説明

抗T.cruzi抗体及び使用方法

本開示は、トリパノソーマ・クルーズのエピトープを検出するための試薬及び該試薬を使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の情報
本願は、2008年12月27日に出願された米国特許出願61/017,071号(参照により、その内容は本明細書に組み込まれる。)の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、トリパノソーマ(スキゾトリパナム(Schizotrypanum))クルーズ抗原を検出又は定量するための方法、アッセイ及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
寄生虫トリパノソーマ(スキゾトリパナム)・クルーズは、シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)を引き起こし、中南米及びメキシコの風土病である。穏やかな急性期の後、多くの感染者は症候の欠如、低い寄生虫数及び抗T.cruzi抗体の低い力価を特徴とする中間期に入る。慢性のT.cruzi感染症を有する者の約10から30%は心臓又は胃腸の機能不全を発症する。化学療法は先天的に感染した幼児及び児童のかなりの数を治癒させることができるが、慢性的な感染症を有する成人においては概ね無効である(Coura, J., and S. de Castro.2002.A critical review on Chagas disease chemotherapy.Mem.Inst.Oswaldo Cruz.97:3−24)。T.cruziに慢性的に感染している発症国内の推定1,200万人のうち約25,000人が、心臓律動の異常又はうっ血性心不全のために、毎年、この病気によって死亡している(Kirchhoff, L.V. 2006.American trypanosomiasis(Chagas’ disease).In Tropical Infectious Diseases:Principles, Pathogens and Practice.Vol.R. Guerrant, D. Walker, and P. Weller, editors.Churchill Livingstone, New York.1082−1094)。
【0004】
シャーガスは、1909年にこの病気を初めて記載したブラジル人医師カルロス・シャーガスにちなんで名付けられた(Chagas, C. 1909a.Neue Trypanosomen.Vorlaufige Mitteilung.Arch.Schiff.Tropenhyg.13:120−122; Redhead, S.A.,et al.2006.Pneumocystis and Trypanosoma cruzi:nomenclature and typifications.J Eukaryot Microbiol.53:2−11)。シャーガスは、トリアトミダエ(Triatomidae)の腸がトリパノソーマ属の新種である鞭毛中原虫を有していることを発見し、感染した虫に咬まれたマーモセット猿に寄生虫が伝達され得ることを実験的に証明することができた。シャーガスは、この病気を引き起こす病原性寄生虫をトリパノソーマ・クルーズと名付け(Chaga s,1909a)、その年の後ほど、スキゾトリパナム・クルーズと名付け(Chagas, C.1909b.Nova tripanozomiase humana:Estudos sobre a morfolojia e o ciclo evolutivo do Schizotrypanum cruzi n. gen., n. sp., ajente etiolojico de nova entidade morbida do homem.Mem.Inst.Oswaldo Cruz.1:159−218)、いずれの名前にも、20世紀の代わる頃に黄熱病、天然痘及び腺ペストの伝染病と闘ったブラジル人医師及び疫学者であるオスワルド・クルツが含まれている。
【0005】
チャールズ・ダーウィンは、「Great Black Bug of the Pampas」に咬まれたためにメンドーザ付近のアンデス東部で感染し、この病気に罹患していた可能性がある。ダーウィンは、彼の日記、ビーグル号の船旅の中で症候を報告した。ダーウィンは若く、概ね、健康状態は良好であったが、6ヶ月前に、バルパライソ付近で、一ヶ月間、病気であったが、イギリスに帰国してからほぼ1年後の1937年には、奇妙な症候の群に断続的に苦しみ始め、残りの人生の大部分は不具となった。
【0006】
風土病地域では、T.cruziは、主として、吸血トリアトミン虫によって伝達される。この病気は、輸血、静脈内薬の使用、先天的な伝染、性行為、臓器移植又は授乳によっても伝達され得る(Bittencourt, A.L. 1976.Congenital Chaga s disease.Am J Dis Child.130:97−103; Cheng, K.Y., et al.2007.Immunoblot assay using recombinant antigens as a supplemental test to confirm the presence of antibodies to Trypanosoma cruzi.Clin Vaccine Immunol.14:355−61; Grant, I.H., et al.1989.Transfusion−associated acute Chagas disease acquired in the United States.Ann Intern Med.111:849−51; Hoff, R., et al.1978.Congenital Chagas’s disease in an urban population:investigation of infected twins.Trans R Soc Trop Med Hyg.72:247−50; Kirchhoff, L.V. 1989.Is Trypanosoma cruzi a new threat to our blood supply? Ann Intern Med.111:773−5; Skolnick, A. 1989.Does influx from endemic areas mean more transfusion−associated Chaga s’ disease? Jama.262:1433)。現在、T.cruziに対するワクチンは存在しない。
【0007】
慢性的なT.cruzi感染の診断は、この寄生虫の生活環の複雑さを反映している。高熱の期間中、診断は、単純に、血液、脳脊髄液、固定された組織又はリンパ節中に寄生虫を同定することからなるが、感染の潜伏期間及び慢性段階の間、虫を検出することは困難である。外因診断法では、患者と疑われる者の血液にこれらの寄生虫が感染してから数週間後に、T.cruziに関して、媒介昆虫の腸内含量が調べられる。しかしながら、この操作は面倒であり、高価であり、感度が低い(Segura, E. 1987.Xenodiagnosis.In Chagas’ Disease Vectors.Vol.R.R. Brenner and A. M. Stoka, editors.CRC Press, Boca Raton, FL.41−45)。
【0008】
これに対して、T.cruziに対する抗体に対する血清学的アッセイは、感染の迅速且つ安価な診断に対して極めて適している。これらの方法には、間接的免疫蛍光、間接的血球凝集、補体結合及び酵素イムノアッセイ(Cheng, K.Y., et al.2007.Immunoblot assay using recombinant antigens as a supplemental test to confirm the presence of antibodies to Trypanosoma cruzi.Clin Vaccine Immunol.14:355−61)が含まれる。旧来のアッセイに一貫して伴う問題は、非確定的な偽陽性結果の発生であった(Almeida, LC, et al.1997.A highly sensitive and specific chemiluminescent enzyme−linked immunosorbent assay for diagnosis of active Trypanosoma cruzi infection. Transfusion. 37:850−7; Kirchhoff et al, 2006; Leiby, D.A., et al.2000.Serologic testing for Trypanosoma cruzi’. comparison of radioimmunoprecipitation assay with commercially available indirect immunofluorescence assay, indirect hemagglutination assay, and enzyme−linked immunosorbent assay kits.J Clin Microbiol.38:639−42)。
【0009】
何れのアッセイも、T.cruzi感染の代表的な標準となる血清学的診断として一般的には認められていない(Cheng et al, 2007)。T.cruziDNAを検出するために設計されているアッセイは、感度が低いことが明らかとなっている(Gomes, M. L., et al 1999.Chagas’ disease diagnosis:comparative analysis of parasitologic, molecular, and serologic methods.Am J Trop Med Hyg.60:205−10)。容易に解釈される結果を与える放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)は、ほぼ20年前に開発され、米国において確認的な検査としての使用が提案されてきた(Kirchhoff et al, 1989)。しかしながら、その感受性及び特異性は系統的に確証されていない。さらに、RIPAの複雑性のために、研究状況以外でRIPAが広く使用されることは困難となっている(Leiby et al,2000)。
【0010】
患者の試料中に存在する抗T.cruzi抗体を検出するために設計されたイムノアッセイは、迅速で信頼性の高い血清学的診断法を提供することができる。典型的には、このような診断キットは、較正用物質、陽性対照及び/又はパネルメンバーとして作用するための1つ以上の特異的抗体を使用する。しばしば、シャーガス高力価ヒト血漿及び/又は血清がスクリーニングされ、特定の量で陰性対照試薬中に添加される。陽性対照などのシャーガス品質管理試薬は、特異的なエピトープに対する抗体の存在に関してスクリーニングされるヒト血漿又は血清試料である。しかしながら、ヒト血清及び血漿試料を使用することは、幾つかの著しい欠点を有する。これらには、(1)増大する規制上の懸念、(2)高い力価及び特異性で大容量を調達することの困難さ、(3)ロット間の変動性、(4)性質決定に関する限界及び(5)費用が含まれる。
【0011】
従って、較正用物質、陽性対照及び/又はパネル要素として機能するための特異的抗体に対する要望が本分野においてなお存在している。本開示は、新規抗体、これらの抗体を産生する細胞株及びこれらの抗体を作製する方法を提供することによって、現行のT.cruziイムノアッセイの問題(すなわち、増大する規制上の懸念、高い力価及び特異性で大容量を調達することの困難さ、ロット間の変動性、性質決定に関する限界及び費用)の幾つかを場合によって克服又は回避する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Coura, J., and S. de Castro、A critical review on Chagas disease chemotherapy、Mem.Inst.Oswaldo Cruz、2002年、97、pp.3−24
【非特許文献2】Kirchhoff, L.V.、American trypanosomiasis(Chagas’ disease、Tropical Infectious Diseases:Principles, Pathogens and Practice.Vol.R. Guerrant, D. Walker, and P. Weller, editors.Churchill Livingstone、2006年、New York、pp.1082−1094
【非特許文献3】Chagas, C.、Neue Trypanosomen.Vorlaufige Mitteilung.Arch.Schiff.Tropenhyg、1909年a、13、pp.120−122
【非特許文献4】Redhead, S.A.他、Pneumocystis and Trypanosoma cruzi:nomenclature and typifications、J Eukaryot Microbiol、2006年、53、pp.2−11
【非特許文献5】Chagas, C.、Nova tripanozomiase humana:Estudos sobre a morfolojia e o ciclo evolutivo do Schizotrypanum cruzi n. gen., n. sp., ajente etiolojico de nova entidade morbida do homem.Mem.Inst.Oswaldo Cruz、1909年b、1、pp.159−218
【非特許文献6】Bittencourt, A.L.、Congenital Chagas disease、Am J Dis Child、1976年、130、pp.97−103
【非特許文献7】Cheng, K.Y.他、Immunoblot assay using recombinant antigens as a supplemental test to confirm the presence of antibodies to Trypanosoma cruzi.Clin Vaccine Immunol、2007年、14、pp.355−61
【非特許文献8】Grant, I.H他、Transfusion−associated acute Chagas disease acquired in the United States.Ann Intern Med.、1989年、111、pp.849−51
【非特許文献9】Hoff, R.他、Congenital Chagas’s disease in an urban population:investigation of infected twins.Trans R Soc Trop Med Hyg.、1978年、72、pp.247−50
【非特許文献10】Kirchhoff, L.V.、Is Trypanosoma cruzi a new threat to our blood supply? Ann Intern Med.、1989年、111、pp.773−5
【非特許文献11】Skolnick, A.、Does influx from endemic areas mean more transfusion−associated Chagas’ disease? Jama.、1989年、262、pp.1433
【非特許文献12】Segura, E.、Xenodiagnosis.In Chagas’ Disease Vectors.Vol.R.R. Brenner and A. M. Stoka, editors.CRC Press, Boca Raton,、1987年、pp.41−45
【非特許文献13】Cheng, K.Y.他、Immunoblot assay using recombinant antigens as a supplemental test to confirm the presence of antibodies to Trypanosoma cruzi.Clin Vaccine Immunol.、1997年、14、pp.355−61
【非特許文献14】Almeida, LC他、A highly sensitive and specific chemiluminescent enzyme−linked immunosorbent assay for diagnosis of active Trypanosoma cruzi infection. Transfusion.、1997年、37、pp.850−7
【非特許文献15】Leiby, D.A.他、Serologic testing for Trypanosoma cruzi’. comparison of radioimmunoprecipitation assay with commercially available indirect immunofluorescence assay, indirect hemagglutination assay, and enzyme−linked immunosorbent assay kits.J Clin Microbiol.、2000年、38、pp.639−42
【非特許文献16】Gomes, M. L.他、Chagas’ disease diagnosis:comparative analysis of parasitologic, molecular, and serologic methods.Am J Trop Med Hyg.、1999年、60、pp.205−10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本開示の目的は、トリパノソーマ(スキゾトリパナム)クルーズ抗原を特異的に結合する抗体(組換え抗体及びキメラ抗体を含む。)及びその使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一態様に従えば、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域に特異的に結合することができる組換え抗体(キメラ抗体を含む。)が提供される。抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)は、FP3、Pep2、FP10及びFRAによって構成されるT.cruziポリペプチドに対して特異的な抗体からなる群から選択される。
【0015】
本開示の一態様において、抗体は前記抗体であり、以下からなる群から選択される。
【0016】
(a)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはFRAであり、並びにさらに、前記抗体は、約7.0×10−1−1から約7.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約4.0×10−3−1から約3.0×10−1−1の間の解離速度定数(k)及び約5.7×10−10Mから約4.3×10−7Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(b)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはPep2であり、並びにさらに、前記抗体は、約1.0×10−1−1から約8.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約6.0×10−3−1から約4.0×10−2−1の間の解離速度定数(k)及び約7.5×10−10Mから約4.0×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(c)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはFP10であり、並びにさらに、前記抗体は、(a)約5.0×10−1−1から約3.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、(b)約1.0×10−4−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び(c)約3.3×10−10Mから約1.6×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(d)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはFP3であり、並びにさらに、前記抗体は、約2.0×10−1−1から約6.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約2.0×10−5−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び約3.3×10−12Mから約4.0×10−9Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);並びに
(e)(a)から(d)の任意の組み合わせ。
【0017】
本開示の別の態様において、抗体は、PTA−8136、PTA−8138及びPTA−8140からなる群から選択される細胞株によって発現されるキメラ抗体である。場合によって、抗体は、PTA−8137、PTA−8139、PTA−8141及びPTA−8142からなる群から選択される細胞株によって発現される。抗体は、場合によって、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、一本鎖Fv抗体、アフィニティー成熟された抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合されたFv及び抗イディオタイプ抗体、二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD−IG(R))又はこれらの断片である。
【0018】
本開示の別の態様において、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することができるこれらの抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)の1つ以上を含む免疫診断試薬が提供され、抗体はFP3、Pep2、FP10及びFRAからなる群から選択される。
【0019】
本開示の別の態様に従えば、免疫診断試薬は以下からなる群から選択される抗体を含む。
【0020】
(a)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはFRAであり、並びにさらに、前記抗体は、約7.0×10−1−1から約7.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約4.0×10−3−1から約3.0×10−1−1の間の解離速度定数(k)及び約5.7×10−10Mから約4.3×10−7Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(b)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはPep2であり、並びにさらに、前記抗体は、約1.0×10−1−1から約8.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約6.0×10−3−1から約4.0×10−2−1の間の解離速度定数(k)及び約7.5×10−10Mから約4.0×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(c)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはFP10であり、並びにさらに、前記抗体は、(a)約5.0×10−1−1から約3.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、(b)約1.0×10−4−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び(c)約3.3×10−10Mから約1.6×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(d)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはFP3であり、並びにさらに、前記抗体は、約2.0×10−1−1から約6.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約2.0×10−5−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び約3.3×10−12Mから約4.0×10−9Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);並びに
(e)(a)から(d)の任意の組み合わせ。
【0021】
本開示の別の態様に従えば、免疫診断試薬は、検出試薬、標準化試薬及び陽性対照試薬からなる群から選択される。
【0022】
本開示の別の態様に従えば、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域に特異的に結合することができる抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)が提供され、前記領域は、配列番号2、配列番号4、配列番号6及び配列番号8に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%及び少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列によって構成されるエピトープを含む。本開示の別の態様に従えば、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域に特異的に結合する免疫診断試薬はキメラ抗体を含み、該キメラ抗体は配列番号2、配列番号4、配列番号6及び配列番号8に記載されているアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合する。抗体は、場合によって、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、一本鎖Fv抗体、アフィニティー成熟された抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合されたFv及び抗イディオタイプ抗体又はこれらの断片である。本開示の別の態様に従えば、これらの抗体を含む免疫診断試薬が提供される。
【0023】
本開示の別の態様に従えば、抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)並びに前記抗体を含む免疫診断試薬(前記抗体は、配列番号10、配列番号14、配列番号18及び配列番号28)からなる群から選択されるV領域を含む。)が提供される。
【0024】
本開示の別の態様に従えば、抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)並びに前記抗体を含む免疫診断試薬(前記抗体は、配列番号12、配列番号16、配列番号20及び配列番号26)からなる群から選択されるV領域を含む。)が提供される。
【0025】
本開示の別の態様に従えば、抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)及び前記抗体を含む免疫診断試薬(前記抗体は、配列番号10に記載されている配列と実質的に同一のV領域及び配列番号12に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;配列番号14に記載されている配列と実質的に同一のV領域及び配列番号16に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;配列番号18に記載されている配列と実質的に同一のV領域及び配列番号20に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のV領域及び配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域を含む抗体からなる群から選択される。)が提供される。抗体は、場合によって、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、一本鎖Fv抗体、アフィニティー成熟された抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合されたFv及び抗イディオタイプ抗体又はこれらの断片である。
【0026】
本開示の別の態様に従えば、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域に特異的に結合するキメラ抗体を発現することができる細胞株が提供され、該細胞株はPTA−8136、PTA−8138及びPTA−8140からなる群から場合によって選択される。ティー・クルツタンパク質の診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体を発現することができる細胞株も提供され、該細胞株はPTA−8137、PTA−8139、PTA−8141及びPTA−8142からなる群から場合によって選択される。
【0027】
本開示の別の態様に従えば、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することができる1つ以上の抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)を場合によって含む免疫診断試薬を感度パネルとして使用することを含む、T.cruzi検出アッセイを標準化する方法が提供される。このようなパネルにおいて、1つ以上の抗体は、FP3、Pep2、FP10及びFRAに対して特異的な抗体からなる群から場合によって選択される。
【0028】
本開示の別の態様に従えば、T.cruzi抗原を含有すると疑われる試料などの検査試料を、T.cruzi抗原を特異的に結合することができる1つ以上の抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)を含む免疫診断試薬と接触させることを含むT.cruzi抗原の存在を検出する方法が提供される。場合によって、接触は、抗体:抗原複合体の形成を可能とする条件下で行われる。さらに場合によって、前記方法は、形成された何れかの抗体:抗原複合体を検出することを含む。抗体は、場合によって、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、一本鎖Fv抗体、アフィニティー成熟された抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合されたFv及び抗イディオタイプ抗体又はこれらの断片である。
【0029】
本開示の別の態様に従えば、T.cruziに対する抗体を含有すると疑われる試料などの検査試料を、T.cruzi抗体に対して特異的な1つ以上の抗原と接触させることを含む、T.cruzi抗体の存在を検出する方法が提供される。場合によって、この接触は、抗原:抗体複合体の形成を可能とする条件下で行われ、さらに場合によって、前記方法は、抗原:抗体複合体を検出することを含む。さらに、前記方法は、1つ以上の抗体(キメラ及び組換え抗体を含む。)を含む免疫診断試薬を使用することを場合によって含み、抗体の各々は、例えば、陽性対照又は標準化試薬の何れかとして、本方法において使用される抗原の1つを特異的に結合することができる。
【0030】
本開示の別の態様に従えば、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することができる1つ以上の抗体(組換え及び組換えキメラ抗体を含む。)を含む免疫診断試薬を含む、T.cruziの検出用診断キットが提供される。このようなキットにおいて、1つ以上の抗体は、FP3、Pep2、FP10及びFRAに対して特異的な抗体(キメラ及び組換え抗体)からなる群から場合によって選択される。抗体は、場合によって、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、一本鎖Fv抗体、アフィニティー成熟された抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合されたFv及び抗イディオタイプ抗体又はこれらの断片である。
【0031】
本開示のさらに別の態様に従えば、FP3、Pep2、FP10又はFRAポリペプチドによって構成されるT.cruziポリペプチドからなる群から選択されるT.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合するキメラ抗体の一部を含む単離されたポリペプチドが提供される。キメラ抗体は、場合によって、配列番号2、配列番号4、配列番号6及び配列番号8に記載されているアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列によって構成されるエピトープを特異的に結合するキメラ抗体からなる群から選択される。単離されたポリペプチドは、配列番号10、配列番号14、配列番号18及び配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列からなる群から選択されるV領域を場合によって含む。単離されたポリペプチドは、配列番号12、配列番号16、配列番号20及び配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列からなる群から選択されるV領域を場合によって含む。さらに、単離されたポリペプチドは、配列番号10のV領域及び配列番号12のV領域;配列番号14のV領域及び配列番号16のV領域;配列番号18のV領域及び配列番号20のV領域;並びに配列番号28のV領域及び配列番号26のV領域からなる群から選択されるV及びV領域をともに含む。
