折り畳み可能なネスティングラック
【課題】段積みに支障を来たすことなく、不使用時に占める空間を減少させて運搬効率や保管効率を向上させ、運搬費用や保管費用の抑制を図ることができる折り畳み可能なネスティングラックを提供する。
【解決手段】ネスティングラック10は、頂部枠体11、一方の側部枠体12、他方の側部枠体13及び背部枠体14が各々四角枠体で形成され、各四角枠体間が連結されて前部及び底部が開口された四角箱状に構成されている。頂部枠体11は一方の側部枠体12に対して連結を解除して他方の側部枠体13に対して折り畳み可能に構成されている。一方の側部枠体12は背部枠体14に折り畳み可能に構成されている。そして、一方の側部枠体12を背部枠体14に折り畳んだ状態で他方の側部枠体13に折り畳み可能に構成されている。
【解決手段】ネスティングラック10は、頂部枠体11、一方の側部枠体12、他方の側部枠体13及び背部枠体14が各々四角枠体で形成され、各四角枠体間が連結されて前部及び底部が開口された四角箱状に構成されている。頂部枠体11は一方の側部枠体12に対して連結を解除して他方の側部枠体13に対して折り畳み可能に構成されている。一方の側部枠体12は背部枠体14に折り畳み可能に構成されている。そして、一方の側部枠体12を背部枠体14に折り畳んだ状態で他方の側部枠体13に折り畳み可能に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば荷役作業用、商品の陳列用、商品の保管用等として使用される折り畳み可能なネスティングラック(ネスティングボックス)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にネスティングラックは、使用時には上下に複数段積み重ねて(段積み)使用され、不使用時にはネスティング(入れ子)して保管されるようになっている。段積みすることによって収容スペースを拡大し、ネスティングすることによって不使用時におけるスペースを節約することができる。このような段積みやネスティングは、通常フォークリフトを用いて効率良く行われる。
【0003】
この種のネスティングラックとしては、上端荷受け台と、一対の前側支柱と、一対の後側支柱と、前側を開放した下端フレーム部とを備えた荷役作業用ラックが知られている(例えば、特許文献1を参照)。図11に示すように、この荷役作業用ラック51では、前側支柱52上面に等辺山形部53が固設され、下端フレーム部54の両側フレーム55を等辺山形鋼で構成し、後側支柱56が上端の荷受け台57の両側より内側寄りで鉛直に固設されている。両側フレーム55には前側載置プレート58及び後側フレーム59には後側載置プレート60が立設され、荷受け台57の後端両側に係止片61が上向きに突設されている。
【0004】
そして、ネスティング時には、前側の荷役作業用ラック51に対して後方から後側の荷役作業用ラック51の前端開放部を嵌め込むことにより行われる。すなわち、前側の荷役作業用ラック51下端の両側フレーム55の等辺山形鋼の真上に後側の荷役作業用ラック51下端の両側フレーム55の等辺山形鋼を上下ほぼ平行に配置する。次いで、前側の荷役作業用ラック51下端の後側フレーム59の真上に後側の荷役作業用ラック51下端の後側フレーム59を上下平行に配置し、下側の荷役作業用ラック51の後側載置プレート60上に上側の荷役作業用ラック51の後側載置プレート60を配置することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−22807号公報(第2頁〜第4頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の特許文献1に記載されている荷役作業用ラック51においては、ネスティング時に下側の荷役作業用ラック51の上に上側の荷役作業用ラック51が積み重ねて載置されている。このため、最下段の荷役作業用ラック51の形状がそのまま維持されると共に、下側の荷役作業用ラック51によって形成される空間部Sがそのまま残り、さらに積み重ねられる荷役作業用ラック51が斜め後方へ延びる。従って、荷役作業用ラック51の不使用時には全体として大きな空間を占めることになり、そのような大きな空間は荷役作業用ラック51の不使用時における運搬や保管の効率を悪化させ、運搬費用や保管費用の増大を招く。よって、不使用時に占める空間を極力減少させ、運搬効率や保管効率の向上を図ることができるネスティングラックが求められている。
【0007】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、段積みに支障を来たすことなく、不使用時に占める空間を減少させて運搬効率や保管効率を向上させ、運搬費用や保管費用の抑制を図ることができる折り畳み可能なネスティングラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の折り畳み可能なネスティングラックは、頂部枠体、両側部枠体及び背部枠体が各々四角枠体で形成され、各四角枠体間が連結されて前部及び底部が開口され四角箱状に構成されている。そして、前記頂部枠体又は背部枠体を一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体を該一方の側部枠体に対して連結が解除されなかった背部枠体又は頂部枠体に折り畳み可能に構成すると共に、一方の側部枠体を背部枠体又は頂部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳み可能に構成している。
【0009】
請求項2に記載の折り畳み可能なネスティングラックは、請求項1に係る発明において、前記頂部枠体を一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳み可能に構成すると共に、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳み可能に構成することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の折り畳み可能なネスティングラックは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記頂部枠体又は背部枠体は他方の側部枠体の内側に収容されるように、長さ及び幅が側部枠体よりも短く設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の折り畳み可能なネスティングラックは、請求項1から請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記四角枠体間は、四角筒体中に円筒体が嵌め込まれて回動可能に連結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の折り畳み可能なネスティングラックは、請求項1に係る発明において、前記頂部枠体又は背部枠体と一方の側部枠体との間には、一方の側部枠体に対して頂部枠体又は背部枠体の連結を固定又は解除するロック機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に係る発明のネスティングラックにおいては、頂部枠体又は背部枠体は一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成され、一方の側部枠体は該一方の側部枠体に対して連結が解除されなかった背部枠体又は頂部枠体に折り畳み可能に構成されている。そして、一方の側部枠体は背部枠体又は頂部枠体に折り畳まれた状態で他方の側部枠体に折り畳み可能になっている。
