説明

抗M抗体およびそれらを使用する方法

本発明は、特にMNタンパク質に対する抗原結合部位を有する抗体、ならびにMN関連疾患を処置することおよび診断することにおいてそのような抗体を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[引用による組み込み]
本願は、2005年12月12日に出願された米国仮特許出願第60/749,716号の利益を請求する。
【0002】
前述の出願、ならびにその中に引用される全ての書類およびその中に引用されるかもしくは参照される全ての書類、ならびに本明細書に引用されるかもしくは参照される全ての書類(「本明細書に引用される書類」)、ならびに本明細書に引用される書類に引用されるかもしくは参照される全ての書類は、本明細書にもしくは本明細書に引用することにより組み込まれる任意の書類に記載される任意の製品の任意の製造業者の説明書、記述、製品仕様書および製品シートと一緒に、本明細書に引用することにより本明細書に組み込まれ、そして本発明の実施において用いることができる。
【0003】
本発明は、MNタンパク質に対する特異性を有する抗体および/もしくはそのフラグメントに関する。本発明はさらに抗体および/もしくは免疫コンジュゲート組成物ならびにMN関連疾患、例えば癌を処置すること、予防することおよび/もしくは診断することにおけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
癌の発生は最も一般的には加齢と関連し、そのため癌の全ての新規症例の65%は65歳以上の患者について記録される。癌は、心臓疾患のみが上回る、米国における第二位の死亡原因である。実際に、米国癌協会は、現在の死亡率が変化しないままであると仮定して、米国において4人に1人が癌で死亡すると概算している。米国だけで、1,399,760の新規症例および564,830の癌による死亡が2006年に予想される。これらの新規症例の大部分は、結腸(106,680)、肺(172,570)および乳房(214,640)の癌であると予想される。さらに、癌の発生率および罹患率は両方とも、1.4%の平均増加率を反映して、今後10年間にわたって約15%増加すると予測される(非特許文献1)。
【0005】
1つの最近同定された腫瘍関連抗原、MN、細胞表面タンパク質は、多数の臨床癌腫において発現されることが見出されている。例えば、MNは100%の腎細胞癌(非特許文献2)、100%の食道癌(非特許文献3)、90%より多くの子宮頸癌(非特許文献2)、76%の悪性結腸癌(非特許文献4)、80%の非小細胞肺癌(非特許文献5)において、そして48%の乳癌(非特許文献6)において異所的に発現されることが見出されている。他の腫瘍関連抗原のように、MNタンパク質はまた、例えば胃、胆管粘膜および小腸に位置する非常に増殖性の正常細胞を包含する限られた数の正常組織の細胞上にも存在する(非特許文献7)。
【0006】
ヒトMN cDNAはクローン化され、そしてシークエンスされている(非特許文献8)。予測されるタンパク質はシグナルペプチド、プロテオグリカン関連配列、カルボニックアンヒドラーゼドメイン(カルボニックアンヒドラーゼIXもしくはCA IX)、膜貫通セグメントおよび短い細胞内尾部からなる。カルボニックアンヒドラーゼIXドメインは、炭酸への二酸化炭素の可逆的水和を触媒する。この活性は、腫瘍環境の細胞外部分の局所酸性化を調節することにおいて役割を有することができ、それは結果としてプロテアーゼの活性化そして最終的に転移をもたらし得る。
【0007】
MN発現の調節もまた調べられている。1つの態様において、例えば、MN発現は低酸
素によりアップレギュレーションされる。低酸素誘導性因子−1(HIF−1)として知られている転写複合体は、MN発現の調節因子である。従って、MNは、低酸素への腫瘍応答の理解において意味を有するHIF−1応答遺伝子として知られている(非特許文献9)。さらに、MN発現は腫瘍低酸素レベルと相関関係があり、そして子宮頸癌における全生存および無転移生存の予後指標である(非特許文献10)。MN発現はまた、高い平均血管密度、進行した癌の病期、頭頸部癌における壊死の程度(非特許文献11)、鼻咽頭癌における低い生存(非特許文献12)、腫瘍壊死、より高い悪性度、陰性エストロゲン受容体状態、より高い再発率および浸潤性乳癌の低い生存(非特許文献6)とも相関関係がある。従って、MN抗原の発現は低い生存予後およびより高い悪性度の癌と相関関係がある。
【0008】
これらの侵襲性の強い癌の新規のそして改善された治療、特にMN発現を標的とするものは非常に望ましく、そして当該技術分野における進歩を表す。そのようなものとして、本発明はMN関連癌の処置、予防および/もしくは診断において有用である新規抗体組成物およびその免疫コンジュゲートを開示する。
【0009】
【非特許文献1】American Cancer Society,2006
【非特許文献2】Liao,SY,Cancer Res.,1997,57:2827−2831
【非特許文献3】Turner JR,Hum.Pathol.,199,28:740−744
【非特許文献4】Saarnio,J.et al.,Am.J.Path.,1997,153:279−285
【非特許文献5】Vermylen P.et al.,Eur.Respir.J.,1999,14:806−811
【非特許文献6】Chia SK et al.,J.Clin.Oncol.,2001,19:3660−3668
【非特許文献7】Saarnio J.et al.,J.Histochem.Cytochem.,1998,46:497−504
【非特許文献8】Pastorek,et al.,Oncogene,1994,9:2877−2888
【非特許文献9】Wykoff CC et al.,Cancer Res.,2000,60:7075−7083
【非特許文献10】Loncaster,JA et al.Cancer Res.,2000,60:7075−7083
【非特許文献11】Beasley NJP et al.,Cancer Res.,2001,61:5262−5267
【非特許文献12】Hui EP et al.,Clin.Cancer Res.,2002,8:2695−2604
【発明の開示】
【0010】
[発明の要約]
本発明は、細胞表面タンパク質MNに結合しそして癌の処置、予防および/もしくは診断において使用することができる抗体、例えばモノクローナル抗体、もしくは抗体フラグメントに関する。本発明の抗体はさらに細胞毒性薬、例えばモノメチルアウリスタチン−Eに連結することができ、そして/または1つもしくはそれ以上の追加の抗癌剤と共投与するかもしくは調合することができる。本発明の抗MN抗体および免疫コンジュゲートは癌、例えば充実性腫瘍を処置しそして/もしくは診断しそして/もしくはモニターするために本発明の方法において使用することができる。
【0011】
1つの態様において、本発明は抗体もしくは抗体フラグメント、または抗体もしくは抗体フラグメントを含む組成物を提供し、ここで、抗体もしくは抗体フラグメントは特にMNタンパク質に対する抗原結合部位を有する。抗原結合部位は、少なくとも1つのCDR1、CDR2もしくはCDR3、またはCDR2もしくはCDR3と一緒にCDR1、またはCDR1もしくはCDR3と一緒にCDR2、またはCDR1もしくはCDR2と一緒にCDR3、またはその任意の組み合わせを含むことができる。CDR1は、配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107および108よりなる群から選択することができる。CDR2は、配列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109および110よりなる群から選択することができる。CDR3は、配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111および112よりなる群から選択することができる。本発明のこの態様のCDR配列はまた、CDR1、CDR2もしくはCDR3の各々について示される上記の配列のいずれかに好ましくは約80%より大きい配列同一性、より好ましくは約85%より大きい配列同一性、さらにより好ましくは約90%の配列同一性、なおより好ましくは約95%もしくはさらに約99%の配列同一性、そしてさらに約100%までの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むこともできる。
【0012】
別の態様において、抗原結合部位は配列番号:57〜85および配列番号:57〜85のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される重鎖可変領域CDRを有することができる。
【0013】
抗原結合部位はまた、配列番号:86〜112および配列番号:86〜112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される軽鎖可変領域CDRを有することもできる。
【0014】
抗原結合部位はまた、6個のCDRの以下の組:
(a)[3ee9]配列番号:57、63、70、89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:58、64、71、107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:59、65、72、107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:60、66、73、108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:61、67、74、87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:61、68、75、88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:62、69、76、98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:77、78、79、86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:80、82、84、99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83、85、104、105および106
を含む1組の特定のCDR配列から選択することもできる。
【0015】
抗原結合部位はまた:
(a)[3ee9]配列番号:57、63および70;
(b)[3ef2]配列番号:58、64および71;
(c)[1e4]配列番号:59、65および72;
(d)[3a4]配列番号:60、66および73;
(e)[3ab4]配列番号:61、67および74;
(f)[3ah10]配列番号:61、68および75;
(g)[3bb2]配列番号:62、69および76;
(h)[1aa1]配列番号:77、78および79;
(i)[5a6]配列番号:80、82および84;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83および85
よりなる群から選択される1組の重鎖CDR配列を含むこともできる。
【0016】
抗原結合部位は:
(a)[3ee9]配列番号:89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:104、105および106
よりなる群から選択される1組の軽鎖CDR配列を含むこともできる。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は:
(a)配列番号:133の重鎖可変領域および配列番号:134の軽鎖可変領域;
(b)配列番号:135の重鎖可変領域および配列番号:136の軽鎖可変領域;
(c)配列番号:137の重鎖可変領域および配列番号:138の軽鎖可変領域;
(d)配列番号:139の重鎖可変領域および配列番号:140の軽鎖可変領域;
(e)配列番号:141の重鎖可変領域および配列番号:142の軽鎖可変領域;
(f)配列番号:143の重鎖可変領域および配列番号:144の軽鎖可変領域;
(g)配列番号:145の重鎖可変領域および配列番号:146の軽鎖可変領域;
(h)配列番号:147の重鎖可変領域および配列番号:148の軽鎖可変領域;
(i)配列番号:149の重鎖可変領域および配列番号:150の軽鎖可変領域;ならびに
(j)配列番号:151の重鎖可変領域および配列番号:152の軽鎖可変領域
よりなる群から選択される1対の重鎖可変および軽鎖可変領域を含有する抗原結合部位を有する抗体もしくは抗体フラグメントを提供する。
【0018】
本発明の抗体もしくは抗体フラグメントは、好ましくは約0.15nM〜約50nMの解離定数でMNタンパク質に結合することができる。
【0019】
別の態様において、本発明の抗体もしくはフラグメントはIgG抗体もしくはIgGフラグメントである。抗体もしくは抗体フラグメントはまたIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgD、IgE、IgAもしくはIgM抗体、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFvフラグメント、Fvフラグメント、ジアボディ、線状抗体、一本鎖抗体、生体特異性抗体、多重特異性抗体もしくはキメラ抗体(例えば、ヒトもしくは非ヒト抗体結合領域に移植したヒト抗体骨格、またはヒトもしくは非ヒト抗体結合領域に移植した非ヒト抗体骨格を含んでなる)であることもできる。キメラ抗体は、例えばウシ、マウス、ラマ、ラクダもしくはウサギのような非ヒト供給源からの例えば抗体骨格領域を含むことができる。抗体工学に関するさらなる情報は文献、例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、Holliger and Hudson,Nature Biotechnology,(Sep,2005)23:1126−1136に見出されることができる。上記のフラグメントは免疫グロブリンから得られるか、もしくはフラグメントの形態で適当な手段、例えば組換え発現により製造されることができる。
【0020】
本発明の抗体もしくは抗体フラグメントはまたヒト化されることもでき、ここで、CD
R配列もしくは領域(例えばCDR1、CDR2、CDR3)は非ヒト、例えばネズミ科動物であることができる。
【0021】
本発明の抗体もしくは抗体フラグメント、または抗体もしくはフラグメントを含む組成物は、抗体もしくはフラグメントに連結される細胞毒性薬を含むことができる。1つの態様において、細胞毒性薬はモノメチルアウリスタチン−E(MMAE)であり、しかしながら、他の細胞毒性薬もまた提供され、それらには例えば、MMAEの機能性アナログ(例えばモノメチルアウリスタチン−F)および他の細胞毒性薬、例えばアプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロキシウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、酪酸フェニル、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケイド、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス菌外毒素およびシュードモナス菌内毒素、もしくはその組み合わせを包含することができる。細胞毒性薬のいずれも、その機能性アナログを含むこともできる。
【0022】
本発明の組成物は、抗体およびフラグメント(上記の連結した細胞毒性薬を有するもしくは有さない)に加えて様々な抗癌剤を含むことができ、それらには例えばブレオマイシン、ドセタキセル(タキソテール)、ドキソルビシン、エダトレキセート、エルロチニブ(タルセバ)、エトポシド、フィナステリド(プロスカー)、フルタミド(ユーレキシン)、ゲムシタビン(ジェムザール)、ゲフィチニブ(イレッサ)、酢酸ゴセレリン(ゾラデックス)、グラニセトロン(カイトリル)、イマチニブ(グリーベック)、イリノテカン(カンプト/カンプトサル)、オンダンセトロン(ゾフラン)、パクリタキセル(タキソール)、ペグアスパラガーゼ(オンキャスパー)、塩酸ピロカルピン(サラジェン)、ポルフィマーナトリウム(フォトフリン)、インターロイキン−2(プロロイキン)、リツキシマブ(リツキサン)、トポテカン(ハイカムチン)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、トリアピン、ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビン(ナベルビン)または治療抗体もしくはそのフラグメント、あるいは例えばアンジオスタチン、ベバシズマブ(アバスチン(R))、ソラフェニブ(ネクサバール(R))、バキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体もしくはペプチド、抗胎盤成長因子抗体もしくはペプチド、抗Flk−1抗体、抗Flt−1抗体もしくはペプチド、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP−10、Gro−β、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連タンパク質、カルボキシアミ
ドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ポリ硫酸ペントサン、アンジオポエチン2、インターフェロン−アルファ、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、パクリタキセル、アククチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板第4因子およびミノサイクリンのような抗血管新生剤を包含することができる。
【0023】
本発明はさらに、別の態様において本発明の抗体および/もしくはフラグメント、または本発明の抗体および/もしくはフラグメントを含む本発明の組成物の治療的に有効な量を投与することによりMN関連疾患を処置する方法を提供する。MN関連疾患には、例えば充実性腫瘍癌のような癌を包含することができる。充実性腫瘍は、乳房、気管、肺、脳、生殖器官、消化管、結腸、尿路、腎臓、食道、頸部、目、肝臓、皮膚、頭、首、甲状腺および副甲状腺にあるかもしくは由来することができる。
【0024】
別の態様において、本発明は疑わしい罹患組織もしくは細胞におけるMNのレベルを対応する健常組織もしくは細胞におけるMNのレベルと比較することを含んでなる異常なMNレベルを特徴とするMN関連疾患を診断する方法を提供し、ここで、疑わしい罹患組織もしくは細胞における異常なMNレベルはMN関連疾患の指標であり、該比較する段階は、本発明の抗体もしくは抗体フラグメントで罹患組織および健常組織におけるMNのレベルを免疫アッセイにより検出することをさらに含んでなる。
【0025】
特定の態様において、本発明は、免疫アッセイが:(a)健常組織におけるMNタンパク質のレベルを検出する段階;(b)疑わしい罹患組織におけるMNタンパク質のレベルを検出する段階;ならびに(c)(a)および(b)からのMNタンパク質のレベルを比較する段階を含むMN関連疾患を診断する方法を提供する。健常組織におけるMNタンパク質のレベルと比較した場合に疑わしい罹患組織におけるMNタンパク質の上昇したレベルは、MN関連疾患の存在を示す。
【0026】
また本発明により提供されるのは、本発明の抗体もしくは抗体フラグメント、あるいはまた本発明の組成物、およびMN関連疾患を処置する方法においてもしくはMN関連疾患を診断するためにキットを使用するための1組の説明書を含んでなるキットである。
【0027】
これらのおよび他の態様は開示されるか、もしくは以下の詳細な記述から明らかでありそしてそれにより包含される。
【0028】
例として与えられるが、記述される特定の態様にだけ本発明を限定するものではない以下の詳細な記述は、添付の図面と併せて最もよく理解されることができる。
【0029】
[発明の記述]
本明細書に記載のとおりの本発明は、記載の抗MN抗体、免疫コンジュゲート、処置の方法、プロトコル、細胞系、動物種もしくは属、構築物および試薬を包含する本発明の任意の態様に関して本明細書に記載される特定の詳細に限定されるものではなく、そしてそのようなものとして異なり得ることが理解されるべきである。本明細書において使用する専門用語は特定の態様のみを記述する目的のためであり、そして本発明の範囲を限定するものではないこともまた理解されるべきである。
【0030】
定義
他に定義されない限り、本明細書において使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味を有する。しかしながら、以下の参考文献は、本発明が関連する当業者に本発明において使用する用語の多くの一般的定義を提供
することができ、そしてそのような定義が当該技術分野において一般に理解される意味と一致する限り参照しそして使用することができる。そのような参考文献には、Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(2d ed.1994);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker ed.,1988);Hale & Marham,The Harper Collins Dictionary of Biology(1991);およびLackie et al.,The Dictionary of Cell & Molecular Biology(3d ed.1999);およびCellular and Molecular Immunology,Eds.Abbas,Lichtman and Pober,2nd Edition,W.B.Saunders Companyが包含されるがこれらに限定されるものではない。当該技術分野において一般に理解される意味を有する本明細書において使用する用語の定義を提供する当業者に利用可能な任意の追加の技術的資源を参考にすることができる。本発明の目的のために、以下の用語がさらに定義される。追加の用語は、記述の他の所に定義される。
【0031】
本明細書においてそして添付の請求項において用いる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」には、文脈が他に明らかに指示しない限り複数の言及が包含される。従って、例えば、「1つの遺伝子(a gene)」への言及は1つもしくはそれ以上の遺伝子への言及であり、そして当業者に既知であるその同等物が包含されるなど。
【0032】
本明細書において用いる場合、「抗体」という用語には天然から単離されるかもしくは組換え手段により製造される免疫グロブリン分子(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgYを包含する任意のタイプ、ならびに/もしくはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2を包含する任意のクラス)が包含される。抗体にはまた、完全な免疫グロブリンから製造されるかもしくは組換え手段により製造される、Fab、F(ab’)、scFv(一般鎖Fvs)、Fv、一本鎖抗体、ジアボディ、ジスルフィド結合したFvs(sdFv)、およびVもしくはVドメインを含んでなるフラグメントのような抗原結合抗体フラグメントも包含されるものとする。
【0033】
本発明の抗体および/もしくは抗原結合抗体フラグメントは、単一特異性(例えばモノクローナル)、二重特異性、三重特異性であるかもしくはより大きい多重特異性のものであることができる。多重特異性抗体は、抗原の異なるエピトープに特異的であることができ、もしくは1つより多くの抗原のエピトープに特異的であることができる。例えば、PCT公開WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tutt,et al.,1991,J.Immunol.147:60 69;米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelny et
al.,1992,J.Immunol.148:1547 1553を参照、これらの各々は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0034】
抗原結合抗体フラグメントは、単独でもしくは以下のもの:ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインの全部もしくは一部と組み合わせて可変領域(1つもしくは複数)を含んでなることができる。また本発明に包含されるのは、ヒンジ領域、CH1、CH2、CH3およびCLドメインと可変領域(1つもしくは複数)の任意の組み合わせもまた含んでなる抗原結合抗体フラグメントである。
【0035】
好ましくは、抗体もしくは抗原結合抗体フラグメントはヒト、ヒト化、ネズミ科動物(
例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ科動物、ウマもしくはニワトリである。本明細書において用いる場合、「ヒト」抗体にはヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体が包含され、以下にそして例えばKucherlapati et alによる米国特許第5,939,598号に記述されるように、ヒト免疫グロブリンライブラリーから、ヒトB細胞から、または1つもしくはそれ以上のヒト免疫グロブリンについてトランスジェニックの動物から単離された抗体が包含される。抗体という用語はまた、CDRが由来する自然抗体の結合活性に対してこれらのキメラタンパク質で認められる標的抗原の結合が維持されるように自然抗体に存在するものと同じ活性結合構造に抗体CDRインサートを配置することができる他のタンパク質骨格にも及ぶ。
【0036】
本明細書において用いる場合、非ヒト(例えばネズミ科動物)抗体の「ヒト化」形態という用語は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。大部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基(例えば相補性決定領域「CDR」)が所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラット、ウサギもしくは非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの超可変領域残基(CDR)で置換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は対応する非ヒト残基で置換されることができる。さらに、ヒト化抗体はレシピエント抗体にもしくはドナー抗体に存在しない残基を含んでなることができる。そのような改変は、抗体性能をさらに改善するために行われる。一般に、ヒト化抗体は少なくとも1つのもしくは典型的には2つの可変領域の実質的に全てを含んでなることができ、ここで、超可変領域の全てもしくは実質的に全ては非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、そしてFRの全てもしくは実質的に全てはヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は場合により免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含んでなってもよい。概説には、Jones,et al.,(Nature 321:522−525,1986);Reichmann,et al.,(Nature 332:323−329,1988);およびPresta,(Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596,1992)を参照。ヒト化抗体の製造は、米国特許第7,049,135号、第6,828,422号、第6,753,136号、第6,706,484号、第6,696,248号、第6,692,935号、第6,667,150号、第6,653,068号、第6,300,064号、第6,294,353号および第5,514,548号に見出されることができ、これらの各々はそれらの全部が本明細書に組み込まれる。
【0037】
本明細書において用いる場合、「一本鎖Fv」もしくは「sFv」抗体フラグメントという用語は抗体のVおよびVドメインを含んでなり、ここで、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするVとVドメイン間のポリペプチドリンカーをさらに含んでなる。概説には、引用することによりその全部が本明細書に組み込まれる、Pluckthun(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,Vol.113,Rosenburg and Moore
eds.Springer−Verlag,New York,pp.269−315,1994)を参照。
【0038】
「ジアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小抗体フラグメントをさし、これらのフラグメントは、同じポリペプチド鎖(V−V)において軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可変ドメイン(V)を含んでなる。短すぎるために同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を与えないリンカーを用いることにより、これらのドメインはもう一つの鎖の相補的ドメインと対合して2つの抗原結合部位を生じさせられる。ジアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHolling
er,et al.,(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448,1993)にさらに十分に記述され、これらの各々は引用することにより組み込まれる。
【0039】
「線状抗体」という表現は、当該技術分野において、例えば引用することにより組み込まれる、Zapata,et al.,(Protein Eng.8(10):1057−1062,1995)に記述される抗体をさす。簡潔に言えば、そのような抗体は1対の抗原結合領域を形成する1対のタンデムFdセグメント(V−C1−V−C1)を含んでなる。線状抗体は、二重特異性もしくは単一特異性であることができる。