【0032】
本開示のさらに別の態様に従えば、FP3、Pep2、FP10及びFRAポリペプチドによって構成されるT.cruziポリペプチドからなる群から選択されるT.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合するキメラ抗体の一部をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。キメラ抗体は、場合によって、配列番号2、配列番号4、配列番号6及び配列番号8に記載されているアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列によって構成されるエピトープを特異的に結合するキメラ抗体からなる群から選択される。単離されたポリヌクレオチドは、配列番号10、配列番号14、配列番号18及び配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列からなる群から選択されるV領域をコードする領域を場合によって含む。単離されたポリペプチドは、配列番号12、配列番号16、配列番号20及び配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列からなる群から選択されるV領域をコードする領域を含む。さらに、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号10のV領域及び配列番号12のV領域;配列番号14のV領域及び配列番号16のV領域;配列番号18のV領域及び配列番号20のV領域;並びに配列番号28のV領域及び配列番号26のV領域からなる群から選択されるV及びV領域をともにコードする領域を含む。別の態様において、ポリヌクレオチドは、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号25及び配列番号27からなる群から選択されるポリヌクレオチドである。
【0033】
本開示のさらに別の態様に従えば、抗体:抗原複合体の形成を可能とする条件下で、T.cruziポリペプチドを含有すると疑われる試料を、T.cruziタンパク質に特異的に結合することができる1つ以上の抗体(キメラ又は組換え抗体を含む。)を含む免疫診断試薬と接触させること、形成された抗体:抗原複合体を単離すること及び抗体から抗原を分離することを含む、配列番号1、3、5又は7に記載されているアミノ酸配列によって構成されるT.cruziアミノ酸配列を含む抗原を精製する方法が提供される。場合によって、抗体(キメラ及び組換え抗体)は、FP3、Pep2、FP10及びFRAからなる群から選択されるT.cruziポリペプチドに結合する。
【0034】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、目的及び実施形態は、このような特徴、態様、目的及び実施形態を例示する添付の図面がその中において参照されている以下の詳細な説明においてさらに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本開示のキメラ(マウス−ヒト)抗T.cruziエピトープ抗体の模式的構造を表す。
【図2】図2は、プラスミドシャーガス12−392−150Mu−Hu_pBj、プラスミドサイズ:9520ヌクレオチドを模式的に図示している。アンピシリン耐性遺伝子ORFは、塩基60−917に位置しており、エンハンサーは、塩基1551から2021に位置しており、プロモーターは、塩基2023から2744に位置しており、重鎖シグナルペプチドは、塩基2772から2828に位置しており、V遺伝子は、塩基2829から3194に位置しており、ヒト定常hgG1、z、非−aは、塩基3195から4187に位置しており、SV40ポリAは、塩基4219から4413に位置しており、SV40プロモーターは、塩基4684から5229に位置しており、マウスDHFRは、塩基5257から5820に位置しており、TKポリAは、塩基5847から6213に位置しており、エンハンサーは、塩基6241から6711に位置しており、プロモーターは、塩基6712から7433に位置しており、κシグナルペプチドは、塩基7460から7525に位置しており、V遺伝子は、塩基7526から7861に位置しており、ヒト定常κは、塩基7862から8185に位置しており、SV40ポリAは、塩基8198から8392に位置しており、及び、pUC起点は、塩基8759から9432(相補的)に位置しており、
【図3A】図3AからCは、シャーガス12−392−150Mu−Hu_pBJ中にクローニングされたVH及びVL配列(及び隣接領域)に対する注釈付き注釈付き二本鎖ポリヌクレオチド配列を図示する。図3AからBは、塩基2772から2828に位置する重鎖シグナルペプチド、塩基2829から3194に位置するVH遺伝子配列及び塩基3195から4187に位置するヒト定常IgG1、z、非a配列に対するポリヌクレオチド配列(配列番号21から22)を図示する。
【図3B】図3AからCは、シャーガス12−392−150Mu−Hu_pBJ中にクローニングされたVH及びVL配列(及び隣接領域)に対する注釈付き注釈付き二本鎖ポリヌクレオチド配列を図示する。図3AからBは、塩基2772から2828に位置する重鎖シグナルペプチド、塩基2829から3194に位置するVH遺伝子配列及び塩基3195から4187に位置するヒト定常IgG1、z、非a配列に対するポリヌクレオチド配列(配列番号21から22)を図示する。
【図3C】図3AからCは、シャーガス12−392−150Mu−Hu_pBJ中にクローニングされたVH及びVL配列(及び隣接領域)に対する注釈付き注釈付き二本鎖ポリヌクレオチド配列を図示する。図3Cは、塩基7460から7525に位置するκシグナルペプチド、塩基7526から7861に位置するVL遺伝子配列及び塩基7862から8185に位置するヒト定常κ配列に対するポリヌクレオチド配列(配列番号23から24)を図示する。
【図4】図4は、プラスミドシャーガス9−638Mu−Hu_pBj、プラスミドサイズ:9514ヌクレオチドを模式的に図示している。アンピシリン耐性遺伝子ORFは、塩基60から917に位置している;エンハンサーは、塩基1551から2021に位置しており、プロモーターは、塩基2023から2744に位置しており、重鎖シグナルペプチドは、塩基2772から2828に位置しており、V遺伝子は、塩基2829から3188に位置しており、ヒト定常hgG1、z、非−aは、塩基3189から4181に位置しており、SV40ポリAは、塩基4213から4407に位置しており、SV40プロモーターは、塩基4678から5223に位置しており、マウスDHFRは、塩基5251から5814に位置しており、TKポリAは、塩基5841から6207に位置しており、エンハンサーは、塩基6235から6705に位置しており、プロモーターは、塩基6706から7427に位置しており、κシグナルペプチドは、塩基7454から7519に位置しており、V遺伝子は、塩基7520から7858に位置しており、ヒト定常κは、塩基7859から8179に位置しており、SV40ポリAは、塩基8192から8386に位置しており、及び、pUC起点は、塩基8753から9426(相補的)に位置している。
【図5】図5は、プラスミドシャーガス10−745Mu−Hu_pBJ、プラスミドサイズ:9514ヌクレオチドを模式的に図示している。アンピシリン耐性遺伝子ORFは、塩基60から917に位置している;エンハンサーは、塩基1551から2021に位置しており、プロモーターは、2023から2744に位置しており、重鎖シグナルペプチドは、塩基2772から2828に位置しており、V遺伝子は、塩基2829から3188に位置しており、ヒト定常IgG1、z、非−aは、塩基3189から4181に位置しており、SV40ポリAは、塩基4213から4407に位置しており、SV40プロモーターは、塩基4678から5223に位置しており、マウスDHFRは、塩基5251から5814に位置しており、TKポリAは、塩基5841から6207に位置しており、エンハンサーは、塩基6235から6705に位置しており、プロモーターは、塩基6706から7427に位置しており、κシグナルペプチドは、塩基7454から7519に位置しており、V遺伝子は、塩基7520から7855に位置しており、ヒト定常κは、塩基7856から8179に位置しており、SV40ポリAは、塩基8192から8386に位置しており、及び、pUC起点は、塩基8753から9426(相補的)に位置している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、とりわけ、トリパノソーマ(スキゾトリパナム)クルーズ抗原を検出又は定量するための方法、アッセイ及びキットを提供する。本開示の一実施形態に従えば、本開示の組換え抗体(キメラ抗体を含む。)は、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域に特異的に結合し、従って、例えば、T.cruziの検出用診断試薬として、及び/又はT.cruziの検出用アッセイにおける標準化試薬若しくは陽性対照試薬としての使用に適している。
【0037】
従って、本開示は、各抗体がT.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することができる1つ以上の抗体(キメラ抗体を含む。)を含む免疫診断試薬も提供する。組換え抗体は、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体断片などであり得る。別の実施形態において、免疫診断試薬は、2つ以上の組換え抗体(キメラ抗体を含む。)を含む。場合によって、免疫診断試薬中で使用される抗体は、免疫診断試薬がT.cruzi抗原の複数を検出することができるように、それぞれ、異なるT.cruzi抗原性タンパク質に対して特異的である。場合によって、免疫診断試薬は、シャーガスFP3抗原に対して特異的な組換え抗体、シャーガスFP6抗原に対して特異的な組換え抗体、シャーガスFP10抗原に対して特異的な組換え抗体及びシャーガスFRA抗原に対して特異的な組換え抗体からなる群から選択されるT.cruzi抗原に対して特異的な少なくとも1つ若しくはそれ以上、又は少なくとも2つ若しくはそれ以上の組換え抗体を含む。さらに別の実施形態において、免疫診断試薬の1つ以上の抗体は、ハイブリドーマ細胞株によって産生される新規モノクローナル抗体であり、シャーガスFP3抗原に対して特異的なモノクローナル抗体、シャーガスFP6抗原に対して特異的なモノクローナル抗体、シャーガスFP10抗原に対してモノクローナル抗体及びシャーガスFRA抗原に対してモノクローナル抗体からなる群から選択されるT.cruzi抗原に対して特異的である。
【0038】
一実施形態において、本開示は、例えば、ヒト血清に代えて、T.cruzi検出アッセイ中の標準化試薬として、免疫診断試薬を使用することを提供する。この文脈において、例えば、現行及び将来のT.cruzi検出アッセイの性能を評価及び標準化するために、免疫診断試薬を場合によって使用することができる。
【0039】
本開示のこれらの及びさらなる実施形態、特徴、態様、例示及び実施例が、以下の節にさらに記載されている。本明細書中に別段の定義がなければ、本明細書中で使用される全ての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0040】
A.定義
本明細書に使用されているように、文脈上明確に反対の記述がなければ、単数形「a」、「an」及び「the」には、複数表記が含まれる。本明細書での数的範囲の引用に関して、その間に介在する各数字は、同じ正確度で明示的に想定される。例えば、範囲6から9の場合、6及び9に加えて、数字7及び8が想定され、範囲6.0から7.0の場合、数字6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明示的に想定される。
【0041】
a)約
本明細書において使用される「約」という用語は、表記されている値からのおよそ+/−10%の変動を表す。このような変動は、具体的に参照されているかどうかに関わらず、本明細書に提供されている何れの所定の値にも常に含まれることを理解すべきである。
【0042】
b)抗体
本明細書において使用される「抗体」(Ab)という用語は、TCAに対して誘導された単一の抗体(抗TCA抗体)、ポリエピトープ特異性を有する抗TCA抗体組成物、一本鎖抗TCA抗体及び抗TCA抗体の断片を含む。「モノクローナル抗体」(mAb)は、実質的に均質な抗体の集団から得られる。すなわち、集団を構成する各抗体は、微量に存在する可能性がある天然の変異を除けば同一である。典型的な抗体には、ポリクローナル(pAb)、モノクローナル(mAb)、ヒト化、二重特異的(bsAb)、ヘテロ連結物抗体及び二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD−Ig(R))及び二重可変ドメイン免疫グロブリンの誘導体(三重可変ドメインなど)が含まれる(二重可変ドメイン免疫グロブリン及びその作製方法は、Wu, C, et al., Nature Biotechnology, 25(11):1290−1297(2007)及びWO2001/058956(これらの各々の内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている。)。
【0043】
c)抗体断片
本明細書において使用される「抗体断片」という用語は、完全状態の抗体の抗原結合部位又は可変領域を含む完全状態の抗体の一部を表し、前記一部は完全状態の抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体イソタイプに応じて、C2、C3及びC4)を含まない。抗体断片の例には、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、軽鎖可変ドメインを1つだけ含有する一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチド、重鎖可変領域を1つだけ含有する一本鎖ポリペプチド及び重鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
d)二重機能性抗体
本明細書において使用される「二重機能性抗体」という用語は、ある抗原性部位に対して特異性を有する第一のアーム及び異なる抗原性部位に対して特異性を有する第二のアームを含む抗体をあらわす。すなわち、二重機能性抗体は二重の特異性を有する。
【0045】
e)生物学的試料
「生物学的試料」という用語には、対象から単離された組織、細胞及び生物学的流体並びに対象内に存在する組織、細胞及び流体が含まれる。対象から得られる生物学的試料は、ポリペプチド分子を含有する。生物学的試料の例には、全血、血清、血漿、間質液、唾液、眼のレンズ液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水、粘液、鼻液、痰、滑液、腹腔液、膣液、月経血、羊水及び精液が含まれる。インビトロ及びインビボで生物学的試料中のTCAを検出するために、検出方法を使用することができる。TCAを検出するためのインビトロ技術には、酵素連結免疫吸着検定法(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降及び免疫蛍光が含まれる。さらに、TCAを検出するためのインビボ技術には、標識された抗TCA抗体を対象中に導入することが含まれる。例えば、抗体は、対象中でのその存在及び位置を標準的な画像化技術によって検出することができる放射性マーカーで標識することができる。
【0046】
f)結合定数
本明細書において互換的に使用される「会合速度定数」、「kon」又は「k」という用語は、以下の式によって示されているように、標的抗原への抗体の結合速度又は抗体と抗原の間での複合体形成の速度を示す値を表す。
【0047】
抗体(「Ab」)+抗原(「Ag」)−>Ab−Ag
本明細書において互換的に使用される「解離速度定数」、「koff」又は「k」という用語は、以下の式によって示されているように、標的抗原からの抗体の解離速度又はAb−Ag複合体が経時的に遊離の抗体及び抗原へ分離することを示す値を表す。
【0048】
Ab+Ag<−Ab−Ag
会合及び解離速度定数を測定するための方法は、本分野において周知である。蛍光を基礎とする技術を用いることによって、平衡状態にある生理的緩衝液中で試料を調べるための高い感度及び能力が得られる。BIAcore(R)(生物分子相互作用分析)アッセイなどの他の実験的アプローチ及び装置(例えば、BIAcore International ABから入手可能な装置、GE Healthcare company、Uppsala,Sweden)を使用することが可能である。さらに、Sapidyne Instruments(Boise,Idaho)から入手可能なKinExA(R)Kinetic Exclusion ssay)アッセイも使用することが可能である。
【0049】
本明細書において互換的に使用される「平衡解離定数」又は「K」という用語は、会合速度(kon)によって解離速度(koff)を除することによって得られた値を表す。会合速度、解離速度及び平衡解離定数は、抗原への抗体の結合親和性を表すために使用される。
【0050】
g)キメラ抗体
本明細書において使用される「キメラ抗体」(又は「cAb」)という用語は、別の宿主種由来の抗体定常領域の少なくとも一部に連結されたある宿主種由来の抗体の重及び軽鎖可変領域の全部又は一部を含むポリペプチドを表す。
【0051】
h)対応している又は対応する
「対応している」又は「対応する」という用語は、核酸配列が参照核酸配列の全部又は一部と同一であることを表す。「〜に相補的」という用語は、核酸配列が参照核酸配列の相補的な鎖の全部又は一部と同一であることを表すために、本明細書において使用される。例として、核酸配列「TATAC」は参照配列「TATAC」に対応し、参照配列「GTATA」と相補的である。
【0052】
本明細書において別段の記載がなければ、全ての核酸配列は5’から3’の方向に書かれており、全てのアミノ酸配列はアミノ末端からカルボキシ末端の方向に書かれている。
【0053】
i)誘導化された抗体
本明細書において使用される「誘導化された抗体」という用語は、別の機能的分子に誘導化された又は連結された抗体又は抗体の一部を表す。例えば、抗体又は抗体断片は、化学的カップリング、遺伝的融合又は非共有会合などによって、別の抗体、検出可能な因子、細胞毒性因子、薬剤及び抗体又は抗体の一部の別の分子(ストレプトアビジンコア領域又はポリヒスチジンタグなど)との会合を媒介することができるポリペプチドなどの1つ以上の分子に機能的に連結され得る。誘導化された抗体の1つの種類は、2つ以上の抗体を架橋することによって産生される。適切な架橋剤には、ヘテロ二機能性(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)又はホモ二機能性(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)であるものが含まれる。このようなリンカーは、Pierce Chemical Company(Rockford, IL)から入手することができる。
【0054】
j)検出可能な標識
本明細書において使用される「検出可能な標識」という用語には、直接又は間接的に検出することが可能な分子又は部分が含まれる。さらに、これらの因子は抗体で誘導化することが可能であり、蛍光性化合物が含まれる。標識のクラスには、蛍光性、発光性、生物発光性及び放射性物質、酵素及び補欠分子族が含まれる。有用な標識には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ストレプトアビジン/ビオチン、アビジン/ビオチン、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、フィコエリトリン、ルミノール、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、エコーリン及び125I、131I、35S又はHが含まれる。
【0055】
k)診断的に適切な
T.cruziタンパク質の領域に関して本明細書において使用される「診断的に適切な」という用語は、その検出が、単独で又はシャーガスの他の診断的に適切な領域と組み合わせて、T.cruziの検出を可能とするタンパク質の領域を表す。診断的に適切な領域の例には、本分野において公知の免疫優性領域及び本明細書に記載されているような領域が含まれる。
【0056】
l)エピトープ又は目的のエピトープ
本明細書において使用される「エピトープ」又は「目的のエピトープ」という用語は、認識され及びその特異的な結合対上の相補的部位に結合することができる何れかの分子上の部位を表す。分子及び特異的結合対は、特異的結合対の一部である。例えば、エピトープは、ポリペプチド、タンパク質、ハプテン、炭水化物抗原(糖脂質、糖タンパク質又はリポ多糖など(但し、これらに限定されない。))又は多糖であり得、その特異的結合対は抗体であり得る(但し、これらに限定されない。)。典型的には、エピトープは、より大きな抗原性断片(すなわち、抗体を結合することができる領域又は断片)内に含有され、特異的結合対に接触することが知られている正確な残基を表す。抗原性断片は2以上のエピトープを含有することが可能である。
【0057】
m)ヒト化抗体
本明細書において使用される「ヒト化抗体」という用語は、可変領域の一部が非ヒト種由来の対応する配列によって可変領域の一部が置換されており及び修飾された可変領域がヒト抗体の定常領域の少なくとも一部に連結されている、ヒト抗体の修飾された可変領域を含むポリペプチドを表す。一実施形態において、可変領域の一部は相補性決定領域(CDR)の全部又は一部である。この用語は、ハイブリッド抗体が所望の生物活性(すなわち、T.cruzi抗原性タンパク質を特異的に結合する能力)を示す限り、起源となる種、タンパク質の種類、免疫グロブリンクラス又はサブクラスの指定に関わらず、非ヒト抗体の可変領域又は1つ若しくはそれ以上のCDRを異種タンパク質とスプライシングすることによって産生されたハイブリッド抗体も含まれる。
【0058】
n)単離された又は精製された
「単離された」又は「精製された」という用語は、分子を参照する場合、同定されており、その天然環境の成分から分離及び/又は回収されている分子を表す。その天然環境のきょう雑成分は、診断又は治療的使用を妨害する物質である。「単離された」又は「精製された」ポリペプチド又は本明細書において使用されている生物学的に活性な断片(Fab断片など)は、その環境の成分から分離及び/又は回収されているポリペプチド又は生物学的に活性な断片を表す。きょう雑成分には、ポリペプチドに関する診断的使用を通例妨害する物質が含まれ、酵素、ホルモン及び他のポリペプチド性又は非ポリペプチド性物質が含まれ得る。実質的に単離するために、調製物は、きょう雑物質の乾燥重量の約30%未満(すなわち、約0.01%から約30%)、通常、約20%未満(すなわち、約0.01%から約20%)、約10%未満(すなわち、約0.01%から約10%)、より頻繁には、約5%未満(すなわち、約0.01%から約5%)のきょう雑物質を有する。単離され、組換え的に産生されたTCA、V若しくはV又は生物学的に活性な部分は、望ましくは、培地を実質的に含まない。すなわち、培地は、TCA、V又はV調製物の容量の約20%、約10%又は約5%未満を占める。従って、本明細書において使用される「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を表す。しかしながら、T.cruziエピトープを特異的に結合する単離された抗体は、例えば、シャーガスポリペプチドTcf及びFP6上に見出されるPep2エピトープを結合する抗体など、他のT.cruzi抗原に対する交叉反応性を有することができる。
【0059】
o)品質管理試薬
本明細書において記載されるように、イムノアッセイは、例えば、較正用物質、対照及び感度パネルを含む(但し、これらに限定されない。)「品質管理試薬」を取り込む。「較正用物質」又は「標準」は、抗体濃度を内挿するための較正(標準)曲線を確立するために、通例使用される(例えば、1つ以上又は種々の)場合によって、正/負のカットオフに近い単一の較正用物質を使用することができる。「感度」パネルを構成するために、複数の較正用物質(すなわち、2以上の較正用物質又は較正用物質の変動量)を合わせて使用することができる。「陽性対照」はアッセイ性能特性を確立するために使用され、試薬(例えば、抗原)の完全性の有用な指標である。
【0060】
p)組換え抗体
本明細書において使用される「組換え抗体」という用語は、組換え技術によって、1つ以上のモノクローナル抗体の全部又は一部をコードする核酸配列を適切な発現ベクター中にクローニングし、続いて、適切な宿主細胞中で抗体を発現させることを含む1つ以上の工程によって調製された抗体を表す。従って、この用語には、モノクローナル抗体である組換え的に作製された抗体、モノクローナル抗体の断片を含む抗体断片、キメラ抗体、ヒト化抗体(完全又は部分的にヒト化)、抗体断片から形成された多重特異的又は多価構造(二重可変ドメイン免疫グロブリン、DVD−Ig(R)と名付けられた四価IgG様分子を含む。)及び二重機能性抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
q)特異的な又は特異性
本明細書において使用される、特異的な結合対(例えば、抗原及び抗体)の要素間での相互作用に関する「特異的な」又は「特異性」は、相互作用の選択的反応性を表す。「〜に特異的に結合する」という用語及びその類似語は、T.cruziタンパク質に特異的に結合し、他の物体には特異的に結合しない抗体の能力を表す。T.cruziタンパク質に特異的に結合する抗体又は抗体断片は、例えば、診断用イムノアッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(「RIA」)及び酵素連結免疫吸着アッセイ(「ELISA」)(例えば、Paul, ed., Fundamental Immunology, 2nd ed., Raven Press, New York, pages 332−336 (1989)参照)、BIAcore(R)(biomolecular interaction analysis、BIAcore International AB, Uppsala, Swedenから入手可能)、KinExA(R)Kinetic Exclusion ssay、Sapidyne Instruments(Boise,Idaho)から入手可能)又は当業者に公知の他の技術によって同定され得る。
【0062】
r)実質的に同一の
核酸又はアミノ酸配列に関して本明細書で使用される「実質的に同一の」という用語は、例えば、以下に記載されている方法を用いて、最適に並置された場合に、その核酸又はアミノ酸配列が所定の別の核酸又はアミノ酸配列(又は「参照配列」)と少なくとも約70%(例えば、約70%から約100%)、少なくとも約75%(例えば、約75%から約100%)、少なくとも約80%(例えば、約80%から約100%)、少なくとも約85%(例えば、約85%から約100%)、少なくとも約90%(例えば、約90%から約100%)、少なくとも約95%(例えば、約95%から約100%)、少なくとも約96%(例えば、約96%から約100%)、少なくとも約97%(例えば、約97%から約100%)、少なくとも約98%(例えば、約98%から約100%)又は少なくとも約99%(例えば、約99%から約100%)の配列同一性を有することを表す。「実質的な同一性」は、完全長配列、エピトープ又は免疫原性ペプチド、機能的ドメイン、コード及び/又は制御配列、エキソン、イントロン、プロモーター及びゲノム配列など、配列の様々な種類及び長さを表すために使用することができる。2つのアミノ酸又は核酸配列間の%同一性は、当業者の技術水準の範囲に属する様々な方法で、例えば、Smith Waterman Alignment(Smith, T. F. and M. S. Waterman(1981) J MolBiol 147:195−7);GeneMatcher PlusTMに取り込まれているような“BestFit”(Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics,482−489(1981))、Schwarz and Dayhof(1979)Atlas of Protein Sequence and Structure, Dayhof, M. O., Ed pp353−358;BLAST program(Basic Local Alignment Search Tool (Altschul, S.F.,W.Gish, et al.(1990) J MolBiol215:403−10)並びにBLAST−2、BLAST−P、BLAST−N、BLAST−X、WU−BLAST−2、ALIGN、ALIGN−2、CLUSTAL及びMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどのこれらの変形などの一般に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて測定することができる。さらに、当業者は、比較されている配列の長さにわたって最大の並置を達成するために必要とされるアルゴリズムなど、並置を測定するための適切なパラメータを決定することが可能である。一般に、アミノ酸配列に関して、比較配列の長さは少なくとも約10アミノ酸である。当業者は、実際の長さが比較されている配列の全長に依存すること、及び少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100、少なくとも約110、少なくとも約120、少なくとも約130、少なくとも約140、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300若しくは少なくとも約350アミノ酸であり得、又はアミノ酸配列の完全長であり得ることを理解する。核酸の場合、比較配列の長さは、一般に、少なくとも約25ヌクレオチドであるが、少なくとも約50、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450、少なくとも約500、少なくとも約550、少なくとも約600、少なくとも約650、少なくとも約700、少なくとも約800、少なくとも約900若しくは少なくとも約1000であり得、又は核酸配列の完全長であり得る。
【0063】
s)表面プラズモン共鳴
本明細書において使用される「表面プラズモン共鳴」という用語は、例えば、BIACORE(R)システム(Biacore(GE Healthcare)(Johnsson, B., et al.1991.Immobilization of proteins to a carboxymethyldextran−modified gold surface for biospecific interaction analysis in surface plasmon resonance sensors.Anal Biochem.198:268−77;Johnsson, B., et al.1995.Comparison of methods for immobilization to carboxymethyl dextran sensor surfaces by analysis of the specific activity of monoclonal antibodies.J Mol Recognit.8:125−31; Jonsson, U., et al.1993.Introducing a biosensor based technology for real−time biospecific interaction analysis.Ann Biol CUn (Paris)51:19−26)を用いて、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによって、リアルタイム二重特異的相互作用の分析を可能とする光学的現象を表す。
【0064】
t)TCA
本明細書で使用される「TCA」という略号は、「T.cruzi抗原」を意味する。FP3、Pep2、TcF、FP6及びFP10はTCAを表し、以下でさらに定義されている。他の略号は導入されるごとに定義されている。
【0065】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記載することを目的とするものであり、その他の限定を意図するものではない。
【0066】
B.抗T.cruzi抗体及び該抗体を産生する細胞株
本開示は、とりわけ、新規抗体、これらの抗体を産生する細胞株及びこれらの抗体を作製する方法を提供する。これらの抗体は、様々なT.cruzi抗原(TCA)を結合し、FP3、Pep2(TcF、FP6)及びFP10ポリペプチド中に含有されているものが含まれ、マウスmAb、二重可変ドメイン免疫グロブリン(CDVD−Ig(R))などのmAbとして、又はマウス−ヒト(Mu−Hu)キメラなどのキメラ抗体として使用することができる。これらの抗体は、イムノアッセイ中の陽性対照として有用である。さらに、抗体は、TCAを保有するT.cruziポリペプチドを精製するために使用することができる。本開示の抗体及び細胞株の例が、以下の表1に挙げられている。
【0067】
【表1】

