説明

抗HCV作用を有する化合物およびそれを含む医薬組成物

【課題】 高いC型肝炎ウイルス(HCV)の複製阻害活性を有するため、ウイルス感染症、特にHCVの感染による肝臓疾患の予防及び治療に有用な化合物、およびこれらの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】 式:


〔式中、R1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子など;Zは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基など;Aは、水素原子を表わすか、あるいはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基;Bは、水素原子など;Cは、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基など;結合Qは、一重結合または二重結合を表す〕で示される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する高い複製阻害活性を有するため、ウイルス感染症、特にHCVの感染による肝臓疾患の予防及び治療に有用な化合物、およびこれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
HCVの感染者は世界で1〜2億人、日本国内では200万人以上と推測されている。これらの患者の約50%が慢性肝炎に移行し、そのうち約20%が感染後30年以上たって肝硬変、肝癌となる。肝癌の約90%の原因がC型肝炎といわれている。日本国内では、毎年2万人以上の患者がHCV感染に伴う肝癌により死亡している。
【0003】
HCVは、1989年に輸血後の非A非B型肝炎の主要な原因ウイルスとして発見された。HCVはエンベロープを有するRNAウイルスであり、そのゲノムは1本鎖(+)RNAからなり、フラビウイルス科のヘパチウイルス(Hepacivirus)属に分類される。
【0004】
HCVは、いまだ明らかでない原因により宿主の免疫機構を回避するため、免疫機構の発達した大人に感染した場合でも持続感染が成立することが多く、慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと進行し、手術により摘出しても、非癌部で引き続き起こる炎症のため肝癌が再発する患者が多いことも知られている。
【0005】
よって、C型肝炎の有効な治療法の確立が望まれており、その中でも、抗炎症剤により炎症を抑える対症療法とは別に、患部である肝臓においてHCVを減らすあるいは根絶させる薬剤の開発が強く望まれている。
【0006】
現在、HCV排除の唯一の有効な治療法としてインターフェロン療法が知られている。しかしインターフェロンが有効な患者は、全患者の1/3程度である。特にHCV ゲノタイプ1bに対するインターフェロンの奏効率は非常に低い。従って、インターフェロンに代わる、もしくはそれと併用し得る抗HCV薬の開発が強く望まれている。
【0007】
近年、リバビリン(Ribavirin:1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド)がインターフェロンとの併用によるC型肝炎治療薬として市販されているが、有効率は依然低く、更なる新規なC型肝炎治療薬が望まれている。また、インターフェロンアゴニスト、インターロイキン−12アゴニストなど、患者の免疫力を増強させることによってウイルスを排除する手段も試みられているが、いまだ有効とされる薬剤は見出されていない。
【0008】
HCV遺伝子がクローニングされて以来、ウイルス遺伝子の機構と機能、各ウイルスのタンパク質の機能などについての分子生物学的解析は急速に進展したが、ホスト細胞内でのウイルスの複製、持続感染、病原性などのメカニズムは十分に解明されておらず、現在の所、信頼できる培養細胞を用いたHCV感染実験系は構築されていない。従って従来、抗HCV薬の評価をするにあたり他の近縁ウイルスを用いた代替ウイルスアッセイ法を用いなければならなかった。
【0009】
しかし近年、HCVの非構造領域部分を用いてインビトロでのHCV複製を観測することが可能になったことにより、レプリコンアッセイ法によって抗HCV薬を容易に評価することができるようになった(非特許文献1)。この系でのHCV RNA複製のメカニズムは、肝細胞に感染した全長HCV RNAゲノムの複製と同一であると考えられている。従って、この系は、HCVの複製を阻害する化合物の同定に有用な細胞に基づくアッセイ系ということができる。
【0010】
本願発明者らは、糸状菌類に属する、フザリウム・エスピー(Fusarium sp.)F1476株(以下「F1476株」という)から下記化合物を単離し、該化合物が高いHCVの複製阻害活性を有することを見出した(特許文献1)。なお、該化合物は、国際公開公報WO98/56755号(特許文献2)にも開示されており、抗真菌活性および免疫反応阻害作用を有することが知られている。
【化3】


更に本願発明者らは、該化合物およびその誘導体を全合成する方法を開発し、その方法により得られた各種誘導体が同様に優れたHCV複製阻害活性を有することを見出した(特許文献3)。
【特許文献1】特願2003−34056号明細書
【特許文献2】国際公開第98/56755号パンフレット
【特許文献3】特願2003−272420号明細書
【非特許文献1】ブイ・ローマンなど著、サイエンス(Science)、1999年、第285巻、第110−113頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、鋭意研究を行った結果、上記「F1476株」が、上記文献には記載されていない新たな天然化合物群を産生することを見出し、更に本化合物群が非常に強い抗HCVレプリコン活性、更にはHCVの増幅抑制効果を有し、かつ、インビトロの細胞毒性は軽微であること、そして、抗HCV予防/治療剤として極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、高いHCVの複製阻害活性を有するため、ウイルス感染症、特にHCVの感染による肝臓疾患の予防及び治療に有用な化合物、およびこれらの化合物を含む医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
式(I):
【0014】
【化4】