【0040】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書において用いる場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体、すなわち、微量で存在し得る可能な天然に存在する突然変異を除いて同一の集団を含んでなる個々の抗体をさす。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、すなわち、単一の抗原部位に向けられる。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含む通常の(ポリクローナル)抗体調製物と対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に向けられる。「モノクローナル」という修飾語句は、抗体の実質的に均質な集団から得られるとして抗体の特徴を示し、そして任意の特定の方法による抗体の製造を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、Kohler,et al.,(Nature 256:495,1975)により最初に記述されたハイブリドーマ法により製造することができ、もしくは組換えDNA法(例えば米国特許第4,816,567号を参照)により製造することができる。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson,et al.,(Nature 352:624−628,1991)およびMarks,et al.,(J.Mol.Biol.222:581−597,1991)に記述される技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0041】
本明細書におけるモノクローナル抗体にはまた、所望の生物学的活性を示す限り、重鎖および/もしくは軽鎖の一部が、特定の種から得られるかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかもしくは相同であり、一方、鎖(1つもしくは複数)の残りの部分が別の種から得られるかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるかもしくは相同である「キメラ」抗体、ならびにそのような抗体のフラグメントも包含される(例えば、米国特許第4,816,567号;およびMorrison,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−6855,1984を参照、これらの各々は引用することにより組み込まれる)。
【0042】
本明細書において用いる場合、「生体サンプル」もしくは「患者サンプル」という用語は、本明細書において用いる場合に、生物体からもしくは生物体の構成要素(例えば細胞)から得られるサンプルをさす。サンプルは、任意の生物学的組織もしくは液のものであることができる。サンプルは、患者から得られるサンプルである「臨床サンプル」であることができる。そのようなサンプルには、他の体液サンプルの中でも、痰、血液、血清、血漿、血液細胞(例えば白血球)、組織サンプル、生検サンプル、尿、腹水および胸膜液、唾液、精液、乳房浸出液(breast exudate)、脳脊髄液、涙液、粘液、リンパ液、サイトゾル、腹水、羊水、膀胱洗浄および気管支肺胞洗浄もしくはそれからの細胞が包含されるが、これらに限定されるものではない。患者サンプルは新鮮であるかもしくは凍結されることができ、そしてヘパリン、クエン酸塩もしくはEDTAで処理することができる。生体サンプルにはまた、組織学的目的のために取られた凍結切片のような組織の切片を包含することもできる。
【0043】
「癌」という用語には、乳房、気道、脳、生殖器官、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、
頭頸部、甲状腺、副甲状腺の癌のような充実性腫瘍、およびそれらの遠隔転移が包含されるがこれらに限定されるものではない。該用語にはまた、肉腫、リンパ腫、白血病および形質細胞性骨髄腫も包含される。
【0044】
乳癌の例には、浸潤性腺管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性腺管癌および非浸潤性小葉癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。気道の癌の例には、小細胞および非小細胞肺癌、ならびに気管支腺腫および胸膜肺芽腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。脳腫瘍の例には、脳幹および視床下部(hypophtalmic)グリオーマ、小脳および大脳星状細胞腫、髄芽細胞腫、上衣細胞腫、ならびに神経外胚葉性および松果体部腫瘍が包含されるがこれらに限定されるものではない。男性生殖器官の腫瘍には、前立腺癌および精巣癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。女性生殖器官の腫瘍には、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、膣癌および外陰癌、ならびに子宮の肉腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。消化管の腫瘍には、肛門癌、結腸癌、結腸直腸癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、膵臓癌、直腸癌、小腸癌および唾液腺癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。尿路の腫瘍には、膀胱癌、陰茎癌、腎臓癌、腎盂癌、尿管癌および尿道癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。眼癌には、眼内黒色腫および網膜芽細胞腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。肝臓癌の例には、肝細胞癌(繊維層板バリアント(fibrolamellar variant)を有するもしくは有さない肝細胞癌)、胆管癌(肝内胆管癌)および混合型肝細胞胆管癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。皮膚癌には、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌および非黒色腫皮膚癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。頭頸部癌には、喉頭癌/下咽頭癌/鼻咽頭癌/口腔咽頭癌、ならびに口唇および口腔癌が包含されるがこれらに限定されるものではない。リンパ腫には、エイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病および中枢神経系のリンパ腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。肉腫には、軟組織の肉腫、骨肉種、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。白血病には、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病および有毛細胞白血病が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0045】
本発明において用いる場合、「エピトープ」という用語は、それに対して抗体が抗原結合部位を介して結合する、抗原、例えばMNタンパク質上の任意の抗原決定基を意味する。決定基もしくは抗原決定基は、通常はアミノ酸もしくは糖側鎖のような分子の化学的に活性の表面集団からなり、そして通常は特定の3次元構造特性ならびに特定の荷電特性を有する。
【0046】
「特異的に免疫反応性である」という用語は、抗体と抗体の抗原結合部位により認識されるエピトープを有するタンパク質、化合物もしくは抗原との間の結合反応をさす。この結合反応は、タンパク質および他のバイオロジック(biologics)の不均一な集団の存在の中で認識エピトープを有するタンパク質、抗原もしくはエピトープの存在を決定する。免疫アッセイとの関連において、特異的に免疫反応性である抗体は認識エピトープを有するタンパク質に結合し、そしてサンプルに存在するエピトープを欠く他のタンパク質にたとえあったとしてもより低い程度に検出可能に結合することができる。インビボ関連において、「特異的に免疫反応性である」は動物においてワクチンもしくは抗原に対する免疫応答、例えば抗原に対する体液性応答(免疫学的に反応性の条件下でそれに提示されるワクチン、タンパク質、化合物もしくは抗原に対する抗体の生産)もしくは細胞性(本明細書において「細胞性免疫応答」、すなわち、それに提示されるワクチン、タンパク質、化合物もしくは抗原に対するTリンパ球により媒介される応答としても)を生じる条件をさすことができる。
【0047】
本明細書において用いる場合、「免疫学的に反応性の条件」という用語は、免疫アッセイもしくはインビトロ反応との関連において使用され、ここで、例えば温度、塩濃度、pH、試薬およびそれらの濃度、ならびに抗原および抗原に特異的に免疫反応性であるコグネイト抗体の濃度を包含する反応の物理的条件は、抗原へのコグネイト抗体の結合を可能にするように与えられるかもしくは調整される。免疫学的に反応性の条件は抗体結合反応の形態によって決まり、そして典型的には免疫アッセイプロトコルにおいて利用されるものである。免疫アッセイ形態および条件の記述については、Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照。
【0048】
「患者(patient)」もしくは「患者(subject)」という用語には、本明細書において用いる場合、哺乳類(例えばヒトおよび動物)が包含される。
【0049】
抗体
本発明は、MNに結合する抗体に関する。これらの抗体は、様々な治療および診断目的のために有用であることができる。
【0050】
抗体選択性および結合親和性の最も重要な決定要因は配列および結果として生じる相補性領域(CDR)の構造であることは当業者により一般に認識される。大部分の抗体は6個のCDR、重鎖可変領域(VH)内に3個そして軽鎖可変領域(VL)内に3個を含有する。VHおよびVL内のCDR間の介在配列は、CDRを配置するフレームワーク領域である。CDRは一緒になって抗体内の抗原結合部位を形成する。抗体の機能特性を決定することにおけるこれらのCDRの重要な役割は、抗体ヒト化および抗体最適化の方法において長い間利用されている。前者の方法において、モノクローナル抗体、例えばマウス抗体からのCDRは同様のフレームワーク設計のヒト抗体に導入され、それによりヒトにおける同じ機能特性および減少した免疫原性を有する抗体をもたらす。
【0051】
この方法の成功は、ヒト治療法として成功裏に商業化されているヒト化抗体の数から明らかであり、そしてハーセプチン(R)(トラスツズマブ、Genentech,Inc.,South San Francisco,CA)、シナジス(R)(パリビズマブ,Medimmune,Inc.,Gaithersburg,MD)、キャンパス(R)(アレムツズマブ,Genzyme Oncology,Cambridge,MA)、ゼナパックス(R)(ダクリズマブ,Roche Pharmaceuticlas,Nutley,NJ)、ゾレア(R)(オマリズマブ,Genentech,Inc.,South
San Francisco,CA)、ラプティバ(R)(エファリズマブ,Genentech,Inc.,South San Francisco,CA)、アバスチン(R)(ベバシズマブ,Genentech,Inc.,South San Francisco,CA)およびマイロターグ(R)(ゲムツズマブオゾガマイシン,Wyeth−Ayerst,Madison,NJ)が包含される。他の例は、Singer,et al.,(J.Immunol,150:2844−2857,1993);Luo,et
al.,(J.Immunol Meth.,275:31−40,2002);およびKostelny,et al.,(Int.J.Cancer 93;556−565,2001)に記述されている。
【0052】
抗体最適化の方法は、CDRの配列における特定の改変による抗体選択性もしくは結合親和性の改善に焦点を合わせる。CDRは治療および診断用途に必要とされる結合親和性および選択特性をコードし、そしてこれらのCDR配列は当業者に既知である標準的な方法を用いて多種多様な代替抗体フレームワークにそのような望ましい機能特性を与えるために使用できることは、抗体開発の分野内で一般に認められている。免疫グロブリンスー
パーファミリー内の他のタンパク質および免疫グロブリンと同様のフォールド(fold)を有する非免疫グロブリンのような免疫グロブリン様フォールドを有する他のタンパク質上に抗体CDRを移植することにより抗体結合活性を導入することもまた可能である(Nicaise,et al.,Protein Science 13:1882−1891,2004)。
【0053】
本発明は、本発明の抗体および抗原結合抗体フラグメントの製造のための任意の既知のもしくは適当な技術を意図する。
【0054】
例えば、ファージディスプレイ技術は、MN関連癌のようなMN関連疾患の診断および/もしくは処置における使用のための本発明の高親和性抗MN抗体もしくは抗原結合抗体フラグメントを得るために有用である。親和性成熟と呼ばれる技術は、最初のもしくは親抗体と比較した場合に抗原に対してより高い親和性で結合する抗体を同定するために突然変異誘発もしくはCDRウォーキングおよびMN抗原を使用する再選択を用いる(例えば、Glaser et al.,1992,J.Immunology 149:3903を参照)。単一ヌクレオチドよりむしろ全コドンを突然変異させることによりアミノ酸突然変異の半ランダム化レパートリーをもたらす。その各々が単一のCDRにおける単一のアミノ酸改変によって異なりそして各CDR残基の各可能なアミノ酸置換を表すバリアントを含有するバリアントクローンのプールからなるライブラリーを構築することができる。抗原に対する増加した結合親和性を有する突然変異体は、標識抗原を含有する固定化突然変異体との接触によりスクリーニングすることができる。抗原に対する増加したアビディティを有する突然変異体抗体を同定するために当該技術分野において既知である任意のスクリーニング方法を用いることができる(例えばELISA)(引用することにより組み込まれる、Wu et al.,1998,Proc Natl.Acad.Sci.USA 95:6037;Yelton et al.,1995,J.Immunology 155:1994を参照)。CDRウォーキングもまた軽鎖をランダム化するために用いることができる(引用することにより組み込まれる、Schier et al.,1996,J.Mol.Bio.263:551を参照)。
【0055】
特定の例において、MorphoSys AG(ドイツ)は完全にヒトの抗体を作製するために用いることができるファージ抗体技術を提供する。Morphosys HuCAL GOLDライブラリーは、Rauchenberger,et al.,(引用することにより組み込まれる、J.Biol.Chem.278:38194−38205,2003)に記述されるHuCAL−Fab 1ライブラリーを包含する該技術の以前のバージョン(引用することにより組み込まれる、Knappik,et al.,J.Mol.Biol.296:57−86,2000)に対して多数の進歩を提供する。以前のバージョンのように、HuCAL GOLDはヒト共通フレームワーク配列および自然ヒト配列多様性を模倣するCDR可変性のパターンを特徴とするヒト抗体設計を取り入れる。しかしながら、多様性は6個全ての抗体CDRを含むようにHuCAL GOLDにおいて拡張される。さらに、高親和性抗体の回収はCysDisplayTM特性によって増大される(Kretzschmar and von Ruden,Curr.Opin.Biotechnol.13:598−602,2002)。この技術で得られる抗体は、免疫原性の非常に減少した可能性を示す。
【0056】
Morphosysから入手可能であるもののようなファージディスプレイ技術は当該技術分野において既知であり、そしてBoehncke WH et al.,Br J
Dermatol.(2005),Nov;153(5):1092;Simon Moroney et al.,Modern Biopharmaceuticals;J.Knaeblein編集,Wiley−VCH Verlag(2005);Ralf Ostendorp et al.,Antibodies,Volume 2:N
ovel technologies and therapeutic use,p.13−52,(2004),Kluwer Academic/Plenum Publishers,New York;R.Rauchenberger et al.,J
Biol Chem.,(2003),Oct 3,278(40):38194−38205;T.Kretzschmar et al.,Curr Opin Biotechnol.,(2002),Dec,13(6):598−602;Krebs B
et al,J Immunol Methods,(2001),Aug 1,254(1−2);M.Marget et al.,Tissue Antigens,(2000),56:1−9;A.Knappik et al.,J.Mol Biol.,(2000),Feb 11,296(1):57−86;およびA.Pluckthun et al.,Immunotechnology,(1997),Jun;3(2):83−105にさらに言及することができ、これらの各々はそれらの全部が引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0057】
例として、MN結合および細胞接着中和活性を有する抗体は、MorphoSys技術を用いて同定することができる。MNタンパク質をマイクロタイタープレートもしくは磁気ビーズ上に被覆し、そしてMorphoSys HuCAL−GOLD Fabファージライブラリーとインキュベーションすることができる。MNに結合しないファージ連結Fabをプレートから洗浄し、MNに結合するファージのみを残すことができる。ファージに抗体を連結するジスルフィド結合の切断をもたらすジチオスレイトール(DTT)のようなチオール還元剤の添加により結合したファージを溶出することができる。回収されるファージ集団をMN結合抗体フラグメントを発現するファージで濃縮することができ、そしてエシェリキア・コリ(E.coli)宿主の感染により増幅することができる。MNに結合するファージ連結抗体の集団についてさらに濃縮するためにファージの濃縮集団を用いてこのパンニング方法を繰り返すことができる。次に、Fabをコードする遺伝子配列を標準的なクローニング技術を用いて切り出し、そして細菌(例えばエシェリキア・コリ)発現ベクターもしくは哺乳類発現ベクターのような発現ベクターに導入することができ、それはCHOもしくはエシェリキア・コリ発現細胞系のような宿主細胞系を形質転換するために用いられる。次に、濃縮プールからのFabを発現させ、そして精製することができる。
【0058】
あるいはまた、パンニングは、抗原としてMN発現細胞を用いて行うことができる。例えば、MN抗原でトランスフェクションした細胞をビオチンで標識することができる。次に、これらのトランスフェクションした細胞を1:10の標識:非標識比率で非標識の非MNトランスフェクション細胞と混合することができる。ファージライブラリーを細胞に加え、そして磁石に結合されるストレプトアビジン結合磁気ビーズでビオチニル化MN保有細胞を捕獲する。非特異的ファージを洗浄して除き、そして磁場を取り除くことによりMN保有細胞を特異的に溶出する。これらの特異的に結合したファージを細胞パンニングのさらなるラウンドにわたって増幅することができ、またはペプチドおよび/もしくはタンパク質パンニングと交互に行うことができる。
【0059】
抗体は、下記のような様々な他の技術により製造することができる。例えば、抗体を得るための別の方法は、Dower,et al.,(引用することにより組み込まれる、WO91/17271)およびMcCafferty,et al.,(WO92/01047)(これらの各々はその全部が引用することにより組み込まれる)により記述されるようにB細胞からDNAライブラリーをスクリーニングすることである。これらの方法において、メンバーがそれらの外側表面上に異なる抗体を提示するファージのライブラリーが製造される。抗体は、通常、FvもしくはFabフラグメントとして提示される。抗体を提示するファージは、選択したタンパク質への結合についての親和性濃縮により選択される。
【0060】
ファージディスプレイ法のバリエーションにおいて、選択したネズミ科動物抗体の結合特異性を有するヒト抗体を製造することができる(例えば、引用することにより組み込まれる、WO92/20791)。この方法において、選択したネズミ科動物抗体(例えば5C7.29)の重鎖もしくは軽鎖可変領域のいずれかを出発材料として用いることができる。例えば、軽鎖可変領域が出発材料として選択される場合、メンバーが同じ軽鎖可変領域(すなわち、ネズミ科動物出発材料)および異なる重鎖可変領域を提示するファージライブラリーを構築することができる。重鎖可変領域は、再構成したヒト重鎖可変領域のライブラリーから得ることができる。タンパク質に対する強い特異的結合を示すファージ(例えば、少なくとも10nMもしくは少なくとも1nM)が選択される。次に、このファージからのヒト重鎖可変領域は、さらなるファージライブラリーを構築するための出発材料として役立つ。このライブラリーにおいて、各ファージは同じ重鎖可変領域(すなわち、最初のディスプレイライブラリーから同定される領域)および異なる軽鎖可変領域を提示する。軽鎖可変領域は、再構成したヒト可変軽鎖領域のライブラリーから得ることができる。この場合も同様に、強い特異的結合を示すファージが選択される。
【0061】
別の例として、抗体はまたトリオーマ方法論を用いて製造することもできる。基本的方法および典型的な細胞融合相手、この方法において使用するSPAZ−4は、Oestberg,et al.,(各々、引用することにより組み込まれる、Hybridoma
2:361−367,1983;米国特許第4,634,664号);およびEngleman,et al.,(引用することにより組み込まれる、米国特許第4,634,666号)により記述されている。この方法により得られる抗体産生細胞系は、3つの細胞−2つのヒトおよび1つのマウスに由来するので、トリオーマと呼ばれる。最初に、マウス骨髄腫系統をヒトBリンパ球と融合させてSPAZ−4細胞系のような非抗体産生異種ハイブリッド細胞を得る。次に、免疫したヒトBリンパ球と異種細胞を融合させて抗体産生トリオーマ細胞系を得る。トリオーマは、ヒト細胞から製造される通常のハイブリドーマより安定に抗体を生産することが見出されている。
【0062】
Bリンパ球は、ヒトドナーの血液、脾臓、リンパ節もしくは骨髄から得られる。タンパク質での生きているヒトのインビボ免疫は、有害な反応を開始する危険性のために通常は望ましくない。従って、Bリンパ球は、通常、タンパク質(例えばMN)もしくはその抗原フラグメント、または該タンパク質(例えばMN)を保有する細胞でインビトロで免疫される。例示されたネズミ科動物抗体の1つに結合するアミノ酸セグメントから本質的になる特定のエピトープフラグメントをインビトロ免疫に用いることができる。Bリンパ球は、典型的に、10%ヒト血清を補足したRPMI−1640のような培地において7〜14日の期間にわたって抗原にさらされる(例えば、米国特許第4,634,666号を参照)。
【0063】
免疫したBリンパ球は、当該技術分野において既知である方法によりSPAZ−4のような異種ハイブリッド細胞に融合させることができる。例えば、細胞をMW1,000〜4,000の40〜50%ポリエチレングリコールで約37℃で約5〜10分間処理することができる。細胞を融合混合物から分離し、そして所望のハイブリッドに対して選択的である培地(例えば、HATもしくはAH)において増殖させることができる。必要とされる結合特異性を有する抗体を分泌するクローンは、非ヒト抗体について上記に説明したのと同じ方法を用いてタンパク質(例えばMN)に結合する能力についてトリオーマ培養培地をアッセイすることにより同定することができる。所望の特異性を有するヒト抗体を生産するトリオーマは、例えば、限界希釈技術によりサブクローン化し、そして培養培地においてインビトロで培養することができる。
【0064】
トリオーマは遺伝的に安定であるが、それらは非常に高いレベルで抗体を生産すること
ができない。発現レベルは、抗体遺伝子をトリオーマから1つもしくはそれ以上の発現ベクターにクローン化しそして組換えもしくはヒト化免疫グロブリンの発現のための細胞系のような細胞系にベクターを形質転換することにより増加することができる。
【0065】
タンパク質(例えばMN)と交差反応するヒト抗体はまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の少なくともセグメントをコードする導入遺伝子を有する非ヒトトランスジェニック哺乳類から製造することもできる。通常、そのようなトランスジェニック哺乳類の内因性免疫グロブリン遺伝子座は機能的に不活性化される。ヒト免疫グロブリン遺伝子座のセグメントは、重鎖および軽鎖成分の非再構成配列を含むことができる。内因性免疫グロブリン遺伝子の不活性化および外来免疫グロブリン遺伝子の導入は両方とも、標的化相同組換えにより、もしくはYAC染色体の導入により成し遂げることができる。この方法から得られるトランスジェニック哺乳類は、免疫グロブリン成分配列を機能的に再構成し、そして内因性免疫グロブリン遺伝子を発現することなしに、ヒト免疫グロブリン遺伝子によりコードされる様々なアイソタイプの抗体のレパートリーを発現することができる。これらの特性を有する哺乳類の製造および特性は、例えば、Lonberg,et al.,(WO93/12227);およびKucherlapati,(WO91/10741)(これらの各々は、その全部が引用することにより組み込まれる)により詳細に記述される。交差反応するMNヒト抗体は、上記のようなトランスジェニック非ヒト哺乳類を免疫することにより得ることができる。モノクローナル抗体は、例えば、従来のKohler−Milstein技術(引用することにより組み込まれる、Kohler and Milstein,Nature 256:495−497,1975)を用いて適当な骨髄腫細胞系にそのような哺乳類からのB細胞を融合させることにより製造することができる。
【0066】
タンパク質(例えばMN)と交差反応するマウスもしくは他の非ヒト抗体は、様々な免疫戦略を用いて得ることができる。いくつかの戦略において、非ヒト動物(通常はマウスのような非ヒト哺乳類)は、MN抗原で免疫することができる。免疫原には、MNで安定にトランスフェクションされそしてそれらの細胞表面上にMNを発現する細胞、およびMNタンパク質もしくは例示される交差反応抗体に結合するこれらの分子のセグメントを含有するエピトープフラグメントを包含することができる。免疫した動物から得られる抗体産生細胞を不死化し、そしMNに特異的に結合する抗体の生産に関して選択することができる(例えば、引用することにより組み込まれる、Harlow & Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,C.S.H.P.,N.Y.,1988)。結合は、例えば、第二の標識を保有する適切な二次抗体を用いて検出することができる。次に、交差反応する抗体は、MNを発現する細胞に選択的細胞毒性を導くそれらの能力についてさらにスクリーニングすることができる。
【0067】
本発明は、選択したマウスもしくは他の非ヒト抗体と同様の結合特異性および親和性を有するヒト化抗体にも関する。ヒト化抗体は、組換えDNA技術(例えば、Queen,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029−10033,1989;WO90/07861;各々それらの全部が引用することにより組み込まれる)、すなわち、CDR移植によりヒトフレームワークおよび定常領域に非ヒト抗体のCDR領域(例えば、CDR1、CDR2およびCDR3)を連結することにより形成することができる。これらのヒト化免疫グロブリンは、実質的にヒト免疫グロブリン(アクセプター免疫グロブリンと呼ばれる)からの可変領域フレームワーク残基および実質的にマウス免疫グロブリン(ドナー免疫グロブリンと呼ばれる)からの相補性決定領域(CDR)を有する。定常領域(1つもしくは複数)もまた、存在する場合、実質的にヒト免疫グロブリンからであることができる。
【0068】
原則として、任意のヒト抗体からのフレームワーク配列はCDR移植の鋳型として働く
ことができる。しかしながら、そのようなフレームワーク上への直接CDR置換は、抗原に対する結合親和性の有意な喪失をしばしばもたらすことが示されている(Glaser,et al.,J.Immunol.149:2606,1992);Tempest,et al.,Biotechnology 9:266,1992;Shalaby,et al.,J.Exp.Med.17:217,1992)。ヒト抗体が元のネズミ科動物抗体に相同であるほど、ヒトフレームワークとネズミ科動物CDRとを組み合わせることにより親和性を減少し得るひずみをCDRに導入する可能性は低い。従って、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約75%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、そしてさらにより好ましくは約95%もしくは約99%のヒト化抗体可変領域フレームワークとドナー抗体可変領域フレームワーク間の相同性(すなわち、パーセント配列同一性)が示唆される。
【0069】
重鎖および軽鎖可変領域フレームワーク残基は、同じもしくは異なるヒト抗体配列に由来することができる。しかしながら、同じヒト抗体から選択される重鎖および軽鎖フレームワーク配列は、2本の鎖の会合における不適合の可能性を減らす。ヒト抗体配列は天然に存在するヒト抗体の配列であることができ、もしくはいくつかのヒト抗体の共通配列であることができる(例えば、引用することにより組み込まれる、WO92/22653)。ヒト可変領域フレームワーク残基からのある種のアミノ酸は、CDR構造および/もしくは抗原に対する結合へのそれらの可能な影響に基づいて置換のために選択されることができる。そのような可能な影響の分析は、モデリング、特定の位置でのアミノ酸の特性の試験、または特定のアミノ酸の置換もしくは突然変異誘発の影響の実験観察により成し遂げることができる。
【0070】
例えば、アミノ酸がネズミ科動物可変領域フレームワーク残基と選択したヒト可変領域フレームワーク残基間で異なる場合、ヒトフレームワークアミノ酸は、アミノ酸が:
(1)抗原と直接接触すること、
(2)配列においてCDR領域に隣接すること、もしくは
(3)そうでなければCDR領域と相互作用すること(例えば、CDR領域の約4〜6Å以内であること)
が合理的に予想される場合にマウス抗体からの同等なフレームワークアミノ酸で置換することができる。
【0071】
置換の他の候補は、例えば、その位置でヒト免疫グロブリンには珍しいアクセプターヒトフレームワークアミノ酸である。これらのアミノ酸は、ドナー抗体の同等な位置からのもしくはより典型的なヒト免疫グロブリンの同等な位置からのアミノ酸で置換することができる。ヒト化免疫グロブリンの可変領域フレームワークは、例えば、ヒト可変領域フレームワーク配列もしくはそのような配列の大多数に、少なくとも好ましくは約85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、なおより好ましくは少なくとも約95%の配列同一性、そしてさらにより好ましくは少なくとも約99%の配列同一性を示すことができる。
【0072】
