちのいくつかは、マウスモノクローナル抗体A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、およびC13F12.1のキメラ形態である。いくつかの実施形態において、A7D12.2のキメラ形態は、配列番号13を含む重鎖と、配列番号14を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、C11D5.3のキメラ形態は、配列番号15を含む重鎖と、配列番号16および配列番号17から選択される配列、好ましくは配列番号17を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、C12A3.2のキメラ形態は、配列番号18を含む重鎖と、配列番号19を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、C13F12.1のキメラ形態は、配列番号20を含む重鎖と、配列番号21を含む軽鎖とを含む。
【0021】
本発明の抗体のうちのいくつかは、マウスモノクローナル抗体A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、およびC13F12.1のヒト化形態である。いくつかの実施形態において、C11D5.3のヒト化形態は、配列番号22〜24から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号25〜29から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む重鎖可変ドメイン配列とを含む。いくつかの実施形態において、C12A3.2のヒト化形態は、配列番号30〜33から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号34〜38から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む重鎖可変ドメイン配列とを含む。いくつかの実施形態において、C13F12.1のヒト化形態は、配列番号39〜42から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号43〜47から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む重鎖可変ドメイン配列とを含む。
B.抗体可変ドメイン配列
本発明の抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7の重鎖可変ドメイン配列を含んでもよい。重鎖可変ドメイン配列は、本質的に、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7からなってもよい。
【0022】
本発明の抗体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12の軽鎖可変ドメイン配列を含んでもよい。軽鎖可変ドメイン配列は、本質的に、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12からなってもよい。
【0023】
本発明はまた、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である配列を含む可変ドメイン配列も提供する。本発明はまた、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、および配列番号12から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である配列を含む可変ドメイン配列も提供する。本発明はまた、配列番号1と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列と、配列番号2と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列とを含む抗体も提供する。本発明は、配列番号3と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列と、配列番号4、配列番号11、または配列番号12と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列とを含む抗体を含む。本発明は、配列番号5と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列と、配列番号6と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列とを含む抗体を含む。本発明は、配列番号7と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列と、配列番号8と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列とを含む抗体を含む。
【0024】
本発明は、特定の相補性決定領域(CDR)を有する抗体を提供する。表2は、配列番号1〜8、11、および12までのCDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸の座標を定義する。
【0025】
【表2】
CDRは、Kabatの定義を使用して名前を付けた(Johnson and Wu (2000),Nucleic Acids Res 28:214−218)。本明細書で使用する場合、「対応するCDR」は、可変ドメインのアミノ酸配列内の最も類似する位置に存在するCDRを意味する。
【0026】
本発明の抗体の重鎖可変ドメインは、CDRのうちの1つ、2つ、または3つが、配列番号1の対応するCDRと同一であるように、配列番号3の対応するCDRと同一であるように、配列番号5の対応するCDRと同一であるように、または配列番号7の対応するCDRと同一であるように、CDRを含んでもよい。本発明の抗体の軽鎖可変ドメインは、CDRのうちの1つ、2つ、または3つが、配列番号2の対応するCDRと同一であるように、配列番号4の対応するCDRと同一であるように、配列番号6の対応するCDRと同一であるように、配列番号8の対応するCDRと同一であるように、配列番号11の対応するCDRと同一であるように、または配列番号12の対応するCDRと同一であるように、CDRを含んでもよい。
【0027】
重鎖可変ドメインは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7のうちの1つの対応するCDRの各々と同一のCDRを含んでもよいが、上記CDR領域において1つ以上のアミノ酸置換が行われている。特定の実施形態において、重鎖可変ドメインのCDRは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7に関連する合計12個のアミノ酸置換を有してもよい。他の実施形態において、本発明の抗体の重鎖可変ドメインCDRは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7に関連する最大10個、最大8個、最大5個、または最大3個の置換を有してもよい。いくつかの実施形態において、本発明の抗体の重鎖可変ドメインCDRは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7の重鎖可変ドメインCDRと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である。
【0028】
いくつかの実施形態において、配列番号7のCDR2は、配列番号46のCDR2(すなわち、アミノ酸50〜66)によって置き換えられる。例えば、本発明の抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号7のCDR1およびCDR3と、配列番号46のCDR2とを含んでもよい。本発明の抗体の重鎖可変ドメインはまた、配列番号7のCDR1およびCDR3ならびに配列番号46のCDR2と、合わせて少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域も含んでもよい。
【0029】
軽鎖可変ドメインは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12のうちの1つの対応するCDRと同一のCDRを含んでもよいが、上記CDR領域に1つ以上のアミノ酸置換がある。特定の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12のうちの1つの対応するCDRと同一のCDRを含むが、上記CDR領域において、最大12個、最大10個、最大8個、最大5個、または最大3個のアミノ酸置換がある。いくつかの実施形態において、本発明の抗体の軽鎖可変ドメインCDRは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12の軽鎖可変ドメインCDRと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である。
【0030】
いくつかの実施形態において、CDR領域における置換は保存的置換である。
C.エピトープ:抗体結合特異性
本発明はまた、特定のエピトープに結合する抗体も提供する。一対の抗体が同じエピトープに結合するかどうかは、実施例4に記載されるような交差ブロック実験に基づいて判定される。交差ブロックプロファイルは、表3の7つの抗体について定義される。この開示の目的のために、実施例4に記載される手順に従って、それぞれ一方がBCMAに対する他方の結合を少なくとも90%減少させた(すなわち、それらが相互に交差ブロックした)場合に、その2つの抗体は同じエピトープに結合すると見なされる。同様に、実施例4に記載されるように互いの結合を少なくとも90%減少させない抗体は、異なるエピトープに結合すると見なされる。特定の可変ドメインを有する抗体の交差ブロックプロファイルを表3に列挙する。異なるエピトープに結合する一対の抗体(上で定義したように)は「d」で記す。
【0031】
【表3】
本発明は、抗体A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、またはC13F12.1と同じエピトープに結合する抗体をさらに包含する。本発明はまた、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、または13F12.1のプロファイルと一致する交差ブロックプロファイルを有する抗体も提供する。例えば、上記提供された定義に従うと、C11D5.3と同じプロファイルを有する抗体は、C12A3.2およびC13F12.1と比較すると同じエピトープに結合するが、A7D12.2、335004、C4E2、およびVicky−1と比較すると異なるエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、配列番号9のタンパク質の結合から、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、またはC13F12.1のうちの1つ以上を少なくとも80%、85%、90%、または95%相互に交差ブロックする。交差ブロックの程度は、実施例4に記載される手順に従って測定される。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体および抗体断片は、BCMAの細胞外ドメインに結合する。特定の実施形態において、抗体は、配列番号9のアミノ酸1〜52、1〜51、1〜41、または8〜41に結合する。
【0033】
本発明はまた、1つ以上の特定の細胞の種類に結合する抗BCMA抗体も提供する。本発明の抗体または抗体断片は、以下のうちの1つ以上に結合することができる:プラズマ細胞、記憶B細胞、ナイーブB細胞、もしくはBCMA(配列番号9)を発現する細胞、それと類似するタンパク質、その細胞外ドメイン、またはその細胞外ドメインと類似するポリペプチド。
D.方法
本発明は、様々な種類の細胞を枯渇させる方法を提供する。方法は、上述したような本発明の抗体を投与することを含む。本発明の方法によって枯渇され得る細胞の種類は、プラズマ細胞、ナイーブB細胞、記憶B細胞(スイッチ、非スイッチ、およびダブルネガティブを含む)、B細胞に由来するリンパ腫細胞、およびBCMAを発現する細胞、それと類似するタンパク質、その細胞外ドメイン、またはその細胞外ドメインと類似するポリペプチドを含むが、これらに限定されない。細胞は、上述したカテゴリのうちの1つより多くに属してもよい。抗体媒介による細胞枯渇方法の例については、「Depletion of B Cells In Vivo by a Chimeric Mouse Human Monoclonal Antibody to CD20」、Mitchell E.Reff,Blood,vol.83,pp.435−445,Jan.15,1994を参照のこと。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、上記列挙した細胞型のうちの1つ以上の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、および少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、プラズマ細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、スイッチ記憶B細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも60%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、非スイッチ記憶B細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも60%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、ダブルネガティブ記憶B細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも60%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、ナイーブB細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも60%減少させる。
【0035】
本発明はまた、本発明の抗体を投与することを含む、血清免疫グロブリンレベルを減少させる方法も提供させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、血清IgMレベルを減少させる。特定の実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、血清IgMレベルを、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、血清IgGレベルを減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、IgG2およびIgG3のうちの一方または両方のレベルを減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、IgG2のレベルを、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、または少なくとも70%減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、IgG3のレベルを、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、IgG2、IgG3、およびIgMのレベルを減少させる。
【0036】
本発明はまた、本発明の抗体を投与することを含む、少なくとも1つの自己抗体のレベルを減少させる方法も提供する。いくつかの実施形態において、そのような方法は、1つ以上の自己抗体のレベルを、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、および少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる。
【0037】
さらなる態様において、本発明は、B細胞媒介による状態、疾患を治療または予防または遅延する方法を提供する。本発明は、そのような治療または予防または遅延が所望される対象に、該対象における腫瘍形成状態または免疫調節状態を治療、予防、または遅延するために十分な量で本発明の抗体を投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。他の実施形態において、対象はヒト以外の動物である。いくつかの実施形態において、本発明の抗体の投与は、対象においてBCMA媒介によるシグナル伝達をブロックし、細胞死、細胞増殖の阻害、減少、または停止のうちの1つ以上をもたらし得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体または抗体断片は、B細胞リンパ腫を「標的とする」ためにBCMAを使用する。本質的に、そのような標的化は、以下のように一般化することができる:B細胞のBCMA表面抗原に特異的な本発明の抗体または抗体断片は、例えば、対象に注射され、(表面上は)正常B細胞および悪性B細胞の両方のBCMA細胞表面抗原に特異的に結合し、この結合が腫瘍性B細胞の破壊および/または枯渇を引き起こす。さらに、癌細胞および/または腫瘍を破壊する可能性を有する化学薬品または放射性標識は、薬剤が、例えば腫瘍性B細胞等の標的となるB細胞に特異的に「送達される」ように、本発明の抗体または抗体断片にコンジュゲートさせることができる。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、化学薬品または放射性標識にコンジュゲートされていない抗体または抗体断片を投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、細胞傷害性薬剤にコンジュゲートされてない抗体または抗体断片を投与することを含む。
【0039】
B細胞関連疾患は、不適切なB細胞の活性およびB細胞リンパ腫に関与する自己免疫疾患を含むが、これに限定されない。B細胞リンパ腫は、多発性骨髄腫、プラズマ細胞腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、風土病性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性粘膜内リンパ組織リンパ腫、結節性単球様B細胞リンパ腫、脾臓リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性混合細胞型リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、および小リンパ球性リンパ腫を含むが、これらに限定されない。本発明の抗体または抗体断片はまた、癌細胞がBCMAを発現する癌を治療するためにも使用することができる。B細胞関連疾患は、さらに、例えば、リンパ腫様肉芽腫症および移植後リンパ球増殖性疾患等の、悪性度不明のB細胞増殖を含む。
【0040】
本発明の抗体または抗体断片を使用して診断、治療、予防、または遅延される状態は、さらに免疫調節性疾患でもあり得る。これらの疾患は、例えば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、および急速進行性糸球体腎炎等の、本来自己免疫性である疾患を含む。本発明の抗体または抗体断片はまた、重鎖病、原発性もしくは免疫細胞性アミロイドーシス、および意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)等のプラズマ細胞疾患における用途も有する。
【0041】
本発明の抗体または抗体断片を使用する組成物および治療方法は、望ましくないBCMAを発現する細胞増殖と関連するいずれの状態にも使用することができる。
【0042】
本発明の抗体は、RITUXAN(商標)としても知られる米国特許第5,736,137号の抗体C2B8と併せて投与することもできる。いくつかの実施形態において、そのような併用投与は、複数のB細胞サブタイプの増殖を枯渇させるかまたは阻害する。
【0043】
本発明は、B細胞またはB細胞サブタイプの表面上のマーカーの存在、不在、または量の決定等の、B細胞の表現型をアッセイするための本発明の抗体の使用をさらに提供する。例えば、本発明の抗体は、ナイーブB細胞、記憶B細胞、IgD+記憶B細胞、IgD−記憶B細胞、もしくはダブルネガティブ記憶B細胞の表面上で、SLEまたは別のB細胞に関連する状態に関係するマーカーの存在を測定するために使用されてもよい。
E.薬学的組成物
本発明の抗体は、投与に好適な薬学的組成物中に組み込むことができる。そのような組成物は、通常、抗体と、薬学的に許容される担体とを含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」とは、医薬品の投与に適合するあらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、希釈剤等を含むことが意図される。好適な担体は、当該技術分野における標準的な参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。そのような担体または希釈剤の好ましい例は、水、生理食塩水、フィンガー溶液、液ストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンを含む。不揮発性油等のリポソームおよび非水性ビヒクルもまた使用され得る。薬学的活性物質に対するそのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が抗体と適合しない場合を除いて、組成物におけるそれらの使用が企図される。追加の活性化合物もまた、組成物に取り込むことができる。
【0044】
本発明の抗体を含む薬学的組成物は、企図される投与経路に適合するように処方される。投与経路の例は、非経口的投与、例えば、静脈内、皮内、皮下、および直腸投与を含む。非経口の皮内または皮下用途に使用される溶液または懸濁液は、以下の構成成分を含むことができる:注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポロエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒等の滅菌希釈液、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン等の抗菌剤、アスコルビン酸または酸性亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート化剤、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩等の緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロース等の浸透圧を調節するための薬剤。pHは、塩化水素または水酸化ナトリウム等の酸または塩基で調整することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または複数回投与用バイアルに封入することができる。
【0045】
注射可能な使用に好適な薬学的組成物は、滅菌水溶液(ここでは水溶性)または分散液、および滅菌注射可能溶液または分散液を即座に調製するための滅菌粉末を含む。静脈内投与に関して、好適な担体は、生理食塩液、静菌水、Cremophor EL(BASF、Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は滅菌されていなければならず、容易な注入可能性(syringeability)が存在する程度に流動性であるべきである。これは、製造および保存の条件下で安定していなければならず、細菌および真菌等の微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液地亜ポリエチレングリコール等)ならびにそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、ポリアルコール(マンニトール、ソルビトール等)、および塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含ませることによってもたらすことができる。