【0015】
〔式中、R1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Aは、水素原子を表わすか、あるいはヒドロキシ基(ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい)で置換されていてもよい炭素数5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を表し;
Bは、水素原子、ハロゲン原子、−N(R4)(R5)、=N−OR6、=N−OH、ヒドロキシ基(ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい)またはオキソ基を表し、ここでR4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、あるいはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し、R6は、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Cは、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、またはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し(各ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい);
結合Qは、一重結合または二重結合を表し;
ただし、Aが水素原子、またはヒドロキシ基で置換されていないアルケニル基を表す場合は、Cは、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基であるか、あるいは2−ヒドロキシ−n−ヘプチル基である〕
で示される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩に関する。
【0016】
更に本発明は、上記式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、医薬組成物にも関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩は、非常に強い抗HCVレプリコン活性、更にはHCVの増幅抑制効果を有し、更にインビトロの細胞毒性は軽微であるため、ウイルス感染症、特にC型肝炎などのHCV感染症の治療および予防に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書においては、直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基とは、所定の炭素数を有する炭化水素基を意味する。炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルを挙げることができる。炭素数5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えばn−ペンチル、t−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルなどを挙げることができる。炭素数6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えばn−ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキサン−1−イルなどを挙げることができる。炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、n−ヘプチル、5−メチルヘキシル、4,4−ジメチル−ペンチル、1,1−ジメチル−ペンチルなどを挙げることができる。炭素数8の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、n−オクチル、イソオクチルなどを挙げることができる。
【0019】
また直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基とは、所定の炭素数を有し、すくなくとも1つの二重結合を有する炭化水素基を意味する。炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基としては、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、1−メチル−1−プロペニルなどを挙げることができる。炭素数5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基としては、1−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニルなどを挙げることができる。炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基としては、上記のアルケニル基のほか、1−ヘキセニル、2−ヘキセン−1−イル、3−ヘキセン−1−イルなどを挙げることができる。炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基としては、1−ヘプテン−1−イル、2−ヘプテン−1−イルなどを挙げることができる。
【0020】
また、直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基とは、所定の炭素数を有し、少なくとも1つの三重結合を有する炭化水素基を意味する。炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニルなどを挙げることができる。炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基としては、上記のアルキニル基のほか、1−ペンチン−1−イル、2−ペンチン−1−イル、1−ヘキシン−1−イル、2−ヘキシン−1−イル、3−ヘキシン−1−イルなどを挙げることができる。炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基としては、1−ヘプチン−1−イニル、2−ヘプチン−1−イニル、3−ヘプチン−1−イニルなどを挙げることができる。
【0021】
本明細書において記載されるプロドラッグとは、医薬品として処方された後に、生理的条件下あるいは加溶媒分解によって、式(I)の化合物又は製薬上許容されうるそれらの塩に変換されうる化学的修飾が施された、式(I)の化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、患者に投与されたときには不活性であってもよいが、生体内では活性のある式(I)の化合物に変換されて存在するものである。当該プロドラッグとしては、例えば、本化合物のカルボン酸部分においてC1-6アルキルエステル化、C6-10アリールエステル化、C1-6アルキルオキシC1-6アルキルエステル化(下式)、C1-6アルコキシエステル化、ヒドロキシ−C1-6アルキルエステル化(下式)などを施した化合物が含まれる。
【0022】
【化5】

【0023】
本明細書において記載される製薬上許容されうるそれらの塩とは、薬理学的に許容されるものであれば特に限定されない。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸などの鉱酸との塩;酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ショウノウスルホン酸などの有機酸との塩;ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属などとの塩などを挙げることができる。
【0024】
また、本明細書において記載される治療という語は、本発明の医薬組成物を被験者に投与することによって、HCVを消滅あるいは軽減させること、さらなるHCVの広がりを抑制すること、HCVの感染による症状を軽減することを意味する。HCVの感染による症状としては、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、肝癌などが挙げられる。
【0025】
本発明の化合物について以下に詳細に記載する。
本発明の式(I)の化合物は、上記に示す式で示されるものであり、この式(I)においては、R1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し、ここでZは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表す。R1、R2、及びR3としては、ヒドロキシ基または−OZ基が好ましく、ヒドロキシ基が特に好ましい。また、−OZ基としては、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、s−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ビニルオキシ、1−プロペン−1−イルオキシ、アリルオキシ、1−ブテン−1−イルオキシ、エチニルオキシ、1−プロピン−1−イルオキシ、1−ブチン−1−イルオキシなどの基を挙げることができる。
【0026】
本発明の式(I)の化合物においては、Aは、水素原子を表すか、あるいはヒドロキシ基(ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい)で置換されていてもよい炭素数5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を表す。Aは、好ましくは3−メチル−2−ブテン−1−イル基または4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテン−1−イル基である。
【0027】
本発明の式(I)の化合物においては、Bは、水素原子、ハロゲン原子、−N(R4)(R5)、=N−OR6、=N−OH、ヒドロキシ基(ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい)またはオキソ基を表し、ここでR4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、あるいはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し、R6は、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表す。R4とR5が一緒になって表す3〜8員環は、R4およびR5が結合している窒素原子のほか、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を環原子として含有していてもよい3〜8員の単環または二環の飽和または不飽和炭素環を表し、このような環としては、例えばピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどの環を挙げることができる。
【0028】
本発明の式(I)の化合物においては、Cは、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、またはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し、各ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい。Cは、好ましくは1−ヘプテニル基、2−ヘプテン−1−イル基、n−ヘプチル基、1−ヒドロキシ−2−ヘプテン−1−イル基、または2−ヒドロキシ−n−ヘプチル基である。
本発明の式(I)の化合物においては、結合Qは、一重結合または二重結合を表す。好ましくは、結合Qは、二重結合である。
【0029】
本発明の好ましい式(I)の化合物としては、以下の化合物を挙げることができる。
【0030】
【化6】