【0068】
本開示の抗体のさらなる例は、
(a)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合し(T.cruziポリペプチドはFRAであり、並びにさらに、前記抗体は、約7.0×10−1−1から約7.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約4.0×10−3−1から約3.0×10−1−1の間の解離速度定数(k)及び約5.7×10−10Mから約4.3×10−7Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(b)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはPep2であり、並びにさらに、前記抗体は、約1.0×10−1−1から約8.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約6.0×10−3−1から約4.0×10−2−1の間の解離速度定数(k)及び約7.5×10−10Mから約4.0×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(c)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはFP10であり、並びにさらに、前記抗体は、(a)約5.0×10−1−1から約3.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、(b)約1.0×10−4−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び(c)約3.3×10−10Mから約1.6×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);
(d)T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体(T.cruziポリペプチドはFP3であり、並びにさらに、前記抗体は、約2.0×10−1−1から約6.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約2.0×10−5−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び約3.3×10−12Mから約4.0×10−9Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する。);並びに
(e)(a)から(d)の任意の組み合わせ。
【0069】
本明細書中でさらに記載されているような抗T.cruzi抗体及びこれらの抗体を産生する細胞株を作製するために、一般に、2工程のプロセスを経た。(1)目的の抗原(T.cruziエピトープ(TCA))に特異的に結合されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株が開発され、及び(2)組換え技術を用いて、キメラ抗体を改変し、次いで、改変された抗体を産生させるために、哺乳動物の発現細胞株を使用した。この第二の部分において、所望のmAbを分泌するハイブリドーマ細胞株を同定した後、mRNAをこれらの細胞から単離し、抗体遺伝子配列を同定した。次いで、(ヒト抗体配列を供給する)pBOSベクター中に可変軽(V)及び可変重(V)ポリヌクレオチド配列をクローニングし、次いで、得られたキメラ抗体が機能的であることを確認するために、一過性発現系中にpBOSベクターを同時形質移入した。確認したら、V配列をpJVプラスミド中に、及びV配列をpBVプラスミド中にサブクローニングした。これらのベクターは、次いで、安定なpBJ発現ベクターを構築するために使用した。次いで、pBJでCHO細胞を形質移入し、形質移入体を選択し、分泌された抗体を再度検査し、産業規模の製造を可能とする。従って、本開示のキメラ抗体の典型を作製するために、マウスV及びV領域をヒト定常鎖(CH)及び定常軽鎖(CL)領域と組み合わせた。従って、キメラ抗体は、TCAに対するマウスmAb機能的特異性及び親和性を保持しているが、ヒト免疫グロブリン(Ig)を検出するために設計された抗体アッセイにおいて反応する。一実施形態において、本開示は、TCAFP3、Pep2(FP6/Tcf)、FP10及びFRAを特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)に関する。FP3、Pep2、FP10又はFRA組換え抗原を用いて、マウスを個別に免疫化し、抗体産生マウスを同定し、安楽死させ、脾細胞を採集し、骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞株を産生するmAbを単離する。
【0070】
C.免疫診断用試薬
本開示の免疫診断用試薬は、本明細書に記載されている1つ以上の抗体を含む(例えば、本明細書中のB及びE節を参照。)。例えば、免疫診断用試薬を含む抗体には、組換え抗体が含まれ得、ここでも、組換え抗体にはT.cruziタンパク質の診断的に適切な領域に特異的に結合する組換えキメラ抗体が含まれる。従って、一実施形態において、本開示によって提供される免疫診断用試薬は、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することができる単一の抗体を含む。別の実施形態において、本開示によって提供される免疫診断用試薬は、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することができる単一のキメラ抗体を含む。他の実施形態において、免疫診断用試薬は、各々がT.cruziタンパク質の診断的に適切な領域(例えば、同じ領域又は異なる領域)を特異的に結合することができる1つ以上の組換え抗体(組換えキメラ抗体など)を含み得る複数の抗体を含む。複数のキメラ抗体の1つ以上は、同じT.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することが可能であり得る。あるいは、キメラ抗体の複数の各々は、異なるT.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することができる。
【0071】
本開示の一実施形態において、免疫診断用試薬は、T.cruzi抗原の複数を検出することが可能であり、各々が異なるT.cruzi抗原性タンパク質を特異的に結合することができる2つ以上の組換え抗体を場合によって含む。さらなる実施形態において、免疫診断用試薬は、各々が異なるT.cruzi抗原性タンパク質を特異的に結合することができる3つ以上の組換え抗体を場合によって含む。別の実施形態において、免疫診断用試薬は、各々が異なるT.cruzi抗原性タンパク質を特異的に結合することができる4つ以上の組換え抗体を場合によって含む。
【0072】
免疫診断用試薬によって含まれる組換え抗体は、例えば、検出目的のために、固体支持体上への固定化のために、安定性を改善するために及び/若しくは薬物動態学的特性を改善するために、又は本分野において公知である他の手段によって場合によって修飾され得る。
【0073】
D.T.cruzi抗原
T.cruziは、複雑な生活環を有する複雑な生物である。しかしながら、寄生生物の診断的検出のために有用である重要な抗原が同定されている。
【0074】
FP3抗原(Kirchhoff, L. V., and K. Otsu.米国特許出願2004/0132077号。2004)は、T.cruziAg15(Otsu, K., et al.1993.Interruption of a Trypanosoma cruzi gene encoding a protein containing 14−amino acid repeats by targeted insertion of the neomycin phosphotransferase gene.Mol Biochem Parasitol.57:317−30)とT.cruziプロテインC(後者は、鞭毛カルシウム結合タンパク質(Gonzalez, A., et al.1985.Apparent generation of a segmented mRNA from two separate tandem gene families in Trypanosoma cruzi.Nucleic Acids Res.13:5789−804)の組み合わせに実質的に対応する組換えタンパク質である。ポリヌクレオチド配列(配列番号1)及びポリペプチド配列(配列番号2)は、それぞれ、下表2及び3に示されている。T.cruziの14アミノ酸反復に対して特異的なアミノ酸配列は表3において下線が付されており、T.cruziのプロテインAに対応するアミノ酸は表3において太字で記載されており、プロテインBに対応するアミノ酸は表3において斜字体で記載されており、プロテインCに対応するアミノ酸は表3において二重下線が付されている。
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
Pep2抗原(Kirchhoff及びOtsu,2004)は、T.cruziFP6及びTcf、T.cruziポリペプチド(何れも、Pep2抗原を有する。)の反復配列の組換えタンパク質である。ポリヌクレオチド配列(配列番号3)及びポリペプチド配列(配列番号4)が、それぞれ、表4及び5に示されている。
【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
FP10抗原(Kirchhoff and Otsu, 2004)は、T.cruziの反復配列の別の組換えタンパク質である。そのポリヌクレオチド(配列番号5)及びポリペプチド(配列番号6)配列は、それぞれ、下表6及び7に示されている。I−ドメインのアミノ酸配列は表7中において下線が付されており、J−ドメインのアミノ酸配列は、表7中において斜字体で記載されており、K−ドメインのアミノ酸配列は、表7中において太字で記載されており、L−ドメインのアミノ酸配列は表7中において二重下線が付されている。
【0081】
【表6】

【0082】
【表7】

【0083】
FRA抗原は、鞭毛反復タンパク質配列であり(Lafaille, JJ., etc.1989.Structure and expression of two Trypanosoma cruzi genes encoding antigenic proteins bearing repetitive epitopes.Mol Biochem Parasitol.35:127−36)、GenBank受付番号J04015、下表8(ポリヌクレオチド配列、配列番号7)及び9(ポリペプチド配列;配列番号8)に示されている。
【0084】
【表8】

【0085】
【表9】

【0086】
配列番号2、4、6及び8のTCAは、インビトロで合成することが可能であり、又はポリヌクレオチド配列(配列番号1、3、5及び7と実質的に類似するものなど)から組換え的に発現することが可能である。遺伝子コードの縮重並びに配列番号2、4、6及び8のポリペプチドが置換を許容する能力のために、本開示を実施するために、配列は同一である必要はない。ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の同一性は、約70%、約75%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%及び、もちろん、約100%など、約70%から約100%(特に、約90%から約97%)の範囲であり得る。
【0087】
TCAは、ポリペプチド化学を用いて、インビトロで容易に合成することができる。例えば、ポリペプチド合成は、Rainin Symphony Peptide Synthesizer, Advanced Chemtech Peptide Synthesizer, Argonaut Parallel Synthesis System又はApplied Biosystems Peptide Synthesizerなどの自動化されたポリペプチド合成装置を用いて、固相支持体上に、段階的様式で実施することができる。ペプチド合成装置は、固相ペプチド合成を実施するために、Fmoc化学をHOBt/HBTU/DIEA活性化と組み合わせる。
【0088】
合成は、C末端アミノ酸から始まり、カルボキシ末端は不溶性のポリマー支持体樹脂に共有結合される。有用な樹脂は、樹脂1g当りC末端アミノ酸0.1mmolから0.7mmolを搭載することができる。ジクロロメタン(DCM)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアミン(DMA)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、2−(1−H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)、N,N−ジ−イソプロピルエチルアミン(DIEA)、メタノール(MeOH)又は水など、典型的な合成サイクルの間に使用される様々な溶媒及び化学物質に対して耐性を示し、連続的なフロー又はバッチ合成用途に適し得る。有用な樹脂の例には、p−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂(HMP樹脂)、PEGco−Merrifield樹脂、NovaSynTGA(R)樹脂(Novabiochem)、4−スルファミルブチリルAM樹脂及びCLEARアミド樹脂が含まれる。アミノ酸が結合された樹脂は多数の様々な入手先から市販されているが、このような結合された樹脂は実験室において調製することもできる。
【0089】
樹脂に結合されたアミノ酸(又はポリペプチド)のN末端は、次のN−末端アミノ酸反応物質の添加前に除去される9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によって化学的に保護される。Fmoc基は、NMP又はDMFなどの適切な溶媒中のアミン(20から55%ピペリジンなどの)の濃溶液によって容易に除去される塩基に対して不安定な保護基である。Fmoc脱保護のための他の有用なアミンには、トリス(2−アミノエチル)アミン、4−(アミノメチル)ピペリジン、テトラブチルアンモニウムフルオリド及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)が含まれる。樹脂に結合された全てのポリペプチド鎖が各カップリングサイクルに有効に関与するように、N末端からFmoc基を完全に除去することが重要であり、そうでないと、異なる長さ及び配列のポリペプチド鎖が得られる。Fmoc基の塩基触媒による除去の後、塩基触媒を除去するために、適切な緩衝液で樹脂を徹底的に洗浄する。
【0090】
多くのアミノ酸の側鎖は、アミン、アルコール又はチオールなどの化学的に反応性を有する基を含有する。これらの側鎖は、カップリング工程の間に、所望されない副反応を防止するためにさらに保護しなければならない。塩基に対して安定である、より好ましくは、塩基に対して安定であり且つ酸に対して不安定である側鎖保護基が最も有用である。表10は、アミノ酸のこのカテゴリーに関する側鎖保護基の典型的な群を記載する。
【0091】
【表10】

【0092】
導入されるFmoc保護されたアミノ酸のカルボキシル基は、樹脂に結合されたポリペプチドのN末端への効率的な化学的連結を達成するために活性化される。活性化は、反応性エステルを生成するためにFmoc保護されたアミノ酸を適切な試薬と反応させることによって典型的に達成される。活性化されたエステルの例には、ペンタフルオロフェニル(OPfp)エステル及び3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−4−オキソ−ベンゾ−トリアゾン(ODhbt)エステル、OBtエステル及び1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)から誘導されるOAtエステルが含まれる。カップリング反応は、DCC、BOP、BOP−Cl、TBTU、HBTU又はO−(7−アザベンゾトリゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)などの活性化試薬を用いて、原位置で行うことができる。典型的なカップリング反応には、HOBt及びHBTUの混合物又はHOBt、HBTU及びDIEAの混合物が含まれた。N−メチルアミノ酸に関して、カップリング条件は唯一のカップリング試薬としてブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBroP)を使用することが可能であり、カップリング反応は、N下に存在するDIEAとともにDCM中において手動で実施される。Fmoc保護されたアミノ酸は、樹脂に連結されたポリペプチドに対してモル濃度過剰で存在する。遅い速度で進行するカップリング反応に関しては、樹脂に結合された全てのポリペプチドが活性化されたFmocアミノ酸と確実に首尾よく付加反応を行うようにするために、カップリング反応は1回以上(二重又は多重カップリング)繰り返される。不完全なカップリング反応に関しては、全ての反応していないN末端残基は、適切なキャッピング試薬を用いてキャップされる。
【0093】
カップリング反応後、反応していないFmocアミノ酸及びカップリング試薬を除去するために、樹脂支持体は洗浄される。次いで、別のアミノ酸を付加するためのポリペプチドを調製するために、樹脂はN末端のFmoc基の塩基触媒された除去の新しいサイクルに供される。所望のポリペプチドが合成された後、残存するFmoc保護基の塩基触媒された除去に樹脂を供する。塩基を除去するために、ポリペプチドが結合された樹脂を洗浄し、あらゆるアミノ酸側鎖保護基を除去するために、及び樹脂支持体からポリペプチド鎖を放出するために、続いて、酸で処理する。有用な酸は、試薬K[TFA:チオアニソール:エタンジチオール:フェノール:水(82.5:5:2.5:5:5)]などの適切なスカベンジャーの存在下にあるトリフルオロ酢酸(TFA)などの強酸である。
【0094】
続いて、ろ過によって、樹脂からポリペプチドを分離し、DCM/DMFなどの適切な溶媒で場合によって繰り返し洗浄する。適切な分子量カットオフを有する膜を使用する限外ろ過を通じて、場合によってポリペプチドを脱塩することができる。ポリペプチドは、冷メチルt−ブチルエーテル又はt−ブチルエチルエーテルなどの適切な溶媒を用いて、溶液から沈殿させることが可能であり、沈殿は、冷エーテルなどの適切な溶媒で場合によって洗浄され、乾燥される。C18樹脂を用いる疎水性クロマトグラフィー及びTFA/水/アセトニトリルなどの適切なクロマトグラフィー緩衝系などの適切なクロマトグラフィー手段を用いて、ポリペプチドをさらに精製することができる。ペプチドの純度は、MALDI−MS、分析的HPLC、アミノ酸分析又は配列決定などの質量分析によって、場合によって分析することができる。
【0095】
あるいは、配列番号2、4、6及び8のTCAは、例えば、発現ベクターを用いて、配列番号1、3、5及び7のポリヌクレオチド配列を用いて組換え的に発現させることができる。発現ベクター中で、導入されたDNAは、挿入されたDNAを転写するために、宿主細胞へシグナルを伝達する要素(プロモーターなど)に作用可能に連結される。特定の因子に応答して遺伝子転写を調節する誘導性プロモーターなど、幾つかのプロモーターは極めて有用である。誘導性プロモーターの例には、ある種の細胞種に発現を限定する組織特異的なプロモーター、ステロイド応答性の(例えば、グルココルチコイド)プロモーター(Kaufman, RJ.1990.Vectors used for expression in mammalian cells.Methods Enzymol.185:487−511)及びテトラサイクリン又は熱ショック反応性のプロモーターが含まれる。lacオペロンなどの幾つかの細菌性抑制系は、哺乳動物細胞及びトランスジェニック動物中で活用することが可能である(Fieck, A., et al.1992.Modifications of the E. coli lac repressor for expression in eukaryotic cells:effects of nuclear signal sequences on protein activity and nuclear accumulation.Nucleic Acids Res.20:1785−91;Wyborski, D.L., L.C. DuCoeur, and J.M. Short.1996)。Parameters affecting the use of the lac repressor system in eukaryotic cells and transgenic animals. Environ Mol Mutagen.28:447−58; Wyborski, D. L., and J.M. Short.1991.Analysis of inducers of the E .coli lac repressor system in mammalian cells and whole animals.Nucleic Acids Res.19:4647−53)。組換え核酸技術、細胞中への形質移入並びに細胞及びインビトロでの発現は、以下でさらに論述されている。
【0096】
E.組換え抗体
本開示の組換え抗体は、T.cruzi抗原性タンパク質に特異的に結合することができる固有の抗体のV及び/又はVドメインに由来する抗原結合領域を含む。組換え抗体は、例えば、組換え的に産生されるモノクローナル抗体、モノクローナル抗体の断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、多重特異的、二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD−Ig(R))又は抗体断片から形成された多価構造又は二重機能的抗体であり得る。
【0097】
一実施形態において、場合によって、組換え抗体は、
(a)T.cruziポリペプチドがFRAであり、並びにさらに、前記抗体が約7.0×10−1−1から約7.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約4.0×10−3−1から約3.0×10−1−1の間の解離速度定数(k)及び約5.7×10−10Mから約4.3×10−7Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(b)T.cruziポリペプチドがPep2であり、並びにさらに、前記抗体が約1.0×10−1−1から約8.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約6.0×10−3−1から約4.0×10−2−1の間の解離速度定数(k)及び約7.5×10−10Mから約4.0×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(c)T.cruziポリペプチドがFP10であり、並びにさらに、前記抗体が(a)約5.0×10−1−1から約3.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、(b)約1.0×10−4−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び(c)約3.3×10−10Mから約1.6×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(d)T.cruziポリペプチドがFP3であり、並びにさらに、前記抗体が約2.0×10−1−1から約6.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約2.0×10−5−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び約3.3×10−12Mから約4.0×10−9Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;並びに
(e)(a)から(d)の任意の組み合わせ。別の実施形態において、場合によって、組換え抗体は、マウスモノクローナル抗体の特異性及び親和性を保持し、並びにヒト免疫グロブリンを測定するイムノアッセイフォーマットにおいて反応するキメラ抗体である。場合によって、マウス−ヒトキメラ抗体は、FP3、FP6、FP10又はFRA抗原に対して誘導される。場合によって、このようなキメラ抗体は、Abbott LaboratoriesのAxSYM(R)、ARCHITECT(R)及びPRISM(R)プラットフォームなどの(但し、これらに限定されない。)既存のイムノアッセイフォーマットにおいて反応する。
【0098】
組換え抗体によって含まれる抗原結合領域は、固有抗体由来のV及び/若しくはV配列を含むことができ、又は1つ若しくはそれ以上の他の抗体に由来する配列とともに、抗体の1つ若しくはそれ以上の部分(CDRなど)を含むことができる。一実施形態において、組換え抗体は固有抗体の完全長V及びV配列を含む。
【0099】
抗原結合領域が由来する固有抗体は、一般に、脊椎動物の抗体にである。例えば、固有抗体は、げっ歯類(例えば、マウス、ハムスター、ラット)抗体、ニワトリ抗体、ウサギ抗体、イヌ抗体、ネコ抗体、ウシ抗体、ウマ抗体、ブタ抗体、類人猿(例えば、チンパンジー)抗体又はヒト抗体であり得る。抗体源は、主として、便利さを基本とする。一実施形態において、固有抗体は非ヒト抗体である。
【0100】
組換え抗体は、同じ固有抗体又は異なる抗体に由来する1つ以上の定常領域(例えば、C、C1、ヒンジ、C2、C3及び/又はC4領域)を含むこともできる。定常領域は、上に列記されている種などの(但し、これらに限定されない。)多数の脊椎動物種の1つから得られる抗体に由来し得る。本開示の一実施形態において、組換え抗体は少なくとも1つの定常領域を含む。別の実施形態において、組換え抗体はヒト抗体に由来する1つ以上の定常領域を含む。本開示の特定の実施形態において、組換え抗体は、ヒト抗体の定常領域に連結された非ヒト抗体の可変領域を含む。
【0101】
組換え抗体を構成する定常領域は、例えば、ヒト免疫グロブリン由来の定常領域に対する1つ以上の免疫グロブリンクラス又はイソタイプに由来し得、定常領域は、IgM、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2又はIgE定常領域の1つ以上に由来し得る。定常領域がIgG軽鎖に由来する領域を含む場合、これは、κ鎖又はλ鎖に由来し得る。組換え抗体は、2以上のクラス又はイソタイプから得られる配列を含み得る。組換え抗体の所望の機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、本分野における通常の技術水準に属する。本開示の一実施形態において、組換え抗体はIgGに由来する1つ以上の定常ドメインを含む。別の実施形態において、組換え抗体はIgG定常領域の重及び軽鎖の両方から得られる領域を含む。
【0102】
本開示の一実施形態において、抗原結合領域は、T.cruzi抗原性タンパク質の診断的に適切な領域内のエピトープに特異的に結合する固有抗体に由来する。
【0103】
本開示の特定の実施形態において、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号10、12、14、16、18、20、26又は28の何れか1つに記載されているV又はV配列の全部又は一部と実質的に同一なアミノ酸配列を含む(下表12参照。配列番号識別子のまとめ及び対応する配列の説明については、下表11参照。)。別の実施形態において、組換え抗体の抗原結合領域は、V又はV配列の相補性決定領域(CDR、すなわち、CDR1、CDR2及びCDR3)を含む。
【0104】
【表11】