本発明はまた、タンパク質(例えばMN)に特異的に結合する1つの結合部位および第二の部分に特異的に結合する第二の結合部位を有する二重特異性もしくは二機能性抗体にも関する。二重特異性抗体において、一方の重鎖および軽鎖対は通常は例えばMN結合抗体からであり、そしてもう一方の対は別のエピトープに対する抗体からである。これは多機能価(multi−functional valency)、すなわち、同時に少なくとも2つの異なるエピトープに結合する能力をもたらす。
【0073】
結合アッセイ
本発明の抗体もしくは抗体フラグメントと本発明の抗原(MNタンパク質)との間の結
合(もしくは親和性)の強さを表すための任意の有用な手段を用いることができる。例えば、解離定数、K(K=k2/k1=[抗体][抗原]/[抗体−抗原複合体])は、当該技術分野において既知である標準的な速度論的分析により決定することができる。解離定数は、複合体を分離することがどのくらい容易であるかに関して抗体と抗原との間の結合の強さを示すことが当業者により理解される。複合体を形成するために高濃度の抗体および抗原が必要とされる場合、結合の強さもしくは親和性は低く、より高いKをもたらす。K(濃度単位、例えばモルもしくはナノモルで表されるような)が小さいほど結合は強いという結果になる。
【0074】
親和性は、例えば、酵素結合免疫特異的(immunospecific)アッセイ(ELISA)、2分子相互作用分析(BIA)(例えば、各々引用することにより本明細書に組み込まれる、Sjolander and Urbaniczky,Anal.Chem.63:2338−2345,1991;Szabo,et al.,Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705,1995)およびMNを発現する細胞に結合する抗体の定量化のための蛍光活性化細胞選別(FACS)を包含する様々な既知の技術および免疫アッセイにより評価しそして/もしくは測定することができる。BIAは、反応体のいずれかを標識することなしに、リアルタイムで生体特異的相互作用を分析するための技術である(例えばBIAcoreTM)。BIAcoreは、本発明の抗体およびMNタンパク質抗原のような生物学的分子間のリアルタイムの反応における光学現象表面プラズモン共鳴(SPR)の変化を決定することに基づく。BIAcore技術に関する参考文献は、米国公開出願第2006/0223113号、第2006/0134800号、第2006/0094060号、第2006/0072115号、第2006/0019313号、第2006/0014232号および第2005/0199076号にさらに見出されることができ、これらの各々は引用することによりそれらの全部が本明細書に組み込まれる。
【0075】
タンパク質(例えばMN)に特異的に結合する本発明の抗体もしくは抗原結合抗体フラグメントは、免疫化学アッセイにおいて使用する場合に他のタンパク質に与えられる検出シグナルより例えば好ましくは少なくとも約5倍高い、より好ましくは少なくとも約10倍高い、そしてさらにより好ましくは少なくとも約20倍高い検出シグナルを与える。そのようなものとして、これらの抗体は、溶液からタンパク質(例えばMN)を免疫沈降させるために用いることができる。
【0076】
本発明の抗体およびフラグメントは、当該技術分野において既知である任意の適当な方法により免疫特異的結合(もしくは本明細書において定義される、「特異的に免疫反応性」である結合)についてアッセイすることができる。抗体および抗原を伴うアッセイは「免疫アッセイ」として知られており、それは本発明の抗体および抗原の両方を特性化するために本発明において用いることができる。使用することができる免疫アッセイには、いくつかを挙げれば、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免疫アッセイのような技術を用いる競合および非競合アッセイ系が包含されるが、これらに限定されるものではない。そのようなアッセイは日常的であり、そして当該技術分野において周知であり(例えば、その全部が本明細書に引用することにより組み込まれる、Ausubel et al.,eds,1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkを参照)、そして必要以上の実験なしに行うことができる。典型的な免疫アッセイは、以下に簡潔に記述される(しかし限定としてではない)。
【0077】
免疫沈降プロトコルは、一般に、タンパク質ホスファターゼおよび/もしくはプロテアーゼ阻害剤(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン酸ナトリウム)を補足したRIPAバッファー(1%NP−40もしくはTriton X−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15M NaCl、pH7.2の0.01Mリン酸ナトリウム、1%トラシロール)のような溶解バッファーに細胞の集団を溶解すること、細胞溶解物に興味のある抗体を加えること、4℃である期間(例えば14時間)にわたってインキュベーションすること、細胞溶解物にプロテインAおよび/もしくはプロテインGセファロースピーズを加えること、4℃で約1時間もしくはそれ以上にわたってインキュベーションすること、溶解バッファーにおいてビーズを洗浄することおよびSDS/サンプルバッファーにビーズを再懸濁することを含んでなる。特定の抗原を免疫沈降させる興味のある抗体の能力は、例えばウェスタンブロット分析により評価することができる。当業者は、抗原への抗体の結合を増加しそしてバックグラウンドを減らすために改変することができるパラメーターに関して精通している(例えば、セファロースビーズで細胞溶解物をプレクリアすること)。免疫沈降プロトコルに関するさらなる説明については、例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、Ausubel et
al.,eds,1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,New York 10.16.1を参照。
【0078】
ウェスタンブロット分析は、一般に、タンパク質サンプルを調製すること、ポリアクリルアミドゲルにおけるタンパク質サンプルの電気泳動(例えば、抗原の分子量により8%
20%SDS−PAGE)、ポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDFもしくはナイロンのような膜にタンパク質サンプルを移すこと、ブロッキング溶液(例えば3%BSAもしくは脱脂乳を有するPBS)において膜をブロックすること、洗浄バッファー(例えば、PBS−Tween 20)において膜を洗浄すること、ブロッキングバッファーに希釈した一次抗体(興味のある抗体)で膜をブロックすること、洗浄バッファーにおいて膜を洗浄すること、ブロッキングバッファーに希釈した酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼ)もしくは放射性分子(例えば32Pもしくは125I)に連結した二次抗体(これは一次抗体を認識する、例えば抗ヒト抗体)で膜をブロックすること、洗浄バッファーにおいて膜を洗浄すること、および抗原の存在を検出することを含んでなる。当業者は、検出されるシグナルを増加するためにそしてバックグラウンドノイズを減らすために改変することができるパラメーターに関して精通している。ウェスタンブロットプロトコルに関するさらなる説明は、例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、Ausubel et al.,eds,1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,New York 10.8.1を参照。
【0079】
ELISAは、典型的に、抗原を調製すること、抗原で96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを被覆すること、酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはアルカリホスファターゼ)のような検出可能な化合物に連結した興味のある抗体をウェルに加えそしてある期間にわたってインキュベーションすること、および抗原の存在を検出することを含んでなる。ELISAにおいて興味のある抗体は検出可能な化合物に連結される必要はなく;その代わりに、検出可能な化合物に連結した第二の抗体(これは興味のある抗体を認識する)をウェルに加えることができる。さらに、抗原でウェルを被覆する代わりに、抗体をウェルに被覆することができる。この場合、検出可能な化合物に連結した第二の抗体は、被覆したウェルへの興味のある抗原の添加後に加えることができる。当業者は、検出されるシグナルを増加するために改変することができるパラメーターならびに当該技術分野において既知であるELISAの他のバリエーションに関して精通している。ELISAに関するさらなる説明は、例えば、引用することにより本明細書に組み
込まれる、Ausubel et al.,eds,1994,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.,New York 11.2.1を参照。
【0080】
1つの態様において、本発明はMorphoSys HuCAL GOLD Fabライブラリーをスクリーニングすることにより同定されるMN結合特性を有する多数の異なる抗体を具体化する。本発明の1つの態様において、ヒト抗体のVH領域の3つのCDRのアミノ酸配列が同定された(配列番号:57〜85;図2)。本発明の別の態様において、ヒトMN抗体のVL領域の3つのCDRのアミノ酸配列が同定された(配列番号:86〜112;図2)。本発明はまた、CDR、フレームワークおよびVH/VL対の組み合わせにも関する。そのような組み合わせの例は、図3(コードするヌクレオチド配列については配列番号:113〜132)にそして図4(タンパク質配列については配列番号:133〜152)に示される。MN結合を有する抗体もまた、図4に示される。スクリーニング方法の詳細は、本明細書に記載の実施例において記述される。高活性の特異的抗体もしくは抗体フラグメントの他の選択方法は当業者により予測され、そしてヒトMN抗体を同定するために用いることができる。
【0081】
本発明の抗体および/もしくは抗原結合抗体フラグメントはまた、抗体をコードする発現構築物でトランスフェクションされている宿主細胞を包含する、抗体を発現する任意の細胞から精製することもできる。宿主細胞は、抗体が発現される条件下で培養することができる。精製された抗体および/もしくは抗原結合抗体フラグメントは、当該技術分野において周知である方法を用いてある種のタンパク質、炭水化物もしくは脂質のような、細胞において抗体と会合し得る他の細胞成分から分離することができる。そのような方法には、サイズ排除クロマトグラフィー、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーおよび分取ゲル電気泳動が包含されるがこれらに限定されるものではない。調製物の純度は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動のような当該技術分野において既知である任意の手段により評価することができる。精製された抗体の調製物は、1つより多くのタイプの抗体を含有し得る(例えば、MN結合および中和特性を有する抗体)。
【0082】
あるいはまた、抗体は、固相技術を用いる直接ペプチド合成(例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154,1963;Roberge,et al.,Science 269:202−204,1995、これらの各々は引用することにより本明細書に組み込まれる)によるような、そのアミノ酸配列もしくは抗体配列の一部(例えばCDR配列)を合成するために化学的方法を用いて製造することができる。タンパク質合成は、手動技術を用いてもしくは自動化により行うことができる。自動合成は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成器(Perkin Elmer)を用いて成し遂げることができる。場合により、抗体のフラグメントを別個に合成し、そして全長分子を製造するために化学的方法を用いて合わせることができる。
【0083】
いったん本発明の抗体もしくはフラグメントが例えば抗体製造の伝統的方法(例えば動物免疫法)、モノクローナル製造によるかもしくは組換えDNA手段によるが包含される、例えば本明細書に記述される方法のいずれかにより同定されるかもしくは得られると、抗体を特性化しそして/もしくは精製しそして/もしくは改変するためにさらなる段階を実施することが好ましい可能性がある。例えば、免疫反応性抗体フラグメントを製造することまたは同定された望ましい抗体の精製された高力価組成物を製造することまたは同定された抗体もしくはそのフラグメントの免疫反応性を試験することが望ましい可能性がある。本発明は、本発明の抗体を特性化するか、精製するかもしくはアッセイするための任意の既知のそして適当な方法を意図し、そして本発明が関係する当業者は、必要以上の実
験なしに本発明の抗体の任意のさらなる特性化、精製および/もしくはアッセイすることを成し遂げるために必要なレベルの技術的専門知識および資源、例えば技術マニュアルもしくは論文を有すると予想される。
【0084】
特定の態様において、本発明の抗体および/もしくは抗体フラグメントは、プロテインA精製、硫安もしくはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレシチンクロマトグラフィーが包含されるがこれらに限定されるものではない周知の方法により組換え細胞培養物から回収しそして精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)もまた、精製に用いることができる。例えば、各々引用することにより本明細書に全部が組み込まれる、Colligan,Current Protocols
in ImmunologyもしくはCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,N.Y.,(1997 2001)、例えば、1、4、6、8、9、10章を参照。
【0085】
抗体との関連で「単離すること」という用語は、抗体を精製するための当該技術分野において既知である任意の方法をさす。抗体を精製する方法は当該技術分野において周知であり、本発明は当業者に既知でありそして必要以上の実験を必要としない任意の適当な方法を意図する。例えば免疫親和性クロマトグラフィー(興味のある抗体に結合しそして捕捉するための固定化リガンド)、親和性クロマトグラフィー、タンパク質沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーのような例えばクロマトグラフィー方法ならびに電気泳動は技術文献に、例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、Methods in Enzymology,Volume 182,Guide to Protein Purification,Eds.J.Abelson,M.Simon,Academic Press,1st Edition,1990に記述されるのが見出されることができる。従って、クロマトグラフィー工程のようなそのような精製工程を行うための適当な材料は、当業者に既知である。そのような方法は、本明細書に記述されるような本発明による抗体、抗原もしくはその任意のフラグメントのいずれかの精製に適当である。
【0086】
ある種の態様は、宿主細胞もしくはその一部からの発現タンパク質または抗体もしくはそのフラグメントの精製もしくは単離を必要とし得る。形質転換した宿主細胞から組換えタンパク質を単離するための常法が、本発明により意図される。そのような方法には、例えば、細胞ペレットからのもしくは細胞培養培地からの初期抽出、続いて塩析による興味のあるタンパク質もしくはフラグメントの単離が包含され、そして組換えタンパク質もしくはフラグメントを単離するために水性イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー工程、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および親和性クロマトグラフィーを包含する1つもしくはそれ以上のクロマトグラフィー工程を用いることができる。タンパク質精製の方法における指針は、例えば、引用することによりすでに組み込まれる、Methods in Enzymology,Volume 182,Guide to Protein Purification,Eds.J.Abelson,M.Simon,Academic Press,1st Edition,1990を包含する技術文献に見出されることができる。
【0087】
化学的に合成された分子は、分取高速液体クロマトグラフィーにより実質的に精製することができる(例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、Creighton,Proteins:Structures and Molecular Principles,WH Freeman and Co.,New York,N.Y.,1983を参照)。合成ポリペプチドの組成は、アミノ酸分析もしくはシークエンシング
(例えばエドマン分解を用いる)により確かめることができる。
【0088】
ポリヌクレオチド
別の態様において、本発明は本発明の抗体(例えば、MNに対する抗体)もしくは抗原結合抗体フラグメントをコードするポリヌクレオチドに関する。これらのポリヌクレオチドは、例えば、治療もしくは診断用途のための抗体の量を製造するためにまたは本発明の免疫アッセイにおいて使用する抗体もしくはフラグメントのサンプルを製造するために用いることができる。
【0089】
例えば、抗体VH領域内の3つのCDRの各々をコードするために用いることができるポリヌクレオチドは、配列番号:1〜29により記述される。例えば、抗体VL領域内の3つのCDRの各々をコードするために用いることができるポリヌクレオチドは、配列番号:30〜56により記述される。例えば、抗体の完全な重鎖および軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、配列番号:113〜132により記述される(図3)。
【0090】
本発明のポリヌクレオチドはまた、当該技術分野における任意の既知のもしくは適当な方法に従って膜成分、タンパク質および脂質のような他の細胞成分を含まずに、宿主細胞から単離することもできる。ポリヌクレオチドは、標準的な核酸精製技術を用いて単離するか、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅技術を用いてもしくは自動合成器を用いることにより合成することができる。ポリヌクレオチドを単離する方法は日常的であり、そして当該技術分野において既知である。本発明の抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドを得るためにポリヌクレオチドを得るための任意のそのような技術を用いることができる。例えば、抗体をコードするポリヌクレオチドを単離するために制限酵素およびプローブを用いることができる。
【0091】
抗体をコードするcDNA分子は、鋳型としてmRNAを用いて、標準的な分子生物学技術で製造することができる。その後に、当該技術分野において既知でありそしてSambrook,et al.,(引用することにより本明細書に組み込まれる、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Second
Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Cold Spring Harbor,N.Y.;1989,Vol.1−3)のようなマニュアルに開示される分子生物学技術を用いてcDNA分子を複製することができる。PCRのような増幅技術は、ポリヌクレオチドのさらなるコピーを得るために用いることができる。
【0092】
あるいはまた、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを合成するために合成化学技術を用いることができる。遺伝暗号の縮重は、例えば、VH−CDR1、VH−CDR2、VH−CDR3、VL−CDR1、VL−CDR2、VL−CDR3、完全なVHもしくは完全なVLアミノ酸配列(例えば、配列番号:57〜112および133〜152)の一つを有する抗体をコードする代わりのヌクレオチド配列を合成することを可能にする。
【0093】
抗体をコードするポリヌクレオチドを発現するために、挿入コーディング配列の転写および翻訳のための必要な要素を含有する発現ベクターにポリヌクレオチドを挿入することができる。抗体をコードする配列ならびに適切な転写および翻訳制御要素を含有する発現ベクターを構築するために当業者に周知である方法を用いることができる。これらの方法には、インビトロ組換えDNA技術、合成技術およびインビボ遺伝子組換えが包含される。そのような技術は、例えば、Sambrook,et al.(1989)にそしてAusubel,et al.,(引用することにより本明細書に組み込まれる、Current Protocols in Molecular Biology,John
Wiley & Sons,New York,N.Y.,1995)に記述される。
【0094】
抗体をコードする配列を含有しそして発現するために様々な発現ベクター/宿主系を利用することができる。これらには、組換えバクテリオファージ、プラスミドもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌のような微生物;酵母発現ベクターで形質転換した酵母;ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)もしくは細菌発現ベクター(例えば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;または動物細胞系が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0095】
制御要素もしくは調節配列は、転写および翻訳を実施するために宿主細胞タンパク質と相互作用するベクターの非翻訳領域−エンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域である。そのような要素は、強さおよび特異性が異なり得る。利用するベクター系および宿主により、構成的および誘導性プロモーターを包含する任意の数の適当な転写および翻訳要素を用いることができる。例えば、細菌系にクローン化する場合、BLUESCRIPTファージミド(Stratagene,LaJolla,Calif.)、pSPORT1プラスミド(Life Technologies)などのハイブリッドlacZプロモーターのような誘導性プロモーターを用いることができる。バキュロウイルスポリヘドリンプロモーターは、昆虫細胞において用いることができる。植物細胞のゲノム(例えば、熱ショック、RUBISCOおよび貯蔵タンパク質遺伝子)もしくは植物ウイルス(例えば、ウイルスプロモーターもしくはリーダー配列)由来のプロモーターもしくはエンハンサーをベクターにクローン化することができる。哺乳類細胞系において、哺乳類遺伝子からもしくは哺乳類ウイルスからのプロモーターを用いることができる、例えばCMVプロモーター。抗体をコードするヌクレオチド配列の多数のコピーを含有する細胞系を作製することが必要である場合、SV40もしくはEBVに基づくベクターを適切な選択可能なマーカーとともに用いることができる。
【0096】
従って、本発明はまた、本発明の単離された核酸分子(例えば、配列番号:113〜132の重鎖および軽鎖可変領域)を含む組換えベクター、組換えベクターで遺伝子操作されている宿主細胞、ならびに本発明の組換え抗体もしくはそのフラグメントの製造および/もしくは発現にも関する。
【0097】
発現構築物は転写開始、終結のための部位、および転写領域において翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含有することができる。構築物により発現される成熟転写産物のコーディング部分は、最初に翻訳開始そして翻訳されるmRNAの最後に適切に位置する終止コドン(例えば、UAA、UGAもしくはUAG)をさらに含むことができ、UAAおよびUAGが哺乳類もしくは真核細胞発現には好ましい。
【0098】
発現ベクターはまた、少なくとも1つの選択可能なマーカーを含むこともできる。そのようなマーカーには、メトトレキセート(MTX)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)(例えば、米国特許第4,399,216号;第4,634,665号;第4,656,134号;第4,956,288号;第5,149,636号;および第5,179,017号を参照、これらの各々は引用することにより組み込まれる)、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸もしくはグルタミン合成酵素(GS)(例えば、米国特許第5,122,464号;第5,770,359号;第5,827,739号を参照、これらの各々は引用することにより組み込まれる)のような哺乳類細胞マーカー、およびテトラサイクリンもしくはアンピシリン耐性遺伝子のような細菌細胞マーカーが包含されるがこれらに限定されるものではない。上記の宿主細胞の適切な培養培地および条件は、当該技術分野において既知である。適当なベクターは、当業者に容易に明らかで
ある。
【0099】
本発明のDNA、例えば配列番号:113〜132の1つもしくはそれ以上の抗体コード配列を含有するDNA発現ベクターを宿主細胞に導入するための任意の適当な既知の方法を利用することができる。いくつかの既知の方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、陽イオン性脂質媒介トランスフェクション、電気穿孔、形質導入、感染もしくは他の既知の方法が包含される。そのような方法は、Sambrook,et al.,(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Cold Spring Harbor,N.Y.;1989)Vol.1−3,14、16および18章)におけるような、当該技術分野において記述される。
【0100】
当業者は、本発明の抗体もしくはその一部をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系に精通している。
【0101】
本発明の抗体もしくは抗体フラグメントの製造に有用な細胞培養物の実例となるのは、哺乳類細胞である。哺乳類細胞懸濁液もしくはバイオリアクターもまた使用することができるが哺乳類細胞系は細胞の単層の形態であることが多い。完全なグリコシル化タンパク質を発現することができる多数の適当な宿主細胞系が当該技術分野において開発されており、そして例えばAmerican Type Culture Collectionから容易に入手可能である、CHO、CHO−S、COS−1(例えば、ATCC CRL 1650)、COS−7(例えば、ATCC CRL−1651)、HEK293、BHK21(例えば、ATCC CRL−10)、CHO(例えば、ATCC CRL 1610)およびBSC−1(例えば、ATCC CRL−26)細胞系、Cos−7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0−Ag14、293細胞、HeLa細胞などが包含される。
【0102】
これらの細胞の発現ベクターは以下の発現制御配列、例えば、複製起点;プロモーター(例えば、後期もしくは初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(例えば、米国特許第5,168,062号;第5,385,839号)、HSV tk プロモーター、pgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、EF−1アルファプロモーター(米国特許第5,266,491号)、免疫グロブリンプロモーター;エンハンサー、ならびに/もしくはリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT AgポリA付加部位)および転写ターミネーター配列のようなプロセシング情報部位(しかしこれらに限定されるものではない)の1つもしくはそれ以上を含むことができる。本発明の核酸もしくはタンパク質の製造に有用な他の細胞は既知であり、そして/あるいは例えばAmerican Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomasまたは他の既知のもしくは商業的供給源から利用可能である。
【0103】
真核宿主細胞が用いられる場合、ポリアデニル化もしくは転写ターミネーター配列をベクターに導入することができる。ターミネーター配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写産物の正確なスプライシングのための配列もまた含むことができる。スプライシング配列の例は、SV40からのVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773 781(1983))。さらに、当該技術分野において既知であるように、宿主細胞における複製を制御するための遺伝子配列をベクターに導入することができる。
【0104】
抗体の製造を包含する、本明細書において有用な追加の分子生物学技術を記述する一般
的なテキストには、Berger and Kimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques,Methods in Enzymology,Vol.152,Academic Press,Inc.);Sambrook,et al.,(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Cold Spring Harbor,N.Y.;1989)Vol.1−3);Current Protocols in Molecular
Biology,(F.M.Ausabel et al.[Eds.],Current Protocols,Green Publishing Associates,Inc.とJohn Wiley & Sons,Inc.との共同事業(2000年まで補完される));Harlow et al.,(Monoclonal Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988),Paul[Ed.]);Fundamental Immunology,(Lippincott Williams & Wilkins(1998));およびHarlow,et al.,(Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold
Spring Harbor Laboratory Press(1998))が包含され、これらの全ては引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0105】