【0031】
上記の好ましい式(I)の化合物のうち、なかでもR1、R2、及びR3が、それぞれヒドロキシ基または−OZ基であり、ここでZは、式(I)に記載のとおりである化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を挙げることができる。さらに、R1、R2、及びR3が、それぞれヒドロキシ基である下記の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を特に好ましく挙げることができる。
【0032】
【化7−1】

【0033】
【化7−2】

【0034】
本発明の式(I)の化合物は、糸状菌類に属し、上記化合物1〜7を産生することができる菌株、例えば、フザリウム・エスピー(Fusarium sp.)F1476株(以下「F1476株」という)などを培養し、単離された化合物を必要に応じて修飾することにより得ることができる。この上記F1476株の生理学的性質は、下記に示すとおりである:
【0035】
生育温度範囲は、10〜30℃であり、好ましくは、20〜30℃である。
生育可能pH範囲は、3〜11であり、好ましくは、5〜7である。
F1476株は、Fusarium sp. F 1476と表示し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、2003年2月4日付で、受託番号FERM BP−8290として寄託されている。
【0036】
本発明においては、上記F1476株の他に、F1476株の自然または人工的な突然変異体、あるいはフザリウム属などの糸状菌類に属するその他の菌種などであって、F1476株と同様の産生能を有する微生物を使用することができる。
【0037】
本発明においては、上記F1476株を、栄養源含有培地に接種し、これを培養することによって培養物を得ることができる。上記栄養源のうち、炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、サッカロース、澱粉、デキストリン、グリセリン、糖蜜、水飴、油脂類、有機酸などを挙げることができる。
【0038】
上記栄養源のうち、窒素源としては、例えば、大豆粉、綿実粉、コーンスチープリカー、カゼイン、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、胚芽、尿素、アミノ酸、アンモニウム塩などの有機窒素化合物、無機窒素化合物などを挙げることができる。
【0039】
上記栄養源のうち、塩類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩などの無機塩類などを挙げることができる。これらは、単独で使用されてもよく、適宜組み合わせて使用されてもよい。
上記栄養源は、単独か又は適宜組み合わせて使用することができる。
【0040】
上記栄養源含有培地には、必要に応じ、鉄塩、銅塩、亜鉛塩、コバルト塩などの重金属塩;ビオチン、ビタミンB1などのビタミン類;その他、菌の生育を助け、本発明化合物の産生を促進する有機物、無機物などを適宜添加することができる。
【0041】
上記栄養源含有培地には、上記栄養源の他に、更に必要に応じて、シリコーンオイル、ポリアルキレングリコールエーテルなどの消泡剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0042】
本発明化合物を産生する菌株を、上記栄養源含有培地で培養するに際しては、生理活性物質の産生を微生物の培養によって行う際に一般的に使用される、固体培養法、液体培養法などの培養方法を採用することができる。
【0043】
上述の培養方法によって、本発明化合物は、培養物中に蓄積される。本発明においては、培養物中に蓄積された化合物を、公知の方法により、培養物中から分離した後、必要に応じて更に精製することができる。
【0044】
上記分離は、培養物全体を、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム、ブタノール、メチルイソブチルケトンなどの非親水性有機溶媒で抽出することにより行うことができる。また、培養物を濾過又は遠心分離によって培養液と菌体とに分離した後、培養液、菌体のそれぞれから分離することもできる。
【0045】
上記分離した培養液から本発明化合物を分離するには、上記非親水性有機溶媒で抽出する方法を採用することもでき、また、培養液を吸着性の担体に接触させ、培養液中の上記化合物を担体に吸着させた後、溶媒で溶出する方法を採用することもできる。
【0046】
上記担体としては、例えば、活性炭、粉末セルロース、吸着性樹脂などを挙げることができる。上記溶媒としては、担体の種類、性質などによって適宜1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば、含水アセトン、含水アルコール類などの水溶性有機溶媒の含水溶液などを適宜組み合わせたものなどを挙げることができる。
【0047】
上記分離した菌体から本発明化合物を分離するには、アセトンなどの親水性有機溶媒で抽出する方法を採用することができる。
【0048】
本発明においては、このようにして培養物中から分離された本発明化合物の粗抽出物を、必要に応じて、更に精製する工程に付することができる。
【0049】
上記精製は、脂溶性生理活性物質の分離、精製に通常使用される方法によって行うことができ、このような方法としては、例えば、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、吸着性樹脂などの担体を用いるカラムクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法などを挙げることができる。シリカゲルを担体として用いるカラムクロマトグラフィー法を採用する場合は、溶出溶媒としては、例えば、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、アセトン、水などを挙げることができ、これらは2種以上を併用することができる。
【0050】
上記高速液体クロマトグラフィー法を採用する場合は、担体としては、例えば、オクタデシル基、オクチル基、フェニル基などが結合した化学結合型シリカゲル;ポリスチレン系ポーラスポリマーゲルなどを挙げることができ、移動相としては、例えば、含水メタノール、含水アセトニトリルなどの水溶性有機溶媒の含水溶液などを使用することができる。
【0051】
本発明の化合物は、上記のように化合物1〜7を産生する菌株を培養し、その後培養物から上記の化合物1〜7を単離することにより製造することができる。更に、上記の単離された化合物を出発物質として下記に記載の方法を用いて、種々の誘導体を得ることができる。
製法1
上記単離された化合物を、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどの溶媒中、バラジウム炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケルなどの触媒の存在下、室温または加熱条件下で水素化することにより、ジヒドロ体(Qが一重結合である化合物、または他の炭素鎖の二重結合がジヒドロ化された化合物)を得ることができる。
製法2
上記単離された化合物を、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフランなどの溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ジエチルアルミニウムナトリウム、水素化アルニミウムリチウムなどの還元剤の存在下、室温または冷却条件下で還元することにより、アルコール体(Bがヒドロキシ基である化合物など)を得ることができる。
製法3
上記単離された化合物を、メタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、水などの溶媒中、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの存在下、室温または冷却条件下で処理することにより、脱アルケニル化体(Aが水素である化合物など)を得ることができる。更に、この脱アルケニル化された化合物を、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどの溶媒中、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル、酸化白金などの触媒の存在下、室温または加熱条件下で水素化することによりジヒドロ体(Qが一重結合であり、かつAが水素である化合物など)を得ることができる。