【0105】
【表12】


【0106】
本開示の一実施形態において、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号9、11、13、15、17、19、25又は27のいずれか1つによってコードされるアミノ酸配列の全部又は一部と実質的に同一のアミノ酸配列を含む(下表13参照)。別の実施形態において、組換え抗体の抗原結合領域は、V又はV配列の相補性決定領域(CDR、すなわち、CDR1、CDR2及びCDR3)をコードする核酸配列を含む。特定の実施形態において、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号9及び11の1つ若しくはそれ以上、配列番号13及び15の1つ若しくはそれ以上、配列番号17及び19の1つ若しくはそれ以上、又は配列番号25若しくは27の1つ若しくはそれ以上によってコードされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するCDRを含む(下表13参照)。
【0107】
本開示の別の特定の実施形態において、組換え抗体の抗原結合領域は、配列番号9、11、13、15、17、19、25又は27の何れか1つによって記載される配列の全部又は一部と実質的に同一の核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。
【0108】
【表13】



【0109】
組換え抗体のアミノ酸配列は、親配列に正確に対応する必要はない。すなわち、組換え抗体のアミノ酸配列は、「変形配列」であり得る。例えば、組換え抗体によって含まれるドメインに応じて、その部位の残基が何れかの親(又は参照)配列に対応しないように、V、V、C、C1、ヒンジ、C2、C3及びC4の1つ以上は、適宜、1つ以上のアミノ酸残基の置換、挿入又は欠失によって変異を受け得る。しかしながら、当業者は、このような変異は大規模なものではなく、組換え抗体のその標的TCAへの結合に著しい影響を及ぼさないことを理解する。本開示に従えば、組換え抗体が変形配列を含む場合、変形配列は、参照配列と少なくとも約70%(例えば、約70%から約100%)と同一である。一実施形態において、変形配列は、参照配列と少なくとも約75%(例えば、約75%から約100%)と同一である。他の実施形態において、変形配列は、参照配列と少なくとも約80%(例えば、約80%から約100%)、少なくとも約85%(例えば、約85%から約100%)又は少なくとも約90%(例えば、約90%から約100%)同一である。特定の実施形態において、参照配列は、配列番号10、12、14、16、18、20、26又は28の何れか1つに記載されている配列に対応する。
【0110】
一般に、組換え抗体が1つ以上のアミノ酸置換を含有する変形配列を含む場合、アミノ酸置換は「保存的置換」である。保存的置換は、類似の側鎖特性を有する別の残基によってあるアミノ酸残基を置換することを含む。本分野において知られているように、天然に存在する20のアミノ酸は、その側鎖の物理化学的特性に従ってグループ分けすることができる。適切なグループ分けには、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン及びトリプトファン(疎水性側鎖);グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミン(極性非帯電側鎖);アスパラギン酸及びグルタミン酸(酸性側鎖)並びにリジン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖)が含まれる。アミノ酸の別のグループ分けは、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン(芳香族側鎖)である。保存的置換は、同じ群から得られる別のアミノ酸によって、あるアミノ酸を置換することを含む。
【0111】
従って、他の実施形態における本開示は、本明細書に開示されている新規組換え抗体配列に対応する単離されたポリペプチドをさらに提供する。場合によって、単離されたポリペプチドは、FP3、FP6及びFP10からなる群から選択されるTCAの診断的に適切な領域に特異的に結合する組換え(例えば、キメラ)抗体の部分を含む。一実施形態において、ポリペプチドは、配列番号12、16、20又は28の何れか1つ以上に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域を含む。さらに別の実施形態において、ポリペプチドは、相補性決定領域配列を含むV領域を含む。別の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号10、14、18又は26の何れか1つ以上に記載されている配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域を含む。さらに別の実施形態において、ポリペプチドは、相補性決定領域配列を含むV領域を含む。
【0112】
さらに別の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号11、15、19又は27の何れか1つ以上によってコードされる配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域を含む。別の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号9、13、17又は25の何れか1つ以上によってコードされる配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域を含む。
【0113】
同様に、可変領域をコードする核酸配列は、親参照配列に正確に対応する必要はないが、遺伝コードの縮重によって及び/又は上記変形アミノ酸配列をコードするように変動し得る。従って、本開示の一実施形態において、組換え抗体の可変領域をコードする核酸配列は、参照配列と少なくとも約70%(例えば、約70%から約100%)同一である。別の実施形態において、組換え抗体の可変領域をコードする核酸配列は、参照配列と少なくとも約75%(例えば、約75%から約100%)同一である。他の実施形態において、組換え抗体の可変領域をコードする核酸配列は、参照配列と少なくとも約80%(例えば、約80%から約100%)、少なくとも約85%(例えば、約85%から約100%)又は少なくとも約90%(例えば、約90%から約100%)同一である。特定の実施形態において、参照配列は、配列番号9、11、13、15、17、19、25又は27の何れか1つに記載されている配列に対応する。
【0114】
従って、他の実施形態における本開示は、本明細書に開示されている新規組換え抗体配列(キメラ抗体配列を含む。)をコードする単離されたポリヌクレオチドをさらに提供する。場合によって、単離されたポリヌクレオチドは、FP3、FP6及びFP10からなる群から選択されるT.cruziタンパク質の診断的に適切な領域に特異的に結合する組換え(例えば、キメラ)抗体の一部をコードする。一実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号12、16、20又は28の何れか1つ以上に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域をコードする。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号10、14、18又は26の何れか1つ以上に記載されている配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むV領域をコードする。さらに別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、相補性決定領域配列を含むV領域をコードする。
【0115】
さらに別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号9、13、17又は27の何れか1つ以上によってコードされる配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域をコードする。さらに別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、相補性決定領域配列を含むV領域をコードする。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号11、13、19又は25の何れか1つ以上によってコードされる配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域からなる群から選択されるV領域をコードする。さらに別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、相補性決定領域配列を含むV領域をコードする。
【0116】
一実施形態において、抗体は、ヒト免疫系に曝露された場合に、抗体の免疫原性を除去又は低減するために、ヒトT細胞に対する潜在的エピトープである抗体の非ヒト部分中の1つ以上のアミノ酸を変異させることによって固有抗体に比べて、ヒトに対する免疫原性を低下させるためにさらに修飾することができる。適切な変異には、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失及び挿入が含まれる。
【0117】
一実施形態において、本開示の組換え抗体は、適切な固相上に固定化するためにさらに修飾することができる。固定化は、固相への共有又は非共有的(例えば、イオン性、疎水性など)を通じて達成することができる。適切な修飾は本分野において公知であり、固体支持体への組換え抗体の架橋又は付着を促進するために、組換え抗体によって含まれるアミノ酸配列の1つのC末端又はN末端の何れかに官能基又は化学的部分を付加することが含まれる。典型的な修飾には、S−アセチルメルカプトコハク酸無水物(SAMSA)若しくはS−アセチルチオアセタート(SATA)などの官能基の付加又はアミノ酸配列のN若しくはC末端への1つ若しくはそれ以上のシステイン残基の付加が含まれる。他の架橋試薬が本分野において公知であり、多くは市販されている(例えば、Pierce Chemical Co.(Rockford, Illinois, USA)及びSigma−Aldrich; Saint Louis, Missouri, USAのカタログ参照)。例には、1,6−ジアミノヘキサンなどのジアミン;グルタルアルデヒドなどのジアルデヒド、エチレングリコール−ビス(コハク酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)などのビス−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル;ジスクシンイミジルグルタラート、ジスクシンイミジルスベラート及びエチレングリコール−ビス(スクシンイミジルスクシナート);ヘキサメチレンジイソシアナートなどのジイソシアナート;1,4−ブタンジイルジグリシジルエーテルなどのビスオキシラン;スクシニジサリチラートなどの二カルボン酸;3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
他の修飾には、Ni2+誘導化表面への結合を可能とするためのヒスチジン残基又はジスルフィド架橋形成若しくはSULFOLINKTMアガロースへの結合を可能とするためのシステイン残基など、N又はC末端への1つ以上のアミノ酸の付加が含まれる。あるいは、固体支持体から組換え抗体を最適に離すために、N末端又はC末端に1つ以上の化学的スペーサーを含むように、抗体を修飾することができる。使用可能なスペーサーには、6−アミノヘキサン酸、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノエタン及び1から5アミノ酸の短いアミノ酸配列(ポリグリシン配列など)が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
別の実施形態において、組換え抗体を固相上に固定化するために、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン又はチログロブリンなどの担体タンパク質に組換え抗体を場合によって連結させることが可能である。
【0120】
別の実施形態において、本開示は、検出可能な標識を取り込ませるための組換え抗体の修飾を提供する。好ましくは、本開示に係る検出可能な標識は、直接又は間接的に検出可能な分子又は部分であり、組換え抗体への検出可能な標識の連結が抗体の標的T.cruziタンパク質への特異的結合を好ましくは妨害しないように選択される。抗体を標識する方法は本分野において周知であり、組換え抗体を検出可能な標識に連結するための、例えば、SAMSA(S−アセチルメルカプトコハク酸無水物)などの二官能性架橋物質の使用が含まれる。本分野において公知である又は上記されているものと同様の他の架橋試薬を同様に使用することができる。
【0121】
本開示の組換え抗体とともに使用するための検出可能な標識には、例えば、放射性同位体、蛍光体、化学発光体、酵素、コロイド状粒子、蛍光性微粒子など、直接検出可能なものが含まれる。検出可能な標識はそれ自体検出可能であり、又は検出可能な産物を生成するために1つ若しくはそれ以上のさらなる化合物と反応させることが可能である。従って、当業者は、本開示の直接検出可能な標識は、標識の検出を可能とするための基質、引き金を引く試薬、光などのさらなる成分を必要とし得ることを理解する。検出可能な標識の例には、発色性物質、放射性同位体(例えば、125I、131I、32P、H、35S及び14C)、蛍光性化合物(フルオレセイン、ローダミン、ルテニウムトリスビピリジル及びランタニドキレート誘導体など)、化学発光性化合物(例えば、アクリジニウム及びルミノールなど)、可視的若しくは蛍光性粒子、核酸、錯化剤又は酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、酸ホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−ラクタマーゼ、ルシフェラーゼなど)などの触媒が含まれるが、これらに限定されない。酵素を使用する場合、例えば、色素、蛍光又は発光性基質の添加は、好ましくは、検出可能なシグナルの生成をもたらす。時間分解蛍光、内部反射蛍光及びラマン分光測定法などの他の検出系も、場合によって有用である。
【0122】
本開示は、間接的に検出される標識の使用も提供する。間接的に検出可能な標識は、「親和性対」(すなわち、2つの異なる分子)の使用を通例含み、前記対の第一の要素は本開示の組換え抗体に連結され、前記対の第二の要素は第一の要素に特異的に結合する。前記対の2つの要素間の結合は、典型的には、化学的又は物理的な性質である。このような結合対の例には、抗原及び抗体、アビジン/ストレプトアビジン及びビオチン、ハプテン及びハプテンに対して特異的な抗体、相補的ヌクレオチド配列、酵素補因子/基質及び酵素などが含まれるが、これらに限定されない。
【0123】
F.抗体の調製
ポリクローナル抗体は、免疫原及び所望であれば、アジュバントの1つ以上の注射によって、哺乳動物宿主中に産生され得る。典型的には、免疫原(及びアジュバント)は、複数の皮下又は腹腔内注射によって哺乳動物中に注射される。免疫原は、TCA又はTCA融合ポリペプチドを含むことができる。アジュバントの例には、フロイントの完全及びモノホスホリルリピドA合成トレハロースジコリノミコラート(MPL−TDM)が含まれる。免疫応答を向上させるために、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシチログロブリン及び大豆トリプシン阻害剤など、宿主中において免疫原性であるポリペプチドに免疫原を連結することができる。抗体産生のためのプロトコールは周知である(Ausubel et al, 1987; Harlow, E., and D. Lane.1988.Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor.726 pp; Harlow, E., and D. Lane.1999.Using antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory PRess, Cold Spring Harbor, New York)。あるいは、pAbは、IgY分子を産生するニワトリ中で作製することができる(Schade, R., et al.1996.The production of avian (egg yolk) antibodies:IgY.The report and recommendations of ECVAM workshop.Alternatives to Laboratory Animals (ATLA).24:925−934)。
【0124】
所望の抗原に対するモノクローナル抗体を作製する方法は、本分野において周知である。例えば、モノクローナル抗体は、「Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)」によって最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製することができる。一般に、ハイブリドーマ法では、マウス又は他の適切な宿主動物(ハムスター又はマカクザル)は、複数部位への抗原並びに担体及び/又はアジュバントの複数回皮下又は腹腔内注射によって免疫化される。二週後、動物に追加免疫を行い、約7から14日後、動物から採血し、抗抗原力価に関して血清をアッセイする。力価が一定になるまで、動物に追加免疫を施すことができる。
【0125】
マウスの脾細胞を抽出し、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を形成する(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies:Principles and Practice, pp.59−103 (Academic Press, 1986); Galfre et al., Nature, 266:550 (1977)参照)。適切な骨髄腫細胞株は本分野において公知であり、MOP−21及びMC−11マウス腫瘍に由来するものなどのマウス骨髄腫株(Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, California, USAから入手可能)並びにSP−2、SP2/0及びX63−Ag8−653細胞(アメリカ培養細胞系統保存機関:American Type Culture Collection (ATCC), Manassas, Virginia, USAから入手可能)が含まれるが、これらに限定されない。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の作製のために記載されている(例えば、Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp.51−63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)参照)。このようにして調製されたハイブリドーマ細胞は、融合されていない親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1つ以上の物質を好ましくは含有する適切な培地中に播種し、増殖させることができる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシル転移酵素(HGPRT又はHPRT)を欠如する場合には、ハイブリドーマ用の培地は、通例、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(HAT培地)、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を抑制する。
【0126】
次いで、このような選択を通じて得られたハイブリドーマ細胞は、例えば、免疫沈降によって、又はラジオイムノアッセイ(RIA)若しくは酵素イムノアッセイ(EIA又はELISA)などのインビトロ結合アッセイによって、最初の免疫化において使用されたT.cruzi抗原を結合することができる抗体を分泌するクローンを同定するためにアッセイされる。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、「Munson et al, Anal.Biochem., 107:220 (1980)」のScathcard分析によって、場合によって測定することができる。
【0127】
所望の特異性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限界希釈操作、例えば、Wandsら(Gastroenterology 80:225−232 (1981))によって記載されている操作によってサブクローニングされ、標準的な方法(例えば、Godingibid、同書参照)によって増殖させることができる。この目的のための適切な培地には、例えば、D−MEM、IMDM又はRPMI−1640培地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、動物中の腹水腫瘍として、インビボで増殖させることができる。
【0128】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、プロテインAクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーなどの慣用の免疫グロブリン精製操作によって、培地、腹水液又は血清から場合によって単離することができる。
【0129】
実施例1から4(実施例の部参照)は、FP3、FP6、FP10及びFRAポリペプチド(例えば、配列番号2、4、6及び8のアミノ酸配列によって表されるポリペプチド)中に見出されるTCAに対するmAbを得るための1つのアプローチを例示するに過ぎない。
【0130】
G.組換え抗体の調製
本開示の組換え抗体は、例えば、ヒト又は非ヒト動物(げっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、霊長類又はニワトリなど)によって産生されたモノクローナル抗体由来の抗原結合ドメイン配列(例えば、V及び/若しくはV配列又はその一部)を含むことができる。あるいは、所望の結合活性を有する抗原結合ドメインは、バクテリオファージ、細菌若しくは酵母の表面上でラムダファージ中に発現されたコンビナトリアルライブラリーの使用を通じて選択され、又は標準的な技術を用いて、他の生物学的(例えば、レトロウイルス又はポリソーム)若しくは非生物系上でのディスプレイによってスクリーニングすることができる(例えば、Marks, J. D. et. al, J. Mol.Biol.222:581−597 (1991); Barbas, C. F. Ill et. al, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:4457−4461 (1992)参照)。ライブラリーは、免疫化された又は免疫化されていない宿主から単離された固有の抗原結合ドメイン、合成もしくは半合成の抗原結合ドメイン又は修飾された抗原結合ドメインから構成され得る。
【0131】
1.組換え抗体一般
本開示の一実施形態において、組換え抗体は、目的のT.cruziに結合するモノクローナル抗体に由来する抗原結合ドメインを含む。
【0132】
本開示の一実施形態において、組換え抗体は、T.cruziタンパク質の診断的に適切な領域に由来するT.cruzi抗原に対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。別の実施形態において、組換え抗体は、FP3、FP6又はFP10など、T.cruzi抗原に産生されたモノクローナル抗体に由来する。別の実施形態において、組換え抗体は、FP3、FP6又はFP10の全て又は断片(例えば、1つ以上のエピトープを含む断片)を含むT.cruzi抗原に対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。さらなる実施形態において、組換え抗体は、配列番号2、4又は6の何れか1つに記載されている配列と実質的に同一の配列を含むT.cruzi抗原に対して産生されたモノクローナル抗体に由来する。
【0133】
場合によって、モノクローナル抗体は、HBFP3、HBPep2及びHBFP10からなる群から選択される細胞株によって発現される。別の実施形態において、細胞株はシャーガス8−367−171である。
【0134】
モノクローナル抗体が調製されたら、モノクローナル抗体又はその可変領域をコードするDNAは、標準的な技術によって、例えば、モノクローナル抗体の重及び軽鎖若しくは可変領域をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって、又は保存された領域に対するプライマーを用いるモノクローナル抗体をコードするmRNAのRT−PCR(例えば、Novagen(EMD Biosciences, Inc.), San Diego, California, USAから入手可能なIgGプライマーの組)によって、容易に単離することができる。
【0135】
一旦単離されたら、DNAは、例えば、適切な発現ベクター中にクローニングし、組換えモノクローナル抗体を産生するために、イー・コリ細胞、酵母細胞、サルCOS細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児性腎臓(HEK)細胞(例えば、HEK293)又は本来免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞などの適切な宿主細胞中に導入することができる。場合によって、一実施形態において、本開示の抗T.cruziマウス−ヒトキメラ抗体は、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞株中で産生され、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞株は、産業的な使用のために十分な量で産生することができる点で有利である。好ましくは、哺乳動物宿主細胞は、CHO細胞株及びHEK293細胞株である。別の好ましい宿主細胞は、B3.2細胞株(例えば、Abbott Laboratories, Abbott Bioresearch Center, Worcester,MA)又は別のジヒドロ葉酸還元酵素欠失(DHFR)CHO細胞株(例えば、Invitrogen Corp.,Carlsbad,CAから入手可能)である。
【0136】
あるいは、モノクローナル抗体又はその可変領域をコードするDNAは、本分野において公知の標準的な方法によってキメラ抗体、ヒト化抗体及び抗体断片を作製するために使用することができる。
【0137】
例えば、キメラモノクローナル抗体は、異なる宿主種に由来する抗体重及び軽鎖定常領域遺伝子を含有する哺乳動物発現ベクター中にモノクローナル抗体の可変領域をコードするDNAをクローニングすることによって作製することができる。安定に組み込まれた又は染色体外要素として存在する多くの真核生物抗体発現ベクターが記載されており、当業者に公知である。一般に、抗体発現ベクターは、重鎖定常領域をコードする遺伝子及び/又は軽鎖定常領域をコードする遺伝子、上流エンハンサー要素並びに適切なプロモーターを含むプラスミドである。
【0138】
多様な発現調節配列が、本開示において使用され得る。このような有用な発現調節配列には、前記発現ベクターの構造遺伝子に付随する発現調節配列及び原核若しくは真核細胞若しくはそのウイルスの遺伝子の発現を調節することが知られた任意の配列並びにこれらの様々な組み合わせが含まれる。哺乳動物細胞中での転写を誘導するための適切な調節配列の例には、SV40及びアデノウイルスの早期及び後期プロモーター、例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター、MT−I(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子プロモーター(CMV)、ヒト伸長因子1α(EF−1α)プロモーター、ドロソフィラ最小熱ショックタンパク質70プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ヒトユビキチンC(UbC)プロモーター、ヒト成長ホルモンターミネータ、SV40又はアデノウイルスEIb領域ポリアデニル化シグナル及びKozakコンセンサス配列 (Kozak, J Mol Biol., 196:947−50(1987))が含まれる。
【0139】
例えば、ヒト定常領域に関して、抗体発現ベクターは、ヒトIgG1(ヒトCγ1)及びヒトκ定常領域(ヒトCκ)遺伝子及び免疫グロブリンH鎖エンハンサー要素を含み得る。ベクターは、細菌の複製基点及び選択マーカーも含有し得る。本分野において公知であるように、選択マーカーを場合によって含めることによって、所定の増殖条件下で選択及び増幅を可能とする。例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子はメトトレキサートを用いた哺乳動物細胞中での選択及び増幅を提供する。市販の哺乳動物発現ベクターから始まる抗体発現に適したベクターの構築は、当業者によって容易に達成することが可能である。本明細書に記載されているように、pBV、pJV及びpBOSベクターを含むベクター及び様々な中間的ベクターなどの様々なベクター並びにプラスミドを、抗体作製のために使用することができる。pBV、pJV及びpBOSベクターは、Abbott Bioresearch Center (Worcester, MA)から入手した。他の類似のプラスミド及びベクターは、市販されており及び/又は容易に構築される。
【0140】
適切な宿主細胞中への発現構築物の導入は、所定の特異性の完全なキメラ抗体の産生をもたらす(例えば、Morrison, S. L. et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851−6855 (1984)参照)。重及び軽鎖コード配列は、別個のプラスミド上に個別に宿主種細胞中へ導入し、又は同じベクター上に一緒に導入することができる。
【0141】
使用されるベクター系に応じて、多くの異なる不死化された細胞株が適切な宿主細胞としての役割を果たすことができ、これらには、骨髄腫(例えば、X63−Ag8.653)、ハイブリドーマ(例えば、Sp2/0−Ag14)、リンパ腫、昆虫細胞(例えば、sf9細胞)、ヒト胎児性腎臓細胞(例えば、HEK293)及びチャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞が含まれるが、これらに限定されない。発現構築物は、リン酸カルシウム沈殿、プロトプラスト融合、リポフェクション、レトロウイルス由来のシャトルベクター及び電気穿孔などの(但し、これらに限定されない。)本分野において公知の様々な技術を用いて宿主細胞中に導入することができる。
【0142】
キメラ抗体及び抗体断片は、バキュロウイルス、酵母、細菌(イー・コリなど)などの(但し、これらに限定されない。)他の発現系中で及びウサギ赤血球網状赤血球可溶化液などの無細胞系中インビトロで作製することもできる。
【0143】
組換え抗体は、例えば、クロスフローろ過、硫安沈殿、プロテインAクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、アフィニティークロマトグラフィー又はこれらの組み合わせなどの標準的な免疫グロブリン精製操作によって宿主細胞から単離され得る。
【0144】
あるいは、抗体断片は、慣用の酵素的方法によって精製された抗体調製物から作製することが可能であり、例えば、F(ab’)断片は、完全な状態の抗体のペプシン切断によって作製することができ、Fab断片は、パパインで完全な状態の抗体を短時間消化することによって作製することができる。
【0145】
少なくとも2つの異なる抗原に対して特異性を有する組換え二重特異的及びヘテロ連結抗体断片は、完全長抗体として又は抗体断片(F(ab’)二重特異的抗体断片など)として調製することができる。3以上の価数(例えば、三価以上の価数の抗体断片)を有する抗体断片も想定される。二重特異的抗体、ヘテロ連結抗体及び多価抗体は、当業者に公知の標準的な方法によって調製することができる。
【0146】
2.一価抗体
一価抗体は互いに架橋しない。1つの方法は、Ig軽鎖及び修飾された重鎖の組換え発現を含む。一般にFc領域中の何れかの点での重鎖末端切断は、重鎖架橋を妨げる。あるいは、適切なシステイン残基が別のアミノ酸残基で置換され又は欠失され、ジスルフィド結合による架橋を妨げる。インビトロ法は、一価抗体を調製するのにも適している。抗体は、Fabなどの断片を作製するために消化することができる(Harlow and Lane,1988,上記;Harlow and Lane,1999,上記)。
【0147】
3.ヒト化及びヒト抗体
TCAを結合する非ヒト抗体のヒト化された形態は、非ヒトIgに由来する最小配列を含有するキメラIg、Ig鎖又は断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)又は抗体の他の抗原結合配列など)である。
【0148】
一般に、ヒト化抗体は、非ヒト源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「輸入」可変ドメインから通例採取される「輸入」残基としばしば称される。ヒト化は、げっ歯類CDR又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列で置換することによって達成される(Jones, P.T., et al.1986.Replacing the complementarity−determining regions in a human antibody with those from a mouse. Nature. 321:522−5; Riechmann, L., et al.1988.Reshaping human antibodies for therapy.Nature.332:323−7; Verhoeyen, M., et al.1988.Reshaping human antibodies:grafting an antilysozyme activity.Science.239:1534−6)。このような「ヒト化」抗体は、完全なヒト可変ドメインより大幅に少ないものが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されているキメラ抗体(Cabilly et al.,1989)である。実際に、典型的には、ヒト化抗体は、幾つかのCDR残基及びおそらくは幾つかのFR残基がげっ歯類抗体中の類似の部位から得られる残基によって置換されているヒト抗体である。ヒト化抗体には、レシピエントの相補性決定領域(CDR)に由来する残基が所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(マウス、ラット又はウサギなど)のCDR(ドナー抗体)から得られる残基によって置換されているヒトIg(レシピエント抗体)が含まれる。幾つかの例では、対応する非ヒト残基は、ヒトIgのFvフレームワーク残基を置換する。ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも、輸入されたCDR又はフレームワーク配列中にも見出されない残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含有し、全てではなくてもCDR領域の殆どが非ヒトIgのものに対応し、全てではなくてもFR領域の殆どがヒトIgコンセンサス配列のものに対応している。最適には、ヒト化抗体は、Ig定常領域(Fc)、典型的には、ヒトIgのIg定常領域の少なくとも一部も含む(Jones et al, 1986; Presta, 1992; Riechmann et al, 1988)。
【0149】