【0046】
滅菌注射可能溶液は、必要に応じて、上で列挙した成分のうちの1つまたは組み合わせとともに、適当な溶媒中で必要な量の本発明の抗体を組み込み、続いて、濾過滅菌することによって、調製され得る。一般的に、分散液は、基本的な分散媒と、上で列挙される成分から必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクル中に抗体を組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これによって、予め滅菌濾過したその溶液から、抗体および任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0047】
一実施形態において、抗体は、移植片およびマイクロカプセル化された送達系を含む徐放性処方物等の、身体からの迅速な排出に対してこの化合物を保護する担体を用いて調製される。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸等の生分解性、生体適合性ポリマーが使用されてもよい。このような処方物の調製のための方法は、当業者には明らかである。物質はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することができる。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。さらに、本発明の抗体または抗体断片は、リポソーム懸濁物が、特定の抗体が結合するB細胞またはそのサブクラスを標的とするために使用されてもよい。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に既知の方法に従って調製することができる。
【0048】
非経口組成物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で処方されてもよい。本明細書で使用される投薬単位形態は、治療される対象に対する単位投薬量として好適な物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の抗体を含有する。本発明の投薬単位形態についての詳細は、活性化合物の固有の特徴、および達成されるべき特定の治療効果によって決定され、かつ直接依存する。
【0049】
本発明の抗体を含む薬学的組成物は、投与のための説明書とともに、容器、包装、またはディスペンサーに含めることができる。
F.例示的実施形態のリスト
1.配列番号9に結合し、かつ記憶B細胞に結合する、単離された抗体。
2.抗体がプラズマ細胞にも結合する、実施形態1に記載の抗体。
3.抗体がナイーブB細胞にも結合する、実施形態1に記載の抗体。
4.抗体がナイーブB細胞およびプラズマ細胞にも結合する、実施形態1に記載の抗体。
5.ナイーブB細胞、記憶B細胞、およびプラズマ細胞を枯渇させる方法であって、配列番号9に結合し、かつナイーブB細胞、記憶B細胞、およびプラズマ細胞に結合する抗体を投与することを含む、方法。
6.記憶B細胞を枯渇させる方法であって、配列番号9に結合し、かつ記憶B細胞に結合する抗体を投与することを含む、方法。
7.配列番号9に結合し、かつナイーブB細胞に結合する、単離された抗体。
8.抗体がプラズマ細胞に結合する、実施形態7に記載の抗体。
9.ナイーブB細胞を枯渇させる方法であって、配列番号9に結合し、かつナイーブB細胞に結合する抗体を投与することを含む、方法。
10.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、抗体。
11.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRを含む、抗体。
12.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む、抗体。
13.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号1に由来し、抗体は、配列番号2のアミノ酸24〜34と同一のCDR1領域、配列番号2のアミノ酸50〜56と同一のCDR2領域、または配列番号2のアミノ酸89〜97と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
14.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号3に由来し、抗体は、配列番号12のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号12のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号12のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
15.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号5に由来し、抗体は、配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
16.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号7に由来し、抗体は、配列番号8のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号8のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号8のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
17.実施形態10に記載の抗体であって、重鎖可変ドメインは配列番号1を含み、軽鎖可変ドメインは配列番号2を含む、抗体。
18.実施形態10に記載の抗体であって、重鎖可変ドメインは配列番号3を含み、軽鎖可変ドメインは配列番号12を含む、抗体。
19.実施形態10に記載の抗体であって、重鎖可変ドメインは配列番号5を含み、軽鎖可変ドメインは配列番号6を含む、抗体。
20.実施形態10に記載の抗体であって、重鎖可変ドメインは配列番号7を含み、軽鎖可変ドメインは配列番号8を含む、抗体。
21.実施形態17に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
22.実施形態18〜20のいずれかに記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
23.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、
a.配列番号1、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号7から選択される配列のCDR1、CDR2、およびCDR3と同一のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
b.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(a)に記載の可変ドメインの変異体、
を含む、抗体。
24.実施形態53に記載の抗体であって、配列は配列番号1であり、抗体は、
c.配列番号2のアミノ酸24〜34と同一のCDR1領域、配列番号2のアミノ酸50〜56と同一のCDR2領域、および配列番号2のアミノ酸89〜97と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
d.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、抗体。
25.実施形態53に記載の抗体であって、配列は配列番号3であり、抗体は、
c.配列番号12のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号12のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号12のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
d.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、抗体。
26.実施形態53に記載の抗体であって、配列は配列番号5であり、抗体は、
c.配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
d.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、抗体。
27.実施形態53に記載の抗体であって、配列は配列番号であり、抗体は、
c.配列番号8のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号8のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号8のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
d.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、抗体。
28.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、および配列番号12からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、抗体。
29.実施形態28に記載の抗体であって、配列番号2、配列番号12、配列番号6、および配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRを含む、抗体。
30.実施形態28に記載の抗体であって、配列番号2、配列番号12、配列番号6、または配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、およびCDR3にCDRを含む、抗体。
31.実施形態1〜4、7、8、10〜21、または23〜30のいずれかに記載の抗体であって、キメラ抗体、ヒト化抗体、または一本鎖抗体である、抗体。
32.実施形態1〜4、7、8、10〜21、または23〜30のいずれかに記載の抗体を産生する、ハイブリドーマ。
33. 実施形態1〜4、7、8、10〜21、または23〜30のいずれかに記載の抗体と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
34.配列番号9に結合し、実施形態1〜4、7、8、10〜21、または23〜30のいずれかに記載の抗体の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片を含む、ポリペプチド。
35.実施形態33に記載の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片を産生する、ハイブリドーマ。
36.実施形態33に記載の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
37.プラズマ細胞を枯渇させる方法であって、実施形態1〜4、8、または10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
38.B細胞関連疾患を治療する方法であって、実施形態1〜4、8、または10〜31のいずれか1項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
39.実施形態38に記載の方法であって、B細胞関連疾患は、プラズマ細胞腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、風土病性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性粘膜内リンパ組織リンパ腫、結節性単球様B細胞リンパ腫、脾臓リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性混合細胞型リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、悪性度不明のB細胞増殖、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ球増殖性疾患等、免疫調節性疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性もしくは免疫細胞性アミロイドーシス、または意義不明の単クローン性γグロブリン血症である、方法
40.実施形態38に記載の方法であって、B細胞関連疾患は、B細胞悪性腫瘍である、方法。
41.実施形態38に記載の方法であって、B細胞関連疾患は、プラズマ細胞悪性腫瘍である、方法。
42. 実施形態41に記載の方法であって、プラズマ細胞悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である、方法。
43. 実施形態38に記載の方法であって、B細胞関連疾患は、自己免疫疾患である、方法。
44.実施形態43に記載の方法であって、自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデスである、方法。
45.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号1に由来し、抗体は、配列番号2のアミノ酸24〜34と同一のCDR1領域、配列番号2のアミノ酸50〜56と同一のCDR2領域、または配列番号2のアミノ酸89〜97と同一のCDR3領域のうちの少なくとも2つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
46.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号1に由来し、抗体は、配列番号2のアミノ酸24〜34と同一のCDR1領域、配列番号2のアミノ酸50〜56と同一のCDR2領域、および配列番号2のアミノ酸89〜97と同一のCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
47.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号3に由来し、抗体は、配列番号12のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号12のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号12のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも2つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
48.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号3に由来し、抗体は、配列番号12のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号12のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号12のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
49.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号5に由来し、抗体は、配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも2つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
50.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号5に由来し、抗体は、配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
51.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号7に由来し、抗体は、配列番号8のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号8のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号8のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも2つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
52.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号7に由来し、抗体は、配列番号8のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号8のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号8のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
53.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
54.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
55.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
56.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
57.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、およびCDR3であるCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
58.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
59.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
60.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
61.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
62.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
63.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
64.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
65.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、およびCDR3であるCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
66.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
67.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
68.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
69.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
70.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
71.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
72.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
73.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、およびCDR3であるCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
74.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
75.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
76.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
77.実施形態17に記載の抗体を、少なくとも80%相互に交差ブロックする、単離された抗体。
78.実施形態18〜20に記載の抗体のうちの少なくとも1つを、少なくとも80%相互に交差ブロックする、単離された抗体。
79.実施形態18に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
80.実施形態19に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
81.実施形態20に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
82. 少なくとも1つの自己抗体のレベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
83.血清IgMレベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
84.血清IgGレベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
85.血清IgG2レベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
86.血清IgG3レベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
87.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7から選択される配列のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインを含む、抗体。
88.実施形態87に記載の抗体であって、配列は配列番号1であり、抗体は、配列番号2のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
89.実施形態87に記載の抗体であって、配列は配列番号3であり、抗体は、配列番号12のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
90.実施形態87に記載の抗体であって、配列は配列番号5であり、抗体は、配列番号6のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
91.実施形態87に記載の抗体であって、配列は配列番号7であり、抗体は、配列番号8のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
92.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号22〜24から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号25〜29から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む重鎖可変ドメイン配列とを含む、抗体。
93.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号30〜33から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号34〜38から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む重鎖可変ドメインとを含む、抗体。
94.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号39〜42から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号43〜47から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む重鎖可変ドメインとを含む、抗体。