【0014】
このため、ネスティングラックの不使用時には、頂部枠体又は背部枠体のいずれかが一方の側部枠体に対して連結が解除された後、他方の側部枠体に対して折り畳まれる。続いて、一方の側部枠体が該一方の側部枠体に対して連結が解除されなかった背部枠体又は頂部枠体に対して折り畳まれる。その後、一方の側部枠体は背部枠体又は頂部枠体に折り畳まれた状態で他方の側部枠体に折り畳まれる。このようにして、頂部枠体、背部枠体及び一方の側部枠体が他方の側部枠体に折り畳まれ、板状に形成される。
【0015】
従って、本発明の折り畳み可能なネスティングラックによれば、段積みに支障を来たすことなく、不使用時に占める空間を減少させて運搬効率や保管効率を向上させ、運搬費用や保管費用の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態におけるネスティングラックを示す斜視図。
【図2】他方の側部枠体を示す図であって、(a)は側部枠体の平面図、(b)は側部枠体の正面図、(c)は側部枠体の右側面図及び(d)は背部枠体との連結部を示す部分平面図。
【図3】一方の側部枠体を示す図であって、(a)は側部枠体の平面図、(b)は側部枠体の正面図及び(c)は側部枠体の右側面図。
【図4】(a)は背部枠体と他方の側部枠体との連結状態を示す正面側から見た断面図及び(b)は連結部を示す部分正面図。
【図5】ロック機構を示す図であって、(a)はロック機構を固定した状態を示す斜視図及び(b)はロック機構を解除した状態を示す斜視図。
【図6】ロック機構を構成するロック部材を示す斜視図。
【図7】ネスティングラックの作用を示す図であって、頂部枠体のロックを解除した状態を示す斜視図。
【図8】ネスティングラックの作用を示す図であって、図7の状態から頂部枠体を他方の側部枠体側へ回動させた状態を示す斜視図。
【図9】ネスティングラックの作用を示す図であって、図8の状態の後、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図10】ネスティングラックの作用を示す図であって、図9の状態の後、背部枠体を他方の側部枠体に折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図11】従来の荷役作業用ラックをネスティングした状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、ネスティングラック10は、頂部枠体11、一方の側部枠体12(図1の左側の側部枠体)、他方の側部枠体13及び背部枠体14が各々四角枠体で形成され、各四角枠体間が連結され、前部(図1の左手前部)及び底部が開口された四角箱状に構成されている。両側部枠体12,13は、それぞれ上下方向の長さが前後方向の長さよりも長い矩形枠体状に形成されている。頂部枠体11は左右方向の長さが前後方向の長さより長い矩形格子状に形成されると共に、前後方向の長さが側部枠体12,13の前後方向の長さより短く設定され、左右方向の長さが側部枠体12,13の上下方向の長さより短く設定されている。そして、頂部枠体11を他方の側部枠体13へ折り畳んだとき頂部枠体11が側部枠体13の内側へ収容されるように構成されている。背部枠体14は左右方向の長さが上下方向の長さより長い矩形枠体状に形成され、中間部に上下に延びる3本の補強材15が架設されて構成されている。
【0018】
図3(a)〜(c)に示すように、一方の側部枠体12を構成する前後両垂直枠16a,16b、上下両水平枠17a,17bはそれぞれ正四角筒体により構成されている。後部位置の垂直枠16bは上下両端部にのみ設けられて支承枠18を形成し、それら支承枠18の間に背部枠体14の垂直枠19を構成する正四角筒体が配置され、該正四角筒体内の円筒体20が両端部の支承枠18内に嵌め込まれ、一方の側部枠体12が背部枠体14に対して回動され折り畳み可能に構成されている。上部位置の水平枠17aの両端部上には側部枠体12を構成する正四角筒体よりなる一対の係止枠21a,21bが固着されている。そして、図1に示すように、上部位置の水平枠17a上において、両係止枠21a,21b間に頂部枠体11の先端枠22(一方の側部枠体12側端部の枠)が介在されるようになっている。なお、両係止枠21a,21b上には形状の異なる段積み用のガイド突起30がそれぞれ上方へ突設されている。
【0019】
図2(a)〜(c)に示すように、他方の側部枠体13を構成する前後両垂直枠23a,23b及び上下両水平枠24a,24bは正四角筒体により構成されている。上部位置の水平枠24aは前後両端部にのみ設けられて支持枠25を形成し、それら支持枠25の間に頂部枠体11の基端枠26を構成する正四角筒体が配置され、該正四角筒体内の円筒体27が両端部の支持枠25内に嵌め込まれ、頂部枠体11が他方の側部枠体13に対して回動され折り畳み可能に構成されている。図2(c)及び(d)に示すように、他方の側部枠体13を構成する後部位置の垂直枠23bには保持部として上下各一対の保持板28が背部枠体14側へ突出形成され、各保持板28にはボルト挿通孔29が透設されている。なお、両支持枠25上には形状の異なる段積み用のガイド突起30がそれぞれ上方へ突設されている。
【0020】
図4(a)及び(b)に示すように、背部枠体14の高さは前述の両側部枠体12,13の高さより低く(幅狭に)形成されている。背部枠体14の上下に位置する水平枠31a,31bの他方の側部枠体13側の端部には垂直方向に貫通するボルト貫通孔32が透設されている。それら水平枠31a,31bが前記他方の側部枠体13の上下各一対の保持板28間に挿入され、その状態でボルト挿通孔29及びボルト貫通孔32にボルト33が挿通され、スプリングワッシャ34を介してボルト33の先端にナット35が螺合されている。そして、背部枠体14が該ボルト33を回動軸として他方の側部枠体13に対して回動され折り畳み可能に構成されている。これらボルト33、ナット35、ボルト挿通孔29、ボルト貫通孔32等により回動連結部が構成されている。回動軸としてのボルト33は垂直枠23bから所定距離(背部枠体14の厚みにほぼ相当する距離)だけ離れた位置に設けられているため、一方の側部枠体12を背部枠体14に折り畳んだ状態でボルト33を中心にして他方の側部枠体13に折り畳んだとき、折り畳み後の厚みを薄くすることができる。