別の態様において、本発明はまた患者サンプルにおけるMNタンパク質のレベルを特定するための定量的免疫アッセイの使用にも関する。多数の形態を本発明の方法での使用に適応させることができる。例えば、患者サンプルにおけるMNタンパク質の検出および定量は、当該技術分野において一般に既知である他のアッセイの中でも、酵素結合免疫吸着アッセイ、ラジオイムノアッセイ、二重抗体サンドイッチアッセイ、凝集アッセイ、蛍光免疫アッセイ、免疫電子および走査顕微鏡検査により行うことができる。そのようなアッセイにおけるMNタンパク質の定量は、当該技術分野において既知である常法により適応させることができる。1つの態様において、循環するMNタンパク質レベルの連続的変化は、捕獲抗体が支持体の表面上に通常の技術を用いて固定化されているサンドイッチアッセイにより検出しそして定量することができる。
【0106】
適当な支持体には、例えば合成ポリマー支持体、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、置換されたポリスチレン、ポリアクリルアミド(ポリアミドおよびポリビニルクロリドのような)、ガラスビーズ、アガロースおよびニトロセルロースが包含される。
【0107】
本発明の方法において使用することができるELISAサンドイッチ免疫アッセイの例は、捕獲抗体としてマウス抗ヒトMNモノクローナル抗体および検出抗体としてビオチニル化ヤギ抗ヒトMNポリクローナル抗体を用いる。捕獲モノクローナル抗体は、マイクロタイタープレートウェル上に固定化される。希釈したヒト血清/血漿サンプルもしくはMN基準(組換え野生型MNタンパク質)をウェルにおいてインキュベーションして捕獲モノクローナル抗体によるMN抗原の結合を可能にする。ウェルの洗浄後に、固定化したMN抗原をビオチルニル化検出抗体にさらし、その後にウェルを再び洗浄する。次に、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートを加える。最終洗浄の後に、TMB Blue基質をウェルに加えて結合したペルオキシダーゼ活性を検出する。2.5N硫酸の添加により反応を止め、そして吸光度を450nmで測定する。MN基準とサンプルの吸光度値を相関させることによりpg/ml血清もしくは血漿単位のMNの定量値の決定を可能にする。
【0108】
MNタンパク質を同定するために有用な抗体は、任意の常法において標識することができる。標識の例は西洋ワサビペルオキシダーゼであり、そして抗体を標識する方法の例はビオチン−ストレプトアビジン複合体を用いることによる。
【0109】
必要に応じて、トレーサーとして用いる本発明の免疫アッセイにおいて使用する抗体は、可視であるかもしくは可視にすることができるシグナルをもたらす、任意の方法で直接もしくは間接的に標識することができる。検出可能なマーカー物質には、H、125Iおよび131Iのような放射性核種;フルオレセインイソチオシアネートおよび他の蛍光色素、フィコビリタンパク質、フィコエリトリン(phycoerythin)、希土類キレート、テキサスレッド、ダンシルおよびローダミンのような蛍光物質;比色試薬(色原体);コロイド金のような電子不透明材料(electron−opaque materials);生物発光物質;化学発光物質;色素;とりわけ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルファ−、ベータ−ガラクトシダーゼのような酵素;補酵素;酵素基質;酵素補因子;酵素阻害剤;酵素サブユニット;金属イオン;フリーラジカル;または形成される免疫複合体の存在もしくは量を検出するかもしくは測定する手段を提供する任意の他の免疫学的に活性のもしくは不活性の物質が包含される。典型的な酵素基質の組み合わせは、西洋ワサビペルオキシダーゼとテトラメチルベンジジン(TMB)、およびアルカリホスファターゼとリン酸パラニトロフェニル(pNPP)である。
【0110】
本発明の別の検出および定量系は、発光シグナル、生物発光(BL)もしくは化学発光(CL)を生成する。化学発光(CL)もしくは生物発光(BL)アッセイにおいて、強度もしくは全発光を測定し、そして未知の検体の濃度に関連付ける。光は照度計(検出器として光電子増倍管)もしくは電荷結合素子を用いて定量的に、または写真もしくはX線フィルムを用いて定性的に測定することができる。そのようなアッセイを使用する主な利点はそれらの簡単さおよび分析感度であり、非常に少量の検体の検出および/もしくは定量を可能にする。
【0111】
典型的な発光標識はアクリジニウムエステル、アクリジニウムスルホニルカルボキサミド、ルミノール、ウンベリフェロン、イソルミノール誘導体、発光タンパク質、例えばエクオリン、およびホタル、海洋細菌、バルグラ(Vargulla)およびレニラ(Renilla)からのルシフェラーゼである。ルミノールは、場合により4−ヨードフェノールもしくは4−ヒドロキシ−桂皮酸のようなエンハンサー分子とともに用いてもよい。典型的に、CLシグナルは塩基性条件下で酸化剤での処理により生成される。
【0112】
追加の発光検出系は、シグナル(検出可能なマーカー)が基質への酵素反応により生成されるものである。CLおよびBL検出スキームは、とりわけ、アルカリホスファターゼ(AP)、グルコースオキシダーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)およびキサンチン−オキシダーゼ標識をアッセイするために開発されている。APおよびHRPは、一連のCLおよびBL反応により定量することができる2つの酵素標識である。例えば、APは、1−(トリオクチルホスホニウムメチル)−4−(トリブチルホスホニウムメチル)ベンゼンジクロリドのようなエンハンサー分子とともにもしくはそれなしに、アダマンチル1,2−ジオキセタンアリールホスフェート基質(例えば、AMPPDもしくはCSPD;Kricka,L.J.,”Chemiluminescence and Bioluminescence,Analysis by,”Molecular Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference(ed.R.A.Meyers)(VCH Publishers;N.Y.,N.Y.;1995));例えば、4−メトキシ−4−(3−ホスフェートフェニル)スピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−アダマンタン]のような基質で用いることができる。HRPは、2’,3’,6’−トリフルオロフェニル−メトキシ−10−メチルアクリダン−9−カルボキシレートのような基質で用いることができる。
【0113】
CLおよびBL反応は、酵素のだけでなく他の基質、補因子、阻害剤、金属イオンなどの分析にも適応することができる。例えば、ルミノール、ホタルルシフェラーゼおよび海洋細菌ルシフェラーゼ反応は、それぞれ、過酸化物、ATPおよびNADPHの生成もしくは消費の指示反応である。それらはオキシダーゼ、キナーゼおよびデヒドロゲナーゼを伴う他の反応に共役させることができ、そして共役反応(酵素、基質、補因子)の任意の成分を測定するために用いることができる。
【0114】
検出可能なマーカーは、本発明のアッセイにおいて使用する抗体に直接もしくは間接的に連結することができる。検出可能な標識の間接的連結の例は、抗体とマーカー間の結合対の使用もしくはシグナル増幅系の使用である。
【0115】
検出可能なマーカーに抗体を連結するために用いることができる結合対の例は、ビオチン/アビジン、ストレプトアビジンもしくは抗ビオチン;アビジン/抗アビジン;チロキシン/チロキシン結合グロブリン;抗原/抗体;抗体/抗抗体;炭水化物/レシチン;ハプテン/抗ハプテン抗体;色素および疎水性分子/疎水性タンパク質結合部位;酵素阻害剤、補酵素もしくは補因子/酵素;ポリ核酸/相同なポリ核酸配列;フルオレセイン/抗フルオレセイン;ジニトロフェノール/抗ジニトロフェノール;ビタミンB12/内因子;コルチゾン、コルチゾール/コルチゾール結合タンパク質;および特定受容体タンパク質のリガンド/膜結合特定受容体タンパク質である。
【0116】
抗体に直接もしくは間接的に標識を連結する様々な手段は、当該技術分野において既知である。例えば、標識は共有結合的にもしくは非共有結合的に結合させることができる。典型的な抗体結合方法は、Avarmeas,et al.,Scan.J.Immunol.8(Suppl.7):7,1978);Bayer,et al.,Meth.Enzymol.62:308,1979;Chandler,et al.,J.Immunol.Meth.53:187,1982;Ekeke and Abuknesha,J.Steroid Biochem.11:1579,1979;Engvall and Perlmann,J.Immunol.109:129,1972;Geoghegan,et al.,Immunol.Comm.7:1,1978;およびWilson and Nakane,Immunofluorescence and
Related Techniques,Elsevier/North Holland Biomedical Press;Amsterdam(1978)に記述されており、これらの各々は引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0117】
標識の性質により、標識を検出しそして定量するために様々な技術を用いることができる。蛍光物質には、多数の蛍光光度計が利用可能である。化学発光物質には、照度計もしくはフィルムが利用可能である。酵素では、蛍光、化学発光もしくは着色生成物を蛍光分析で、発光分析で、分光光度法でもしくは視覚的に決定するかもしくは測定することができる。
【0118】
アクリジニウム、ベンズアクリジニウムもしくはアクリダンタイプの複素環系を有する様々なタイプの化学発光化合物は、標識の別の例である。アクリジニウムエステルの例には、アクリジニウム、ベンズ[a]アクリジニウム、ベンズ[b]アクリジニウム、ベンズ[c]アクリジニウム、ベンズイミダゾールカチオン、キノリニウム、イソキノリニウム、キノリジニウム、環式置換キノリニウム、フェナントリジニウムおよびキノキサリニウムのような環系を包含する正の酸化状態のヘテロ原子を含有する複素環もしくは環系を有する化合物が包含される。
【0119】
トレーサは、当業者に周知であるように(例えば、Weeks,et al.,Cli
n.Chem.29(8):1474−1479,1983を参照)、アクリジニウムもしくはベンズアクリジニウムエステル上に存在する反応性官能基を直接もしくは間接的に選択した抗体につなぐことにより製造することができる。化合物の例は、アリール環脱離基およびアリール環のパラもしくはメタ位のいずれかに存在する反応性官能基を有するアクリジニウムおよびベンズアクリジニウムエステルである(例えば、引用することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第4,745,181号およびWO94/21823を参照)。
【0120】
使用方法
「処置」という用語には任意の方法、作用、適用、治療などが包含され、ここで、ヒトを包含する患者(subject)(もしくは患者(patient))には、直接もしくは間接的に患者の症状を改善するか、または患者における症状もしくは疾患の進行を遅くするか、または処置下の疾病もしくは疾患の少なくとも1つの症状を改善する目的で医療扶助が与えられる。
【0121】
「組み合わせ治療」もしくは「共治療」という用語は、疾病、症状および/もしくは疾患を処置するための2つもしくはそれ以上の治療薬の投与を意味する。そのような投与には、固定比率の有効成分を有する単一のカプセル剤におけるか、もしくは各阻害剤の複数の別個のカプセル剤におけるような、実質的に同時の方法での2つもしくはそれ以上の治療薬の共投与が包含される。さらに、そのような投与には、順次の方法での治療薬の各タイプの使用が包含される。2つもしくはそれ以上の順次に共投与される治療薬の投与の順序は限定されない。
【0122】
「治療的に有効な量」という語句は、既定の治療処置と関連する不都合な副作用を回避するかもしくは最小限に抑えながら、疾病、症状、および/もしくは疾患の重症度、および/もしくはその症状の改善の目的を果たす投与される各薬剤の量を意味する。
【0123】
「製薬学的に許容しうる」という用語は、対象事項が製薬学的製品における使用に適切であることを意味する。
【0124】
本発明の抗体は、治療薬として有益であると予想される。従って、本発明の態様には、標的症状を処置することにおいて有効である本発明の抗体の量を含有する組成物を当該患者に投与することを含んでなる患者(哺乳類を包含する)における様々な症状を処置する方法が包含される。
【0125】
本発明の抗体は、MNタンパク質と関連する疾病および/もしくは行動の処置もしくは予防において用いることができる。これらの疾病および/もしくは行動には、例えば、腎臓、食道、乳房、頸部、結腸および肺の癌腫のような癌が包含される。本発明はまた、MNが上昇しているかもしくはそうでなければ異常に発現される疾患の症状を改善する方法にも関する。これらの疾患には、腎臓、食道、乳房、頸部、結腸および肺の癌腫が包含されるが、これらに限定されるものではない(例えば、Liao,Cancer Res.57:2827−2831,1997;Turner,Hum.Pathol.28:740−744,1997;Liao,et al.,Am.J.Pathol.145:598−609,1994;Saarnio,et al.,Am.J.Pathol.153:279−285,1998;Vermylen,et al.,Eur.Respir.J.14:806−811,1999を参照)。本発明の1つの態様において、本発明の抗体の治療的に有効な用量をMNが上昇している疾患にかかっている患者に投与する。
【0126】
本発明の抗体は、単独でまたは1つもしくはそれ以上の追加の治療薬と組み合わせて投
与することができる。組み合わせ治療には、本発明の抗体および1つもしくはそれ以上の追加の治療薬を含有する単一の製薬学的投与製剤の投与ならびにそれ自体の別個の製薬学的投与製剤における本発明の抗体および各追加の治療薬の投与が包含される。例えば、本発明の抗体および治療薬は単一の経口投与組成物において一緒に患者に投与することができ、もしくは各薬剤は別個の経口投与組成物において投与することができる。
【0127】
別個の投与製剤が使用される場合、本発明の抗体および1つもしくはそれ以上の追加の治療薬は本質的に同時期に(例えば同時に)もしくは別個に時間差で(例えば順次)投与することができる。薬剤の投与の順序は限定されない。
【0128】
例えば、1つの態様において、抗体/フラグメントもしくは抗癌剤(1つもしくは複数)のいずれかもしくは両方の効果を高めるための1つもしくはそれ以上の抗体剤と一緒の本発明の抗MN抗体もしくは抗体フラグメントの共投与は、癌のようなMN関連疾患を処置することにおける使用が意図される。
【0129】
そのような組み合わせ治療はまた、癌を防ぐか、癌の再発を防ぐか、癌の広がりもしくは転移を防ぐか、または癌と関連する症状を軽減するかもしくは改善するために用いることもできる。
【0130】
1つもしくはそれ以上の抗癌剤には、例えば、化学療法剤、他の免疫治療薬、癌ワクチン、抗血管新生剤、サイトカイン、ホルモン治療、遺伝子治療および放射線治療のような、当該技術分野における任意の既知のそして適当な化合物を包含することができる。化学療法剤(もしくは「抗癌剤」もしくは「抗腫瘍剤」もしくは「癌治療法」)は、癌の処置において役立つ任意の分子もしくは化合物をさす。本発明により意図される化学療法剤の例には、シトシンアラビノシド、タキソイド(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル)、抗チューブリン剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンB、もしくはそのアナログ)、マクロライド(例えば、リゾキシン)、シスプラチン、カルボブラチン、アドリアマイシン、テノポシド、ミトザントロン、ディスコデルモライド、エレウテロビン、2−クロロデオキシアデノシン、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン、チオテパ)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アントラマイシン)、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、フラボピリドール、5−フルオロウラシル、フルダラビン、ゲムシタビン、ダカルバジン、テモゾラミド)、アスパラギナーゼ、バチルス・カルメッテ・グエリン(Bacillus Calmette and Guerin)、ジフテリア毒素、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、LYSODREN.RTM.、ヌクレオシドアナログ、植物アルカロイド(例えば、タキソール、パクリタキセル、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン(CAMPTOSAR,CPT−11)、ビンクリスチン、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン)、ポドフィロトキシン(エピポドフィロトキシン、VP−16(エトポシド)、VM−26(テニポシド)のような誘導体を包含する)、サイトカラシンB、コルチン、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、プロカルバジン、メクロレタミン、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、ドキソルビシン、リポソーム化ドキソルビシン)、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、抗有糸分裂剤、アブリン、リシンA、シュードモナス菌外毒素、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲンアクチベーター、
アルデスロイキン、アルタミン(allutamine)、アナストロゾール(anastrozle)、ビカルタミド、ビアオマイシン(biaomycin)、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン(carboplain)、クロラムブシル(chlorabusil)、クラドリビン、シララビン(cylarabine)、ダクチノマイシン(daclinomycin)、エストラムシン、フロキシウリジン(floxurihe)、ゲムシタビン(gamcitabine)、ゴセレリン(gosereine)、イダルビシン、イホスファミド(itosfamide)、酢酸ロイプロリド(lauprolide acetate)、レバミゾール、ロムスチン(lomusline)、メクロレタミン、酢酸メゲストロール(magestrol)、メルカプトプリン、メスナ、ミトランク(mitolanc)、ペグアスパラガーゼ(pegaspergase)、ペントスタチン(pentoslatin)、ピカマイシン(picamycin)、リウキシルマブ(riuxlmab)、キャンパス−1、ストレプトゾシン(straplozocin)、チオグアニン、トレチノイン、ビノレルビン、またはその製薬学的に許容しうる塩を包含する、その任意のフラグメント、ファミリーメンバーもしくは誘導体が包含されるがこれらに限定されるものではない。1つもしくはそれ以上の化学療法剤を含んでなる組成物(例えば、FLAG、CHOP)もまた、本発明により意図される。FLAGは、フルダラビン、シトシンアラビノシド(Ara−C)およびG−CSFを含んでなる。CHOPは、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシンおよびプレドニゾンを含んでなる。
【0131】
化学療法剤は、例えば、アンジオスタチン、ベバシズマブ(アバスチン(R))、ソラフェニブ(ネクサバール(R))、バキュロスタチン、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体もしくはペプチド、抗胎盤成長因子抗体もしくはペプチド、抗Flk−1抗体、抗Flt−1抗体もしくはペプチド、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP−10、Gro−β、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ポリ硫酸ペントサン、アンジオポエチン2、インターフェロン−アルファ、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラクチンフラグメント、リノミド、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、パクリタキセル、アククチン、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板第4因子およびミノサイクリンのような抗血管新生剤であることができる。理論によって拘束されることなしに、抗血管新生剤の共投与は腫瘍におけるMN発現の増加を都合よくもたらし、それにより本発明の抗体および抗体コンジュゲートに対して腫瘍をより感受性にすることができる。
【0132】
1つの態様において、該化学療法剤は100〜1000mg/m/サイクルの間の用量のゲムシタビンである。1つの態様において、該化学療法剤は200〜4000mg/m/サイクルの間の用量のダカルバジンである。別の態様において該用量は700〜1000mg/m/サイクルの間である。さらに別の態様において、該化学療法剤は25〜50mg/m/サイクルの間の用量のフルダラビンである。別の態様において、該化学療法剤は200〜2000mg/m/サイクルの間の用量のアラビノシド(Ara−C)である。さらに別の態様において、該化学療法剤は1.5〜7.5mg/kg/サイクルの間の用量のドセタキセルである。さらに別の態様において、該化学療法剤は5〜15mg/kg/サイクルの間の用量のパクリタキセルである。さらなる態様において、該化学療法剤は5〜20mg/kg/サイクルの間の用量のシスプラチンである。なおさらなる態様において、該化学療法剤は5〜20mg/kg/サイクルの間の用量の5−フルオロウラシルである。別の態様において、該化学療法剤は2〜8mg/kg/サイクルの間の用量のドキソルビシンである。なおさらなる態様において、該化学療法剤は40〜160mg/kg/サイクルの間の用量のエピポドフィロトキシンである。さらに別の態様
において、該化学療法剤は50〜200mg/kg/サイクルの間の用量のシクロホスファミドである。さらなる態様において、該化学療法剤は50〜150mg/m/サイクルの間の用量のイリノテカンである。なおさらなる態様において、該化学療法剤は3.7〜18.5mg/m/サイクルの間の用量のビンブラスチンである。別の態様において、該化学療法剤は0.7〜2mg/m/サイクルの間の用量のビンクリスチンである。1つの態様において、該化学療法剤は3.3〜1000mg/m/サイクルの間の用量のメトトレキセートである。
【0133】
別の態様において、本発明の抗MN抗体および/もしくは抗体フラグメントは、ハーセプチン(R)、レツキサン(R)(Retuxan)、オバレックス(OvaRex)、パノレックス(Panorex)、BEC2、IMC−C225、ビタキシン、キャンパスI/H、Smart MI95、LymphoCide、Smart I D10およびオンコリム、リツキサン、リツキシマブ、ゲムツズマブもしくはトラスツズマブが包含されるがこれらに限定されるものではない、抗体もしくは免疫モジュレーターのような1つもしくはそれ以上の免疫療法薬と組み合わせて投与される。
【0134】
本発明はまた、アンジオスタチン、サリドマイド、クリングル5、エンドスタチン、セルピン(セリンプロテアーゼ阻害剤)、抗トロンビン、フィブロネクチンの29kDa N−末端および40kDa C−末端タンパク質分解フラグメント、プロラクチンの16kDaタンパク質分解フラグメント、血小板第4因子の7.8kDaタンパク質分解フラグメント、血小板第4因子のフラグメントに対応するβ−アミノ酸ペプチド(Maione et al.,1990,Cancer Res.51:2077)、コラーゲンIのフラグメントに対応する14アミノ酸ペプチド(Tolma et al.,1993,J.Cell Biol.122:497)、トロンボスポンジンIのフラグメントに対応する19アミノ酸ペプチド(Tolsma et al.,1993,J.Cell
Biol.122:497)、SPARCのフラグメントに対応する20アミノ酸ペプチド(Sage et al.,1995,J.Cell.Biochem.57:1329−)、またはその製薬学的に許容しうる塩を包含する、その任意のフラグメント、ファミリーメンバーもしくは誘導体が包含されるがこれらに限定されるものではない1つもしくはそれ以上の抗血管新生剤と本発明の抗MN抗体および/もしくは抗体フラグメントを投与することも意図する。
【0135】
血管新生を抑制しそしてラミニン、フィブロネクチン、プロコラーゲンおよび
EGFのフラグメントに対応する他のペプチドもまた記述されている(Cao,1998,Prog.Mol.Subcell.Biol.20:161による概説を参照)。RGDタンパク質(すなわち、ペプチドモチーフArg−Gly−Aspを保有する)に結合するある種のインテグリンを阻止するモノクローナル抗体および環式ペンタペプチドは、抗血管形成活性を有することが示されている(Brooks et al.,1994,Science 264:569;Hammes et al.,1996,Nature Medicine 2:529)。さらに、アンタゴニストによるウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体の阻害は、血管新生、腫瘍増殖および転移を抑制する(Min et al.,1996,Cancer Res.56:2428−33;Crowley et al.,1993,Proc Natl Acad.Sci.USA 90:5021)。そのような抗血管新生剤の使用もまた、本発明により意図される。
【0136】
別の態様において、本発明の抗MN抗体および/もしくは抗体フラグメントは放射線の処方計画と組み合わせて投与される。
【0137】
本発明の抗MN抗体および/もしくは抗体フラグメントはまた、リンホカイン、腫瘍壊
死因子、腫瘍壊死因子様サイトカイン、リンホトキシン−α、リンホトキシン−β、インターフェロン−β、マクロファージ炎症タンパク質、顆粒球単球コロニー刺激因子、インターロイキン(インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−6、インターロイキン−12、インターロイキン−15、インターロイキン−18が包含されるがこれらに限定されるものではない)、OX40、CD27、CD30、CD40もしくはCD137リガンド、Fas−Pasリガンド、4−1BBL、内皮単球活性化タンパク質またはその製薬学的に許容しうる塩を包含する、その任意のフラグメント、ファミリーメンバーもしくは誘導体が包含されるがこれらに限定されるものではない1つもしくはそれ以上のサイトカインと組み合わせて投与することもできる。
【0138】
本発明の抗MN抗体および/もしくは抗体フラグメントはまた、その例には自己細胞もしくは組織、非自己細胞もしくは組織、癌胎児性抗原、アルファ−フェトプロテイン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、BCG生ワクチン、メラニン細胞系統タンパク質(例えば、gp100、MART−1/MelanA、TRP−1(gp75)、チロシナーゼ、広く共有される腫瘍関連(腫瘍特異的を包含する)抗原(例えば、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、MAGE−1、MAGE−3、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ−V、p15)、腫瘍に関連する突然変異抗原(β−カテニン、MUM−1、CDK4)、非黒色腫抗原(例えば、HER−2/neu(乳癌および卵巣癌)、ヒトパピローマウイルス−E6、E7(子宮頸癌)、MUC−1(乳癌、卵巣癌および膵臓癌)が包含されるがこれらに限定されるものではない、癌ワクチンと組み合わせて投与することもできる。T細胞により認識されるヒト腫瘍抗原については、一般にRobbins and Kawakami,1996,Curr.Opin.Immunol.8:628を参照。癌ワクチンは、精製された調製物であることができもしくはそうでなくてもよい。
【0139】
さらに別の態様において、本発明の抗MN抗体および/もしくは抗体フラグメントはホルモン療法と関連して使用される。ホルモン治療療法は、ホルモンアゴニスト、ホルモンアンタゴニスト(例えば、フルタミド、タモキシフェン、酢酸ロイプロリド(LUPRON)、LH−RHアンタゴニスト)、ホルモン生合成およびプロセシングの阻害剤、ならびにステロイド(例えば、デキサメタゾン、レチノイド、ベタメタゾン、コルチゾール、コルチゾン、プレドニゾン、デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、ミネラロコルチコイド、エストロゲン、テストステロン、プロゲスチン)、抗ゲスターゲン(例えば、ミフェプリストン、オナプリストン)、および抗アンドローゲン(例えば、酢酸シプロテロン)を含んでなる。
【0140】
本発明の抗MN抗体および/もしくはフラグメントは、抗MDR(多剤耐性)表現型剤と組み合わせて用いることができ、例えば共投与することができる。
【0141】
薬剤種類の各々は異なる構造および作用機序を有するにもかかわらず、多くのヒト癌は同時にいくつかの種類の抗癌剤に対する耐性を本質的に発現するかもしくは自然に発生する。培養した哺乳類細胞において模倣することができるこの現象は、一般に多剤耐性(「MDR」)もしくは多剤耐性表現型と呼ばれる。MDR表現型は、ヒト患者における癌の成功した化学療法処置に重大な障害を与える。多数の化学療法剤に対する悪性腫瘍の耐性は、処置の失敗の主要原因である(Wittes et al.,Cancer Treat.Rep.70:105(1986);Bradley,G.et al.,Biochim.Biophys.Acta 948:87(1988);Griswald,D.P.et al.,Cancer Treat.Rep.65(S2):51(1981);Osteen,R.T.(ed.),Cancer Manual,(1990))。最初は細胞毒性薬に感受性である腫瘍は、しばしば、再発するかもしくは多数の化学療法剤に反応しなくなる(Riordan et al.,Pharmacol.Ther.28:51(1985);Gottesman et al.,Trends P
harmacol.Sci.9:54(1988);Moscow et al.,J.Natl.Cancer Inst.80:14(1988);Croop,J.M.et al.,J.Clin.Invest.81:1303(1988))。腫瘍から得られそして選択する細胞毒性薬の存在下で培養した細胞もしくは組織は、その種類における他の薬剤ならびにアントラサイクリン、ビンカアルカロイドおよびエピポドフィロトキシンが包含されるがこれらに限定されるものではない他の種類の薬剤に対する交差耐性をもたらすことができる(Riordan et al.,Pharmacol.Ther.28:51(1985);Gottesman et al.,J.Biol.Chem.263:12163(1988))。従って、単一の薬剤に対する獲得耐性は、構造的にそして機能的に関係のない薬剤の多様な群に対する同時の耐性をもたらす。そのような耐性は、固体形態および液体形態の腫瘍(例えば、血液もしくはリンパ液に基づく癌)の両方の問題であり得る。