95.B細胞関連疾患は、関節リウマチである、実施形態39に記載の方法。
96.B細胞関連疾患は、特発性血小板減少性紫斑病、または重症筋無力症、または自己免疫性溶血性貧血である、実施形態39に記載の方法。
97.RITUXAN(商標)を投与することをさらに含む、実施形態37に記載の方法。
98.RITUXAN(商標)を投与することをさらに含む、実施形態38に記載の方法。
【実施例】
【0050】
実施例1.抗ヒトBCMAモノクローナル抗体の作製およびビオチンコンジュゲーション
CFA中のBCMA−Fc/KLHコンジュゲートタンパク質でメスRBFマウスを腹腔内免疫し、その後、IFAを用いて定期的な間隔でさらに免疫化することにより抗BCMAモノクローナル抗体(mAb)を作製したが、Harlow and Lane (1998),Using Antibodies:A Laboratory Manual:Portable Protocol No.1,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYの方法の後、FL653骨髄腫細胞株に脾細胞を融合する前に、最後の追加免疫にはIFAの代わりにRIBIを使用した。簡潔に述べると、最後の追加免疫の3日後にマウスから単離した脾細胞を2回洗浄し、2回洗浄した対数期FL653骨髄腫細胞と7:1の比率で混合した。細胞混合物を4通りに分割してペレット化し、PEG中37℃で1分間インキュベートし、その間、細胞を穏やかに再懸濁させ、その後、10mlの冷却DMEMを注意深く加えた。細胞を混合し、ペレット化して、AATハイブリドーマ成長選択培地に再懸濁した。ELISAおよびフローサイトメトリーによって、細胞上清をBCMA特異的反応性についてスクリーニングした。ELISAフォーマットにおいてBCMAに陽性かつFc特異性に陰性を示し、BCMAトランスフェクト細胞に陽性を示し、偽トランスフェクト細胞に陰性を示したクローンを拡張してサブクローン化した。4つのBCMA特異的クローンをさらなる評価のために選択した:C11D5.3(IgG1)、C12A3.2(IgG1)、C13F12.1(IgG1)、およびA7D12.2(IgG2b)。製造業者の推奨(Molecular Probes、Eugene,OR)に従ってキットを使用し、後に記載されるELISAおよびFACS実験で使用するために、抗BCMA mAbにビオチンをコンジュゲートした。
【0051】
実施例2.マウス抗ヒトBCMA mAb可変領域のクローン化
製造業者の推奨プロトコルに従ってQiagen RNeasyミニキットを使用し、マウスハイブリドーマ細胞から全細胞RNAを調製した。第1鎖cDNAのプライミングのためのランダム六量体を使用して、全細胞RNAから重鎖および軽鎖の可変領域をコードするcDNAをRT−PCRによりクローン化した。インタクトなシグナル配列を有するマウス免疫グロブリン可変ドメインのPCR増幅のために、複数マウス免疫グロブリン遺伝子ファミリーのシグナル配列にハイブリダイズした縮重フォワードプライマーと、マウス定常領域の5’末端に特異的な単一のリバースプライマーとのカクテルを使用した。製造業者の推奨プロトコルに従ってClontech Advantage 2 Polymeraseミックスを使用して、PCRを行った。PCR産物をゲル精製し、Invitrogen社製pCR2.1TOPOベクターに、それらのTOPOクローニングキットを使用して、製造業者の推奨プロトコルに従ってサブクローン化した。複数の独立したサブクローン由来のインサートを配列決定して、コンセンサス配列を確立した。推定された成熟免疫グロブリンのN末端は、ハイブリドーマからのエドマン分解によって特定されたものと一致していた。特異的なサブグループへの割当ては、Kabatデータベースからのコンセンサス免疫グロブリンの可変ドメイン配列を使用したBLAST解析に基づくものであった(Johnson and Wu (2000),Nucleic Acids Res 28:214−218)。Kabatの定義を使用してCDRの名前を付けた(Johnson and Wu (2000), Nucleic Acids Res 28:214−218)。
【0052】
実施例3.安定したBCMA発現CHO細胞株の開発と抗ヒトBCMA mAbの評価
BCMAに対する特異的な結合を検証するために、安定したBCMA発現CHO細胞株上で抗BCMA mAbをスクリーニングした。安定したBCMA発現CHO細胞株を、以前に記載された方法を使用して作製した(Brezinsky et al.(2003),J Immunol Methods 277:141−155)。簡潔に述べると、Fugene 6 Transfection Reagent(Roche、Indianapolis,IN)を使用して、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を欠損するDG44チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞約150万個を、ヒトBCMA遺伝子を含有する4μgのPV90プラスミドDNAでトランスフェクトした。トランスフェクション後、6ウェル培養皿で細胞を培養した。トランスフェクションから24時間後、成長培地をα−MEM(Gibco、Rockville,MD)、10%透析血清(Hyclone、Logan,UT)、および2mM L−グルタミン(Gibco、Rockville,MD)に変更し、細胞をプールし、3つのT−75組織培養フラスコに分割して、コンフルエンスになるまで成長させた。トランスフェクションから7日後、再び細胞をプールし、5つのT225組織培養フラスコに分割して、コンフルエンスになるまで成長させた。
【0053】
トランスフェクションから14日後、細胞をC4E2.2 Ab(6)でインキュベートし、BCMA+細胞のために選別した。これらの細胞を培養物中で成長させ、96ウェルプレート中に選別された陽性細胞とともに2回目の選別を行った。クローンを拡張し、クローンC4E2.2を使用してBCMAの発現について評価した。
【0054】
トランスフェクトされていないCHO細胞を対照として用いて、最も高い発現を示すクローンを使用して新しい抗ヒトBCMA mAbを評価した。簡潔に述べると、5%正常マウス血清を含むFACS緩衝液でBCMA−CHO細胞を前処理し、非特異的結合部位をブロックした。7つの抗BCMA mAb―C11D5.3、C12A3.2、C13F12.1およびA7D12.2、ならびに市販の抗BCMA mAb C4E2.2(Legacy Biogen)、VICKY−1(Alexis)、および335004(R&D Systems,Inc.)―そしてアイソタイプ対照抗体を、氷上で30分間、1μg/mlで細胞とともに別個にインキュベートし、洗浄した。ビオチンをコンジュゲートしたアイソタイプ対照Absは以下の通りであった:マウスIgG1(eBioscienceカタログ番号13−4714−85)、マウスIgG2a(eBioscienceカタログ番号13−4732−85)、ハムスターIgG1(BD Pharmingenカタログ番号553970)、ラットIgG2a(eBioscienceカタログ番号13−4321−82)。陽性染色を可視化するために、氷上で30分間ストレプトアビジン−PE(Molecular Probes、Eugene,OR)を細胞に加え、その後、細胞を洗浄し、0.8%パラホルムアルデヒド中で固定し、FACScaliburフローサイトメーター(BDbiosciences、San Jose,CA)にかけ、Flowjoソフトウェア(Treestar、Ashland,OR)を使用して分析した。結果を図1に示す。
【0055】
7つ全ての抗体が、BCMAを発現する細胞の特異的認識を示した。C11D5.3は、対照mAbと比較して、陰性対照細胞に対する若干高めの基底結合(basal binding)を示し、他の6つの抗体の陰性対照細胞に対する基底結合は、対照Abの結合と類似していた。
【0056】
実施例4.交差ブロックELISAによる抗BCMA mAbエピトープ重複の分析
各抗体間のエピトープ重複の有無を判定するために、実施例3でテストした7つの抗BCMA mAbを交差ブロックアッセイにおいて評価した。Corning社製96ウェルのフラットボトムプレートを炭酸水素ナトリウム溶液(50mM、pH9.6)中の10μg/mlのマウス抗ヒトFcとともに4℃で一晩インキュベートし、洗浄し、2μg/mlのヒトBCMA−Fc(配列番号10)とともに37℃で1時間インキュベートし、再び洗浄し、非特異的結合部位をブロッキング緩衝液(PBS中の3%BSA)で30分間37℃でブロックした。次いで、3通りのウェルを、各個別の実験で使用した単一のビオチンコンジュゲート抗BCMA mAbの濃度の10倍の濃度で、各コンジュゲート抗BCMA mAbクローンとともにブロッキング緩衝液中でインキュベートした。ブロッキング緩衝液中の単一のビオチンコンジュゲート抗BCMA mAbクローンを、最大シグナルの80%を得るための所定濃度(EC80)で全てのウェルに加え、37℃で1時間インキュベートし、その後ウェルを洗浄し、ストレプトアビジン−HRP溶液で37℃で30分間インキュベートし、洗浄し、基質TMBとともにインキュベートして陽性反応を可視化した。2N硫酸を加えて酵素反応を停止し、プレートリーダーを使用して450nmの吸光度を測定した。
【0057】
ビオチンコンジュゲート抗体の各種について、非コンジュゲート抗体とコンジュゲート抗体が(コンジュゲートされたビオチンの有無を除いて)同じである対照の読み取り値をバックグラウンドレベルとした、すなわち、その抗体に対する各実験の読み取り値からこの対照からの吸光度を差し引いた。いくつかの場合において、このバックグラウンドの減算によって、僅かに負の値がもたらされる。標識化抗体は、それ自体によってよりも、異なる非コンジュゲート抗体によって、若干より効果的にブロックされた可能性はあるが、これらの僅かな負の値もまた、実験のばらつきによるものであるかもしれない。次いで、陽性対照値の百分率として結果を表した、すなわち、競合する非コンジュゲート抗体の非存在下において、ビオチンコンジュゲート抗体のためにバックグラウンドを調整した吸光度の読み取り値である。
【0058】
抗体が、それぞれ互いの結合を(上記のように計算された割合に従って)陽性対照値の20%未満まで減少させた場合に、その抗体は同じエピトープまたは非常に密接に重複したエピトープに結合すると見なした。抗体がこの条件を満たさない場合、それらは少なくとも部分的に異なるエピトープを有すると見なした。表3は、どの抗体が少なくとも部分的に異なるエピトープを有するかを示す。
【0059】
実施例5.ヒト末梢血細胞に対する抗体結合のフローサイトメトリー分析
同意を得た健常ボランティアから血液を採取し、製造業者の推奨に従ってFicoll−Paque(GE Healthcare、UK)を用いて、末梢血単核細胞(PBMC)を遠心分離により濃縮した。使用前に、PBS中でPBMCを十分に洗浄した。5%正常マウス血清を含有するFACS緩衝液で細胞を前処理し、非特異的結合部位をブロックした。特異的B細胞およびプラズマ細胞マーカーを標的とする、フルオロフォアをコンジュゲートした以下のモノクローナル抗体を使用した:抗CD19−PE−Cy5、抗IgD−FITC、抗CD27−APC、抗CD38−PE−Cy7(BD Biosciences、San Jose,CA)。ストレプトアビジン−PE(Molecular Probes、Eugene,OR)を使用してビオチンコンジュゲート抗BCMA mAb(10μg/ml)を可視化した。実施例3のようなアイソタイプ対照mAbの結合も測定した。
【0060】
どの抗BCMA mAbも、健常ボランティア由来のナイーブB細胞を染色せず(図2E)、強度は異なるものの、全てがプラズマ細胞を染色した(図2A)。クローンA7D12.2のみが、3つ全ての記憶B細胞サブセットのある割合を染色した(図2B〜D)。
【0061】
実施例6.健常な個体およびSLEに罹患する個体のB細胞に対する抗体結合の比較
同意を得た健常ボランティアおよびSLE患者から血液を採取し、実施例5のようにプロセスした。図3は、健常ボランティアおよび代表的なSLE患者に由来する試料間の比較を示す。抗体A7D12.2は、健常ボランティアおよびSLE患者の両方に由来するプラズマ細胞に結合した(図3A)。正常な試料においてではなく、SLE試料において、A7D12.2抗体がナイーブB細胞に結合した(図3E)。A7D12.2抗体の、記憶B細胞(図3B−D)、特にダブルネガティブ記憶B細胞(図3D)に対する結合が、SLE試料において増加した。
【0062】
実施例7.キメラ抗BCMA mAbを産生する細胞株の作製
Dhfrを欠損する、インスリン非依存型のチャイニーズハムスター卵巣細胞株であるCHO−DG44−Iを使用して、抗BCMA野生型細胞株を構築した。トランスフェクションの前に、ヌクレオシドを含むCHO−S−SFM II培地で宿主細胞を培養した。
【0063】
表4に列挙した成熟重鎖および軽鎖配列をコードする発現プラスミドで細胞をトランスフェクトすることによって、キメラ抗体を産生した。
【0064】
【表4】
カチオン性脂質(Fugene HD)法を使用して、キメラ抗BCMA発現プラスミドをCHO宿主細胞株DG44−Iにトランスフェクトした。簡潔に述べると、ヌクレオシドを含むCHO−S−SFMII培地をウェル当たり3mL含有する6ウェルプレートのうち、2つのウェルの各々に、1×106のDG44−I細胞を播種した。4μgのプラスミドDNA(重鎖2μg、軽鎖2μg)を、200μLのCHO−S−SFM II(Invitrogen)培地に室温で希釈した。16μLのFugene HD(Roche)試薬を加え、約15分間DNAとの複合体を形成させた。細胞を含有する各ウェルに、複合DNA混合物100μLを加えた。3日後、トランスフェクトした細胞を合わせ、ジェネテシン(Invitrogen)400μg/mLを含有する、ヌクレオシドを含まないCHO−S−SFM II培地20mLを含有するT−75フラスコに移した。細胞を生存率について監視し、それに応じてスケールアップした。細胞がスケールアップされると、それらを生産培地に適応させた。安定した集団からの個々の細胞をFACSで選別することにより、クローン細胞株を得た。
【0065】
キメラ重鎖および軽鎖で安定にトランスフェクトされたCHO−DG44−I細胞をCHOM39培地で発酵させ、収集し、遠心分離によって細胞を除去した。プロテインA高速カラムを通過させる前に、除去された培地のpHを調整した。100mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)で抗体を溶出させ、10%(v/v)の2Mグリシン(pH8.9)を使用してpH7.0に中和し、回収した抗体溶液を、エンドトキシンを含まない条件下でSuperdex 200サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、PBS(pH7.2)に緩衝液交換した。精製タンパク質を−80℃に維持した。
【0066】
実施例8.抗BCMA媒介によるインビトロでの死滅
細胞および細胞培養
JJN−3ヒトプラズマ細胞腫細胞(DSMZ ACC 541)を、40%ダルベッコMEM、40%イスコブMDM、20%FBS、100ユニット/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンからなる培養培地で培養した。U266ヒトプラズマ細胞腫細胞(ATCC TIB 196)を、RPMI 1640、15%FBS、20mM HEPES、100ユニット/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンからなる培養培地で培養した。全ての細胞は、5%CO2雰囲気中37℃で培養した。Ficoll-Paque PLUS(GE Healthcare、Uppsala,Sweden)を用いた密度遠心分離によって、同意を得た正常な健常ドナーからの末梢血単核細胞を単離した。
インビトロ抗体依存性細胞傷害性(ADCC)アッセイ
アッセイ希釈剤は、RPMI 1640、1%BSA、20mM HEPES、100ユニット/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンであった。ヒトプラズマ細胞腫細胞株JJN−3およびU266を洗浄し、0.4×106細胞/mLまでアッセイ希釈剤に再懸濁した。各細胞懸濁液50μLを、96ウェルのUボトムマイクロタイタープレートに3通りに播種した。連続的に希釈したキメラ抗BCMA抗体50μL(実施例7で記載したようにchC12A3.2、chC13F12.1、chC11D5.3、およびchA7D12.2)ならびに対照ヒトIgG1(HIgG1:Protos Immunoresearch、Burlingame,CA)を、細胞株を含有するウェルに加え、37℃で30分間インキュベートした。エフェクター:標的の比率が25:1になるように、50μLのPBMC(500,000)を加え、さらに4時間、5%CO2雰囲気中37℃でインキュベートした。プレートを1200rpmで5分間遠心分離し、上清100μLを96フラットボトムのマイクロウェルプレートに移した。溶解細胞から放出される乳酸脱水素酵素(Cytotoxicity Detection Kit(LDH)、No.11 644 793 001 Roche)の量を測定することによって、細胞溶解レベルを判定した。LDHキット反応混合物100μLを、製造業者の指示に従って100μLの上清に最長で30分間加えた。490nmで吸光度を測定した。対照は、標的細胞のみ(自発性LDH放出)、アッセイ希釈剤中に2%Triton X−100を含む標的細胞のみ(最大LDH放出)、標的細胞を含むかまたは含まないエフェクター細胞、およびヒトIgG1アイソタイプ対照を含んだ。
結果
ヒトBCMA+プラズマ細胞腫細胞株U266を用いて、キメラ抗BCMA抗体がADCCを介して死滅させる能力をテストした。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)をエフェクター細胞として使用した。表5に示すように、キメラmAb C12A3.2およびC13F12.1は、HIgG1対照に関連して著しいADCC活性を示した。キメラクローンA7D12.2およびC11D5.3もまたADCCを媒介したが、C12A3.2およびC13F12.1よりも低い程度であった。
【0067】
【表5】
標的細胞として第2のBCMA+プラズマ細胞腫細胞株JJN−3を使用して、ADCCアッセイも行った。表6に示すように、キメラC12A3.2、C13F12.1、およびA7D12.2もまた、JJN−3細胞のADCCを媒介した。
【0068】
【表6】
エフェクター細胞として濃縮したヒトNK細胞を使用することは、chC12A3.2、chC13F12.1、またはchA7D12.2の死滅を改善する結果にはならなかった。むしろ、NKによる死滅の割合はPBMCと比較して減少しており、U266およびJJN3を標的細胞として用いたADCCアッセイにおいて、NK細胞はchC12A3.2、chC13F12.1、またはchA7D12.2のエフェクター細胞ではないことを示唆している(データは表示せず)。chC12A3.2、chC13F12.1、またはchA7D12.2の脱フコシル変異体の産生は、これらのmAbの活性を向上しなかった(データは表示せず)。
【0069】
実施例9.抗BCMA媒介によるインビボでの細胞枯渇
ヒト化(HSC/NSG)マウスの確立
HSC/NSGマウスは、免疫系が機能的なヒト細胞型からなるため、ヒトタンパク質標的に特異的な生物学的試薬をインビボでテストするための有用なツールを提供する(Brehm et al.(2010),Clin Immunol[Epub ahead of print])。以前に記載されたようにヒト化マウスを作製した(Pearson et al.(2008),Curr Protoc Immunol Chapter 15:Unit 15.21.PMID:18491294)。Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME)からNOD/SCID/共通γ鎖欠損マウス(NSGマウス)購入した。マウスは、アイソレーターケージ内で、特殊な病原体フリーの条件下に維持して繁殖させた。繁殖ペアを確立し、雌親を妊娠および出産について監視した。2〜6日齢の仔マウスを使用してヒト化マウスを作製した。137Cs照射器からの1Gy(100ラド)の線量で仔マウスを軽く照射した。臍帯血に由来する約50,000個のCD34+CD3幹細胞(HSC)(All Cell LLC:StemCell Technologies Inc.、Vancouver,BC,Canadaから購入)を仔マウスの眼窩内に迅速に注射し、次いで雌親に戻した。21日目に仔マウスを離乳させ、性別ごとに、同腹仔のうちの一匹と一緒にケージに入れた。3ヶ月齢から開始して、マウスを顔面静脈からヘパリン処理したチューブ内に出血させ、フローサイトメトリーによって全血をヒト細胞の存在について分析した。簡潔に述べると、100μlの全血をmAb抗ヒトCD45−FITC、抗ヒトCD3−PE、抗ヒトCD19−PerCp、および抗マウスCD45−APC(BD Biosciences、San Jose,California)のカクテルで染色した。10%以上がヒトCD3+であり、残りはヒトB細胞および他のヒト造血細胞である全血中に、少なくとも20%のヒトCD45+細胞を有する場合に、マウスのヒト化に成功したと見なした。ヒト化が安定していることを確認するために、時折マウスを出血させて分析し、試験に登録する2週間前にルーチン的に分析した。
【0070】
フローサイトメトリー
ヒト幹細胞でヒト化したNSG(HSC/NSG)マウスにおいてプラズマ細胞(PC)を同定するために、コラゲナーゼで消化した脾臓をフローサイトメトリー分析に供した。ヒト細胞系列およびヒトB細胞マーカーを標的とするmAbのカクテルとともに細胞をインキュベートした。パネルは、抗ヒトCD45、抗ヒトCD19、抗ヒトCD27、抗ヒトIgD、および抗ヒトCD38からなっていた。特異的な細胞集団を排除するために使用した2つのマーカーは、抗マウスCD45および抗ヒトCD3であった。PCとして同定された細胞は、ヒトCD45+、ヒトCD19+、ヒトCD3−、ヒトCD27+、ヒトIgD−、およびヒトCD38 brightであった。BCMA+細胞を同定するために、ビオチンをコンジュゲートした抗ヒトBCMA mAb、C12A3.2、およびA7D12.2を使用した。
【0071】
インビボ細胞枯渇アッセイ
5〜6月齢のHSC/NSGマウスにキメラ抗BCMA mAを腹腔内投与し、反応性を示さないヒトIgG1(Protos Immunoresearch)を陰性対照として使用した。血液を採取し、ヒトIgアイソフォームレベルの分析のために血清を調製した。試験の終りに脾臓を回収し、単一細胞懸濁液を調製し、RBCを溶解させて、PBS/5%FCSで細胞を3回洗浄し、細胞数を測定した。フローサイトメトリーにより、T系列細胞、B系列細胞、およびプラズマ細胞について細胞を評価した。
【0072】
血清ヒトIgアイソタイプの評価
製造業者のプロトコルに従って、ELISAフォーマット(Bethyl Laboratories Inc.、Montgomery,TX)およびヒト免疫グロブリンアイソタイピングキット(Millipore、Billerica,MA)を使用して、ヒトIgMおよびIgGの血清レベルをそれぞれ測定した。
【0073】
結果
5〜6月齢のHSC/NSGマウスの分析により、評価した多様な細胞サブセットのうち、BCMA+細胞はB細胞系列にのみ見られたことが明らかになった。B細胞系列内では、BCMAが脾臓PC(ヒトCD19+、ヒトCD27+、IgD−、CD38 bright)(図4)上のみに見られたが、ナイーブB細胞(ヒトCD19+、ヒトCD27−、IgD+)、非スイッチ記憶B細胞(ヒトCD19+、ヒトCD27+、ヒトIgD+)、またはスイッチ記憶B細胞(ヒトCD19+、ヒトCD27+、ヒトIgD−)上には見られなかった(データは表示せず)。
【0074】
キメラ抗ヒトBCMA mAbがヒトPCを枯渇させる能力を評価するために、種々の量のキメラ抗ヒトBCMAクローンchAC11D5.3、chC12A3.2、chC13F12.1、およびchA7D12.2(実施例7)を、週2回2週間、HSC/NSGマウスに腹腔内投与し、その後、脾臓PCの存在を判定した。HIgG1で処理した対照群からの脾臓PCを、A7D12.2およびC12A3.2クローンを使用してBCMAの発現について分析したところ、細胞表面BCMAを発現することが確認された(データは表示せず)。上述したフローサイトメトリーのパラメータを使用してPCを同定し、フローサイトメトリーのドットプロットから合計細胞数を決定した(合計ヒト細胞数の割合として算出した)。ナイーブヒトB細胞、非スイッチ記憶ヒトB細胞、およびスイッチ記憶ヒトB細胞の数も決定した。