【0021】
図5(a)及び(b)に示すように、頂部枠体11を構成する前記先端枠22と、一方の側部枠体12を構成する水平枠17a上の係止枠21a,21bとの間には、一方の側部枠体12に対して頂部枠体11の連結を固定又は解除するロック機構36が設けられている。図6に示すように、ロック機構36を構成するロック部材37は細長四角箱状をなす本体部38を有し、その本体部38の側壁38aには操作摘み39が六角ボルトにより突出形成されている。本体部38の前部には左右一対の断面U字状をなす係合溝40を介してロック部材37としての案内部41が断面凹状に突設されている。前記一対の係合溝40には両端に操作円盤43を有するロックバー44が嵌め込まれている。前記案内部41の両側壁41aには前端ほど低くなるように傾斜する一対の傾斜面45が形成されている。
【0022】
図5(a)及び(b)に示すように、上記のロック機構36の本体部38及び案内部41は頂部枠体11の先端枠22及び側部枠体12の係止枠21a,21b内に納められ、先端枠22及び係止枠21a,21b内を前後に摺動するようになっている。ロック機構36の操作摘み39は頂部枠体11の先端枠22に形成された横長孔46に挿通され、ロックバー44は係止枠21a,21bに形成された縦長孔47に操作円盤43が係止枠21a,21b外に位置するように挿通されている。このロック機構36は、図1に示すように頂部枠体11の先端枠22の両端に一対設けられている。
【0023】
そして、図5(a)に示す状態では本体部38及び案内部41が先端枠22及び係止枠21a,21b内に位置しているため、一方の側部枠体12に対して頂部枠体11が固定されたロック状態となっている。一方、図5(b)に示すように、ロックバー44を上方に持ち上げて係合溝40から抜け出すようにした後(図6の二点鎖線)、操作摘み39を後方へ移動させることにより、本体部38及び案内部41が係止枠21a,21b内から先端枠22へ退避される。この状態は、一方の側部枠体12に対する頂部枠体11の連結が解除された非ロック状態となっている。
【0024】
なお、図1に示すように、前記一方の側部枠体12の係止枠21a,21b上に設けられたガイド突起30と、他方の側部枠体13の支持枠25上に設けられたガイド突起30とにより、ネスティングラック10上に図示しないさらに別のネスティングラック10を所定位置に載置し、段積みすることができるようになっている。
【0025】
以上のように構成されたネスティングラック10について作用を説明する。
さて、図1に示す状態において、図5(b)に示すように、ロック機構36の操作円盤43を指で摘んで持ち上げ、ロックバー44が係合溝40から抜け出すようにして案内部41との係合を解除し、その状態で操作摘み39を後方へ移動操作する。この操作を前後一対のロック機構36について行う。すると、本体部38及び案内部41は係止枠21a,21b内から先端枠22内へと退避され、頂部枠体11が一方の側部枠体12から離間して回動可能となる。従って、図7に示すように、頂部枠体11の先端枠22を持ち上げ、基端枠26中の円筒体27を中心にして上方へ回動させる。さらに、図8に示すように、頂部枠体11をその基端枠26内の円筒体27を中心にして図8の時計方向へ回動させる。
【0026】
そして、図9に示すように、頂部枠体11を他方の側部枠体13の内側に収めた後、一方の側部枠体12をその後部の垂直枠19内の円筒体20を中心にして図9の時計方向へ回動させ、背部枠体14の背面に折り畳む。最後に、図10に示すように、背部枠体14を一方の側部枠体12と共にボルト33を中心として図10の反時計方向に回動させ、他方の側部枠体13に折り畳んで重ね合わせる。この場合、前記ボルト33は垂直枠23bから一定距離だけ離れた位置に配設されているため、一方の側部枠体12を背部枠体14に折り畳んだ状態でボルト33を中心にして他方の側部枠体13に折り畳んだとき、背部枠体14は他方の側部枠体13にほぼ平行に配置される。このようにして、ネスティングラック10は折り畳まれて板状に形成される。この折り畳まれた状態でネスティングラック10は、トラックに積んで輸送され、また倉庫に保管される。
【0027】
折り畳まれたネスティングラック10を展開する場合には前記と逆の操作で行われる。すなわち、図10に示す状態で、背部枠体14を一方の側部枠体12と共にボルト33を中心として図10の時計方向に回動させ、図9に示す状態にする。この状態で、一方の側部枠体12を背部枠体14の垂直枠19の円筒体20を中心にして図9の反時計方向に回動させ、図8に示す状態とする。その状態で、頂部枠体11をその基端枠26内の円筒体27を中心にして図8の反時計方向に回動させ、図7に示す状態を経て頂部枠体11の先端枠22を一方の側部枠体12の水平枠17a上に載せる。その状態で、頂部枠体11の先端枠22両端部に設けられているロック機構36の操作摘み39をそれぞれ外方へ移動操作する。このとき、図6に示すように、案内部41の傾斜面45が係止枠21a,21bの縦長孔47に係合されているロックバー44に当たり、そのロックバー44を押し上げながら外方へ移動し、図6の二点鎖線に示すようにロックバー44が係合溝40の上方位置に達したとき係合溝40内へ落ち込んで係合され、ロック機構36がロック状態に戻る。
【0028】
以上の実施形態により発揮される効果について、以下にまとめて説明する。
(1) 本実施形態のネスティングラック10では、頂部枠体11は一方の側部枠体12に対して連結を解除して他方の側部枠体13に対して折り畳み可能に構成され、一方の側部枠体12は該一方の側部枠体12に対して連結が解除されなかった背部枠体14に折り畳み可能に構成されている。さらに、一方の側部枠体12は背部枠体14に折り畳まれた状態で他方の側部枠体13に折り畳み可能に構成されている。
【0029】
このため、ネスティングラック10の不使用時には、頂部枠体11が一方の側部枠体12に対して連結が解除された後、他方の側部枠体13に対して折り畳まれる。続いて、一方の側部枠体12が背部枠体14に対して折り畳まれる。その後、一方の側部枠体12は背部枠体14に折り畳まれた状態で他方の側部枠体13に折り畳まれる。このようにして、頂部枠体11、背部枠体14及び一方の側部枠体12が他方の側部枠体13に簡単な操作で折り畳まれ、容易に板状に形成される。このように折り畳まれたネスティングラック10は、展開状態のネスティングラック10の内側に形成される空間部に例えば7つ入る大きさ、すなわち空間部を1/7に減少させることができる。
【0030】