製法4
上記脱アルケニル化体化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフランなどの溶媒中、室温または加熱条件下で、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリル、ハロゲン化アルキニルなどのアルキル、アルケニルまたはアルキニル化剤で処理することにより、所望のテトラアルキル、テトラアルキニルまたはテトラアルケニル化体(Aがアルキル、アルケニルまたはアルキニルである化合物、および/またはZがアルキル、アルキニルまたはアルケニルである化合物)を合成することができる。
また、上記単離された化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、メタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、水などの溶媒中、室温または加熱条件下、アルキル、アルキニルまたはアルケニル化剤で処理することにより、アルキル、アルキニルまたはアルケニル化体(Aがアルキル、アルキニルまたはアルケニルである化合物など)を合成することができる。
製法5
上記単離された化合物と各種アミンをジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフランなどの溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、水溶性カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)などの縮合剤で処理することにより、室温または加熱条件下で、対応するトリアミド体(R1=R2=R3=アミノ基である化合物など)を得ることができる。
【0052】
製法6
上記単離された化合物を、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどの溶媒中、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケル、酸化白金などの触媒の存在下、室温または加熱条件下で水素化することによりテトラヒドロ体(Qが一重結合である化合物など)を得ることができる。
製法7
上記単離された化合物を、テトラヒドロフラン、DMFおよびジクロロメタンなどの溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの縮合剤により所望の基Zを有する各種のアルコール(Z−OH)と反応させることによって、室温または加熱条件下で、対応するトリエステル体(R1=R2=R3=OZである化合物など)を得ることができる。あるいは、上記単離された化合物をメタノールおよびジクロロメタンなどの混合溶媒中、アミドジヒドロ体トリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN2)などで処理し、トリメチルエステル体(R1=R2=R3=OCH3)である化合物を得ることができる。
製法8
製法7で得られたトリメチルエステル体をメタノール、エタノールおよびブタノールなどの溶媒中で4−トルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジン誘導体で処理することにより、室温または加熱条件下で、対応するヒドラジド体を得、本ヒドラジド体をカテコールボランなどの還元剤で処理した後、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基の存在下、エタノール、メタノールおよび水などの溶媒中、室温または加熱条件下で、脱ケト体(Bが水素である化合物)を得ることができる。
製法9
上記単離された化合物とヒドロキシルアミンまたは各種O−置換ヒドロキシルアミンをピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどの存在下で、室温または加熱条件下で処理することにより対応するオキシムエーテルおよびオキシム体(Bが=N−OR6および=N−OHである化合物など)を得ることができる。ここでR6は、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表す。
製法10
上記単離された化合物を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムなどの溶媒中、三フッ化N,N−ジエチルアミノ硫黄(DAST)などで処理し、ハロゲン化体(Bがフッ素などのハロゲンである化合物など)を得ることができる。
製法11
上記単離された化合物と各種アミンをエタノール、メタノールおよびテトラヒドロフランなどの溶媒中で、中性または弱酸性条件下で、室温または加熱条件下で、水素化シアノホウ素ナトリウムまたは水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムなどの還元剤で処理することにより、還元的アミノ化を行い、対応するアミン体(B=−N(R4)(R5)である化合物など)を得ることができる。ここでR4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、もしくはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表す。
上記の製法は、目的とする式(I)の化合物に応じて、適宜組み合わせて実施することができる。
【0053】
このようにして得られる本発明の式(I)の化合物は、そのまま、もしくはそのプロドラッグとして、または製薬的に許容されうる塩として、医薬組成物とすることができる。本医薬組成物に含まれる有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、例えば、0.1〜99.5重量%、好ましくは0.5〜90重量%である。
【0054】
本発明の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩は、常法に従って、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用し得る既知の補助剤を用いて、経口投与、組織内投与、局所投与、経直腸的投与などに適した剤型に製剤化することができる。また、上記の補助剤のほか、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などの補助剤、および他の医薬品を含有させることもできる。
経口投与に適した剤型としては、例えば、錠剤、糖衣剤、丸剤、カプセル剤、ドロップ剤、舌下剤、末剤、散剤、飲用液剤、その他の剤型を挙げることができる。更に錠剤は、必要に応じ、通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶錠、フィルムコーティング錠、二重錠、または多層錠とすることができる。錠剤の形態に調製するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。このような担体としては、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸などの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖などの崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩類、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、澱粉などの保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコールなどの潤沢剤などが例示できる。
丸剤の形態に調製するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。このような担体としては、例えばグルコース、乳糖、カカオバター、澱粉、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン寒天などの崩壊剤などが例示できる。
これら経口投与用製剤は、固形、粉末または液剤の用量単位で投与することができる。
【0055】
組織内投与に適した剤型としては、注射剤を挙げることができる。