【0075】
chC12A3.2(N=5)を用いた処理は、200μgおよび20μgの用量レベルで、対照のHIgGで処理したマウス(N=5)と比較して統計的に有意な93%および95%の減少をそれぞれ脾臓PC数にもたらし、また2μgの用量も、統計的に有意ではないものの、著しい減少(32%)を示した。chC13F12.1(N=5)を用いた処理は、200μgおよび20μgの用量レベルで、統計的に有意な88%および51%の減少をそれぞれ脾臓PC数にもたらした(図5)。chC12A3.2およびchC13F12.1では、他のB細胞サブセットまたはT細胞の数に対する影響は観察されなかった(データは表示せず)。
【0076】
200μgのchC11D5.1(N=2)またはchA7D12.2(N=1)を用いた処理は、HIgGで処理した対照マウス(N=5)と比較して、脾臓内ヒトPCに89%および97%の低下をそれぞれもたらした(図6)。chA7D12.1による処理もまた、HIgGで処理したマウスと比較して、脾臓のヒトスイッチ記憶B細胞数に2.6倍の減少をもたらした(HIgGおよびchA7D12.1で、それぞれ575PC/105HuCD45+細胞:217PC/105HuCD45+細胞)。未処理ヒト化マウスのスイッチ記憶B細胞表面にはBCMAが検出できなかったが、フローサイトメトリーによるとBCMAのレベルは検出限界未満であるものの、Ab媒介による死滅をもたらすのに十分であったと考えられる。
【0077】
ヒトPCの枯渇が、上述したHSC/NSGマウスにおける血清ヒトIgレベルに与える影響を判定するために、ヒトIgサブセットを分析した。これらの試験で使用したキメラ抗BCMA mAbは、ヒトIgG1アイソフォームのものであり、したがって、ヒトIgG1レベルを正確に評価することができなかった。いくつかの実験コホートにおいて、対照処理マウスは、非常に僅かな不定量のアイソタイプIgG1、IgG2、IgAおよびIgEを示した(データは表示せず)。表7に示すように、chC12A3.2およびchC13F12.1の両方が、特に高い用量レベルで、血清ヒトIgMの著しい減少をもたらした。キメラC12A3.2は、200、20、および2μgの用量レベルで、それぞれ、IgMに63%、62%、および30%の減少をもたらした。キメラC13F12.1は、200、20、および2μgの用量レベルで、それぞれ、IgMに52%、42%、および32%の減少をもたらした。
【0078】
【表7】
別の実験において、マウスにchC12A3.2(N=14)またはHIgG1対照を投与したところ(N=9)、対照マウスが、容易に検出可能なIgG2およびIgG3アイソタイプ、ならびにIgMを示した。キメラC12A3.2で処理したマウスは、図5で見られるのと同様の脾臓プラズマ細胞の有意な枯渇を示した(データは表示せず)。表8に示すように、chC12A3.2を投与したマウスは、HIgGで処理した対照マウスと比較して、血清IgG2およびIgMレベルの有意な減少を示した。キメラC12A3.2で処理したマウスもまた、血清IgG3における著しい減少を示したが、対照マウスと比較すると、その差異は統計的優位性には達しなかった(表8)。
【0079】
【表8】
本明細書内の実施形態は、本発明の実施形態の例を提供するものであって、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。当業者は、多くの他の実施形態が本明細書によって包含されることを容易に認識するであろう。本開示で引用される全ての刊行物および特許は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれた内容が本明細書と矛盾するかまたは不一致である場合は、本明細書がそのようないかなる内容にも優先する。本明細書におけるいかなる参考文献の引用も、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものではない。
【0080】
別途記載のない限り、特許請求の範囲を含む本明細書において使用される成分の量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されたい。したがって、別途反対の記載のない限り、数字のパラメータは近似値であり、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。少なくとも、また、特許請求の範囲に対する均等の原則を制限するものではないが、各数字のパラメータは、有効桁および通常の端数計算法に照らして解釈されるべきである。
【0081】
別途記載のない限り、一連の要素の前にくる用語「少なくとも」は、一連のあらゆる要素を指すと理解されたい。当業者は、本明細書に記載される発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、認識するか、または単なる日常の実験を用いて確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
本出願は、EFS−Web経由で提出された配列表を含み、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。2010年3月10日に作成されたASCIIコピーは、08201010.txtと名前が付けられ、70,657バイトのサイズである。
【0002】
本発明は、B細胞表面抗原BCMAに結合する抗体に関する。本発明はまた、種々のB細胞サブタイプを検出するため、枯渇させるため、またさもなければ操作するための、これらの抗体の使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
B細胞は、適応体液性免疫、および抗原を特異的に認識する抗体の産生において大きな役割を果たすリンパ球である。B細胞の3つのサブクラスは、ナイーブB細胞、記憶B細胞、およびプラズマ細胞である。ゲノムライブラリから2つまたは3つのDNAセグメントが選択され、抗体可変ドメインのコンビナトリアルアレイを作製するために組み換えられるVDJ組換えのプロセスと、B細胞の異なる系列によってコードされる可変ドメインがさらに変化した超変異とにより、異なる標的に対する特異性を有する抗体を産生する最大109個の異なるB細胞系列が生じる。B細胞は、そのB細胞によって作られる抗体に結合する抗原に対して特異的であると言われている。B細胞は、一般に、それらの特異的抗原(Ag)への曝露によって刺激される。ナイーブB細胞は、それらの特異的抗原にまだ曝露されていない。そのような曝露(例えば、感染の間)は、B細胞の増殖および姉妹クローンの発生をもたらす。姉妹クローンは、大量の抗体を産生するプラズマ細胞に発達することができる。プラズマ細胞は、寿命が短いか、または骨髄内に移動して、そこで長期間存続することができるかのいずれかである。Agに曝露されたB細胞の姉妹クローンはまた、記憶B細胞に発達することもでき、特異的抗原に再曝露されるまで静止状態となる。記憶B細胞は、分化してプラズマ細胞およびさらなる記憶B細胞の両方を産生することによって、抗原への再曝露に迅速に応答する。記憶B細胞には、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)、およびダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)が含まれる。
【0004】
いくつかの重大な疾患には、B細胞が関与している。B細胞の悪性転換は、例えば、多発性骨髄腫およびホジキンリンパ腫等のいくつかのリンパ腫を含む癌を引き起こす。全身性エリテマトーデス(SLE)を含むいくつかの自己免疫疾患にもまた、B細胞が関与している。B細胞が関与する癌および自己免疫疾患の両方とも、B細胞が過成長し、かつ/または、身体の部分を不適切に攻撃することから、機能獲得の状態であると考えることができる。そのような疾病をコントロールすることが可能なストラテジーは、病的B細胞を標的とする抗体を使用することである。
【0005】
B細胞成熟抗原(BCMA、TNFRSF17およびCD269としても知られる)は、形質芽細胞(すなわち、プラズマ細胞の前駆体)およびプラズマ細胞の表面上に発現されることが分かっているタンパク質であり、生存を刺激すると考えられている。したがって、それは、B細胞関連疾患の潜在的な標的であることを意味する。BCMAは、TNF受容体ファミリーのメンバーであり、TNFファミリーのリガンドであるBAFFおよびAPRILに結合する(Kalled et al.(2005),Curr Dir Autoimmun 8:206−242において考察される)。BCMAは、大抵のTNF受容体ファミリーのメンバーに見られるI型膜タンパク質と関連するシグナルペプチドを含まないため、III型膜タンパク質である。
【0006】
BCMA RNAは、脾臓、リンパ節、胸線、副腎、および肝臓で検出されており、多くのB細胞株の分析は、成熟するとBCMA mRNAレベルが増加することを示した。ヒトBCMAタンパク質は、CD38+B細胞、特にプラズマ細胞の、種々のサブタイプ上で検出されている(Zhang et al.(2005),Int Immunol 17:779−788、Darce et al.(2007),J Immunol 179:7276−7286、Sims et al.(2005),Blood 105:4390−4398、Avery et al.(2003),J Clin Invest 112:286−297)。独立した研究機関が血液および/または扁桃腺のB細胞サブセットを調べたところ、ナイーブまたは記憶B細胞上ではBCMA発現を検出することができないことが分かった(Zhang et al.(2005),Int Immunol 17:779−788、Darce et al.(2007),J Immunol 179:7276−7286、Chiu et al.(2007),Blood 109:729−739)。胚中心B細胞の表面上でBCMAタンパク質を検出する試みは、矛盾する結果を示した(Zhang et al.(2005),Int Immunol 17:779−788、Chiu et al.(2007),Blood 109:729−739)。
【0007】
BCMAの作用機序は、完全には理解されていない。BCMAに対する機能遺伝子を欠損するように遺伝子操作されたマウスは、正常なリンパ器官および細胞集団、ならびにほぼ正常に機能する免疫系を有する(Xu and Lam(2001),Mol Cell Biol 21:4067−4074、Schiemann et al.(2001),Science 293:2111−2114)。これらのマウスにおいてこれまで定義されている唯一の欠陥は、寿命の長い骨髄(BM)プラズマ細胞の生存率が低いことである(O’Connor et al.(2004),J Exp Med 199:91−98)。したがって、BCMAは、少なくともマウス系において、BMに存在するプラズマ細胞に、BAFFもしくはAPRILのいずれかまたは両方が媒介する生存シグナルを提供している可能性がある。実際に、BCMAを介するシグナル伝達は、B細胞の生存、増殖、および成熟に関与する(Litinskiy et al.(2002)Nat Immunol 3:822−829、Pomerantz and Baltimore (2002)Mol Cell 10:693−695、Huang et al.(2004)Proc Natl Acad Sci USA 101:17789−17794、He et al.(2004)J Immunol 172:3268−3279)NF−κB経路を活性化する(Hatzoglou et al.(2000),J Immunol 165:1322−1330)。悪性ヒト細胞に伴う結果は、通常、BCMAと細胞生存との間の関係と一致している。原発性多発性骨髄腫(MM)細胞、MM細胞株(Novak et al.(2004)Blood 103:689−694)、ならびにホジキンリンパ腫由来のホジキンおよびリード・シュテルンベルク(HRS)細胞(Chiu et al.(2007),Blood 109:729−739、Novak et al.(2004),Blood 104:2247−2253)は、BCMAを発現することが明らかになっている。BAFFおよび/またはAPRILを加えることにより、これらの悪性細胞に生存シグナルを提供することがさらに分かっているが、BCMAがこの効果に主に寄与しているかは不明である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
異なるB細胞サブセットが、異なるB細胞関連状態に関係していると考えられるため、1つ以上のB細胞サブセットを特異的に標的とする薬剤の必要性が存在する。いくつかのB細胞の表面上におけるBCMAの発現は、それらの細胞が特異的に標的とされ得るマーカーを提供する。1つ以上のB細胞サブセットのマーカーとしてBCMAを利用するためには、BCMAに特異的に結合する薬剤と、どのB細胞サブセットがそれらのBCMA特異的薬剤によって結合されるかの判定の必要性が存在する。本発明は、BCMAに特異的に結合する抗体を提供する。本発明の抗体は、以下のB細胞サブセットのうちの1つ以上を標的とするように使用することができる:プラズマ細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞。
【0009】
【表1−1】
【0010】
【表1−2】
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】BCMAでトランスフェクトしたCHO細胞上の抗ヒトBCMA mAbの結合を示す。ストレプトアビジン−PEで可視化したビオチンコンジュゲート抗ヒトBCMA mAbの結合を、BCMA−CHO安定細胞株(A)および対照である非トランスフェクトCHO細胞(B)上でフローサイトメトリーによって測定した。影付き領域は、アイソタイプ対照mAbによる細胞の染色を表す。
【図1B】BCMAでトランスフェクトしたCHO細胞上の抗ヒトBCMA mAbの結合を示す。ストレプトアビジン−PEで可視化したビオチンコンジュゲート抗ヒトBCMA mAbの結合を、BCMA−CHO安定細胞株(A)および対照である非トランスフェクトCHO細胞(B)上でフローサイトメトリーによって測定した。影付き領域は、アイソタイプ対照mAbによる細胞の染色を表す。
【図1C】BCMAでトランスフェクトしたCHO細胞上の抗ヒトBCMA mAbの結合を示す。ストレプトアビジン−PEで可視化したビオチンコンジュゲート抗ヒトBCMA mAbの結合を、BCMA−CHO安定細胞株(A)および対照である非トランスフェクトCHO細胞(B)上でフローサイトメトリーによって測定した。影付き領域は、アイソタイプ対照mAbによる細胞の染色を表す。
【図2A】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2B】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2C】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2D】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2E】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図2F】B細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、ヒト末梢血中のB細胞サブセットを抗BCMA mAbに対する反応性について評価した。可視化は、図1の通りであった。影付き領域は、アイソタイプ対照Abによる染色を表す。B細胞サブセットは、プラズマ細胞(CD19+CD27highCD38highIgD−)(A)、スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD−)(B)、非スイッチ記憶B細胞(CD19+CD27highCD38lowIgD+)(C)、ダブルネガティブ記憶B細胞(CD19+CD27−CD38lowIgD−)(D)、およびナイーブB細胞(CD19+CD27−IgD+)(E)であった。
【図3A】健常な個体およびSLEに罹患する個体から単離されたB細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、健常ボランティアおよびSLE患者由来のヒト末梢血中のB細胞サブセットを、抗BCMA mAb C12A3.2およびA7D12.2に対する反応性について評価した。B細胞サブセットは図2の通りであった。可視化は、図1の通りであった。
【図3B】健常な個体およびSLEに罹患する個体から単離されたB細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、健常ボランティアおよびSLE患者由来のヒト末梢血中のB細胞サブセットを、抗BCMA mAb C12A3.2およびA7D12.2に対する反応性について評価した。B細胞サブセットは図2の通りであった。可視化は、図1の通りであった。
【図3C】健常な個体およびSLEに罹患する個体から単離されたB細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、健常ボランティアおよびSLE患者由来のヒト末梢血中のB細胞サブセットを、抗BCMA mAb C12A3.2およびA7D12.2に対する反応性について評価した。B細胞サブセットは図2の通りであった。可視化は、図1の通りであった。
【図3D】健常な個体およびSLEに罹患する個体から単離されたB細胞サブセットに対する抗BCMA結合を示す。フローサイトメトリーによって、健常ボランティアおよびSLE患者由来のヒト末梢血中のB細胞サブセットを、抗BCMA mAb C12A3.2およびA7D12.2に対する反応性について評価した。B細胞サブセットは図2の通りであった。可視化は、図1の通りであった。
【図4】HSC/NSGマウスから単離されたヒトCD45+脾細胞区画内のヒトプラズマ細胞のフローサイトメトリー染色を示す。脾臓プラズマ細胞を、抗BCMA抗体A7D12.2(左パネル、太線)およびC12A3.2(右パネル、太線)、またはアイソタイプ対照マウスIgG2bもしくはIgG1 Abで(両パネル内の細線)、それぞれ染色した。
【図5】抗BCMA抗体(chC12A3.2もしくはchC13F12.1)またはヒトIgG1対照で処理したHSC/NSGマウスから単離されたヒトCD45+脾細胞区画内のプラズマ細胞(PC)に対するフローサイトメトリー染色を示す。抗BCMA AbまたはHIgG1対照を、週2回2週間マウスに腹腔内注入した。**p<0.0001、*p=0.0066。
【図6】抗BCMA抗体(chC11D5.1もしくはchA7D12.2)またはヒトIgG1対照で処理したHSC/NSGマウスから単離されたヒトCD45+脾細胞区画内のプラズマ細胞(PC)に対するフローサイトメトリー染色を示す。抗BCMA AbまたはHIgG1対照を、週2回2週間マウスに腹腔内注入した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、BCMAおよびその特定のエピトープに結合する抗体を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、プラズマ細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞等の、B細胞の1つ以上のサブセットに結合する。本発明はまた、B細胞、またはプラズマ細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞を含むB細胞のサブセットを枯渇させる方法も提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号9に結合し、かつプラズマ細胞に結合する、単離された抗体を提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号9に結合し、かつ記憶B細胞に結合する、単離された抗体を提供する。別の実施形態において、本発明は、配列番号9に結合し、かつナイーブB細胞に結合する、単離された抗体を提供する。
【0013】
Legacy Biogen(6)で作製されるクローンC4E2.2(ハムスターIgG)、クローンVICKY−1(ラットIgG1)(Alexis Biochemicals、Lausen,Switzerland、また、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz,CAより6D10としても販売される)、およびクローン335004(ラットIgG2a)(R&D Systems,Inc.、Minneapolis,MN)を含む特定の抗BCMA mAbは、本発明の範囲外である。
A.抗体
本発明は、配列番号9に特異的に結合する抗体を提供する。本発明はまた、B細胞、または、プラズマ細胞、記憶B細胞(スイッチ、非スイッチ、およびダブルネガティブを含む)、ならびに/もしくはナイーブB細胞を含む、そのサブクラスの表面に結合する抗体も提供する。本明細書で使用される用語「抗体」は、同じ抗原に結合する全長免疫グロブリンおよび抗体断片の両方を含む。抗体は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態において、抗体断片は、Fab断片またはF(ab’)2断片であり、配列番号9のタンパク質に特異的に結合する能力を保有する。
【0014】
一部、本発明は、抗体A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、およびC13F12.1を提供する。これらの各々は、マウスモノクローナル抗体である。A7D12.2は、マウスの「種々の」サブグループの重鎖、配列番号1である重鎖可変ドメイン配列、サブグループIκ軽鎖、および配列番号2である軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0015】
C11D5.3は、サブグループII(A)の重鎖、配列番号3である重鎖可変ドメイン配列、マウスサブグループIIIκ軽鎖、ならびに配列番号4、配列番号11、および配列番号12から選択される軽鎖可変ドメイン配列を有する。いくつかの実施形態において、C11D5.3の軽鎖可変ドメイン配列は、配列番号12である。
【0016】
C12A3.2は、サブグループII(A)の重鎖、配列番号5である重鎖可変ドメイン配列、マウスサブグループIIIκ軽鎖、および配列番号6である軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0017】
C13F12.1は、サブグループII(A)の重鎖、配列番号7である重鎖可変ドメイン配列、マウスサブグループIIIκ軽鎖、および配列番号8である軽鎖可変ドメイン配列を有する。
【0018】
配列番号9のタンパク質に特異的な一本鎖抗体を産生するための技術は、例えば、米国特許第4,946,778号に記載される技術から適応されてもよい。また、方法は、BCMAタンパク質、またはその誘導体、断片、類似体、もしくは相同体に対する所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ効果的な同定を可能にするために、Fab発現ライブラリの構築に適応されてもよい(例えば、Huse et al.(1989)Science 246:1275−1281を参照のこと)。非ヒト抗体をヒト化するための多数の技術が当該技術分野において周知である。例えば、米国特許第5,225,539号、第6,632,927号、または第5,648,237号を参照のこと(これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる)。BCMAタンパク質に対するイディオタイプを含有する抗体断片は、(i)抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab’)2断片、(ii)F(ab’)2断片のジスフィルド架橋を減少させることによって作製されるFab断片、(iii)抗体分子をパパインおよび還元剤で処理することよって作製されるFab断片、ならびに(iv)Fv断片を含むが、これらに限定されない多様な技術のうちのいずれかによって産生されてもよい。