従って、本実施形態のネスティングラック10によれば、段積みに支障を来たすことなく、不使用時における空間を減少させて運搬効率や保管効率を向上させ、運搬費用や保管費用の抑制を図ることができる。また、運搬作業、保管作業等の作業における取扱性が良く、作業を容易かつ速やかに行うことができる。さらに、ネスティングラック10の折り畳み及び展開に際して工具を用いることなく、作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0031】
(2) 頂部枠体11は他方の側部枠体13の内側に収容されるように、長さ及び幅が側部枠体13よりも短く設定されていることにより、ネスティングラック10を折り畳んだとき頂部枠体11が他方の側部枠体13の内側に納められ、コンパクトにできて余分な空間を減少させることができる。
【0032】
(3) 頂部枠体11の基端枠26と他方の側部枠体13の円筒体27との間及び一方の側部枠体12を構成する後部位置の垂直枠16bと背部枠体14の先端の円筒体20との間は、四角筒体中に円筒体20,27が嵌め込まれて回動可能に連結されている。このため、簡単な構成でネスティングラック10の折り畳み操作を円滑に行うことができる。
【0033】
(4) 頂部枠体11の先端枠22と一方の側部枠体12の係止枠21a,21bとの間には、一方の側部枠体12に対して頂部枠体11の連結を固定又は解除するロック機構36が設けられている。このため、ネスティングラック10の使用時にはロック機構36を固定して頂部枠体11を一方の側部枠体12に対し連結固定でき、不使用時にはロック機構36を解除して頂部枠体11を他方の側部枠体13に容易に折り畳むことができる。
【0034】
(5) 前記ロック機構36は、頂部枠体11の両端部と一方の側部枠体12の両係止枠21a,21bとの間に一対設けられていることから、頂部枠体11と一方の側部枠体12との間の連結を強固にすることができると共に、両者間のがたつきを防止することができる。
【0035】
(6) 前記一方の側部枠体12の上部には、水平枠17a上に前後一対の係止枠21a,21bが設けられ、両係止枠21a,21b間に頂部枠体11の先端枠22が介在されるようになっている。このため、頂部枠体11と一方の側部枠体12とを連結する場合には、側部枠体12の水平枠17a上に頂部枠体11の先端枠22を載せ、その状態でロック機構36を作動させればよく、連結を簡単に行うことができる。
【0036】
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 背部枠体14を一方の側部枠体12に対して連結を解除して他方の側部枠体13に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体12を該一方の側部枠体12に対して連結が解除されなかった頂部枠体11に折り畳み可能に構成することができる。この場合、背部枠体14と一方の側部枠体12との間にはロック機構36を設ける。このように構成した場合、一方の側部枠体12を頂部枠体11に折り畳んだ状態で他方の側部枠体13に折り畳むことができる。
【0037】
・ 前記ロック機構36としては、頂部枠体11の先端枠22と一方の側部枠体12のいずれかの係止枠21a,21bとの間に1箇所のみ設けることもできる。
・ 前記ロック機構36として、例えば係合溝40、ロックバー44、縦長孔47等を省略し、横長孔46の外端部に下方へ延びる連通孔を設けると共に、ロック部材37を先端枠22及び係止枠21a,21b内で回転可能に構成することもできる。そして、ロック部材37の案内部41が係止枠21a,21b内に挿入された状態で操作摘み39を回動させて横長孔46からその連通孔に入るようにしてロック状態にする。この場合、ロック機構36の構成を簡単にすることができる。
【0038】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記他方の側部枠体には、背部枠体側へ突出する保持部を設け、該保持部と背部枠体との間に回動連結部を備えることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のネスティングラック。このように構成した場合、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳んだ後の厚みを薄くすることができる。
【0039】
・ 前記一方の側部枠体の上部には水平枠17aを設け、該水平枠17aの両端部上には一対の係止枠を配設し、両係止枠間に頂部枠体の先端枠が介在されるように構成することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のネスティングラック。このように構成した場合、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、頂部枠体と一方の側部枠体とを連結する際に、側部枠体の水平枠上に頂部枠体の先端枠を載せればよく、連結操作を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
10…ネスティングラック、11…頂部枠体、12…一方の側部枠体、13…他方の側部枠体、14…背部枠体、20、27…円筒体、36…ロック機構。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば荷役作業用、商品の陳列用、商品の保管用等として使用される折り畳み可能なネスティングラック(ネスティングボックス)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にネスティングラックは、使用時には上下に複数段積み重ねて(段積み)使用され、不使用時にはネスティング(入れ子)して保管されるようになっている。段積みすることによって収容スペースを拡大し、ネスティングすることによって不使用時におけるスペースを節約することができる。このような段積みやネスティングは、通常フォークリフトを用いて効率良く行われる。
【0003】
この種のネスティングラックとしては、上端荷受け台と、一対の前側支柱と、一対の後側支柱と、前側を開放した下端フレーム部とを備えた荷役作業用ラックが知られている(例えば、特許文献1を参照)。図11に示すように、この荷役作業用ラック51では、前側支柱52上面に等辺山形部53が固設され、下端フレーム部54の両側フレーム55を等辺山形鋼で構成し、後側支柱56が上端の荷受け台57の両側より内側寄りで鉛直に固設されている。両側フレーム55には前側載置プレート58及び後側フレーム59には後側載置プレート60が立設され、荷受け台57の後端両側に係止片61が上向きに突設されている。
【0004】