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー(Hoogenboom, H. R., et al 1991.Multi−subunit proteins on the surface of filamentous phage:methodologies for displaying antibody (Fab) heavy and light chains.Nucleic Acids Res.19:4133−7; Marks, J. D., et al.1991.By−passing immunization.Human antibodies from V−gene libraries displayed on phage.J Mol Biol.222:581−97)及びヒトモノクローナル抗体(Boerner, P., et al.1991.Production of antigen−specific human monoclonal antibodies from in vitro−primed human splenocytes.J Immunol.147:86−95; Reisfeld, R.A., and S. Sell.1985.Monoclonal antibodies and cancer therapy:Proceedings of the Roche−UCLA symposium held in Park City, Utah, January 26−February 2, 1985. Alan R. Liss, New York.609 pp)などの、様々な技術を用いて作製することもできる。内在性Ig遺伝子が部分的に又は完全に不活化されたトランスジェニック動物中にヒトIg遺伝子を導入することが、ヒト抗体を合成するために活用することができる。攻撃誘発を行うと、ヒト抗体の産生が観察され、ヒト抗体の産生は、遺伝子再配置、集合及び抗体レパートリーなどのあらゆる点で、ヒトにおいて見られるものと極めて似通っている(Fishwild, D. M., et al.1996.High−avidity human IgG kappa monoclonal antibodies from a novel strain of minilocus transgenic mice.Nat Biotechnol.14:845−51; Lonberg and Huszar, 1995; Lonberg et al, 1994; Marks et al, 1992; Lonberg, N., and R.M.Kay.米国特許第5569825号。1996; Lonberg, N., and R.M. Kay.米国特許第5633425号。1997a; Lonberg, N., and R.M. Kay.米国特許第5661016号。1997b; Lonberg, N., and R.M. Kay.米国特許第5625126号。1997c; Surani, A., et al.米国特許第5545807号。1996)。
【0150】
3.二重特異的抗体
二重特異的モノクローナル抗体は、少なくとも2つの異なる抗原を結合する。例えば、結合特異性はTCAであり、その他は選択した任意の抗原に対する。
【0151】
二重特異的抗体の組換え産生は、しばしば、2つのIg重鎖/軽鎖対(各々が異なる特異性を有する。)を同時発現させることによって達成される。得られたハイブリドーマ(クアドローマ)中でのこれらのIg重及び軽鎖の無作為な集まりは、10の異なる分子の潜在的混合物を与え、そのうち1つのみが所望の二重特異的構造を有する。所望の抗体は、アフィニティークロマトグラフィー又は他の技術を用いて精製することができる(Traunecker, A., et al.1991.Myeloma based expression system for production of large mammalian proteins.Trends Biotechnol.9:109−13; Wabl, M., J. Berg, and E. Lotscher.WO93/08829。1993)。
【0152】
二重特異的抗体を製造するために、所望の抗体−抗原結合部位を有する可変ドメインはIg定常ドメイン配列に融合される(Suresh, M.R., A. C. Cuello, and C. Milstein.1986.Bispecific monoclonal antibodies from hybrid hybridomas.Methods Enzymol.121:210−28)。融合は、通常、ヒンジの少なくとも一部、CH2及びCH3領域の少なくとも一部を含むIg重鎖定常ドメインと行われる。軽鎖結合のために必要な部位を含有する第一の重鎖定常領域(CH1)は、融合の少なくとも1つの中に存在する。Ig重鎖融合及び所望であれば、Ig軽鎖をコードするDNAは、別個の発現ベクターの中に挿入され、適切な宿主生物中に同時形質移入される。
【0153】
抗体分子の対間の界面は、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセントを最大化するために改変することができる(Carter, P., L. et al.WO 96/27011.1996)。この方法において、第一の抗体分子の界面に由来する1つ以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)と置換される。大きなアミノ酸側鎖をより小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニン又はスレオニン)と置換することによって、大きな側鎖と同一又は類似のサイズの補償的「空洞」が第二の抗体分子の界面上に作製される。この機構は、ホモ二量体などの望ましくない最終産物に対するヘテロ二量体の収率を増加させる。
【0154】
二重特異的抗体は、完全長抗体又は抗体断片(例えば、Fab’二重特異的抗体)として調製することができる。二重特異的抗体を作製するための1つの技術は、化学的連結を活用する。完全な抗体は、Fab’断片を作製するためにタンパク分解的に切断され得る(Brennan, M., et al.1985.Preparation of bispecific antibodies by chemical recombination of monoclonal immunoglobulin G1 fragments.Science.229:81−3)。断片は、隣接するジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を抑制するために、亜ヒ酸ナトリウムなどのジチオール錯化剤を用いて還元される。次いで、生成されたFab’断片は、チオニトロベンゾアート(TNB)誘導体へ転化される。次いで、メルカプトエチルアミンでの還元によって、Fab’−TNB誘導体の1つはFab’−チオールへ再度転化され、二重特異的抗体を形成するために他のFab’−TNB誘導体の等モル濃度量と混合される。
【0155】
Fab’断片は、イー・コリから直接回収し、二重特異的抗体を形成するために化学的結合され得る。例えば、完全にヒト化された二重特異的Fab’抗体を作製することができる(Shalaby, M.R., et al.1992.Development of humanized bispecific antibodies reactive with cytotoxic lymphocytes and tumor cells overexpressing the HER2 protooncogene.J Exp Med.175:217−25)。各Fab’断片はイー・コリから別個に分泌され、インビトロで化学的に直接結合され、二重特異的抗体を形成する。
【0156】
組換え細胞培養から直接得られる二重特異的抗体断片を作製及び単離するための様々な技術も記載されている。例えば、ロイシンジッパーモチーフを使用することができる(Kostelny, S. A., et al.1992.Formation of a bispecific antibody by the use of leucine zippers.J Immunol.148:1547−53)。Fos及びJunポリペプチドから得られるペプチドは、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に連結されている。抗体ホモ二量体は、単量体を形成するために、ヒンジ領域において還元され、次いで、抗体へテロ二量体を形成するために再酸化される。この方法は、抗体ホモ二量体を作製することもできる。「ダイアボディ」技術は、二重特異的抗体断片を作製するための別の方法を提供する(Holliger et al,1993)。断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間での対合を可能とするほど十分に短いリンカーによって、軽鎖Vに接続された重鎖Vからなる。1つの断片のV及びVドメインは、別の断片の相補的なV及びVドメインと強制的に対合され、2つの抗原結合部位を形成する。二重特異的抗体断片を作製するための別の戦略は、一本鎖Fv(sFv)二量体の使用である(Gruber, M., et al.1994.Efficient tumor cell lysis mediated by a bispecific single chain antibody expressed in Escherichia coli.J Immunol.152:5368−74)。三重特異的抗体などの3以上の価数を有する抗体も作製することができる(Tutt, A., et al.1991.Trispecific F(ab’)3 derivatives that use cooperative signaling via the TCR/CD3 complex and CD2 to activate and redirect resting cytotoxic T cells.J Immunol.147:60−9)。典型的な二重特異的抗体は、所定のTCA上の2つの異なるエピトープに結合することができる。
【0157】
H.組換え抗体の検査
組換え抗体が標的T.cruzi抗原に特異的に結合する能力は、標準的な免疫学的技術によって評価することができる(例えば、Current Protocols in Immunology, Coligan, J.E., et al.(ed.), J. Wiley & Sons, New York, NY参照)。例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素イムノアッセイ(EIA又はELISA)による。本開示の一実施形態において、組換え抗体は、抗原結合ドメインが由来するモノクローナル抗体と実質的に同じ特異性を示す。
【0158】
組換え抗体は、標準的な技術により平衡解離定数(K)を測定することによって、標的T.cruzi抗原への結合親和性に関しても、場合によって検査することができる。本開示の一実施形態において、組換え抗体(例えば、キメラ抗体)は約1μM未満のKを有する。別の実施形態において、組換え抗体(例えば、キメラ抗体)は約100nM未満のKを有する。
【0159】
他の標準的な試験も抗体に対して行うことができる。例えば、抗体のpI値を得ることができる。
【0160】
場合によって、組換え抗体(例えば、キメラ抗体)は、組換え抗体が結合する標的抗原の領域を同定するために、エピトープマッピング操作に供される。エピトープマッピングの様々な方法が本分野において公知であり(例えば、Current Protocols in Immunology, Coligan, J.E., et al.(ed.), J. Wiley & Sons, New York, NY参照)、例えば、ファージ及び酵母ディスプレイ法が含まれる。ファージ及び酵母ディスプレイ法は、抗体結合に含まれる標的抗原の残基をより正確にマッピングするために、無作為な突然変異誘発技術と組み合わせることもできる(例えば、Chao, G., et al, J. Mol.Biol,10:539−50 (2004)参照)。
【0161】
本開示の一実施形態において、組換え抗体が結合する標的抗原の残基は、スキャニングアラニン突然変異誘発を酵母ディスプレイと組み合わせる技術によって同定される。一般に、この技術は、各々が抗原の標的領域に相当するペプチドをコードする一連のオリゴヌクレオチドを調製することを含み、この領域中のそれぞれの各アミノ酸はアラニンによって連続的に置換される。抗原の標的領域は、親モノクローナル抗体を調製するための最初の免疫化において使用される抗原から又は酵母若しくはファージディスプレイを使用する予備的な「低分解」スクリーニングから決定される。抗原の野生型様式は、対照として使用される。適切な酵母ディスプレイベクター中に、各オリゴヌクレオチドをクローニングし、各アラニン変異体はイー・コリなどの適切な宿主中に形質転換する。プラスミドDNAを抽出し、配列決定し、配列決定に基づいてクローンを選択する。酵母ディスプレイベクターは本分野において公知であり、市販されている(例えば、Invitrogen Corp., Carlsbad, California, USAから入手可能なpYD1)。
【0162】
次いで、選択されたクローンをサッカロミセス・セレビシアエ細胞、例えば、EBY100細胞(Inbitrogen Corp.)中に形質転換し、各酵母クローンを培養し、ペプチド発現のために誘導する。細胞表面上にアラニン変異体を発現する誘導された酵母細胞を組換え抗体とともに温置し、慣用の方法によって、例えば、標識された二次抗体を用いて、結合された抗体を検出する。次いで、組換え抗体に結合することができないアラニン変異体の同定に基づいて、標的抗原性領域中の中心となる残基を決定することができる。抗体結合活性の喪失は、変異体が、組換え抗体に対するエピトープの一部を形成する位置にアラニン残基を含むことを示す。
【0163】
I.組換え抗体の使用
本開示の組換え抗体は、例えば、T.cruziを検出するための診断試薬として、及び/又は伝統的な血漿又は血清の代わりに、T.cruzi抗体を検出するためのアッセイ若しくはキットにおける標準化試薬、陽性対照試薬若しくは較正物質試薬として使用するのに適している。標準化試薬は、例えば、抗体濃度を内挿するための標準曲線を確立するために使用することができる。陽性対照は、アッセイ性能特性を確立し、並びに/又はアッセイにおいて使用される抗原の完全性を定量及びモニターするために使用することができる。本開示は、複数の組換え抗体(各組換え抗体は、標準化された抗体感度パネルとして、異なるT.cruzi抗原に特異的に結合することができる。)の使用も提供する。このような感度パネルは、例えば、アッセイ性能特性を確立するために、並びに/又はアッセイにおいて使用される抗原の完全性を定量及びモニターするために、T.cruzi抗体検出キットの品質管理のために、伝統的な血漿又は血清の代わりに使用され得る。本開示は、T.cruzi感染の治療又は予防における組換え抗体の使用も想定する。
【0164】
従って、本開示の一実施形態は、各々がT.cruziタンパク質の診断的に適切な領域を特異的に結合することができる1つ以上の組換えタンパク質を含む免疫診断試薬を提供する。
【0165】
本開示の一実施形態において、免疫診断試薬は、各々が異なるT.cruzi抗原を検出することができる複数の(例えば、2つ以上の)組換え抗体を含む。
【0166】
免疫診断試薬は、該試薬が含む組換え抗体の適切な選択によって、特定の最終的使用に関して適合させることが可能であり、このため、免疫診断試薬は多数の既存のT.cruzi検出アッセイフォーマット及びキットに適合する。このようにして免疫診断試薬を誂えることによって、T.cruzi感染のある種の段階の検出に関して試薬を最適化することも可能となる。
【0167】
本開示は、各々が異なるTCAに特異的に結合することができる複数の組換え抗体を含む免疫診断試薬を感度パネルとして用いて、T.cruzi抗体検出アッセイを標準化する方法をさらに提供する。
【0168】
本開示は、組換え抗体:抗原複合体の形成を可能とする条件下で、各々がTCAを特異的に結合することができる1つ以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬とTCAを含有すると疑われる検査試料を接触すること、及び形成された何れかの組換え抗体:抗原複合体を検出することを含む、TCAの存在を検出するための方法をさらに提供する。
【0169】
本開示は、抗原/抗体複合体の形成を可能とする条件下で、T.cruzi抗体に対して特異的な1つ以上の抗原と、T.cruzi抗体を含有すると疑われる検査試料を接触させること、抗原:抗体複合体を検出すること、及び陽性対照又は標準化試薬として、各々が本方法において使用される抗原の1つを特異的に結合することができる1つ以上の組換え抗体を含む免疫診断試薬を使用することを含む、T.cruzi抗体の存在を検出する方法も提供する。
【0170】
本開示の免疫診断試薬は、T.cruzi感染に対して感受性を有し及びT.cruzi感染に対して抗体応答を生成することができるヒト及び他の脊椎動物種において、T.cruzi応答をモニターするアッセイ及びキットとともに使用するのに適している。従って、免疫診断試薬は、ヒト医療及び獣医学用途を有する。
【0171】
本開示は、インビトロで新規組換え抗体を生産するための、ファージディスプレイ技術並びに細菌及び酵母細胞表面ディスプレイ技術などの誘導された分子進化技術における本明細書に記載された組換え抗体及び可変領域の使用も包含する(例えば、Johnson et al., Current Opinion in Structural Biology 3:564 (1993) and Clackson et al., Nature 352:624 (1991)参照)。
【0172】
場合によって、本開示の免疫診断試薬、例えば、キメラ抗体は、市販のプラットフォームイムノアッセイにおいて使用することができる。
【0173】
J.組換え抗体を含むキット
本開示は、本開示の1つ以上の組換え抗体を含む治療用、診断用及び品質管理キットをさらに提供する。
【0174】
本開示の一態様は、T.cruziを検出するための診断用キットを提供する。キットは、本開示の1つ以上の組換え抗体を含む。組換え抗体は、T.cruzi抗原を捕捉及び/若しくは検出するために使用するための、又は抗原:抗体複合体を検出するための二次抗体として使用するための検出試薬としてキット中で提供することができる。あるいは、組換え抗体は、陽性対照試薬、標準化試薬、較正試薬又は感度パネルとして、キット中に提供することができる。様々な実施形態において、診断用キットは、T.cruzi抗源を検出するための試薬又はT.cruzi抗体を検出するための試薬をさらに含むことができる。一実施形態において、本開示は、T.cruzi抗体に対して特異的な1つ以上の抗原などのT.cruzi抗体の検出用試薬及び各々がキット中に含まれている前記1つ以上の抗原の1つを特異的に結合することができる本開示の1つ以上の組換え抗体を含む陽性対照又は標準化試薬を含む診断用キットを提供する。
【0175】
従って、本開示は、1つ若しくはそれ以上の本開示の抗体を含む診断用及び品質管理キットをさらに提供する。場合によって、本開示のアッセイ、キット及びキット成分は、市販のプラットフォーム上での使用(例えば、Abbott Laboratories,Abbott Park,ILのPrism(R)、AxSYM(R)、ARCHITECT(R)及びEIA(ビーズ)プラットフォーム上でのイムノアッセイ並びに他の市販の及び/又はインビトロ診断用アッセイ)に対して最適化される。さらに、前記アッセイ、キット及びキット成分は、他の形式で、例えば、電気化学的な又はその他の携帯式又は治療場所でのアッセイ系に対して使用することができる。例えば、本開示は、TnI、CKMB及びBNPを含む幾つかの心臓マーカーに対するサンドイッチイムノアッセイを実施する市販のAbbott Point of Care(i−STAT(R), Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)電気化学的イムノアッセイ系に対して適用可能である。イムノセンサー及び使い捨て検査装置中でイムノセンサーを作動させる方法は、例えば、米国特許出願20030170881号、20040018577号、20050054078号及び20060160164号(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている。電気化学的なイムノセンサー及びイムノセンサーの他の種類の製造に関するさらなる背景は、米国特許第5,063,081号(同じく、これらに関するその記述に関して、参照により組み込まれる。)に見出される。
【0176】
場合によって、キットは、品質管理試薬(例えば、感度パネル、較正用物質及び陽性対照)を含む。品質管理試薬の調製は本分野において周知であり、例えば、様々な免疫診断用製品同封シート上に記載されている。感度パネルの一員は、例えば、適切なアッセイ緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)中に本開示の抗体の既知量をスパイクすることによって、例えば、「低」から「高」にわたる抗体の既知量を含有する可変量で場合によって調製することができる。これらの感度パネルの一員は、アッセイの性能特性を確立するために場合によって使用され、さらに、場合によって、イムノアッセイキット試薬の完全性及びアッセイの標準化の有用な指標である。
【0177】
キット中に提供される抗体は、蛍光色素、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、色素団、化学発光標識などの検出可能な標識を取り込むことが可能であり、又はキットは抗体を標識するための試薬又は抗体(例えば、検出抗体)を検出するための試薬及び/若しくは抗原を標識するための試薬若しくは抗原を検出するための試薬を含み得る。抗体、較正用物質及び/又は対照は、別個の容器中に提供され得、又は適切なアッセイフォーマット中に(例えば、マイクロタイタープレート中に)予め分配され得る。
【0178】
キットは、緩衝液、塩、酵素、酵素補因子、基質、検出試薬などの、診断アッセイを実施し又は品質管理評価を容易にするために必要とされる他の試薬を場合によって含み得る。検査試料を単離及び/又は治療するための緩衝液及び溶液などの他の成分(例えば、前処理試薬)も、キットに含め得る。キットは、1つ以上の他の対照をさらに含み得る。キットの成分の1つ以上は凍結乾燥させることができ、キットは、凍結乾燥された成分の再構成に適した試薬をさらに含み得る。
【0179】
キットの様々な成分は、場合によって、適切な容器中に与えられる。上述のように、容器の1つ以上は、マイクロタイタープレートであり得る。さらに、キットは、試料を保持又は保存するための容器(例えば、血液又は尿試料用の容器又はカートリッジ)を含むことができる。適宜、キットは、反応容器、混合容器及び試薬又は検査試料の調製を容易にする他の成分も場合によって含有し得る。キットは、注射器、ピペット、鉗子、測定用スプーンなどの検査試料の取得を補助するための1つ以上の機器も含み得る。
【0180】
キットは、紙形態又はディスク、CD、DVDなどのコンピュータ読み取り可能な形態で提供され得る使用説明書を場合によってさらに含み得る。
【0181】
K.キットの適合
キット(又はその成分)並びに本明細書中に記載されている成分及び方法を用いるアッセイによって、検査試料中のT.cruzi抗原の存在又は濃度を測定、検出する方法は、例えば、米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号に記載されているように、並びに、例えば、ARCHITECT(R)としてAbbott Laboratories(Abbott Park, IL)によって市販されているように、様々な自動化及び半自動化されたシステム(固相が微粒子を含むシステムを含む。)で使用するために改変することができる。
【0182】
自動化されていないシステム(例えば、ELISA)と比較した自動化又は半自動化されたシステムとの差の幾つかには、(サンドイッチの形成と分析物の反応性に影響を及ぼし得る)第一の特異的結合対(例えば、T.cruzi捕捉抗体)が付着されている基材並びに捕捉、検出及び/又は場合によって行われる何れかの洗浄工程の長さ及びタイミングが含まれる。ELISAなどの自動化されていないフォーマットは試料及び捕捉試薬との相対的により長い温置時間(例えば、約2時間)を必要とする場合があり得るのに対して、自動化又は半自動化されたフォーマット(例えば、ARCHITECT(R)Abbott Laboratories)は相対的により短い温置時間(例えば、ARCHITECT(R)に関して約18分)を有し得る。同様に、ELISAなどの自動化されていないフォーマットは相対的により長い温置時間(例えば、約2時間)、連結物試薬などの検出抗体を温置する場合があり得るのに対して、自動化又は半自動化されたフォーマット(例えば、ARCHITECT(R))は相対的により短い温置時間(例えば、ARCHITECT(R)に関して約4分)を有し得る。
【0183】
Abbott Laboratoriesから入手可能な他のプラットフォームには、AxSYM(R)、IMx(R)(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,294,404号参照)、PRISM(R)、EIA(ビーズ)及びQuantumTMII並びに他のプラットフォームが含まれる。さらに、アッセイ、キット及びキット成分は、他のフォーマット、例えば、電気化学的又は他の携帯式又は治療場所アッセイシステムにおいて使用することができる。例えば、本開示は、サンドイッチイムノアッセイを実施する市販のAbbott Point of Care(i− STAT(R), Abbott Laboratories)電気化学的イムノアッセイ系に対して適用可能である。イムノセンサー並びにその製造方法及び使い捨て検査装置中でイムノセンサーを作動させる方法は、例えば、米国特許第5,063,081号、米国特許出願公開20030/0170881号、米国特許出願公開2004/0018577号、米国特許出願公開2005/0054078号及び米国特許出願公開2006/0160164号(上記に関する教示に関して、参照により、これらの全体が組み込まれる。)に記載されている。
【0184】
特に、I−STAT(R)システムへのT.cruzi抗原アッセイの改変に関して、以下の構成が好ましい。微小加工されたシリコンチップは、金電流測定作用電極及び銀−塩化銀参照電極の一対を用いて製造される。作用電極の1つの上で、固定化された捕捉抗体を有するポリスチレンビーズ(直径0.2mm)が電極の上にパターン化されたポリビニルアルコールのポリマーコーティングに接着される。このチップは、イムノアッセイに適した流体装置フォーマットを有するI−STAT(R)カートリッジ中に組み立てられる。カートリッジの試料保持チャンバーの壁の一部上に、アルカリホスファターゼ(又は他の標識)で標識された第二の検出抗体を含む層が存在する。カートリッジの流体袋内には、p−アミノフェノールリン酸を含む水性試薬である。
【0185】
作動時に、T.cruzi抗原を含有すると疑われる試料は、検査カートリッジの保持チャンバーに添加され、カートリッジはI−STAT(R)読取装置中に挿入される。第二の抗体(検出抗体)試料中に溶解された後、カートリッジ内のポンプ要素がチップを含有する伝導路内に試料を押し出す。ここで、ポンプ要素は、T.cruzi抗原、T.cruzi捕捉抗体及び標識された検出抗体間でのサンドイッチの形成を促進するために、周期的に振動する。アッセイの最後から2番目の工程において、試料をチップから廃棄チャンバーの中に洗浄するために、液体は袋から伝導路の中に押し出される。アッセイの最後の工程において、アルカリホスファターゼ標識は、p−アミノフェノールリン酸と反応してリン酸基を切断し、放出されたp−アミノフェノールを作用電極において電気化学的に酸化させる。測定された電流に基づいて、読取装置は、埋め込まれたアルゴリズム及び工場で測定された較正曲線を用いて、試料中のT.cruzi抗原の量を計算することができる。
【0186】
さらに、本明細書に記載されている方法及びキットは、イムノアッセイを実施するための他の試薬及び方法を必ず包含することは言うまでもない。例えば、連結物希釈剤及び/又は較正用物質希釈剤として、例えば洗浄のために、本分野において公知であり及び/又は使用するために容易に調製し、若しくは最適化され得る様々な緩衝液が包含される。典型的な連結物希釈剤は、ある種のキットにおいて使用され、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質ブロッキング剤、抗微生物剤及び界面活性剤を含有するARCHITECT(R)連結物希釈剤(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)である。典型的な較正用物質希釈剤は、MES、他の塩、タンパク質ブロッキング剤及び抗微生物剤を含有する緩衝液を含む、ある種のキットにおいて使用されるARCHITECT(R)ヒト較正用物質希釈剤(Abbott Laboratories, Abbott Park, IL)である。
【0187】
本明細書に記載されている本開示をよりよく理解するために、以下の実施例が記載されている。これらの実施例は、本開示の例示的な実施形態を記載することを意図するものであり、いかなる意味においても、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことを理解する。
【0188】
実施例
【実施例1】
【0189】
T.cruzi抗原FP3(シャーガスFP3 12−392−150−110)に対する抗体を産生する細胞株
この実施例では、シャーガスFP3組換え抗原を認識及び結合するmAbを産生するハイブリドーマ細胞を作製した。FP3組換え抗原(配列番号2)でマウスを免疫化し、抗FP3抗体を産生するマウスを安楽死させ、脾細胞を採集し、骨髄腫細胞と融合し、mAb抗FP3ハイブリドーマ細胞株を単離した。得られた細胞株HBFP3を作製した。
【0190】
免疫原の調製
シャーガスFP3抗原細胞株は、イリノイ州レイク郡の種子銀行に対して、アイオワ大学のLouis Kirchoff博士の研究室から頂いた。T7プロモーターの調節下で、pET発現ベクター中にこの抗原をコードするcDNA配列(配列番号1)をクローニングし、適切なイー・コリ宿主細胞[BLR(DE3)pLysS又はBL21(DE3)]中で発現させた。T7RNAポリメラーゼは、宿主細菌ゲノム中に挿入されたλDE3溶原菌によってコードされ、lacUV5プロモーターの制御下にあった。T7RNAポリメラーゼ発現を誘導するために、イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を細胞に添加し、T7RNAポリメラーゼはT7プロモーターに結合され、クローニングされた遺伝子の発現をもたらした。単一のコロニーを単離するために、形質転換された細胞のプレートを画線し、細胞銀行を調製した。続いて、イー・コリを増殖させ、精製のために細胞ペーストを調製した。
【0191】
まず、搭載の間に清澄化された上清を再循環させることによって、清澄化された上清から組換えFP3抗原を精製した。第二に、高い塩緩衝液でアフィニティーカラムを洗浄することによって、固定化された金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)カラムから、偽に結合されたきょう雑物質を除去した。第三に、イミダゾールを用いてHisタグ付加された抗原を拮抗的に除去することによって、Hisタグ付加された(アミノ酸)組換えFP3ポリペプチドをカラムから溶出した。続いて、溶出されたタンパク質をドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分画し、分析した。著しいきょう雑を持たない組換えFP3抗原を含有する画分をプールし、濃縮した。濃縮後、2000mLのSephacrylS−300サイジングカラムを用いてサイズ排除クロマトグラフィーによって、FP3抗原をさらに精製し、SDS−PAGEによって分析し、濃縮した。
【0192】
動物の免疫化
十分な力価に関して抗血清をチェックする前に、フロイントのアジュバント系を用いて、精製されたシャーガスFP4組換え抗原(標的FP3配列を含有する。)で2回及び精製されたシャーガスFP3組換え抗原で1回、RBf/dnJ雌マウス(全てのマウスは、Jackson Laboratories;Bar Harbor,ME)から入手した。)を免疫化した。0.9%塩化ナトリウム中に抗原を希釈し、アジュバントの等容量で乳化することによって、接種材料を調製した。0週及び3週目で、(標的FP3配列を含有する)FP4の追加免疫20μgをマウスに投与した。6週目に、FP3の追加免疫10μgをマウスに投与した。皮下から送達される一次追加免疫のためにフロイントの完全アジュバントを使用し、次の2回の皮内追加免疫のためにフロイントの不完全アジュバントを使用した。第三の追加免疫から2週後に、特異的な抗T.cruzi力価検査のために血清試料を採取し、融合実験のためにマウス#241が選択された。融合の3日前に、FP3組換え抗原5μgの前融合強化投与をマウス#241に投与した。
【0193】
ハイブリドーマ作製(細胞融合実験)
Galfreらに記載されているポリエチレングリコール(PEG)によって媒介される融合技術を用いて、ハイブリドーマを開発した(Galfre, G., et al.1977.Antibodies to major histocompatibility antigens produced by hybrid cell lines.Nature.266:550−2)。融合前の追加免疫から3日後に、RBf/dnJマウス#241を安楽死させ、脾臓を採取した。脾臓からB細胞を灌流し、洗浄し、SP2/0骨髄腫細胞の等しい数の中に再懸濁した(ATCC寄託CRL−1581)。全細胞を沈降させ、ポリエチレングリコール(PEG)1mLを用いて融合を行い、HATが補充された、10%ウシ胎児血清(FBS;Hyclone;Logan,UT)を加えたGIBCO(R)ハイブリドーマ無血清培地(H−SFM;Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)中において37℃で培養した。96ウェル組織培養プレート中に細胞を播種し、湿気を有する37℃の温置装置中で温置した。マイクロタイター酵素イムノアッセイ(EIA)中での抗T.cruziFP3反応性に関して、10から14日後に、ハイブリッドを検査した。結果は、ハイブリッド12−392が抗FP3特異的抗体を分泌することを示した。
【0194】
ハイブリドーマクローニング及びサブクローニング
限界希釈クローニングのために、ハイブリドーマ12−392を選択した。細胞を懸濁し、次いで、10%FBSを加えたH−SFM20mL中に、10、10及び10系列希釈した。ウェル当り細胞懸濁物0.2mLを加えた96ウェル組織培養プレート中に各希釈を播種した。湿気を有する温置装置中において、37℃で10から14日間、プレートを温置した。増殖が明白になるにつれて、抗FP3マイクロタイターEIA中で上清を検査し、クローン12−392−150の選択をもたらした。
【0195】
蛍光活性化細胞分別(FACS)を用いるサブクローニングのために、クローン12−392−150を選択した。ヤギ抗マウスAlexa Fluor488(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)を用いて、細胞懸濁物を染色した。10%FBSを加えたH−SFM0.2mLを加えた96ウェル組織培養プレート中に、この染色された細胞集団の上位5から8%から得られた単一の細胞単離株を堆積させた。湿気を有する温置装置中において、37℃で10から14日間、プレートを温置した。増殖が明白になるにつれて、抗FP3マイクロタイターEIA中で上清を検査し、クローン12−392−110(HBFP3)の選択をもたらした。
【0196】
10%FBSを加えたH−SFM中、細胞継代5、850cmローラー瓶まで、HBFP3を組織培養中で増殖させた。継代5細胞懸濁物を沈降させ、凍結培地中に再懸濁させ、凍結容器中に分配した。液体窒素保存タンク中に容器を保存した。
【実施例2】
【0197】
シャーガスTcF組換え抗原(シャーガス9−638−132−115)に対する抗体を産生する細胞株