注射剤として調製する場合には、溶液、乳剤および懸濁剤などの形態とすることができる。これらは、殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましい。これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に調製するに際しては、希釈剤としてこの分野で慣用されているものを使用することができる。このような希釈剤としては、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などを用いることができる。また、等張性の溶液を調製するのに充分な量の食塩、グルコース、またはグリセリン、および通常の溶解補助剤、緩衝剤、pH調整剤、無痛化剤なども配合することができる。これら溶液、乳剤および懸濁剤は、本発明の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩の一定量を、上述のような水性や油性の非毒性の希釈剤に溶解または懸濁し、更に必要に応じて等張化剤などを加え、滅菌することにより調製することができる。これら注射剤は、皮下、筋肉内または静脈内に投与することができる。
局所投与に適した剤型としては、例えば、局所用液剤、クリーム剤、粉剤、ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤などの外用製剤を挙げることができる。これらは、本発明の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩の一定量を、外用製剤の目的に適合する香料、着色料、充填剤、界面活性剤、保湿剤、皮膚軟化剤、ゲル化剤、担体、保存剤、安定剤などのうちの一種以上と組み合わせることにより調製することができる。
経直腸的投与に適した剤型としては、坐剤を挙げることができる。坐剤の形態に調製するに際しては、基材としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。このような基材としては、例えばパルミチン酸ミリスチルエステルなどの高級エステル類、高級アルコール類、ポリエチレングリコール、カカオ脂、ゼラチン、半合成グリセリド、これらの混合物などの低融点基材を挙げることができる。座剤は、本発明の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を上記のような基材に混入し、成型することにより調製することができる。
【0056】
上記医薬組成物は、投与単位形態で投与することが好ましく、経口投与、組織内投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与など)、局所投与(経皮投与など)又は経直腸的に投与することができる。上記医薬組成物は、これらの投与方法に適した剤型で投与されることは当然である。
【0057】
本発明の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を医薬として投与する場合、抗ウイルス剤としての用量は、年齢、体重などの患者の状態、投与経路、病気の性質と程度などを考慮した上で決定することができ、通常は、ヒト成人に対しては、有効成分量として、一日当たり、1〜2000mgの範囲である。患者の状態などに応じて、上記範囲未満または上記範囲を超える用量を投与することもできる。多量に投与するときは、一日数回に分割して投与することが望ましい。
【実施例】
【0058】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
フザリウム属の菌株F1476株の斜面培養から一白金耳を、100mlの液体培地(グルコース2%、グリセロール1.5%、ポテトスターチ1%、ポリペプトン0.25%、イーストエクストラクト0.35%、炭酸カルシウム0.5%、塩化ナトリウム0.3%、硫酸亜鉛7水和物0.005%、硫酸銅5水和物0.0005%、塩化マンガン4水和物0.0005%、トーストソーヤ1%)を入れた500ml容の臍つき三角フラスコ400本に接種し、25℃、3日間振とう培養し(振とう220rpm)、種培養液を得た。この種培養液16mlを固体培地(玄米50g、SF1溶液(イーストエクストラクト0.2%、酒石酸ナトリウム0.1%、リン酸2水素カリウム0.1%)18ml)を入れた500ml容の臍つき三角フラスコ400本に接種し、27℃で10日間静置培養を行った。このように培養した培養物にメタノール40Lを加え、1晩浸潤、放置後ろ過した。沈殿にメタノール20Lを加え、1晩放置後ろ過した。このようにして得られたメタノール抽出液をあわせて濃縮後、水3Lに懸濁し、水酸化ナトリウム水溶液にてpHを6.3に調整した後、酢酸エチル3Lで抽出した。この水層を塩酸にてpHを2.2に調整した後に、酢酸エチル3Lで抽出した。水層は再度2Lの酢酸エチルで抽出し、一回目の抽出物と合わせ、濃縮乾固した。この抽出物を酢酸エチル500mlに溶解し、水500mlを添加して、水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調整後分配を行った。酢酸エチル層には300mlの水を加え、水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調整後分配を行った。これら分配操作で得られた水層をあわせて、塩酸にてpHを2.1に調整後、500mlおよび350mlの酢酸エチルで順次抽出した。このようにして得られた酢酸エチル抽出液(850ml)を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固し、粗抽出物11.4gを得た。
【0059】
これを50%アセトニトリル水溶液に溶解し、下記に示す条件1のODSオープンカラムクロマトグラフィーによって、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物7および化合物6を含む分画を得た。これらを濃縮乾固した後、メタノールに溶解し、下記に示す条件2で分取ODS高速液体クロマトグラフィーを繰り返すことによって化合物1および化合物2を含む分画(フラクション1、9.9mg)、化合物4および化合物5を含む分画(フラクション2、5mg)、化合物3を含む分画(フラクション3、0.7mg)、化合物7を含む分画(フラクション4、10mg)、化合物6を含む分画(フラクション5、5mg)を得た。フラクション1を下記に示す条件3で分取CN高速液体クロマトグラフィーに繰り返し付すことによって化合物1を含む分画(フラクション1−1)および化合物2を含む分画(フラクション1−2)を得た。フラクション1−1、1−2および3を減圧濃縮することにより、それぞれ、2.0mgの化合物1、4.2mgの化合物2および0.7mgの化合物3を無色タール状物質として得た。
【0060】
条件1:ODSオープンカラムクロマトグラフィーの条件
カラム:250gのODS充填剤(ウォーターズ社製、Preparative C18, 125A Bulk Packing Material)を内径5.5cm、長さ50cmのガラスカラムに、充填剤高さ24cmになるように、乾燥状態で充填した。これに、0.01%のトリフルオロ酢酸を含むアセトニトリルを通搭し、充填剤を湿潤させた後、0.01%のトリフルオロ酢酸を含む50%アセトニトリル水を通搭することで、平衡化した。
サンプルの添加および溶出:11.4gのサンプルを100mlの50%アセトニトリル水に溶解し、カラム上端に添加した。次いで、0.01%トリフルオロ酢酸を加えた50%、60%、70%、80%のアセトニトリル水を、それぞれ2Lづつ添加し、化合物を溶出させた。
【0061】
条件2:分取ODS高速液体クロマトグラフィーの条件
装置:CCPP-D、MCPD-3600システム(東ソー)
カラム:CAPCELL PAK C18 (UG80,20 mm x 250 mm) (資生堂製)
移動相:0.01%トリフルオロ酢酸を含有する水と0.01%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルによる溶媒グラジエント溶出(15%アセトニトリル〜98%アセトニトリル、ステップワイズ)
【0062】
条件3:分取CN高速液体クロマトグラフィーの条件
装置:306、811C、806 システム(ギルソン)
カラム:CAPCELL PAK CN (SG120,20 mm x 250 mm) (資生堂製)
移動相:0.1%ギ酸添加40%アセトニトリル水(イソクラティック溶出)
【0063】
化合物1の物理化学的性状
【化8】