【0142】
哺乳類細胞における多剤耐性の1つの主要な機序は、170kDa原形質膜糖タンパク質ポンプシステムの増加した発現を伴う(Juranka et al.,FASEB J 3:2583(1989);Bradley,G.et al.,Biochem.Biophys.Acta 948:87(1988))。多剤輸送体と呼ばれることもある、このポンプシステムをコードする遺伝子は培養したヒト細胞からクローン化されており、そして一般にmdr1と呼ばれる。この遺伝子はいくつかの種類の正常組織において発現されるが、これらの組織におけるmdr1遺伝子産物の輸送される生理的基質は同定されていない。MDR1産物は、エネルギー依存性輸送機能を有する一群のタンパク質、ABC輸送体タンパク質スーパーファミリーのメンバーである。
【0143】
P−糖タンパク質(「P−170」、「P−gp」)として一般に既知である、mdr1遺伝子のタンパク質産物は、上記のエネルギー依存性排出ポンプを構成する170kDaの原形質膜貫通タンパク質である。細胞表面上のP−gpの発現は、多数の抗癌剤を包含する多数の細胞毒性薬に対して細胞を耐性にするために十分である。P−gpに媒介されるMDRは、異なるタイプの腫瘍における腫瘍耐性の重要な臨床成分であるように思われ、そしてmdr1遺伝子発現は異なるタイプの癌における化学療法に対する耐性と相関関係がある。
【0144】
mdr1遺伝子のヌクレオチド配列(Gros,P.et al.,Cell l47:371(1986);Chen,C.et al.,Cell 47:381(1986))は、それがP−糖タンパク質と同様のもしくは同一のポリペプチドをコードすること、およびこれらが細菌輸送体と同様のそして正常な生理的輸送プロセスに関与する膜タンパク質の高度に保存された種類のメンバーであることを示す。mdr1遺伝子の配列分析は、Pgpが2つの相同な(43%の同一性)半分の間に分散している1280アミノ酸からなることを示す。分子の各半分は6個の疎水性膜貫通ドメインを有し、そして各々大きな細胞質ループ内にATP結合部位を有する。分子の約8%のみが細胞外であり、そして炭水化物部分(約30kDa)はこの領域中の部位に結合している。
【0145】
従って、「多剤耐性」もしくは「多剤耐性」表現型を有する哺乳類細胞は、細胞内環境から複数の細胞毒性物質(例えば化学療法剤)を封鎖するか、輸送するかもしくは放出する能力を特徴とすることが理解される。細胞は、単一の化学療法剤(選択毒素)への暴露により課せられる選択圧の結果としてこの表現型を獲得し得る。あるいはまた、細胞毒性物質の輸送は細胞分泌産物、代謝物などの通常の輸送と共通する機序に関連し得るので、細胞は毒素暴露の前に該表現型を示し得る。多剤耐性は、細胞が以前にさらされなかった追加の細胞毒素(他の化学療法剤)を輸送する能力を細胞が獲得する点において選択毒素に対する単純な獲得耐性と異なる。例えば、Mirski et al.(1987),47 Cancer Res.2594−2598は、選択毒素としてアドリアマイシン
(ドキソルビシン)の存在下で、ヒト小細胞肺癌由来のH69細胞系を培養することによる多剤耐性細胞集団の単離を記述する。生存細胞は、アントラサイクリンアナログ(例えば、ダウノマイシン、エピルビシン、メノガリルおよびミトキサントロン)、アシビシン、エトポシド、グラミシジンD、コルヒチンおよびビンカ由来のアルカロイド(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)のならびにアドリアマイシンの細胞毒性効果に耐性であることが見出された。同様の選択培養技術は、追加の多剤耐性細胞集団を生成するために適用することができる。
【0146】
従って、本発明の製薬学的組成物はMDR表現型および/もしくはMDR表現型と関連する症状を抑制するように働く化合物をさらに含むことができる。そのような化合物には、多剤耐性を覆すかもしくは抑制することが既知の薬剤である、特にタモキシフェン、ベラパミルおよびサイクロスポリンAを包含する、MDR成分に特異的な抗体(例えば、抗MDR輸送体抗体)もしくはMDR輸送体の小分子阻害剤のような、当該技術分野における任意の既知のMDR阻害剤化合物を包含することができる(引用することにより本明細書に組み込まれる、Lavie et al.J.Biol.Chem.271:19530−10536,1996)。そのような化合物は米国特許第5,773,280号、第6,225,325号および第5,403,574号に見出されることができ、それらの各々は引用することにより本明細書に組み込まれる。そのようなMDR阻害剤化合物は、化学療法処置を助けるかもしくは高めるためにMDR表現型の検出後にMDR表現型を覆すことを包含する様々な目的のために本発明の抗MN抗体および/もしくはフラグメントと共投与することができる。例えば、タモキシフェン、ベラパミルもしくはサイクロスポリンAのようなMDR阻害剤は、MDR表現型の検出を助けるために本発明の化合物と併せて用いることができる。この態様に従って、基質ドメインに関して画像化化合物を輸送することもしくは「排出すること」におけるMDR輸送系の能力はMDR阻害剤の存在下で減少されるので、MDR阻害剤はMDR癌細胞における本発明の化合物の取り込みおよび蓄積を高めることができる。
【0147】
さらに別の態様において、本発明の抗MN抗体および/もしくは抗体フラグメントは、癌の処置において遺伝子治療プログラムと関連して使用される。インターロイキン−2を分泌する組換え細胞での遺伝子治療は癌、特に乳癌を防ぐかもしくは処置するために本発明の抗体と組み合わせて投与することができる(例えば、Deshmukh et al.,2001,J.Neurosurg.94:287を参照)。
【0148】
例として、癌を処置するために治療的に有用である特定の抗体の能力を評価するために、抗体をマウス異種移植片腫瘍モデルにおいてインビボで試験することができる。所望に応じて、MN抗体は治療評価の前にIgG抗体に転化することができる。この転化は実施例5において記述され、そして治療モデルの例は実施例9において詳述される。抗体活性はまた、実施例12において記述されるように抗体依存性細胞媒介性細胞傷害アッセイを用いて試験することもできる。
【0149】
本発明はまた、患者サンプルもしくは生体サンプルにおいてMNを検出することができる診断方法も提供する。そのような診断方法は、例えば、MNが上昇している疾患を診断するために用いることができる。そのような疾患には、腎臓、食道、乳房、頸部、結腸および肺の癌腫が包含されるがこれらに限定されるものではない。診断に使用する場合、正常サンプルにおける複合体の量より大きい患者からのサンプルにおける抗体−MN複合体の量の検出は、該疾患にかかっている可能性があると患者を同定する。癌組織におけるMNの検出のための免疫組織化学方法は、実施例11において記述される。
【0150】
本発明の別の態様において、異常な量の発現されたMNタンパク質を有するMN関連癌を検出しそして/もしくは視覚化する方法が提供される。そのような方法は、本発明の抗
MN抗体もしくはフラグメントとMN関連癌細胞を接触させること、および医療用画像化モダリティを用いて画像を作成することを含んでなることができ、ここで、抗MN抗体もしくはフラグメントは医療用画像化モダリティにより検出することができる標識ドメインを含んでなる。
【0151】
本発明の検出方法は、インビトロで行うことができる。癌細胞もしくは組織は、例えば、生検または細胞もしくは組織培養のような任意の適当な供給源からであることができる。生検を採取しそして取り除いた組織および/もしくは細胞を維持しそして/もしくは増殖させる方法は、当業者に周知である。多剤耐性のインビトロ検出は、例えば、処置の前に、間にもしくは後に特定の患者の癌が多剤表現型を発生しているかどうかを決定することのような様々な適用を有することができる。
【0152】
本発明の化合物を検出するために使用する画像化モダリティのタイプは、本発明の化合物において使用する特定の標識ドメインにより決まる。例えば、標識ドメインがガドリニウムキレートを含んでなる場合、本発明の造影剤を検出するために典型的にはMRIを使用することができる。放射性核種キレートを標識ドメインとして使用する場合、核画像化法を用いることができる(例えばPET)。蛍光に基づく標識ドメインを使用する場合、例えばFACSシステムもしくは蛍光顕微鏡検査もしくは蛍光自動プレートリーダーのような光学画像化システムを用いることができる。本発明のインビトロ検出方法において使用する適切な画像化モダリティを選択することは、当業者の知識の十分に範囲内である。
【0153】
さらに、本発明のインビトロ検出方法において使用する造影剤の量は当業者により決定され、そしてMDR表現型が存在する程度、例えばMDR輸送系(例えば、P−糖タンパク質)の発現のレベルに依存することができる。当業者は、必要以上の実験なしにMDR表現型を検出するために十分である新規画像化化合物の量、すなわち、検出可能に十分な量を決定することができる。
【0154】
使用する画像化モダリティのタイプは任意の特定のタイプに限定されず、そして例えばMRI、核画像化(例えば、PETもしくはSPECT)、光学的画像化、ソノルミネンス(sonoluminence)画像化もしくは光音響画像化(超音波)を包含することができる。本発明の画像化化合物の特定の標識ドメインは使用する特定の画像化モダリティと適合すべきであることを当業者は理解する。
【0155】
特定の態様において、検出の方法は抗MN抗体もしくはそのフラグメントおよびMRIにより検出することができる適切な標識を利用する。例えば、本発明の抗体もしくはフラグメントは、例えば、常磁性金属キレートもしくは複数のキレートまたは本明細書に記述されるもののいずれかのようなMR造影剤である標識ドメインを含んでなることができる。造影剤はまた、ポジトロン放出断層撮影(PET)もしくは単光子放出コンピューター断層撮影(SPECT)のような核画像化モダリティによる画像化もしくは検出のための放射性核種標識ドメイン、例えば、199Au、72As、141Ce、67Cu、60Cu、52Fe、67Ga、68Ga、51Gr、111In、177Lu、51Mn、203Pb、188Re、97Ru、47Sc、177mSn、94mTc、167Tmおよび90Yのような放射性核種を含んでなることもできる。放射性核種は、例えば、HYNIC、DRPA、EDTA、DOTA、TETA、DTPAおよびBATのような、適当なキレート剤によりもしくは複数のキレート剤によりキレートすることができる。キレート剤が金属を配位する条件は、例えば、Gansow et al.,米国特許第4,831,175号、第4,454,106号および第4,472,509号により記述されており、これらの各々は引用することにより本明細書に組み込まれる。99mTc(テクネチウム−99m)は、核医学部門に一般に利用可能であり、安価であり、最小量の患者放射線量を与え、そして理想的な核画像化特性を有するので、治療および診断適用の
ための特に魅力的な放射性同位体である。
【0156】
患者サンプルを本発明の抗体と接触させることができ、そして次に患者サンプルを抗体−MN複合体の存在についてアッセイすることができる。上記のように、抗体は蛍光、放射性同位体、化学発光もしくは酵素標識、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼもしくはルシフェラーゼのような検出可能な標識を含んでなることができる。
【0157】
場合により、抗体を固体支持体に結合させることができ、それはアッセイの自動化を提供することができる。適当な固体支持体には、ガラスもしくはプラスチックスライド、組織培養プレート、マイクロタイターウェル、チューブ、シリコーンチップ、もしくはビーズ(ラテックス、ポリスチレンもしくはガラスビーズが包含されるがこれらに限定されるものはない)のような粒子が包含されるがこれらに限定されるものではない。共有結合および非共有結合連結、受動的吸収、もしくは抗体および固体支持体に結合している結合部分のペアの使用を包含する、当該技術分野において既知である任意の方法を固体支持体に抗体を結合させるために用いることができる。MNおよび抗体の結合は、反応物質を含有するために適当な任意の容器において成し遂げることができる。そのような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管および微小遠心管が包含される。
【0158】
製薬学的組成物および投薬量
本明細書に記述される抗体は、製薬学的に許容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物において提供することができる。製薬学的に許容しうる担体は、非発熱性であることができる。組成物は単独でもしくは安定化化合物のような少なくとも1つの他の薬剤と組み合わせて投与することができ、それは食塩水、緩衝食塩水、デキストロースおよび水が包含されるがこれらに限定されるものではない任意の無菌の生体適合性の製薬学的担体において投与することができる。食塩水、グリシンなどが包含されるがこれらに限定されるものではない様々な水性担体を用いることができる。これらの溶液は無菌であり、そして粒子状物質を一般に含まない。これらの溶液は、通常の周知の滅菌技術(例えば濾過)により滅菌することができる。
【0159】
一般に、「製薬学的に許容しうる担体」という語句は当該技術分野において認められており、そして哺乳類に本発明の化合物を投与するために適当な製薬学的に許容しうる物質、組成物もしくは賦形剤が包含される。担体には、1つの臓器もしくは体の部分から別の臓器もしくは体の部分に対象薬剤を運ぶこともしくは輸送することに関与する、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒もしくは封入材料が包含される。各担体は、製剤の他の成分と適合しそして患者に有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。製薬学的に許容しうる担体として働くことができる物質のいくつかの例には:糖、例えばラクトース、グルコースおよびショ糖;澱粉、例えばコーンスターチおよびジャガイモ澱粉;セルロースおよびその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバターおよび座薬ワックス;油、例えばピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーンオイルおよびダイズ油;グリコール、例えばプロピレングリコール;ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸バッファー溶液;ならびに製薬学的製剤に用いられる他の無毒の適合する物質が包含される。
【0160】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、例えばラルリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味料、香料および芳香剤、防腐
剤および酸化防止剤もまた、本発明の抗体組成物に存在することができる。
【0161】
製薬学的に許容しうる酸化防止剤の例には:水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性酸化防止剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど;および金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが包含される。
【0162】
組成物は、pH調整剤および緩衝剤などのような生理的条件に近づけるために必要とされるような製薬学的に許容しうる補助剤を含有することができる。そのような製薬学的製剤における本発明の抗体の濃度は広く異なることができ、そして選択した投与の特定の形態に従って、主に液量、粘度などに基づいて選択することができる。所望に応じて、1つより多くのタイプの抗体を製薬学的組成物に含むことができる(例えば、MN結合の異なるKを有する抗体)。
【0163】
組成物は、単独でまたは他の薬剤、薬物もしくはホルモンと組み合わせて患者に投与することができる。有効成分に加えて、これらの製薬学的組成物は、製薬学的に使用することができる製剤への活性化合物の処理を容易にする賦形剤および助剤を含んでなる適当な製薬学的に許容しうる担体を含有することができる。本発明の製薬学的組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、非経口、局所、舌下もしくは直腸手段が包含されるがこれらに限定されるものではない任意の数の経路により投与することができる。
【0164】
本発明の組成物は適当な免疫担体、例えばタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチド、例えばアルブミン、ヘモシアニン、チログロブリンおよびその誘導体、特にウシ血清アルブミン(BSA)およびキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、多糖、炭水化物、ポリマーならびに固相をさらに意図する。他のタンパク質由来のもしくは非タンパク質由来の物質は、当業者に既知である。
【0165】
ワクチン、例えば本発明の抗体と一緒の癌ワクチンに関する態様において、本発明の組成物はアジュバントと共にもしくはそれなしに投与することができる。投与は、任意のアジュバント誘導毒性を回避するためにアジュバントの不在下で実施することができる。本発明が関係する当業者、例えば癌を専門とする医師は、アジュバントを使用すべきかもしくはすべきでないかを確かめる方法を認識しそして理解し、そして患者の病歴、家族データ、毒性データ、アレルギー関連試験結果などによって決まることができる。アジュバントを使用する態様において、アジュバントが防御IgG抗体のような防御抗体の形成を促進することは好都合である。当業者に既知である任意の適当なアジュバントが本発明により意図され、そして本発明に容易に適応される。動物にワクチン接種することにおける使用に適当なアジュバントには、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、サポニンおよびその精製成分Quit A、完全フロインドアジュバント(CFA)および不完全フロインドアジュバント(IFA)を包含することができるが、これらに限定されるものではない。硫酸デキストランは、ブドウ球菌細胞表面抗原に対するIgG抗体の強力な刺激因子であることが示されており、そして同様にアジュバントとして適当である。あるアジュバントは獣医適用により好ましい可能性があり、一方、あるアジュバントはヒトにおける使用に好ましいこと、そしてアジュバント毒性はヒトへの化合物の投与の前に当業者により考慮されるべき事項であることが糖業者により理解される。
【0166】
非経口、皮下、静脈内、筋肉内などに適当な製剤;適当な製薬学的担体;ならびに調合および投与の技術は、当該技術分野において周知である方法のいずれかにより準備するこ
とができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,第20版,2000を参照)。本発明の化合物の経口投与のための液状投与形態物には、製薬学的に許容しうるエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が包含される。有効成分に加えて、液状投与形態物は例えば水もしくは他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーンオイル、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物のような当該技術分野において一般に用いられる不活性希釈剤を含有することができる。
【0167】
「非経口投与」および「非経口的に投与する」という語句は、本明細書において用いる場合、通常は注射による、腸内および局所投与以外の投与の形態を意味し、そして静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内注射および注入が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
治療的に有効な用量の決定は、当業者の能力の十分に範囲内である。治療的に有効な用量は、治療的に有効な用量の不在下で明らかである効能と比較して疾病(例えば癌)を効果的に処置するために用いることができる抗体の量をさす。
【0169】
治療的に有効な用量は、動物モデル(例えば、ラット、マウス、ウサギ、イヌもしくはブタ)において最初に概算することができる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与の経路を決定するために用いることもできる。次に、そのような情報は、ヒトにおける有用な用量および投与の経路を決定するために用いることができる。
【0170】
抗体の治療効能および毒性(例えば、ED50−集団の50%において治療的に有効な用量およびLD50−集団の50%に致命的な用量)は、細胞培養もしくは実験動物において標準的な製薬学的方法により決定することができる。毒性:治療効果の用量比は治療指数であり、そして比率、LD50/ED50として表すことができる。動物研究から得られるデータは、ヒト使用のための投薬量の範囲を策定するために用いることができる。そのような組成物に含まれる投薬量は、ほとんどもしくは全く毒性なしにED50を含む循環濃度の範囲内であることができる。投薬量は、用いる投与形態物、患者の感受性および投与の経路によりこの範囲内で異なる。
【0171】
正確な投薬量は、処置を必要とする患者に関連する因子に照らして、医師により決定されることができる。投薬量および投与は、抗体の十分なレベルを提供するためにもしくは所望の効果を維持するために調整することができる。考慮することができる因子には、病状の重症度、患者の一般的な健康、患者の年齢、体重および性別、食事、投与の時間および頻度、薬剤の組み合わせ(1つもしくは複数)、反応感受性および治療への耐容性/応答が包含される。
【0172】
本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを構築し、そしてトランスフェリン−ポリカチオン媒介DNA導入、裸のもしくは封入された核酸でのトランスフェクション、リポソーム媒介細胞融合、DNA被覆ラテックスビーズの細胞内輸送、プロトプラスト融合、ウイルス感染、電気穿孔、「遺伝子銃」およびDEAE−もしくはリン酸カルシウム媒介トランスフェクションが包含されるがこれらに限定されるものではない確立した技術を用いてエクスビボもしくはインビボのいずれかで細胞に導入することができる。
【0173】
抗体の有効なインビボ投薬量は、約5mg〜約500mg/kg患者体重の範囲である。抗体をコードするポリヌクレオチドの投与では、有効なインビボ投薬量は約100ng〜約500mgのDNAの範囲である。
【0174】
本発明の抗体を含有する製薬学的組成物の投与の形態は、抗体を宿主に送達する任意の適当な経路であることができる。例として、本発明の製薬学的組成物は非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、静脈内もしくは鼻腔内投与)に有用であることができる。
【0175】
本開示において引用される全ての特許および特許出願は、引用することにより明白に本明細書に組み込まれる。上記の開示は本発明を一般的に記述する。説明の目的のためにのみ提供されそして本発明の範囲を限定するものではない以下の特定の実施例を参照することにより、より完全な理解を得ることができる。
【0176】
実施例
本明細書に記述される構造、材料、組成物および方法は本発明の代表例であるものとし、そして本発明の範囲はこれらの実施例の範囲により限定されないことが理解される。本発明は開示される構造、材料、組成物および方法へのバリエーションを有して実施できることを当業者は認識し、そしてそのようなバリエーションは本発明の範囲内とみなされる。
【実施例1】
【0177】
ヒト組み合わせFabライブラリー(HuCAL Gold)の構築
HuCAL(R)GOLDは、HuCAL(R)技術に基づく抗体ライブラリーである(ヒト組み合わせ抗体ライブラリー;MorphoSys AG,Martinsried/Planegg,Germany)。該ライブラリーは、6つの多様なCDR領域を特徴とするFab形態の合成の完全ヒト抗体ライブラリーを高親和性抗体の選択のためのディスプレイ技術、CysDisplayTM(MorphoSys AG,Martinsried/Planegg,Germany)と組み合わせる。CysDisplayTMは、高親和性を有する特定の抗体の回収を可能にする、ジスルフィド結合を介した表現型−遺伝子型連鎖に基づく1価のファージディスプレイ技術である。
【0178】
ファージディスプレイベクターpMORPH(R)23は、Fabフラグメントの1価のCysDisplayTMを可能にするファージミドベクターである。それは全長gIIIp、Fd鎖(V−C1)および軽鎖(V−C)をコードし、これらは全てエシェリキア・コリのペリプラズムに対応するタンパク質鎖を導く異なる分泌シグナル配列を備えている。ompAおよびphoAシグナル配列は両方とも、重鎖および軽鎖をペリプラズムに運ぶために利用され、そこで、非共有結合相互作用を介した鎖会合が起こる。このディスプレイベクターは、誘導性lacプロモーター/オペレーター領域を保有する。発現の抑制のためのlaqI遺伝子産物は、エシェリキア・コリ宿主株TG1により供給される。Cys−gIIIpおよびFab発現の誘導は、IPTG(イソプロピル−β−D−チオ−ガラクトピラノシド)の添加により行われる。濃縮されたFabプールを制限酵素XbaIおよびEcoRIを用いてpMORPH(R)23からFab発現ベクターpMORPH(R)x9にサブクローン化した。この工程により、システインおよびFd鎖のC末端のリンカー−His6部分は取り除かれ、そしてgIIIpが切り出される。発現ベクターpMORPH(R)x9_Fab_FHは2つのC末端タグ、FLAGおよび6xHisを提供し、従って、Fabタンパク質の検出および精製を容易にする。
【0179】
ファージミドレスキューおよびファージ増幅
TG1細胞中のHuCAL GOLD Fabファージミドを34mg/mlのクロラムフェニコールおよび1%のグルコースを補足した2xTY培地において増幅した。37
℃で30分間のヘルパーファージ感染(VCSM13 〜2−6x1011pfu/ml)の後に、TG1細胞を遠心分離により濃縮した。34mg/mlのクロラムフェニコール、50mg/mlのカナマイシンおよび0.25mMのIPTGを含有する2xTYにおける感染したTG1細胞の22℃で一晩のインキュベーションによりファージを増幅した。ファージを含有する上清をファージパンニングに使用した。
【実施例2】
【0180】
固相パンニング
固相パンニングは、MaxiSorpTMプレート(Nalgene Nunc International,Rochester,NY)もしくはDynabeadsTM(Invitrogen,Carlsbad,CA)をPBSにおいてヒトMNタンパク質(1mg/ウェルもしくは1mg/1mgのビーズ)で被覆することにより実施した。MNタンパク質は、精製のためのC末端hisタグを有するタンパク質の全細胞外ドメインに相当する。MNタンパク質は、当業者に周知である標準的な方法を用いて哺乳類細胞系HKB−11において発現させそしてNi−NTAクロマトグラフィーにより精製した。結合したMNタンパク質を含有するウェルをPBS中5%のミルクでブロックし、PBSにおいて洗浄し、続いて1x1012のHuCAL GOLD Fabファージを含有するあらかじめブロックしたHuCAL GOLDファージライブラリーのアリコートと室温で2時間インキュベーションした。結合したファージを洗浄し、そして次にpH8.0の10mM Trisバッファー中20mMのDTTで溶出した。ファージ増幅を上記のように各回の間に行って3回のパンニングを行った。非特異的結合を減らすために各回のパンニング間で洗浄ストリンジェンシーを増加した。
【実施例3】
【0181】
エシェリキア・コリにおける発現のための選択したFabフラグメントのサブクローニング
ELISAスクリーニングのための可溶性Fabの迅速な発現を容易にするために選択したFabをpMORPH(R)23ディスプレイベクターからpMORPH(R)x9_Fab_FH発現ベクターにクローン化した。pMORPH(R)23ベクターのDNA調製物をEcoRIおよびXbaIで消化し、このようにして全Fabをコードするフラグメント(ompA−VL−VLおよびphoA−Fd)を切り出した。その後の精製後に、調製したpMORPHx9_Fab_FH ベクター(同様にEcoRI/XbaIで消化しそして精製した)にフラグメントを連結した。Fabインサートを含有するベクターを電気穿孔によりコンピテントエシェリキア・コリTG1 F−細胞にトランスフェクションした。形質転換したエシェリキア・コリ細胞を34mg/mlのクロラムフェニコールおよび1%のグルコールを含有するLBプレート上で37℃でo/n培養した。コロニーを選択し、そして34mg/mlのクロラムフェニコールおよび1%のグルコールを含有する培養培地に置いた。グリセロールを20%になるように加え、そしてこれらのストックスターター培養物をELISAに必要とされるまで−80℃で保存した。精製されたFabを得るために、このベクターを保有するエシェリキア・コリ形質転換体を当業者に周知である方法を用いて典型的には多数の1L振盪フラスコ培養において培養し、採取し、そしてNi−NTA親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。
【実施例4】
【0182】
ELISAによるMNに結合するFabフラグメントの同定
Maxisorp 96ウェルELISAプレートをPBS中5mg/mlの濃度の精製されたヒトMNタンパク質の溶液100ml/ウェルで被覆した。開始ストック培養物から34mg/mlのクロラムフェニコールを含有する2xTY培地において培養したエシェリキア・コリ形質転換体を用いてFabを発現させた。採取の12時間前にIPTG(0.5mMの最終濃度)の添加によりFab発現を誘導した。細胞を溶解し、そしてM
NをプレコートしそしてミルクでブロックしたMaxisorpプレートのウェル内で100mlの溶解物を室温で2時間インキュベーションした。次に、非特異的結合を除くためにプレートをTBSおよびTweenを含有するTBSにおいて洗浄した。結合したFabは、アルカリホスファターゼに連結したヤギ抗ヒト(Fab’)抗体(Pierce Chemical,Rockford,IL)で検出した。基質AttoPhos(Roche Diagnostics,Alameda,CA)を製造業者の説明書に従って使用し、励起は430nmであり、そして発光は535nmで読み取った。
【0183】