そして、ネスティング時には、前側の荷役作業用ラック51に対して後方から後側の荷役作業用ラック51の前端開放部を嵌め込むことにより行われる。すなわち、前側の荷役作業用ラック51下端の両側フレーム55の等辺山形鋼の真上に後側の荷役作業用ラック51下端の両側フレーム55の等辺山形鋼を上下ほぼ平行に配置する。次いで、前側の荷役作業用ラック51下端の後側フレーム59の真上に後側の荷役作業用ラック51下端の後側フレーム59を上下平行に配置し、下側の荷役作業用ラック51の後側載置プレート60上に上側の荷役作業用ラック51の後側載置プレート60を配置することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−22807号公報(第2頁〜第4頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の特許文献1に記載されている荷役作業用ラック51においては、ネスティング時に下側の荷役作業用ラック51の上に上側の荷役作業用ラック51が積み重ねて載置されている。このため、最下段の荷役作業用ラック51の形状がそのまま維持されると共に、下側の荷役作業用ラック51によって形成される空間部Sがそのまま残り、さらに積み重ねられる荷役作業用ラック51が斜め後方へ延びる。従って、荷役作業用ラック51の不使用時には全体として大きな空間を占めることになり、そのような大きな空間は荷役作業用ラック51の不使用時における運搬や保管の効率を悪化させ、運搬費用や保管費用の増大を招く。よって、不使用時に占める空間を極力減少させ、運搬効率や保管効率の向上を図ることができるネスティングラックが求められている。
【0007】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、段積みに支障を来たすことなく、不使用時に占める空間を減少させて運搬効率や保管効率を向上させ、運搬費用や保管費用の抑制を図ることができる折り畳み可能なネスティングラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の折り畳み可能なネスティングラックは、頂部枠体、両側部枠体及び背部枠体が各々四角枠体で形成され、各四角枠体間が連結されて前部及び底部が開口され四角箱状に構成されている。そして、前記頂部枠体又は背部枠体を一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体を該一方の側部枠体に対して連結が解除されなかった背部枠体又は頂部枠体に折り畳み可能に構成すると共に、一方の側部枠体を背部枠体又は頂部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳み可能に構成している。
【0009】
請求項2に記載の折り畳み可能なネスティングラックは、請求項1に係る発明において、前記頂部枠体を一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳み可能に構成すると共に、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳み可能に構成することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の折り畳み可能なネスティングラックは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記頂部枠体又は背部枠体は他方の側部枠体の内側に収容されるように、長さ及び幅が側部枠体よりも短く設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の折り畳み可能なネスティングラックは、請求項1から請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記四角枠体間は、四角筒体中に円筒体が嵌め込まれて回動可能に連結されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の折り畳み可能なネスティングラックは、請求項1に係る発明において、前記頂部枠体又は背部枠体と一方の側部枠体との間には、一方の側部枠体に対して頂部枠体又は背部枠体の連結を固定又は解除するロック機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に係る発明のネスティングラックにおいては、頂部枠体又は背部枠体は一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成され、一方の側部枠体は該一方の側部枠体に対して連結が解除されなかった背部枠体又は頂部枠体に折り畳み可能に構成されている。そして、一方の側部枠体は背部枠体又は頂部枠体に折り畳まれた状態で他方の側部枠体に折り畳み可能になっている。
【0014】
このため、ネスティングラックの不使用時には、頂部枠体又は背部枠体のいずれかが一方の側部枠体に対して連結が解除された後、他方の側部枠体に対して折り畳まれる。続いて、一方の側部枠体が該一方の側部枠体に対して連結が解除されなかった背部枠体又は頂部枠体に対して折り畳まれる。その後、一方の側部枠体は背部枠体又は頂部枠体に折り畳まれた状態で他方の側部枠体に折り畳まれる。このようにして、頂部枠体、背部枠体及び一方の側部枠体が他方の側部枠体に折り畳まれ、板状に形成される。
【0015】
従って、本発明の折り畳み可能なネスティングラックによれば、段積みに支障を来たすことなく、不使用時に占める空間を減少させて運搬効率や保管効率を向上させ、運搬費用や保管費用の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態におけるネスティングラックを示す斜視図。
【図2】他方の側部枠体を示す図であって、(a)は側部枠体の平面図、(b)は側部枠体の正面図、(c)は側部枠体の右側面図及び(d)は背部枠体との連結部を示す部分平面図。
【図3】一方の側部枠体を示す図であって、(a)は側部枠体の平面図、(b)は側部枠体の正面図及び(c)は側部枠体の右側面図。
【図4】(a)は背部枠体と他方の側部枠体との連結状態を示す正面側から見た断面図及び(b)は連結部を示す部分正面図。
【図5】ロック機構を示す図であって、(a)はロック機構を固定した状態を示す斜視図及び(b)はロック機構を解除した状態を示す斜視図。
【図6】ロック機構を構成するロック部材を示す斜視図。
【図7】ネスティングラックの作用を示す図であって、頂部枠体のロックを解除した状態を示す斜視図。
【図8】ネスティングラックの作用を示す図であって、図7の状態から頂部枠体を他方の側部枠体側へ回動させた状態を示す斜視図。