分子量 675
ESI(LC/MSポジティブモード)676(M+H+
ESI(LC/MSネガティブモード)674(M−H-)
1H-NMR (メタノールd-4中)の化学シフト値d
0.89(3H, t, J=7Hz)、1.25-1.40(12H, m)、1.50(2H, m)、1.73(3H, s)、1.77(3H, s)、1.95-2.20(4H, m)、2.56(1H, d, J=16.5Hz)、2.85(1H, d, J=16.5Hz)、2.93(1H, dd, J=14, 9Hz)、3.14(1H, dd, J=14, 4.5Hz)、3.19(1H, d, J=8Hz)、3.38(1H, m)、4.17(1H,dd,J=6,9Hz)、4.48(2H, d, J=6Hz)、4.62(1H, dd, J=9, 4.5Hz)、5.34(1H, m)、5.42(1H, m)、5.54(3H, m)、6.78(2H, d, J=9Hz)、7.10(2H, d, J=9Hz)
【0064】
化合物2の物理化学的性状
【化9】


分子量 675
ESI(LC/MSポジティブモード)676(M+H+
ESI(LC/MSネガティブモード)674(M−H-
1H-NMR (メタノールd-4中)の化学シフト値d
0.89(3H, t, J=7Hz)、1.20-1.40(14H, m)、1.53(4H, m)、1.73(3H, s)、1.98(2H, m)、2.41(4H, m)、2.57(1H, d, J=16.5Hz)、2.83(1H, d, J=16.5Hz)、2.91(1H, dd, J=14, 9Hz)、3.15(1H, dd, J=14, 4.5Hz)、3.19(1H, d, J=8Hz)、3.99(2H,s)、4.57(2H, d, J=6Hz)、4.62(1H, dd, J=9, 4.5Hz)、5.53(2H, m)、5.70(1H, m)、6.80(2H, d, J=9Hz)、7.11(2H, d, J=9Hz)
【0065】
化合物3の物理化学的性状
【化10】