【0019】
また、標準的な組換えDNA技術を使用して作ることができるヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体等の組換え抗BCMA抗体は、本発明の範囲内である。そのようなキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、米国特許第7,112,421号、Better et al.(1988)Science 240:1041−1043、またはLiu et ai.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443に記載されるような組換えDNA技術によって産生することができる。
【0020】
本発明の抗体のうちのいくつかは、マウスモノクローナル抗体A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、およびC13F12.1のキメラ形態である。いくつかの実施形態において、A7D12.2のキメラ形態は、配列番号13を含む重鎖と、配列番号14を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、C11D5.3のキメラ形態は、配列番号15を含む重鎖と、配列番号16および配列番号17から選択される配列、好ましくは配列番号17を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、C12A3.2のキメラ形態は、配列番号18を含む重鎖と、配列番号19を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態において、C13F12.1のキメラ形態は、配列番号20を含む重鎖と、配列番号21を含む軽鎖とを含む。
【0021】
本発明の抗体のうちのいくつかは、マウスモノクローナル抗体A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、およびC13F12.1のヒト化形態である。いくつかの実施形態において、C11D5.3のヒト化形態は、配列番号22〜24から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号25〜29から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む重鎖可変ドメイン配列とを含む。いくつかの実施形態において、C12A3.2のヒト化形態は、配列番号30〜33から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号34〜38から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む重鎖可変ドメイン配列とを含む。いくつかの実施形態において、C13F12.1のヒト化形態は、配列番号39〜42から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号43〜47から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である配列を含む重鎖可変ドメイン配列とを含む。
B.抗体可変ドメイン配列
本発明の抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7の重鎖可変ドメイン配列を含んでもよい。重鎖可変ドメイン配列は、本質的に、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7からなってもよい。
【0022】
本発明の抗体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12の軽鎖可変ドメイン配列を含んでもよい。軽鎖可変ドメイン配列は、本質的に、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12からなってもよい。
【0023】
本発明はまた、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である配列を含む可変ドメイン配列も提供する。本発明はまた、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、および配列番号12から選択される配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である配列を含む可変ドメイン配列も提供する。本発明はまた、配列番号1と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列と、配列番号2と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列とを含む抗体も提供する。本発明は、配列番号3と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列と、配列番号4、配列番号11、または配列番号12と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列とを含む抗体を含む。本発明は、配列番号5と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列と、配列番号6と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列とを含む抗体を含む。本発明は、配列番号7と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である重鎖可変ドメイン配列と、配列番号8と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である軽鎖可変ドメイン配列とを含む抗体を含む。
【0024】
本発明は、特定の相補性決定領域(CDR)を有する抗体を提供する。表2は、配列番号1〜8、11、および12までのCDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸の座標を定義する。
【0025】
【表2】
CDRは、Kabatの定義を使用して名前を付けた(Johnson and Wu (2000),Nucleic Acids Res 28:214−218)。本明細書で使用する場合、「対応するCDR」は、可変ドメインのアミノ酸配列内の最も類似する位置に存在するCDRを意味する。
【0026】
本発明の抗体の重鎖可変ドメインは、CDRのうちの1つ、2つ、または3つが、配列番号1の対応するCDRと同一であるように、配列番号3の対応するCDRと同一であるように、配列番号5の対応するCDRと同一であるように、または配列番号7の対応するCDRと同一であるように、CDRを含んでもよい。本発明の抗体の軽鎖可変ドメインは、CDRのうちの1つ、2つ、または3つが、配列番号2の対応するCDRと同一であるように、配列番号4の対応するCDRと同一であるように、配列番号6の対応するCDRと同一であるように、配列番号8の対応するCDRと同一であるように、配列番号11の対応するCDRと同一であるように、または配列番号12の対応するCDRと同一であるように、CDRを含んでもよい。
【0027】
重鎖可変ドメインは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7のうちの1つの対応するCDRの各々と同一のCDRを含んでもよいが、上記CDR領域において1つ以上のアミノ酸置換が行われている。特定の実施形態において、重鎖可変ドメインのCDRは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7に関連する合計12個のアミノ酸置換を有してもよい。他の実施形態において、本発明の抗体の重鎖可変ドメインCDRは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7に関連する最大10個、最大8個、最大5個、または最大3個の置換を有してもよい。いくつかの実施形態において、本発明の抗体の重鎖可変ドメインCDRは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7の重鎖可変ドメインCDRと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である。
【0028】
いくつかの実施形態において、配列番号7のCDR2は、配列番号46のCDR2(すなわち、アミノ酸50〜66)によって置き換えられる。例えば、本発明の抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号7のCDR1およびCDR3と、配列番号46のCDR2とを含んでもよい。本発明の抗体の重鎖可変ドメインはまた、配列番号7のCDR1およびCDR3ならびに配列番号46のCDR2と、合わせて少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域も含んでもよい。
【0029】
軽鎖可変ドメインは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12のうちの1つの対応するCDRと同一のCDRを含んでもよいが、上記CDR領域に1つ以上のアミノ酸置換がある。特定の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12のうちの1つの対応するCDRと同一のCDRを含むが、上記CDR領域において、最大12個、最大10個、最大8個、最大5個、または最大3個のアミノ酸置換がある。いくつかの実施形態において、本発明の抗体の軽鎖可変ドメインCDRは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、または配列番号12の軽鎖可変ドメインCDRと、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一である。
【0030】
いくつかの実施形態において、CDR領域における置換は保存的置換である。
C.エピトープ:抗体結合特異性
本発明はまた、特定のエピトープに結合する抗体も提供する。一対の抗体が同じエピトープに結合するかどうかは、実施例4に記載されるような交差ブロック実験に基づいて判定される。交差ブロックプロファイルは、表3の7つの抗体について定義される。この開示の目的のために、実施例4に記載される手順に従って、それぞれ一方がBCMAに対する他方の結合を少なくとも90%減少させた(すなわち、それらが相互に交差ブロックした)場合に、その2つの抗体は同じエピトープに結合すると見なされる。同様に、実施例4に記載されるように互いの結合を少なくとも90%減少させない抗体は、異なるエピトープに結合すると見なされる。特定の可変ドメインを有する抗体の交差ブロックプロファイルを表3に列挙する。異なるエピトープに結合する一対の抗体(上で定義したように)は「d」で記す。
【0031】
【表3】
本発明は、抗体A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、またはC13F12.1と同じエピトープに結合する抗体をさらに包含する。本発明はまた、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、または13F12.1のプロファイルと一致する交差ブロックプロファイルを有する抗体も提供する。例えば、上記提供された定義に従うと、C11D5.3と同じプロファイルを有する抗体は、C12A3.2およびC13F12.1と比較すると同じエピトープに結合するが、A7D12.2、335004、C4E2、およびVicky−1と比較すると異なるエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、配列番号9のタンパク質の結合から、A7D12.2、C11D5.3、C12A3.2、またはC13F12.1のうちの1つ以上を少なくとも80%、85%、90%、または95%相互に交差ブロックする。交差ブロックの程度は、実施例4に記載される手順に従って測定される。
【0032】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体および抗体断片は、BCMAの細胞外ドメインに結合する。特定の実施形態において、抗体は、配列番号9のアミノ酸1〜52、1〜51、1〜41、または8〜41に結合する。
【0033】
本発明はまた、1つ以上の特定の細胞の種類に結合する抗BCMA抗体も提供する。本発明の抗体または抗体断片は、以下のうちの1つ以上に結合することができる:プラズマ細胞、記憶B細胞、ナイーブB細胞、もしくはBCMA(配列番号9)を発現する細胞、それと類似するタンパク質、その細胞外ドメイン、またはその細胞外ドメインと類似するポリペプチド。
D.方法
本発明は、様々な種類の細胞を枯渇させる方法を提供する。方法は、上述したような本発明の抗体を投与することを含む。本発明の方法によって枯渇され得る細胞の種類は、プラズマ細胞、ナイーブB細胞、記憶B細胞(スイッチ、非スイッチ、およびダブルネガティブを含む)、B細胞に由来するリンパ腫細胞、およびBCMAを発現する細胞、それと類似するタンパク質、その細胞外ドメイン、またはその細胞外ドメインと類似するポリペプチドを含むが、これらに限定されない。細胞は、上述したカテゴリのうちの1つより多くに属してもよい。抗体媒介による細胞枯渇方法の例については、「Depletion of B Cells In Vivo by a Chimeric Mouse Human Monoclonal Antibody to CD20」、Mitchell E.Reff,Blood,vol.83,pp.435−445,Jan.15,1994を参照のこと。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、上記列挙した細胞型のうちの1つ以上の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、および少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、プラズマ細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、スイッチ記憶B細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも60%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、非スイッチ記憶B細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも60%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、ダブルネガティブ記憶B細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも60%減少させる。いくつかの実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、ナイーブB細胞の数を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または少なくとも60%減少させる。
【0035】
本発明はまた、本発明の抗体を投与することを含む、血清免疫グロブリンレベルを減少させる方法も提供させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、血清IgMレベルを減少させる。特定の実施形態において、本発明の抗体を用いた処理は、血清IgMレベルを、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、血清IgGレベルを減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、IgG2およびIgG3のうちの一方または両方のレベルを減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、IgG2のレベルを、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、または少なくとも70%減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、IgG3のレベルを、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%減少させる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、IgG2、IgG3、およびIgMのレベルを減少させる。
【0036】
本発明はまた、本発明の抗体を投与することを含む、少なくとも1つの自己抗体のレベルを減少させる方法も提供する。いくつかの実施形態において、そのような方法は、1つ以上の自己抗体のレベルを、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、および少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%減少させる。
【0037】
さらなる態様において、本発明は、B細胞媒介による状態、疾患を治療または予防または遅延する方法を提供する。本発明は、そのような治療または予防または遅延が所望される対象に、該対象における腫瘍形成状態または免疫調節状態を治療、予防、または遅延するために十分な量で本発明の抗体を投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。他の実施形態において、対象はヒト以外の動物である。いくつかの実施形態において、本発明の抗体の投与は、対象においてBCMA媒介によるシグナル伝達をブロックし、細胞死、細胞増殖の阻害、減少、または停止のうちの1つ以上をもたらし得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体または抗体断片は、B細胞リンパ腫を「標的とする」ためにBCMAを使用する。本質的に、そのような標的化は、以下のように一般化することができる:B細胞のBCMA表面抗原に特異的な本発明の抗体または抗体断片は、例えば、対象に注射され、(表面上は)正常B細胞および悪性B細胞の両方のBCMA細胞表面抗原に特異的に結合し、この結合が腫瘍性B細胞の破壊および/または枯渇を引き起こす。さらに、癌細胞および/または腫瘍を破壊する可能性を有する化学薬品または放射性標識は、薬剤が、例えば腫瘍性B細胞等の標的となるB細胞に特異的に「送達される」ように、本発明の抗体または抗体断片にコンジュゲートさせることができる。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、化学薬品または放射性標識にコンジュゲートされていない抗体または抗体断片を投与することを含む。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、細胞傷害性薬剤にコンジュゲートされてない抗体または抗体断片を投与することを含む。
【0039】
B細胞関連疾患は、不適切なB細胞の活性およびB細胞リンパ腫に関与する自己免疫疾患を含むが、これに限定されない。B細胞リンパ腫は、多発性骨髄腫、プラズマ細胞腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、風土病性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性粘膜内リンパ組織リンパ腫、結節性単球様B細胞リンパ腫、脾臓リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性混合細胞型リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、および小リンパ球性リンパ腫を含むが、これらに限定されない。本発明の抗体または抗体断片はまた、癌細胞がBCMAを発現する癌を治療するためにも使用することができる。B細胞関連疾患は、さらに、例えば、リンパ腫様肉芽腫症および移植後リンパ球増殖性疾患等の、悪性度不明のB細胞増殖を含む。
【0040】
本発明の抗体または抗体断片を使用して診断、治療、予防、または遅延される状態は、さらに免疫調節性疾患でもあり得る。これらの疾患は、例えば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、および急速進行性糸球体腎炎等の、本来自己免疫性である疾患を含む。本発明の抗体または抗体断片はまた、重鎖病、原発性もしくは免疫細胞性アミロイドーシス、および意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)等のプラズマ細胞疾患における用途も有する。
【0041】
本発明の抗体または抗体断片を使用する組成物および治療方法は、望ましくないBCMAを発現する細胞増殖と関連するいずれの状態にも使用することができる。
【0042】
本発明の抗体は、RITUXAN(商標)としても知られる米国特許第5,736,137号の抗体C2B8と併せて投与することもできる。いくつかの実施形態において、そのような併用投与は、複数のB細胞サブタイプの増殖を枯渇させるかまたは阻害する。
【0043】
本発明は、B細胞またはB細胞サブタイプの表面上のマーカーの存在、不在、または量の決定等の、B細胞の表現型をアッセイするための本発明の抗体の使用をさらに提供する。例えば、本発明の抗体は、ナイーブB細胞、記憶B細胞、IgD+記憶B細胞、IgD−記憶B細胞、もしくはダブルネガティブ記憶B細胞の表面上で、SLEまたは別のB細胞に関連する状態に関係するマーカーの存在を測定するために使用されてもよい。
E.薬学的組成物
本発明の抗体は、投与に好適な薬学的組成物中に組み込むことができる。そのような組成物は、通常、抗体と、薬学的に許容される担体とを含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」とは、医薬品の投与に適合するあらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、希釈剤等を含むことが意図される。好適な担体は、当該技術分野における標準的な参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。そのような担体または希釈剤の好ましい例は、水、生理食塩水、フィンガー溶液、液ストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンを含む。不揮発性油等のリポソームおよび非水性ビヒクルもまた使用され得る。薬学的活性物質に対するそのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が抗体と適合しない場合を除いて、組成物におけるそれらの使用が企図される。追加の活性化合物もまた、組成物に取り込むことができる。
【0044】
本発明の抗体を含む薬学的組成物は、企図される投与経路に適合するように処方される。投与経路の例は、非経口的投与、例えば、静脈内、皮内、皮下、および直腸投与を含む。非経口の皮内または皮下用途に使用される溶液または懸濁液は、以下の構成成分を含むことができる:注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポロエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒等の滅菌希釈液、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン等の抗菌剤、アスコルビン酸または酸性亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のキレート化剤、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩等の緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロース等の浸透圧を調節するための薬剤。pHは、塩化水素または水酸化ナトリウム等の酸または塩基で調整することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または複数回投与用バイアルに封入することができる。
【0045】