【図9】ネスティングラックの作用を示す図であって、図8の状態の後、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図10】ネスティングラックの作用を示す図であって、図9の状態の後、背部枠体を他方の側部枠体に折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図11】従来の荷役作業用ラックをネスティングした状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、ネスティングラック10は、頂部枠体11、一方の側部枠体12(図1の左側の側部枠体)、他方の側部枠体13及び背部枠体14が各々四角枠体で形成され、各四角枠体間が連結され、前部(図1の左手前部)及び底部が開口された四角箱状に構成されている。両側部枠体12,13は、それぞれ上下方向の長さが前後方向の長さよりも長い矩形枠体状に形成されている。頂部枠体11は左右方向の長さが前後方向の長さより長い矩形格子状に形成されると共に、前後方向の長さが側部枠体12,13の前後方向の長さより短く設定され、左右方向の長さが側部枠体12,13の上下方向の長さより短く設定されている。そして、頂部枠体11を他方の側部枠体13へ折り畳んだとき頂部枠体11が側部枠体13の内側へ収容されるように構成されている。背部枠体14は左右方向の長さが上下方向の長さより長い矩形枠体状に形成され、中間部に上下に延びる3本の補強材15が架設されて構成されている。
【0018】
図3(a)〜(c)に示すように、一方の側部枠体12を構成する前後両垂直枠16a,16b、上下両水平枠17a,17bはそれぞれ正四角筒体により構成されている。後部位置の垂直枠16bは上下両端部にのみ設けられて支承枠18を形成し、それら支承枠18の間に背部枠体14の垂直枠19を構成する正四角筒体が配置され、該正四角筒体内の円筒体20が両端部の支承枠18内に嵌め込まれ、一方の側部枠体12が背部枠体14に対して回動され折り畳み可能に構成されている。上部位置の水平枠17aの両端部上には側部枠体12を構成する正四角筒体よりなる一対の係止枠21a,21bが固着されている。そして、図1に示すように、上部位置の水平枠17a上において、両係止枠21a,21b間に頂部枠体11の先端枠22(一方の側部枠体12側端部の枠)が介在されるようになっている。なお、両係止枠21a,21b上には形状の異なる段積み用のガイド突起30がそれぞれ上方へ突設されている。
【0019】
図2(a)〜(c)に示すように、他方の側部枠体13を構成する前後両垂直枠23a,23b及び上下両水平枠24a,24bは正四角筒体により構成されている。上部位置の水平枠24aは前後両端部にのみ設けられて支持枠25を形成し、それら支持枠25の間に頂部枠体11の基端枠26を構成する正四角筒体が配置され、該正四角筒体内の円筒体27が両端部の支持枠25内に嵌め込まれ、頂部枠体11が他方の側部枠体13に対して回動され折り畳み可能に構成されている。図2(c)及び(d)に示すように、他方の側部枠体13を構成する後部位置の垂直枠23bには保持部として上下各一対の保持板28が背部枠体14側へ突出形成され、各保持板28にはボルト挿通孔29が透設されている。なお、両支持枠25上には形状の異なる段積み用のガイド突起30がそれぞれ上方へ突設されている。
【0020】
図4(a)及び(b)に示すように、背部枠体14の高さは前述の両側部枠体12,13の高さより低く(幅狭に)形成されている。背部枠体14の上下に位置する水平枠31a,31bの他方の側部枠体13側の端部には垂直方向に貫通するボルト貫通孔32が透設されている。それら水平枠31a,31bが前記他方の側部枠体13の上下各一対の保持板28間に挿入され、その状態でボルト挿通孔29及びボルト貫通孔32にボルト33が挿通され、スプリングワッシャ34を介してボルト33の先端にナット35が螺合されている。そして、背部枠体14が該ボルト33を回動軸として他方の側部枠体13に対して回動され折り畳み可能に構成されている。これらボルト33、ナット35、ボルト挿通孔29、ボルト貫通孔32等により回動連結部が構成されている。回動軸としてのボルト33は垂直枠23bから所定距離(背部枠体14の厚みにほぼ相当する距離)だけ離れた位置に設けられているため、一方の側部枠体12を背部枠体14に折り畳んだ状態でボルト33を中心にして他方の側部枠体13に折り畳んだとき、折り畳み後の厚みを薄くすることができる。
【0021】
図5(a)及び(b)に示すように、頂部枠体11を構成する前記先端枠22と、一方の側部枠体12を構成する水平枠17a上の係止枠21a,21bとの間には、一方の側部枠体12に対して頂部枠体11の連結を固定又は解除するロック機構36が設けられている。図6に示すように、ロック機構36を構成するロック部材37は細長四角箱状をなす本体部38を有し、その本体部38の側壁38aには操作摘み39が六角ボルトにより突出形成されている。本体部38の前部には左右一対の断面U字状をなす係合溝40を介してロック部材37としての案内部41が断面凹状に突設されている。前記一対の係合溝40には両端に操作円盤43を有するロックバー44が嵌め込まれている。前記案内部41の両側壁41aには前端ほど低くなるように傾斜する一対の傾斜面45が形成されている。
【0022】
図5(a)及び(b)に示すように、上記のロック機構36の本体部38及び案内部41は頂部枠体11の先端枠22及び側部枠体12の係止枠21a,21b内に納められ、先端枠22及び係止枠21a,21b内を前後に摺動するようになっている。ロック機構36の操作摘み39は頂部枠体11の先端枠22に形成された横長孔46に挿通され、ロックバー44は係止枠21a,21bに形成された縦長孔47に操作円盤43が係止枠21a,21b外に位置するように挿通されている。このロック機構36は、図1に示すように頂部枠体11の先端枠22の両端に一対設けられている。
【0023】
そして、図5(a)に示す状態では本体部38及び案内部41が先端枠22及び係止枠21a,21b内に位置しているため、一方の側部枠体12に対して頂部枠体11が固定されたロック状態となっている。一方、図5(b)に示すように、ロックバー44を上方に持ち上げて係合溝40から抜け出すようにした後(図6の二点鎖線)、操作摘み39を後方へ移動させることにより、本体部38及び案内部41が係止枠21a,21b内から先端枠22へ退避される。この状態は、一方の側部枠体12に対する頂部枠体11の連結が解除された非ロック状態となっている。
【0024】
なお、図1に示すように、前記一方の側部枠体12の係止枠21a,21b上に設けられたガイド突起30と、他方の側部枠体13の支持枠25上に設けられたガイド突起30とにより、ネスティングラック10上に図示しないさらに別のネスティングラック10を所定位置に載置し、段積みすることができるようになっている。
【0025】
以上のように構成されたネスティングラック10について作用を説明する。
さて、図1に示す状態において、図5(b)に示すように、ロック機構36の操作円盤43を指で摘んで持ち上げ、ロックバー44が係合溝40から抜け出すようにして案内部41との係合を解除し、その状態で操作摘み39を後方へ移動操作する。この操作を前後一対のロック機構36について行う。すると、本体部38及び案内部41は係止枠21a,21b内から先端枠22内へと退避され、頂部枠体11が一方の側部枠体12から離間して回動可能となる。従って、図7に示すように、頂部枠体11の先端枠22を持ち上げ、基端枠26中の円筒体27を中心にして上方へ回動させる。さらに、図8に示すように、頂部枠体11をその基端枠26内の円筒体27を中心にして図8の時計方向へ回動させる。