分子量 657
ESI(LC/MSポジティブモード)658(M+H+
ESI(LC/MSネガティブモード)656(M−H-
1H-NMR (メタノールd-4中)の化学シフト値d
0.90(3H, t, J=7Hz)、1.25-1.35(10H, m)、1.48(2H, m)、1.55(2H, m)、1.73(3H, s)、1.77(3H, s)、1.97(2H, m)、2.23(2H, m)、2.57(2H, t, J=8Hz)、2.57(1H, d, J=16.5Hz)、2.85(1H, d, J=16.5Hz)、2.92(1H, dd, J=14, 9Hz)、3.14(1H, dd, J=14, 4.5Hz)、3.19(1H, d, J=8Hz)、4.47(2H, d, J=6Hz)、4.62(1H, dd, J=9, 4.5Hz)、5.43(1H, m)、5.52(2H, m)、6.10(1H, d, J=16Hz)6.78(2H, d, J=9Hz)、6.92(1H, dt, J=16, 7.5Hz)、 7.11(2H, d, J=9Hz)
【0066】
実施例2
実施例1で得られた分画(フラクション2、5mg)を更に下記に示す条件4で分取Phenyl高速液体クロマトグラフィーに付すことによって化合物4を含む分画(フラクション2−1)と化合物5を含む分画(フラクション2−2)を得た。フラクション2−1および2−2を減圧濃縮することにより、それそれ、1.1mgの化合物4および0.6mgの化合物5を無色タール状物質として得た。
【0067】
条件4:分取Phenyl高速液体クロマトグラフィーの条件
装置:306、811C、806 システム(ギルソン)
カラム:YMC PAK Ph (120A,20 mm x 250 mm) (ワイエムシー製)
移動相:0.1%ギ酸添加48%アセトニトリル水(イソクラティック溶出)
【0068】
化合物4の物理化学的性状
【化11】


分子量 675
ESI(LC/MSポジティブモード)676(M+H+
ESI(LC/MSネガティブモード)674(M−H-
1H-NMR (メタノールd-4中)の化学シフト値d
0.89(3H, t, J=7Hz)、1.20-1.40(14H, m)、1.53(4H, m)、1.83(3H, s)、1.96(2H, m)、2.42(4H, m)、2.57(1H, d, J=16.5Hz)、2.89(1H, d, J=16.5Hz)、2.91(1H, dd, J=14, 9Hz)、3.15(1H, dd, J=14, 4.5Hz)、3.20(1H, d, J=8Hz)、4.13(2H, s)、4.50(2H, d, J=6Hz)、4.63(1H, dd, J=9, 4.5Hz)、5.50(1H, m)、5.52(2H, m)、6.78(2H, d, J=9Hz)、7.10(2H, d, J=9Hz)
【0069】
化合物5の物理化学的性状
【化12】


分子量 675
ESI(LC/MSポジティブモード)676(M+H+
ESI(LC/MSネガティブモード)674(M−H-
1H-NMR (メタノールd-4中)の化学シフト値d
0.89(3H, t, J=7Hz)、1.20-1.35(12H, m)、1.42(4H, m)、1.52(2H, m)、1.73(3H, s)、1.77(3H, s)、1.96(2H, m)、2.40-2.50(4H, m)、2.57(1H, d, J=16.5Hz)、2.80(1H, d, J=16.5Hz)、2.91(1H, dd, J=14, 9Hz)、3.15(1H, dd, J=14, 4.5Hz)、3.20(1H, d, J=8Hz)、4.00(1H, s)、4.47(2H, d, J=6Hz)、4.63(1H, dd, J=9, 4.5Hz)、5.43(1H, m)、5.52(2H, m)、6.78(2H, d, J=9Hz)、7.10(2H, d, J=9Hz)
【0070】
実施例3
実施例1で得られた分画(フラクション4、10mgおよびフラクション5、5mg)を更に下記に示す条件5で、それぞれ、分取ODS高速液体クロマトグラフィー(中性)に付すことによって、フラクション4からは化合物7を含む分画(フラクション4−1)と、フラクション5からは化合物6を含む分画(フラクション5−1)を得た。フラクション4−1および5−1を減圧濃縮することにより、それそれ、1mgの化合物7および1mgの化合物6を無色タール状物質として得た。
条件5:分取ODS高速液体クロマトグラフィー(中性)の条件
装置:306、811C、806 システム(ギルソン)
カラム:Mightysil RP18 GP (5μm,20 mm x 50 mm) (関東化学製)
移動相:水、アセトニトリルおよび100mMの酢酸アンモニウムを含有する水の3液による溶媒グラジエント溶出(15%アセトニトリル〜80%アセトニトリル、酢酸アンモニウム最終濃度10mM)
【0071】
化合物6の物理化学的性状
【化13】