多数のエシェリキア・コリ形質転換体がFabを発現し、それは>10のELISAにおけるシグナル:ノイズ比を示した。VHおよびVL領域のDNAシークエンシングにより50を超えるユニークなMN結合Fabが同定された。それらの機能特性に基づく10個の抗体の全VHおよびVLのDNAおよびタンパク質配列をそれぞれ図3および4に示す。これらの10個の開示される抗体の各々は、哺乳類発現細胞系、HKB−11から単離された精製MNタンパク質にELISAにより結合した(図5)。調べた抗体はまた、MNの細胞外ドメインをコードするバキュロウイルスを感染させたsf9昆虫細胞から単離された精製MNとも反応し(図5)、ELISA相互作用がMNタンパク質に特異的であり、そしてタンパク質調製物における任意の微量の汚染物質にではないことを示す。BIAcoreTMアッセイにおいて、本発明の抗体は1nM(1x10−9M)〜約50nM(5.0x10−8nM)の範囲のKでヒトMNに特異的に結合する(図5)。
【実施例5】
【0184】
MNに結合するFabおよびIgGの同定
MNタンパク質と本発明の抗体との間の結合相互作用をBIAcore 3000装置(BIAcore,Uppsala,Sweden)上で表面プラズモン共鳴技術を用いて分析した。全長IgG(1e4,1aa1および3ee9)の結合には、標準的なアミンカップリングキット(BIAcore,Uppsala,Sweden)を用いてヤギ抗ヒトIgG Fcを高密度でCM5バイオセンサーチップに共有結合的に連結した。次に、300応答単位BIAcoreシグナルを目指して、捕獲アッセイを用いてこれらのIgGを抗ヒトIgG Fc固定化表面に結合した。BIAcoreを25℃およびPBS/0.05%Tween 20を含有するかもしくは10mM Na−HEPES、pH7.5/150mM NaCl/3mM EDTA/0.005%Tween 20を含有する10ml/分のランニングバッファーの流速で操作した。リガンド結合後に、流速を次に25ml/分に上げ、そして会合相をモニターすることができるように様々な濃度のMN検体(例えば、50nM〜1nMの範囲)を10分間表面上に流した。次に、解離が35分間進み、続いて100mlの10mMリン酸で100 ml/分で抗ヒトIgG
Fc固定化表面を再生した。速度定数を計算するために1:1ラングミュア結合モデルを用いてセンサーグラムをフィッティングした。抗ヒトFab IgGをチップ上に固定し、そしてMN結合の評価の前にFabを捕獲するために用いたことを除いて、MNへのFabの結合を同様に決定した。図5は、精製MNタンパク質への開示される抗体の結合の得られる結合定数を示す。抗体の各々は、0.15〜50nMの間であるKd値を示してMNに結合した。
【実施例6】
【0185】
293F細胞における一時的発現抗体発現のためのHuCAL免疫グロブリン発現ベクターの構築
重鎖発現ベクター.pcDNA3.1+(Invitrogen,Carlsbad,CA)のマルチクローニング部位を取り除き(NheI/ApaI)、そしてHuCALに使用した制限部位と適合する部位をリーダー配列(NheI/EcoRI)、VHドメイン(EcoRI/BlpI)および免疫グロブリン定常領域(BlpI/ApaI)の連結のために挿入した。リーダー配列(EMBL M83133)は、コザック配列(K
ozak,Nucleic Acid Res.15:8125−8148,1987)を備えていた。ヒト IgG1(PIR J00228)、IgG4(EMBL K01316)および血清IgA1(EMBL J00220)の定常領域を約70塩基の長さを有する重複するオリゴヌクレオチドに分けた。HuCAL設計と適合しない制限部位を除くためにサイレント突然変異を導入した。オリゴヌクレオチドは、重複伸長PCRによりつなぎ合わせた。
【0186】
軽鎖発現ベクター.pcDNA3.1/Zeo+(Invitrogen,Carlsbad,CA)のマルチクローニング部位を2つの異なる部位で置き換えた。k部位は、kリーダー(NheI/EcoRV)、HuCAL−scFv Vk−ドメイン(EcoRV/BsiWI)およびk鎖定常領域(BsiWI/ApaI)の挿入のための制限部位を与えた。l部位における対応する制限部位は、NheI/EcoRV(lリーダー)、EcoRV/HpaI(Vlドメイン)およびHpaI/ApaI(l鎖定常領域)であった。kリーダー(EMBL Z00022)ならびにlリーダー(EMBL L27692)は両方とも、コザック配列を備えていた。ヒトk鎖(EMBL J00241)およびl鎖(EMBL M18645)の定常領域は、上記のように重複伸長PCRにより組み立てた。
【0187】
Fabからの全長IgGの作製.エシェリキア・コリ発現ベクターpMORPHx9_Fab_FH内に含有されるFab重鎖配列をMfeI/BlpIで切断することにより切り出し、そしてEcoRI/BlpIで切断した上記の重鎖発現ベクターに連結した。pMORPHx9_Fab_FH内に含有されるFabカッパ軽鎖配列をEcoRV/BsiWIで切り出し、そしてEcoRV/BsiWIで同様に切断した上記のカッパ軽鎖発現ベクターに連結した。pMORPHx9_Fab_FH内に含有されるFabラムダ軽鎖配列をEcoRV/HpaIで切り出し、そして上記のラムダ発現ベクターに連結した。
【0188】
全長IgGの大規模一時的発現.Cellbag 20L/0(Wave Biotech LLC,Somerset,NJ)を9.3LのFreestyle 293発現培地(Invitrogen)において0.25x10の293F細胞/ml(Invitrogen)で接種した。細胞を1x10/mlの密度まで培養し、そして293fectin試薬(Invitrogen)を含有する350mlのOptimem(Invitrogen)における全長抗体をコードする各々5mgの軽鎖発現ベクターおよび重鎖発現ベクターの添加によりトランスフェクションした。37℃で96時間の発酵後に、細胞培養上清を遠心分離により採取し、無菌濾過し、pH7.6に調整した接線流濾過により濃縮し、そして次に標準的なプロテインAカラムクロマトグラフィー(Amersham Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)に供した。
【実施例7】
【0189】
細胞接着アッセイ
PBS中の精製されたMNの1mg/mL溶液の50mLを無処理の96ウェルプレート上に4℃で一晩吸着させた。溶液を除き、そしてウェルをPBSで3xすすいだ。ウェルをRPMI1640倍地中50%のFBS200μLで1時間ブロックした。次に、ウェルをPBS中1%のBSAにおける100μgの1e4抗MN抗体、PBS中1%のBSAにおけるコントロールIgGもしくはPBS中1%のBSAで処理した。PBSで洗浄した後に、5000のMaTu細胞(MN+細胞)をウェルに加え、そしてプレートを37℃で5%COで一晩インキュベーションした。MN被覆ウェルへのMaTu細胞の接着を阻止する抗MN抗体の能力をPBSでの洗浄後に評価した。この実験の例は図6に示され、ここで、100μgの抗MN抗体1e4は細胞接着を阻止し、一方、コントロール
IgGもしくはバッファー賦形剤はそうしない。
【実施例8】
【0190】
免疫コンジュゲートでの皮下異種移植片癌モデル
当該技術分野において既知であるプロトコル(例えば、Liu,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.93:8618−8623,1996.)を用いて抗MN抗体を細胞毒性小分子に連結した。ヒト乳房異種移植片、MaTu細胞を10%FBSを補足したRPMIにおいて接着培養物として維持した。Ncrヌードマウス(8〜12週齢)に0.1mLの80%マトリゲル/20%HBSS中5x10細胞を右横腹に皮下接種した。腫瘍が〜180mgの平均サイズに達すると(6日)、処置を開始した。細胞毒性小分子に連結したモノクローナル抗体を10mg/kgの用量で4日ごとに1回i.v.投与した(Q4Dx3)。コントロールマウスは、PBSもしくは非連結モノクローナル抗体で処置した。各動物の健康状態の毎日の検査を行った。各実験群は10匹のマウスからなり、そして投与容量は0.1mL/10g体重であった。各腫瘍の長さおよび幅を週に2〜3回電子カリパスを用いることにより測定し、そして腫瘍重量(mg)を[長さ(mm)x幅(mm)]/2の式に基づいて計算した。研究経過を通して得られる毎日の観察を包含する全てのデータを記録した。腫瘍増殖阻害(TGI)は1−T/Cx100として計算し、ここで、T=処置群からの最終腫瘍重量、そしてC=コントロール群からの最終腫瘍重量。図7は、細胞毒性薬に連結した場合にモノクローナルIgG1
le4が30mg/kgの免疫コンジュゲートで有意な抗腫瘍効果をもたらし、一方、非連結抗体は効果がなかったことを示す。これらのデータは、腫瘍への細胞毒性薬送達の媒体としてのMNタンパク質に対する抗体の治療有用性を示す。
【実施例9】
【0191】
蛍光活性化細胞選別アッセイ(FACSアッセイ)
診断手段としてMN発現について細胞をアッセイすることができる。接着性MN発現PC−3 mm2細胞および非MN発現DLD1細胞を5〜10分間PBS溶液中1:10のトリプシン/バーセン(Versene)でそれらのフラスコからはがした。細胞を沈降させ(1000rpm、5分)、よく冷えたRPMI 10%FBSで1回洗浄し、そしてよく冷えた染色バッファー(Ca MgフリーのPBS、2%BSAおよび0.05%アジ化ナトリウム)に6x10細胞/mlで再懸濁した。25mg/mLの一次抗体、ヒト抗MN IgG1もしくはコントロールヒトIgG1抗体を6x10細胞と氷上で1時間インキュベーションした。結合していない抗体をよく冷えた染色バッファーで細胞から洗浄した。細胞をPBS中2%のホルムアルデヒドで10分間固定し、次に染色バッファーで2回洗浄した。抗ヒトAlexa fluor 488二次抗体(最終濃度.1:200,Molecular Probes/Invitrogen,Carlsbad,CA)を含有する100mlのよく冷えた染色バッファーに細胞ペレットを再懸濁し、そして氷上で1時間インキュベーションした。結合していない抗体をフローバッファー(2%BSAを含有するPBS)で2回細胞から洗浄し、そして細胞を1mLのフローバッファーに再懸濁した。再懸濁した細胞のFACS分析をBeckman FACS Caliber装置で行った。図8は、PC−3 mm2ヒト前立腺癌細胞がFACSによりアッセイした場合にMNを発現し、一方、DLD−1細胞はそうでなかったことを示す。
【実施例10】
【0192】
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害アッセイ(ADCCアッセイ)
抗MN IgGの抗腫瘍活性は、ADCC活性により媒介され得る。MN発現PC−3
mm2細胞および非MN発現HCT−116細胞を250 ng/mL、1000ng/mLもしくは2000ng/mLのヒト抗MN IgG1もしくはコントロールヒトIgG1抗ジゴキシン抗体とインキュベーションする。ヒトPBMCを50:1、25:1
および5:1の比率のエフェクター:標的比でこれらの細胞に加える。標的細胞溶解のレベルを決定するためにクロム−51遊離アッセイを行う。DLDおよびPC−3 mm2細胞の存在下でコントロール抗体もしくは抗体なしのインキュベーションの際に少量の溶解が認められる。溶解のこの自然レベルは、それぞれ、50:1、25:1および5:1の標的エフェクター比について10〜15%、5〜10%もしくは2〜3%である。同様に、非MN発現DLD細胞の溶解は、抗MN抗体とインキュベーションした場合に0〜10%の範囲であった。しかしながら、PC−3 mm2細胞の溶解は、ヒト抗MN IgGとインキュベーションした場合にコントロールより有意に高かった。50:1の標的:エフェクター比で250ng/mL、1000ng/mLおよび2000ng/mLを用いた場合に40、50および60%の溶解が認められた。同様に、25:1の比率で30、33および38%の溶解が認められ、そして最後に5:1の標的:エフェクター比で8、10および15%の溶解が認められた。これらの実験は、ヒト抗MN抗体が抗腫瘍ADCC活性を媒介し、そして癌の治療処置に使用できることを示す。
【実施例11】
【0193】
免疫コンジュゲート
製造
MN細胞表面抗原に対するヒト抗体を多様なヒトFabをコードするファージディスプレイライブラリー(Morphosys)を用いて作製した。この抗体をモノメチルアウリスタチンE(MMAE)(Fransisco et al.,Blood,2003,102:1458−1465)に連結した(図9)。
【0194】
インビトロ活性および選択性
3ee9/MMAEの抗体部分(3ee9)は、1010のヒトFabフラグメント(Fabは抗体の抗原結合部分である)からなるMorphoSysファージライブラリーに対するヒトMNの精製された細胞外ドメインのインビトロ「パンニング」により同定された。活性FabをMN陽性細胞への添加の際に選択的に結合しそして内在化を受けるそれらの能力についてさらに調べた。次に、得られる活性Fabを全長ヒトIgG1抗体に転化し、CHO細胞において発現させ、精製し、そして次にトキソフォア(toxophore)、MMAE(Liu et al,Proc Natl Acad Sci,1996,93:8618−8623)に連結した。次に、連結抗体をMN発現細胞を殺すそれらの能力について試験した。試験した7つの全長抗体のパネルから、3ee9/MMAEをインビトロおよびインビボアッセイの両方におけるその結合特性、選択性および効能に基づいて選択した。
【0195】
表面プラズモン共鳴(Biacore)材料および方法
HKB11により発現されるヒトMNタンパク質とヒト全長抗MN MAbとの間の結合相互作用をBIAcore 3000装置(BIAcore,Uppsala,Sweden)で表面プラズモン共鳴技術を用いて分析した。チップ調製には、ヤギ抗ヒトIgG Fcを標準的なアミンカップリングキット(BIAcore,Uppsala,Sweden)を用いてCM5バイオセンサーチップに共有結合的に連結した。次に、300共鳴単位BIAcoreシグナルを目指して、捕獲アッセイを用いて興味のある抗体を抗ヒトIgG Fc固定化表面に結合した。BIAcoreは、25℃で10ul/分の流速および10mM Na−HEPES、pH7.5/150mM NaCl/3mM EDTA/0.005%Tween 20を含有するランニングバッファーで操作した。リガンド結合後に、流速を25ul/分に上げ、そして会合相をモニターすることができるようにMN検体(50nM〜1nM)を表面上に10分間流した。次に、解離が35分間進み、続いて10mMのリン酸で100ml/分で抗ヒトIgG Fc固定化表面を再生した。速度定数を計算するために1:1ラングミュア結合モデルを用いてセンサーグラムをフィッティングした(以下の表1)。
【0196】
【表1】

【0197】
抗体結合
3ee9/MMAEは、Biacore技術を用いて精製MNタンパク質に3.6nMのkDを有することが示され、それは非連結抗体3ee9の親和性と同じであった。13個の他のカルボニックアンヒドラーゼへの検出可能な結合はなかったので、MN(CA IX)への結合は特異的であると思われた。ミトコンドリア関連CA5への結合が認められたが、このアイソザイムはインビボで抗体に近づくことはできない。
【0198】
FACS分析により、3ee9/MMAEはMN発現MaTu細胞に結合するがMN陰性DLD細胞にはそうでないことが示された(図10a)。MN抗体G250、ヒト化IgG1抗体、(Wilex)をインビトロ研究を通して基準として用いた。それは5.3nMのKdでMNに結合し、そして3ee9/MMAEと同様のMN+およびMN−細胞系への結合プロフィールを示した。
【0199】
同様の結果が抗体1E4および1aa1免疫コンジュゲートについて得られ(それぞれ、図10bおよび10c)、それらはMN+細胞への結合を示したが、MN−細胞にはそうでなかった。
【0200】
抗体内在化
Cellomicsにより測定した場合に、3ee9/MMAEは、MN発現細胞(PC3mm2)により選択的に内在化されたが、MN陰性細胞(DLD1)ではそうでなかった(図11a)。同様に、1E4免疫コンジュゲートは、MN+細胞(PC3mm2)により内在化されるが、MN−(DLD1)細胞ではそうでないことが見出された(図11b)。
【0201】
免疫沈降
特異性をさらに研究するために、ビオチンで選択的に標識したMN+(Pc3mm2)およびMN−(DLD−1)細胞系の細胞溶解物と3ee9/MMAEの抗体部分(3ee9)および基準抗体G250を包含する様々な候補抗体をインキュベーションした。抗体と細胞タンパク質との間の複合体を免疫沈降させ、そして酵素結合ストレプトアビジンで発色させる免疫ブロットを用いて共沈した抗原を視覚化した。G250および3ee9/MMAEの3ee9抗体は両方とも選択的に結合し、そしてMN+細胞からMNと同じサイズの単一バンドと共免疫沈降した(図12)。3ef2、5aa3および5A6のようなより低い特異性の抗体は、MNに加えていくつかの他のタンパク質を共免疫沈降した。
【0202】
細胞毒性
インビトロ細胞毒性アッセイを実施した。3ee9/MMAEは、MN発現PC3mm
2細胞に対して高度に細胞毒性を有するが(EC50=50nM)、MN陰性MIAPaca2細胞に対してはそうでないことが見出された(図13a)。1uMほどの高い用量でさえMN陰性細胞の10%未満の死滅しか見られなかった。1A4免疫コンジュゲートもまた、インビトロ細胞毒性アッセイにおいてMN+細胞(PC3mm2およびMaTu)に対して選択的に細胞毒性を有するが、MN−細胞(MIAPaca2およびDLD1)に対してはそうでないことが見出された(図13b)。さらに、1aa1免疫コンジュゲートは、インビトロ細胞毒性アッセイにおいてMN+細胞(PC3mm2)に対して選択的に細胞毒性を有するが、MN−細胞(MIAPaca2)に対してはそうでないことが見出された(図13c)。
【0203】
3ee9/MMAEにより送達される細胞毒性薬MMAEは、G2/M停止をもたらす細胞有糸分裂中の紡錘体形成を妨げるチューブリン阻害剤である。3ee9/MMAEでのMN発現細胞(Pc3mm2)およびMN非発現細胞(H460)の処置の効果を図14に示す。チューブリンは、蛍光標識抗体で染色される。未処置の細胞は正常な紡錘体形成を示し、一方、処置したMN発現細胞はMMAEとのチューブリン結合および正常な紡錘体形成の阻止に起因する断片化繊維を示した。MN非発現細胞において活性は見られなかった。これらの研究は、抗体薬剤コンジュゲート3ee9/MMAEが標的化チューブリン破壊によって細胞を殺すことを裏付けた。
【実施例12】
【0204】
免疫コンジュゲートのインビボ活性
皮下移植したヒト異種移植片癌モデルに対する3ee9/MMAEのインビボ薬理学
3ee9/MMAEは、間欠スケジュールで静脈内経路によって投与した場合に無胸腺マウスにおける多数のヒト異種移植片腫瘍モデルの増殖への有意なそして一貫した抗腫瘍効果を示す。3ee9/MMAEのインビボ抗腫瘍効果を6つの異なるヒト異種移植片腫瘍モデルにおいて調べた。これらのモデルは、メス無胸腺NCr(nu/nu)マウス(Taconic,NY)へのヒト腫瘍細胞の皮下移植によって樹立した。評価したヒト腫瘍異種移植片モデルには、MaTuヒト乳癌モデル、HT−29およびColo−205ヒト結腸直腸癌(CRC)モデル、PC3MM2前立腺癌モデル、HCT−15多剤耐性(P−gp)CRCモデルおよびMiaPaCa2ヒト膵臓モデルが包含された。PBSを賦形剤として使用し、そして投与溶液は毎日新たに調製した。投与容量は0.1mL/10g(10mL/kg)であった。
【0205】
各腫瘍の長さおよび幅を週に2〜3回電子カリパスを用いて測定し、そして腫瘍重量(mg)を[長さ(mm)x幅(mm)]/2の式に基づいて計算した。研究経過を通して得られる毎日の観察を包含する全てのデータは、抗腫瘍データ収集システム(ADAS)において記録した。最大耐容用量(MTD)は、20%より大きい死亡率および/もしくは20%の正味の体重減少をもたらさない最も高い用量として定義される。腫瘍増殖阻害(TGI)は(1−T/C)x100として計算され、ここで、T=最後の投与後の処置群からの最終腫瘍重量、そしてC=最後の投与後のコントロール群からの最終腫瘍重量。さらに、抗腫瘍効能は、それらの最初のサイズの50%を有する腫瘍として定義される応答(もしくは応答物(responder)もしくは退縮)の発生率として測定した。応答が永続的と見なされるには7日の最小期間が必要とされる。
【0206】
MaTu異種移植片モデルにおける3ee9/MMAEの効能
ヒト乳房異種移植片、MaTu細胞を10%のFBSを補足したRPMIにおいて接着培養物として維持した。NCrヌードマウス(8〜12週齢)に0.1mLの80%マトリゲル/20%HBSS中5x10の細胞を右横腹に皮下接種した。腫瘍が〜180mgの平均サイズに達すると(7日)、処置を開始した。BAY 79−4620(3ee9−IC)を1、3および10mg/kgの用量で4日ごとに1回i.v.投与した(Q
4Dx3)。コントロールマウスは、PBSもしくは10mg/kgの用量の非連結モノクローナル抗体で処置した。
【0207】
各動物の健康状態の毎日の検査を行った。各実験群は10匹のマウスからなり、そして投与容量は0.1mL/10g体重であった。各腫瘍の長さおよび幅を週に2〜3回電子カリパスを用いることにより測定し、そして腫瘍重量(mg)を[長さ(mm)x幅(mm)]/2の式に基づいて計算した。研究経過を通して得られる毎日の観察を包含する全てのデータを記録した。腫瘍増殖阻害(TGI)は1−T/Cx100として計算され、ここで、T=処置群からの最終腫瘍重量、そしてC=コントロール群からの最終腫瘍重量。
【0208】
3ee9/MMAEは調べた全ての用量で良好な耐容性を示し、全ての処置動物は有意な体重減少を示さなかった。MaTu腫瘍モデルにおける3ee9/MMAEの代表的な効能を図15に例示する。未処置および賦形剤処置コントロール群の両方からの腫瘍は、全ての動物において次第に増大した。コントロールおよび賦形剤群における動物の平均倍加時間は11.2日であった。投与の最後に、3ee9/MMAEは調べた全ての用量で強い抗腫瘍効能を示した。さらに特に、BAY79−4620(3ee9−IC)は、それぞれ、1、3および10mg/kgで67、72および78%のTGIをもたらした。比較して、非連結3ee9 mAbは、この乳房異種移植片腫瘍の増殖を阻害することにおいて有意な効果がなかった。
【0209】
既定の投与処方計画(Q4Dx3)の完了後に、腫瘍増殖遅延および退縮への3ee9/MMAEの効果を決定した。図15に示されるように、3ee9/MMAEの処置は有意な腫瘍増殖遅延および退縮をもたらした。調べた最も低い用量(1mg/kg)で、処置の中止後に、腫瘍は〜2週間安定なままであり、そしてその後に再び増殖し始めた。全体で、30%の腫瘍が1mg/kgのこの処置に応答した。比較して、100%の動物が3および10mg/kgで調べた場合に応答した。注目すべきは、処置の中止後〜3ヶ月後でさえ、それぞれ、3および10mg/kg群において3および1つの腫瘍のみが再増殖の徴候を示し、70および90%の動物が処置の中止後〜90日後でさえ腫瘍のないままであることを示した。
【0210】
モノクローナルIgG1 1E4は、細胞毒性薬に連結した場合に、30mg/kgの免疫コンジュゲートで投与すると、ヒト乳房異種移植片、MaTuに対して有意な抗腫瘍効果をもたらし、一方、非連結抗体は効果がなかった(図16)。同じプロトコルを使用するが、抗体1aa1(図17)、3ee9および5aa3の連結形態を代用するさらなる実験は、同様な結果を与えた。さらに、3ee9の連結形態を使用する場合、HT−29およびColo−205ヒト結腸直腸癌異種移植片モデルおよびPC3−mm2、ヒト前立腺異種移植片モデルを包含する様々な組織学的タイプ由来の他の異種移植片モデルにおいて抗腫瘍効果が見られた。これらのデータは、腫瘍への細胞毒性薬送達の媒体としてのMNタンパク質に対する抗体の治療有用性を示す。
【実施例13】
【0211】
MaTu異種移植片モデルにおける3ee9/MMAEの治療指数決定
3ee9/MMAEの最大耐容用量(MTD)、最小有効用量(MED)および治療指数(TI)をMaTu異種移植片腫瘍保有マウスを用いて決定した。TIは、MEDで割ったMTDの比率として定義される。3ee9/MMAEを合計3回の注射にわたって4日目ごとに1回静脈内投与した(Q4Dx3)。3ee9/MMAEを0.625、1.25、2.5、5.0、10、30および60mg/kgの用量レベルで投与した。コントロールマウスは、PBSもしくは60mg/kgの用量の非連結モノクローナル抗体で処置した。60mg/kgで投与した3ee9/MMAEは、この処置に応答して10%
の死亡率および〜20%の体重減少があったので、MTDであると思われた。全ての他の処置群は、良好な耐容性を示した。
【0212】
3ee9/MMAEの抗腫瘍活性を図18に提示する。投与の最後に、0.625および1.25mg/kgの用量の3ee9/MMAEは、それぞれ、62および81%の阻害をもたらした。2.5、5、10、30および60mg/kgの用量は、腫瘍増殖のより大きい阻害(〜90%)をもたらし、腫瘍の大部分は退縮を示し始めた。認められるデータに基づき、3ee9/MMAEのMEDは0.625mg/kgであった。既定の投与処方計画(Q4Dx3)の完了後に、腫瘍増殖遅延および退縮への3ee9/MMAEの効果を決定した。0.625mg/kgの用量では腫瘍退縮は見られなかった。対照的に、1.25mg/kgに応答して80%の動物が腫瘍退縮を示した。さらに、2.5mg/kg以上の用量で、100%の動物が処置に応答した。3ee9/MMAEの治療指数は、〜96であると決定された。
【実施例14】
【0213】
HT−29異種移植片モデルにおける3ee9/MMAEの効能
ヒトCRC異種移植片、HT−29細胞を0.1mLのHBSS中5x10の細胞で右横腹に皮下接種した。腫瘍が〜120mgの平均サイズに達すると(5日)、処置を開始した。3ee9/MMAEを0.625、1.25、2.5、5.0、10mg/kgの用量で4日ごとに1回i.v.投与した(Q4Dx3)。コントロールマウスは、PBSもしくは10mg/kgの用量の非連結モノクローナル抗体で処置した。さらに、MMAEを0.1、0.2および1mg/kgの用量で遊離の薬剤として評価した。0.1および0.2mg/Kgの用量のMMAEは、それぞれ、5および10mg/Kgの3ee9/MEAE上に存在するものと同等量のこの薬剤に相当する。
【0214】
3ee9/MMAEは調べた全ての用量で良好な耐容性を示し、全ての処置動物は有意な体重減少を示さなかった。同様に、より低い用量のMMAE、すなわち、0.1および0.2mg/kgもまた有意でないわずかな体重減少で良好な耐容性を示した。しかしながら、1mg/kgの最高用量で、50%の死亡率が認められ、残りの動物は激しい体重減少を示し、従って有毒であると見なされた。
【0215】
HT−29腫瘍モデルにおける3ee9/MMAEおよび遊離のMMAEの代表的な効能を図19に例示する。未処置および賦形剤処置コントロール群の両方からの腫瘍は、全ての動物において次第に増大した。コントロールおよび賦形剤群における動物の平均倍加時間は6.4日であった。投与の最後に、3ee9/MMAEは調べた全ての用量で強い抗腫瘍効能を示した。さらに特に、0.625、1.25、2.5、5および10mg/kgの用量の3ee9/MMAEは,それぞれ、54、72、97、100および100%のTGIをもたらした。それに対して、0.2mg/kgの遊離のMMAEは60%の有意なTGIをもたらし、一方、0.1mg/kgはこの異種移植片モデルの増殖を阻害することにおいて有意な効果がなかった。腫瘍応答に関して、1.25mg/kgで投与した3ee9/MMAEは退縮を示す20%の動物をもたらした。より高い用量で、腫瘍応答はいっそう大きく、2.5mg/kgは90%の退縮を示し、そして5および10mg/kgは100%の応答を誘導した。対照的に、遊離のMMAEは上記に定義されるようないかなる腫瘍応答を誘導しなかった。
【0216】
3ee9/MMAEの抗腫瘍効果はまた、様々なスケジュール、すなわち、合計2回の投与わたって週に1回の投与(Q7Dx2、図20)および病期診断時に単一の投与(Q1Dx1、図21)においても評価した。両方のスケジュールにおいて、3ee9/MMAEを0.625、1.25、2.5、5および10mg/kgで投与した。スケジュールにかかわらず、3ee9/MMAEはこのCRC異種移植片モデルにおける増殖を阻害
することにおいて非常に有効であった。
【0217】
以下の表2は、3ee9/MMAEの抗腫瘍効能を要約する。抗腫瘍効能は、Q4Dx3スケジュールにおいて3ee9/MMAEに認められるものと非常に類似し、調べたスケジュールにおいて、3ee9/MMAEの抗腫瘍効能がスケジュール非依存性であると思われることを示した。
【0218】
【表2】

【実施例15】
【0219】
PC3mm2およびColo−205異種移植片モデルにおける3ee9/MMAEの効能
3ee9/MMAEの抗腫瘍活性を次にヒト前立腺(PC−3mm2)およびCRC(Colo−205)腫瘍異種移植片に対して評価した。メスNCr nu/nuマウスに5x10のPC3mm2もしくはColo−205細胞のいずれかを皮下に(s.c.)移植した。腫瘍が約125〜150mgの平均サイズのものになると処置を開始した。
マウスの一般的な健康をモニターし、そして毎日記録した。腫瘍寸法および体重を処置の初日から開始して週に2回記録した。
【0220】
PC3mm2およびColo−205研究において、3ee9/MMAEをそれぞれ1、3、10および30mg/kgそして1.25、2.5、5および10mg/kgの用量で合計3回の注射にわたって4日目ごとに1回静脈内(i.v.)投与した(Q4Dx3)。他の研究におけるように、3ee9/MMAEは評価した全ての用量で良好な耐容性を示した。3ee9/MMAEは、10および30mg/kgの用量レベルで投与した場合に、樹立したPC3MM2前立腺腫瘍の増殖を阻害し、100%の動物が応答を示した(図22)。1および3mg/kgのより低い用量で、45〜50%のTGIが投与の最後で認められたように、中程度の効果のみが見られた。しかしながら、20%の動物は3mg/kg群において応答を示した。
【0221】
同様に、Colo−205 CRC異種移植片モデルにおいて、3ee9/MMAEは腫瘍増殖を阻害することにおいて非常に有効であった(図23)。投与の最後に、>90%のTGIが5および10mg/kgの用量について認められ、そして>70%のTGIが2.5mg/kgの用量に応答して見られた。3ee9/MMAEの最も低い用量、1mg/kgは、このCRCモデルに対して比較的効果がなかった。退縮に関して、5および10mg/kgで投与した3ee9/MMAEはそれぞれ40および80%の応答をもたらした。
【実施例16】
【0222】
HCT−15異種移植片モデルにおける3ee9/MMAEの効能
多剤耐性モデルにおける3ee9/MMAEの効果を調べるために、メスNCr nu/nuマウスに5x10のHCT−15細胞を皮下に(s.c.)移植した。HCT−15は、P−糖タンパク質(P−gp)を過剰発現する多剤耐性(MDR)系統である。そのようなものとして、この細胞系は多剤耐性表現型を示し、そしてタキソール(R)、ドキソルビシンおよびエトポシドに耐性を示す。マウスが〜150mgの平均重量を有する腫瘍を樹立すると3ee9/MMAE、タキソールおよびゲムシタビンを投与した。ゲムシタビン、P−gp基質ではないピリミジンアナログは、陽性コントロールとして使用した。予想されるように、ゲムシタビン(120mg/kg,i.p.,QDx10)は、このMDRモデルにおいて非常に有効であった(図24)。対照的に、3ee9/MMAE(MMAEはP−gpの既知の基質である)およびタキソール(R)は、いかなる有意な抗腫瘍効果ももたらすことができなかった。