注射可能な使用に好適な薬学的組成物は、滅菌水溶液(ここでは水溶性)または分散液、および滅菌注射可能溶液または分散液を即座に調製するための滅菌粉末を含む。静脈内投与に関して、好適な担体は、生理食塩液、静菌水、Cremophor EL(BASF、Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は滅菌されていなければならず、容易な注入可能性(syringeability)が存在する程度に流動性であるべきである。これは、製造および保存の条件下で安定していなければならず、細菌および真菌等の微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液地亜ポリエチレングリコール等)ならびにそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、ポリアルコール(マンニトール、ソルビトール等)、および塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含ませることによってもたらすことができる。
【0046】
滅菌注射可能溶液は、必要に応じて、上で列挙した成分のうちの1つまたは組み合わせとともに、適当な溶媒中で必要な量の本発明の抗体を組み込み、続いて、濾過滅菌することによって、調製され得る。一般的に、分散液は、基本的な分散媒と、上で列挙される成分から必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクル中に抗体を組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これによって、予め滅菌濾過したその溶液から、抗体および任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0047】
一実施形態において、抗体は、移植片およびマイクロカプセル化された送達系を含む徐放性処方物等の、身体からの迅速な排出に対してこの化合物を保護する担体を用いて調製される。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸等の生分解性、生体適合性ポリマーが使用されてもよい。このような処方物の調製のための方法は、当業者には明らかである。物質はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することができる。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。さらに、本発明の抗体または抗体断片は、リポソーム懸濁物が、特定の抗体が結合するB細胞またはそのサブクラスを標的とするために使用されてもよい。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に既知の方法に従って調製することができる。
【0048】
非経口組成物は、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で処方されてもよい。本明細書で使用される投薬単位形態は、治療される対象に対する単位投薬量として好適な物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の抗体を含有する。本発明の投薬単位形態についての詳細は、活性化合物の固有の特徴、および達成されるべき特定の治療効果によって決定され、かつ直接依存する。
【0049】
本発明の抗体を含む薬学的組成物は、投与のための説明書とともに、容器、包装、またはディスペンサーに含めることができる。
F.例示的実施形態のリスト
1.配列番号9に結合し、かつ記憶B細胞に結合する、単離された抗体。
2.抗体がプラズマ細胞にも結合する、実施形態1に記載の抗体。
3.抗体がナイーブB細胞にも結合する、実施形態1に記載の抗体。
4.抗体がナイーブB細胞およびプラズマ細胞にも結合する、実施形態1に記載の抗体。
5.ナイーブB細胞、記憶B細胞、およびプラズマ細胞を枯渇させる方法であって、配列番号9に結合し、かつナイーブB細胞、記憶B細胞、およびプラズマ細胞に結合する抗体を投与することを含む、方法。
6.記憶B細胞を枯渇させる方法であって、配列番号9に結合し、かつ記憶B細胞に結合する抗体を投与することを含む、方法。
7.配列番号9に結合し、かつナイーブB細胞に結合する、単離された抗体。
8.抗体がプラズマ細胞に結合する、実施形態7に記載の抗体。
9.ナイーブB細胞を枯渇させる方法であって、配列番号9に結合し、かつナイーブB細胞に結合する抗体を投与することを含む、方法。
10.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、抗体。
11.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRを含む、抗体。
12.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、およびCDR3を含む、抗体。
13.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号1に由来し、抗体は、配列番号2のアミノ酸24〜34と同一のCDR1領域、配列番号2のアミノ酸50〜56と同一のCDR2領域、または配列番号2のアミノ酸89〜97と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
14.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号3に由来し、抗体は、配列番号12のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号12のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号12のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
15.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号5に由来し、抗体は、配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
16.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号7に由来し、抗体は、配列番号8のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号8のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号8のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
17.実施形態10に記載の抗体であって、重鎖可変ドメインは配列番号1を含み、軽鎖可変ドメインは配列番号2を含む、抗体。
18.実施形態10に記載の抗体であって、重鎖可変ドメインは配列番号3を含み、軽鎖可変ドメインは配列番号12を含む、抗体。
19.実施形態10に記載の抗体であって、重鎖可変ドメインは配列番号5を含み、軽鎖可変ドメインは配列番号6を含む、抗体。
20.実施形態10に記載の抗体であって、重鎖可変ドメインは配列番号7を含み、軽鎖可変ドメインは配列番号8を含む、抗体。
21.実施形態17に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
22.実施形態18〜20のいずれかに記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
23.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、
a.配列番号1、配列番号3、配列番号5、もしくは配列番号7から選択される配列のCDR1、CDR2、およびCDR3と同一のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
b.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(a)に記載の可変ドメインの変異体、
を含む、抗体。
24.実施形態53に記載の抗体であって、配列は配列番号1であり、抗体は、
c.配列番号2のアミノ酸24〜34と同一のCDR1領域、配列番号2のアミノ酸50〜56と同一のCDR2領域、および配列番号2のアミノ酸89〜97と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
d.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、抗体。
25.実施形態53に記載の抗体であって、配列は配列番号3であり、抗体は、
c.配列番号12のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号12のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号12のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
d.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、抗体。
26.実施形態53に記載の抗体であって、配列は配列番号5であり、抗体は、
c.配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
d.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、抗体。
27.実施形態53に記載の抗体であって、配列は配列番号であり、抗体は、
c.配列番号8のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号8のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号8のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または、
d.上記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は上記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、抗体。
28.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号11、および配列番号12からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、抗体。
29.実施形態28に記載の抗体であって、配列番号2、配列番号12、配列番号6、および配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRを含む、抗体。
30.実施形態28に記載の抗体であって、配列番号2、配列番号12、配列番号6、または配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、およびCDR3にCDRを含む、抗体。
31.実施形態1〜4、7、8、10〜21、または23〜30のいずれかに記載の抗体であって、キメラ抗体、ヒト化抗体、または一本鎖抗体である、抗体。
32.実施形態1〜4、7、8、10〜21、または23〜30のいずれかに記載の抗体を産生する、ハイブリドーマ。
33. 実施形態1〜4、7、8、10〜21、または23〜30のいずれかに記載の抗体と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
34.配列番号9に結合し、実施形態1〜4、7、8、10〜21、または23〜30のいずれかに記載の抗体の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片を含む、ポリペプチド。
35.実施形態33に記載の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片を産生する、ハイブリドーマ。
36.実施形態33に記載の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
37.プラズマ細胞を枯渇させる方法であって、実施形態1〜4、8、または10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
38.B細胞関連疾患を治療する方法であって、実施形態1〜4、8、または10〜31のいずれか1項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
39.実施形態38に記載の方法であって、B細胞関連疾患は、プラズマ細胞腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、風土病性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性粘膜内リンパ組織リンパ腫、結節性単球様B細胞リンパ腫、脾臓リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性混合細胞型リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、悪性度不明のB細胞増殖、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ球増殖性疾患等、免疫調節性疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性もしくは免疫細胞性アミロイドーシス、または意義不明の単クローン性γグロブリン血症である、方法
40.実施形態38に記載の方法であって、B細胞関連疾患は、B細胞悪性腫瘍である、方法。
41.実施形態38に記載の方法であって、B細胞関連疾患は、プラズマ細胞悪性腫瘍である、方法。
42. 実施形態41に記載の方法であって、プラズマ細胞悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である、方法。
43. 実施形態38に記載の方法であって、B細胞関連疾患は、自己免疫疾患である、方法。
44.実施形態43に記載の方法であって、自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデスである、方法。
45.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号1に由来し、抗体は、配列番号2のアミノ酸24〜34と同一のCDR1領域、配列番号2のアミノ酸50〜56と同一のCDR2領域、または配列番号2のアミノ酸89〜97と同一のCDR3領域のうちの少なくとも2つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
46.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号1に由来し、抗体は、配列番号2のアミノ酸24〜34と同一のCDR1領域、配列番号2のアミノ酸50〜56と同一のCDR2領域、および配列番号2のアミノ酸89〜97と同一のCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
47.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号3に由来し、抗体は、配列番号12のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号12のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号12のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも2つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
48.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号3に由来し、抗体は、配列番号12のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号12のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号12のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
49.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号5に由来し、抗体は、配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも2つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
50.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号5に由来し、抗体は、配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
51.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号7に由来し、抗体は、配列番号8のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号8のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号8のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも2つを含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
52.実施形態10に記載の抗体であって、CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRは、配列番号7に由来し、抗体は、配列番号8のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号8のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号8のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
53.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
54.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
55.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
56.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
57.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、およびCDR3であるCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
58.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
59.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
60.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRとを含む、抗体。
61.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
62.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
63.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
64.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
65.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、およびCDR3であるCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
66.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
67.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
68.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRとを含む、抗体。
69.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
70.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
71.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
72.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
73.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号1のCDR1、CDR2、およびCDR3であるCDRと、配列番号2のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
74.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号3のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号12のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
75.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号5のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号6のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
76.実施形態10に記載の抗体であって、配列番号7のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRと、配列番号8のCDR1、CDR2、またはCDR3であるCDRとを含む、抗体。
77.実施形態17に記載の抗体を、少なくとも80%相互に交差ブロックする、単離された抗体。
78.実施形態18〜20に記載の抗体のうちの少なくとも1つを、少なくとも80%相互に交差ブロックする、単離された抗体。
79.実施形態18に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
80.実施形態19に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
81.実施形態20に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
82. 少なくとも1つの自己抗体のレベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
83.血清IgMレベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
84.血清IgGレベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
85.血清IgG2レベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
86.血清IgG3レベルを減少させる方法であって、実施形態1〜4、8、および10〜31のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
87.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7から選択される配列のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインを含む、抗体。
88.実施形態87に記載の抗体であって、配列は配列番号1であり、抗体は、配列番号2のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