免疫原源
動物の免疫化のために使用した精製されたTcF組換え抗原(PEP2配列を含有する。)は、Corixa Corporation(Seattle,WA)から入手した。
【0198】
動物の免疫化
十分な力価に関して抗血清をチェックする前に、フロイントのアジュバント系を用いて、精製されたシャーガスTcF組換え抗原を用いて、RBf/dnJ雌マウスを3回免疫化した。0.9%塩化ナトリウム中に抗原を希釈し、アジュバントの等容量で乳化することによって、接種材料を調製した。0、6及び12週目に、TcFの追加免疫20μgをマウスに投与した。皮下から送達される一次追加免疫のためにフロイントの完全アジュバントを使用し、次の2回の皮内追加免疫のためにフロイントの不完全アジュバントを使用した。第三の追加免疫から2週後に、特異的な抗T.cruzi力価検査のために血清試料を採取し、これにより、融合実験のためにマウス#115が選択された。融合の3日前に、TcF組換え抗原10μg及びTcFPep2ペプチド10μgの前融合追加免疫をマウス#115に投与した。
【0199】
ハイブリドーマの作製
Galfreら(Galfre et al.,1977)に記載されているPEGによって媒介される融合技術を用いて、ハイブリドーマを開発した。融合前の追加免疫から3日後に、RBf/dnJマウス#115を安楽死させ、脾臓を採取した。脾臓からB細胞を灌流し、洗浄し、SP2/0骨髄腫細胞(ATTC寄託CRL−1581)の等しい数の中に再懸濁した。全細胞を沈降させ、PEG1mLを用いて融合を行い、HATが補充された、10%FBS(Hyclone;Logan,UT)を加えたGIBCO(R)H−SFM(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)中において37℃で培養した。96ウェル組織培養プレート中に細胞を播種し、湿気を有する37℃の温置装置中で温置した。マイクロタイターEIA中での抗T.cruziPep2反応性に関して、10から14日後に、ハイブリッドを検査した。結果は、ハイブリッド9−638が抗Pep2特異的抗体を分泌することを示した。
【0200】
ハイブリドーマクローニング及びサブクローニング
限界希釈クローニングのために、ハイブリドーマ9−638を選択した。細胞を懸濁し、次いで、10%FBSを加えたH−SFM20mL中に、10、10及び10系列希釈した。ウェル当り細胞懸濁物0.2mLを加えた96ウェル組織培養プレート中に各希釈を播種した。湿気を有する温置装置中において、37℃で10から14日間、プレートを温置した。増殖が明白になるにつれて、抗Pep2マイクロタイターEIA中で上清を検査し、クローン9−638−132を選択した。
【0201】
FACSを用いたサブクローニングのために、クローン9−638−132を選択した。ヤギ抗マウスAlexa Fluor488を用いて、細胞懸濁物を染色した。10%FBSを加えたH−SFM0.2mLを加えた96ウェル組織培養プレート中に、この染色された細胞集団の上位1%から得られた単一の細胞単離株を堆積させた。湿気を有する温置装置中において、37℃で10から14日間、プレートを温置した。増殖が明白になるにつれて、抗Pep2マイクロタイターEIA中で上清を検査し、クローン9−638−132−115の選択をもたらした。
【0202】
10%FBSを加えたH−SFM中、細胞継代6、850cmローラー瓶まで、クローン9−638−132−115を組織培養中で増殖させた。継代5細胞懸濁物を沈降させた。次いで、凍結溶媒中に沈降物を再懸濁し、凍結容器中に分配した。液体窒素保存タンク中に容器を保存した。
【実施例3】
【0203】
シャーガスFP10組換え抗原(シャーガス10−745−140)に対する抗体を産生する細胞株
免疫原源
シャーガスFP10抗原(配列番号6)細胞株は、レイク郡の種子銀行のために、アイオワ大学のLouis Kirchof博士の研究室から入手した。この抗原をコードするcDNA配列(配列番号5)をpET発現ベクター中にクローニングし、細胞を処理し、実施例1に概説されているように組換え抗原を精製した。
【0204】
動物の免疫化
十分な力価に関して抗血清をチェックする前に、フロイントのアジュバント系を用いて、精製されたシャーガスFP10組換え抗原を用いて、RBf/dnJ雌マウスを3回免疫化した。0.9%塩化ナトリウム中に抗原を希釈し、アジュバントの等容量で乳化することによって、接種材料を調製した。0、3、及び6週目に、追加免疫20μgをマウスに投与した。皮下から送達される一次追加免疫のためにフロイントの完全アジュバントを使用し、次の2回の皮内追加免疫のためにフロイントの不完全アジュバントを使用した。第三の追加免疫から2週後に、特異的な抗T.cruzi力価検査のために血清試料を採取し、融合実験のためにマウス#230を選択した。融合の3日前に、FP10組換え抗原25μg及びFP10組換え抗原のL−ドメインに相当する14アミノ酸の合成ペプチド25μgからなる前融合追加免疫をマウス#230に投与した。
【0205】
ハイブリドーマの作製
Galfreら(Galfre et al.,1977)に記載されているPEGによって媒介される融合技術を用いて、ハイブリドーマを開発した。融合前の追加免疫から3日後に、RBf/dnJマウス#230を安楽死させ、脾臓を採取した。脾臓からB細胞を灌流し、洗浄し、SP2/0骨髄腫細胞(ATTC寄託CRL−1581)の等しい数の中に再懸濁した。全細胞を沈降させ、PEG1mLを用いて融合を行い、HATが補充された、10%FBS(Hyclone;Logan,UT)を加えたGIBCO(R)H−SFM(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)中において37℃で培養した。96ウェル組織培養プレート中に細胞を播種し、湿気を有する37℃の温置装置中で温置した。EIA中での抗T.cruziFP10反応性に関して、10から14日後に、得られたハイブリドーマを検査した。10−745として知られる抗アール・クルーズFP10mAbを分泌するハイブリドーマを選択した。
【0206】
ハイブリドーマクローニング
限界希釈クローニングのために、ハイブリドーマ10−745を選択した。細胞を懸濁し、次いで、10%FBSを加えたH−SFM20mL中に、10、10及び10系列希釈した。ウェル当り細胞懸濁物0.2mLを加えた96ウェル組織培養プレート中に各希釈を播種した。湿気を有する温置装置中において、37℃で10から14日間、プレートを温置した。増殖が明白になるにつれて、抗FP10マイクロタイターEIA中で上清を検査し、クローン10−745−140の選択をもたらした。
【0207】
10%を加えたIMDM中、細胞継代2、T75フラスコに、組織培養物中でクローン10−745−140を増殖させた。継代2細胞懸濁物を遠心によって沈降させた。次いで、沈降物を凍結溶媒中に再懸濁し、適切に標識された凍結容器中に分配した。液体窒素保存タンク中に容器を保存した。
【実施例4】
【0208】
シャーガスFRA組換え抗原(シャーガスFRA8−367−171)に対する抗体を産生する細胞株
免疫原源
FP6ポリペプチド中に含まれるFRA領域(配列番号8)を含有するT.cruzi抗原細胞株は、レイク郡の種子銀行のために、アイオワ大学のLouis Kirchoff博士の研究室から入手した。この抗原をコードするcDNA配列(配列番号7)をpET発現ベクター中にクローニングし、細胞を処理し、実施例1に概説されているように組換え抗原を精製した。
【0209】
動物の免疫化
十分な力価に関して抗血清をチェックする前に、フロイントのアジュバント系を用いて、精製されたシャーガス組換え抗原FP6を用いて、BALB/c雌マウスを3回免疫化した。0.9%塩化ナトリウム中に抗原を希釈し、アジュバントの等容量で乳化することによって、接種材料を調製した。0、4及び10週目に、追加免疫10μgをマウスに投与した。皮下から送達される一次追加免疫のためにフロイントの完全アジュバントを使用し、次の2回の皮内追加免疫のためにフロイントの不完全アジュバントを使用した。第三の追加免疫から2週後に、特異的な抗T.cruzi力価検査のために血清試料を採取し、融合実験のためにマウス#1907を選択した。融合の3日前に、組換え抗原25μg及び組換え抗原のFRA−ドメインに相当する合成ペプチド25μgからなる前融合追加免疫をマウス#1907に投与した。
【0210】
ハイブリドーマの作製
Galfreら(Galfre et al.,1977)に記載されているPEGによって媒介される融合技術を用いて、ハイブリドーマを開発した。融合前の追加免疫から3日後に、BALB/cマウス#1907を安楽死させ、脾臓を採取した。脾臓からB細胞を灌流し、洗浄し、SP2/0骨髄腫細胞(ATTC寄託CRL−1581)の等しい数の中に再懸濁した。全細胞を沈降させ、PEG1mLを用いて融合を行い、HATが補充された、10%FBS(Hyclone;Logan,UT)を加えたGIBCO(R)H−SFM(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)中において37℃で培養した。96ウェル組織培養プレート中に細胞を播種し、湿気を有する37℃の温置装置中で温置した。EIA中での抗T.cruziFRAドメインの反応性に関して、10から14日後に、得られたハイブリドーマを検査した。8−367として知られる抗T.cruziFRAドメインmAbを分泌するハイブリドーマを選択した。
【0211】
ハイブリドーマクローニング
限界希釈クローニングのために、ハイブリッド8−367を選択した。細胞を懸濁し、次いで、10%FBSを加えたH−SFM20mL中に、10、10及び10希釈物を系列希釈した。ウェル当り細胞懸濁物0.2mLを加えた96ウェル組織培養プレート中に各希釈を播種した。湿気を有する温置装置中において、37℃で10から14日間、プレートを温置した。増殖が明白になるにつれて、抗FRAマイクロタイターEIA中で上清を検査し、クローン8−367−171を選択した。
【0212】
10%FBSを加えたIMDM中、細胞継代3、T75フラスコに、組織培養物中でクローン8−367−171を増殖させた。継代2細胞懸濁物を沈降させ、凍結培地中に再懸濁させ、凍結容器中に分配した。液体窒素保存タンク中に容器を保存した。
【実施例5】
【0213】
キメラ抗T.cruziFP3mAb(シャーガスFP3 12−392−150CHO2580−104)を産生する細胞株
この実施例及びその後の実施例は、マウス−ヒトキメラモノクローナル抗体を発現する哺乳動物細胞株の作製に関し、以下の全般的なアプローチを採用した。所望のmAbを分泌するハイブリドーマ細胞株(実施例1から4のハイブリドーマなど)を同定した後、これらの細胞からmRNAを単離し、抗体遺伝子配列を同定した。次いで、ヒト抗体定常配列を供給するV及びV配列をpBOSベクター中にクローニングし(Mizushima S, Nagata S., “pEF−BOS, a powerful mammalian expression vector.”Nucleic Acids Res.1990 Sep 11;18(17):5322及びUS 2005/0227289(これらのベクターの使用及びベクターそのものに関するその教示に関して、参照により組み込まれる。)、次いで、得られたキメラ抗体が機能的であることを確認するために、一過性の発現系中に同時形質移入した。確認したら、V配列をpJV中に、V配列をpBV中にサブクローニングした。これらのベクターは、次いで、安定なpBJ発現ベクターを構築するために使用された。pJVプラスミドはAbbott Laboratories(Abbott Bioresearch Center,Worcester,MA)から入手し、SV40プロモーター、マウスDHFR遺伝子、エンハンサー、プロモーター及びλstufferを含む。pBVプラスミド(同じく、Abbott Laboratories, Abbott Bioresearch Center, Worcester, MAから入手)は、エンハンサー、プロモーター及びλstufferを含む。次いで、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞をpBJで形質移入し、安定な形質移入体を選択し、分泌された抗体を再び検査した。図1は、ヒト定常領域遺伝子が付加されたベクター中にマウス可変領域遺伝子(抗原結合部分)が転移されているキメラ抗体の模式的な要約を示している。
【0214】
マウスV及びV配列の同定
標準的なmRNA抽出プロトコールに従ってmRNAを精製するために約5×10個の細胞を得るため、H−SFM中でハイブリドーマ細胞株HBFP3(実施例1)を培養した。RT−PCR反応中で、マウスIgプライマーの組(Novagen(EMD Biosciences,Inc.);Madison,WI)とともに、精製されたmRNAをテンプレートとして使用した。陽性PCR産物が、重鎖(H)プライマーB及びC(HB及びHCクローン)から並びに軽鎖(L)プライマーA、B、C及びG(LA、LB、LC及びLGクローン)から観察された。全ての陽性PCR産物をゲル精製し、pCR TOPO2.1TAベクター(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)中にクローニングした。形質転換された細菌細胞からプラスミドDNAを精製し、適切な大きさの産物を与える各RT−PCR反応に対して、EcoRI消化によってV又はV挿入物を確認した。配列の並置によってクローン間のコンセンサス配列を確認した後、正しいV又はV遺伝子配列を選択した。シャーガスTOPO−TAクローンHB1は正しいV遺伝子配列を含有し、シャーガスTOPO−TAクローンLG3は正しいV遺伝子配列を含有した。
【0215】
pBOSベクター中へのマウスV及びV遺伝子のクローニング
TOPOクローンLG3からマウスV遺伝子を増幅するために、5’プライマー上にNruI部位とともに部分的なκシグナル配列及び3’プライマー上にBsiWI部位を含有するPCRプライマーの対を使用した。さらに、TOPOクローンHB1からマウスV遺伝子を増幅するために、5’プライマー上に部分的な重鎖シグナル配列及びNruI部位並びに3’プライマー上にSalI部位を含有するプライマーの対を使用した。NruI及びBsiWI制限酵素を用いてVPCR産物を消化し、同じ酵素で消化されたpBOS−hCkベクター中に連結した。NruI及びSalI制限酵素を用いてVPCR産物を消化し、同じ酵素で消化されたpBOS−hCglベクター中に連結した。それぞれのベクター中のシャーガスV又はV遺伝子の存在を確認するために、多数の形質転換された細菌性コロニーから得られるプラスミドの配列を決定した。シャーガス12−392−150V_pBOS−Hクローン4及びシャーガス12−392−150V pBOS−Lクローン5は、正しいと思われた。
【0216】
キメラmAbの作製及び機能の確認
シャーガス12−392−150V_pBOS−Hクローン1及びシャーガス12−392−150V_pBOS−Lクローン4の内毒素を含まないプラスミド調製物を、電気穿孔(GENE PULSER(R)、Bio−Rad;Hercules,CA)によってCOS7L細胞中への一過性形質移入のために使用した。3日間、5%CO温置装置中において、37℃で、形質移入された細胞を温置した。4000rpmでの20分間の遠心によって、COS7L細胞によって産生されるキメラ抗体を採集し、次いで、プロテインAアフィニティーカラム(POROSA;Applied Biosystems; Foster City, CA)を用いて精製した。活性を確認するために、BIACORE(R)装置(Biacore(GE Healthcare);Piscataway, NJ)上での表面プラズモン共鳴を用いて、採集された抗体をアッセイした。
【0217】
CHO細胞株安定発現ベクタークローニング
安定な形質移入されたCHO細胞株を作製するためのプラスミドを構築するために、シャーガス12−392−150V_pBOS−Hクローン1及びシャーガス12−392−150V_pBOS−Lクローン4を使用した。まず、pBOSベクターからV−CH及びV−CL遺伝子を単離するために、SrfI及びNotIを使用した。次いで、これらの断片を、それぞれ、pBV又はpJVベクター中にクローニングした。両ベクターはAbbott Bioresearch Center (Worcester, MA)から取得し、抗体遺伝子の発現に必要とされる制御配列を含有していた。SrfI/NotI制限酵素消化によって、得られたpBV及びpJVクローンを分析し、シャーガス 10−745V_pBVクローン4及びシャーガス12−392−150_pJVクローン1が正しいことを測定するために配列を決定した。第二に、正しいpBV又はpJVクローンの両方をPacI及びAscIで消化し、重及び軽鎖遺伝子の両方を含有する単一のpBJプラスミドを形成するために、V−CH及びV−CLを含有する得られたDNA断片を連結する。両抗体遺伝子の存在を確認するために、SrfI/NotI消化によって、pBJクローンをスクリーニングした。シャーガス12−392−150Mu−Hu_pBJクローン4に対するプラスミド地図が、図2に示されている。VH遺伝子及びVL遺伝子含有領域の二本鎖ポリヌクレオチド配列(及び隣接配列)が、図3AからCに示されている。
【0218】
欠損ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を含有する、Abbott Bioresearch Centerから入手したCHO細胞株B3.2を形質移入及び安定な抗体発現のために使用した。リン酸カルシウムによって媒介された形質移入を用いて、CHOB3.2細胞をシャーガス12−392−150Mu−Hu_pBJクローン1で形質移入した。pBJプラスミド中に存在する機能的なDHFR遺伝子を取り込んだ細胞を選択するために、チミジンを欠如する培地とともに、形質移入されたCHO細胞を数週間培養した。形質移入されたプール由来の各細胞を96ウェルプレート中に分別するために、蛍光活性化細胞分別(FACS)を使用した。クローン間の抗体産生に順位を付けるために、抗原特異的なEIAを使用し、最高の生産物を増殖し、再度アッセイした。次いで、クローンを無血清培地中へ引き離した。増殖特性、抗体産生及びクローンのクローン性をモニターした。96ウェルプレート中に各細胞を分別することによってシャーガスFP3クローン12−392−150CHO2580−104をサブクローニングした後、精製された抗体を産生するために増殖させた。
【実施例6】
【0219】
キメラ抗T.cruziPep2エピトープ(抗TcF及び抗FP6)mAb(シャーガスPep2クローン9−638−1928)を産生する細胞株
マウスV及びV配列の同定
標準的なmRNA抽出プロトコールに従ってmRNAを精製するための約5×10個の細胞を得るために、H−SFM中でハイブリドーマ細胞株HBPep2(実施例2)を培養した。RT−PCR反応のために、マウスIgプライマーの組(Novagen(EMD Biosciences,Inc.)とともに、精製されたmRNAをテンプレートとして使用した。陽性PCR産物が、重鎖(H)プライマーB及びE(HB及びHEクローン)から並びに軽鎖(L)プライマーB、C、D、E、F及びG(LB、LC、LD、LE、LF及びLGクローン)から観察された。全ての陽性PCR産物をゲル精製し、pCRTOPO2.1TAベクター(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)中にクローニングした。形質転換された細菌細胞からプラスミドDNAを精製し、適切な大きさの産物を与える各RT−PCR反応に対して、EcoRI消化によって、V又はV挿入物を確認した。配列の並置によってクローン間のコンセンサス配列を確認した後、正しいV又はV遺伝子配列を選択した。シャーガスTOPO−TAクローンHE2は正しいV遺伝子配列を含有し、シャーガスTOPO−TAクローンLG1は正しいV遺伝子配列を含有した。
【0220】
pBOSベクター中へのマウスV及びV遺伝子のクローニング
TOPOクローンLG1からマウスV遺伝子を増幅するために、5’プライマー上に部分的なκシグナル配列及びNruI部位並びに3’プライマー上にBsiWI部位を含有するPCRプライマーの対を使用した。さらに、TOPOクローンHE2からマウスV遺伝子を増幅するために、5’プライマー上に部分的な重鎖シグナル配列及びNruI部位並びに3’プライマー上にSalI部位を含有するプライマーの対を使用した。NruI及びBsiWI制限酵素を用いてVPCR産物を消化し、同じ酵素で消化されたpBOS−hCkベクター中に連結した。NruI及びSalI制限酵素を用いてVPCR産物を消化し、同じ酵素で消化されたpBOS−hCg1ベクター中に連結した。それぞれのベクター中のシャーガスV又はV遺伝子の存在を確認するために、多数の形質転換された細菌性コロニーから得られるプラスミドの配列を決定した。シャーガス9−638V_pBOS−HクローンA2及びシャーガス9−638V_pBOS−LクローンB6は、正しいと思われた。
【0221】
キメラmAbの作製及び機能の確認
シャーガス9−638V_pBOS−HクローンA2及びシャーガス9−638V pBOS−LクローンB6の内毒素を含まないプラスミド調製物を、電気穿孔(GENE PULSER(R)、Bio−Rad、Hercules、CA)によってCOS7L細胞中への一過性形質移入のために使用した。3日間、5%CO温置装置中において、37℃で、形質移入された細胞を温置した。4000rpmでの20分間の遠心によって、COS7L細胞によって産生されるキメラ抗体を採集し、次いで、プロテインAアフィニティーカラム(POROSA;Applied Biosystems)を用いて精製した。活性を確認するために、BIACORE(R)装置(Biacore(GE Healthcare);Piscataway, NJ)上での表面プラズモン共鳴を用いて、採集された抗体をアッセイした。親和性は、約2.6nMであった。
【0222】
CHO細胞株安定発現ベクタークローニング
安定な形質移入されたCHO細胞株を作製するためのプラスミドを構築するために、シャーガス9−638V_pBOS−HクローンA2及びシャーガス9−638V_pBOS−LクローンB6を使用した。まず、pBOSベクターからV−CH及びV−CL遺伝子を単離するために、SrfI及びNotIを使用した。次いで、これらの断片を、それぞれ、pBV又はpJVbベクター中にクローニングした。SrfI/NotI制限酵素消化によって、得られたpBV及びpJVクローンを分析し、シャーガス9−638V_pBVクローン10及びシャーガス9−638_pJVクローン10が正しいことを測定するために配列を決定した。第二に、正しいpBV又はpJVクローンの両方をPacI及びAscIで消化し、重及び軽鎖遺伝子の両方を含有する単一のpBJプラスミドを形成するために、V−CH及びV−CLを含有する得られたDNA断片を連結した。両抗体遺伝子の存在を確認するために、SrfI/NotI消化によって、pBJクローンをスクリーニングした。シャーガス9−638Mu−Hu_pBJクローン2に対するプラスミドマップが図4に示されている。
【0223】
欠損DHFR遺伝子を含有する、Abbott Bioresearch Centerから入手したCHO細胞株B3.2を形質移入及び安定な抗体発現のために使用した。リン酸カルシウムによって媒介された形質移入を用いて、CHOB3.2細胞をシャーガス9−638Mu−Hu_pBJクローン2で形質移入した。pBJプラスミド中に存在する機能的なDHFR遺伝子を取り込んだ細胞を選択するために、チミジンを欠如する培地とともに、形質移入されたCHO細胞を数週間培養した。形質移入されたプール由来の各細胞を96ウェルプレート中に分別するために、FACSを使用した。クローン間の抗体産生に順位を付けるために、抗原特異的なEIAを使用し、最高の生産物を増殖し、再度アッセイした。次いで、クローンを無血清培地中に引き離した。増殖特性、抗体産生及びクローンのクローン性をモニターした。シャーガスPep2クローン9−638−1145を選択し、96ウェルプレート中に各細胞を分別することによって再度サブクローニングし、次いで、精製された抗体を生産するために、シャーガスPep2クローン9−638−1928を増殖させた。
【実施例7】
【0224】
キメラ抗T.cruziFP10mAb(シャーガスFP1010−745−3796)抗体を産生する細胞株
マウスV及びV配列の同定
標準的なmRNA抽出プロトコールに従ってmRNAを精製するための約5×10個の細胞を得るため、H−SFM中でハイブリドーマ細胞株HBFP10(実施例3)を培養した。RT−PCR反応のために、マウスIgプライマーの組(Novagen(EMD Biosciences,Inc.)とともに、精製されたmRNAをテンプレートとして使用した。陽性PCR産物が、重鎖(H)プライマーBから(HBクローン)並びに軽鎖(L)プライマーB、C及びG(LB、LC及びLGクローン)から観察された。全ての陽性PCR産物をゲル精製し、pCRTOPO2.1TAベクター(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)中にクローニングした。形質転換された細菌細胞からプラスミドDNAを精製し、適切な大きさの産物を与える各RT−PCR反応に対して、EcoRI消化によって、V又はV挿入物を確認した。配列の並置によってクローン間のコンセンサス配列を確認した後、正しいV又はV遺伝子配列を選択した。シャーガスTOPO−TAクローンHB3は正しいV遺伝子配列を含有し、シャーガスTOPO−TAクローンLG1は正しいV遺伝子配列を含有した。
【0225】
pBOSベクター中へのマウスV及びV遺伝子のクローニング
TOPOクローンLG1からマウスV遺伝子を増幅するために、5’プライマー上に部分的なκシグナル配列及びNruI部位並びに3’プライマー上にBsiWI部位を含有するPCRプライマーの対を使用した。さらに、TOPOクローンHB3からマウスV遺伝子を増幅するために、5’プライマー上に部分的な重鎖シグナル配列及びNruI部位並びに3’プライマー上にSalI部位を含有するPCRプライマーの対を使用した。NruI及びBsiWI制限酵素を用いてVPCR産物を消化し、同じ酵素で消化されたpBOS−hCkベクター中に連結した。NruI及びSalI制限酵素を用いてVPCR産物を消化し、同じ酵素で消化されたpBOS−hCg1ベクター中に連結した。それぞれのベクター中のシャーガスV又はV遺伝子の存在を確認するために、多数の形質転換された細菌性コロニーから得られるプラスミドの配列を決定した。シャーガス10−745V_pBOS−Hクローン4及びシャーガス10−745V_pBOS−Lクローン5は、正しいと思われた。
【0226】
キメラmAbの作製及び機能の確認
シャーガス10−745V_pBOS−Hクローン4及びシャーガス10−745V_pBOS−Lクローン5の内毒素を含まないプラスミド調製物を、電気穿孔(GENE PULSER(R)、Bio−Rad)によってCOS7L細胞中への一過性形質移入のために使用した。3日間、5%CO温置装置中において、37℃で、形質移入された細胞を温置した。4000rpmでの20分間の遠心によって、COS7L細胞によって産生されるキメラ抗体を採集し、次いで、プロテインAアフィニティーカラム(POROSA;Applied Biosystems)を用いて精製した。活性を確認するために、BIACORE(R)装置(Biacore(GE Healthcare))上での表面プラズモン共鳴を用いて、採集された抗体をアッセイした。
【0227】
CHO細胞株安定発現ベクタークローニング
安定な形質移入されたCHO細胞株を作製するためのプラスミドを構築するために、シャーガス10−745V_pBOS−Hクローン4及びシャーガス10−745V pBOS−Lクローン5を使用した。まず、pBOSベクターからV−CH及びV−CL遺伝子を単離するために、SrfI及びNotIを使用した。次いで、これらの断片を、それぞれ、pBV又はpJVベクター中にクローニングした。SrfI/NotI制限酵素消化によって、得られたpBV及びpJVクローンを分析し、シャーガス 10−745V_pBVクローン1及びシャーガス10−745_pJVクローン1が正しいことを測定するために配列を決定した。第二に、正しいpBV又はpJVクローンの両方をPacI及びAscIで消化し、重及び軽鎖遺伝子の両方を含有する単一のpBJプラスミドを形成するために、V−CH及びV−CLを含有する得られたDNA断片を連結した。両抗体遺伝子の存在を確認するために、SrfI/NotI消化によって、pBJクローンをスクリーニングした。シャーガス10−745Mu−Hu_pBJクローン1に対するプラスミドマップが図5に示されている。
【0228】
欠損DHFR遺伝子を含有する、Abbott Bioresearch Centerから入手したCHO細胞株B3.2を形質移入及び安定な抗体発現のために使用した。リン酸カルシウムによって媒介された形質移入を用いて、CHOB3.2細胞をシャーガス10−745Mu−Hu_pBJクローン1で形質移入した。pBJプラスミド中に存在する機能的なDHFR遺伝子を取り込んだ細胞を選択するために、チミジンを欠如する培地とともに、形質移入されたCHO細胞を数週間培養した。形質移入されたプール由来の各細胞を96ウェルプレート中に分別するために、FACSを使用した。クローン間の抗体産生に順位を付けるために、抗原特異的なEIAを使用し、最高の生産物を増殖し、再度アッセイした。次いで、クローンを無血清培地中に引き離した。増殖特性、抗体産生及びクローンのクローン性をモニターした。所望であれば、96ウェルプレート中に各細胞を分別することによってシャーガスFP10クローン10−745−3649をサブクローニングした後、精製された抗体を産生するために増殖させた。
【実施例8】
【0229】
キメラ抗T.cruziFRAmAbを産生する細胞株(理論実施例)
マウスV及びV配列の同定
標準的なmRNA抽出プロトコールに従ってmRNAを精製するための約5×10個の細胞を得るために、H−SFM中でハイブリドーマ細胞株HBFRA(実施例4)を培養する。RT−PCR反応のために、マウスIgプライマーの組(Novagen(EMD Biosciences,Inc.)とともに、精製されたmRNAをテンプレートとして使用する。重鎖(H)プライマー及び軽鎖(L)プライマーから、陽性PCR産物が観察される。全ての陽性PCR産物をゲル精製し、pCRTOPO2.1TAベクター(Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA)中にクローニングする。形質転換された細菌細胞からプラスミドDNAを精製し、適切な大きさの産物を与える各RT−PCR反応に対して、EcoRI消化によって、V又はV挿入物を確認する。配列の並置によってクローン間のコンセンサス配列を確認した後、正しいV又はV遺伝子配列を選択する。
【0230】
pBOSベクター中へのマウスV及びV遺伝子のクローニング
TOPOからマウスV遺伝子を増幅するために、5’プライマー上に部分的なκシグナル配列及びNruI部位並びに3’プライマー上にBsiWI部位を含有するPCRプライマーの対を使用する。さらに、TOPOクローンからマウスV遺伝子を増幅するために、5’プライマー上に部分的な重鎖シグナル配列及びNruI部位並びに3’プライマー上にSalI部位を含有するプライマーの対を使用する。NruI及びBsiWI制限酵素を用いてVPCR産物を消化し、同じ酵素で消化されたpBOS−hCkベクター中に連結する。NruI及びSalI制限酵素を用いてVPCR産物を消化し、同じ酵素で消化されたpBOS−hCg1ベクター中に連結する。それぞれのベクター(シャーガスV_pBOS−H及びシャーガスV_pBOS−L)中のシャーガスV又はV遺伝子の何れかの存在を確認するために、多数の形質転換された細菌性コロニーから得られるプラスミドの配列を決定した。
【0231】
キメラmAbの作製及び機能の確認
シャーガスV_pBOS−H及びシャーガスV_pBOS−Lの内毒素を含まないプラスミド調製物を、電気穿孔(GENE PULSER(R)、Bio−Rad)又は他の形質移入法によってCOS7L細胞中への一過性形質移入のために使用した。約3日間、5%CO温置装置中において、37℃で、形質移入された細胞を温置する。4000rpmでの20分間の遠心によって、COS7L細胞によって産生されるキメラ抗体を採集し、次いで、プロテインAアフィニティーカラム(POROSA;Applied Biosystems; Foster City, CA)を用いて精製する。活性を確認するために、例えば、BIACORE(R)装置(Biacore(GE Healthcare)上での表面プラズモン共鳴を用いて、採集された抗体をアッセイする。
【0232】
CHO細胞株安定発現ベクタークローニング
安定な形質移入されたCHO細胞株を作製するためのプラスミドを構築するために、シャーガスV_pBOS−H及びシャーガスV_pBOS−Lを使用する。まず、pBOSベクターからV−CH及びV−CL遺伝子を単離するために、SrfI及びNotIを使用する。次いで、これらの断片を、それぞれ、pBV又はpJVベクター中にクローニングする。SrfI/NotI制限酵素消化によって、得られたpBV及びpJVクローンを分析し、クローンが正しいことを決定するために配列を決定する。第二に、正しいpBV又はpJVクローンの両方をPacI及びAscIで消化し、重及び軽鎖遺伝子の両方を含有する単一のpBJプラスミドを形成するために、得られたV−CH及びV−CLを含有する得られたDNA断片を連結する。両抗体遺伝子の存在を確認するために、SrfI/NotI消化によって、pBJクローンをスクリーングし、シャーガスMu−Hu_pBJを得た。
【0233】
CHOB3.2などの欠損DHFR遺伝子を含有するCHO細胞株を、形質転換及び安定な抗体発現のために使用する。リン酸カルシウムによって媒介される形質移入又は他の形質移入プロトコールを用いて、CHOB3.2細胞をシャーガスMu−Hu_pBJによって形質移入する。pBJプラスミド中に存在する機能的なDHFR遺伝子を取り込む細胞を選択するために、チミジンを欠如する培地とともに、形質移入されたCHO細胞を数週間培養する。形質移入されたプール由来の各細胞を96ウェルプレート中に分別するために、FACSを使用することができる。クローン間の抗体産生に順位を付けるために、抗原特異的なEIAを使用することが可能であり、最高の生産物を増殖し、再度アッセイする。次いで、クローンを無血清培地中へ引き離す。増殖特性、抗体産生及びクローンのクローン性をモニターする。所望であれば、96ウェルプレート中に各細胞を分別することによって細胞株クローンをサブクローニングした後、精製された抗体を産生するために増殖させることができる。
【実施例9】
【0234】
シャーガス抗原TcFに対する組換えキメラシャーガス抗体の速度論/親和性測定
BIAcore2000上の高密度ヤギ抗ヒトIgGFc捕捉バイオセンサーを用いて、速度論/親和性を測定した。まず、10μL/分の流速で5分間、カルボキシメチル−デキストラン6g/L及び6g/LBSAを加えたHBS−EPから構成される走行緩衝液(以下、「走行緩衝液」と称される。)(Fluka)によって、フローセルを平衡化した。次に、それぞれ走行緩衝液中に希釈された組換えキメラ抗シャーガスモノクローナル抗体、すなわち、9−638−132(TcF及びFP6中のPep2エピトープ)、10−745−140(FP10)及び12−392−150(FP3)を、各フローセル上に注射し、1つのフローセルを参照フローセルとしてブランクとして残し、バイオセンサーによって捕捉した。100μL/分まで緩衝液の流速を増加し、走行緩衝液中の0から100nMまでの様々な濃度の抗原150μLの注入前に、フローセルを10分間洗浄し、続いて、走行緩衝液のみで60から360秒間洗浄した。次いで、100mMHPOの33μL注射3回で、抗ヒトIgG捕捉バイオセンサーを再生し、各シャーガス抗原の全ての濃度が2つ組みで検査されるまで上記工程を繰り返した。センサーグラムによって、各抗原注射に対して結合速度論、会合(k)及び解離(k)をモニターし、Scrubber2.0ソフトウェア(BioLogic Software Pty Ltd., Australia)によって、速度論/親和性を測定した。シャーガスTcF抗原内のPep2エピトープとの組換えキメラ抗シャーガスモノクローナル抗体間の相互作用は、下表14に示されている。
【0235】
【表14】