【実施例17】
【0223】
huMN−MIAPaca2およびMIAPaca2異種移植片モデルにおける3ee9/MMAEの効能
MN発現と抗腫瘍効能との間の関係をよりよく理解するために、低MN発現膵臓モデル、MIAPaCa2および高MN発現huMN−MIAPaCa2モデルを用いて異種移植片効能研究を行った。この後者の系統は、MNを安定に発現するようにMIAPaCa2系統を設計することにより得られた。3ee9/MMAEは、この低MN発現MIAPaCa2系統の増殖を阻害することにおいてわずかな効果しかなかった(図25)。10mg/kgで投与した3ee9/MMAEのみが50%のTGIをもたらした。対照的に、有意な抗腫瘍活性がhuMN−MIAPaCa2モデルに対して3ee9/MMAEに見られ、ここで、投与の最後に、2.5、5および10mg/kgの用量はそれぞれ63、82および94%のTGIをもたらした。さらに、10mg/kgの用量は100%の応答を誘導し、腫瘍においてMNレベルを過剰発現することにより感受性の大きな変化があることを示した。
【実施例18】
【0224】
Colo−205異種移植片モデルにおけるゼローダ(R)との組み合わせ
他の癌化学療法剤と併せて3ee9/MMAEを使用することの実現可能性を調べた。ゼローダ(R)は、転移性結腸直腸癌を有する患者の一次治療として用いられる。3ee9/MMAEおよびゼローダ(R)を使用する併用療法の活性および耐容性を評価した。3ee9/MMAEは、Q4Dx3スケジュールでそして1.25、2.5および10mg/kgの用量レベルでi.v.投与した。ゼローダ(R)は、250および500mg/kgの用量レベルで毎日1回9日間経口投与した。2.5および10mg/kgで単独で投与した3ee9/MMAEは、強い腫瘍増殖阻害をもたらした(それぞれ、73および96%のTGI)(図26a)。しかしながら、3ee9/MMAEの1.25mg/kg群は比較的効果がなく、31%のTGIのみをもたらした。250および500mg/kgの用量レベルで単独で投与したゼローダaもまた、それぞれ、78および86%の強いTGIをもたらした。
【0225】
応答に関して、3ee9/MMAEの10mg/kg群は80%の応答率を誘導し、一方、ゼローダの両方の用量群における0%の動物が任意の退縮を示した。全ての組み合わせ処置群は良好な耐容性を示し、そして腫瘍増殖の有意な阻害ならびに応答率をもたらした。これら2つの薬剤を組み合わせることによるTGIおよび腫瘍応答を詳述する定量的データを図26aおよび26b、ならびに以下の表3に示す。調べた用量において、ゼローダ(R)と組み合わせた3ee9/MMAEの抗腫瘍活性は、単一の薬剤として投与した3ee9/MMAEもしくはゼローダ(R)のいずれかのものよりはるかに優れていた。最後に、耐容性に関して、これらの治療薬の投与は不都合な反応なしに良好な耐容性を示した。
【0226】
【表3】

【実施例19】
【0227】
両側に移植したヒト異種移植片癌モデルに対する3ee9 mAbのインビボ分布/腫瘍局在性
3ee9/MMAEのmAb成分のインビボ分布および腫瘍局在性を決定するために、高および低MN発現の両方を示す腫瘍の両側移植を受けたマウスにおいてCRI MaestroTMを用いて非浸襲性インビボ画像化研究を行った。マルチスペクトル収集および分析を有するMaestroTMインビボ画像化システム(CRI,Woburn,MA)を自己蛍光バックグラウンドを除くように設計する。Mab BAY 79−4620の3ee9、M75(MNを認識するマウスモノクローナル)およびコントロールヒトIgGをAlexa Fluor 750(Invitrogen Cat#A20011)と製造業者の説明書に従って連結した。タンパク質/AF750(mol/mol)の比率は、3ee9については1/5.9、ヒトIgGについては8.9、そしてM75については6.0であった。
【0228】
各蛍光標識抗体の注射の12日前に、Harlan Balb/CヌードにMIAPaCa−2(低MN発現;50%のマトリゲル中7.5x10細胞)を右横腹に皮下に、そしてhuMN−MIAPaCa2(MNでトランスフェクションした安定な細胞系;50%のマトリゲル中5x10細胞)を左横腹に皮下に移植した。4mgの連結抗体を各動物に0日(移植後12日)に注射した。4日、5日および10日に画像化を行った。麻酔し(100mg/kgのケタミン/10mg/kgのキシラジン、i.p.)そして画像化システム内部に置いた動物を用いてデータを集めた。マルチスペクトル画像キューブ(一連の画像)は、近赤外(NIR)範囲を含む、680〜950nmのスペクトル範囲の全体にわたって10nmごとの間隔の画像で得られた。
【0229】
各画像は、5秒間感光させた。Maestroソフトウェアを用いてスペクトルキューブからフォールスカラー画像を合成し、そしてImagePro Plus 6.0を用いて可視の明るさにスケーリングした。スケーリングは全ての画像に対して同一であり、最も明るい画像は飽和レベルをわずかに下まわった。大部分の蛍光標識抗体は、肝臓および膀胱に局在する傾向がある。4〜5日後に、シグナルの大部分は次に肝臓および膀胱から減少し、そして腫瘍において安定する。5日に撮った画像は、最も高いシグナル:バックグラウンド比をもたらした(図27)。5日後に、hIgGを注射した動物から生成されるシグナルはほとんどなく、hIgGが腫瘍組織に局在することができなかったことを示す。対照的に、M75および3ee9は両方とも高MN発現(huMN−MIAPaCa2)腫瘍に特異的に局在した。同じ動物における低MN発現MIAPaCa2腫瘍では局在性は見られなかった。
【実施例20】
【0230】
インビボ作用機序
3ee9/MMAEのインビボ作用機序を研究するために腫瘍を5x10のHT−29細胞でマウスの右横腹で皮下に移植した。8日後に、HT−29腫瘍を保有する無胸腺マウスを賦形剤でもしくは1.25および5mg/kg(Q1Dx1)で3ee9/MMAEで処置した。3ee9/MMAEの投与後4時間そして1、3および5日で腫瘍を集め、そしてホルマリンにおいて固定した。次に、サンプルをパラフィンに包埋し、5μmで切片にし、脱パラフィンし、そしてマウス抗体:抗a/b−チューブリン、抗ホスホ−ヒストンH3およびDNAを用いてヒト組織の蛍光免疫組織化学の標準的なプロトコルを使用して染色した。次に、スライドを蛍光顕微鏡下で観察し、そして代表的な画像を3つの別個のカラーチャンネルを通して撮った。
【0231】
3ee9/MMAEは、4hrサンプルでは細胞機序に影響を与えることにおいてほとんど効果がなかった。しかしながら、1日までに、増加した数の細胞がG2/M停止にあり、そして多極紡錘体が明らかに見られた。さらに、減少したレベルのチューブリン染色を観察することができた。次に、これらの効果は3日および5日のサンプルにおいて非常に増幅された。実際に、5日に3ee9/MMAEの5mg/kg用量群におけるほとん
ど全ての細胞は、処置により非常に影響を受けた(図28)。これらのデータは、3ee9/MMAEがチューブリン阻害により癌細胞の増殖に影響を及ぼし、G2/M停止およびアポトーシスをもたらしたことを明らかに示す。
【0232】
以下の表4は、3ee9/MMAEの挙動プロフィールを要約する。
【0233】
【表4】

【実施例21】
【0234】
安定なCHO細胞発現系を用いる3ee9軽および重CDR可変領域に基づく抗MN IgGの発現ベクター構築、トランスフェクション、発現および精製
発現ベクター3ee9H+LpCMVUCOE8の構築
ベクター3ee9pMORPHx9(実施例1〜3に従って得られる)からのカッパおよび重CDR可変領域(それぞれ、配列番号:126および125)を以下のようにベクターH+LpattB(ML Laboratories)に挿入した。3ee9pMORPHx9からの約350塩基対のEcoRV−BsiWI制限酵素フラグメント(前述の実施例、例えば実施例1〜3に従って調製する)をH+LpattBのEcoRV−BsiWI制限酵素部位に挿入してベクター3ee9kappapAttBを生成せしめた。次に、3ee9pMORPHx9からの約350塩基対のMfeI−BllpI制限酵素フラグメントを3ee9kappapAttBのEcoRI−BlpI制限酵素部位に挿入して3ee9H+LpattBを生成せしめた。次に、Gateway BPクロナーゼII酵素ミックス(Invitrogen Cat.#11789−100)を用いて3ee9重および軽コーディング配列(それぞれ、配列番号:126および125)をpDONR221(Invitrogen Cat.#12536−017)と組換えてベクター3ee9H+LpENTRを生成せしめた。ベクター3ee9H+LpCMVUCOE8は、Gateway LRクロナーゼII酵素ミックス(Invitrogen
Cat.#11791−100)を用いて3ee9H+LpENTRとpCMV_UCOE8_DESTとの間の組換えにより生成された。
【0235】
pCMV_UCOE8_DESTの構築は、下記のとおりであった。Gatewayベクター転化カセット(Invitrogen;cat#11828−029)をpCET906のSmaI部位に挿入してベクターpCET906_gwを生成せしめた。ベクターpCET906はML Laboratoriesから入手し、そして引用することに
より本明細書に組み込まれる、Williams et.al.,BMC Biotechnology,(2005),5:17に完全に記述された。次に、pCET906_gwからの約2900塩基対のAgeI制限酵素フラグメントをpCET1015のAgeI部位にクローン化してpCMV_UCOE8_DESTを生成せしめた。ベクターpCET1015もまたML Laboratoriesから入手し、そしてそれはWilliams et al.,上記に記述される。ベクターpCMV_UCOE8_DESTは、ccdB毒素遺伝子に耐性であるエシェリキア・コリ株(例えば、Invitrogen(cat#:C7510−03)から「One Shot ccdB Survival T1細胞」として販売されるもののような)において増やした。3ee9H+LpCMVUCOE8のインサートの完全なヌクレオチド配列、すなわち、ベクター3ee9pMORPHx9から得られる、それぞれ、配列番号:126および125のカッパおよび重CDR可変領域を含んでなるヒトIgG抗MN抗体をコードする完全なヌクレオチド配列を図29に示す。
【0236】
細胞クローン3ee9.25の単離
CHO−S細胞をベクター3ee9H+LpCMVUCOE8でトランスフェクションするために、8mMのL−グルタミンおよびHT(invitrogen)で完全にしそしてPenStrepを欠く2mLのCD CHO(invitrogen#10743−029)に60μgのDNAを希釈した。次に、2mlのCD CHO完全培地を250mlのエルレンマイヤーフラスコに加えた。次に、150μLのDMRIE−C(Invitrogen cat#10459−014)をフラスコに加え、そしてRTで10分間インキュベーションした。次に、希釈したDNAを希釈したDMRIE−Cと混合し、5%COでフラッシュし、そしてRTで30分間インキュベーションした。インキュベーション中に、5x10c/mLで4mlのCHO−S細胞(2x10の総細胞)をCD CHO完全(P/Sなし)において調製した。インキュベーション後に、細胞をDNA−DMRIE−C複合体を有するフラスコに加え、そして次に穏やかに回転させて混合した。次に、フラスコを5%COでフラッシュし、そして125rpmで37℃で4hr振盪した。次に、Pen Strepを有さない32mlのCD CHO完全培地をフラスコに加え、5%COでフラッシュし、そして次にシェーカー(37oC)に一晩戻した。24hr後に、細胞を計数し、沈降させ、そしてプレーティングに適切な細胞密度で20%のならし培地および抗生物質(12.5μg/mlのピューロマイシン)を有するCD CHO完全と5.5mL/LのPenStrepに再懸濁した。細胞を96ウェルプレートにおいて100、300、900および2700細胞/ウェルでプレーティングした。次に、プレートを5%COインキュベーターにおいて約3週間インキュベーションした。プレートを乱さないように注意した。
【0237】
プレート上のウェルの20%未満において単一のコロニーを含有するウェルを有するプレートから個々のクローンを広げた。細胞は、ウェル当たり1mlの選択培地で非組織処理24ウェルプレートに広げた。細胞を約1週間インキュベーションし、その間に500μLの新しい培地を必要に応じて加えた。抗体発現を単一希釈で試験して発現しないクローンを除いた。クローンは、1:5希釈(95uLのTBS/tweenに5uLの上清)を用いて二重反復でELISAにより試験した。0.1未満のOD(光学密度)を与えるクローンを除いた。陽性クローンを非組織処理6ウェルプレートに広げた。次に、5mLの細胞を4x10細胞/mLで接種した。4日のインキュベーション後にタンパク質発現をELISAにより決定した。クローンは、1:50、1:100、1:200および1:400の希釈を用いて試験した。クローン3ee9.25は、最も高い分泌抗体濃度を示した。3ee9.25細胞を2x10細胞/mLで接種して125mLのエルレンマイヤーシェーカーフラスコに移して細胞を懸濁培養に適応させた。
【0238】
抗MN IgGの発現
トランスフェクションしたCHO−S細胞をWave 10リットルバイオリアクター(Wave Biotech,300 Franklin Square Drive,Somerset,New Jersey,08873,USA)に500,000細胞/mlで接種した。細胞を50%CD−CHO培地(Invitrogen 10743)、50%Sigma CHO培地ナンバー5(Sigma 0363)、1%FCS、1xHTサプリメント(Invitrogen 11067−030)、ペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen 15140−122)、8mM L−グルタミン(Invitrogen 25030−081)および12.5μg/mlピューロマイシン(BD 631305)において37℃で5%CO雰囲気下で25rpmで振盪するバイオリアクターで7日間培養した。発酵期間の最後に、使用済みの培養培地を遠心分離により集め、そしてIgG精製の前に無菌濾過した(0.2μM)。
【0239】
抗MN IgGの精製
典型的に、Prep−Scale TFF−2 30kDカードリッジ(Millipore)を用いて10〜20LのIgG含有細胞培養培地を2〜5倍に濃縮した。1M Tris−Clバッファー、pH 7.5を濃縮した培地に50mMの最終濃度になるように加えた。次に、5.0MのNaClを150mMの最終濃度になるように加えた。典型的に、濃縮した培地をPBS、pH7.4で平衡化した30mLのタンパク質セファロースカラム上に載せた。0.1%のTween 20および1mMのEDTAを含有するPBS pH7.4でカラムを洗浄した。次に、カラムをPBSで洗浄し、そして100mMのグリシンバッファーpH3.0で溶出した。収集すると、画分を1M Tris−Cl pH7.8でpH7.5に中和した。精製されたIgGを透析によりPBSに移し、そして濾過(0.2μM)により滅菌した。最終精製抗体調製物を1〜5mg/mLの間に調整し、クーマシーブルーで染色したSDS PAGEゲルにより決定した場合に95%の純度を示し、その際にタンパク質はMr=50kDaの重鎖およびMr 25kDaの軽鎖に対応する2本のバンドとして移動し、1EU/mgタンパク質未満の内毒素レベルおよび10%未満のタンパク質凝集体をSEC HPLCにより決定した場合に有した。調製物はまた、表面プラズモン共鳴、FACSによるMN発現細胞への結合、および自動画像化(Cellomics)により決定されるようなMN発現細胞への内在化によるMN抗原結合の機能性Q.C.にも供した。20Lの合わせた発酵は、典型的に50〜75%の全体的回収で1グラムの精製タンパク質をもたらした。ABI Procise 494 HTシーケンサーを用いる精製された全長3ee9抗体の最終調製物の255pmolのN末端シークエンシングは、成熟カッパ軽鎖の368pmolの以下の予想配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTIT−RASQDINNYLSWYQQKP−をもたらした。これは、mAb 3ee9の成熟Vカッパ1軽鎖に対応するN末端配列と同じである(配列番号:146)。重鎖はエドマンシークエンシングにより検出されず、その配列がブロックされることを示した。
***
【0240】
このように本発明の好ましい態様を詳細に記述したが、本発明の精神もしくは範囲からそれることなしにその多数の明白なバリエーションが可能であるように上記の段落により定義される本発明は上の記述に記載される特定の詳細に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1】抗体相補性決定領域(CDR)のDNA配列を示す。
【図2】抗体相補性決定領域(CDR)のタンパク質配列を示す。
【図3】特定の抗体軽および重鎖可変領域のDNA配列を示し、その各々はCDRおよびフレームワーク領域の両方を含有する。
【図4】特定の抗体軽(VL)および重(VH)鎖可変領域のタンパク質配列を示し、その各々はCDRおよびフレームワーク領域の両方を含有する。
【図5】本発明のMN抗体のMN結合特性を示す。
【図6】抗MN抗体とのインキュベーションによりもたらされるMN被覆プレートへの腫瘍細胞接着の阻止を示す。
【図7】抗MNモノクローナル抗体1e4を含んでなる免疫コンジュゲートでの処置に起因するMaTu腫瘍を含んでなる異種移植片モデルにおけるインビボ抗腫瘍活性を示す。
【図8】その表面上にMNタンパク質を発現するPC3mm2細胞系への抗MN抗体の結合のFACS測定を示す。
【図9】抗体コンジュゲート(MMAEに連結した抗MN抗体)を図式的に示す。
【図10a】MN+(MaTu)細胞に結合するがMN−(DLD)細胞に結合しない3ee9/MMAEを表すFACSプロットを示す。
【図10b】MN+(PC3mm2)細胞に結合するがMN−(DLD)細胞に結合しない1E4免疫コンジュゲートを表すFACSプロットを示す。
【図10c】MN+(PC3mm2)細胞に結合するがMN−(DLD)細胞に結合しない1aa1免疫コンジュゲートを表すFACSプロットを示す。
【図11a】MN+細胞による3ee9/MMAEの内在化およびMN−細胞による内在化の欠如を表す免疫蛍光画像を示す。内在化した3ee9/MMAEは、蛍光として示される。
【図11b】MN+細胞による1E4免疫コンジュゲートの内在化およびMN−細胞による内在化の欠如を表す免疫蛍光画像を示す。内在化した1E4免疫コンジュゲートは、蛍光として示される。
【図12】MN抗体によるビオチニル化細胞表面タンパク質の特異的免疫沈降を表す免疫ブロットを示す。
【図13a】MN+細胞に対する、しかしMN−細胞に対してはそうでない3ee9/MMAEの細胞毒性をグラフで示す。
【図13b】MN+細胞に対する、しかしMN−細胞に対してはそうでない1E4免疫コンジュゲートの細胞毒性をグラフで示す。
【図13c】MN+細胞に対する、しかしMN−細胞に対してはそうでない1aa1免疫コンジュゲートの細胞毒性をグラフで示す。
【図14】チューブリン阻害による3ee9/MMAEの正常な紡錘体形成の阻止を表す免疫蛍光画像を示す。
【図15】MaTu異種移植片に対する3ee9/MMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図16】樹立したMaTu乳房腫瘍に対する1E4免疫コンジュゲートの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図17】MaTu異種移植片に対する1aa1免疫コンジュゲートの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図18】MaTu異種移植片に対する3ee9/MMAEの治療指数(TI)をグラフで示す。
【図19】HT−29異種移植片に対する3ee9/MMAEおよび遊離のMMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図20】Q7Dx2スケジュールの後の、HT−29異種移植片に対する3ee9/MMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図21】Q1Dx1スケジュールの後の、HT−29異種移植片に対する3ee9/MMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図22】PC3mm2異種移植片に対する3ee9/MMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図23】Colo−205異種移植片に対する3ee9/MMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図24】HCT−15異種移植片に対する3ee9/MMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図25】MN−(左側のグラフにおける)およびMN+(右側のグラフにおける)MIAPaca2異種移植片に対する3ee9/MMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図26a−26b】様々な用量でのColo−205 CRC異種移植片に対するゼローダ(R)と組み合わせた3ee9/MMAEの抗腫瘍効能をグラフで示す。
【図27】huMN−MIAPaca2およびMIAPaca2腫瘍における3ee9のインビボ局在性を表す免疫蛍光画像を示す。
【図28】2つの用量でのHT−29 CRC異種移植片におけるチューブリン重合の3ee9/MMAE阻害を表す(組織学的サンプルの)免疫蛍光画像を示す。
【図29】ベクター3ee9pMORPHx9(実施例1〜3を参照)から得られる、それぞれ、配列番号:126および125のカッパおよび重CDR可変領域を含んでなるヒトIgG抗MN抗体をコードする哺乳類発現ベクター3eeH+LpCMVUCOE8(実施例21を参照)のインサート領域の完全なヌクレオチド配列を示す。配列番号:153。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図3a】

【図3b】

【図3c】

【図3d】

【図3e】

【図4a】

【図4b】

【図4c】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原結合部位が少なくとも1つのCDR1、CDR2もしくはCDR3を含み:
(a)該CDR1は配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107、108および配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107もしくは108のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択され;
(b)該CDR2は配列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109、110および配列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109もしくは110のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択され;そして
(c)該CDR3は配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111、112および配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111もしくは112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される、
特にMNタンパク質に対する抗原結合部位を有する抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項2】
抗原結合部位が配列番号:57〜85および配列番号:57〜85のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される重鎖可変領域CDRを含んでなる請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項3】
抗原結合部位が配列番号:86〜112および配列番号:86〜112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される軽鎖可変領域CDRを含んでなる請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項4】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:57、63、70、89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:58、64、71、107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:59、65、72、107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:60、66、73、108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:61、67、74、87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:61、68、75、88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:62、69、76、98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:77、78、79、86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:80、82、84、99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83、85、104、105および106
よりなる群から選択される1組のCDR配列を含んでなる請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項5】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:57、63および70;
(b)[3ef2]配列番号:58、64および71;
(c)[1e4]配列番号:59、65および72;
(d)[3a4]配列番号:60、66および73;
(e)[3ab4]配列番号:61、67および74;
(f)[3ah10]配列番号:61、68および75;
(g)[3bb2]配列番号:62、69および76;
(h)[1aa1]配列番号:77、78および79;
(i)[5a6]配列番号:80、82および84;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83および85
よりなる群から選択される1組の重鎖CDR配列を含んでなる請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項6】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:104、105および106
よりなる群から選択される1組の軽鎖CDR配列を含んでなる請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項7】
抗体もしくは抗体フラグメントが約0.15nM〜約50nMの解離定数でMNタンパク質に結合する請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項8】
抗体がIgGである請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項9】
抗体がIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgD、IgE、IgA、IgM Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFvフラグメント、Fvフラグメント、ジアボディ(diabody)、線状抗体、一本鎖抗体、生体特異性抗体、キメラ抗体もしくは多重特異性抗体である請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項10】
抗体もしくは抗体フラグメントがヒト化される請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項11】
CDR1、CDR2およびCDR3が非ヒトである請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項12】
請求項1に記載の抗体もしくはその抗体フラグメントおよび1つもしくはそれ以上の製薬学的補助剤を含んでなる組成物。
【請求項13】
配列同一性が約85%より大きい請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項14】
配列同一性が約90%より大きい請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項15】
配列同一性が約95%より大きい請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項16】
配列同一性が約99%より大きい請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項17】
細胞毒性薬に連結した特にMNタンパク質に対する抗原結合部位を有する抗体もしくは抗体フラグメントを含んでなり、ここで、抗原結合部位は少なくとも1つのCDR1、C
DR2もしくはCDR3を含み:
(a)該CDR1は配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107、108および配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107もしくは108のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択され;
(b)該CDR2は配列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109、110および配列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109もしくは110のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択され;そして
(c)該CDR3は配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111、112および配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111もしくは112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される、