【0026】
そして、図9に示すように、頂部枠体11を他方の側部枠体13の内側に収めた後、一方の側部枠体12をその後部の垂直枠19内の円筒体20を中心にして図9の時計方向へ回動させ、背部枠体14の背面に折り畳む。最後に、図10に示すように、背部枠体14を一方の側部枠体12と共にボルト33を中心として図10の反時計方向に回動させ、他方の側部枠体13に折り畳んで重ね合わせる。この場合、前記ボルト33は垂直枠23bから一定距離だけ離れた位置に配設されているため、一方の側部枠体12を背部枠体14に折り畳んだ状態でボルト33を中心にして他方の側部枠体13に折り畳んだとき、背部枠体14は他方の側部枠体13にほぼ平行に配置される。このようにして、ネスティングラック10は折り畳まれて板状に形成される。この折り畳まれた状態でネスティングラック10は、トラックに積んで輸送され、また倉庫に保管される。
【0027】
折り畳まれたネスティングラック10を展開する場合には前記と逆の操作で行われる。すなわち、図10に示す状態で、背部枠体14を一方の側部枠体12と共にボルト33を中心として図10の時計方向に回動させ、図9に示す状態にする。この状態で、一方の側部枠体12を背部枠体14の垂直枠19の円筒体20を中心にして図9の反時計方向に回動させ、図8に示す状態とする。その状態で、頂部枠体11をその基端枠26内の円筒体27を中心にして図8の反時計方向に回動させ、図7に示す状態を経て頂部枠体11の先端枠22を一方の側部枠体12の水平枠17a上に載せる。その状態で、頂部枠体11の先端枠22両端部に設けられているロック機構36の操作摘み39をそれぞれ外方へ移動操作する。このとき、図6に示すように、案内部41の傾斜面45が係止枠21a,21bの縦長孔47に係合されているロックバー44に当たり、そのロックバー44を押し上げながら外方へ移動し、図6の二点鎖線に示すようにロックバー44が係合溝40の上方位置に達したとき係合溝40内へ落ち込んで係合され、ロック機構36がロック状態に戻る。
【0028】
以上の実施形態により発揮される効果について、以下にまとめて説明する。
(1) 本実施形態のネスティングラック10では、頂部枠体11は一方の側部枠体12に対して連結を解除して他方の側部枠体13に対して折り畳み可能に構成され、一方の側部枠体12は該一方の側部枠体12に対して連結が解除されなかった背部枠体14に折り畳み可能に構成されている。さらに、一方の側部枠体12は背部枠体14に折り畳まれた状態で他方の側部枠体13に折り畳み可能に構成されている。
【0029】
このため、ネスティングラック10の不使用時には、頂部枠体11が一方の側部枠体12に対して連結が解除された後、他方の側部枠体13に対して折り畳まれる。続いて、一方の側部枠体12が背部枠体14に対して折り畳まれる。その後、一方の側部枠体12は背部枠体14に折り畳まれた状態で他方の側部枠体13に折り畳まれる。このようにして、頂部枠体11、背部枠体14及び一方の側部枠体12が他方の側部枠体13に簡単な操作で折り畳まれ、容易に板状に形成される。このように折り畳まれたネスティングラック10は、展開状態のネスティングラック10の内側に形成される空間部に例えば7つ入る大きさ、すなわち空間部を1/7に減少させることができる。
【0030】
従って、本実施形態のネスティングラック10によれば、段積みに支障を来たすことなく、不使用時における空間を減少させて運搬効率や保管効率を向上させ、運搬費用や保管費用の抑制を図ることができる。また、運搬作業、保管作業等の作業における取扱性が良く、作業を容易かつ速やかに行うことができる。さらに、ネスティングラック10の折り畳み及び展開に際して工具を用いることなく、作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
【0031】
(2) 頂部枠体11は他方の側部枠体13の内側に収容されるように、長さ及び幅が側部枠体13よりも短く設定されていることにより、ネスティングラック10を折り畳んだとき頂部枠体11が他方の側部枠体13の内側に納められ、コンパクトにできて余分な空間を減少させることができる。
【0032】
(3) 頂部枠体11の基端枠26と他方の側部枠体13の円筒体27との間及び一方の側部枠体12を構成する後部位置の垂直枠16bと背部枠体14の先端の円筒体20との間は、四角筒体中に円筒体20,27が嵌め込まれて回動可能に連結されている。このため、簡単な構成でネスティングラック10の折り畳み操作を円滑に行うことができる。
【0033】
(4) 頂部枠体11の先端枠22と一方の側部枠体12の係止枠21a,21bとの間には、一方の側部枠体12に対して頂部枠体11の連結を固定又は解除するロック機構36が設けられている。このため、ネスティングラック10の使用時にはロック機構36を固定して頂部枠体11を一方の側部枠体12に対し連結固定でき、不使用時にはロック機構36を解除して頂部枠体11を他方の側部枠体13に容易に折り畳むことができる。
【0034】
(5) 前記ロック機構36は、頂部枠体11の両端部と一方の側部枠体12の両係止枠21a,21bとの間に一対設けられていることから、頂部枠体11と一方の側部枠体12との間の連結を強固にすることができると共に、両者間のがたつきを防止することができる。
【0035】
(6) 前記一方の側部枠体12の上部には、水平枠17a上に前後一対の係止枠21a,21bが設けられ、両係止枠21a,21b間に頂部枠体11の先端枠22が介在されるようになっている。このため、頂部枠体11と一方の側部枠体12とを連結する場合には、側部枠体12の水平枠17a上に頂部枠体11の先端枠22を載せ、その状態でロック機構36を作動させればよく、連結を簡単に行うことができる。
【0036】
なお、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 背部枠体14を一方の側部枠体12に対して連結を解除して他方の側部枠体13に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体12を該一方の側部枠体12に対して連結が解除されなかった頂部枠体11に折り畳み可能に構成することができる。この場合、背部枠体14と一方の側部枠体12との間にはロック機構36を設ける。このように構成した場合、一方の側部枠体12を頂部枠体11に折り畳んだ状態で他方の側部枠体13に折り畳むことができる。
【0037】
・ 前記ロック機構36としては、頂部枠体11の先端枠22と一方の側部枠体12のいずれかの係止枠21a,21bとの間に1箇所のみ設けることもできる。