【実施例10】
【0236】
シャーガス抗原FP3及びFP10に対する組換えキメラシャーガス抗体の速度論/親和性測定
BIAcore2000上の高密度抗His捕捉バイオセンサーを用いて、速度論/親和性を測定した。まず、50μL/分の流速で5分間、1%BSA及び1%Tween20を加えたHBS−EP緩衝液から構成される走行緩衝液(上記実施例9で定義されている。)によって、フローセルを平衡化した。次に、シャーガス抗原(各抗原は、Hisタグを含有する。)、すなわち、FP10及びFP3を走行緩衝液中にそれぞれ希釈し、各フローセル上に注入し、1つのフローセルを参照フローセルとしてブランクとして残し、バイオセンサーによって捕捉した。緩衝液流速を100μL/分まで増加させ、走行緩衝液中の0から300nMまでの様々な濃度で、続いて、走行緩衝液単独で、60から360秒間、組換えキメラ抗シャーガスモノクローナル抗体(すなわち、9−638−132(TcF及びFP6中のPep2エピトープ)、10−745−140(FPlO)及び12−392−150(FP3))のそれぞれの150μLを注射する前に、フローセルを5分間洗浄した。次いで、2.5mMHPOが添加されたGentle Ab/Ag Elution Buffer(Pierce)の35μL注射を2回及び5mMHPOの25μL注射2回で、抗His4捕捉バイオセンサーを再生し、各キメラ抗シャーガス抗体の全ての濃度が2つ組みで検査されるまで上記工程を繰り返した。センサーグラムによって、各抗体注射に対して結合速度論、会合(k)及び解離(k)をモニターし、Scrubber2.0ソフトウェア(BioLogic Software Pty Ltd., Australia)によって、速度論/親和性を測定した。シャーガスFP10抗原と組換えキメラ抗シャーガスモノクローナル抗体間の相互作用は、下表15に示されている。シャーガスFP3抗原と組換えキメラ抗シャーガスモノクローナル抗体間の相互作用は、下表16に示されている。
【0237】
【表15】