MNタンパク質に対して反応性の組成物。
【請求項18】
抗原結合部位が配列番号:57〜85および配列番号:57〜85のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される重鎖可変領域CDRを含んでなる請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
抗原結合部位が配列番号:86〜112および配列番号:86〜112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される軽鎖可変領域CDRを含んでなる請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:57、63、70、89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:58、64、71、107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:59、65、72、107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:60、66、73、108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:61、67、74、87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:61、68、75、88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:62、69、76、98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:77、78、79、86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:80、82、84、99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83、85、104、105および106
よりなる群から選択される1組のCDR配列を含んでなる請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:57、63および70;
(b)[3ef2]配列番号:58、64および71;
(c)[1e4]配列番号:59、65および72;
(d)[3a4]配列番号:60、66および73;
(e)[3ab4]配列番号:61、67および74;
(f)[3ah10]配列番号:61、68および75;
(g)[3bb2]配列番号:62、69および76;
(h)[1aa1]配列番号:77、78および79;
(i)[5a6]配列番号:80、82および84;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83および85
よりなる群から選択される1組の重鎖CDR配列を含んでなる請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:104、105および106
よりなる群から選択される1組の軽鎖CDR配列を含んでなる請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
細胞毒性薬が:モノメチルアウリスタチン−Eもしくはその機能性アナログ、モノメチルアウリスタチン−Fもしくはその機能性アナログ、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロキシウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、酪酸フェニル、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、ベルケイド、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス菌外毒素、シュードモナス菌内毒素およびその組み合わせよりなる群から選択される請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
細胞毒性薬がモノメチルアウリスタチン−Eもしくはその機能性アナログである請求項17に記載の組成物。
【請求項25】
抗体もしくは抗体フラグメントが約0.15nM〜約50nMの解離定数でMNタンパク質に結合する請求項17に記載の組成物。
【請求項26】
抗体がIgGである請求項17に記載の組成物。
【請求項27】
抗体もしくは抗体フラグメントがIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgD、IgE、IgAもしくはIgMアイソタイプ、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFvフラグメント、Fvフラグメント、ジアボディ、線状抗体、一本鎖抗体、生体特異性抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である請求項17に記載の組成物。
【請求項28】
抗体もしくは抗体フラグメントがヒト化される請求項17に記載の組成物。
【請求項29】
CDR1、CDR2およびCDR3が非ヒトである請求項17に記載の組成物。
【請求項30】
抗癌剤および細胞毒性薬に連結した特にMNタンパク質に対する抗原結合部位を有する抗体もしくは抗体フラグメントを含んでなり、ここで、抗原結合部位は少なくとも1つのCDR1、CDR2もしくはCDR3を含み:
(a)該CDR1は配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107、108および配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107もしくは108のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択され;
(b)該CDR2は配列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109、110および配列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109もしくは110のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択され;そして
(c)該CDR3は配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111、112および配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111もしくは112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される、
MN関連癌を有する患者を処置するための組成物。
【請求項31】
抗原結合部位が配列番号:57〜85および配列番号:57〜85のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される重鎖可変領域CDRを含んでなる請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
抗原結合部位が配列番号:86〜112および配列番号:86〜112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される軽鎖可変領域CDRを含んでなる請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:57、63、70、89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:58、64、71、107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:59、65、72、107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:60、66、73、108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:61、67、74、87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:61、68、75、88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:62、69、76、98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:77、78、79、86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:80、82、84、99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83、85、104、105および106
よりなる群から選択される1組のCDR配列を含んでなる請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:57、63および70;
(b)[3ef2]配列番号:58、64および71;
(c)[1e4]配列番号:59、65および72;
(d)[3a4]配列番号:60、66および73;
(e)[3ab4]配列番号:61、67および74;
(f)[3ah10]配列番号:61、68および75;
(g)[3bb2]配列番号:62、69および76;
(h)[1aa1]配列番号:77、78および79;
(i)[5a6]配列番号:80、82および84;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83および85
よりなる群から選択される1組の重鎖CDR配列を含んでなる請求項30に記載の組成物。
【請求項35】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:104、105および106
よりなる群から選択される1組の軽鎖CDR配列を含んでなる請求項30に記載の組成物。
【請求項36】
抗癌剤がブレオマイシン、ドセタキセル(タキソテール)、ドキソルビシン、エダトレキセート、エルロチニブ(タルセバ)、エトポシド、フィナステリド(プロスカー)、フルタミド(ユーレキシン)、ゲムシタビン、(ジェムザール)、ゲフィチニブ(genitinib)(イレッサ)、酢酸ゴセレリン(ゾラデックス)、グラニセトロン(カイトリル)、イマチニブ(グリーベック)、イリノテカン(カンプト/カンプトサル)、オンダンセトロン(ゾフラン)、パクリタキセル(タキソール)、ペグアスパラガーゼ(pegasparagase)(オンキャスパー)、塩酸ピロカルピン(サラジェン)、ポルフィマーナトリウム(フォトフリン)、インターロイキン−2(プロロイキン)、リツキシマブ(リツキサン)、トポテカン(ハイカムチン)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、トリアピン、ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビン(ナベルビン)および治療抗体もしくはそのフラグメントよりなる群から選択される請求項30に記載の組成物。
【請求項37】
抗癌剤がアンジオスタチン、ベバシズマブ(アバスチン(R))、ソラフェニブ(ネクサバール(R))、バキュロスタチン(baculostatin)、カンスタチン、マスピン、抗VEGF抗体もしくはペプチド、抗胎盤成長因子抗体もしくはペプチド、抗Flk−1抗体、抗Flt−1抗体もしくはペプチド、ラミニンペプチド、フィブロネクチンペプチド、プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤、組織メタロプロテイナーゼ阻害剤、インターフェロン、インターロイキン12、IP−10、Gro−β、トロンボスポンジン、2−メトキシエストラジオール、プロリフェリン関連タンパク質、カルボキシアミドトリアゾール、CM101、マリマスタット、ポリ硫酸ペントサン、アンジオポエチン2、インターフェロン−アルファ、ハービマイシンA、PNU145156E、16Kプロラ
クチンフラグメント、リノミド、サリドマイド、ペントキシフィリン、ゲニステイン、TNP−470、エンドスタチン、パクリタキセル、アククチン(accutin)、シドフォビル、ビンクリスチン、ブレオマイシン、AGM−1470、血小板第4因子およびミノサイクリンよりなる群から選択される抗血管新生剤である請求項30に記載の組成物。
【請求項38】
抗癌剤がタモキシフェン、ベラパミルおよびサイクロスポリンAよりなる群から選択される多剤耐性表現型を阻止するかもしくは抑制する薬剤である請求項30に記載の組成物。
【請求項39】
細胞毒性薬がモノメチルアウリスタチン−Eもしくはその機能性アナログである請求項30に記載の組成物。
【請求項40】
細胞毒性薬がモノメチルアウリスタチン−Eもしくはその機能性アナログである請求項31のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項41】
抗体もしくは抗体フラグメントが約0.15nM〜約50nMの解離定数でMNタンパク質に結合する請求項30に記載の組成物。
【請求項42】
抗体がIgGである請求項30に記載の組成物。
【請求項43】
抗体もしくは抗体フラグメントがIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgD、IgE、IgAもしくはIgMアイソタイプ、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFvフラグメント、Fvフラグメント、ジアボディ、線状抗体、一本鎖抗体、生体特異性抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である請求項30に記載の組成物。
【請求項44】
抗体もしくは抗体フラグメントがヒト化される請求項30に記載の組成物。
【請求項45】
CDR1、CDR2およびCDR3が非ヒトである請求項30に記載の組成物。
【請求項46】
配列同一性が約85%より大きい請求項30に記載の組成物。
【請求項47】
配列同一性が約90%より大きい請求項30に記載の組成物。
【請求項48】
配列同一性が約95%より大きい請求項30に記載の組成物。
【請求項49】
配列同一性が約99%より大きい請求項30に記載の組成物。
【請求項50】
癌が充実性腫瘍の形態である請求項30に記載の組成物。
【請求項51】
充実性腫瘍が乳房、気管、肺、脳、生殖器官、消化管、結腸、尿路、腎臓、食道、頸部、目、肝臓、皮膚、頭、首、甲状腺および副甲状腺にあるかもしくは由来する請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
疑わしい罹患組織もしくは細胞におけるMNのレベルを対応する健常組織もしくは細胞におけるMNのレベルと比較することを含んでなり、ここで、疑わしい罹患組織もしくは細胞における異常なMNレベルはMN関連疾患の指標であり、該比較する段階は請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメントで罹患組織および健常組織におけるMNのレベルを検出することをさらに含んでなる、異常なMNレベルを特徴とするMN関連疾患を診断
する方法。
【請求項53】
MN関連疾患が癌である請求項52に記載の方法。
【請求項54】
癌が充実性腫瘍の形態である請求項52に記載の方法。
【請求項55】
充実性腫瘍が乳房、気管、肺、脳、生殖器官、消化管、結腸、尿路、腎臓、食道、頸部、目、肝臓、皮膚、頭、首、甲状腺および副甲状腺にあるかもしくは由来する請求項52に記載の方法。
【請求項56】
比較する段階が
a)健常組織におけるMNタンパク質のレベルを検出する段階;
b)疑わしい罹患組織におけるMNタンパク質のレベルを検出する段階;および
(c)(a)および(b)からのMNタンパク質のレベルを比較する段階
をさらに含んでなり、ここで、健常組織におけるMNタンパク質のレベルと比較した場合に疑わしい罹患組織におけるMNタンパク質の上昇したレベルはMN関連疾患の存在を示す請求項52に記載の方法。
【請求項57】
検出する段階が核画像化モダリティ(nuclear imaging modality)により成し遂げられる請求項52に記載の方法。
【請求項58】
核画像化モダリティがSPECTもしくはPETである請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメントおよびMN関連疾患を処置する方法においてキットを使用するための1組の説明書を含んでなるキット。
【請求項60】
請求項17に記載の組成物およびMN関連疾患を処置する方法においてキットを使用するための1組の説明書を含んでなるキット。
【請求項61】
請求項30に記載の組成物およびMN関連疾患を処置する方法においてキットを使用するための1組の説明書を含んでなるキット。
【請求項62】
配列同一性が約85%より大きい請求項17に記載の組成物。
【請求項63】
配列同一性が約90%より大きい請求項17に記載の組成物。
【請求項64】
配列同一性が約95%より大きい請求項17に記載の組成物。
【請求項65】
配列同一性が約99%より大きい請求項17に記載の組成物。
【請求項66】
特にMNタンパク質に対する抗原結合部位を有する抗体もしくは抗体フラグメントの治療的に有効な量を投与することを含んでなり、ここで、抗原結合部位は少なくとも1つのCDR1、CDR2もしくはCDR3を含み:
(a)該CDR1は配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107、108および配列番号:57、58、59、60、61、62、77、80、81、86、87、88、89、98、99、104、107もしくは108のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択され;
(b)該CDR2は配列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109、110および配
列番号:63、64、65、66、67、68、69、78、82、83、90、91、92、93、100、101、105、109もしくは110のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択され;そして
(c)該CDR3は配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111、112および配列番号:70、71、72、73、74、75、76、79、84、85、94、95、96、97、102、103、106、111もしくは112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される、
患者におけるMNの異常なレベルを特徴とするMN関連疾患を処置する方法。
【請求項67】
抗原結合部位が配列番号:57〜85および配列番号:57〜85のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される重鎖可変領域CDRを含んでなる請求項66に記載の方法。
【請求項68】
抗原結合部位が配列番号:86〜112および配列番号:86〜112のいずれかに約80%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列よりなる群から選択される軽鎖可変領域CDRを含んでなる請求項66に記載の方法。
【請求項69】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:57、63、70、89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:58、64、71、107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:59、65、72、107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:60、66、73、108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:61、67、74、87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:61、68、75、88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:62、69、76、98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:77、78、79、86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:80、82、84、99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83、85、104、105および106
よりなる群から選択される1組のCDR配列を含んでなる請求項66に記載の方法。
【請求項70】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:57、63および70;
(b)[3ef2]配列番号:58、64および71;
(c)[1e4]配列番号:59、65および72;
(d)[3a4]配列番号:60、66および73;
(e)[3ab4]配列番号:61、67および74;
(f)[3ah10]配列番号:61、68および75;
(g)[3bb2]配列番号:62、69および76;
(h)[1aa1]配列番号:77、78および79;
(i)[5a6]配列番号:80、82および84;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:81、83および85
よりなる群から選択される1組の重鎖CDR配列を含んでなる請求項66に記載の方法。
【請求項71】
抗原結合部位が:
(a)[3ee9]配列番号:89、93および97;
(b)[3ef2]配列番号:107、109および111;
(c)[1e4]配列番号:107、109および111;
(d)[3a4]配列番号:108、110および112;
(e)[3ab4]配列番号:87、91および95;
(f)[3ah10]配列番号:88、92および96;
(g)[3bb2]配列番号:98、100および102;
(h)[1aa1]配列番号:86、90および94;
(i)[5a6]配列番号:99、101および103;ならびに
(j)[5aa3]配列番号:104、105および106
よりなる群から選択される1組の軽鎖CDR配列を含んでなる請求項66に記載の方法。
【請求項72】
抗体もしくは抗体フラグメントが約0.15nM〜約50nMの解離定数でMNタンパク質に結合する請求項66に記載の方法。
【請求項73】
抗体がIgGである請求項66に記載の方法。
【請求項74】
抗体もしくは抗体フラグメントがIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、IgD、IgE、IgAもしくはIgM、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、scFvフラグメント、Fvフラグメント、ジアボディ、線状抗体、一本鎖抗体、生体特異性抗体、キメラ抗体または多重特異性抗体である請求項66に記載の方法。
【請求項75】
抗体もしくは抗体フラグメントがヒト化される請求項66に記載の方法。
【請求項76】
CDR1、CDR2およびCDR3が非ヒトである請求項66に記載の方法。
【請求項77】
配列同一性が約85%より大きい請求項66に記載の方法。
【請求項78】
配列同一性が約90%より大きい請求項66に記載の方法。
【請求項79】
配列同一性が約95%より大きい請求項66に記載の方法。
【請求項80】
配列同一性が約99%より大きい請求項66に記載の方法。
【請求項81】
抗体もしくは抗体フラグメントが細胞毒性薬に連結される請求項66の方法。
【請求項82】
細胞毒性薬が:モノメチルアウリスタチン−Eもしくはその機能性アナログ、モノメチルアウリスタチン−Fもしくはその機能性アナログ、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アザシチジン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリケアマイシン、カンプトテシン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノマイシングルクロニド、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、ドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エチニルエストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、フロキシウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、ゲムシタビン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、L−アスパラギナーゼ、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、酢酸メドロプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、酪酸フェニル、プレドニゾン、プロカルバジン、パクリタキセル、ペントスタチン、PSI−341、セムスチン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、タキサン、タキソール、プロピオン酸テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカ
ン、ウラシルマスタード、ベルケイド、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンクリスチン、リシン、アブリン、リボヌクレアーゼ、オンコナーゼ、rapLR1、DNアーゼI、ブドウ球菌エンテロトキシン−A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリア毒素、シュードモナス菌外毒素、シュードモナス菌内毒素およびその組み合わせよりなる群から選択される請求項81に記載の方法。
【請求項83】
細胞毒性薬がモノメチルアウリスタチン−Eもしくはその機能性アナログである請求項82に記載の方法。
【請求項84】
抗癌剤を共投与することをさらに含んでなる請求項66に記載の方法。
【請求項85】
抗癌剤がブレオマイシン、ドセタキセル(タキソテール)、ドキソルビシン、エダトレキセート、エルロチニブ(タルセバ)、エトポシド、フィナステリド(プロスカー)、フルタミド(ユーレキシン)、ゲムシタビン(ジェムザール)、ゲフィチニブ(イレッサ)、酢酸ゴセレリン(ゾラデックス)、グラニセトロン(カイトリル)、イマチニブ(グリーベック)、イリノテカン(カンプト/カンプトサル)、オンダンセトロン(ゾフラン)、パクリタキセル(タキソール)、ペグアスパラガーゼ(オンキャスパー)、塩酸ピロカルピン(サラジェン)、ポルフィマーナトリウム(フォトフリン)、インターロイキン−2(プロロイキン)、リツキシマブ(リツキサン)、トポテカン(ハイカムチン)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、トリアピン、ビンクリスチン、酒石酸ビノレルビン(ナベルビン)および治療抗体もしくはそのフラグメントよりなる群から選択される請求項84に記載の方法。
【請求項86】
抗癌剤がタモキシフェン、ベラパミルおよびサイクロスポリンAよりなる群から選択される多剤耐性表現型を阻止するかもしくは抑制する薬剤である請求項84に記載の方法。
【請求項87】
MN関連疾患が癌である請求項66に記載の方法。
【請求項88】
癌が充実性腫瘍癌である請求項87に記載の方法。
【請求項89】
充実性腫瘍が乳房、気管、肺、脳、生殖器官、消化管、結腸、尿路、腎臓、食道、頸部、目、肝臓、皮膚、頭、首、甲状腺および副甲状腺にあるかもしくは由来する請求項88に記載の方法。
【請求項90】
抗原結合部位が:
(a)配列番号:133の重鎖可変領域および配列番号:134の軽鎖可変領域;
(b)配列番号:135の重鎖可変領域および配列番号:136の軽鎖可変領域;
(c)配列番号:137の重鎖可変領域および配列番号:138の軽鎖可変領域;
(d)配列番号:139の重鎖可変領域および配列番号:140の軽鎖可変領域;
(e)配列番号:141の重鎖可変領域および配列番号:142の軽鎖可変領域;
(f)配列番号:143の重鎖可変領域および配列番号:144の軽鎖可変領域;
(g)配列番号:145の重鎖可変領域および配列番号:146の軽鎖可変領域;
(h)配列番号:147の重鎖可変領域および配列番号:148の軽鎖可変領域;
(i)配列番号:149の重鎖可変領域および配列番号:150の軽鎖可変領域;ならびに
(j)配列番号:151の重鎖可変領域および配列番号:152の軽鎖可変領域
よりなる群から選択される1対の重鎖可変および軽鎖可変領域を含有する請求項1に記載の抗体もしくは抗体フラグメント。
【請求項91】
配列番号:153のヌクレオチド配列によりコードされる抗MN IgG抗体。

【図5】
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【図8】
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【図29a】
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【図29b】
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【図29c】
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【図29d】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26a】
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【図26b】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2009−519341(P2009−519341A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545754(P2008−545754)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/047445
【国際公開番号】WO2007/070538
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(508030006)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】