89.実施形態87に記載の抗体であって、配列は配列番号3であり、抗体は、配列番号12のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
90.実施形態87に記載の抗体であって、配列は配列番号5であり、抗体は、配列番号6のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
91.実施形態87に記載の抗体であって、配列は配列番号7であり、抗体は、配列番号8のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインをさらに含む、抗体。
92.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号22〜24から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号25〜29から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む重鎖可変ドメイン配列とを含む、抗体。
93.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号30〜33から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号34〜38から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む重鎖可変ドメインとを含む、抗体。
94.配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、配列番号39〜42から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号43〜47から選択される配列と少なくとも95%同一である配列を含む重鎖可変ドメインとを含む、抗体。
95.B細胞関連疾患は、関節リウマチである、実施形態39に記載の方法。
96.B細胞関連疾患は、特発性血小板減少性紫斑病、または重症筋無力症、または自己免疫性溶血性貧血である、実施形態39に記載の方法。
97.RITUXAN(商標)を投与することをさらに含む、実施形態37に記載の方法。
98.RITUXAN(商標)を投与することをさらに含む、実施形態38に記載の方法。
【実施例】
【0050】
実施例1.抗ヒトBCMAモノクローナル抗体の作製およびビオチンコンジュゲーション
CFA中のBCMA−Fc/KLHコンジュゲートタンパク質でメスRBFマウスを腹腔内免疫し、その後、IFAを用いて定期的な間隔でさらに免疫化することにより抗BCMAモノクローナル抗体(mAb)を作製したが、Harlow and Lane (1998),Using Antibodies:A Laboratory Manual:Portable Protocol No.1,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYの方法の後、FL653骨髄腫細胞株に脾細胞を融合する前に、最後の追加免疫にはIFAの代わりにRIBIを使用した。簡潔に述べると、最後の追加免疫の3日後にマウスから単離した脾細胞を2回洗浄し、2回洗浄した対数期FL653骨髄腫細胞と7:1の比率で混合した。細胞混合物を4通りに分割してペレット化し、PEG中37℃で1分間インキュベートし、その間、細胞を穏やかに再懸濁させ、その後、10mlの冷却DMEMを注意深く加えた。細胞を混合し、ペレット化して、AATハイブリドーマ成長選択培地に再懸濁した。ELISAおよびフローサイトメトリーによって、細胞上清をBCMA特異的反応性についてスクリーニングした。ELISAフォーマットにおいてBCMAに陽性かつFc特異性に陰性を示し、BCMAトランスフェクト細胞に陽性を示し、偽トランスフェクト細胞に陰性を示したクローンを拡張してサブクローン化した。4つのBCMA特異的クローンをさらなる評価のために選択した:C11D5.3(IgG1)、C12A3.2(IgG1)、C13F12.1(IgG1)、およびA7D12.2(IgG2b)。製造業者の推奨(Molecular Probes、Eugene,OR)に従ってキットを使用し、後に記載されるELISAおよびFACS実験で使用するために、抗BCMA mAbにビオチンをコンジュゲートした。
【0051】
実施例2.マウス抗ヒトBCMA mAb可変領域のクローン化
製造業者の推奨プロトコルに従ってQiagen RNeasyミニキットを使用し、マウスハイブリドーマ細胞から全細胞RNAを調製した。第1鎖cDNAのプライミングのためのランダム六量体を使用して、全細胞RNAから重鎖および軽鎖の可変領域をコードするcDNAをRT−PCRによりクローン化した。インタクトなシグナル配列を有するマウス免疫グロブリン可変ドメインのPCR増幅のために、複数マウス免疫グロブリン遺伝子ファミリーのシグナル配列にハイブリダイズした縮重フォワードプライマーと、マウス定常領域の5’末端に特異的な単一のリバースプライマーとのカクテルを使用した。製造業者の推奨プロトコルに従ってClontech Advantage 2 Polymeraseミックスを使用して、PCRを行った。PCR産物をゲル精製し、Invitrogen社製pCR2.1TOPOベクターに、それらのTOPOクローニングキットを使用して、製造業者の推奨プロトコルに従ってサブクローン化した。複数の独立したサブクローン由来のインサートを配列決定して、コンセンサス配列を確立した。推定された成熟免疫グロブリンのN末端は、ハイブリドーマからのエドマン分解によって特定されたものと一致していた。特異的なサブグループへの割当ては、Kabatデータベースからのコンセンサス免疫グロブリンの可変ドメイン配列を使用したBLAST解析に基づくものであった(Johnson and Wu (2000),Nucleic Acids Res 28:214−218)。Kabatの定義を使用してCDRの名前を付けた(Johnson and Wu (2000), Nucleic Acids Res 28:214−218)。
【0052】
実施例3.安定したBCMA発現CHO細胞株の開発と抗ヒトBCMA mAbの評価
BCMAに対する特異的な結合を検証するために、安定したBCMA発現CHO細胞株上で抗BCMA mAbをスクリーニングした。安定したBCMA発現CHO細胞株を、以前に記載された方法を使用して作製した(Brezinsky et al.(2003),J Immunol Methods 277:141−155)。簡潔に述べると、Fugene 6 Transfection Reagent(Roche、Indianapolis,IN)を使用して、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を欠損するDG44チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞約150万個を、ヒトBCMA遺伝子を含有する4μgのPV90プラスミドDNAでトランスフェクトした。トランスフェクション後、6ウェル培養皿で細胞を培養した。トランスフェクションから24時間後、成長培地をα−MEM(Gibco、Rockville,MD)、10%透析血清(Hyclone、Logan,UT)、および2mM L−グルタミン(Gibco、Rockville,MD)に変更し、細胞をプールし、3つのT−75組織培養フラスコに分割して、コンフルエンスになるまで成長させた。トランスフェクションから7日後、再び細胞をプールし、5つのT225組織培養フラスコに分割して、コンフルエンスになるまで成長させた。
【0053】
トランスフェクションから14日後、細胞をC4E2.2 Ab(6)でインキュベートし、BCMA+細胞のために選別した。これらの細胞を培養物中で成長させ、96ウェルプレート中に選別された陽性細胞とともに2回目の選別を行った。クローンを拡張し、クローンC4E2.2を使用してBCMAの発現について評価した。
【0054】
トランスフェクトされていないCHO細胞を対照として用いて、最も高い発現を示すクローンを使用して新しい抗ヒトBCMA mAbを評価した。簡潔に述べると、5%正常マウス血清を含むFACS緩衝液でBCMA−CHO細胞を前処理し、非特異的結合部位をブロックした。7つの抗BCMA mAb―C11D5.3、C12A3.2、C13F12.1およびA7D12.2、ならびに市販の抗BCMA mAb C4E2.2(Legacy Biogen)、VICKY−1(Alexis)、および335004(R&D Systems,Inc.)―そしてアイソタイプ対照抗体を、氷上で30分間、1μg/mlで細胞とともに別個にインキュベートし、洗浄した。ビオチンをコンジュゲートしたアイソタイプ対照Absは以下の通りであった:マウスIgG1(eBioscienceカタログ番号13−4714−85)、マウスIgG2a(eBioscienceカタログ番号13−4732−85)、ハムスターIgG1(BD Pharmingenカタログ番号553970)、ラットIgG2a(eBioscienceカタログ番号13−4321−82)。陽性染色を可視化するために、氷上で30分間ストレプトアビジン−PE(Molecular Probes、Eugene,OR)を細胞に加え、その後、細胞を洗浄し、0.8%パラホルムアルデヒド中で固定し、FACScaliburフローサイトメーター(BDbiosciences、San Jose,CA)にかけ、Flowjoソフトウェア(Treestar、Ashland,OR)を使用して分析した。結果を図1に示す。
【0055】
7つ全ての抗体が、BCMAを発現する細胞の特異的認識を示した。C11D5.3は、対照mAbと比較して、陰性対照細胞に対する若干高めの基底結合(basal binding)を示し、他の6つの抗体の陰性対照細胞に対する基底結合は、対照Abの結合と類似していた。
【0056】
実施例4.交差ブロックELISAによる抗BCMA mAbエピトープ重複の分析
各抗体間のエピトープ重複の有無を判定するために、実施例3でテストした7つの抗BCMA mAbを交差ブロックアッセイにおいて評価した。Corning社製96ウェルのフラットボトムプレートを炭酸水素ナトリウム溶液(50mM、pH9.6)中の10μg/mlのマウス抗ヒトFcとともに4℃で一晩インキュベートし、洗浄し、2μg/mlのヒトBCMA−Fc(配列番号10)とともに37℃で1時間インキュベートし、再び洗浄し、非特異的結合部位をブロッキング緩衝液(PBS中の3%BSA)で30分間37℃でブロックした。次いで、3通りのウェルを、各個別の実験で使用した単一のビオチンコンジュゲート抗BCMA mAbの濃度の10倍の濃度で、各コンジュゲート抗BCMA mAbクローンとともにブロッキング緩衝液中でインキュベートした。ブロッキング緩衝液中の単一のビオチンコンジュゲート抗BCMA mAbクローンを、最大シグナルの80%を得るための所定濃度(EC80)で全てのウェルに加え、37℃で1時間インキュベートし、その後ウェルを洗浄し、ストレプトアビジン−HRP溶液で37℃で30分間インキュベートし、洗浄し、基質TMBとともにインキュベートして陽性反応を可視化した。2N硫酸を加えて酵素反応を停止し、プレートリーダーを使用して450nmの吸光度を測定した。
【0057】
ビオチンコンジュゲート抗体の各種について、非コンジュゲート抗体とコンジュゲート抗体が(コンジュゲートされたビオチンの有無を除いて)同じである対照の読み取り値をバックグラウンドレベルとした、すなわち、その抗体に対する各実験の読み取り値からこの対照からの吸光度を差し引いた。いくつかの場合において、このバックグラウンドの減算によって、僅かに負の値がもたらされる。標識化抗体は、それ自体によってよりも、異なる非コンジュゲート抗体によって、若干より効果的にブロックされた可能性はあるが、これらの僅かな負の値もまた、実験のばらつきによるものであるかもしれない。次いで、陽性対照値の百分率として結果を表した、すなわち、競合する非コンジュゲート抗体の非存在下において、ビオチンコンジュゲート抗体のためにバックグラウンドを調整した吸光度の読み取り値である。
【0058】
抗体が、それぞれ互いの結合を(上記のように計算された割合に従って)陽性対照値の20%未満まで減少させた場合に、その抗体は同じエピトープまたは非常に密接に重複したエピトープに結合すると見なした。抗体がこの条件を満たさない場合、それらは少なくとも部分的に異なるエピトープを有すると見なした。表3は、どの抗体が少なくとも部分的に異なるエピトープを有するかを示す。
【0059】
実施例5.ヒト末梢血細胞に対する抗体結合のフローサイトメトリー分析
同意を得た健常ボランティアから血液を採取し、製造業者の推奨に従ってFicoll−Paque(GE Healthcare、UK)を用いて、末梢血単核細胞(PBMC)を遠心分離により濃縮した。使用前に、PBS中でPBMCを十分に洗浄した。5%正常マウス血清を含有するFACS緩衝液で細胞を前処理し、非特異的結合部位をブロックした。特異的B細胞およびプラズマ細胞マーカーを標的とする、フルオロフォアをコンジュゲートした以下のモノクローナル抗体を使用した:抗CD19−PE−Cy5、抗IgD−FITC、抗CD27−APC、抗CD38−PE−Cy7(BD Biosciences、San Jose,CA)。ストレプトアビジン−PE(Molecular Probes、Eugene,OR)を使用してビオチンコンジュゲート抗BCMA mAb(10μg/ml)を可視化した。実施例3のようなアイソタイプ対照mAbの結合も測定した。
【0060】
どの抗BCMA mAbも、健常ボランティア由来のナイーブB細胞を染色せず(図2E)、強度は異なるものの、全てがプラズマ細胞を染色した(図2A)。クローンA7D12.2のみが、3つ全ての記憶B細胞サブセットのある割合を染色した(図2B〜D)。
【0061】
実施例6.健常な個体およびSLEに罹患する個体のB細胞に対する抗体結合の比較
同意を得た健常ボランティアおよびSLE患者から血液を採取し、実施例5のようにプロセスした。図3は、健常ボランティアおよび代表的なSLE患者に由来する試料間の比較を示す。抗体A7D12.2は、健常ボランティアおよびSLE患者の両方に由来するプラズマ細胞に結合した(図3A)。正常な試料においてではなく、SLE試料において、A7D12.2抗体がナイーブB細胞に結合した(図3E)。A7D12.2抗体の、記憶B細胞(図3B−D)、特にダブルネガティブ記憶B細胞(図3D)に対する結合が、SLE試料において増加した。
【0062】
実施例7.キメラ抗BCMA mAbを産生する細胞株の作製
Dhfrを欠損する、インスリン非依存型のチャイニーズハムスター卵巣細胞株であるCHO−DG44−Iを使用して、抗BCMA野生型細胞株を構築した。トランスフェクションの前に、ヌクレオシドを含むCHO−S−SFM II培地で宿主細胞を培養した。
【0063】
表4に列挙した成熟重鎖および軽鎖配列をコードする発現プラスミドで細胞をトランスフェクトすることによって、キメラ抗体を産生した。
【0064】
【表4】
カチオン性脂質(Fugene HD)法を使用して、キメラ抗BCMA発現プラスミドをCHO宿主細胞株DG44−Iにトランスフェクトした。簡潔に述べると、ヌクレオシドを含むCHO−S−SFMII培地をウェル当たり3mL含有する6ウェルプレートのうち、2つのウェルの各々に、1×106のDG44−I細胞を播種した。4μgのプラスミドDNA(重鎖2μg、軽鎖2μg)を、200μLのCHO−S−SFM II(Invitrogen)培地に室温で希釈した。16μLのFugene HD(Roche)試薬を加え、約15分間DNAとの複合体を形成させた。細胞を含有する各ウェルに、複合DNA混合物100μLを加えた。3日後、トランスフェクトした細胞を合わせ、ジェネテシン(Invitrogen)400μg/mLを含有する、ヌクレオシドを含まないCHO−S−SFM II培地20mLを含有するT−75フラスコに移した。細胞を生存率について監視し、それに応じてスケールアップした。細胞がスケールアップされると、それらを生産培地に適応させた。安定した集団からの個々の細胞をFACSで選別することにより、クローン細胞株を得た。
【0065】
キメラ重鎖および軽鎖で安定にトランスフェクトされたCHO−DG44−I細胞をCHOM39培地で発酵させ、収集し、遠心分離によって細胞を除去した。プロテインA高速カラムを通過させる前に、除去された培地のpHを調整した。100mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)で抗体を溶出させ、10%(v/v)の2Mグリシン(pH8.9)を使用してpH7.0に中和し、回収した抗体溶液を、エンドトキシンを含まない条件下でSuperdex 200サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、PBS(pH7.2)に緩衝液交換した。精製タンパク質を−80℃に維持した。
【0066】
実施例8.抗BCMA媒介によるインビトロでの死滅
細胞および細胞培養
JJN−3ヒトプラズマ細胞腫細胞(DSMZ ACC 541)を、40%ダルベッコMEM、40%イスコブMDM、20%FBS、100ユニット/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンからなる培養培地で培養した。U266ヒトプラズマ細胞腫細胞(ATCC TIB 196)を、RPMI 1640、15%FBS、20mM HEPES、100ユニット/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンからなる培養培地で培養した。全ての細胞は、5%CO2雰囲気中37℃で培養した。Ficoll-Paque PLUS(GE Healthcare、Uppsala,Sweden)を用いた密度遠心分離によって、同意を得た正常な健常ドナーからの末梢血単核細胞を単離した。
インビトロ抗体依存性細胞傷害性(ADCC)アッセイ
アッセイ希釈剤は、RPMI 1640、1%BSA、20mM HEPES、100ユニット/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシンであった。ヒトプラズマ細胞腫細胞株JJN−3およびU266を洗浄し、0.4×106細胞/mLまでアッセイ希釈剤に再懸濁した。各細胞懸濁液50μLを、96ウェルのUボトムマイクロタイタープレートに3通りに播種した。連続的に希釈したキメラ抗BCMA抗体50μL(実施例7で記載したようにchC12A3.2、chC13F12.1、chC11D5.3、およびchA7D12.2)ならびに対照ヒトIgG1(HIgG1:Protos Immunoresearch、Burlingame,CA)を、細胞株を含有するウェルに加え、37℃で30分間インキュベートした。エフェクター:標的の比率が25:1になるように、50μLのPBMC(500,000)を加え、さらに4時間、5%CO2雰囲気中37℃でインキュベートした。プレートを1200rpmで5分間遠心分離し、上清100μLを96フラットボトムのマイクロウェルプレートに移した。溶解細胞から放出される乳酸脱水素酵素(Cytotoxicity Detection Kit(LDH)、No.11 644 793 001 Roche)の量を測定することによって、細胞溶解レベルを判定した。LDHキット反応混合物100μLを、製造業者の指示に従って100μLの上清に最長で30分間加えた。490nmで吸光度を測定した。対照は、標的細胞のみ(自発性LDH放出)、アッセイ希釈剤中に2%Triton X−100を含む標的細胞のみ(最大LDH放出)、標的細胞を含むかまたは含まないエフェクター細胞、およびヒトIgG1アイソタイプ対照を含んだ。
結果
ヒトBCMA+プラズマ細胞腫細胞株U266を用いて、キメラ抗BCMA抗体がADCCを介して死滅させる能力をテストした。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)をエフェクター細胞として使用した。表5に示すように、キメラmAb C12A3.2およびC13F12.1は、HIgG1対照に関連して著しいADCC活性を示した。キメラクローンA7D12.2およびC11D5.3もまたADCCを媒介したが、C12A3.2およびC13F12.1よりも低い程度であった。
【0067】
【表5】
標的細胞として第2のBCMA+プラズマ細胞腫細胞株JJN−3を使用して、ADCCアッセイも行った。表6に示すように、キメラC12A3.2、C13F12.1、およびA7D12.2もまた、JJN−3細胞のADCCを媒介した。
【0068】
【表6】
エフェクター細胞として濃縮したヒトNK細胞を使用することは、chC12A3.2、chC13F12.1、またはchA7D12.2の死滅を改善する結果にはならなかった。むしろ、NKによる死滅の割合はPBMCと比較して減少しており、U266およびJJN3を標的細胞として用いたADCCアッセイにおいて、NK細胞はchC12A3.2、chC13F12.1、またはchA7D12.2のエフェクター細胞ではないことを示唆している(データは表示せず)。chC12A3.2、chC13F12.1、またはchA7D12.2の脱フコシル変異体の産生は、これらのmAbの活性を向上しなかった(データは表示せず)。
【0069】
実施例9.抗BCMA媒介によるインビボでの細胞枯渇
ヒト化(HSC/NSG)マウスの確立
HSC/NSGマウスは、免疫系が機能的なヒト細胞型からなるため、ヒトタンパク質標的に特異的な生物学的試薬をインビボでテストするための有用なツールを提供する(Brehm et al.(2010),Clin Immunol[Epub ahead of print])。以前に記載されたようにヒト化マウスを作製した(Pearson et al.(2008),Curr Protoc Immunol Chapter 15:Unit 15.21.PMID:18491294)。Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME)からNOD/SCID/共通γ鎖欠損マウス(NSGマウス)購入した。マウスは、アイソレーターケージ内で、特殊な病原体フリーの条件下に維持して繁殖させた。繁殖ペアを確立し、雌親を妊娠および出産について監視した。2〜6日齢の仔マウスを使用してヒト化マウスを作製した。137Cs照射器からの1Gy(100ラド)の線量で仔マウスを軽く照射した。臍帯血に由来する約50,000個のCD34+CD3幹細胞(HSC)(All Cell LLC:StemCell Technologies Inc.、Vancouver,BC,Canadaから購入)を仔マウスの眼窩内に迅速に注射し、次いで雌親に戻した。21日目に仔マウスを離乳させ、性別ごとに、同腹仔のうちの一匹と一緒にケージに入れた。3ヶ月齢から開始して、マウスを顔面静脈からヘパリン処理したチューブ内に出血させ、フローサイトメトリーによって全血をヒト細胞の存在について分析した。簡潔に述べると、100μlの全血をmAb抗ヒトCD45−FITC、抗ヒトCD3−PE、抗ヒトCD19−PerCp、および抗マウスCD45−APC(BD Biosciences、San Jose,California)のカクテルで染色した。10%以上がヒトCD3+であり、残りはヒトB細胞および他のヒト造血細胞である全血中に、少なくとも20%のヒトCD45+細胞を有する場合に、マウスのヒト化に成功したと見なした。ヒト化が安定していることを確認するために、時折マウスを出血させて分析し、試験に登録する2週間前にルーチン的に分析した。
【0070】
フローサイトメトリー
ヒト幹細胞でヒト化したNSG(HSC/NSG)マウスにおいてプラズマ細胞(PC)を同定するために、コラゲナーゼで消化した脾臓をフローサイトメトリー分析に供した。ヒト細胞系列およびヒトB細胞マーカーを標的とするmAbのカクテルとともに細胞をインキュベートした。パネルは、抗ヒトCD45、抗ヒトCD19、抗ヒトCD27、抗ヒトIgD、および抗ヒトCD38からなっていた。特異的な細胞集団を排除するために使用した2つのマーカーは、抗マウスCD45および抗ヒトCD3であった。PCとして同定された細胞は、ヒトCD45+、ヒトCD19+、ヒトCD3−、ヒトCD27+、ヒトIgD−、およびヒトCD38 brightであった。BCMA+細胞を同定するために、ビオチンをコンジュゲートした抗ヒトBCMA mAb、C12A3.2、およびA7D12.2を使用した。
【0071】
インビボ細胞枯渇アッセイ