分子量 659
ESI(LC/MSポジティブモード)660(M+H+
ESI(LC/MSネガティブモード)658(M−H-
1H-NMR (メタノールd-4中)の化学シフト値d
0.89(3H, t, J=7Hz)、1.20-1.40(14H, m)、1.72(3H, s)、1.77(3H, s)、1.98(2H, m)、2.04(2H, m)、2.19(2H, m)、2.51(1H, d, J=16.5Hz)、2.79(1H, d, J=16.5Hz)、2.97(1H, dd, J=14, 9Hz)、3.11(1H, dd, J=14, 4.5Hz)、3.18(1H, m)、3.52(1H, m)、4.46(2H, d, J=6Hz)、4.50(1H, dd, J=9, 4.5Hz)、5.43(3H, m)、5.57(2H, m)、6.78(2H, d, J=9Hz)、7.10(2H, d, J=9Hz)
【0072】
化合物7の物理化学的性状
【化14】


分子量 659
ESI(LC/MSポジティブモード)660(M+H+
ESI(LC/MSネガティブモード)658(M−H-
1H-NMR (メタノールd-4中)の化学シフト値d
0.89(3H, t, J=7Hz)、1.20-1.40(16H, m)、1.73(3H, s)、1.77(3H, s)、1.98(4H, m)、2.52(1H, d, J=16.5Hz)、2.79(1H, d, J=16.5Hz)、2.96(1H, dd, J=14, 9Hz)、3.11(1H, dd, J=14, 4.5Hz)、3.18(1H, m)、4.35(1H、m)、4.46(2H, d, J=6Hz)、4.51(1H, dd, J=9, 4.5Hz)、5.29(1H、m)、5.43(2H, m)、5.57(2H, m)、6.78(2H, d, J=9Hz)、7.13(2H, d, J=9Hz)
【0073】
試験例1
レプリコンアッセイ
HCV−RNAのコピー数を定量するためにHCV−RNAの中にレポーター遺伝子としてホタル由来のルシフェラーゼ遺伝子を導入したものを構築した。Kriegerら(J. Virol.75:4614)の方法に従い、HCV遺伝子のIRES(Internal Ribosome Entry Site)の直下にネオマイシン耐性遺伝子と融合する形でルシフェラーゼ遺伝子を導入した。インビトロで当該RNAを合成後、エレクトロポレーション法でHuh7細胞に導入し、G418耐性クローンとして単離した。ホタル・ルシフェラーゼHCVレプリコン細胞(3−1)を5%ウシ胎児血清(Hyclone cat. no. SH30071.03)を含むダルベッコMEM(Gibco cat. no. 10569-010)に懸濁し、96穴プレートに5000細胞/ウェルで播種し、5%CO2 37℃で一夜培養した。約20時間後、希釈した試験化合物をウェルあたり10μl加え、更に3日間培養した。アッセイプレートを2系統用意し、1つは白色プレート、他はクリアープレートでアッセイを行った。培養終了後、白色プレートはSteady-Glo Luciferase Assay System(Promega cat. no. E2520)に用いた。すなわち、ウェルあたり100μlの試薬を入れ、3〜4回ピペットで混ぜ、5分間放置後に1450 MicroBeta TRILUX(WALLAC)にてルミネッセンスを測定した。細胞未添加の値をバックグランドとして全ての値から差し引き、試験化合物未添加の値を阻害0%として薬剤のIC50(50%阻害濃度)を算出した。
【0074】
試験例2
細胞毒性試験
細胞毒性の測定にはCell counting kit-8(同人堂カタログNo. CK04)を用いた。すなわち、10μlのCell counting kit-8をクリアープレートに添加し、37℃で30〜60分間保温した。96穴プレートリーダーにて波長450nm、対照波長630nmで吸光度を測定した。細胞未添加の値をバックグランドとして全ての値から差し引き、薬剤未添加の値を阻害0%として薬剤のCC50(50%細胞阻害濃度)を算出した。
試験例1および2の結果を以下に示す。
【0075】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


〔式中、R1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Aは、水素原子を表わすか、あるいはヒドロキシ基(ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい)で置換されていてもよい炭素数5の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基を表し;
Bは、水素原子、ハロゲン原子、−N(R4)(R5)、=N−OR6、=N−OH、ヒドロキシ基(ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい)またはオキソ基を表し、ここでR4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、あるいはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し、R6は、炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Cは、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、またはヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し(各ヒドロキシ基の水素原子は、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキニル基で更に置換されていてもよい);
結合Qは、一重結合または二重結合を表し;
ただし、Aが水素原子、またはヒドロキシ基で置換されていないアルケニル基を表す場合は、Cは、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数7の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基であるか、あるいは2−ヒドロキシ−n−ヘプチル基である〕
で示される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項2】
以下の化合物:
【化2】


[式中、R1、R2、及びR3は、請求項1の式(I)に記載のとおりである]
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項3】
1、R2、及びR3が、それぞれヒドロキシ基または−OZ基であり、ここでZは、請求項1の式(I)に記載のとおりである、請求項2記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項4】
1、R2、及びR3が、それぞれヒドロキシ基である、請求項2記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、医薬組成物。
【請求項6】
ウイルス感染症を予防または治療するための、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
ウイルス感染症が、HCV感染症である請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
HCV感染症が、C型肝炎である、請求項7記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2006−77004(P2006−77004A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231587(P2005−231587)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000003311)中外製薬株式会社 (228)
【Fターム(参考)】