・ 前記ロック機構36として、例えば係合溝40、ロックバー44、縦長孔47等を省略し、横長孔46の外端部に下方へ延びる連通孔を設けると共に、ロック部材37を先端枠22及び係止枠21a,21b内で回転可能に構成することもできる。そして、ロック部材37の案内部41が係止枠21a,21b内に挿入された状態で操作摘み39を回動させて横長孔46からその連通孔に入るようにしてロック状態にする。この場合、ロック機構36の構成を簡単にすることができる。
【0038】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記他方の側部枠体には、背部枠体側へ突出する保持部を設け、該保持部と背部枠体との間に回動連結部を備えることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のネスティングラック。このように構成した場合、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳んだ後の厚みを薄くすることができる。
【0039】
・ 前記一方の側部枠体の上部には水平枠17aを設け、該水平枠17aの両端部上には一対の係止枠を配設し、両係止枠間に頂部枠体の先端枠が介在されるように構成することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のネスティングラック。このように構成した場合、請求項2から請求項5のいずれかに係る発明の効果に加えて、頂部枠体と一方の側部枠体とを連結する際に、側部枠体の水平枠上に頂部枠体の先端枠を載せればよく、連結操作を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
10…ネスティングラック、11…頂部枠体、12…一方の側部枠体、13…他方の側部枠体、14…背部枠体、20、27…円筒体、36…ロック機構。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部枠体、両側部枠体及び背部枠体が各々四角枠体で形成され、各四角枠体間が連結されて前部及び底部が開口され四角箱状に構成されたネスティングラックであって、
前記頂部枠体又は背部枠体を一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体を該一方の側部枠体に対して連結が解除されなかった背部枠体又は頂部枠体に折り畳み可能に構成すると共に、一方の側部枠体を背部枠体又は頂部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳み可能に構成することを特徴とする折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項2】
前記頂部枠体を一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳み可能に構成すると共に、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳み可能に構成することを特徴とする請求項1に記載の折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項3】
前記頂部枠体又は背部枠体は他方の側部枠体の内側に収容されるように、長さ及び幅が側部枠体よりも短く設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項4】
前記四角枠体間は、四角筒体中に円筒体が嵌め込まれて回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項5】
前記頂部枠体又は背部枠体と一方の側部枠体との間には、一方の側部枠体に対して頂部枠体又は背部枠体の連結を固定又は解除するロック機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項1】
頂部枠体、両側部枠体及び背部枠体が各々四角枠体で形成され、各四角枠体間が連結されて前部及び底部が開口され四角箱状に構成されたネスティングラックであって、
前記頂部枠体又は背部枠体を一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体を該一方の側部枠体に対して連結が解除されなかった背部枠体又は頂部枠体に折り畳み可能に構成すると共に、一方の側部枠体を背部枠体又は頂部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳み可能に構成することを特徴とする折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項2】
前記頂部枠体を一方の側部枠体に対して連結を解除して他方の側部枠体に対して折り畳み可能に構成し、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳み可能に構成すると共に、一方の側部枠体を背部枠体に折り畳んだ状態で他方の側部枠体に折り畳み可能に構成することを特徴とする請求項1に記載の折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項3】
前記頂部枠体又は背部枠体は他方の側部枠体の内側に収容されるように、長さ及び幅が側部枠体よりも短く設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項4】
前記四角枠体間は、四角筒体中に円筒体が嵌め込まれて回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の折り畳み可能なネスティングラック。
【請求項5】
前記頂部枠体又は背部枠体と一方の側部枠体との間には、一方の側部枠体に対して頂部枠体又は背部枠体の連結を固定又は解除するロック機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の折り畳み可能なネスティングラック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−37529(P2011−37529A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183579(P2009−183579)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(306035122)信和株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(306035122)信和株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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