5〜6月齢のHSC/NSGマウスにキメラ抗BCMA mAを腹腔内投与し、反応性を示さないヒトIgG1(Protos Immunoresearch)を陰性対照として使用した。血液を採取し、ヒトIgアイソフォームレベルの分析のために血清を調製した。試験の終りに脾臓を回収し、単一細胞懸濁液を調製し、RBCを溶解させて、PBS/5%FCSで細胞を3回洗浄し、細胞数を測定した。フローサイトメトリーにより、T系列細胞、B系列細胞、およびプラズマ細胞について細胞を評価した。
【0072】
血清ヒトIgアイソタイプの評価
製造業者のプロトコルに従って、ELISAフォーマット(Bethyl Laboratories Inc.、Montgomery,TX)およびヒト免疫グロブリンアイソタイピングキット(Millipore、Billerica,MA)を使用して、ヒトIgMおよびIgGの血清レベルをそれぞれ測定した。
【0073】
結果
5〜6月齢のHSC/NSGマウスの分析により、評価した多様な細胞サブセットのうち、BCMA+細胞はB細胞系列にのみ見られたことが明らかになった。B細胞系列内では、BCMAが脾臓PC(ヒトCD19+、ヒトCD27+、IgD−、CD38 bright)(図4)上のみに見られたが、ナイーブB細胞(ヒトCD19+、ヒトCD27−、IgD+)、非スイッチ記憶B細胞(ヒトCD19+、ヒトCD27+、ヒトIgD+)、またはスイッチ記憶B細胞(ヒトCD19+、ヒトCD27+、ヒトIgD−)上には見られなかった(データは表示せず)。
【0074】
キメラ抗ヒトBCMA mAbがヒトPCを枯渇させる能力を評価するために、種々の量のキメラ抗ヒトBCMAクローンchAC11D5.3、chC12A3.2、chC13F12.1、およびchA7D12.2(実施例7)を、週2回2週間、HSC/NSGマウスに腹腔内投与し、その後、脾臓PCの存在を判定した。HIgG1で処理した対照群からの脾臓PCを、A7D12.2およびC12A3.2クローンを使用してBCMAの発現について分析したところ、細胞表面BCMAを発現することが確認された(データは表示せず)。上述したフローサイトメトリーのパラメータを使用してPCを同定し、フローサイトメトリーのドットプロットから合計細胞数を決定した(合計ヒト細胞数の割合として算出した)。ナイーブヒトB細胞、非スイッチ記憶ヒトB細胞、およびスイッチ記憶ヒトB細胞の数も決定した。
【0075】
chC12A3.2(N=5)を用いた処理は、200μgおよび20μgの用量レベルで、対照のHIgGで処理したマウス(N=5)と比較して統計的に有意な93%および95%の減少をそれぞれ脾臓PC数にもたらし、また2μgの用量も、統計的に有意ではないものの、著しい減少(32%)を示した。chC13F12.1(N=5)を用いた処理は、200μgおよび20μgの用量レベルで、統計的に有意な88%および51%の減少をそれぞれ脾臓PC数にもたらした(図5)。chC12A3.2およびchC13F12.1では、他のB細胞サブセットまたはT細胞の数に対する影響は観察されなかった(データは表示せず)。
【0076】
200μgのchC11D5.1(N=2)またはchA7D12.2(N=1)を用いた処理は、HIgGで処理した対照マウス(N=5)と比較して、脾臓内ヒトPCに89%および97%の低下をそれぞれもたらした(図6)。chA7D12.1による処理もまた、HIgGで処理したマウスと比較して、脾臓のヒトスイッチ記憶B細胞数に2.6倍の減少をもたらした(HIgGおよびchA7D12.1で、それぞれ575PC/105HuCD45+細胞:217PC/105HuCD45+細胞)。未処理ヒト化マウスのスイッチ記憶B細胞表面にはBCMAが検出できなかったが、フローサイトメトリーによるとBCMAのレベルは検出限界未満であるものの、Ab媒介による死滅をもたらすのに十分であったと考えられる。
【0077】
ヒトPCの枯渇が、上述したHSC/NSGマウスにおける血清ヒトIgレベルに与える影響を判定するために、ヒトIgサブセットを分析した。これらの試験で使用したキメラ抗BCMA mAbは、ヒトIgG1アイソフォームのものであり、したがって、ヒトIgG1レベルを正確に評価することができなかった。いくつかの実験コホートにおいて、対照処理マウスは、非常に僅かな不定量のアイソタイプIgG1、IgG2、IgAおよびIgEを示した(データは表示せず)。表7に示すように、chC12A3.2およびchC13F12.1の両方が、特に高い用量レベルで、血清ヒトIgMの著しい減少をもたらした。キメラC12A3.2は、200、20、および2μgの用量レベルで、それぞれ、IgMに63%、62%、および30%の減少をもたらした。キメラC13F12.1は、200、20、および2μgの用量レベルで、それぞれ、IgMに52%、42%、および32%の減少をもたらした。
【0078】
【表7】
別の実験において、マウスにchC12A3.2(N=14)またはHIgG1対照を投与したところ(N=9)、対照マウスが、容易に検出可能なIgG2およびIgG3アイソタイプ、ならびにIgMを示した。キメラC12A3.2で処理したマウスは、図5で見られるのと同様の脾臓プラズマ細胞の有意な枯渇を示した(データは表示せず)。表8に示すように、chC12A3.2を投与したマウスは、HIgGで処理した対照マウスと比較して、血清IgG2およびIgMレベルの有意な減少を示した。キメラC12A3.2で処理したマウスもまた、血清IgG3における著しい減少を示したが、対照マウスと比較すると、その差異は統計的優位性には達しなかった(表8)。
【0079】
【表8】
本明細書内の実施形態は、本発明の実施形態の例を提供するものであって、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。当業者は、多くの他の実施形態が本明細書によって包含されることを容易に認識するであろう。本開示で引用される全ての刊行物および特許は、参照により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれた内容が本明細書と矛盾するかまたは不一致である場合は、本明細書がそのようないかなる内容にも優先する。本明細書におけるいかなる参考文献の引用も、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものではない。
【0080】
別途記載のない限り、特許請求の範囲を含む本明細書において使用される成分の量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されたい。したがって、別途反対の記載のない限り、数字のパラメータは近似値であり、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。少なくとも、また、特許請求の範囲に対する均等の原則を制限するものではないが、各数字のパラメータは、有効桁および通常の端数計算法に照らして解釈されるべきである。
【0081】
別途記載のない限り、一連の要素の前にくる用語「少なくとも」は、一連のあらゆる要素を指すと理解されたい。当業者は、本明細書に記載される発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、認識するか、または単なる日常の実験を用いて確認することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、前記抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、単離された抗体。
【請求項2】
前記抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、およびCDR3にCDRを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される前記少なくとも1つのCDRは、配列番号5に由来し、前記抗体は、配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
重鎖可変ドメインは、配列番号5を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号6を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
請求項5に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項7】
配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、前記抗体は、
a. 配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7から選択される配列のCDR1、CDR2、およびCDR3と同一のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む、可変ドメイン、または
b. 前記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は前記可変ドメインと同一である、項目(a)に記載の可変ドメインの変異体、
を含む、抗体。
【請求項8】
前記配列は、配列番号5であり、前記抗体は、
c. 配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または
d. 前記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は前記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、前記抗体は、配列番号2、配列番号12、配列番号6、および配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、抗体。
【請求項10】
前記抗体は、配列番号2、配列番号12、配列番号6、および配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRを含む、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体は、配列番号2、配列番号12、配列番号6、または配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、およびCDR3にCDRを含む、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、または一本鎖抗体である、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載の抗体を産生する、ハイブリドーマ。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれかに記載の抗体と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項15】
配列番号9に結合し、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片を含む、ポリペプチド。
【請求項16】
請求項15に記載の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片を産生する、ハイブリドーマ。
【請求項17】
請求項15に記載の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項18】
プラズマ細胞を枯渇させる方法であって、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項19】
B細胞関連疾患を治療する方法であって、請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記B細胞関連疾患は、プラズマ細胞腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、風土病性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性粘膜内リンパ組織リンパ腫、結節性単球様B細胞リンパ腫、脾臓リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性混合細胞型リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、悪性度不明のB細胞、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ球増殖性疾患、免疫調節性疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性もしくは免疫細胞性アミロイドーシス、または意義不明の単クローン性γグロブリン血症である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記B細胞関連疾患は、B細胞悪性腫瘍である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記B細胞関連疾患は、プラズマ細胞悪性腫瘍である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記プラズマ細胞悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記B細胞関連疾患は、自己免疫疾患である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデスである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記B細胞関連疾患は、関節リウマチである、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記B細胞関連疾患は、特発性血小板減少性紫斑病、または重症筋無力症、または自己免疫性溶血性貧血である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
RITUXAN(商標)を投与することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの自己抗体のレベルを減少させる方法であって、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項30】
配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、前記抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7から選択される配列のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインを含む、抗体。
【請求項31】
前記配列は、配列番号5であり、前記抗体は、配列番号6のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変領域をさらに含む、請求項30に記載の抗体。
【請求項1】
配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、前記抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、単離された抗体。
【請求項2】
前記抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、およびCDR3にCDRを含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
CDR1、CDR2、またはCDR3から選択される前記少なくとも1つのCDRは、配列番号5に由来し、前記抗体は、配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、または配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域のうちの少なくとも1つを含む可変ドメインをさらに含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
重鎖可変ドメインは、配列番号5を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号6を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
請求項5に記載の抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項7】
配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、前記抗体は、
a. 配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7から選択される配列のCDR1、CDR2、およびCDR3と同一のCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む、可変ドメイン、または
b. 前記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は前記可変ドメインと同一である、項目(a)に記載の可変ドメインの変異体、
を含む、抗体。
【請求項8】
前記配列は、配列番号5であり、前記抗体は、
c. 配列番号6のアミノ酸24〜38と同一のCDR1領域、配列番号6のアミノ酸54〜60と同一のCDR2領域、および配列番号6のアミノ酸93〜101と同一のCDR3領域を含む、可変ドメイン、または
d. 前記CDR領域にある合計最大10個のアミノ酸置換を除いて、その他は前記可変ドメインと同一である、項目(c)に記載の可変ドメインの変異体、
をさらに含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、前記抗体は、配列番号2、配列番号12、配列番号6、および配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも1つのCDRを含む、抗体。
【請求項10】
前記抗体は、配列番号2、配列番号12、配列番号6、および配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、またはCDR3から選択される少なくとも2つのCDRを含む、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体は、配列番号2、配列番号12、配列番号6、または配列番号8からなる群から選択されるタンパク質配列のCDR1、CDR2、およびCDR3にCDRを含む、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、または一本鎖抗体である、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載の抗体を産生する、ハイブリドーマ。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれかに記載の抗体と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項15】
配列番号9に結合し、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片を含む、ポリペプチド。
【請求項16】
請求項15に記載の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片を産生する、ハイブリドーマ。
【請求項17】
請求項15に記載の抗原結合部位、Fab断片、またはF(ab’)2断片と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項18】
プラズマ細胞を枯渇させる方法であって、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項19】
B細胞関連疾患を治療する方法であって、請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記B細胞関連疾患は、プラズマ細胞腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、風土病性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性粘膜内リンパ組織リンパ腫、結節性単球様B細胞リンパ腫、脾臓リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性混合細胞型リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、縦隔原発B細胞リンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、悪性度不明のB細胞、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ球増殖性疾患、免疫調節性疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、および急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、原発性もしくは免疫細胞性アミロイドーシス、または意義不明の単クローン性γグロブリン血症である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記B細胞関連疾患は、B細胞悪性腫瘍である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記B細胞関連疾患は、プラズマ細胞悪性腫瘍である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記プラズマ細胞悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記B細胞関連疾患は、自己免疫疾患である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデスである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記B細胞関連疾患は、関節リウマチである、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記B細胞関連疾患は、特発性血小板減少性紫斑病、または重症筋無力症、または自己免疫性溶血性貧血である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
RITUXAN(商標)を投与することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの自己抗体のレベルを減少させる方法であって、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項30】
配列番号9のポリペプチドに結合する単離された抗体であって、前記抗体は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、または配列番号7から選択される配列のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変ドメインを含む、抗体。
【請求項31】
前記配列は、配列番号5であり、前記抗体は、配列番号6のCDR1、CDR2、およびCDR3領域と、合わせて少なくとも95%同一であるCDR1、CDR2、およびCDR3領域を含む可変領域をさらに含む、請求項30に記載の抗体。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2012−520308(P2012−520308A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554150(P2011−554150)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/026825
【国際公開番号】WO2010/104949
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/026825
【国際公開番号】WO2010/104949
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】
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