【0238】
【表16】

【実施例11】
【0239】
シャーガス抗原に対するマウスシャーガス抗体の速度論/親和性測定
BIAcore2000上の高密度ウサギ抗マウスIgG捕捉バイオセンサーを用いて、速度論/親和性を測定した。まず、5μL/分で5分間、1%BSA、1%カルボキシメチル−デキストラン(「走行緩衝液」)(Fluka)及び0.1%Tween20が添加されたHBS−EP緩衝液から構成される走行緩衝液で、フローセルを平衡化した。次に、走行緩衝液中に希釈された各マウス抗シャーガス抗体(すなわち、モノクローナル抗体(mAb)8−367−171(FRA)、9−638−132(TcF及びFP6中のPep2エピトープ)、10−745−140(FP10)及び12−392−150(FP3))を各フローセル上に注射し、バイオセンサーによって捕捉した。60μL/分まで緩衝液の流速を増加し、走行緩衝液中の0から200nMまでの様々な濃度のシャーガス抗原150μLの注入前に、5分間洗浄し、続いて、60から360秒間、走行緩衝液のみで60から360秒間洗浄した。次いで、10μL/分になるように流速を変化させ、次いで、10mMグリシンpH1.7の30μL注入1回で抗マウスIgG捕捉バイオセンサーを再生し、各シャーガス抗原の全ての濃度が2つ組みで検査されるまで、上記工程を繰り返した。センサーグラムによって、各抗原注射に対して結合速度論、会合(k)及び解離(k)をモニターし、Scrubber2.0ソフトウェア(BioLogic Software Pty Ltd., Australia)によって、速度論/親和性を測定した。
【0240】
シャーガス抗原FRA、FP6、TcF及びFP3に対して、抗シャーガスmAb10−745−140を含有するフローセルを参照フローセルとして使用した。シャーガス抗原FP10に対して、抗シャーガスmAb9−638−132を含有するフローセルを参照フローセルとして使用した。シャーガスFRA抗原自体とモノクローナル抗シャーガス抗体間の相互作用が、下表17に示されている。FRA及びシャーガスFP6抗原のシャーガスPEP2エピトープとモノクローナル抗シャーガス抗体間の相互作用が、下表18に示されている。シャーガスTcF抗原のシャーガスPEP2エピトープとモノクローナル抗シャーガス抗体間の相互作用が、下表19に示されている。シャーガスFP10抗原とモノクローナル抗シャーガス抗体間の相互作用は、下表20に示されている。シャーガスFP3抗原とモノクローナル抗シャーガス抗体間の相互作用は、下表21に示されている。
【0241】
【表17】

【0242】
【表18】

【0243】
【表19】

【0244】
【表20】

【0245】
【表21】

【0246】
主題を実施し、上記目的及び利点並びに本開示に固有の目的及び利点が得られるように、本開示が適切に改変されることが当業者に容易に理解される。本明細書に記載されている分子複合体及び方法、手技、処置、分子、具体的な化合物は、好ましい実施形態の現時点での代表例であり、例示であって、本開示の範囲に対する限定を意図するものではない。本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書中に開示されている開示に対して様々な置換及び修飾を施し得ることが、当業者に自明である。
【0247】
本明細書に挙げられている全ての特許及び公報は、本開示が属する分野における当業者の水準を示唆するものである。全ての特許及び公報は、それぞれの各公報が参照により組み込まれるものと具体的且つ個別的に記されている場合と同じ程度まで、参照により、本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する1つ以上の抗体を含む免疫診断試薬であって、前記1つ以上の抗体は、FP3、Pep2、FP10及びFRAポリペプチドによって構成されるT.cruziポリペプチドに対して特異的な抗体からなる群から選択される、免疫診断試薬。
【請求項2】
免疫診断試薬が前記抗体の2つ以上を含む、請求項1に記載の免疫診断試薬。
【請求項3】
免疫診断試薬が
(a)T.cruziポリペプチドがFRAであり、並びにさらに、抗体が約7.0×10−1−1から約7.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約4.0×10−3−1から約3.0×10−1−1の間の解離速度定数(k)及び約5.7×10−10Mから約4.3×10−7Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(b)T.cruziポリペプチドがPep2であり、並びにさらに、抗体が約1.0×10−1−1から約8.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約6.0×10−3−1から約4.0×10−2−1の間の解離速度定数(k)及び約7.5×10−10Mから約4.0×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(c)T.cruziポリペプチドがFP10であり、並びにさらに、抗体が(a)約5.0×10−1−1から約3.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、(b)約1.0×10−4−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び(c)約3.3×10−10Mから約1.6×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(d)T.cruziポリペプチドがFP3であり、並びにさらに、抗体が約2.0×10−1−1から約6.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約2.0×10−5−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び約3.3×10−12Mから約4.0×10−9Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;並びに
(e)(a)から(d)の任意の組み合わせ
からなる群から選択される抗体を含む、請求項1から2の何れかに記載の免疫診断試薬。
【請求項4】
前記抗体がキメラ抗体である、請求項1から3の何れかに記載の免疫診断試薬。
【請求項5】
免疫診断試薬が
(a)配列番号2に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(b)配列番号4に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(c)配列番号6に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(d)配列番号8に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(e)配列番号2に記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(f)配列番号4に記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(g)配列番号6に記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(h)配列番号8に記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(i)配列番号2に記載されているアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(j)配列番号4に記載されているアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(k)配列番号6に記載されているアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(l)配列番号8に記載されているアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(m)配列番号2に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(n)配列番号4に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(o)配列番号6に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;及び
(p)配列番号8に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体
からなる群から選択されるキメラ抗体を含む、請求項1から4の何れかに記載の免疫診断試薬。
【請求項6】
前記キメラ抗体が
(1)
(a)配列番号10に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号14に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号18に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;及び
(d)配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
からなる群から選択されるV領域:
(2)
(a)配列番号12に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号16に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号20に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;及び
(d)配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
からなる群から選択されるV領域:又は
(3)
(a)配列番号10に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号12に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号14に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号16に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号18に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号20に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;並びに
(d)配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域及びV領域:
を含む、請求項5に記載の免疫診断試薬。
【請求項7】
前記キメラ抗体が、
(a)アメリカ培養細胞系統保存機関に寄託され並びにPTA−8136、PTA−8138及びPTA−8140からなる群から選択される細胞株によって発現されるキメラ抗体;又は
(b)アメリカ培養細胞系統保存機関に寄託され並びにPTA−8137、PTA−8139、PTA−8141及びPTA−8142からなる群から選択される細胞株によって発現されるキメラ抗体;
と実質的に同一である、請求項6に記載の免疫診断試薬。
【請求項8】
免疫診断試薬が検出試薬、標準化試薬及び陽性対照試薬からなる群から選択される試薬である、請求項1から8の何れかに記載の免疫診断試薬。
【請求項9】
FP3、Pep2、FP10及びFRAポリペプチドによって構成されるT.cruziポリペプチドからなる群から選択されるT.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体。
【請求項10】
抗体が
(a)T.cruziポリペプチドがFRAであり、並びにさらに、抗体が約7.0×10−1−1から約7.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約4.0×10−3−1から約3.0×10−1−1の間の解離速度定数(k)及び約5.7×10−10Mから約4.3×10−7Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(b)T.cruziポリペプチドがPep2であり、並びにさらに、前記抗体が約1.0×10−1−1から約8.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約6.0×10−3−1から約4.0×10−2−1の間の解離速度定数(k)及び約7.5×10−10Mから約4.0×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(c)T.cruziポリペプチドがFP10であり、並びにさらに、抗体が(a)約5.0×10−1−1から約3.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、(b)約1.0×10−4−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び(c)約3.3×10−10Mから約1.6×10−8Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;
(d)T.cruziポリペプチドがFP3であり、並びにさらに、抗体が約2.0×10−1−1から約6.0×10−1−1の間の会合速度定数(k)、約2.0×10−5−1から約8.0×10−4−1の間の解離速度定数(k)及び約3.3×10−12Mから約4.0×10−9Mの間の平衡解離定数(K)からなる群から選択される少なくとも1つの結合定数を有する、T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合する抗体;並びに
(e)(a)から(d)の任意の組み合わせ
からなる群から選択される、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
抗体がキメラ抗体である、請求項9又は10の抗体。
【請求項12】
(a)配列番号2に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(b)配列番号4に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(c)配列番号6に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(d)配列番号8に記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(e)配列番号2に記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(f)配列番号4に記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(g)配列番号6に記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(h)配列番号8に記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(i)配列番号2に記載されているアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(j)配列番号4に記載されているアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(k)配列番号6に記載されているアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;及び
(l)配列番号8に記載されているアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
からなる群から選択される、請求項11に記載のキメラ抗体。
【請求項13】
キメラ抗体が、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、一本鎖Fv抗体、アフィニティー成熟された抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合されたFv及び抗イディオタイプ抗体又はこれらの断片からなる群から選択される1つである、請求項9から12のキメラ抗体。
【請求項14】
抗体がモノクローナルである、請求項9から13のキメラ抗体。
【請求項15】
キメラ抗体が
(a)アメリカ培養細胞系統保存機関に寄託され並びにPTA−8136、PTA−8138及びPTA−8140からなる群から選択される細胞株によって発現されるキメラ抗体;又は
(b)アメリカ培養細胞系統保存機関に寄託され並びにPTA−8137、PTA−8139、PTA−8141及びPTA−8142からなる群から選択される細胞株によって発現される抗体;
と実質的に同一である、請求項9から14のキメラ抗体。
【請求項16】
T.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合するキメラ抗体を発現する細胞株であって、前記細胞株は、アメリカ培養細胞系統保存機関に寄託され並びにPTA−8136、PTA−8138及びPTA−8140からなる群から選択される細胞株からなる群から選択される、細胞株。
【請求項17】
請求項1に記載の免疫診断試薬を感度パネルとして使用することを含む、T.cruzi検出アッセイを標準化する方法。
【請求項18】
T.cruzi抗原を検出するための方法であって、
(a)キメラ抗体:抗原複合体の形成を可能とする条件下で、T.cruzi抗原を含有すると疑われる検査試料を請求項4に記載の免疫診断試薬と接触させる工程;及び
(b)前記T.cruzi抗原の存在の指標として形成された何れかのキメラ抗体:抗原複合体を検出する工程
を含む、方法。
【請求項19】
キメラ抗体が検出可能な標識を含む、請求項18の方法。
【請求項20】
抗体:抗原複合体が二次抗体又はその断片と接触され、前記二次抗体又はその断片が検出可能な標識を含む、請求項18の方法。
【請求項21】
T.cruzi抗体を検出するための方法であって、
(a)抗原:抗体複合体の形成を可能とする条件下で、T.cruzi抗体を含有すると疑われる検査試料を、T.cruzi抗体に対して特異的な1つ以上のT.cruzi抗原と接触させる工程、及び
(b)前記T.cruzi抗原の存在を示唆するものとして形成された何れかの抗原:抗体複合体を検出する工程
を含み
請求項4に記載の免疫診断試薬は、陽性対照又は標準化試薬として、前記方法において使用される、方法。
【請求項22】
請求項1の免疫診断試薬を含む、T.cruziを検出するための診断キット。
【請求項23】
FP3、Pep2、FP10及びFRAポリペプチドによって構成されるT.cruziポリペプチドからなる群から選択されるT.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合するキメラ抗体の一部を含む単離されたポリペプチド。
【請求項24】
前記キメラ抗体が
(a)配列番号2に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(b)配列番号4に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(c)配列番号6に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;及び
(d)配列番号8に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項23に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項25】
ポリペプチドが
(1)
(a)配列番号10に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号14に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号18に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;及び
(d)配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
からなる群から選択されるV領域:
(2)
(a)配列番号12に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号16に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号20に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;及び
(d)配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
からなる群から選択されるV領域:又は
(3)
(a)配列番号10に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号12に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号14に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号16に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号18に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号20に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;並びに
(d)配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域及びV領域:
を含む、請求項24に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項26】
FP3、Pep2、FP10及びFRAポリペプチドによって構成されるT.cruziポリペプチドからなる群から選択されるT.cruziポリペプチドの診断的に適切な領域に特異的に結合するキメラ抗体の一部をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項27】
前記キメラ抗体が
(a)配列番号2に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(b)配列番号4に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;
(c)配列番号6に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体;及び
(d)配列番号8に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列によって構成されるエピトープに特異的に結合するキメラ抗体
からなる群から選択される、請求項26に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項28】
ポリペプチドが
(1)
(a)配列番号10に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号14に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号18に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;及び
(d)配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
からなる群から選択されるV領域:
(2)
(a)配列番号12に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号16に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号20に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;及び
(d)配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
からなる群から選択されるV領域:
(3)
(a)配列番号10に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号12に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(b)配列番号14に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号16に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;
(c)配列番号18に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号20に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域;並びに
(d)配列番号28に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域及び配列番号26に記載されている配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含むV領域
からなる群から選択されるV領域及びV領域:
を含む、請求項26に記載の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項29】
配列番号1、3、5又は7に記載されているアミノ酸によって含まれるT.cruziアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するT.cruziアミノ酸配列を含む抗原を精製する方法であって、
(a)キメラ抗体:抗原複合体の形成を可能とする条件下で、T.cruziポリペプチドを含有すると疑われる試料を請求項1に記載の免疫診断試薬と接触させること;
(b)形成されたキメラ抗体:抗原複合体を単離すること;及び
(c)抗体から抗原を分離すること;
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−507553(P2011−507553A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540872(P2010−540872)
【出願日】平成20年12月23日(2008.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/088199
【国際公開番号】WO2009/086398
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】